JP6101741B2 - 極端紫外光生成装置および方法 - Google Patents

極端紫外光生成装置および方法 Download PDF

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Description

本開示は、極端紫外光生成装置および方法に関する。
LPP(Laser Produced Plasma)方式による極端紫外(Extreme Ultraviolet:EUV)光を生成する装置(以下、EUV光生成装置と表記する)では、装置のチャンバ内のターゲット物質にレーザビームを集光照射することによってプラズマを生成する。このプラズマから放射される光にはEUV光が含まれている。プラズマから放射されたEUV光を補集して露光装置に導入するために、EUV集光ミラーが使用される。このEUV集光ミラーの反射面となる面には、たとえば13.5nmの波長成分のEUV光を選択的に反射する多層膜がコーティングされている。反射面の形状は、たとえば回転楕円面である。回転楕円面形状の反射面は、ある楕円の第1の焦点位置で放射された光を第2の焦点位置に集光させる。EUV集光ミラーにより集光されたEUV光は、露光装置に導入され、フォトリソグラフィ等に用いられる。また、EUV光を発生させる方法としては、ターゲット物質を1段階目のレーザ光照射によってターゲットを膨張させた後、2段階目のレーザ光照射によってプラズマ化してEUV光を発生させる方法が存在する。
特開2007−266234号公報 米国特許出願公開第2008/149862号明細書
概要
本開示の一態様にかかる極端紫外光生成装置は、レーザシステムと共に用いられる極端紫外光生成装置であって、レーザ光用の少なくとも1つの入射口およびターゲット物質を供給するためのターゲット供給部を含むチャンバと、レーザ光の光路上に設けられ、少なくとも1つのレーザ光の偏光状態を制御する少なくとも1つの偏光制御部と、前記チャンバ内で前記レーザ光が照射された前記ターゲット物質から放射される荷電粒子をトラップするための磁場を生成する磁場生成部と、トラップされた前記荷電粒子を回収するための回収部と、を備え、前記少なくとも1つのレーザ光が、前記チャンバ内に供給される未照射状態のターゲット物質に照射される第1のレーザ光と、前記第1のレーザ光が照射された前記ターゲット物質に照射される第2のレーザ光とを含み、前記少なくとも1つの偏光制御部は、前記第1のレーザ光を直線偏光のレーザ光に変換する第1の偏光制御部と、前記第2のレーザ光を円偏光のレーザ光に変換する第2の偏光制御部とを含んでもよい。
また、本開示の他の態様にかかる極端紫外光生成装置は、レーザシステムと共に用いられる極端紫外光生成装置であって、レーザ光用の少なくとも1つの入射口およびターゲット物質を供給するためのターゲット供給部を含むチャンバと、レーザ光の光路上に設けられ、少なくとも1つのレーザ光の偏光状態を制御する少なくとも1つの偏光制御部と、前記チャンバ内で前記レーザ光が照射された前記ターゲット物質から放射される荷電粒子をトラップするための磁場を生成する磁場生成部と、トラップされた前記荷電粒子を回収するための回収部と、を備え、前記少なくとも1つのレーザ光が、前記チャンバ内に供給される未照射状態のターゲット物質に照射される第1のレーザ光と、前記第1のレーザ光が照射された前記ターゲット物質に照射される第2のレーザ光とを含み、前記少なくとも1つの偏光制御部が、前記第1および第2のレーザ光の両方を直線偏光のレーザ光に変換する第3の偏光制御部を含んでもよい。
また、本開示の他の態様にかかる極端紫外光を生成する方法は、レーザシステムと共に用いられ、レーザ光用の少なくとも1つの入射口およびターゲット物質を供給するためのターゲット供給部を含むチャンバと、レーザ光の光路上に設けられ、少なくとも1つのレーザ光の偏光状態を制御する少なくとも1つの偏光制御部と、前記チャンバ内で前記レーザ光が照射された前記ターゲット物質から放射される荷電粒子をトラップするための磁場を生成する磁場生成部と、トラップされた前記荷電粒子を回収するための回収部と、を備える装置を用いて極端紫外光を生成する方法であって、前記少なくとも1つのレーザ光が、前記チャンバ内に供給される未照射状態のターゲット物質に照射される第1のレーザ光と、前記第1のレーザ光が照射された前記ターゲット物質に照射される第2のレーザ光とを含み、前記少なくとも1つの偏光制御部により、前記第1のレーザ光を直線偏光のレーザ光に変換し、前記第2のレーザ光を円偏光のレーザ光に変換することを含んでもよい。
図1は、本開示の実施の形態1によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。 図2は、P偏光のレーザ光およびS偏光のレーザ光の金属Snによる吸収率を示す。 図3は、本開示の実施の形態1による偏光制御機構の構成を模式的に示す。 図4は、図3に示す偏光制御機構を用いた偏光制御を説明する。 図5は、本開示の実施の形態1の変形例による偏光制御機構の構成を概略的に示す。 図6は、本開示の実施の形態1によるプラズマ生成過程における、ドロップレットをプリパルスレーザ光の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。 図7は、本開示の実施の形態1によるプラズマ生成過程における、ドロップレットをプリパルスレーザ光の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。 図8は、本開示の実施の形態1によるプラズマ生成過程における、フラグメントおよびプリプラズマをプリパルスレーザ光の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。 図9は、本開示の実施の形態1によるプラズマ生成過程における、フラグメントおよびプリプラズマをプリパルスレーザ光の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。 図10は、本開示の実施の形態1によるプラズマ生成過程における、フラグメント、プリプラズマ、およびプラズマをプリパルスレーザ光の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。 図11は、本開示の実施の形態1によるプラズマ生成過程における、フラグメントおよびプラズマをプリパルスレーザ光の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。 図12は、本開示の実施の形態1によるプリパルスレーザの構成の一例を模式的に示す。 図13は、本開示の実施の形態1の変形例によるプリパルスレーザの構成の一例を模式的に示す。 図14は、本開示の実施の形態2によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。 図15は、図14に示すEUV光生成装置のXV-XV線における断面を模式的に示す。 図16は、本開示の実施の形態2による偏光制御機構の構成の一例を模式的に示す。 図17は、本開示の実施の形態2によるプラズマ生成過程における、ドロップレットをプリパルスレーザ光の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。 図18は、本開示の実施の形態2によるプラズマ生成過程における、ドロップレットをプリパルスレーザ光の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。 図19は、本開示の実施の形態2によるプラズマ生成過程における、フラグメントおよびプリプラズマをプリパルスレーザ光の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。 図20は、本開示の実施の形態2によるプラズマ生成過程における、フラグメントおよびプリプラズマをプリパルスレーザ光の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。 図21は、本開示の実施の形態2によるプラズマ生成過程における、フラグメント、プリプラズマ、およびプラズマをプリパルスレーザ光の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。 図22は、本開示の実施の形態2によるプラズマ生成過程における、フラグメント、プリプラズマ、およびプラズマをプリパルスレーザ光の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。 図23は、本開示の実施の形態3によるプラズマ生成過程における、ドロップレットをプリパルスレーザ光の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。 図24は、本開示の実施の形態3によるプラズマ生成過程における、ドロップレットをプリパルスレーザ光の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。 図25は、本開示の実施の形態3によるプラズマ生成過程における、プリプラズマをプリパルスレーザ光の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。 図26は、本開示の実施の形態3によるプラズマ生成過程における、プリプラズマをプリパルスレーザ光の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。 図27は、本開示の実施の形態3によるプラズマ生成過程における、プラズマをプリパルスレーザ光の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。 図28は、本開示の実施の形態3によるプラズマ生成過程における、プラズマをプリパルスレーザ光の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。 図29は、本開示の実施の形態4によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。 図30は、図29に示すEUV光生成装置のXXX−XXX線における断面の構成を模式的に示す。 図31は、本開示の実施の形態5によるプリパルスレーザの構成の一例を模式的に示す。 図32は、図31に示すプリパルスレーザに用いられる偏光制御素子の一例を示す斜視図である。 図33は、図32に示す偏光制御素子の拡大部分縦断面図である。 図34は、本開示の実施の形態5の変形例による偏光制御素子の構成を模式的に示す。 図35は、本開示の実施の形態5の変形例によるプリパルスレーザの構成を模式的に示す。 図36は、本開示の実施の形態6によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。 図37は、本開示の実施の形態6の変形例において、マスタオシレータが出力するレーザ光のパルス波形の一例を模式的に示す。 図38は、本開示の実施の形態7によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。 図39は、本開示の実施の形態7の変形例において、マスタオシレータが出力するレーザ光のパルス波形の一例を模式的に示す。 図40は、本開示の実施の形態8によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。 図41は、本開示の実施の形態9によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。 図42は、本開示の実施の形態9によるEUV光生成装置のチャンバ内にフィルム状ターゲットを供給するフィルム状ターゲット供給装置の構成の一例を模式的に示す。 図43は、本開示の実施の形態10によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。 図44は、本開示の実施の形態10における、トップハットプリパルスレーザ光を集光したトップハットプリパルス集光レーザビームとドロップレットとの関係を模式的に示す。 図45は、図44におけるドロップレットおよびその付近を拡大して示す。 図46は、本開示の実施の形態10によるトップハット変換機構の構成の一例を模式的に示す。 図47は、本開示の実施の形態10の変形例1によるトップハット変換機構の構成を模式的に示す。 図48は、本開示の実施の形態10の変形例2によるトップハット変換機構の構成を模式的に示す。 図49は、本開示の実施の形態10の変形例3によるトップハット変換機構の構成を模式的に示す。 図50は、本開示の実施の形態11によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。 図51は、本開示の実施の形態12による偏光制御機構の一例を模式的に示す。 図52は、本開示の実施の形態12によるプラズマ生成過程における、ドロップレットをプリパルスレーザ光の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。 図53は、本開示の実施の形態12によるプラズマ生成過程における、ドロップレットをプリパルスレーザ光の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。 図54は、本開示の実施の形態12によるプラズマ生成過程における、フラグメントおよびプラズマをプリパルスレーザ光の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。 図55は、本開示の実施の形態12によるプラズマ生成過程における、フラグメントおよびプラズマをプリパルスレーザ光の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。 図56は、本開示の実施の形態13による偏光制御機構の一例を模式的に示す。 図57は、本開示の実施の形態14による偏光制御素子の一例を模式的に示す。 図58は、図57に示す偏光制御素子の拡大部分縦断面図を示す。 図59は、図57の偏光制御素子の配置例を示す。
実施形態
以下、本開示を実施するための形態を添付の図面を参照に詳細に説明する。以下の説明において、各図は本開示の内容を理解し得る程度に部材等の形状、大きさ、および/または位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。従って、本開示は各図で例示された部材等の形状、大きさ、および/または位置関係のみに限定されるものではない。また、図面の簡略化のため、断面におけるハッチングの一部等が省略されている。さらに、後述において例示する数値は、本開示の好適な例に過ぎない。従って、本開示は例示された数値に限定されるものではない。
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態1によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、ターゲット物質をプラズマ化する際に、2段階のレーザ照射を行う場合を例示する。しかし、本実施の形態はこれに限定されない。
図1は、本実施の形態1によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。図1に示すように、本実施の形態1によるEUV光生成装置1は、ターゲット物質を照射するレーザ光(プリパルスレーザ光L1およびメインパルスレーザ光L2)を出力するドライバレーザと、その内部でEUV光が生成されるチャンバ11と、ドライバレーザからのレーザ光(L1、L2)をチャンバ11内の所定の位置に集光する集光光学系と、を備え得る。
ドライバレーザは、プリパルスレーザシステムと、メインパルスレーザシステムと、を含み得る。プリパルスレーザシステムは、プリパルスレーザPLとリレー光学系R4と偏光制御機構10とを含み得る。メインパルスレーザシステムは、マスタオシレータMOとプリアンプPAとメインアンプMAとリレー光学系R1〜R3とを含み得る。
プリパルスレーザPLは、プリパルスレーザ光L1を出力する。プリパルスレーザ光L1は、チャンバ11内に供給されたターゲット物質を照射して、ターゲット物質を拡散ターゲットに変容させ得る。この明細書においては、「拡散ターゲット」とは、プリプラズマとフラグメントとの少なくとも一方を含む状態のターゲットと定義される。「プリプラズマ」とは、プラズマ状態、またはプラズマと原子や分子との混在状態と定義される。「フラグメント」とは、レーザ照射によりターゲット物質が分裂して変容したクラスタ、マイクロドロップレット等の雲、またはそれらが混在する微粒子群と定義される。
プリパルスレーザPLから出力されたプリパルスレーザ光L1は、リレー光学系R4によってそのビーム断面積が拡大されてもよい。つぎに、偏光制御機構10によってプリパルスレーザ光L1の偏光状態が制御され得る。偏光状態が制御されたプリパルスレーザ光L1は、集光光学系におけるレーザ光導入ミラーM1を透過し得る。その後、プリパルスレーザ光L1はチャンバ11に設けられたウィンドウW1を透過して、チャンバ11内の軸外放物面ミラーM2によって反射され、チャンバ11内の所定の位置(プラズマ生成サイトP1またはその近傍)に集光され得る。なお、軸外放物面ミラーM2は、チャンバ11外に配置されてもよい。この場合、軸外放物面ミラーM2によって反射されたレーザ光は、ウィンドウW1を透過してチャンバ11内に入射し、チャンバ11内の所定の位置(プラズマ生成サイトP1またはその近傍)に集光され得る。また、プリパルスレーザ光L1および/またはメインパルスレーザ光L2が通過する空間が、チャンバ11の内圧程度に保たれている場合、ウィンドウW1は省略しても構わない。この場合、チャンバ11はレーザ光が通過する開口を備えるのが好ましい。
一方、マスタオシレータMOは、メインパルスレーザ光L2を出力する。プリアンプPAおよびメインアンプMAは内部に増幅媒体を含み、各増幅媒体は少なくとも1つの所定の波長を有するレーザ光を増幅し得る。マスタオシレータMOは、この所定の波長と整合する波長をもつメインパルスレーザ光L2を出力するのが好ましい。マスタオシレータMOは、これらに限定されないが、たとえばシングルラインレーザ光もしくはマルチラインレーザ光を出力する1つのレーザ発振器でもよく、または、それぞれシングルラインレーザ光もしくはマルチラインレーザ光を出力する複数のレーザ発振器と、複数のレーザ発振器からのレーザ光を合波してレーザ光L2とする合波器とを含んでもよい。ここで、レーザ発振器は、これらに限定されないが、量子カスケードレーザなどの半導体レーザ発振器であっても、COガスレーザなどのガスレーザ発振器であっても、非線形結晶を含む光パラメトリック発振器などの固体レーザ発振器であっても、分布帰還型レーザ発振器であってもよい。マスタオシレータMOは、レーザ発振器から出力されたレーザ光のうち所望の波長帯域のレーザ光のみを選択的に分離させるグレーティング等の波長選択部を含んでもよい。この構成により、マスタオシレータMOから出力されるレーザ光の波長を光路下流側の増幅器(プリアンプPAおよび/またはメインアンプMA)において増幅される波長に整合させることができる。また、マスタオシレータMOは、レーザ発振器が発振するレーザ光の波長を制御するために共振器長を調整する共振器長調整部などを含んでもよい。
メインパルスレーザ光L2がプリアンプPAによって効率的に増幅されるように、リレー光学系R1はメインパルスレーザ光L2のビーム断面積および/または断面形状を調節してもよい。プリアンプPAは、たとえばCOガスを主たる増幅媒体とした増幅器でよい。プリアンプPAは、マスタオシレータMOから出力されたメインパルスレーザ光L2のうち、プリアンプPAにおいて増幅される波長と整合した波長のレーザ光を増幅し得る。
プリアンプPAで増幅されたメインパルスレーザ光L2がメインアンプMAによって効率的にさらに増幅されるように、リレー光学系R2は、メインパルスレーザ光L2のビーム断面積および/または断面形状を調節してもよい。メインアンプMAは、プリアンプPAと同様に、たとえばCOガスを主たる増幅媒体とした増幅器でよい。メインアンプMAは、プリアンプPAで増幅されたメインパルスレーザ光L2のうちメインアンプMAにおいて増幅される波長と整合した波長のレーザ光を増幅し得る。本実施の形態では、プリアンプPAとメインアンプMAとは同種の増幅媒体を使用するので、増幅されるレーザ光の波長は同一である。
メインアンプMAによって増幅されたメインパルスレーザ光L2は、その後、リレー光学系R3を通過することによって、ビームの広がり角が調整されほぼ平行光となる。つぎにメインパルスレーザ光L2は、集光光学系におけるレーザ光導入ミラーM1によって反射された後、プリパルスレーザ光L1とほぼ同一の光路を通ってチャンバ11内に導入され得る。チャンバ11内に導入されたメインパルスレーザ光L2は、軸外放物面ミラーM2によって反射されることで、チャンバ11内の所定の位置(プラズマ生成サイトP1またはその近傍)に集光され得る。
チャンバ11には、ドロップレットジェネレータ12が設けられてもよい。ドロップレットジェネレータ12は、内部に貯蓄されたターゲット物質をプラズマ生成サイトP1に向けて吐出することができる。ターゲット物質は、たとえばSnでよい。Snは溶融した状態でドロップレットジェネレータ12に蓄えられていてもよい。ドロップレットジェネレータ12は、ノズル12aを備え得る。ノズル12aを介してドロップレットDが吐出され得る。ドロップレットジェネレータ12は、たとえば溶融したSnに圧力を加えることによってSnを液滴(ドロップレットD)としてノズル12a先端を介して吐出してもよい。ただし、ドロップレットジェネレータ12はこの構成に限定されない。たとえば、この構成に加えてまたは代えて、ノズル12aと対向するように電極を配置し、ノズル12a先端とターゲット物質との間に作用する静電気力によって溶融Snを引き出してもよい。ドロップレットジェネレータ12から吐出されたドロップレットDがプラズマ生成サイトP1に到着する時点において、プリパルスレーザ光L1がドロップレットDに集光照射され得る。これにより、ドロップレットDがプラズマ生成サイトP1および/またはその近傍で拡散ターゲットに変容し得る。拡散ターゲットは時間と共に拡散し、その構成粒子が存在する範囲が拡大してゆく。構成粒子が所定密度以上で存在する範囲を、ここで拡散ターゲットの大きさと定義する。拡散ターゲットが所定の大きさになったタイミング(たとえばプリパルスレーザ光L1の照射から10ns〜10μs後)で、メインパルスレーザ光L2が拡散ターゲットに照射され得る。これにより、拡散ターゲットが加熱され、プラズマ化し得る。
チャンバ11内には、レーザ光によって照射されずに、プラズマ生成サイトP1を通過したドロップレットDや、レーザ光の照射によっても拡散しなかったドロップレットDの一部分を回収するターゲット回収部13が設けられてもよい。
さらに、チャンバ11内には、プラズマ生成サイトP1および/またはその近傍で生成されたプラズマから放射された光のうちで、少なくともEUV光L3を選択的に反射するEUV集光ミラーM3が設けられてもよい。EUV集光ミラーM3は、たとえば軸外放物面ミラーM2とプラズマ生成サイトP1との間に、反射面がプラズマ生成サイトP1に向けられた姿勢で配置されてもよい。反射面の形状は、たとえば回転楕円面である。反射面である回転楕円面の第1の焦点がプラズマ生成サイトP1と重なるようにEUV集光ミラーM3が位置決めされるのが好ましい。EUV集光ミラーM3には、たとえばその中央部を軸方向に貫通する貫通孔M3aが設けられ得る。軸外放物面ミラーM2で反射されたレーザ光(L1、L2)は、この貫通孔M3aを通過してプラズマ生成サイトP1またはその近傍に集光され得る。
また、EUV光L3は、EUV集光ミラーM3によって反射されることで、回転楕円面の第2の焦点に集光され得る。この第2の焦点は中間集光点IFと呼ぶことができる。チャンバ11と露光装置(不図示)との接続部分には露光装置接続部20が設けられ、露光装置接続部20にはピンホールが形成された隔壁21が設けられているのが好ましい。中間集光点IFに集光されたEUV光L3は、隔壁21のピンホールを通過し、不図示の光学系を介して露光装置へ導入され得る。
ドロップレットD表面におけるレーザ光の吸収率は、レーザ光の偏光状態と入射角度とに依存し得る。以下、図面を参照に詳細に説明する。P偏光のレーザ光およびS偏光のレーザ光の金属Snによる吸収率を図2に示す。なお、図2に例示するレーザ光の波長は1.06μmであるが、他の波長のレーザ光でも、以下の傾向は大きく変化しない。図2においてレーザ光の入射角度を0°から増大させる場合の吸収率の増減に着目する。この場合、P偏光のレーザ光に対する金属Snの吸収率は、入射角度が80°程度を超えるまでは入射角度が大きくなるに連れて上昇し、85°程度を超えたあたりから急激に下降する。一方、S偏光のレーザ光に対する金属Snの吸収率は、入射角度が0°付近では、P偏光の場合と略同程度の吸収率であるものの、入射角度が90°に近づくに連れて徐々に下降する。
このように、金属Snは、レーザ光の入射角度が大きい部分ほどP偏光のレーザ光を多く吸収する傾向があるのに対し、その入射角度が大きい部分ほどS偏光のレーザ光を吸収しにくくなる傾向がある。この関係を、たとえば球状のドロップレットDと、集光した際の断面形状が円形のプリパルスレーザ光L1との組合せにあてはめて考察する。ここで、プリパルスレーザ光L1の集光円の直径はドロップレットDの直径と同一で、かつ照射光軸がドロップレットDの中心を通り、なおかつプリパルスレーザ光L1のビームは発散角がほぼ0°の状態を仮定する。すると、レーザ光が照射されるドロップレットD表面の領域は、略半球状の領域となる。略半球状の領域における中央部分では、プリパルスレーザ光L1が略垂直(0°)に入射するため、P偏光とS偏光とに関わらず、プリパルスレーザ光L1が略同程度吸収される。一方で、半球状の領域の中央からの距離が大きくなるほど、プリパルスレーザ光L1の入射角度が90°に近づく。理解を容易にするため、プリパルスレーザ光L1を太陽光に見立てた場合、ドロップレットDが春分または秋分の地球であるとして説明する。プリパルスレーザ光L1がS偏光のレーザ光である場合、極地付近の地表面に対して大きい入射角度でS偏光のレーザ光が入射するので、極地付近ではプリパルスレーザ光L1の吸収率は非常に低い。これに対して、明け方と夕方の光が当たる赤道付近の地方では、地表面に対して大きい入射角度で見かけ上P偏光のレーザ光が入射するので、比較的高い吸収率で吸収される。結果として、極地付近と明け方、夕方の赤道付近とではレーザ光L1の吸収率が異なる。ここで、球の表面に対してプリパルスレーザ光L1をラジアル偏光で入射させる場合を仮定する。この場合、地球のたとえで言えば極地付近でも、明け方、夕方の赤道付近でも同様に大きい入射角度でP偏光のレーザ光を入射させることができる。逆に、アジマス偏光でプリパルスレーザ光L1を球状のドロップレットDに入射させると、極地付近でも、明け方、夕方の赤道付近でも同様に大きい入射角度でS偏光のレーザ光を入射させることができる。その結果、プリパルスレーザ光L1のエネルギーはドロップレットDの中央部付近では吸収されるが、中央部からの距離が大きくなるほど反射される。以上のように、プリパルスレーザ光L1の偏光状態を制御することによって、プリパルスレーザ光L1のドロップレットD表面における吸収率を制御できる。これは、プリパルスレーザ光L1のドロップレットD表面における入熱分布を制御できることを意味する。入熱状態が変化すると、それに伴って拡散ターゲットの状態が変化する。つまり、プリパルスレーザ光L1の偏光状態を制御することによって、拡散ターゲットの状態を制御することが可能となる。
本実施の形態1では、ドロップレットDに照射されるプリパルスレーザ光L1の偏光をラジアル偏光とする。これにより、ドロップレットDの半球状の照射表面ほぼ全てに対してプリパルスレーザ光L1がP偏光の状態で入射し得る。従って、空間的にランダムな直線偏光や直線偏光のプリパルスレーザ光L1を照射した場合に比べて、ドロップレットD表面でのレーザエネルギー吸収率が増加し、ドロップレットDに比較的高いエネルギーを吸収させることが出来る。言い換えれば、プリパルスレーザ光L1をラジアル偏光にすることにより、他の偏光状態である場合に比べて、より低いレーザエネルギーで所望の効果を得ることができる。
次に、本実施の形態1による偏光制御機構の例を、図面を参照して詳細に説明する。図3は、本実施の形態1による偏光制御機構の構成を模式的に示す。図4は、図3に示す偏光制御機構による偏光制御の原理を説明するための図である。なお、本実施の形態では、プリパルスレーザPLが直線偏光のプリパルスレーザ光L1aを出力する場合を例に挙げる。
・偏光制御機構
図3に示すように、偏光制御機構10は、主面がn角形(本例では八角形)のn分割波長板101でよい。n分割波長板101は、それぞれが二等辺三角形の形状で板状の複数のTN(Twisted Nematic)セル111〜11nで構成され得る。n分割波長板101は、TNセル111〜11nの二等辺三角形の各々の頂点を集合させて、板状に組み合わせて形成され得る。したがって、各TNセル111〜11nの頂点の内角は、360°をTNセル111〜11nの数(本例では8つ)で除算した角度(本例では45°)となる。各TNセル111〜11nの波長板としての光学軸の向きは、隣接するTNセル111〜11n同士で所定角度ずつ異なる。所定角度は、たとえば180°をTNセル111〜11nの数で除算した角度(本例では22.5°)で与えられ得る。各TNセル111〜11nを透過したレーザ光の偏光方向は、各TNセル111〜11nの光学軸とレーザ光の直線偏光方向とがなす角度に応じて変換され得る。これによって、各TNセル111〜11nを透過したレーザ光の偏光方向が、断面の各部で各々所定の偏光方向に変換され得る。したがって、このようなn分割波長板101を偏光制御機構10として用いることで、直線偏光のプリパルスレーザ光L1aをラジアル偏光のプリパルスレーザ光L1bに変換することが可能となる。この例では直線偏光のレーザ光をラジアル偏光のレーザ光に変換する例を示したが、所定の向きの光学軸を有する各TNセルを適切に配置することにより、透過するレーザ光をアジマス偏光のレーザ光に変換することも可能である。
・偏光制御機構の変形例
また、本実施の形態1による偏光制御機構10は、図5に示す偏光制御機構210に置き換えることも可能である。図5は、本実施の形態1の変形例による偏光制御機構の構成を模式的に示す。図5に示すように、本変形例による偏光制御機構210は、位相補償板211と、偏光回転板212と、シータセル213とを含み得る。位相補償板211は、たとえば光学透過面の上半分を透過するプリパルスレーザ光L1aの位相を90°変化させ得る。位相補償板211の下半分は、プリパルスレーザ光L1aの位相を変化させず透過させ得る。また、偏光回転板212は、入射したプリパルスレーザ光L1aの位相を90°変化させ得る。シータセル213は、セル内の液晶の分子配向を入射光の進行方向に沿って回転させ得る構造となっており、入射光の偏光軸も分子配向と同様に回転させ得る素子である。したがって、位相補償板211および偏光回転板212を透過した直線偏光のプリパルスレーザ光L1aは、シータセル213を透過する際に旋光効果を受けることで、ラジアル偏光のプリパルスレーザ光L1bに変換され得る。なお、位相補償板211と偏光回転板212との順序は入れ換えてもよい。また、本変形例による偏光制御機構210によれば、直線偏光のプリパルスレーザ光L1aをアジマス偏光のプリパルスレーザ光に変換することも可能である。
つぎに、本実施の形態1によるプラズマ生成過程を、図面を参照して詳細に説明する。図6〜図11は、本実施の形態1によるプラズマ生成過程を示す。図6、図8および図10は、各段階におけるドロップレットD、プリプラズマPP1およびフラグメントDD1、ならびにプラズマPR1をそれぞれプリパルスレーザ光L1の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。図7、図9および図11は、プラズマ生成過程の各段階におけるドロップレットD、プリプラズマPP1およびフラグメントDD1、ならびにプラズマPR1をそれぞれプリパルスレーザ光L1の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。
まず、図6に示すように、ドロップレットDに対してプリパルスレーザ光L1を集光した集光ビーム(以下、プリパルス集光レーザビームLF1という)を照射する。ここで、プリパルス集光レーザビームLF1とは、軸外放物面ミラーM2によって反射されたプリパルスレーザ光L1である。軸外放物面ミラーM2による反射光は偏光状態が変換されない。したがって、本実施の形態1におけるプリパルス集光レーザビームLF1の偏光状態は、プリパルスレーザ光L1bと同じラジアル偏光である。プリパルス集光レーザビームLF1の集光位置(プラズマ生成サイトP1またはその近傍)でのスポット径(直径)は、ドロップレットDの直径と略同一またはドロップレットDの直径よりも大きくなるのが好ましい。
このラジアル偏光であるプリパルス集光レーザビームLF1をドロップレットDに照射した場合、図7に示すように、ドロップレットD表面におけるレーザ光が照射された領域内では、場所に依らず略P偏光の状態でレーザ光が入射し得る。図8に示すように、プリパルス集光レーザビームLF1が照射されたドロップレットDの、プリパルス集光レーザビームLF1が照射された側にプリプラズマPP1が展開し得る。このとき、図9に示すように、直線偏光や空間的にランダムな直線偏光のレーザ光をドロップレットDに照射した場合に比べて、プリパルス集光レーザビームLF1の光軸方向から見て、ドロップレットDをより等方的な球状に拡散されたプリプラズマPP1に変容させることができる。なお、このときのプリプラズマPP1の直径が拡大する速さはプリパルス集光レーザビームLF1のエネルギーを調整することによって調整可能である。プリプラズマPP1の直径が、所定のタイミングで、たとえばメインパルス集光レーザビームLF2(図10参照)の焦点位置でのスポット径(直径)と同程度となるように、プリパルス集光レーザビームLF1のエネルギーを調節してもよい(図8または図9参照)。また、図8に示すように、プリパルス集光レーザビームLF1が照射されたドロップレットDの、プリパルス集光レーザビームLF1が照射された側と反対側に、粒状のターゲット物質が飛散する(以下、フラグメントDD1という)。
つぎに、プリパルス集光レーザビームLF1の照射によってドロップレットDから変容したプリプラズマPP1とフラグメントDD1との少なくとも一方にメインパルス集光レーザビームLF2を照射してもよい。ここで、メインパルス集光レーザビームLF2とは、軸外放物面ミラーM2によって反射されたメインパルスレーザ光L2である。また、メインパルス集光レーザビームLF2は円形の断面形状である場合が多い。このメインパルス集光レーザビームLF2の集光位置(プラズマ生成サイトP1またはその近傍)での照射ビーム径は、所定のタイミングで、拡散ターゲットの直径と同程度となるように調節されてもよいし、拡散ターゲットの直径より大きくなるように調節されてもよい。本実施の形態では、メインパルス集光レーザビームLF2が円形の断面形状である。加えて、プリプラズマPP1が等方的な球状に拡散している。すなわち、メインパルス集光レーザビームLF2の集光位置での照射ビーム径をプリプラズマPP1の直径に整合させてメインパルス集光レーザビームLF2をプリプラズマPP1に照射することが可能となる。
このように、ドロップレットDに対してラジアル偏光でプリパルスレーザ光を照射することにより、プリパルスレーザ光の吸収率が高めることができる。従って、ドロップレットDを拡散ターゲットに変容させるためのエネルギーを低減することができる。この拡散ターゲットに対してメインパルス集光レーザビームLF2を略同径で照射することで、プラズマ生成に寄与しないレーザエネルギーを非常に少なくできる可能性がある。この結果、より低いエネルギーでEUV光を生成することが可能となる。言い換えれば、エネルギー変換効率(Conversion Efficiency:CE)の向上を実現することが可能となる。ここで、CEとは、ターゲット物質に照射するレーザ光のエネルギーに対する、捕集されるEUV光のエネルギーの比として定義される。
本実施の形態では、プリプラズマPP1の直径がメインパルス集光レーザビームLF2のビーム径と略同じ大きさになったタイミングで、メインパルス集光レーザビームLF2をプリプラズマPP1に対して照射していたが、これに限定されることなく、たとえば、フラグメントDD1の分布範囲の直径がメインパルス集光レーザビームLF2のビーム径と同等の大きさになったタイミングで、フラグメントDD1に対してメインパルス集光レーザビームLF2を照射してもよい。
・プリパルスレーザ
つぎに、本実施の形態1によるプリパルスレーザPLについて、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態1では、プリパルスレーザPLとして、ピコ秒オーダのパルス幅をもつパルスレーザ光を出力する自己モード同期チタンサファイアレーザを例に挙げるが、これに限定されない。図12は、本実施の形態1によるプリパルスレーザの構成を模式的に示す。図12に示すように、プリパルスレーザPLは、半導体可飽和吸収ミラーM12と出力カプラM17とによって構成される共振器を備えてもよい。この共振器中には、半導体可飽和吸収ミラーM12に入射するレーザ光を収束させる凹面高反射ミラーM13と、たとえば外部の励起光源から出力された励起光LEは透過させ、共振器内部のレーザ光は反射する高反射ミラーM11と、外部からの励起光LEによって励起されレーザ発振するチタンサファイア結晶TS1と、共振器内部のレーザ光を反射する高反射ミラーM14と、チタンサファイア結晶TS1から出力されたレーザ光から所望の波長のレーザ光を選り分ける2つのプリズムM15およびM16と、が半導体可飽和吸収ミラーM12側から順に配置され得る。なお、チタンサファイア結晶TS1の光入出力端面は、入射レーザ光の反射を抑えるために、ブリュスターカットされていてもよい。この構成において、外部のたとえばNd:YVOレーザから出力されるレーザ光の第2高調波の光を励起光LEとして、高反射ミラーM11を透過させて導入してもよい。そして、半導体可飽和吸収ミラーM12の回復時間と共振器内を光が往復する距離によって決定される縦モードとを同期することによって、レーザ発振させてもよい。これにより、プリパルスレーザPLからピコ秒のパルス幅をもつパルスレーザ光が出力され得る。このようなピコ秒オーダのパルス幅をもつパルスレーザ光をプリパルスレーザ光L1に用いることで、単位時間当たりの照射エネルギー密度を高くできるので、効率よくドロップレットを拡散ターゲットに変容できる。
また、このようなピコ秒オーダのパルス幅をもつパルスレーザ光をプリパルスレーザ光L1に用い、さらに、たとえばターゲットにSnの固体ターゲットを用いた場合では、固体ターゲットの内部を破壊することなく表面部分のみを瞬時に加熱できる。言い換えれば、ターゲットの全体積中で、表面の非常に少ない体積のみをプリプラズマ化することが可能となる。このプリプラズマにメインパルス集光レーザビームを照射することにより、同様に、デブリの発生を抑制することが可能となる。なお、ターゲットの大きさによっては、プリパルスレーザ光L1のパルスエネルギーが不十分である場合がある。このような場合、プリパルスレーザ光L1を再生増幅器などで増幅してからターゲットに照射してもよい。
・プリパルスレーザの変形例
また、本実施の形態1によるプリパルスレーザPLは、図13に示すプリパルスレーザPL210に置き換えることも可能である。本変形例では、プリパルスレーザPL210として、ピコ秒オーダのパルス幅をもつパルスレーザ光を出力するモードロックYbファイバレーザを例に挙げるが、これに限定されない。図13は、本実施の形態1の変形例によるプリパルスレーザの構成を模式的に示す。図13に示すように、本変形例によるプリパルスレーザPL210は、レーザ光の光路である複数の光ファイバ130と、複数の光ファイバ130を結合する合波部134と、結合された光ファイバ130の2つの端にそれぞれ設けられて共振器を形成する半導体可飽和吸収ミラー(SESAM)131および出力カプラ138と、半導体可飽和吸収ミラー131で反射されたレーザ光をビーム整形して光ファイバ130の分岐の一端に入射させる複数のレンズM31およびM32と、共振器中のレーザ光の偏光状態を制御する偏光制御部132と、共振器中に光ファイバ130の分岐の一端からポンプ光を導入する光ポンプ133と、光ファイバ130の一部に設けられてポンプ光をレーザ増幅するYbファイバ135と、Ybファイバ135の分岐の一端から放射状に出射したレーザ光をコリメート化するコリメートレンズM33と、コリメート化されたレーザ光を波長選択して出力するグレーティングペア136と、この分岐の折返しを形成する高反射ミラーM34と、目的の波長のレーザ光のみを出力カプラ138から出力させるアイソレータ137と、を備えてもよい。以上のようなピコ秒オーダのパルス幅を有するファイバレーザをプリパルスレーザPL210に用いることで、単位時間当たりの照射エネルギー密度を高くできるので、効率よくドロップレットを拡散ターゲットに変容できる。
Snをターゲット物質として用いた場合、照射されるレーザ光の波長が短いほど、ドロップレットDによるレーザ光の吸収率が高くなる。たとえば、プリパルスレーザPLにNd:YAGレーザを用いた場合、このレーザの第1高調波(波長ω=1064nm)の光よりも、第2高調波(波長2ω=532nm)の光や第3高調波(波長3ω=266nm)の光をプリパルスレーザ光L1に用いた方が、ドロップレットDによる吸収率が向上し得る。
以上のように、本実施の形態1によれば、ターゲット物質に照射されてターゲット物質を拡散ターゲットに変容させるためのプリパルスレーザ光L1の偏光状態を制御することが可能であるため、CEの改善を実現し得る。
(実施の形態2)
本開示の実施の形態2によれば、レーザ光の偏光状態を制御することにより、プラズマ生成時に発生したデブリを効率的に回収することが可能となり得る。以下、本開示の実施の形態2によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態2では、プラズマ生成時に発生したイオンを含む帯電粒子を含むデブリによる悪影響を、磁場を用いて低減する。図14は、本実施の形態2によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。図15は、図14に示すEUV光生成装置のXV−XV線に沿った断面を模式的に示す。
図14に示すように、本実施の形態2によるEUV光生成装置2は、図1に示すEUV光生成装置1と同様の構成を備えてもよい。ただし、本実施の形態2では、偏光制御機構10が、偏光制御機構310に置き替えられる。この偏光制御機構310については、後述において詳細に説明する。
EUV光生成装置2は、図15に示すように、コイル14Aおよび14Bと、デブリ回収部15Aおよび15Bと、を備え得る。コイル14Aおよび14Bは、電磁石を構成する一対のコイルでよく、コイルによって生成される磁場の中心軸がプラズマ生成サイトP1またはその近傍を通るようにチャンバ11の外部に配置されていてもよい。デブリ回収部15Aおよび15Bはチャンバ11内部に設置されてもよく、コイル14Aおよび14Bによって生成される磁場の中心軸上に配置されるのが好ましい。デブリ回収部15Aおよび15Bは、それぞれたとえば一方の端がプラズマ生成サイトP1へ向けて開口された筒状の形状でよい。コイル14Aおよび14Bによって生成される磁場によってトラップされたデブリは、磁場の磁力線に巻きつくように移動し、その後、デブリ回収部15Aまたは15Bに入り得る。これにより、プラズマ生成サイトP1および/またはその近傍で発生したイオンを含む帯電粒子を含むデブリを回収することができる。
プラズマ生成時に発生したデブリを回収する場合、プラズマの状態を制御することで、より効率的にデブリを回収することが可能となる。プラズマの状態は、その前段階である拡散ターゲットの状態を制御することで、制御することができる。また、拡散ターゲットの状態は、ドロップレットDに照射するプリパルスレーザ光の偏光状態を制御することで、制御することができる。以下、本実施の形態2によるプリパルスレーザ光の偏光状態の制御機構について、図面を参照して詳細に説明する。
図16は、本実施の形態2による偏光制御機構の構成を模式的に示す。図16に示すように、偏光制御機構310は、入射する直線偏光のプリパルスレーザ光L1aの偏光方向を所定角度回転させるλ/2波長板311を含んでもよい。λ/2波長板311は、たとえば硫化カドミウム単結晶等の結晶でよい。λ/2波長板311は、回転後のプリパルスレーザ光L1cの偏光方向がコイル14Aおよび14Bによって生成される磁場の方向(MD)と一致するように配置されるのが好ましい。ここで、結晶の光学軸の方向とプリパルスレーザ光の直線偏光方向とがなす角度をθとすると、プリパルスレーザ光L1aは、このλ/2波長板311を透過することによって、偏光方向が2θ回転した直線偏光のレーザ光に変換され得る。したがって、λ/2波長板311を回転させることで、磁場の方向に略一致するようにプリパルスレーザ光L1cの偏光方向を調整できる。
ここで、本実施の形態2によるプラズマ生成過程を、図面を参照して詳細に説明する。図17〜図22は、本実施の形態2によるプラズマ生成過程を示す。図17、図19および図21は、各段階におけるドロップレットD、プリプラズマPP2、およびプラズマPR2をそれぞれプリパルスレーザ光L11の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示す。図18、図20および図22は、各段階におけるドロップレットD、プリプラズマPP2、およびプラズマPR2をそれぞれプリパルスレーザ光L11の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。
まず、図17に示すように、プリパルスレーザ光L11を集光したプリパルス集光レーザビームLF11をドロップレットDに対して照射する。プリパルス集光レーザビームLF11の偏光状態は、直線偏光である。この直線偏光のプリパルス集光レーザビームLF11をドロップレットDに照射した場合を説明する。図18に示すように、ドロップレットDにおけるプリパルス集光レーザビームLF11の照射領域のうち、磁場方向MDの縁部表面にはプリパルス集光レーザビームLF11がP偏光で入射する光が多くなるため、相対的にレーザ光の吸収率が高くなる。一方、照射領域のうち、磁場方向MDと垂直な方向の縁部表面にはプリパルス集光レーザビームLF11がS偏光で入射する光が多くなるため、相対的にレーザ光の吸収率が低くなる。レーザ光の吸収率が高い部分は、相対的にターゲット物質への入熱が多いため比較的高温のプラズマが生成される。一方、レーザ光の吸収率が低い部分は、相対的にターゲット物質への入熱が少ないため、比較的低温のプラズマが生成される。高温のプラズマは、低温のプラズマに比べて拡散速度が速い。この結果、ドロップレットDから発生するプリプラズマPP2は、図19および図20に示すように、磁場方向MDに伸長された形状となる。メインパルスレーザ光L2を集光したメインパルス集光レーザビームLF2をこの伸長されたプリプラズマPP2に対して照射すると、図21および図22に示すように、磁場方向MDに伸長されたプラズマPR2が生成される。このように伸長したプラズマPR2が生成される際に放出されるデブリは、磁場方向MDに速度ベクトルを持つ。磁場方向MDに速度ベクトルを持つデブリは、より確実に磁場によってトラップされる。この結果、デブリの回収効率が向上することが期待できる。なお、この際、フラグメントDD1は電気的に中性であるため磁場の影響は受けない。また、フラグメントDD1はメインパルスレーザ光の照射によりプラズマを生成し、磁場によって磁場方向MDに伸長された形状となる。
以上の構成により、プラズマ生成時に発生したデブリを効率的に回収することが可能となる。
(実施の形態3)
つぎに、本開示の実施の形態3によるEUV光生成装置について、詳細に説明する。本実施の形態3では、実施の形態1のEUV光生成装置と同様の構成を備えるEUV光生成装置を用い、ドロップレットDとして、マスリミテッドドロップレットを用いる。マスリミテッドドロップレットは、ドロップレットを構成するほとんど全ての原子がEUV光を発生させるように励起された場合に、所望のEUV光出力をもたらすのに必要な最小の原子数で構成される。マスリミテッドドロップレットの直径は、たとえば、所望のEUV光出力を100Wとして、出力が10kW、繰り返し周波数が100kHzのレーザによってターゲットを励起する場合、約10μm程度と見積もられる。
ここで、本実施の形態3によるプラズマ生成過程を、図面を参照して詳細に説明する。図23〜図28は、本実施の形態3によるプラズマ生成過程を示す。図23、図25および図27は、各過程におけるドロップレットD、拡散ターゲットPP3、およびプラズマPR3をそれぞれプリパルスレーザ光L1の光軸と垂直な方向から見た際の状態を模式的に示し、図24、図26および図28は、各段階におけるドロップレットD、拡散ターゲットPP3、およびプラズマPR3をそれぞれプリパルスレーザ光L1の光軸方向から見た際の状態を模式的に示す。
まず、図23に示すように、プリパルスレーザ光L1を集光したプリパルス集光レーザビームLF1をドロップレットDに照射する。プリパルス集光レーザビームLF1の偏光状態は、ラジアル偏光でよい。このラジアル偏光のプリパルス集光レーザビームLF1をドロップレットDに照射した場合、図24に示すように、球状のドロップレットDの照射表面に対して、プリパルス集光レーザビームLF1のほとんどがP偏光で入射し得る。このため、ドロップレットDは等方的に拡散し、等方的な分布をもつ拡散ターゲットPP3に変容し得る。このような拡散ターゲットPP3に対して円形の断面形状のメインパルス集光レーザビームLF2を照射すると、図25〜図28に示すように、拡散ターゲットPP3全体を加熱することができ、高温のプラズマPR3となり得る。この結果、ドロップレットDのほぼ全ての原子を励起してEUV光L3の生成を行うことが可能となる。
以上の構成により、ドロップレットDを効率よく励起し、デブリの発生を抑制することができる。
(実施の形態4)
つぎに、本開示の実施の形態4によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態4では、プリパルスレーザ光L1がメインパルスレーザ光L2とは異なる光軸でドロップレットDに集光される。図29は、本実施の形態4によるEUV光生成装置4の構成を模式的に示す。図30は、図29に示すEUV光生成装置4のXXX−XXX線に沿った断面の構成を模式的に示す。
図29に示すように、本実施の形態4によるEUV光生成装置4は、図1に示すEUV光生成装置1と同様の構成を備える。ただし、本実施の形態4では、ウィンドウW1を介しては、メインパルスレーザ光L2のみがチャンバ11内に導入される。このため、レーザ光導入ミラーM1は、単なる高反射ミラーに置き替えることができる。
図30に示すように、EUV光生成装置4では、プリパルスレーザ光L1は、メインパルスレーザ光L2用とは異なる軸外放物面ミラーM4で反射され、異なるウィンドウW3を介してチャンバ11内のプラズマ生成サイトP1またはその近傍に集光されてもよい。
このように、プリパルスレーザ光L1がメインパルスレーザ光L2とは異なる光軸でドロップレットDに集光される場合であっても、上述したような偏光制御機構10、または210等を用いてプリパルスレーザ光L1の偏光状態を制御することで、上述の実施の形態1または3と同様の効果を得ることが可能である。
(実施の形態5)
つぎに、本開示の実施の形態5によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。上述した実施の形態では、プリパルスレーザPLまたはPL210とプラズマ生成サイトP1との間の光路上に、プリパルスレーザ光L1の偏光状態を制御する偏光制御機構10、210または310を配置した。これに対し、本実施の形態5では、プリパルスレーザ自体に偏光制御機構を設けてもよい。
図31は、本実施の形態5によるプリパルスレーザの構成を模式的に示す。図31に示すように、本実施の形態5によるプリパルスレーザPL510には、共振器を形成する2つのミラーのうち、リア側のミラーに反射型の偏光制御素子51が用いられ得る(a)。プリパルスレーザPL510は、偏光制御素子51を適宜選択することで、ラジアル偏光のプリパルスレーザ光L1bを出力するようにも(b)、アジマス偏光のプリパルスレーザ光L1dを出力するようにも(c)構成できる。フロント側のミラーには、たとえば出力カプラであるフロントミラーM51が用いられる。偏光制御素子51とフロントミラーM51との間には、レーザ媒質52を含む容器が配置されてもよい。
・偏光制御素子
ここで、偏光制御素子51の一例を、図面を参照して詳細に説明する。本説明では、ラジアル偏光のプリパルスレーザ光L1bを生成する際に使用する偏光制御素子51を例示する。図32は、図31に示す偏光制御素子の一例を示す斜視図である。図33は、図32に示す偏光制御素子の拡大部分縦断面図である。図32に示すように、本実施の形態5による偏光制御素子51には、高反射ミラー501の反射面に同心円型の回折格子511が形成された、いわゆる円形回折格子ミラー510を用いることができる。また、図33に示すように、高反射ミラー501では、ガラス基板513の反射面に多層膜512が形成されていてもよい。この多層膜512における最上層に、同心円の回折格子511が形成されていてもよい。このような同心円の回折格子511が形成された円形回折格子ミラー510は、レーザ媒質52が発振するレーザ光のうち、アジマス偏光のレーザ光を透過させ、ラジアル偏光のレーザ光を反射する。よって、円形回折格子ミラー510をレーザ共振器のリアミラーとして用いた場合、共振器内部ではラジアル偏光のレーザ光のみが増幅され得る。つまり、プリパルスレーザPL510から出力されるプリパルスレーザ光L1は、ラジアル偏光のプリパルスレーザ光L1bとなる。
・偏光制御素子の変形例
また、図31に示す偏光制御素子51には、図34に示すようなリアミラーユニット520を用いることも可能である。図34は、本実施の形態5の変形例による偏光制御素子の構成を模式的に示す。図34に示すように、リアミラーユニット520では、アキシコンミラー522とWアキシコンミラー523とが同軸に組み合わされ、リトロリフレクターとして機能することができる。つまり、リアミラーユニット520は、いわゆるトリプルアキシコンユニットの構成を備えることができる。アキシコンミラー522およびWアキシコンミラー523のそれぞれの反射面は、レーザ媒質52によって増幅されるレーザ光の光軸に対して45°の傾きを持つのが好ましい。また、各反射面には、誘電体多層膜がコーティングされているのが好ましい。この誘電体多層膜にP偏光で入射するレーザ光およびS偏光で入射するレーザ光に対する反射率を制御することで、ラジアル偏光またはアジマス偏光のレーザ光を出力することが可能となる。たとえば誘電体多層膜にP偏光で入射するレーザ光に対する反射率をS偏光で入射するレーザ光に対する反射率よりも高くすることで、ラジアル偏光のプリパルスレーザ光L1bを生成することが可能となる。一方で、たとえば誘電体多層膜にS偏光で入射するレーザ光に対する反射率をP偏光で入射するレーザ光に対する反射率よりも高くすることで、アジマス偏光のプリパルスレーザ光L1dを生成することが可能となる。
・プリパルスレーザの変形例
図35は、本実施の形態5の変形例によるプリパルスレーザの構成を模式的に示す。図35に示すように、プリパルスレーザ光L1の偏光状態を制御する偏光制御素子として透過型の偏光制御素子53が用いられてもよい。このような構成によっても、ラジアル偏光またはアジマス偏光のプリパルスレーザ光L1を生成することが可能である。
以上のように、本実施の形態5によれば、上述した各実施の形態と同様に、ドロップレットDとして供給されたターゲット物質(Sn)をプラズマ化するレーザ光のうち少なくともターゲット物質を拡散ターゲット化するプリパルスレーザ光L1の偏光状態を制御することが可能である。これにより、CEを改善することが可能となる。
(実施の形態6)
つぎに、本開示の実施の形態6によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態6では、一度のレーザ光照射によってドロップレットをプラズマ化する場合を例に挙げる。図36は、本実施の形態6によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。
図36に示すように、本実施の形態6によるEUV光生成装置6は、図1に示すEUV光生成装置1と同様の構成を備える。ただし、本実施の形態6では、ウィンドウW1を介してメインパルスレーザ光L2のみがチャンバ11内に導入される。また、実施の形態6の変形例においては、プリパルスレーザ光L21およびメインパルスレーザ光L22がウィンドウW1を介してチャンバ11内に導入されてもよい。このため、レーザ光導入ミラーM1は、単なる高反射ミラーでもよい。
また、図36に示すように、マスタオシレータMOから出力されたメインパルスレーザ光L2aの光路上に、メインパルスレーザ光L2aの偏光状態を制御するための偏光制御機構610が設けられる。この偏光制御機構610は、メインパルスレーザ光L2aが増幅器に入射する前にメインパルスレーザ光L2aの偏光状態を制御できる位置に配置されることが好ましい。特に、偏光制御機構610をたとえば透過型の光学素子により構成した場合、偏光制御機構610をマスタオシレータMOと増幅器との間の光路上に配置することで、偏光制御機構610の温度が変化することによる偏光制御機構610の性能劣化を抑制することができる。なお、図36では、偏光制御機構610が、直線偏光のメインパルスレーザ光L2aをラジアル偏光のメインパルスレーザ光L2bに変換する場合を例に挙げている。
このように、メインパルスレーザ光L2のみの照射によってドロップレットDをプラズマ化する場合でも、メインパルスレーザ光L2の偏光状態をラジアル偏光またはアジマス偏光に制御することによって、ドロップレットD表面におけるレーザエネルギー吸収率を向上させることが可能となる。言い換えれば、CEの向上実現することが可能となる。
・変形例
図37は、本実施の形態6の変形例において、マスタオシレータが出力するレーザ光の時間的な強度変化を示す時間波形図である。実施の形態6の変形例においては、図37に示すように、マスタオシレータMOがプリパルスレーザ光L21とメインパルスレーザ光L22との両方を、時間差tを持って出力するように構成することもできる。これにより、上述した実施の形態1〜5のいずれかと同様に、ドロップレットDにプリパルスレーザ光L21を照射することによって拡散ターゲット化した後、拡散ターゲットにメインパルスレーザ光L22を照射することによってプラズマ化するように構成される。なお、その他の構成および効果は、上述の実施の形態6と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
(実施の形態7)
つぎに、本開示の実施の形態7によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態7では、一度のレーザ光照射によってドロップレットをプラズマ化する場合であって、マスタオシレータが偏光制御されたメインパルスレーザ光を出力する場合を例に挙げる。図38は、本実施の形態7によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。
図38に示すように、本実施の形態7によるEUV光生成装置7は、図36に示すEUV光生成装置6と同様の構成を備えてもよい。ただし、本実施の形態7では、偏光制御機構610が省略されると共に、マスタオシレータMOが偏光制御素子710を備えたマスタオシレータMO710に置き替えられる。本実施の形態7においても、ウィンドウW1を介してメインパルスレーザ光L32のみがチャンバ11内に導入され得る。本実施の形態7の変形例においては、プリパルスレーザ光L41およびメインパルスレーザ光L42がウィンドウW1を介してチャンバ11内に導入され得る。このため、レーザ光導入ミラーM1は、単なる高反射ミラーでもよい。
この構成において、マスタオシレータMO710に備えられる偏光制御素子710には、たとえば、図31〜図35のいずれかに示した偏光制御素子51または53を用いることができる。その他の構成および効果は、上述の実施の形態1〜6のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
・変形例
図39は、本実施の形態7の変形例においてマスタオシレータが出力するレーザ光の時間的な強度変化を示す時間波形図である。上述の実施の形態6の変形例と同様に、実施の形態7の変形例においては、図39に示すように、マスタオシレータMO710がプリパルスレーザ光L41とメインパルスレーザ光L42との両方を、時間差tを持って出力するように構成することもできる。これにより、上述した実施の形態1〜6のいずれかと同様に、ドロップレットDの少なくとも一部をドロップレットDにプリパルスレーザ光L41を照射することによって拡散ターゲット化した後、拡散ターゲットにメインパルスレーザ光L42を照射することによってプラズマ化するように構成される。なお、その他の構成および効果は、上述の実施の形態7と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
(実施の形態8)
つぎに、本開示の実施の形態8によるEUV光発生装置について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態8では、プリパルスレーザ光をラジアル偏光の光とし、メインパルスレーザ光をアジマス偏光の光とする。なお、本実施の形態8では、上述の実施の形態1と異なる構成についてのみ説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
図40は、本実施の形態8によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。図40に示すように、本実施の形態8によるEUV光生成装置8は、図1に示すEUV光生成装置1と同様の構成を備え、マスタオシレータMOが、レーザ光をアジマス偏光のレーザ光に変換する偏光制御素子810を備えたマスタオシレータMO810に置き替えられている。したがって、マスタオシレータMO810から出力されるメインパルスレーザ光L52は、アジマス偏光のレーザ光である。
このように、プリパルスレーザ光L1をラジアル偏光とし、メインパルスレーザ光L52をアジマス偏光とすることで、プリパルスレーザ光L1の吸収率を高めて拡散ターゲットの生成を効率化できる。この結果、EUV光L3の発光効率の向上が可能となる。その他の構成および効果は、上述の実施の形態1〜7のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
(実施の形態9)
つぎに、本開示の実施の形態9によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態9では、ターゲットとしてドロップレットDの代わりに固体ターゲットを用いる。なお、本実施の形態9では、上述の実施の形態1を引用して説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
図41は、本実施の形態9によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。図42は、図41に示すEUV光生成装置のXLII−XLII線に沿った断面の構成を模式的に示し、本実施の形態9によるEUV光生成装置のチャンバ内においてフィルム状ターゲットを供給するフィルム状ターゲット供給装置の構成を模式的に示す。
図41に示すように、本実施の形態9によるEUV光生成装置9は、図29および図30に示すEUV光生成装置4と同様の構成を備える。ただし、図41および図42に示すように、EUV光生成装置9では、ドロップレットジェネレータ12が、フィルム状ターゲット供給装置910に置き替えられている。
図42に示すように、フィルム状ターゲット供給装置910は、少なくとも1つが駆動式の複数のローラ921に支持されて回転するフィルム状ターゲットDFを備える。フィルム状ターゲットDFは、ターゲット物質であるSn製のリボンであっても、リボン状の部材にSnをコーティングしたものであってもよい。このフィルム状ターゲットDFは、たとえばチャンバ11の外部から内部のプラズマ生成サイトP1またはその近傍を通過するように配設されている。フィルム状ターゲット供給装置910においては、すくなくともプラズマ生成時には、回転駆動式のローラ921が駆動される。これにより、フィルム状ターゲットDFにおける未使用の領域が、プラズマ生成時に、プラズマ生成サイトP1またはその近傍に供給される。フィルム状ターゲットDFに偏光が制御されたプリパルスレーザ光を照射することによってレーザエネルギーが効率的に吸収され、拡散ターゲットが生成される。その後、拡散ターゲットに、メインパルスレーザ光を照射することによって、プラズマが生成され、EUV光が発生する。このように、ターゲットの形態によらず偏光制御されたレーザ光を照射することで、効率的にEUV光を発生させることが可能となる。
なお、その他の構成および効果は、上述の実施の形態1〜8のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
(実施の形態10)
つぎに、本開示の実施の形態10によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態10では、レーザビームの光軸に垂直な平面における光強度分布を調整してもよい。光強度分布を、ドロップレットの照射位置におけるレーザビームの光強度分布が所定領域より広い領域内で所望の均一性を有するように調整してもよい。所定領域とは、たとえばドロップレットが球形である場合、ドロップレット直径以上の径を有する円内の領域を意味する。レーザビームの光強度分布の所望の均一性とは、光強度の最大値と最小値との差が所定範囲内となる分布を意味する。本実施の形態10では、上述の実施の形態1と異なる構成についてのみ説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
図43は、本実施の形態10によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。図43に示すように、本実施の形態10によるEUV光生成装置1010は、図1に示すEUV光生成装置1と同様の構成を有し、ドロップレット上に集光されたプリパルスレーザ光の光軸に垂直な平面における光強度分布を調整するトップハット変換機構1000をさらに備えてもよい。このトップハット変換機構1000は、たとえばプリパルスレーザPLと偏光制御機構10との間に配置されてもよい。あるいは、トップハット変換機構1000を偏光制御機構10より光路下流側に配置してもよい。以下、トップハット変換機構1000によって調整されたプリパルスレーザ光L1を、トップハットプリパルスレーザ光L1001という。また、その他の構成は、図1に示すEUV光生成装置1と同様である。
ここで、トップハットプリパルスレーザ光L1001とドロップレットDとの関係について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、ドロップレットDとして、マスリミテッドドロップレットを例に挙げる。図44は、本実施の形態10におけるトップハットプリパルスレーザ光を集光したトップハットプリパルス集光レーザビームとドロップレットとの関係を模式的に示す。図45は、図44におけるドロップレットおよびその近傍を拡大して示す。
図44に示すように、トップハットプリパルスレーザ光L1001を集光したトップハットプリパルス集光レーザビームLF1001の光強度プロファイルSは、少なくともドロップレットDの直径Dd以上の円内の範囲Dtにおいて平坦な形状を有する。なお、範囲Dt内の光強度は、必ずしも均一である必要はない。ここで、光強度プロファイルSは、ある断面における光強度分布を意味する。
ここで、範囲Dt内での光強度プロファイルSの均一性について説明する。図44および図45において、ドロップレットDの直径をDd、所定照射回数を母数としてプラズマ生成サイトP1においてレーザ照射された時点でのドロップレットDの中心位置のばらつきの範囲の半幅をΔX、光強度プロファイルSにおける平坦な範囲をDt、範囲Dt内での強度の最大値をImax、範囲Dt内での強度の最小値をImin、とすると、要求される範囲Dtは以下の式1で表され、範囲Dt内での光強度プロファイルSの均一性Cは以下の式2で表される。
Dt≧Dd+2ΔX ・・・(式1)
C=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)×100(%)・・・(式2)
このように光強度プロファイルSは、範囲Dt内において複数の極大値と複数の極小値が存在していてもよい。ただし、この場合、隣接する極大値と極小値との間隔は、ドロップレットDの直径Ddに対して十分に小さいことが好ましい。均一性Cは20%以下であることが好ましく、10%以下であればより好ましい。
このような平坦な光強度分布をもつプリパルス集光レーザビームをドロップレットに照射することによって、照射時におけるドロップレット位置のばらつきΔXがあっても、拡散ターゲットの生成位置が安定するであろう。その結果、拡散ターゲットにメインパルスレーザ光が照射されてプラズマが生成され、EUV光を発光させた場合のEUVエネルギーの安定性が改善されるにちがいない。
・トップハット変換機構
つぎに、本実施の形態10によるトップハット変換機構について、図面を参照して詳細に説明する。図46は、本実施の形態10によるトップハット変換機構の構成を模式的に示す。図46に示すように、トップハット変換機構1000は、高精度回折光学素子(Diffractive Optical Element:DOE)1001よりなる。DOE1001は、プリパルスレーザ光L1が入射する面または出射する面に高精度の回折格子を備える。DOE1001から出射したプリパルスレーザ光L1は、3次元回折される。この結果、プリパルスレーザ光L1は調整されて、トップハットプリパルスレーザ光L1001となる。出力されたトップハットプリパルスレーザ光L1001は、集光光学系Mを介することで、トップハットプリパルス集光レーザビームLF1001となって、ドロップレットDの照射位置において、光強度分布が所定領域でほぼ均一となるように、チャンバ11内のプラズマ生成サイトP1またはその近傍に集光される。なお、集光光学系Mには、偏光制御機構10やレーザ光導入ミラーM1や軸外放物面ミラーM2等が含まれる。また、図46には、透過型のDOEを例示したが、これに限らず、反射型のDOEを用いてもよい。
・トップハット変換機構の変形例1
また、図47は、本実施の形態10の変形例1によるトップハット変換機構の構成を模式的に示す。図47に示すように、本実施の形態10によるトップハット変換機構1000は、位相光学素子1002を用いて構成することもできる。位相光学素子1002は、プリパルスレーザ光L1が入射する面または出射する面が波打った形状を有する。このため、位相光学素子1002を通過したプリパルスレーザ光L1は、通過する位置に応じた位相シフトを受ける。この結果、プリパルスレーザ光L1は調整されて、トップハットプリパルスレーザ光L1001となる。集光光学系Mによってトップハットプリパルス集光ビームLF1001となって、ドロップレットDの照射位置において、光強度分布が所定領域でほぼ均一となるように、チャンバ11内のプラズマ生成サイトP1またはその近傍に集光される。なお、図47には、透過型の位相光学素子を例示したが、これに限らず、反射型の位相光学素子を用いてもよい。
・トップハット変換機構の変形例2
図48は、本実施の形態10の変形例2によるトップハット変換機構の構成を模式的に示す。図48に示すように、本実施の形態10によるトップハット変換機構1000は、プリパルスレーザ光L1における光強度分布が平坦な部分のみを通過させるマスク1003と、マスク1003を通過後に広がったプリパルスレーザ光L1をコリメート化するコリメートレンズ1004と、より構成することもできる。この場合は、マスク1003の像をコリメートレンズ1004と集光光学系Mとによって、ドロップレット照射位置において結像させている。
・トップハット変換機構の変形例3
図49は、本実施の形態10の変形例3によるトップハット変換機構の構成を模式的に示す。図49に示すように、本実施の形態10の変形例3によるトップハット変換機構1000は、プリパルスレーザ光L1が入射する面または出射する面に複数の微小な凹面レンズが2次元配列されたマイクロフライアイ光学素子1005により構成することもできる。入射光がマイクロフライアイ光学素子1005の各々の凹レンズによって所定の角度で広げられ、広げられた各光を、集光光学系Mにより、集光光学系の焦点面において、重ね合わせることができる。その結果、いわゆるケーラー照明により、集光光学系Mの焦点面において光強度分布を平坦化させることができる。また、マイクロフライアイ光学素子1005は、微小な凸レンズで構成したマイクロフライアイレンズでもよい。
さらに、図46〜図49に示すトップハット変換機構の例では集光光学系とトップハット変換機構とから構成される場合を示したが、集光光学系とトップハット変換機構が一体化された1つの素子で構成されてもよい。たとえば、集光レンズに回折光学素子として機能する凹凸が形成された素子や、集光ミラーに位相シフトの機能が備えられた光学素子であってもよい。なお、その他の構成および効果は、上述の実施の形態1〜9のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
(実施の形態11)
つぎに、本開示の実施の形態11によるEUV光生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。上述した実施の形態10によるトップハット変換機構は、たとえばプリパルスレーザ光L1をメインパルスレーザ光L2と異なる光軸で照射する場合にも適用することが可能である。
図50は、本実施の形態11によるEUV光生成装置の構成を模式的に示す。図50に示すように、本実施の形態11によるEUV光生成装置1011は、図29および図30に示すEUV光生成装置4と同様の構成を有し、偏光制御機構10の光路下流側に、トップハット変換機構1000が設けられる。あるいは、トップハット変換機構1000を偏光制御機構10の光路上流側に配置してもよい。その他の構成は、図29および図30に示すEUV光生成装置4と同様である。ただし、図30に示すプリパルスレーザ光L1をプラズマ生成サイトP1に集光する軸外放物面ミラーM4が、図50に示す例では、反射面が平面の高反射ミラーM5、およびチャンバ11内に配置された軸外放物面ミラーM6に置き替えられている。その他の構成および効果は、上述の実施の形態1〜10のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
このような構成とすることで、プリパルス集光レーザビームのドロップレットDへの吸収率が最適化可能であると同時に、プリパルス集光レーザビームをドロップレットDに照射するときに、均一な光強度で照射できる。そして、拡散ターゲットの生成に必要なエネルギーを低減することができ、生成された拡散ターゲットの状態を安定させるであろう。その結果、高変換効率を維持した状態で、EUV光のエネルギー安定性がさらに改善され得る。
(実施の形態12)
ダーゲットに照射するプリパルスレーザ光および/またはメインパルスレーザ光は、上述したラジアル偏光やアジマス偏光や直線偏光のレーザ光に限られるものではない。たとえば、円偏光や空間的にランダムな直線偏光のレーザ光であってもよい。そこで、本実施の形態12では、プリパルスレーザ光および/またはメインパルスレーザ光を円偏光のレーザ光に制御する場合を例に挙げる。
図51は、本実施の形態12による偏光制御機構の構成を概略的に示す。図51に示すように、本実施の形態12では、偏光制御機構として、透過型のλ/4板120を用いてもよい。このλ/4板120は、入射面が入射光L120の光軸に対して垂直となるように配置されてもよい。この際、図51に示すように、直線偏光の入射光L120の偏光方向S120がλ/4板120を形成する結晶の光学軸D120に対して45°傾いていると、λ/4板120を透過した出射光L121が円偏光のレーザ光となり得る。あるいは、光学軸D120に対する直線偏光の入射光L120の偏光方向S120の傾きを光学軸D120に対して−45°とすると、出射光L121の円偏光の回転方向が逆転し得る。このように、λ/4板120を用いることで、直線偏光のレーザ光を円偏光のレーザ光に変換することが可能である。
たとえば図52および図53に示すように、ターゲットであるドロップレットDに照射されるプリパルス集光レーザビームLF1を円偏光のレーザ光とした場合、ドロップレットDの表面でのプリパルス集光レーザビームLF1の吸収率の分布は、プリパルス集光レーザビームLF1の光軸AFを軸とする軸対称となり得る。この場合、光軸AFがドロップレットDの中心と略一致するのが好ましい。その結果、図54および図55に示すように、プリプラズマPP1および/またはフラグメントDD1が、光軸AFに対して軸対称に広がり得る。メインパルス集光レーザビームLF2は、この軸対称に広がったプリプラズマPP1および/またはフラグメントDD1に照射されてもよい。
このように、プリパルスレーザ光L1の偏光状態を円偏光とすると、ドロップレットDによるプリパルス集光レーザビームLF1の吸収率の分布が、光軸AFを中心とする軸対称となり得る。これにより、ドロップレットDから広がるプリプラズマPP1および/またはフラグメントDD1の分布も、同様に、光軸AFを中心とする軸対称とすることができる。このようにターゲット物質が軸対称に広がった場合、メインパルス集光レーザビームLF2によって照射される照射断面は円形になり得る。メインパルス集光レーザビームLF2のビーム断面形状を円形とし、ターゲット物質の照射断面と略同形とすることで、CEを改善できる場合がある。また、EUV光L3のIFにおける断面形状を略円形にできる場合がある。
さらに、本実施の形態12による偏光制御機構と上述のトップハット変換機構とを、プリパルスレーザ光L1のみが通過する光路上にともに設けてもよい。それにより、プラズマ生成サイトP1におけるドロップレットDの位置が変動した場合でも、均一な光強度で円偏光のトップハットプリパルス集光レーザビームLF1001がドロップレットD照射表面全体に照射されるため、トップハットプリパルス集光レーザビームLF1001の吸収率の分布を光軸AFを中心とする軸対称とすることができる。その結果、生成された拡散ターゲットの状態のばらつきが抑制されるとともに、光軸AFを中心とする軸対称にターゲットを拡散させることができ、より安定的にEUV光L3を生成することができる。
上記では、偏光制御機構に透過型のλ/4板120を用いたが、これに限らず、反射型のλ/4板を用いてもよい。また、本実施の形態12では、λ/4板を用いて直線偏光のレーザ光を円偏光のレーザ光に変換する場合を例に挙げた。その他の構成および効果は、上述の実施の形態1〜11のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
(実施の形態13)
また、ダーゲットに照射されるプリパルスレーザ光および/またはメインパルスレーザ光は、楕円偏光であってもよい。楕円偏光のレーザ光は、図56に示すように、たとえばバビネソレイユ補償板121を用いた偏光制御機構によって得ることが可能である。ただし、これに限るものではない。
図56に示すように、バビネソレイユ補償板121は、第1結晶122および第2結晶123を含んでもよい。第1結晶122および第2結晶123は、それぞれウェッジ基板の形状を有してもよい。ここで、第1結晶122および第2結晶123のいずれか一方をこれの光学軸方向に移動させることで、バビネソレイユ補償板121全体の厚さが変化し得る。これを利用することで、入射光に対する出射光の位相差を、0からλ/2まで自由に変更することができる。
このバビネソレイユ補償板121は、入射面が入射光L120の光軸に対して垂直となるように配置されるのが好ましい。この際、図56に示すように、直線偏光の入射光L120の偏光方向D122に対してバビネソレイユ補償板121の光学軸D121が45°傾いており、且つ、第2結晶123をD121方向に変位させて位相差を調節することで、バビネソレイユ補償板121を透過した出射光L121の偏光状態を制御することができる。たとえば、出射光L121を楕円偏光のレーザ光とすることができる。プリパルスレーザ光L1を楕円偏光のレーザ光とすることで、ドロップレットDから生成されるプリプラズマPP1および/またはフラグメントDD1の広がりを所望の分布に制御することができる。その他の構成および効果は、上述の実施の形態1〜12のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
(実施の形態14)
ターゲットに照射されるプリパルスレーザ光および/またはメインパルスレーザ光は、空間的にランダムな直線偏光のレーザ光であってもよい。このようなレーザ光は、図57に示すように、たとえばランダム位相板140を用いた偏光制御機構によって得ることが可能である。ただし、これに限るものではない。
図57および図58に示すように、ランダム位相板140は、たとえば直径DMの円盤における光の入射面、出射面または反射面に、微小なピクセルサイズdの凹凸がランダムに2次元配列された構成を備えてもよい。このランダム位相板140は、直径DMの入射ビームを、ピクセルサイズdの微小ビームに分割し得る。凸部141を通過した微小ビームと凹部142を通過した微小ビームとの位相差が、たとえばπとなるようにすることができる。これは、たとえば図58に示すように、凸部141と凹部142との段差(または凸部141の厚さ)をΔtとし、入射ビームの波長をλとし、屈折率をn1とすると、Δt=λ/2(n1−1)を満足させることで可能である。なお、上記では、透過型のランダム位相板140を例に挙げたが、反射型のランダム位相板でも同様に、たとえばπの位相差を持たせることができる。また、図59に示すように、ランダム位相板140は、集光レンズ143(または集光ミラー)の直前に配置してもよい。
このように、プリパルスレーザ光L1を空間的にランダムな直線偏光とすることで、ドロップレット表面におけるレーザ光の吸収率を均一化できる。これにより、ドロップレットDから生成されるプリプラズマPP1および/またはフラグメントDD1の広がりをレーザ光の光軸を中心とした軸対称にすることができる。この結果、CEを改善できる場合がある。また、EUV光L3のIFにおける断面形状を略円形にできる場合がある。さらに、空間的にランダムな直線偏光とした結果、プリパルスレーザ光L1のビームプロファイルを、図59に示すような、略均一な強度分布のプロファイル(トップハット形状144)にすることが可能となる。
プリパルスレーザ光L1のみが通過する光路上にランダム位相板140を配置することで、略均一なプロファイルをもつレーザ光をドロップレットに照射できる。これにより、ドロップレットDから生成されるプリプラズマPP1および/またはフラグメントDD1の位置安定性が向上する場合がある。さらに、メインパルスレーザ光L2のみが通過する光路上に他のランダム位相板を配置することで、略均一な強度分布のメインパルスレーザ光をプリプラズマPP1および/またはフラグメントDD1に照射できるので、略均一な強度分布のEUV光L3を発生させることが可能になる場合がある。その他の構成および効果は、上述の実施の形態1〜13のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
上記実施の形態およびその変形例は本開示を実施するための例にすぎず、本開示はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本開示の範囲内であり、更に本開示の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。例えば各実施の形態に対して適宜例示した変形例は、他の実施の形態に対して適用することも可能であることは言うまでもない。
1〜9、1010、1011 極端紫外光を生成する装置
10、51、53、210、310、610、710、810 偏光制御機構
11 チャンバ
12 ドロップレットジェネレータ
12a ノズル
13 ターゲット回収部
14A、14B コイル
15A、15B デブリ回収部
20 露光装置接続部
21 隔壁
52 レーザ媒質
101 n分割波長板
111 TNセル
120 λ/4板
121 バビネソレイユ板
122 第1結晶
123 第2結晶
130 ファイバ
131 半導体可飽和吸収ミラー
132 偏光制御部
133 光ポンプ
134 合波部
135 Ybファイバ
136 グレーティングペア
137 アイソレータ
138 出力カプラ
140 ランダム位相板
141 凸部
142 凹部
143 集光レンズ
144 トップハット
211 位相補償板
212 偏光回転板
213 シータセル
311 λ/4波長板
501 高反射ミラー
510 円形回折格子ミラー
511 回折格子
512 多層膜
513 ガラス基板
520 リアミラーユニット
522 アキシコンミラー
523 Wアキシコンミラー
910 フィルム状ターゲット供給装置
921 ローラ
1001 DOE
1000 トップハット変換機構
1002 位相光学素子
1003 マスク
1004、1006 コリメートレンズ
1005 マイクロフライアイ光学素子
D ドロップレット
DD1 フラグメント
DF フィルム状ターゲット
IF 中間集光点
L1、L11、L21、L41、L1c プリパルスレーザ光
L1a 直線偏光のプリパルスレーザ光
L1b ラジアル偏光のプリパルスレーザ光
L1d アジマス偏光のプリパルスレーザ光
L2、L22、L32、L42、L52、L2a、L2b メインパルスレーザ光
L3 EUV光
L1001 トップハットプリパルスレーザ光
LE 励起光
LF1、LF11 プリパルス集光レーザビーム
LF2 メインパルス集光レーザビーム
LF1001 トップハットプリパルス集光レーザビーム
M 集光光学系
M1 レーザ光導入ミラー
M2、M4、M6 軸外放物面ミラー
M3 EUV集光ミラー
M3a 穴
M5、M11、M14、M34 高反射ミラー
M12 半導体可飽和吸収ミラー
M13 凹面高反射ミラー
M15、M16 プリズム
M31、M32 レンズ
M33 コリメートレンズ
M51 フロントミラー
MA メインアンプ
MD 磁場方向
MO、MO710、MO810 マスタオシレータ
P1 プラズマ生成サイト
PA プリアンプ
PL、PL210、PL510 プリパルスレーザ
PP1、PP2 プリプラズマ
PP3 拡散ターゲット
PR1、PR2、PR3 プラズマ
R1、R2、R3、R4 リレー光学系
TS1 チタンサファイア結晶
W1、W3 ウィンドウ
W2 ゲートバルブ

Claims (11)

  1. レーザシステムと共に用いられる極端紫外光生成装置であって、
    レーザ光用の少なくとも1つの入射口およびターゲット物質を供給するためのターゲット供給部を含むチャンバと、
    レーザ光の光路上に設けられ、少なくとも1つのレーザ光の偏光状態を制御する少なくとも1つの偏光制御部と、
    前記チャンバ内で前記レーザ光が照射された前記ターゲット物質から放射される荷電粒子をトラップするための磁場を生成する磁場生成部と、
    トラップされた前記荷電粒子を回収するための回収部と、
    を備え、
    前記少なくとも1つのレーザ光が、前記チャンバ内に供給される未照射状態のターゲット物質に照射される第1のレーザ光と、前記第1のレーザ光が照射された前記ターゲット物質に照射される第2のレーザ光とを含み、
    前記少なくとも1つの偏光制御部は、前記第1のレーザ光を直線偏光のレーザ光に変換する第1の偏光制御部と、前記第2のレーザ光を円偏光のレーザ光に変換する第2の偏光制御部とを含む
    極端紫外光生成装置。
  2. 前記ターゲット物質は、ドロップレットの形態で前記チャンバ内に供給され、
    前記ドロップレットに前記第1のレーザ光が照射され、
    前記ドロップレットに前記第1のレーザ光が照射されることによって生成された拡散ターゲットに、前記第2のレーザ光が照射される、請求項1記載の装置。
  3. 前記第1および第2のレーザ光が、前記ターゲット物質に対して同一の方向から照射される、請求項記載の装置。
  4. 前記第1および第2のレーザ光が、前記ターゲット物質に対して互いに異なる方向から照射される、請求項記載の装置。
  5. レーザシステムと共に用いられる極端紫外光生成装置であって、
    レーザ光用の少なくとも1つの入射口およびターゲット物質を供給するためのターゲット供給部を含むチャンバと、
    レーザ光の光路上に設けられ、少なくとも1つのレーザ光の偏光状態を制御する少なくとも1つの偏光制御部と、
    前記チャンバ内で前記レーザ光が照射された前記ターゲット物質から放射される荷電粒子をトラップするための磁場を生成する磁場生成部と、
    トラップされた前記荷電粒子を回収するための回収部と、
    を備え、
    前記少なくとも1つのレーザ光が、前記チャンバ内に供給される未照射状態のターゲット物質に照射される第1のレーザ光と、前記第1のレーザ光が照射された前記ターゲット物質に照射される第2のレーザ光とを含み、
    前記少なくとも1つの偏光制御部が、前記第1および第2のレーザ光の両方を直線偏光のレーザ光に変換する第3の偏光制御部を含む、
    極端紫外光生成装置。
  6. 前記第3の偏光制御部が、前記第1および第2のレーザ光の偏光状態が同一になるように前記第1および第2のレーザ光の偏光状態を制御する、請求項記載の装置。
  7. 前記第3の偏光制御部が、前記第1および第2のレーザ光の偏光状態が互いに異なるように前記第1および第2のレーザ光の偏光状態を制御する、請求項記載の装置。
  8. 前記ターゲット物質が、ドロップレットの形態で前記チャンバ内に供給される、請求項1記載の装置。
  9. 前記ドロップレットが、マスリミテッドのドロップレットである、請求項記載の装置。
  10. 前記第1のレーザ光が前記ドロップレットに照射される時点において、前記第1のレーザ光の光軸に垂直な平面における前記第1のレーザ光の光強度分布が、前記ドロップレットの少なくとも最大断面積において略均一となるように前記光強度分布を補正するトップハット変換機構をさらに備える、請求項記載の装置。
  11. レーザシステムと共に用いられ、レーザ光用の少なくとも1つの入射口およびターゲット物質を供給するためのターゲット供給部を含むチャンバと、レーザ光の光路上に設けられ、少なくとも1つのレーザ光の偏光状態を制御する少なくとも1つの偏光制御部と、前記チャンバ内で前記レーザ光が照射された前記ターゲット物質から放射される荷電粒子をトラップするための磁場を生成する磁場生成部と、トラップされた前記荷電粒子を回収するための回収部と、を備える装置を用いて極端紫外光を生成する方法であって、
    前記少なくとも1つのレーザ光が、前記チャンバ内に供給される未照射状態のターゲット物質に照射される第1のレーザ光と、前記第1のレーザ光が照射された前記ターゲット物質に照射される第2のレーザ光とを含み、
    前記少なくとも1つの偏光制御部により、前記第1のレーザ光を直線偏光のレーザ光に変換し、前記第2のレーザ光を円偏光のレーザ光に変換することを含む、方法。
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