JP6108017B2 - スポット溶接方法 - Google Patents
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本発明は、コロナボンド直外及びコロナボンドのナゲット際の割れを抑制し、継手強度を確保することが可能なスポット溶接方法を提供することを課題とする。
0.015t2+0.110≦Ht≦0.10t2−0.40t+0.80・・・(4)
上記の構成からなるスポット溶接方法によれば、コロナボンド直外及びコロナボンドのナゲット際の割れを抑制し、継手強度を確保することができる。
上記態様では、割れの抑制効果と継手強度の確保に加え、被溶接部材の軽量化、高強度化が可能となる。
(a)前記溶接電極の軸芯と、前記溶接電極と接触する鋼板表面の垂線とが平行でない状態、
(b)一方の前記溶接電極の先端部から該先端部に最も近い鋼板表面までの距離と、他方の前記溶接電極の先端部から該先端部に最も近い鋼板表面までの距離が異なる状態、
(c)一方の前記溶接電極の軸芯の延長線上に他方の前記溶接電極の軸芯がない状態、及び、
(d)前記溶接箇所の重ね合わせ面の間に隙間を有した状態。
上記態様に規定される外乱因子がある場合に、コロナボンド直外及びコロナボンドのナゲット際の割れが顕著になるが、上記(1)又は(2)のスポット溶接方法によれば、このような割れを抑制し、かつ継手強度を確保することができる。
上記態様では、割れが発生した溶接箇所に対して、上記(1)から(3)のいずれかのスポット溶接方法を適用するため、効率的である。
(a)溶接電極の軸芯と、該溶接電極と接触する鋼板表面の垂線とが平行でない状態
(b)一方の溶接電極の先端部から該先端部に最も近い鋼板表面までの距離と、他方の溶接電極の先端部から該先端部に最も近い鋼板表面までの距離が異なる状態
(c)一方の前記溶接電極の軸芯の延長線上に他方の前記溶接電極の軸芯がない状態
(d)溶接箇所の重ね合わせ面の間に隙間を有した状態
図3に、コロナボンド直外又はコロナボンドのナゲット際の割れと継手強度における、総板厚tに対する溶接後保持時間Htの関係を示す。図3は、後述の実施例及び種々の板組みでの実験結果から作成されたものである。また、総板厚1.35mm未満の被溶接部材においては、コロナボンド直外又はコロナボンドのナゲット際の割れの発生率が少ないため、(1)式は、総板厚1.35mm以上の場合に適用するものとした。
Ht≦0.10t2−0.40t+0.80・・・(2)
0.015t2+0.110≦Ht・・・(3)
0.015t2+0.110≦Ht≦0.10t2−0.40t+0.80・・・(4)
スポット溶接において、鋼板表面に対して溶接電極を垂直に当てるのが基本である。しかし、被溶接部材に溶接箇所が複数あり、様々な溶接姿勢での溶接を要する場合がある。このような場合、スポット溶接機のティーチング不良や作業時間の制約などのため、溶接姿勢を正す時間を確保できず、溶接電極の軸芯と、当該溶接電極と接触する鋼板表面とが垂直から傾いたままスポット溶接している場合がある。図4の(a)に、溶接電極8の軸芯9と、該溶接電極8と接触する鋼板1の表面の垂線10とが平行でない状態の概略図を示す。
スポット溶接中に、溶接電極挟み込みに対し、保持された板の中心位置を保つために、イコライジング機構を設けることがある。イコライジング機構を設ける場合、その分だけスポット溶接ガンが大形化し、溶接ロボットをそれに対応したものにしなければならず、溶接ロボットのコストが上がる。そのため、スポット溶接ガンにイコライジング機構を設けずに溶接する場合がある。
イコライジング機構が無く、クリアランスが1mm以上ある場合に、特にコロナボンド直外及びコロナボンドのナゲット際の割れが生じやすいが、このような場合であっても、本実施形態のスポット溶接方法では、コロナボンド直外やコロナボンドのナゲット際の割れの抑制効果がある。
多数の打点を溶接すると、溶接電極軸の挫屈やスポット溶接ガンの可動部の摩耗により、図6の(a)に示すように、一方の前記溶接電極8の軸芯9の延長線上に他方の前記溶接電極8の軸芯9がなく、ズレ(以下、「電極芯ズレ」という)が発生することがある。このような電極芯ズレが発生したまま溶接を行うと、図6(b)に示すような変形が加わり、コロナボンドの近傍で応力が生じる場合がある。
図7の(a)には、2枚の鋼板1の右側に大きな隙間がある例を示している。隙間は、左右で偏りがない場合もある。これらの現象は、たとえば、プレス成形した際、スプリングバックが起こった場合や、スポット溶接を隣り合う位置で順番に行なわないときに、1枚の鋼板が部分的に盛り上がったりする場合に起こる。図7(a)では、鋼板1の間に他の部材11が挿入されている場合を図示している。溶接箇所の重ね合わせ面の鋼板1間に隙間(以下、「板隙」ともいう)を有したままスポット溶接する場合がある。このような板隙が存在する状態で接触・加圧をすると、図7の(b)に示すように、溶接箇所において、鋼板1の局所的な変形が見られる。このように変形した状態で溶接を行うと、コロナボンドの近傍に局所的な応力が発生する。そして、この箇所に割れが生じやすくなる。
被溶接部材において、溶接電極の打点位置における軸芯方向の板隙が1mm以上である場合、特に、コロナボンド直外やコロナボンドのナゲット際の割れが発生し易い。このような場合であっても、本実施形態のスポット溶接方法では、このような割れの抑制効果がある。
上記実施形態に係るスポット溶接方法では、被溶接部材として、溶接箇所が重ね合わされた複数枚の鋼板であって、そのうちの少なくとも1枚以上の鋼板が、亜鉛系めっきが被覆された鋼板であるものを準備する。たとえば、亜鉛系めっきが被覆された、引張強度780MPa以上、Ceqが0.15質量%以上、板厚0.5〜3.0mmの鋼板を2枚準備する。なお、Ceqは下記(5)式に示すものである。
ただし、[C]、「Si]、[Mn]、[P]、[S]は、C、Si、P、及びSの含有量(質量%)である。
軽量化及び高強度化の観点からは、好ましいCeqは0.18質量%以上である、より好ましくは0.20質量%以上である。
上記実施形態に係るスポット溶接方法は、コロナボンド直外の割れ及びコロナボンドのナゲット際の割れの少なくとも一方の割れが発生する溶接箇所に対して採用することが効率的で望ましい。そこで、被溶接部材に溶接電極間の溶接通電終了後、直ちに、溶接電極と被溶接部材とを非接触とするスポット溶接を予め行い、コロナボンド直外の割れ及びコロナボンドのナゲット際の割れを確認し、割れが発生したとき、以降、その溶接箇所に対する溶接において、溶接後保持時間を上記(1)式の範囲内としてスポット溶接すると良い。
予め行うスポット溶接によって得られたスポット溶接継手のコロナボンド直外及びコロナボンドのナゲット際の割れの発生の有無を確認する場合、コロナボンド直外及びコロナボンドのナゲット際の割れの発生の有無の確認方法は、特に限定されるものでなく、ナゲットを含む板厚方向の断面を観察して行う方法や、スポット溶接継手の引張試験を実施して所定の引張強度が得られるか否かで判定して行う方法を用いることができる。または、スポット溶接部を含む板厚方向の断面の切断位置によっては、コロナボンド直外及びコロナボンドのナゲット際の割れが観察できない場合もあるため、X線透過試験を行って割れを確認してもよい。
表1に、試験に供した鋼板A〜Iについて示す。表1に示す鋼板A〜F、H及びIは、いずれも、合金化溶融亜鉛めっき鋼板であり、その両面に亜鉛めっきが被覆されている。
鋼板A〜F、H及びIに施された合金化溶融亜鉛めっきの被覆層は、焼鈍後に亜鉛めっき浴につけ合金化処理をして形成した。
また、表3の実験例よりも表2の実験例の方が比較的CTSが高い傾向にあることがわかる。これは、総板厚tと溶接後保持時間Htとの関係が(2)式を満足するためであると考えられる。
図9は、イコライジング機構を設けずに、鋼板と電極の間に1mmのクリアランスを設けてスポット溶接を行った場合の断面写真である。溶接箇所において、下側の鋼板と上側の鋼板の変形の様子が異なることがわかる。図9の場合、溶接電極の先端部から鋼板表面までの距離が、下側よりも上側の方が小さい。
図11は、溶接箇所の重ね合わせ面の間に片側に打点から20mmの場所に高さ2mmの板隙がある状態でスポット溶接を行った場合の断面写真である。ナゲットの左右で鋼板の変形の様子が異なることがわかる。
2 ナゲット
3 鋼板の表面からナゲットに向かって進展する割れ
4 熱影響部
5 肩部から熱影響部に向かって進展する割れ
6 コロナボンド直外の割れ
7 コロナボンドのナゲット際の割れ
8 溶接電極
9 軸芯
10 垂線
11 他の部材
A 総板厚と溶接後保持時間の関係における割れ発生が無くなる境界線
B 総板厚と溶接後保持時間の関係における十分なCTSとなる境界線
Dc コロナボンド直径
Claims (4)
- 少なくとも溶接箇所が重ね合わされた複数枚の鋼板で構成される被溶接部材にスポット溶接をする方法であって、
前記複数枚の鋼板の少なくとも一つが、引張強度が780MPa以上である高強度鋼板であり、
前記複数枚の鋼板の少なくとも一つについて、少なくとも前記溶接箇所の重ね合わせ面が亜鉛系めっきで被覆され、前記複数枚の鋼板の総板厚t(mm)が1.35mm以上であり、
前記溶接電極間の溶接通電終了時から、前記溶接電極と前記被溶接部材とを非接触とするまでの溶接後保持時間Ht(秒)を下記(4)式の範囲内とすることを特徴とするスポット溶接方法。
0.015t2+0.110≦Ht≦0.10t2−0.40t+0.80・・・(4) - 前記複数枚の鋼板の総板厚t(mm)が2.4mm以上3.2mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のスポット溶接方法。
- 前記溶接電極を前記被溶接部材に接触させる直前に、下記(a)〜(d)の条件のうち、一つまたは二つ以上を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のスポット溶接方法。
(a)前記溶接電極の軸芯と、前記溶接電極と接触する鋼板表面の垂線とが平行でない状態、
(b)一方の前記溶接電極の先端部から該先端部に最も近い鋼板表面までの距離と、他方の前記溶接電極の先端部から該先端部に最も近い鋼板表面までの距離が異なる状態、
(c)一方の前記溶接電極の軸芯の延長線上に他方の前記溶接電極の軸芯がない状態、及び、
(d)前記溶接箇所の重ね合わせ面の間に隙間を有した状態 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のスポット溶接方法において、
予め、前記被溶接部材に前記溶接電極間の溶接通電終了後、直ちに、前記溶接電極と前記被溶接部材とを非接触とするスポット溶接を行い、鋼板の重ね合わせ面のコロナボンド直外の割れ及びコロナボンドのナゲット際の割れの発生の有無を確認し、コロナボンド直外の割れ及びコロナボンドのナゲット際の割れの少なくとも一方の割れが発生したとき、
前記溶接後保持時間Ht(秒)の範囲内でさらに溶接することを特徴とするスポット溶接方法。
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