JP6111669B2 - 球技用ボール - Google Patents

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Description

本発明は球技用ボールに関する。
近年、球技用ボール、特にゴルフボールの打ち出し条件(ゴルフボールの初速、打ち出し角度、スピン量)の計測や弾道計測を行う計測装置としてドップラーレーダを用いた装置が使用されている。
上記装置では、アンテナからゴルフボールに向けてマイクロ波からなる送信波を発射し、ゴルフボールで反射された反射波を計測し、送信波と反射波から得られるドップラー信号に基づいて移動速度やスピン量を求める。
この場合、移動速度やスピン量を安定して確実に計測するためには、反射波を効率よく得ることが重要である。言い換えると、反射波を効率よく得ることが計測距離を確保する上で有利となる。
一方、外観性やデザイン性を高めるために金属材料を含む層や膜をボールの表面全体にわたって設ける技術が提案されている(特許文献1、2、3参照)。
また、反発性を確保するために、ボールのコア層とカバーの間に球面状の金属層を設ける技術が提案されている(特許文献4参照)。
特開2007−021204号公報 特開2004−166719号公報 特開2007−175492号公報 特開平11−076458号公報
本発明者らの実験によれば、金属材料を含む層や膜がボールの表面全体に球面状に形成されていると、電波反射特性を確保する上では有利となるものの、ボールのスピン量に関しては計測距離を確保する上で不十分なものであった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、打ち出し条件の計測や弾道計測を的確にかつ正確に行う上で有利な球技用ボールを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の球技用ボールは、球体と、前記球体を覆うカバー層とを備えた球技用ボールであり、前記球体の中心を中心とした球面の部分に形成された電波反射率が高い第1領域と、前記球面上で前記第1領域を除く残りの部分に形成され電波反射率が前記第1領域よりも低い第2領域とを備え、前記第1の領域は、導電性塗料で構成され、前記導電性塗料は、塗膜形成成分と、溶剤と、金属粉末とを少なくとも含有し、前記導電性塗料の乾燥時における前記金属粉末の含有率が80質量%以上97質量%以下であり、前記第1領域は複数設けられ、前記複数の第1領域は、頂点が前記球面に位置するように仮想された正多面体または準正多面体の各頂点に位置していることを特徴とする。
本発明によれば、ドップラーレーダのアンテナから発射された送信波が球技用ボールの回転と共に移動する複数の第1領域によって効率よく反射されるので、ドップラー信号におけるスピン量を検出するために必要な周波数分布の信号強度を確保することができ、スピン量の検出を安定して確実に行うことができ、打ち出し条件の計測や弾道計測を的確にかつ正確に行う上で有利となる。
ドップラーレーダを用いた球技用ボールの計測原理を説明するブロック図である。 ゴルフボールのスピン量を検出する原理の説明図である。 打ち出されたゴルフボールをドップラーレーダ10で計測した場合におけるドップラー信号Sdをウェーブレット解析した結果を単純化して示す説明図である。 図3における時点t1におけるドップラー信号Sdを周波数解析することによって得た、周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データPを示す説明図である。 第1の実施の形態におけるゴルフボール2の平面図である。 第1の実施の形態におけるゴルフボール2の断面図である。 第1領域22を説明するゴルフボール2の断面図である。 第1の変形例におけるゴルフボール2の平面図である。 第2の変形例におけるゴルフボール2の平面図である。 第2の実施の形態における球技用ボール4の断面図である。 実験例1においてスピン量を1000rpmとした場合のドップラー信号Sdのウェーブレット解析結果を示す図である。 実験例2においてスピン量を1000rpmとした場合のドップラー信号Sdのウェーブレット解析結果を示す図である。 実験例3においてスピン量を1000rpmとした場合のドップラー信号Sdのウェーブレット解析結果を示す図である。 実験例3においてスピン量を3000rpmとした場合のドップラー信号Sdのウェーブレット解析結果を示す図である。 実験例1〜3におけるスピン量の計測結果を示す図である。 実験例4のスピン量の計測結果を示す図である。 実験例5のスピン量の計測結果を示す図である。 実験例6のスピン量の計測結果を示す図である。 実験例4〜6におけるスピン量の計測時間と追尾距離を示す図である。 (A),(B)はゴルフボール2を打撃したときに得られるドップラー信号Sdを周波数解析することによって得た、周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データPを示す説明図である。 第3の実施例の評価結果を示す図である。 第4の実施例の評価結果を示す図である。 第3の実施の形態におけるゴルフボール2の断面図である。
(第1の実施の形態)
本発明の球技用ボールの実施の形態について説明する前に、ドップラーレーダを用いた球技用ボールの移動速度およびスピン量の測定原理について説明する。
図1に示すように、ドップラーレーダ10は、アンテナ12と、ドップラーセンサ14とを備える。
なお、図1において符号2は球技用ボールとしてのゴルフボール、4はゴルフクラブヘッド、6はシャフト、8はゴルフクラブを示す。
アンテナ12は、ドップラーセンサ14から供給される送信信号に基づいて送信波W1としてのマイクロ波をゴルフボール2に向けて送信すると共に、ゴルフボール2で反射された反射波W2を受信して受信信号をドップラーセンサ14に供給するものである。
ドップラーセンサ14は、アンテナ12に送信信号を供給するものである。また、アンテナ12から供給される受信信号に基づいてドップラー周波数Fdを有するドップラー信号Sdを時系列データとして生成するものである。
ドップラー信号Sdとは、前記送信信号の周波数F1と前記受信信号の周波数F2との差分の周波数F1−F2で定義されるドップラー周波数Fdを有する信号である。
ドップラーセンサ14は、市販されている種々のものが使用可能である。
なお、前記の送信信号としては、例えば、24GHzのマイクロ波が使用可能であり、ドップラー信号Sdを得られるものであれば送信信号の周波数は限定されない。
次に、ゴルフボール2の速度およびスピン量の計測原理について説明する。
従来から知られているように、ドップラー周波数Fdは式(1)で表される。
Fd=F1−F2=2・V・F1/c (1)
ただし、V:ゴルフボール2の速度、c:光速(3・10m/s)
したがって、式(1)をVについて解くと、式(2)となる。
V=c・Fd/(2・F1) (2)
すなわち、ゴルフボール2の速度Vは、ドップラー周波数Fdに比例することになる。
したがって、ドップラー信号Sdからドップラー周波数Fdの周波数成分を検出し、検出したドップラー周波数成分から式(2)に基づいてゴルフボール2の速度Vを求めることができる。
図2はゴルフボールのスピン量を検出する原理の説明図である。
ゴルフボール2の表面のうち、送信波W1の送信方向となす角度が90度に近い表面の部分である第1部分Aでは送信波W1が効率よく反射され、したがって、第1部分Aでは反射波W2の強度が高い。
一方、ゴルフボールの表面のうち、送信波W1の送信方向となす角度が0度に近い表面の部分である第2部分B、第3部分Cでは送信波W1が効率よく反射されず、したがって、第2、第3部分B、Cでは反射波W2の強度が低い。
第2部分Bは、ゴルフボール2のスピンによって移動する方向とゴルフボールの移動方向とが反対向きとなる部分である。
第3部分Cは、ゴルフボール2のスピンによって移動する方向とゴルフボールの移動方向とが同じ向きとなる部分である。
第1部分Aで反射される反射波W2に基づいて検出される速度を第1部分速度Va、第2部分Bで反射される反射波W2に基づいて検出される速度を第2部分速度Vb、第3部分Cで反射される反射波W2に基づいて検出される速度を第3部分速度Vcとする。
すると、以下の式が成立する。
Va=Vα (3)
Vb=Va−ωr (4)
Vc=Vb+ωr (5)
(ただし、Vαはゴルフボール2の移動速度、ωは角速度(rad/s)、rはゴルフボール2の半径)
したがって、原理的には、式(3)に基づいて第1部分速度Vaからゴルフボール2の移動速度Vαを算出でき、式(4)または式(5)に基づいて、第2、第3部分速度Vb,Vcから角速度ωが求められるので、角速度ωからスピン量を算出できることになる。
しかしながら、上記の式に基づいて移動速度Vα、スピン量を算出するのではなく、以下に説明するように、ドップラー信号Sdを周波数解析することによって周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データPを生成し、この信号強度分布データPから移動速度Vα、スピン量を求めることも可能である。
図3は、打撃された打ち出されたゴルフボールをドップラーレーダ10で計測した場合におけるドップラー信号Sdをウェーブレット解析した結果を単純化して示す説明図である。
横軸は時間t(ms)、縦軸はドップラー周波数Fd(kHz)およびゴルフボール2の速度V(m/s)を示す。
このような線図は、例えば、ドップラー信号Sdをサンプリングしてデジタルオシロスコープに取り込んでデジタルデータに変換し、該デジタルデータをパーソナルコンピュータなどを用いてウェーブレット解析、あるいは、連続FFT解析することで得られる。
図3に示す周波数分布において、ハッチングで示した部分はドップラー信号Sdの強度が大きく、実線で示した部分はドップラー信号Sdの強度がハッチングで示した部分よりも小さいことを示している。
したがって、符号DAで示す周波数分布は、信号強度が強く、第1部分速度Vaに対応する部分である。
符号DBで示す周波数分布は、周波数分布DAよりも信号強度が低く、第2部分速度Vbに対応する部分である。
符号DCで示す周波数分布は、周波数分布DAよりも信号強度が低く、第3部分速度Vcに対応する部分である。
図4は図3における時点t1におけるドップラー信号Sdを周波数解析することによって得た、周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データPを示す説明図である。
図4において横軸は速度V(m/s)、縦軸は信号強度Ps(任意単位)である。なお、横軸の速度Vはドップラー信号Sdの周波数に比例している。
図中細線は信号強度分布データPの実測値を表わし、太線は信号強度分布データPの実測値の移動平均を示す。
すなわち、信号強度分布データPの実測値は、測定時に含まれるノイズの影響を受けて大きく変動しているため、移動平均をとることによってノイズの影響を抑制した信号強度分布データPを得ている。
以下移動平均によって表わされた信号強度分布データPについて説明する。
図4から明らかなように、信号強度分布データPは、信号強度Psが最大となる1つの最大値を有し、最大値から離れるほど信号強度が次第に低下しやがてゼロとなる単一の山形を呈している。
ここで、信号強度分布データPの山、すなわち、信号強度Psの最大値Dmaxが第1部分速度Vaの値に対応している。言い換えると、信号強度Psの最大値Dmaxが対応するドップラー周波数の値が第1部分速度Vaの値に対応している。
したがって、最大値Dmaxに対応するドップラー周波数が高いほど、第1部分速度Va、すなわち、ゴルフボール2の移動速度が高いことになる。
また、信号強度分布データPの山の幅は、第2部分速度Vbと第3部分速度Vcの差分ΔV(速度幅)に比例する。
したがって、第2部分速度Vbと第3部分速度Vcの差分ΔVが小さいほどスピン量が小さく、したがって、この差分ΔVがゼロならばスピン量もゼロとなる。また、第2部分速度Vbと第3部分速度Vcの差分ΔVが大きいほどスピン量が大きいことになる。
ここで、第2部分速度Vbと第3部分速度Vcの差分ΔVは、式(4)、式(5)からわかるように以下の式(6)で示され、すなわち、角速度ωに比例した値となる。
ΔV=Vc−Vb=(Va+ωr)−(Va−ωr)=2ωr (6)
したがって、(6)式から明らかなように、信号強度分布データPの山の幅に基づいてスピン量を算出することができる。
ここで、山の幅は次のように定義することができる。
すなわち、信号強度分布データPの山の幅は、信号強度信号強度Psの閾値DtをDmax・N(ただし0<N<1)とした場合、信号強度分布データPのうち信号強度Psが閾値Dtとなる部分の幅とする。
図4では、Dt=Dmax・10%と、Dt=Dmax・50%とを例示しているが、閾値Dtは山の幅を安定して計測できる値に設定すればよい。
したがって、図4に示すように、ドップラー信号Sdの信号強度分布データPを求めることにより、この信号強度分布データPから移動速度Vα、スピン量SPを容易に求めることが可能となる。
例えば、ゴルフボールを実際に打撃して最大値Dmaxと移動速度Vαのデータを実測すると共に、信号強度分布データPの山の幅とスピン量Spのデータを実測する。
そして、これら実測結果から最大値Dmaxと移動速度Vαの相関マップと、信号強度分布データPの山の幅とスピン量Spの相関マップとを作成する。
これら相関マップを用いることにより、最大値Dmaxから移動速度Vαを得ることができ、信号強度分布データPの山の幅からスピン量Spを得ることができる。
したがって、このような測定原理を用いて移動速度Vαを得るにあたっては最大値Dmaxを確実に計測することが重要である。
また、スピン量Spを得るにあたっては、信号強度分布データPの山の幅を確実に計測することが重要である。
しかしながら、打撃されたゴルフボール2がアンテナ12から離間するほど(時間が経過するほど)、アンテナ12で受信される反射波W2の信号強度が低下し、各周波数分布DA、DB、DCの信号強度はそれぞれ低下する。
この際、図3に示すドップラー信号Sdの周波数分布DB、DCの信号強度は周波数分布DAの信号強度に比較して元々弱いため、周波数分布DB、DCの信号強度を安定して計測する上で不利がある。また、アンテナ12で受信可能な周波数分布DB、DCの信号強度は、周波数分布DAの信号強度よりも短時間で下回ってしまうため、周波数分布DB、DCの信号強度の計測可能な時間はごく限られた期間となる不利もある。
このような理由から、信号強度分布データPの山の幅を確実に計測することが難しく、正確なスピン量Spを得る上で不利がある。
したがって、ゴルフボール2で反射される反射波W2のうちの周波数分布DB,DCの信号強度を確実にアンテナ12で受信できるようなゴルフボール2が望まれている。
次に本実施の形態のゴルフボールについて説明する。
図5は第1の実施の形態におけるゴルフボール2の平面図、図6は第1の実施の形態におけるゴルフボール2の断面図である。
図5に示すように、ゴルフボール2は、球体20と、第1領域22と、第2領域24と、カバー層26とを備えている。
図6に示すように、本実施の形態では、球体20は、球状で中実のコア層28を有し、コア層28は、球状で中実の内側コア層28Aと、この内側コア層28Aを覆う外側コア層28Bとで構成されている。
本実施の形態では、内側コア層28Aは、合成ゴムなどの従来公知の材料で構成されている。また、外側コア層28Bは、合成樹脂などの従来公知の材料で構成されている。
なお、コア層28は単一のコア層で構成されていても、あるいは、3層以上のコア層で構成されていてもよいことは無論である。
第1領域22は、球体20の表面の部分に形成された電波反射率が高い領域であり、言い換えると、球体20の中心を中心とした球面上に形成された電波反射率が高い領域である。
したがって、第1領域22は高い電波反射特性を有しており、電波(マイクロ波)を効率よく反射する。
本実施の形態では、第1領域22は外側コア層28Bの表面に複数形成され導電性を有している。
また、各第1領域22は、同一の直径を有する正円状を呈しているが、各第1領域22の形状は三角形、四角形、あるいは正多角形などであってもよい。
各第1領域22が正円である場合、反射波の強度を確保する上でまた計測装置10における計測精度を確保する上でその正円の直径は2mm以上15mm以下であることが好ましい。
また、各第1領域22が正多角形である場合、反射波の強度を確保する上でまた計測装置10における計測精度を確保する上でその内接円の直径が2mm以上15mm以下であることが好ましい。
なお、正円または内接円の直径が2mm以上15mm以下であると、計測精度を確保する上で有利となることは、送信波として24GHzまたは10GHzのマイクロ波を使用した場合の発明者らの実験結果によって確認されたものである。この原因としては、例えば、第1領域22の表面で反射される反射波と第1領域22のエッジ部分で反射される反射波との干渉が計測精度に与える影響が小さくなるからであると考えられる。
また、図7に示すように、前記の球面上において(本実施の形態では球体20の表面上において)第1領域22の互いに対向する2箇所と、球体20の中心Oとを通る2つの直線がなす角度θは、十分な強度の反射波を得る上でまた反射波を精度よく受信する上で5度以上45度以下であることが好ましい。
複数の第1領域22は、頂点が球体20の表面(球体20の中心を中心とした球面)に位置するように仮想された正多面体または準正多面体の各頂点に位置している。
例えば、本実施の形態では、第1領域22は頂点が球体20の表面に位置するように仮想された正六面体の6つの頂点に位置している。したがって、第1領域は6個形成されている。
また、図8に示す第1の変形例では、第1領域22は頂点が球体20の表面に位置するように仮想された正四面体の4つの頂点に位置している。したがって、第1領域は4個形成されている。
あるいは、図9に示す第2の変形例のように、第1領域22は3つ形成され、3つの第1領域22を接続する想像線は、球体20の直径を含んだ平面上で正三角形を構成するようにしてもよい。
要するに、第1領域22は球体20の表面に複数形成されていればよく、その数は任意である。
ただし、第1領域22は、球体20の回転軸がどのような方向に位置しても、なるべく多くの第1領域22が移動しながら(回転しながら)送信波W1を反射することが、安定した反射波W2を得る上で好ましい。
このような観点から図5、図8、図9について比較する。
図5に示すように6個の第1領域22が形成されている場合は、回転軸上に2個の第1領域22が位置した場合に、有効な反射波W2を反射する電波領域22は4個となる。
図8に示すように4個の第1領域22が形成されている場合は、回転軸上に1個の第1領域22が位置した場合に、有効な反射波W2を反射する電波領域22は3個となる。
図9に示すように3個の第1領域22が形成されている場合は、回転軸上に1個の第1領域22が位置した場合に、有効な反射波W2を反射する電波領域22は2個となる。
したがって、安定した反射波W2を得る上では、図9よりも図8が有利であり、図8よりも図5がより有利となる。
また、複数の第1領域22はそれぞれ球体20の表面上で互いに直交する直線状に延在して格子状を呈していてもよい。
この場合、第2領域24は直線状に延在する第1領域22によって矩形状に区画されることになる。
第1領域22は、反射波W2の強度を十分に確保することができればよく、例えば、次に示す従来公知の関係式を用いることによって、第1領域22の表面抵抗として必要な範囲を求めることができる。
すなわち、電波反射率:Γ、表面抵抗:Rとしたとき、式(10)、式(12)が成立する。
Γ=(377−R)/(377+R) (10)
R=(377(1−Γ))/(1+Γ) (12)
Γ=1は全反射、Γ=0は無反射を示し、377は空気の特性インピーダンスを示す。
したがって、式(2)より
Γ=1のときR=0
Γ=0のときR=377
ここで、Γ=0.5とすると、R=377(0.5/1.5)≒130となる。
したがって、電波反射率Γとして十分な値をΓ=0.5(50%)以上とすると、表面抵抗Rは130Ω/sq.以下とすることが必要となる。
また、電波反射率Γが0.9(90%)以上であり、したがって、表面抵抗Rが20Ω/sq.以下であることが、反射波W2の強度を確保する上でより好ましい。
なお、電波反射率Γは、導波管法や自由空間法など従来公知方法によって測定することができるものである。
第1領域22は、導電性塗料で構成され、導電性塗料は、塗膜形成成分と、添加剤と、溶剤と、金属粉末を含有している。
導電性塗料の乾燥時における金属粉末の含有率は、80質量%以上97質量%以下であり、90質量%以上97質量%以下がより好ましい。
ここで、本発明でいう「導電性塗料の乾燥時における金属粉末の含有率」とは、乾燥温度50℃、乾燥時間24時間の乾燥条件により前記導電性塗料を乾燥した後の、記導電性塗料中の金属粉末の含有率を意味する。なお、以下の記載において、「導電性塗料の乾燥時における金属粉末の含有率」を単に「金属粉末の含有率」と言うことがある。
塗膜形成成分は、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂の何れかを含む。
本発明における導電性塗料は、添加剤を配合しても良い。添加剤は、消泡剤、乾燥剤などであり、従来公知の様々なものが使用可能である。
溶剤は、塗料としての流動性を調整するためのものであり、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)など従来公知の様々なものが使用可能である。
金属粉末は、導電性を有するものであればよく、銅に銀をコーティングした銀コート銅粉、銀粉など従来公知の様々なものが使用可能である。
なお、本実施の形態では、第1領域22は以下のように形成される。
(1)外側コア層28Bの表面のうち第1領域22を形成すべき箇所に同形同大で均一の深さを有する凹部30を形成しておく。
(2)各凹部30に導電性塗料を塗布して乾燥させる。
(3)外側コア層28Bの表面を研磨し、凹部30から外側にはみ出た導電性塗料を除去する。
なお、凹部30を設けることなく、外側コア28Bの表面に導電性塗料を塗布して乾燥させることで第1領域22を形成してもよいが、本実施の形態のように凹部30を設けると、各凹部30に塗布される導電性塗料の塗布量のバラつきを抑制することができる。
第2領域24は、球体20の球面上で第1領域22を除く残りの部分に形成され電波反射率が第1領域22よりも低い領域である。
言い換えると、第2領域24は、第1領域22よりも低い電波反射特性を有するものである。
本実施の形態では、第2領域24は、第1領域22を除く残りの外側コア層28Bの表面の部分で形成され、したがって合成樹脂で形成されているため導電性を有さない。
なお、第1領域22の電波反射率と第2領域24の電波反射率との比(差)を大きく確保する上で第2領域24の電波反射率は1%以下、表面抵抗は400Ω/sq.以上であることが好ましい。
なお、第1領域22の総面積は、球体20の表面積の50%以下であることが好ましく、2%〜30%がより好ましい。
第1領域22の総面積が球体20の表面積の50%以下であると、第1領域22で反射される電波の反射強度と、第2領域24で反射される電波の反射強度との比(差)を大きく確保する上で有利となり、2%〜30%であると、上記の反射強度の比(差)を大きく確保する上でより有利となる。
このように第1領域22と第2領域24とで反射強度との比(差)を大きく確保すると、スピン量の計測を安定して行う上で有利となる。
図5,図6に示すように、カバー層26は、球体20を覆うものであり、本実施の形態では、カバー層26は第1領域22および第2領域24を覆っている。
カバー層26は、第1領域22による電波の反射がなされるように、電波の通過を許容する材料、例えば、導電性物質を含有しない材料などで形成され、このような材料としては、従来公知のさまざまな合成樹脂などを使用することができる。
カバー層26の表面には多数のディンプル30が形成されている。
この場合、カバー層26を不透明なものとすると、外部から第1領域22および第2領域24を隠すことができ意匠性の向上を図る上で有利となる。
また、カバー層26の厚さは0.5mm以上3.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上2.0mm以下であることがより好ましい。
カバー層26の厚さが0.5mm以上3.0mm以下であると、電波反射性を大きく確保しつつ耐久性を確保する上で有利となる。
カバー層26の厚さが1.0mm以上2.0mm以下であると電波反射性を大きく確保しつつ耐久性を確保し、さらに製造の容易化を図る上で有利となる。
次に本実施の形態のゴルフボール2の作用効果について説明する。
本実施の形態のゴルフボール2は、球体20の中心を中心とした球面上に形成された電波反射率が高い第1領域22と、球面上で第1領域22を除く残りの部分に形成され電波反射率が第1領域22よりも低い第2領域24とを有している。
したがって、ドップラーレーダ10のアンテナ12から発射された送信波W1がゴルフボール2の回転と共に移動する複数の第1領域22によって反射される。そのため、反射波W2の電波強度を確保する上で有利となる。
そのため、打撃されたゴルフボール2がアンテナ12から離間してアンテナ12で受信される反射波W2の信号強度が低下しても、各周波数分布DA、DB、DCの信号強度を確保することができる。
特に、周波数分布DAの信号強度に比較して元々弱い周波数分布DB、DCの信号強度を確保することができる。
すなわち、ドップラー信号におけるスピン量Spを検出するために必要な周波数分布DB,DCの信号強度を確保することができ、スピン量Spの検出を安定して確実に行う上で有利となる。
したがって、より長い期間にわたってスピン量Spの計測を安定して行うことができる。
また、ドップラーレーダ10が室内に設置されるゴルフシミュレータ装置に適用されるものであった場合には、送信波W1の出力が低くても、S/N比が十分得られなくても、十分な信号強度を有する周波数分布DB、DCを得ることができる。
そのため、ゴルフシミュレータ装置によって、ゴルフボールの初速や打ち出し角に加えてスピン量Spに基づいて球筋や飛距離を正確に算出することができ、スピン量Spを反映させたより正確なシミュレーションを行うことができる。
具体的には、スピン量Spを反映させることにより、これまでシミュレーションが不可能であった目標線に対してゴルフボール2が戻ってくるフェード系やドロー系の球筋のシミュレーションが可能となる。また、スピン量Spを反映させることにより、飛距離をより正確にシミュレーションすることができる。
また、本実施の形態のゴルフボール2は、第1領域22を構成する導電性塗料の乾燥時における金属粉末の含有率を80質量%以上97質量%以下としたので、導電性塗料に含まれる金属成分を確保できるため、ゴルフボール2がゴルフクラブヘッド4で打撃された場合の導電性塗料の耐久性を確保する上で有利となる。
また、導電性塗料の乾燥時における金属粉末の含有率を90質量%以上97質量%以下とすると、導電性塗料に含まれる金属成分をより多く確保できるため、ゴルフボール2がゴルフクラブヘッド4で打撃された場合の導電性塗料の耐久性を確保する上でより有利となる。
金属粉末の含有率が80質量%を下回ると、乾燥時における導電性塗料の性状が柔らかくなることからゴルフボール2がゴルフクラブヘッド4で打撃された際に導電性塗料が壊れやすく耐久性を確保する上で不利となる。
また、金属粉末の含有率が97質量%を上回ると、導電性塗料に占める金属粉末の割合が多くなりすぎることから導電性塗料を塗布する際の作業性が低下する不利がある。
また、塗膜形成成分を、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂の何れかとしたので、合成樹脂材料で構成された外側コア層28Bおよびカバー層30に対する親和性、密着性を確保する上で有利となり、ゴルフボール2がゴルフクラブヘッド4で打撃された際の耐久性を高める上で有利となる。
また、塗膜形成成分中、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂の何れかが10質量%以上占めるようにしても、導電性塗料の耐衝撃性を高める上で有利となる。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は中空状の球技用ボール、例えば、軟式野球用ボール、硬式テニスボール、軟式テニスボール、バレーボール、サッカーボール、卓球用ボールなどに適用された場合について説明する。
図10は第2の実施の形態における球技用ボール4の断面図である。なお、以下の実施の形態において第1の実施の形態と同様の部分、部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示すように、球技用ボール2Aは、球体20と、第1領域22と、第2領域24と、カバー層26とを備えている。
球体20は、球状で中空のコア層40により形成されている。コア層40は、ゴムや合成樹脂など従来公知の材料で構成されている。
複数の第1領域22と、第2領域24はコア層40の外面(表面)に形成されている。すなわち、第2の実施の形態では、球体20の中心を中心とした球面は、コア層40の外面である。
第2の実施の形態では、コア層40の外面に凹部を形成することなく、導電性塗料をコア層40の外面に塗布し乾燥させることで第1領域22を形成している。
このような第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例である。
図23は第3の実施の形態におけるゴルフボール2の断面図である。
図23に示すように、ゴルフボール2は、球体20と、第1領域22と、第2領域24と、カバー層26とを備えている。
本実施の形態では、球体20は、内側コア層28Aと、内側コア層28Aを覆う外側コア層28Bとで形成され、球体20の中心を中心とした球面は、内側コア層28Aの表面または外側コア層28Bの内面である。
外側コア層28Bは、導電性を有さない合成樹脂で構成されている。
第1領域22は、球体20の中心を中心とした球面の部分に複数形成され、言い換えると、内側コア層28Aの表面に複数形成されている。
第2領域24は、球体20の球面上で第1領域22を除く残りの部分に形成され、言い換えると、第1領域22を除く残りの内側コア層28Aの表面の部分で形成されている。したがって、第2領域24は、合成樹脂で形成されているため導電性を有さない。
カバー層26は、導電性を有さない合成樹脂で構成され、球体20を覆っている。
カバー層26および外側コア層28Bは導電性を有さず電波を通過するため、第1領域22による電波の反射がなされる。
このような第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
(第1の実施例)
次にゴルフボール2の実験結果について説明する。なお、以下では、第1の実施の形態のゴルフボール2について実験を行った。
第1の実施例について説明する。
実験条件は次のとおりである。
実験例1は、ゴルフボール2に第1領域22が形成されていないものである。
実験例2は、ゴルフボール2に1個の第1領域22を設けたものである。
実験例3は、ゴルフボール2に6個の第1領域22を設けたものであり、図5,図6に示すように構成されている。
このように構成された各ゴルフボール2をゴルフボール打ち出し装置によって打ち出してドップラーレーダ10を使用した計測装置を用いて計測を行い、ドップラー信号Sdをウェーブレット解析した。
ゴルフボール打ち出し装置によってゴルフボール2に与えるスピン量は1000rpm、3000rpmとした。
実験例1、2,3で計測したゴルフボール2の個数はそれぞれ10個とした。
図11は実験例1においてスピン量を1000rpmとした場合のドップラー信号Sdのウェーブレット解析結果を示す図である。
図12は実験例2においてスピン量を1000rpmとした場合のドップラー信号Sdのウェーブレット解析結果を示す図である。
図13は実験例3においてスピン量を1000rpmとした場合のドップラー信号Sdのウェーブレット解析結果を示す図である。
図14は実験例3においてスピン量を3000rpmとした場合のドップラー信号Sdのウェーブレット解析結果を示す図である。
横軸は時間t(ms)、縦軸はドップラー周波数Fd(kHz)およびゴルフボール2の速度V(m/s)を示す。
図15は実験例1〜3におけるスピン量の計測結果を示す図であり、10個のゴルフボール2の計測を行った場合に、スピン量が計測できたゴルフボール2の個数を比率(パーセント)で表示している。
図13、図14に示すように、実験例3では、第2、第3周波数分布DB、DCが時間経過と共に減少しているもののスピン量を計測するに足る程度の信号強度が確保されている。
すなわち、図15に示すように、打ち出し時にゴルフボール2に与えるスピン量が1000rpm、3000rpmの何れであってもスピン量の計測が100%可能となっている。
すなわち、スピン量が高いほど、図2で説明した第2速度VBがより低下しかつ第3速度VCがより上昇することから、第2、第3周波数分布DB、DCの幅がより大きくなり、したがって、第2、第3周波数分布DB、DCの信号強度を確保する上で有利となる。
なお、スピン量が同じであっても、第1領域22の個数が多いほど、単位時間当たりに反射される反射波W2の信号強度が強くなるため、第2、第3周波数分布DB、DCの信号強度を確保する上で有利となる。
図11、図12に示すように、実験例1、2では、ドップラー信号Sdの周波数分布の幅が図13、図14に比較して小さく、第2、第3周波数分布DB、DCの信号強度が低く、第2、第3周波数分布DB、DCが時間経過と共に減少しやがて消失している。
すなわち、図15に示すように、打ち出し時にゴルフボール2に与えるスピン量が1000rpmと低い場合には、実験例1ではスピン量の計測ができず、実験例2ではスピン量の計測が30%しかできない。
また、スピン量が3000rpmと高くなると、実験例1、2ともスピン量の計測が100%可能となっている。
これは、スピン量が高いほど、第2速度VBがより低下しかつ第3速度VCがより上昇するため、第2、第3周波数分布の幅(ドップラー信号Sdの周波数分布の幅)が大きいからである。
このような実験結果から、本実施の形態のゴルフボール2を用いることにより、スピン量の値に拘わらず、スピン量の計測を安定して確実に行う上で有利であることが明らかとなった。
(第2の実施例)
次に第2の実施例について説明する。
実験条件は次のとおりである。
実験例4は、ゴルフボール2に第1領域22が形成されていないものである。
実験例5は、ゴルフボール2に1個の第1領域22を設けたものである。
実験例6は、ゴルフボール2に6個の第1領域22を設けたものであり、図5、図6に示すように構成されている。
このように構成された各ゴルフボール2をゴルフボール打ち出し装置によって打ち出してドップラーレーダ10を用いて計測を行い、時間経過に伴うゴルフボール2のスピン量の変化を計測した。
ゴルフボール打ち出し装置によってゴルフボール2に与える初速は60m/s、ゴルフボール2に与えるスピン量は3000rpmとした。
実験例4〜6で計測したゴルフボール2の個数はそれぞれ10個とした。
図16は実験例4のスピン量の計測結果を示す図、図17は実験例5のスピン量の計測結果を示す図、図18は実験例6のスピン量の計測結果を示す図である。
なお、図16、図17、図18に示される実線は、スピン量の各計測値に基づいて算出された時間経過とスピン量との関係を示す直線である。
図19は実験例4〜6におけるスピン量の計測時間と追尾距離を示す図であり、10個のゴルフボール2の計測を行った場合における平均値を示している。
図18に示すように第1領域22が0個の場合、計測時間は1.1秒、追尾時間は66mであった。しかしながら、0.5秒以降のスピン量の計測データはばらつきが大きく、スピン量の計測データとして使用できる値としては、計測時間が0.5秒、追尾距離が30mであった。
図16に示すように第1領域22が1個の場合、計測時間は1.25秒、追尾距離は75mであった。
図17に示すように第1領域22が6個の場合、計測時間は2.6秒、追尾距離は156mであった。
以上の結果から、第1領域22が0個の場合は、計測時間が0.5秒、追尾距離が30mと限られていることがわかる。
また、第1領域22が1個の場合に比較して6個の場合は、計測時間および追尾距離を大きく確保できることがわかる。
このような実験結果から、本実施の形態のゴルフボール2を用いることにより、スピン量の計測時間および追尾距離を確保することができ、スピン量の計測を安定して確実に行う上で有利であることが明らかとなった。
(第3の実施例)
次に第3の実施例について説明する。
第3の実施例は、ゴルフボール2をゴルフクラブヘッド4で打撃した場合の耐久性と、導電性塗料の塗布作業性とを評価した。
耐久性は、試料となるゴルフボール2をゴルフクラブヘッド4で繰り返して打撃し、所定の打撃回数毎にスピン量Spの測定が不能となったゴルフボール2の個数で評価した。
以下、スピン量Spの測定が可能であるか、不能であるかの評価方法について説明する。
図20(A),(B)は、ゴルフボール2を打撃したときに得られるドップラー信号Sdを周波数解析することによって求められた、周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データPを示す説明図である。なお、図20(A),(B)において信号強度分布データPは実測値で示し、図20(A)、(B)のスピン量は同等である。
図20(A)は、信号強度分布データPの波形が1つのピークを有する山を形成しており、かつ、山の幅が広がっていることから、第2部分速度Vbと第3部分速度Vcの信号強度が十分に得られており、スピン量Spを正確に計測できていることを示している。
図20(A)の場合、第1領域22を観察すると、第1領域22を構成する導電性塗料は破損されておらず、第1領域22の全体にわたって導通が確保されていることがわかった。
図20(B)は、信号強度分布データPの波形は1つのピークを有する山を形成しているものの、図20(A)と同等なスピン量なのに山の幅が狭くなっていることから、第2部分速度Vbと第3部分速度Vcの信号強度が不十分となり、スピン量Spを正確に計測できていないことを示している。
図20(B)の場合、第1領域22を観察すると、第1領域22を構成する導電性塗料が細かく破断されており、第1領域22の全体にわたる導通が確保されていないことがわかった。
したがって、図20(A)に示すように、第1領域22を構成する導電性塗料の状態を、第1領域22の全体にわたって導通が確保されているように維持すれば、スピン量Spの変化によって山の幅も変化するドップラー信号Sdを得ることができ、スピン量Spを正確に計測することができることがわかる。
これに対して、図20(B)に示すように、第1領域22を構成する導電性塗料が破損されると、スピン量Spが変化しても山の幅が変化しないドップラー信号Sdしか得られず、スピン量Spを正確に計測することが出来ないことがわかる。
したがって、以下の実施例では、図20(B)のようにスピン量Spが大きいのに山の幅が広がらない時点でスピン量Spの測定が不能であると判定した。
第3の実施例における実験条件は、以下の通りである。
試料となるゴルフボール2は、6個の第1領域22を設けたものであり、図5,図6に示すように構成されている。この場合、第1領域22は正円とし、正円の直径は5mmとした。これらの条件は、第3、第4の実施例において共通である。
導電性塗料は、塗膜形成成分、金属粉末および溶剤からなり、金属粉末の含有率は、実験例7を71質量%、実験例8を80質量%、実験例9を90質量%,実験例10を97質量%,実験例11を99質量%とした。なお、金属粉末は銀コート銅粉であり、導電性塗料に使用した溶剤は、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)である。
塗膜形成成分は、実験例7〜9において共通のポリエステルウレタン樹脂とした。
ゴルフボール2の試料は、実験例毎に10個ずつ作成した。
評価方法は以下の通りである。
耐久性については、各ゴルフボール2をゴルフクラブを用いて打撃し、打撃回数が50回、100回、150回、200回のそれぞれの時点で、スピン量Spの測定が不能となった試料の数を「測定不能数」として計数した。
塗布作業性については、金属含有率が80質量%の場合を100とした指数で評価した。
第3の実施例の評価結果を図21に示す。
(耐久性)
金属粉末の含有率が80質量%以上97質量%以下の範囲にあると、それらの範囲を下回る場合に比較して、第1領域22を構成する導電性塗料の耐久性が優れていることがわかる。
また、金属粉末の含有率が90質量%を下回る場合よりも90質量%を上回る方が第1領域22を構成する導電性塗料の耐久性がより優れていることがわかる。
(塗布作業性)
金属粉末の含有率が80質量%以上97質量%以下の範囲にあると、それらの範囲を上回る場合に比較して、塗布作業性が優れていることがわかる。
(第4の実施例)
次に第4の実施例について説明する。
第4の実施例では耐久性について評価した。評価方法は第3の実施例と同様である。
第4の実施例における実験条件は以下の通りである。
導電性塗料は、塗膜形成成分、金属粉末および溶剤からなり、金属粉末の含有率は実験例12〜16において共通の85質量%とした。なお、金属粉末は銀コート銅粉であり、導電性塗料に使用した溶剤は、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)である。
塗膜形成成分は、実験例12をアクリル樹脂、実験例13をポリエステル樹脂、実験例14をエポキシ樹脂、実験例15をウレタン樹脂、実験例16をポリエステルウレタン樹脂とした。
第4の実施例の評価結果を図22に示す。
(耐久性)
塗膜形成成分がポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂の場合は、アクリル樹脂に比較して、第1領域22を構成する導電性塗料の耐久性が優れていることがわかる。
なお、本発明は、実施の形態で例示した球技用ボールに限定されるものではなく、さまざまな球技用ボールに広く適用可能である。
2……ゴルフボール(球技用ボール)、20……球体、22……第1領域、24……第2領域、26……カバー層。

Claims (11)

  1. 球体と、
    前記球体を覆うカバー層とを備えた球技用ボールであり、
    前記球体の中心を中心とした球面の部分に形成された電波反射率が高い第1領域と、
    前記球面上で前記第1領域を除く残りの部分に形成され電波反射率が前記第1領域よりも低い第2領域とを備え、
    前記第1の領域は、導電性塗料で構成され、
    前記導電性塗料は、塗膜形成成分と、溶剤と、金属粉末とを少なくとも含有し、
    前記導電性塗料の乾燥時における前記金属粉末の含有率が80質量%以上97質量%以下であり、
    前記第1領域は複数設けられ、
    前記複数の第1領域は、頂点が前記球面に位置するように仮想された正多面体または準正多面体の各頂点に位置している、
    ことを特徴とする球技用ボール。
  2. 前記塗膜形成成分は、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂の何れかを含む、
    ことを特徴とする請求項1記載の球技用ボール。
  3. 前記導電性塗料の乾燥時における前記金属粉末の含有率が90質量%以上97質量%以下である、
    ことを特徴とする請求項1または2項記載の球技用ボール。
  4. 前記第1領域は導電性を有し、前記第2領域は導電性を有さない、
    ことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載の球技用ボール。
  5. 前記第1領域の表面抵抗は130Ω/sq.以下である、
    ことを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載の球技用ボール。
  6. 前記カバー層は合成樹脂製である、
    ことを特徴とする請求項1乃至5に何れか1項記載の球技用ボール。
  7. 前記球体の中心を中心とした球面は前記球体の表面である、
    ことを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載の球技用ボール。
  8. 前記球体は、球状で中実のコア層で形成され、
    前記球体の中心を中心とした球面は、前記コア層の表面である、
    ことを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載の球技用ボール。
  9. 前記球体は、球状で中空のコア層で形成され、
    前記球体の中心を中心とした球面は、前記コア層の外面である、
    ことを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載の球技用ボール。
  10. 前記球体は、球状の内側コア層と、前記内側コア層を覆う外側コア層とで形成され、
    前記球体の中心を中心とした球面は、前記内側コア層の表面または前記外側コア層の内面である、
    ことを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載の球技用ボール。
  11. 前記球技用ボールは、ゴルフボールである、
    ことを特徴とする請求項1乃至10に何れか1項記載の球技用ボール。
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