JP6115150B2 - 流体ポンプ用インペラ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、一枚の金属板材から形成された背面板としての機能を有する環状部材と、別の一枚の金属板材から形成されたボス部及び複数の羽根部を有する羽根部材とを同芯状に溶接で固定してある流体ポンプ用インペラが開示されている。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、製造コストの低減を図り易い、背面板を備える流体ポンプ用インペラ及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記ボス部及び前記背面板が、底板部及び前記底板部の外周側に沿って一連に立設された筒状の周壁部を一体に備える金属部材のうちの、前記底板部の中央部を前記周壁部の内側に入り込ませることにより形成され、
前記複数の羽根部が、前記金属部材のうちの前記周壁部の周方向複数箇所を当該周壁部の内側に向けて切り起こすことにより形成され、
前記羽根部の各々は、前記周壁部の周縁側壁部分を環状に残して、当該周壁部から切り起こしてあり、
前記周縁側壁部分に環状の鍔部を屈曲形成してある点にある。
このため、背面板と、ボス部及び複数の羽根部とを各別に製作する手間も、それらを一体に組み付ける手間も要することなく製造することができる。
したがって、本発明による流体ポンプ用インペラであれば、背面板を備えるインペラでありながら、製造コストの低減を図り易い。
また、底板部の中央部を周壁部の内側に入り込ませることにより形成したボス部及び背面板と、周壁部の周方向複数箇所を当該周壁部の内側に向けて切り起こすことにより形成した複数の羽根部との相対位置を精度良く位置決めして所望の性能を確保し易い。
また、複数の羽根部を切り起こした後の周壁部のうちの、羽根部の基部に連続して存在する複数の基部壁部分を環状の周縁側壁部分で連結してあるために、基部壁部分が変形し難くなり、その結果、羽根部の倒れなどの変形を長期に亘って防止することができる。
また、周縁側壁部分の剛性を高めることができる。
このため、複数の基部壁部分を強固に連結して、羽根部の倒れなどの変形を一層長期に亘って防止することができる。
〔第1実施形態〕
図1〜図4は、第1実施形態の流体ポンプ用インペラ(以下、単にインペラという。)Aを示す。
インペラAは、例えば車両に搭載してあるエンジンとラジエータとに亘ってエンジン冷却水(流体)を循環させる渦巻き式のウォータポンプに装備される。
(本実施形態では六枚)の羽根部3と、を備えている。
つまり、インペラAは、背面板2を羽根部3の側から見た平面視で、矢印Sで示す時計回りで回転させることにより、回転軸芯Xに沿う方向から流入したエンジン冷却水をインペラ径方向に吐出させる。
尚、円形金属板材4を絞り加工して各部を形成してあるので、各部の厚みが実際には互いに異なる厚みになるが、各部の厚みを簡易的に同じ厚みで記載してある。
複数の羽根部3は、図9に示すように、金属部材5のうちの周壁部5bの周方向複数箇所(本実施形態では六箇所)を等間隔でボス部1の側に切り起こして所定形状に曲げ変形させることにより形成してある。
背面板側周方向切断縁6bは、周壁部5bの立ち上がり部に沿って背面板2の板面と平行に形成してある。
周縁側周方向切断縁6cは、回転方向Sの上手側ほど背面板側周方向切断縁6bの側に近づくように形成してある。
また、羽根部3を切り起こすことによって周縁側壁部分7に形成された切断縁である周縁側周方向切断縁6cが、羽根部3の基部が連続する基部壁部分8に対して鈍角θで交差する形状に形成されている。
なお、羽根部3の各々は、三次元の湾曲形状に塑性変形させて配置してあってもよい。
図5に示す例えばアルミ合金製の一枚の円形金属板材4を絞り加工することにより、図6,図7に示すように、円形の底板部5a及び底板部5aの外周側に沿って一定高さで一連に立設された円筒状の周壁部5bを一体に備える金属部材(中間製品)5を形成する
(金属部材形成工程)。
なお、ボス部・背面板形成工程を金属部材形成工程と同時に実施しても、金属部材形成工程の後に別途実施してもよい。
図11,図12は、インペラの第2実施形態を示す。
本実施形態では、周縁側壁部分7に環状の鍔部10を屈曲形成してある。
また、周縁側壁部分7のうちの、羽根部3を切り起こすために形成した周縁側周方向切断縁6cに沿う部分を切欠くことによって、新たな切断縁6dを形成してある。
背面板側周方向切断縁6bは、周壁部5bの立ち上がり部に沿って背面板2の板面と平行に形成してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
図13〜図16は、インペラの第3実施形態を示す。
図13に示す本実施形態のインペラAは、金属板から打ち抜いた図14に示す一枚の扁平な金属板材4から、ボス部1、背面板2及び複数の羽根部3を一体形成してある。
金属板材4は、図14に示すように、円形の底板部分11及び羽根部形成用の複数(本実施形態では六枚)の羽根用板部分12を一体に備えている。
羽根用板部分12は、羽根部分12aと羽根支持部分12bとを備え、底板部分11の外周部に周方向に間隔を隔てて配置してある。
その他の構成は、環状の周縁側壁部分7を備えていない点を除いて、第1実施形態と同様である。
本発明による流体ポンプ用インペラは、各種流体ポンプ用インペラに利用することができる。
2 背面板
3 羽根部
4 金属板材
5 金属部材
5a 底板部
5b 周壁部
6c 切断縁
7 周縁側壁部分
8 基部壁部分
9 開口部
10 鍔部
θ 鈍角
Claims (4)
- 回転軸接続用のボス部と、
前記ボス部の長手方向一端側からインペラ径方向外方側に向けて延設された当該ボス部の周りで環状の背面板と、
前記背面板の前記ボス部が存在する側に前記背面板の外周側と前記ボス部の側とに亘って配置されたボス部周方向で複数の羽根部と、を備え、
前記ボス部、前記背面板及び前記複数の羽根部を、一枚の金属板材から一体形成してあり、
前記ボス部及び前記背面板が、底板部及び前記底板部の外周側に沿って一連に立設された筒状の周壁部を一体に備える金属部材のうちの、前記底板部の中央部を前記周壁部の内側に入り込ませることにより形成され、
前記複数の羽根部が、前記金属部材のうちの前記周壁部の周方向複数箇所を当該周壁部の内側に向けて切り起こすことにより形成され、
前記羽根部の各々は、前記周壁部の周縁側壁部分を環状に残して、当該周壁部から切り起こしてあり、
前記周縁側壁部分に環状の鍔部を屈曲形成してある流体ポンプ用インペラ。 - 前記羽根部を切り起こすことによって前記周縁側壁部分に形成された切断縁が、前記羽根部の基部が連続する基部壁部分に対して鈍角で交差する形状、又は、前記基部壁部分に対して曲線状に連続する形状に形成されている請求項1記載の流体ポンプ用インペラ。
- 前記周壁部における前記羽根部の切り起こし跡に形成される開口部の面積を、前記羽根部の展開面積よりも広い面積に設定してある請求項1又は2に記載の流体ポンプ用インペラ。
- 前記羽根部は、前記ボス部の側ほど基部側よりも幅広に形成してある請求項1〜3のいずれか1項記載の流体ポンプ用インペラ。
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