JP6108013B1 - 太陽電池ストリング診断システム及び太陽電池ストリング診断方法 - Google Patents

太陽電池ストリング診断システム及び太陽電池ストリング診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】様々な環境下において、太陽電池ストリングの劣化を判定すること。【解決手段】太陽光発電システムの運用開始時を含む基準時における太陽電池ストリングの特性と、任意の診断時における前記太陽電池ストリングの特性とを比較して太陽電池ストリングの劣化を診断する太陽電池ストリング診断システムにおいて、太陽電池ストリング(11〜13)単位で最大電力点追従制御により選出される最大電力点を抽出する測定装置(15)と、複数の日射強度毎の最大電力点における太陽電池ストリング全体のストリングシステム抵抗の逆数の回帰特性近似線形係数を算出する算出部(171)と、基準時に算出された回帰特性近似線形係数と、診断時に算出された回帰特性近似線形係数との比較結果に基づいて太陽電池ストリングの劣化を判定する判定部(173)と、を備える構成とした。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光発電システムで使用される太陽電池ストリングの劣化を診断する太陽電池ストリング診断システム及び太陽電池ストリング診断方法に関する。
近年、エネルギーの買い取り価格(タリフ)を法律により定めるフィードインタリフの導入が世界的に進んでいる。これに伴い、企業のみならず一般家庭でも太陽光発電システムが導入され始めている。特に、広大な敷地に多数の太陽電池モジュールを敷き詰めたメガソーラーシステムが普及し始めている。このメガソーラーシステムでは、補助的な役割であった太陽光発電システムが基幹発電の一役を担い、地域の電力を賄うことが期待されている。
太陽光発電システムを構成する太陽電池ストリングは、複数の太陽電池モジュールが直列接続されて構成される。また、太陽電池モジュールは、太陽電池セルの直列回路で構成されている。太陽電池モジュールでは、モジュール内の部分的な陰や不具合の影響を抑制することを目的として複数のブロックに分割されている。そして、これらのブロック毎に電流の遮断を防止するためにバイパスダイオードが組み込まれている。このバイパスダイオードの作用により、太陽電池モジュールの部分的な不具合等の影響が吸収される。この結果、太陽電池モジュールから安定した発電出力の供給が確保される。
その反面、太陽電池モジュール単位で発電出力低下が発生する場合においても、バイパスダイオードの作用により、極端な発電出力の低下が防止される。このため、太陽電池モジュールパネルの欠陥の進展、ホットスポットの成長に伴う異常や破損を認識することが非常に困難である。そして、太陽電池モジュールパネルの異常や故障を放置しておくと、大幅な発電出力の低下の原因や安全上のリスクとなり得る。このため、早期に発見して必要な対応を採ることが望まれる。
従来、太陽電池モジュールを含む太陽電池ストリングが正常に動作しているかを診断する様々な手法が提案されている。例えば、特許文献1に記載の太陽光発電システムの故障診断システムは、太陽電池ストリング(ストリング)の故障を診断するストリング故障診断プログラムを有する。ストリング故障診断プログラムは、推定日射量及び推定動作温度を算出した後、これらを使用してストリング推定電流値を算出する。そして、実際に計測したストリング電流値とストリング推定電流値との比較結果に応じて、診断対象のストリングの劣化(故障)を判定する。
特開2015−68690号公報
しかしながら、上述したような特許文献1に記載の太陽光発電システムの故障診断システムにおいては、推定日射量及び推定動作温度を使用して算出したストリング推定電流値と、実際に計測したストリング電流値との比較結果に応じて、診断対象のストリングの劣化を判定している。このため、太陽光発電システムにおける損失因子が考慮されておらず、特定の環境下(例えば、太陽電池モジュールパネルに対して日陰の影響や、太陽電池モジュールパネルの汚れ、MPPT(Maximum Power Point Tracking)などの環境下)で故障閾値の設定精度が低下し、ストリングの劣化を適切に判定できない事態が発生し得る。さらに、日射量の急峻な変化に応答するストリング電流の瞬時値を非同期のストリング推定電流で適切に比較できない事態が発生する。
一般に、太陽光発電システムでは、日陰等の外的要因や、パワーコンディショナにおけるMPPT制御時の最大電力点のミスマッチ等の内的要因に基づく出力特性の変動を回避することが困難である。設置環境や整備状況等がシステム毎に異なる太陽光発電システムにおいては、このような外的要因や内的要因に基づく出力特性の変動を考慮してストリングの劣化を判定することが要請されている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、様々な環境下において、判定に用いる日射強度帯を限定し、回帰式を用いて太陽電池ストリングの劣化を判定することができる太陽電池ストリング診断システム及び太陽電池ストリング診断方法を提供することを目的とする。
本発明に係る太陽電池ストリング診断システムは、太陽光発電システムの運用開始時を含む基準時における太陽電池ストリングの特性と、任意の診断時における前記太陽電池ストリングの特性とを比較して前記太陽電池ストリングの劣化を診断する太陽電池ストリング診断システムであって、前記太陽電池ストリング単位で最大電力点追従制御により選出される最大電力点を抽出する抽出手段と、複数の日射強度毎の最大電力点における前記太陽電池ストリング単位での発電電圧としてのストリング電圧を、前記太陽電池ストリング単位での発電電流としてのストリング電流で除算して得られるストリングシステム抵抗の逆数から、前記ストリング電流を独立変数とし前記ストリングシステム抵抗の逆数を従属変数として求められる線形回帰式の線形係数を算出する算出手段と、基準時に算出された前記線形係数と、診断時に算出された前記線形係数との比較結果に基づいて前記太陽電池ストリングの劣化を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
例えば、本発明に係る太陽電池ストリング診断システムにおいて、前記判定手段は、診断時に算出された前記線形係数を、基準時に算出された前記線形係数で除算した値が所定値より大きい場合に前記太陽電池ストリングの全体的な劣化と判定する。
また、本発明に係る太陽電池ストリング診断システムにおいて、前記判定手段は、診断時に算出された前記線形係数を、基準時に算出された前記線形係数で除算した値が所定値以下である場合、基準時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数と、診断時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数との比較結果に応じて前記太陽電池ストリングの部分的な劣化を判定する。
例えば、本発明に係る太陽電池ストリング診断システムにおいて、前記判定手段は、診断時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数を、基準時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数で除算した値が所定値より小さい場合に前記太陽電池ストリングの部分的な劣化と判定する。
また、本発明に係る太陽電池ストリング診断システムにおいて、前記判定手段は、前記太陽電池ストリングの劣化判定に利用した前記線形係数又は前記値を示す画像データを生成する。
本発明に係る太陽電池ストリング診断方法は、太陽光発電システムの運用開始時を含む基準時における太陽電池ストリングの特性と、任意の診断時における前記太陽電池ストリングの特性とを比較して前記太陽電池ストリングの劣化を診断する太陽電池ストリング診断方法であって、前記太陽電池ストリング単位で最大電力点追従制御により選出される最大電力点を抽出するステップと、複数の日射強度毎の最大電力点における前記太陽電池ストリング単位での発電電圧としてのストリング電圧を、前記太陽電池ストリング単位での発電電流としてのストリング電流で除算して得られるストリングシステム抵抗の逆数から、前記ストリング電流を独立変数とし前記ストリングシステム抵抗の逆数を従属変数として求められる線形回帰式の線形係数を算出するステップと、基準時に算出された前記線形係数と、診断時に算出された前記線形係数との比較結果に基づいて前記太陽電池ストリングの劣化を判定するステップと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、様々な環境下において、判定に用いる日射強度帯を限定し、回帰式を用いて太陽電池ストリングの劣化を判定することが可能となる。
本実施の形態に係る太陽電池ストリング診断システムの構成を示すブロック図である。 本実施の形態に係る太陽電池ストリング診断システムに適用される太陽電池モジュールの拡大図である。 MPPT制御で選出される最大電力点の説明図である。 本実施の形態に係る太陽電池ストリング診断システムにおける劣化判定動作を説明するためのフロー図である。 本実施の形態に係る太陽電池ストリング診断システムにおける基準時線形係数算出処理を説明するためのフロー図である。 図5に示す基準時線形係数算出処理で収集されるストリング電圧値及びストリング電流値の説明図である。 図5に示す基準時線形係数算出処理で算出される基準時線形回帰式の説明図である。 本実施の形態に係る太陽電池ストリング診断システムにおける診断時線形係数算出処理を説明するためのフロー図である。 図8に示す診断時線形係数算出処理で収集されるストリング電圧値及びストリング電流値の説明図である。 図8に示す診断時線形係数算出処理で算出される診断時線形回帰式の説明図である。 図8に示す診断時線形係数算出処理で収集されるストリング電圧値及びストリング電流値の説明図である。 図8に示す診断時線形係数算出処理で算出される診断時線形回帰式の説明図である。 図4に示す劣化判定処理を説明するためのフロー図である。 本実施の形態の変形例に係る太陽電池ストリング診断システムの構成を示すブロック図である。
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る太陽電池ストリング診断システム(以下、適宜「診断システム」という)は、例えば、メガソーラーシステムにおける太陽電池ストリングの診断に好適に利用される。以下においては、本実施の形態に係る診断システムがメガソーラーシステムに適用される場合を例として説明する。しかしながら、本実施の形態に係る診断システムが適用される対象はメガソーラーシステムに限定されるものではなく、より小規模な太陽光発電システムに適用することができる。
図1は、本実施の形態に係る太陽電池ストリング診断システム(診断システム)10の構成を示すブロック図である。なお、図1においては、メガソーラーシステムを構成する多数の太陽電池アレイ、太陽電池ストリングのうち、説明の便宜上、3個の太陽電池ストリング(以下、単に「ストリング」という)11〜13のみを示している。
図1に示すように、本実施の形態に係る診断システム10は、複数のストリング11〜13、パワーコンディショナ14、ストリング電気特性測定装置(測定装置)15、ストリング電気特性受信サーバ(受信サーバ)16、診断装置17及び監視装置18を含んで構成される。診断システム10では、敷地内に設置されたストリング11〜13におけるストリング電圧及びストリング電流を測定し、その測定結果に基づいてストリング11〜13毎の劣化を診断するものである。
それぞれのストリング11〜13は、例えば、最大出力250Wの太陽電池モジュール20が直列に9枚接続されることにより、最大出力2250Wのストリングとして構成される。太陽電池モジュール20は、太陽光を表面(モジュール表面)に受光し、太陽光エネルギーを電気エネルギー(直流)に変換する。なお、これらの太陽電池モジュール20は、太陽電池パネルと呼ぶこともできる。
ストリング11〜13は、診断システム10が設けられる敷地内に整列して配置されている。また、それぞれのストリング11〜13においては、太陽電池モジュール20が整列して配置されている。図1では、同図に示す上下方向に一定間隔で配置された3枚の太陽電池モジュール20が同図に示す左右方向に3列配置された場合について示している。ストリング11〜13は、それぞれ逆流防止ダイオード(ブロッキングダイオード)21〜23を介してパワーコンディショナ14に接続されている。
図2は、本実施の形態に係る診断システム10に適用される太陽電池モジュール20の拡大図である。図2に示すように、太陽電池モジュール20は、複数の太陽電池セル201を含んでいる。太陽電池モジュール20内の太陽電池セル201は、インターコネクタのはんだ接続によって全て直列に配線された電気回路となっている。太陽電池モジュール20は、太陽電池モジュール20内の部分的な陰や故障・不具合の影響を抑えることを目的として複数の直列回路群に分割されている。これらの直列回路群には、ストリング電流の遮断を防ぐためのバイパスダイオード202が並列に組み込まれている。なお、これらのバイパスダイオード202で分割された部分的な太陽電池セル群は、サブストリングやクラスタと呼ばれることがある。本明細書においては、これらの太陽電池セル群をサブストリング203と呼ぶものとする。
パワーコンディショナ14は、ストリング11〜13の挙動を制御する。また、パワーコンディショナ14は、ストリング11〜13によって生成された直流電力を交流電力に変換する。例えば、パワーコンディショナ14は、図示しない商用電源や負荷に接続される。このような場合、ストリング11〜13で発電された電力は負荷で消費され、或いは、商用電源に売電される。
また、パワーコンディショナ14は、メガソーラーシステム(太陽光発電システム)における発電量を最大化する制御を行う。例えば、パワーコンディショナ14は、ストリング11〜13(太陽電池モジュール20)の特性に合わせ、発電できる電力を最大化する最大電力点追従(MPPT:Maximum Power Point Tracking)制御を行う。MPPT制御では、太陽電池モジュール20の出力を常に最大化できるように、太陽電池アレイAから最大の電力を引き出せる電圧(最大電力点)を求める。そして、その電圧がストリング動作電圧となり、シリーズに構成された太陽電池モジュール20の分担電圧となって太陽電池モジュール20を日射量に応じて発電させる。
メガソーラーシステムでは、一般にMPPT制御として山登り法が適用されている。山登り法では、一定の更新間隔で電圧(ストリング電圧)を一定量だけ変化(増加又は減少)させると共に、変化後の電力を求める。そして、変化後の電力と、電圧を変化させる前の電力とを比較し、電力が大きい電圧を選択する。このようなMPPT制御(山登り法)により、メガソーラーシステムでは、気象条件等の変化で常に変動する最大電力点に追従しながら最大の発電量を確保することができる。
ストリング電気特性測定装置(以下、適宜「測定装置」という)15は、メガソーラーシステムのストリング11〜13におけるストリング単位での電気特性を測定する。ここで言う電気特性とは、ストリング単位での発電電圧や発電電流である。すなわち、測定装置15は、ストリング11〜13におけるストリング電圧及びストリング電流を測定する。測定装置15は、抽出手段の一例を構成するものであり、詳細について後述するように、MPPT制御で選出される最大電力点を抽出する。なお、測定装置15は、ストリング監視ユニットと呼ばれることもある。
ストリング電気特性受信サーバ(以下、適宜「受信サーバ」という)16は、測定装置15に接続される。受信サーバ16は、測定装置15で測定されたストリング単位での電気特性データを保存する。例えば、受信サーバ16は、ストリング単位の電流値や電圧値を、データとして保存する。また、上記以外のデータとして、受信サーバ16は、後述する診断装置17の判定部173によるストリング11〜13の判定結果(正常/異常の判定結果)を保存する。受信サーバ16は、これらのストリング単位の電流や電圧の測定値等のデータを、一定期間(例えば、1か月)保存することができる。
診断装置17は、例えば、線形係数算出部(以下、適宜「算出部」という)171、記憶部172、判定部173、表示部174及び通信部175を含んで構成される。なお、診断装置17の構成については、図1に示す内容に限定されるものではなく適宜変更が可能である。なお、算出部171は、算出手段の一例を構成し、判定部173は、判定手段の一例を構成する。
算出部171は、測定部15で測定されたストリング電流及びストリング電圧に基づいて、ストリング11〜13毎の抵抗(以下、「ストリングシステム抵抗」という)及びその逆数(以下、「ストリングシステム抵抗逆数」という)を求める。なお、これらのストリングシステム抵抗及びストリングシステム抵抗逆数は、それぞれシステム抵抗及びシステムアクセプタンスと呼ぶこともできる。より具体的には、算出部171は、複数の日射強度毎にMPPT制御で求められる最大電力点におけるストリング電流及びストリング電圧から、ストリングシステム抵抗及びストリングシステム抵抗逆数を求める。
また、算出部171は、複数の日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗逆数から線形回帰式を求めると共に、その線形回帰式における線形係数を求める。線形回帰式は、複数の日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗逆数の特性を示す式である。また、線形回帰式の線形係数は、線形回帰式における傾きを示す係数である。算出部171は、これらの線形回帰式及び線形係数を、太陽光電池システムの運用開始を含む基準時や、任意のストリング11〜13の劣化診断時に算出する。なお、これらの線形回帰式及び線形係数の算出方法については後述する。
記憶部172は、ストリング11〜13の正常/異常の判定に必要となる各種の情報を記憶する。例えば、記憶部172は、基準時に算出された線形回帰式の線形係数(以下、「基準時線形係数」という)を記憶する。また、記憶部172は、基準時線形係数を算出する際に使用されたストリングシステム抵抗及びストリングシステム抵抗逆数を記憶する。さらに、記憶部172は、ストリング11〜13の全体的又は部分的な劣化を判定するための閾値(図13のステップST1301又はST1304参照)を記憶する。さらに、記憶部172は、判定部173によるストリング11〜13の判定結果を記憶する。
判定部173は、基準時線形係数及び診断時に算出される線形回帰式の線形係数(以下、「診断時線形係数」という)の比較結果に基づいて、ストリング11〜13の全体的な劣化又は部分的な劣化を判定する。また、判定部173は、基準時線形係数を算出する際に使用されたストリングシステム抵抗逆数と、診断時線形係数を算出する際に使用されたストリングシステム抵抗逆数との比較結果に基づいてストリング11〜13の部分的な劣化を判定する。なお、判定部173は、ストリング11〜13の全体的な劣化又は部分的な劣化を示す画像データ(ストリング状態診断画像データ)を生成する。例えば、判定部173は、ストリング11〜13の劣化判定に利用した線形係数(基準時線形係数、診断時線形係数)又はこれらの線形係数を算出する際に使用される後述のストリングシステム抵抗逆数の値(SAs値、SAc値)を示すストリング状態診断画像データを生成することができる。
表示部174は、液晶ディスプレイなどの出力手段で構成され、判定部173による判定結果を表示する。例えば、表示部174は、判定部173により生成されたストリング状態診断画像データを表示する。このストリング状態診断画像データには、正常/異常と判定されたストリング11〜13の位置を特定する情報が含まれることが好ましい。例えば、診断システム10における全てのストリング11〜13の位置を示すと共に、正常又は異常と判定されたストリング11〜13をそれぞれ異なる色で表示することは実施の形態として好ましい。
通信部175は、有線又は無線により接続された監視装置18との間で通信を行う。例えば、通信部175は、判定部173による判定結果(ストリング11〜13の正常/異常(劣化)の判定結果)を監視装置18に送信する。なお、監視装置18は、診断システム10の遠隔地に配置することができる。この場合、通信部175は、無線により判定結果を監視装置18に送信することが好ましい。
監視装置18では、通信部175から受け取った判定結果を管理する。例えば、監視装置18は、この判定結果をストリング11〜13の経年劣化の診断に利用する。監視装置18により、診断装置17の診断結果(劣化判定結果)を管理することにより、本実施の形態に係る診断システム10は、太陽電池ストリング監視システムとしても機能する。すなわち、診断システム10は、ストリング11〜13における任意の診断時の劣化を判定すると共に、経年劣化を判定することができる。
ところで、太陽光発電システムのパワーコンディショナで実行されるMPPT制御では、日射強度に応じて太陽電池モジュールから最大の電力を引き出せる電圧(最大電力点)を求める。以下、このMPPT制御で選出される最大電力点の一例について、図3を参照して説明する。図3は、MPPT制御で選出される最大電力点の一例の説明図である。
図3において、実線IV1は、日射強度が1000W/m時の電流−電圧特性(I−V特性)を示す。また、実線IV2、IV3、IV4及びIV5は、それぞれ日射強度が800W/m、600W/m、400W/m及び200W/m時のI−V特性を示す。一方、破線PV1は、日射強度が1000W/m時の電力−電圧特性(P−V特性)を示す。また、破線PV2、PV3、PV4及びPV5は、それぞれ日射強度が800W/m、600W/m、400W/m及び200W/m時のP−V特性を示す。
図3に示すように、MPPT制御においては、日射強度が1000W/mの場合に、最大電力点としてMPP1が選出され、このMPP1に対応する電圧値で太陽電池モジュールが発電される。同様に、日射強度が800W/m、600W/m、400W/m及び200W/mの場合に、それぞれ最大電力点としてMPP2、MPP3、MPP4及びMPP5が選出され、これらのMPP2〜MPP5に対応する電圧値で太陽電池モジュールが発電される。これらのMPP1〜MPP5は、対応するP−V特性の最大値に対応している。
MPPT制御で選出される最大電力点は、太陽電池モジュールを発電するための電圧値の特定に利用され、それ以外の用途に利用されることは少ない。一方で、任意の日射強度に応じてMPPT制御で選出される最大電力点は、設置環境や整備状況等の影響を含む太陽電池ストリングの特性を示すと考えることができる。本発明者らは、日射強度に応じてMPPT制御で選出される最大電力点から求められる太陽電池ストリングの特性を、太陽電池ストリングの劣化判定に利用し得ることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の骨子は、複数の日射強度毎の最大電力点における太陽電池ストリング全体の抵抗(ストリングシステム抵抗)の逆数(ストリングシステム抵抗逆数)から求められる線形回帰式の線形係数を算出し、太陽光発電システムの運用開始時等の基準時に算出された線形回帰式の線形係数(基準時線形係数)と、任意の診断時に算出された線形回帰式の線形係数(診断時線形係数)との比較結果に基づいて太陽電池ストリングの劣化を判定することである。
本発明によれば、基準時及び診断時における複数の日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗の逆数から求められる線形回帰式の線形係数の比較結果に基づいて太陽電池ストリングの劣化が判定される。ここで、複数の日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗には、太陽電池モジュールの電極部材の劣化(フィンガー、はんだ、背面電極)及び太陽電池ストリングが有する構成部品の接触抵抗の増加や損傷、日陰等の外的要因やMPPT制御時の最大電力点のミスマッチ等の影響が含まれる。このような外的要因等の影響を受けるストリングシステム抵抗の逆数の線形回帰式の線形係数を用いて太陽電池ストリングの劣化が判定されるので、様々な環境下において、太陽電池ストリングの異常や劣化を判定することができる。
以下、本実施の形態に係る診断システム10において、ストリング11〜13の劣化を判定する際の動作について説明する。図4は、本実施の形態に係る診断システム10における劣化判定動作を説明するためのフロー図である。
ストリング11〜13の劣化を判定する際、診断システム10は、まず、基準時の線形回帰式の線形係数(基準時線形係数)を算出する処理(基準時線形係数算出処理)を行う(ステップST401)。基準時線形係数算出処理は、ストリング11〜13の劣化判定を行う際に基準となる線形係数(基準時線形係数)を算出する処理であり、例えば、太陽光発電システムの運用開始時や診断システム10の導入時に行われる。また、基準時線形係数算出処理は、基準時線形係数を更新するため、定期的(例えば、3か月に一回)に行うこともできる。基準時線形係数算出処理では、予め定めた複数の日射強度毎にMPPT制御で求められる最大電力点(MPP)を抽出し、それぞれの最大電力点におけるストリングシステム抵抗逆数から、基準時における線形回帰式(基準時線形回帰式)を求め、この基準時線形回帰式に含まれる線形係数(基準時線形係数)を算出する。
以下、この基準時線形係数算出処理について、図5を参照して具体的に説明する。図5は、本実施の形態に係る診断システム10における基準時線形係数算出処理を説明するためのフロー図である。
図5に示すように、基準時線形係数算出処理では、診断対象となるストリング11〜13が選択された後、日射強度が、予め定めた日射強度(所定の日射強度)か否かを判定する(ステップST501)。ここでは、診断対象としてストリング11が選択されるものとする。本実施の形態では、所定の日射強度として、700W/m、600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの日射強度を判定するものとする。なお、所定の日射強度でない場合には(ステップST501:No)、ステップST501の判定動作が継続して行われる。診断対象となるストリング11〜13は、システムの設定状況に応じて任意に選択が可能である。また、全てのストリング11〜13を一括的に選択するようにしてもよい。
上述したいずれかの日射強度であると判定されると(ステップST501:Yes)、ストリング11の電圧特性(ストリング電圧特性)が収集される(ステップST502)。続いて、ストリング11の電流特性(ストリング電流特性)が収集される(ステップST503)。ストリング電圧特性及びストリング電流特性が収集される過程にて、MPPT制御により選出される最大電力点が測定装置15にて抽出される。これらのストリング電圧特性及びストリング電流特性は、測定装置15で測定され、受信サーバ16に保存されることで収集される。日射強度の判定は、図示しない日射計の計測結果に基づいて測定装置15で行われる。
例えば、ステップST502、ST503におけるストリング電圧及びストリング電流は、それぞれ実運転データ、あるいは近似的に以下の式1、式2により算出することができる。なお、式1において、「γ」は太陽電池モジュール20に依存する定数を示し、△Tは基準時からの温度上昇を示している。式2において、「W」は日射強度(W/m)を示し、「V」はストリング電圧を示す。「C」、「α」、「β」は太陽電池モジュール20に依存する定数を示している。また、
ストリング電圧(V) = 基準時のV*(1−γ)*△T) … 式1
ストリング電流(I) = C*W−α(exp(βV)−1) … 式2
これらのストリング電圧特性及びストリング電流特性が収集された後、算出部171によって最大電力点(MPP)におけるストリングシステム抵抗逆数(ストリングシステム抵抗逆数)が算出される(ステップST504)。ストリングシステム抵抗逆数は、受信サーバ16に保存された最大電力点におけるストリング電圧をストリング電流で除算して得られるストリングシステム抵抗の逆数を求めることで算出される。算出されたストリングシステム抵抗逆数は、受信サーバ16に出力され保存される。
ここで、ストリングシステム抵抗でなくストリングシステム抵抗逆数を算出するのは、後述する劣化判定処理での判定のし易さを考慮したものである。すなわち、複数の日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗逆数から求められる線形回帰式は、ストリング電流とストリングシステム抵抗逆数との相間を示すグラフにおいて、原点を通る直線を構成する。このため、線形回帰式に含まれる線形係数(基準時線形係数及び診断時線形係数)の大きさに応じてストリング11の劣化を判定するのに好適であるからである。
最大電力点におけるストリングシステム抵抗が算出された後、所定の日射強度の全てに対して処理が終了しているか、すなわち、全ての日射強度のストリングシステム抵抗逆数が算出されたかが判定される(ステップST505)。この判定処理は、例えば、測定装置15で行われる。なお、所定の日射強度の全てに対して処理が終了していない場合には(ステップST505:No)、ステップST501〜ST505の処理が繰り返される。すなわち、700W/m、600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗逆数の算出が完了するまでステップST501〜ST505の処理が繰り返される。
一方、所定の日射強度の全てに対して処理が終了している場合には(ステップST505:Yes)、算出部171により基準時線形係数SAsが算出される(ステップST506)。算出部171は、受信サーバ16から、全ての日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗逆数を受け取り、これらのストリングシステム抵抗逆数から基準時線形回帰式を求め、この基準時線形回帰式に含まれる基準時線形係数を算出する。
図6に、基準時線形係数算出処理で抽出される日射強度毎の最大電力点におけるストリング電圧及びストリング電流の一例を示す。なお、図6Aにおいては、ストリング電圧及びストリング電流から算出されるストリングシステム抵抗及びストリングシステム抵抗逆数(抵抗逆数)を示している。また、図6B又は図6Cにおいては、最大電力点におけるストリング電圧及びストリング電流を、MPPストリング電圧及びMPPストリング電流と示している。
図6Aにおいては、日射強度が700W/mの場合にMPPストリング電流として5.6Aが抽出されている。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ4.8A、4.0A、3.2A、2.4A及び1.6Aが抽出される。また、日射強度が700W/mの場合にMPPストリング電圧として584Vが抽出されている。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ574V、564V、552V、536V及び516Vが抽出される。
この場合、ストリングシステム抵抗は、日射強度が700W/mの場合に104Ωと算出される。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ119Ω、141Ω、173Ω、225Ω及び327Ωが算出される。また、ストリングシステム抵抗逆数は、日射強度が700W/mの場合に0.010と算出される。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ0.008、0.007、0.006、0.004及び0.003が抽出される。
図6Bには、基準時における日射強度とMPPストリング電圧との相間を示している。図6Bに示すように、基準時において、MPPストリング電圧は、日射強度が大きくなるに連れて緩やかに上昇する特性を示している。一方、図6Cには、基準時における日射強度とMPPストリング電流との相間を示している。図6Cに示すように、基準時において、MPPストリング電流は、日射強度が大きくなるに連れて上昇する特性を示している。
図7に、基準時線形係数算出処理で抽出されるMPPストリング電流とストリングシステム抵抗逆数との相間を示す。図7では、MPPストリング電流とストリングシステム抵抗逆数とが示すIR動作点を日射強度毎にプロットしている。図7では、IR動作点として、日射強度700W/m、600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mに対応づけて、それぞれIR70、IR60、IR50、IR40、IR30、IR20と示している。
図7に示すように、基準時において、IR動作点は、日射強度が大きくなるに連れてMPPストリング電流とストリングシステム抵抗逆数が大きくなる特性を示している。算出部171は、このように抽出された複数のIR動作点IR20〜IR70から、最小二乗法を用いて基準時線形回帰式を算出する。この場合、基準時線形回帰式として、y=0.0016x+0.0006が求められる。なお、決定係数Rは、0.9996である。
ここで、この基準時線形回帰式の右辺の第1項の係数(0.0016)は、基準時線形回帰式の傾斜角度を示す線形係数と呼ぶことができる。基準時線形係数算出処理のステップST506においては、この線形係数(基準時線形係数)を算出する。これにより、太陽光発電システムにおける基準となる線形回帰式(基準時線形回帰式)の傾斜角度を示す線形係数(基準時線形係数)が算出される。
このような基準時線形係数算出処理を行った後、診断システム10は、図4に示すように、診断時の線形回帰式の線形係数(診断時線形係数)を算出する処理(診断時線形係数算出処理)を行う(ステップST402)。診断時線形係数算出処理は、劣化判定の対象となるストリング11〜13の任意の診断時における線形係数(診断時線形係数)を算出する処理であり、例えば、毎日、太陽光発電システムの稼働を終了する際に行われる。診断時線形係数算出処理では、予め定めた複数の日射強度毎にMPPT制御で求められる最大電力点(MPP)を抽出し、それぞれの最大電力点におけるストリングシステム抵抗逆数から、診断時における線形回帰式(診断時線形回帰式)を求め、この診断時線形回帰式に含まれる線形係数(診断時線形係数)を算出する。
以下、この診断時線形係数算出処理について、図8を参照して具体的に説明する。図8は、本実施の形態に係る診断システム10における診断時線形係数算出処理を説明するためのフロー図である。
図8に示す診断時線形係数算出処理は、ステップST801で診断時線形係数SAcが算出される点を除き、図5に示す基準時線形係数算出処理と共通の処理である。図8において、図5に示す共通の処理については同一の符号を付与し、その説明を省略する。図8に示すように、診断時線形係数算出処理では、ステップST505にて所定の日射強度の全てに対して処理が終了している場合には、算出部171により診断時線形係数SAcが算出される(ステップST801)。算出部171は、受信サーバ16から、全ての日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗逆数を受け取り、これらのストリングシステム抵抗逆数から診断時線形回帰式を求め、この診断時線形回帰式に含まれる診断時線形係数を算出する。
なお、ストリング11〜13の劣化判定のための線形係数(基準時線形係数や診断時線形係数)を算出する際には、診断時における太陽光発電システムの温度を考慮する必要がある。温度は、ステップST502のストリング電圧特性に大きな影響を与えるためである。例えば、診断時における温度が、基準時における温度より10℃上昇すれば開放電圧は約3%下がる。このため、診断時線形係数算出処理の際には、判定精度向上のために基準時線形係数算出処理の温度と判定基準を合致させる必要がある。すなわち、基準時線形係数と診断時線形係数とが、同一の温度環境下で算出されたように補正を行うことが好ましい。
診断時線形係数の補正処理を容易にするために、基準時線形係数算出処理の際の温度を「25℃」に設定することは実施の形態として好ましい。一般に、太陽電池モジュール20は、標準状態として25℃での使用が想定されている。このため、この25℃での使用を想定し、基準時線形係数を25℃における値に補正しておくと、診断時線形係数算出処理の際に診断時線形係数を適切に補正することが可能となる。
また、実用に当たり、上述の基準時線形回帰式を複数、例えば0℃、15℃、25℃、35℃の各近傍温度について実測し、あるいは上述した式1、式2により予め計算しておくことは実施の形態として好ましい。そして、診断時線形係数算出処理時の温度に近い基準線形回帰式を選択し、あるいは診断時温度に近い基準時線形回帰式2個から診断時温度の基準線形回帰式を補完演算により求め、これを基準時線形回帰式に切り替えることにより判定精度が向上する。
ここで、診断時線形算出処理で抽出される日射強度毎の最大電力点におけるストリング電圧及びストリング電流の一例及び診断時線形回帰式の一例について図9〜図12を参照して説明する。図9及び図10には、診断対象のストリング11が全体的に劣化している場合の一例を示し、図11及び図12には、診断対象となるストリング11が部分的に劣化している場合の一例を示している。
診断対象のストリング11が全体的に劣化している場合、ストリング11の電圧が低下することが想定される。例えば、結晶系シリコンを使った太陽電池では5年間で3%程度出力が低下することは周知である。このため、経年により太陽電池モジュールの電極部材の劣化(フィンガー、はんだ、背面電極の劣化)に伴い、当該太陽電池モジュールの最大出力の低下、当該モジュール電圧の低下によりストリング電流が低下することが予想される。
一方、診断対象のストリング11が部分的に異常や劣化し、ストリング11の電流が低下する場合がある。例えば、ストリング11の電流の低下の要因としては、特定の太陽電池モジュール20に含まれる直列抵抗の増加、外部配線コネクタの接触不良等が想定される。また、特定の太陽電池モジュール20に影がかかる場合や、特定の太陽電池モジュール20が損傷して外的ダメージを受けた場合にも、ストリング11の電流の低下の要因となり得る。
ここで、ストリング11に含まれる特定の太陽電池モジュール20に異常が発生したケースを想定する。この場合、異常が発生した太陽電池モジュール20の電圧が低下し、サブストリング203毎に設置されたバイバスダイオード202が動作し、当該太陽電池モジュール20が発電に寄与しなくなる。この場合でも、ストリング11の電圧は、正常なストリングと同電圧を示すので、正常な太陽電池モジュール20の電圧が上昇する。この場合、正常な太陽電池モジュール20の動作点は、I−V特性上高電圧側に移動することとなり、ストリング電流が低下する。
図9に、診断時線形係数算出処理で抽出される日射強度毎の最大電力点におけるストリング電圧及びストリング電流の一例を示す。なお、図9Aにおいては、ストリング電圧及びストリング電流から算出されるストリングシステム抵抗及びストリングシステム抵抗逆数を示している。また、図9B又は図9Cにおいては、最大電力点におけるストリング電圧及びストリング電流を、MPPストリング電圧及びMPPストリング電流と示している。
図9Aにおいては、日射強度が700W/mの場合にMPPストリング電流として5.4Aが抽出されている。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ4.8A、4.0A、3.2A、2.4A及び1.6Aが抽出される。また、日射強度が700W/mの場合にMPPストリング電圧として496Vが抽出されている。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ477V、465V、455V、442V及び424Vが抽出される。
この場合、ストリングシステム抵抗は、日射強度が700W/mの場合に92Ωと算出される。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ100Ω、116Ω、142Ω、185Ω及び268Ωが算出される。また、ストリングシステム抵抗逆数は、日射強度が700W/mの場合に0.011と算出される。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ0.010、0.009、0.007、0.005及び0.004が抽出される。
図9Bには、診断時における日射強度とMPPストリング電圧との相間を示している。図9Bに示すように、診断時において、MPPストリング電圧は、日射強度が大きくなるに連れて緩やかに大きくなる特性を示している。なお、図9Bでは、説明の便宜上、基準時線形係数算出処理で抽出された日射強度とMPPストリング電圧との相間を示している(図6B参照)。図9Bから分かるように、診断時線形係数算出処理で抽出されたMPPストリング電圧は、基準時線形係数算出処理で抽出されたMPPストリング電圧よりも値が全般的に小さくなっている。
図9Cには、診断時における日射強度とMPPストリング電流との相間を示している。図9Cに示すように、診断時において、MPPストリング電流は、日射強度が大きくなるに連れて大きくなる特性を示している。なお、図9Cでは、説明の便宜上、基準時線形係数算出処理で抽出された日射強度とMPPストリング電流との相間を示している(図6C参照)。図9Cから分かるように、診断時線形係数算出処理で抽出されたMPPストリング電流は、基準時線形係数算出処理で抽出されたMPPストリング電流と略同一の値となっている。
図10に、診断時線形係数算出処理で抽出されるMPPストリング電流とストリングシステム抵抗逆数との相間を示す。図10では、図7と同様に、MPPストリング電流とストリングシステム抵抗逆数とが示すIR動作点を日射強度毎にプロットしている。図10では、IR動作点として、日射強度700W/m、600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mに対応づけて、それぞれIR71、IR61、IR51、IR41、IR31、IR21と示している。なお、図10では、説明の便宜上、基準時線形係数算出処理で得られたIR動作点を示している(図7参照)。
図10に示すように、診断時において、IR動作点は、日射強度が大きくなるに連れてMPPストリング電流とストリングシステム抵抗逆数が大きくなる特性を示している。算出部171は、このように抽出された複数のIR動作点IR21〜IR71から、最小二乗法を用いて診断時線形回帰式を算出する。この場合、診断時線形回帰式として、y=0.0019x+0.0009が求められる。なお、決定係数Rは、0.9972である。
ここで、基準時線形回帰式と同様に、診断時線形回帰式の右辺の第1項の係数(0.0019)は、診断時線形回帰式の傾斜角度を示す線形係数と呼ぶことができる。診断時線形係数算出処理のステップST801においては、この線形係数(診断時線形係数)を算出する。これにより、診断時における線形回帰式(診断時線形回帰式)の傾斜角度を示す線形係数(診断時線形係数)が算出される。図10から分かるように、診断対象となるストリング11が全体的に劣化している場合には、診断時線形係数が基準時線形係数より大きく、診断時線形回帰式が基準時線形回帰式よりも傾斜角度が大きくなっている。
図11に、診断時線形係数算出処理で抽出される日射強度毎の最大電力点におけるストリング電圧及びストリング電流の他の一例を示す。なお、図11Aにおいては、ストリング電圧及びストリング電流から算出されるストリングシステム抵抗(ストリングシステム抵抗)及びストリングシステム抵抗逆数(抵抗逆数)を示している。また、図11B又は図11Cにおいては、最大電力点におけるストリング電圧及びストリング電流を、MPPストリング電圧及びMPPストリング電流と示している。
図11Aにおいては、日射強度が700W/mの場合にMPPストリング電流として1.6Aが抽出されている。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ1.5A、1.3A、1.1A、0.9A及び0.6Aが抽出されている。また、日射強度が700W/mの場合にMPPストリング電圧として584Vが抽出されている。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ574V、564V、552V、536V及び516Vが抽出されている。
この場合、ストリングシステム抵抗は、日射強度が700W/mの場合に370Ωと算出される。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ375Ω、424Ω、499Ω、604Ω及び881Ωが算出される。また、ストリングシステム抵抗逆数は、日射強度が700W/mの場合に0.003と算出される。同様に、日射強度が600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mの場合に、それぞれ0.003、0.002、0.002、0.002及び0.001が抽出される。
図11Bには、診断時における日射強度とMPPストリング電圧との相間を示している。図11Bに示すように、診断時において、MPPストリング電圧は、日射強度が大きくなるに連れて緩やかに大きくなる特性を示している。なお、図11Bでは、説明の便宜上、基準時線形係数算出処理で抽出された日射強度とMPPストリング電圧との相間を示している(図6B参照)。図11Bから分かるように、診断時線形係数算出処理で抽出されたMPPストリング電圧は、基準時線形係数算出処理で抽出されたMPPストリング電圧と略同一の値となっている。
図11Cには、診断時における日射強度とMPPストリング電流との相間を示している。図11Cに示すように、診断時において、MPPストリング電流は、日射強度が大きくなるに連れて緩やかに大きくなる特性を示している。なお、図11Cでは、説明の便宜上、基準時線形係数算出処理で抽出された日射強度とMPPストリング電流との相間を示している(図6C参照)。図11Cから分かるように、診断時線形係数算出処理で抽出されたMPPストリング電流は、基準時線形係数算出処理で抽出されたMPPストリング電流よりも値が全般的に小さくなっている。
図12に、診断時線形係数算出処理で抽出されるMPPストリング電流とストリングシステム抵抗逆数との相間を示す。図12では、図7と同様に、MPPストリング電流とストリングシステム抵抗逆数とが示すIR動作点を日射強度毎にプロットしている。図12では、IR動作点として、日射強度700W/m、600W/m、500W/m、400W/m、300W/m及び200W/mに対応づけて、それぞれIR72、IR62、IR52、IR42、IR32、IR22と示している。なお、図12では、説明の便宜上、基準時線形係数算出処理で得られたIR動作点を示している(図7参照)。
図12に示すように、診断時において、IR動作点は、日射強度が大きくなるに連れてMPPストリング電流とストリングシステム抵抗逆数が大きくなる特性を示している。また、診断時において、IR動作点は、MPPストリング電流の幅が極端に狭くなる特性を示している。算出部171は、このように抽出された複数のIR動作点VI22〜VI72から、最小二乗法を用いて診断時線形回帰特性近似式を算出する。この場合、診断時線形回帰特性近似式として、y=0.0016x+0.0002が求められる。なお、決定係数Rは、0.9986である。
ここで、基準時線形回帰式と同様に、診断時線形回帰式の右辺の第1項の係数(0.0016)は、診断時線形回帰式の傾斜角度を示す線形係数と呼ぶことができる。診断時線形係数算出処理のステップST801においては、この線形係数(診断時線形係数)を算出する。これにより、診断時における線形回帰式(診断時線形回帰式)の傾斜角度を示す線形係数(診断時線形係数)が算出される。図12から分かるように、診断対象となるストリング11が部分的に劣化している場合には、線形係数は略同一となるものの、MPPストリング電流が出現する幅が極端に短くなっている。
このような診断時線形係数算出処理を行った後、診断システム10は、図4に示すように、診断対象となるストリング11の劣化を判定する処理(劣化判定処理)を行う(ステップST403)。劣化判定処理は、基準時線形係数算出処理で算出された基準時線形係数SAsと、診断時線形係数算出処理で算出された診断時線形係数SAcとに基づいて、診断対象となるストリング11の劣化(全体的な劣化又は部分的な劣化)を判定する。なお、この劣化判定処理は、診断装置17の判定部173で行われる。
図13は、図4に示す劣化判定処理を説明するためのフロー図である。図13においては、説明の便宜上、基準時線形係数SAsを算出する際に使用した特定のストリングシステム抵抗逆数の値を「SAs値」と示し、診断時線形係数SAcを算出する際に使用した特定のストリングシステム抵抗逆数の値を「SAc値」と示している。例えば、特定のストリングシステム抵抗逆数の値(SAs値、SAc値)として、日射強度が600W/m時におけるストリングシステム抵抗逆数の値を使用することができるが、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
図13に示すように、劣化判定処理においては、まず、診断時線形係数SAcを基準時線形係数SAsで除算した値(SAc/SAs)が所定の閾値より大きいかを判定する(ステップST1301)。このステップST1301では、診断時線形回帰式の傾斜角度が、基準時線形回帰式の傾斜角度よりも大きいかを判定している(図10参照)。
なお、本実施の形態においては、ステップST1301における所定の閾値として、「1」を用いる場合について説明するが、これに限定されず、任意の閾値を使用することができる。この所定の閾値については、太陽光発電システムの運用状況や温度状況に応じて適宜設定することが好ましい。
SAc/SAsが1より大きい場合(ステップST1301:Yes)には、判定部173は、診断対象のストリング11の全体的な劣化を判定する(ステップST1302)。つまり、判定部173は、診断時線形回帰式の傾斜角度が、基準時線形回帰式の傾斜角度よりも大きい場合にストリング11の全体的な劣化を判定できるものとなっている。このように診断システム10においては、基準時線形係数に対する診断時線形係数の比率に応じてストリング11の全体的な劣化が判定される。これにより、複雑な処理を必要とすることなくストリング11の全体的な劣化を検出することができる。
一方、SAc/SAsが1以下である場合(ステップST1301:No)、判定部173は、基準時線形係数SAs、診断時線形係数SAcを算出する際に使用した特定のストリングシステム抵抗逆数の値(SAs値、SAc値)を抽出する(ステップST1303)。
そして、判定部173は、SAc値をSAs値で除算した値(SAc値/SAs値)が所定の閾値より小さいかを判定する(ステップST1304)。なお、本実施の形態においては、ステップST1304における所定の閾値として、「1」を用いる場合について説明するが、これに限定されず、任意の閾値を使用することができる。この所定の閾値については、太陽光発電システムの運用状況や温度状況に応じて適宜設定することが好ましい。
SAc値/SAs値が所定の閾値より小さい場合(ステップST1304:Yes)には、判定部173は、診断対象のストリング11aの部分的な劣化を判定する(ステップST1305)。つまり、判定部173は、SAc値/SAs値が所定の閾値より小さい場合にストリング11の部分的な劣化を判定できるものとなっている。なお、特定のストリングシステム抵抗逆数の値ではなく、基準時におけるMPPストリング電流の変化量と、診断時におけるMPPストリング電流の変化量とを比較し、後者の変化量が前者の変化量の一定割合以下である場合にストリング11の部分的な劣化と判定するようにしてもよい。
このように診断システム10では、基準時及び診断時におけるストリングシステム抵抗逆数に基づいてストリング11の部分的な劣化が判定される。これにより、ストリング11の全体的な劣化のみならず、部分的な劣化を検出することができる。特に、診断システム10では、基準時線形係数の算出に使用したストリングシステム抵抗逆数に対する診断時線形係数の算出に使用したストリングシステム抵抗逆数の比率に応じてストリング11の部分的な劣化が判定される。これにより、複雑な処理を必要とすることなくストリング11の部分的な劣化を検出することができる。
一方、SAc値/SAs値が所定の閾値以上である場合(ステップST1304:No)、判定部173は、処理をステップST1301に戻し、ステップST1301〜ST1305の処理を繰り返す。すなわち、SAc/SAsが1以下であり、SAc値がSAs値以上である場合には、ストリング11に劣化(全体的な劣化又は部分的な劣化)が見られないと判定し、監視動作を継続する。
ステップST1302又はステップST1305において、診断対象となるストリング11の全体的な劣化又は部分的な劣化と判定した後、判定部173は、その診断結果に応じた対策(診断結果対策)の報知を表示部174に指示する(ステップST1306)。この指示を受けると、表示部174は、診断結果対策を報知する。例えば、表示部174は、ストリング状態診断画像データを表示する。
例えば、診断対象となるストリング11の全体的な劣化と判定した場合、判定部173は、ストリング11に含まれる全ての太陽電池モジュール20の清掃、パワーコンディショナ14の点検等により太陽電池アレイAに共通の劣化要因を特定する対策の報知を指示することができる。また、判定部173は、太陽光発電システムの延命が望まれる環境下では、太陽電池アレイAの交換の報知を指示してもよい。
一方、診断対象となるストリング11の部分的な劣化と判定した場合、判定部173は、太陽電池モジュールチェッカ(モジュールチェッカ)により、異常が発生した太陽電池モジュール20を特定し、その太陽電池モジュール20の清掃や定常的に発生している影の除去の報知を指示することができる。また、判定部173は、異常は発生した太陽電池モジュール20の交換の報知を指示してもよい。
以上説明したように、本実施の形態に係る診断システム10によれば、基準時及び診断時における複数の日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗逆数から求められる線形回帰式の線形係数(基準時線形係数、診断時線形係数)の比較結果に基づいてストリング11の劣化が判定される。ここで、複数の日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗には、日陰等の外的要因やMPPT制御時の最大電力点のミスマッチ等の内的要因の影響が含まれる。このような外的要因や内的要因の影響を受けるストリングシステム抵抗逆数の線形回帰式の線形係数を用いてストリング11の劣化が判定されるので、様々な環境下において、ストリング11の劣化を判定することができる。
また、本実施の形態に係る診断システム10においては、判定部173にて、ストリング11〜13の劣化判定に利用した線形係数(基準時線形係数、診断時線形係数)又はこれらの線形係数の算出に使用されるストリングシステム抵抗逆数の値(SAs値、SAc値)を示すストリング状態診断画像データを生成し、表示部174にて、このストリング状態診断画像データを表示することができる。これにより、例えば、ストリング11〜13の全体的又は部分的な劣化を作業者に視認させることができる。これにより、ストリング11〜13や太陽電池モジュール20の点検等の対策の必要性を直感的に認識させることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
例えば、上記実施の形態においては、診断システム10が、測定装置15及び受信サーバ16を備える場合について説明している。しかしながら、本発明に係る診断システムの構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、これらの測定装置15及び受信サーバ16の機能を診断装置17に備える構成としてもよい。
図14は、本実施の形態の変形例に係る診断システム30の構成を示すブロック図である。図14に示すように、診断システム30においては、測定装置15及び受信サーバ16を備えていない点、並びに、診断装置17がストリング電流測定部(以下、適宜「測定部」という)176及び記憶部177を有する点にて、図1に示す診断システム10と相違する。なお、図14において、図1に示す診断システム10と共通の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
測定部176は、図1に示す測定装置15と同様の機能を有する。測定部176は、メガソーラーシステムにおける発電電流をストリング11〜13におけるストリング単位で測定する。すなわち、測定部176は、ストリング11〜13におけるストリング電圧及びストリング電流を測定する。
記憶部177は、図1に示す記憶部172に記憶される情報に加え、図1に示す受信サーバ16に記憶されるデータを保存する。記憶部177は、測定部176で測定されたストリング電流の電流値を含むデータを保存する。例えば、記憶部177は、図1に示す受信サーバ16と同様に、これらのストリング電流の測定値等のデータを、一定期間(例えば、1か月)保存するようにしてもよい。
図14に示す診断システム30においては、診断装置17をストリング11〜13に接続された配線に接続することで、測定部176にてストリング11〜13におけるストリング単位で測定することができる。このため、例えば、作業者がメガソーラーシステムの敷地まで診断装置17を台車等で運搬し、ストリング11〜13に対応する配線に接続する態様にてストリング11〜13の異常を診断することができる。したがって、メガソーラーシステムを構成する全ての太陽電池アレイAに接続されるような大規模な設備を必要とすることなく、ストリング11〜13の劣化を容易に判定することが可能となる。
さらに、上記実施の形態においては、測定装置15(測定部176)がストリング11〜13におけるストリング電圧及びストリング電流を測定する場合について説明している。しかしながら、ストリング11〜13におけるストリング電圧及びストリング電流の測定の方法については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、ストリング11〜13に対応する配線にそれぞれ電圧及び電流を測定するセンサ(電圧センサ及び電流センサ)を備え、これらの電圧センサ及び電流センサの測定結果を診断装置17に有線通信又は無線通信にて受け渡すようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態においては、ストリング11〜13毎に劣化判定を行う場合について説明している。しかしながら、診断システム10において劣化判定を行う対象については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、複数のストリングで構成される太陽電池アレイを劣化判定の対象とすることもできる。この場合には、上記実施の形態と同様に、様々な環境下において、判定に用いる日射強度帯を限定し、回帰式を用いて太陽電池アレイの劣化を判定することができる。
また、最後に本実施形態の特徴を以下に整理する。
これらの太陽電池ストリング診断システムは、太陽光発電システムの運用開始時を含む基準時における太陽電池ストリングの特性と、任意の診断時における前記太陽電池ストリングの特性とを比較して前記太陽電池ストリングの劣化を診断する太陽電池ストリング診断システムであって、前記太陽電池ストリング単位で最大電力点追従制御により選出される最大電力点を抽出する抽出手段と、複数の日射強度毎の最大電力点における前記太陽電池ストリングのストリングシステム抵抗の逆数から求められる線形回帰式の線形係数を算出する算出手段と、基準時に算出された前記線形係数と、診断時に算出された前記線形係数との比較結果に基づいて前記太陽電池ストリングの劣化を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
上記太陽電池ストリング診断システムによれば、基準時及び診断時における複数の日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗の逆数から求められる線形回帰式の線形係数の比較結果に基づいて太陽電池ストリングの劣化が判定される。ここで、複数の日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗には、日陰等の外的要因やMPPT制御時の最大電力点のミスマッチ等の内的要因の影響が含まれる。このような外的要因や内的要因の影響を受けるストリングシステム抵抗の逆数の線形回帰式の線形係数を用いて太陽電池ストリングの劣化が判定されるので、様々な環境下において、判定に用いる日射強度帯を限定し、回帰式を用いて太陽電池ストリングの劣化を判定することができる。
例えば、上記太陽電池ストリング診断システムにおいて、前記判定手段は、診断時に算出された前記線形係数を、基準時に算出された前記線形係数で除算した値が所定値より大きい場合に前記太陽電池ストリングの全体的な劣化と判定する。この構成によれば、基準時における線形係数に対する診断時における線形係数の比率に応じて太陽電池ストリングの全体的な劣化が判定される。これにより、複雑な処理を必要とすることなく太陽電池ストリングの全体的な劣化を検出することができる。この結果、太陽電池ストリングの全体的な劣化に応じた対策を促すことができる。
また、上記太陽電池ストリング診断システムにおいて、前記判定手段は、診断時に算出された前記線形係数を、基準時に算出された前記線形係数で除算した値が所定値以下である場合、基準時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数と、診断時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数との比較結果に応じて前記太陽電池ストリングの部分的な劣化を判定する。この構成によれば、基準時及び診断時におけるストリングシステム抵抗の逆数に基づいて太陽電池ストリングの部分的な劣化が判定される。これにより、太陽電池ストリングの全体的な劣化のみならず、部分的な劣化を検出することができる。この結果、太陽電池ストリングに含まれる太陽電池モジュールの点検等の対策を促すことができる。
さらに、上記太陽電池ストリング診断システムにおいて、前記判定手段は、診断時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数を、基準時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数で除算した値が所定値より小さい場合に前記太陽電池ストリングの部分的な劣化と判定する。この構成によれば、基準時の線形係数の算出に使用したストリングシステム抵抗の逆数に対する診断時の線形係数の算出に使用したストリングシステム抵抗の逆数の比率に応じて太陽電池ストリングの部分的な劣化が判定される。これにより、複雑な処理を必要とすることなく太陽電池ストリングの部分的な劣化を検出することができる。この結果、太陽電池ストリングに含まれる太陽電池モジュールの点検等の対策を促すことができる。
さらに、上記太陽電池ストリング診断システムにおいて、前記判定手段は、前記太陽電池ストリングの劣化の判定に利用した前記線形係数又は前記値を示す画像データを生成することができる。この構成によれば、太陽電池ストリングの劣化判定に利用した線形係数又は値を示す画像データが生成されることから、例えば、太陽電池ストリングの全体的又は部分的な劣化を作業者に視認させることができる。これにより、太陽電池ストリングや太陽電池モジュールの点検等の対策の必要性を直感的に認識させることができる。
本発明に係る太陽電池ストリング診断方法は、太陽光発電システムの運用開始時を含む基準時における太陽電池ストリングの特性と、任意の診断時における前記太陽電池ストリングの特性とを比較して前記太陽電池ストリングの劣化を診断する太陽電池ストリング診断方法であって、前記太陽電池ストリング単位で最大電力点追従制御により選出される最大電力点を抽出するステップと、複数の日射強度毎の最大電力点における前記太陽電池ストリングのストリングシステム抵抗の逆数から求められる線形回帰式の線形係数を算出するステップと、基準時に算出された前記線形係数と、診断時に算出された前記線形係数との比較結果に基づいて前記太陽電池ストリングの劣化を判定するステップと、を備えることを特徴とする。
上記太陽電池ストリング診断方法によれば、基準時及び診断時における複数の日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗の逆数から求められる線形回帰式の線形係数の比較結果に基づいて太陽電池ストリングの劣化が判定される。ここで、複数の日射強度毎の最大電力点におけるストリングシステム抵抗には、日陰等の外的要因やMPPT制御時の最大電力点のミスマッチ等の内的要因の影響が含まれる。このような外的要因や内的要因の影響を受けるストリングシステム抵抗の逆数の線形回帰式の線形係数を用いて太陽電池ストリングの劣化が判定されるので、様々な環境下において、太陽電池ストリングの劣化、および太陽電池ストリングの集合体である太陽電池アレイの劣化を判定することができる。
10、30 太陽電池ストリング診断システム(診断システム)
11〜13 太陽電池ストリング(ストリング)
14 パワーコンディショナ
15 ストリング電気特性測定装置(測定装置)
16 ストリング電気特性受信サーバ(受信サーバ)
17 診断装置
171 線形係数算出部(算出部)
172、177 記憶部
173 判定部
174 表示部
175 通信部
176 ストリング電流測定部(測定部)
18 監視装置
20 太陽電池モジュール
201 太陽電池セル
202 バイパスダイオード
203 サブストリング
21〜23 逆流防止ダイオード(ブロッキングダイオード)
A 太陽電池アレイ

Claims (6)

  1. 太陽光発電システムの運用開始時を含む基準時における太陽電池ストリングの特性と、任意の診断時における前記太陽電池ストリングの特性とを比較して前記太陽電池ストリングの劣化を診断する太陽電池ストリング診断システムであって、
    前記太陽電池ストリング単位で最大電力点追従制御により選出される最大電力点を抽出する抽出手段と、
    複数の日射強度毎の最大電力点における前記太陽電池ストリング単位での発電電圧としてのストリング電圧を、前記太陽電池ストリング単位での発電電流としてのストリング電流で除算して得られるストリングシステム抵抗の逆数から、前記ストリング電流を独立変数とし前記ストリングシステム抵抗の逆数を従属変数として求められる線形回帰式の線形係数を算出する算出手段と、
    基準時に算出された前記線形係数と、診断時に算出された前記線形係数との比較結果に基づいて前記太陽電池ストリングの劣化を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする太陽電池ストリング診断システム。
  2. 前記判定手段は、診断時に算出された前記線形係数を、基準時に算出された前記線形係数で除算した値が所定値より大きい場合に前記太陽電池ストリングの全体的な劣化と判定することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池ストリング診断システム。
  3. 前記判定手段は、診断時に算出された前記線形係数を、基準時に算出された前記線形係数で除算した値が所定値以下である場合、基準時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数と、診断時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数との比較結果に応じて前記太陽電池ストリングの部分的な劣化を判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の太陽電池ストリング診断システム。
  4. 前記判定手段は、診断時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数を、基準時の前記線形係数の算出に使用した前記ストリングシステム抵抗の逆数で除算した値が所定値より小さい場合に前記太陽電池ストリングの部分的な劣化と判定することを特徴とする請求項3に記載の太陽電池ストリング診断システム。
  5. 前記判定手段は、前記太陽電池ストリングの劣化判定に利用した前記線形係数又は前記値を示す画像データを生成することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の太陽電池ストリング診断システム。
  6. 太陽光発電システムの運用開始時を含む基準時における太陽電池ストリングの特性と、任意の診断時における前記太陽電池ストリングの特性とを比較して前記太陽電池ストリングの劣化を診断する太陽電池ストリング診断方法であって、
    前記太陽電池ストリング単位で最大電力点追従制御により選出される最大電力点を抽出するステップと、
    複数の日射強度毎の最大電力点における前記太陽電池ストリング単位での発電電圧としてのストリング電圧を、前記太陽電池ストリング単位での発電電流としてのストリング電流で除算して得られるストリングシステム抵抗の逆数から、前記ストリング電流を独立変数とし前記ストリングシステム抵抗の逆数を従属変数として求められる線形回帰式の線形係数を算出するステップと、
    基準時に算出された前記線形係数と、診断時に算出された前記線形係数との比較結果に基づいて前記太陽電池ストリングの劣化を判定するステップと、を備えることを特徴とする太陽電池ストリング診断方法。
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