以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影システム100の構成を示すブロック図である。この放射線画像撮影システム100は、放射線画像を撮影する撮影装置41と、撮影した放射線画像を表わす画像データに対して画像処理を施す画像処理装置50と、画像処理された画像データが表す被写体画像の表示を行う表示装置80と、を備えている。
撮影装置41は、放射線照射部24と、放射線画像を検出する放射線検出器42と、管電圧、管電流、及び照射時間等の情報等の曝射条件、撮影条件、各種の操作情報や各種の操作指示が入力される操作パネル44と、装置全体の動作を制御する撮影装置制御部46と、操作メニューや各種情報等を表示するディスプレイ47と、LAN等のネットワーク56に接続され、このネットワーク56に接続された他の機器との間で各種情報を送受信する通信I/F部48と、を備えている。本実施形態に係る撮影装置41は、連続的に放射線画像の撮影(動画撮影)を行う動画撮影モードと静止画撮影を行う静止画撮影モードとが切替え可能に構成され、撮影モードは撮影条件の1つとして操作パネル44から入力することが可能である。撮影装置41では、操作パネル44から入力された撮影モードに応じて動画撮影又は静止画撮影が行われる。
撮影装置制御部46は、CPU46A、ROM46B、RAM46C、及びHDDやフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部46Dを備えており、図示しないバスを介して放射線照射部24、放射線検出器42、操作パネル44、ディスプレイ47、及び通信I/F部48と接続されている。記憶部46Dには、CPU46Aが実行するプログラム等が記憶されている。記憶部46Dには、放射線画像を表わす画像データ(デジタルデータ)等が記憶される。例えば、本実施形態に係る撮影装置41が、マンモグラフィに用いられる場合には、被検者の乳房を撮影して得られた放射線画像データが記憶部46Dに記憶される。
放射線検出器42は、曝射条件に応じて放射線照射部24の放射線源31から放射線が照射されると、その放射線を検出して、放射線画像を示す画像データを撮影装置制御部46へ出力する。なお、放射線検出器42の詳細な構成は、後述する。
撮影装置制御部46は、通信I/F部48及びネットワーク56を介して画像処理装置50と通信が可能とされており、画像処理装置50との間で各種情報の送受信を行う。このネットワーク56には、管理サーバ57が更に接続されている。管理サーバ57は、所定の管理情報を記憶する記憶部57Aを含んで構成されている。撮影装置制御部46は、通信I/F部48及びネットワーク56を介して管理サーバ57と通信が可能とされている。
一方、画像処理装置50は、サーバ・コンピュータとして構成されており、操作メニューや各種情報等を表示するディスプレイ52と、複数のキーを含んで構成され、各種情報や操作指示が入力される操作入力部54と、を備えている。また、画像処理装置50は、装置全体の動作を司るCPU60と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM62と、各種データを一時的に記憶するRAM64と、各種データを記憶して保持するHDD66と、ディスプレイ52への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ68と、操作入力部54に対する操作状態を検出する操作入力検出部70と、ネットワーク56を介して撮影装置41に接続され、撮影装置41との間で各種情報の送受信を行う通信I/F部72と、ディスプレイケーブル58を介して表示装置80に対して画像データを出力する画像信号出力部74と、を備えている。画像処理装置50は、通信IF部72を介して、記憶部46Dに記憶された放射線画像を表わす画像データ(デジタルデータ)を撮影装置41から取得する。
CPU60、ROM62、RAM64、HDD66、ディスプレイドライバ68、操作入力検出部70、通信I/F部72、及び画像信号出力部74は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU60は、ROM62、RAM64、及びHDD66へのアクセスを行うことができる。また、CPU60は、ディスプレイドライバ68を介したディスプレイ52への各種情報の表示の制御、通信I/F部72を介した撮影装置41との各種情報の送受信の制御、及び画像信号出力部74を介した表示装置80の表示部80Aに表示される画像の制御の各々の制御を行うことができる。さらに、CPU60は、操作入力検出部70を介して操作入力部54に対するユーザの操作状態を把握することができる。
図2は、本実施形態に係る撮影装置の放射線検出器の電気的な構成を示している。図2に示す放射線検出器42の放射線検出素子10は、画素領域が六角形状の複数の画素20が互いに隣接しながら2次元状にハニカム状に配列され、全体として略矩形状の領域を構成している。各画素20は、照射された放射線(X線)を受けて電荷を発生するセンサ部103と、センサ部103で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積容量5と、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すための2つの薄膜トランジスタ(以下、TFTスイッチという)4a,4bとを含んで構成される。このように、放射線検出器42は、後述するように放射線を吸収して電荷に変換する光電変換層にアモルファスセレン等の放射線−電荷変換材料を使用した直接変換方式の放射線検出器である。
なお、各画素20をハニカム状に配置するとは、画素領域が六角形状の同じ大きさの画素20を行方向(図2の水平方向)に複数配列した第1の画素行と、この第1の画素行の画素20と同じ大きさの、画素領域が六角形状の画素20を行方向に複数配列した第2の画素行とを、列方向(図2の垂直方向)と交差する方向に交互に配列するとともに、上記第2の画素行の画素20が、上記第1の画素行の隣接する画素間に対応して配置され、上記第1の画素行の各画素20の配列ピッチの1/2だけ行方向にずれるように配置されることである。
放射線検出器42は、各画素行に対応して配置された第1のスキャン配線G1−0〜G1−7(適宜、これらをまとめて第1のスキャン配線G1ともいう。また、後述のその他のスキャン配線も含めて総称する場合は、単にスキャン配線Gという)を備える。これら第1のスキャン配線G1には、各画素20内に設けたTFTスイッチ4aのゲート電極が接続され、第1のスキャン配線G1を流れる信号に応じてTFTスイッチ4aのオン/オフが制御される。さらに、放射線検出器42は、第1のスキャン配線G1−0〜G1−3を備える各画素行に対応して配置された第2のスキャン配線G2−0〜G2−3(適宜、これらをまとめて第2のスキャン配線G2ともいう)と、第1のスキャン配線G1−4〜G1−7を備える各画素行に対応して配置された第3のスキャン配線G3−0〜G3−3(適宜、これらをまとめて第3のスキャン配線G3ともいう)とを備える。これら第2のスキャン配線G2及び第3のスキャン配線G3には、後述する画素群を構成する画素内に設けたTFTスイッチ4bのゲート電極が接続され、第2のスキャン配線G2及び第3のスキャン配線G3を流れる信号によってTFTスイッチ4bのオン/オフが制御される。
このように、放射線検出器42の放射線検出素子10は、第1のスキャン配線G1と第2のスキャン配線G2がそれぞれ1本ずつ配置された画素行と、第1のスキャン配線G1と第3のスキャン配線G3がそれぞれ1本ずつ配置された画素行とによって構成される。さらに、放射線検出器42は、各画素内のセンサ部103で発生し、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すための複数のデータ配線D1〜D6(これらをまとめてデータ配線Dともいう)と、共通グランド配線30とを備える。
なお、各画素20のセンサ部103は、図示を省略した共通配線に接続されており、共通配線を介して電源(不図示)からバイアス電圧が印加されるように構成されている。また、図2において、第2のスキャン配線G2−0〜G2−3と第3のスキャン配線G3−0〜G3−3とが、それぞれスキャン信号制御部35から延出した1本の配線が4本に枝分かれした構成となっているが、これに限定されない。例えば、第2及び第3のスキャン配線G2−0〜G2−3,G3−0〜G3−3それぞれを個別にスキャン信号制御部35から延出させる構成として第2のスキャン配線G2−0〜G2−3を同時に駆動し、続いて第3のスキャン配線G3−0〜G3−3を同時に駆動してもよい。
また、ゲート駆動部35とは別の第2のスキャン信号制御部を設け、その第2のスキャン信号制御部から延出した1本の配線が4本に枝分かれした構成としてもよいし、スキャン信号制御部35とは別の第2のスキャン信号制御部に第2及び第3のスキャン配線G2−0〜G2−3,G3−0〜G3−3それぞれを個別に延出させる構成として第2のスキャン配線G2−0〜G2−3を同時に駆動し、続いて第3のスキャン配線G3−0〜G3−3を同時に駆動してもよい。なお、1本の配線が4本に枝分かれした構成は駆動の負荷が大きいが、第2のスキャン信号制御部を持たないでよいという利点を持ち、それぞれを個別に第2のスキャン信号制御部に接続する構成は駆動の負荷が少ないという利点を持つ。
さらに、図2に示す例では、説明と図示の便宜上、16本のスキャン配線G、6本のデータ配線Dを配した構成を例示している。例えば、画素20が行方向及び列方向にm×n個(m,nは正の整数)配置されている場合、2m本のスキャン配線とn本のデータ配線Dが設けられる。
放射線検出器42において、スキャン配線G1〜G3と、データ配線D及び共通グランド配線30とが互いに交差するように配され、データ配線Dは、画素領域が六角形の画素20の周縁に沿って、それらの画素20を迂回するようにジグザグ状に(蛇行するように)配されている。すなわち、データ配線Dは、個々の画素20の周縁(6辺)のうち連続する3辺に沿いながら、列方向に延設されている。
一方、本実施形態の放射線検出器42において、例えば、データ配線Dに合わせて共通グランド配線30を蛇行させると、例えば、左右のいずれかの蛇行部分で、画素20内のTFTスイッチ4a,4bとの距離が狭くなる箇所が生じ、共通グランド配線30とTFTスイッチ4a,4bとの衝突、データ配線Dと共通グランド配線30間の容量の増加等の問題が生じる可能性がある。そこで、本実施形態の放射線検出器42では、図2に示すように、行方向(図の水平方向)に並列配置された複数のスキャン配線G1〜G3と、これらのスキャン配線G1〜G3と交差し、かつ画素20の周縁に沿って屈曲しながら列方向(図の垂直方向)に延設された複数のデータ配線D1〜D6とが配置されている。
さらに、各画素内のTFTスイッチ4a,4b等を、各画素内に所定の空き領域が確保できるように偏在等させることにより、共通グランド配線30をその空き領域を通るように配置する。例えば、各画素20を列方向(図2の垂直方向)に2分する線分と、各画素20の周縁のうち、データ配線Dが連設された3辺とで囲まれた領域にTFTスイッチ4a,4b等を配置する。すなわち、ある画素行の画素20については、画素20の右半分の領域にTFTスイッチ4a,4b等が配され、その画素行の列方向の上下に位置する画素行の画素20については、画素20の左半分の領域にTFTスイッチ4a,4b等を配する。
こうすることで、共通グランド配線30が、スキャン配線G1〜G3と交差しながら、複数のデータ配線D1〜D6の間を、これらのデータ配線D1〜D6と交差することなく直線状に配置できる。よって、直接変換型の放射線画像検出器42において、各画素20の電荷蓄積容量5の蓄積容量下部電極11を最短の共通グランド配線30で相互に接続することができる。また、データ配線Dに合わせて共通グランド配線30を蛇行させる必要がなく、データ配線Dと共通グランド配線30とが交差することもないので、データ配線Dにおいて誘導等に起因するノイズが増えるという問題も、データ配線Dと共通グランド配線30間の容量が増えるという問題も生じない。
さらには、直線状の共通グランド配線30により、放射線検出素子10の画素20の高精細化が妨げられることがなくなり、放射線検出素子10の分解能を向上できる。また、放射線検出素子10の製造工程において、データ配線Dと共通グランド配線30間の配線間ピッチの狭小化による放射線検出素子10の製造歩留りの低下という問題も回避できる。なお、共通グランド配線30が直線状に配されるとは、放射線検出素子10の製造工程における誤差を許容し得る範囲で、直線状態を維持することを意味している。
放射線検出器42によって放射線画像を撮影する場合、外部より放射線(X線)が照射される間、第1のスキャン配線G1に対してオフ信号を出力して各TFTスイッチ4aをオフにし、第2のスキャン配線G2及び第3のスキャン配線G3に対してもオフ信号を出力して各TFTスイッチ4bをオフにして、半導体層に発生した電荷を各電荷蓄積容量5に蓄積する。
画像の読出し時には、例えば、静止画の場合、第1のスキャン配線G1−0〜G1−7に対して1ラインずつ順にオン信号を出力して各画素20内のTFTスイッチ4aをオンにする。また、例えば、動画の読出し時には、第2のスキャン配線G2−0〜G2−3に対して同時にオン信号を出力し、次に、第3のスキャン配線G3−0〜G3−3に対して同時にオン信号を出力して、後述する画素群内の複数の画素に係るTFTスイッチ4bをオンにする。こうすることで、各画素群内の電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を電気信号として読み出し、読み出した電気信号をデジタルデータへ変換することにより、放射線画像を得る。
信号処理部25は、各データ配線D1〜D6に流れ出した電荷を電気信号として検出する信号検出器(不図示)を有し、検出された電気信号に所定の処理を施すとともに、各信号検出器に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、スキャン信号制御部35にスキャン信号の出力タイミングを示す制御信号を出力する。その結果、スキャン信号制御装置35は、信号処理部25からの制御信号を受けて、第1のスキャン配線G1−0〜G1−7にTFTスイッチ4aをオン/オフするための信号を出力し、第2及び第3のスキャン配線G2−0〜G2−3,G3−0〜G3−3にTFTスイッチ4bをオン/オフするための信号を出力する。
個々のデータ配線D1〜D6より伝送された電荷信号は、信号処理部25において、図示を省略する増幅器で増幅され、サンプルホールド回路に保持される。個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号は、順にマルチプレクサ(不図示)へ入力された後、A/D変換器によってデジタル画像データに変換される。なお、信号処理部25には画像メモリ90が接続されており、上記A/D変換器から出力されたデジタル画像データは、画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は、例えば、撮影された放射線画像を複数フレーム分のデジタル画像データとして記憶する。
図3は、第1の実施形態に係る放射線検出器42の放射線検出素子10の1画素を含む一部断面構造を示している。放射線検出器42の放射線検出素子10は、図3に示すように、絶縁性の基板1上にゲート配線層として、ゲート電極2、スキャン配線G(図3では不図示)、蓄積容量下部電極14が形成された構造になっている。ソース電極9、ドレイン電極13、データ配線D、及び蓄積容量上部電極16が形成された配線層(ソース配線層ともいう)は、例えば、AlあるいはCu、又はAlあるいはCuを主体とした積層膜を用いて形成される。ソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間には、不純物添加アモルファスシリコン等による不純物添加半導体層(不図示)が形成されている。なお、TFTスイッチ4a,4bは、後述する下部電極11により収集、蓄積される電荷の極性によってソース電極9とドレイン電極13が逆になる。
ゲート電極2のためのゲート配線層は、例えば、AlあるいはCu、又はAlあるいはCuを主体とした積層膜を用いて形成されている。また、ゲート配線層上には、一面に絶縁膜15Aが形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4a,4bにおけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15Aは、例えば、SiNX等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜法により形成される。さらに、絶縁膜15A上のゲート電極2の上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4a,4bのチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
これらゲート電極2等の上層には、ソース電極9、及びドレイン電極13が形成されている。ソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9、及びドレイン電極13とともに、データ配線Dが形成されている。また、絶縁膜15A上の、蓄積容量下部電極14に対応する位置に蓄積容量上部電極16が形成されている。ドレイン電極13は蓄積容量上部電極16に接続されている。データ配線Dは、上述したように画素20の周縁に沿って、隣接する画素と画素の間を迂回するように屈曲して配設されており、各画素行の画素20に形成されたソース電極9に接続されている。
ソース配線層を覆い、基板1上の画素が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFT保護膜層15Bが形成されている。このTFT保護膜層15Bは、例えば、SiNX等からなり、例えば、CVD成膜法により形成される。そして、このTFT保護膜層15B上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率εr=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料等)により1〜4μmの膜厚で形成されている。
本実施形態に係る放射線検出器42の放射線検出素子10では、層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、層間絶縁膜12を形成する上述した材料は、一般的に平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。放射線検出器42の放射線検出素子10では、この層間絶縁膜12及びTFT保護膜層15Bの蓄積容量上部電極16と対向する位置にコンタクトホール17が形成されている。
層間絶縁膜12上には、各画素20毎に、各々コンタクトホール17を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極11が形成されている。この下部電極11は、非晶質透明導電酸化膜(ITO)からなり、コンタクトホール17を介して蓄積容量上部電極16と接続されている。その結果、下部電極11とTFTスイッチ4とが、蓄積容量上部電極16を介して電気的に接続されている。なお、下部電極11は、画素20の画素領域の形状に合わせた形状とするのが好ましいが、これに限定されない。例えば、画素20の画素領域が正六角形の場合、隣接する画素20の下部電極11に接触しないように多少縮めた正六角形とし、画素20の画素領域が扁平した六角形の場合も同様に、多少縮めた六角形とするのが好ましい。すなわち、下部電極11の画素配置が六角格子になっていれば、下部電極11の形状は角切りの六角形でも、あるいは、正方形等であってもよい。
下部電極11上であって基板1上の画素20が設けられた画素領域のほぼ全面には、光電変換層6が一様に形成されている。この光電変換層6は、X線等の放射線が照射されることにより、内部に電荷(電子−正孔)を発生する。つまり、光電変換層6は導電性を有し、放射線による画像情報を電荷情報に変換するためのものであり、例えば、セレンを主成分とする膜厚100〜1000μmの非晶質のa−Se(アモルファスセレン)からなる。ここで、主成分とは、50%以上の含有率を有することを意味する。光電変換層6上には、上部電極7が形成されている。この上部電極7は、図示しないバイアス電源に接続されており、そのバイアス電源からバイアス電圧(例えば、数kV)が供給されている。上述した複数のスキャン配線G1,G2,G3、データ配線3、共通グランド配線30、及び各TFTスイッチ4a,4bは、光電変換層6からなるセンサ部103の下層側に配されている。
放射線検出器42の放射線検出素子10は、絶縁性の基板1上にゲート配線層として、ゲート電極2、第1〜第3のスキャン配線G1〜G3、蓄積容量下部電極14が形成され、共通グランド配線30が、例えば、絶縁性の基板1上に蓄積容量下部電極14等と同じ金属層により形成されている。
次に、本実施形態に係る放射線検出器42の動作を説明する。上述した上部電極7と蓄積容量下部電極14との間にバイアス電圧を印加した状態で、光電変換層6に放射線が照射されると、光電変換層6内に電荷(電子−正孔対)が発生する。光電変換層6と電荷蓄積容量5は、電気的に直列に接続された構造となっているため、光電変換層6内に発生した電子は+(プラス)電極側に、正孔は−(マイナス)電極側に移動する。
画像検出時には、スキャン信号制御部35から第1のスキャン配線G1−0〜G1−7、第2のスキャン配線G2−0〜G2−3、及び第3のスキャン配線G3−0〜G3−3に対してオフ信号(0V)が出力され、TFTスイッチ4a,4bのゲート電極に負バイアスが印加される。これにより、各TFTスイッチ4a,4bがオフ状態に保持される。その結果、光電変換層6内に発生した電子は下部電極11により収集されて、電荷蓄積容量5に蓄積される。光電変換層6は、照射された放射線量に応じた電荷量を発生するので、その放射線が担持した画像情報に応じた電荷が各画素の電荷蓄積容量5に蓄積される。なお、上部電極7と蓄積容量下部電極14との間に上述した数kVの電圧が印加されることとの関係から、光電変換層6で形成される容量に対して、電荷蓄積容量5を大きくとる必要がある。
一方、画像の読出時、放射線検出器42は、上述したように画像処理装置50からの指示に基づいて、静止画撮影モード及び動画撮影モードのいずれかを行う。静止画撮影モードの指示があった場合、信号処理部25は、第2及び第3のスキャン配線G2−0〜G2−3,G3−0〜G3−3から各画素20内のTFTスイッチ4bをオフにするためのスキャン信号が出力されるようにスキャン信号制御部35を制御する。さらに、信号処理部25は、各画素20内のTFTスイッチ4aをオンにするため、順次、第1のスキャン配線G1−0〜G1−7からTFTスイッチ4aの各ゲートに対して、例えば、電圧が+10〜20Vのオン信号が印加されるようにスキャン信号制御部35を制御する。これにより、各画素行の各画素20内のTFTスイッチ4aが順次、オン状態となり、TFTスイッチ4aによってセンサ部103から電荷が読み出され、その電荷に対応する信号がデータ配線Dに出力される。
このように放射線検出器42では、静止画撮影モードにおいて、データ配線D1〜D6の各々に、画素行毎に各画素20に対応する電荷信号が流れる。これにより、放射線検出器42の放射線検出素子10に照射された放射線により示される画像を示す画像情報を得ることができる。そして、信号処理部25において電荷信号がデジタル信号に変換され、その電荷信号に応じた画像データに基づいて放射線画像が生成される。
次に、動画撮影モードについて説明する。本実施形態に係る放射線検出器42において、図2に示す複数の画素20のうち、例えば、4つの画素P0〜P3を画素群PG0、4つの画素P4〜P7を画素群PG1、4つの画素P8〜P11を画素群PG2、4つの画素P12〜P15を画素群PG3、そして、4つの画素P16〜P19を画素群PG4とする。これらの5つの画素群において、画素群PG0の画素P0、画素群PG1の画素P4、及び画素群PG2の画素P8の各々のTFTスイッチ4bのゲート電極には、第2のスキャン配線G2−0が接続されている。さらに、画素群PG0の画素P1〜P3、画素群PG1の画素P5〜P7、及び画素群PG2の画素P9〜P11の各々のTFTスイッチ4bのゲート電極に第2のスキャン配線G2−1が接続されている。
同様に、画素群PG3の画素P12、及び画素群PG4の画素P16の各々のTFTスイッチ4bのゲート電極に第2のスキャン配線G2−2が接続され、画素群PG3の画素P13〜P15、及び画素群PG4の画素P17〜P19の各々のゲート電極に第2のスキャン配線G2−3が接続されている。さらに、放射線検出素子10において、画素P20〜P23、画素P24〜P27、画素P28〜P31、画素P32〜P35、及び画素P36〜P39それぞれからなる画素群(PG5〜PG9とする)と、第3のスキャン配線G3−0〜G3−3との接続も、上記の画素群PG0〜PG4と第2のスキャン配線G2−0〜G2−3との接続と同じである。
そこで、放射線検出器42に対して動画撮影モードの指示があった場合、信号処理部25は、各画素20のTFTスイッチ4aをオフにするためスキャン信号制御部35を制御して、第1のスキャン配線G1−0〜G1−7から各画素20のTFTスイッチ4aの各ゲート電極に対してオフ信号を出力させる。
さらに、信号処理部25は、第2のスキャン配線G2−0〜G2−3が同時に駆動されてスキャン信号(オン信号)が出力されるようにスキャン信号制御部35を制御する。第2のスキャン配線G2−0〜G2−3に対して同時にオン信号が出力されると、画素群PG0〜PG4の全画素20のTFTスイッチ4bがオンとなる。その結果、画素群PG0の4個の画素P0〜P3の各電荷蓄積容量5に蓄積された電荷が合成され、その合成電荷信号がデータ配線D2に出力される。同様に、画素群PG3の4個の画素P12〜P15の合成電荷信号がデータ配線D3に出力され、画素群PG1の4個の画素P4〜P7の合成電荷信号がデータ配線D4に出力され、画素群PG4の4個の画素P16〜P19の合成電荷信号がデータ配線D5に出力され、画素群PG2の4個の画素P8〜P11の合成電荷信号がデータ配線D6に出力される。
次に、信号処理部25は、第3のスキャン配線G3−0〜G3−3が同時に駆動されてスキャン信号(オン信号)が出力されるようにスキャン信号制御部35を制御する。これら第3のスキャン配線G3−0〜G3−3に対して同時にオン信号が出力されると、画素群PG5〜PG9の全画素20のTFTスイッチ4bがオンとなる。その結果、画素群PG5の4画素の合成電荷信号がデータ配線D2に出力され、画素群PG8の4画素の合成電荷信号がデータ配線D3に出力され、画素群PG6の4画素の合成電荷信号がデータ配線D4に出力され、画素群PG9の4画素の合成電荷信号がデータ配線D5に出力され、画素群PG7の4画素の合成電荷信号がデータ配線D6に出力される。
このように、動画撮影モードの場合、放射線検出素子10を構成する複数の画素20のうち予め特定した4つの画素によって構成される複数の画素群の各々について、それら4個の画素に蓄積された電荷がまとめられ(ビニングされ)、そのビニングされた電荷に相当する電荷信号がそれぞれのデータ配線に出力される。このことは、動画の撮影を行う場合、静止画撮影モードに比べて、2画素×2画素についてのビニング処理によって、4倍の速さで画像撮影ができることを意味する。
上記のように、ビニング用のスキャン配線G(G2,G3)を複数のグループ(G2,G3)に分け、各グループ毎にタイミングをずらして、そのグループに属するスキャン配線GにTFTスイッチ4bのスキャン信号を送る。こうすることで、各タイミングで複数の画素群の電荷を合成して読み出す際、異なる画素群から読み出された合成電荷量に相当する電荷信号が同一のデータ配線Dを介して伝送されることはない。
図4は、上述した動画撮影モードにおいてビニングの対象となる画素と画素群の配置を示している。なお、図4では、各々の画素群が区別しやすいように、隣り合う画素群の各画素に対する塗りつぶしパターンを変えてある。
図4に示す例では、放射線検出器42の放射線検出素子10において、上述したように隣接する4画素からなる画素群A,B,C,D,E,F,Gを特定する。各画素群は、複数の画素のうちの第1画素と、その第1画素の行と隣接する行にあって互いに隣接する第2及び第3の2画素と、さらに、これら第2及び第3の2画素の行と隣接する行にある第4画素の4つの画素からなり、第1画素の隣接する2辺と第4画素の隣接する2辺それぞれが、第2画素及び第3画素を挟むように、これら第2画素及び第3画素の各々の1辺と隣り合うように配置されている。
換言すれば、各画素群は、各々の画素の隣接する2辺が他の2つの画素の各々の1辺と隣り合うように配置された3つの画素と、隣接する2辺の各々が該3つの画素のうちの2つの画素の各々の1辺と隣り合うように配置された1つの画素とからなる4つの画素を組み合わせた、と規定できる。また、4つの画素の組み合わせは、隣り合う一対の画素の組が2組並んで配置され、かつ、一方の組の1つの画素の隣接する2辺が、他方の組の2つの画素の各々の1辺に隣り合うように配置された4つの画素の組み合わせであるともいえる。
本実施形態の放射線検出器42では、上述したように静止画撮影モードの指示があった場合、信号処理部25は、放射線検出器42の各画素20内のTFTスイッチ4aをオンにして、各画素から電荷が読み出され、その電荷に対応する信号がデータ配線Dに出力される。ここでは、放射線検出器42の放射線検出素子10の個々の画素として、画素領域が六角形状の画素を用いることにより、水平、垂直、斜めの各方向で高い解像度を確保することができる。
一方、動画撮影モードでは、上述したように信号処理部25によって、各画素群を構成する4画素内のTFTスイッチ4bをオンにすることで、これら4画素を1つの画素とみなして、4画素分の電荷を合成するビニングを行う。なお、図4において、4画素からなる各画素群A,B,C,D,E,F,Gの重心位置をそれぞれa,b,c,d,e,f,gとし、それらの位置を黒点で示す。
図4に示す例では、各画素群について4画素のビニングをする場合、画素群Dの重心dを中心として、他の画素群の重心a−b−e−g−f−c−aを結ぶ正六角形が形成される。しかも、これらの画素群の重心間距離、すなわち、da間、db間、de間、dg間、df間、dc間の距離が6方向において等しいことが分かる。よって、各画素20の画素領域を六角形状とすることで、ビニング前において、水平、垂直、斜めの各方向において解像度を確保することができ、さらに、ビニング後においても、画素群の重心を結ぶことにより正六角形が形成されるので、水平、垂直、斜めの各方向において解像度が確保される。
つまり、画素群A,B,C,D,E,F,Gの輪郭によって囲まれた各領域の重心a,b,c,d,e,f,gを用いて、1つの重心dを内部に含み、その重心dの周囲に存在する6個の重心a,b,e,g,f,cを結ぶ線分で形成される六角形状の領域を隣接させて複数個形成したときに、これら形成した複数個の六角形状の領域がハニカム状に配列されるように、各画素群の各画素の組み合わせを定める。こうすることで、水平方向、垂直方向、及び斜め方向の各方向についてビニング後の画素位置(画素群の重心位置)の偏りを抑制し、ビニング前の画像と同様に、それぞれの方向について解像度を確保することができる。
このように、ビニング前の重心配列と、ビニング後の重心配列とがともに、重心により形成される六角形状の領域がハニカム状に配列された状態となっていることから、ビニング後に画素密度変換を行う場合であっても、ビニングせずに画素密度変換を行うときと同様のアルゴリズムで処理することができる。つまり、ビニング処理後の画素密度変換処理のアルゴリズムを別途、用意しなくても、画素密度変換処理のアルゴリズムを共有することができる。また、画像処理装置50では、放射線検出器42で検出された放射線画像を表わす画像データに対して画素密度変換を行うためのプログラムは、ROM62やHDD66に記憶されている。そして、表示装置80に対して出力する画像データは、画素密度変換後の画像データとなる。
図5は、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100の画像処理装置50で実行される画像撮影処理手順の一例を示すフローチャートである。図5のステップS100で、撮影装置41の放射線検出器42において、放射線照射部24から照射された放射線量を検知する。続くステップS102では、上記の放射線量が予め定められた閾値を超えるか否かを判定する。照射された放射線量が閾値を超えていると判断された場合には、画像撮影に対して十分な感度が得られる(画像のS/Nが十分である)と判断してステップS104に進み、第1のスキャン配線G1−0〜G1−7に対して1ラインずつ順にオン信号を出力して、複数の画素20それぞれにスキャン信号を送ることで、各画素20の電荷蓄積容量5に蓄積された電荷信号を読み取る通常の処理(静止画撮影モード)を行う。
一方、ステップS102で、照射された放射線量が閾値以下であると判断された場合には、得られる画像のS/Nが不十分であるとして、ステップS106に進み、高S/N画像を撮影するための処理を行う。具体的には、上述した特定の4画素からなる画素群A,B,C,D,E等を設定する。そして、ステップS108で、スキャン信号制御部35より第2のスキャン配線G2、及び第3のスキャン配線G3に対して、画素群A,B,C,D,E等の各画素に配されたTFTスイッチ4bをオンにするためのスキャン信号(オン信号)を出力し、各画素群の4画素を1画素として扱うビニング処理を行う。このように、照射された放射線量が閾値以下であれば、撮像感度が十分ではないと考えられるため、複数画素の電荷を合成して処理する(ビニングする)ことで、S/Nの良好な放射線画像が得られる。
なお、図5に示す画像撮影処理では、照射された放射線量に応じて、得られる放射線画像のS/Nを考慮した処理を行っているが、これに限定されない。例えば、照射放射線量によらず、静止画撮影モードと動画撮影モードの要求に応じて、ビニングを行わない通常の処理とビニングを行う処理との切替えを行う構成としてもよいし、撮影画像の解像度の要求に応じて、上記のような切替えを行う構成としてもよい。
このように本実施形態では、放射線検出器42の放射線検出素子10においてハニカム状に配列された画素領域が六角形状の複数の画素20の各画素内のTFTスイッチ4aに接続されるスキャン配線G1を画素行毎に配置するとともに、各々が4画素からなる予め定めた複数の画素群において、放射線検出器42の放射線検出素子10内で、4画素分の電荷を同じタイミングで読み取って合成するビニング処理を行うためのスキャン配線G2,G3を画素行毎に配置する。そして、ビニング処理用のスキャン配線G2,G3に所定の複数の画素群の画素内のTFTスイッチ4bを同時にオンにする信号を出力して、これら複数の画素群の各々で合成された電荷に対する電荷信号が個別のデータ配線を流れるように構成する。
こうすることで、複数の画素群で4画素分の電荷を同時に読み取って合成するビニング処理時において、個々の画素から電荷信号を読み出す非ビニング処理時と比較して、4倍の速さで画像撮影ができる。その結果、収集した電荷量の増加によるS/Nの向上と、高いフレームレートが求められる動画撮影モードや、照射される放射線量が少ないことで生じる低感度画像に対処できる。
すなわち、動画の撮影を行う場合、4画素からなる画素群を1つの画素とみなし、複数の画素群から同時に電荷を取り出して、それらの画素群を構成する各画素に蓄積された電荷を合成するビニング処理を行うことで、静止画に比べて解像度が低くなるものの、フレームレートを、画素行毎に順次、電荷を読み出す静止画モードの4倍(フレーム期間を1/4)にすることができる。
また、画素群の輪郭によって囲まれた各領域の重心を用いて、1つの重心を内部に含み、かつ、1つの重心の周囲に存在する6個の重心を線で結んで形成される六角形状の領域を隣接させて複数個形成したときに、形成した複数個の六角形状の領域がハニカム状に配列されるように、各画素群の4画素の組み合わせを定めるようにすることで、水平方向、垂直方向、及び斜め方向の各方向についてビニング後の画素位置(4画素を1かたまりの画素としたときの重心位置)の偏りを抑制して、ビニング前の画像と同様に、それぞれの方向について解像度を確保することができる。その結果、画素密度変換においてビニングの前後において同一のICを共通に使用できる。また、回路が固定されたICではなく、例えば、FPGA等のプログラマブルな素子やソフトウェアによる処理であっても、同一のアルゴリズムによる処理を共通に使用することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影システム100について説明する。なお、第2の実施形態に係る放射線画像撮影システム100は、図1に示す第1の実施形態に係る放射線画像撮影システム100と同じであるため、ここでは、その図示と説明を省略する。
図6は、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100の撮影装置41における放射線検出器142の電気的な構成を示している。図6に示す放射線検出器142の放射線検出素子110は、画素領域が六角形状の複数の画素20が互いに隣接しながら2次元状にハニカム状に配列され、これらハニカム状に配列された画素20が矩形状の画素領域を構成している。なお、各画素20の構成は、図2に示す放射線検出器42の放射線検出素子10と同じである。
放射線検出器142は、各画素20内に設けたTFTスイッチ4aのゲート電極に接続され、TFTスイッチ4aのオン/オフを制御するための第4のスキャン配線G4−1〜G4−4(適宜、これらをまとめて第4のスキャン配線G4ともいう)と、TFTスイッチ4bのゲート電極に接続され、TFTスイッチ4bのオン/オフを制御するための第5のスキャン配線G5−1,G5−2(適宜、これらをまとめて第5のスキャン配線G5ともいう)と、センサ部103で発生し、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すための複数のデータ配線D1〜D3(これらをまとめてデータ配線Dともいう)と、共通グランド配線30とを備える。
図6では、説明と図示の便宜上、4本の第4のスキャン配線G4、2本の第5のスキャン配線G5、3本のデータ配線D、及び3本の共通グランド配線30を配した構成を例示している。例えば、画素20が行方向及び列方向にm×n個(m,nは正の整数)配置されている場合、m本の第4のスキャン配線G4と、n本のデータ配線Dが設けられる。また、この場合、第5のスキャン配線G5は、第4のスキャン配線G4の半分の本数、すなわちm/2本設けられる。また、放射線検出器142の放射線検出素子110は、後述するようにアモルファスセレン等の放射線−電荷変換材料を用いて、放射線を電荷へ直接変換する構成をとる。なお、各画素20のセンサ部103は、図示を省略した共通配線に接続されており、共通配線を介して電源(不図示)からバイアス電圧が印加されるように構成されている。
放射線検出器142において、スキャン配線G4,G5と、データ配線D及び共通グランド配線30とが互いに交差するように配され、データ配線Dは、画素領域が六角形の画素20の周縁に沿って、それらの画素20を迂回するようにジグザグ状に(蛇行するように)配置されている。すなわち、データ配線Dは、個々の画素20の周縁(6辺)のうち連続する3辺に沿いながら、列方向に延設されている。また、共通グランド配線30も、各画素20のTFTスイッチ4a,4bを避けるようにジグザグ状に(蛇行するように)配されている。
TFTスイッチ4aのゲート電極は、第4のスキャン配線G4に接続され、TFTスイッチ4bのゲート電極は、第5のスキャン配線G5に接続されている。また、TFTスイッチ4a,4bのドレイン電極及びソース電極の一方が電化蓄積容量5の一方の電極に接続され、ドレイン電極及びソース電極の他方がデータ配線Dに接続されている。放射線検出器142により放射線画像を撮影する場合、外部より放射線(X線)が照射される間、第4のスキャン配線G4に対してオフ信号を出力して各TFTスイッチ4aをオフにし、第5のスキャン配線G5に対してオフ信号を出力して各TFTスイッチ4bをオフにして、半導体層に発生した電荷を各電荷蓄積容量5に蓄積する。
画像の読出し時には、例えば、静止画の場合、第4のスキャン配線G4に対して1ラインずつ順にオン信号を出力して各画素20内のTFTスイッチ4aをオンにする。また、例えば、動画の読出し時には、第5のスキャン配線G5に対して1ラインずつ順にオン信号を出力して、後述する画素群内の複数の画素に係るTFTスイッチ4bをオンにする。こうすることで、各電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を電気信号として読み出し、読み出した電気信号をデジタルデータへ変換することにより、放射線画像を得る。
信号処理部125は、各データ配線D1〜D3に流れ出した電荷を電気信号として検出する信号検出器(不図示)を有し、検出された電気信号に所定の処理を施すとともに、各信号検出器及びスキャン信号制御部35a,35bに信号検出のタイミングを示す制御信号やスキャン信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する。その結果、スキャン信号制御装置35aは、信号処理部125からの制御信号を受けて、第4のスキャン配線G4−1〜G4−4にTFTスイッチ4aをオン/オフするためのスキャン信号を出力する。また、スキャン信号制御装置35bは、第5のスキャン配線G5−1,G5−2にTFTスイッチ4bをオン/オフするためのスキャン信号を出力する。
個々のデータ配線D1〜D3より伝送された電荷信号は、信号処理部125において、図示を省略する増幅器で増幅され、サンプルホールド回路に保持される。個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号は、順にマルチプレクサ(不図示)へ入力された後、A/D変換器によってデジタル画像データに変換される。なお、A/D変換器から出力されたデジタル画像データは、例えば、撮影された放射線画像を複数フレーム分のデジタル画像データとして記憶する画像メモリ90に順に記憶される。
次に、本実施形態に係る放射線検出器142の動作を説明する。放射線検出器142における画像検出時には、スキャン信号制御部35a,35bから第4のスキャン配線G4−1〜G4−4、第5のスキャン配線G5−1,G5−2に対してオフ信号(0V)が出力され、TFTスイッチ4a,4bのゲート電極に負バイアスが印加される。これにより、各TFTスイッチ4a,4bがオフ状態に保持される。
一方、画像の読出時、放射線検出器142は、画像処理装置(図1参照)からの指示に基づいて、静止画撮影モード及び動画撮影モードのいずれかを行う。静止画撮影モードの指示があった場合、信号処理部125は、第5のスキャン配線G5−1,G5−2から各画素20内のTFTスイッチ4bをオフにするためのスキャン信号が出力されるようにスキャン信号制御部35bを制御する。さらに、信号処理部125は、各画素20内のTFTスイッチ4aをオンにするため、順次、第4のスキャン配線G4−1〜G4−4からTFTスイッチ4aの各ゲートに対して、例えば、電圧が+10〜20Vのオン信号が印加されるようにスキャン信号制御部35aを制御する。これにより、各画素行の各画素20内のTFTスイッチ4aが順次、オン状態となり、TFTスイッチ4aによりセンサ部103から電荷が読み出され、その電荷に対応する信号がデータ配線Dに出力される。
このように放射線検出器142では、静止画撮影モードにおいて、データ配線D1〜D3の各々に、画素行毎に各画素20に対応する電荷信号が流れる。これにより、放射線検出器142の放射線検出素子110に照射された放射線により示される画像を示す画像情報を得ることができる。そして、信号処理部125において電荷信号がデジタル信号に変換され、その電荷信号に応じた画像データに基づいて放射線画像が生成される。
次に、動画撮影モードについて説明する。本実施形態に係る放射線検出器142では、図6に示すように複数の画素20のうち、例えば、点線で囲んだ4つの画素P2,P3,P5,P6内の各TFTスイッチ4bのゲート電極が第5のスキャン配線G5−1に接続されている。同様に、点線で囲んだ4つの画素P8,P9,P11,P12内の各TFTスイッチ4bのゲート電極が第5のスキャン配線G5−2に接続されている。ここでは、画素P2,P3,P5,P6をまとめて画素群PG1とし、画素P8,P9,P11,P12をまとめて画素群PG2とする。なお、放射線検出素子110における画素群は、図6では省略されているが、画素群PG1,PG2以外に特定の4画素からなる他の複数の画素群で構成される(例えば、図7を参照)。
放射線検出器142に対して動画撮影モードの指示があった場合、信号処理部125は、各画素20のTFTスイッチ4aをオフにするためスキャン信号制御部35aを制御して、第4のスキャン配線G4−1〜G4−4から各画素20のTFTスイッチ4aの各ゲート電極に対してオフ信号を出力させる。
さらに、信号処理部125は、第5のスキャン配線G5−1,G5−2より順次、スキャン信号(オン信号)が出力されるようスキャン信号制御部35bを制御する。すなわち、スキャン配線G5−1よりオン信号が出力されると、画素群PG1の4個の画素P2,P3,P5,P6のTFTスイッチ4bがオンとなる。その結果、これら4個の画素P2,P3,P5,P6の各電荷蓄積容量5に蓄積された電荷が加算された電荷信号がデータ配線D2に出力される。次に、スキャン配線G5−2からオン信号が出力されると、画素群PG2の4個の画素P8,P9,P11,P12のTFTスイッチ4bがオンとなる。この場合、これら4個の画素P8,P9,P11,P12の各電荷蓄積容量5に蓄積された電荷が加算された電荷信号がデータ配線D1に出力される。
なお、図6では省略したが、第5のスキャン配線G5−1,G5−2よりオン信号が出力されると、上記画素群PG1,PG2の画素と行方向に連続する他の複数の画素についても、画素群PG1,PG2と同様、4画素単位で加算された電荷信号がデータ配線に出力される。
このように、動画撮影モードの場合、放射線検出素子110を構成する複数の画素のうち予め特定した4つの画素を束ねて構成される複数の画素群の各々について、それら4個の画素に蓄積された電荷がまとめられ(ビニングされ)、そのビニングされた電荷に相当する合成電荷信号がデータ配線に出力される。このことは、動画の撮影を行う場合、2画素×2画素の電荷の和に相当する電荷信号が、隣接するデータ配線Dに交互に(図6で、偶数番号が付与されたデータ配線D2と、奇数番号が付与されたデータ配線D1,D3とで交互に)流れることを意味する。
図7は、上述した動画撮影モードにおいてビニングの対象となる画素と画素群の配置を示している。なお、図7では、各々の画素群が区別しやすいように、隣り合う画素群の各画素に対する塗りつぶしパターンを変えてある。
図7に示す例では、放射線検出器142の放射線検出素子110において、上述したように隣接する4画素からなる画素群A,B,C,D,E,F,G,Hを特定する。例えば、画素群Aは、図7において符号20aで示す行方向にある第1の画素行の画素20のうち、隣接する2画素と、第1の画素行の下段に位置し、図7において符号20bで示す行方向にある第2の画素行の画素20のうち、第1の画素行の上記2画素と配列ピッチにおいて1/2ずれながら互いに隣接する2画素との計4画素(縦縞模様を付した4画素)からなる。
各画素群は、各々の画素の隣接する2辺が他の2つの画素の各々の1辺と隣り合うように配置された3つの画素と、隣接する2辺の各々が該3つの画素のうちの2つの画素の各々の1辺と隣り合うように配置された1つの画素とからなる4つの画素を組み合わせた、と規定できる。また、4つの画素の組み合わせは、隣り合う一対の画素の組が2組並んで配置され、かつ、一方の組の1つの画素の隣接する2辺が、他方の組の2つの画素の各々の1辺に隣り合うように配置された4つの画素の組み合わせであるともいえる。
放射線検出器142では、上述したように静止画撮影モードの指示があった場合、信号処理部125は、放射線検出器142の各画素20内のTFTスイッチ4aをオンにして、各画素から電荷が読み出され、その電荷に対応する信号がデータ配線Dに出力される。ここでは、放射線検出器142の放射線検出素子110の個々の画素として画素領域が六角形状の画素を用いることにより、水平、垂直、斜めの各方向で高い解像度を確保することができる。
一方、動画撮影モードでは、上述したように信号処理部125によって、各画素群を構成する4画素内のTFTスイッチ4bをオンにすることで、これら4画素を1つの画素とみなして、4画素分の電荷を合成するビニングを行う。なお、図7において、4画素からなる各画素群A,B,C,D,E,F,G,Hの重心位置をそれぞれa,b,c,d,e,f,g,hとし、それらの位置を黒点で示す。
図7に示す例では、各画素群について4画素をビニングする場合、画素群Dの重心dを中心として、他の画素群の重心a−c−g−h−e−b−aを結ぶ正六角形が形成される。しかも、これらの画素群の重心間距離、すなわち、da間、dc間、dg間、dh間、de間、db間の距離が6方向において等しいことが分かる。よって、各画素20の画素領域を六角形状とすることで、ビニング前において、水平、垂直、斜めの各方向において解像度を確保することができ、さらに、ビニング後においても、画素群の重心を結ぶことにより正六角形の領域が形成されるので、水平、垂直、斜めの各方向において解像度が確保される。
つまり、画素群A,B,C,D,E,G,Hの輪郭によって囲まれた各領域の重心a,b,c,d,e,g,hを用いて、1つの重心dを内部に含み、その重心dの周囲に存在する6個の重心a,c,g,h,e,bを結ぶ線分で形成される六角形状の領域を隣接させて複数個形成したときに、これら形成した複数個の六角形状の領域がハニカム状に配列されるように、各画素群の各画素の組み合わせを定める。こうすることで、水平方向、垂直方向、及び斜め方向の各方向についてビニング後の画素位置(画素群の重心位置)の偏りを抑制し、ビニング前の画像と同様に、それぞれの方向について解像度を確保することができる。
このように、ビニング前の重心配列と、ビニング後の重心配列とがともに、重心により形成される六角形状の領域がハニカム状に配列された状態となっていることから、ビニング後に画素密度変換を行う場合であっても、ビニングせずに画素密度変換を行うときと同様のアルゴリズムで処理することができる。つまり、ビニング処理後の画素密度変換処理のアルゴリズムを別途、用意しなくても、画素密度変換処理のアルゴリズムを共有することができる。
なお、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100の撮影装置41で実行される画像撮影処理は、図5に示す第1の実施形態に係る撮影装置41で実行される画像撮影処理と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態では、放射線検出器142の放射線検出素子110においてハニカム状に配列された、画素領域が六角形状の複数の画素のうち、各々が4画素からなる予め定めた複数の画素群それぞれに対して、放射線検出器142の放射線検出素子110内で、これら4画素分の電荷を同時に読み取って合成するビニング処理を行う。こうすることで、収集した電荷量の増加によるS/Nの向上と、高いフレームレートが求められる動画撮影モードや、照射される放射線量が少ないことで生じる低感度画像に対処できる。
また、画素群の輪郭によって囲まれた各領域の重心を用いて、1つの重心を内部に含み、かつ、1つの重心の周囲に存在する6個の重心を線で結んで形成される六角形状の領域を隣接させて複数個形成したときに、形成した複数個の六角形状の領域がハニカム状に配列されるように、各画素群の各画素の組み合わせを定めるようにすることで、水平方向、垂直方向、及び斜め方向の各方向についてビニング後の画素位置(複数の画素を1かたまりの画素としたときの重心位置)の偏りを抑制して、ビニング前の画像と同様に、それぞれの方向について解像度を確保することができる。その結果、画素密度変換においてビニングの前後において同一のICを共通に使用できる。
また、動画の撮影を行う場合、2画素×2画素からなる画素群を1つの画素とみなして電荷を取り出し、画素群を構成する各画素に蓄積された電荷を合成するビニング処理を行うことで、静止画に比べて解像度が低くなるものの、フレームレートを、画素行毎に電荷を読み出す静止画モードの2倍(フレーム期間を1/2)にすることができる。
さらには、複数の画素行の隣接する一対の画素行の各々に対応してビニング用のスキャン配線G5を設けることで、ビニングの対象画素行毎にスキャン配線Gを設ける場合と比較して、スキャン配線Gの数をビニングの対象画素の行数の1/2に削減できる。つまり、図2に示す第1の実施形態に係る放射線検出器42と比較して、スキャン配線G数を大幅に削減できる。また、図6に示す放射線検出器142の構成において、ビニングをしない場合に必要となるスキャン配線G1の数4本に対して、ビニングを含めた画素のスキャンに要する総スキャン配線数が、本来ならば4本の2倍の8本必要となるところ、4本の1.5倍の6本で済む。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態に係る放射線画像撮影システム100は、上述した第1の実施形態に係る放射線画像撮影システム100と同一構成をとるので、ここでは、その図示と説明を省略する。
図8は、第3の実施形態に係る撮影装置41の放射線検出器342の電気的な構成を示している。図8に示す放射線検出器342の放射線検出素子310は、図2に示す第1の実施形態に係る放射線検出器42と同様、画素領域が六角形の複数の画素20が互いに隣接しながら2次元状に多数配列され、ハニカム状に配列された画素20が矩形状の画素領域を構成している。
放射線検出器342は、行方向(図の水平方向)に並列配置された複数のスキャン配線G6−0〜G6−12,G7−0〜G7−11と、これらのスキャン配線と交差し、かつ画素20の周縁に沿って屈曲しながら列方向(図の垂直方向)に延設された複数のデータ配線D1〜D6とが配置されている。以降において、適宜、スキャン配線G6−0〜G6−12を第6のスキャン配線G6、スキャン配線G7−0〜G7−11を第7のスキャン配線G7と呼ぶ。
さらに、第1の実施形態に係る放射線検出器42と同様、スキャン配線G6,G7と交差しながら、複数のデータ配線D1〜D6の間を、これらのデータ配線D1〜D6と交差することなく直線状に共通グランド配線30が配置されている。なお、共通グランド配線30が直線状に配されるとは、放射線検出素子310の製造工程における誤差を許容し得る範囲で、直線状態を維持することを意味している。
放射線検出素子310の各画素20は、照射された放射線(X線)を受けて電荷を発生するセンサ部103と、センサ部103で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積容量5と、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すための2つのTFTスイッチ4a,4bとを含んで構成される。放射線検出器342は、放射線を吸収して電荷に変換する光電変換層にアモルファスセレン等の放射線−電荷変換材料を使用した直接変換方式の放射線検出器342である。
次に、第3の実施形態に係る放射線検出器342によって放射線画像を撮影する場合の動作について説明する。例えば、静止画撮影モードの場合、スキャン信号制御部335から第6のスキャン配線G6−0〜G6−12に対して、画素行毎に順次、各画素20内のTFTスイッチ4aをオンとするスキャン信号が出力され、第7のスキャン配線G7−0〜G7−11に対して、各画素20内のTFTスイッチ4bをオフとするスキャン信号が出力される。これにより、各画素のセンサ部103から電荷が読み出され、その電荷に対応する信号がデータ配線D1〜D6に出力される。そして、各画素20に対応する電荷信号により、放射線検出器342に照射された放射線により示される画像を示す画像情報を得る。
一方、動画撮影モードの場合、スキャン信号制御部335から第6のスキャン配線G6−0〜G6−12に対して、各画素20内のTFTスイッチ4aをオフするスキャン信号が出力され、第7のスキャン配線G7−0〜G7−12には、以下のように各画素20内のTFTスイッチ4bをオンとするスキャン信号が出力される。
本実施形態の放射線検出器342の放射線検出素子310は、各々が予め特定した3つの画素からなる複数の画素群で構成される。例えば、図8に示すように、3つの画素P0〜P2を画素群PG0、3つの画素P3〜P5を画素群PG1、3つの画素P6〜P8を画素群PG2、3つの画素P9〜P11を画素群PG3、3つの画素P12〜P14を画素群PG4、3つの画素P15〜P17を画素群PG5、3つの画素P18〜P20を画素群PG6、そして、3つの画素P21〜P23を画素群PG7とする。
画素群PG0を構成する画素P0〜P2の各TFTスイッチ4bのゲート電極と、画素群PG1の画素P3〜P5の各TFTスイッチ4bのゲート電極には、第7のスキャン配線のうちスキャン配線G7−0が接続されている。さらに、画素群PG2の画素P6〜P8の各TFTスイッチ4bのゲート電極と、画素群PG3の画素P9〜P11の各TFTスイッチ4bのゲート電極には、第7のスキャン配線のうちスキャン配線G7−1が接続されている。スキャン配線G7−0とスキャン配線G7−1は、スキャン信号制御部335から延出した信号線が分岐した構成になっている。
したがって、スキャン信号制御部335よりスキャン配線G7−0,G7−1に対してスキャン信号(オン信号)が出力されると、画素群PG0〜PG3の全画素20のTFTスイッチ4bがオンとなる。その結果、画素群PG0〜PG3の各々を構成する3個の画素の各電荷蓄積容量5に蓄積された電荷が合成され(ビニングされ)、画素群PG0の合成電荷信号がデータ配線D1に出力され、画素群PG1の合成電荷信号がデータ配線D4に出力され、画素群PG2の合成電荷信号がデータ配線D3に出力され、画素群PG3の合成電荷信号がデータ配線D6に出力される。
画素群PG4〜PG7を構成する各画素内の各TFTスイッチ4bとスキャン配線G7−2,G7−3との接続も、上述した画素群PG0〜PG3とスキャン配線G7−0,G7−1との接続と同じである。したがって、スキャン信号制御部335よりスキャン配線G7−2,G7−3に対してスキャン信号(オン信号)が出力されると、画素群PG4〜PG7の全画素20のTFTスイッチ4bがオンとなる。その結果、画素群PG4の合成電荷信号(ビニング信号)がデータ配線D1に出力され、画素群PG5の合成電荷信号がデータ配線D4に出力され、画素群PG6の合成電荷信号がデータ配線D3に出力され、画素群PG7の合成電荷信号がデータ配線D6に出力される。
他の画素群、具体的には、スキャン配線G7−4,G7−5からのスキャン信号を受ける画素群PG8〜PG11、スキャン配線G7−6,G7−7からのスキャン信号を受ける画素群PG12〜PG15、スキャン配線G7−8,G7−9からのスキャン信号を受ける画素群PG16〜PG19、そして、スキャン配線G7−10,G7−11からのスキャン信号を受ける画素群PG20〜PG23等についても上記と同様である。
このように、放射線検出器342では、画素群PG0〜PG3,PG8〜PG11,PG16〜PG19を偶数ブロックとし、画素群PG4〜PG7,PG12〜PG15,PG20〜PG23を奇数ブロックとした場合、偶数ブロックと奇数ブロックとから交互に、放射線検出器342内において3画素単位に電荷が加算された電荷信号が、データ配線D1,D3,D4,D6に流出する。また、データ配線D2,D5は、ビニング時に電荷信号が流れない、浮いた状態(フローティング)になる。
上記のように、ビニング用のスキャン配線G7を複数のグループに分け、各グループ毎にタイミングをずらして、そのグループに属するスキャン配線G7にTFTスイッチ4bのスキャン信号を送る。これにより、各タイミングにおいて複数の画素群の電荷を合成して読み出す際、異なる画素群から読み出された合成電荷量に相当する電荷信号が同一のデータ配線を介して伝送されることはない。
なお、ビニング処理時に浮いた状態(フローティング)となるデータ配線D2,D5については、例えば、TFTスイッチ4b等のソース電極、あるいはドレイン電極をD2,D5に接続して特定の電位に固定したり、あるいは近傍の配線に接続する等して、フローティング状態を回避してもよい。
また、図8において、スキャン配線G7−0〜G7−1,G7−2〜G7−3等が、それぞれスキャン信号制御部335から延出した1本の配線が2本に枝分かれした構成となっているが、これに限定されない。例えば、これらのスキャン配線G7それぞれを個別にスキャン信号制御部335から延出させる構成としてスキャン配線G7−0〜G7−1を同時に駆動し、続いてスキャン配線G7−2〜G7−3を同時に駆動してもよい。さらには、スキャン信号制御部335とは別の第2のスキャン信号制御部を設け、その第2のスキャン信号制御部から延出した1本の配線が2本に枝分かれした構成としてもよいし、スキャン信号制御部335とは別の第2のスキャン信号制御部にスキャン配線G7−0〜G7−3それぞれを個別に延出させる構成としてスキャン配線G7−0〜G7−1を同時に駆動し、続いて、スキャン配線G7−2〜G7−3を同時に駆動してもよい。
また、図8に示す例では、説明と図示の便宜上、25本のスキャン配線G、6本のデータ配線Dを配した構成を例示している。例えば、画素20が行方向及び列方向にm×n個(m,nは正の整数)配置されている場合、2m本のスキャン配線とn本のデータ配線Dが設けられる。
図9は、上述した動画撮影モードにおいてビニングの対象となる画素と画素群の配置を示している。ここでも、各々の画素群が区別しやすいように、隣り合う画素群の各画素に対する塗りつぶしパターンを変えてある。図9に示す例では、放射線検出器342の放射線検出素子310において、上述したように隣接する3画素からなる画素群A,B,C,D,E,F,Gを特定する。各画素群は、複数の画素のうちの第1画素と、その第1画素の行と隣接する行にあって互いに隣接する第2及び第3の2画素の3つの画素からなり、第1画素の隣接する2辺と第2画素及び第3画素の各々の1辺とが隣り合うように配置されている。つまり、各画素群は、各々の画素の隣接する2辺が他の2つの画素の各々の1辺と隣り合うように配置された2つの画素からなる3つの画素を組み合わせた、と規定できる。
本実施形態の放射線検出器342では、上述したように静止画撮影モードの指示があった場合、信号処理部325は、放射線検出器342の各画素20内のTFTスイッチ4aをオンにして、各画素から電荷が読み出され、その電荷に対応する信号がデータ配線Dに出力される。ここでは、放射線検出器342の放射線検出素子310の個々の画素として画素領域が六角形状の画素を用いることにより、水平、垂直、斜めの各方向で高い解像度を確保することができる。一方、動画撮影モードでは、上述したように信号処理部325によって、各画素群を構成する3画素内のTFTスイッチ4bをオンにすることで、これら3画素を1つの画素とみなして、3画素分の電荷を合成するビニングを行う。
図9において、3画素からなる各画素群A,B,C,D,E,F,Gの重心位置をそれぞれa,b,c,d,e,f,gとし、それらの位置を黒点で示す。図9に示す例では、各画素群について3画素のビニングをする場合、画素群Dの重心dを中心として、他の画素群の重心a−b−c−e−f−g−aを結ぶ正六角形が形成される。加えて、これらの画素群の重心間距離、すなわち、da間、db間、dc間、de間、df間、dg間の距離が6方向において等しいことが分かる。よって、各画素20の画素領域を六角形状とすることで、ビニング前において、水平、垂直、斜めの各方向において解像度を確保することができ、さらに、ビニング後においても、画素群の重心を結ぶことにより正六角形が形成されるので、水平、垂直、斜めの各方向において解像度が確保される。
つまり、画素群A,B,C,D,E,F,Gの輪郭によって囲まれた各領域の重心a,b,c,d,e,f,gを用いて、1つの重心dを内部に含み、その重心dの周囲に存在する6個の重心a,b,c,e,f,gを結ぶ線分で形成される六角形状の領域を隣接させて複数個形成したときに、これら形成した複数個の六角形状の領域がハニカム状に配列されるように、各画素群の各画素の組み合わせを定める。こうすることで、水平方向、垂直方向、及び斜め方向の各方向についてビニング後の画素位置(画素群の重心位置)の偏りを抑制し、ビニング前の画像と同様に、それぞれの方向について解像度を確保することができる。
本実施形態においても、上述した第1の実施形態等と同様に、ビニング前の重心配列と、ビニング後の重心配列とがともに、重心により形成される六角形状の領域がハニカム状に配列された状態となっていることから、ビニング後に画素密度変換を行う場合であっても、ビニングせずに画素密度変換を行うときと同様のアルゴリズムで処理することができる。よって、ビニング処理後の画素密度変換処理のアルゴリズムを別途、用意しなくても、画素密度変換処理のアルゴリズムを共有することができる。
以上説明したように、第3の実施形態では、各々が3画素からなる予め定めた複数の画素群に対して、放射線検出器342の放射線検出素子310内で3画素分の電荷を読み取って合成するビニング処理を行うためのスキャン配線G7を画素行毎に配置し、所定のビニング処理用のスキャン配線G7に複数の画素群の各画素内のTFTスイッチ4bを同時にオンにするスキャン信号を出力する。そして、これら複数の画素群の各々で合成された電荷に対する電荷信号が個別のデータ配線を流れるように構成する。
このような構成により、複数の画素群で3画素分の電荷を同時に読み取って合成するビニング処理時において、個々の画素20から電荷信号を読み出す非ビニング処理時と比較して、2倍の速さで画像撮影ができる。その結果、収集した電荷量の増加によるS/Nの向上と、高いフレームレートが求められる動画撮影モードや、照射される放射線量が少ないことで生じる低感度画像に対処できる。
そこで、動画の撮影を行う場合、3画素からなる画素群を1つの画素とみなし、複数の画素群から同時に電荷を取り出して、それらの画素群を構成する各画素に蓄積された電荷を合成するビニング処理を行うことで、静止画に比べて解像度が低くなるものの、フレームレートを、画素行毎に順次、電荷を読み出す静止画モードの2倍(フレーム期間を1/2)にすることができる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第4の実施形態に係る放射線画像撮影システム100は、上述した第1の実施形態等に係る放射線画像撮影システム100と同一の構成であるため、ここでは、その図示と説明を省略する。
図10は、本発明の第4の実施形態に係る放射線画像撮影システム100における撮影装置の放射線検出器442の電気的な構成を示している。図10に示す放射線検出器442の放射線検出素子410は、図2に示す第1の実施形態等に係る放射線検出器42と同様、画素領域が六角形状の複数の画素20が互いに隣接しながら2次元状にハニカム状に配列され、全体として略矩形状の領域を構成している。
放射線検出器442は、各画素20内に設けたTFTスイッチ4aのゲート電極に接続され、TFTスイッチ4aのオン/オフを制御するための第8のスキャン配線G8−1〜G8−5(適宜、これらをまとめて第8のスキャン配線G8ともいう)と、TFTスイッチ4bのゲート電極に接続され、TFTスイッチ4bのオン/オフを制御するための第9のスキャン配線G9−1,G9−2(適宜、これらをまとめて第9のスキャン配線G9ともいう)と、センサ部103で発生し、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すための複数のデータ配線D1〜D3(これらをまとめてデータ配線Dともいう)と、共通グランド配線30とを備える。
なお、複数の画素20のうち、例えば、画素P6,P12等は、後述する撮影モードにおける電荷の読み出しタイミングとの関係から、画素内の電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すトランジスタとして、TFTスイッチ4aのみを有する。
図10では、説明と図示の便宜上、5本の第8のスキャン配線G8、2本の第9のスキャン配線G9、4本のデータ配線D、及び4本の共通グランド配線30を配した構成を例示している。例えば、画素20が行方向及び列方向にm×n個(m,nは正の整数)配置されている場合、m本の第8のスキャン配線G8と、n本のデータ配線Dが設けられる。また、放射線検出器442の放射線検出素子410は、後述するようにアモルファスセレン等の放射線−電荷変換材料を用いて、放射線を電荷へ直接変換する構成をとる。なお、各画素20のセンサ部103は、図示を省略した共通配線に接続されており、共通配線を介して電源(不図示)からバイアス電圧が印加されるように構成されている。
放射線検出器442において、スキャン配線G8,G9と、データ配線D及び共通グランド配線30とが互いに交差するように配され、データ配線Dは、画素領域が六角形の画素20の周縁に沿って、それらの画素20を迂回するようにジグザグ状に(蛇行するように)配置されている。すなわち、データ配線Dは、個々の画素20の周縁(6辺)のうち連続する3辺に沿いながら、列方向に延設されている。また、共通グランド配線30も、各画素20のTFTスイッチ4a,4bを避けるようにジグザグ状に(蛇行するように)配されている。
TFTスイッチ4aのゲート電極は、第8のスキャン配線G8に接続され、TFTスイッチ4bのゲート電極は、第9のスキャン配線G9に接続されている。また、TFTスイッチ4a,4bのドレイン電極及びソース電極の一方が電荷蓄積容量5の一方の電極に接続され、ドレイン電極及びソース電極の他方がデータ配線Dに接続されている。
放射線検出器442の制御部150は、スキャン信号制御部435a,435bに信号検出のタイミングを示す制御信号やスキャン信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する。スキャン信号制御装置435aは、制御部150からの制御信号を受けて、第8のスキャン配線G8−1〜G8−5にTFTスイッチ4aをオン/オフするためのスキャン信号を出力する。また、スキャン信号制御装置435bは、第9のスキャン配線G9−1,G9−2にTFTスイッチ4bをオン/オフするためのスキャン信号を出力する。
例えば、放射線画像を撮影する場合、外部より放射線(X線)が照射される間、第8のスキャン配線G8に対してオフ信号を出力して各TFTスイッチ4aをオフにし、第9のスキャン配線G9に対してオフ信号を出力して各TFTスイッチ4bをオフにして、半導体層に発生した電荷を各電荷蓄積容量5に蓄積する。
画像の読出し時には、例えば、静止画の場合、第8のスキャン配線G8に対して1ラインずつ順にオン信号を出力して各画素20内のTFTスイッチ4aをオンにする。また、例えば、動画の読出し時には、第9のスキャン配線G9に対して1ラインずつ順にオン信号を出力して、後述する画素群内の複数の画素に係るTFTスイッチ4bをオンにするとともに、特定の第8のスキャン配線G8にオン信号を出力して、画素20内のTFTスイッチ4aをオンにする。こうすることで、各電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を電気信号として読み出し、読み出した電気信号をデジタルデータへ変換することにより、放射線画像を得る。
放射線検出器442は、図10に示すようにデータ配線D1〜D3の各々に対応する可変ゲインプリアンプ(チャージアンプ、あるいは積分増幅器ともいう)CA1〜CA3を備え、これらのチャージアンプCA1〜CA3の各々の出力側には、サンプルホールド回路(SH)97A〜97Dが配置されている。放射線検出器442は、複数のデータ配線がデータ配線D1〜D3を単位として繰り返して配され、それに対応して、複数のチャージアンプがチャージアンプCA1〜CA3を単位として繰り返して配される構成をとる。チャージアンプCA1〜CA3は、正入力側が接地されたオペアンプ92aと、オペアンプ92aの負入力側と出力側との間に、それぞれ並列に接続されるコンデンサ92bと、リセットスイッチ92cとを含んで構成されており、リセットスイッチ92cは、制御部150により切り換えられる。さらに、放射線検出器442は、マルチプレクサ98及びA/D(アナログ/デジタル)変換器99が備えられている。
なお、サンプルホールド回路97A〜97Dのサンプルタイミング、及びマルチプレクサ98に設けられたスイッチ98a〜98dによる選択出力も、制御部150により切り換えられる。また、図10では、マルチプレクサ98が4画素を1つに束ねる構成としているが、これに限定されず、例えば、上述したデータ配線D1〜D3の繰り返し単位に合わせて、3画素を1つに束ねる構成としてもよい。
次に、本実施形態に係る放射線検出器442の動作を説明する。放射線検出器442における画像検出時には、スキャン信号制御部435a,435bから第8のスキャン配線G8−1〜G8−5、第9のスキャン配線G9−1,G9−2に対してオフ信号(0V)が出力され、TFTスイッチ4a,4bのゲート電極に負バイアスが印加される。これにより、各TFTスイッチ4a,4bがオフ状態に保持される。
一方、画像の読出時、放射線検出器442は、上述したように画像処理装置50からの指示に基づいて、静止画撮影モード及び動画撮影モードのいずれかを行う。静止画撮影モードの指示があった場合、制御部150は、第9のスキャン配線G9−1,G9−2から各画素20内のTFTスイッチ4bをオフにするためのスキャン信号が出力されるようにスキャン信号制御部435bを制御する。さらに、制御部150は、各画素20内のTFTスイッチ4aをオンにするため、順次、第8のスキャン配線G8−1〜G8−5からTFTスイッチ4aの各ゲートに対して、例えば、電圧が+10〜20Vのオン信号が印加されるようにスキャン信号制御部435aを制御する。これにより、各画素行の各画素20内のTFTスイッチ4aが順次、オン状態となり、TFTスイッチ4aによりセンサ部103から電荷が読み出され、その電荷に対応する信号がデータ配線Dに出力される。
このように放射線検出器442では、静止画撮影モードにおいて、データ配線D1〜D3の各々に、画素行毎に各画素20に対応する電荷信号が流れる。これにより、放射線検出器442の放射線検出素子410に照射された放射線により示される画像を示す画像情報を得ることができる。そして、信号処理部425において電荷信号がデジタル信号に変換され、その電荷信号に応じた画像データに基づいて放射線画像が生成される。
次に、本実施形態に係る放射線検出器における、動画撮影モード時の動作について、図11に示す動作タイミングチャートを参照しながら説明する。本実施形態に係る放射線検出器442の複数の画素20のうち、例えば、図10において点線で囲んだ3つの画素P1〜P3内に配置された各TFTスイッチ4bのゲート電極は、第9のスキャン配線G9−1に接続されている。同じく点線で囲んだ3つの画素P4〜P6のうち、画素P4,P5内に配置された各TFTスイッチ4bのゲート電極も、第9のスキャン配線G9−1に接続されている。
同様に、画素P7〜P9内に配置された各TFTスイッチ4bのゲート電極は、第9のスキャン配線G9−2に接続され、画素P10〜P12のうち、画素P10,P11内に配置された各TFTスイッチ4bのゲート電極も、第9のスキャン配線G9−2に接続されている。
ここでは、画素P1〜P3をまとめて画素群PG1と呼ぶ。また、画素P4〜P6をまとめて画素群PG2、画素P7〜P9をまとめて画素群PG3、画素P10〜P12をまとめて画素群PG4と呼ぶ。図10では図示を省略したが、放射線検出素子410は、さらに、これらの画素群PG1,PG2等と隣り合う、特定の3画素を構成画素とする他の複数の画素群で構成される。これらの画素群について、画素群PG1,PG2を例にとると、画素群PG1の3画素(P1〜P3)、及び画素群PG2の2画素(P4,P5)と画素群PG2の1画素(P6)とからなる3画素は、同一の画素行方向に連続する3画素(ここでは、PG1,PG4,PG5)と、これら連続する3画素と画素列方向の下部において隣接し、かつ画素行方向に連続する2画素(ここでは、PG2,PG3)と、これら連続する3画素と画素列方向上部において隣接する1画素(ここでは、PG6)とを繰り返し単位とする画素群(計6画素からなる)を構成している。そして、画素群PG1、PG2の各々の3画素は、各々の画素の隣接する2辺が他の2つの画素の各々の1辺と隣接するように配置されている。
本実施形態に係る放射線検出器442では、上記の画素P1〜P6を1つの画素群単位として、この画素群単位が図10の水平及び垂直方向に連続して配置されることで、放射線検出素子410を構成している。言い換えれば、放射線検出器442において、画素P1〜P5と画素P12とを1つの画素群単位として、この画素群単位が図10の水平及び垂直方向に連続して配置されている、ともいえる。
放射線検出器442に対して動画撮影モードの指示があった場合、制御部150は、最初にスキャン信号制御部435aを制御して、第8のスキャン配線G8−1〜G8−5から各画素20のTFTスイッチ4aの各ゲート電極に対してオフ信号を出力して、各画素20のTFTスイッチ4aをオフにする。
次に、制御部150は、チャージアンプのリセットスイッチを短絡させるためのリセット信号を出力する。例えば、図11の(5),(6)に示すように、チャージアンプCA1,CA2に対してリセット信号を出力して、チャージアンプCA1,CA2のコンデンサに蓄積されていた電荷を放電(リセット)する。
その後、制御部150は、スキャン信号制御部435bを制御して、第9のスキャン配線G9−1よりスキャン信号(オン信号)を出力する。具体的には、図11の(1)に示すように、第9のスキャン配線G9−1より、所定期間、オン信号を出力する。これにより、画素群PG1の3個の画素P1〜P3のTFTスイッチ4bがオンとなる。その結果、画素P1〜P3の各電荷蓄積容量5に蓄積された電荷の電荷信号が放射線検出素子410内で合成され、データ配線D1には、これら3画素の合成電荷信号が流れる。
データ配線D1を伝送された電気信号(3画素分の合成電荷信号)は、図11の(7)に示す期間(積分期間T1−1という)、チャージアンプCA1において予め定められた増幅率で増幅され、サンプルホールド回路97Bに保持される。そして、積分期間T1−1の経過とともに電荷信号のサンプリングを終了する。
また、第9のスキャン配線G9−1よりオン信号が出力されると(図11の(1))、画素群PG2の画素P4,P5内のTFTスイッチ4bもオンになる。その結果、これらの画素P4,P5の各電荷蓄積容量5に蓄積された電荷の合成電荷信号が、データ配線D2に流出する。データ配線D2を伝送された電気信号(画素P4,P5の合成電荷信号)は、図11の(8)に示す積分期間T2−1のうち、上記の積分期間T1−1に相当する期間において、チャージアンプCA2で増幅され、サンプルホールド回路97Cに保持される。なお、制御部150は、第9のスキャン配線G9−1からの出力信号がオンからオフとなったとき、積分期間T1−1を終了するが、積分期間T2−1を続行させて、チャージアンプCA2における電荷信号の蓄積及び増幅(積分)を継続できる状態にする。
制御部150は、第9のスキャン配線G9−1からの出力信号をオフにした後、図11の(2)に示すように、スキャン信号制御部435aを制御して、第8のスキャン配線G8−1からの出力信号をオンにする。これにより、第8のスキャン配線G8−1に対応する画素行の画素内のTFTスイッチ4aがオンとなり、それらの画素から読み出された電荷信号が各データ配線に流出する。このとき、チャージアンプCA2は、上記のように電荷信号を蓄積及び増幅(積分)できる状態にあるが、チャージアンプCA1は、非作動状態にある。なお、動画撮影モード時(ビニング駆動時)、データ配線D3には信号が流れないため、制御部150は、図11の(9)に示すように、チャージアンプCA3を常時、非作動状態にする。
よって、図11の(8)に示すように、積分期間T2−1のうち、積分期間T1−1が経過した後の期間において、画素群PG2の画素P6の電荷信号が流出するデータ線D2に接続されるチャージアンプCA2で、画素P6の電荷信号が蓄積及び増幅(積分)される。その結果、チャージアンプCA2では、積分期間T2−1において、画素P6の電荷信号と、先に蓄積及び増幅(積分)された画素P4,P5の電荷信号とが加算される。その後、画素P4〜P6の合成電荷信号は、サンプルホールド回路97Cに保持され、積分期間T2−1の経過とともにサンプリングを終了する。
上記のように、第9のスキャン配線G9−1よりオン信号が出力され、第8のスキャン配線G8−1よりオン信号が出力されると、上記画素群PG1,PG2の画素と行方向に連続する他の複数の画素についても、画素群PG1,PG2と同様、所定の3画素分の合成電荷信号等がデータ配線に出力される。
制御部150は、上記の処理に続いて、画素群PG1,PG2等と列方向に隣り合う画素群(図10に示す例では、画素群PG3,PG4)についてビニング処理を行う。すなわち、制御部150は、図11の(5),(6)に示すように、チャージアンプCA1,CA2にリセット信号を送って、それらのアンプのコンデンサに蓄積されていた電荷を放電(リセット)する。そして、制御部150は、図11の(3)に示すように、第9のスキャン配線G9−2よりスキャン信号(オン信号)が出力されるように、スキャン信号制御部435bを制御する。これにより、画素群PG3の3個の画素P7〜P9のTFTスイッチ4bがオンとなり、画素P7〜P9の各電荷蓄積容量5に蓄積された電荷の電荷信号が放射線検出素子410内で合成され、データ配線D1に、3画素(P7〜P9)の合成電荷信号が流れる。
これら3画素の合成電荷信号は、図11の(7)に示す積分期間T1−2において、チャージアンプCA1で増幅され、サンプルホールド回路97Bに保持される。そして、積分期間T1−2の経過とともに電荷信号のサンプリングが終了する。
第9のスキャン配線G9−2よりオン信号が出力されると、画素群PG4の画素P10,P11内のTFTスイッチ4bもオンになり、画素P10,P11に蓄積された電荷の合成電荷信号がデータ配線D2を流れる。この合成電荷信号は、図11の(8)に示す積分期間T2−2のうち、上記の積分期間T1−2に相当する期間において、チャージアンプCA2で増幅され、サンプルホールド回路97Cに保持される。ここでも、制御部150は、第9のスキャン配線G9−2からの出力信号がオフとなったとき、積分期間T1−2を終了させるが、積分期間T2−2は終了させずに、チャージアンプCA2における電荷信号の蓄積及び増幅(積分)を継続できる状態にする。
第9のスキャン配線G9−2からの出力信号がオフとなった後、図11の(4)に示すように、第8のスキャン配線G8−3からの出力信号をオンにする。これにより、第8のスキャン配線G8−3に対応する画素行の画素内のTFTスイッチ4aがオンとなる。このとき、チャージアンプCA1は作動状態にないが、チャージアンプCA2は、上記のように電荷信号を蓄積及び増幅(積分)できる状態に維持される。なお、上記のように、動画撮影モード時(ビニング駆動時)、データ配線D3には信号が流れない。そのため、図11の(9)に示すように、ビニング駆動時にはチャージアンプCA3を常時、非作動状態にする。
よって、図11の(8)に示すように、積分期間T2−2のうち、積分期間T1−2が経過した後の期間において、画素群PG4の画素P12の電荷信号が流出するデータ線D2に接続されるチャージアンプCA2において、画素P12の電荷信号が蓄積及び増幅(積分)される。その結果、チャージアンプCA2では、積分期間T2−2において、画素P12の電荷信号と、既にチャージアンプCA2で蓄積及び増幅(積分)された画素P10,P11の電荷信号とが加算される。その後、画素P10〜P12の合成電荷信号は、サンプルホールド回路97Cに保持され、積分期間T2−2の経過とともにサンプリングが終了する。
なお、第9のスキャン配線G9−2、及び第8のスキャン配線G8−3よりオン信号が出力されると、上記画素群PG3,PG4の画素と行方向に連続する他の複数の画素についても、画素群PG3,PG4と同様、所定の3画素分の合成電荷信号等がデータ配線に出力される。
制御部150は、サンプルホールド回路97A〜97Dを所定期間、駆動させることより、可変ゲインプリアンプであるチャージアンプCA1〜CA3によって増幅された電気信号の信号レベルを、サンプルホールド回路に保持させる。個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号は、マルチプレクサ98によって順次、選択された後、A/D変換器99によってデジタル画像データに変換される。なお、A/D変換器99から出力されたデジタル画像データは、画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は、例えば、撮影された放射線画像を複数フレーム分のデジタル画像データとして記憶する。
なお、図10では省略したが、第9のスキャン配線G9−1,G9−2よりオン信号が出力されると、上記画素群PG1,PG2の画素と行方向に連続する他の複数の画素についても、画素群PG1,PG2と同様、3素単位で加算された電荷信号がデータ配線に出力される。
このように、動画撮影モードの場合、放射線検出素子410を構成する複数の画素のうち予め特定した3つの画素を束ねて構成される複数の画素群の各々について、それら3個の画素に蓄積された電荷がまとめられ(ビニングされ)、そのビニングにより合成された電荷に相当する電荷信号がデータ配線に出力される。また、第9のスキャン配線G2の制御に続いて、第8のスキャン配線G8のうち、図10において奇数番号が付与されたスキャン配線(G8−1,G8−3等)にオン信号を出力することで、先に2画素分の合成電荷信号が取得された画素群中の残りの1画素分の電荷信号がデータ配線を流れる。動画撮影モードでは、第8のスキャン配線G8のうち、偶数番号が付与されたスキャン配線(G8−2,G8−4等)からは、常時、オフ信号が出力される。
よって、本実施形態に係る放射線検出器では、特定の画素群(PG2,PG4等)の画素については、各画素群を構成する3画素のうち、2画素分の電荷信号と、残りの1画素分の電荷信号とを、同一のチャージアンプの積分タイミングをずらして加算、合成することで、3画素のビニング処理を行う。
なお、本実施形態に係る放射線検出器442の動画撮影モードにおいても、図8に示す第3の実施形態に係る放射線検出器342の場合と同様、3画素からなる各画素群の重心を中心として、他の画素群の重心を結ぶ正六角形が形成され、これらの画素群の重心間距離が6方向において等しくなる。そのため、ビニングの前後において、水平、垂直、斜めの各方向において解像度が確保される。よって、ビニング後の画素位置(画素群の重心位置)の偏りを抑制し、ビニング前の画像と同様に、それぞれの方向について解像度を確保することができる。
このように、本実施形態において、ビニング前の重心配列と、ビニング後の重心配列とがともに、重心により形成される六角形状の領域がハニカム状に配列された状態となっていることから、ビニング後に画素密度変換を行う場合であっても、ビニングせずに画素密度変換を行うときと同様のアルゴリズムで処理することができ、ビニング処理後の画素密度変換処理のアルゴリズムを別途、用意しなくても、画素密度変換処理のアルゴリズムを共有することができる。
また、本実施形態では、放射線検出器442においてハニカム状に配列された画素領域が六角形状の複数の画素のうち、各々が3画素からなる予め定めた複数の画素群それぞれに対して、放射線検出器442の放射線検出素子410内で3画素分の電荷を同時に読み取り、これらの電荷信号を合成するビニング処理を行う。さらに、特定の画素群に対して、その画素群を構成する3画素のうち、2画素分の電荷信号と、残りの1画素分の電荷信号とを、同一のチャージアンプの積分タイミングをずらして加算することで、3画素のビニング処理を行う。こうすることで、収集した電荷量の増加によるS/Nの向上と、高いフレームレートが求められる動画撮影モードや、照射される放射線量が少ないことで生じる低感度画像に対処できる。
また、画素群の輪郭によって囲まれた各領域の重心を用いて、1つの重心を内部に含み、かつ、1つの重心の周囲に存在する6個の重心を線で結んで形成される六角形状の領域を隣接させて複数個形成したときに、形成した複数個の六角形状の領域がハニカム状に配列されるように、各画素群の各画素の組み合わせを定めるようにすることで、水平方向、垂直方向、及び斜め方向の各方向についてビニング後の画素位置(複数の画素を1かたまりの画素としたときの重心位置)の偏りを抑制して、ビニング前の画像と同様に、それぞれの方向について解像度を確保することができる。その結果、画素密度変換においてビニングの前後において同一のICを共通に使用できる。
また、動画の撮影を行う場合は、各々が3画素からなる画素群を1つの画素とみなして電荷を取り出し、画素群を構成する各画素に蓄積された電荷を合成するビニング処理を行うことで、静止画に比べて解像度が低くなるものの、フレームレートを、画素行毎に電荷を読み出す静止画モードの2倍(フレーム期間を1/2)にすることができる。さらには、ビニングの対象画素行毎にスキャン配線G9を設ける場合と比較して、スキャン配線G9の数をビニングの対象画素の行数の1/2に削減できる。つまり、図8に示す第3の実施形態に係る放射線検出器342と比較して、スキャン配線G数を大幅に削減できる。また、図10に示す放射線検出器442の構成において、ビニングをしない場合に必要となるスキャン配線G8数5に対して、ビニングを含めた画素のスキャンに要する総スキャン配線数が、本来ならば5本の2倍の10本必要となるところ、7本で済むことになる。
なお、上記各実施の形態では、放射線検出素子410の六角形状の画素領域は、正六角形であってもよいし、角を取った略六角形も含まれる。また、例えば、図2の紙面上下方向に潰した扁平六角形等、平面視したとき略六角形になるものも含まれる。つまり、画素領域が六角形状の画素を、該画素領域の中心を通る3本の対角線のうち1本の対角線を他の2本の対角線より短くし、該他の2本の対角線が等しい長さとなるように扁平させて形成してもよい。よって、画素が扁平六角形であっても、ビニング処理の前後において、重心距離と水平、垂直、斜めの6方向との関係が維持される。
また、上記各実施の形態では、放射線を吸収して電荷に変換する光電変換層にアモルファスセレン等の放射線−電荷変換材料を使用した直接変換方式の放射線検出器410に本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、本発明を、照射された放射線を可視光に変換するシンチレータを備えた間接変換方式の放射線検出器に適用してもよい。
図12は、第1の実施形態の放射線検出器42を間接変換方式の放射線検出器に適用した一例を簡略化して示している。また、図13は、第3の実施形態の放射線検出器342を間接変換方式の放射線検出器に適用した一例を簡略化して示している。なお、これらの図12及び図13に示す間接変換方式の放射線検出器の動作は、それぞれ第1の実施形態の放射線検出器、及び第3の実施形態の放射線検出器と同じであるため、ここでは、それらの説明を省略する。
また、上記各実施の形態では、共通グランド配線30を絶縁性の基板1上に配しているが、これに限定されず、光電変換層6で発生した電荷を収集する画素電極としての下部電極11の下のいずれかの層に配されていればよい。こうすることで、共通グランド配線30がセンサ部103へ照射される放射線の照射効率を低下させることを回避できる。
さらには、上述した第2の実施形態、及び第4の実施形態では、放射線検出器(142または、442)の放射線検出素子(110または、410)の列方向それぞれの辺側にスキャン信号制御部(35a,35bまたは、435a,435b)を配置した例を示したが、スキャン信号制御部(35a,35bまたは、435a,435b)の配置は、これに限定されない。例えば、マンモグラフィ用途として、放射線検出素子(110または,410)の列方向の一辺側にスキャン信号制御部(35a,35bまたは,435a,435b)を設け、列方向の他辺側が被検者の胸壁側となるように構成してもよい。この場合、スキャン信号制御部(35a,35bまたは、435a,435b)として汎用のゲートIC2個を積層構造(2段重ね)にして、それぞれよりスキャン配線Gを延設するか、あるいは1個の専用ゲートICからスキャン配線Gを延設する。
<第5の実施形態>
上記各実施の形態の放射線検出器(42、142,342,442)をトモシンセシス撮影を行うマンモグラフィに適用した場合の実施の形態について具体的に説明する。
図14に、本実施形態のマンモグラフィとしての撮影装置41の構成の一例の概略構成図を示す。また、図15に、本実施形態の撮影装置41の撮影時における構成の一例の構成図を示す。また、図16に、本実施形態の撮影装置41の撮影時の説明を行うための説明図を示す。
図14〜図16に示すように、本実施形態の撮影装置41は、被検者Wが立った立位状態において、被検者Wの乳房N、を放射線(例えば、X線)により撮影する装置である。なお、以下では、撮影の際に撮影装置41に被検者Wが対面した場合の被検者Wに近い手前側を撮影装置41の装置前方側とし、撮影装置41に被検者Wが対面した場合の被検者Wから離れた奥側を撮影装置41の装置後方側とする。また、撮影装置41に被検者Wが対面した場合の被検者Wの左右方向を撮影装置41の装置左右方向として説明する(図14〜図16の各矢印参照)。
撮影装置41は、図14に示すように、装置前方側に設けられた側面視略C字状の測定部500と、測定部500を装置後方側から支える基台部502と、を備えている。
測定部500は、立位状態にある被検者Wの乳房Nと当接する平面状の撮影面512が形成された撮影台510と、乳房Nを撮影台510の撮影面512との間で圧迫するための圧迫板514と、撮影台510及び圧迫板514を支持する保持部506と、を備えている。
また、測定部500は、管球等の放射線源31が設けられ、放射線源31から撮影面512に向けて検査用の放射線を照射する放射線照射部24と、保持部506とは分離され放射線照射部24を支持する支持部507とを備えている。
測定部500には、基台部502に回動可能に支えられている回動軸504が設けられている。回動軸504は、支持部507に対して固定されており、回動軸504と支持部507は一体に回動するようになっている。
保持部506に対しては、回動軸504が連結されて一体に回動する状態と、回動軸504が分離されて空転する状態とに切り替え可能とされている。具体的には、回動軸504及び保持部506にそれぞれギアが設けられ、このギア同士の噛合状態・非噛合状態を切替えるようになっている。なお、回動軸504の回動力の伝達・非伝達の切替えは、種々の機械要素を用いることができる。
保持部506は、撮影面512と放射線照射部24とが所定間隔離れるように撮影台510と放射線照射部24とを支持するとともに、圧迫板514と撮影面512との間隔が可変であるように圧迫板514をスライド移動可能に保持している。なお、本実施の形態では、圧迫板514の位置(圧迫板514と撮影面512との間隔)が検出可能に構成されている。例えば図示を省略したセンサを圧迫板514のスライド機構に備え、当該センサにより圧迫板514の位置を検出する。本実施の形態では、このように構成することにより、圧迫板514により圧迫された乳房Nの厚みが検出可能となっている。
乳房Nが当接する撮影面512は、放射線透過性や強度の観点から、例えば、カーボンで形成されている。撮影台510の内部には、乳房N及び撮影面512を通過した放射線が照射され、その放射線を検出する放射線検出器542が配置されている。なお、本実施形態の放射線検出器542は、上記各実施形態の放射線検出器(42、142、342、442)のいずれであってもよく、撮影に応じて、ユーザが選択(変更)してもよい。
本実施形態の撮影装置41は、少なくとも、被写体としての乳房Nに対して、複数の方向から撮影を行うことができる装置とされている。図15及び図16は、それぞれ、該撮影時における撮影装置41の姿勢、該撮影時における放射線照射部24の位置を示している。図15及び図16に示すように、該撮影は、支持部507を傾けて撮影を行うものである。
撮影装置41では、図16に示すように、乳房Nに対して複数の方向から撮影(トモシンセシス撮影)を行う場合、保持部506に対して回動軸504が空転して撮影台510と圧迫板514が動かず、支持部507が回動することにより放射線照射部24のみが円弧状に移動する。トモシンセシス撮影では、図16に示すように角度αから所定角度θずつ撮影位置を移動させて、放射線照射部24の位置がP1〜PNのN箇所で撮影が行われる。
本実施形態では、具体的例として、撮影モードとして、診断用モード及び撮影モードが設けられており、医師等のユーザが選択可能になっている。診断用モードは、ユーザが検診や診断等を行うために、おおまかに被写体の撮影を行うモードである。具体的一例として本実施形態では、+10度〜−10度の範囲において所定角度1度で撮影が行われる。また、撮影モードは、診断用モードにおける撮影に比べて、より高精細に撮影を行うためのモードであり、具体的一例として本実施形態では、+20度〜−20度の範囲において所定角度1度で撮影が行われる。このように本実施の形態では、高精細な画像を得るための撮影を行う場合は、情報量(画像情報量)を多くするため、角度をより大きく振って撮影を行う。
次に、本実施形態の撮影装置41の動作について説明する。本実施形態では、図17は、本実施形態に係る画像撮影処理手順の一例を示すフローチャートである。撮影を行なう場合、撮影装置41では、撮影メニューに従って撮影が実行される。撮影装置41は、CC(Cranio & Caudal:頭尾方向)撮影の撮影指示が入力された場合、撮影面512が上方を向いた状態に保持部506の姿勢を調整すると共に放射線照射部24が撮影面512に対して上方に位置する状態に支持部507の姿勢を調整する。また、MLO(Mediolateral−Oblique:内外斜位方向)撮影が指示された場合、撮影台510を所定の角度回転させて撮影面514を傾けた状態に保持部506の姿勢を調整する。
図17のステップS200では、診断用モード及び撮影モードのいずれであるかを設定する。設定方法は、特に限定されず撮影メニューにいずれのモードであるかを示す情報が含まれている場合は、撮影メニューに基づいて設定すればよい。また、ユーザが操作パネル44や操作入力部54等により指示した場合は、当該指示に基づいて設定すればよい。
ユーザは、撮影装置41の撮影面512に被検者Wの乳房Nを当接させる。この状態でユーザから圧迫開始の操作指示が行なわれると、次のステップS202では、撮影装置41は、圧迫板514を撮影面512に向けて移動させ、乳房Nを圧迫する。
乳房Nの圧迫が完了すると、ユーザは、撮影装置41の操作パネル44や画像処理装置50の操作入力部54を用いて撮影開始を指示する。該撮影開始の指示に応じて、画像処理装置50が撮影装置41を動作させて、放射線画像を撮影させる。
次のステップS204では、撮影モードが、診断用モード及び撮影モードのいずれであるかを判断する。判断方法は、特に限定されないが、上記ステップS200の設定に基づいて判断すればよい。
モードが撮影モードである場合は、ステップS206へ進む。ステップS206では、上述のようにして検出された乳房Nの厚みに応じて線量を決定する。乳房Nの厚みに応じて、放射線検出器42に到達する(乳房Nを透過する)放射線の線量が変わるため、本実施の形態では、乳房Nの厚みと照射する放射線量との対応関係が予め定められている。本ステップでは、当該対応関係に基づいて、乳房Nの厚みに応じて照射する放射線の線量を決定する。
次のステップS208では、撮影角度範囲及び所定角度に基づいて、撮影回数を決定する。上述したように、本実施の形態では、具体的一例として、撮影モードでは、高精細な画像を得るために、撮影角度範囲を±20度、及び所定角度を1度としている。そのため、個々では、撮影回数は、40回と決定される。
次のステップS210では、最大撮影角度(本実施の形態では、左に20度)支持部507を動かして、放射線照射部24を移動させる。さらに、次のステップS212では、放射線照射部24から放射線を照射させて乳房Nを撮影する。なお、ここでの撮影は、上記第1実施形態の画像撮影処理(図5、ステップS104参照)の通常の処理による撮影と同様である。すなわち、各画素20毎に電荷を読み出すために、スキャン配線(例えば、第1の実施形態では、第1のスキャン配線G1−0〜G1−7)に対して1ラインずつ順にオン信号を出力する。これにより、各画素20の電荷蓄積容量5に蓄積された電荷信号を読み取る通常の処理を行って放射線画像を取得する。
次のステップS214では、上記ステップS208で決定した撮影回数分の撮影を終了したか否か判断する。まだ、終了していない場合は、否定されてステップS216に進み、右に所定角度=1度、支持部507を動かして、放射線照射部24を移動させた後、ステップS212に戻り、本処理を繰り返す。一方、決定した回数分の撮影を終了した場合は、肯定されてステップS218へ進む。
ステップS218では、撮影した放射線画像(40回分)を放射線検出器42から画像処理装置50に出力させる。なお、本実施の形態では、このように撮影終了後に全回数分の放射線画像を放射線検出器42から出力させるようにしているが、これに限らず、1回分の撮影が終了する毎に、放射線検出器42から出力させるようにしてもよい。
次のステップS220では、画像処理装置50が放射線検出器42から取得した放射線画像に基づいて断層画像を再構成する。断層画像の再構成の仕方は、特に限定されるものではなく、公知の再構成方法に基づいて断層画像の再構成を行えばよい。なお、本実施の形態では、断層画像を再構成する際のスライス厚(断層画像の厚さ)は、モードに応じて予め定められている。一般に、トモシンセシス撮影において、角度を大きく振ったほうが、深さ方向により分可能が上がるため、深さ方向に細かい情報を得ることがきでる。本実施形態では、撮影モードの方が診断用モードに比べて角度を大きく振って撮影を行っているため、診断用モードの方が深さ方向に細かい情報を得ている。そこで、撮影モードの場合は、診断用モードに比べて、スライス厚を薄くして、再構成を行っている。なお、スライス厚は、撮影モードの方が、診断用モードに比べ薄ければよく、具体的な厚さは、本実施の形態では、撮影モードでは0.5mm、診断用モードでは1mmとしているが、特に限定されるものではなく、例えば、撮影角度に応じるようにしてもよい。また、ユーザがスライス厚を指示した場合は、上記に限らず、ユーザの指示に従うようにすればよい。
次のステップS222では、再構成した断層画像を画像処理装置50のディスプレイ52や、表示装置80の表示部80Aに表示させるよう指示した後、本処理を終了する。
一方、ステップS204で診断用モードと判断された場合は、ステップS224へ進む。ステップS224では、上記撮影モードのステップS206と同様に、乳房Nの厚みに応じて線量を決定する。ただし、診断用モードでは、ビニング処理を行わない撮影用モードに比べて、1回の撮影において照射する放射線の線量をビニング処理の内容に応じて少なくしている。例えば、上記第1の実施形態及び第2の実施形態のように、4つの画素20を画素群としてビニング処理を行う場合、該画素群を1画素とみなした場合に、1画素当たりの線量を通常処理の場合と同じにするため、線量を通常処理を行う撮影の場合の1/4にしている。また、上記第3の実施形態及び第4の実施形態のように、3つの画素20を画素群としてビニング処理を行う場合、該画素群を1画素とみなした場合に、1画素当たりの線量を通常処理の場合と同じにするため、線量を通常処理を行う撮影の場合の1/3にしている。
次のステップS226では、上記撮影モードのステップS208と同様に、撮影角度範囲及び所定角度に基づいて、撮影回数を決定する。上述したように、本実施の形態では、具体的一例として、診断用モードでは、おおまかな撮影を行うために、撮影角度範囲を±10度、及び所定角度を1度としている。そのため、個々では、撮影回数は、20回と決定される。
次のステップS228では、上記撮影モードのステップS210と同様に、最大撮影角度(本実施の形態では、左に10度)支持部507を動かして、放射線照射部24を移動させる。さらに、次のステップS230では、放射線照射部24から放射線を照射させて乳房Nを撮影すると共に、放射線検出器42がビニング処理を行う。ここでは、(図5、ステップS106参照)と同様に、撮影及びビニング処理を行う。すなわち、各画素群毎に電荷を読み出すために、スキャン配線(例えば、第1の実施形態では、第2のスキャン配線G2、及び第3のスキャン配線G3)に対して、オン信号を出力して、各画素群を1画素として扱うビニング処理を行う。これにより、各画素を1画素とみなして電荷信号を読み取るビニング処理を行う。これにより、放射線検出器42内でビニング処理された放射線画像が得られる。
次のステップS232では、上記撮影モードのステップS214と同様に、上記ステップS226で決定した撮影回数分の撮影を終了したか否か判断する。まだ、終了していない場合は、否定されてステップS234に進み、右に所定角度=1度、支持部507を動かして、放射線照射部24を移動させた後、ステップS230に戻り、本処理を繰り返す。一方、決定した回数分の撮影を終了した場合は、肯定されてステップS236へ進む。ステップS236では、上記撮影モードのステップS218と同様に、撮影した放射線画像(20回分)を放射線検出器42から画像処理装置50に出力させる。
次のステップS238では、画像処理装置50が放射線検出器42から取得した放射線画像に基づいて断層画像を再構成する。上記撮影モードのステップS220と同様に、断層画像の再構成の仕方は、特に限定されるものではなく、公知の再構成方法に基づいて断層画像の再構成を行えばよい。なお、上述したように本実施の形態では、断層画像を再構成する際のスライス厚(断層画像の厚さ)は、診断用モードの場合は1mmとしており、撮影モードに比べて、厚くなっている。
次のステップS240では、再構成した断層画像を画像処理装置50のディスプレイ52や、表示装置80の表示部80Aに表示させるよう指示した後、本処理を終了する。
このように本実施の形態では、トモシンセシス撮影を行う場合、おおまかな撮影を行う診断用モードでは、撮影角度範囲を小さくして撮影回数を少なくしているため、高速に撮影を行うことができる。また、ビニング処理を行うようにしている。さらに、ビニング処理を行う際に、照射される放射線量が少なくなるように、具体的には、画素群(1画素とみなす)当たりの放射線量が撮影モードと同じになるように制御しているため、被検者Wの被曝量を低減することができる。また、撮影モードでは、撮影角度範囲を大きくしている(撮影角度を大きく振っている)ため、より多くの情報(画像情報)を得ることができる。特に、深さ方向に細かい情報を得ることができる。従って、高精細な画像を得ることができる。
なお、本実施の形態では、トモシンセシス撮影を行う撮影装置41の具体的一例として、マンモグラフィに適用した場合について説明したがこれに限らない。本実施の形態の画像撮影処理及び画像表示処理を、その他の部位に対してトモシンセシス撮影を行う撮影装置41においても同様に適用することができることはいうまでもない。
また、本実施の形態では、撮影装置41の操作パネル44や画像処理装置50の操作入力部54により、ユーザが撮影に関する指示を行う場合について説明したがこれに限らない。例えば、別途に設けられた、コンソール等を用いてユーザが指示を行うように構成してもよい。