JP6102769B2 - ウォーターアシスト成形品 - Google Patents

ウォーターアシスト成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP6102769B2
JP6102769B2 JP2014011965A JP2014011965A JP6102769B2 JP 6102769 B2 JP6102769 B2 JP 6102769B2 JP 2014011965 A JP2014011965 A JP 2014011965A JP 2014011965 A JP2014011965 A JP 2014011965A JP 6102769 B2 JP6102769 B2 JP 6102769B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molded product
water
molding material
molding
reinforcing fibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014011965A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015139879A (ja
Inventor
岡 哲史
哲史 岡
吉則 牧
吉則 牧
修 馬渕
修 馬渕
木野 等
等 木野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyoda Gosei Co Ltd
Original Assignee
Toyoda Gosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyoda Gosei Co Ltd filed Critical Toyoda Gosei Co Ltd
Priority to JP2014011965A priority Critical patent/JP6102769B2/ja
Publication of JP2015139879A publication Critical patent/JP2015139879A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6102769B2 publication Critical patent/JP6102769B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

本発明はウォーターアシスト成形法と呼ばれる成形方法で得られた成形品に関する。
中空部を有する樹脂成形品を成形する場合、ガスアシスト成形法と呼ばれる成形方法を選択するのが一般的である。ガスアシスト成形法とは、射出成形法の一種であり、成形型のキャビティに注入された流体状の成形材料中に気体を圧入することで、成形品に中空部を形成し得る。以下、必要に応じて、流体状の成形材料を溶融成形材料と呼ぶ。また、成形品の中空部に対応するキャビティ内の部分を中空予定部と呼ぶ。
しかしガスアシスト成形法においては、キャビティ内に溶融成形材料を注入し、さらに、キャビティの中空予定部に気体を圧入することで、中空予定部に既に存在していた溶融成形材料を流動させる。換言すると、ガスアシスト成形法によると、溶融成形材料を気体の押圧力によって流動させることで、成形品の中空部を形成する。このため、溶融成形材料が流動し難い材料であれば、溶融成形材料を気体による大きな力で押圧する必要がある。このとき気体に対しては、溶融成形材料からの大きな反力、つまり圧縮方向の大きな力が作用する。成形品を樹脂材料と強化繊維とで構成する場合等には、溶融成形材料が流動し難くなるため、成形時において気体に作用する圧縮方向の力もまた、過大になり易い。気体は比較的体積変化し易く、圧縮時における体積変化量もまた大きい。したがって、気体に作用する圧縮方向の力が過大であると、気体の圧縮量が過大になり、成形品に望みどおりの大きさの中空部を形成し難い場合がある。
気体に換えてキャビティ内の中空予定部に液体を圧入するウォーターアシスト成形法(WIT:Water−assisted Injection Technology)が知られている(例えば、特許文献1参照)。液体は気体よりも圧縮し難いため、ウォーターアシスト成形法によると、比較的流動性に劣る溶融成形材料に対しても、充分な押圧力を作用させることが可能である。参考までに、ウォーターアシスト成形法で得られた成形品は、例えば、自動車用の冷却系ホースとして使用できる。ウォーターアシスト成形法に用いる成形材料としては、ガラスファイバーやタルク等の充填材をPA66に添加したものを用いるのが一般的である。
ところで、上記したガスアシスト成形法やウォーターアシスト成形法においては、成形時に中空部を形成するために押し出された成形材料は損失する。この成形材料をリサイクルできれば良いが、特にウォーターアシスト成形法において成形材料のリサイクルは容易ではない。つまり、上述したようにウォーターアシスト成形法においては成形材料としてPA66を用いるのが一般的であるが、PA66は吸水性が高く水により加水分解され易い。このため、押し出された成形材料の全量をリサイクルし新たな成形材料として用いるのは困難であった。
特開平11−28981号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ウォーターアシスト成形品であって、製造時に損失した成形材料をリサイクル可能なものを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明のウォーターアシスト成形品は、成形型のキャビティに注入された流体状の成形材料中に水を含む液体を圧入することで中空部を形成するウォーターアシスト成形法で成形されてなり、
前記成形材料が冷却固化されてなる壁部を備え、
前記壁部は、PA66およびPA612からなる樹脂材料と、強化繊維と、を含むものである。
本発明のウォーターアシスト成形品は、以下の(1)〜(4)の何れかを備えるのが好ましく、(1)〜(4)の複数を備えるのがより好ましい。
(1)前記樹脂材料と前記強化繊維との質量の和を100質量%としたときに、
前記PA66、前記PA612および前記強化繊維を、それぞれ、23質量%以上43質量%以下含む。
(2)前記強化繊維の平均繊維長は50μm以上200μm以下である。
(3)前記壁部の肉厚は、1.5mm以上5mm以下である。
(4)前記強化繊維は前記壁部中においてランダムに配向している。
本発明のウォーターアシスト成形品は、製造時の損失分を全量または略全量リサイクル可能なものである。
実施例の成形品を模式的に表す一部切り欠き斜視図である。 耐加水分解性評価試験の結果を表すグラフである。 真空ボイド測定試験の結果を表すグラフである。
以下、本発明のウォーターアシスト成形品を具体的に説明する。以下、特に説明のない場合、本発明のウォーターアシスト成形品を本発明の成形品と呼ぶ。また、特に説明のない場合、ウォーターアシスト成形法を単にWIT法と略する。
本発明の成形品は、上述したように、樹脂材料と強化繊維とで構成され、WIT法で成形されてなる。WIT法で用いる液体、つまり、溶融成形材料に圧入する液体は、水を含むものであるため、樹脂材料としては水と反応し難いものを用いるのが良いと考えられる。以下、必要に応じて、WIT法において溶融成形材料に圧入するための液体を圧入液体と略する。
本発明の成形品は、樹脂材料として、PA66(ナイロン66、ナイロン6/6ともいう)およびPA612(ナイロン612、ナイロン6/12ともいう)を含む。PA66は強度に優れ、PA612は耐水性に優れるため、これらを併用することで、製造時に加水分解され難く、かつ、再利用時にも充分な強度を維持し得る、という優れた特性を樹脂材料に付与できる。さらに、PAつまりポリアミド樹脂は耐熱性および成形性に優れ、ガラス転位温度が比較的高い。このため樹脂材料としてPAを用いた成形品は、自動車のエンジンルームに配設するのに適している。つまり、本発明の成形品は、上述した自動車用の冷却系ホースに代表される車両用樹脂部材として好適である。
さらに、圧入液体は水だけで構成しても良いが、各種添加剤を加えても良い。なお、WIT法では、キャビティ内において、流体状の成形材料に圧入液体を圧入するが、ここでいう「流体状の」成形材料とは、溶融および/または軟化した樹脂材料と固体状の強化繊維とを含み、その他の材料を含んでも良い。その他の材料に関しては、このとき溶融および/または軟化しても良いし、固体状であっても良い。
強化繊維は、繊維状でありかつ樹脂材料よりも高強度のものであれば良い。また、後述するように、製品内の強化繊維の平均繊維長は50μm以上かつ200μm以下であるのが好ましい。
強化繊維の配合量は、強化繊維の強度や成形品に要求される強度、成形品の成形性、成形品の見栄え、原料コスト等を考慮して適宜設定すれば良い。例えば、成形品の強度および成形性を考慮すると、樹脂材料と強化繊維との質量の和を100質量%としたときに、強化繊維の配合量は10質量%以上50質量%以下であるのが好ましく、20質量%以上40質量%以下であるのがより好ましい。
強化繊維の強度は引張強さで表すことができる。例えば成形品に要求される強度(引張強さ)が40MPa程度である場合には、強化繊維の強度(引張強さ)は3000MPa以上であるのが好ましい。なお、引張強さは一般的な試験方法で測定すれば良く、例えば、ISO 527−3に準拠して測定すれば良い。このような強度の強化繊維としては種々のものが知られているが、例えば、一般的な強化繊維であるガラスファイバーやカーボンファイバーを好ましく使用できる。強化繊維の強度に好ましい上限値はないが、価格や取り扱い性等を考慮し強いて挙げるとすると、6000MPa以下であるのが良いと考えられる。
成形品の材料すなわち成形材料は、樹脂材料および強化繊維以外の添加剤を含み得る。例えば、タルク、ガラスフレーク、クレイ等である。これらの添加剤の配合量は、樹脂材料および強化繊維を含む成形材料全体を100質量%としたときに40質量%以下であるのが好ましい。つまり、本発明の成形品は、PA66、PA612および強化繊維を主成分とするのが好ましい。
ところで、ウォーターアシスト成形法においては、中空部を形成するための流体として液体を用いているため、当該液体(つまり圧入液体)近傍に存在する溶融成形材料は急速に冷却される。したがって、圧入液体近傍に存在する溶融成形材料、および、成形型の型面近傍に位置する溶融成形材料は、他の部分に存在する溶融成形材料に先んじて急速に冷却され固化する。換言すると、この種の成形方法によると、型面および圧入液体から離間している溶融成形材料が溶融状態にあるにもかかわらず、型面および圧入液体近傍の溶融成形材料は急速に冷却され固化してスキン層を形成する。そしてその結果、内部応力により、真空ボイドと呼ばれる空洞が成形品に生じる場合がある。
これに対して、強化繊維の平均繊維長を50μm以上かつ200μm以下にすることで、成形品における真空ボイドを低減することが可能である。以下、必要に応じて、成形品における強化繊維の平均繊維長を、製品繊維長と略する。実施例にて詳説するが、製品繊維長が長い程、真空ボイドの発生量も増大する。これは、強化繊維の繊維長が長い程、キャビティ内において強化繊維が一方向に配向し易くなることに由来すると考えられる。つまり、成形時において溶融成形材料が流動することによって強化繊維が受ける外力は、強化繊維の繊維長が長い程、大きくなる。このため繊維長が長い程、強化繊維は溶融成形材料の流動方向に沿って配向し易くなる。そして強化繊維が一方向に配向している場合には、成形品は強化繊維の配向方向には強化されるが、当該配向方向と直交する方向には強化され難い。したがってこの場合、強化繊維の配向方向と直交する方向に力が作用すると、強化繊維間において成形品が剥離し易くなる。
強化繊維は、溶融成形材料の流動方向、つまり、キャビティ内への溶融成形材料の注入方向に沿って配向し易い。つまり、強化繊維は、キャビティ内において成形型の型面に沿って配向し易い。これに対して、WIT法においては、成形型の型面および圧入液体と、型面および圧入液体から離間している溶融成形材料(つまり、成形品の肉厚方向略中央部に位置する溶融成形材料)との温度差が大きい。またこれに起因して、成形品の肉厚方向略中央部に位置する溶融成形材料は溶融した状態にあっても、成形型の型面近傍および圧入液体近傍には溶融成形材料が急速に冷却され固化してスキン層が形成される。このように溶融成形材料の冷却速度差が大きければ、成形品の収縮量に差が生じ、冷却時の成形品においては、型面側および圧入液体側から肉厚方向略中央部に向けた内部応力が作用する。この内部応力は型面に対して交叉する方向(多くの場合、型面に対して直交する方向)に生じるため、冷却時の成形品には強化繊維の配向方向と直交する方向に向けた内部応力が作用するとも言える。そしてその結果、真空ボイドと呼ばれる空洞が生じると考えられる。
これに対して、強化繊維の繊維長が短ければ、成形時つまり溶融成形材料の流動時に強化繊維に作用する外力は小さく、強化繊維は一方向に配向し難い。換言すると、この場合には強化繊維はランダムに配向する。ここで、「強化繊維が一方向に配向する」とは強化繊維の80%以上が平行に配置されることを指す。ここでいう強化繊維の80%とは任意に選択した強化繊維50本を100%としたパーセンテージである。強化繊維の選択方法としては、先ず成形品を成形時の溶融成形材料の流動方向と平行な方向に切断し、次いで、顕微鏡下にてこの断面に露出している任意の強化繊維を50本選択する方法が例示される。また、ここでいう平行とは±15°の誤差を許容する。そして、「強化繊維がランダムに配向する」とは、当該平行に配置された強化繊維が全体の50%未満であることを意味する。強化繊維がランダムに配向すれば、成形品は強化繊維により多方向に補強されて、冷却時に成形品に生じる内部応力に抗し得る。したがって上記した真空ボイドが抑制されるものと考えられる。
なお、強化繊維は、平均繊維長が上述した範囲内にあれば良く、その平均繊維径は特に限定しないが、10μm以下であるのが好ましい。繊維径が過大であれば、溶融前の材料混合物の状態において強化繊維の分散性を充分に高め難く、強度的に均質な製品を得難くなる場合がある。
また、本発明の成形品は中空部を有するものであり、例えば、管状、筒状、袋状等の形状をなす。本発明の成形品は直筒状、直管状等であっても良いが、湾曲または屈曲していても良いし、分枝していても良い。また、一部に中空部を有するものであれば良く、中空のない部分があっても良い。このような本発明の成形品は、種々の流体を流通させるための管や、種々の物体を収容するための容器として利用可能である。具体的には、車両等の各種装置に配設される冷却系ホース、気体用ホース、燃料用ホース等に好ましく使用できる。特に、本発明の成形品は加水分解され難い特性をもつため、水系媒体用の配管、水中で使用される配管等として好ましく使用できる。
以下、実施例を基に本発明の成形品を説明する。
(実施例1)
実施例1の成形品は車両用の冷却系ホースであり、より具体的にはロングライフクーラント(LLC)用配管の一部である。実施例の成形品を模式的に表す一部切り欠き斜視図を図1に示す。
実施例1の成形品1は、図1に示すように略管状をなす。成形品1は管状の本体部10と本体部10に一体形成されているブラケット部11とを持つ。管状をなす本体部10の周壁が壁部20を構成し、壁部20で区画された管の内部が中空部30である。
実施例1の成形品は樹脂材料と強化繊維とを材料としてなり、樹脂材料としてはPA66とPA612とを1:1の質量比で混合したものを用いた。強化繊維としては、平均繊維長約50μm、平均繊維径約10μmのグラスファイバーを用いた。この強化繊維の強度(引張強さ)は3000MPaであり、実施例1の成形品に要求される強度(引張強さ)は41MPaであった。なお、引張強さはISO 527−3に準拠して測定した。上記した強化繊維の平均繊維長(つまり、材料としての強化繊維の平均繊維長)は、材料メーカーのカタログに記載されている値であるが、実測することもできる。具体的には、任意の強化繊維100本の自然状態における長さを測定し、当該測定値を基に平均値を算出すれば良い。各繊維の長さはノギスや定規に代表される一般的な測定器、または、解析ソフト等を用いて測定可能である。例えば、強化繊維の長さは、顕微鏡像を撮像し拡大したものを上記した測定器を用いて測定しても良いし、或いは、強化繊維の顕微鏡像を画像解析することで測定しても良い。
以下、必要に応じて、上記の方法で測定した材料としての強化繊維の平均繊維長を「材料繊維長」と呼ぶ。なお、一般に、材料繊維長は製品繊維長よりも長い。具体的には、製品繊維長は材料繊維長の70〜40%程度の長さであるのが一般的である。製品繊維長は、成形時の成形型内における溶融成形材料の流動速度や、成形装置(特にスクリュー)による剪断力を適宜調製することで、所望の長さに調整し得る。
実施例において、製品繊維長は以下のように測定した。先ず、成形品を加熱し、樹脂を揮発および/または燃焼させて、強化繊維だけを取り出した。この強化繊維100本につき、顕微鏡像を定規または画像処理ソフトにより測定した。なお、成形品における強化繊維の平均繊維径は、材料としての強化繊維の平均繊維径と略等しいため、材料メーカーのカタログ値を代用し得る。
上記の樹脂材料と強化繊維とを2:1の質量比で混合したものを成形材料として用いた。言い換えると、実施例1の成形品を製造するのに用いた成形材料は、PA66、PA612およびグラスファイバーをPA66:PA612:グラスファイバー=1:1:1の質量比で混合した混合材料である。この混合材料をWIT用の成形機に投入し、成形型を型締めおよび加熱し混合材料中の樹脂材料を溶融させて、射出成形型のキャビティに射出(注入)した。なお、キャビティは、成形品1の外形に対応する型面を持つものである。次いで、溶融成形材料が注入されたキャビティに、圧入液体(実施例1では水)を圧入した。圧入液体はキャビティの略中心部分(図略の中空予定部)に圧入された。そして、当該中空予定部に存在していた溶融成形材料、および、圧入液体の一部はキャビティの外部に押し出された。そして、溶融成形材料を冷却および固化して、中空部を有する実施例1の成形品を得た。実施例1の製品繊維長は約50μmであった。また、実施例1の成形品においては、強化繊維はランダムに配向していた。
(比較例1)
比較例1の成形品は、成形材料用の樹脂材料としてPA66のみを用いPA612を用いなかったこと、PA66:グラスファイバーの質量比がPA66:グラスファイバー=70:30であったこと以外は、後述する実施例3の成形品と同じものである。なお、比較例1の成形品においても、強化繊維はランダムに配向していた。
(実施例2)
実施例2の成形品は、材料繊維長、および製品繊維長以外は実施例1と同じものである。実施例2の成形品において、製品繊維長は約100μmであった。また、実施例2の成形品においても、強化繊維はランダムに配向していた。
(実施例3)
実施例3の成形品は、材料繊維長、および製品繊維長以外は実施例1と同じものである。実施例3の成形品において、製品繊維長は約140.8μmであった。また、実施例3の成形品においても、強化繊維はランダムに配向していた。
(実施例4)
実施例4の成形品は、材料繊維長、および製品繊維長以外は実施例1と同じものである。実施例4の成形品において、製品繊維長は約200μmであった。また、実施例4の成形品においても、強化繊維はランダムに配向していた。
(参考例1)
参考例1の成形品は、材料繊維長、および製品繊維長以外は実施例1と同じものである。参考例1の成形品において、製品繊維長は約250μmであった。参考例1の成形品においては、強化繊維はランダムに配向していなかった。
(参考例2)
参考例2の成形品は、材料繊維長、および製品繊維長以外は実施例1と同じものである。参考例2の成形品において、製品繊維長は約305μmであった。参考例2の成形品においても、強化繊維はランダムに配向していなかった。
(参考例3)
参考例3の成形品は、材料繊維長、および製品繊維長以外は実施例1と同じものである。参考例3の成形品において、製品繊維長は約377μmであった。参考例3の成形品においても、強化繊維はランダムに配向していなかった。
(比較例2)
比較例2の成形品は、成形材料用の樹脂材料としてPA66のみを用いPA612を用いなかったこと、充填材として平均粒径10μmのグラスビーズとグラスファイバーとを併用したこと、PA66:グラスファイバー:グラスビーズの質量比がPA66:グラスファイバー:グラスビーズ=70:15:15であったこと以外は、実施例3の成形品と同じものである。なお、比較例2の成形品においても、強化繊維はランダムに配向していた。
<耐加水分解性評価試験>
実施例3および比較例1の各成形品の加水分解性をJISK7162に基づいて評価した。詳しくは、各成形品と同じ成形材料を用い、JISK7162に規定されるダンベルを射出成形した。ダンベル状の成形品は、それぞれ6個ずつ準備した。各成形品をロングライフクーラント(LLC)の水溶液(LLC水溶液)に浸漬し、引張強度の推移を測定した。LLCとしては、90〜95質量部のエチレングリコール、4〜6質量部のリン酸塩系防錆剤および5質量部以下の水を合計100質量部となるように混合したものを用いた。LLC水溶液は、LLCと水とを質量比1:1で混合したものであった。120℃に維持したこのLLC水溶液に各成形品を浸漬した。所定時間(0、120、500、1000、1680、2000時間)が経過する毎に、実施例3と同材料の成形品および比較例1と同材料の成形品をそれぞれ一つずつ取り出した。取り出した各成形品を、120℃の空気中で2時間乾燥した後、120℃の空気中にて200mm/分の引張速度で引っ張り、成形品が切断したときの強度を測定した。耐加水分解性評価試験の結果を図2に示す。
図2に示すように、PA612とPA66とを併用した成形品つまり実施例3と同材料の成形品は、PA66のみを用いた成形品つまり比較例1と同材料の成形品に比べて長期間の浸漬後にも引張強度の低下が少なかった。つまり、この結果から、実施例3の成形品は比較例1の成形品に比べて耐加水分解性に優れることがわかる。また、この結果から、樹脂材料としてPA66に加えてPA612を選択することで、成形品の耐水性を向上させ得ることが判る。
このように、実施例3の成形品は耐加水分解性に優れることから、実施例3の成形品を成形する際に生じる損失分もまた、耐加水分解性に優れるといえる。つまり、この結果から、実施例3の成形品の製造時に生じた損失分は、リサイクル可能であるといえる。
<リサイクル耐性評価試験>
実施例3および比較例2の各成形品について、リサイクル耐性を評価した。詳しくは、実施例3および比較例2の各成形品を粉砕機で粉砕し、粉砕された成形品を120℃2時間乾燥したものを成形材料としてウォーターアシスト成形を行った。このようにウォーターアシスト成形品を粉砕し、乾燥し、再度ウォーターアシスト成形する工程を10回繰り返した。そして、10回目に成形したウォーターアシスト成形品を粉砕して、上記した耐加水分解性評価試験と同様にダンベル状の評価成形品を成形した。他方、実施例3および比較例2の成形品と同じ成形材料を用いて、ダンベル状の基準成形品を成形した。実施例3の成形品と同じ成形材料を用いた基準成形品を実施例3の基準成形品と呼ぶ。また、実施例3の成形品を用いた評価成形品を実施例3の評価成形品と呼ぶ。また、比較例2の成形品と同じ成形材料を用いた基準成形品を比較例2の基準成形品と呼び、比較例2の成形品を用いた評価成形品を比較例2の評価成形品と呼ぶ。
各評価成形品および基準成形品について降伏強度を測定した。詳しくは、各評価成形品および基準成形品を120℃の空気中で2時間乾燥した後、常温(25℃)の空気中にて200mm/分の引張速度で引っ張って、降伏強度を測定した。
実施例3の基準成形品の降伏強度を100%としたときの、実施例3の評価成形品の降伏強度の割合(強度維持率、%)を算出した。同様に、比較例2の基準成形品の降伏強度を100%としたときの、実施例3の評価成形品の降伏強度の割合(強度維持率、%)を算出した。各強度維持率の測定結果を表1に示す。
Figure 0006102769
表1に示すように、実施例3の評価成形品の強度維持率は比較例2の評価成形品の強度維持率よりも高い。つまり、実施例3の成形品は比較例2の成形品に比べてリサイクル耐性に優れていた。つまり、この結果からも、実施例3の成形品は、製造時に生じた損失分のリサイクルに適しているといえる。なお、上記試験においては、成形品の全量をリサイクルしているが、成形品により高い強度が求められる場合には、リサイクル材に新しい成形材料を適宜混合して用いても良い。
<真空ボイド測定試験>
実施例1〜実施例4および参考例1〜参考例3の各成形品について、真空ボイドの発生量を測定した。真空ボイドの測定には、上記した製品繊維長を測定するのに用いた成形品の断面を用いた。具体的には、当該断面における真空ボイドの長さ(長手方向の長さ)をノギスまたは定規で測定した。複数の真空ボイドが形成されていた場合には、当該長さの総和を真空ボイドの長さとみなした。真空ボイド測定試験で測定した真空ボイドの長さと、製品繊維長と、の関係を図3に示す。図3に示すように、製品繊維長が長ければ長い程、真空ボイドの長さもまた長くなった。また、製品繊維長が200μm以下である実施例1〜4の成形品では真空ボイドは発生せず、製品繊維長が200μmを超える参考例1〜3の成形品では真空ボイドが発生した。つまり、この結果から、製品繊維長が200μm以下である成形品においては、真空ボイドの発生が抑制されているといえる。また、平均繊維長が過小である強化繊維は、強化繊維としての機能つまり成形品を補強する機能を充分に果たし得ないが、実施例1〜実施例4の成形品における製品繊維長は50μm以上であり、成形品の強度は充分に高く維持される。参考までに、製品繊維長140.8μmの実施例3の成形品では、引張強さは41MPaであり、降伏強度は200MPaであった。このように、製品繊維長が50μm以上である成形品は充分な強度を示す。
なお、本発明の成形品において、真空ボイドの抑制を考慮すると、製品繊維長は50μm以上200μm以下であれば良く、材料繊維長は特に問わない。実施例に示したように、強化繊維の繊維長が当該条件を満たせば、ウォーターアシスト成形品における真空ボイドの発生を抑制できる。
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
(付記)本発明の成形品は、樹脂材料にPA66およびPA612を含むことを必須とするものであるが、本明細書からは以下の概念を抽出することもできる。
(付記項1)
成形型のキャビティに注入された流体状の成形材料中に液体を圧入することで中空部を形成するウォーターアシスト成形法で成形されてなり、
前記成形材料が冷却固化されてなる壁部を備え、
前記壁部は、樹脂材料と強化繊維とを含み、
前記強化繊維の平均繊維長は50μm以上200μm以下であるウォーターアシスト成形品。
(付記項2)
前記壁部の肉厚は、1.5mm以上5mm以下である付記項1に記載のウォーターアシスト成形品。
(付記項3)
前記樹脂材料と前記強化繊維との質量の和を100質量%としたときに、前記強化繊維を10質量%以上50質量%以下含む付記項1または付記項2に記載のウォーターアシスト成形品。
(付記項4)
前記強化繊維は前記壁部中においてランダムに配向している付記項1〜付記項3の何れか一項に記載のウォーターアシスト成形品。
1:成形品 10:本体部 11:ブラケット部
20:壁部 30:中空部

Claims (4)

  1. 中空部を有するウォーターアシスト成形品を製造する方法であって、
    成形型のキャビティに注入された流体状の成形材料中に水を含む液体を圧入することで前記成形材料を前記キャビティの外部に押し出して中空部を形成し、前記成形材料が冷却固化されてなる壁部と、前記中空部と、を備えるウォーターアシスト成形品を成形する成形工程と、
    前記成形工程において前記キャビティの外部に押し出した前記成形材料を、前記成形工程において前記成形材料の少なくとも一部として用いるリサイクル工程と、を有し、
    前記成形材料は、樹脂材料であるPA66およびPA612と、強化繊維であるグラスファイバーと、を含み、
    前記成形工程の前記成形材料における前記PA66、前記PA612および前記強化繊維の含有量は、それぞれ、前記樹脂材料と前記強化繊維との質量の和を100質量%としたときに23質量%以上43質量%以下である、ウォーターアシスト成形品の製造方法。
  2. 前記ウォーターアシスト成形品における前記強化繊維の平均繊維長は50μm以上200μm以下である請求項1記載のウォーターアシスト成形品の製造方法
  3. 前記壁部の肉厚は、1.5mm以上5mm以下である請求項1または請求項に記載のウォーターアシスト成形品の製造方法
  4. 前記強化繊維は前記壁部中においてランダムに配向している請求項1〜請求項の何れか一項に記載のウォーターアシスト成形品の製造方法
JP2014011965A 2014-01-27 2014-01-27 ウォーターアシスト成形品 Active JP6102769B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014011965A JP6102769B2 (ja) 2014-01-27 2014-01-27 ウォーターアシスト成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014011965A JP6102769B2 (ja) 2014-01-27 2014-01-27 ウォーターアシスト成形品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015139879A JP2015139879A (ja) 2015-08-03
JP6102769B2 true JP6102769B2 (ja) 2017-03-29

Family

ID=53770593

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014011965A Active JP6102769B2 (ja) 2014-01-27 2014-01-27 ウォーターアシスト成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6102769B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015139878A (ja) * 2014-01-27 2015-08-03 豊田合成株式会社 ウォーターアシスト成形品

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2895151B2 (ja) * 1990-03-20 1999-05-24 オリンパス光学工業株式会社 円筒状カメラ部品の射出成形部品
JP4130007B2 (ja) * 1997-05-28 2008-08-06 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 熱可塑性樹脂成形用の金型組立体及び成形品の製造方法
JP3683080B2 (ja) * 1997-09-25 2005-08-17 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 樹脂組成物、並びに中空部を有する射出成形品及び射出成形方法
JP2007069832A (ja) * 2005-09-08 2007-03-22 Nissan Motor Co Ltd 車両用樹脂製部品及びその製造方法
CN101432362B (zh) * 2006-04-27 2011-04-06 旭化成化学株式会社 树脂组合物及由该树脂组合物制造的汽车发动机罩内部件
DE102006041386A1 (de) * 2006-08-30 2008-03-13 Takata-Petri Ag Lenkrad für ein Fahrzeug und Verfahren zu dessen Herstellung
KR100844728B1 (ko) * 2006-12-12 2008-07-07 현대자동차주식회사 자동차 라디에이터용 폴리아미드 수지 조성물
JP5947491B2 (ja) * 2010-11-17 2016-07-06 三桜工業株式会社 フューエルインジェクションレール
JP2015139878A (ja) * 2014-01-27 2015-08-03 豊田合成株式会社 ウォーターアシスト成形品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015139879A (ja) 2015-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ameli et al. Through-plane electrical conductivity of injection-molded polypropylene/carbon-fiber composite foams
US20020041049A1 (en) Nozzle insert for long fiber compounding
JP5768811B2 (ja) 射出成形体の製造方法
JP2011148267A (ja) ポリアミド樹脂成形品の製造方法
US20170275458A1 (en) Polyamide resin composition comprising fiber reinforced polyamide pellet and molded article thereof
CN104086891A (zh) 一种用于3d打印的聚丙烯和聚乙烯复合耗材及其制备方法
JP2015078368A (ja) 熱可塑性成形組成物
JP6102769B2 (ja) ウォーターアシスト成形品
JP5767850B2 (ja) 電子機器ハウジング用の薄肉成形体
WO2016052480A1 (ja) ガスインジェクション成形用樹脂組成物およびそれを用いて得られた中空成形体、並びにその中空成形体の製法
KR101602814B1 (ko) 고인장강도용 유리 섬유 강화 폴리아마이드66 수지 조성물 및 이의 제조방법
JP2009242616A (ja) 樹脂射出成形品及びその成形方法
JP2016166276A (ja) ポリアミド樹脂中空成形体
JP6501505B2 (ja) ガラス繊維強化樹脂成形品の成形方法
JP6955506B2 (ja) Peek樹脂組成物成形体
JP2017210616A (ja) 繊維含有樹脂構造物、繊維含有樹脂構造物の製造方法、繊維強化樹脂硬化物、及び繊維強化樹脂成形品
JP2015139878A (ja) ウォーターアシスト成形品
JP5971795B2 (ja) 炭素繊維複合樹脂ビーズならびに炭素繊維強化複合材料およびその製造方法
JP2005298663A (ja) 樹脂製自動車内装部品
JPWO2019044864A1 (ja) 造形物及びその製造方法
JP2007106959A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2005297338A (ja) 樹脂製自動車機構部品
CN108884320B (zh) Pas树脂组合物
JP6359856B2 (ja) 車両用外装品、車両用外装品製造方法および、車両用外装品の材料
JP2015074674A (ja) ガラス繊維補強部材及び熱可塑性樹脂成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161028

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161101

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170131

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170213

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6102769

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150