JP6115807B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
〔1〕
無機顔料を含有するインク組成物を吐出する複数のノズルと、該複数のノズルの吐出口を有するノズル形成面と、該ノズル形成面に設けられた撥液膜と、を有する記録ヘッドと、
前記ノズルの吐出口及び前記ノズル形成面に付着した、前記無機顔料を含有する前記インク組成物を吸収する吸収部材と、
含浸液を含む前記吸収部材と、前記ノズル形成面とを、相対的に押圧する押圧部材を有する駆動機構と、を備え、
該駆動機構は、前記吸収部材及び前記記録ヘッドの少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させ、前記吸収部材によって前記ノズル形成面に付着した前記インク組成物を除去する清掃動作を行なうものであり、
前記含浸液の表面張力は45mN/m以下であり、
前記含浸液の含有量が、前記吸収部材100質量%に対して、30質量%以上200質量%以下である、
インクジェット記録装置。
〔2〕
前記含浸液は、浸透剤を含む、前項〔1〕に記載のインクジェット記録装置。
〔3〕
前記浸透剤として、炭素数5〜8のアルカンジオール類、グリコールエーテル類、アセチレングリコール系界面活性剤、シロキサン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤からなる群より選択される一種以上を含む、前項〔2〕に記載のインクジェット記録装置。
〔4〕
前記含浸液中の前記浸透剤の含有量は、1.0質量%以上40質量%以下である、前項〔2〕又は〔3〕に記載のインクジェット記録装置。
〔5〕
前記含浸液の含有量が、前記吸収部材100質量%に対して、30質量%以上100質量%以下である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
〔6〕
前記ノズル形成面に、該ノズル形成面の少なくとも一部を覆うノズルプレートカバーが設けられ、
前記吸収部材が布帛である、
前項〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
〔7〕
前記吸収部材の厚さが、0.1mm以上3mm以下である、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
〔8〕
前記押圧部材は、弾性部材によって被覆されたものであり、
前記弾性部材のショアA硬度は10以上60以下である、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
〔9〕
前記インク組成物は、樹脂エマルジョンをさらに含む、前項〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
本実施形態のインクジェット記録装置は、無機顔料を含有するインク組成物を吐出する複数のノズルと、該複数のノズルの吐出口を有するノズル形成面と、該ノズル形成面に設けられた撥液膜と、を有する記録ヘッドと、
前記ノズルの吐出口及び前記ノズル形成面に付着した、前記無機顔料を含有する前記インク組成物を吸収する吸収部材と、
含浸液を含む前記吸収部材と、前記ノズル形成面とを、相対的に押圧する押圧部材を有する駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記吸収部材及び前記記録ヘッドの少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させ、前記吸収部材によって前記ノズル形成面に付着した前記インク組成物を除去する清掃動作を行なうものであり、
前記含浸液の表面張力は45mN/m以下である。
〔1−1.記録ヘッド〕
本実施形態の記録ヘッドは、無機顔料含有インク組成物を吐出するノズルが複数設けられたノズル形成面を有し、該ノズル形成面に撥液膜を有する。
ノズル形成面は、無機顔料含有インク組成物を吐出するノズルが複数設けられたものであれば特に限定されず、無機顔料含有インク組成物を吐出する複数のノズルが並ぶ第1ノズル列と、他の色材を含有するインク組成物(以下、「他のインク組成物」ともいう。)を吐出する複数のノズルが並ぶ第2ノズル列とを有することができる。この場合には、下記駆動機構は、吸収部材及び記録ヘッドのうち少なくとも一方を、他方に対して、ノズル列中のノズルの並び方向に、相対的に移動させるものであり、第1ノズル列と第2ノズル列とは、互いに異なる吸収部材の場所を用いて清掃されると好ましい。これにより、第1ノズル列の無機顔料含有インク組成物が付着した吸収部材の部分で第2ノズル列を清掃する事を防止する事が出来る。これによって、撥液膜を劣化させる傾向にある無機顔料が第2ノズル列に移行して第2ノズル列付近の撥液膜を劣化させる事を防ぐ事が出来る。つまり、撥液膜の劣化の拡大を防ぐ事が出来る。なお、清掃動作は、第1ノズル列の清掃動作の後に第2ノズル列を清掃しても良いし、両者同時に清掃しても良いが、清掃効率の観点から両者同時に清掃するのが好ましい。
撥液膜は、ノズル形成面に配される。撥液膜は、撥液性を有している膜であれば特に制限されず、例えば、撥液性を有する金属アルコキシドの分子膜を成膜し、その後、乾燥処理、アニール処理等を経て形成することができる。金属アルコキシドの分子膜は撥液性を有していればいかなるものでもよいが、フッ素を含む長鎖高分子基(長鎖RF基)を有する金属アルコキシドの単分子膜又は撥液基(例えば、フッ素を含む長鎖高分子基)を有する金属酸塩の単分子膜であることが望ましい。金属アルコキシドとしては、特に限定されないが、その金属種としては、例えば、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムが一般的に用いられる。長鎖RF基としては、例えば、パーフルオロアルキル鎖、パーフルオロポリエーテル鎖が挙げられる。この長鎖RF基を有するアルコキシシランとして、例えば、長鎖RF基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。撥液膜としては、特に限定されず、例えばSCA(silane coupling agent)膜や、特許第4424954号に記載されたものも用いることができる。なお、特に撥水性を有するものを撥水膜という。
ノズル形成面には、ノズル形成面の少なくとも一部を覆うノズルプレートカバーが設けられることが好ましい。ノズルプレートカバーは、複数のノズルチップ(以下、単に「チップ」という。)の組み合わせによって形成されるヘッドのノズル形成面において、当該チップを固定する役割、又は被記録媒体が浮き上がってノズルに被記録媒体が直接接触してしまうのを防止する役割のうち少なくともいずれかを果たすために設けられているものである。そして、上記ノズルプレートカバーは、ノズル形成面の少なくとも一部を覆うことにより、側面から見たときに、ノズルから突出している状態で設けられる。当該ノズルプレートカバーが設けられている場合に、ノズル形成面とここから突出したノズルプレートカバーとの間の角(隙間)に無機顔料含有インク組成物が残りやすく、この残った無機顔料含有インク組成物の無機顔料等が固化することに起因して、キャップとノズル面との密着が不十分になりキャッピング動作が不良となる問題が生じ得る。インク組成物に含まれる樹脂の種類によっては特にその問題は顕著になる。そこで、当該ノズルプレートカバーとノズルとの間に、含浸液の付着した吸収部材が当接することにより、上記の隙間に堆積した無機顔料含有インク組成物を除去することができ、キャッピング動作が安定して良好なものとなる。
本実施形態の吸収部材は、ノズルの吐出口及びノズル形成面に付着した無機顔料含有インク組成物を吸収でき、かつ含浸液を保持できるものであれば特に制限されない。これにより、ノズル形成面を清掃した場合に、顔料粒子が吸収部材中に吸収され、吸収部材の表面に顔料粒子が残らない。そのため、撥水膜が顔料粒子により傷つけられることが抑制される。
清掃動作を行なう際の吸収部材には含浸液が含まれている。含浸液が含まれていることにより、顔料粒子が吸収部材の表面から内部に移動しやすくなり、吸収部材の表面に顔料粒子が残りにくくなる。含浸液は、浸透剤や保湿剤を含むことが好ましい。これにより、顔料粒子が吸収部材中により吸収されやすく。なお、含浸液は、無機顔料粒子を吸収部材表面から内部へ移動させることができる液であれば特に限定されない。
本実施形態の駆動機構は、吸収部材及び記録ヘッドのうち少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させ、吸収部材によってノズル形成面に付着したインク組成物を除去する清掃動作を行なうものである。含浸液を含む吸収部材と、ノズル形成面とを、50gf以上500gf以下で相対的に押圧する押圧部材を有するものが好ましく、75gf以上300gf以下で押圧する押圧部材を有するものがより好ましい。押圧力が50gf以上であることにより、インク拭き取り性に優れる。更に、ノズルプレートとノズルプレートカバー間に出来る段差がある場合でも、その隙間にインクが付着、堆積することを防ぐ、又は隙間から除去することに優れる。また、押圧力が500gf以下であることにより、撥液膜の保存性に一層優れる。駆動機構は、特に限定されないが、例えば、ノズル形成面に接する側とは反対の側から吸収部材を押圧して、吸収部材とインク形成面を接触させるものとすることができる。また、ヘッドが駆動して、吸収部材とインク形成面を接触させるものとすることもできる。なお、ここでいう荷重は、駆動機構全体からノズル形成面に印加される荷重の総和である。
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置の斜視図である。図2は、ワイパーユニットの斜視図である。図3(a)は、ワイパーカセットの正面図であり、図3(b)は筐体を省略したワイパーカセットの正面図である。図1〜3に示したプリンターは以上のように構成されており、以下ではこのプリンターの動作について詳細に説明する。図1に示すように、フレーム12内において記録用紙Pが搬送される記録領域の右側に設けられたホームポジションHPには、記録ヘッド22のメンテナンスを行なうためのヘッドメンテナンス装置26が設けられている。
本実施形態のインクジェット記録装置は、無機顔料含有インク組成物を用いるものであれば特に制限されず、他のインク組成物を用いるものであってもよい。以下、本実施形態の無機顔料含有インク組成物及び他のインク組成物(以下、無機顔料含有インク組成物及び他のインク組成物を単にまとめて「インク組成物」という。)に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
本実施形態の無機顔料含有インク組成物は、無機顔料を含むものであれば特に制限されない。また、他のインク組成物は、色材を含んでもよく、該色材は、無機顔料以外の顔料及び染料から選択される。
無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、及び酸化シリカ等が挙げられる。
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。
上記実施形態のインクジェット記録装置に好適に用いられるものであり、かつ、無機顔料を含有するインクは、組成上、以下の(1)又は(2)の特徴を有するものであると好ましい。
(1)インクジェット記録用インク組成物は熱変形温度10℃以下の第1樹脂を含む(以下、「第1のインク」という。)。
(2)インクジェット記録用インク組成物は第2樹脂を含み且つグリセリンを実質的に含有しない(以下、「第2のインク」という。)。
本実施形態のインク組成物に上記の顔料を含有させる際、顔料が水中で安定的に分散保持できるようにするため、当該インク組成物は樹脂分散剤を含むとよい。上記インク組成物が水溶性樹脂や水分散性樹脂等の樹脂分散剤を用いて分散された顔料(以下、「樹脂分散顔料」という。)を含むことにより、インク組成物が被記録媒体に付着したときに、被記録媒体とインク組成物との間及びインク組成物中の固化物間のうち少なくともいずれかの密着性を良好なものとすることができる。樹脂分散剤の中でも分散安定性に優れるため、水溶性樹脂が好ましい。
本実施形態のインク組成物は、樹脂エマルジョンを含むと好ましい。樹脂エマルジョンは、樹脂被膜を形成することで、インク組成物を被記録媒体上に十分定着させて画像の耐擦性を良好にする効果を発揮する。上記の効果により樹脂エマルジョンを含有するインク組成物を用いて記録された記録物は、特に布帛、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体上で密着性、耐擦性に優れたものとなる。一方無機顔料の固化を促進させてしまう傾向にあるが、本願発明であれば固化によって生じる課題を良好に防止する事が出来る。
本実施形態のインク組成物は、ワックスを含んでもよい。インク組成物がワックスを含むことにより、インク組成物がインク非吸収性及び低吸収性の被記録媒体上で定着性により優れたものとなる。ワックスの中でもエマルジョン又はサスペンジョンタイプのものがより好ましい。上記ワックスとしては、以下に限定されないが、例えばポリエチレンワックス、パラフィンワックス、及びポリプロピレンワックスが挙げられ、中でも後述するポリエチレンワックスが好ましい。
本実施形態のインク組成物は、消泡剤を含み得る。より詳しく言えば、本実施形態のインク組成物又は含浸液のうち少なくともいずれかが、消泡剤を含むことが好ましい。インク組成物が消泡剤を含む場合、泡立ちを防止でき、その結果、泡がノズルの中に入り込む不具合を防止できる。
本実施形態のインク組成物は、界面活性剤(上記の消泡剤で挙げたものを除く。つまり、グリフィン法によるHLB値が5を上回るものに限る。)を含んでもよい。界面活性剤として、以下に限定されないが、例えばノニオン系界面活性剤が挙げられる。ノニオン系界面活性剤は、被記録媒体上でインクを均一に拡げる作用がある。そのため、ノニオン系界面活性剤を含むインクを用いてインクジェット記録を行った場合、滲みの殆ど無い高精細な画像が得られる。このようなノニオン系界面活性剤としては、以下に限定されないが、例えば、シリコン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、多環フェニルエーテル系、ソルビタン誘導体、及びフッ素系の界面活性剤等が挙げられ、中でもシリコン系界面活性剤が好ましい。
本実施形態のインク組成物は、水を含有してもよい。特に、当該インクが水性インクである場合、水は、インクの主となる媒体であり、インクジェット記録において被記録媒体が加熱される際、蒸発飛散する成分となる。
本実施形態のインク組成物は、揮発性の水溶性有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、及びtert−ペンタノール等のアルコール類あるいはグリコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、及び1,1,3,3−テトラメチル尿素等が挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、pH調整剤を含んでもよい。pH調整剤として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モルホリン、リン酸二水素カリウム、及びリン酸水素二ナトリウム等が挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、上記の成分に加えて、防腐剤・防かび剤、防錆剤、及びキレート化剤等をさらに含んでもよい。
本実施形態のインク組成物は、上述の成分(材料)を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過等を行い、不純物を除去することにより得ることができる。ここで、顔料は、あらかじめ溶媒中に均一に分散させた状態に調製してから混合することが、取り扱いが簡便になるため好ましい。
インク組成物の表面張力は、特に限定されないが、15〜35mN/mであることが好ましい。これによって、インク組成物の吸収部材への浸透性、記録した際のブリード防止性を確保が可能となり、清掃動作時のインク拭き取り性が向上する。インク組成物の表面張力も、上述のように、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて測定する方法が例示できる。また、インク組成物の表面張力と含浸液の表面張力の差は、10mN/m以内という関係を有することが好ましい。これによって、両者がノズル付近で混じった際に、極端にインク組成物の表面張力が低下することを防止出来る。
下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔色材〕
・C.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック、平均粒子径100nm、モース硬度1〜2)
〔有機溶剤〕
・1,2−ヘキサンジオール
・2−ピロリドン
・プロピレングリコール
〔樹脂エマルジョン〕
・スチレン−アクリル酸共重合体系樹脂エマルジョン(Tg85℃、平均粒子径140nm)
〔ポリエチレンワックス〕
・AQUACER515(BYK社製商品名)
〔シリコン系界面活性剤〕
・BYK348(BYK社製商品名)
〔アセチレングリコール系消泡剤〕
・サーフィノールDF110D(日信化学工業社製商品名、HLB値=3)
〔pH調整剤〕
・トリエタノールアミン
〔平均粒子径の測定方法〕
上記平均粒子径は、日機装社の商品名「マイクロトラックUPA」に準拠して測定した。
〔Tgの測定方法〕
上記Tgは、エマルジョンの乾燥物をサンプルとし、SIIナノテクノロジーズ株式会社製の商品名「DSC−6200R」を使用して測定した。
水溶性樹脂(メタクリル酸/ブチルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエチルアクリレート=25/50/15/10の質量比で共重合したもの。重量平均分子量12,000)40質量部を、水酸化カリウム7質量部、水23質量部、及びトリエチレングリコール−モノ−n−ブチルエーテル30質量部を混合した液に投入し、80℃で撹拌しながら加熱して樹脂水溶液を調製した。
上記で調製した顔料分散液を色材が2.5質量%となる量用意した。この顔料分散液に、下記表1に示す色材以外の各成分を、下記表1に記載の含有量(単位:質量%)となるよう添加し、インク組成物を調製した(合計100.0質量%)。インク組成物は、各成分を容器に入れてマグネチックスターラーで2時間撹拌混合した後、孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過してゴミや粗大粒子等の異物(不純物)を除去することにより調製した。なお、水溶性樹脂については、各色剤の含有量の4分の1に相当する量がインクに添加されている。また、インク組成物の表面張力は、表面張力計(協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定した。
下記の実施例及び比較例において使用した含浸液用の主な材料は、以下の通りである。
〔浸透剤〕
・アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業社製商品名オルフィンE1010)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル
・1,2−ヘキサンジオール
〔保湿剤〕
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量200)
下記表2に示す各成分を、下記表2に記載の含有量(単位:質量%)となるよう添加し、含浸液を調製した(合計100.0質量%)。含浸液は、各成分を容器に入れてマグネチックスターラーで2時間撹拌混合した後、孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過してゴミや粗大粒子等の不純物を除去することにより調製した。なお、含浸液の表面張力は、表面張力計(協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定した。また、「表面張力の低下度合い」とは、各材料の10質量%水溶液(水の含有量が90質量%)を作成し、同様の方法で測定した表面張力をいう。なお、水の表面著力は約72mN/m程度である。
プリンターPX−H10000(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製)を改造したものを用いた(以下、「PX−H10000改造機」という)。改造部分は、撥水膜付きのシリコンノズルプレートと図5(a)のようなノズルプレートカバーとを設けたプリントヘッドと、吸収部材と、弾性部材と、駆動機構とを備えた点である。
〔7−1.クリーニング性試験〕
PX−H10000改造機を用い、表1に示すインク組成物を用いて、20分印刷した後、表3の通り清掃動作を実行した。それを1サイクルとしてサイクルを50回繰り返した。その後、目視にてノズル形成面のインク付着成長度合いを観察した。インク付着成長度合いを示す参考図を図4に示す。
A:インク付着量が0.1mm以下
B:インク付着量が0.1mmより多く0.3mm以下
C:インク付着量が0.3mmより多く0.6mm以下
D:インク付着量が0.6mmより多い
PX−H10000改造機を用い、吸引ポンプを用いたヘッド内のインクを吸引する吸引動作を行い、その後に表3の通り清掃動作を実行した。このサイクルを1回として、12000回繰り返した。その後、光学顕微鏡(ユニオン光学株式会社の高精度非接触段差測定機“ハイソメットII” DH2)にて、ノズル付近の撥液膜の状態を評価した。なお、清掃動作は各ノズル列中のノズル配列方向に沿って行い、第1ノズル列に相当する(Bk,W)と第2ノズル列に相当する(C,M,Y)を同時に清掃した。
A:撥液膜剥がれが実質的に観察できないレベル
B:撥液膜がわずかに剥がれ変色しているが、吐出に影響がないレベル
C:ノズルふちの撥液膜が剥がれ、吐出に影響があるレベル
D:ノズル全面の撥液膜が剥がれ、吐出に非常に影響があるレベル
Claims (9)
- 無機顔料を含有するインク組成物を吐出する複数のノズルと、該複数のノズルの吐出口を有するノズル形成面と、該ノズル形成面に設けられた撥液膜と、を有する記録ヘッドと、
前記ノズルの吐出口及び前記ノズル形成面に付着した、前記無機顔料を含有する前記インク組成物を吸収する吸収部材と、
含浸液を含む前記吸収部材と、前記ノズル形成面とを、相対的に押圧する押圧部材を有する駆動機構と、を備え、
該駆動機構は、前記吸収部材及び前記記録ヘッドの少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させ、前記吸収部材によって前記ノズル形成面に付着した前記インク組成物を除去する清掃動作を行なうものであり、
前記含浸液の表面張力は45mN/m以下であり、
前記含浸液の含有量が、前記吸収部材100質量%に対して、30質量%以上200質量%以下である、
インクジェット記録装置。 - 前記含浸液は、浸透剤を含む、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記浸透剤として、炭素数5〜8のアルカンジオール類、グリコールエーテル類、アセチレングリコール系界面活性剤、シロキサン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤からなる群より選択される一種以上を含む、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記含浸液中の前記浸透剤の含有量は、1.0質量%以上40質量%以下である、請求項2又は3に記載のインクジェット記録装置。
- 前記含浸液の含有量が、前記吸収部材100質量%に対して、30質量%以上100質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ノズル形成面に、該ノズル形成面の少なくとも一部を覆うノズルプレートカバーが設けられ、
前記吸収部材が布帛である、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記吸収部材の厚さが、0.1mm以上3mm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記押圧部材は、弾性部材によって被覆されたものであり、
前記弾性部材のショアA硬度は10以上60以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記インク組成物は、樹脂エマルジョンをさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
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