JP6120389B2 - 二連回転電場質量分析器 - Google Patents

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Description

本発明は、2台の回転電場を用いてイオン分光をする質量分析器に関するものであり、又、イオンビーム照射系の質量分析フィルターとして、あるいは二次イオンマススペクトロメーターの質量分析器としても利用可能な質量分析器に関するものである。本発明は特に小型軽量で1Daから100,000Da以上の質量範囲のイオンを分析し、かつイオンの連続分離を可能にする質量分析器に関するものである。
質量分析は各種物質の分子的、原子的組成を定量化する基礎的技術となっている。質量分析によりもたらされる分子や原子の定量的情報は、物質の化学的あるいは物理的特性を明らかにする。今日、質量分析の分野では一般に3種類の方法が用いられている。
扇形磁場型質量分析器は、磁場の力を利用してイオンを質量に応じて分光する。この型の分析器の優れた点は、選別された各々のイオンがイオンビームとしての構造や性状を保っていることである。扇形磁場型質量分析器は主に質量数10,000Da以下の領域で動作するが、10,000Da以上のイオンを分析するには装置が大きく重くならざるを得ない。
四重極質量分析器は、DC(直流)電圧と高周波信号が印加される4本の円柱からなる。電気的条件に適合する質量のイオンのみが4本の円柱が囲む空間内で安定して振動し、その空間を進んで検出器に到達する。四重極質量分析器も10,000Da以下の質量範囲で動作する。分解能は扇形磁場型質量分析器ほどには高くないが、四重極質量分析器は小型で使い勝手も手頃なため研究及び産業分野で汎用されている。
飛行時間(TOF)型質量分析器は、加速を受けたイオンの速度が質量によって異なるという原理を利用してイオンの通過時間を測定するものである。言うまでもないがTOF型質量分析器はそのマスレンジが広いことで知られている。マスレンジの上限が計測時間の長さによって決まり、その計測時間を十分に長く設定できるからである。一方、この特徴は、本型式の分析器の時間効率を向上させるには難点となっている、というのは、この分析器では計測時間毎に、最大質量のパルスイオンが検出器に到達するまで待たなくてはならないからである。
上記以外にも、質量分析に回転電場や動電場を利用した分析装置はあるが、上述した3方法ほどには普及していない。
一つの試みとして、米国特許第5,726,448号では‘イオンビームは加速されてセルに導入され、回転電場がイオンビームの有する質量電荷比および速度分布に従って入射イオンビームを分光する’となっている。分解能は‘よく調整されたビームの場合で100より良い’と説明されている。その他にも米国特許第6,794,647号では‘独特の設計’が使われており、‘回転しない、主に1方向に振動する振動電場’がイオンを選別すると説明されている。しかし、質量範囲や質量分解能に関する詳細な説明はない。
J.Kramer氏は、‘2台の同じ偏向器’と、両偏向器の間に置いた‘1台の静電レンズ’を用いてイオンを偏向する。彼の装置は‘連続イオンビームを用いた飛行時間型マススペクトログラフ’と説明されている。J.H.Clemmons氏は‘時間的に変動する電場と位置反応検出器’を用いた。彼の装置はイオンを分光するのではなく、検出された粒子の位置と検出された時間から質量を決定するものである。K.Ohwaki氏の装置は、‘位相は異なるが同じ周波数の同じ正弦波電場を供給する2組の電極から成り、クラスター速度の違いを選別に利用する’。質量分解能に関しては、しかしながら、該論文の図4のグラフからは約3と推定できる。
この20年間、質量分析器の技術改良に伴い、特に生体化学や生体医療分野において、大量の新たな情報や知見が蓄積されてきており、前述した分析器の機能及び特性をすべて満たすような分析器が開発されれば、有機物質に質量分析を利用する傾向は飛躍的に増大するであろう。本発明は2台の回転電場を用いた、改良された汎用性の高い質量分析器であり、以下の特徴を持つ:
1.扇形磁場型質量分析器のようにイオンビームを連続的に分析できる能力;
2.イオンを扇形磁場型質量分析器のようにイオンビームの形状で選別できる能力;
3.四重極質量分析器のように小型軽量な本体;と
4.飛行時間型質量分析器のように10,000Da以上の質量範囲で分析できる能力。
更に詳細な説明は、後続の[発明の概要]で行う。
特開2007−234508号 米国特許第5,726,448号 米国特許第6,794,647号 米国特許出願公開第2006/0243903A1号
J. Kramer and J. B. Le Poole, A new high frequency mass spectrograph, Ind. Chim. Belge, 19, pp. 705-706. 1954. J. H. Clemmons and F. A. Herrero, Mass spectroscopy using a rotating electric field, Rev. Sci. Instrum, 69, pp. 2285-2291. 1998. K. Ohwaki, Y. Dake, N. Toyoda and I. Yamada, Development of a new cluster size selector, Nucl. Instrum. Meth, B, 241, pp. 614-617. 2005.
本発明では、2台の回転電場(REF)ユニットと高周波(HF)正弦波信号発生器が主要な役割を果たす。2台の回転電場ユニット(第1の回転電場ユニット、第2の回転電場ユニットと呼ぶ)は、第2の回転電場ユニットが第1の回転電場ユニットの後方になるように長手方向縦列に配置され、両者の間にイオンビームが自由に走行できる自由走行区間となる間隙を持って並べられる。それぞれの回転電場ユニットは、入射するまでのイオンが走行してきた中心軸に平行かつ等距離に配置された複数の長方形電極板よりなる。それぞれの回転電場ユニットの上流側の面はイオンビームの入口であり、下流側の面は出口となる。中心軸は入口と出口の中心を通る。位相をずらせた正弦波信号が各電極に印加され、各回転電場ユニット内の電場を回転させる。第2の回転電場ユニット内では、電場は第1の回転電場ユニットに対し逆の電場方向で回転する。
イオンは第1の回転電場ユニットに入射すると回転電場から横方向の力を受け、中心軸から外に向かってスプリンクラー散布の水滴のように外向きに発散する。第1の回転電場ユニットを出たイオンは、その先に電場がない場合には決して中心軸に戻ってくることはない。本発明では、第2の回転電場ユニットに入射したイオンは逆方向の電場と逆方向の横向きの力を受けて内側に収斂する。
第1の回転電場ユニットの回転周期を、あるイオンが第1の回転電場ユニットを通過する時間に等しいように選ぶと、入射したイオンは中心軸から少し離れた位置で第1の回転電場ユニットを出る。イオンは自由走行区間を中心軸に平行に飛行する。イオンが第1の回転電場ユニットで受ける横方向の力は電場が一回転することですべて打ち消されるので、イオンは横方向の速度を持っていない。
第2の回転電場ユニットに入ったイオンは回転電場から逆向きの横方向の力を受け、中心軸に向かって収斂する。第1の回転電場ユニットで受けたイオンの変位は第2の回転電場ユニット内の逆方向電場によって帳消しにされる。イオンが第2の回転電場ユニットを出る時点では第1の回転電場ユニットの時と同じように横方向の速度を持っていない。かくして、イオンは第2の回転電場ユニットの出口の中心から出て中心軸上を進む。
一方、回転電場を通過する時間が電場の回転周期と異なるイオンは、何がしかの横方向の速度を持って第1の回転電場ユニットを出る。これらのイオンは回転電場に留まる時間が1周期より短いか長いので、横方向の力は打ち消されない。通過時間の異なるイオンは傾いた軌道で第1の回転電場ユニットを出る。そのようなイオンは自由走行区間を中心軸と平行には進まず、中心軸から異なる半径距離で第2の回転電場ユニットに入射する。この場合、第2の回転電場ユニット内ではそれらのイオンの変位はキャンセルされず、第2の回転電場ユニットを出る時に中心軸から離れた点から出る。かくして、二つの回転電場を通過したイオンは、速度の違いに依拠して異なる軌道を進む。
イオンはその質量によって速度と通過時間が異なるため、電場の回転周期を変えることで、異なった質量のイオンを中心軸に収斂させることができる。2台の回転電場の周期と位相を所望質量イオン、すなわち質量分析により選別したい質量のイオン、の速度に合わせることで、本発明では1から100,000Da以上の質量範囲でイオンを分析できる。本発明の更なる特徴や優れた点は、[発明を実施するための形態]のところで図を使って明らかにされる。
本発明の実施例の透視図を示す。 図1の回転電場ユニットの実施例を示す。 本発明の他の実施例の透視図を示す。 本発明の計算に用いるデカルト座標を示す。 x−y平面へ投影した所望質量イオンの軌道を示す。 所望質量イオンの軌道の透視図を示す。 x−y平面へ投影した非所望質量イオンの軌道を示す。 非所望質量イオンの軌道の透視図を示す。 開孔板がどのように所望質量イオンを非所望質量イオンから選別するかを示す。 分光されたイオンの中心軸からの距離(mm)と飛行距離(mm)との関係を表すグラフを示す。 4,000原子のアルゴンクラスターイオンと3,999原子のアルゴンクラスターイオンの軌道の違いを表すグラフを示す。 大気を質量分析した場合のスペクトル例を示す。 二次元荷電粒子検出器で検出された分光イオンの円環パターンを示す。
本発明は、2台の回転電場(REF)ユニットと、高周波(HF)正弦波信号発生器と、分光されたイオンを選別する手段とから構成される。1台の回転電場ユニットは複数の長方形電極板により構成される。図1は本発明の1実施例である。第1の回転電場ユニット1と第2の回転電場ユニット2は、両者の間にイオンのための自由走行区間を残して長手方向縦列に並べられる。高周波(HF)正弦波信号発生器3および4から出た正弦波信号は、第1の回転電場ユニット1と第2の回転電場ユニット2の電極にそれぞれ印加される。高周波正弦波信号発生器は位相の異なる正弦波信号を全電極に送出し、各回転電場ユニット内の電場を回転させる。正弦波信号の周期は、所望質量イオンが第1の回転電場の実効長さ内を通過する時間と等しく、また回転電場の周期とも等しい。回転電場ユニットの1例を図2に示してある。回転電場ユニットは長方形電極板101、102、103と104を有し、それらは中心軸20に平行かつ等距離に配置されている。この例では4電極を持っているが、6枚あるいはもっと多くの電極を有しても良い。上流側の面は入口105であり下流側の面は出口106である。
第1の回転電場ユニット1の入口105の中央から入った入射イオン5はサイクロイド曲線に沿って発散し、イオンの質量により決められる半径で出口106から第1の回転電場ユニットを出射する。第1の回転電場ユニットを出た後、イオンは第1の回転電場ユニットから第2の回転電場ユニットに向かって自由走行区間を中空円筒状になって飛行する。
第2の回転電場ユニット2では、所望質量イオン6は入射した位置から中心軸に向かって内向きに移動し、第2の回転電場ユニット2の出口の中心から出射されて中心軸に沿って飛行する。一方、非所望質量イオン7は中心軸から外れた方向に収斂し、質量に依拠して中心軸から離れて出射される。
分光されたイオンの選別手段として第2の回転電場ユニット後方に置かれた開孔板8は、所望質量イオン6だけを通過させる。開孔板を通過した所望質量イオンは、第1の回転電場ユニットに入射する前と同じ径のビームを形成する。
図3が示すように、本発明は更に、迷走イオンや中性粒子が第2の回転電場ユニットに入ることを防止するための遮断円盤11、中空円筒状で飛行するイオンビームの一部を、それ以上飛行しないように遮断するためのビームトリマー12、第2の回転電場ユニット後方に置かれた、第2の回転電場ユニットから出射する分光イオンの分布を調べる、もう一つの分光イオン分離手段としての二次元(2-D)荷電粒子検出器13、開孔板の後方に置かれた、選別されたイオン量を計測するためのイオン流測定装置14、イオン分布を表示するための表示装置21、二次元荷電粒子検出器13からの信号を増幅する信号増幅器22、開孔板により選別されたイオン量を表示する表示装置23、それにイオン流測定装置14からの信号を増幅する増幅器24とから構成される。ビームトリマー12、二次元荷電粒子検出器13及びイオン流測定装置14は作動位置と退避位置を変えられるように設計されている。
図4はイオンの運動解析のために利用される座標系を示し、z軸を中心軸20に一致させ、x−y平面は第1の回転電場ユニットの入口105の中央でz軸と交わる。
運動解析において、電場の時間的変化を表すために回転電場の角速度(ω)を導入する。回転電場の角速度と正弦波信号の周期の関係は式[1]で表せる。
Figure 0006120389
ここで:
f は正弦波信号の周波数;
τ は正弦波信号の周期;
は選別したいイオンの所望質量;
q はイオンの電荷量;
acc はイオンの初期ポテンシャル;
は所望質量イオンの第1の回転電場ユニット内通過時間;
L は回転電場の実効長さ;
を表す。
第1の回転電場ユニット内での質量mのイオンの運動は以下の方程式で表せる。
Figure 0006120389
ここで:
m はイオンの質量;
はイオンのx軸方向の速度;
はイオンのy軸方向の速度;
はイオンのz軸方向の速度;
E は回転電場の電場強度;
φ はイオンが第1の回転電場ユニットに入射した瞬間の、第1の回転電場ユニットの回転電場の初期位相角度;
t は第1の回転電場ユニットにイオンが入射した時点からの経過時間;
を表す。
式[2],[3]および[4]を積分すると各方向の速度が求められる。
Figure 0006120389
ここで:
x10 はt=0の時のイオンのx軸方向の初速;
y10 はt=0の時のイオンのy軸方向の初速;
を表す。
式[5],[6]および[7]の積分によってイオンの位置座標が求められる。
Figure 0006120389
ここで:
10 はt=0の時のイオンのx座標位置;
10 はt=0の時のイオンのy座標位置;
を表す。
式[8],[9]は、サイクロイド曲線の媒介変数式となっており、イオンが第1の回転電場ユニットを通過した後、その質量と速度に依拠した距離だけ中心軸から離れることを示している。
第2の回転電場ユニット2に入射したイオンは回転電場から逆方向の力を受けて内側方向に動く。その運動は以下のように調べられる。
第2の回転電場ユニット内でのイオンの運動は以下の形になる。
Figure 0006120389
ここで
Tは質量mのイオンが第1の回転電場ユニットの入口から第2の回転電場ユニットの入口までに要する通過時間である。
式[11],[12]を積分して、速度を表す式が以下のようになる。
Figure 0006120389
ここで:
は質量mのイオンが第1の回転電場ユニットの入口から第2の回転電場ユニットの入口までに要する通過時間;
x20 はt=tの時のイオンのx方向速度;
y20 はt=tの時のイオンのy方向速度;
を表す。
式[14],[15]を積分して、位置を表す数式が以下のように得られる。
Figure 0006120389
ここで:
20 はt=tの時の質量mのイオンのx座標;
20 はt=tの時の質量mのイオンのy座標;
を表す。
以上の式を計算するとイオンの軌道が得られる。図5は、x−y平面に投影された所望質量イオンの軌道を示す。そこにはφを30度ごとに計算した12本の軌道が示されている。イオンは、第1の回転電場ユニット内では原点;(x,y)=(0,0)から出発して外向きに発散し(実線で表示してある)、第2の回転電場ユニット内では原点に戻る(点線で表示してある)。図6は、所望質量イオンの24本の軌道の投影図で、φを15度ごとに計算した結果である。軌道は、第1の回転電場領域110内でのイオンの発散と、第2の回転電場領域210内でのイオンの中心軸上への収斂を表す。図7は、x−y平面に投影された非所望質量イオンの軌道を示している。この場合、軌道の終端は質量差に依拠した距離だけ原点から離れている。図8は非所望質量イオンの軌道の投影図を示している。ここではイオンは中心軸から離れた位置に収斂し、中心軸20から一定距離離れた位置を中空円筒状に飛行する。図9は開孔板8の働き方を示す。開孔板は所望質量イオンを通し、非所望質量イオンを通過させないことでイオンを分離する。
図10は、Ar4,000(4,000個のアルゴン原子からなるクラスター)とAr3,999(3,999個のアルゴン原子からなるクラスター)からなるクラスターイオンビームの軌道を示す。図11は、図10の飛行距離280mmから320mmの範囲の軌道を拡大したもので、Ar3,999からなるクラスターはAr4,000からなるクラスターの軌道から38μm離れて飛行していることを示している。開孔板のアパーチャー径が30μmであれば、Ar4,000からなるクラスターはAr3,999からなるクラスターから分離される。すなわち、本発明の質量分析器は原子質量単位160,000Daのイオンを質量分解能4,000で分析できることを意味している。
以上説明した原理により、本発明は正弦波信号の周期または周波数を連続的に変化させることでマススペクトロメーターとして働く。イオン流検出器14を開孔板8の後方に位置させると、表示装置23は選別されたイオン流量を表示する。正弦波信号の周期を連続的に変えることで、選別されるイオンの質量も連続的に変化し、その測定結果は含有イオンのスペクトラムを示す。図12は大気を質量分析した場合のシミュレーションの一例である。
本発明は、マススペクトログラフとしても作動する。二次元荷電粒子検出器13を作動位置に配置すると、図13に示したように、表示装置21には円環パターンが現れる。所望質量イオンは二次元荷電粒子検出器の中心部に衝突し、表示装置に表示された円環の中心に輝点が現れる。非所望質量イオンは二次元荷電粒子検出器の中心から離れた位置に衝突し、質量の違いに依拠したそれぞれ異なる半径の円環パターンを表示装置に描く。ビームトリマー12を作動位置に配置して中空円筒状に広がったイオンビームの一部を遮断すると、円環の一部が欠落して表示装置上で不完全な円環となる。各円環の欠落した部分は、イオンの質量に依拠して異なった角度に位置する。各欠落部分の半径と角度の位置からイオンの質量数が読み取れる。図13は大気の質量分析のシミュレーション結果を示す。正弦波信号の周期は酸素分子が第1の回転電場ユニットを通過する時間に等しくしてある。中心の点81はOを示す。環82、環83、環84はそれぞれN2、CO2、H2Oを示す。
本発明はイオン分光に2台の回転電場を用いて質量分析器に利用でき、イオンビーム光学照射系の質量分析フィルターとして、あるいは二次イオンマススペクトロメーターの質量分析器としても利用可能なものである。本発明は小型軽量で1Daから100,000Da以上の質量範囲のイオンを分析し、かつイオンの連続分離を可能にする質量分析器に利用可能である。


Claims (4)

  1. それぞれの内部に、二台の回転電場ユニットの入り口中心から出口中心までを貫き、それに沿ってイオンが走行してきた中心軸に対して平行且つ等距離に配置された複数の長方形電極板を備え、イオンのための自由走行空間を間に残して縦列に配置された二台の回転電場ユニットと、
    複数の高周波正弦波信号を発生し且つ2台の回転電場ユニットそれぞれの複数の長方形電極板に印加する複数の高周波正弦波信号発生器とを備え、
    前記複数の高周波正弦波信号発生器は、
    (i)所望質量イオンが第1の回転電場ユニットを通過する時間に等しい周期を有し、かつ第1の回転電場ユニット内で電場を回転させる為に互いに異なる位相を有する、二台の回転電場ユニットのうちの第1の回転電場ユニットの複数の長方形電極板に印加された複数高周波正弦波信号が、第1の回転電場ユニット入り口中心から入射したイオンを第1の回転電場ユニット内では外側に向けて拡散させて中心軸からある距離を持って第1の回転電場ユニットから出射せしめ、所望質量イオンを、中心軸に平行に自由走行空間を飛行させ、
    (ii)第1の回転電場ユニットに印加した複数高周波正弦波信号と同じ周期を有し、第2の回転電場ユニット内で電場を回転させる為に互いに異なる位相を有し、所望質量イオンが第1の回転電場ユニットに入る時間をt=0とし該所望質量イオンが第1の回転電場ユニットの入口から第2の回転電場ユニットの入口までに要する飛行時間をT として、所望質量イオンが第2の回転電場ユニットに入る時間t=T における第2の回転電場ユニットの回転電場の位相が、該所望質量イオンが第1の回転電場ユニットに入る時間t=0における第1の回転電場ユニットの位相に対しπラジアン異なる位相を有する、二台の回転電場ユニットのうちの第2の回転電場ユニットの複数の長方形電極板に印加された複数高周波正弦波信号が、第2の回転電場ユニットへ入射した所望質量イオンを中心軸上に収斂させてから第2の回転電場ユニット出口の中心から出射せしめ、非所望質量イオンを中心軸からずれた方向に収斂させて第2の回転電場ユニット出口の中心からずれた位置で出射させることを特徴とする質量分析器。
  2. 請求項1記載の質量分析器において、
    第2の回転電場ユニットの後方近接位置に置かれた、所望質量イオンを非所望質量イオンから選別するための開孔板、もしくは分光イオン検出のための二次元荷電粒子検出器のいずれか一方を具備することを特徴とする質量分析器。
  3. 請求項2記載の質量分析器において、開孔板の後方近接位置に電流測定器を配置することを特徴とする質量分析器。
  4. 二台の回転電場ユニットと複数の高周波正弦波信号発生器を備えた質量分析器を制御する方法において、
    それぞれの内部に、二台の回転電場ユニットの入り口中心から出口中心までを貫き、それに沿ってイオンが走行してきた中心軸に対して平行且つ等距離に配置された複数の長方形電極板を具備した二台の回転電場ユニットを、イオンのための自由走行空間を間に残して縦列に配置し、
    複数の高周波正弦波信号発生器を設け、
    前記複数の高周波正弦波信号発生器を用いて、複数の高周波正弦波信号を発生させて2台の回転電場ユニットそれぞれの複数の長方形電極板に印加し、
    (i)所望質量イオンが第1の回転電場ユニットを通過する時間に等しい周期を有し、かつ第1の回転電場ユニット内で電場を回転させる為に互いに異なる位相を有する、二台の回転電場ユニットのうちの第1の回転電場ユニットの複数の長方形電極板に印加された複数高周波正弦波信号が、第1の回転電場ユニット入り口中心から入射したイオンを第1の回転電場ユニット内では外側に向けて拡散させて中心軸からある距離を持って第1の回転電場ユニットから出射せしめ、所望質量イオンを中心軸に平行に自由走行空間を飛行せしめ、かつ、
    (ii)第1の回転電場ユニットに印加した複数高周波正弦波信号と同じ周期を有し、第2の回転電場ユニット内で電場を回転させる為に互いに異なる位相を有し、第2の回転電場ユニット内で電場を回転させる為に互いに異なる位相を有し、所望質量イオンが第1の回転電場ユニットに入る時間をt=0とし該所望質量イオンが第1の回転電場ユニットの入口から第2の回転電場ユニットの入口までに要する飛行時間をT として、所望質量イオンが第2の回転電場ユニットに入る時間t=T における第2の回転電場ユニットの回転電場の位相が、該所望質量イオンが第1の回転電場ユニットに入る時間t=0における第1の回転電場ユニットの位相に対しπラジアン異なる位相を有する、二台の回転電場ユニットのうちの第2の回転電場ユニットの複数の長方形電極板に印加された複数高周波正弦波信号が、第2の回転電場ユニットへ入射した所望質量イオンを中心軸上に収斂させてから第2の回転電場ユニット出口の中心から出射せしめ、非所望質量イオンを中心軸からずれた方向に収斂させて第2の回転電場ユニット出口の中心からずれた位置で出射せしめることを特徴とする質量分析器の制御方法。
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