JP6102669B2 - 伝送中継器、データ中継方法、およびプログラム - Google Patents

伝送中継器、データ中継方法、およびプログラム Download PDF

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Description

この発明は、データの伝送中継技術に関する。
複数の車両を連結してなる鉄道車両の運行制御のためのシステムの一例として、先頭車両や末尾の車両に設けられたコントローラから出力される各種指令を各車両のドアコントローラやVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)装置などの制御対象装置へ伝達する伝送中継システムが挙げられる。この種の伝送中継システムでは、運行の安全を確保するために、データ通信についての高い信頼性(コントローラから送信されたデータが正確かつ確実に各制御対象装置に伝達されること)が要求される。これに対してインターネットなどにおけるデータ通信では、データ通信の信頼性よりも、単位時間当たりのデータ転送量の向上や秘匿性の確保が重要になることが多かった。このため、インターネット向けの技術をそのまま鉄道車両用伝送中継システムに適用することは難しく、鉄道車両用伝送中継システムの分野においては信頼性向上のための技術が種々提案されていた。これらの技術の一例としては、特許文献1〜4が挙げられる。なお、特許文献2〜4は何れも特許文献1の改良技術であるため、以下では特許文献1に開示の技術について説明する。
特許文献1に開示の技術では、図11に示すように、複数の車両(図11に示す例では、1号車〜N(2以上の整数)号車の各車両)を連結してなる鉄道車両の各車両に伝送中継器90M(n)(n=1〜N)を1つずつ設置するとともに伝送中継器90S(n)(n=1〜N)を1つずつ設置し、先頭車両(図11に示す例では、1号車)のコントローラ92と、伝送中継器90M(n)および90S(n)(n=1〜N)と末尾の車両(図11に示す例では、N号車)のコントローラ94とを以下のように接続することで、主系および従系の2本の幹線伝送路が形成される。すなわち、コントローラ92、主系の伝送中継器90M(n)、およびコントローラ94をツイストペアケーブルなどの通信線により直列に接続することで主系の幹線伝送路が形成され、コントローラ92、従系の伝送中継器90S(n)およびコントローラ94を同様に接続することで従系の幹線伝送路が形成される。図11では詳細な図示を省略したが、各車両に設けられる制御対象装置はこれら2つの幹線伝送路に接続される。これら2つの幹線伝送路は、その一方が鉄道車両の左側に敷設され、他方が同鉄道車両の右側に沿って敷設されることが多い。これは事故などにより鉄道車両の一方の側面がダメージを受けた場合であっても、他方の側面に沿って敷設された幹線伝送路を介してデータ通信を行えるようにするためである。
加えて、特許文献1に開示の技術では、n(n=1〜N)号車に各々設置された伝送中継器90M(n)と90S(n)が通信線により接続され、これにより系間伝送路が形成される。つまり、特許文献1に開示の技術では、主系および従系の各幹線伝送路と各幹線伝送路と交差する系間伝送路とにより、図11に示す梯子状の伝送路が形成される。そして、特許文献1に開示の技術では、コントローラ92(或いはコントローラ94)には運転士(或いは車掌)から与えられる指示に応じて各種指令を表すデータを主系および従系の幹線伝送路に同時に出力する処理を実行させ、伝送中継器90M(n)および90S(n)には以下の処理を実行させることで、データ通信の信頼性が高められている。すなわち、伝送中継器90M(n)および90S(n)の各々は、幹線伝送路を介して上流側(データの送信元に近い側)からデータを受信すると、当該データを系間伝送路へ送出する第1の処理と、幹線伝送路を介して上流側から受信したデータと系間伝送路を介して受信したデータとが同一であるか否かを判定し同一であれば先に受信したほうを幹線伝送路の下流側へ転送する第2の処理とを実行する。これらの処理を伝送中継器90M(n)および90S(n)に実行させることで、何れかの伝送中継器に故障が発生した場合であっても、図12に示すように、故障の発生した伝送中継器よりも下流側へ、コントローラから送信されたデータを伝送することが可能になる。
特開2005−039783号公報 特開2008−187740号公報 特開2009−089433号公報 特開2010−273379号公報
特許文献1に開示の技術では、幹線伝送路を介して上流側から受信したデータと系間伝送路を介して受信したデータとが同一であるか否かの判断をIP(Internet Protocol)フレームの内容(IPヘッダやデータ部)を解析して行っている。このため、特許文献1に開示の技術には、IP以外の通信プロトコルに準拠したデータ通信には適用できないといった問題や、IPフレームの解析のために伝送中継器における処理負担が重くなるといった問題がある。
特許文献1に開示の技術では、主系の幹線伝送路の各伝送中継器は従系のデータよりも先に主系のデータを受信することが一般的であるが、何らかの不具合により従系のデータを先に受信してしまうと、主系の幹線伝送路に従系のデータが流れてしまう。また、伝送中継器が系間伝送路を介して受信したIPフレームについて、幹線伝送路を介して上流側から受信したIPフレームとの同一性の判定に関わる部分にビット誤り等のデータ誤りが発生すると、互いに異なるIPフレームであると判定され、系間伝送路を介して受信したIPフレームが幹線伝送路の下流側へ転送されてしまう場合もある。鉄道車両用伝送中継システムにおいて、各車両の制御対象装置は、主系および従系の両方の幹線伝送路からデータを受信した場合には予め定められた方(一般的には、主系)のデータにしたがって作動するように構成されていることが多い。しかし、上記のように主系のデータと従系のデータとが混在して主系の幹線伝送路に流れてしまうと、制御対象装置が従系のデータにしたがって作動してしまう場合があり、誤動作の原因に成りかねない。
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、特定の通信プロトコルを前提としたり、伝送中継器に重い処理負荷を掛けたりすることなく、主系および従系の各幹線伝送路と系間伝送路とにより梯子状の伝送路を形成してデータ通信の信頼性を高め、さらに各幹線伝送路に主系と従系のデータが混在して流れることを確実に回避することを可能にする技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の伝送中継器は、第1の伝送路に接続される第1の通信インタフェース部と、前記第1の伝送路とは異なる第2の伝送路に接続される第2の通信インタフェース部と、を有していることに加えて、以下に説明する初期化処理、第1の中継処理および第2の中継処理を実行する制御部を有していることを特徴とする。ここで、初期化処理とは、第1および第2の中継処理にて参照する中継判断フラグに初期値として第1の値をセットする処理である。第1の中継処理とは、第2の通信インタフェース部を介してデータを受信する毎に実行される処理であり、中継判断フラグの値が第1の値であれば当該データを破棄して中継判断フラグに前記第1の値とは異なる値をセットする一方、中継判断フラグの値が第1の値とは異なる値であれば当該データを第1の通信インタフェース部を介して送出する処理である。そして、第2の中継処理とは、第1の通信インタフェース部を介してデータを受信する毎に実行される処理であり、当該データを第1および第2の通信インタフェース部の各々により無条件に送出するとともに、中継判断フラグに第1の値をセットする処理である。
本発明の伝送中継器では、第1の伝送路を介して受信したデータの当該第1の伝送路および第2の伝送路への転送は無条件で実行され、第2の伝送路を介して受信したデータについては、第1の伝送路からのデータの受信を間に挟まずに当該第2の伝送路からのデータ受信が連続して発生した場合にのみ第1の伝送路へ転送される。第2の伝送路を介して受信したデータの上記第1の中継処理による第1の伝送路への転送は中継判断フラグの値が第1の値以外の値である場合にのみ実行される一方、第1の伝送路を介して受信したデータの上記第2の中継処理による転送が行われる毎に中継判断フラグの値は第1の値にリセットされるからである。
このため、鉄道車両において車両を跨いで敷設される主系および従系の各幹線伝送路の各々を上記第1の伝送路とし、系間伝送路を上記第2の伝送路として、主系および従系の各幹線伝送路と系間伝送路との交差に上記伝送中継器を設置して伝送中継システムを構成すれば、幹線伝送路に断線等の故障が発生していない状況下(すなわち、第1の伝送路からのデータ受信が継続している間)では主系と従系の各々に他方のデータが流れることが確実に回避される。また、本発明の伝送中継器では第1の伝送路を介して受信したデータの中継制御および第2の伝送路を介して受信したデータの中継制御の際に各データの内容の解析は行われないため、特許文献1に開示の技術に比較して伝送中継器に重い処理負荷がかかることは無い。また、上記各中継制御においては特定の通信プロトコルを前提としていないため、様々な種類の通信プロトコル(或いはプロトコル階層)におけるデータの中継制御に適用可能である。なお、上記課題を解決するために、上記初期化処理、第1の中継処理、および第2の中継処理を伝送中継器に実行させるデータ中継方法、またはプログラムを提供することも考えられる。
また、別の好ましい態様としては、従系の各伝送中継器に、第1の中継処理として、第1の通信インタフェース部を介して受信したデータを第2の通信インタフェース部により送出するとともに、中継判断フラグの値が第1の値であれば当該中継判断フラグに第1の値とは異なる値をセットする一方、中継判断フラグが第1の値とは異なる値であれば当該受信したデータを第1の通信インタフェース部を介して送出する処理を実行させ、第2の中継処理として、第2の通信インタフェース部により受信したデータを第1の通信インタフェース部へ送出するするとともに、中継判断フラグに第1の値をセットする処理、を実行させるようにしても同様の効果が得られる。
この発明の第1実施形態の伝送中継システム1Aの構成例を示す図である。 同伝送中継システム1Aに含まれる伝送中継器10の構成を示すブロック図である。 同伝送中継器10の他の構成例を示すブロック図である。 同伝送中継システム1Aの動作を説明するための図である。 同伝送中継システム1Aの動作を説明するための図である。 この発明の第2実施形態の伝送中継システム1Bの構成例を示す図である。 同伝送中継システム1Bに含まれる伝送中継器20の構成例を示すブロック図である。 同伝送中継システム1Bの動作を説明するための図である。 同伝送中継システム1Bの動作を説明するための図である。 この発明の第3実施形態の伝送中継器30の構成例を示すブロック図である。 従来の鉄道車両用伝送中継システムを説明するための図である。 従来の鉄道車両用伝送中継システムを説明するための図である。 本発明の第4実施形態の伝送中継器40の構成例を示す図である。 同伝送中継器40の動作を説明するための図である。 この発明の第5実施形態の伝送中継システム1Eの構成例を示す図である。 同伝送中継システム1Eに含まれる伝送中継器50の構成例を示す図である。 本発明の第6実施形態の伝送中継器60の構成例を示す図である。 本発明の第7実施形態の伝送中継器70の構成例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
(A:第1実施形態)
(A−1:構成)
図1は、本発明の第1実施形態の伝送中継システム1Aの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、この伝送中継システム1Aには、先頭車両(図1に示す例では、1号車)に設けられたコントローラ92と、車両毎に設けられた伝送中継器10M(n)(n=1〜N)および10S(n)(n=1〜N)と、末尾の車両(図1に示す例では、N号車)に設けられたコントローラ94とが含まれている。なお、以下では、説明が煩雑になることを避けるため、コントローラ92から各車両の制御対象装置へ宛ててデータが送信されるものの、コントローラ94から各制御対象装置へのデータ送信は発生しないものとする。
本実施形態の伝送中継システム1Aでは、従来の伝送中継システム(図11参照)と同様に、梯子状の伝送路が形成される。より詳細に説明すると、コントローラ92、伝送中継器10M(n)(n=1〜N)、およびコントローラ94をツイストペアケーブルなどの通信線で接続することで主系の幹線伝送路が形成され、コントローラ92、伝送中継器10S(n)(n=1〜N)、およびコントローラ94をツイストペアケーブルなどの通信線で接続することで従系の幹線伝送路が形成される。そして、各車両に設けられた伝送中継器10M(n)と伝送中継器10S(n)とを通信線で接続することで系間伝送路が形成される。
図1に示す伝送中継システム1Aに含まれる伝送中継器10M(n)(n=1〜N)および伝送中継器10S(n)(n=1〜N)の各々は全て同一のハードウェア構成を有している。以下では、伝送中継器10M(n)と伝送中継器10S(n)を区別する必要が無い場合には「伝送中継器10」と表記する。図2は、伝送中継器10の構成例を示すブロック図である。図2に示すように伝送中継器10は、送信器110A、120Aおよび130Aと、受信器110B、120Bおよび130Bと、制御部140とを含んでいる。
受信器110Bは通信線を介して同じ系に属する先頭車両側装置に接続されており、当該通信線を介して先頭車両側装置から送信されてくるデータを受信し、受信したデータを制御部140に引き渡す。ここで、先頭車両側装置とは、幹線伝送路において自装置より一つ手前の車両側(先頭車両側、本実施形態では、データ通信の上流側でもある)に位置する装置のことを言う。例えば、伝送中継器10M(1)および伝送中継器10S(1)についてはコントローラ92が先頭車両側装置となり、伝送中継器10M(n)(n=2〜N)に対しては伝送中継器10M(n−1)が、伝送中継器10S(n)(n=2〜N)に対しては伝送中継器10S(n−1)が夫々先頭車両側装置となる。
送信器110Aは通信線を介して同じ系に属する後続車両側装置に接続されており、制御部140や受信器130Bから引き渡されるデータを当該後続車両側装置へ転送する。ここで、後続車両側装置とは、幹線伝送路において自装置より一つ後ろ(末尾の車両側)に位置する装置のことを言う。例えば、伝送中継器10M(N)および伝送中継器10S(N)についてはコントローラ94が後続車両側装置となり、伝送中継器10M(n)(n=1〜N−1)に対しては伝送中継器10M(n+1)が、伝送中継器10S(n)(n=1〜N−1)に対しては伝送中継器10S(n+1)が夫々後続車両側装置となる。
つまり、送信器110Aと受信器110Bは、幹線伝送路を介してデータを送受信するための第1の通信インタフェース部として機能する。送信器110Aおよび受信器110Bについては例えばリレー回路により実現しても良く、また、NIC(Network Interface Card)により実現しても良い。送信器120Aおよび受信器120B、送信器130Aおよび受信器130Bについても同様である。
受信器120Bは通信線を介して同じ車両に設置された他の系の伝送中継器10の送信器120Aに接続されており、当該通信線を介して受信したデータを制御部140に引き渡す。送信器120Aは通信線を介して同じ車両に設置された他の系の伝送中継器10の受信器120Bに接続されており、制御部140から引き渡されるデータを当該他の系の伝送中継器10へ転送する。つまり、送信器120Aと受信器120Bは、系間伝送路を介してデータを送受信するための第2の通信インタフェース部として機能する。
受信器130Bは通信線を介して同じ車両に設置された制御対象装置のデータ出力ポートに接続されており、当該通信線を介して受信したデータを送信器110Aに引き渡す。送信器130Aは通信線を介して同制御対象装置のデータ入力ポートに接続されており、制御部140から引き渡されるデータを当該制御対象装置に与える。つまり、送信器130Aと受信器130Bは、制御対象装置との間でデータを送受信するための第3の通信インタフェース部として機能する。なお、制御対象装置が設置されていない車両に設置される伝送中継器10については、送信器130Aおよび受信器130Bを省略しても良い。
制御部140は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。図2に示すように、制御部140は、初期化処理SA100、第1の中継処理SA110、および第2の中継処理SA120の各処理を実行する。これら3つの処理の詳細は以下の通りである。
初期化処理SA100は、制御部140内のレジスタ(図示略)に中継判断フラグFを割り当て、初期値(本実施形態では“0”)をセットする処理である。この初期化処理SA100は、伝送中継器10の電源(図示略)投入時やリセット時にブートシーケンスの一部として実行される。
第1の中継処理SA110は、初期化処理SA100の実行完了後、受信器120Bからデータを受け取る毎(すなわち、第2の通信インタフェース部を介して系間伝送路からデータを受信する毎)に実行される処理である。この第1の中継処理SA110では、制御部140は中継判断フラグFの値に応じて異なる処理を実行する。中継判断フラグFの値が初期値であれば、制御部140は受信器120Bから受け取ったデータを破棄し、さらに中継判断フラグFに初期値とは異なる値(本実施形態では、“1”)をセットして当該第1の中継処理SA110を終了する。これに対して、中継判断フラグFの値が初期値以外の値であれば、制御部140は受信器120Bから受け取ったデータを送信器110Aに与え、必要であれば当該データを送信器130Aにも与える。ここで、受信器120Bから受け取ったデータを送信器130Aに与える必要がある場合とは、当該データの宛先が、送信器130Aに接続された制御対象装置であった場合のことを言う。
つまり、本実施形態では、系間伝送路から送信されてくるデータの後続車両側装置への転送は、中継判断フラグFの値が初期値以外の値であるという条件が満たされた場合にのみ実行される。このように中継判断フラグFの値が初期値以外の値という条件下で後続車両側装置へ転送されるデータのことを以下では「待機系のデータ」と呼ぶ。本実施形態では、系間伝送路を介して転送されてくるデータが待機系のデータとなる。また、本実施形態では、中断判断フラグFの初期値を0とし、初期値以外の値を1としたが、初期値を1とし、初期値以外の値を0としても勿論良い。
第2の中継処理SA120は、初期化処理SA100の実行完了後、受信器110Bからデータを受け取る毎(すなわち、第1の通信インタフェース部を介して先頭車両側装置からデータを受信する毎)に実行される処理である。この第2の中継処理SA120では、制御部140は受信器110Bから受け取ったデータを送信器110Aおよび120Aに与え、必要であれば当該データを送信器130Aにも与える。加えて、この第2の中継処理SA120では、制御部140は、中継判断フラグFを初期値にリセットする。
つまり、本実施形態では、先頭車両側装置から送信されてくるデータの後続車両側装置への転送は中継判断フラグFの値が0であるか1であるかを問わずに無条件に実行される。このように無条件に後続車両側装置へ転送されるデータのことを以下では「優先系のデータ」と呼ぶ。本実施形態では、幹線伝送路を介して先頭車両側装置から転送されてくるデータが優先系のデータとなっている。
以上が伝送中継器10の構成である。前述したように、本実施形態では、先頭車両側から後続の車両側へ向かう方向のデータ通信しか発生しないため、伝送中継器10として図2に示す構成のものを用いたが、逆方向のデータ通信も許容する場合には、伝送中継器10として図3に示すように、図2に示す構成のものを2つ組み合わせたものを用いるようにすれば良い。なお、図3では、先頭車両側から後続車両側へのデータ転送を行う伝送中継器が「→方向用」と表されており、後続車両側から先頭車両側へのデータ転送を行う伝送中継器が「←方向用」と表されている。
(A−2:動作)
次いで本実施形態の動作について説明する。図1に示す伝送中継システム1Aでは、先頭車両において運転士が各車両のドアの開閉を指示する操作等をコントローラ92に対して行うと、コントローラ92は当該操作内容に応じたデータを主系および従系の各幹線伝送路へ同時に出力する。図4に示すように主系および従系の各幹線伝送路に断線などの障害が発生していない状態(以下、通常状態)では、コントローラ92から主系の幹線伝送路に送出されたデータ(以下、主系データ)DMは、伝送中継器10M(1)によって無条件に後続車両側装置(すなわち、伝送中継器10M(2))へ転送されるとともに伝送中継器10S(1)にも転送される。以降、伝送中継器10M(n)(n=2〜N)の各々においても同様に先頭車両側装置から受信した主系データDMは無条件に後続車両側装置および伝送中継器10S(n)に転送される。従系においても同様に、コントローラ92から従系の幹線伝送路に送出されたデータ(以下、従系データ)DSは、伝送中継器10S(1)によって無条件に後続車両側装置(すなわち、伝送中継器10S(2))へ転送されるとともに伝送中継器10M(1)にも転送される。そして、伝送中継器10S(n)(n=2〜N)の各々においても、先頭車両側装置から受信した従系データDSは無条件に後続車両側装置および伝送中継器10M(n)に転送される。前述したように本実施形態では、幹線伝送路を介して先頭車両側装置から転送されてくるデータが優先系のデータとなっているからである。
伝送中継器10M(n)においては、伝送中継器10S(n)から受信する従系データDSは待機系のデータであり、同様に伝送中継器10S(n)においては伝送中継器10M(n)から受信する主系データDMは待機系のデータである。本実施形態では、各伝送中継器10においては、優先系のデータを受信した後に、同じ内容の待機系のデータを受信するといった具合に、優先系のデータの受信と待機系のデータの受信は基本的に交互に発生する。コントローラ92から同時に送出されたデータであっても、系間伝送路を介する伝送の分だけ待機系のデータの受信が遅れるからである。このように、通常状態では、優先系のデータの受信と待機系のデータの受信は交互に発生するため、待機系のデータが後続車両側装置へ転送されることはない。理由は以下の通りである。
伝送中継器10が優先系のデータと待機系のデータとを交互に受信する状況下では、優先系のデータについての上記第2の中継処理SA120が実行される毎に中継判断フラグFは初期値にリセットされ、伝送中継器10が待機系のデータを受信する際には常に中継判断フラグFは初期値となっている。このため、伝送中継器10が待機系のデータを受信する毎に実行される第1の中継処理SA110では、待機系のデータは常に破棄され、後続車両側装置へ転送されることはない。このように、本実施形態によれば、従来技術のような先着優先制御とは異なり、通常状態においては主系の幹線伝送路には主系データDMを、従系の幹線伝送路には従系データDSを各々分離して流すことができ、一つの幹線伝送路に主系データDMと従系データDSとが混在して流れることが確実に回避される。
次いで、図5に示すように伝送中継器10M(1)に故障が発生した場合の動作について説明する。伝送中継器10M(1)に故障が発生すると、コントローラ92から送出された主系データDMの伝送中継器10M(2)への転送や、伝送中継器10S(1)への転送は行われない。一方、コントローラ92から送出された従系データDSは伝送中継器10S(1)によって伝送中継器10M(1)と伝送中継器10S(2)へ転送される。本動作例では、伝送中継器10M(1)は故障しているのであるから、伝送中継器10M(1)による従系データDSの転送が行われることもない。
伝送中継器10S(2)は、従系の幹線伝送路を介して伝送中継器10S(1)から転送されてくる従系データDSを受信すると、当該従系データDSを伝送中継器10M(2)と伝送中継器10S(3)へ無条件に転送する。前述したように、幹線伝送路を介して先頭車両側装置から転送されてくるデータは優先系のデータだからである。一方、伝送中継器10M(1)に故障が発生した以降は、幹線伝送路を介して伝送中継器10M(2)に主系データDMが転送されてくることはない。このため、伝送中継器10M(1)に故障が発生した以降は、伝送中継器10M(2)において第2の中継処理SA120が実行されることはない。伝送中継器10M(2)の制御部140は、受信器120Bを介して伝送中継器10S(2)から従系データDSを受信する毎に第1の中継処理SA110を実行する。そして、主系データDMの受信が途絶えてから2回目以降に実行される第1の中継処理SA110では、伝送中継器10S(2)から受信した従系データDSを後続車両側装置(すなわち、伝送中継器10M(3))へ転送する処理が実行される。前述したように主系データDMの受信が途絶えた以降、伝送中継器10M(2)において第2の中継処理SA120が実行されることはなく、主系データDMの受信が途絶えてから1回目の第1の中継処理SA110の実行により初期値以外の値にセットされた中継判断フラグFが初期値にリセットされることはないからである。
伝送中継器10M(n)(n=3〜N)の各々では、先頭車両側装置から転送されてくるデータ(本動作例では、伝送中継器10S(1)、10S(2)および10M(2)の各々による転送を経た従系データDS)を受信する毎に第2の中継処理SA120が実行され、後続車両側装置および伝送中継器10S(n)への当該データの転送が無条件に実行される。前述したように、幹線伝送路を介して先頭車両側装置から転送されてくるデータは優先系のデータだからである。同様に、伝送中継器10S(n)(n=3〜N)の各々においても、先頭車両側装置から転送されてくる従系データDSを受信する毎に第2の中継処理SA120が実行され、後続車両側装置および伝送中継器10M(n)への当該データの転送が行われる。
以上に説明した動作が為される結果、本実施形態によれば、図5に示すように、主系に障害が発生した場合には従系データDSを障害の発生箇所よりも後続車両側に流し、同じデータが主系および従系の各々に流れるデータ二重化の状態に戻すことができる。本動作例では、伝送中継器10M(1)に障害が発生した場合について説明したが、伝送中継器10S(1)に障害が発生した場合も同様に2段目以降の従系の幹線伝送路に主系データDMを流してデータ二重化の状態に戻すことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、主系および従系の各幹線伝送路に障害が発生していない状況下では主系と従系の各々に他方のデータが混在することを確実に回避しつつ、主系および従系の各幹線伝送路の何れか一方に障害が発生した場合には他方のデータを当該障害の発生した箇所以降の後続車両側に流してデータ二重化状態を維持し、データ通信の信頼性を高く保つことができる。
ここで注目すべき点は、本実施形態の伝送中継器10では、優先系および待機系の各データの転送制御の際に、データの内容の解析を行う必要はなく、また、特定の通信プロトコルが前提となっている訳でもない、という点である。このため、本実施形態によれば、伝送中継器10の制御部140の処理負荷が過大になることはなく、LSI(Large Scale Integration)等に集積する際に有利になる。また、本実施形態では、特定の通信プロトコルを前提としないため、PROFINET等、様々な非IP通信にも対応することができる。また、特定の通信プロトコルを前提としないため、伝送中継器10はルータ(すなわち、OSI参照モデルの第3層においてデータ通信を中継する中継器)であっても良く、また、スイッチングハブ(同第2層においてデータ通信を中継する中継器)であっても良い。
(B:第2実施形態)
(B−1:構成)
図6は、本発明の第2実施形態の伝送中継システム1Bの構成例を示す図である。図6と図1とを対比すれば明らかなように、本実施形態の伝送中継システム1Bは、伝送中継器10S(n)(n=1〜N)に換えて伝送中継器20(n)(n=1〜N)を設けた点が第1実施形態の伝送中継システム1Aと異なる。以下では第1実施形態との相違点である伝送中継器20(n)を中心に説明する。なお、以下では、伝送中継器20(n)(n=1〜N)の各々を区別する必要がない場合には、「伝送中継器20」と表記する。また、図6に示す伝送中継システム1Bにおいては、伝送中継器20(1)に対する先頭車両側装置はコントローラ92であり、伝送中継器20(n)(n=2〜N)に対する先頭車両側装置は伝送中継器20(n−1)である。そして、伝送中継器20(N)に対する後続車両側装置はコントローラ94であり、伝送中継器20(n)(n=1〜N−1)に対する後続車両側装置は伝送中継器20(n+1)である。
図7は、伝送中継器20の構成例を示すブロック図である。図7と図2とを対比すれば明らかなように、伝送中継器20の構成は、制御部140に換えて制御部240を設けた点が伝送中継器10の構成と異なる。制御部240は制御部140と同様に例えばASICであるものの、第1の中継処理SA110に換えて第2の中継処理SB120を実行する点と第2の中継処理SA120に換えて第1の中継処理SB110を実行する点が制御部140と異なる。以下、第1実施形態との相違点である第1の中継処理SB110および第2の中継処理SB120を中心に説明する。
第1の中継処理SB110は、初期化処理SA100の実行完了後、受信器110Bを介してデータを受け取る毎に実行される処理である。この第1の中継処理SB110では、制御部240は受信器110Bから受け取ったデータを送信器120Aおよび130Aに与える。加えて、制御部240は中継判断フラグFの値に応じて以下の処理を実行する。すなわち、中継判断フラグFの値が初期値であれば、制御部240は中継判断フラグFに初期値とは異なる値(本実施形態では、“1”)をセットする。逆に、中継判断フラグFの値が初期値以外の値であれば、制御部240は、受信器110Bから受け取ったデータを送信器110Aに与える。このように伝送中継器20では、先頭車両側装置から転送されてくるデータの後続車両側装置への転送は、中継判断フラグFの値が初期値以外の値であるという条件が満たされた場合にのみ実行される。つまり、伝送中継器20では、幹線伝送路を介して先頭車両側装置から転送されてくるデータは待機系のデータとなっている。
第2の中継処理SB120は、初期化処理SA100の実行完了後、受信器120Bからデータを受け取る毎に実行される処理である。この第2の中継処理SB120では、制御部240は受信器120Bから受け取ったデータを送信器110A(必要であれば送信器130Aにも)に与え、その後、中継判断フラグFを初期値にリセットする。したがって、伝送中継器20では、系間伝送路から送信されてくるデータは、無条件に後続車両側装置へ転送され、当該転送が行われる毎に中継判断フラグFが初期値にリセットされる。つまり、伝送中継器20では、系間伝送路を介して転送されてくるデータが優先系のデータとなっている。
以上が伝送中継器20の構成である。
(B−2:動作)
次いで本実施形態の動作について説明する。図8に示すように通常状態における伝送中継器10M(n)(n=1〜N)の動作は第1実施形態におけるものと同一である。一方、伝送中継器20(n)においては、系間伝送路を介して伝送中継器10M(n)から送信されてくる主系データDMが優先系のデータである。このため、伝送中継器20(n)は、系間伝送路を介して伝送中継器10M(n)から受信した主系データDMを無条件に後続車両側装置へ転送する。一方、伝送中継器20(n)に対して先頭車両側装置から転送されてくるデータは待機系のデータである。このため、伝送中継器20(n)は当該データを伝送中継器10M(n)へ転送するものの、優先系のデータ(系間伝送路を介して伝送中継器10M(n)から転送されてくる主系データDM)の受信が継続している間、当該待機系のデータを後続車両側装置へ転送することはない。このため、本実施形態では、通常状態においては、図8に示すように、主系の幹線伝送路には主系データDMが流れ、従系の幹線伝送路にも主系データDMが流れる。このように、通常状態において主系および従系の各幹線伝送路の両方に主系データDMを流してデータ二重化を行うことが好ましい場合には、前述した第1実施形態ではなく、本実施形態を採用すれば良い。
次いで、図9に示すように伝送中継器10M(1)に故障が発生した場合の動作について説明する。伝送中継器10M(1)に故障が発生すると、コントローラ92から送出された主系データDMの伝送中継器10M(2)および伝送中継器20(1)への転送は行われなくなる。伝送中継器10M(1)に故障が発生した以降は、伝送中継器20(1)は、優先系のデータを受信しないため、当該伝送中継器20(1)において中継判断フラグFのリセットが行われることはない。このため、伝送中継器10M(1)に故障が発生した以降に伝送中継器20(1)が従系の幹線伝送路を介してコントローラ92から受信する従系データDSの2つ目以降は、後続車両側装置へ転送される。
伝送中継器20(2)は、従系の幹線伝送路を介して先頭車両側から従系データDSを受信する毎に当該従系データDSを伝送中継器10M(2)に転送する。また、伝送中継器20(2)は、2つ目以降の従系データDSについては、後続車両側装置へ転送する処理も実行する。一方、伝送中継器10M(2)では、先頭車両側装置から主系データDMは転送されてこないので、前述した第2の中継処理SA120が実行されることはない。伝送中継器10M(2)では、系間伝送路を介して伝送中継器20(2)から従系データDSを受信する毎に第1の中継処理SA110が実行され、当該伝送中継器10M(2)の受信する2つ目以降の従系データDSは後続車両側装置へ転送される。
伝送中継器10M(n)(n=3〜N)には、優先系のデータが転送されてくる。このため、当該優先系のデータはそのまま後続車両側装置へ転送されるとともに、系間伝送路を介して伝送中継器20(n)にも転送される。このように、系間伝送路を介して伝送中継器10M(n)から送信されてくるデータは伝送中継器20(n)においては優先系のデータとなっているため、伝送中継器20(n)(n=3〜N)の各々は、当該優先系のデータ(すなわち、従系データDS)をそのまま後続車両側装置へ転送する。
以上に説明した動作が為される結果、本実施形態において主系の伝送中継器に障害が発生すると、図9に示すように、障害の発生箇所よりも後続車両側には主系および従系の各幹線伝送路に従系データDSが流れ、再びデータ二重化の状態に戻すことができる。なお、本実施形態では主系の伝送中継器として伝送中継器10を用い、従系の伝送中継器として伝送中継器20を用いたが、主系の伝送中継器として伝送中継器20を用い、従系の伝送中継器として伝送中継器10を用いるようにしても良い。このような態様であれば、通常状態においては主系および従系の各幹線伝送路に従系データDSを流し、従系の幹線伝送路に障害が発生した場合には主系および従系の各幹線伝送路に主系データDMを流してデータ二重化を維持することができる。
以上説明したように、本実施形態においても、主系および従系の各幹線伝送路に障害が発生していない状況下では主系と従系の各々に主系データDMと従系データDSが混在して流れることはない。加えて、本実施形態においても、優先系および待機系の各データの転送制御の際にデータの内容の解析を行う必要はなく、また、特定の通信プロトコルが前提となっている訳でもないため、伝送中継器10の制御部140や伝送中継器20の制御部240の処理負荷が過大になることはなく、LSI等に集積する際に有利になること、およびPROFINET等、様々な非IP通信にも対応することができることは上記第1実施形態と同一である。
(C:第3実施形態)
上記第2実施形態では、主系と従系とで異なる構成の伝送中継器を用いた。しかし、主系と従系とで同一の構成の伝送中継器を用いつつ、第2実施形態におけるものと同様のデータ中継制御を実現することも可能である。具体的には、図7における伝送中継器10M(n)(n=1〜N)および伝送中継器20(n)(n=1〜N)に換えて図10に示す構成の伝送中継器30を用いるようにすれば良い。
図10に示す伝送中継器30は、制御部240に換えて制御部340を有している点と、動作モード切り換え部350を有している点が伝送中継器10や伝送中継器20と異なる。詳細については後述するが、伝送中継器30の制御部340は第1の動作モード(受信器110Bにより受信したデータを優先系とする動作モード)と第2の動作モード(受信器120Bにより受信したデータを優先系とする動作モード)の2種類の動作モードを有しており、動作モード切り換え部350は制御部340の動作モードを切り換えるためのものである。例えばディップスイッチなどを動作モード切り換え部350として用いるようにすれば良い。そして、制御部340のレジスタに動作モードを示す動作モードフラグを割り当てておき、この動作モードフラグの値をディップスイッチの操作に応じて書き換えるとともに、動作モードフラグの値が0であれば第1の動作モードで制御部340を作動させ、動作モードフラグの値が1であれば第2の動作モードで制御部340を作動させれば良い。
図7と図10とを対比すれば明らかなように、制御部340は第2の中継処理SB120に換えて第1の中継処理SC110を実行し、第1の中継処理SB110に換えて第2の中継処理SC120を実行する点が伝送中継器20の制御部240と異なる。第1の中継処理SC110は、初期化処理SA100の実行完了後、受信器120Bを介してデータを受信する毎に実行される処理である。この第1の中継処理SC110では、制御部340は、動作モードが第1の動作モードであれば、前述した第1の中継処理SA110と同一の処理を実行し、動作モードが第2の動作モードであれば、前述した第2の中継処理SB120と同一の処理を実行する。一方、第2の中継処理SC120は、初期化処理SA100の実行完了後、受信器110Bを介してデータを受信する毎に実行される処理である。この第2の中継処理SC120では、制御部340は、動作モードが第1の動作モードであれば、前述した第2の中継処理SA120と同一の処理を実行し、動作モードが第2の動作モードであれば、前述した第1の中継処理SB110と同一の処理を実行する。
つまり、本実施形態の伝送中継器30は、動作モードとして第1の動作モードが設定されていれば、伝送中継器10として機能し、動作モードとして第2の動作モードが設定されていれば、伝送中継器20として機能する。したがって、主系および従系の各伝送中継器として伝送中継器30を用い、主系の伝送中継器については動作モードを第1の動作モードに設定し、かつ従系の伝送中継器については動作モードを第2の動作モードに設定すれば、主系と従系とで同一の構成の伝送中継器を用いつつ、第2実施形態におけるものと同様のデータ中継制御を実現することができる。また、主系および従系の各伝送中継器の動作モードを全て第1の動作モードに設定すれば、第1実施形態におけるものと同様のデータ中継制御を実現することもできる。つまり、主系および従系の各伝送中継器として伝送中継器30を用いて伝送中継システムを構成すれば、従系の伝送中継器の動作モードの切り替えにより、第1実施形態におけるデータ中継制御と第2実施形態におけるデータ中継制御を自由に切り替えて実現することができる。
また、中継判断フラグとして、中継判断フラグ1および中継判断フラグ2の2種類を用意し、初期化処理として中継判断フラグ1および中継判断フラグ2に初期値をセットする処理を制御部340に実行させるとともに、第1の動作モードにおいては常に中継判断フラグ2が常に初期値以外の値であるとして以下の第1の中継処理および第2の中継処理を制御部340に実行させ、第2の動作モードにおいては中継判断フラグ1が常に初期値以外の値であるとして以下の第1の中継処理および第2の中継処理を制御部340に実行させるようにしても良い。ここで、第1の中継処理とは、受信器120Bによりデータを受信する毎に実行される処理であり、中継判断フラグ1の値が初期値であれば受信したデータを破棄して中継判断フラグ1に初期値とは異なる値をセットする一方、中継判断フラグ1の値が初期値とは異なる値であれば当該受信したデータを送信器110Aに(必要であれば送信器130Aにも)与えて中継判断フラグ2に初期値をセットする処理である。一方、第2の中継処理とは、中継判断フラグ2の値が初期値以外の値であれば、受信器110Bにより受信したデータを送信器110Aおよび送信器120Aに(必要であれば送信器130Aにも)与えて中継判断フラグ1に初期値をセットし、中継判断フラグ2の値が初期値であれば、当該データを送信器120Aに(必要であれば送信器130Aにも)与えて中継判断フラグ2に初期値以外の値をセットする処理である。このような態様によっても本実施形態と同様の効果が得られる。
(D:第4実施形態)
上記各実施形態では、何れの伝送中継器にも障害が発生していない通常状態では各伝送中継器が優先系のデータと待機系のデータを交互に受信することを前提としていた。しかし、各伝送中継器の処理負荷にバラツキがあると、通常状態であっても、優先系のデータを受信してから次の優先系のデータを受信するまでの間に待機系のデータを連続して複数受信することが起こり得る。このため、例えば前述した第1実施形態のように幹線伝送路を介して先頭車両側装置から転送されてくるデータを優先系のデータとし、系間伝送路を介して転送されているデータを待機系のデータとする場合、各伝送中継器の処理負荷にバラツキが生じ得ることを考慮すれば、各伝送中継器に障害が発生していない状況であっても、主系および従系の各幹線伝送路に他方のデータが混在して流れることが起こり得る。本実施形態は、各伝送中継器の処理負荷のバラツキに起因して優先系のデータと待機系のデータの受信順に入れ替わりが発生したとしても、主系および従系の各幹線伝送路に他方のデータが混在して流れることを回避できるようにするためのものである。
図13は、本実施形態の伝送中継器40の構成例を示す図である。本実施形態では、前述した第1実施形態と同様に、幹線伝送路を介して先頭車両側装置から伝送中継器40へ転送されてくるデータが優先系のデータとなっており、系間伝送路を介して伝送中継器40へ転送されているデータが待機系のデータとなっている。図13では、図2におけるものと同一のものには同一の符号が付されている。図13と図2を対比すれば明らかなように、本実施形態の伝送中継器40は制御部140に代えて制御部440を有している点が第1実施形態の伝送中継器10と異なり、この制御部440は第1の中継処理SA110に代えて第1の中継処理SD110を実行する点が制御部140と異なる。以下、第1実施形態との相違点である第1の中継処理SD110を中心に説明する。
前述したように第1実施形態の制御部140は、受信器120Bからデータを受け取ったことを契機として、中継判断フラグFの値が初期値であれば、当該データを破棄して中継判断フラグFに初期値とは異なる値をセットする一方、中継判断フラグFの値が初期値以外の値であれば、受信器120Bから受け取ったデータを送信器110Aに与え、必要であれば当該データを送信器130Aにも与える処理を第1の中継処理SA110として実行した。本実施形態の第1の中継処理SD110においても、制御部440は中継判断フラグFの値に応じて異なる処理を実行する。この点においては前述した第1実施形態と同様である。また、中継判断フラグFの値が初期値以外の値である場合の処理は前述した第1実施形態の第1の中継処理SA110におけるものと同一である。本実施形態の第1の中継処理SD110と第1実施形態における第1の中継処理SA110の相違は、中継判断フラグFの値が初期値の場合の処理の相違にある。
より詳細に説明すると、本実施形態の第1の中継処理SD110は、予め定められた数(例えば、4個)のデータを連続して受信器120Bから受け取るまで中継判断フラグFへの初期値とは異なる値のセットを見合わせる点が第1の中継処理SA110異なる。本実施形態では、制御部440は受信器120Bによるデータ受信回数をカウントするカウンタをレジスタ等に割り当てる。このカウンタは初期化処理SA100において初期値(本実施形態では、0)に初期化される。中継判断フラグFが初期値である状況下で受信器120Bからデータを受信すると、制御部440は、まず、上記カウンタの値が所定の閾値(受信器120Bから連続して受信することを許容するデータの数、本実施形態では、4)以上であるか否かを判定する。そして、制御部440は、上記カウンタの値が所定の閾値未満の間は、上記カウンタの値を1だけカウントアップするとともに、受信器120Bから受け取ったデータを破棄する。これに対して、上記カウンタの値が所定の閾値に達した以降は、制御部440は、中継判断フラグFに初期値とは異なる値をセットするとともに、受信器120Bから受け取ったデータを破棄する。なお、上記カウンタは、第2の中継処理SA120の実行を契機として初期値にリセットされる。
図14は、上記閾値を“4”とした場合の伝送中継器40の動作を示す図である。図14においては上記カウンタのカウント値はCNTと表記されており、中継判断フラグFはFRAGと表記されている。伝送中継器40では、受信器120Bによりデータ(すなわち、待機系のデータ)を受信する毎にカウント値CNTが、1、2、3とカウントアップされてゆく。ただし、カウンタ値CNTが4に達するまでは中継判断フラグFへの初期値以外の値のセットは実行されず、上記カウント値が4に達すると中継判断フラグFに初期値以外の値がセットされる。中継判断フラグFに初期値がセットされている間は、受信器120Bにより受信したデータは後段へ転送されることはない。このため、伝送中継器40では、優先系のデータを受信してから最大で4個まで待機系のデータを連続して受信しても、それら待機系のデータの後段への転送は行われず、5個目の待機系データから幹線伝送路の後段へ伝送される。したがって、通常状態において各伝送中継器にかかっている処理負荷のバラツキ等に起因して優先系のデータの待機系のデータの受信順に多少の入れ替わりが発生し得るものの、優先系データを受信してから次の優先系のデータを受信するまでの間に受信する待機系のデータの数が4個以下であることが確実であれば、通常状態にも拘らず主系および従系の各幹線伝送路に他方のデータが混在して流れるといった事態は発生しない。なお、図14に示すように、優先系のデータを受信してから5つの待機系のデータを受信するまでに次の優先系のデータを受信すれば、当該データの受信を契機として第2の中継処理SA120(すなわち、優先系データの中継処理)が実行され、上記カウンタは0にリセットされる。
本実施形態では、中継判断フラグFが初期値である状況下で受信器120Bからデータを受け取った場合であっても、予め定められた数のデータを連続して受信器120Bから受け取るまで中継判断フラグFへの初期値とは異なる値のセットを見合わせることで、各伝送中継器の処理負荷のバラツキ等に起因する優先系のデータと待機系のデータの受信順の入れ替わりに対処した。しかし、中継判断フラグFへの初期値とは異なる値のセットを、受信器120Bからのデータの受信から遅らせて実行することで上記入れ替わり対処することも可能である。具体的には、受信器120Bからのデータの受信時を起算点として計時クロックのカウントアップを開始する計時カウンタ(或いは計時を開始するタイマ)を設け、当該計時カウンタのカウント値(或いは当該タイマのタイマ値)が予め定めた閾値に達したことを契機として中継判断フラグFに初期値とは異なる値をセットする処理を制御部440に実行させる一方、第2の中継処理SA120の実行を契機として上記計時カウンタ(或いはタイマ)を初期値(0)に戻す処理を制御部440に実行させるのである。また、受信データ数をカウントするカウンタ或いは計時カウンタに予め定めた初期値(上記閾値と同じ値)からのカウントダウンを実行させ、カウント値が0となったことを契機として中継判断フラグFへの初期値とは異なる値のセットを実行させても良い。
また、本実施形態では、第1実施形態の第1の中継処理SA110を上記第1の中継処理SD110に置き換える場合について説明したが、第2実施形態の第1の中継処理SB110の中継判断フラグFが初期値の場合の処理における当該中継判断フラグFへの初期値以外の値のセットを、予め定められた数のデータを連続して受信器110Bにより受信するまで見合わせる(或いは、受信器110Bによるデータの受信から遅らせて実行する)ようにして良い。このようにしても本実施形態と同様の効果が得られる。同様に、第3実施形態の第1の中継処理SC110における第1の動作モードの処理を本実施形態の第1の中継処理SD110に置き換え、さらに同実施形態の第2の中継処理SC120の第2の動作モードにおける中継判断フラグFが初期値の場合の処理における当該中継判断フラグFへの初期値以外の値のセットを、予め定められた数のデータを連続して受信器110Bにより受信するまで見合わせる(或いは、受信器110Bによるデータの受信から遅らせて実行する)ようにしても良い。このようにしても本実施形態と同様の効果が得られる。
(E:第5実施形態)
図15は、本発明の第5実施形態の伝送中継システム1Eの構成例を示すブロック図である。伝送中継システム1Eは、伝送中継システム1A(図1参照)における伝送中継器10M(n)(n=1〜N)を伝送中継器50M(n)(n=1〜N)に置き換え、伝送中継器10S(n)(n=1〜N)を伝送中継器50S(n)(n=1〜N)に置き換えたものである。伝送中継システム1Eでは、コントローラ92、伝送中継器50M(n)(n=1〜N)、およびコントローラ94をツイストペアケーブルなどの通信線で接続することで主系の幹線伝送路が形成され、コントローラ92、伝送中継器50S(n)(n=1〜N)、およびコントローラ94をツイストペアケーブルなどの通信線で接続することで従系の幹線伝送路が形成される。そして、n番目の車両に設けられた主系の伝送中継器(すなわち、伝送中継器50M(n))と同車両に設けられた従系の伝送中継器(すなわち、伝送中継器50S(n))とを通信線で接続することで系間伝送路が形成される。以下、説明が煩雑になることを避けるため、伝送中継システム1Eにおいても、コントローラ92から各車両の制御対象装置へ宛ててデータが送信されるものの、コントローラ94から各制御対象装置へのデータ送信は発生しないものとする。
伝送中継器50M(n)(n=1〜N)および伝送中継器50S(n)(n=1〜N)の各々は全て同一のハードウェア構成を有している。以下では、伝送中継器50M(n)と伝送中継器50S(n)を区別する必要が無い場合には「伝送中継器50」と表記する。図16は、伝送中継器50の構成例を示す図である。図16では、図13におけるものと同一のものには同一の符号が付されている。図16と図13を対比すれば明らかなように、本実施形態の伝送中継器50は制御部440に代えて制御部540を設けた点が第4実施形態の伝送中継器40と異なる。
制御部540は、第4実施形態における制御部440と同様に第1の中継処理SD110および第2の中継処理SA120を実行する。つまり、本実施形態では、前述した第4実施形態と同様に、幹線伝送路を介して先頭車両側装置から転送されてくるデータが優先系のデータとなっており、系間伝送路を介して転送されているデータが待機系のデータとなっている。以下、本実施形態では。第1の中継処理SD110として前述した計時カウンタによる制御を採用する場合について説明するが、受信器120Bにより受信した待機系データの数をカウントするカウンタによる制御を採用しても勿論良い。
制御部540は、第4実施形態における制御部440と同一の処理(第1の中継処理SD110および第2の中継処理SA120)を実行するものの、第1の中継処理SD110において中継判断フラグの更新の可否を判断する際に計時カウンタのカウント値と比較する閾値の設定の仕方が第4実施形態と異なる。この点に本実施形態の特徴がある。具体的には、幹線伝送路の下流側の伝送中継器50ほど上記閾値として大きな値が設定されている。例えば、主系の伝送中継器50M(n)(n=1〜N)における上記閾値をTHM(n)とし、従系の伝送中継器50S(n)(n=1〜N)における上記閾値をTHS(n)とすると、THM(1)<THM(2)<THM(3)<・・・<THM(N)となっており、THS(1)<THS(2)<THS(3)<・・・<THS(N)となっている。ここで、幹線伝送路を上流側から下流側へ辿るにつれて閾値THM(n)或いは閾値THS(n)をどのように増加させるのかについては種々の態様が考えられる。例えば、一定量ずつ増加させる(すなわち、線形に増加させる)態様であっても良く、また、指数関数的或いは対数関数的に増加させるなど非線形に増加させる態様であっても良い。このように、幹線伝送路の下流側の伝送中継器50ほど上記閾値を大きな値に設定した理由は以下の通りである。
一般に鉄道車両用の伝送中継システムにおける各車両の制御対象機器間のデータ交換方法としては、互いに定周期等でデータを送信し合う方法や、マスタからの要求に対してスレーブが応答する方法(マスタ・スレーブ通信)が挙げられる。前者の場合、各車両の制御対象機器は、自器に接続されている伝送中継器の上流側(本実施形態では、先頭車両側)に断線が発生しても、予め定められたタイミングでデータを下流側に送信する。これに対して後者の場合、上流にあるマスタからの要求が断線によって届かなければ、各車両の制御対象機器はデータを送信することはない。つまり、マスタ・スレーブ通信を採用している場合に幹線伝送路に断線が発生すると、その断線箇所よりも下流側では幹線伝送路を介したデータ通信が途絶してしまう。
上記のようなデータ通信の途絶を回避するために、第4実施形態の伝送中継器40を用いて鉄道車両用の伝送中継システムを構成し、各伝送中継器40における上記閾値を同じ値に設定してマスタ・スレーブ通信を行わせたとする。このような状況下で伝送中継器40M(k)と伝送中継器40M(k+1)との間で断線が発生したとすると、断線箇所より下流には上流のマスタからの要求は届かなくなる。このため、伝送中継器40M(k+1)〜伝送中継器40M(N)では幹線伝送路を介したデータの送受信が途絶し、伝送中継器40M(k+1)〜伝送中継器40M(N)の各々における計時カウンタのカウント値は同じようにアップして行き、やがてほぼ同時に閾値に到達する。
断線箇所のすぐ下流の伝送中継器である伝送中継器40M(k+1)の制御部440は、計時カウンタのカウント値が閾値に到達すると、以降に受信する待機系データを幹線伝送路の下流側へ中継する。これは断線箇所を迂回するための正しい動作である。さらにその1つ下流の伝送中継器である伝送中継器40M(k+2)においても、計時カウンタのカウント値がほぼ同時に閾値に到達するので、同様に待機系データを中継し始める。ここで、伝送中継器40M(k+2)は、伝送中継器40M(k+1)からの中継データを受信すると、計時カウンタと中継判断フラグをリセットし、そのデータを下流側へ転送する。これは上流の伝送中継器の中継再開に応じた正しい動作である。
しかしながら、伝送中継器40M(k+1)によって中継された待機系データを受信する前に、伝送中継器40S(k+2)によって転送された待機系データを伝送中継器40M(k+2)が受信すると、伝送中継器40M(k+2)の計時カウンタのカウント値はすでに閾値に到達しているので、伝送中継器40M(k+2)の制御部440は当該待機系データを幹線伝送路の下流側へ転送する。そして、その直後に伝送中継器40M(k+1)からのデータも受信すると、伝送中継器40M(k+2)の制御部440は、これも中継してしまう。その結果、主系の幹線伝送路に流れるデータが1つ増えてしまう。さらに下流の伝送中継器において同様の事象が発生する毎に主系の幹線伝送路に流れるデータが1個ずつ増えてしまう。伝送中継器40M(k+1)による待機系データの下流側への転送は断線箇所を迂回するために必要な処理である。しかし、さらに下流側の伝送中継器40M(m)(m=k+2〜N)による待機系データの下流側への転送は必ずしも必須ではなく、幹線伝送路に流れるデータを無駄に増やしてしまうことになりかねない。このような無駄なデータ転送が発生することを回避するには、断線箇所より下流の伝送中継器における計時カウンタのカウント値がほぼ同時に閾値に到達することを避ければ良い。このため、本実施形態では、幹線伝送路の下流側の伝送中継器50ほど上記閾値として大きな値を設定したのである。
本実施形態によれば、幹線伝送路に流れるデータが無駄に増えることを回避しつつ、前述した第4実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態では、前述した第4実施形態と同様に第1実施形態の第1の中継処理SA110を第1の中継処理SD110に置き換えたが、第2実施形態の第1の中継処理SB110の中継判断フラグFが初期値の場合の処理における当該中継判断フラグFへの初期値以外の値のセットを、受信器110Bによるデータの受信から遅らせて実行するようにし、さらに幹線伝送路の下流側の伝送中継器ほど大きな値の閾値を設定しても良い。このようにしても本実施形態と同様の効果が得られる。同様に、第3実施形態の第1の中継処理SC110における第1の動作モードの処理を本実施形態の第1の中継処理SD110に置き換え、さらに同実施形態の第2の中継処理SC120の第2の動作モードにおける中継判断フラグFが初期値の場合の処理における当該中継判断フラグFへの初期値以外の値のセットを受信器110Bによるデータの受信から遅らせて実行するようにし、さらに幹線伝送路の下流側の伝送中継器ほど大きな値の閾値を設定しても良い。このようにしても本実施形態と同様の効果が得られる。
(F:第6実施形態)
上記第5実施形態では、第1の中継処理SD110において中継判断フラグの更新の可否を判断する際に計時カウンタのカウント値と比較する閾値を、幹線伝送路の下流側の伝送中継器50ほど大きな値に設定しておくことで、幹線伝送路に無駄なデータが流れることを回避した。しかしながら、幹線伝送路における伝送中継器の位置に応じて異なる閾値を設定することは手間がかかり好ましくない。本実施形態は、幹線伝送路に属する各伝送中継器に対して上記閾値として同じ値を設定しつつ、幹線伝送路に無駄なデータが流れることの回避を実現するものである。
図17は、本実施形態の伝送中継器60の構成例を示す図である。本実施形態においても、前述した第5実施形態と同様に、伝送中継器60に対して幹線伝送路を介して先頭車両側装置から転送されてくるデータが優先系のデータとなっており、系間伝送路を介して転送されているデータが待機系のデータとなっている。図17では、図16におけるものと同一のものには同一の符号が付されている。図17と図16を対比すれば明らかなように、本実施形態の伝送中継器60は制御部540に代えて制御部640を有している点が第5実施形態の伝送中継器50と異なる。そして、制御部640は、第2の中継処理SA120に代えて第2の中継処理SF120を実行する点が異なる。本実施形態の伝送中継器60では、中継判断フラグFの更新の可否を判断する際に計時カウンタのカウント値と比較する閾値(以下、第1の閾値と呼ぶ)として幹線伝送路上の位置によらず同じ値が設定されている。
第2の中継処理SF120は、以下に説明するカウンタ制御処理を含んでいる点で前述した第2の中継処理SA120と異なる。このカウンタ制御処理では、制御部640は、計時カウンタのカウント値が第1の閾値の一つ手前の値(すなわち、第1の閾値−1、以下、この値のことを第2の閾値と呼ぶ)に達したことを契機として送信器110Aを介して幹線伝送路の下流側へ所定の通信メッセージを送出する。この通信メッセージは、幹線伝送路を介したデータ通信(すなわち、優先系のデータの中継)が再開されることを下流側の伝送中継器60に予告するためのものである。以下では、この通信メッセージを「予告メッセージ」と呼ぶ。この予告メッセージのメッセージフォーマットについては、既存の他の通信メッセージとの混同が生じない範囲で適宜定めれば良い。
また、本実施形態のカウンタ制御処理では、制御部640は、幹線伝送路を介して上流側から予告メッセージを受信した場合には、自器における計時カウンタのカウント値が上記第2の閾値に達しているか否かを判定し、達している場合には計時カウンタンのカウント値を所定量(例えば、1)だけ減少させるとともに当該予告メッセージを下流側へ転送する。
このような構成としたため、主系の幹線伝送路に断線が発生すると、断線箇所より下流のすべての伝送中継器60において優先系のデータ受信が途絶し、計時カウンタのカウント値は同じように増加してゆき、やがてほぼ同時に上記第2の閾値に到達する。計時カウンタのカウント値が上記第2の閾値に達した伝送中継器60の制御部640は下流側に予告メッセージを送信し、下流側の伝送中継器60の制御部640は当該予告メッセージの受信を契機として計時カウンタのカウント値を所定量(本実施形態では、1)だけ減少させる。なお、予告メッセージの送信が断線箇所のすぐ下流の伝送中継器60から始まらず、さらに下流側の伝送中継器60から始まったとしても、やがては断線箇所のすぐ下流の伝送中継器60も予告メッセージを送信する。その間に下流の伝送中継器60は何度も予告メッセージを受信することもあるが、計時カウンタのカウント値の減算は当該カウント値が第2の閾値と等しい場合にのみ実行されるため、第2の閾値−1(すなわち、第1の閾値−2)より少なくはならない。このため、断線箇所のすぐ下流の伝送中継器60の計時カウンタのカウント値は「第1の閾値−1」のままで、それより下流の伝送中継器60の計時カウンタのカウント値は「第1の閾値−2」になる。
以降、断線箇所のすぐ下流の伝送中継器60は、次のカウンタアップタイミングで計時カウンタのカウント値が第1の閾値に到達して待機系データを中継し始める。一方、それより下流側の伝送中継器60では計時カウンタのカウント値は第1の閾値に達していないので待機系データの中継が行われることはない。このため、幹線伝送路の上流側からのデータの受信が計時カウンタのカウントアップより遅くなっても、幹線伝送路に無駄なデータが流れることはない。このように本実施形態によれば、伝送中継システムに含まれる各伝送中継器60に全て同一の閾値を設定しつつ、第5実施形態と同一の効果が得られる。
本実施形態では、予告メッセージを受信した場合の計時カウンタの更新条件として、当該計時カウンタのカウント値が第2の閾値に達していることを採用したが、より早いタイミングで予告メッセージを受信する可能性がある場合には、計時カウンタのカウント値が第2の閾値よりも小さい第3の閾値(例えば、第2の閾値−1)以上であることを採用しても良い。このような態様によれば、例えば上記第3の閾値として第2の閾値−1を採用しておくことで、予告メッセージの受信時点では計時カウンタのカウント値が第2の閾値−1であり、その直後に計時カウンタのカウントアップが行われるような場合であっても、上記予告メッセージの送信元の伝送中継と同予告メッセージの受信側の伝送中継において、これら各伝送中継器の計時カウンタのカウント値がほぼ同時に上記第1の閾値に達することを回避することができる。なお、下流の伝送中継器における計時カウンタのアップよりも十分に遅いタイミング(例えば計時カウンタのカウントアップの半周期後など)で予告メッセージを送信するようにしておけば、予告メッセージを受信した場合の計時カウンタの更新条件は「計時カウンタのカウント値が第2の閾値に達していること」で良い。また、本実施形態では、予告メッセージを受信した場合の計時カウンタの減算量を1としたが、より大きな値を減算しても良い。
また、第2実施形態の第1の中継処理SB110の中継判断フラグFが初期値の場合の処理における当該中継判断フラグFへの初期値以外の値のセットを受信器110Bによるデータの受信から遅らせて実行する態様に、上記カウンタ制御処理を組み合わせても良い。同様に、第3実施形態の第1の中継処理SC110における第1の動作モードの処理を第1の中継処理SD110に置き換え、さらに同実施形態の第2の中継処理SC120の第2の動作モードにおける中継判断フラグFが初期値の場合の処理における当該中継判断フラグFへの初期値以外の値のセットを、受信器110Bによるデータの受信から遅らせて実行する態様に、上記カウンタ制御処理を組み合わせても良い。このようにしても本実施形態と同様の効果が得られる。
(G:第7実施形態)
図18は、本発明の第7実施形態の伝送中継器70の構成例を示す図である。本実施形態においても前述した第6実施形態と同様に、伝送中継器70に対して幹線伝送路を介して先頭車両側装置から転送されてくるデータが優先系のデータとなっており、系間伝送路を介して転送されているデータが待機系のデータとなっている。図18では、図17におけるものと同一のものには同一の符号が付されている。図18と図17を対比すれば明らかなように、本実施形態の伝送中継器70は制御部640に代えて制御部740を有している点が第6実施形態の伝送中継器60と異なる。制御部740は、第2の中継処理SF120に代えて第2の中継処理SG120を実行する点が第6実施形態の制御部640と異なる。
第2の中継処理SG120は、第2の中継処理SA120の他に、以下に説明するカウンタ制御処理(以下、第6実施形態におけるカウンタ制御処理と区別するため、「第2のカウンタ制御処理」と呼ぶ)を含んでいる。この第2のカウンタ制御処理では、制御部640は、計時カウンタのカウント値が第1の閾値の一つ手前の値(すなわち、前述した第2の閾値)に達したことを契機として送信器110Aを介して幹線伝送路の下流側へ予告メッセージを送信する。この点については前述した第6実施形態のカウンタ制御処理と同様である。ただし、第2のカウンタ制御処理は、予告メッセージに伝送中継器70による中継回数を示す中継回数情報が含まれている点と、予告メッセージを受信した場合には自器における計時カウンタのカウンタ値を問わずに当該カウンタ値の減算を行う点、および受信した予告メッセージに含まれている中継回数情報の示す中継回数が多いほど計時カウンタのカウンタ値の減算量を大きくするとともに、当該中継回数情報を1だけ更新(例えば、中継回数情報の初期値を0とする場合には1だけカウントアップ、255等を初期値とする場合には1だけカウントダウン)して下流側へ転送する点が上記第6実施形態のカウンタ制御処理と異なる。
中継回数情報については予告メッセージのメッセージフォーマットにおいて新たに定義しても良いが、ネットワーク層の通信プロトコルとしてIPを用いる場合にはIPパケットのヘッダ部のホップ数を用いるようにしても良い。ホップ数には、IPパケットの送出の際に初期値として255がセットされ、以降、伝送中継器等の中継装置よる中継を経る毎に1ずつ減算される。このため、予告メッセージを受信した伝送中継器70はその予告メッセージの伝送に用いられているIPパケットのヘッダ部のホップ数を参照して上記初期値との差分を算出することで当該予告メッセージの中継回数を特定することができる。
本実施形態によれば、幹線伝送路に沿って予告メッセージが下流側へ順次転送されてゆく過程で、下流側の伝送中継器70ほど計時カウンタのカウンタ値が大きく引き下げられる。このため、本実施形態によっても、前述した第6実施形態と同様に、伝送中継システムに含まれる各伝送中継器60に全て同一の閾値を設定しつつ、第5実施形態と同一の効果が得られる。また、IPパケットのヘッダ部のホップ数を参照して上流側における転送回数を特定するようにすれば、予告メッセージのメッセージフォーマットにおいて転送回数情報を新たに定義する態様に比較してIPパケットのペイロード部を解析する必要が無く、制御部740にかかる処理負荷が軽減されるといった効果もある。
なお、第2実施形態の第1の中継処理SB110の中継判断フラグFが初期値の場合の処理における当該中継判断フラグFへの初期値以外の値のセットを受信器110Bによるデータの受信から遅らせて実行する態様に、上記第2のカウンタ制御処理を組み合わせても良い。同様に、第3実施形態の第1の中継処理SC110における第1の動作モードの処理を第1の中継処理SD110に置き換え、さらに同実施形態の第2の中継処理SC120の第2の動作モードにおける中継判断フラグFが初期値の場合の処理における当該中継判断フラグFへの初期値以外の値のセットを受信器110Bによるデータの受信から遅らせて実行する態様に、上記第2のカウンタ制御処理を組み合わせても良い。このようにしても本実施形態と同様の効果が得られる。
(H:変形)
以上本発明の各実施形態について説明したが、これら実施形態を以下のように変形しても勿論良い。
(1)上記各実施形態では、鉄道車両用伝送中継システムへの本発明の適用例を説明したが、本発明の適用対象が鉄道車両用伝送中継システムに限定される訳ではない。伝送データの秘匿性やデータ伝送速度の向上よりも、データ通信の信頼性の確保が重要となる伝送中継システムであれば同様に適用可能である。例えば、大型貨物船や旅客機などの大型運輸機の運行制御のためのシステムへの適用が考えられる。これら大型輸送機においても、ブリッジやコックピットに設置されるコントローラに、ハッチの開閉器や舵やエンジン等の作動制御を行う機器を制御対象装置として接続して運行制御のためのシステムが構成されることが一般的であり、この種のシステムにおいても運行の安全確保のため高い信頼性を要求されるからである。また、金融機関の本店および各支店などの各拠点に敷設されたコンピュータ装置を通信回線等に接続して構成された金融システムへの適用も考えられる。この場合、拠点間を結ぶ通信回線が幹線伝送路となり、拠点内に敷設されるLAN(Local Area Network)等が系間伝送路となることが多いため、両者を接続するルータ等に本発明を適用すれば良い。
(2)上記各実施形態では、本発明の特徴を顕著に示すデータ中継制御処理(第1実施形態では、初期化処理SA100、第1の中継処理SA110および第2の中継処理SA120:第2実施形態では、初期化処理SA100、第1の中継処理SB110および第2の中継処理SB120:第3実施形態では、初期化処理SA100、第1の中継処理SC110および第2の中継処理SC120、第4および第5実施形態では、初期化処理SA100、第1の中継処理SD110および第2の中継処理SA120、第6実施形態では、初期化処理SA100、第1の中継処理SD110および第2の中継処理SF120、第7実施形態では、初期化処理SA100、第1の中継処理SD110および第2の中継処理SG120)をASICにより実現した。しかし、上記各データ中継制御処理をソフトウェアにより実現することも可能である。例えば、上記各実施形態におけるデータ中継制御処理をCPU(Central Processing Unit)などのコンピュータに実行させるためのプログラムを書き込んだROM(Read Only Memory)と、当該プログラムを実行する際のワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)と、当該RAMを利用しつつ当該ROMから当該プログラムを読み出して実行するCPUとを組み合わせて制御部140や、制御部240、制御部340、制御部440、制御部540、制御部640、制御部740を構成しても良い。
また、上記各実施形態のデータ中継制御処理をソフトウェアにより実現する場合には、上記データ中継制御処理をCPUに実行させるためのプログラムをフラッシュROMなどの記録媒体に書き込んで配布しても勿論良い。一般に、ルータやスイッチングハブなどの中継器では、データ中継制御を実現するためのソフトウェア(ファームウェア)はフラッシュROMなどの記録媒体に記録されて実装されていることが多い。上記各実施形態のデータ中継制御処理をCPUに実行させるためのプログラムを書き込んだフラッシュROMを配布するようにすれば、このフラッシュROMと、既存の中継器においてファームウェアの書き込まれたフラッシュROMとを差し替えることで、既存の中継器を上記各実施形態の伝送中継器として機能させることが可能になる。
1A、1B、1E…伝送中継システム、10,10M,10S、20,30、40,50,60,70…伝送中継器、110A、120A、130A…送信器、110B,120B,130B…受信器、140,240,340,440,540,640,740…制御部、350…動作モード切り換え部。

Claims (26)

  1. 第1の伝送路に接続される第1の通信インタフェース部と、
    前記第1の伝送路とは異なる第2の伝送路に接続される第2の通信インタフェース部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    中継判断フラグに初期値として第1の値をセットする初期化処理と、
    前記第2の通信インタフェース部によりデータを受信する毎に実行される処理であって、前記中継判断フラグの値が前記第1の値であれば当該受信したデータを破棄して前記中継判断フラグに前記第1の値とは異なる値をセットする一方、前記中継判断フラグの値が前記第1の値とは異なる値であれば当該受信したデータを前記第1の通信インタフェース部により前記第1の伝送路へ送出する第1の中継処理と、
    前記第1の通信インタフェース部によりデータを受信する毎に実行される処理であって、受信したデータを前記第1の通信インタフェース部により転送するとともに当該データを前記第2の通信インタフェース部により前記第2の伝送路へ送出し、前記中継判断フラグに前記第1の値をセットする第2の中継処理と、を実行する
    ことを特徴とする伝送中継器。
  2. 前記第1の中継処理では、前記中継判断フラグへの前記第1の値とは異なる値のセットを、前記第2の通信インタフェース部によるデータの受信から遅らせて実行することを特徴とする請求項1に記載の伝送中継器。
  3. 前記初期化処理において前記制御部によって初期値が設定されるとともに前記第2の通信インタフェース部によるデータの受信を契機としてカウントアップが開始されるカウンタを有し、
    前記制御部は前記カウンタの値が予め定められた第1の閾値に達したことを契機として前記中継判断フラグへの前記第1の値とは異なる値のセットを実行することを特徴とする請求項2に記載の伝送中継器。
  4. 前記制御部は、前記カウンタのカウント値が前記第1の閾値よりも小さい値として予め定められた第2の閾値に達したことを契機として前記第1の通信インタフェース部を介して前記第1の伝送路へ予告メッセージを送出する一方、前記第1の通信インタフェース部により予告メッセージを受信した場合には前記カウンタのカウント値を減算するとともに当該予告メッセージを前記第1の伝送路の下流側へ転送するカウンタ制御処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の伝送中継器。
  5. 前記カウンタ制御処理において前記制御部は、前記第1の通信インタフェース部により予告メッセージを受信し、かつ自器における前記カウンタのカウント値が前記第2の閾値以下の値として予め定められた第3の閾値に達していた場合に、当該カウンタのカウント値を所定量だけ減算するとともに当該予告メッセージを前記第1の伝送路の下流側へ転送することを特徴とする請求項4に記載の伝送中継器。
  6. 前記予告メッセージのヘッダ部には、上流側の伝送中継器による転送回数を示す転送回数情報が含まれており、
    前記カウンタ制御処理において前記制御部は、自器における前記カウンタの値が前記第2の閾値に達したことを契機として下流側へ送出する予告メッセージについては転送回数情報を初期化して送出する一方、上流側から受信した予告メッセージを下流側へ転送する際には当該予告メッセージの送信回数情報を1だけ更新して転送するとともに、上流側から受信した予告メッセージの転送回数情報の示す転送回数が多いほど自器における前記カウンタのカウント値の減算量を多くすることを特徴とする請求項4に記載の伝送中継器。
  7. 前記第1の中継処理では、前記第2の通信インタフェース部により連続して予め定められた数のデータを受信するまで、前記中継判断フラグへの前記第1の値とは異なる値のセットを見合わせることを特徴とする請求項1に記載の伝送中継器。
  8. 第1の伝送路に接続される第1の通信インタフェース部と、
    前記第1の伝送路とは異なる第2の伝送路に接続される第2の通信インタフェース部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    中継判断フラグに初期値として第1の値をセットする初期化処理と、
    前記第1の通信インタフェース部によりデータを受信する毎に実行される処理であって、受信したデータを前記第2の通信インタフェース部により前記第2の伝送路へ送出し、さらに、前記中継判断フラグの値が前記第1の値であれば前記中継判断フラグに前記第1の値とは異なる値をセットする一方、前記中継判断フラグが前記第1の値とは異なる値であれば当該受信したデータを前記第1の通信インタフェース部により転送する第1の中継処理と、
    前記第2の通信インタフェース部によりデータを受信する毎に実行される処理であって、受信したデータを前記第1の通信インタフェース部により前記第1の伝送路へ送出するとともに、前記中継判断フラグに前記第1の値をセットする第2の中継処理と、を実行する
    ことを特徴とする伝送中継器。
  9. 前記第1の中継処理では、前記中継判断フラグへの前記第1の値とは異なる値のセットを、前記第1の通信インタフェース部によるデータの受信から遅らせて実行することを特徴とする請求項8に記載の伝送中継器。
  10. 前記初期化処理において前記制御部によって初期値が設定されるとともに前記第1の通信インタフェース部によるデータの受信を契機としてカウントアップが開始されるカウンタを有し、
    前記制御部は前記カウンタの値が予め定められた第1の閾値に達したことを契機として前記中継判断フラグへの前記第1の値とは異なる値のセットを実行することを特徴とする請求項9に記載の伝送中継器。
  11. 前記制御部は、前記カウンタのカウント値が前記第1の閾値よりも小さい値として予め定められた第2の閾値に達したことを契機として前記第1の通信インタフェース部を介して前記第1の伝送路の下流側へ予告メッセージを送出する一方、前記第1の通信インタフェース部により予告メッセージを受信した場合には前記カウンタのカウント値を減算するとともに当該予告メッセージを前記第1の伝送路の下流側へ転送するカウンタ制御処理を実行することを特徴とする請求項10に記載の伝送中継器。
  12. 前記カウンタ制御処理において前記制御部は、前記第1の通信インタフェース部により予告メッセージを受信し、かつ自器における前記カウンタのカウント値が前記第2の閾値以下の値として予め定められた第3の閾値に達していた場合に、当該カウンタのカウント値を所定量だけ減算するとともに当該予告メッセージを前記第1の伝送路の下流側へ転送することを特徴とする請求項11に記載の伝送中継器。
  13. 前記予告メッセージのヘッダ部には、上流側の伝送中継器による転送回数を示す転送回数情報が含まれており、
    前記カウンタ制御処理において前記制御部は、自器における前記カウンタの値が前記第2の閾値に達したことを契機として下流側へ送出する予告メッセージについては転送回数情報を初期化して送出する一方、上流側から受信した予告メッセージを下流側へ転送する際には当該予告メッセージの送信回数情報を1だけ更新して転送するとともに、上流側から受信した予告メッセージの転送回数情報の示す転送回数が多いほど自器における前記カウンタのカウント値の減算量を多くすることを特徴とする請求項11に記載の伝送中継器。
  14. 前記第1の中継処理では、前記第1の通信インタフェース部により連続して予め定められた数のデータを受信するまで、前記中継判断フラグへの前記第1の値とは異なる値のセットを見合わせることを特徴とする請求項8に記載の伝送中継器。
  15. 第1の伝送路に接続される第1の通信インタフェース部と、
    前記第1の伝送路とは異なる第2の伝送路に接続される第2の通信インタフェース部と、
    第1の動作モードと第2の動作モードの2つの動作モードを有する制御部と、
    前記制御部の動作モードを切り替える切り換え部と、を備え、
    前記制御部は、
    中継判断フラグに初期値として第1の値をセットする初期化処理と、
    前記第2の通信インタフェースによりデータを受信する毎に実行される処理であって、前記第1の動作モードにおいては、前記中継判断フラグの値が前記第1の値であれば当該受信したデータを破棄して前記中継判断フラグに前記第1の値とは異なる値をセットする一方、前記中継判断フラグの値が前記第1の値とは異なる値であれば当該受信したデータを前記第1の通信インタフェース部により前記第1の伝送路へ送出し、前記第2の動作モードにおいては、当該受信したデータを前記第1の通信インタフェース部により転送するとともに前記中継判断フラグに前記第1の値をセットする第1の中継処理と、
    前記第1の通信インタフェース部によりデータを受信する毎に実行される処理であって、前記第1の動作モードにおいては、受信したデータを前記第1の通信インタフェース部により転送するとともに前記第2の通信インタフェース部により前記第2の伝送路へ送出して前記中継判断フラグに前記第1の値をセットし、前記第2の動作モードにおいては、受信したデータを前記第2の通信インタフェース部により前記第2の伝送路へ送出し、さらに、前記中継判断フラグの値が前記第1の値であれば前記中継判断フラグに前記第1の値とは異なる値をセットする一方、前記中継判断フラグが前記第1の値とは異なる値であれば当該受信したデータを前記第1の通信インタフェース部により転送する第2の中継処理と、を実行する
    ことを特徴とする伝送中継器。
  16. 前記第1の動作モードにおいては、前記第1の中継処理による前記中継判断フラグへの前記第1の値とは異なる値のセットを、前記第2の通信インタフェース部によるデータの受信から遅らせて実行し、前記第2の動作モードにおいては、前記第2の中継処理による前記中継判断フラグへの前記第1の値とは異なる値のセットを、前記第1の通信インタフェース部によるデータの受信から遅らせて実行することを特徴とする請求項15に記載の伝送中継器。
  17. 前記初期化処理において前記制御部によって初期値が設定されるとともに、前記第1の動作モードにおいては前記第1の中継処理における前記第2の通信インタフェース部によるデータの受信を契機としてカウントアップが開始される一方、前記第2の動作モードにおいては前記第2の中継処理における前記第1の通信インタフェース部によるデータの受信を契機としてカウントアップが開始されるカウンタを有し、
    前記制御部は前記カウンタの値が予め定められた閾値に達したことを契機として前記中継判断フラグへの前記第1の値とは異なる値のセットを実行することを特徴とする請求項16に記載の伝送中継器。
  18. 前記制御部は、前記カウンタのカウント値が前記第1の閾値よりも小さい値として予め定められた第2の閾値に達したことを契機として前記第1の通信インタフェース部を介して前記第1の伝送路の下流側へ予告メッセージを送出する一方、前記第1の通信インタフェース部により予告メッセージを受信した場合には前記カウンタのカウント値を減算するとともに当該予告メッセージを前記第1の伝送路の下流側へ転送するカウンタ制御処理を実行することを特徴とする請求項17に記載の伝送中継器。
  19. 前記カウンタ制御処理において前記制御部は、前記第1の通信インタフェース部により予告メッセージを受信し、かつ自器における前記カウンタのカウント値が前記第2の閾値以下の値として予め定められた第3の閾値に達していた場合に、当該カウンタのカウント値を所定量だけ減算するとともに当該予告メッセージを前記第1の伝送路の下流側へ転送することを特徴とする請求項18に記載の伝送中継器。
  20. 前記予告メッセージのヘッダ部には、上流側の伝送中継器による転送回数を示す転送回数情報が含まれており、
    前記カウンタ制御処理において前記制御部は、自器における前記カウンタの値が前記第2の閾値に達したことを契機として下流側へ送出する予告メッセージについては転送回数情報を初期化して送出する一方、上流側から受信した予告メッセージを下流側へ転送する際には当該予告メッセージの送信回数情報を1だけ更新して転送するとともに、上流側から受信した予告メッセージの転送回数情報の示す転送回数が多いほど自器における前記カウンタのカウント値の減算量を多くすることを特徴とする請求項18に記載の伝送中継器。
  21. 前記第1の動作モードにおいては、前記第1の中継処理による前記中継判断フラグへの前記第1の値とは異なる値のセットを、前記第2の通信インタフェース部により連続して予め定められた数のデータを受信するまで見合わせ、前記第2の動作モードにおいては、前記第2の中継処理による前記中継判断フラグへの前記第1の値とは異なる値のセットを、前記第1の通信インタフェース部により連続して予め定められた数のデータを受信するまで見合わせることを特徴とする請求項15に記載の伝送中継器。
  22. 前記第1の伝送路は列車の車両を跨いで敷設された幹線伝送路であり、前記第2の伝送路は車両内に敷設された系間伝送路であることを特徴とする請求項1〜21の何れか1項に記載の伝送中継器。
  23. 第1の伝送路と第2の伝送路の交差に設けられる伝送中継器におけるデータ中継方法であって、
    中継判断フラグに初期値として第1の値をセットする初期化ステップを前記伝送中継器に実行させた後に、
    前記中継判断フラグの値が前記第1の値であれば前記第2の伝送路から受信したデータを破棄して前記中継判断フラグに前記第1の値とは異なる値をセットし、前記中継判断フラグが前記第1の値とは異なる値であれば前記第2の伝送路から受信したデータを前記第1の伝送路へ送出する第1の中継ステップと、
    前記第1の伝送路を介して受信したデータを前記第1の伝送路を介してその宛先へ転送するとともに当該データを前記第2の伝送路へ送出し、前記中継判断フラグに前記第1の値をセットする第2の中継ステップと、
    を前記伝送中継器に実行させることを特徴とするデータ中継方法。
  24. 第1の伝送路と第2の伝送路の交差に設けられる伝送中継器におけるデータ中継方法であって、
    中継判断フラグに初期値として第1の値をセットする初期化ステップを前記伝送中継器に実行させた後に、
    前記第1の伝送路を介して受信したデータを前記第2の伝送路へ送出することに加えて、前記中継判断フラグが前記第1の値であれば前記中継判断フラグに前記第1の値とは異なる値をセットし、前記中継判断フラグが前記第1の値とは異なる値であれば当該受信したデータを前記第1の伝送路を介してその宛先へ転送する第1の中継ステップと、
    前記第2の伝送路から受信したデータを前記第1の伝送路へ送出し、前記中継判断フラグに前記第1の値をセットする第2の中継ステップと、
    を前記伝送中継器に実行させることを特徴とするデータ中継方法。
  25. コンピュータに、
    中継判断フラグに初期値として第1の値をセットする第1のステップと、
    前記第1のステップの実行後、当該コンピュータに接続された第1の伝送路を介してデータを受信する毎に実行されるステップであって、受信したデータを前記第1の伝送路を介してその宛先へ転送するとともに、当該コンピュータに接続された第2の伝送路に当該データを送出し、前記中継判断フラグに前記第1の値をセットする第2のステップと、
    前記第1のステップの実行後、前記第2の伝送路を介してデータを受信する毎に実行されるステップであって、前記中継判断フラグの値が前記第1の値であれば前記第2の伝送路から受信したデータを破棄して前記中継判断フラグに前記第1の値とは異なる値をセットし、前記中継判断フラグが前記第1の値とは異なる値であれば前記第2の伝送路から受信したデータを前記第1の伝送路へ送出する第3のステップと、
    を実行させることを特徴とするプログラム。
  26. コンピュータに、
    中継判断フラグに初期値として第1の値をセットする第1のステップと、
    前記第1のステップの実行後、当該コンピュータに接続された第1の伝送路を介してデータを受信する毎に実行されるステップであって、前記第1の伝送路を介して受信したデータを当該コンピュータに接続された第2の伝送路へ送出することに加えて、前記中継判断フラグが前記第1の値であれば前記中継判断フラグに前記第1の値とは異なる値をセットし、前記中継判断フラグが前記第1の値とは異なる値であれば当該受信したデータを前記第1の伝送路を介してその宛先へ転送する第2のステップと、
    前記第1のステップの実行後、前記第2の伝送路を介してデータを受信する毎に実行されるステップであって、受信したデータを前記第1の伝送路へ送出し、前記中継判断フラグに前記第1の値をセットする第3のステップと、
    を実行させることを特徴とするプログラム。
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