無線通信システムにおいて、送信装置および受信装置は、図1を参照しながら以下で説明するような処理をそれぞれ実行することによって、情報ビットを伝送路を介して送受信し得る。図1は、無線通信システムの例図である。無線通信システム1は、送信装置2および受信装置3を含む。送信装置2は、符号化部21、変調マッピング部22、および送信処理部23を含む。受信装置3は、受信処理部31、復調デマッピング部32、および復号部33を含む。
符号化部21は、送信対象の情報ビット系列を誤り訂正符号化し、符号ビット系列を生成する。例えば、符号化部21は、Third Generation Partnership Project(3GPP)においてデータチャネルの符号化方式として定義されるターボ符号を用いて、情報ビット系列を符号化する。
3GPPにおいて定義される標準的なターボ符号は、符号化率1/3のターボ符号であり、ターボ符号器は、2つの要素符号器と、2つの要素符号器の間に配置されたインタリーバとを含む。要素符号は、符号化率1/2のリカーシブな畳み込み符号である。ターボ符号器は、要素符号器からそれぞれ出力されたパリティビットの一部を符号語に含めないパンクチャを実行し得る。また、ターボ符号器は、要素符号器からそれぞれ出力されたパリティビットの一部を繰り返すレペティションを実行し得る。パンクチャおよびレペティションを含むレートマッチングが実行されることによって、送信装置2と受信装置3との間の伝送路4の通信品質に応じて任意の符号化率の符号ビット系列が生成され得る。
符号化部21では、情報ビット系列はコードブロック単位に符号化される。無線フレームを構成するサブフレームあたりに処理されるデータパケットの単位をトランスポートブロックとすると、トランスポートブロックのサイズが規定の最大サイズを超える場合、トランスポートブロックは、インタリーバサイズの複数のコードブロックに分割され、コードブロック単位で符号化部21により符号化される。
なお、3GPPで標準化されたLong Term Evolution(LTE)では、無線フレームの長さは、10msであり、10個のサブフレームから構成される。無線リソースに関するスケジューリングにより選択されたUser Equipment(UE)のユーザデータは、サブフレーム単位でevolved Node B(eNodeB)から当該UEへ送信される。eNodeBは、送信装置2に対応し得、UEは、受信装置3に対応し得る。サブフレームは、Physical Downlink Control Channel(PDCCH)とPhysical Downlink Shared Channel(PDSCH)とを含む。PDCCHは、スケジューリングにより選択されたUEに無線リソース割り当て情報を通知するためのチャネルである。PDSCHは、ユーザデータを送信するための共有データチャネルである。
変調マッピング部22は、符号化部21により生成された符号ビット系列を所定数のビット単位で変調することによって符号ビットを信号シンボルへマッピングし、信号シンボル系列を生成する。信号シンボルは、変調処理前の元のビット値に対応して複素平面上(信号空間上)の異なる点として表される。
具体的には、変調マッピング部22は、符号ビット系列の先頭ビットから所定数m毎のサブブロックを1つの信号シンボルにマッピングする。例えば、Quadrature Phase Shift Keying(QPSK)では、m=2であり、16 Quadrature Amplitude Modulation(16QAM)では、m=4であり、64QAMでは、m=6である。
信号シンボルは、複素数で便宜的に表現され得、複素数で表現される信号シンボルの実数部および虚数部は、Iチャネル成分およびQチャネル成分とそれぞれ称される。符号ビット系列bをb=(b0,b1,...,bm−1)とし、信号シンボルsをs=(sI,sQ)とすると、符号ビットb0,b2,...,bm−2は、信号ビットのIチャネル成分sIへマッピングされる。また、符号ビットb1,b3,...,bm−1は、信号ビットのQチャネル成分sQへマッピングされる。例えば、QPSKでは、Iチャネル成分sIおよびQチャネル成分sQは、1ビットの符号ビットにそれぞれ対応する。一方、16QAMおよび64QAMでは、Iチャネル成分sIおよびQチャネル成分sQは、複数ビットの符号ビットにそれぞれ対応する。このことから、16QAMおよび64QAMは、多値変調と称される。
送信処理部23は、変調マッピング部22により生成された信号シンボル系列を搬送波の形式の無線信号に変換し、変換された無線信号を伝送路4へ送出する。
受信処理部31は、送信装置2から送信された無線信号を伝送路4を介して受信する。受信処理部31は、受信された無線信号に対して受信処理を行う。例えば、受信処理部31は、受信された無線信号を自動利得制御(Auto Gain Control、AGC)により線形増幅し、線形増幅された受信信号をアナログ/デジタル(A/D)変換し同期検波する。受信された無線信号、すなわち受信データ系列に対してこうした受信処理することによって、受信処理部31は、信号空間上の点の形式で表現され得る受信シンボル系列を受信データ系列から生成する。
復調デマッピング部32は、送信装置2から送信された情報ビット系列の各ビットに対応する軟判定データとなる尤度データを受信シンボルから求め、受信ビット系列から尤度データ系列(軟判定データ系列)を生成する。
例えば、伝送路4が加法性ホワイトガウス雑音(Additive White Gaussian Noise、AWGN)伝送路であると仮定すると、尤度データは、以下に示す式により算出され得る。前提として、平均受信電力をE
s、送信シンボル系列をs
i(i=0,1,...,N−1、Nは符号ビットサイズ)、AWGNの雑音信号をn
i、雑音信号n
iの分散をσ
2とすると、受信シンボル系列r
iは、次の式(1)により表される。
また、雑音信号n
iの二乗平均は、式(2)で表され、送信シンボル系列s
iの二乗平均は、式(3)で表される。
AWGN伝送路において、送信シンボルs
Xからへ受信シンボルr
Xの遷移確率P(r
X|s
X)(Xは、Iチャネル成分およびQチャネル成分)は、次の式(4)により表される。
送信シンボルs
iにマッピングされる符号ビット系列b
0,b
1,...,b
m−1に対応して、尤度データ系列y
iをy
0,y
1,...,y
m−1とする。送信ビットである符号ビットb
iが0または1であるとすると、尤度データy
iは、対数尤度比として次の公式(5)により定義される。
遷移確率P(r
X|s
X)および確率演算の規則を式(5)に適用すると、尤度データy
iは、次の式(6)により定義される。式(6)に示されるような尤度データ、すなわち、異なるシンボルが送信される場合の事後尤度確率の比の対数により数値的に表された尤度データを、本明細書では基準スケールないし基準単位の尤度データと呼ぶ。
AWGN伝送路においては、尤度データy
iは、式(4)を式(6)に適用して次の式(7)のように表される。
また、和について最大値を採る支配項のみを残す近似式を式(7)に適用すると、尤度データy
iは、次の式(8)のように近似される。
復号部33は、復調デマッピング部32により生成された軟判定データを用いて誤り訂正復号処理を行い、送信装置2から送信された情報ビットを推定する。例えば、符号化部21が前述したようなターボ符号を用いて情報ビット系列を符号化した場合、復号部33は、要素復号処理を繰り返し行う繰り返し復号処理を実行し得る。復号部33は、こうした処理を実行するターボ復号器を含み得る。
ターボ復号器は、ターボ符号器の2つの要素符号器にそれぞれ対応する2つの要素復号器と、ビット系列の順序を整合させるインタリーバおよびデインタリーバとを含む。要素復号器による要素復号処理には、例えば、最大事後確率(Maximum A posteriori Probability、MAP)アルゴリズムが用いられる。ただし、MAPアルゴリズムがそのままの形式で要素復号器に実装されると、要素復号器に対するハードウェア上の設計コストが高くなるため、実装に適した形式に修正されたアルゴリズムが用いられ得る。前述したターボ符号器と同様に、ターボ復号器は、コードブロック単位で復号処理を実行する。
なお、LTEでは、eNodeBとUEとの間の伝送路の通信品質に応じてQPSK、16QAM、および64QAMといった変調方式と符号化率とが動的に変更される。こうした技術は、適応変調符号化(Adaptive Modulation and Coding、AMC)と称される。
送信装置2の送信アンテナおよび受信装置3の受信アンテナに関する伝送方式としては、Single Input Single Output(SISO)、Single Input Multi Output(SIMO)、およびMulti Input Multi Output(MIMO)が挙げられる。SISOは、1本の送信アンテナおよび1本の受信アンテナにより構成される伝送方式である。SIMOは、1本の送信アンテナと複数の受信アンテナにより構成される伝送方式である。MIMOは、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナにより構成される伝送方式である。
SIMOでは、同じ情報が含まれる受信データが互いに加算され合成されることによってダイバーシチ効果が得られる。SIMOによれば、SISOと比較して信号対雑音電力比(Signal to Noise Ratio、SNR)が改善された尤度データが得られる。
MIMOでは、複数の送信アンテナから互いに異なる情報データがそれぞれ送信され、送信された互いに異なる情報データは、マルチパス伝送路上で多重化され、多重化された情報データは、複数の受信アンテナによりそれぞれ受信される。MIMOでは、複数の受信アンテナにより受信された複数の受信データ系列が同時に復調されることによって、各送信アンテナから送信された信号シンボルの各ビットに対応する尤度データがそれぞれ求められる。
例えば、LTEでは、送信アンテナおよび受信アンテナの各本数が最大4本のMIMOが標準化されており、送信装置2と受信装置3との間の伝送路4の通信品質に応じて送信ストリーム数が制御されるランクアダプテーションが適用され得る。
上述した無線通信システム1において、式(7)または式(8)に示されるAWGN伝送路における尤度データy
iのように、公式(6)を適用して求められる尤度データy
iは、数値的に厳密に定義された尤度データであり、基準スケールの尤度データである。しかしながら、受信処理部31での受信処理や量子化処理等に起因して、復調デマッピング32による処理を経て復号部33に入力される尤度データは、基準スケールとは異なる実装スケールの尤度データy
aiである。基準スケールと実装スケールとの比をスケール値s
cとすると、実装スケールの尤度データy
aiは、次の式(10)により表され得る。
入力された尤度データを基準スケールで復号処理することよって復号部33が符号誤り率の低い適切な復号ビットを生成し得る場合、復号部33に入力された尤度データが実装スケールの尤度データyaiであると、復号ビットの符号誤り率は高くなる。そこで、実装スケールの尤度データyaiから適切な復号ビットを得るためには、実装スケールから基準スケールへスケール(単位)を変換するためのスケール値scが特定される必要がある。
例えば、送信装置2および受信装置3に用いられる変調方式がQPSKである場合に、以下で説明するような算出方法によってスケール値s
cを特定する技術が知られている。
符号ビット系列をx
i、信号対雑音電力比(Signal to Noise Ratio、SNR)をS
nとすると、基準スケールの尤度データy
iは、次の式(11)により表される。
ここで、x
i、r
i、およびS
nは、式(12)〜式(14)のようにそれぞれ定義される。
一方、実装スケールの尤度データy
aiは、次の式(15)のように定義される。
式(11)および式(15)を式(10)に代入すると、スケール値s
cは、次の式(16)により定義される。
そこで、式(16)に示される信号振幅Aおよび信号対雑音電力比SNRは、次のような計算方法により求められる。
まず、実装スケールの尤度データy
aiの絶対値の平均値および実装スケールの尤度データy
iの二乗平均値は、次の式(17)および式(18)によりそれぞれ計算し得る。
実装スケールの尤度データy
aiの絶対値の平均値および実装スケールの尤度データy
aiの二乗平均値は、雑音n
iの分散σ
2および受信振幅aと次の式(19)および式(20)により示される関係を有する。
雑音niの標準偏差σの振幅であるmag(σ)は、雑音niの分散σ2の複雑な関数として表されるため、σ2とmag(σ)との関係を示すテーブルが復号器に実装される。
式(19)および式(20)で示される関係に基づき、信号振幅Aおよび信号対雑音電力比S
nは、次の式(21)および(22)により求められる。
ここで、Cは、シミュレーションにより予め求められる固定係数であり、qは、量子化ビット数である。
スケール値scは、式(21)および式(22)を式(16)に代入することにより求められる。
しかしながら、式(11)〜式(22)を参照しながら上述した算出方法は、変調方式が16QAM等の多値変調である場合には、適用が困難である。理由は、以下のように説明し得る。
変調方式がQPSKである場合、式(7)は、次の式(23)のように近似することができる。
但し、式(23)中のr´´
Xは、次の式(24)に示すとおりである。また、c=2である。
式(23)から理解できるように、変調方式がQPSKである場合には、尤度データyiは、SNRを比例係数として受信データriに比例する形式で表し得る。このため、受信振幅aおよび分散σ2の関係は、式(19)および式(20)に示されるように、尤度データyiの絶対値の平均値および尤度データyiの二乗平均値により示すことができる。
しかしながら、変調方式が多値変調である場合には、式(7)を式(23)のように近似することはできず、尤度データyi、送信信号xi、およびSNRの関係は、対数関数LOGおよび指数関数expを含む複雑な関数で表される。このため、受信振幅aおよび分散σ2の関係を、式(19)および式(20)に示されるような尤度データyiの絶対値の平均値および尤度データyiの二乗平均値により求めることは困難である。
以下発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳述する。
<第1の実施形態>
図2は、第1の実施形態に従った受信装置の概略的機能構成図である。図2に示す第1の実施形態に従った受信装置5は、受信装置3に代わって無線通信システム1に含まれ得、対向装置である送信装置2から送信されたデータ信号を受信し、受信されたデータ信号を復調および復号する。
送信装置2の符号化部21は、前述したようなターボ符号およびレートマッチングによって、送信装置2と受信装置5との間の伝送路4の無線通信品質に応じて決定された所定の符号化率で送信対象の情報ビットを符号化し、符号ビットを生成する。図3は、符号化部に含まれるターボ符号器の例示的構成図である。図4は、符号化部により実行されるターボ符号のパラメータの例示的一覧表である。図3に示したターボ符号器6および図4に示したターボ符号の各種パラメータは、3GPPの仕様書(例えば、TS.212 v8.9.0、v10.6.0)に適合し得る。
図3に示すように、ターボ符号器6は、第1の要素符号器61、第2の要素符号器62、インタリーバ63、第1のテールビットスイッチ64、第2のテールビットスイッチ65、およびパラレル/シリアル変換部66を含む。第1の要素符号器61は、3つの遅延メモリD1〜D3を含み、第2の要素符号器62は、3つの遅延メモリD4〜D6を含む。
第1の要素符号器61には、送信対象の情報ビットがそのままの順序で入力され、第2の要素符号器62には、インタリーバ63によりインタリーブされた情報ビットが入力される。第1および第2の要素符号器61、62は、入力された情報ビットを遅延メモリD1〜D6によりそれぞれビットシフトする。そして、第1および第2の要素符号器61、62は、ビットシフトされた出力ビットを入力ビットへ帰還させると共にパリティビット系列xp1およびパリティビット系列xp2としてそれぞれ出力する。また、符号化の終端方法としてはトレリス終端が適用される。すなわち、第1および第2の要素符号器61、62に最後の情報ビットが入力された後、第1および第2のテールビットスイッチ64、65が入力ビット側から帰還された出力ビット側へそれぞれ切り替えられる。そして、第1および第2の要素符号器61、62にそれぞれ含まれる遅延メモリD1〜D3、D4〜D6の数と同数のテールビットが第1および第2の要素符号器61、62にそれぞれ入力される。パラレル/シリアル変換部66は、パリティビット系列xp1およびパリティビット系列xp2をレートマッチング処理し、レートマッチング処理されたパリティビット系列xp1およびパリティビット系列xp2と情報ビット系列である組織化ビット系列xsとをシリアルに結合して、符号ビットを出力する。
変調マッピング部22は、QPSK、16QAM、および64QAMといった変調方式中から、送信装置2と受信装置5との間の伝送路4の無線通信品質に応じて決定された所定の変調方式に従って符号ビットを変調し、信号シンボルへマッピングする。
上述したような符号化率および変調方式と、SISO、SIMO、およびMIMOといった伝送方式とを含む伝送フォーマットは、送信装置2と受信装置5との間の伝送路4の通信品質に応じて適応的に変更され得る。例えば、受信装置5は、送信装置2から送信された制御信号の無線通信品質を測定する。送信装置2から送信される制御信号は、例えば、Demodulation Reference Signal(DM RS)であり、測定される無線通信品質は、例えば、制御信号のSNR値である。受信装置5は、測定された無線通信品質データを送信装置2へ送信する。無線通信品質データは、例えば、Channel Quality Indicator(CQI)としてPhysical Uplink Control Channel(PUCCH)を介して送信される。送信装置2は、受信装置5から送信された無線通信品質データを受信し、受信された無線通信品質データに従って送信装置2から受信装置5への無線データ信号の伝送フォーマットを決定し、決定された伝送フォーマットを受信装置5へ通知する。伝送フォーマットは、例えば、PDCCHを介して送信装置2から受信装置5へ通知される。受信装置5は、送信装置2から送信された伝送フォーマットを受信し、送信装置2から送信された無線データ信号を受信された伝送フォーマットに従って復号処理する。
図2に示すように、第1の実施形態に従った受信装置5は、受信処理部51、復調デマッピング部52、復号部53、絶対値平均計算部54、絶対値平均テーブル55、およびスケール演算部56を含む。
受信処理部51は、伝送路4を介して送信装置2から受信した受信データ信号を前述した受信処理部31と同様に処理し、受信シンボルriを生成する。受信処理部51は、生成された受信シンボルを復調デマッピング部52へ送信する。また、受信処理部51は、受信データ信号riのSNRを測定し、測定されたSNR値をスケール演算部56へ送信する。
復調デマッピング部52は、受信処理部51から送信された受信シンボルriを受信する。復調デマッピング部52は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って前述した復調デマッピング部32と同様の処理を受信された受信シンボルriに対して実行し、尤度データ(軟判定データ)yaiを生成する。復調デマッピング部52は、生成された尤度データyaiを復号部53および絶対値平均計算部54へ送信する。
絶対値平均計算部54は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiを受信する。絶対値平均計算部54は、受信された尤度データyaiの絶対値の平均を数式(17)で示した計算式により計算する。絶対値平均計算部54は、計算された尤度データyaiの絶対値の平均値<|yai|>をスケール演算部56へ送信する。
絶対値平均テーブル55には、伝送方式、変調方式、および符号化率といった伝送フォーマットの組み合わせに対応して、基準スケールの尤度データy
iの絶対値の平均値をSNR値で割った値がテーブル値として格納される。基準スケールの尤度データy
iの絶対値の平均値は、次の式(25)により表される。
したがって、基準スケールの尤度データy
iの絶対値の平均値をSNR値で割った値、すなわちテーブル値T(I)は、次の式(26)により表される。
ここで、Iは、テーブル値の引数であり、伝送方式、変調方式、および符号化率といった伝送フォーマットの組み合わせを区別するパラメータである。このように、絶対値平均テーブル55は、伝送方式、変調方式、および符号化率といった伝送フォーマットの組み合わせをパラメータIとし、基準スケールの尤度データyiの絶対値の平均値をSNR値で割った値をテーブル値T(I)とするテーブルである。
絶対値平均テーブル55に格納される各テーブル値T(I)は、例えば、パラメータIで区別される伝送フォーマットの組み合わせについて、候補となるT(I)の値を用いてシミュレーションを実行し、ブロック誤り率(Block Error rate、BLER)の特性劣化が規定範囲内に収まるテーブル値T(I)を特定することによって得られる。
図5は、絶対値平均テーブルの例図である。図5に示すように、絶対値平均テーブル55には、変調方式および符号化率の組み合わせに対応してテーブル値が格納される。変調方式および符号化率の組み合わせは、送信装置2と受信装置5との間の伝送路4の無線通信品質に従って適応符号化変調される対象となる組み合わせであり、Modulation and Coding Scheme(MCS)と称される。図5に示したような絶対値平均テーブル55は、無線通信システム1が取り得る伝送方式毎に予め用意される。
なお、図5は、絶対値平均テーブル55の一例にすぎない。例えば、変調方式および符号化率の組み合わせに対応した各々のテーブル値T(I)が格納される構成に代わって、符号化率を変数とするテーブル値T(I)の線形関数が変調方式毎に絶対値平均テーブル55に格納されるように構成してもよい。
絶対値平均テーブル55からスケール演算部56には、送信装置2から通知された伝送フォーマットに適合するテーブル値T(I)が送信される。
スケール演算部56は、受信処理部51により測定されたSNR値、絶対値平均計算部54により計算された尤度データの絶対値の平均値<|y
ai|>、および絶対値平均テーブル55から抽出されたテーブル値T(I)を受信する。スケール演算部56は、受信された尤度データの絶対値の平均値<|y
ai|>を受信されたSNR値で割った値と、受信されたテーブル値T(I)との比を演算することにより、スケール値s
cを取得する。すなわち、スケール演算部56は、受信されたこれらの値を次の式(27)に代入してスケール値s
cを演算する。
スケール演算部56は、演算されたスケール値s
cを復号部53へ送信する。
このように、絶対値平均計算部54、絶対値平均テーブル55、およびスケール演算部56等によって第1の実施形態に従ったスケール値の取得処理が実行される。なお、送信装置2から通知された伝送フォーマットが多値変調である場合には、複素平面上(信号空間上)にマッピングされた各受信シンボルの先頭ビットの尤度データyaiに対して第1の実施形態に従ったスケール値の取得処理が実行されるように構成してよい。また、スケール値の取得処理は、受信サブフレーム(例えば、符号化処理単位0.1ms)毎に、受信されたパケットデータのブロック(トランスポートブロック)に対して実行されるように構成してよい。すなわち、トランスポートブロック毎に同じスケール値scが適用されるように構成してよい。
復号部53は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiと、スケール演算部56から送信されたスケール値scとを受信する。復号部53は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って、受信されたスケール値scを用いて受信された尤度データyaiを誤り訂正復号処理し、送信装置2から送信された送信ビットが推定された復号ビットを生成する。
例えば、復号部53は、次の式(28)に示されるように、実装スケールの尤度データy
aiをスケール値s
cで除算することによって基準スケールの尤度データy
iを算出し得る。そして、復号部53は、算出された尤度データy
iを復号処理することによって、符号誤り率の低い復号ビットを生成し得る。
また、以下で説明するように、式(28)に示されるようなスケール変換(単位変換)に代えて、復号部53は、実装スケールの尤度データyaiをスケール値scを用いて基準スケールに調整し得る。そして、復号部53は、基準スケールに調整された尤度データyaiを用いた復号処理によって符号誤り率の低い復号ビットを生成し得る。
復号部53は、前述したようなターボ復号を誤り訂正復号処理として実行し得る。図6は、復号部に含まれるターボ復号器の例示的構成図である。図6に示すように、ターボ復号器7は、第1の要素復号器71、第2の要素復号器72、インタリーバ73、およびデインタリーバ74を含む。
第1の要素復号器71には、組織ビット系列xsに対応する尤度データysとパリティビット系列xp1に対応する尤度データyp1とが入力される。第2の要素復号器72には、インタリーバ73によりインタリーブされた尤度データyp1とパリティビット系列xp2に対応する尤度データyp2とが入力される。尤度データyp1およびyp2は、送信装置2が受信装置5へ送信した送信ビット系列を推定するための確率情報と言え、各要素復号器71および72は、受信尤度データyp1およびyp2に基づいて事前確率を求め、求められた事前確率に基づき条件確率演算を行うことによって事後確率を求める。
具体的には、第1の要素復号器71は、尤度データysおよび尤度データyp1を用いて事後確率を求める。第1の要素復号器71により求められた事後確率は、インタリーバ73によりインタリーブされ、インタリーブされた事後確率は、第2の要素復号器72に入力される。第2の要素復号器72に入力された事後確率は、第2の要素復号器72において事前確率を求めるための外部情報として用いられる。第2の要素復号器72により求められた事後確率は、デインタリーバ74によりデインタリーブされ、デインタリーブされた事後確率は、第1の要素復号器71の外部情報として用いられる。このように、一方の要素復号器71または72において求められた事後確率が他方の要素復号器72または71にフィードバックされ、要素復号器71および72において逐次演算処理が繰り返されることによって、事後尤度の推定精度が向上する。
要素復号器71および72による要素復号処理には、Log−MAPアルゴリズムが用いられ得る。具体的には、前方演算において、要素符号器への情報ビット系列x
iの入力順序に対応する時刻iにおける2つの状態候補をs
1およびs
2とし、時刻i+1における状態をsとすると、前方確率α
i(s)は、次の式(29)により求められる。
但し、式(29)において、γは、状態遷移確率であり、γ
i−1(s
1,s)は、時刻i−1においてs
1からsへ遷移する状態遷移確率である。max
*は、2より大きい要素の最大値選択関数であり、任意の数列x
1,x
2,・・・x
nについて次の式(30)により定義される。また、η
i−1(s
1,s)は、次の式(31)により表される。
また、後方演算において、時刻i+1における2つの状態候補をs
1およびs
2とし、時刻iにおける状態をsとすると、後方確率β(s)は、次の式(32)により求められる。
但し、式(32)において、ζ
i(s,s
1)は、次の式(33)により表される。
そこで、時刻iにおける状態候補をs
1とし、時刻i+1における状態候補をs
2とすると、事後尤度L(i)は、前方演算および後方演算の結果を用いて次の式(34)により求められる。
但し、入力ビット値がbであるブランチの集合をB
bとすると、L
b(i)は、次の式(35)により表される。
また、式(35)においてθ
i(s
1、s
2)は、u(s
1、s
2)を情報ビットとすると、次の式(36)により表される。
ここで、尤度データy
iと、前方確率α
i、後方確率β
i、および状態遷移確率γ
iとは、次の式(37)〜式(39)に示す関係を有し、これらはすべて同じスケール上の値である。
なお、式(37)中の尤度データys,iは、組織ビット系列を指し、および尤度データyp,iは、要素符号器71または72に入力されるパリティビット系列を指す。
復号部53は、LOG−MAPアルゴリズムにおける補正項をスケール値s
cにより補正することにより、式(29)〜式(36)を用いて実装スケールの尤度データy
aiから復号ビットを生成する。LOG−MAPアルゴリズムにおける補正項とは、式(29)および式(32)のMAX
*演算に示される対数関数である。式(29)および式(32)に示される対数関数f(x)は、次の式(40)のように表される。
実装スケールの尤度データy
aiから復号ビットを生成するための対数関数をf
a(x
a)とする。例えば、実装スケールの前方確率α
aiは、補正関数f
a(x
a)を用いて次の式(41)のように表される。
仮に、実装スケールの前方確率α
aiをスケール値s
cで除算することにより、復調デマッピング部52から受信した前方確率α
aiを復号部53が基準スケールに調整した場合、スケール調整された基準スケールの前方確率α
iは、次の式(42)のように表される。
しかしながら、実装スケールの前方確率α
aiが基準スケールに調整される方法としては、実装スケールの前方確率α
aiが基準スケールの前方確率α
iのスケール値s
c倍にスケール調整される方法であってもよい。そこで、実装スケールの前方確率α
aiを基準スケールの前方確率α
iのスケール値s
c倍に調整するために、復号部53は、次の式(43)のように、実装スケールの対数関数f
a(x
a)をスケール値s
cにより補正する。
このように、復号部53は、式(28)および式(42)に示されるように尤度データyai全体をスケール値scにより補正することに代えて、式(41)および式(43)に示されるような方法によってスケール調整することができる。すなわち、復号部53は、LOG−MAPアルゴリズムでの補正項をスケール値scにより補正して尤度データyaiを用いた復号処理を実行することで、符号誤り率の低い復号ビットを生成し得る。こうした方法によれば、復号部53は、復調デマッピング部52から受信した尤度データyaiを用いて復号処理できるため、復号部53のハードウェア上の実装を容易に実現できる。
図7は、第1の実施形態に従った受信装置の例示的ハードウェア構成図である。図7に示した一例では、受信処理部51、復調デマッピング部52、および絶対値平均計算部54は、受信装置8のハードウェア回路81により実装され、復号部53は、別のハードウェア回路82により実装される。また、絶対値平均テーブル55およびスケール演算部56は、Central Processing Unit(CPU)83により実装される。
図7に示したハードウェア構成は、一例にすぎず、第1の実施形態に従った受信方法を実行し得る任意のデバイスおよび任意のハードウェア回路によって受信装置5は実装され得る。任意のデバイスとしては、CPUの他、例えばDigital Signal Processor(DSP)が挙げられる。任意のハードウェア回路としては、例えば、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、Field Programmable Gate Array(FPGA)、およびVery Large Scale Integration(VLSI)が挙げられる。
第1の実施形態に従った受信装置5による受信データの復号方法の一例を図8を参照しながら説明する。図8は、第1の実施形態に従った受信装置による例示的復号処理のフロー図である。
送信装置2から送信されたデータ信号が受信処理部51により受信されると、受信装置5による一連の復号処理が開始される(ステップS101)。受信処理部51は、受信データに対して同期検波等の受信処理を実行し、信号空間上の点の形式で表され得る受信シンボルriを生成する(ステップS102)。受信処理部51は、生成された受信シンボルriを復調デマッピング部52へ送信する。また、受信処理部51は、受信データに対するSNRを測定し、測定されたSNR値をスケール演算部56へ送信する。
復調デマッピング部52は、受信処理部51から送信された受信シンボルriを受信する。復調デマッピング部52は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って受信された受信シンボルriに対して復調処理を実行し、尤度データyaiを生成する(ステップS103)。復調デマッピング部52は、生成された尤度データyaiを復号部53および絶対値平均計算部54へ送信する。
絶対値平均計算部54は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiを受信する。絶対値平均計算部54は、受信された尤度データyaiの絶対値の平均を計算する(ステップS104)。絶対値平均計算部54は、計算された尤度データyaiの絶対値の平均値<|yai|>をスケール演算部56へ送信する。
絶対値平均テーブル55は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに適合するテーブル値をスケール演算部56へ送信する(ステップS105)。
スケール演算部56は、受信処理部51により測定されたSNR値、絶対値平均計算部54により計算された尤度データの絶対値の平均値<|yai|>、および絶対値平均テーブル55から抽出されたテーブル値T(I)を受信する。スケール演算部56は、受信された尤度データの絶対値の平均値<|yai|>を受信されたSNR値で割った値と、受信されたテーブル値T(I)との比を演算することにより、スケール値scを取得する(ステップS106)。スケール演算部56は、演算されたスケール値scを復号部53へ送信する。
復号部53は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiと、スケール演算部56から送信されたスケール値scとを受信する。復号部53は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って、スケール値scを用いて尤度データyaiを誤り訂正復号処理する。具体的には、復号部53は、受信されたスケール値scによってLog−MAPアルゴリズムにおける補正項を補正し、Log−MAPアルゴリズムを用いて、受信された尤度データyaiをターボ復号処理する(ステップS107)。
送信装置2から送信された情報ビットが推定される復号ビットがステップS107における復号処理により取得されると、受信データに対する一連の復号処理は終了される(ステップS108)。
このように、第1の実施形態に従った受信装置5は、所定の伝送フォーマットに従った実装スケールの尤度データyaiを基準スケールと実装スケールとの比であるスケール値scにより補正して復号処理する。このため、伝送方式、変調方式、および符号化率といった伝送フォーマットの違いに対応して、符号誤り率の小さい復号ビットを実装スケールの尤度データから生成することができる。
図9は、第1の実施形態に従った復号処理により得られる例示的特性図である。図9には、情報ビットサイズKを1536ビット、 変調方式を16QAM、符号化率Rを1/3、伝搬路4をAWGN伝送路としたケースのシミュレーション結果が例示されている。図9の横軸は、信号対雑音比(Es/N0)であり、縦軸は、ブロック誤り率(BLER)である。
図9において、(a)は、基準スケールの尤度データをLOG−MAPアルゴリズムを用いて復号処理した場合のシミュレーション結果である。(b)は、基準スケールの尤度データをMAX−LOG−MAPアルゴリズムを用いて復号処理した場合のシミュレーション結果である。LOG−MAPアルゴリズムは、ターボ復号において理想的な最尤復号アルゴリズムと等価なアルゴリズムであり、MAX−LOG−MAPは、補正項を無視した近似的アルゴリズムである。このため、(a)のシミュレーション結果と比較して、(b)のシミュレーション結果では、ブロック誤り率の特性が劣化している。
図9において、(c)は、実装スケールの尤度データをLOG−MAPアルゴリズムを用いて復号処理した場合のシミュレーション結果である。(a)と(c)とを比較することにより、実装スケールの尤度データをスケール調整せずに復号処理すると、ブロック誤り率の特性が劣化することが理解し得る。
図9において、(d)は、第1の実施形態に従った復号処理によるシミュレーション結果である。(d)では、スケール値sc=2.0に設定されている。(a)、(c)、および(d)を比較することにより、実装スケールの尤度データをスケール値により補整することにより、ブロック誤り率の特性が大幅に改善し、理想的な特性が得られることが理解し得る。また、目標とするブロック誤り率を0.1〜0.01と想定すると、第1の実施形態の復号処理に従った(d)のシミュレーション結果では、(b)のシミュレーション結果と比較して0.15dBの特性改善がみられる。
このように、第1の実施形態に従った復号処理によれば、伝送方式の違いに関わらず精度の高いスケール値を取得することができ、復号ビットの符号誤り率を低減することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態に従った受信装置は、伝送路の無線通信品質に応じて任意の量子化範囲で実装スケールの尤度データが量子化されたケースにおいて、実装スケールの尤度データを所定の伝送フォーマットに対応したスケール値により補正して復号処理する。
図10は、第2の実施形態に従った受信装置の概略的機能構成図である。図10に示す第2の実施形態に従った受信装置9は、受信装置3に代わって無線通信システム1に含まれ得、対向装置である送信装置2から送信されたデータ信号を受信し、受信されたデータ信号を復調および復号する。図10において、第1の実施形態に従った受信装置5と同じ構成要素には、受信装置9の構成要素に同じ参照符号がふられている。図10に示すように、受信装置9は、受信処理部51、復調デマッピング部52、復号部53、絶対値平均計算部54、スケール演算部56、量子化範囲決定部91、量子化処理部92、補正値演算部93、および基準スケールテーブル94を含む。
基準スケールテーブル94は、伝送方式、変調方式、および符号化率といった伝送フォーマットの組み合わせをパラメータIとし、伝送路4がAWGN伝送路であるケースのスケール値s0をテーブル値Ts(I)とするテーブルである。本明細書では、AWGNにおけるスケール値s0を便宜的に基準スケール値と呼ぶ。
基準スケール値s
0は、例えば、パラメータIについて、候補となるテーブル値T
s(I)の値を用いてシミュレーションを実行し、ブロック誤り率の特性劣化が規定範囲内に収まるテーブル値T
s(I)を特定することによって得られる。また、以下の式(44)で示される平均法によって、基準スケール値s
0を求めたデータに対する量子化位置r
a0(I)から基準の量子化範囲Y
a0(I)が求められる。
式(44)により求められた基準の量子化範囲Ya0(I)の値は、補正値演算部93により保持される。
受信処理部51は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って、伝送路4を介して送信装置2から受信した受信データ信号に対して受信処理を実行し、受信シンボルriを生成する。受信処理部51は、生成された受信シンボルを復調デマッピング部52へ出力する。
復調デマッピング部52は、受信処理部51から送信された受信シンボルriを受信する。復調デマッピング部52は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って受信された受信シンボルriを復調およびデマッピング処理し、尤度データyaiを生成する。復調デマッピング部52は、生成された尤度データyaiを絶対値平均計算部54および量子化処理部92へ送信する。
絶対値平均計算部54は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiを受信する。絶対値平均計算部54は、受信された尤度データyaiの絶対値の平均値<|yai|>を計算する。絶対値平均計算部54は、計算された平均値<|yai|>を量子化範囲決定部91へ送信する。
量子化範囲決定部91は、絶対値平均計算部54から送信された、尤度データy
aiの絶対値の平均値<|y
ai|>を受信する。量子化範囲決定部91は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って、次の式(45)で示される平均法により尤度データy
aiの振幅平均値を算出し、尤度データy
aiの量子化範囲Y
aを特定する。
量子化範囲決定部91は、特定された尤度データyaiの量子化範囲Yaの値を量子化処理部92および補正値演算部93へそれぞれ送信する。
量子化処理部92は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiを受信し、量子化範囲決定部91から送信された量子化範囲Yaの値を受信する。量子化処理部92は、受信された量子化範囲Ya内に受信された尤度データyaiを量子化し、量子化された尤度データyaiを復号部53へ送信する。
補正値演算部93は、量子化範囲決定部91から送信された量子化範囲Y
aの値を受信する。補正値演算部93は、式(46)に示されるように、受信された量子化範囲Y
aと保持されている基準の量子化範囲Y
a0(I)との比を計算し、量子化範囲の差異に基づく補正値r
mを取得する。
補正値演算部93は、取得された補正値rmをスケール演算部56へ送信する。
基準スケールテーブル94は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに適合する基準スケール値s0をスケール演算部56へ送信する。
スケール演算部56は、補正値演算部93から送信された補正値r
mおよび基準スケールテーブル94から送信された基準スケール値s
0を受信する。スケール演算部56は、次の式(47)に示されるように、受信された補正値r
mおよび基準スケール値s
0を乗算して、スケール値s
cを演算する。
スケール演算部56は、演算されたスケール値s
cを復号部53へ送信する。
このように、絶対値平均計算部54、量子化範囲決定部91、補正値演算部93、基準スケールテーブル94、およびスケール演算部56等によって第2の実施形態に従ったスケール値の取得処理が実行される。なお、送信装置2から通知された伝送フォーマットが多値変調である場合には、複素平面上(信号空間上)にマッピングされた各受信シンボルの先頭ビットの尤度データyaiに対して第2の実施形態に従ったスケール値の取得処理が実行されるように構成してよい。また、スケール値の取得処理は、受信サブフレーム毎に、受信されたトランスポートブロックに対して実行されるように構成してよい。すなわち、トランスポートブロック毎に同じスケール値scが適用されるように構成してよい。
復号部53は、量子化処理部92から送信された尤度データyaiと、スケール演算部56から送信されたスケール値scとを受信する。復号部53は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って、スケール値scを用いて尤度データyaiを誤り訂正復号処理する。復号部53による具体的な誤り訂正復号処理は、第1の実施形態に従った受信装置5について前述処理と同様であり得る。
図11は、第2の実施形態に従った受信装置の例示的ハードウェア構成図である。図11に示した一例では、受信処理部51、復調デマッピング部52、絶対値平均計算部54、および量子化処理部92は、受信装置10のハードウェア回路101により実装され、復号部53は、別のハードウェア回路102により実装される。また、量子化範囲決定部91、補正値演算部93、基準スケールテーブル94、およびスケール演算部56は、CPU103により実装される。図11に示したハードウェア構成は、一例にすぎず、第2の実施形態に従った受信方法を実行し得る任意のデバイスおよび任意のハードウェア回路によって受信装置9は実装され得る。任意のデバイスとしては、CPUの他、例えばDSPが挙げられる。任意のハードウェア回路としては、例えば、ASIC、FPGA、およびVLSIが挙げられる。
第2の実施形態に従った受信装置9による復号方法の一例を図12を参照しながら説明する。図12は、第2の実施形態に従った受信装置による例示的復号処理のフロー図である。
送信装置2から送信されたデータ信号が受信処理部51により受信されると、受信装置9による一連の復号処理が開始される(ステップS201)。受信処理部51は、受信データに対して受信処理を実行し、信号空間上の点の形式で表され得る受信シンボルriを生成する(ステップS202)。受信処理部51は、生成された受信シンボルriを復調デマッピング部52へ送信する。
復調デマッピング部52は、受信処理部51から送信された受信シンボルriを受信する。復調デマッピング部52は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って受信された受信シンボルriに対して復調処理を実行し、尤度データyaiを生成する(ステップS203)。復調デマッピング部52は、生成された尤度データyaiを絶対値平均計算部54および量子化処理部92へ送信する。
絶対値平均計算部54は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiを受信する。絶対値平均計算部54は、受信された尤度データyaiの絶対値の平均を計算する。絶対値平均計算部54は、計算された平均値<|yai|>を量子化範囲決定部91へ送信する。
量子化範囲決定部91は、絶対値平均計算部54から送信された、尤度データyaiの絶対値の平均値<|yai|>を受信する。量子化範囲決定部91は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って、尤度データyaiの振幅平均値を算出し、尤度データyaiの量子化範囲Yaを特定する(ステップS204)。量子化範囲決定部91は、特定された量子化範囲Yaの値を量子化処理部92および補正値演算部93へそれぞれ送信する。
量子化処理部92は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiを受信し、量子化範囲決定部91から送信された量子化範囲Yaの値を受信する。量子化処理部92は、受信された量子化範囲Ya内に受信された尤度データyaiを量子化し(ステップS205)、量子化された尤度データyaiを復号部53へ送信する。
基準スケールテーブル94は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに適合する基準スケール値s0をスケール演算部56へ送信する(ステップS206)。
補正値演算部93は、量子化範囲決定部91から量子化範囲Yaの値を受信する。補正値演算部93は、受信された量子化範囲Yaと保持されている基準の量子化範囲Ya0との比を計算し、量子化範囲の差異に基づく補正値rmを取得する(ステップs207)。補正値演算部93は、取得された補正値rmをスケール演算部56へ送信する。
スケール演算部56は、補正値演算部93から送信された補正値rmおよび基準スケールテーブル94から送信された基準スケール値s0を受信する。スケール演算部56は、受信された補正値rmおよび基準スケール値s0を乗算して、スケール値scを演算する(ステップS208)。スケール演算部56は、演算されたスケール値scを復号部53へ送信する。
復号部53は、量子化処理部92から送信された尤度データyaiと、スケール演算部56から送信されたスケール値scとを受信する。復号部53は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って、スケール値scを用いて尤度データyaiを誤り訂正復号処理する(ステップS209)。
送信装置2から送信された情報ビットが推定される復号ビットがステップS209における復号処理により取得されると、受信データに対する一連の復号処理は終了される(ステップS210)。
このように、実装スケールの尤度データyaiが無線通信品質に応じて任意の量子化範囲で量子化されたケースにおいて、第2の実施形態に従った受信装置9は、実装スケールの尤度データyaiを所定の伝送フォーマットに従ったスケール値scにより調整して復号処理する。このため、第2の実施形態に従った受信装置によれば、伝送方式、変調方式、および符号化率といった伝送フォーマットの違いに対応して、符号誤り率の小さい復号ビットを生成することができる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態に従った受信装置は、実装スケールの尤度データが無線通信品質に応じて任意の量子化範囲で量子化されたケースにおいて、所定の伝送フォーマットに従ったスケール値により調整されたLOG−MAP線形近似アルゴリズムを用いて実装スケールの尤度データを復号処理する。
図13は、第3の実施形態に従った受信装置の概略的機能構成図である。図13に示す第3の実施形態に従った受信装置11は、受信装置3に代わって無線通信システム1に含まれ得、対向装置である送信装置2から送信されたデータ信号を受信し、受信されたデータ信号を復調および復号する。図13において、受信装置5および受信装置9と同じ構成要素には、受信装置11の構成要素に同じ参照符号がふられている。図13に示すように、受信装置11は、受信処理部51、復調デマッピング部52、絶対値平均計算部54、量子化範囲決定部91、量子化処理部92、補正値演算部93、基準係数テーブル111、係数演算部112、および復号部113を含む。
復号部113は、前述したようなターボ復号を誤り訂正復号処理として実行し得る。復号部113に含まれるターボ復号器の構成は、例えば、図6示した構成と同様であってよい。第3の実施形態では、要素復号器71および72による要素復号処理には、LOG−MAP線形近似アルゴリズムが用いられる。
LOG−MAP線形近似アルゴリズムは、LOG−MAPアルゴリズムにおける補正項を線形近似するアルゴリズムである。前述したように、LOG−MAPアルゴリズムにおける補正項とは、式(29)および式(32)のMAX
*演算に示される対数関数であり、前述した式(40)により表される補正関数f(x)である。第3の実施形態では、一例として、次の式(48)に示されるような線形近似関数f
L(x)によって補正関数f(x)を近似する。
式(48)に示されるaおよびbは、線形近似関数fL(x)の係数であり、係数bは、変数xに関わらない0次の係数である。例えば、係数aおよびbの値が(a,b)=(0.35,0.7)というように選択された場合、補正関数f(x)および線形近似関数fL(x)は、図14のように表すことができる。図14は、補正関数f(x)および線形近似関数fL(x)の例図である。
送信装置2と受信装置11との間の伝送路4の無線通信品質に従って決定された所定の伝送フォーマットにおける実装スケールの線形近似関数をf
aL(x
a)とする。第3の実施形態に従った復号部113は、式(28)に示されるようにスケール値s
cにより実装スケールの尤度データy
aiを補正することに代えて、線形近似関数f
aL(x)をスケール調整することにより実装スケールの尤度データy
aiを基準スケールに調整し得る。線形近似関数f
aL(x)をスケール値s
cにより補正する場合、線形近似関数f
aL(x)は、次の式(49)のように表される。
式(49)において、実装スケールの線形近似関数faL(xa)の0次係数baは、未知の値である。そこで、第3の実施形態に従った受信装置11は、基準スケールの線形近似関数fL(x)の0次係数b0を事前に保持し、保持された0次係数b0をスケール調整することによって、実装スケールの尤度データyaiを用いた復号処理を実行する。具体的には、受信装置11は、以下のような構成を含む。
基準係数テーブル111は、伝送方式、変調方式、および符号化率といった伝送フォーマットの組み合わせをパラメータIとし、伝送路4がAWGN伝送路であるケースの線形近似関数fL(x)の係数b0をテーブル値Tb(I)とするテーブルである。本明細書では、AWGNにおける係数b0を便宜的に基準スケール係数と呼ぶ。
基準スケール係数b0は、例えば、パラメータIについて、候補となるテーブル値Tb(I)の値を用いてシミュレーションを実行し、ブロック誤り率の特性劣化が規定範囲内に収まるテーブル値Tb(I)を特定することによって得られる。また、基準スケール係数b0を求めたデータに対する量子化位置ra0(I)から、前述した式(44)により基準の量子化範囲Ya0(I)が求められる。求められた基準の量子化範囲Ya0(I)の値は、補正値演算部93により保持される。
基準係数テーブル111は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに適合する基準基準スケール係数b
0を係数演算部112へ送信する。
係数演算部112は、補正値演算部93から送信された補正値r
mおよび基準係数テーブル111から送信された基準スケール係数b
0を受信する。係数演算部112は、次の式(50)に示されるように、受信された補正値r
mおよび基準スケール係数b
0を乗算して、実装スケールの線形近似関数f
aL(x
a)の0次係数b
aを取得する。
係数演算部112は、演算された0次係数baを復号部113へ送信する。
このように、絶対値平均計算部54、量子化範囲決定部91、補正値演算部93、基準係数テーブル111、および係数演算部112等によって第3の実施形態に従ったスケール値の取得処理が実行される。なお、送信装置2から通知された伝送フォーマットが多値変調である場合には、複素平面上(信号空間上)にマッピングされた各受信シンボルの先頭ビットの尤度データyaiに対して第3の実施形態に従ったスケール値の取得処理が実行されるように構成してよい。また、スケール値の取得処理は、受信サブフレーム毎に、受信されたトランスポートブロックに対して実行されるように構成してよい。すなわち、トランスポートブロック毎に同じスケール値scが適用されるように構成してよい。
復号部113は、量子化処理部92から送信された尤度データyaiと、係数演算部112から送信された0次係数baとを受信する。復号部113は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って、受信された0次係数baを用いて受信された尤度データyaiをLOG−MAP線形近似アルゴリズムによりターボ復号処理し、復号ビットを生成する。
図15は、第3の実施形態に従った受信装置の例示的ハードウェア構成図である。図15に示した一例では、受信処理部51、復調デマッピング部52、絶対値平均計算部54、および量子化処理部92は、受信装置12のハードウェア回路121により実装され、復号部113は、別のハードウェア回路122により実装される。また、量子化範囲決定部91、補正値演算部93、基準係数テーブル111、および係数演算部112は、CPU103により実装される。図11に示したハードウェア構成は、一例にすぎず、第2の実施形態に従った受信方法を実行し得る任意のデバイスおよび任意のハードウェア回路によって受信装置9は実装され得る。
第3の実施形態に従った受信装置11による復号方法の一例を図16を参照しながら説明する。図16は、第3の実施形態に従った受信装置による例示的復号処理のフロー図である。
送信装置2から送信されたデータ信号が受信処理部51により受信されると、受信装置11による一連の復号処理が開始される(ステップS301)。受信処理部51は、受信データに対して受信処理を実行し、信号空間上の点の形式で表され得る受信シンボルriを生成する(ステップS302)。受信処理部51は、生成された受信シンボルriを復調デマッピング部52へ送信する。
復調デマッピング部52は、受信処理部51から送信された受信シンボルriを受信する。復調デマッピング部52は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って受信された受信シンボルriに対して復調処理を実行し、尤度データyaiを生成する(ステップS303)。復調デマッピング部52は、生成された尤度データyaiを絶対値平均計算部54および量子化処理部92へ送信する。
絶対値平均計算部54は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiを受信する。絶対値平均計算部54は、受信された尤度データyaiの絶対値の平均を計算する。絶対値平均計算部54は、計算された平均値<|yai|>を量子化範囲決定部91へ送信する。
量子化範囲決定部91は、絶対値平均計算部54から送信された、尤度データyaiの絶対値の平均値<|yai|>を受信する。量子化範囲決定部91は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って、尤度データyaiの振幅平均値を算出し、尤度データyaiの量子化範囲Yaを特定する(ステップS304)。量子化範囲決定部91は、特定された量子化範囲Yaの値を量子化処理部92および補正値演算部93へそれぞれ送信する。
量子化処理部92は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiと、量子化範囲決定部91から送信された量子化範囲Yaの値とを受信する。量子化処理部92は、受信された量子化範囲Ya内に受信された尤度データyaiを量子化し(ステップS305)、量子化された尤度データyaiを復号部113へ送信する。
基準係数テーブル111は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに適合する基準0次係数b0を係数演算部112へ送信する(ステップS306)。
補正値演算部93は、量子化範囲決定部91から量子化範囲Yaの値を受信する。補正値演算部93は、受信された量子化範囲Yaと保持されている基準の量子化範囲Ya0(I)との比を計算し、量子化範囲の差異に基づく補正値rmを取得する(ステップs307)。補正値演算部93は、取得された補正値rmを係数演算部112へ送信する。
係数演算部112は、補正値演算部93から送信された補正値rmおよび基準係数テーブル111から送信された基準0次係数b0を受信する。係数演算部112は、受信された補正値rmおよび基準0次係数b0を乗算して、実装スケールの0次係数baを演算する(ステップS308)。係数演算部112は、演算された0次係数baを復号部113へ送信する。
復号部113は、量子化処理部92から送信された尤度データyaiと、係数演算部112から送信された0次係数baとを受信する。復号部113は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って、受信された0次係数baを用いて受信された尤度データyaiをLOG−MAP線形近似アルゴリズムによりターボ復号処理する(ステップS309)。
送信装置2から送信された情報ビットが推定される復号ビットがステップS309における復号処理により取得されると、受信データに対する一連の復号処理は終了される(ステップS310)。
このように、第3の実施形態に従った受信装置11は、実装スケールの尤度データyaiをスケール調整してLOG−MAP線形近似アルゴリズムによりターボ復号処理する。このため、第3の実施形態に従った受信装置によれば、第1および第2の実施形態に従った受信装置よりも高速で、符号誤り率の小さい復号ビットを生成することができる。
<第4の実施形態>
第1〜第3の実施形態に従った受信装置は、実装スケールの尤度データを基準スケールに補正するためのスケール値の取得処理を、受信されたトランスポートブロックに対して実行し得る。
しかしながら、トランスポートブロックが複数のコードブロック(CB)に分割される場合、第1〜第3の実施形態に従った受信装置によるスケール値の取得処理は、トランスポートブロックを構成する先頭のコードブロックに対して実行されるように構成してもよい。
図17は、第4の実施形態に従った受信装置の概略的機能構成図である。図17は、受信装置5によるスケール値の取得処理が先頭のコードブロック単位で行われるように構成した第4の実施形態に従った受信装置13の一例である。受信装置9および受信装置11に対する構成についても、受信装置13に対する以下の説明から以下の容易に理解し得る。
図17において、受信装置5と同じ構成要素には、受信装置13の構成要素に同じ参照符号がふられている。図17に示すように、受信装置13は、受信処理部51、復調デマッピング部52、復号部53、絶対値平均計算部54、絶対値平均テーブル55、スケール演算部56、スケール値保持部131、第1のCB切り替えスイッチ132、および第2のCB切り替えスイッチ133を含む。
トランスポートブロックを構成する先頭のコードブロックが検出された場合、第1のCB切り替えスイッチ132は、復調デマッピング部52と絶対値平均計算部54とを接続する。第1のCB切り替えスイッチ132により接続されると、絶対値平均計算部54は、前述したような処理により生成された尤度データyaiを復調デマッピング部52から受信する。以後、前述したような処理を経て、スケール演算部56は、スケール値scを演算する。スケール演算部56は、前述したような演算処理により取得されたスケール値scをスケール値保持部131へ送信する。スケール値保持部131は、スケール演算部56から送信されたスケール値scを受信し、受信されたスケール値scを保持する。
また、トランスポートブロックを構成する先頭のコードブロックが検出された場合、第2のCB切り替えスイッチ133は、スケール演算部56と復号部53とを接続する。第2のCB切り替えスイッチ133により接続されると、スケール演算部56は、演算されたスケール値scを復号部53へ送信する。復号部53は、スケール値保持部131から送信されたスケール値scを受信し、受信されたスケール値scを用いて前述したような復号処理を実行する。
一方、トランスポートブロックを構成する先頭のコードブロック以外のコードブロックが検出された場合、第1のCB切り替えスイッチ132は、復調デマッピング部52と絶対値平均計算部54との接続を切断する。第1のCB切り替えスイッチ132により切断されると、絶対値平均計算部54は、生成された尤度データyaiを復調デマッピング部52から受信しない。このため、前述したようなスケール値scを取得するための処理は実行されない。
また、トランスポートブロックを構成する先頭のコードブロック以外のコードブロックが検出された場合、第2のCB切り替えスイッチ133は、スケール値保持部131と復号部53とを接続する。第2のCB切り替えスイッチ133により接続されると、スケール値保持部131は、保持されたスケール値scを復号部53へ送信する。復号部53は、スケール値保持部131から送信されたスケール値scを受信し、受信されたスケール値scを用いて前述したような復号処理を実行する。
図18は、第4の実施形態に従った受信装置の例示的ハードウェア構成図である。図18に示した一例では、受信処理部51、復調デマッピング部52、復号部53、絶対値平均計算部54、第1のCB切り替えスイッチ132、および第2のCB切り替えスイッチ133は、受信装置14のハードウェア回路141により実装される。また、絶対値平均テーブル55、スケール演算部56、およびスケール値保持部131は、CPU142により実装される。図18に示したハードウェア構成は、一例にすぎず、第4の実施形態に従った受信方法を実行し得る任意のデバイスおよび任意のハードウェア回路によって受信装置13は実装され得る。
第4の実施形態に従った受信装置13による受信データの復号方法の一例を図19を参照しながら説明する。図19は、第4の実施形態に従った受信装置による例示的復号処理のフロー図である。
送信装置2から送信されたデータ信号が受信処理部51により受信されると、受信装置13による一連の復号処理が開始される(ステップS401)。受信処理部51は、受信データに対して受信処理を実行し、信号空間上の点の形式で表され得る受信シンボルriを生成する(ステップS402)。受信処理部51は、生成された受信シンボルriを復調デマッピング部52へ送信する。また、受信処理部51は、受信データに対するSNRを測定し、測定されたSNR値をスケール演算部56へ送信する。
復調デマッピング部52は、受信処理部51から送信された受信シンボルriを受信する。復調デマッピング部52は、送信装置2から通知された伝送フォーマットに従って受信された受信シンボルriに対して復調処理を実行し、尤度データyaiを生成する(ステップS403)。復調デマッピング部52は、生成された尤度データyaiを復号部53へ送信する。
処理中のコードブロックのブロック番号から先頭のコードブロックを表す“1”が検出された場合(ステップS404で“YES”)、第1のCB切り替えスイッチ132は、復調デマッピング部52と絶対値平均計算部54とを接続する。絶対値平均計算部54は、生成された尤度データyaiを復調デマッピング部52から受信する。また、第2のCB切り替えスイッチ133は、スケール演算部56と復号部53とを接続する。そして、ステップS405の処理へ進められる。
ステップS405〜ステップS407では、ステップS104〜S106での前述した処理と同様の処理が実行され、スケール演算部56によりスケール値scが取得される。スケール演算部56は、演算されたスケール値scをスケール値保持部131および復号部53へ送信する。スケール値保持部131は、スケール演算部56から送信されたスケール値scを保持する(S408)。そして、ステップS410の処理へ進められる。
一方、処理中のコードブロックのブロック番号から“1”以外が検出された場合(ステップS404で“NO”)、第1のCB切り替えスイッチ132は、復調デマッピング部52と絶対値平均計算部54との接続を切断する。また、第2のCB切り替えスイッチ133は、スケール値保持部131と復号部53とを接続する。そして、ステップS409の処理へ進められる。
ステップS409では、スケール値保持部131は、保持されたスケール値scを復号部53へ送信する。そして、ステップS410の処理へ進められる。
ステップS410では、復号部53は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiを受信する。また、復号部53は、スケール値scをスケール演算部56またはスケール値保持部131から受信する。復号部53は、ステップS107での前述した処理と同様の復号処理を実行する。
送信装置2から送信された情報ビットが推定される復号ビットがステップS410における復号処理により取得されると、受信データに対する一連の復号処理は終了される(ステップS411)。
このように、第4の実施形態に従った受信装置13は、トランスポートブロックを構成する先頭のコードブロックに対して取得されたスケール値scを用いて、実装スケールの尤度データyaiを基準スケールに変換して復号処理を実行する。このため、第4の実施形態に従った受信装置によれば、第1〜第3の実施形態に従った受信装置と同様の効果が得られると共に、スケール値の取得処理にかかるコストを削減することができる。
<第5の実施形態>
第1〜第3の実施形態に従った受信装置は、受信されたトランスポートブロックに対してスケール値の取得処理を実行し得る。また、第4の実施形態に従った受信装置は、トランスポートブロックの先頭コードブロックに対してスケール値の取得処理を実行し得る。
しかしながら、第1〜第4の実施形態に従った受信装置によるスケール値の取得処理は、受信されたトランスポートブロックの伝送フォーマットが変更される毎に実行されるように構成してもよい。
図20は、第5の実施形態に従った受信装置の概略的機能構成図である。図20は、受信装置5によるスケール値取得の処理が伝送フォーマットが変更される毎に行われるように構成した第5の実施形態に従った受信装置15の一例である。受信装置9、受信装置11、および受信装置13に対する構成についても、受信装置15に対する以下の説明から容易に理解し得る。
図20において、受信装置5と同じ構成要素には、受信装置15の構成要素に同じ参照符号がふられている。図20に示すように、受信装置15は、受信処理部51、復調デマッピング部52、復号部53、絶対値平均計算部54、絶対値平均テーブル55、スケール演算部56、制御情報処理部151、スケール値保持部152、測定実行スイッチ153、およびスケール値変更スイッチ154を含む。
制御情報処理部151は、伝送フォーマットを含む制御情報を送信装置2から受信する。伝送フォーマットを含む制御情報は、例えば、PDCCHを介して送信装置2から制御情報処理部151へ送信される。
受信された制御情報に含まれる伝送フォーマットが既に受信された伝送フォーマットとは異なる場合、制御情報処理部151は、復調デマッピング部52と絶対値平均計算部54とが接続されるように測定実行スイッチ153を動作させる。測定実行スイッチ153が動作されると、絶対値平均計算部54は、前述したような処理により生成された尤度データyaiを復調デマッピング部52から受信する。以後、前述したような処理を経て、スケール演算部56は、スケール値scを演算する。スケール演算部56は、演算されたスケール値scをスケール値保持部152へ送信する。スケール値保持部152は、スケール演算部56から送信されたスケール値scを受信し、受信されたスケール値scを保持する。
また、受信された制御情報に含まれる伝送フォーマットが既に受信された伝送フォーマットとは異なる場合、制御情報処理部151は、スケール演算部56と復号部53とが接続されるようにスケール値変更スイッチ154を動作させる。スケール値変更スイッチ154が動作されると、スケール演算部56は、演算されたスケール値scを復号部53へ送信する。復号部53は、スケール値保持部152から送信されたスケール値scを受信し、受信されたスケール値scを用いて復号処理を実行する。
一方、受信された制御情報に含まれる伝送フォーマットが既に受信された伝送フォーマットと同じである場合、制御情報処理部151は、復調デマッピング部52と絶対値平均計算部54との接続が切断されるように測定実行スイッチ153を動作させる。測定実行スイッチ153が動作されると、絶対値平均計算部54は、生成された尤度データyaiを復調デマッピング部52から受信しない。このため、スケール値scを取得するための処理は実行されない。
また、受信された制御情報に含まれる伝送フォーマットが既に受信された伝送フォーマットと同じである場合、制御情報処理部151は、スケール値保持部152と復号部53とが接続されるようにスケール値変更スイッチ154を動作させる。スケール値変更スイッチ154が動作されると、スケール値保持部152は、保持されたスケール値scを復号部53へ送信する。復号部53は、スケール値保持部152から送信されたスケール値scを受信し、受信されたスケール値scを用いて復号処理を実行する。
図21は、第5の実施形態に従った受信装置の例示的ハードウェア構成図である。図21に示した一例では、受信処理部51、復調デマッピング部52、復号部53、絶対値平均計算部54、および測定実行スイッチ153は、受信装置16のハードウェア回路161により実装される。制御情報処理部151は、別のハードウェア回路162により実装される。また、絶対値平均テーブル55、スケール演算部56、およびスケール値保持部152、およびスケール値変更スイッチ154は、CPU163により実装される。図21に示したハードウェア構成は、一例にすぎず、第5の実施形態に従った受信方法を実行し得る任意のデバイスおよび任意のハードウェア回路によって受信装置15は実装され得る。
第5の実施形態に従った受信装置15による受信データの復号方法の一例を図22を参照しながら説明する。図22は、第5の実施形態に従った受信装置による例示的復号処理のフロー図である。
送信装置2から送信された制御情報が制御情報処理部151により受信されると、受信装置15による一連の復号処理が開始される(ステップS501)。制御情報処理部151は、伝送フォーマットを含む制御情報を送信装置2から受信し、受信された制御情報に含まれる伝送フォーマットが既に受信された伝送フォーマットと同じであるか否かを判定する(ステップS502)。
受信処理部51は、受信データに対して受信処理を実行し、信号空間上の点の形式で表され得る受信シンボルriを生成する(ステップS503)。受信処理部51は、生成された受信シンボルriを復調デマッピング部52へ送信する。また、受信処理部51は、受信データに対するSNRを測定し、測定されたSNR値をスケール演算部56へ送信する。
復調デマッピング部52は、受信処理部51から送信された受信シンボルriを受信する。復調デマッピング部52は、送信装置2から送信された伝送フォーマットに従って受信された受信シンボルriに対して復調処理を実行し、尤度データyaiを生成する(ステップS504)。復調デマッピング部52は、生成された尤度データyaiを復号部53へ送信する。
受信された制御情報に含まれる伝送フォーマットが既に受信された伝送フォーマットとは異なると判定された場合(ステップS505で“YES”)、制御情報処理部151は、復調デマッピング部52と絶対値平均計算部54とが接続されるように測定実行スイッチ153を動作させる。また、制御情報処理部151は、スケール演算部56と復号部53とが接続されるようにスケール値変更スイッチ154を動作させる。そして、ステップS506の処理へ進められる。
ステップS506〜ステップS508では、ステップS104〜S106での前述した処理と同様の処理が実行され、スケール演算部56によりスケール値scが取得される。スケール演算部56は、演算されたスケール値scをスケール値保持部152および復号部53へ送信する。スケール値保持部152は、スケール演算部56から送信されたスケール値scを保持する(S509)。そして、ステップS511の処理へ進められる。
一方、受信された制御情報に含まれる伝送フォーマットが既に受信された伝送フォーマットとは同じであると判定された場合(ステップS505で“NO”)、制御情報処理部151は、復調デマッピング部52と絶対値平均計算部54との接続が切断されるように測定実行スイッチ153を動作させる。また、制御情報処理部151は、スケール値保持部152と復号部53とが接続されるようにスケール値変更スイッチ154を動作させる。そして、ステップS510の処理へ進められる。
ステップS510では、スケール値保持部152は、保持されたスケール値scを復号部53へ送信する。そして、ステップS511の処理へ進められる。
ステップS511では、復号部53は、復調デマッピング部52から送信された尤度データyaiを受信する。また、復号部53は、スケール値scをスケール演算部56またはスケール値保持部152から受信する。復号部53は、ステップS107での前述した処理と同様の復号処理を実行する。
送信装置2から送信された情報ビットが推定される復号ビットがステップS511における復号処理により取得されると、受信データに対する一連の復号処理は終了される(ステップS512)。
このように、第5の実施形態に従った受信装置15は、受信された伝送フォーマットが変更されたトランスポートブロックに対して取得されたスケール値scを用いて、実装スケールの尤度データyaiを基準スケールに変換して復号処理を実行する。このため、第5の実施形態に従った受信装置によれば、第1〜第4の実施形態に従った受信装置と同様の効果が得られると共に、スケール値の取得処理にかかるコストをより削減することができる。