JP6108753B2 - 超音波処置装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波処置装置に関するものである。
従来、圧電素子と電極とを積層してなる超音波振動子を使用し、生体組織に超音波エネルギを作用させることにより生体組織を処置する超音波処置装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の超音波処置装置は、生体との接触によって振動面に負荷がかかった場合に、駆動装置側で駆動時の電流値と電圧値との位相差信号を検出し、検出された位相差信号に基づいて圧電素子の振動振幅が最大となるように圧電素子に印加する周波数をPLL(Phase−locked loop)制御することにより、処置具に発生する振動量を制御している。
特許第4472759号公報
しかしながら、特許文献1に記載の超音波処置装置において、駆動時の電流値がノイズ成分を含んでいる可能性がある。駆動時の電流値にノイズ成分が含まれている場合、電流値が不安定になるため、電流値にノイズ成分が含まれていない場合と比較して位相差信号の検出時間が長くなり、圧電素子に印加する交番電圧の周波数制御が遅れてしまい、超音波振動子を効率良く駆動することができないという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、超音波振動子を効率良く駆動することができる超音波処置装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、弾性体と、該弾性体に固定され、交番電圧が印加されて伸縮することにより前記弾性体に屈曲振動を励起する駆動用圧電素子と、前記弾性体に固定された振動検出用圧電素子とを備え、前記振動検出用圧電素子が、前記弾性体の屈曲振動の節をまたがない位置に配置されている超音波処置装置を提供する。
本発明によれば、駆動用圧電素子が印加された交番電圧にしたがって伸縮を繰り返すことにより、弾性体に屈曲振動が励起される。これにより、弾性体と駆動用圧電素子とからなる超音波振動子が振動して該超音波振動子に接触している生体組織を処置することができる。
この場合に、節以外の位置において弾性体に固定されている振動検出用圧電素子は屈曲振動している弾性体と共に歪み、圧電効果によってその歪みの量に応じた電圧を発生する。すなわち、振動検出用圧電素子の発生する電圧から、超音波振動子の振動が検出される。
ここで、節をまたがない位置に配置されている振動検出用圧電素子には略同一の方向に歪みが発生し、振動検出用圧電素子の内部で歪みが相殺されることがないので、超音波振動子の振動により振動検出用圧電素子に発生する歪みの量は最大となる。このようにして高い感度で正確に検出された超音波振動子の振動に基づいて駆動用圧電素子に印加する交番電圧の周波数を制御することにより、超音波振動子を効率良く駆動することができる。
上記発明においては、前記弾性体は、前記駆動用圧電素子が側面に固定される柱状の柱状部と、該柱状部と一体に形成された棒状のプローブ部とを有し、前記振動検出用圧電素子が、前記プローブ部に配置されていてもよい。
このようにすることで、プローブ部を備える構成において、生体組織と接触するプローブ部の位置において検出された振動に基づいて駆動用圧電素子に印加する交番電圧の周波数を制御することにより、処置効率を向上することができる。
また、上記発明においては、複数の前記振動検出用圧電素子が、前記プローブ部の、前記節を長手方向に挟む複数の位置に配置されていてもよい。
このようにすることで、振動による変位量が大きくなる複数の位置に振動検出用圧電素子を設けることにより、これら各位置における振動を適切に制御することができる。
また、上記発明においては、前記弾性体は、前記駆動用圧電素子が側面に固定される柱状の柱状部と、該柱状部と一体に形成された棒状のプローブ部とを有し、前記振動検出用圧電素子が、前記柱状部に配置されていてもよい。
このようにすることで、超音波振動子の振動を柱状部において検出しても、駆動用圧電素子に印加する交番電圧の周波数を適切に制御することができる。
また、上記発明においては、前記弾性体が、側面に溝を有し、前記振動検出用圧電素子が、前記溝の内部に配置され、前記駆動用圧電素子が、前記溝を塞ぐように前記弾性体の側面に配置されていてもよい。
このようにすることで、振動検出用圧電素子により駆動用圧電素子の寸法が制限されることがなく、弾性体に屈曲振動を効率的に励起することができる。
また、本発明の参考例は、弾性体と、該弾性体に固定され、交番電圧が印加されて伸縮することにより前記弾性体に縦振動を励起する駆動用圧電素子と、前記弾性体に固定された振動検出用圧電素子とを備え、前記振動検出用圧電素子が、前記弾性体の縦振動の節をまたぐ位置に配置されている超音波処置装置を提供する。
本参考例によれば、節をまたいで配置されている振動検出用圧電素子には、節の両側において互いに反対方向に歪みが発生するので、超音波振動子の振動により振動検出用圧電素子に発生する歪みの量は最大となる。このようにして高い感度で正確に検出された超音波振動子の振動に基づいて駆動用圧電素子に印加する交番電圧の周波数を制御することにより、超音波振動子を安定して駆動することができる。
本発明によれば、位相差信号に基づいて超音波振動子を駆動する交番電圧の周波数制御を効率よく行い、超音波振動子を安定して駆動することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係る超音波処置装置の全体構成を示す概略図である。 図1の超音波処置装置が備える超音波処置具の(a)内部構成図および(b)(a)のA−A線における断面図である。 図1の超音波振動子の屈曲振動を示す図である。 図2の超音波処置具の圧電素子用の電気配線を示す図である。 図1の駆動装置が備える制御回路を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る超音波処置装置が備える超音波処置具の(a)内部構成図および(b)(a)のB−B線における断面図である。 図5の超音波振動子の屈曲振動を示す図である。 図6の超音波処置具の圧電素子用の電気配線を示す図である。 図5の超音波処置具が備える振動検出用圧電素子の配置の変形例を示す側面図である。 図5の超音波処置具が備える振動検出用圧電素子の配置のもう1つの変形例を示す(a)側面図および(b)(a)のC−C線における断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る超音波処置装置が備える超音波処置具の(a)内部構成図および(b)(a)のD−D線における断面図である。 図11の超音波処置具の圧電素子用の電気配線を示す図である。 図9の超音波処置具が備える振動検出用圧電素子の配置の変形例を示す側面図である。 図9の超音波処置具が備える振動検出用圧電素子の配置のもう1つの変形例を示す側面図である。 本発明の参考実施形態に係る超音波処置装置が備える超音波処置具の(a)内部構成図および(b)(a)のE−E線における断面図である。 図12の弾性体の縦振動を示す図である。 図15の超音波処置具の圧電素子用の電気配線を示す図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る超音波処置装置100について説明する。
本実施形態に係る超音波処置装置100は、図1に示されるように、超音波振動子2を有する超音波処置具1と、超音波振動子2に所定の周波数の交番電圧を供給してこれを駆動する駆動装置3とを備えている。
超音波処置具1は、図2(a),(b)に示されるように、角柱状の弾性体4および板状の駆動用圧電素子5を有する超音波振動子2と、該超音波振動子2に固定された板状の振動検出用圧電素子6と、超音波振動子2を収容する硬性の外筒7とを備えている。
弾性体4は、ステンレス、チタン合金、アルミなどからなる。弾性体4の側面のうち少なくとも圧電素子5,6が接着される部分は、鏡面処理が施されている。
駆動用圧電素子5および振動検出用圧電素子6は、チタン酸ジルコン酸鉛のような弾性体からなり、エポキシ系の接着剤により弾性体4の側面に固定されている。また、各圧電素子5,6は、表面および裏面に電極処理が施されており、厚さ方向に分極している。
駆動用圧電素子5は、弾性体4の4つの側面に固定されている。ここで、4つの駆動用圧電素子5のうち3つは、弾性体4の側面の略全面を覆い、残りの1つは、弾性体4の側面の、後述する振動検出用圧電素子6が配置される領域を除く領域を覆っている。
また、弾性体4の対向する側面に固定されている2つの駆動用圧電素子5は、図中の矢印Pで示される分極方向が互いに同一となるように設けられている。これにより、対向する2つの駆動用圧電素子5に同一の周波数および位相を有する交番電圧が印加されたとき、一方の駆動用圧電素子5が収縮し、他方の駆動用圧電素子5が延伸することによって、駆動用圧電素子5に強固に接着された弾性体4を屈曲させる振動が励起されるようになっている。屈曲振動において、図3に示されるように、超音波振動子2の長手方向の途中位置に第1の節N1が存在し、超音波振動子2の基端に第2の節N2が存在する。
図4は、各圧電素子5,6用の電気配線図を示している。弾性体4の表面は、4つの駆動用圧電素子5および振動検出用圧電素子6の共通のGNDになっている。同図において破線で示される圧電素子5,6用のGND線5b,6bは、弾性体4の表面の第2の節N2の位置またはその近傍に接続されている。駆動用圧電素子5用の4つの信号線5aのうち2つは、対向配置されている2つの駆動用圧電素子5の駆動電極表面に接続され、他の2つは、残りの2つの駆動用圧電素子5のGND電極表面に接続されている。振動検出用圧電素子6用の信号線6aは、振動検出用圧電素子6の検出電極表面に接続されている。また、各信号線5a,6aは、第1の節N1または第2の節N2の位置、あるいはその近傍に接続されている。信号線5aおよびGND線5bは、共通の内部コネクタ11aに接続され、該内部コネクタ11aはケーブル11を介して駆動装置3に接続されている。また、信号線6aおよびGND線6bは、共通の内部コネクタ12aに接続され、該内部コネクタ12aはケーブル12を介して駆動装置3に接続されている。なお、図4において、左図は、図2(a)のA−A線における超音波振動子2および駆動用圧電素子5の断面図を示し、右図は、超音波振動子2および圧電素子5,6の側面図を示している。
振動検出用圧電素子6は、弾性体4の一の側面の、先端と第1の節N1との間の少なくとも一部の領域に、駆動用圧電素子5とは絶縁されて設けられている。振動検出用圧電素子6は、弾性体4の先端から第1の節N1までの長さ寸法と略同一の長さ寸法を有し、弾性体4の先端と第1の節N1との間の長手方向の全長にわたって設けられていることが好ましい。
弾性体4の第1の節N1よりも先端側の領域は、屈曲振動により歪みを発生する。振動検出用圧電素子6は、弾性体4と一体で歪むことにより、圧電効果により電圧を発生する。すなわち、振動検出用圧電素子6によって検出される電圧の振幅から、超音波振動子2の、振動検出用圧電素子6が配置されている位置における屈曲振動の振幅を検出することができる。
外筒7は、超音波振動子2の第1の節N1から基端までを収容している。外筒7は、超音波振動子2の各側面の第2の節N2に対応する位置にネジ穴7aを有している。これらネジ穴7aに締結されたネジ8により4方向から超音波振動子2が締め付けられることで、第2の節N2の位置において超音波振動子2が外筒7に対して固定されている。
超音波振動子2の外筒7から突出した先端側の一部は、生体組織と接触させられて該生体組織に超音波エネルギを作用させる処置部として機能する。超音波振動子2の先端側の一部および振動検出用圧電素子6の表面は、シリコーンなどからなる可撓性を有する防水シート9により被覆されている。
図中、符号10は、接着剤を示している。第1の節N1に相当する位置に塗布された接着剤10は、超音波振動子2の外面と外筒7の内周面との間に形成される環状の隙間を封止して体液などの侵入を防止しているとともに、超音波振動子2を第1の節N1の位置において外筒7に対して固定している。超音波処置具1の基端側に塗布された接着剤10は、外筒7形成された、ケーブル11,12用の通し穴を塞いでいる。
駆動装置3は、超音波振動子2に供給する交番電圧の出力を表示する表示部31と、交番電圧の出力を調整するダイヤル32と、交番電圧の供給を開始および停止させるフットスイッチ33とを備えている。
また、駆動装置3は、図5に示されるように、超音波振動子2を制御する制御回路34を内部に備えている。制御回路34において、発振回路341から所定の振幅および周波数の交番電圧が出力され、アンプ342による増幅後に、超音波振動子2の駆動用圧電素子5に印加される。振動検出用圧電素子6からの信号および発振回路341からの信号は、振幅・位相差検出回路343に入り、振動検出用圧電素子6からの信号の振幅値と位相差が出力される。振幅値信号は、振幅値比較回路344において振幅設定値と比較され、その差に応じて電圧振幅設定回路345に入力し、発振回路341電圧の振幅を制御する。位相差信号は、位相差比較回路346において位相差設定値と比較され、その差に応じて周波数設定回路347に入力し、発振回路341の周波数を制御する。制御回路34は、この様なループを連続的に繰り返すことにより、超音波振動子2を最適な周波数および所定の振動振幅で安定して駆動する。
次に、このように構成された超音波処置装置100の作用について説明する。
本実施形態に係る超音波処置装置100を用いて生体組織を処置するには、超音波振動子2の処置部を患部に接触させた状態で、フットスイッチ33を踏み、駆動装置3から超音波振動子2への交番電圧の供給を開始する。
交番電圧が供給された駆動用圧電素子5が交番電圧に従って伸縮を繰り返すことにより、駆動用圧電素子5が固定されている弾性体4にも周期的な変形が生じ、超音波振動子2が屈曲振動する。これにより、処置部である超音波振動子2の先端側の一部が振動し、処置部と接触している患部に超音波エネルギを作用させて患部を処置することができる。
駆動装置3から超音波振動子2に供給される交番電圧の周波数は、制御回路34により制御される。これにより、処置部の振動の振幅がその交番電圧の出力において最大に維持され、処置効率を最大化することができる。必要に応じて、駆動装置3のダイヤル32を操作することにより、駆動装置3からの交番電圧の出力を変更し、処置部の振幅を調整してもよい。
この場合に、本実施形態によれば、振動検出用圧電素子6が、第1の節N1をまたがない位置において超音波振動子2に設けられている。このような位置に設けられた振動検出用圧電素子6の各位置に発生する歪みの方向は略同一となり、振動検出用圧電素子6の内部において互いに異なる方向の歪みが相殺し合うことがない。すなわち、振動検出用圧電素子6は、超音波振動子2の振動により発生する歪みの量が最大となる位置に設けられている。このようにして超音波振動子2の屈曲振動を処置部の位置において直接かつ高い感度で正確に検出し、検出された屈曲振動に基づいて駆動用圧電素子5に印加する交番電圧を制御することにより、交番電圧の周波数を適切に制御して超音波振動子2を効率良く駆動することができるという利点がある。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る超音波処置装置について説明する。
本実施形態に係る超音波処置装置は、超音波振動子201の構成が第1の実施形態と主に異なる。したがって、本実施形態では主に、超音波振動子201の構成について説明し、その他の構成については第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の超音波処置具101において、弾性体は、図6(a),(b)に示されるように、角柱形状の柱状部41と、柱状部41の先端側に設けられた円柱状のプローブ部42と、柱状部41とプローブ部42との間に設けられたホーン部43とからなる。柱状部41、プローブ部42およびホーン部43は、単一の部材として構成されている。
ホーン部43は、柱状部41の先端面からプローブ部42の基端面に向かって漸次細くなる錐状である。後述するように柱状部41に励起された屈曲振動は、柱状部41からプローブ部42に伝搬されるまでの間にホーン部43において増幅されることにより、プローブ部42に効率良く伝達されるようになっている。
駆動用圧電素子5は、第1の実施形態と同様にして柱状部41の4つの側面に固定され、対向する2つの駆動用圧電素子5に同一の周波数および位相を有する交番電圧が印加されたとき柱状部41に屈曲振動が励起されるようになっている。図7に示されるように、屈曲振動において、超音波振動子201には先端側から順に第1〜第5の節N1〜N5が存在する。ここで、プローブ部42の先端、および、第1の節N1と第2の節N2との間の途中位置において変位が大きくなり、これらの位置が処置部として機能するようになっている。
振動検出用圧電素子6は、柱状部41の一の側面の、先端と第4の節N4との間の少なくとも一部の領域に、駆動用圧電素子5とは絶縁されて設けられている。振動検出用圧電素子6は、柱状部41の先端から第4の節N4までの長さと略同一の長手方向の寸法を有し、柱状部41の先端と第4の節N4と間の長手方向の全長にわたって設けられていることが好ましい。
図8は、各圧電素子5,6の電気配線図を示している。本実施形態において、ホーン部43の表面が、4つの駆動用圧電素子5および振動検出用圧電素子6の共通のGNDになっている。各圧電素子5,6用のGND線5b,6b(破線参照)は、ホーン部43の表面の第3の節N3の位置またはその近傍に接続されている。信号線5a,6aは、第1の実施形態と同様に接続されている。
次に、このように構成された超音波処置装置の作用について説明する。
本実施形態に係る超音波処置装置を用いて生体組織を処置するには、第1の実施形態と同様に、処置部であるプローブ部42の先端または途中位置を患部に接触させた状態で、フットスイッチ33を踏み、駆動装置3から超音波振動子201への交番電圧の供給を開始する。これにより、プローブ部42の処置部と接触している患部を処置することができる。
駆動装置3から駆動用圧電素子5に供給される交番電圧の周波数は、振動検出用圧電素子6によって検出される電圧に基づいて、制御回路34によって最適値に制御される。これにより、処置部の振動の振幅がその交番電圧の出力において略最大に維持され、処置効率を略最大化することができる。
この場合に、本実施形態によれば、振動検出用圧電素子6が、第4の節N4をまたがない位置において柱状部41に設けられている。したがって、第1の実施形態と同様に、超音波振動子201を最適な状態で安定して駆動することができるという利点がある。
なお、本実施形態においては、振動検出用圧電素子6が柱状部41の先端と第4の節N4との間に配置されていることとしたが、振動検出用圧電素子6の配置はこれに限定されるものではない。
すなわち、振動検出用圧電素子6は、図9に示されるように、柱状部41の基端と第5の節N5との間に配置されていてもよい。この配置において、信号線6aは、第5の節N5の位置またはその近傍において振動検出用圧電素子6に接続される。
また、振動検出用圧電素子6は、図10(a),(b)に示されるように、柱状部41の第4の節N4と第5の節N5との間に配置されていてもよい。この配置において、信号線6aは、第4の節N4または第5の節N5の位置、あるいはその近傍において振動検出用圧電素子6に接続される。また、この構成において、振動検出用圧電素子6は、柱状部41の側面に形成された溝41aの内部に配置され、溝41aを塞ぐように駆動用圧電素子5が配置されてもよい。このようにすることで、振動検出用圧電素子6と同一の側面に配置される駆動用圧電素子5の寸法を小さくする必要がないので、弾性体に効率的に屈曲振動を励起することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る超音波処置装置について説明する。
本実施形態に係る超音波処置装置は、振動検出用圧電素子6の配置が第2の実施形態と主に異なる。したがって、本実施形態の説明において、振動検出用圧電素子6の構成について主に説明し、その他の構成については第1および第2の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の超音波処置具102において、振動検出用圧電素子6は、図11(a),(b)に示されるように、プローブ部42の表面の第1の節N1と第2の節N2との間の少なくとも一部の領域に設けられている。振動検出用圧電素子6は、プローブ部42の第1の節N1から第2の節N2までの長さ寸法と略同一の長さ寸法を有し、プローブ部42の第1の節N1と第2の節N2との間の長手方向の全長にわたって設けられていることが好ましい。振動検出用圧電素子6は、シリコーンのような絶縁性および撥水性を有する材料からなる撥水層13により被覆されている。
図12は、各圧電素子5,6の電気配線図を示している。振動検出用圧電素子6用の信号線6aが、第1の節N1の位置またはその近傍において振動検出用圧電素子6に接続されている以外は、第2の実施形態と同様の配線となっている。
次に、このように構成された超音波処置装置の作用について説明する。
本実施形態に係る超音波処置装置を用いて生体組織を処置するには、第1の実施形態と同様に、処置部であるプローブ部42の先端または途中位置を患部に接触させた状態で、フットスイッチ33を踏み、駆動装置3から超音波振動子202への交番電圧の供給を開始する。これにより、プローブ部42の処置部と接触している患部を処置することができる。
駆動装置3から駆動用圧電素子5に供給される交番電圧の周波数は、振動検出用圧電素子6によって検出される電圧に基づいて、制御回路34により最適値に制御される。これにより、一方の処置部であるプローブ部42の途中位置の振動の振幅がその交番電圧の出力において最大に維持され、この処置部による処置効率を最大化することができる。
この場合に、本実施形態によれば、振動検出用圧電素子6が、節N1,N2をまたがない位置においてプローブ部42に設けられている。したがって、第1の実施形態と同様に、超音波振動子202を最適な状態で安定して駆動することができるという利点がある。
なお、本実施形態においては、1つの振動検出用圧電素子6がプローブ部42の第1の節N1と第2の節N2との間に配置されていることとしたが、振動検出用圧電素子6の配置はこれに限定されるものではなく、振動検出用圧電素子6が節N1,N2をまたがない位置に配置されていればよい。
すなわち、振動検出用圧電素子6は、図13に示されるように、プローブ部42の第2の節N2と基端との間に配置されていてもよく、図14に示されるように、プローブ部42の先端と第1の節N1との間に配置されていてもよい。このようにしても、超音波振動子202の屈曲振動を高感度で検出することができる。
図13および図14に示される構成において、振動検出用圧電素子6の追加に伴い、信号線6aおよびGND線6bも追加される。追加された信号線6aおよびGND線6bはそれぞれ、第1の節N1または第2の節N2の位置、もしくはその近傍において、追加された振動検出用圧電素子6に接続される。
図13および図14に示されるように、複数の振動検出用圧電素子6が設けられている場合、複数の振動検出用圧電素子6が受ける振動が圧電効果によって複数の電圧として変換され、駆動装置3に入力される。駆動装置3は、複数の処置部のうち1つをユーザが選択して入力する図示しない入力部を備える。駆動装置3が備える制御回路34は、複数の振動検出用圧電素子6から入力される複数の電圧のうち、ユーザにより選択された処置部に対応する一の電圧に基づいて位相差制御を行い、最適な周波数および振幅になるように駆動用圧電素子5に供給する交番電圧の周波数を制御する。
このようにすることで、プローブ部42が有する複数の処置部のうち所望の処置部による処置効率を向上することができるという利点がある。
参考実施形態)
次に、本発明の参考実施形態に係る超音波処置装置について説明する。
本実施形態に係る超音波処置装置は、超音波振動子203が縦振動する点、および、振動検出用圧電素子6の配置において第2の実施形態と主に異なる。したがって、本実施形態の説明において、超音波振動子203および振動検出用圧電素子6の構成について主に説明し、その他の構成については第1〜第3の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の超音波処置具103において、4つの駆動用圧電素子5は、図15(a),(b)に示されるように、矢印Pで示される分極方向が柱状部41の半径方向内方を向くように、柱状部41の側面に配置されている。これにより、4つの駆動用圧電素子5に同一の周波数および位相を有する交番電圧が印加されたとき、4つの駆動用圧電素子5の全てが同時に収縮または延伸し、柱状部41に縦振動が励起されるようになっている。図16に示されるように、縦振動において、節Nはホーン部43の長手方向の途中位置に存在する。ここで、プローブ部42の先端において変位が大きくなり、この位置が処置部として機能するようになっている。
振動検出用圧電素子6は、ホーン部43の表面の、節Nをまたぐ位置に配置されている。
図17は、各圧電素子5,6の電気配線図を示している。4つの駆動用圧電素子5用の信号線5aは、各駆動用圧電素子5の駆動電極表面に接続されている。振動検出用圧電素子6用の信号線6aは、振動検出用圧電素子6の節Nの位置またはその近傍に接続されている。2つのGND線5b,6bは、共通のGNDであるホーン部43の表面の、節Nの位置またはその近傍に接続されている。
次に、このように構成された超音波処置装置の作用について説明する。
本実施形態に係る超音波処置装置を用いて生体組織を処置するには、第1の実施形態と同様に、処置部であるプローブ部42の先端を患部に接触させた状態で、フットスイッチ33を踏み、駆動装置3から超音波振動子203への交番電圧の供給を開始する。これにより、プローブ部42の処置部と接触している患部を処置することができる。
駆動装置3から駆動用圧電素子5に供給される交番電圧の周波数は、振動検出用圧電素子6によって検出される電圧に基づいて制御回路34によって位相差制御されることにより、最適値に制御される。これにより、処置部の振動の振幅がその交番電圧の出力において略最大に維持され、処置効率を略最大化することができる。
この場合に、本実施形態によれば、振動検出用圧電素子6が、節Nをまたぐ位置においてホーン部43に設けられている。このような位置に設けられた振動検出用圧電素子6に発生する歪みの方向は、節Nの先端側と基端側とで反対となる。すなわち、振動検出用圧電素子6は、ホーン部43の振動により発生する歪みの量が最大となる位置に設けられている。このようにして超音波振動子203の縦振動をホーン部43の位置において直接かつ高い感度で正確に検出し、検出された振動に基づいて駆動用圧電素子5に印加する交番電圧の周波数が制御され、超音波振動子203を最適な状態で安定して駆動することができるという利点がある。
100 超音波処置装置
1,101,102,103 超音波処置具
2,201,202,203 超音波振動子
3 駆動装置(電圧供給部)
31 表示部
32 ダイヤル
33 フットスイッチ
34 制御回路(制御部)
4 弾性体
41 柱状部
41a 溝
42 プローブ部
43 ホーン部
5 駆動用圧電素子
6 振動検出用圧電素子
7 外筒
7a ネジ穴
8 ネジ
9 防水シート
10 接着剤
11,12 ケーブル
N,N1〜N5 節

Claims (5)

  1. 弾性体と、
    該弾性体に固定され、交番電圧が印加されて伸縮することにより前記弾性体に屈曲振動を励起する駆動用圧電素子と、
    前記弾性体に固定された振動検出用圧電素子とを備え、
    前記振動検出用圧電素子が、前記弾性体の屈曲振動の節をまたがない位置に配置されている超音波処置装置。
  2. 前記弾性体は、前記駆動用圧電素子が側面に固定される柱状部と、該柱状部と一体に形成された棒状のプローブ部とを有し、
    前記振動検出用圧電素子が、前記プローブ部に配置されている請求項1に記載の超音波処置装置。
  3. 複数の前記振動検出用圧電素子が、前記プローブ部の、前記節を長手方向に挟む複数の位置に配置されている請求項2に記載の超音波処置装置。
  4. 前記弾性体は、前記駆動用圧電素子が側面に固定される柱状の柱状部と、該柱状部と一体に形成された棒状のプローブ部とを有し、
    前記振動検出用圧電素子が、前記柱状部に配置されている請求項1に記載の超音波処置装置。
  5. 前記弾性体が、側面に溝を有し、
    前記振動検出用圧電素子が、前記溝の内部に配置され、
    前記駆動用圧電素子が、前記溝を塞ぐように前記弾性体の側面に配置されている請求項4に記載の超音波処置装置。
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