以下、本発明に係る遊技機の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1の正面図である。図2は、図1に示す飾り部材90の拡大斜視図である。図3は、大当り種別の制御の特徴を表形式で説明する図である。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板(図示せず)と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。
ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技媒体としての遊技球を貯留する余剰球受皿4や、打球(遊技球)を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。遊技領域7には、遊技球を誘導するための多数の釘が植設されている。釘は、植設角度の調整等の所謂釘調整をすることにより、遊技球の流下方向を調整可能な流下方向調整手段としての機能を有する。
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置9aが設けられている。演出表示装置9aは、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄(飾り図柄)の変動表示(可変表示,更新表示,又は巡回表示ともいう)を行う変動表示装置に相当する。演出表示装置9aでは、表示画面上で演出図柄を表示する演出図柄表示領域が設けられており、当該演出図柄表示領域に、例えば「左」,「中」,「右」の3つ(複数)の演出図柄を変動表示する表示領域としての図柄表示エリアがある。これら3つの演出図柄のそれぞれは、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄である。
演出表示装置9aでは、後述する第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄(飾り図柄)の変動表示が行われる。演出図柄の変動表示は、スクロール表示及びその場切替え表示等の各種の変動態様で実行される。
演出表示装置9aは、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出制御用マイクロコンピュータが、第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴って演出表示装置9aで演出表示を実行させ、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴って演出表示装置9aで演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
遊技盤6における演出表示装置9aの上部の左側には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第1特別図柄を変動可能に表示(可変表示)する第1特別図柄表示器(第1変動表示手段)8aが設けられている。この実施の形態では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を変動可能に表示(可変表示)する簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。即ち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(又は、記号)を変動表示するように構成されている。遊技盤6における演出表示装置9aの上部の右側には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第2特別図柄を変動可能に表示(可変表示)する第2特別図柄表示器(第2変動表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を変動可能に表示(可変表示)する簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。即ち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(又は、記号)を変動表示するように構成されている。
この実施の形態では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8a及び第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば、00〜99の数字(又は、2桁の記号)を変動表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。第1特別図柄は、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の変動表示が実行されていないことを条件に変動表示が実行される。第2特別図柄は、第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の変動表示が実行されていないことを条件に変動表示が実行される。つまり、第1特別図柄と第2特別図柄とは、同時に変動表示されることなく、どちらか一方が変動表示される。
第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件又は第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13又は第2始動入賞口14に入賞)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄及び第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り図柄の導出表示から大当り遊技状態の終了までの期間内ではないこと)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口等の予め入賞領域として定められている領域を遊技球が通過したこと(遊技球が進入したこと)である。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。以下の説明においては、遊技球が第1始動入賞口13に入賞したことを第1始動入賞と呼ぶ場合があり、遊技球が第2始動入賞口14に入賞したことを第2始動入賞と呼ぶ場合がある。
始動条件は成立しているが開始条件が成立していない変動表示に関するデータは、開始条件が成立するまで特別図柄の変動表示を行う権利である保留データとして保留して記憶される。具体的に、保留データは、後述する遊技制御用マイクロコンピュータ560のRAM55の所定領域に記憶される。RAM55には、第1保留記憶バッファ及び第2保留記憶バッファ、並びに保留特定領域が形成されている。第1始動入賞の保留データは所定数(例えば4個)を上限として第1保留データとして第1保留記憶バッファに記憶され、第2始動入賞の保留データは所定数(例えば4個)を上限として第2保留データとして第2保留記憶バッファに記憶される。第1始動入賞又は第2始動入賞が生じた場合には、RAM55の保留特定領域において、始動入賞順に、第1始動入賞の場合には「第1」のデータが設定され、第2始動入賞の場合には「第2」のデータが設定されることになる。
パチンコ遊技機1には、遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置が設けられている。打球発射装置は、遊技者が打球操作ハンドル5を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。
遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、CPU56は、第1保留記憶数の値が上限値(4)に達していなければ、乱数回路503や大当り種別判定用乱数等のソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから抽出した値を、第1保留記憶バッファにおける保存領域に格納し、保留特定領域において「第1」のデータを設定する処理を実行する。さらに第1保留記憶数を1加算すると共に合算保留記憶数(第1保留記憶数+第2保留記憶数)を更新する。遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、CPU56は、第2保留記憶数の値が上限値(4)に達していなければ、乱数回路503や大当り種別判定用乱数等のソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから抽出した値を、第2保留記憶バッファにおける保存領域に格納し、保留特定領域において「第2」のデータを設定する処理を実行する。さらに、第2保留記憶数を1加算すると共に合算保留記憶数(第1保留記憶数+第2保留記憶数)を更新する。
また、CPU56は、第1特別図柄及び第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、大当り図柄の導出表示から大当り遊技状態の終了までの期間内ではなく、かつ、合算保留記憶数が0でないことを条件として、特別図柄の可変表示を開始する。
CPU56は、特別図柄の可変表示を開始するときに、保留特定領域に設定されているデータのうち1番目のデータが「第1」を示すデータである場合には、第1保留記憶バッファから読み出した乱数に基づいて大当りとするか否か(大当り図柄を導出表示するか否か)を判定すると共に、大当りとすると判定した場合にはさらに大当り種別を決定する。そして、第1保留記憶数を1減算し、合算保留記憶数を更新し、保留特定領域及び第1保留記憶バッファにおける各保存領域の内容をシフトすると共に、第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄の可変表示を開始する。保留特定領域に設定されている1番目のデータが「第2」を示すデータである場合には、第2保留記憶バッファから読み出した乱数に基づいて、「第1」を示すデータである場合と同様にして、第2特別図柄表示器9bによる第2特別図柄の可変表示を開始する。その後、判定結果に応じて大当り図柄(決定した大当り種別に応じた大当り図柄)又ははずれ図柄を導出表示する制御を実行する。
CPU56は、特別図柄の可変表示が開始されることに伴い、保留特定領域に設定されているデータのうち1番目のデータが「第1」を示すデータである場合には、RAM55の第1保留記憶バッファにおいて第1保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、第1保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。一方、特別図柄の可変表示が開始されることに伴い、保留特定領域に設定されているデータのうち1番目のデータが「第2」を示すデータである場合には、RAM55の第2保留記憶バッファにおいて第2保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、第2保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。また、CPU56は、保留特定領域において合算保留記憶数=m(m=2〜8)に対応する保存領域に格納されている値(「第1」又は「第2」を示す値)を、合算保留記憶数=m−1に対応する保存領域に格納してもよい。
各第1保留記憶数(又は、各第2保留記憶数)に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出される順番は、常に、第1保留記憶数(又は、第2保留記憶数)=1,2,3,4の順番と一致するようになっている。また、各合算保留記憶数に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各値が抽出される順番は、常に、合算保留記憶数=1〜8の順番と一致するようになっていればよい。
演出表示装置9aは、遊技領域7の中央部に設けられ、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の変動表示時間中と、第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄)の変動表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9aにおける演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9aにおける演出図柄の変動表示とは同期している。同期とは、変動表示の開始時点及び終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい)であって、変動表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9aにおいて大当りを想起させるような演出図柄の組合せが大当り表示結果として停止表示される。このような第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、及び、演出表示装置9aは、識別情報の変動表示を行い表示結果を導出表示する変動表示装置であり、変動表示部として用いられる。
演出表示装置9aでは、変動表示を開始するときに、例えば、左,中,右の演出図柄のすべてが変動表示を開始する。そして、変動表示している左,中,右の演出図柄が基本的に所定の順番(例えば、左演出図柄、右演出図柄、中演出図柄の順番のような予め定められた順番)で停止し、変動表示の開始から予め定められた変動時間が経過したときに、左,中,右の全演出図柄が停止して表示結果が確定する。なお、左,中,右の演出図柄が停止する順番は、左,右,中の図柄の順番以外の順番であってもよい。また、左,中,右の演出図柄は、同時に停止してもよい。
遊技領域7は、遊技者の選択により遊技球を打ち込む領域が変更可能となる複数の領域を含む。本実施の形態の場合、遊技領域7は、遊技領域の左右方向の中央部を境界として左側の領域が左領域7aと呼ばれ、右側の領域が右領域7bと呼ばれる。なお、遊技領域7の領域分けは、遊技領域7の中央部を境界として左右に分けるもの以外に、例えば、遊技領域7の中央から左又は右に偏在した位置を境界として左右に分けるものであってもよい。例えば、演出表示装置9a等の装置が設けられる飾り部材90は、遊技領域7の中央から左又は右に偏在して設けられる場合があるが、そのような場合に、遊技領域7の中央から左又は右に偏在した当該飾り部材の頂点を中心として左右に領域が分けられたものであってもよい。つまり、遊技領域7の領域分けは、遊技領域7において、ある位置を中心として遊技領域が複数に分けられているものであれば、どのような領域分けが行われてもよい。また、このように、左領域7aと右領域7bとの複数の領域を含む場合において、遊技球が左領域7aへ流れるように左領域7aを狙って遊技球を打ち込むことが「左打ち」と呼ばれ、遊技球が右領域7bへ流れるように右領域7bを狙って遊技球を打ち込むことが「右打ち」と呼ばれる。
パチンコ遊技機1においては、打球操作ハンドル5の操作量に応じて打球発射装置の発射強度を変更することで、右打ち又は左打ちする等、遊技者の選択により遊技球を打ち込む領域を変更することができる。
演出表示装置9aの下方には、遊技球が入賞(進入)可能な第1始動入賞口13が設けられている。第1始動入賞口13は、遊技領域7の左右方向の中央部に設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。本実施の形態の場合、第1始動入賞口13は、「左打ち」をしたときが「右打ち」をしたときよりも入賞しやすいように、構造物及び釘の配列等により遊技球の流路が形成されている。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13の右側方部における右領域7bには、遊技球が入賞(進入)可能な第2始動入賞口14(第2始動口)を有する可変入賞球装置(電動チューリップ)15が設けられている。可変入賞球装置15は、左右一対の可動片18を備え、可動片18の状態により、遊技球が入賞可能な第1の状態(開状態)と遊技球が入賞しない第2の状態(開状態)とに変化可能なものである。可動片18の上方には、上方からの遊技球の入賞を阻止するストッパ部材17が設けられており、閉状態のときには、遊技球が第2始動入賞口14に入賞しない構造とされている。可変入賞球装置15に設けられた第2始動入賞口14は、「右打ち」をしたときが「左打ち」をしたときよりも入賞しやすいように、構造物及び釘の配列等により遊技球の流路が形成されている。
第2始動入賞口14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13よりも、第2始動入賞口14に遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。なお、可変入賞球装置15は、閉状態になっている状態において、入賞はしにくいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞困難な)ように構成されていてもよい(例えば、ストッパ部材17を設けない構成例)。このように、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態は、遊技球が第2始動入賞口14に入賞しにくい状態(入賞困難な状態)又は入賞しない状態(入賞不可能な状態)であればよい。つまり、可変入賞球装置15は、遊技球が入賞可能な第1の状態(開状態)と該第1の状態よりも遊技球が入賞しにくい又は入賞しない第2の状態(開状態)とに変化可能なものであればよい。以下、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを総称して始動入賞口又は始動口ということがある。
遊技領域7には、遊技球の入賞に基づいて予め定められた所定数の賞球の払出を行うための入賞口(普通入賞口)29,30も設けられている。入賞口29,30に入賞した遊技球は、入賞口スイッチ29a,30aで検出される。
演出表示装置9aの右側方の右領域7bにおいては、遊技球が進入して通過可能な普図ゲート32が設けられている。普図ゲート32においては、進入した遊技球を検出する普図ゲートスイッチ32aが設けられている。普図ゲート32には、普図ゲート32に進入(通過)した遊技球を検出する普図ゲートスイッチ32aが設けられている。
演出表示装置9aの下部には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、遊技球が普図ゲート32を通過したことに基づいて、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば「○」及び「×」)を変動表示する。遊技球が普図ゲート32を通過し普図ゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の変動表示が開始される。この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行われ、例えば変動表示の終了時に左側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄「○」)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する。
普通図柄表示器10の近傍には、普図ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示器(例えばLED)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。普図ゲート32への遊技球の通過があるごとに、即ち普図ゲートスイッチ32aによって遊技球が検出されるごとに、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示器を1増やす。そして、普通図柄表示器10の変動表示が開始されるごとに、点灯する表示器を1減らす。普図保留記憶数の上限値は4つであり、普通図柄保留記憶表示器41においては、この4つを上限値として表示器を点灯する。
第1特別図柄表示器8aの下部には、第1始動入賞口13に入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶又は始動入賞記憶ともいう)を表示する4つの表示器(例えばLED)からなる第1特別図柄保留記憶表示器18aが設けられている。第1特別図柄保留記憶表示器18aは、有効始動入賞(第1保留記憶数が上限値に達していない状態での第1始動入賞)があるごとに、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの変動表示が開始されるごとに、点灯する表示器の数を1減らす。
第2特別図柄表示器8bの下部には、第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する4つの表示器(例えばLED)からなる第2特別図柄保留記憶表示器18bが設けられている。第2特別図柄保留記憶表示器18bは、有効始動入賞(第2保留記憶数が上限値に達していない状態での第2始動入賞)があるごとに、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの変動表示が開始されるごとに、点灯する表示器の数を1減らす。
また、演出表示装置9aの表示画面には、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域としての合算保留記憶表示部18cが設けられている。このように、合計数を表示する合算保留記憶表示部18cが設けられることにより、変動表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。なお、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部と、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部とのそれぞれの表示領域が設けられるようにしてもよい。
第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18b、及び、合算保留記憶表示部18cで行われる保留記憶数等の保留記憶に関する表示は、保留記憶表示と呼ばれる。このように、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18b、及び、合算保留記憶表示部18cでは、変動表示を行う権利の数を視認可能な態様で各権利に対応する保留記憶表示が行われる。
なお、この実施の形態では、図1に示すように、第2始動入賞口14に対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13及び第2始動入賞口14のいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
遊技領域7の中央の領域においては、演出表示装置9aの周囲を枠形状の壁部で囲う態様の飾り部材90が設けられている。図2に示すように、飾り部材90の下端部には、遊技球が進入(通過)可能な所定領域として、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,及び第4特定領域64のいずれかに遊技球を誘導する誘導領域であるステージ部400が形成されている。このように、飾り部材90の内部には遊技球が進入可能であり、その下端部におけるステージ部400には、複数の特定領域として、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,第4特定領域64が設けられている。
ステージ部400は、流下してくる遊技球を受容して転動させるステージ状(舞台状)の部分であり、正面から見て、右側(上流)から左側(下流)にかけて傾斜した形状に形成されている。このステージ部400の右側には、有利領域である第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63が、奥側から手前側にかけて直列に設けられている。またステージ部400の左側には、不利領域である第4特定領域64が単独で設けられている。
第4特定領域64の上流側には、ピンボールのフリッパーの如く、一対の可動翼65,65が設けられている。この可動翼65,65の各々は、基端から先端にかけて先細りとなる形状に形成されており、ソレノイド66と所定のリンク機構により、基端を回動中心として所定範囲で動作する。具体的には、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示において大当り図柄が導出表示されず所定条件が成立しないときには動作せずに、先端が基端よりも下流側にあって第4特定領域64の一部を塞ぐ第1態様65aとなる。一方、大当り図柄が導出表示されて所定条件が成立すると回動動作を開始して、先端が基端よりも上流側にある第2態様65bとなり、遊技球が何れかの特定領域に進入するまで、第1態様65aから第2態様65bに変化して第1態様65aに戻る動作を繰り返す。ここで第1態様65aでは、可動翼65,65の先端同士の間隔が遊技球の直径よりも大きくなるように形成されているため、遊技球が通過可能であるが、第1態様65aから第2態様65bに変化する途中では、可動翼65,65の先端同士の間隔が遊技球の直径よりも小さくなるように形成されているため、遊技球が通過不能であり、該遊技球が可動翼65,65に弾かれることになる。このように、可動翼65,65が回動動作を停止しているときには、第1態様65aとなることで、遊技球が第4特定領域64に進入(通過)しやすくなる。一方、可動翼65,65が回動動作を行っているときには、第1態様65aと第2態様65bとに変化することで、遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれかに進入(通過)しやすくなる。
飾り部材90の正面から見て右側の側壁部には、矩形状の穴901が形成されており、当該穴901の外側から内側に挿通する態様で、玉送出装置70が設けられている。玉送出装置70は、飾り部材90の外側において遊技領域7を流下する遊技球を受け入れて飾り部材90の内側に送出する装置である。玉送出装置70は、上方に向いて開口した球入口71と、下方に向いて開口した球出口72とを有する湾曲した形状の誘導路73と、当該誘導路73への遊技球の進入を遮蔽する遮蔽状態(閉状態ともいう)と、遊技球の進入を遮蔽しない状態(開状態ともいう)とに変化可能なシャッター状の遮蔽部材75とを含み、遊技球をステージ部400に向けて送出する手段である。玉送出装置70における球入口71,誘導路73,及び球出口72のそれぞれにおける遊技球の通路は、遊技球を1個ずつ送出するために、1個の遊技球が通過可能な程度の広さで形成されている。
玉送出装置70において、遮蔽部材75は、図4に示すソレノイド34により駆動され、球入口71の内部において、前後方向に移動して進出(前方向に移動)または退避(後方向に移動)する。遮蔽部材75が進出することにより玉送出装置70は閉状態となり、遮蔽部材75が退避することにより玉送出装置70は開状態となる。例えば、ソレノイド34が非励磁状態ではバネの弾性力により遮蔽部材75が前方へ付勢されて閉状態となっており、ソレノイド34が励磁状態にされると遮蔽部材75がバネの弾性力に抗して後退して開状態となるように構成されていればよい。遮蔽部材75が設けられた位置のよりも下方においては、誘導路73での遊技球の進入を検出する進入検出スイッチ33が設けられている。このように、進入検出スイッチ33は、玉送出装置70による遊技球の送出を検出する。なお、遮蔽部材75を駆動する手段は、ソレノイド34に限らず、玉送出装置70を開状態又は閉状態とすることができる駆動手段であれば、モータ等のその他の駆動手段を設けてもよい。
遊技領域7では、例えば球入口71近傍に設けられた障害釘Pの誘導などにより、流下する遊技球が球入口71に向けて転動する。大当り図柄が導出表示されていないときには、遮蔽部材75が進出して玉送出装置70が閉状態となり、遊技球は誘導路73に進入できない。大当り図柄が導出表示されたときには、遮蔽部材75が退避して玉送出装置70が開状態となり、遊技球は誘導路73に進入することができる。誘導路73に進入した遊技球は、進入検出スイッチ33により検出される。この遊技球が検出されたときには、遮蔽部材75が進出して玉送出装置70が閉状態となる。このように、大当り図柄が導出表示されたことにより所定条件が成立したときに、遊技球が1個だけステージ部400に送出される。
なお、遮蔽部材75は、球入口71の近傍に配置されたものに限定されず、例えば飾り部材90の外側と内側を隔てる側壁部などに配置されてもよい。この場合、誘導路73において遮蔽部材75が配置された位置の手前側に開口を設け、遮蔽部材75が跳ね橋状に回動することにより、玉送出装置70が閉状態と開状態とに変化可能にしてもよい。すなわち、遮蔽部材75が飾り部材90の側壁部を閉鎖しているときには、誘導路73に設けられた開口が開放されており、遊技球は誘導路73に進入しても飾り部材90の側壁部の手前側にて開口から下方の遊技領域7へと落下する。このときには、玉送出装置70が閉状態となり、ステージ部400に遊技球が進入しない。一方、遮蔽部材75が飾り部材90の側壁部を開放するときには、誘導路73に設けられた開口を閉鎖するように回動し、誘導路73に進入した遊技球が飾り部材90の側壁部を通過してステージ部400に進入することができればよい。このように、玉送出装置70を閉状態と開状態とに変化可能とする遮蔽部材75は、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,第4特定領域64からの距離が所定範囲内となる所定位置に設けられてもよい。
球出口72は、ステージ部400の上方において下方を向いた態様で開口している。この開口部は、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63よりも下流側に位置している。したがって、誘導路73により誘導され球出口72から落下した遊技球は、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63に進入することなく、ステージ部400を下流側へと転動する。その後、遊技球は第1態様65aから第2態様65bに動作した可動翼65,65に弾かれて上流側に転動する。こうして、上流側に転動した遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれかに進入する場合と、可動翼65,65に弾かれずにさらに下流側へと転動した遊技球が第4特定領域64に進入する場合とがある。
第1特定領域61に進入した遊技球は、パチンコ遊技機1の内部に設けられた第1特定領域スイッチ61aにより検出される。第2特定領域62に進入した遊技球は、パチンコ遊技機1の内部に設けられた第2特定領域スイッチ62aにより検出される。第3特定領域63に進入した遊技球は、パチンコ遊技機1の内部に設けられた第3特定領域スイッチ63aにより検出される。第4特定領域64に進入した遊技球は、パチンコ遊技機1の内部に設けられた第4特定領域スイッチ64aにより検出される。
第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bのいずれかに大当り図柄が導出表示された後、玉送出装置70から送出された遊技球が、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,又は第4特定領域64のいずれかに進入(通過)したことに基づいて、大当り遊技状態におけるラウンドの実行が開始され、大入賞口の開放制御が行われれる。大当り図柄が導出表示されてから、第1特定領域スイッチ61a,第2特定領域スイッチ62a,第3特定領域スイッチ63a,又は第4特定領域スイッチ64aのいずれかにより遊技球が検出されるまでの期間を、権利発生状態と称する場合がある。権利発生状態となってから、第1特定領域スイッチ61a,第2特定領域スイッチ62a,第3特定領域スイッチ63a,又は第4特定領域スイッチ64aのいずれかにより遊技球が検出されたときは、大当り遊技状態に制御される。
図2及び図3に示すように、飾り部材90で囲まれた領域の前面側には、透過表示装置9bを備えている。透過表示装置9bは、ステージ部400や演出表示装置9aを被覆して重複する位置に設けられている。透過表示装置9bは、例えば透過型のLCDパネルや有機ELパネル、あるいはプロジェクタによる投影像を表示する透過型のスクリーンなどを用いて構成されていればよい。透過表示装置9bは、誘導領域としてのステージ部400を透視可能にその前面側を覆う表示装置であればよい。
なお、透過表示装置9bは、ステージ部400の前面側を覆うものに限定されず、例えばステージ部400の上方を覆う円筒形の有機ELパネルなどを用いて構成されてもよい。あるいは、ステージ部400の前面側または上方に空間映像(空中映像)を投影する結像素子などを用いて構成されてもよい。あるいは、ステージ部400にて遊技球が転動する転動面(上表面)にLCDパネルや有機ELパネルを設けるなどして、ステージ部400の背面側でステージ部400と重複する位置にて所定の表示が行われてもよい。
透過表示装置9bでは、大当り図柄が導出表示されてから大当り遊技状態が開始されるまでの権利発生状態において、各種の演出画像を表示する。例えばステージ部400に進入した遊技球は、図5に示すステージ球センサ111によりステージ部400上での位置が検出される。透過表示装置9bでは、ステージ球センサ111による遊技球の位置検出結果に基づいて、遊技球の軌跡を演出表示する軌跡演出が行われる。軌跡演出には、第1〜第3特定演出、接触演出、転動演出などが含まれていればよい。第1〜第3特定演出は、ステージ球センサ111による検出結果に基づいて、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれかに遊技球が接近したときに実行され、接近した特定領域の有利度(ラウンド数など)に応じた演出態様で遊技球の軌跡を演出表示する。すなわち、第1特定領域61への接近が検出されたときには第1特定演出が実行され、第2特定領域62への接近が検出されたときには第2特定演出が実行され、第3特定領域63への接近が検出されたときには第3特定演出が実行される。接触演出は、遊技球が可動翼65,65に接触して弾かれるときに実行され、遊技球の軌跡とは異なる演出態様で演出表示を行う。転動演出は、第1〜第3特定演出や接触演出が実行されないときに実行され、ステージ球センサ111による検出結果に基づいて遊技球の軌跡を演出表示する。
このように、ステージ部400を被覆して重複する位置に設けられた透過表示装置9bの画面上に遊技球の軌跡を演出表示する演出画像が表示されることで、遊技者に拡張現実感(AR:Augmented Reality)や複合現実感(MR:Mixed Reality)を与える複合表示演出が実行できればよい。遊技球の軌跡を演出表示する複合表示演出の他にも、各種の情報を報知する演出画像や、ステージ部400や演出表示装置5aや飾り部材90の内部空間などを装飾する演出画像といった、各種の演出画像が透過表示装置9bの画面上に表示されてもよい。
透過表示装置9bの画面上における演出画像の表示位置は、遊技者の視点にあわせて調整できるようにしてもよい。例えば遊技領域7の内部又は外部に、遊技者の視点位置を検出するためのセンサ(例えばカメラ、赤外線、超音波などを用いて遊技者の顔の位置などを検出可能なもの)を設け、視点位置の検出結果に応じて、演出画像の表示位置が決定されてもよい。
本実施の形態の場合、普図ゲート32、及び、玉送出装置70の球入口71のそれぞれは、右領域7bに設けられており、「右打ち」をしたときに遊技球が進入可能であるが、「左打ち」をしたときには遊技球が進入不可能となるように、構造物及び釘の配列等により遊技球の流路が形成されている。なお、普図ゲート32は、「右打ち」をしたときが「左打ち」をしたときよりも遊技球が進入しやすい(遊技球が進入不可能ではない)ように、構造物及び釘の配列等により遊技球の流路が形成されてもよい。
パチンコ遊技機1においては、第1特別図柄表示器8a又は第2特別図柄表示器8bによる変動表示の表示結果が大当り表示結果となったとき、そして、このような表示結果に対応して演出表示装置9aによる変動表示の表示結果が大当り表示結果となったときに、遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,又は第4特定領域64のうちのいずれかに進入することに基づいて、大当り遊技状態に制御される。このように、第1特別図柄表示器8a又は第2特別図柄表示器8bによる変動表示の表示結果が大当り図柄となり大当り表示結果を導出表示するなどの所定条件が成立した後に、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,第4特定領域64のように複数設けられた特定領域のいずれかを遊技球が通過したことに基づいて、大入賞口の開放制御状態に移行(大当り遊技状態におけるラウンドを実行)することなどにより、遊技者にとって有利な遊技価値が付与される。
本実施の形態では、変動表示の表示結果が大当り表示結果となることに基づいて権利発生状態となり、権利発生状態において遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,又は第4特定領域64のうちいずれかに進入すると、特別可変入賞球装置20の大入賞口を開放する開放制御が行われる。遊技者にとって有利となる大当り遊技状態は、このような権利発生状態後における開放制御の実行が該当する。また、権利発生状態は、遊技球が特定領域(第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,又は第4特定領域64)に進入すること以外の条件で終了することはない。したがって、変動表示の表示結果が大当り表示結果となったときに、大当り遊技状態に制御する契機となる所定条件が成立することになる。変動表示の表示結果を大当り表示結果とするか否かは、特別図柄の変動表示結果が表示される前に事前決定される。このような事前決定は、大当り遊技状態に制御する契機となる所定条件を成立させるか否かの事前決定を含んでいる。
なお、権利発生状態とする大当り表示結果を決定したことに基づいて、大当り遊技状態に制御される。したがって、表示結果を決定することは、大当りとするか否かを判定する大当り判定を含んでいる。また、本実施の形態では、大入賞口が開放される大当り遊技状態となることが、遊技者にとって有利な状態である。そこで、大当り遊技状態のみを「大当り」と称する。一方、権利発生状態も大当り遊技状態に制御されることが保証されており、遊技者にとって有利な状態といえる。そのため、権利発生状態と大当り遊技状態とを含めて「大当り」と呼んでもよい。本実施の形態において「大当り」というときには、基本的に大当り遊技状態を示すが、例えば「大当り確率」のように権利発生状態となる大当り表示結果を決定する確率等のように、「大当り」という概念で示した方が意味が分かりやすくなるときには、権利発生状態及び大当り遊技状態を含む概念として、「大当り」という場合がある。
なお、権利発生状態において遊技球が進入したときに大当り遊技状態(開放制御状態)に制御されることとなる特定領域としては、遊技球が進入可能または通過可能な領域であればよく、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,及び第4特定領域64のように遊技球が遊技機1の内部に受け入れられる構造の領域であってもよく、遊技球が遊技機1の内部に受け入れられず遊技領域7へ流下するゲート構造の領域であってもよい。また、このような特定領域としては、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,及び第4特定領域64のような特定領域専用の領域が設けられてもよく、他の制御又は賞球の払出し等の他の目的でも用いられる領域を兼用するものであってもよい。ステージ部400には、遊技球が進入(通過)することにより大当り遊技状態(開放制御状態)の制御が開始される特定領域の他に、遊技球が進入(通過)可能な通常領域が設けられてもよい。遊技球が通常領域に進入(通過)した場合には、玉送出装置70の遮蔽部材75を再び退避させて開状態とし、さらに1個の遊技球を誘導路73からステージ部400へと進入させられるようにしてもよい。あるいは、遊技球が通常領域に進入(通過)した場合には、大当り遊技状態(開放制御状態)に制御する大当り開始条件が成立しなかったとして、次回の変動表示を開始可能な状態に制御してもよい。
本実施の形態では、遊技領域7における複数の領域(左領域7a,右領域7b)のうちで特別可変入賞球装置20が設けられた領域に、玉送出装置70の球入口71が設けられている。そして、打球操作ハンドル5の操作量に応じて打球発射装置の発射強度を変更することで、右打ち又は左打ちする等、遊技者の選択により遊技球を打ち込む領域が変更できる。遊技者は、大入賞口の開放制御によるラウンドの実行を開始させる意思を持ったときに、その開放制御を開始させることができるようになり、遊技者の意に反した時期に開放制御が開始されてしまうことを防ぐことができる。
この実施の形態では、第1特別図柄表示器8a又は第2特別図柄表示器8bに大当り図柄が停止表示される場合には、最終的に演出表示装置9aにおける「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアに、共通の演出図柄の組み合わせ(大当り図柄)が停止表示される。一方、第1特別図柄表示器8a又は第2特別図柄表示器8bにはずれ図柄が停止表示される場合には、最終的に演出表示装置9aにおける「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアに、共通ではない所定の演出図柄の組み合わせ(はずれ図柄)が停止表示される。
また、図1に示すように、遊技領域7における右領域7bには、可変入賞球装置15の下方に、遊技球が入賞可能な特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は、大入賞口と呼ばれる入賞口を開閉可能な開閉板を備え、遊技球が入賞可能な開状態(第1の状態)と、遊技球が入賞しない閉状態(第2の状態)とに変化可能な可変入賞装置である。このように、特別可変入賞球装置20は、右領域7bに設けられており、「右打ち」をしたときに遊技球が進入可能であるが、「左打ち」をしたときには遊技球が進入不可能となるように、構造物及び釘の配列等により遊技球の流路が形成されている。なお、特別可変入賞球装置20は、右領域7bに設けられ、「右打ち」をしたときが「左打ち」をしたときよりも遊技球が進入しやすいように、構造物及び釘の配列等により遊技球の流路が形成されてもよい。また、特別可変入賞球装置20は、左領域7aに設けられ、「左打ち」をしたときに遊技球が進入可能であるが、「右打ち」をしたときには遊技球が進入不可能となるように、構造物及び釘の配列等により遊技球の流路が形成されてもよい。また、特別可変入賞球装置20は、左領域7aに設けられ、「左打ち」をしたときが「右打ち」をしたときよりも遊技球が進入しやすいように、構造物及び釘の配列等により遊技球の流路が形成されてもよい。また、特別可変入賞球装置20は、特別可変入賞球装置20は、閉状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(即ち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。特別可変入賞球装置20が閉状態になっている状態は、遊技球が特別可変入賞球装置20に入賞しにくい又は入賞しない状態であればよい。つまり、特別可変入賞球装置20は、遊技球が入賞可能な第1の状態(開状態)と該第1の状態よりも遊技球が入賞しにくい又は入賞しない第2の状態(開状態)とに変化可能なものであればよい。
特別可変入賞球装置20は、大当り遊技状態となったときに、ソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
大当り遊技状態(開放制御状態)においては、特別可変入賞球装置20が開放状態と閉鎖状態とを繰返す繰返し継続制御が行われる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態が、ラウンドと呼ばれる(Rという記号で示される場合がある)。また、1の大当り遊技状態における大入賞口の開放回数をラウンド数ということがある。
従来のパチンコ遊技機には、権利発生状態において特定領域に遊技球が1個進入すると入賞口が1回開放するものがある。この場合には、権利発生状態が終了するまでに遊技球を複数回繰り返して特定領域に遊技球を進入させる必要があり、遊技の進行させ方が煩雑なものであった。これに対し、本実施の形態のパチンコ遊技機1では、権利発生状態において第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,又は第4特定領域64のうちのいずれかに遊技球が一度進入すると、進入した特定領域に応じて決定されたラウンド数に基づいて、第1ラウンドから最終ラウンドまでのすべてのラウンドが実行される大入賞口の開放制御が行われる。これにより、本実施の形態のパチンコ遊技機1では、遊技の進行させ方を、簡素なものとすることができ、遊技の進行状況に対応するとともに、遊技の進行させ方を容易にすることができる。また、本実施の形態では、大当りの種別が複数設けられており、大当り表示結果とすることが決定されたときには、いずれかの大当り種別が選択される。
大当り遊技状態(開放遊技状態)において実行されるラウンドでは、特別可変入賞球装置20が開放状態とされた後、所定の開放状態の終了条件が成立したことに応じて閉鎖状態となることで、1回のラウンドが終了する。開放状態の終了条件として、例えば開放状態において所定期間(29秒間など)が経過したこと、又は、所定個数(10個など)の入賞球が発生したことなどが、予め定められていればよい。開放状態の終了条件が成立したときには、継続権が発生することで、特別可変入賞球装置20の開放が再度行われる。継続権の発生は、大当り遊技状態における開放回数(ラウンド数)が所定の上限値(最終ラウンド)に達するまで繰り返される。
本実施例では、大当り遊技状態(開放遊技状態)におけるラウンド数の上限値が、大当りの種別や権利発生状態にて遊技球が進入した特定領域の一方又は双方に基づいて、決定される。大当り種別の一例として、本実施例では、通常A1,通常A2,確変A1,通常B1〜通常B6,確変B1〜確変B7が設けられている。このような複数種類の大当り種別に対応して、複数種類の大当り図柄が予め定められていればよい。また、各大当り種別には、一意の大当り種別番号「0」〜「15」が付されている。
本実施例におけるラウンド数の上限値には、5R,10R,15Rの3種類があるものとする。大当り種別が通常A1,通常A2,確変A1のいずれかに決定された場合には、権利発生状態にて遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれに進入(通過)したかにかかわらず、共通のラウンド数(上限値)に決定される。大当り種別が通常B1〜通常B6,確変B1〜確変B7のいずれかに決定された場合には、権利発生状態にて遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれに進入(通過)したかに応じたラウンド数(上限値)に決定される。なお、権利発生状態にて遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれに進入(通過)したかに応じたラウンド数(上限値)は、必ずしも異なるラウンド数(上限値)が含まれるものに限定されず、いずれに進入(通過)しても共通のラウンド数(上限値)に決定されることがあってもよい。権利発生状態にて遊技球が第4特定領域64に進入(通過)した場合には、大当り種別の決定結果にかかわらず、ラウンド数(上限値)が最も少ない5Rに決定される。
このように、第1特定領域61,第2特定領域62,及び第3特定領域63は、大当り種別によっては、遊技球が進入したときに移行する大当り遊技状態(開放制御状態)でのラウンド数の上限値が異なる場合もあれば、ラウンド数の上限値が共通になる場合もある。すなわち、大当り遊技状態(開放制御状態)において付与される価値の大きさは、大当り種別に応じて、また、大当り種別及び遊技球が進入した特定領域に応じて、相違することもあれば共通することもある。一方、第4特定領域64は、大当り種別によらず、遊技球が進入したときに移行する大当り遊技状態(開放制御状態)でのラウンド数の上限値が一律であり、付与する遊技価値の最も低い5Rの大当りに制御される。
第1特定領域61,第2特定領域62,及び第3特定領域63は、可動部である可動翼65,65が動作しているときに遊技球が誘導されやすい有利領域であり、第4特定領域64は、可動翼65,65が動作していないときに遊技球が誘導されやすく有利領域よりも付与する遊技価値が低い不利領域である。なお、不利領域は、有利領域と同じ遊技価値が付与されることもあるが、有利領域よりも付与する遊技価値が高くなることはないものであればよい(最も低い遊技価値となる)。
特定領域への遊技球の進入により付与される価値としては、大当り遊技状態(開放制御状態)のラウンド数のみに限らず、各ラウンドの開放時間、確変状態に制御するか否か、確変状態の継続を変動表示回数により制限するとき(例えば、変動表示が100回実行されると確変状態を終了させる等)の確変回数、時短状態に制御するか否か(確変状態に伴って制御する場合と、確変状態に伴わずに制御する場合とを含む)、及び、変動パターンの変動時間の長短のうち、いずれか1つ、又は、複数の組合せとすることが考えられる。このような場合に、特定領域への遊技球の進入に基づく大当り遊技状態(開放制御状態)において付与される価値の大きさが特定領域の種別により異なるようにするときには、これら価値のうち、いずれか1つ、又は、複数の組合せについて、価値の大きさを異ならせるようにすればよい。
大当り遊技状態(開放制御状態)が終了した後には、特別遊技状態として、通常状態(確変状態ではない通常の遊技状態)に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態(確率変動状態、高確率状態ともいう)に移行することがある。このような「大当り」は、「確変大当り」と称される。一方、大当り遊技状態(開放制御状態)が終了した後に、通常状態に移行することがある。このような「大当り」は、「通常大当り」と称される。「確変大当り」とするか「通常大当り」とするかは、大当り種別に対応して決定される。
本実施の形態では、特別遊技状態としては、確変状態に付随して、特別図柄や演出図柄の変動時間(変動表示期間)が非時短状態よりも短縮される時短状態に制御される。なお、特別遊技状態としては、確変状態とは独立して時短状態に制御される場合があるようにしてもよい。また、本願実施の形態では、通常大当りで大当り遊技状態に制御された後についても、時短状態に制御される。なお、通常大当りで大当り遊技状態に制御された後は、時短状態に制御されないようにしてもよい。
このように、時短状態に移行することによって、特別図柄や演出図柄の変動時間が短縮されるので、時短状態となったときには、有効な始動入賞が発生しやすくなり大当り遊技が行われる可能性が高まる。
また、本実施の形態では、特別遊技状態としては、確変状態に付随して、可変入賞球装置15が開状態になる頻度を高くすることにより可変入賞球装置15に遊技球が進入する頻度を高くして可変入賞球装置15への入賞を容易化(高進入化、高頻度化)する電チューサポート制御状態に制御される。なお、特別遊技状態としては、確変状態とは独立して電チューサポート制御状態に制御される場合があるようにしてもよい。また、本願実施の形態では、通常大当りで大当り遊技状態に制御された後についても、電チューサポート制御状態に制御される。なお、通常大当りで大当り遊技状態に制御された後は、電チューサポート制御状態に制御されないようにしてもよい。
ここで、電チューサポート制御について説明する。電チューサポート制御としては、普通図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御(普通図柄短縮制御)、普通図柄の停止図柄が当り図柄になる確率を高める制御(普通図柄確変制御)、可変入賞球装置15の開放時間を長くする制御(開放時間延長制御)、及び、可変入賞球装置15の開放回数を増加させる制御(開放回数増加制御)が行われる。このような制御が行われると、当該制御が行われていないときと比べて、可変入賞球装置15が開状態となっている時間比率が高くなるので、第2始動入賞口14への入賞頻度が高まり、遊技球が始動入賞しやすくなる(特別図柄表示器8a,8bや演出表示装置9における変動表示の実行条件が成立しやすくなる)。また、このような制御によって第2始動入賞口14への入賞頻度が高まることにより、第2始動条件の成立頻度及び/又は第2特別図柄の変動表示の実行頻度が高まる遊技状態となる。
このような電チューサポート制御により第2始動入賞口14への入賞頻度が高められた状態(高頻度状態)は、発射球数に対して入賞に応じて賞球として払出される遊技球数の割合である「ベース」が、当該制御が行われないときと比べて、高い状態であるので、「高ベース状態」と呼ばれる。また、このような制御が行われないときは、「低ベース状態」と呼ばれる。また、このような制御は、可変入賞球装置15、即ち、電動チューリップにより入賞をサポートすることにより可変入賞球装置15への入賞を容易化する制御であり、「電チューサポート制御」と呼ばれる。
さらに、電チューサポート制御としては、普通図柄短縮制御状態、普通図柄確変制御状態、開放時間延長制御状態、及び、開放回数増加制御状態のうちのいずれか複数を組合せた状態に移行させることによって、高ベース状態に移行するようにしてもよい。また、電チューサポート制御としては、普通図柄短縮制御状態、普通図柄確変制御状態、開放時間延長制御状態、及び、開放回数増加制御状態のうちのいずれか1つの状態に移行させることによって、高ベース状態に移行するようにしてもよい。このように、電チューサポート制御としては、普通図柄短縮制御状態、普通図柄確変制御状態、開放時間延長制御状態、及び、開放回数増加制御状態のうち、いずれか1つの状態、いずれか複数(すべての組合せを除く)を組合せた状態、又は、すべてを組合せた状態に制御するものであれば、どのような制御を行うようにしてもよい。
本実施の形態では、特別遊技状態として、確変状態に付随して、時短状態及び電チューサポート制御状態に制御される。なお、特別遊技状態として、確変状態とは独立して時短状態及び電チューサポート制御状態に制御される場合があるようにしてもよい。その他、特別遊技状態における時短状態と電チューサポート制御状態との関係としては、時短状態に付随して電チューサポート制御状態に制御されるようにしてもよく、時短状態に独立して電チューサポート制御状態に制御されるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、通常大当りの大当り遊技状態後の制御状態として、時短状態及び電チューサポート制御状態に制御される。なお、通常大当りの大当り遊技状態後の制御状態として、時短状態とは独立して電チューサポート制御状態に制御される場合があるようにしてもよい。
本実施の形態の場合は、大当り遊技状態の終了後において、特別遊技状態として、確変状態に制御されたときに時短状態及び電チューサポート制御状態に制御されるが、確変状態に制御されたときに時短状態及び電チューサポート制御状態に制御されない場合があるようにしてもよい。また、大当り遊技状態の終了後において、確変状態に制御されず通常状態となるときは、変動表示回数により期間が制限されずに、次回の大当りが発生するまでの間、時短状態及び電チューサポート制御状態に制御されるようにしてもよい。
本実施の形態においては、大当り確率の状態を示す用語として、「高確率状態(確変状態)」と、「低確率状態(非確変状態)」とを用い、ベースの状態の組合せを示す用語として、「高ベース状態(電チューサポート制御状態)」と、「低ベース状態(非電チューサポート制御状態)」とを用いることがある。
また、大当り確率の状態及びベースの状態の組合せを示す用語として、「低確低ベース状態」、「高確高ベース状態」、及び、「低確高ベース状態」を用いることがある。なお、「高確低ベース状態」に制御可能となるようにしてもよい。「低確低ベース状態」とは、大当り確率の状態が低確率状態で、かつ、ベースの状態が低ベース状態であることを示す状態である。「高確高ベース状態」とは、大当り確率の状態が高確率状態で、かつ、ベースの状態が高ベース状態であることを示す状態である。「高確低ベース状態」とは、大当り確率の状態が高確率状態で、かつ、ベースの状態が低ベース状態であることを示す状態である。「低確高ベース状態」とは、大当り確率の状態が低確率状態で、かつ、ベースの状態が高ベース状態であることを示す状態である。
本実施の形態において、確変大当りは、決定されたラウンド数の大当り遊技状態の終了後に、確変状態、時短状態、及び、電チューサポート制御状態(高確高ベース状態)に移行する制御が行われる大当りである。確変大当りの場合は、確変状態、時短状態、及び、電チューサポート制御状態が、変動表示回数とは関係なく、次回の大当りが発生するまでという条件が成立するまでの期間継続する。
本実施の形態において、通常大当りは、決定されたラウンド数の大当り遊技状態の終了後に、非確変状態、時短状態、及び、電チューサポート制御状態(低確高ベース状態)に移行する制御が行われる大当りである。通常大当りの場合は、時短状態、及び、電チューサポート制御状態が、変動表示が100回という所定回数実行されるまでという条件と、次回の大当りが発生するまでという条件とのいずれか早い方の条件が成立するまでの期間継続する。
大当りとしては、大当り遊技状態について、ラウンド数が同じであるが、1回の開放時間が長い開放パターンの大当りと、1回の開放時間が短い開放パターンの大当りとを設ける等、ラウンド数が同じであるが開放パターンが異なるものを複数設け、第1特別図柄の変動表示で大当りとなったときと、第2特別図柄の変動表示で大当りとなったときとで異なる選択割合で選択して実行されるようにしてもよい。
本実施の形態のパチンコ遊技機1は、打球操作ハンドル5の操作量を調整することにより発射強度を調整することにより、次のような態様で遊技者が遊技球を左領域7a又は右領域7bへ打分けることにより、遊技者にとって有利な状態に制御されやすくなるように構成されている。
低確低ベース状態のような低ベース状態においては、時短状態に付随する高ベース状態よりと比べて可変入賞球装置15が開状態になりにくく、第1始動入賞口13の方が第2始動入賞口14よりも遊技球が進入しやすい。したがって、低確低ベース状態においてより多数の始動入賞を得たい場合に、遊技者は、第1始動入賞口13を狙って「左打ち」をすればよい。
高確高ベース状態及び低確高ベース状態のような大当り遊技状態後の時短状態に付随する高ベース状態においては、電チューサポート制御等により、低ベース状態よりと比べて可変入賞球装置15が開状態になりやすく、第2始動入賞口144の方が第1始動入賞口13よりも遊技球が進入しやすい。したがって、大当り遊技状態後の高ベース状態においてより多数の始動入賞を得たい場合に、第2始動入賞口14が設けられた可変入賞球装置15を開状態にするために、普図ゲート32を狙って「右打ち」をすればよい。
特別図柄及び演出図柄の変動表示結果が大当り表示結果となって権利発生状態となったときには、遊技球が、第1特定領域61、第2特定領域62、及び、第3特定領域63のうちいずれかを通過すれば大入賞口の開放制御状態となる大当り遊技状態に制御される。したがって、権利発生状態において大入賞口の開放制御状態に移行させたい場合には、玉送出装置70の球入口71を狙って「右打ち」をすればよい。
権利発生状態において遊技球が第1特定領域61、第2特定領域62、及び、第3特定領域63のうちいずれかを通過して大入賞口の開放制御状態となったときには、特別可変入賞球装置20の大入賞口を狙って「右打ち」をすればよい。
本実施の形態では、大当り遊技状態において付与される遊技価値として、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,又は第4特定領域64のいずれの特定領域を遊技球が通過したかによって付与される価値の大きさが異なる第1の遊技価値としてのラウンド数と、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,又は第4特定領域64のいずれの特定領域を遊技球が通過したかによらず大当り判定のときに付与するか否かが決定される第2の遊技価値としての確変状態が存在する。このように遊技価値の付与態様を多様化することで、遊技の興趣を向上させるようにしている。
遊技盤6の遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示されるランプ(発光体)としての装飾LED25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球が取込まれるアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する2つのスピーカ27R,27Lが設けられている。遊技領域7の外周上部、外周左部及び外周右部には、前面枠に設けられたランプ(発光体)としての天枠LED28a、左枠LED28b及び右枠LED28cが設けられている。
左枠LED28bの近傍には大当り報知LED51が設けられている。大当り報知LED51は、特別図柄の表示結果が大当り図柄となることに対応して、第1特別図柄表示器8a又は第2特別図柄表示器8bに大当り図柄が導出表示されたときに点灯する。また、右枠LED28cの近傍には補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。左枠LED28bの近傍には、パチンコ遊技機1の電源投入時(起動時)において、バックアップデータに基づいて確変状態となっているときに点灯することで確変状態であることを報知する確変報知LED53が設けられている。確変報知LED53は、電源投入時以外のときは、消灯しており、電源投入時にのみ、状態に応じて点灯する。天枠LED28a、左枠LED28b及び右枠LED28c及び装飾LED25は、パチンコ遊技機1に設けられている演出用の発光体の一例である。なお、上述した演出用(装飾用)の各種LEDの他にも演出のためのLEDやランプが設置されている。
打球供給皿3の右側の所定位置には、押圧操作により遊技者が操作可能な操作ボタン130が設置されている。操作ボタン130には、操作を検出するための操作検出スイッチ131が設けられている。なお、操作ボタン130は、押圧操作するボタンに限らず、押下可能なジョグボタン、及び、回動可能なジョグダイアルといった、その他の構成の操作手段により構成されてもよい。このような操作ボタン130は、例えば、変動表示中の演出に応じて、操作する等、所定の演出が行われるときに操作が要求される。
図4は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、払出制御基板37及び演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ560が搭載されている。払出制御基板37には、プログラムにしたがって入賞に応じた賞球を払出す制御を行う払出制御用マイクロコンピュータが搭載されている。また、演出制御基板80には、プログラムにしたがって各種演出制御を行う演出制御用マイクロコンピュータが搭載されている。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムにしたがって制御動作を行うCPU56及びI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54及びRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。即ち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560(又はCPU56)が実行する(又は、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路503は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路503は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則にしたがって更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路503は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、及び、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、及び数値データの更新規則の選択切替え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数回路503が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ560のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ560の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路503が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路503が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1始動口スイッチ13a又は第2始動口スイッチ14aへの始動入賞が生じたときに乱数回路503から数値データをランダムRとして読出し、特別図柄及び演出図柄の変動開始時にランダムRに基づいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否かを決定することにより、大当りとするか否かを決定する。また、大当りとする(大当り表示結果にする)と決定されたときには、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数の値を抽出し、抽出した乱数に基づいて大当り種別も決定する。そして、大当りとすると決定したときに、当該始動入賞に係る可変表示の表示結果が大当り図柄となり、さらに権利発生状態において第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,又は第4遊技領域64のいずれかを遊技球が通過したことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、RAM55は、その一部又は全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。即ち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部又は全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態即ち遊技制御用マイクロコンピュータ560の制御状態に応じたデータ(特別図柄の可変表示状況を示す特別図柄プロセスフラグや各保留記憶数カウンタの値等)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。遊技制御用マイクロコンピュータ560の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。本実施の形態の場合、このようにバックアップRAMに保存される遊技制御用マイクロコンピュータ560の制御状態に応じたデータ(バックアップデータ)には、大当り図柄が導出表示されてから大当り遊技状態が開始されるまでセットされる権利発生フラグ、大当り遊技状態に制御されているときにセットされる大当り開始フラグ、及び、確変状態に制御されているときにセットされる確変フラグに関するデータが含まれている。権利発生フラグとは、特別図柄の表示結果として大当り図柄が導出表示されたこと、即ち所定条件が成立していることを示すフラグである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施の形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、電力供給時に実行されるメイン処理において、権利発生フラグを参照することにより、前回電力供給が停止したときに大当り図柄が導出表示されていたが大当り遊技状態が開始されていなかったことを確認可能である。また、大当り開始フラグを参照することにより、前回電力供給が停止したときに大当り遊技状態であったか否かを確認することができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ560のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ560等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ560等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ560等は動作停止状態になる。したがって、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ560等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ560等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ560の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。即ち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5V等)の電圧値を監視して、電圧値が予め定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
主基板31には、第1特定領域スイッチ61a、第2特定領域スイッチ62a、第3特定領域スイッチ63a、第4特定領域スイッチ64a、普図ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、及び入賞口スイッチ29a,30aからの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58が搭載されている。主基板31には、玉送出装置70の遮蔽部材75を駆動するソレノイド34、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21、及び可動翼65,65を第1態様65aから第2態様65bに動作するソレノイド66を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令にしたがって駆動する出力回路59も搭載されている。
図4には、不正検出基板60aが示されている。不正検出基板60aは、不正な事象による異常の発生を検出する機能を有しており、具体的には、高周波信号検出機能、磁気検出機能、振動検出機能を有している。例えば、高周波信号検出機能に関しては、第1特定領域スイッチ61a、第2特定領域スイッチ62a、第3特定領域スイッチ63a、及び第4特定領域スイッチ64aが、いずれも高周波発振型の貫通型近接スイッチである場合、各々のスイッチに接続された信号監視回路が設けられ、いずれかの信号監視回路で異常な高周波信号を検出した場合には、主基板31に搭載された入力ドライバ回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ560に不正検出信号が所定期間出力される。また、磁気検出機能により異常磁気が検出された場合、振動検出機能により異常振動が検出された場合にも、遊技制御用マイクロコンピュータ560に不正検出信号が所定期間出力される。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、不正検出基板60aからの不正検出信号が入力された場合の他、電源断信号の入力に基づく電断復旧時にも、異常の発生を検出してもよい。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18b、普通図柄保留記憶表示器41、及び、確変報知LED53の表示制御を行う機能を有している。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、第1特定領域スイッチ61a、第2特定領域スイッチ62a、第3特定領域スイッチ63a、第4特定領域スイッチ64a、及び、入賞口スイッチ29a,30aのいずれかがオンしたことに基づく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに、賞球個数を示す払出制御コマンドとしての賞球個数コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数コマンドが示す賞球個数に応じて駆動信号を供給することで、球払出装置97を駆動する。球払出装置97には、賞球を払出す払出モータが備えられている。払出制御用マイクロコンピュータにより払出モータが回転駆動制御されることにより、払出制御用マイクロコンピュータにより指定された個数の賞球が球払出装置97から払出される。
払出制御基板37側において、賞球払出が検出され、10個の賞球が払い出される毎に賞球信号が主基板31に入力される。そして、主基板31に入力された賞球信号は、遊技制御用マイクロコンピュータ560を経由することなく、主基板31上をそのまま経由してターミナル基板160を介して外部出力される。なお、主基板31に入力された賞球信号は、遊技制御用マイクロコンピュータ560を一旦経由してから、ターミナル基板160を介して外部出力されるようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、賞球個数コマンドを払出制御基板37に出力することに伴い、当該賞球個数コマンドから特定される賞球個数が10個に達する毎に、賞球信号を外部出力するようにしてもよい。
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は、タッチセンサ基板91上の回路によって制御される発射モータ94を含み、発射モータ94が回転することによって遊技球を遊技領域7に向けて発射する。遊技者が打球操作ハンドル5に触れていることはタッチセンサ及びタッチセンサ回路(遊技者が打球操作ハンドル5に触れているか否かを検出するための検出回路等を含む回路)で検出され、タッチセンサ回路からの信号がオフ状態を示している場合には、発射モータ94の駆動を停止する。
タッチセンサ基板91には、間欠的に繰り返しパルス(ステッピングモータとしての発射モータ94の各相に供給されるパルス信号)を発生するパルス発生器と、単発パルスを発生する単発パルス発生器とが設けられている。タッチセンサ回路からの信号がオン状態を示している場合に、パルス発生器が発生するパルスが発射モータ94に供給される。さらに、打球操作ハンドル5の所定位置に、又は、打球操作ハンドル5の近傍に、発射停止スイッチが設けられ、発射停止スイッチが操作されているときにはパルス発生器のパルス出力が停止される。
パルス発生器のパルス出力は、払出制御基板37からの発射制御信号がオフ状態になったときにも停止される。また、打球発射装置には単発発射スイッチが設けられ、単発発射スイッチが操作されると、単発パルス発生器が発生する単発パルスが発射モータ94に供給される。
本実施の形態では、タッチセンサ基板91にパルス発生器が設けられているが、発射モータ94に供給されるパルスの発生機能を払出制御基板37に持たせてもよい。その場合には、例えば、払出制御用マイクロコンピュータがパルスを発生し、発生されたパルスはタッチセンサ基板91で中継されて発射モータ94に供給される。また、発射停止スイッチの出力は払出制御用マイクロコンピュータに入力され、払出制御用マイクロコンピュータは、下皿満タンや補給球切れが生じたとき、及び発射停止スイッチの出力がオフ状態になったときに、パルス出力を停止する。
打球発射装置は、遊技球を遊技領域7に打出す打球ハンマ、打球ハンマを付勢するためのコイルばね、コイルばねで付勢された打球ハンマを付勢された位置から解放させるためのカム機構を備え、カム機構が発射モータ94により駆動される。そして、打球操作ハンドル5の回動によりコイルばねの固定位置を変化させてばねの付勢力を調整し、その結果として、打球ハンマの遊技球を打出す力(発射強度)が調整される。
打球発射装置としては、ステッピングモータによる発射モータ94やロータリソレノイドの軸に直接打球ハンマを固定して遊技球を打出す方式のものがある。そのように構成されている場合には、打球操作ハンドル5の回動角度(位置)を可変抵抗器により検出し、検出結果に応じて駆動源としてのステッピングモータ及びロータリソレノイドの動作速度を上げることにより遊技球を打出す力(発射強度)が調整される。このような打球発射装置の発射強度を調整する操作が可能な発射強度操作手段は、回動可能な打球操作ハンドル5に相当する。なお、打球発射装置による遊技球の発射を停止させる操作が可能な発射停止操作手段は、発射停止スイッチに相当する。
主基板31には、大当り遊技状態に制御されていることを示す大当り信号等の外部出力信号を、パチンコ遊技機1の裏面側上部に設けられたターミナル基板160を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路159が搭載されている。賞球が10個払い出される毎にターミナル基板160から賞球信号が出力される。賞球信号は所定幅のパルス信号である。
演出制御基板80に搭載されている演出制御手段として、図5に示す演出制御用マイクロコンピュータ100は、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を変動表示する演出表示装置9aの表示制御や、各種の演出画像を表示する透過表示装置9bの表示制御を行う。また、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100には、操作ボタン130の操作を検出するための操作検出スイッチ131の操作検出信号が入力される。
演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100が、ランプドライバ基板35を介して、遊技盤6に設けられている装飾LED25、及び枠側に設けられている天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cの表示制御を行うとともに、音声出力基板70を介してスピーカ27からの音出力の制御を行う。
図5は、中継基板77、演出制御基板80、ランプドライバ基板35及び音声出力基板70の回路構成例を示すブロック図である。なお、図5に示す例では、ランプドライバ基板35及び音声出力基板70には、マイクロコンピュータは搭載されていないが、マイクロコンピュータを搭載してもよい。また、ランプドライバ基板35及び音声出力基板70を設けずに、演出制御に関して演出制御基板80のみを設けてもよい。
演出制御基板80は、演出制御用CPU101及びRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。この実施の形態では、主基板31と共に、演出制御基板80にもバックアップ電源が供給されていて、演出制御基板80についても主基板31と同様にバックアップされている。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、演出制御用マイクロコンピュータ100に内蔵又は外付けのROM(演出制御用ROM)に格納されたプログラムにしたがって動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102及び入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU101は、演出制御コマンドに基づいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に演出表示装置9a及び透過表示装置9bの表示制御を行わせる。
演出制御用ROMとなる記憶装置には、演出制御用CPU101が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブルを構成するテーブルデータ、各種の演出制御パターンを構成するパターンデータなどが記憶されている。演出制御パターンは、例えば演出制御プロセスタイマ判定値と対応付けられた演出制御実行データ(表示制御データ、音声制御データ、ランプ制御データ、操作検出制御データなど)や終了コードなどを含んだプロセスデータから構成されている。演出制御用マイクロコンピュータ100に含まれるRAMには、演出動作を制御するために用いられる各種データが記憶(一時記憶)される。
演出制御基板80には、演出制御用マイクロコンピュータ100と協働して演出表示装置9a及び透過表示装置9bの表示制御を行うVDP109が搭載されている。VDP109は、演出制御用マイクロコンピュータ100とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、VDP109によって生成された画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP109は、VRAM内の画像データを演出表示装置9aや透過表示装置9bに出力する。
演出制御用CPU101は、受信した演出制御コマンドにしたがってキャラクタROMから必要なデータを読出す。キャラクタROMは、演出表示装置9aや透過表示装置9bに表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形又は記号等(演出図柄を含む)を予め格納しておくためのものである。演出制御用CPU101は、キャラクタROMから読出したデータをVDP109に出力する。VDP109は、演出制御用CPU101から入力されたデータに基づいて表示制御を実行する。
演出制御コマンド及び演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバ102に入力する。入力ドライバ102は、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路74が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。図5には、ダイオードが例示されている。また、単方向性回路は、各信号線ごとに設けられる。さらに、単方向性回路である出力ポート571を介して主基板31から演出制御コマンド及び演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。即ち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ560側)に入り込まない。なお、出力ポート571は、図4に示されたI/Oポート部57の一部である。また、出力ポート571の外側(中継基板77側)に、さらに、単方向性回路である信号ドライバ回路が設けられていてもよい。
演出制御用CPU101は、出力ポート105を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPU101は、出力ポート104を介して音声出力基板70に対して音番号データを出力する。演出制御用CPU101は、操作検出スイッチ131から入力ドライバ106及び入力ポート107を介して、操作検出信号の入力を受ける。演出制御用CPう101は、ステージ球センサ111から入力ポート113を介して、ステージ部400における遊技球の位置検出信号の入力を受ける。
ステージ球センサ111は、飾り部材90で囲まれた領域内でステージ部400を転動する遊技球であるステージ球の位置を検出するためのものである。ステージ球センサ111の一例として、CCDカメラ又はCMOSカメラといった撮影装置を用いてステージ部400を撮影し、取得された撮影データを用いたフレーム差分法、平均背景法、コードブック法といった所定の画像処理を行うことにより、遊技球の位置や動きを検出すればよい。このような撮影装置を用いて遊技球を追跡するトラッキングアルゴリズムである「ビジョンベース・トラッキング」が適用されることで、ステージ部400における遊技球の軌跡が特定されてもよい。他の一例として、赤外線センサや超音波センサ、LRF(レーザレンジファインダ、レーザスキャナともいう)のいずれかを用いて、遊技球の所在方向や距離に基づいて、遊技球の位置や動きを検出してもよい。レーザスキャナを用いて遊技球を追跡するトラッキングアルゴリズムである「レーザベース・トラッキング」が適用されることで、ステージ部400における遊技球の軌跡が特定されてもよい。他の一例として、ステージ部400にて遊技球が転動する転動面(上表面)に接触センサ又は重量センサを設けるなどして、接触位置や重量変化の検出結果から遊技球の位置や動きを検出してもよい。こうした遊技球の位置を検出する手法が単独で用いられてもよいし、複数の手法が組み合わせて用いられてもよい。
演出制御基板80において、パチンコ遊技機1の背面方向を向く所定位置には、表示設定切替スイッチ及び音量設定切替スイッチが配置されている。これらのスイッチは、遊技盤6の背面側に位置する基板収納ケースに形成された切欠部を介して、外方から操作可能である。このようなスイッチ操作は、基板収納ケースを島内部から表出させた状態で行わなければならないので、遊技場の管理者のみが操作可能となっている。表示設定切替スイッチは、スライドスイッチにより構成され、演出表示装置9aに表示する情報を切り替えるものである。演出表示装置9aに表示される情報として、「遊技者モード」により表示可能な情報と、「管理者モード」により表示可能な情報とがある。いずれの情報を表示するかが、表示設定切替スイッチにより切り替えられる。
音量設定切替スイッチは、ロータリースイッチにより構成され、1〜5までの5つのチャンネルを備えており、これら5つのチャンネルをツマミを回動操作することで切り替えるものである。チャンネル1は、各スピーカ27R、27Lの音出力の音量レベルを、最も小さいレベル1(ボリューム1)に設定するチャンネルである。チャンネル2は、各スピーカ27R、27Lの音出力の音量レベルを、レベル1よりも大きいレベル2(ボリューム2)に設定するチャンネルである。チャンネル3は、各スピーカ27R、27Lの音出力の音量レベルを、レベル2よりも大きいレベル3(ボリューム3)に設定するチャンネルである。チャンネル4は、各スピーカ27R、27Lの音出力の音量レベルを、レベル3よりも大きいレベル4(ボリューム4)に設定するチャンネルである。チャンネル5は、各スピーカ27R、27Lの音出力の音量レベルを、レベル4よりも大きいレベル5(ボリューム5)に設定するチャンネルである。本実施の形態では、レベル5(ボリューム5)が最も大きい音量レベルである。
音量設定切替スイッチの他、操作ボタン130の操作によって各スピーカ27R、27Lの音出力の音量レベルを設定することが可能にしてもよい。例えば、操作ボタン130を所定時間以上長押しすることによって、現在の音量レベルが演出表示装置9に表示されて、音量レベルを調整可能な状態となる。その後、操作ボタン130を1回短く(所定時間未満)プッシュする毎に、音量レベルが1レベルづつ増加し、レベル5に達した状態でプッシュされるとレベル1に戻る制御が繰り返し実行される。例えば、レベル3が表示された状態では、操作ボタン130が1回操作される毎に、音量レベルがレベル4、レベル5、レベル1、…に変更される。従って、遊技者による音量設定が可能となる。なお、操作ボタン130による音量レベルの設定値(遊技者設定値)は、演出制御用マイクロコンピュータ100のRAMに記憶されている。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ351を介してLEDドライバ352に入力される。LEDドライバ352は、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28c等の枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25に駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声出力基板70において、音番号データは、入力ドライバ702を介して音声合成用IC703に入力される。音声合成用IC703は、音番号データに応じた音声や効果音を生成し増幅回路705に出力する。増幅回路705は、音声合成用IC703の出力レベルを、演出制御用マイクロコンピュータ100(演出制御用CPU101)により設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27R,27Lに出力する。音声データROM704には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音又は音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
図6は、遊技制御用マイクロコンピュータ560が送信する演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。なお、以下の説明において、添字「H」は16進数であることを示す。本実施例では、演出制御コマンドは2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を表し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」に設定され、EXTデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「0」に設定される。なお、そのようなコマンド形態は一例であって他のコマンド形態を用いてもよい。たとえば、1バイトや3バイト以上で構成される制御コマンドを用いてもよい。
図6に示す例において、コマンド80XXHは、特別図柄の変動表示に対応して演出表示装置9aにおいて変動表示される演出図柄の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドである。変動パターン指定コマンドでは、EXTデータにより使用される変動パターンが指定される。予め用意された複数の変動パターンには、それぞれに対して一意の番号が付されており、変動パターン指定コマンドのEXTデータにより変動パターンの番号が特定されればよい。変動パターン指定コマンドは、変動開始を指定するコマンドでもある。演出制御用マイクロコンピュータ100は、変動パターン指定コマンドを受信したことに基づいて、演出表示装置9aによる演出図柄の変動表示を開始する制御を行う。
コマンド8CXXHは、大当りとするか否か、及び、大当り種別を示す表示結果指定コマンドである。コマンド8C01Hは、はずれに決定されていることを指定する。コマンド8C10H〜8C1FHは、大当りに決定されていることを指定する。大当りを指定する表示結果指定コマンドにおけるEXTデータの下位1バイトは、大当り種別番号「0」〜「15」に対応した値を示していればよい。
コマンド8D01Hは、第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄の変動開始を示す第1変動開始コマンドである。コマンド8D02Hは、第2特別図柄表示器8bによる第2特別図柄の変動開始を示す第2変動開始コマンドである。なお、第1特別図柄の変動表示を開始するのか第2特別図柄の変動表示を開始するのかを示す情報を、変動パターン指定コマンドに含めるようにしてもよい。コマンド8F00Hは、演出図柄の変動表示を終了して表示結果(停止図柄)を導出表示することを示す図柄確定指定コマンドである。演出制御用マイクロコンピュータ100は、図柄確定指定コマンドを受信すると、演出図柄の変動表示を終了して表示結果を導出表示する。
コマンドA0XXHは、大当り遊技状態(開放制御状態)の開始を指定する大当り開始指定コマンドである。大当り開始指定コマンドでは、「確変大当り」と「通常大当り」のいずれであるか、また、ラウンド数の上限値が、EXTデータにより指定される。例えば、コマンドA001Hは、「確変大当り」でラウンド数の上限値が5Rの場合に送信される5R確変大当り開始指定コマンドである。コマンドA002Hは、「確変大当り」でラウンド数の上限値が10Rの場合に送信される10R確変大当り開始指定コマンドである。コマンドA003Hは、「確変大当り」でラウンド数の上限値が15Rの場合に送信される15R確変大当り開始指定コマンドである。コマンドA004Hは、「通常大当り」でラウンド数の上限値が5Rの場合に送信される5R通常大当り開始指定コマンドである。コマンドA005Hは、「通常大当り」でラウンド数の上限値が10Rの場合に送信される10R通常大当り開始指定コマンドである。コマンドA006Hは、「通常大当り」でラウンド数の上限値が15Rの場合に送信される15R通常大当り開始指定コマンドである。
コマンドA1XXHは、EXTデータで示される回数のラウンドにて大入賞口が開放中となることを通知する大入賞口開放中通知コマンドである。コマンドA2XXHは、EXTデータで示される回数のラウンドにて大入賞口が開放後(閉鎖)となることを通知する大入賞口開放後通知コマンドである。A3XXHは、大当り遊技状態(開放制御状態)の終了を指定する大当り終了指定コマンドである。大当り終了指定コマンドでは、「確変大当り」と「通常大当り」のいずれに基づく大当り遊技状態が終了するかに応じて、異なるEXTデータが設定されればよい。コマンドB0XXHは、遊技状態が通常状態(低確低ベース状態)、時短状態(低確高ベース状態)、確変状態(高確高ベース状態)のいずれであるかを指定する遊技状態指定コマンドである。
コマンドC001Hは、遊技球が第1始動入賞口13に入賞したことによる第1始動入賞の発生を示す第1始動入賞指定コマンドである。コマンドC002Hは、遊技球が第2始動入賞口14に入賞したことによる第2始動入賞の発生を示す第2始動入賞指定コマンドである。コマンドC003Hは、保留記憶数を減算させることを指定する保留記憶減算指定コマンドである。
コマンドC1XXHは、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,第4特定領域64のいずれかに進入(通過)した遊技球の検出を示す特定領域通過指定コマンドである。特定領域通過指定コマンドでは、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,第4特定領域64のいずれに遊技球が進入(通過)したかに応じて、異なるEXTデータが設定される。例えば、コマンドC101Hは、第1特定領域61に進入(通過)した遊技球の検出を示す第1特定領域通過指定コマンドである。コマンドC102Hは、第2特定領域62に進入(通過)した遊技球の検出を示す第2特定領域通過指定コマンドである。コマンドC103Hは、第3特定領域63に進入(通過)した遊技球の検出を示す第3特定領域通過指定コマンドである。コマンドC104Hは、第4特定領域64に進入(通過)した遊技球の検出を示す第4特定領域通過指定コマンドである。
コマンドC200Hは、玉送出装置70を介してステージ部400に進入した遊技球の検出を示すステージ進入指定コマンドである。コマンドC300Hは、不正検出基板60aからの不正検出信号に基づいて不正行為の検出を指定する不正検出指定コマンドである。
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。
主基板31では、所定の電源基板から電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ560が起動し、CPU56によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU56は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えばRAM55ががクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(例えば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU56へ送出され、CPU56は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。なお、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時における状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。
このような遊技制御メイン処理を実行したCPU56は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受け付けると、割込み禁止状態に設定して、所定の遊技制御用タイマ割込処理を実行する。遊技制御用タイマ割込処理には、例えばスイッチ処理やメイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理といった、パチンコ遊技機1における遊技の進行などを制御するための処理が含まれている。
図7は、遊技制御用タイマ割込処理にて実行する特別図柄プロセス処理の一例を示すフローチャートである。特別図柄プロセス処理において、CPU56は、始動入賞判定処理(ステップS101)を実行した後、例えばRAM55の所定領域に設けられた特図プロセスフラグの値といった内部状態に応じて、ステップS110〜S118の処理のいずれかを実行する。始動入賞判定処理は、第1始動口スイッチ13aにより第1始動入賞口13に入賞した遊技球が検出されたか否か、また、第2始動口スイッチ14aにより第2始動入賞口14に入賞した遊技球が検出されたか否かを判定し、検出された場合には、第1保留記憶バッファ(第1始動入賞の場合)若しくは第2保留記憶バッファ(第2始動入賞の場合)、及び保留特定領域に各種のデータを設定するとともに、保留記憶数を更新する処理などを含んでいる。
ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が0であるときに実行される。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄の変動表示が開始できる状態になると、保留記憶バッファに記憶される数値データの記憶数(合算保留記憶数)を確認する。保留記憶バッファに記憶される数値データの記憶数は合算保留記憶数カウンタのカウント値により確認できる。また、合算保留記憶数カウンタのカウント値が0でなければ、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示の表示結果を大当りとするか否かを決定する。大当りとする場合には大当りフラグをセットする。そして、内部状態(特図プロセスフラグ)を変動パターン設定処理に応じた値(この例では1)に更新する。なお、大当りフラグは、大当り遊技が終了するときにリセットされる。
ステップS111の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が1であるときに実行される。変動パターン設定処理では、特別図柄の変動時間に応じた演出図柄の変動パターンを決定する。また、特別図柄の変動時間を計測する変動時間タイマをスタートさせる。そして、内部状態(特図プロセスフラグ)を表示結果指定コマンド送信処理に応じた値(この例では2)に更新する。
ステップS112の表示結果指定コマンド送信処理は、特図プロセスフラグの値が2であるときに実行される。表示結果指定コマンド送信処理では、演出制御用マイクロコンピュータ100に、表示結果指定コマンドを送信する制御を行う。そして、内部状態(特図プロセスフラグ)を特別図柄変動中処理に応じた値(この例では3)に更新する。
ステップS113の特別図柄変動中処理は、特図プロセスフラグの値が3であるときに実行される。特別図柄変動中処理では、変動パターンに対応する変動時間が経過したか否かを判定する。変動時間が経過したときには、内部状態(特図プロセスフラグ)を特別図柄停止処理に応じた値(この例では4)に更新する。
ステップS114の特別図柄停止処理は、特図プロセスフラグの値が4であるときに実行される。特別図柄停止処理では、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける変動表示を停止して停止図柄を導出表示させる。また、演出制御用マイクロコンピュータ100に、図柄確定指定コマンドを送信する制御を行う。そして、変動表示の表示結果として、大当り図柄が導出表示された場合には、権利発生状態となるように制御する。このときには、内部状態(特図プロセスフラグ)を大当り開始前処理に応じた値(この例では5)に更新する。一方、変動表示の表示結果として、はずれ図柄が導出表示された場合には、内部状態(特図プロセスフラグ)を初期化して特別図柄通常処理に応じた値(この例では0)に更新する。
このように、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる変動表示の表示結果が大当り図柄などの大当り表示結果となったときには、大当り開始前処理を実行可能に設定する。これにより、大当り遊技状態(開放制御状態)におけるラウンドといった、遊技者にとって有利な遊技価値を付与する契機となる所定条件が成立する。
ステップS115の大当り開始前処理は、特図プロセスフラグの値が5であるときに実行される。大当り開始前処理では、権利発生状態の開始に対応して、玉送出装置70の遮蔽部材75を退避させて開状態とする。その後、ステージ部400に進入した遊技球が検出されたときに、玉送出装置70の遮蔽部材75を進出させて閉状態に戻す。また、遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,又は第4特定領域64のいずれに進入(通過)したかを判定する。いずれかの特定領域を通過(進入)したときには、大当り遊技状態(開放制御状態)におけるラウンド数の上限値を決定し、大当り開始指定指定コマンドを送信する制御を行う。そして、内部状態(特図プロセスフラグ)を大入賞口開放前処理に応じた値(この例では6)に更新する。
ステップS116の大入賞口開放前処理は、特図プロセスフラグの値が6であるときに実行される。大入賞口開放前処理では、特別可変入賞球装置20の開閉板を閉鎖状態から開放状態に変化させるときの制御を行う。例えば、大入賞口に進入した遊技球数をカウントする所定のカウンタなどを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放状態にする。また、所定のタイマによってラウンドの実行時間を設定し、内部状態(特図プロセスフラグ)を大入賞口開放中処理に応じた値(この例では7)に更新する。
ステップS117の大入賞口開放中処理は、特図プロセスフラグの値が7であるときに実行される。大入賞口開放中処理では、大入賞口に進入した遊技球数のカウントや、ラウンドの実行が開始されてから経過した時間の計測を行い、開放状態の終了条件が成立したか否かを判定する。開放状態の終了条件が成立していなければ、そのまま処理を終了して、大入賞口開放中処理を繰返し実行する。一方、開放状態の終了条件が成立したときには、残りラウンドの有無を判定し、残りラウンドがあれば内部状態(特図プロセスフラグ)を大入賞口開放前処理に応じた値(この例では6)に更新する。残りラウンドがない場合には内部状態(特図プロセスフラグ)を大当り終了処理に応じた値(この例では8)に更新する。
このように、ステップS116にて大入賞口開放前処理が実行された後にステップS117の大入賞口開放中処理が実行されることで、大当り遊技状態(開放制御状態)におけるラウンドが実行され、遊技者が遊技球を大入賞口に進入させることで多数の賞球(又は、これに対応する得点)を容易に獲得できるという、遊技者にとって有利な遊技価値が付与される。
ステップS118の大当り終了処理は、特図プロセスフラグの値が8であるときに実行される。大当り終了処理では、大当り終了指定コマンドを送信する制御を行い、大当り終了演出を実行するための所定時間が経過するまで待機する。そして、内部状態(特図プロセスフラグ)を初期化して特別図柄通常処理に応じた値(この例では0)に更新する。
図8は、特別図柄通常処理として、図7のステップS111にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この特別図柄通常処理では、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bのいずれかにおける特別図柄の変動表示を開始させるか否かを判定する。特別図柄の変動表示を開始させると判定した場合には、変動表示の表示結果として大当り図柄を導出表示する「大当り」とするか否かが決定される。「大当り」とする場合には、大当り種別の決定が行われる。
図8に示す特別図柄通常処理を開始すると、遊技制御用マイクロコンピュータ560のCPU56は、特別図柄の変動表示を開始させるか否かを判定する処理が実行される。このとき、CPU56は、特別図柄の変動表示を開始するための特図保留記憶があるか否かを判定する(ステップS201)。合算保留記憶数が0であるときに、特図保留記憶がないと判定して(ステップS201;No)、特別図柄通常処理を終了する。一方、合算保留記憶数が0でなければ、各種の保留データを読み出す(ステップS202)。例えば、保留特定領域に設定されている1番目のデータが「第1」を示すデータである場合には、第1保留記憶バッファに記憶されている乱数を示すデータが読み出される。一方、保留特定領域に設定されている1番目のデータが「第2」を示すデータである場合には、第2保留記憶バッファに記憶されている乱数を示すデータが読み出される。
ステップS202の処理により読み出されたデータを用いて、CPU56は、特別図柄の変動表示において表示結果として導出表示する特図表示結果を決定する(ステップS203)。例えば、CPU56は、ステップS202の処理で第1保留記憶バッファ又は第2保留記憶バッファから読み出された乱数を示すデータに基づいて、予め用意された特図表示結果決定テーブルを参照することにより、大当りとするか、はずれとするかを決定する。このときには、決定された特図表示結果が大当りであるか否かを判定する(ステップS204)。
ステップS204にて大当りであると判定された場合には(ステップS204;Yes)、大当りフラグをオン状態にセットする(ステップS205)。そして、大当り種別の決定を行う(ステップS206)。本実施例では、通常A1,通常A2,確変A1,通常B1〜通常B6,確変B1〜確変B7の大当り種別が設けられている。大当り種別に応じて、大当り遊技状態(開放制御状態)の終了後における大当り確率(当り後大当り確率)、大当り遊技状態(開放制御状態)の終了後におけるベース状態(当り後ベース)、大当り遊技状態(開放制御状態)の終了後における変動時間(当り後変動時間)、大当り遊技状態(開放制御状態)におけるラウンド数の決定方式(ラウンド数決定方式)、各ラウンドにおける開放状態の上限時間(ラウンド開放時間)が設定される。
図9(A)は、大当り種別ごとの当り後大当り確率、当り後ベース、当り後変動時間、ラウンド数決定方式、ラウンド開放時間の設定例を示している。通常A1,通常A2,通常B1〜通常B6の大当り種別では、確変制御が行われないことから、当り後大当り確率が低確率となる。一方、確変A1,確変B1〜確変B7の大当り種別では、確変制御が行われることから、当り後大当り確率が高確率となる。また、通常A1,通常A2,確変A1の大当り種別では、変動表示の表示結果として導出表示される確定特別図柄に応じて、ラウンド数の上限値が決定される。一方、通常B1〜通常B6,確変B1〜確変B7の大当り種別では、ステージ部400に進入した遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,又は第4特定領域64のいずれに進入(通過)したかに応じて、ラウンド数の上限値が決定される。
図9(B)は、ステップS206の処理による大当り種別の決定例を示している。ステップS206の処理において、CPU56は、大当り種別決定用の乱数を用いて、予め用意された大当り種別決定テーブルを参照することにより、大当り種別を通常A1,通常A2,確変A1,通常B1〜通常B6,確変B1〜確変B7のいずれかに所定割合で決定する。大当り種別決定用の乱数は、第1始動入賞や第2始動入賞が生じた場合に、乱数回路503や所定のカウンタから抽出され、第1保留記憶バッファ又は第2保留記憶バッファに保留データとして記憶された後、ステップS202の処理で読み出されればよい。
各大当り種別には、大当り種別番号「0」〜「15」のいずれかが割り当てられている。ステップS206にて決定された大当り種別に割り当てられている大当り種別番号は、RAM55の所定領域に記憶される(ステップS207)。
ステップS204にて大当りではないと判定された場合や(ステップS204;No)、ステップS207の処理を実行した後には、確定特別図柄を決定する(ステップS208)。例えば、ステップS203にて決定された特図表示結果がはずれである場合には、予め用意されたはずれ図柄を確定特別図柄に決定する。また、ステップS203にて決定された特図表示結果が大当りである場合には、ステップS206の処理で決定された大当り種別に応じて予め用意された大当り図柄を確定特別図柄に決定する。そして、特図プロセスフラグの値を変動パターン設定処理に対応した1に更新してから(ステップS209)、特別図柄通常処理を終了する。
こうして、特別図柄通常処理のステップS206にて大当り種別番号「3」〜「15」が割り当てられた通常B1〜通常B6,確変B1〜確変B7の大当り種別のいずれかに決定され、ステップS208にて大当り種別に対応した大当り図柄が確定特別図柄に決定された場合には、図7に示すステップS114の特別図柄停止処理において、その大当り種別番号に基づく大当り種別に対応した大当り図柄が導出表示される。これにより、大当り遊技状態(開放制御状態)に対応して遊技者にとって有利な遊技価値を付与する契機となる複数種類の所定条件のうち、第1所定条件が成立する。
特別図柄通常処理のステップS206にて大当り種別番号「0」〜「2」が割り当てられた通常A1,通常A2,確変A1の大当り種別のいずれかに決定され、ステップS208にて大当り種別に対応した大当り図柄が確定特別図柄に決定された場合には、図7に示すステップS114の特別図柄停止処理において、その大当り種別番号に基づく大当り種別に対応した大当り図柄が導出表示される。これにより、大当り遊技状態(開放制御状態)に対応して遊技者にとって有利な遊技価値を付与する契機となる複数種類の所定条件のうち、第2所定条件が成立する。
権利発生状態にてステージ部400に進入した遊技球が、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれかに進入したときには、大当り遊技状態(開放制御状態)に制御する契機として成立していた所定条件が第1所定条件であれば、遊技球が進入(通過)した特定領域に応じたラウンド数の上限値が決定される。一方、大当り遊技状態(開放制御状態)に制御する契機として成立していた所定条件が第2所定条件であれば、遊技球が進入(通過)した特定領域にかかわらず、大当り種別に応じた共通のラウンド数の上限値が決定される。本実施例では、ラウンド数の上限値を決定するために、第1所定条件の成立に対応して使用される第1決定用データと、第2所定条件の成立に対応して使用される第2決定用データとを、互いに異なる決定用データとして予め用意している。
図10は、大当り開始前処理として、図7のステップS115にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この大当り開始前処理では、権利発生状態の開始に対応して、玉送出装置70の遮蔽部材75を退避させて閉状態から開状態に切り替える制御を行う。また、ステージ部400に進入した遊技球の検出に対応して、遮蔽部材75を進出させて閉状態に戻すとともに、可動翼65,65の動作を開始させる。加えて、不正検出基板60aからの不正検出信号に基づいて異常の発生を判定し、異常が発生した場合には可動翼65,65の動作を停止させる。
図10に示す大当り開始前処理を開始すると、CPU56は、RAM55の所定領域に設けられた遮蔽部材開放中フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS221)。このとき、遮蔽部材開放中フラグがオフであれば(ステップS221;No)、遮蔽部材開放完了フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS222)。遮蔽部材開放完了フラグがオフである場合には(ステップS222;No)、ソレノイド34を励磁状態にすることなどにより、遮蔽部材75を退避させて玉送出装置70を閉状態から開状態に変化させる遮蔽部材開放制御を行う(ステップS223)。これにより、遊技球が誘導路73に進入することができる。遮蔽部材開放制御に対応して、遮蔽部材開放中フラグをオン状態にセットする(ステップS224)。
ステップS221にて遮蔽部材開放中フラグがオンであるときや(ステップS221;Yes)、ステップS222にて遮蔽部材開放完了フラグがオンであるとき(ステップS222;Yes)、あるいはステップS224の処理を実行した後には、遮蔽部材開放完了フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS225)。ステップS225にて遮蔽部材開放完了フラグがオフである場合には(ステップS225;No)、ステージ部400に進入した遊技球の検出があったか否かを判定する(ステップS226)。このとき遊技球の検出がなければ(ステップS226;No)、大当り開始前処理を終了する。
ステップS226にてステージ部400に進入した遊技球の検出があった場合には(ステップS226;Yes)、ソレノイド34を非励磁状態にすることなどにより、遮蔽部材75を進出させて玉送出装置70を開状態から閉状態に戻す遮蔽部材閉鎖制御を行う(ステップS227)。また、可動部である可動翼65,65の動作を開始させる可動部動作開始制御を行う(ステップS228)。このときには、遮蔽部材開放中フラグをクリアしてオフ状態にするとともに(ステップS229)、遮蔽部材開放完了フラグをオン状態にセットする(ステップS230)。そして、ステージ進入指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS231)。
ステップS225にて遮蔽部材開放完了フラグがオンであるときや(ステップS225;Yes)、ステップS231の処理を実行した後には、不正検出基板60aからの不正検出信号に基づいて不正の検出があったか否かを判定する(ステップS232)。このとき、不正の検出があり異常が発生したと判定された場合には(ステップS232;Yes)、可動部である可動翼65,65の動作を停止させる可動部動作停止制御を行う(ステップS233)。また、不正検知指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS234)。ステップS232にて不正の検出がないときや(ステップS232;No)、ステップS234の処理を実行した後には、特定領域判定処理を実行して(ステップS235)、大当り開始前処理を終了する。
このように、ステップS232の処理により不正の検出があり異常が発生したと判定されたときには、ステップS233の処理により可動部の動作を停止させる。これにより、遊技球が不利領域である第4特定領域64に誘導されやすくなり、制御を複雑にすることなく、好適に不正対策を行うことができる。また、ステップS226の処理によりステージ部400に進入した遊技球の検出があったときに、ステップS228の処理により可動部の動作を開始させる。したがって、ステージ部400に遊技球が進入しなければ、可動部の動作を開始させる制御や、その動作を停止させる制御を行う必要がないので、制御負担が軽減される。
図11は、図10のステップS235にて実行される特定領域判定処理の一例を示すフローチャートである。特定領域判定処理は、ステージ部400に進入した遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,又は第4特定領域64のいずれに進入(通過)したかを判定する処理や、大当り遊技状態(開放制御状態)におけるラウンド数の上限値を決定する処理などを含んでいる。
図11に示す特定領域判定処理を開始すると、CPU56は、特定領域に進入(通過)通過した遊技球の検出があったか否かを判定する(ステップS401)。例えば、第1特定領域スイッチ61a、第2特定領域スイッチ62a、第3特定領域スイッチ63a、及び第4特定領域スイッチ64aからの検出信号に基づいて、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,及び第4特定領域64のいずれかに遊技球が進入(通過)したことを特定すればよい。いずれの特定領域にも遊技球が進入(通過)していない場合には(ステップS401;No)、特定領域通過判定処理を終了する。一方、いずれかの特定領域に進入(通過)した遊技球の検出があった場合には(ステップS401;Yes)、可動部である可動翼65,65の動作を停止させる可動部動作停止制御を行う(ステップS402)。このときには、特定領域通過指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS403)。そして、不正の検出があったか否かを判定する(ステップS404)。
ステップS404にて不正の検出がなく(ステップS404;No)、異常が発生していないと判定した場合には、RAM55の所定領域に記憶した大当り種別番号を読み出す(ステップS405)。そして、読み出した大当り種別番号が「0」〜「2」のいずれかであるか、「0」〜「2」以外であるかを判定する(ステップS406)。大当り種別番号が「0」〜「2」のいずれかである場合には(ステップS406;Yes)、図12(E)に示す領域共通のラウンド数決定テーブルTA05を選択する(ステップS407)。一方、大当り種別番号が「3」〜「15」のいずれかであり「0」〜「2」以外である場合には(ステップS406;No)、遊技球が進入(通過)した特定領域である通過領域に応じて、図12(A)〜(D)に示すラウンド数決定テーブルTA01〜TA04のいずれかを選択する(ステップS408)。
ステップS408の処理では、第1特定領域61における遊技球の進入(通過)に対応して図12(A)に示すラウンド数決定テーブルTA01が選択され、第2特定領域62における遊技球の進入(通過)に対応して図12(B)に示すラウンド数決定テーブルTA02が選択され、第3特定領域63における遊技球の進入(通過)に対応して図12(C)に示すラウンド数決定テーブルTA03が選択され、第4特定領域64における遊技球の進入(通過)に対応して図12(D)に示すラウンド数決定テーブルTA04が選択される。なお、ステップS407の処理でも、第4特定領域64における遊技球の進入(通過)に対応して、図12(D)に示すラウンド数決定テーブルTA04が選択される。あるいは、ステップS407の処理では、第4特定領域64における遊技球の進入(通過)でも、図12(E)に示すラウンド数決定テーブルTA05が選択されてもよい。
ステップS404にて不正の検出があり(ステップS404;Yes)、異常が発生していると判定した場合には、図12(D)に示すラウンド数決定テーブルTA04を選択する(ステップS409)。
図12(A)〜(E)に示すラウンド数決定テーブルTA01〜TA05のうち、例えばラウンド数決定テーブルTA01〜TA03では、図12(A)〜(C)に示すように、大当り種別番号「3」〜「15」に対応して、遊技価値となるラウンドの実行回数を指定するラウンド数指定データが設定されている。一方、ラウンド数決定テーブルTA05では、図12(E)に示すように、大当り種別番号「0」〜「2」に対応して、遊技価値となるラウンドの実行回数を指定するラウンド数指定データが設定されている。なお、ラウンド数決定テーブルTA04では、図12(D)に示すように、大当り種別番号「0」〜「15」に共通して、ラウンドの実行回数を最も少ない5Rに指定するラウンド数指定データが設定されている。
大当り種別番号が「3」〜「15」のいずれかである場合には、遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれを通過したかに応じて、異なるラウンド数に決定されることがある。図12(A)〜(C)に示すラウンド数決定テーブルTA01〜TA03の設定例において、大当り種別番号「4」の場合には、第1特定領域61の通過に対応してラウンド数を15(15R)とするラウンド数指定データD01が設定され、第2特定領域62又は第3特定領域63の通過に対応してラウンド数を10(10R)とするラウンド数指定データD02が設定されている。したがって、大当り種別番号「4」に対応する大当り種別に決定された場合には、第1特定領域61に遊技球が進入(通過)すればラウンドの実行回数が15Rに決定される一方、第2特定領域62又は第3特定領域63に遊技球が進入(通過)すればラウンドの実行回数が10Rに決定される。
大当り種別番号が「0」〜「2」のいずれかである場合には、遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれを通過したかにかかわらず、共通のラウンド数に決定される。図12(C)に示すラウンド数決定テーブルTA05の設定例において、大当り種別番号が「0」または「1」である場合には、ラウンド数を15(15R)とするラウンド数指定データD01が設定され、大当り種別番号が「2」である場合には、ラウンド数を10(10R)とするラウンド数指定データD02が設定されている。
このように、ラウンド数決定テーブルTA01〜TA03を構成するテーブルデータは、大当り種別番号「3」〜「15」のいずれかに対応する大当り種別に決定されたことによる第1条件の成立に対応して用いられ、遊技球が進入(通過)した特定領域(第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれか)ごとに遊技価値が設定されている第1決定用データとなる。一方、ラウンド数決定テーブルTA05を構成するテーブルデータは、大当り種別番号「0」〜「2」のいずれかに対応する大当り種別に決定されたことによる第2条件の成立に対応して用いられ、第1決定用データとは異なる第2決定用データとなる。
ラウンド数決定テーブルTA01〜TA05では、第1所定条件と第2所定条件とが含まれる複数種類の所定条件にわたり、大当り種別番号「0」〜「15」を示す一連の番号データが、特定データとしてのラウンド数指定データに割り振られている。このうち、大当り種別番号「3」〜「15」は、複数種類の所定条件のうち第1所定条件が成立する場合に対応している。大当り種別番号「0」〜「2」は、複数種類の所定条件のうち第2所定条件が成立する場合に対応している。なお、第4特定領域64に対応して設けられたラウンド数決定テーブルTA04では、大当り種別番号「0」〜「15」を示す一連の番号データが特定データに割り振られていてもよいし、大当り種別番号「0」〜「15」の全部に対応する共通データが特定データに割り振られていてもよい。
図12(A)〜(C)に示すラウンド数決定テーブルTA01〜TA03では、大当り種別番号「0」〜「2」を示す番号データに対応して、ラウンド数指定データが未使用に設定されている。ラウンド数決定テーブルTA01〜TA03は、大当り種別番号が「3」〜「15」のいずれかである場合に、図11に示すステップS408の処理にて遊技球が通過した特定領域(通過領域)に応じて選択される。図12(E)に示すラウンド数決定テーブルTA05では、大当り種別番号「3」〜「15」を示す番号データに対応して、ラウンド数指定データが未使用に設定されている。ラウンド数決定テーブルTA05は、大当り種別番号が「0」〜「2」のいずれかである場合に、図11に示すステップS407の処理にて遊技球が通過した特定領域にかかわらず選択される。
大当り種別番号「3」〜「15」は第1所定条件が成立する場合に対応している一方、大当り種別番号「0」〜「2」は第2所定条件が成立する場合に対応している。したがって、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれかを遊技球が通過したときに第1所定条件が成立していた場合に選択されるラウンド数決定テーブルTA01〜TA03では、所定条件のうち第2所定条件の番号データが割り振られた特定データが未使用に設定される。また、特定領域のいずれかを遊技球が通過したときに第2所定条件が成立していた場合に選択されるラウンド数決定テーブルTA05では、所定条件のうち第1所定条件の番号データが割り振られた特定データが未使用に設定される。したがって、第2所定条件が成立していた場合にラウンド数決定テーブルTA01〜TA03のいずれかが誤って選択された場合でも、誤ったラウンド数に応じた遊技価値が付与されてしまうことを防止できる。また、第1所定条件が成立していた場合にラウンド数決定テーブルTA05が誤って選択された場合でも、誤ったラウンド数に応じた遊技価値が付与されてしまうことを防止できる。加えて、各ラウンド数決定テーブルのフォーマットが統一されるので、テーブルデータの作成が複雑化することを防止して、設計負担を軽減させることができる。
ここで、大当り種別番号が「0」〜「2」のいずれかである場合にも、ラウンド数決定テーブルTA01〜TA03のいずれかを選択してラウンド数の決定に使用することも考えられる。この場合には、ラウンド数決定テーブルTA01〜TA03のそれぞれにおいて、大当り種別番号「0」〜「2」を示す番号データに対応して、各大当り種別に応じたラウンド数を指定するラウンド数指定データを設定する必要がある。そのため、ラウンド数指定データの内容に重複が生じて、ラウンド数の決定に使用するデータ容量が増大するおそれがある。また、大当り種別が「0」〜「2」のいずれかである場合にも、遊技球が進入(通過)した特定領域に応じてラウンド数決定テーブルTA01〜TA03のいずれかを選択するために、処理負担が増大するおそれもある。これらの問題は、異なるラウンド数を設定可能な特定領域の数が増大するに従って顕著なものになる。
これに対して、本実施例では、大当り種別番号が「0」〜「2」のいずれかである場合には、遊技球が進入(通過)した特定領域が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれであるかにかかわらず、ラウンド数決定テーブルTA05を使用してラウンド数を決定する。これにより、ラウンド数の決定に使用するデータ容量や処理負担の増大を防止することができる。
なお、大当り種別番号「3」又は「9」の場合のように、遊技球が進入(通過)した特定領域に応じてラウンド数決定テーブルTA01〜TA03のいずれかを選択した場合のうちには、特定領域にかかわらず共通のラウンド数(この例では15R)に決定される場合が含まれていてもよい。すなわち、遊技球が進入(通過)した特定領域にかかわらず共通のラウンド数に決定される大当り種別の全部について、特定領域に応じて異なるラウンド数に決定される大当り種別とは別個の決定用データを使用しなければならないものではなく、少なくとも一部の大当り種別について、特定領域に応じて異なるラウンド数に決定するための第1決定用データとは異なる第2決定用データを用いて、ラウンド数を決定できるものであればよい。もちろん、遊技球が進入(通過)した特定領域にかかわらず共通のラウンド数に決定される大当り種別の全部について、特定領域に応じて異なるラウンド数に決定するための第1決定用データとは異なる第2決定用データを用いて、ラウンド数を決定するものであってもよい。
ステップS407〜S409の処理のいずれかを実行した後、CPU56は、選択したラウンド数決定テーブルを参照することにより、大当り種別番号などに対応したラウンドの実行回数であるラウンド数を決定する(ステップS410)。CPU56は、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,第4特定領域64のいずれかを遊技球が通過する契機として導出表示された大当り表示結果に対応する大当り種別番号を示す番号データに基づいて、特定データとなるラウンド数指定データを参照することにより、大当り遊技状態におけるラウンドの実行回数を決定する。このように、複数設けられた特定領域のいずれかを通過する契機として成立していた所定条件の番号データに基づいて、特定データを参照して遊技者に付与する遊技価値を決定する。
ステップS410の処理に続いて、大当り開始指定コマンドを送信する設定を行う(ステップS411)。また、遮蔽部材開放完了フラグをクリアしてオフ状態にする(ステップS412)。そして、特図プロセスフラグの値を大入賞口開放前処理に応じた6に更新する(ステップS413)。
こうした特定領域通過判定処理において、CPU56は、ステップS405の処理により大当り種別番号を読み出す。このとき読み出された大当り種別番号が「3」〜「15」のいずれかである場合に、ステップS408の処理により遊技球の通過領域(第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,第4特定領域64のいずれか)ごとに予め用意されたラウンド数決定テーブルTA01〜TA04のいずれかが選択される。このうち、例えばラウンド数決定テーブルTA01〜TA03では、図12(A)〜(C)に示すように、大当り種別番号「3」〜「15」に対応して、遊技価値となるラウンドの実行回数を指定するラウンド数指定データが設定されている。CPU56は、ステップS405の処理により読み出された大当り種別番号に基づいて、ステップS408の処理により選択されたラウンド数決定テーブルTA01〜TA04のいずれかを参照することにより、ステップS410の処理にてラウンドの実行回数であるラウンド数を決定する。
また、ステップS405の処理により読み出された大当り種別番号が「0」〜「2」のいずれかである場合には、ステップS407の処理によりラウンド数決定テーブルTA05が選択される。なお、大当り種別番号が「0」〜「2」のいずれかである場合でも、第4特定領域64に遊技球が進入(通過)した場合には、ラウンド数決定テーブルTA04が選択されればよい。ラウンド数決定テーブルTA05では、図12(E)に示すように、大当り種別番号「0」〜「2」に対応して、遊技価値となるラウンドの実行回数を指定するラウンド数指定データが設定されている。CPU56は、ステップS405の処理により読み出された大当り種別番号に基づいて、ステップS407の処理により選択されたラウンド数決定テーブルTA05を参照することにより、ステップS410の処理にてラウンドの実行回数であるラウンド数を決定する。
ラウンド数決定テーブルTA05を用いてラウンド数を決定する場合には、遊技球が進入(通過)した特定領域が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれであるかにかかわらず、共通のラウンド数に決定される。このように、有利領域となる特定領域のいずれに遊技球が進入(通過)した場合でも共通のラウンド数に決定されるので、大当り遊技状態にて払い出される賞球数(又はこれに対応する得点)の上限値を確定することができる。
ラウンド数決定テーブルTA01〜TA05では、大当り種別番号「0」〜「15」を示す一連の番号データが、特定データとなるラウンド数指定データに割り振られている。CPU56は、ラウンド数決定テーブルTA01〜TA05のいずれが選択された場合でも、大当り種別番号に対応する共通のインデックス値を設定することで、決定された大当り種別に応じたラウンド数指定データを読み取ることができる。したがって、ステップS410の処理では、決定された大当り種別にかかわらず共通の処理プログラムを実行することで、ラウンド数決定テーブルのテーブルデータを参照してラウンドの実行回数を決定できる。これにより、ラウンドの実行回数を決定するためのプログラム容量が増大することを防止して、処理負担を軽減することができる。
なお、ステップS404の処理により不正の検出があると判定された場合には、ステップS409の処理によりラウンド数決定テーブルTA04が選択される。ラウンド数決定テーブルTA04では、図12(D)に示すように、大当り種別番号「0」〜「15」にかかわらず、遊技価値となるラウンドの実行回数を最も少ない5Rに指定するラウンド数決定データが設定されている。CPU56は、ステップS409の処理により選択されたラウンド数決定テーブルTA04を参照することにより、ステップS410の処理にて最も低い遊技価値を付与することに決定する。これにより、異常の発生に対応して、好適に不正対策を行うことができる。
ここで、不正の検出があって異常が発生したと判定された場合にも、遊技球が進入(通過)した特定領域ごとにラウンド数を決定するためのラウンド数決定テーブルを使用することも考えられる。この場合には、複数の特定領域に対応して予め用意した複数のラウンド数決定テーブルのそれぞれにおいて、不正検出時に対応したラウンド数指定データを設定する必要がある。そのため、ラウンド数指定データの内容に重複が生じて、ラウンド数の決定に使用するデータ容量が増大するおそれがある。また、遊技球が進入(通過)した特定領域に応じて複数のラウンド数決定テーブルからいずれかを選択するために、処理負担が増大するおそれもある。これらの問題は、特定領域の数が増大するに従って顕著なものになる。
これに対して、本実施例では、不正検出により異常が発生したと判定された場合には、遊技球が進入(通過)した特定領域が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,第4特定領域64のいずれであるかにかかわらず、ラウンド数決定テーブルTA04を使用してラウンド数を決定する。これにより、ラウンド数の決定に使用するデータ容量や処理負担の増大を防止することができる。
次に、演出制御用マイクロコンピュータ100の動作を説明する。演出制御用CPU101は、電源が投入されると、演出制御メイン処理の実行を開始する。演出制御メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(たとえば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行う。その後、演出制御用CPU101は、タイマ割込フラグの監視を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。演出制御メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし、所定の演出制御処理を実行する。
演出制御処理として、演出制御用CPU101は、コマンド解析処理、演出制御プロセス処理、演出用乱数更新処理、保留記憶表示制御処理などを実行する。コマンド解析処理では、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドがどのようなことを指示するコマンドであるかを特定可能なフラグ(コマンド受信フラグ)等のデータをセットする。演出用乱数更新処理では、演出制御用マイクロコンピュータ100が用いる演出用乱数を生成するためのカウント値を更新する。保留記憶表示制御処理では、合算保留記憶表示部18cの表示状態を制御する。
図13は、演出制御処理にて実行する演出制御プロセス処理の一例を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理において、CPU56は、例えば演出制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたRAMの所定領域に設けられた演出プロセスフラグの値といった内部状態に応じて、ステップS170〜S176の処理のいずれかを実行する。
ステップS170の可変表示開始待ち処理は、演出プロセスフラグの値が0であるときに実行される。可変表示開始待ち処理では、遊技制御用マイクロコンピュータ560から変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する。具体的には、コマンド解析処理でセットされる変動パターン指定コマンド受信フラグがセットされているか否か確認する。変動パターン指定コマンドを受信していれば、演出プロセスフラグの値を可変表示開始設定処理に応じた値(この例では1)に更新する。
ステップS171の可変表示開始設定処理は、演出プロセスフラグの値が1であるときに実行される。可変表示開始設定処理では、演出図柄(飾り図柄)の変動表示が開始されるように制御する。このときには、演出図柄の停止図柄(表示結果)が決定される。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560から受信した変動パターン指定コマンドに対応して、演出制御に用いる各種の制御データから構成される演出制御パターンを選択するとともに、変動表示の変動時間を計測する変動表示時間タイマをスタートさせる。そして、演出プロセスフラグの値を可変表示中演出処理に応じた値(この例では2)に更新する。
ステップS172の可変表示中演出処理は、演出プロセスフラグの値が2であるときに実行される。可変表示中演出処理では、変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミングなどを制御するとともに、変動表示時間タイマにより計測された変動時間に基づいて変動表示を終了させるか否かを判定する。なお、変動時間の計測結果とは別に、図柄確定指定コマンドを受信したか否かに基づいて変動表示を終了させるか否かを判定してもよい。変動表示を終了させるときには、演出プロセスフラグの値を可変表示停止処理に応じた値(この例では3)に更新する。
ステップS173の可変表示停止処理は、演出プロセスフラグの値が3であるときに実行される。可変表示停止処理では、演出図柄(飾り図柄)の変動表示を停止し、変動表示の表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う。変動表示の表示結果がはずれ表示結果となったときは、演出プロセスフラグの値を可変表示開始待ち処理に応じた値(この例では0)に更新する。一方、変動表示の表示結果が大当り表示結果となったときには、大当り遊技状態(開放制御状態)に制御する契機となる所定条件の成立に応じた演出画像の表示を含めた大当り導出演出を実行する。そして、権利発生状態の開始に対応して演出プロセスフラグの値を大当り前演出処理に応じた値(この例では4)に更新する。
ステップS174の大当り前演出処理は、演出プロセスフラグの値が4であるときに実行される。大当り前演出処理では、権利発生状態に対応した各種演出(大当り前演出)を実行する制御を行う。そして、特定領域のいずれかに遊技球が進入(通過)したことに応じて、演出プロセスフラグの値を大当り中演出処理に応じた値(この例では5)に更新する。
ステップS175の大当り中演出処理は、演出プロセスフラグの値が5であるときに実行される。大当り中演出処理では、大当り遊技状態(開放制御状態)に対応した大当り中演出を実行する制御を行う。そして、大当り遊技状態(開放制御状態)にて実行されるラウンドの最終回(最終ラウンド)が終了したことに応じて、演出プロセスフラグの値を大当り終了演出処理に応じた値(この例では6)に更新する。
ステップS176の大当り終了演出処理は、演出プロセスフラグの値が6であるときに実行される。大当り終了演出処理では、大当り遊技状態(開放制御状態)の終了に対応した大当り終了演出を実行する制御を行う。そして、演出プロセスフラグの値を可変表示開始待ち処理に応じた値(この例では0)に更新する。
図14は、大当り前演出処理として、図13のステップS174にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。大当り前演出処理では、大当り前演出として予め用意された各種演出の進行状況に応じて、大当り前演出モードを更新し、更新された大当り前演出モードに応じた演出制御を行う。大当り前演出モードは0〜4のいずれかに設定される。
図14に示す大当り前演出処理を開始すると、演出制御用マイクロコンピュータ100の演出制御用CPU101は、大当り前演出モードが0〜4のいずれであるかを判定する(ステップS500)。大当り前演出モードが0である場合には(ステップS500;“0”)、図柄確定指定コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS501)。図柄確定指定コマンドの受信がなければ(ステップS501;No)、大当り前演出処理を終了する。図柄確定指定コマンドの受信があれば(ステップS501;Yes)、右打ち報知演出の実行を開始させる設定を行い(ステップS502)、大当り前演出モードを1に更新する(ステップS503)。例えば、ステップS502の処理では、演出制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたROMに予め記憶されている複数種類の演出制御パターンのうちで、右打ち報知演出用の演出制御パターンを選択し、演出制御プロセスタイマの初期値設定などを行う。
ステップS500にて判定された大当り前演出モードが1である場合には(ステップS500;“1”)、右打ち報知演出を実行するための制御を行う(ステップS511)。例えば、ステップS511の処理では、演出制御プロセスタイマの値を更新し、更新後のタイマ値と合致する演出制御プロセスタイマ判定値に対応する演出制御実行データを演出制御パターンから読み出す。こうして読み出された演出制御実行データに基づいて作成した各種制御信号を、VDP109やランプドライバ基板35、音声出力基板70などに対して伝送させる。これにより、演出表示装置9aの画面上に所定の演出画像を表示させることや、スピーカ27R,27Lから所定の効果音を出力させること、天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの発光体を点灯または点滅または消灯させること、あるいは、これらの一部又は全部を組み合わせることで、所定の演出装置にて右打ち報知演出を実行できればよい。
ステップS511の処理による制御に続いて、ステージ進入指定コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS512)。ステージ進入指定コマンドの受信がなければ(ステップS512;No)、大当り前演出処理を終了する。一方、ステージ進入指定コマンドの受信があった場合には(ステップS512;Yes)、右打ち報知演出の実行を終了させる制御を行う(ステップS513)。そして、複合表示演出の実行を開始させる設定を行い(ステップS514)、大当り前演出モードを2に更新する(ステップS515)。例えば、ステップS515の処理では、演出制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたROMに予め記憶されている複数種類の演出制御パターンのうちで、複合表示演出用の演出制御パターンを選択し、演出制御プロセスタイマの初期値設定などを行う。複合表示演出用の演出制御パターンとして、大当り種別などに対応して予め複数種類のパターンデータが用意されていればよい。
ステップS514の処理による設定で開始される複合表示演出では、大当り種別に対応する大当り種別番号に応じて、有利領域となる特定領域に遊技球が進入(通過)したときに付与される遊技価値となるラウンド数を示唆する演出が実行されてもよい。例えば、大当り種別番号が「0」〜「2」の場合には、図15(A)に示すように、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のそれぞれに対応して「?」を示す演出画像が、透過表示装置9bの画面上における各特定領域の近傍に表示される。大当り種別番号が「3」又は「9」の場合には、図15(B)に示すように、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のそれぞれに対応して「15R」を示す演出画像が、透過画像表示装置9bの画面上における各特定領域の近傍に表示される。大当り種別番号が「4」の場合には、図15(C)に示すように、第1特定領域61に対応して「15R」を示す演出画像、第2特定領域62,第3特定領域63のそれぞれに対応して「10R」を示す演出画像が、透過表示装置9bの画面上における各特定領域の近傍に表示される。
なお、大当り種別番号が「0」〜「2」のいずれかである場合の他にも、例えば大当り開始前処理の実行中に、電源電圧が低下する電断の発生から復旧した場合などでも、ラウンド数を示唆する演出として「?」を示す演出画像が表示されてもよい。例えば演出制御基板80の側において、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のそれぞれに対応するラウンド数を示すデータがバックアップされない場合がある。この場合には、電断の発生から復旧したときに、主基板31から受信した演出制御コマンドにより復旧状態であることが指定されたことに基づいて、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のそれぞれに対応して「?」を示す演出画像が、透過表示装置9bの画面上における各特定領域の近傍に表示されてもよい。
図14に示すステップS500にて判定された大当り前演出モードが2である場合には(ステップS500;“2”)、複合表示演出処理を実行する(ステップS521)。複合表示演出処理では、複合表示演出を実行するための制御が行われる。図16は、ステップS521にて実行される複合表示演出処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示す複合表示演出処理を開始すると、演出制御用CPU101は、例えばステージ球センサ111による遊技球の位置検出信号の入力を受けて、ステージ部400に進入した遊技球であるステージ球の検出結果を取得する(ステップS601)。ステップS601の処理では、ステージ球センサ111から伝送された遊技球の位置検出信号に基づいて、遊技球の軌跡を特定する処理が実行されてもよい。例えば演出制御用CPU101は、位置検出信号に対応する遊技機の位置検出データを演出制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたRAMの所定領域に記憶させておき、以前に記憶させた位置検出データと今回の位置検出信号に対応する位置検出データとの差分から、遊技球の軌跡を特定できればよい。なお、演出制御用CPU101の処理により遊技球の軌跡を特定するものに限定されず、ステージ球センサ111が遊技球の軌跡を特定する機能を有するものでもよい。こうして取得した検出結果に基づいて、遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63といった有利領域となる特定領域のいずれかに接近したか否かを判定する(ステップS602)。いずれかの特定領域に接近したと判定されたときには(ステップS602;Yes)、例えば複合表示演出用の演出制御パターンなどから、特定演出実行データを読み出す(ステップS603)。
ステップS602にて特定領域に接近していないと判定された場合には(ステップS602;No)、可動部である可動翼65,65のいずれかに遊技球が接触したか否かを判定する(ステップS604)。例えば演出制御用CPU101は、遊技球の移動方向や移動速度に対応した動きベクトルの変化量が所定範囲を超えた場合に、遊技球が可動翼65,65のいずれかに接触したことにより移動方向が瞬時に変化したと判断すればよい。可動翼65,65のいずれかに接触したと判定されたときには(ステップS604;Yes)、例えば複合表示演出用の演出制御パターンなどから、接触演出実行データを読み出す(ステップS605)。一方、接触していないと判定されたときには(ステップS604;No)、例えば複合表示演出用の演出制御パターンなどから、転動演出実行データを読み出す(ステップS606)。
このように、ステージ球の位置を検出した結果に応じて、特定演出実行データ、接触演出実行データ、転動演出実行データのいずれかを選択的に読み出す。ここで、特定演出実行データは、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のそれぞれに対応して異なる演出実行データが設けられていればよい。また、大当り種別番号に対応したラウンド数の設定に応じて、異なる演出実行データが設けられていればよい。
図17は、ステージ球の位置検出結果に応じた読出データの設定例を示している。この設定例では、ステージ部400の上表面にて遊技球が転動可能な領域を、複数の領域A01〜A05に予め区画しておく。領域A01〜領域A03は、それぞれ第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63の近傍に設定され、領域A04は、第4特定領域64の付近にて遊技球が可動翼65,65に接触可能な位置に設定されている。領域A05は、領域A01〜領域A04を除くステージ部400の上表面に設定されている。演出制御用CPU101は、ステージ球センサ111を用いて検出した遊技球の位置が、領域A01〜領域A05のいずれに含まれるかを判定し、判定結果に対応して特定演出実行データ、接触演出実行データ、転動演出実行データのいずれかを読み出せばよい。
ステップS603、S605、S606の処理のいずれかを実行した後には、各処理による読出データに応じた演出を実行するための演出実行制御を行う(ステップS607)。例えばステップS603の処理が実行された場合には、特定演出実行データに基づいて作成した各種制御信号を、VDP109やランプドライバ基板35、音声出力基板70などに対して伝送させる。これにより、透過表示装置9bの画面上に所定の演出画像を表示させることや、スピーカ27R,27Lから所定の効果音を出力させること、天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの発光体を点灯または点滅または消灯させること、あるいは、これらの一部又は全部を組み合わせることで、所定の演出装置にて複合表示演出に含まれる特定演出を実行できればよい。あるいは、ステップS605の処理が実行された場合には、接触演出実行データに基づいて作成した各種制御信号を、VDP109やランプドライバ基板35、音声出力基板70などに対して伝送させる。これにより、透過表示装置9bの画面上に所定の演出画像を表示させることや、スピーカ27R,27Lから所定の効果音を出力させること、天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの発光体を点灯または点滅または消灯させること、あるいは、これらの一部又は全部を組み合わせることで、所定の演出装置にて複合表示演出に含まれる接触演出を実行できればよい。あるいは、ステップS606の処理が実行された場合には、転動演出実行データに基づいて作成した各種制御信号を、VDP109やランプドライバ基板35、音声出力基板70などに対して伝送させる。これにより、透過表示装置9bの画面上に所定の演出画像を表示させることや、スピーカ27R,27Lから所定の効果音を出力させること、天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの発光体を点灯または点滅または消灯させること、あるいは、これらの一部又は全部を組み合わせることで、所定の演出装置にて複合表示演出に含まれる転動演出を実行できればよい。
ステップS607の処理による演出実行制御に続いて、不正検出指定コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS608)。不正検出指定コマンドの受信があれば(ステップS608;Yes)、透過表示装置9bの画面上における表示演出を停止する制御を行う(ステップS609)。このときには、表示演出停止フラグをオン状態にセットした後(ステップS610)、大当り前演出モードを3に更新する。
ステップS608にて不正検出指定コマンドの受信がない場合には(ステップS608;No)、特定領域通過指定コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS612)。特定領域通過指定コマンドの受信がなければ(ステップS612;No)、複合表示演出処理を終了する。一方、特定領域指定コマンドの受信があれば(ステップS612;Yes)、複合表示演出の実行を終了させる制御を行う(ステップS613)。そして、ラウンド数報知演出の実行を開始させる設定を行い(ステップS614)、大当り前演演出モードを4に更新する(ステップS615)。
図14に示すステップS500にて判定された大当り前演出モードが3である場合には(ステップS500;“3”)、特定領域通過指定コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS531)。特定領域通過指定コマンドの受信がなければ(ステップS531;No)、大当り前演出処理を終了する。一方、特定領域通過指定コマンドの受信があれば(ステップS531;Yes)、大当り前演出モードを4に更新する(ステップS532)。
ステップS500にて判定された大当り前演出モードが4である場合には(ステップS500;“4”)、表示演出停止フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS541)。このとき、表示演出停止フラグがオフであれば(ステップS541;No)、ラウンド数報知演出を実行するための演出実行制御を行う(ステップS542)。一方、表示演出停止フラグがオンであれば(ステップS541;Yes)、ステップS542の処理を実行せず、ラウンド数報知演出を実行しないようにする。その後、大当り開始指定コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS543)。大当り開始指定コマンドの受信がない場合には(ステップS543;No)、大当り前演出処理を終了する。
ステップS543にて大当り開始指定コマンドの受信があった場合には(ステップS543;Yes)、ラウンド数報知演出の実行を終了させる制御を行う(ステップS544)。そして、大当り中演出の実行を開始させる設定を行い(ステップS545)、大当り前演出モードを0に更新するとともに(ステップS546)、演出プロセスフラグの値を大当り中演出処理に応じた0の値に更新する(ステップS547)。ステップS545の処理では、表示演出停止フラグがオンである場合に、表示演出停止フラグをクリアしてオフ状態にしてもよい。
図18は、複合表示演出として転動演出が実行される具体例を示している。転動演出では、ステージ球センサ111による遊技球の検出結果に基づいて遊技球の転動方向や転動速度を特定し、その特定結果に応じて演出態様を異ならせてもよい。一例として、転動速度が所定速度未満である低速時には、図18(A)に示すように、遊技球の軌跡を比較的に短く示す演出画像を透過表示装置9bの画面上に表示させる。一方、転動速度が所定速度以上である高速時には、図18(B)に示すように、遊技球の軌跡を比較的に長く示す演出画像を透過表示装置9bの画面上に表示させる。演出制御用CPU120は、図16に示すステップS606の処理において、遊技球の転動速度に応じた転動演出実行データを読み出し、VDP109によって異なる画像データの使用を指示することで、転動演出における演出態様を異ならせることができればよい。
図19は、複合表示演出として特定演出が実行される具体例を示している。特定演出では、ステージ球センサ111による遊技球の検出結果に基づいて、遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれに接近したかによって、演出画像の表示色といった演出態様を異ならせてもよい。例えば、大当り種別番号「8」又は「15」の大当り種別に対応して、第1特定領域61に進入したときは5R、第2特定領域62に進入したときは10R、第3特定領域63に進入したときは15Rに決定されるものとする(図12(A)〜(C)を参照)。この場合、図17に示すような領域A05にて遊技球が検出されたときには、図19(A)に示すように通常表示色(例えば白色)で遊技球の軌跡を示す演出画像が透過表示装置9bの画面上に表示される。一方、図17に示すような第1特定領域61の近傍に設定された領域A01にて遊技球が検出されたことに対応して、図19(B)に示すように第1特定表示色(例えば青色)で遊技球の軌跡を示す演出画像が透過表示装置9bの画面上に表示される。こうした第1特定表示色で遊技球の軌跡を演出表示することで、第1特定演出が実行される。また、図17に示すような第3特定領域63の近傍に設定された領域A03にて遊技球が検出されたことに対応して、図19(C)に示すような第1特定表示色とは異なる第3特定表示色(例えば赤色)で遊技球の軌跡を示す演出画像が透過表示装置9bの画面上に表示される。こうした第3特定表示色で遊技球の軌跡を演出表示することで、第3特定演出が実行される。第2特定領域62の近傍に設定された領域A02にて遊技球が検出されたことに対応して、第1特定表示色や第3特定表示色とは異なる第2特定表示色(例えば黄色)で遊技球の軌跡を示す演出画像が透過表示装置9bの画面上に表示されればよい。こうした第2特定表示色で遊技球の軌跡を演出表示することで、第2特定演出が実行される。
図17に示すような特定領域の近傍に設定された領域A01〜領域A03に対応した特定演出の演出態様は、大当り種別の決定結果に応じて異ならせてもよい。例えば遊技球が進入(通過)したときにラウンド数が5Rに決定される特定領域の近傍では第1特定表示色で遊技球の軌跡を演出表示する一方、ラウンド数が10Rに決定される特定領域の近傍では第2特定表示色で遊技球の軌跡を演出表示し、ラウンド数が15Rに決定される特定領域の近傍では第3特定表示色で遊技球の軌跡を演出表示してもよい。このように、遊技球が進入(通過)したときに付与される遊技価値の大きさに応じて特定演出の演出態様を異ならせることにより、特定領域に対応して付与される遊技価値に対する遊技者の期待感を高めて、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、ステージ部400において、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63の近傍には、図17に示すような領域A01〜領域A03を分離するように区画するように、図20に示すようなリブが設けられてもよい。この場合、ステージ球センサ111とは別個のセンサを用いて、領域A01〜領域A03を分離するリブの一端側(図20に示す例の左端側)にて遊技球の通過を検出するようにしてもよい。例えば図20に示すように、第3特定領域63の近傍に設定された領域A03を区画するリブの左端側にて、領域A03に向かう遊技球の通過が検出されたときには、第3特定表示色で遊技球の軌跡を演出表示すればよい。
図21は、複合表示演出として接触演出が実行される具体例を示している。接触演出では、ステージ球センサ111による遊技球の検出結果に基づいて遊技球の転動方向や転動速度の変化量が所定範囲を超えたことに対応して、転動演出とは異なる演出態様の表示演出が行われる。例えば図17に示すような領域A05における遊技球の検出に対応して図21(A)に示すような転動演出が実行された後、遊技球が可動翼65,65のいずれかに接触したことが検出されたときには、図21(B)に示すように転動演出とは異なる演出態様で遊技球の接触を示す演出画像が透過表示装置9bの画面上に表示される。こうした演出画像の表示による接触演出は、図16に示すステップS605の処理によって読み出された接触演出実行データに応じて所定時間にわたり実行される。これにより、例えば図21(C)に示すように、可動翼65,65のいずれかに接触したことにより領域A05へ戻された遊技球の検出に対応した転動演出が行われるときにも、接触演出に含まれる演出画像の表示が継続して行われるようにしてもよい。このような接触演出が実行されることで、遊技球が可動翼65,65のいずれかに接触して有利領域となる特定領域に向けて弾かれたことを遊技者が容易に認識することができ、有利領域に遊技球が進入(通過)して高い遊技価値が付与されることに対する期待感を高めることができる。
図22は、ラウンド数報知演出が実行される実行例を示している。ラウンド数報知演出では、有利領域となる特定領域のいずれかに進入(通過)した遊技球の検出に対応して、大当り遊技状態(開放制御状態)におけるラウンドの実行回数が報知される。例えば図17に示すような第3特定領域63の近傍に設けられた領域A03における遊技球の検出に対応して図22(A)に示すような第3特定演出が実行された後、第3特定領域63に進入(通過)した遊技球が検出されたときには、図22(B)に示すようにラウンドの実行回数として15Rを示す演出画像が、第3特定領域63の近傍における透過表示装置9bの画面上に表示される。演出制御用CPU120は、図16に示すステップS614の処理において、大当り種別や遊技球が進入(通過)した特定領域に応じたラウンド数報知演出実行データを読み出し、VDP109によって異なる画像データの使用を指示することで、ラウンド数報知演出における演出態様を異ならせることができればよい。
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えばパチンコ遊技機1は、上記実施の形態で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。
具体的な一例として、上記実施の形態では、大当り種別に対応して遊技球が進入(通過)した特定領域ごとにラウンドの実行回数を決定する場合と、遊技球が進入(通過)した特定領域にかかわらず大当り種別に応じたラウンドの実行回数を決定する場合とを設け、さらに、遊技球がステージ部400に進入したときに、透過表示装置9bの画面上に演出画像を表示することによる複合表示演出などを実行するものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、大当り種別や特定領域に応じたラウンドの実行回数を決定する構成と、透過表示装置9bの画面上に演出画像を表示する構成のうち、いずれか一方を備えるが他方を備えないものとしてもよい。
上記実施の形態では、大当り種別や特定領域に応じた遊技価値として、大当り遊技状態(開放制御状態)におけるラウンドの実行回数が決定されるものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、例えば大当り遊技状態における賞球の払出数(又は、これに対応する得点の増加数)、大当り遊技状態における各回のラウンドにて大入賞口が開放状態となる上限時間、確変状態などの特別遊技状態に制御するか否か、時短状態にて実行可能な変動表示の上限回数、確変状態における大当り確率、通常状態に制御されることなく大当り遊技状態が繰返し制御される回数である連チャン回数、あるいは、これらの一部又は全部の組合せといった、大当り表示結果が導出表示されたことに基づく大当り遊技状態(開放制御状態)に対応して遊技者に付与される任意の遊技価値が決定されるものであってもよい。
こうしたパチンコ遊技機1による遊技の進行に影響する遊技価値に代えて、あるいは遊技の進行に影響する遊技価値とともに、遊技の進行に影響しない所定の価値が、大当り種別や特定領域に応じて決定されてもよい。一例として、大当り中演出として出現する可能性が低くなるように設定された特別な演出画像(プレミア画像など)を表示するか否かや、演出画像の表示とともに特別な音声(プレミア音声など)を出力するか否かなどを、大当り種別や特定領域に応じて異なる割合あるいは一部又は全部が共通する割合で、決定してもよい。プレミア画像やプレミア音声に限定されず、例えば大当り遊技状態(開放制御状態)における大当り中演出として表示される演出画像(動画像又はアニメーション画像など)や効果音(楽曲など)が、大当り種別や特定領域に応じて決定されてもよい。プレミア画像などの特別な演出画像の表示や特別な音声の出力といった特別な演出(プレミア演出)に代えて、あるいはプレミア演出とともに、所定の2次元バーコードを含む演出画像を表示可能なものであってもよい。この2次元バーコードを遊技者が携帯端末機を用いて撮影することなどにより、特典画像や特典楽曲その他の特典(ポイントなど)を取得(例えば携帯端末機にダウンロード)できればよい。この場合、大当り種別や特定領域に応じて、特典の内容が異なる、あるいは一部又は全部の内容が共通するといった、所定の特典が付与されればよい。他の一例として、予告演出やリーチ演出といった演出図柄の変動表示中に実行される各種演出の内容を、演出の進行状況や特定領域に応じて異なる割合あるは一部又は全部が共通する割合で、決定してもよい。さらに他の一例として、演出図柄の変動表示にかかわらず表示される背景画像などに応じた演出モードを、演出の進行状況(例えばリーチ演出の内容など)や特定領域に応じて異なる割合あるは一部または全部が共通する割合で、決定してもよい。このように、遊技球が特定領域に進入(通過)したことに基づいて付与される価値は、遊技価値に限定されず、パチンコ遊技機1における演出上の価値などを含んでいてもよい。
上記実施の形態では、ラウンド数決定テーブルTA01〜TA03やラウンド数決定テーブルTA05において、各ラウンド数決定テーブルが選択され得ない所定条件の番号データが割り振られた特定データを未使用に設定することで、各テーブルのフォーマットを統一し、誤ったテーブルが選択された場合に誤ったラウンド数に応じた遊技価値が付与されてしまうことを防止している。しかしながら、この発明はこれに限定されず、各ラウンド数決定テーブルが選択され得ない所定条件の番号データや特定データを設けないようにしてもよい。この場合には、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれかに進入(通過)した遊技球の検出に対応して、各ラウンド数決定テーブルに格納された特定データをアドレス指定するときに、大当り種別番号「0」〜「2」のいずれかに対応した大当り種別が決定されている場合と、大当り種別番号「3」〜「15」のいずれかに対応した大当り種別が決定されている場合とに応じて、インデックス値の設定を異ならせればよい。例えば、大当り種別番号「0」〜「2」のいずれかに対応した大当り種別が決定されている場合には、ラウンド数決定テーブルTA05に格納された特定データを読み出すためのインデックス値として、大当り種別番号と同一の値が設定される。一方、大当り種別番号「3」〜「15」のいずれかに対応した大当り種別が決定されている場合には、ラウンド数決定テーブルTA01〜TA03に格納された特定データを読み出すためのインデックス値として、大当り種別番号から3を減算した値が設定される。これにより、大当り種別番号が「3」〜「15」のいずれかに対応した大当り種別が決定された場合でも、ラウンド数決定テーブルTA01〜TA03の先頭アドレスを基準に、所定条件の番号データに対応する特定データであるラウンド数指定データを読み出すことができればよい。このように、未使用の特定データを設けないようにすることで、各ラウンド数決定テーブルを構成するテーブルデータの記憶容量を削減できる。
ただし、パチンコ遊技機1では、大当り遊技状態におけるラウンドの実行回数を決定するとき以外にも、例えば大当り種別に対応した大当り図柄を決定した後、確変制御の有無や時短制御を行う変動表示の回数(残り回数の初期値)を設定するときなどに、大当り種別番号に対応する大当り図柄に応じて各種の決定を行う場合がある。このような場合に、未使用のデータを設けない構成では、大当り種別番号(これに対応する大当り図柄でもよい)から各種決定テーブルの読出アドレスを特定するための変換テーブルを別個に用意したり、インデックス値を減算するための処理を実行したりすることが必要になると考えられる。こうした未使用のデータを設けるか否かに応じたデータ容量や処理負担の増減を勘案して、いずれの構成を適用するかが決定されればよい。
上記実施の形態では、大当り表示結果となる大当り図柄が導出表示されたときに決定されている大当り種別に応じて、第1所定条件と第2所定条件とが含まれる複数種類の所定条件のいずれかが成立するものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、所定条件は、特定領域のいずれかに遊技球が進入(通過)する契機として成立し得る複数種類の条件として、予め任意に設定されたものであればよい。一例として、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態(開放制御状態)であるときに、複数回のラウンドが実行されるごとに所定条件が成立し、玉送出装置70の遮蔽部材75が退避して開状態となるようにしてもよい。この場合、特定領域のいずれかに遊技球が進入(通過)したときのラウンド数に応じて、異なる所定条件が成立することになり、特定領域ごとに遊技価値を決定する場合と、特定領域にかかわらず遊技価値を決定する場合とを設けてもよい。遊技価値の具体例としては、大当り遊技状態にて開放状態となる複数の大入賞口のうち、遊技球が進入することで確変状態に制御するための確変制御条件が成立する大入賞口(確変アタッカー)を開放状態とする上限時間(例えば0.5秒、5秒、29秒のいずれか)を、遊技球が進入(通過)した特定領域ごとに決定できるものであればよい。あるいは、大当り遊技状態の終了後に制御される確変状態における大当り確率(例えば1/10,1/30,1/100のいずれか)を、遊技球が進入(通過)した特定領域ごとに決定できるものであってもよい。
所定条件に関する他の一例として、演出図柄がリーチ状態となったときに所定条件が成立し、玉送出装置70の遮蔽部材75が退避して開状態となるようにしてもよい。この場合、リーチ状態で停止表示(仮停止表示)された演出図柄の種類に応じて、異なる所定条件が成立することになり、特定領域ごとにリーチ演出の内容を決定する場合と、特定領域にかかわらずリーチ演出の内容を決定する場合とを設けてもよい。
上記実施の形態では、図16に示すステップS604の処理により可動部となる可動翼65,65のいずれかに遊技球が接触したと判定されたときに、ステップS605の処理で読み出した接触演出実行データを用いて接触演出が実行されるものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、例えばステージ部400の側壁といった、所定部位に遊技球が接触したときにも接触演出が実行されてもよい。ステージ部400の上表面に可動翼65,65とは異なる障害物を設けて、この障害物に遊技球が接触したときに接触演出が実行されてもよい。
上記実施の形態では、図16に示すステップS608の処理により不正検出指定コマンドの受信があると判定されたときに、ステップS609の処理により透過表示装置9bの画面上における演出画像の表示を停止させることで、透過表示演出やラウンド数報知演出の実行に制限を設けるものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、例えば透過表示装置9bの画面上に表示する演出画像の透明度を高めたり、演出画像を縮小表示するなどして、遊技者が認識しにくい態様で演出画像を表示させることで、演出の実行に制限を設けてもよい。あるいは、遊技球の軌跡を演出表示するための演出画像は表示を停止させる一方、ラウンド数を報知する演出画像は表示させてもよい。これとは逆に、遊技球の軌跡を演出表示するための演出画像は表示させる一方、ラウンド数を報知する演出画像は表示を停止させてもよい。これらのように、一部の演出画像について表示を停止させることで、演出の実行に制限を設けてもよい。異常が発生したと判定されたときにラウンド数を報知する演出画像の表示を停止させるように制限を設けることで、遊技者が意図しない異常の発生によりラウンドの実行回数が最も少ない回数に決定された場合などに、遊技者に不信感を与えることを防止できる。
異常が発生したと判定された場合に対応して、透過表示装置9bの画面上に所定の警告画像が表示されてもよい。例えば、ステップS609の処理により演出画像の表示を停止させるときに、透過表示装置9bの画面全体を予め定められた警告表示色(赤色など)とする制御が行われてもよい。これにより、異常の発生を容易に認識することができ、好適に不正対策を行うことができる。
上記実施の形態では、第4特定領域64に遊技球が進入(通過)した場合や、不正の検出により異常が発生したと判定された場合に、最も低い遊技価値として、全部の大当り遊技状態に共通して最も少ないラウンドの実行回数となる5Rに決定されるものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、例えば大当り種別ごとに第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれかに進入(通過)した遊技球が検出されたときに決定されるラウンドの実行回数のうちで、最も少ないラウンド数を、最も低い遊技価値として設定してもよい。例えば図12に示すラウンド数決定テーブルの設定において、大当り種別番号が「0」、「1」、「3」、「9」のいずれかである場合には、遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれに進入(通過)した場合でも、ラウンド数が15Rに決定される。これらの場合には、第4特定領域64に遊技球が進入(通過)したときや、不正の検出により異常が発生したと判定されたときにも、最も低い遊技価値として、ラウンド数が15Rに決定されてもよい。また、大当り種別番号が「4」〜「6」、「12」、「13」のいずれかである場合には、遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれかに進入(通過)したときに決定される最も少ないラウンド数が10Rとなる。これらの場合には、第4特定領域64に遊技球が進入(通過)したときや、不正の検出により異常が発生したと判定されたときにも、最も低い遊技価値として、ラウンド数が10Rに決定されてもよい。あるいは、第4特定領域64に遊技球が進入(通過)した場合には、大当り種別ごとに第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63と対応する最も少ないラウンド数に決定される一方、不正の検出により異常が発生したと判定された場合には、全部の大当り遊技状態に共通して最も少ないラウンド数である5Rに決定されてもよいし、この逆であってもよい。こうしたラウンド数の決定を行うために、大当り種別番号ごとに最も少ないラウンド数を設定するためのテーブルデータ(設定データ)が、予め用意されていればよい。
上記実施の形態では、特別図柄の変動表示において大当り表示結果となる大当り図柄が導出表示されたことに基づいて所定条件が成立し、ステージ部400に進入した遊技球が複数の特定領域のいずれかに進入したことに基づいて、大当り遊技状態におけるラウンドの実行といった遊技価値が付与されるものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、例えば特別図柄の変動表示において小当り表示結果となる小当り図柄が導出表示されたことに基づいて所定条件が成立し、ステージ部400に進入した遊技球が複数の特定領域のいずれかに進入したことに基づいて大当り遊技状態に制御され、ラウンドの実行といった遊技価値が付与されるものでもよい。この場合には、小当り表示結果として、複数種類の小当り種別に対応する複数種類の小当り図柄を用意しておき、小当り種別の決定結果に応じて第1所定条件が成立した場合には、遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれかに進入(通過)したときに、上記実施の形態と同様にラウンド数決定テーブルTA01〜TA03のいずれかを選択して、遊技球が進入(通過)した特定領域ごとのラウンド数といった遊技価値を決定してもよい。一方、小当り種別の決定結果に応じて第2所定条件が成立した場合には、遊技球が第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれに進入(通過)したかにかかわらず、上記実施の形態と同様にラウンド数決定テーブルTA05を選択して、第2所定条件に応じたラウンド数といった遊技価値を決定してもよい。また、小当り種別の決定結果に応じて玉送出装置70の遮蔽部材75を退避させて開状態とする開放パターンを異ならせてもよい。小当り表示結果が導出表示されてから所定期間にてステージ部400に進入する遊技球が検出されなかったときには、遮蔽部材75を進出させて玉送出装置70を閉状態とし、次回の変動表示を開始可能に制御すればよい。
あるいは、特別図柄の変動表示が行われないパチンコ遊技機1において、玉送出装置70の球入口71が大入賞口の1つを形成するものであってもよい。この場合、第1始動入賞口13又は第2始動入賞口14のいずれかに入賞した遊技球が検出されたことに基づいて、玉送出装置70の遮蔽部材75を所定の開放パターンに従って退避させることで開状態とし、所定期間が終了すると遮蔽部材75を進出させて閉状態に戻す。ステージ部400には、特定領域の他に遊技球が進入(通過)可能な通常領域を設け、ステージ部400に遊技球が進入しなかった場合や、ステージ部400に進入した遊技球が通常領域に進入(通過)した場合には、大当り遊技状態に制御しない。すなわち、ステージ部400に設けられた複数の特定領域をV入賞口として、特定領域に進入(通過)した遊技球の検出に基づいて、大当り遊技状態に制御されてもよい。この場合、大当り遊技状態におけるラウンド数の上限値は、第1始動入賞口13又は第2始動入賞口14のいずれかに入賞した遊技球が検出されたときに、所定のラウンド数決定用乱数を用いて決定されてもよい。ステージ部400に進入した遊技球が特定領域に進入(通過)することでV入賞が発生したときには、例えばステージ部400が設けられる内部空間の構造を遊技球が特定領域に進入しがたい構造とするラウンドの回数を、遊技球が進入(通過)した特定領域に応じて決定可能にしてもよい。大当り遊技状態では玉送出装置70における大入賞口となる球入口71を開状態とするラウンドが実行され、ステージ部400に進入した遊技球が特定領域に進入(通過)した場合には次回のラウンドが実行されるラウンド継続条件が成立する一方、特定領域に遊技球が進入(通過)しなかった場合にはラウンド継続条件が不成立となり大当り遊技状態が終了してもよい。このように、遊技球が特定領域に進入(通過)しなくても、ラウンド数の上限値といった所定の遊技価値が決定される一方で、遊技球が進入(通過)した特定領域に応じて、ステージ部400が設けられる内部空間の構造によるラウンド継続条件の成立しやすさといった、特定の遊技価値が決定されてもよい。また、遊技球が進入(通過)した特定領域にかかわらずラウンド数の決定結果に応じてラウンド継続条件の成立しやすさといった、特定の遊技価値が決定される場合を設けたものでもよい。
上記実施の形態では、遊技領域7に発射された遊技球がステージ部400に進入して、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63,第4特定領域64といった複数の特定領域のいずれかに誘導されるものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、遊技の進行にかかわりのない演出用の球やコイン(演出装置に封入された演出用遊技媒体)、遊技領域7から排出されて遊技の対象から外れた元遊技球(いわゆる死に玉)といった遊技媒体を、特定領域を含む複数の領域に誘導する遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば特別図柄の変動表示において大当り表示結果となる大当り図柄が導出表示されるときに、擬似的に演出用の球を特定領域に誘導し、いずれかの特定領域に進入(通過)することで大当りとなることを報知する演出が行われてもよい。このような遊技媒体が進入するステージ部において、遊技媒体が進入(通過)した特定領域に応じた遊技価値が遊技者に付与されることを報知する場合と、遊技媒体が進入(通過)した特定領域にかかわらず大当り種別などの決定結果に応じた遊技価値が遊技者に付与されることを報知する場合とを設けたものでもよい。
また、遊技媒体として遊技球を遊技領域7に発射して所定の遊技を行い、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値が付与可能となるパチンコ遊技機1に限定されず、例えば複数種類の識別情報となる図柄の可変表示といった所定の遊技を行い、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値を付与可能となる任意の遊技機に適用することもできる。より具体的には、1ゲームに対して所定の賭数(メダル枚数またはクレジット数)を設定することによりゲームが開始可能になるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報(図柄)を可変表示する可変表示装置(例えば複数のリールなど)の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、その表示結果に応じて入賞(例えばチェリー入賞、スイカ入賞、ベル入賞、リプレイ入賞、BB入賞、RB入賞など)が発生可能とされたスロットマシンにも本発明を適用できる。例えば、BETされたコインや、演出用の球やコイン(演出装置に封入された演出用遊技媒体)といった遊技媒体を、特定領域を含む複数の領域に誘導して遊技の結果を報知するスロットマシンにも、本発明を適用することができる。例えば事前決定された遊技結果(役の発生の有無など)に基づき、擬似的に演出用の球を特定領域に誘導し、いずれかの特定領域に進入(通過)することで遊技者に有利な状態の発生を報知する演出が行われてもよい。遊技者に有利な状態は、役の入賞に限らず、変動表示されている図柄を停止させる手順を報知して所定役の入賞が発生しやすくするアシストタイムの有無やアシストタイムが継続する変動表示回数など、演出制御基板の側で決定可能な状態であってもよい。このような遊技媒体が進入するステージ部において、遊技媒体が進入(通過)した特定領域に応じた遊技価値が遊技者に付与されることを報知する場合と、遊技媒体が進入(通過)した特定領域にかかわらず内部抽選結果などに応じた遊技価値が遊技者に付与されることを報知する場合とを設けたものでもよい。
上記実施の形態では、変動時間や演出図柄の変動態様などを示す変動パターンを演出制御基板80に搭載された演出制御用マイクロコンピュータ100に通知するために、変動を開始するときに1つの変動パターンコマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータ100に通知してもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、遊技制御用マイクロコンピュータ560のCPU56は、1つ目のコマンドでは擬似連の有無、滑り演出の有無等、リーチとなる以前(リーチとならない場合には、いわゆる第2停止の前)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降(リーチとならない場合には、いわゆる第2停止の後)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信してもよい。この場合、演出制御基板80では、例えば演出制御用マイクロコンピュータ100の演出制御用CPU101が2つのコマンドの組合せから導かれる変動時間にもとづいて変動表示における演出制御を行うようにすればよい。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560の方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様については演出制御用マイクロコンピュータ100の方で選択を行うようにしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信してもよいし、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(例えば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信してもよい。なお、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知する様にすることで、変動パターンコマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
その他にも、遊技機の装置構成やデータ構成、フローチャートで示した処理、各種遊技や演出の決定割合、演出表示装置9aや透過表示装置9bにおける演出画像の表示動作、スピーカ27L,27Rにおける音声出力動作さらには天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの発光体における点灯動作を含めた各種の演出動作などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変更および修正が可能である。加えて、本発明の遊技機は、入賞の発生に基づいて所定数の遊技媒体を景品として払い出す払出式遊技機に限定されるものではなく、遊技媒体を封入し入賞の発生に基づいて得点を付与する封入式遊技機にも適用することができる。
本発明を実現するためのプログラムおよびデータは、例えばパチンコ遊技機1などの遊技機に含まれるコンピュータ装置などに対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置などの有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採っても構わない。さらに、本発明を実現するためのプログラムおよびデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採っても構わない。
そして、ゲームの実行形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行うことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。
以上説明したように、上記実施の形態におけるパチンコ遊技機1などの遊技機では、大当り種別番号が「3」〜「15」のいずれかに対応する大当り種別に決定されて第1所定条件が成立した場合には、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれかに遊技球が進入(通過)したときに、図11に示すステップS408の処理によりラウンド数決定テーブルTA01〜TA03から選択したテーブルデータを参照する。こうして、ステップS410では、遊技球が進入(通過)した特定領域ごとに遊技価値となるラウンドの実行回数を決定する。一方、大当り種別が「0」〜「2」のいずれかに対応する大当り種別に決定されて第2所定条件が成立した場合には、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれに遊技球が進入(通過)したかにかかわらず、図11に示すステップS407の処理によりラウンド数決定テーブルTA05を選択してテーブルデータを参照し、ステップS410にてラウンドの実行回数を決定する。これにより、第2所定条件が成立したときにも特定領域ごとに遊技価値を決定するためのデータを使用する場合と比較して、遊技価値の決定に使用されるデータ容量や処理負担を軽減させることができる。
図12に示すラウンド数決定テーブルの設定例では、例えば大当り種別番号「4」に対応する大当り種別に決定されて第1所定条件が成立した場合のように、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のうち、一部の特定領域に遊技球が進入(通過)したときには、他の特定領域に遊技球が進入(通過)したときとは異なるラウンド数に決定される。一方、大当り種別番号「0」〜「2」のいずれかに対応する大当り種別に決定されて第2所定条件が成立した場合には、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれに遊技球が進入(通過)したかにかかわらず共通のラウンド数に決定される。このように、遊技価値の決定に使用されるデータ容量や処理負担を軽減しつつ、第1所定条件と第2所定条件のいずれが成立していたかに応じて好適な遊技価値の決定を行うことができる。
第1特別図柄表示器8a,第2特別図柄表示器8bにおける特別図柄の変動表示では、大当り種別番号「0」〜「15」のいずれかに対応する大当り種別の決定結果に応じて、予め定められた大当り図柄が導出表示される。したがって、大当り種別番号「3」〜「15」に対応した大当り図柄が導出表示されたときには第1所定条件が成立する一方、大当り種別番号「0」〜「2」に対応した大当り図柄が導出表示されたときには第2所定条件が成立する。このように、導出表示された大当り図柄に応じて第1所定条件又は第2所定条件が成立するものにおいて、遊技価値の決定に使用されるデータ容量や処理負担を軽減させることができる。
ラウンド数決定テーブルTA01〜TA05では、大当り種別番号「0」〜「15」を示す一連の番号データが、特定データとなるラウンド数指定データに割り振られている。大当り種別番号「3」〜「15」は第1所定条件が成立する場合に対応している一方、大当り種別番号「0」〜「2」は第2所定条件が成立する場合に対応している。図11に示すステップS410の処理では、決定された大当り種別に対応する大当り種別番号を示す番号データに基づいて、特定データとなるラウンド数指定データを読み取ることによってラウンド数が決定される。これにより、決定された大当り種別にかかわらず共通の処理プログラムを実行することで遊技価値を決定可能として、データ容量や処理負担を軽減させることができる。
ラウンド数決定テーブルTA01〜TA03では、第2所定条件が成立する場合に対応した大当り種別番号「0」〜「2」を示す番号データが、未使用に設定されたラウンド数指定データに割り振られている。ラウンド数決定テーブルTA05では、第1所定条件が成立する場合に対応した大当り種別番号「3」〜「15」を示す番号データが、未使用に設定されたラウンド数指定データに割り振られている。したがって、大当り種別番号「0」〜「2」のいずれかに対応する大当り種別が決定された場合に、ラウンド数決定テーブルTA01〜TA03のいずれかが誤って選択されても、誤ったラウンド数指定データを用いてラウンド数が決定されてしまうという不都合を防止できる。また、大当り種別番号「3」〜「15」のいずれかに対応する大当り種別が決定された場合に、ラウンド数決定テーブルTA05が誤って選択されても、誤ったラウンド数指定データを用いてラウンド数が決定されてしまうという不都合を防止できる。このように、第1所定条件や第2所定条件が成立したときに誤った特定データを用いて遊技価値が決定されてしまう不都合を防止しつつ、遊技価値の決定に使用されるデータ容量や処理負担を軽減させることができる。
図11に示すステップS404の処理により不正の検出があると判定され、異常が発生したと判定された場合には、ステップS409の処理によりラウンド数決定テーブルTA04を選択して、ステップS410の処理によりラウンド数を決定する。したがって、異常が発生したと判定されたときには、ラウンド数決定テーブルTA01〜TA03とは異なるラウンド数決定テーブルTA04を用いて、最も少ないラウンド数である5Rに決定される。このように、異常が発生したときに最も低い遊技価値を付与することに決定するものにおいて、遊技価値の決定に使用されるデータ容量や処理負担を軽減させることができる。
誘導領域となるステージ部400に進入した遊技球が検出された場合には、ステージ球センサ111による遊技球の検出結果に基づいて、第1特定領域61,第2特定領域62,第3特定領域63のいずれかに遊技球が接近したときには、図16に示すステップS603の処理で読み出された特定演出実行データを用いて、複合表示演出に含まれる通常の転動演出とは演出態様が異なる特定演出が実行される。これにより、遊技者にとって有利な遊技価値が付与される特定領域に遊技球が接近したことを認識しやすくして、遊技球が通過する領域に対する遊技者の期待感を高めて、遊技興趣を向上させることができる。
ステージ部400の前面側には、ステージ部400を視認可能に被覆する透過表示装置9bが設けられ、この透過表示装置9bの画面上に演出画像を表示することで遊技球の軌跡が演出表示される。このように、ステージ部400において特定領域へと誘導される遊技球を透視可能としつつ、遊技球の軌跡が演出表示されることで、遊技者が遊技球の軌跡を認識しやすくして遊技興趣を向上させることができる。
複合表示演出では、例えば図15(A)〜(C)に示すように、有利領域となる特定領域に遊技球が進入(通過)したときに付与される遊技価値となるラウンド数を示唆する演出画像が、透過表示装置9bの画面上における各特定領域の近傍に表示される。また、有利領域となる特定領域のいずれかに遊技球が進入(通過)したときには、図16に示すステップS614の処理で設定されたラウンド数報知演出を実行することにより、例えば図22(B)に示すように、ラウンド数を報知する演出画像が、透過表示装置9bの画面上における遊技球が進入(通過)した特定領域の近傍に表示される。このように、特定領域に応じた遊技価値を示唆することで、遊技者に付与される遊技価値を認識しやすくなり、遊技球が通過する領域に対する遊技者の期待感を高めて、遊技興趣を向上させることができる。
ステージ部400には可動部となる可動翼65,65が設けられ、それらの動作により遊技球が弾かれて特定領域へと誘導される。そして、可動翼65,65のいずれかに遊技球が接触したときには、図16に示すステップS605の処理で読み出された接触演出実行データを用いて、例えば図21(B)に示すように、複合表示演出に含まれる接触演出が実行される。これにより、可動部に遊技球が接触したことを認識しやすくなり、遊技球が特定領域を通過するまでに遊技者の期待感を高めて、遊技興趣を向上させることができる。
図10に示すステップS232の処理により不正の検出があると判定され、異常が発生したと判定された場合には、ステップS233の処理により可動部となる可動翼65,65の回動動作を停止させる。これにより、ステージ部400に進入した遊技球は不利領域となる第4特定領域64に進入しやすくなる。このように、異常が発生したときには可動部を動作させないように制御することで、遊技球が不利領域に誘導されやすくして、制御を複雑にすることなく、好適に不正対策を行うことができる。
図16に示すステップS608の処理により不正検出指定コマンドの受信があると判定された場合には、ステップS609の処理により透過表示装置9bの画面上における演出画像の表示を停止させるといった制限を設ける。このように、異常が発生したときには演出の実行に制限を設けることにより、好適に不正対策を行いつつ適切な遊技者の期待感を高めて、遊技興趣を向上させることができる。