JP6108350B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6108350B2
JP6108350B2 JP2013230865A JP2013230865A JP6108350B2 JP 6108350 B2 JP6108350 B2 JP 6108350B2 JP 2013230865 A JP2013230865 A JP 2013230865A JP 2013230865 A JP2013230865 A JP 2013230865A JP 6108350 B2 JP6108350 B2 JP 6108350B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic pole
magnetic
disk
magnetic field
insulating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013230865A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015089461A (ja
Inventor
幸信 今村
幸信 今村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2013230865A priority Critical patent/JP6108350B2/ja
Publication of JP2015089461A publication Critical patent/JP2015089461A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6108350B2 publication Critical patent/JP6108350B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)

Description

本発明は、磁気共鳴イメージング装置(以下、「MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置」ともいう)に関する。
MRI装置は、均一な静磁場中に置かれた被検体に高周波パルスを照射したときに生じる核磁気共鳴現象を利用して、被検体の物理的、化学的性質を示す断面画像を得る装置であり、例えば、医療用として用いられている。
MRI装置は、主に、被検体が挿入される撮像空間に均一な静磁場を生成する静磁場磁石と、撮像空間に位置情報を付与するために空間的に強度が勾配した傾斜磁場をパルス状に発生させる傾斜磁場コイルと、被検体に高周波パルスを照射するRFコイルと、被検体からの磁気共鳴信号を受信する受信コイルと、受信した信号を処理して画像を表示するコンピュータシステムとを備えている。
MRI装置の性能向上の手段として、静磁場磁石が生成する静磁場の強度と均一性の向上がある。静磁場がより強い程、鮮明な画像が得られ、また、静磁場が広い空間でより一様である程、広い範囲にわたって鮮明な画像を得ることができる。このため、MRI装置は、静磁場の強度と均一性の向上を指向して、開発が続けられている。他の性能向上の手段としては、傾斜磁場精度の向上と傾斜磁場パルスの高速駆動とがある。これらは、画質の向上と撮像時間の短縮とに寄与する。特に撮像方法の高度化・多様化に伴い、傾斜磁場パルスを発生させる電流波形は、高速な時間変化を伴うパルス波形となる傾向にある。
傾斜磁場コイルは、パルス状の電流が流れるため、撮像空間において傾斜磁場を生じさせるだけでなく、撮像空間外に漏れ磁場が生じて静磁場磁石を構成する金属構造物に変動磁場が生じることにより渦電流を発生させる。渦電流は、撮像空間内で変動磁場を生じさせるため、静磁場と傾斜磁場の分布に影響して画質に悪影響を与える。特に、近年のMRI装置においては、撮像方法の高度化に伴い、高精度な磁場が要求されるため、渦電流を低減することが重要な課題となっている。
このため、一般に、超電導コイルを有する静磁場磁石を備えた高磁場のMRI装置は、シールドコイルを有する自己遮蔽型の傾斜磁場コイルを採用することにより、撮像空間外への漏れ磁場を低減する構造となっている。一方、中低磁場のMRI装置は、傾斜磁場コイルを出力の小さな駆動電源で使用するために、シールドコイルを有しておらず、その代わりに、静磁場磁石の磁極部表面に、珪素鋼板等の、磁束の通路となり、かつ、渦電流の発生が少ない磁性体が設置されている。また、中低磁場のMRI装置の静磁場磁石は、磁性体である鉄製の磁極部を使用することが多い。この場合、傾斜磁場コイルによる変動磁場によって、渦電流による磁場だけでなく、磁気ヒステリシス特性を持った鉄製の磁極部の磁化による残留磁場も生じて、画像に悪影響を及ぼすため、これらを低減することが重要な課題となっている。
本技術分野の背景技術として、特開2002−282234号公報(特許文献1)がある。この公報には、円盤形状のベースプレート(静磁場磁石の磁極円盤部)の周囲に円環形状に構成される環状突起(磁極突起部)の内周面に溝を有することで、環状突起に発生する渦電流を低減させる技術が開示されている(段落0010〜0012参照)。
また、特開2003−61931号公報(特許文献2)には、環状突起部(磁極突起部)の上に珪素鋼板の積層体を有することで、撮像空間での磁場均一度を向上させる技術が開示されている(要約参照)。
また、特開平4−138132号公報(特許文献3)には、磁性材ベース(静磁場磁石の磁極円盤部)の周辺部に周設された断面矩形の軟鉄製の磁性材リング(磁極突起部)が、磁性材ベースとの間に絶縁材を介在させて、該磁性材ベースにボルト止めされる点が開示されている(公報第4頁左上欄第13〜18行参照)。
特開2002−282234号公報 特開2003−61931号公報 特開平4−138132号公報
特許文献1に示されるように、円環形状を呈する磁極突起部には、時間変化する傾斜磁場を受けて渦電流が発生する。この渦電流により発生する磁場は、撮像においては不要な磁場(誤差磁場)であり、画像情報の劣化原因となる。これを避けるために、特許文献1に示される技術は、円環形状の磁極突起部の内周面に溝を設けて発生する渦電流流路の抵抗を増加させることにより、渦電流の発生量を低減させることができる。しかしながら、鉄製の磁極突起部は、鉄製の磁極円盤部に金属製のボルトを介して結合されるため、電気的にこれらは一体である。このため、磁極突起部と磁極円盤部との間で渦電流の流路が形成されてしまい、渦電流の低減効果が十分に得られないおそれがある。
また、特許文献2に示される技術は、磁極突起部の上に磁気異方性を有する珪素鋼板の積層体を配置することにより、静磁場の均一度を高めると同時に、渦電流の発生を低減する効果が期待できる。しかしながら、磁極突起部は、静磁場の磁束の通り道であることから、磁極を構成する構造物において静磁場の磁束密度が高い部分の一つとなっている。このため、磁極突起部は、できるだけ飽和磁化が大きな部材であることが望ましい。具体的には、通常、珪素鋼板は鉄よりも飽和磁化が1割以上小さいため、静磁場強度を大きくしようとする場合には磁極突起部に鉄部材を使用する方が望ましい。また、珪素鋼板は薄板を多数重ねた積層構造で使用されるため、静磁場との間で発生する電磁力に耐えられる締結構造が必要となる。そして、特許文献2に示される技術は、磁極突起部と磁極円盤部との間における渦電流の流路の形成については考慮しておらず、これを抑制する技術を提示するものではない。
また、特許文献3に示される技術は、磁極突起部と磁極円盤部との間に絶縁材を介在させることにより、両者間に渦電流の流路が形成されることを抑制する効果が期待できる。しかしながら、電気的絶縁に伴って磁極突起部または磁極円盤部に電荷が蓄積して両者間に電位差が生じ、絶縁破壊を起こす可能性がある。この場合、絶縁材あるいは空隙を通して電荷が移動することにより、結果的に電流の流路が形成されてしまうおそれがある。
このように、特許文献1〜3に示される技術では、磁極突起部と磁極円盤部との間における渦電流の流路の形成を十分に抑制できず、傾斜磁場発生時の漏れ磁場による渦電流の発生を十分に低減することができなかった。ここで、磁極円盤部は磁極突起部に比べて大きな構造物であり、渦電流の流路における電気抵抗も低い。このため、傾斜磁場による渦電流が磁極円盤部に直接発生しない構造を採用したとしても、磁極円盤部が、磁極突起部を通る渦電流の流路の一部になると、渦電流による磁場が原因となって画質の劣化を招いてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、傾斜磁場発生時の漏れ磁場による渦電流の発生をより低減することにより、渦電流磁場および残留磁場の発生をより抑えることができ、良好な画像を得ることができる磁気共鳴イメージング装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、被検体の撮像空間を挟むように対向して配置され、前記撮像空間に静磁場を発生させる一対の静磁場磁石と、前記撮像空間を挟むように対向して配置され、前記撮像空間に傾斜磁場を発生させる一対の傾斜磁場コイルと、を備え、前記静磁場磁石は、磁性体から構成される略円盤形状を呈する磁極円盤部と、該磁極円盤部の前記撮像空間側に設けられ磁性体から構成される略円環形状を呈する磁極突起部と、を有し、前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に、電気絶縁性を有する絶縁構造部材が設置され、前記磁極円盤部と前記磁極突起部とを電気的に導通させる導通部材が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、被検体の撮像空間を挟むように対向して配置され、前記撮像空間に静磁場を発生させる一対の静磁場磁石と、前記撮像空間を挟むように対向して配置され、前記撮像空間に傾斜磁場を発生させる一対の傾斜磁場コイルと、を備え、前記静磁場磁石は、磁性体から構成される略円盤形状を呈する磁極円盤部と、該磁極円盤部の前記撮像空間側に設けられ磁性体から構成される略円環形状を呈する磁極突起部と、を有し、前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に、前記磁極円盤部および前記磁極突起部よりも電気抵抗率が高い高抵抗部材が設置され、前記磁極円盤部と前記磁極突起部とを電気的に導通させる導通部材が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る磁極円盤部と磁極突起部とのねじ締結方法は、磁気共鳴イメージング装置の静磁場磁石に備えられ磁性体から構成される略円盤形状を呈する磁極円盤部に、磁性体から構成される略円環形状を呈する磁極突起部を、電気絶縁性を有する絶縁構造部材を介して配置する段階と、前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に電気的絶縁、または前記磁極円盤部および前記磁極突起部よりも電気抵抗率が高い部材による高抵抗を保持して、これら両者をねじ締結する段階と、前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に導通を確保して、これら両者をねじ締結する段階と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る磁極円盤部と磁極突起部とのねじ締結方法は、磁気共鳴イメージング装置の静磁場磁石に備えられ磁性体から構成される略円盤形状を呈する磁極円盤部に、磁性体から構成される略円環形状を呈する磁極突起部を、前記磁極円盤部および前記磁極突起部よりも電気抵抗率が高い高抵抗部材を介して、配置する段階と、前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に電気的絶縁、または前記磁極円盤部および前記磁極突起部よりも電気抵抗率が高い部材による高抵抗を保持して、これら両者をねじ締結する段階と、前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に導通を確保して、これら両者をねじ締結する段階と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、傾斜磁場発生時の漏れ磁場による渦電流の発生をより低減することにより、渦電流磁場および残留磁場の発生をより抑えることができ、良好な画像を得ることができる磁気共鳴イメージング装置を提供できる。
本発明の第1実施形態に係るMRI装置を模式的に示す外観斜視図である。 本発明の第1実施形態のMRI装置の構成と傾斜磁場の磁束の分布を示す部分断面図である。 本発明の第1実施形態に係るMRI装置の下側の磁極の静磁場磁石および磁性部材を示す部分断面斜視図である。 磁極円盤部と磁極突起部との間にボルト部材による電気的絶縁を保持してこれら両者をねじ締結する方法を示す部分断面図である。 絶縁スリーブおよび絶縁ワッシャ無しでボルト部材を円弧状部材における2箇所で使用してねじ締結する場合を説明するための周方向に沿う鉛直面で切断して模式的に示す断面図である。 磁極円盤部と磁極突起部との間に導通兼用ボルト部材による導通を確保してこれら両者をねじ締結する方法を示す部分断面図である。 比較例に係るMRI装置の磁極円盤部および磁極突起部における渦電流の流路を示す部分断面斜視図である。 本実施形態に係るMRI装置の磁極円盤部および磁極突起部における渦電流の流路を示す部分断面斜視図である。 絶縁構造部材のない比較例に係る磁極構造における渦電流磁場の磁束密度の時間変化と、本実施形態に係る磁極構造における渦電流磁場の磁束密度の時間変化とを数値シミュレーションにより解析して比較した結果を示す図である。 本発明の第1実施形態の変形例に係る磁極円盤部と磁極突起部との間に電気的絶縁を保持してこれら両者をねじ締結する方法を示す部分断面図である。 本発明の第1実施形態の他の変形例に係る磁極円盤部と磁極突起部との間に高抵抗を保持してこれら両者をねじ締結する方法を示す部分断面図である。 本発明の第2実施形態に係る磁極円盤部と磁極突起部との間に電気的絶縁を保持してこれら両者をねじ締結する方法を示す部分断面図である。 本発明の第2実施形態の変形例に係る磁極円盤部と磁極突起部との間に導通を確保してこれら両者をねじ締結する方法を示す部分断面図である。 本発明の第3実施形態に係るMRI装置の磁極円盤部および磁極突起部における渦電流の流路を示す部分断面斜視図である。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図面において、同一の部材または相当する部材には同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。また、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜のため、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)100について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るMRI装置100を模式的に示す外観斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態のMRI装置100の構成と傾斜磁場の磁束の分布を示す部分断面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係るMRI装置100の下側の磁極1の静磁場磁石50および磁性部材53を示す部分断面斜視図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るMRI装置100は、一般的な中低磁場のMRI装置である。MRI装置100は、略円盤形状の上下一対の磁極1を略C字形状のリターンヨーク2で連結した形状を有しており、上下一対の磁極1の間にある撮像空間3に矢印4で示す方向に静磁場を発生する。被検者(被検体)5が可動式のベッド6によって撮像空間3に運ばれて、画像の取得が行われる。なお、説明を明確にするため、図1に示すように、撮像空間3の中心を原点とし、正面視して左右方向に沿ってx軸、正面視して前後方向(奥行き方向)に沿ってy軸、上下方向に沿ってz軸を設定する(以降の図でも同様)。
このような中低磁場垂直磁場型のMRI装置100は、一般的な高磁場水平磁場型のMRI装置と比較して、被検者5が挿入される撮像空間3の周囲の広い範囲が構造物で囲まれておらず、被検者5はより解放感を得ることができる。これにより、被検者5の不安感を取り除くとともに、ベッド6を移動させることで常に撮像空間3の中心で患部を撮像することができる。さらに、撮像中に装置外部から操作者等が被検者5の撮像を補助することができるといった特徴を持つ。
図2に示すように、MRI装置100は、互いに同軸となる中心軸51を有しかつ該中心軸51に垂直な平面である赤道面52に関して面対称となるように配置され、被検者5(図1参照)の撮像空間3に静磁場を発生させる上下一対の静磁場磁石50と、赤道面52に関して面対称となるように配置され、撮像空間3に傾斜磁場を発生させる上下一対の傾斜磁場コイル14と、被検者5に高周波パルスを照射する上下一対のRFコイル20と、赤道面52に関して面対称となるように配置された上下一対の磁性部材53と、を備えている。図2において、上下一対設けられるもののうち上側の表示は省略されている。ここで、中心軸51は、z軸と合致しており、赤道面52は、xy平面、すなわちx軸とy軸とを含む平面である。なお、y軸は、図2で紙面に垂直方向の軸である。換言すると、静磁場発生磁石50と傾斜磁場発生コイル14の配置は、それぞれ撮像空間3を挟むように上下に対向して配置されるとも言える。
磁極1は、静磁場磁石50、傾斜磁場コイル14、RFコイル20、および磁性部材53等の要素部材を、繊維強化プラスチック(FRP)等製のカバー21で覆って構成されている。
静磁場磁石50は、超電導線材を用いた略円環形状の電磁コイル10を有しており、静磁場を発生させる。ただし、静磁場磁石50は、これに限定されるものではなく、常電導線材を用いた略円環形状の電磁コイルを有するものであってもよく、あるいは、磁化された永久磁石を有するものであってもよい。電磁コイル10は、外側から真空容器11、輻射シールド12、液体ヘリウム容器13等の断熱構造を有する容器内に収容されており、図示しない液体ヘリウムおよび冷凍機等によって極低温に維持されるようになっている。
また、静磁場磁石50は、鉄(Fe)等の磁性体から構成される略円盤形状を呈する磁極円盤部7と、磁極円盤部7の赤道面52側、すなわち磁極円盤部7の撮像空間側に設けられ鉄等の磁性体から構成される略円環形状の磁極突起部8とを有している。なお、本実施例では、例えば図10に示すように、この磁極突起部8により形成される略円環形状の周囲にまきまわすように線材を配置して電磁コイル10を形成してもよい。
そして、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に、電気絶縁性を有する絶縁構造部材22が設置されている。絶縁構造部材22は、本実施形態では、円環を成すシート状の絶縁材料から構成されている(図8参照)。絶縁構造部材22の材質としては、磁極突起部8を磁極円盤部7に堅固に固定する必要性から、繊維強化プラスチック(FRP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の十分な強度を持つものが望ましい。ここで、繊維強化プラスチック(FRP)は、絶縁材料から構成されていることから、具体的には、ガラス繊維、強度の高い樹脂繊維等を用いたものが該当する。
磁性部材53は、例えば略四角形板形状の磁性体を積層して略タイル形状に構成した複数のブロック状部材9を有している。ここでは、ブロック状部材9に使用される磁性体は、鉄よりも電気抵抗率が高く(大きく)、磁気ヒステリシス特性が小さい(ヒステリシス損が小さい)材料、例えば珪素鋼板等から構成されている。また、珪素鋼板は、鉄よりも透磁率が大きい。これらの磁極円盤部7、磁極突起部8、およびブロック状部材9は、上下一対の磁極1をつなぐリターンヨーク2(図1参照)とともに、磁気回路を形成している。
傾斜磁場コイル14は、磁性部材53のブロック状部材9に対して撮像空間3側に設置されている。この傾斜磁場コイル14は、撮像空間3にその中心からの距離に比例した強度で、矢印4で示す静磁場の方向に沿う方向の傾斜磁場15をパルス状に発生させる。
傾斜磁場コイル14は、撮像空間3に位置情報を付与するために、撮像空間3において直交する三方向に独立に傾斜磁場を発生させるべく、上下で3組のコイルの対から構成されている。すなわち、傾斜磁場コイル14は、X傾斜磁場コイル16、Y傾斜磁場コイル18、およびZ傾斜磁場コイル19を備えている。X傾斜磁場コイル16は、x軸方向の傾斜磁場15を発生させ、X傾斜磁場コイル16による磁束17は破線で示されるような分布となる。また、Y傾斜磁場コイル18は、y軸方向の傾斜磁場を発生させ、Z傾斜磁場コイル19は、z軸方向の傾斜磁場を発生させる。これらの3つの傾斜磁場コイル16,18,19は、樹脂等に埋設されて一体の略円盤形状に形成され、上下の磁極1にそれぞれ設置されて、一対の傾斜磁場コイル14を構成している。
RFコイル20は、傾斜磁場コイル14に対してさらに撮像空間3側に設置されている。このRFコイル20は、高周波の電磁パルスを発生させる。なお、RFコイル20は、傾斜磁場コイル14と一体に形成される場合、または、カバー21を兼ねる場合もある。
このほか、図示していないが、MRI装置100には、傾斜磁場コイル14やRFコイル20を駆動するための電源装置、電源を制御したりRFコイル20により得られた信号を画像化したりするコンピュータシステム等が含まれる。
図3は、下側の磁極1(図1参照)のうち、磁極円盤部7、磁極突起部8、ブロック状部材9、断熱構造の容器11,12,13とその内部に収められた電磁コイル10、および、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に設置される絶縁構造部材22の構成を部分断面図で示している。
図3に示すように、磁極突起部8は、磁極円盤部7上に、周方向に分割された形で配置されている。すなわち、磁極突起部8は、製作を容易にするため、および渦電流の低減のために、円環を周方向に幾つかに分割した複数の円弧状部材81を備える構造を採用している。磁極円盤部7と磁極突起部8とは、本実施形態では、後記するようにボルト部材27および導通兼用ボルト部材41により絶縁構造部材22を介してねじ締結されている。
磁極突起部8には、時間的に変動(時間変化)する傾斜磁場により、渦電流23が図3中の破線で示す流路を形成して発生するが、この渦電流23が磁極円盤部7に流入して磁極1(図1参照)全体で大きな渦電流の流路を形成することが、絶縁構造部材22によって防止される。磁極突起部8および磁極円盤部7は、ともに鉄等の電気抵抗率が小さく、磁気ヒステリシス特性が大きい部材で構成されている。このため、磁極突起部8や磁極円盤部7で発生する渦電流は、撮像空間3(図1および図2参照)における渦電流磁場を生じると同時に、渦電流の時間変化に伴う変動磁場によって残留磁場を発生し、画質劣化の原因となる。
磁極突起部8や磁極円盤部7に、鉄よりも電気抵抗率が高く比透磁率が大きい珪素鋼板を使用することもできるが、ここでは飽和磁化の大きな鉄を使用している。これは、珪素鋼板の比透磁率は磁気的に飽和しない約1.7〜1.8テスラ以下で大きく、それ以上では急激に小さくなるため、できるだけ飽和磁化が大きな部材であることが望ましいこと、および、珪素鋼板は一般に厚さが1mm以下の薄板であり、これを積層したものを加工して使用する必要があるとともに、静磁場との間で発生する電磁力に耐えられる締結構造が必要となること等による。
図4は、磁極円盤部7と磁極突起部8との間にボルト部材27による電気的絶縁を保持してこれら両者をねじ締結する方法を示す部分断面図である。図5は、絶縁スリーブ28および絶縁ワッシャ29無しでボルト部材27を円弧状部材81における2箇所で使用してねじ締結する場合を説明するための周方向に沿う鉛直面で切断して模式的に示す断面図である。図6は、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に導通兼用ボルト部材41による導通を確保してねじ締結する方法を示す部分断面図である。
図4に示すように、磁極円盤部7と磁極突起部8とは、ここでは導電性を有する金属製のボルト部材27によりねじ締結されることによって、磁極突起部8は磁極円盤部7上に固定されている。また、ボルト部材27の着座部に当接する電気絶縁性を有する絶縁ワッシャ29と、ボルト部材27の胴部を覆う電気絶縁性を有する絶縁スリーブ28とが使用されている。ボルト部材27は金属製であるため、磁極突起部8の1つの円弧状部材81における複数箇所で使用される場合には、該円弧状部材81内で該複数箇所を経てから磁極円盤部7へ電流の導通が生じ得る。例えば、図5に示すように、ボルト部材27が円弧状部材81における2箇所で使用される場合、ボルト部材27を介して、磁極円盤部7と磁極突起部8との間における渦電流43の流路が形成されるおそれがある。しかし、本実施形態では、絶縁スリーブ28および絶縁ワッシャ29を備えることにより、磁極円盤部7と磁極突起部8との電気的絶縁を確保することが可能となっている。
そして、図6に示すように、磁極円盤部7と磁極突起部8の1つの円弧状部材81とは、導通兼用ボルト部材41により一箇所においてねじ締結されている。導通兼用ボルト部材41は、導電性を有する金属製であり、磁極円盤部7と磁極突起部8の1つの円弧状部材81とを電気的に導通させる導通部材の構成を兼ねるものである。
本発明において「電気的に導通」とは、2つの部材を電気的につないで略同電位にすることの意で使用する。したがって、導通部材としては、例えば電気抵抗率が磁極円盤部7、磁極突起部8、導通兼用ボルト部材41等の材質である鉄以下のものが該当し、これよりも電気抵抗率が高いものは導通部材に該当しない。
なお、導通兼用ボルト部材41としては、ここではボルト部材27と材質および形状ともに同じものが使用されているが、材質または形状の異なるものが使用されてもよい。また、導通兼用ボルト部材41の着座部に、導電性を有する金属ワッシャが介装されてもよい。
このように、磁極円盤部7と磁極突起部8の1つの円弧状部材81とのねじ締結部のうちの1箇所のみが、絶縁構造ではなく、電気的に導通した状態、すなわち導通状態にされる。これにより、導通兼用ボルト部材41は、磁極突起部8のアース部材を兼ねることができる。したがって、電気的絶縁に伴って生じ得る磁極突起部8または磁極円盤部7への電荷の蓄積を回避することが可能である。なお、導通兼用ボルト部材41は、磁極突起部8の1つの円弧状部材81における一箇所のみで使用されるため、該一箇所の導通兼用ボルト部材41を経て、円弧状部材81と磁極円盤部7との間で渦電流の流路が形成されることはない。
次に、図7〜図9を参照して、前記のように構成されたMRI装置100の磁極円盤部7および磁極突起部8の作用について説明する。
図7は、比較例に係るMRI装置の磁極円盤部7および磁極突起部8における渦電流の流路を示す部分断面斜視図である。図8は、本実施形態に係るMRI装置100の磁極円盤部7および磁極突起部8における渦電流の流路を示す部分断面斜視図である。なお、図7および図8において、ブロック状部材9やねじ締結用のボルト部材は、表示を省略している(図14においても同様)。
図7に示すように、比較例に係るMRI装置においては、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に絶縁構造部材22が設置されていない。このような構成では、傾斜磁場コイル14(図2参照)による磁束が磁極突起部8を通過することにより、渦電流24の流路が形成され得る。すなわち、磁極突起部8内に渦電流24aの流路が形成されるほか、磁極突起部8と磁極円盤部7との接触部合付近において渦電流24bの流路が形成されて磁極1(図1参照)全体で大きな渦電流の流路が形成されることになる。特に、磁極円盤部7は磁極突起部8に比べて周回方向の断面積が大きく、磁気的に未飽和の鉄製であるため、磁極円盤部7に渦電流が発生しないようにすることが重要である。このため、ブロック状部材9が、傾斜磁場の磁束が磁極円盤部7を直接通過しないように設置されている。しかしながら、図7からわかるように、磁極円盤部7には、磁極突起部8を通過する磁束に伴う渦電流24bが発生している。この渦電流24bによる磁場と残留磁場とが画像に影響する場合があった。
これに対して、図8に示すように、本実施形態では、磁極突起部8と磁極円盤部7との間に絶縁構造部材22が設置されている。したがって、傾斜磁場コイル14(図2参照)による磁束により磁極突起部8に渦電流23の流路が形成されても、磁極円盤部7へ渦電流が流入することはない。
また、導通部材の構成を兼ね備えた導通兼用ボルト部材41(図3および図6参照)により、磁極突起部8と磁極円盤部7とが同電位となるため、これら両者間に電位差が生じて絶縁破壊を起こすこともなくなる。このように磁極突起部8と磁極円盤部7の電位が同じであることから、絶縁構造部材22は極めて薄い(1mm程度以下)シート状のもので十分である。このため、磁極突起部8や磁極円盤部7の形状を変えずに絶縁構造部材22を備えるように構成しても、絶縁構造部材22の追加による静磁場均一度への影響は無視できる。
図9は、絶縁構造部材22のない比較例に係る磁極構造における渦電流磁場の磁束密度25の時間変化と、本実施形態に係る磁極構造における渦電流磁場の磁束密度26の時間変化とを数値シミュレーションにより解析して比較した結果を示す図である。ここで、数値シミュレーションは、撮像空間3(図1および図2参照)内の1点において行った。図9に示すように、本実施形態に係る磁極構造における渦電流磁場の磁束密度26は、比較例に係る磁極構造における渦電流磁場の磁束密度25よりも、過渡現象の時間的長さを表す目安となる時定数、値ともに、6〜7割程度に低減できることがわかった。
前記したように、第1実施形態に係るMRI装置100は、図3に示したように、磁極円盤部7と磁極突起部8とを有する静磁場磁石50を備えている。そして、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に、電気絶縁性を有する絶縁構造部材22が設置され、磁極円盤部7と磁極突起部8とを電気的に導通させる導通部材の構成を兼ね備えた導通兼用ボルト部材41が設けられている。
したがって、第1実施形態に係るMRI装置100によれば、図8に示したように、傾斜磁場コイル14(図2参照)による磁束が通過することにより磁極突起部8内において渦電流23の流路が形成されるものの、絶縁構造部材22が介在することにより、磁極突起部8から磁極円盤部7への渦電流の流入を抑えることができる。
しかも、導通兼用ボルト部材41により磁極円盤部7と磁極突起部8とが電気的に導通しており、磁極突起部8と磁極円盤部7とが同電位となるため、電気的絶縁に伴って磁極突起部8または磁極円盤部に電荷が蓄積してこれら両者間に電位差が生じて絶縁破壊を起こすこともなくなる。したがって、絶縁構造部材22あるいは空隙を通して電荷が移動することにより結果的に電流の流路が形成されてしまうことも防止できる。
すなわち、傾斜磁場発生時の漏れ磁場による渦電流の発生をより低減することにより、渦電流磁場および残留磁場の発生をより抑えることができ、良好な画像を得ることができるMRI装置100を提供できる。
さらに、磁極突起部8と磁極円盤部7の電位が同じであることから、絶縁構造部材22は極めて薄いシート状で十分であるため、磁極突起部8や磁極円盤部7の形状を変えずに絶縁構造部材22を追加しても、静磁場均一度への影響は無視できる。したがって、絶縁構造部材22を備えていないMRI装置に対して、本実施形態の構成を容易に適用することができる。
また、本実施形態では、絶縁構造部材22は、繊維強化プラスチック(FRP)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート状の絶縁材料から構成されている。このような構成によれば、絶縁構造部材22は十分な強度を持つため、磁極突起部8を磁極円盤部7に堅固に固定することができる。
また、本実施形態では、磁極円盤部7と磁極突起部8とをねじ締結するボルト部材27と、ボルト部材27の着座部に当接する電気絶縁性を有する絶縁ワッシャ29と、ボルト部材27の胴部を覆う電気絶縁性を有する絶縁スリーブ28と、を有している。このような構成によれば、ボルト部材27によるねじ締結部における磁極円盤部7と磁極突起部8との電気的絶縁を確保することができる。
また、本実施形態では、磁極円盤部7と磁極突起部8とをねじ締結するとともに電気的に導通させる導通兼用ボルト部材41を有し、導通兼用ボルト部材41は、導通部材の構成を兼ねている。このような構成によれば、導通兼用ボルト部材41が、磁極突起部8のアース部材を兼ねることができ、電気的絶縁に伴って生じ得る磁極突起部8または磁極円盤部7への電荷の蓄積を防止できる。
図10は、本発明の第1実施形態の変形例に係る磁極円盤部7と磁極突起部8との間に電気的絶縁を保持してこれら両者をねじ締結する方法を示す部分断面図である。
図10に示す例は、磁極円盤部7と磁極突起部8とをねじ締結する絶縁ボルト部材30を有している。そして、絶縁ボルト部材30は、該絶縁ボルト部材30の少なくとも着座部と胴部とに電気絶縁性を有する絶縁部31が予め設けられている。この例は、前記した第1の実施形態(図4参照)と比較して、ボルト部材27の代わりに絶縁ボルト部材30を使用しており、絶縁ワッシャ29および絶縁スリーブ28を省略している点で相違している。絶縁部31は、例えば絶縁被膜として絶縁ボルト部材30の外表面に形成され得る。なお、絶縁部31は、絶縁ボルト部材30の着座部および胴部以外の部分に設けられていてもよい。このような構成によれば、磁極円盤部7と磁極突起部8との間のねじ締結部における電気的絶縁を保持しつつ、部品点数の削減、製造コストの低減を図ることができる。
図11は、本発明の第1実施形態の他の変形例に係る磁極円盤部7と磁極突起部8との間に高抵抗を保持してこれら両者をねじ締結する方法を示す部分断面図である。
図11に示す例は、磁極円盤部7と磁極突起部8とをねじ締結する高抵抗ボルト部材42と、高抵抗ボルト部材42の胴部を覆う電気絶縁性を有する絶縁スリーブ28と、を有している。そして、高抵抗ボルト部材42は、磁極円盤部7および磁極突起部8よりも電気抵抗率が高いものである。すなわち、高抵抗ボルト部材42は、鉄(Fe)よりも電気抵抗率が高い、例えばステンレス材等から構成される。この例は、前記した第1の実施形態(図4参照)と比較して、ボルト部材27の代わりに高抵抗ボルト部材42を使用しており、絶縁ワッシャ29の代わりに金属製ワッシャ32を使用している点で相違している。このような構成によれば、金属製ワッシャ32と高抵抗ボルト部材42との接触点(着座部)から、高抵抗ボルト部材42と磁極円盤部7との接触点(ねじ締結部)までの距離が確保できるため、渦電流の発生を抑えるのに十分な電気抵抗を保持することができる。また、金属製ワッシャ32を使用しているため、高抵抗ボルト部材42による十分な締結力に耐えることができ、磁極円盤部7と磁極突起部8とをより堅固にねじ締結することができる。
〔第2実施形態〕
次に、図12を参照して、本発明の第2実施形態に係るMRI装置について、前記した第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を適宜省略する。
図12は、本発明の第2実施形態に係る磁極円盤部7と磁極突起部8との間に電気的絶縁を保持してこれら両者をねじ締結する方法を示す部分断面図である。
図12に示すように、第2実施形態では、絶縁構造部材として、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に部分的に設置される絶縁スペーサ33が使用されている。この第2実施形態は、絶縁構造部材22(図3および図8参照)の代わりに、ねじ締結部分のみに絶縁スペーサ33を使用している点で前記した第1実施形態と相違している。絶縁スペーサ33は、ボルト部材27および導通兼用ボルト部材41の胴部の周りに円環を成すシート状の絶縁材料から構成されている。図12は、ボルト部材27によるねじ締結部分を示すものであり、導通兼用ボルト部材41によるねじ締結部分の図示は省略してある。なお、絶縁スペーサ33の材質は、絶縁構造部材22と同様である。
このような第2実施形態では、磁極突起部8と磁極円盤部7とのねじ締結部分は絶縁スペーサ33により電気的絶縁が確保されるとともに、磁極突起部8と磁極円盤部7とのねじ締結部分以外は空隙となり電気的絶縁が実現する。
したがって、第2実施形態によっても、前記した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第2実施形態によれば、ねじ締結部分のみに絶縁スペーサ33を使用すればよいので、絶縁構造部材としての絶縁スペーサ33のサイズが小さくなり、製造コストの低減、作業性の向上を図ることができる。
なお、図12には図4と同様のねじ締結方法を示したが、これに限定されるものではなく、第2実施形態において、図10または図11に示すねじ締結方法も採用され得る。
図13は、本発明の第2実施形態の変形例に係る磁極円盤部7と磁極突起部8との間に導通を確保してねじ締結する方法を示す部分断面図である。
図13に示す例は、磁極円盤部7と磁極突起部8とのねじ締結部分のうちの一箇所について、絶縁スペーサ33の代わりに、導電性を有する金属等の導通スペーサ44を使用している点で前記した第2実施形態と相違している。すなわち、図13に示すように、導通部材として、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に部分的に設置される導電性を有する導通スペーサ44が使用されている。そして、導通スペーサ44の使用に伴い、導通兼用ボルト部材41の代わりに、ボルト部材27、絶縁ワッシャ29、および絶縁スリーブ28が使用されている。導通スペーサ44は、ボルト部材27の胴部の周りに円環を成すシート状の導電性材料から構成されている。このような構成によれば、導通スペーサ44は、磁極突起部8と磁極円盤部7とを同電位にするアース部材を兼ねることができる。
前記したように、第1実施形態と第2実施形態では、磁極円盤部7と磁極突起部8とのねじ締結方法は、磁極円盤部7に磁極突起部8を、電気絶縁性を有する絶縁構造部材22を介して配置する段階と、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に電気的絶縁、または磁極円盤部7および磁極突起部8よりも電気抵抗率が高い部材による高抵抗を保持して、これら両者をねじ締結する段階と、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に導通を確保して、これら両者をねじ締結する段階とを有している。
〔第3実施形態〕
次に、図14を参照して、本発明の第3実施形態に係るMRI装置について、前記した第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を適宜省略する。
図14は、本発明の第3実施形態に係るMRI装置の磁極円盤部7および磁極突起部8における渦電流の流路を示す部分断面斜視図である。
図14に示すように、第3実施形態では、絶縁構造部材22の代わりに、電気抵抗率が高い高抵抗部材34が使用されている点で第1実施形態と相違している。すなわち、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に、磁極円盤部7および前記磁極突起部8よりも電気抵抗率が高い高抵抗部材34が設置されている。
高抵抗部材34は、円環を成すシート状の高抵抗材料から構成されている。高抵抗部材34は、磁極円盤部7および磁極突起部8よりも電気抵抗率が高いものである。すなわち、高抵抗部材34は、鉄(Fe)よりも電気抵抗率が高く、例えば珪素鋼板、ステンレス材、ニクロム材、タングステン材のシート状の金属材料等から構成される。なお、磁極円盤部7と磁極突起部8との電気的絶縁を保持したねじ締結方法としては、前記した図4、図10、および図11に示すねじ締結方法のうちのいずれの方法も採用可能である。
このような第3実施形態によっても、前記した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、高抵抗部材34は十分な強度を持つため、磁極突起部8を磁極円盤部7により堅固に固定することができる。
なお、第3実施形態の高抵抗部材34の代わりに、ねじ締結部分のみに同様の材質から構成される高抵抗部材が使用されてもよい。この場合、高抵抗部材として、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に部分的に設置される高抵抗スペーサが使用される。高抵抗スペーサは、第2実施形態の絶縁スペーサ33(図12参照)と同様な形状を呈しており、ボルト部材27および導通兼用ボルト部材41の胴部の周りに円環を成すシート状の高抵抗材料から構成されている。このような構成によれば、磁極突起部8と磁極円盤部7とのねじ締結部分以外は空隙となり、前記した第3実施形態よりも、磁極突起部8と磁極円盤部7との間の電気抵抗が大きくなり、渦電流の発生をより低減することができる。
さらに、磁極円盤部7と磁極突起部8とのねじ締結部分のうちの一箇所について、前記した高抵抗スペーサの代わりに、導電性を有する金属等の導通スペーサ44(図13参照)が使用されてもよい。このような構成によれば、導通スペーサ44は、導通兼用ボルト部材41(図6参照)の代わりに、磁極突起部8と磁極円盤部7とを同電位にするアース部材を兼ねることができる。
前記したように、第3実施形態では、磁極円盤部7と磁極突起部8とのねじ締結方法は、磁極円盤部7に磁極突起部8を、磁極円盤部7および磁極突起部8よりも電気抵抗率が高い高抵抗部材34を介して配置する段階と、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に電気的絶縁、または磁極円盤部7および磁極突起部8よりも電気抵抗率が高い部材による高抵抗を保持して、これら両者をねじ締結する段階と、磁極円盤部7と磁極突起部8との間に導通を確保して、これら両者をねじ締結する段階と、を有している。
以上、本発明について実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記した実施形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、一方の実施形態の構成の一部を他方の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、一方の実施形態の構成に他方の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、前記した実施形態では、磁極円盤部7の一部と磁極突起部8の一部とを電気的に導通させる導通部材として、導通兼用ボルト部材41(図6参照)や導通スペーサ44(図13参照)が挙げられているが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば導電性の良い金属等のリード線で、磁極円盤部7の一部と磁極突起部8の一部とが電気的に導通していてもよい。
3 撮像空間
5 被検者(被検体)
7 磁極円盤部
8 磁極突起部
14 傾斜磁場コイル
15 傾斜磁場
22 絶縁構造部材
27 ボルト部材
28 絶縁スリーブ
29 絶縁ワッシャ
30 絶縁ボルト部材
31 絶縁部
33 絶縁スペーサ(絶縁構造部材)
34 高抵抗部材
41 導通兼用ボルト部材(導通部材)
42 高抵抗ボルト部材
44 導通スペーサ(導通部材)
50 静磁場磁石
51 中心軸
52 赤道面(平面)
81 円弧状部材
100 MRI装置(磁気共鳴イメージング装置)

Claims (14)

  1. 被検体の撮像空間を挟むように対向して配置され、前記撮像空間に静磁場を発生させる一対の静磁場磁石と、
    前記撮像空間を挟むように対向して配置され、前記撮像空間に傾斜磁場を発生させる一対の傾斜磁場コイルと、を備え、
    前記静磁場磁石は、磁性体から構成される略円盤形状を呈する磁極円盤部と、該磁極円盤部の前記撮像空間側に設けられ磁性体から構成される略円環形状を呈する磁極突起部と、を有し、
    前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に、電気絶縁性を有する絶縁構造部材が設置され、
    前記磁極円盤部と前記磁極突起部とを電気的に導通させる導通部材が設けられていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 前記絶縁構造部材は、繊維強化プラスチック(FRP)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート状の絶縁材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  3. 前記絶縁構造部材は、前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に部分的に設置される絶縁スペーサであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  4. 被検体の撮像空間を挟むように対向して配置され、前記撮像空間に静磁場を発生させる一対の静磁場磁石と、
    前記撮像空間を挟むように対向して配置され、前記撮像空間に傾斜磁場を発生させる一対の傾斜磁場コイルと、を備え、
    前記静磁場磁石は、磁性体から構成される略円盤形状を呈する磁極円盤部と、該磁極円盤部の前記撮像空間側に設けられ磁性体から構成される略円環形状を呈する磁極突起部と、を有し、
    前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に、前記磁極円盤部および前記磁極突起部よりも電気抵抗率が高い高抵抗部材が設置され、
    前記磁極円盤部と前記磁極突起部とを電気的に導通させる導通部材が設けられていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  5. 前記高抵抗部材は、珪素鋼板、ステンレス材、ニクロム材またはタングステン材のシート状の金属材料から構成されていることを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  6. 前記高抵抗部材は、前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に部分的に設置される高抵抗スペーサであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  7. 前記磁極円盤部と前記磁極突起部とをねじ締結するボルト部材と、前記ボルト部材の着座部に当接する電気絶縁性を有する絶縁ワッシャと、前記ボルト部材の胴部を覆う電気絶縁性を有する絶縁スリーブと、を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  8. 前記磁極円盤部と前記磁極突起部とをねじ締結する絶縁ボルト部材を有し、前記絶縁ボルト部材は、該絶縁ボルト部材の少なくとも着座部と胴部とに電気絶縁性を有する絶縁部が予め設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  9. 前記磁極円盤部と前記磁極突起部とをねじ締結する高抵抗ボルト部材と、前記高抵抗ボルト部材の胴部を覆う電気絶縁性を有する絶縁スリーブと、を有し、前記高抵抗ボルト部材は、前記磁極円盤部および前記磁極突起部よりも電気抵抗率が高いことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  10. 前記磁極円盤部と前記磁極突起部とをねじ締結するとともに電気的に導通させる導通兼用ボルト部材を有し、
    前記導通兼用ボルト部材は、前記導通部材の構成を兼ねることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  11. 前記導通部材は、前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に部分的に設置される導電性を有する導通スペーサであることを特徴とする請求項3または請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  12. 前記静磁場磁石は、前記磁極突起部により形成される略円環形状に巻きまわすように線材が配置されコイルを形成していることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  13. 磁気共鳴イメージング装置の静磁場磁石に備えられ磁性体から構成される略円盤形状を呈する磁極円盤部に、磁性体から構成される略円環形状を呈する磁極突起部を、電気絶縁性を有する絶縁構造部材を介して配置する段階と、
    前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に電気的絶縁、または前記磁極円盤部および前記磁極突起部よりも電気抵抗率が高い部材による高抵抗を保持して、これら両者をねじ締結する段階と、
    前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に導通を確保して、これら両者をねじ締結する段階と、
    を有することを特徴とする磁極円盤部と磁極突起部とのねじ締結方法。
  14. 磁気共鳴イメージング装置の静磁場磁石に備えられ磁性体から構成される略円盤形状を呈する磁極円盤部に、磁性体から構成される略円環形状を呈する磁極突起部を、前記磁極円盤部および前記磁極突起部よりも電気抵抗率が高い高抵抗部材を介して、配置する段階と、
    前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に電気的絶縁、または前記磁極円盤部および前記磁極突起部よりも電気抵抗率が高い部材による高抵抗を保持して、これら両者をねじ締結する段階と、
    前記磁極円盤部と前記磁極突起部との間に導通を確保して、これら両者をねじ締結する段階と、
    を有することを特徴とする磁極円盤部と磁極突起部とのねじ締結方法。
JP2013230865A 2013-11-07 2013-11-07 磁気共鳴イメージング装置 Active JP6108350B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013230865A JP6108350B2 (ja) 2013-11-07 2013-11-07 磁気共鳴イメージング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013230865A JP6108350B2 (ja) 2013-11-07 2013-11-07 磁気共鳴イメージング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015089461A JP2015089461A (ja) 2015-05-11
JP6108350B2 true JP6108350B2 (ja) 2017-04-05

Family

ID=53193268

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013230865A Active JP6108350B2 (ja) 2013-11-07 2013-11-07 磁気共鳴イメージング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6108350B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2764458B2 (ja) * 1990-05-18 1998-06-11 住友特殊金属株式会社 Mri用磁界発生装置
JP2649437B2 (ja) * 1990-09-29 1997-09-03 住友特殊金属株式会社 Mri用磁界発生装置
JP2649436B2 (ja) * 1990-09-29 1997-09-03 住友特殊金属株式会社 Mri用磁界発生装置
JP2002282234A (ja) * 2001-03-23 2002-10-02 Sumitomo Special Metals Co Ltd 磁界発生装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015089461A (ja) 2015-05-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11397233B2 (en) Ferromagnetic augmentation for magnetic resonance imaging
EP1761794B8 (en) Magnetic resonance imaging system with iron-assisted magnetic field gradient system
JP5427604B2 (ja) オープン型磁気共鳴イメージング装置
JP4369613B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
Li et al. Finite element analysis of gradient z-coil induced eddy currents in a permanent MRI magnet
JP2005118098A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP6108350B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP6368625B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2008000324A (ja) 核磁気共鳴イメージング装置の傾斜磁場コイル装置
JP2002253530A (ja) 磁極及びそれを用いた磁石装置
JP4202564B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置用磁場発生装置
JP2007502183A (ja) 核磁気共鳴装置に適用可能な磁場発生システム
JP2002102205A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP6663821B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP5891063B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
US11320504B2 (en) Open-type magnetic resonance imaging apparatus
Sanchez Lopez et al. Planar Gradient Coil Design Using L1 and L2 Norms
JPH1097917A (ja) 超電導磁石装置
JP7076339B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP4651236B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2016032504A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP5416528B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JPH07327958A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2014236827A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP4866215B2 (ja) 超電導磁石装置及び核磁気共鳴イメージング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160225

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160613

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170123

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170131

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170228

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6108350

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250