以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかる通信制御装置、制御装置および通信システムについて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。本実施形態にかかる通信システム1は、図1に示すように、ローカル端末LT1,LT2(以下、ローカル端末LT1,LT2を区別する必要がない場合には、ローカル端末LTと記載する)と、ネットワークデバイスPS1,PS2(以下、ネットワークデバイスPS1,PS2を区別する必要がない場合には、ネットワークデバイスPSと記載する)と、障害用ネットワークデバイスFPS1,FPS2(以下、障害用ネットワークデバイスFPS1,FPS2を区別する必要がない場合には、障害用ネットワークデバイスFPSと記載する)と、制御装置Sと、を有している。
ネットワークデバイスPSは、IP網または公衆通信網などのネットワークNWに接続される。そして、ネットワークデバイスPSは、ローカルの回線を介して接続されたローカル端末LTの呼接続(通信制御)を行う通信制御装置の一例である。障害用ネットワークデバイスFPSは、ネットワークデバイスPSに障害(異常)が発生した場合にネットワークデイバスPSに代替してローカル端末LTの呼接続を行う障害用装置の一例である。制御装置Sは、ネットワークデバイスPSに代替してローカル端末LTの呼接続を行う障害用ネットワークデバイスFPS(所定の障害用装置)をネットワークデバイスPSに設定する外部制御装置の一例である。また、制御装置Sは、ネットワークデバイスPSに対して当該ネットワークデバイスPSと障害用ネットワークデバイスFPSとの通信の遅延時間の測定を指示する。
図2は、第1の実施形態にかかる通信システムが備える各部の構成を示すブロック図である。ネットワークデバイスPS1は、図2に示すように、ローカルの回線を介して接続されたローカル端末LT1との間で各種データを送受信するローカル回線部101と、ローカル端末LT1から受信したデータのうち通信対象のローカル端末LT2の呼接続に用いる制御データを処理するCPU(Central Processing Unit)処理部102(制御部の一例)と、ローカル端末LT1から受信したデータのうちローカル端末LT2に送信する通信データおよびローカル端末LT2から受信した通信データを処理する通信処理部103(通信部の一例)と、ローカル端末LT1から受信したデータをCPU処理部102または通信処理部103に振り分けるデータ分岐部104と、CPU処理部102の異常を検出するとともに、CPU処理部102の異常を検出した場合に、データ分岐部104を制御して制御データおよび通信データを通信処理部103に振り分けかつ通信処理部103によって制御データおよび通信データを障害用ネットワークデバイスFPSに転送させる経路制御部105と、障害用ネットワークデバイスFPSとネットワークデバイスPS1との通信の遅延時間を測定する遅延時間測定部106と、を備える。ネットワークデバイスPS2は、ローカルの回線を介してローカル端末LT2と接続され、ネットワークデバイスPS1と同様の構成を有している。
本実施形態では、通信処理部103、データ分岐部104および経路制御部105は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processing)など、CPU処理部102の異常時において当該CPU処理部102とは独立して動作可能な装置によって構成される。
障害用ネットワークデバイスFPSは、図2に示すように、ネットワークデバイスPSから受信した制御データを処理するCPU処理部107と、ネットワークデバイスPSから受信した通信データを処理する通信処理部108と、ネットワークデバイスPSから受信した制御データおよび通信データをCPU処理部107または通信処理部108に振り分けるデータ分岐部109と、データ分岐部109によるCPU処理部107または通信処理部108へのデータの振り分けを制御する経路制御部110と、を有している。
制御装置Sは、図2に示すように、ネットワークデバイスPSと障害用ネットワークデバイスFPSとの通信の遅延時間の測定を指示する遅延測定指示をネットワークデバイスPSに対して送信するとともに、遅延時間の測定結果に基づいて、ネットワークデバイスPS(CPU処理部102)の異常が検出された場合に当該ネットワークデバイスPSに代替してローカル端末LTの呼接続を行う障害用ネットワークデバイスFPS(所定の障害用装置の一例)を設定する遅延測定指示部111と、複数の障害用ネットワークデバイスFPS(障害用装置候補)のうち、ネットワークデバイスPSとの通信の遅延時間を測定する障害用ネットワークデバイスFPSを選択する測定範囲決定部112と、を有している。
次に、図3を用いて、本実施形態にかかる通信システム1のネットワークデバイスPSにおける通常時の通信処理について説明する。図3は、第1の実施形態にかかる通信システムのネットワークデバイスPSにおける通常時の通信処理を説明するための図である。
ネットワークデバイスPS1のCPU処理部102に異常が検出されていない通常時において、ローカル回線部101がローカル端末LT1からデータを受信すると、データ分岐部104は、受信したデータを解析して、受信したデータが制御データである場合には当該制御データをCPU処理部102に送り、受信したデータが通信データである場合には当該通信データを通信処理部103に送る。
CPU処理部102は、データ分岐部103から受け取った制御データに基づいて、ローカル端末LT1(第1端末の一例)と、当該ローカル端末LT1とネットワークNWを介して接続されたローカル端末LT2(第2端末の一例)間の呼接続(通信制御の一例)を指示する呼接続メッセージ(通信制御指示の一例)を生成する。そして、CPU処理部102は、例えばSIP(Session Initiation Protocol)などの通信プロトコルに従って、生成した呼接続メッセージを、スイッチSWを介して、ネットワークデバイスPS2(外部通信制御装置の一例)に送信する。また、CPU処理部102は、ネットワークNWを介して接続されたローカル端末LT2から呼接続メッセージを受信し、当該受信した呼接続メッセージに基づいて制御データを生成して、ローカル端末LT1に送信する。
通信処理部103は、CPU処理部102による呼接続メッセージの送信によりローカル端末LT1とローカル端末LT2間での通信が可能な状態になった場合に、例えばRTP(Real-time Transport Protocol)などのデータ伝送プロトコルに従って、データ分岐部104から受け取った通信データを、スイッチSWを介して、ネットワークデバイスPS2に送信する。さらに、通信処理部103は、CPU処理部102による呼接続メッセージの送信によりローカル端末LT1とローカル端末LT2間での通信が可能な状態になった場合に、データ伝送プロトコルに従って、ネットワークNWを介してローカル端末LT2から受信した通信データを、ローカル端末LT1に送信する。以上の処理によって、ネットワークデバイスPS1は、ローカル端末LTの呼接続を実現するとともに、ローカル端末LT間での通信を確立する。
次に、図4を用いて、本実施形態にかかる通信システム1のネットワークデバイスPSが有するCPU処理部102に異常が検出された場合の通信処理について説明する。図4は、第1の実施形態にかかる通信システムのネットワークデバイスが有するCPU処理部に異常が検出された場合の通信処理を説明するための図である。
経路制御部105は、例えばデータ分岐部104から制御データがCPU処理部102に送られたにも関わらず呼接続メッセージが生成されずにローカル端末LTの呼接続が実現されないなど、CPU処理部102の異常を検出する。そして、経路制御部105は、CPU処理部102の障害を検出した場合、データ分岐部104を制御して、ローカル回線部101により受信した制御データおよび通信データを通信処理部103に送ることにより、呼接続メッセージおよび通信データをネットワークデバイスPSに送信可能な障害用ネットワークデバイスFPSに対して、通信処理部103によって制御データおよび通信データを転送させる。これにより、ネットワークデバイスPS1は、自動的に、ローカル端末LT1から受信した制御データおよび通信データを障害用ネットワークデバイスFPS1に転送する転送モードへと移行する。
具体的には、経路制御部105は、CPU処理部102の異常を検出した場合、通信処理部103に対して、障害用ネットワークFPSに制御データおよび通信データを送信可能なチャンネル数分のパス(以下、障害用パスと言う)の確立を指示する。そして、通信処理部103が、障害用パスを確立するとともに、確立した障害用パスを利用して、制御データおよび通信データを障害用ネットワークデバイスFPSに送信することにより、当該制御データおよび通信データの障害用ネットワークデバイスFPSへの転送を実現する。
また、経路制御部105は、制御装置S(外部制御装置の一例)により設定された障害用装置候補である障害用ネットワークデバイスFPS1に制御データおよび通信データを転送させる。その際、経路制御部105は、ネットワークデバイスPS1とネットワークNWを介して接続された障害用ネットワークデバイスFPS1に制御データおよび通信データを転送させる。これにより、ネットワークデバイスPS毎に障害用ネットワークデバイスFPSを設ける必要がなくなるので(言い換えると、1つの障害用ネットワークデバイスを、複数のネットワークデバイスPSを代替して呼接続を行う障害用装置として機能させることができるので)、障害用ネットワークデバイスFPSを通信システム1に設けることによるコストの増加、障害用ネットワークデバイスFPSを設けるスペースの増加を最小限に抑えることができる。
本実施形態では、経路制御部105は、制御装置Sにより設定された障害用ネットワークデバイスFPSを識別可能なIPアドレスなどの識別情報を内部情報として記憶している。そして、経路制御部105は、内部情報として記憶している識別情報により特定される障害用ネットワークデバイスFPSに制御データおよび通信データを転送する。
本実施形態では、経路制御部105は、制御装置Sにより設定された障害用ネットワークデバイスFPSに制御データおよび通信データを転送しているが、これに限定するものではなく、例えば、通信システム1の管理者によってネットワークデバイスPSのユーザインタフェースを介して設定された障害用ネットワークデバイスFPSに制御データおよび通信データを転送しても良い。これにより、ネットワークデバイスPSに対して障害用ネットワークデバイスFPSを設定する機能を備えた制御装置Sを設ける必要がなくなるので、通信システム1の低コスト化を図ることができる。
次に、図5を用いて、本実施形態にかかる通信システム1の障害用ネットワークデバイスFPSにおける通信処理について説明する。図5は、第1の実施形態にかかる通信システムのネットワークデバイスにおける通信処理を説明するための図である。
経路制御部110は、ネットワークデバイスPSにより確立された障害用パスを介して通信処理部108が制御データおよび通信データを受信したか否かを検出する。そして、経路制御部110は、ネットワークデバイスPSにより障害用パスが確立されて当該障害用パスを介して制御データおよび通信データを受信したことを検出した場合、データ分岐部109を制御して、通信処理部108により受信した制御データをCPU処理部107に送らせ、通信処理部108により受信した通信データを通信処理部108に送らせる。
具体的には、通信処理部108は、ネットワークデバイスPSにより確立された障害用パスを介してデータを受信すると、受信したデータをデータ分岐部109に送る。データ分岐部109は、受信したデータを解析して、当該受信したデータが制御データである場合には当該制御データをCPU処理部107に送り、当該受信したデータが通信データである場合には当該通信データを通信処理部108に送る。
CPU処理部107は、ネットワークデバイスPS1のCPU処理部102と同様にして、データ分岐部109から受け取った制御データに基づいて、ローカル端末LT1とローカル端末LT2間の呼接続を指示する呼接続メッセージを生成し、例えばSIPなどの通信プロトコルに従って呼接続メッセージを、スイッチSWを介してネットワークデバイスPS2に送信する。
また、通信処理部108は、ネットワークデバイスPS1の通信処理部103と同様にして、CPU処理部107による呼接続メッセージの送信によりローカル端末LT1とローカル端末LT2間での通信が可能な状態となった場合に、例えばRTPなどのデータ伝送プロトコルに従ってデータ分岐部109から受け取った通信データを、スイッチSWを介して、ネットワークデバイスPS2に送信する。このように、障害用ネットワークデバイスFPSは、CPU処理部102に異常が検出されたネットワークデバイスPS1による呼接続機能を代替するとともに、ローカル端末LT1とローカル端末LT2との通信を確立することにより、末端装置としてのネットワークデバイスPS1に障害が発生した場合でもローカル端末LT間において通信データを送受信するサービスの継続を可能とする。
次に、図6を用いて、本実施形態にかかる通信システム1において、ネットワークデバイスPSのCPU処理部102に異常が検出された場合にローカル端末LT間で通信データを送受信するサービスを継続する動作について説明する。図6は、第1の実施形態にかかる通信システムにおいてネットワークデバイスのCPU処理部に異常が検出された場合にローカル端末間で通信データを送受信するサービスを継続する動作を説明するための図である。
ネットワークデバイスPS1のCPU処理部102に異常が検出されていない通常時においては、CPU処理部102は、ローカル端末LT1から受信した制御データに基づいて呼接続メッセージを生成し、当該生成した呼接続メッセージを、ローカル端末LT2とローカルの回線を介して接続されたネットワークデバイスPS2に送信して、ローカル端末LT1とローカル端末LT2間での通信を可能な状態とする。通信処理部103は、通常時通信パスP1を利用して、ローカル端末LT1とローカル端末LT2間において通信データを送受信することにより、ローカル端末LT1とローカル端末LT2間における通信を確立する。
一方、ネットワークデバイスPS1の経路制御部105によってCPU処理部102の異常が検出された場合、CPU処理部102は、呼接続メッセージの生成や当該呼接続メッセージの送信等を行うことができない。そこで、経路制御部105は、データ分岐部104を制御して、ローカル端末LT1から受信した制御データおよび通信データを通信処理部103に送るとともに、障害用パスP2の確立を指示する。通信処理部103は、障害用パスP2を確立するとともに、当該障害用パスP2を利用して、制御データおよび通信データを、制御装置Sにより予め設定された障害用ネットワークデバイスFPS1に転送してネットワークデバイスPS1を転送モードへと移行させる。
障害用ネットワークデバイスFPS1のCPU処理部107は、ネットワークデバイスPS1から転送されてきた制御データに基づいて呼接続メッセージを生成する。そして、CPU処理部107は、当該生成した呼接続メッセージをネットワークデバイスPS2に送信して、障害用ネットワークデバイスFPS1を介したローカル端末LT1とローカル端末LT2間での通信を可能な状態とする。通信処理部108は、障害時用通信パスP3を利用して、ローカル端末LT2との間で通信データを送受信することにより、ローカル端末LT1とローカル端末LT2間における通信を確立する。これにより、末端装置としてのネットワークデバイスPS1のCPU処理部102に異常が検出された場合でもローカル端末LT1とローカル端末LT2間において通信データを送受信するサービスを継続する。
次に、図2および図7を用いて、ネットワークデバイスPSに対して障害用ネットワークデバイスFPSを設定する処理について説明する。図7は、第1の実施形態にかかる通信システムの制御装置によってネットワークデバイスに対して障害用ネットワークデバイスを設定する処理を説明するための図である。
制御装置Sの測定範囲決定部112(選択部の一例)は、通信システム1が有する複数の障害用ネットワークデバイスFPS(複数の障害用装置候補)のうちネットワークデバイスPSとの通信の遅延時間を測定する障害用装置候補である障害用ネットワークデバイスFPS(例えば、障害用ネットワークデバイスFPS1,FPS2,FPS3)を選択する。そして、制御装置Sの遅延測定指示部111(送信部の一例)は、選択された障害用ネットワークデバイスFPSとネットワークデバイスPS1との通信の遅延時間の測定を指示する遅延測定指示を、所定時間毎にネットワークデバイスPS1に送信する。
ネットワークデバイスPS1の遅延測定部106は、制御装置Sから遅延測定指示を受信する度に、障害用ネットワークデバイスFPS1,FPS2,FPS3それぞれと、ネットワークデバイスPS1との通信の遅延時間を測定する。そして、遅延測定部106は、遅延時間の測定結果を制御装置Sに送信する。
制御装置Sの測定範囲決定部112は、ネットワークデバイスPS1から受信した遅延時間の測定結果に基づいて、ネットワークデバイスPS1に代替して呼接続を行う障害用ネットワークデバイスFPSを決定する。そして、測定範囲決定部112は、決定した障害用ネットワークデバイスFPSを識別する識別情報をネットワークデバイスPS1に通知して、当該障害用ネットワークデバイスFPSをネットワークデバイスPSに設定する。
ここで、図8を用いて、ネットワークデバイスPS1との通信の遅延時間を測定する障害用ネットワークデバイスFPSを選択する処理、およびネットワークデバイスPS1による遅延時間の測定結果に基づいてネットワークデバイスPS1に対して障害用ネットワークデバイスFPSを設定する処理について説明する。図8は、第1の実施形態にかかる通信システムのネットワークデバイスによる遅延時間の測定結果を示す図である。
測定範囲決定部112は、図8に示すように、通信システム1が有するネットワークデバイスPSの識別するネットワークデバイスIDと対応付けて、ネットワークデバイスPSとの通信の遅延時間を測定した障害用ネットワークデバイスFPSを識別する障害用ネットワークデバイスIDと、ネットワークデバイスPSと障害用ネットワークデバイスFPSとの通信の遅延時間の測定履歴と、ネットワークデバイスPSに設定された障害用ネットワークデバイスFPSを表す障害時接続先とを記憶している。
そして、測定範囲決定部112は、ネットワークデバイスPSの遅延測定部106により測定された遅延時間が最も短い障害用ネットワークデバイスFPSを、ネットワークデバイスPSに設定するとともに、当該障害用ネットワークデバイスFPSを障害時接続先としてネットワークデバイスIDと対応付けて記憶する。
また、測定範囲決定部112は、障害用ネットワークデバイスFPSを設定する設定対象のネットワークデバイスPSのネットワークデバイスID(例えば、PS1)と対応付けて記憶された遅延時間の測定履歴に基づいて、通信システム1が有する障害用ネットワークデバイスFPSのうちネットワークデバイスPS1との通信の遅延時間を測定する障害用ネットワークデバイスFPSを選択する。具体的には、測定範囲決定部112は、ネットワークデバイスPS1のネットワークデバイスIDと対応付けて記憶された障害用ネットワークデバイスIDにより特定される障害用ネットワークデバイスFPSのうち、前回測定された遅延時間が短い障害用ネットワークデバイスFPSから順に所定数(例えば、3つ)の障害用ネットワークデバイスFPS(例えば、障害用ネットワークデバイスID:101,103,105の障害用ネットワークデバイスFPS)を選択する。
さらに、測定範囲決定部112は、通信システム1が有する設定対象のネットワークデバイスPS1以外のネットワークデバイスPSのうち、前回測定された遅延時間が最も短い障害用ネットワークデバイスFPSが同一のネットワークデバイスPS(例えば、ネットワークデバイスPS3)との通信の遅延時間を測定した障害用ネットワークデバイスFPS(例えば、障害用ネットワークデバイスID:109,101,107の障害用ネットワークデバイスFPS)を、ネットワークデバイスPS1との通信の遅延時間を測定する障害用ネットワークデバイスFPSとして選択する。
そして、遅延測定指示部111は、上述した処理により測定範囲決定部112により選択された障害用ネットワークデバイスFPS(例えば、障害用ネットワークデバイスID:101,103,105,107,109の障害用ネットワークデバイスFPS)との通信の遅延時間の測定を指示する遅延測定指示をネットワークデバイスPS1に送信する。
本実施形態では、測定範囲決定部112は、2つのネットワークデバイスPSにおける遅延時間の測定履歴に基づいて、設定対象のネットワークデバイスPSとの通信の遅延時間を測定する障害用ネットワークデバイスFPSを選択しているが、これに限定するものではなく、3以上のネットワークデバイスPSの遅延時間の測定履歴に基づいて、設定対象のネットワークデバイスPSとの通信の遅延時間を測定する障害用ネットワークデバイスFPSを選択しても良い。
また、本実施形態では、測定範囲決定部112は、ネットワークデバイスPSにおける遅延時間の測定履歴に基づいて、設定対象のネットワークデバイスPSとの通信の遅延時間を測定する障害用ネットワークデバイスFPSを選択しているが、これに限定するものではなく、例えば、複数の障害用ネットワークデバイスFPSそれぞれの負荷に基づいて、設定対象のネットワークデバイスPSとの通信の遅延時間を測定する障害用ネットワークデバイスFPSを選択しても良い。具体的には、測定範囲決定部112は、複数の障害用ネットワークデバイスFPSのうち、負荷が小さい障害用ネットワークデバイスFPSから順に所定数の障害用ネットワークデバイスFPSを、設定対象のネットワークデバイスPSとの通信の遅延時間を測定する障害用ネットワークデバイスFPSとして選択する。
次に、図9を用いて、本実施形態にかかる通信システム1のローカル端末LT間における通信処理の流れについて説明する。図9は、第1の実施形態にかかる通信システムのローカル端末間における通信処理の流れを示すシーケンス図である。
ネットワークデバイスPS1のCPU処理部102に異常が検出されていない通常時に、ローカル回線部101が、ローカル端末LT1から呼接続を指示する制御データを受信すると(ステップS901)、データ分岐部104は、受信した制御データをCPU処理部102に振り分ける。CPU処理部102は、受信した制御データに基づいて、ローカル端末LT1の通信相手となるローカル端末LT2の呼接続を指示する呼接続メッセージを生成する。そして、CPU処理部102は、ローカル端末LT2とローカルの回線を介して接続されたネットワークデバイスPS2に対して、生成した呼接続メッセージを送信する(ステップS902)。
ネットワークデバイスPS2のCPU処理部102は、ネットワークデバイスPS1から送信された呼接続メッセージを受信すると、当該受信した呼接続メッセージに基づいて、制御データを生成するとともに、データ分岐部104を介して、当該生成した制御データをローカル回線部101を介してローカル端末LT2に送信する(ステップS903)。その後、データ分岐部104は、ローカル回線部101が、ローカル端末LT2から呼接続に対する応答を指示する制御データを受信すると(ステップS904)、受信した制御データをCPU処理部102に振り分ける。CPU処理部102は、受信した制御データに基づいて、ローカル端末LT2からの呼接続に対する応答を通知する呼接続メッセージを生成する。そして、CPU処理部102は、ローカル端末LT1とローカルの回線を介して接続されたネットワークデバイスPS1に対して、生成した呼接続メッセージを送信する(ステップS905)。
ネットワークデバイスPS1のCPU処理部102が、ネットワークデバイスPS2から送信された呼接続メッセージを受信すると、当該受信した呼接続メッセージに基づいて、制御データを生成するとともに、データ分岐部104を介して、当該生成した制御データをローカル回線部101を介してローカル端末LT1に送信する(ステップS906)。通信処理部103は、CPU処理部102による呼接続メッセージの送信によりローカル端末LT1とローカル端末LT2間での通信が可能となっている間、ローカル端末LT1から受け取った通信データを、データ伝送プロトコルに従って、ネットワークデバイスPS2を介してローカル端末LT2に送信する。さらに、通信処理部103は、ネットワークデバイスPSを介してローカル端末LT2から受信した通信データを、データ分岐部104およびローカル回線部101を介して、ローカル端末LT1に送信する。これにより、ネットワークデバイスPS1は、ローカル端末LT1とローカル端末LT2間での通信を確立する(ステップS907)。
その後、ネットワークデバイスPS1の経路制御部105は、CPU処理部102の障害(異常)を検出した場合(ステップS908)、通信処理部103に対して障害用パスの確立を指示する。そして、通信処理部103は、障害用パスを確立するとともに(ステップS909)、確立した障害用パスを利用して、制御データを予め設定された障害用ネットワークデバイスFPS、例えば障害用ネットワークデバイスFPS1に転送する(ステップS910)。
障害用ネットワークデバイスFPS1の経路制御部110は、通信処理部108が制御データを受信したことを検出した場合、データ分岐部109を制御して、通信処理部108により受信した制御データをCPU処理部107に送らせる。CPU処理部107は、制御データに基づいて、ローカル端末LT1の通信相手となるローカル端末LT2の呼接続を指示する呼接続メッセージを生成する。そして、CPU処理部107は、ローカル端末LT2とローカルの回線を介して接続されたネットワークデバイスPS2に対して、生成した呼接続メッセージを送信する(ステップS911)。
ネットワークデバイスPS2のCPU処理部102が、障害用ネットワークデバイスFPS1から送信された呼接続メッセージを受信すると、当該受信した呼接続メッセージに基づいて、制御データを生成するとともに、データ分岐部104を介して、当該生成した制御データをローカル回線部101を介してローカル端末LT2に送信する(ステップS912)。その後、データ分岐部104は、ローカル回線部101が、ローカル端末LT2から呼接続に対する応答を指示する制御データを受信すると(ステップS913)、受信した制御データをCPU処理部102に振り分ける。CPU処理部102は、受信した制御データに基づいて、ローカル端末LT2からの呼接続に対する応答を通知する呼接続メッセージを生成する。そして、CPU処理部102は、障害用ネットワークデバイスFPS1に対して、生成した呼接続メッセージを送信する(ステップS914)。
障害用ネットワークデバイスFPS1のCPU処理部107が、ネットワークデバイスPS2から送信された呼接続メッセージを受信すると、当該受信した呼接続メッセージに基づいて、制御データを生成するとともに、当該生成した制御データを通信処理部108を介してネットワークデバイスPS1に送信する(ステップS915)。
ネットワークデバイスPS1の通信処理部103が、障害用ネットワークデバイスFPS1から送信された制御データを受信すると、データ分岐部109は、当該受信した制御データをローカル回線部101を介してローカル端末LT1に送信する。通信処理部103は、障害用ネットワークデバイスFPS1への制御データの転送によりローカル端末LT1とローカル端末LT2間での通信が可能となっている間、ローカル端末LT1から受け取った通信データを、データ伝送プロトコルに従って、障害用ネットワークデバイスFPS1を介してローカル端末LT2に送信する。さらに、通信処理部103は、障害用ネットワークデバイスFPS1を介してローカル端末LT2から受信した通信データを、データ分岐部104およびローカル回線部101を介して、ローカル端末LT1に送信する。これにより、ネットワークデバイスPS1は、ローカル端末LT1とローカル端末LT2間での通信を継続する(ステップS916)。
次に、図10を用いて、本実施形態にかかる通信システム1の制御装置Sによる障害用ネットワークデバイスFPSの設定処理の流れについて説明する。図10は、第1の実施形態にかかる通信システムの制御装置による障害用ネットワークデバイスの設定処理の流れを示すシーケンス図である。
制御装置Sの測定範囲決定部112は、障害用ネットワークデバイスFPSを設定する設定対象のネットワークデバイスPS(例えば、ネットワークデバイスPS1)との通信の遅延時間を測定する障害用デットワークデバイスFPS(例えば、障害用ネットワークデバイスFPS1,FPS2,FPS3)を選択する。そして、遅延測定指示部111は、ネットワークデバイスPS1に対して、選択した障害用ネットワークデバイスFPS1,FPS2,FPS3それぞれとの通信の遅延時間の測定を指示する遅延測定指示を送信する(ステップS1001)。
ネットワークデバイスPS1の遅延測定部106は、制御装置Sから遅延測定指示を受信すると、障害用ネットワークデバイスFPS1,FPS2,FPS3それぞれとネットワークデバイスPS1との通信の遅延時間を測定する(ステップS1002)。そして、遅延測定部106は、遅延時間の測定結果を制御装置Sに通知する(ステップS1003)。
制御装置Sの測定範囲決定部112は、ネットワークデバイスPS1から受信した遅延時間の測定結果に基づいて、ネットワークデバイスPS1に代替してローカル端末LT1の呼接続を行う障害用ネットワークデバイスFPS(例えば、障害用ネットワークデバイスFPS1)を決定する。そして、測定範囲決定部112は、決定した障害用ネットワークデバイスFPS1を識別する識別情報(障害時接続先)をネットワークデバイスPS1に通知して(ステップS1004)、当該障害用ネットワークデバイスFPS1をネットワークデバイスPS1に設定する(ステップS1005)。
このように、第1の実施形態の通信システム1によれば、ネットワークデバイスPSに代替して障害用ネットワークデバイスFPSがローカル端末LTの呼接続を代替することができるので、末端装置としてのネットワークデバイスPS1のCPU処理部102に異常が検出された場合でもローカル端末LT1とローカル端末LT2間において通信データを送受信するサービスを継続することができる。
本実施形態では、制御装置Sの測定範囲決定部112は、ネットワークデバイスPSによるローカル端末LTの呼接続を代替する所定の障害用装置として障害用ネットワークデバイスFPSを設定しているが、これに限定するものではなく、例えば、ネットワークデバイスPS(他の通信制御装置)を所定の障害用装置として設定しても良い。この場合、所定の障害用装置に設定されたネットワークデバイスPSは、当該ネットワークデバイスPSにローカルの回線を介して接続されたローカル端末LTの呼接続に加えて、他のネットワークデバイスPSから転送されてきた制御データおよび通信データに基づく呼接続メッセージおよび通信データの送信を行う。
また、本実施形態では、障害用ネットワークデバイスFPSのCPU処理部107において異常が検出された場合、ネットワークデバイスPSから制御データが転送されてきたとしても、当該転送データに基づく呼接続メッセージの送信を行えなくなるが、障害用ネットワークデバイスFPSの経路制御部110によりCPU処理部107の異常を検出した場合に、通信処理部108が、ネットワークデバイスPSから転送されてきた制御データおよび通信データを他の障害用ネットワークデバイスFPSに転送して、当該他の障害用ネットワークデバイスFPSに呼接続メッセージおよび通信データを送信させることにより、障害用ネットワークデバイスFPSのCPU処理部107において異常が検出された場合でもローカル端末LT間において通信データを送受信するサービスを継続することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態は、ネットワークデバイスのCPU処理部に障害が発生した場合に、通信システム全体を制御する外部制御装置が障害用制御装置として機能して、ネットワークデバイスに代替してローカル端末の呼接続を行う例である。以下の説明では、第1の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
図11は、第2の実施形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。本実施形態にかかる通信システム11は、図11に示すように、ローカル端末LTと、ネットワークデバイスPSと、障害用制御装置FS1,FS2(以下、障害用制御装置FS1,FS2を区別する必要がない場合には、障害用制御装置FSと記載する)と、制御装置S1と、を有している。
障害用制御装置FS(外部制御装置の一例)は、ネットワークデバイスPSのCPU処理部102において異常が発生していない場合には通信システム11全体を制御する外部制御装置として機能するとともに、ネットワークデバイスPSの異常が検出された場合にネットワークデバイスPSに代替してローカル端末LTの呼接続を行う障害用の制御装置として機能可能である。制御装置S1は、ネットワークデバイスPSに対して当該ネットワークデバイスPSと障害用ネットワークデバイスFPSとの通信の遅延時間の測定を指示するなど通信システム11全体の制御を行うとともに、ネットワークデバイスPSに対して所定の障害用装置として障害用制御装置FS1,FSを設定する。
図12は、第2の実施形態にかかる通信システムが備える各部の構成を示すブロック図である。障害用制御装置FSは、図12に示すように、ネットワークデバイスPSから受信した制御データに基づく呼接続メッセージの生成および送信に加えて、例えば後述する制御装置S1が有する遅延測定指示部121や測定範囲決定部122における処理など通信システム11全体の制御を実行可能なCPU処理部130と、通信処理部108と、データ分岐部109と、経路制御部110と、を有している。
制御装置S1は、図12に示すように、ネットワークデバイスPSと障害用制御装置FSとの通信の遅延時間の測定を指示する遅延測定指示をネットワークデバイスPSに対して送信するとともに、遅延時間の測定結果に基づいて、ネットワークデバイスPS(CPU処理部102)において異常が検出された場合にネットワークデバイスPSに対して障害用制御装置FS(所定の障害用装置の一例)を設定する遅延測定指示部121と、複数の障害用制御装置FS(障害用装置候補の一例)のうち、ネットワークデバイスPSとの通信の遅延時間を測定する障害用制御装置FSを選択する測定範囲決定部122と、を有している。
このように、第2の実施形態の通信システム11によれば、ネットワークデバイスPSにおいて異常が検出された場合にネットワークデバイスPSに代替してローカル端末LTの呼接続を行う障害用装置として障害用制御装置FSを設定することにより、ネットワークデバイスPSにおいて異常が検出された場合にネットワークデバイスPSに代替して呼接続を行う専用の障害用装置(例えば、第1の実施形態の障害用ネットワークデバイスFPS)を設ける必要がなくなるので、障害用装置を設けることによる通信システム11の実現にかかるコストを削減することができる。
以上説明したとおり、第1,2の実施形態によれば、末端装置としてのネットワークデバイスPSのCPU処理部102に異常が検出された場合でもローカル端末LT間において通信データを送受信するサービスを継続することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。