従来、LED素子からなる光源に、所望の直流電力を供給することで光源を点灯させる点灯装置がある。また、電源投入直後における電源からの突入電流(過電流)や、光源への過電流を防止する突入電流防止回路を備えた点灯装置も提供されている(例えば、特許文献1参照)。
図7に、突入電流防止回路を備えた従来の点灯装置の回路構成図を示す。
この従来の点灯装置は、入力フィルタ回路101,整流回路(DB)102,降圧チョッパ回路103,スイッチ制御部104,突入電流防止回路105,駆動回路106を主構成とする。そして、この点灯装置は、交流電源E101を入力電源として、光源107に点灯電力を供給するものである。
交流電源E101は、交流電圧Vacを点灯装置に出力する。点灯装置の入力には、入力フィルタ回路101が設けられている。入力フィルタ回路101は、交流電圧Vacの雑音を低減して、後段に設けられる整流回路102に出力する。
整流回路102は、複数のダイオード(図示なし)からなるダイオードブリッジ回路で構成されている。整流回路102は、交流電圧Vacを全波整流した脈流電圧を生成する。そして、整流回路102は、生成した脈流電圧を、後述する突入電流防止回路105を介して、降圧チョッパ回路103に出力する。
降圧チョッパ回路103は、コンデンサC101,コンデンサC102,巻線チョークT101の一次巻線L101,スイッチング素子Q101,ダイオードD101を有し、所望の直流電力を生成して光源107に出力する。
コンデンサC101は、平滑用の電解コンデンサで構成されており、降圧チョッパ回路103の入力端間に接続される。そして、コンデンサC101は、整流回路102の出力(脈流電圧)を平滑し、両端間に直流電圧Vdc1を生成する。
コンデンサC101と並列に、平滑用の電解コンデンサで構成されるコンデンサC102と、一次巻線L101と、nチャネルMOSFETで構成されるスイッチング素子Q101と、抵抗R101とからなる直列回路が接続される。また、コンデンサC102,一次巻線L101の直列回路と並列に、回生用のダイオードD101が接続される。スイッチング素子Q101のゲートは、スイッチ制御部104に接続される。そして、スイッチング素子Q101は、スイッチ制御部104によってスイッチング制御される。
スイッチ制御部104が、スイッチング素子Q101をオンすると、一次巻線L101に流れるチョーク電流Ilが増加し、巻線チョークT101にエネルギーが蓄積される。スイッチング素子Q101のオン時におけるチョーク電流Ilは、スイッチング素子Q101のドレイン電流に相当する。そこで、スイッチ制御部104は、スイッチング素子Q101に直列接続された抵抗R101を用いてドレイン電流を検出することで、スイッチング素子Q101のオン時におけるチョーク電流Ilを検出する。
抵抗R101と並列に、抵抗R102,抵抗R103,可変抵抗VR101の直列回路が接続されている。そして、抵抗R102と抵抗R103との接続点がスイッチ制御部104に接続されている。すなわち、抵抗R101の両端電圧の抵抗分圧(以降、ドレイン電流検出値Vqと称す)が、スイッチ制御部104に入力される。なお、抵抗R101〜抵抗R103,可変抵抗VR101それぞれの抵抗値の関係は、抵抗R101<<抵抗R102,抵抗R103,可変抵抗VR101となる。
図8(a)にドレイン電流検出値Vqの波形図、図8(b)にチョーク電流Ilの波形図、図8(c)にLED電流Ildの波形図を示す。
スイッチ制御部104が、スイッチング素子Q101をオンすることで、チョーク電流Ilが増加し、ドレイン電流検出値Vqも増加する。なお、図8(a)〜(c)におけるスイッチング素子Q101のオン期間をTon101とする。
そして、スイッチ制御部104は、ドレイン電流検出値Vqが所定の閾値Vthに達するとスイッチング素子Q101をターンオフする。したがって、チョーク電流Ilが所定のピーク値Ipに達すると、スイッチング素子Q101がターンオフされる。このピーク値Ipは、閾値Vthと、抵抗R101の両端電圧の分圧比(抵抗R102,抵抗R103,可変抵抗VR101の抵抗値の比)によって決定される。なお、図8(b)におけるピーク値をIp101とする。
スイッチング素子Q101がオフされると、巻線チョークT101に蓄積されたエネルギーがダイオードD101を介してコンデンサC102に回生され、チョーク電流Ilが低減する。スイッチ制御部104は、スイッチング素子Q1のドレイン電圧や、巻線チョークT101の二次巻線L102に生じる誘導電圧を検出することで、スイッチング素子Q101のオフ時におけるチョーク電流Ilを検出している。そして、スイッチ制御部104は、チョーク電流Ilがゼロになると、スイッチング素子Q101をターンオンする。なお、図8(a)〜(c)におけるスイッチング素子Q101のオフ期間をToff101とする。
このように、スイッチ制御部104がスイッチング素子Q101をオン・オフ駆動することで、チョーク電流Ilが断続制御され、直流電圧Vdc1を降圧した直流電圧Vdc2がコンデンサC102の両端間に生成される。
コンデンサC102と並列に、複数のLED素子Ld101からなる光源107が接続されている。したがって、この光源107に直流電圧Vdc2が印加され、各LED素子Ld101にLED電流Ildが流れて点灯する。ここで、LED電流Ildは、コンデンサC102によって平滑されるのでチョーク電流Ilの平均値に相当する。上述したように、チョーク電流Ilのピーク値Ipは、ドレイン電流検出値Vqに基づいて一定(図8(b)ではピーク値Ip101)に制御されるので、LED電流Ildも所望の定電流に制御される。なお、図8(c)における、LED電流Ildの値をIld1とする。
また、可変抵抗VR101の抵抗値を変動させることで、抵抗R101の両端電圧の分圧比が変動し、スイッチ制御部104に入力されるドレイン電流検出値Vqも変動する。ドレイン電流検出値Vqが変動することによって、チョーク電流Ilのピーク値Ipも変動する。すなわち、可変抵抗VR101の抵抗値を調整することで、LED電流Ildを調整することができる。
次に、突入電流防止回路105,駆動回路106について説明する。
突入電流防止回路105は、サーミスタPTC101,サイリスタQ102の並列回路で構成され、整流回路102と降圧チョッパ回路103との間に介挿されている。具体的には、突入電流防止回路105は、整流回路102の正極側出力と、コンデンサC101の正極との間に設けられている。サーミスタPTC101は、温度上昇に対して抵抗値が増大する特性を有している。したがって、サーミスタPTC101は、電流が流れることによって自己発熱して抵抗値が増大するので、限流素子として用いられる。サイリスタQ102は、アノードが整流回路102の正極側出力に接続され、カソードがコンデンサC101の正極に接続され、ゲートが駆動回路106に接続されている。
駆動回路106は、巻線チョークT101の二次巻線L102,ダイオードD102,抵抗R104,抵抗R105,コンデンサC103で構成されている。二次巻線L102は、一次巻線L101に磁気結合されており、一次巻線L101にチョーク電流Ilが流れることによって誘導電圧が発生する。この二次巻線L102の誘導電圧を駆動電源として、サイリスタQ102がオンする。
二次巻線L102は、一端がサイリスタQ102のカソードに接続され、他端がダイオードD102を介して、抵抗R104,抵抗R105,コンデンサC103からなる積分回路161の入力に接続される。抵抗R104,抵抗R105の直列回路は、一端(抵抗R104)が積分回路161の入力としてダイオードD102のカソードに接続され、他端(抵抗R105)がサイリスタQ102のカソードに接続される。また、コンデンサC103は、抵抗R105に並列接続されており、一端(抵抗R104,R105との接続点)が積分回路161の出力として、サイリスタQ102のゲートに接続される。
図9(a)にスイッチング素子Q101のゲート電圧の波形図を示す。また、図9(b)に一次巻線L101の両端電圧(スイッチング素子Q101側を基準とする)の波形図を示す。
スイッチング素子Q101のゲートに所定の電圧が印加されると、スイッチング素子Q101がオンする(オン期間Ton101)。このとき、一次巻線L101の両端電圧は、直流電圧Vdc1から直流電圧Vdc2を引いた電圧(=Vdc1−Vdc2)となる(スイッチング素子Q101側を基準とする)。そして、スイッチング素子Q101のゲート電圧がゼロになると、スイッチング素子Q101がオフする(オフ期間Toff101)。このとき、一次巻線L101の両端間には、直流電圧Vdc2と略同電圧の逆起電圧(=Vdc2)が発生する(光源107側を基準とする)。
また、二次巻線L102は、一次巻線L101に磁気結合しているため、二次巻線L102の両端間には、一次巻線L101と二次巻線L102との巻数比に応じた誘導電圧が発生する。積分回路161と二次巻線L102の他端との間にはダイオードD102が介挿されている。したがって、二次巻線L102の誘導電圧は整流され、スイッチング素子Q101のオフ時(オフ期間Toff101)のみ積分回路161に入力される。以降、ダイオードD102のカソード側電圧(積分回路161の入力電圧)を二次巻線L102の誘導電圧Vkとして説明する。図9(c)に、誘導電圧Vkの波形図を示す。なお、一次巻線L101の巻数をN101、二次巻線L102の巻数をN102とした場合、オフ期間Toff101における積分回路161の入力電圧の値は、Vdc2×N102/N101となる。この電圧が、積分回路161によって積分され、サイリスタQ102に出力されることで、サイリスタQ102がオンする。
すなわち、スイッチング素子Q101がオン・オフ駆動されることで、二次巻線L102に誘導電圧が発生し、サイリスタQ102がオンする。
電源投入直後は、スイッチ制御部104の制御電源(図示なし)が立ち上がっておらず、スイッチ制御部104が動作開始していないため、サイリスタQ102はオフ状態となる。これにより、電源投入直後における降圧チョッパ回路103の入力電流は、サーミスタPTC101を介して供給されることとなる。サーミスタPTC101は、限流素子として機能するので、コンデンサC101の充電電流(突入電流)を抑制することができる。
そして、スイッチ制御部4の制御電源が立ち上がり、スイッチング素子Q101のオン・オフ駆動が開始されると、二次巻線L102に誘導電圧が発生し、サイリスタQ102がオンする。すなわち、通常点灯時は、サイリスタQ102がオンするため、降圧チョッパ回路103の入力電流の大部分がサイリスタQ102を介して供給される。したがって、サーミスタPTC101による電力損失を低減させることができる。
また、突入電流防止回路105は、スイッチング素子Q101の故障時における過電流も抑制することができる。例えば、スイッチング素子Q101のドレイン‐ソース間が短絡故障した場合、光源107に直流電圧Vdc1が印加される。これにより、光源107に過電流が供給され、光源107が異常発熱するおそれがある。しかし、このときスイッチング素子Q101はオン・オフ駆動が不可となっているので、サイリスタQ102がオフする。したがって、サーミスタPTC101を介して入力電流が供給されることとなる。サーミスタPTC101に電流が流れ続けると、サーミスタPTC101の温度が上昇した抵抗値が著しく上昇する。これにより、降圧チョッパ回路103の入力電圧(直流電圧Vdc1)が低下し、光源107を点灯させるだけの直流電圧Vdc2を生成することができなくなり、光源107が不点となる。
このように、スイッチング素子Q101が短絡故障した場合であっても、突入電流防止回路105によって光源107への過電流を防止し、異常発熱を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態の点灯装置10の回路構成図を図1に示す。本実施形態の点灯装置10は、入力フィルタ回路1,整流回路(DB)2,降圧チョッパ回路3,スイッチ制御部4,突入電流防止回路5,駆動回路6を主構成とする。そして、この点灯装置10は、交流電源E1を入力電源として、光源7に点灯電力を供給するものである。
交流電源E1は、交流電圧Vacを点灯装置10に出力する。点灯装置10の入力には、入力フィルタ回路1が設けられている。入力フィルタ回路1は、交流電圧Vacの雑音を低減して、後段に設けられる整流回路2に出力する。
整流回路2は、複数のダイオード(図示なし)からなるダイオードブリッジ回路で構成されている。整流回路2は、交流電圧Vacを全波整流した脈流電圧を生成する。そして、整流回路2は、生成した脈流電圧を、後述する突入電流防止回路5を介して、降圧チョッパ回路3に出力する。
降圧チョッパ回路3(点灯電力供給回路)は、コンデンサC1,コンデンサC2,巻線チョークT1の一次巻線L1,スイッチング素子Q1(第1のスイッチング素子),ダイオードD1を有し、所望の直流電力を生成して光源7に出力する。
コンデンサC1は、平滑用の電解コンデンサで構成されており、降圧チョッパ回路3の入力端間に接続される。そして、コンデンサC1は、整流回路2の出力(脈流電圧)を平滑し、両端間に直流電圧Vdc1を生成する。
コンデンサC1と並列に、平滑用の電解コンデンサで構成されるコンデンサC2と、一次巻線L1と、nチャネルMOSFETで構成されるスイッチング素子Q1と、抵抗R1とからなる直列回路が接続される。また、コンデンサC1,一次巻線L1の直列回路と並列に、回生用のダイオードD1が接続される。スイッチング素子Q1のゲートは、スイッチ制御部4に接続される。そして、スイッチング素子Q1は、スイッチ制御部4によってスイッチング制御される。
スイッチ制御部4が、スイッチング素子Q1をオンすると、一次巻線L1に流れるチョーク電流Ilが増加し、巻線チョークT1にエネルギーが蓄積される。スイッチング素子Q1のオン時におけるチョーク電流Ilは、スイッチング素子Q1のドレイン電流に相当する。そこで、スイッチ制御部4は、スイッチング素子Q1に直列接続された抵抗R1を用いてドレイン電流を検出することで、スイッチング素子Q1のオン時におけるチョーク電流Ilを検出する。
抵抗R1と並列に、抵抗R2,抵抗R3,可変抵抗VR1の直列回路が接続されている。そして、抵抗R2と抵抗R3との接続点がスイッチ制御部4に接続されている。すなわち、抵抗R1の両端電圧の抵抗分圧(以降、ドレイン電流検出値Vqと称す)が、スイッチ制御部4に入力される。なお、抵抗R1〜抵抗R3,可変抵抗VR1それぞれの抵抗値の関係は、抵抗R1<<抵抗R2,抵抗R3,可変抵抗VR1となる。
図2(a)にドレイン電流検出値Vqの波形図、図2(b)にチョーク電流Ilの波形図を示す。
スイッチ制御部4が、スイッチング素子Q1をオンすることで、チョーク電流Ilが増加し、ドレイン電流検出値Vqも増加する。なお、図2におけるスイッチング素子Q1のオン期間をTon1とする。
そして、スイッチ制御部4は、ドレイン電流検出値Vqが所定の閾値Vthに達するとスイッチング素子Q1をターンオフする。したがって、チョーク電流Ilが所定のピーク値Ipに達すると、スイッチング素子Q1がターンオフされる。このピーク値Ipは、閾値Vthと、抵抗R1の両端電圧の分圧比(抵抗R2,抵抗R3,可変抵抗VR1の抵抗値の比)によって決定される。なお、図2(b)におけるピーク値をIp1とする。
スイッチング素子Q1がオフされると、巻線チョークT1に蓄積されたエネルギーがダイオードD1を介してコンデンサC2に回生され、チョーク電流Ilが低減する。スイッチ制御部4は、スイッチング素子Q1のドレイン電圧や、巻線チョークT1の二次巻線L2に生じる誘導電圧を検出することで、スイッチング素子Q1のオフ時におけるチョーク電流Ilを検出している。そして、スイッチ制御部4は、チョーク電流Ilがゼロになると、スイッチング素子Q1をターンオンする。なお、図2におけるスイッチング素子Q1のオフ期間をToff1、スイッチング周期をT1(=Ton1+Toff1)とする。
このように、スイッチ制御部4がスイッチング素子Q1をオン・オフ駆動することで、チョーク電流Ilが断続制御され、直流電圧Vdc1を降圧した所望の直流電圧Vdc2がコンデンサC2の両端間に生成される。
コンデンサC2と並列に、複数のLED素子Ld1(発光素子)からなる光源7が接続されている。したがって、この光源7に直流電圧Vdc2が印加され、各LED素子Ld1にLED電流Ildが流れて点灯する。ここで、LED電流Ildは、コンデンサC2によって平滑されるのでチョーク電流Ilの平均値に相当する。上述したように、チョーク電流Ilのピーク値Ipは、ドレイン電流検出値Vqに基づいて一定(図2(b)ではピーク値Ip1)に制御されるので、LED電流Ildも所望の定電流に制御される。なお、本実施形態の光源7は、LED素子Ld1で構成されているが、これに限定するものではなく、例えば有機EL素子など他の発光素子で構成されていてもよい。
また、可変抵抗VR1の抵抗値を変動させることで、抵抗R1の両端電圧の分圧比が変動し、スイッチ制御部4に入力されるドレイン電流検出値Vqも変動する。ドレイン電流検出値Vqが変動することによって、チョーク電流Ilのピーク値Ipも変動する。すなわち、可変抵抗VR1の抵抗値を調整することで、LED電流Ildを調整することができる。
次に、突入電流防止回路5,駆動回路6について説明する。
突入電流防止回路5は、サーミスタPTC1,サイリスタQ2(第2のスイッチング素子)の並列回路で構成され、降圧チョッパ回路3の入力電流経路に設けられている。具体的には、突入電流防止回路5は、整流回路2の負極側出力と、コンデンサC1の負極との間に設けられている。サーミスタPTC1は、温度上昇に対して抵抗値が増大する特性を有している。したがって、サーミスタPTC1は、電流が流れることによって自己発熱して抵抗値が増大するので、限流素子として用いられる。サイリスタQ2は、アノードがコンデンサC1の負極に接続され、カソードが整流回路2の負極側出力に接続され、ゲートが駆動回路6に接続されている。
駆動回路6は、巻線チョークT1の二次巻線L2,ダイオードD2,積分回路61,異常判定回路62,スイッチング素子Q3(電源遮断部)で構成されている。二次巻線L2は、一次巻線L1に磁気結合されており、一次巻線L1にチョーク電流Ilが流れることによって誘導電圧が発生する。この二次巻線L2の誘導電圧を駆動電源として、サイリスタQ2がオンする。
二次巻線L2は、一端がダイオードD2を介して積分回路61,異常判定回路62の入力に接続され、他端がサイリスタQ2のカソードに接続されている。
積分回路61は、抵抗R4,抵抗R5,コンデンサC3で構成される。抵抗R4,抵抗R5の直列回路は、一端(抵抗R4)が積分回路61の入力としてダイオードD2のカソードに接続され、他端(抵抗R5)がサイリスタQ2のカソードに接続される。また、コンデンサC3は、抵抗R5に並列接続されており、一端(抵抗R4,抵抗R5との接続点)が積分回路61の出力として、サイリスタQ2のゲートに接続される。
スイッチング素子Q1のゲートに所定の電圧が印加されると、スイッチング素子Q1がオンする(オン期間Ton1)。このとき、一次巻線L1の両端間電圧は、直流電圧Vdc1から直流電圧Vdc2を引いた電圧(=Vdc1−Vdc2)となる(スイッチング素子Q1側を基準とする)。そして、スイッチング素子Q1のゲート電圧がゼロになると、スイッチング素子Q1がオフする(オフ期間Toff1)。このとき、一次巻線L1の両端間には、直流電圧Vdc2と略同電圧の逆起電圧(=Vdc2)が発生する(光源7側を基準とする)。
また、二次巻線L2は、一次巻線L1に磁気結合しているため、二次巻線L2の両端間には、一次巻線L1と二次巻線L2との巻数比に応じた誘導電圧が発生する。積分回路61と二次巻線L2の一端との間にはダイオードD2が介挿されているため、二次巻線L2の誘導電圧が整流される。そして、スイッチング素子Q1のオン時(オン期間Ton1)のみ積分回路61および後述する異常判定回路62に、整流後の二次巻線L2の誘導電圧が入力される。以降、ダイオードD2のカソード側電圧(積分回路61,異常判定回路62の入力電圧)を二次巻線L2の誘導電圧Vkとして説明する。図2(c)に、誘導電圧Vkの波形図を示す。なお、一次巻線L1の巻数をN1、二次巻線L2の巻数をN2とした場合、オン期間Ton1における誘導電圧Vkの値は、Vdc2×N2/N1となる。
そして、この誘導電圧Vkが積分回路61によって積分され、サイリスタQ2のゲートに出力されることで、サイリスタQ2がオンする。すなわち、スイッチング素子Q1がオン・オフ駆動されることで、誘導電圧Vkが発生し、積分回路161を介してサイリスタQ2のゲートに入力されることで、サイリスタQ2がオンする。
電源投入直後は、スイッチ制御部4の制御電源(図示なし)が立ち上がっておらず、スイッチ制御部4が動作開始していないため、サイリスタQ2はオフ状態となる。これにより、電源投入直後における降圧チョッパ回路3の入力電流は、サーミスタPTC1を介して供給されることとなる。サーミスタPTC1は、限流素子として機能するので、コンデンサC1の充電電流(突入電流)を抑制することができる。
そして、スイッチ制御部4の制御電源が立ち上がり、スイッチング素子Q1のオン・オフ駆動が開始されると、二次巻線L2に誘導電圧が発生し、サイリスタQ2がオンする。すなわち、通常点灯時は、サイリスタQ2がオンするため、降圧チョッパ回路3の入力電流の大部分がサイリスタQ2を介して供給される。したがって、サーミスタPTC1による電力損失を低減させることができる。
また、突入電流防止回路5は、スイッチング素子Q1の故障時における過電流も抑制することができる。例えば、スイッチング素子Q1のドレイン‐ソース間が短絡故障した場合、光源7に直流電圧Vdc1が印加される。これにより、光源7に過電流が供給され、光源7が異常発熱するおそれがある。しかし、このときスイッチング素子Q1はオン・オフ駆動が不可となっているので、サイリスタQ2がオフする。したがって、サーミスタPTC1を介して入力電流が供給されることとなる。サーミスタPTC1に電流が流れ続けると、サーミスタPTC1の温度が上昇し抵抗値が著しく上昇する。これにより、降圧チョッパ回路3の入力電圧(直流電圧Vd1)が低下し、光源7を点灯させるだけの直流電圧Vdc2を生成することができなくなり、光源7が不点となる。
このように、スイッチング素子Q1が短絡故障した場合であっても、突入電流防止回路5によって光源7への過電流を防止し、異常発熱を抑制することができる。
次に、異常判定回路62について説明する。
異常判定回路62は、MPU621(Micro ProcessingUnit),抵抗R6〜抵抗R8,コンデンサC4で構成される。
抵抗R6,抵抗R7は直列接続され、抵抗R6が異常判定回路62の入力としてダイオードD2のカソードに接続され、抵抗R7がサイリスタQ2のカソードに接続される。また、抵抗R7と並列にコンデンサC4が接続される。そして、抵抗R6と抵抗R7との接続点がMPU621に接続される。したがって、誘導電圧Vkが抵抗R6,抵抗R7で抵抗分圧されて、MPU621に入力される。
MPU621は、誘導電圧Vk(具体的には、誘導電圧Vkの抵抗分圧)に基づいて、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間が異常であるか否かを判定する。MPU621の出力は、抵抗R8を介してスイッチング素子Q3に接続されている。スイッチング素子Q3は、NPNトランジスタで構成されており、コレクタがサイリスタQ2のゲートに接続され、ベースが抵抗R8を介してMPU621の出力に接続され、エミッタがサイリスタQ2のカソードに接続される。MPU621は、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間が異常であるか否かの判定結果に基づいて、スイッチング素子Q3をオンまたはオフする。
ここで、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間の異常について説明する。スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間とは、スイッチング素子Q1のオン期間Ton,オフ期間Toff,スイッチング周期Tを示している。そして、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間の異常とは、オン期間Ton,オフ期間Toff,スイッチング周期Tが閾値よりも長くなった状態のことを示す。
例えば、可変抵抗VR1が短絡故障した場合、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間が異常となる。図3(a)に可変抵抗VR1の短絡故障時におけるドレイン電流検出値Vqの波形図を示す。図3(b)に可変抵抗VR1の短絡故障時におけるチョーク電流Ilの波形図を示す。図3(c)に可変抵抗VR1の短絡故障時における誘導電圧Vkの波形図を示す。なお、上記説明に用いた図2(a)〜(c)は、可変抵抗VR1の正常時における波形図である。
可変抵抗VR1が短絡故障した場合、抵抗R1の両端電圧は、抵抗R2,抵抗R3で分圧されることとなる。したがって、スイッチ制御部4に入力されるドレイン電流検出値Vqは、ドレイン電流の値が同じであっても、可変抵抗VR1が正常(短絡故障していない)である場合に比べて低くなる。スイッチ制御部4は、正常時に比べて低くなったドレイン電流検出値Vqが閾値Vthに達するまでスイッチング素子Q101をオンする。したがって、図2(a),図3(a)に示すように、可変抵抗VR1の短絡故障時におけるスイッチング素子Q1のオン期間Ton2は、正常時におけるオン期間Ton1よりも長くなる。これにより、可変抵抗VR1の短絡故障時は、チョーク電流Ilのピーク値Ip2が、正常時におけるピーク値Ip1よりも高くなるので、光源7に供給されるLED電流Ildも正常時より大きくなる。また、可変抵抗VR1の短絡故障時におけるスイッチング素子Q1のオフ期間Toff2,スイッチング周期T2も、正常時におけるオフ期間Toff1,スイッチング周期T1よりも長くなる。なお、LED素子Ld1の電流‐電圧特性上、LED電流Ildの増加に伴う光源7の両端電圧(直流電圧Vdc2)の増加は小さい。
図2(c),図3(c)に示すように、誘導電圧Vkは、電圧レベルがスイッチング素子Q1のスイッチング動作に同期しており、スイッチング素子Q1のオン期間TonにHレベルとなり、オフ期間ToffにLレベルとなる。そこで、本実施形態では、誘導電圧Vkに基づいて、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間をカウントし、スイッチング動作時間が異常であるか否かを判定する。具体的には、誘導電圧Vkの抵抗分圧をMPU621に入力し、MPU621は、入力電圧(誘導電圧Vkの検出値)のHレベル期間(スイッチング素子Q1のオン期間Tonに相当)をカウントする。そして、MPU621は、Hレベル期間が閾値未満である場合、スイッチング動作時間は正常であると判定し、Hレベル期間が閾値以上である場合、スイッチング動作時間は異常であると判定する。
図4(a)に、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間が正常である場合における、MPU621の入力電圧波形を示す。図4(b)に、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間が異常である場合における、MPU621の入力電圧波形を示す。
MPU621は、誘導電圧Vkの検出値の電圧レベルを所定間隔で検出している。そして、MPU621は、Hレベルの連続検出回数が例えば5回以上である場合、スイッチング素子Q1のオン期間Tonが閾値以上であると判断し、スイッチング動作時間が異常であると判定する。なお、図4(a)(b)は、電圧レベルの検出タイミングを示している。
図4(a)に示すように、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間が正常である場合、Hレベルの連続検出回数は3回である。Hレベルの連続検出回数が5回未満(3回)であるので、MPU621は、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間は正常(異常ではない)であると判定する。一方、図4(b)に示すように、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間が異常である場合、Hレベルの連続検出回数は5回である。Hレベルの連続検出回数が5回以上であるので、MPU621は、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間は異常であると判定する。
そして、MPU621は、スイッチング動作時間が異常であるか否かの判定結果に基づいて、スイッチング素子Q3をオンまたはオフする。
MPU621は、スイッチング動作時間が正常(異常ではない)であると判定した場合、スイッチング素子Q3をオフする。この場合、サイリスタQ2には、誘導電圧Vkが駆動電源として供給され動作する。したがって、上述したように、通常点灯時は、サイリスタQ2がオンし、降圧チョッパ回路3の入力電流の大部分がサイリスタQ2を介して供給され、サーミスタPTC1による電力損失を低減させることができる。また、電源投入直後は、サイリスタQ2がオフし、サーミスタPTC1によってコンデンサC1の充電電流(突入電流)が抑制される。また、スイッチング素子Q1が短絡故障した場合は、サイリスタQ2がオフし、サーミスタPTC1によって光源7への過電流が防止される。これにより、光源7の異常発熱を抑制することができる。
一方、MPU621は、スイッチング動作時間が異常であると判定した場合、スイッチング素子Q3をオンする。スイッチング素子Q3は、サイリスタQ2のゲート‐カソード間に接続されている。したがって、スイッチング素子Q3がオンすることによって、サイリスタQ2のゲート‐カソード間が短絡され、スイッチング素子Q1がオン・オフ駆動しているにも関わらず、サイリスタQ2が強制的にオフされる。すなわち、異常判定回路62は、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間が異常であると判定した場合、サイリスタQ2の駆動電源を遮断して強制的にオフする。
サイリスタQ2がオフすることによって、降圧チョッパ回路3の入力電流は、サーミスタPTC1を介して供給されることとなる。サーミスタPTC1に電流が流れ続けると、サーミスタPTC1の温度が上昇して抵抗値が著しく上昇する。これにより、降圧チョッパ回路3の入力電圧(直流電圧Vdc1)が低下し、光源7を点灯させるだけの直流電圧Vdc2を生成することができなくなり、光源7が不点となる。これにより、光源7の異常発熱を抑制することができる。
このように、本実施形態では、従来では対応することができなかった、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間が異常となる故障モードが発生した場合でも、従来と同じ構成の突入電流防止回路5を用いて光源7への過電流を防止することができる。
なお、本実施形態では、誘導電圧Vkに基づいてスイッチング素子Q1のオン期間Tonが閾値以上であるか否かを判断し、スイッチング動作時間が異常であるか否かを判定している。しかし、図2,図3に示すように、スイッチング動作時間が異常である場合、スイッチング素子Q1のオン期間Tonだけでなく、オフ期間Toffおよびスイッチング周期Tも長くなる。そこで、図5(a)(b)に示すように、MPU621は、誘導電圧Vkの検出値のLレベルの連続検出回数が例えば5回以上である場合、スイッチング素子Q1のオフ期間Toffが閾値以上であると判断し、スイッチング動作時間が異常であると判定してもよい。また、同様の方法で、MPU621は、誘導電圧Vkの検出値からスイッチング周期Tが閾値以上であるか否かを判断し、スイッチング動作時間が異常であるか否かを判定してもよい。また、スイッチング素子Q1のオン期間Ton,オフ期間Toff,スイッチング周期Tのうち少なくとも2つ以上が閾値以上である場合に、スイッチング動作時間が異常であると判定してもよい。
しかし、以下の理由により、スイッチング動作時間が異常であるか否かの判定は、スイッチング素子Q1のオン期間Tonを用いることが望ましい。
点灯装置10の起動時は、直流電圧Vdc2がゼロから所定値まで上昇するのに一定時間を要する。しかし、点灯装置10の起動時におけるスイッチング素子Q1のオン期間Tonは、通常電灯時におけるスイッチング素子Q1のオン期間Tonと略同じである。したがって、スイッチング素子Q1のオン期間Tonに基づいて、スイッチング動作時間が異常であるか否かを判定する場合、点灯装置10の起動時に誤判定することがない。
しかし、スイッチング素子Q1のオフ期間Toffおよびスイッチング周期Tは、点灯装置10の起動時において、直流電圧Vdc2がゼロから上昇するため、通常点灯時に比べて長くなる。したがって、スイッチング素子Q1のオフ期間Toffまたはスイッチング周期Tに基づいて、スイッチング動作時間が異常であるか否かを判定する場合、点灯装置10の起動時に誤判定するおそれがある。そのため、点灯装置10の起動時に異常判定を行わないように、MPU621にマスク処理を行う必要がある。以上の理由により、スイッチング動作時間が異常であるか否かの判定は、スイッチング素子Q1のオン期間Tonを用いることが望ましい。
また、例えば降圧チョッパ回路3の主回路ループに検出抵抗を設けて、スイッチング動作時間が異常であるか否かを判定することはできるが、この場合、検出抵抗による回路損失が発生する。一方、本実施形態では、二次巻線L2の誘導電圧Vkに基づいて、スイッチング動作時間が異常であるか否かを判定するので、回路損失が少ない。
また、抵抗値が低い検出抵抗を光源7に直列接続することでも、光源7への過電流を検出することができるが、この場合、検出電圧がノイズによる影響を受けやすく、光源7への過電流を誤検出して、誤動作するおそれがある。一方、本実施形態では、比較的高い電圧の矩形波からなる誘導電圧Vkに基づいて、スイッチング動作時間が異常であるか否かを判定して光源7への過電流を検出しているので、ノイズ等による影響が小さく誤動作に対して強い。
また、必要であれば、降圧チョッパ回路3の前段に、力率改善回路(PFC回路)を設けてもよい。力率改善回路を設けた場合であっても、本実施形態の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では光源7に直流電力を供給する点灯電力供給回路として降圧チョッパ回路3を用いているが、これに限定するものではなく、例えば昇圧チョッパ回路や昇降圧チョッパ回路やコンバータ回路などで構成されていてもよい。
(実施形態2)
本実施形態の照明器具11の概略構成図を図6に示す。本実施形態の照明器具11は、実施形態1の点灯装置10と、この点灯装置10から所望の直流電力が供給される光源7と、点灯装置10および光源7が取り付けられる器具本体12とを主構成とし、住宅等の天井面に取り付けられるものである。
器具本体12は、金属製板部材をプレス成形や、硬質の樹脂材料を用いた成形によって、円筒形に形成された筐体であり、内部に点灯装置10,光源7を収納する。
光源7は、複数のLED素子Ld1を実装した実装基板(図示なし)が、円筒状に形成されたケース71に収納されている。また、ケース71には、LED素子Ld1の照射方向に透光部材72が設けられている。このように構成された光源7は、器具本体12の下面開口を閉塞するように取り付けられる。
点灯装置10は、入力フィルタ回路1,整流回路2,降圧チョッパ回路3,スイッチ制御部4,突入電流防止回路5,駆動回路6等を構成する回路素子が実装基板に実装されることで構成されており、器具本体12内に収納される。そして、点灯装置10は、光源7に電気的に接続される。
また、器具本体12の上端部には、ブラケット13が設けられ、このブラケット13には器具本体12の外部に電源端子台14を固定している。電源端子台14は、外部電源(例えば、交流電源E1)を点灯装置10に電気的に接続する。
そして、上記構成の照明器具11は、天井面に設けられた取付穴に埋込配設され、床面に向かって光を照射する。
本実施形態の照明器具11は、実施形態1の点灯装置10を備えているため、電源投入直後における突入電流を防止することができる。さらに、照明器具11は、スイッチング素子Q1の短絡故障時における光源7への過電流、スイッチング素子Q1のスイッチング動作時間の異常による光源7への過電流を防止することができる。光源7への過電流を防止することによって、光源7の異常発熱を抑制し、光源7が取り付けられる器具本体12の溶融や劣化等を防止することができる。