以下、本発明に係る蒸気タービンプラントの各種実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。
「蒸気タービンプラントの第一実施形態」
まず、図1〜図3を参照して、本発明に係る蒸気タービンプラントの第一実施形態について説明する。
本実施形態の蒸気タービンプラントSTP1は、図1に示すように、ガスタービン10からの排気ガスEG(加熱流体)の熱を利用して蒸気を発生させる排熱回収ボイラー20と、排熱回収ボイラー20で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン41,43と、蒸気タービン41,43の駆動で発電する発電機61,63と、蒸気タービン41,43を駆動させた蒸気を水に戻す復水器51と、復水器51中の水を排熱回収ボイラー20に戻す給水ポンプ53と、排熱回収ボイラー20を通過した排気ガスEGを大気に放出する煙突39と、を備えている。なお、ここでは、ガスタービン10と蒸気タービンプラントSTP1とで、コンバインドサイクルプラントを構成している。
ガスタービン10は、空気を圧縮する圧縮機11と、圧縮機11で圧縮された空気中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスを生成する複数の燃焼器12と、高温高圧の燃焼ガスにより駆動するタービン13と、を備えている。タービン13のタービンロータと圧縮機11の圧縮機ロータとは、同一の軸線を中心として回転するもので、相互に連結されて、ガスタービンロータ14を成している。このガスタービンロータ14には、例えば、発電機65の発電機ロータが接続されている。タービン13から排気された燃焼ガスは、排気ガスEGとして排熱回収ボイラー20に供給される。
本実施形態の蒸気タービンプラントSTP1は、蒸気タービンとして高圧蒸気タービン41(第一蒸気タービン)と低圧蒸気タービン43(第二蒸気タービン)とを備えている。高圧蒸気タービン41のタービンロータ、低圧蒸気タービン43のタービンロータには、それぞれ、発電機61,63のロータが接続されている。
排熱回収ボイラー20は、給水ポンプ53により送られてきた水を加熱する低圧節炭器(ECO−LP)21と、低圧節炭器21で加熱された水を蒸気にする低圧蒸発器(EVA−LP)22と、低圧節炭器21で加熱された水を昇圧する高圧ポンプ23と、高圧ポンプ23で昇圧された水である高圧水HWを加熱する高圧節炭器(ECO−HP)25と、高圧節炭器25で加熱された高圧水HWを蒸気にする高圧蒸発器(EVA−HP)26と、高圧蒸発器26で発生した蒸気を過熱して高圧蒸気HSを生成する高圧過熱器(SH−HP)27と、高圧蒸気タービン41から排気された高圧蒸気を含む再熱用蒸気FRHSを加熱する再熱器(RH−LP)31と、を有している。
ここで、排熱回収ボイラー20中を流れる排気ガスEGの流れ方向で、ガスタービン10を基準にして煙突39が存在する側を下流側、その反対側を上流側とする。低圧節炭器21、低圧蒸発器22、再熱器31及び高圧節炭器25、高圧蒸発器26、高圧過熱器27は、排熱回収ボイラー20の下流側から上流側に向かって、この順序で配置されている。なお、本実施形態で、排気ガスEGの流れ方向における再熱器31の位置と高圧節炭器25の位置とは、実質的に同じである。
復水器51と低圧節炭器21とは、給水ライン77で接続されている。この給水ライン77には、前述の給水ポンプ53が設けられている。低圧節炭器21には、この低圧節炭器21で加熱された水を低圧蒸発器22に送る第一低圧水ライン78と、この低圧節炭器21で加熱された水を高圧節炭器25に送る第二低圧水ライン79とが接続されている。第二低圧水ライン79には、前述の高圧ポンプ23が設けられている。高圧過熱器27の蒸気出口と高圧蒸気タービン41の蒸気入口とは、高圧過熱器27で過熱された蒸気である高圧蒸気HSを高圧蒸気タービン41に供給する高圧蒸気供給ライン71で接続されている。また、高圧蒸気タービン41の蒸気出口と再熱器31の蒸気入口とは、高圧蒸気回収ライン72で接続されている。この高圧蒸気回収ライン72には、低圧蒸発器22で発生した蒸気を再熱器31に送るための低圧蒸気ライン75が接続されている。再熱器31の蒸気出口と低圧蒸気タービン43の蒸気入口とは、再熱器31で加熱された蒸気である再熱蒸気RHSを低圧蒸気タービン43に供給する再熱蒸気供給ライン76で接続されている。低圧蒸気タービン43の蒸気出口と復水器51とは、低圧蒸気タービン43から排気された蒸気が復水器51に供給されるよう互いに接続されている。
次に、以上で説明したコンバインドサイクルプラントの動作について説明する。
ガスタービン10の圧縮機11は、大気中の空気Aを圧縮し、圧縮した空気Aを燃焼器12に供給する。また、燃焼器12には、燃料供給源からの燃料Fも供給される。燃焼器12では、圧縮された空気A中で燃料Fが燃焼して、高温高圧の燃焼ガスが生成される。この燃焼ガスは、タービン13内に送られ、このタービン13のタービンロータを回転させる。このタービンロータの回転で、ガスタービン10に接続されている発電機65は発電する。
タービン13のタービンロータを回転させた燃焼ガスは、排気ガスEGとしてガスタービン10から排気され、排熱回収ボイラー20を介して、煙突39から大気に放出される。排熱回収ボイラー20は、この排気ガスEGの熱を利用して水を蒸気にする。
排熱回収ボイラー20中で、最も下流側の低圧節炭器21には、復水器51からの水が給水ライン77を介して供給される。低圧節炭器21は、この水を排気ガスEGと熱交換させて加熱する。低圧節炭器21で加熱された水の一部は、第一低圧水ライン78を介して、低圧蒸発器22に送られ、ここでさらに加熱されて蒸気になる。この蒸気は、低圧蒸気ライン75及び高圧蒸気回収ライン72を介して、再熱器31に送られる。また、低圧節炭器21で加熱された残りの水は、高圧ポンプ23で昇圧されて、高圧水HWとして高圧節炭器25に送られる。高圧節炭器25は、高圧水HWを排気ガスEGと熱交換させて加熱する。高圧節炭器25で加熱された高圧水HWは、高圧蒸発器26でさらに加熱されて蒸気になる。この蒸気は、高圧過熱器27でさらに過熱されて高圧蒸気HSとなる。この高圧蒸気HSは、高圧蒸気供給ライン71を介して高圧蒸気タービン41(第一蒸気タービン)に供給される。
高圧蒸気タービン41に供給された高圧蒸気HSは、この高圧蒸気タービン41のタービンロータを回転させる。このタービンロータの回転で、高圧蒸気タービン41に接続されている発電機61は発電する。高圧蒸気タービン41(第一蒸気タービン)を通過した高圧蒸気は、高圧蒸気回収ライン72を介して、再熱器31に送られる。また、前述したように、低圧蒸発器22で発生した蒸気も、低圧蒸気ライン75及び高圧蒸気回収ライン72を介して、再熱器31に送られる。すなわち、高圧蒸気タービン41を通過した高圧蒸気及び低圧蒸発器22で発生した蒸気は、互いに合流して再熱用蒸気FRHSとして再熱器31に流入する。再熱用蒸気FRHSは、再熱器31で加熱される。再熱器31で加熱された再熱用蒸気FRHSは、再熱蒸気RHSとして、再熱蒸気供給ライン76を介して低圧蒸気タービン43(第二蒸気タービン)に供給される。
低圧蒸気タービン43に供給された再熱蒸気RHSは、この低圧蒸気タービン43のタービンロータを回転させる。このタービンロータの回転で、低圧蒸気タービン43に接続されている発電機63は発電する。低圧蒸気タービン43を通過した再熱蒸気は、復水器51に流入し、この復水器51で水に戻される。復水器51中の水は、給水ポンプ53により、前述したように、低圧節炭器21に供給される。
ここで、本実施形態の高圧蒸発器26は、図9に示す、所定の圧力での定圧比熱が極大となる定圧比熱極大温度Tmax以下の温度の水を、この定圧比熱極大温度Tmax以上の温度に加熱する装置である。具体的に、高圧蒸発器26で加熱される水の圧力が臨界圧である場合、高圧蒸発器26は、臨界圧において定圧比熱が極大となる温度、すなわち臨界温度Tmax1(定圧比熱極大温度Tmax)以下の温度の水を臨界温度Tmax1以上の温度に加熱する装置である。高圧蒸発器26で加熱される水の圧力が臨界圧よりも高い場合、高圧蒸発器26は、高圧蒸発器26で加熱される水の圧力において定圧比熱が極大となる温度、すなわち、擬臨界温度Tmax2(定圧比熱極大温度Tmax)以下の温度の水を擬臨界温度Tmax2以上の温度に加熱する装置である。高圧蒸発器26で加熱される水の圧力が臨界圧よりも低い場合、高圧蒸発器26は、高圧蒸発器26で加熱される水の圧力において定圧比熱が極大となる温度、すなわち飽和温度Tmax3(定圧比熱極大温度Tmax)以下の温度の水を飽和温度Tmax3以上の温度に加熱する装置である。よって、以上及び以下の説明で、高圧蒸発器26で生成される蒸気とは、臨界圧において、臨界温度Tmax1以下の温度の水が臨界温度Tmax1以上の温度になった流体、又は、超臨界圧において、擬臨界温度Tmax2以下の温度の水が擬臨界温度Tmax2以上の温度になった流体、亜臨界圧において、飽和温度Tmax3以下の温度の水が飽和温度Tmax3以上の温度になった流体である。また、高圧ポンプ23は、低圧節炭器21で加熱された水の圧力を臨界圧、超臨界圧、亜臨界圧まで昇圧するポンプである。なお、図9に示した擬臨界温度Tmax2、飽和温度Tmax3は例であり、擬臨界温度Tmax2、飽和温度Tmax3は高圧蒸発器26で加熱される水の圧力によって変化することに注意されたい。また、ここでは定圧比熱が無限大となる場合も含めて極大と呼ぶこととする。
また、本実施形態の再熱器31には、排熱回収ボイラー20が備えている複数の蒸発器22,26のうち、流入する水の圧力が最も高い高圧蒸発器26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)よりも温度が低い再熱用蒸気FRHSが流入する。つまり、高圧蒸発器26に臨界圧の水が供給される場合、再熱器31には臨界温度Tmax1よりも温度が低い再熱用蒸気FRHSが流入する。また、高圧蒸発器26に超臨界圧の水が供給される場合、再熱器31には高圧蒸発器26に供給される水の圧力における擬臨界温度Tmax2よりも温度が低い再熱用蒸気FRHSが流入する。また、高圧蒸発器26に亜臨界圧の水が供給される場合、再熱器31には高圧蒸発器26に供給される水の圧力における飽和温度Tmax3よりも温度が低い再熱用蒸気FRHSが流入する。再熱器31は、この再熱用蒸気FRHSをこの定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)未満の温度にまで加熱する。よって、再熱器31は、この再熱器31を通る排気ガスEGの温度、この再熱器31に流入する蒸気の温度及び流量に対して、再熱器31から流出する蒸気の温度を、定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)未満にまで高める、伝熱面積に設定されている。
図2に、本実施形態における排気ガスEG及び水(蒸気を含む)HW/HSの流れに伴うそれぞれの熱量と温度との関係を示すTQ線図を示す。このTQ線図は、排気ガスEGの流れ方向で、図1に示すように、排熱回収ボイラー20中で最上流に位置している高圧過熱器(SH−HP)27から再熱器(RH−LP)31及び高圧節炭器(ECO−HP)25までの間DのTQ線図である。また、同図中、実線は高圧蒸気タービン41に供給される水(蒸気を含む)HW/HSのTQ線を示し、点線は排気ガスEGのTQ線を示し、一点鎖線は再熱用蒸気FRHSのTQ線を示す。なお、このTQ線図は、排気ガスEG及び水(蒸気を含む)の流れに伴うそれぞれの熱量と温度との関係を定性的に示すものであり、定量的に示すものではない。また、図2では例として高圧蒸発器26で加熱される水が超臨界圧の場合を示す。
排気ガスEGは、下流側に流れるに従って次第に温度が低下すると共に熱量が少なくなる。一方、高圧蒸気タービン41に供給される水(蒸気を含む)HW/HSは、排気ガスEGとの熱交換で、上流側に流れるに従って次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。具体的に、高圧節炭器(ECO−HP)25に流入した高圧水HSは、この高圧節炭器(ECO−HP)25を通る過程で次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。この高圧節炭器(ECO−HP)25では、高圧水HSは擬臨界温度Tmax2よりも低い温度にまで加熱される。高圧節炭器(ECO−HP)25から流出し、この高圧節炭器(ECO−HP)25よりも上流側に配置されている高圧蒸発器(EVA−HP)26に流入した水も、この高圧蒸発器(EVA−HP)26を通る過程で次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。この高圧蒸発器(EVA−HP)26では、水は擬臨界温度Tmax2よりも低い温度から擬臨界温度Tmax2よりも高い温度にまで加熱され、蒸気になる。水又は蒸気HW/HSの熱量変化に対する温度変化は、擬臨界温度Tmax2の近傍で小さく、これら温度の近傍の周囲で大きくなる。この高圧蒸発器(EVA−HP)26から流出し、この高圧蒸発器(EVA−HP)26よりも上流側に配置されている高圧過熱器(SH−HP)27に流入した蒸気も、この高圧過熱器(SH−HP)27を通る過程で次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなり、高圧蒸気HSになる。この高圧蒸気HSは、高圧蒸気タービン41に供給される。
再熱器(RH−LP)31には、前述したように、擬臨界温度Tmax2(超臨界圧の場合)より低い温度の再熱用蒸気FRHSが流入する。また、この再熱器(RH−LP)31には、排気ガスEGの流れ方向で再熱器(RH−LP)31と実質的に同じ位置に配置されている高圧節炭器(ECO−HP)25を通る排気ガスEGの温度と同じ温度の排気ガスEGが通る。再熱用蒸気FRHSは、排気ガスEGとの熱交換で、再熱器(RH−LP)31を通る過程で次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。但し、この再熱用蒸気FRHSは、前述したように、擬臨界温度Tmax2(超臨界圧の場合)未満の温度にまでしか加熱されない。従って、再熱器(RH−LP)31における擬臨界温度Tmax2(超臨界圧の場合)付近の温度レベルの熱の消費を抑え、高圧蒸発器(EVA−HP)26で利用する熱量を増大させることができる。この再熱用蒸気FRHSは、再熱器(RH−LP)31で加熱されると、再熱蒸気RHSとして、低圧蒸気タービン43に供給される。
ここで、「背景技術」の欄で説明した蒸気タービンプラントを比較例とし、この比較例における排気ガスEG及び水(蒸気を含む)HW/HSの流れに伴うそれぞれの熱量と温度との関係について、図3のTQ線図を用いて説明する。このTQ線図も、図2のTQ線図と同様、排気ガスEG及び水(蒸気を含む)HW/HSの流れに伴うそれぞれの熱量と温度との関係を定性的に示すものであり、定量的に示すものではない。
比較例の蒸気タービンプラントでも、排気ガスEG(点線で示す)は、下流側に流れるに従って次第に温度が低下すると共に熱量が少なくなる。一方、高圧蒸気タービンに供給される水(蒸気を含む)HW/HSは、排気ガスEGとの熱交換で、上流側に流れるに従って次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。具体的に、下流側の高圧節炭器(HPECO1)に流入した水は、この高圧節炭器(HPECO1)、高圧蒸発器(HPEVA)、下流側高圧過熱器(HPSH2)、上流側高圧過熱器(HPSH1)へと上流側に流れるに従って次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。高圧蒸気タービンに供給される水(蒸気を含む)HW/HSは、高圧蒸発器(HPEVA)を通る過程で、擬臨界温度Tmax2より低い温度から擬臨界温度Tmax2よりも高い温度に加熱される。
下流側再熱器(RH2)には、中圧蒸気タービンから排気された蒸気FRHSが流入する。この蒸気FRHSは、下流側再熱器(RH2)を通る過程で、排気ガスEGと熱交換して、次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。この蒸気FRHSは、下流側再熱器(RH2)で、臨界温度より低い温度から擬臨界温度Tmax2より低い温度にまで加熱される。下流側再熱器(RH2)で加熱された蒸気FRHSは、上流側再熱器(RH1)を通る過程で、排気ガスEGと熱交換して、次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。この蒸気FRHSは、上流側再熱器(RH1)で、擬臨界温度Tmax2よりも高い温度にまで加熱される。擬臨界温度Tmax2よりも高い温度にまで加熱された蒸気FRHSは、再熱蒸気として低圧蒸気タービンに供給される。すなわち、比較例では、低圧蒸気タービンに、下流側再熱器(RH2)及び上流側再熱器(RH1)により、臨界温度よりも低い温度から擬臨界温度Tmax2よりも高い温度にまで加熱された再熱蒸気RHSが供給される。
以上のように、比較例の蒸気タービンプラントでは、低圧蒸気タービンに蒸気を供給する全ての再熱器である下流側再熱器(RH2)及び上流側再熱器(RH1)で構成される再熱器群は、擬臨界温度Tmax2よりも低い温度の蒸気FRHSを擬臨界温度Tmax2よりも高い温度にまで加熱する。よって、比較例の再熱器群に流入する蒸気FRHSの温度と、この再熱器群から流出する蒸気FRHSの温度との差が大きく、擬臨界温度Tmax2付近の温度レベルの熱量消費が多い。従って、高圧蒸発器(HPEVA)で利用可能な同温度レベルの熱量は少なく、高圧蒸発器(HPEVA)で発生可能な蒸気流量は少ない。しかも、再熱器群中の上流側再熱器(RH1)に流入する蒸気FRHSの温度が擬臨界温度Tmax2よりも低い温度の蒸気である。一方で、上流側再熱器(RH1)内の蒸気を加熱する排気ガスEGの温度は、上流側再熱器(RH1)が高圧蒸発器(HPEVA)の上流側に配置されている関係上、擬臨界温度Tmax2よりも高い温度である。このため、比較例では、再熱器群中の上流側再熱器(RH1)に流入する蒸気FRHSの温度とこの蒸気FRHSを加熱する排気ガスEGの温度との差ΔTが大きい。このため、排気ガスEGと蒸気FRHSとの熱交換の効率が低く、この観点からもこの再熱器群における排気ガスEGの熱量消費が多い。
さらに、比較例では、排気ガスEGと蒸気FRHSとの熱交換の効率が低く排気ガスEGの熱量消費が多い上流側再熱器(RH1)が、高圧蒸発器(HPEVA)より上流側に配置されているため、上流側再熱器(RH1)を経て高圧蒸発器(HPEVA)に至った時点で、排気ガスEGの温度が低くなっている。
一般的に、複数の蒸気タービンの集まりである蒸気タービン群を蒸気が通過する過程で、この蒸気のエネルギー落差が大きければ大きいほど、蒸気タービン群全体から得られる出力が大きくなる。蒸気タービンプラントでは、複数の蒸気タービンから排気された蒸気は、最終的に復水器で水に戻されてから、ボイラーに戻される。復水器に流入する蒸気の温度及び圧力は、この復水器で蒸気を冷却する水等の温度により必然的に定まる。高圧蒸発器で発生する蒸気は最も圧力が高く、復水器に至るまでの間に大きな圧力比で膨張し、最も大きなエネルギー落差で出力を取り出すことができる。従って、高圧蒸発器で発生する蒸気の流量を増大することは蒸気タービンプラントの出力、効率を高めるために極めて重要である。一方、高圧蒸発器では高圧極大温度付近の温度で比熱が大きく、温度上昇に多くの熱を必要とする。このため、高圧蒸発器で利用できる高圧極大温度付近の温度レベルの熱量で、高圧蒸発器で発生可能な蒸気の流量が決まる。従って、高圧蒸発器に高圧極大温度付近の温度レベルの熱を多く投入し、高圧蒸発器で発生する蒸気の流量を増大することは蒸気タービンプラントの出力、効率を高めるために極めて重要なのである。
そこで、本実施形態では、低圧蒸気タービン43(第二蒸気タービン)に供給する再熱用蒸気の加熱に加熱流体の熱量を効率的に利用し、高圧蒸発器26に高圧極大温度付近の温度レベルの熱を多く供給して、高圧蒸気タービン41(第一蒸気タービン)に対して高温の蒸気を多く供給する。この結果、蒸気が蒸気タービン群を通過する過程での蒸気のエネルギー落差が大きくなり、蒸気タービン群全体から得られる出力が高まる。
本実施形態の蒸気タービンプラントSTP1では、低圧蒸気タービン43(第二蒸気タービン)に再熱蒸気RHSを供給する全ての再熱器31(本実施形態では一基の再熱器31)が、高圧蒸発器26を基準にして、排気ガスEG(加熱流体)の流れ方向における下流側にのみ配置されている。しかも、低圧蒸気タービン43に再熱蒸気RHSを供給する全ての再熱器31では、再熱用蒸気FRHSの加熱過程で、高圧蒸発器26における定圧比熱極大温度Tmaxである高圧極大温度Tmax-HPを跨がぬよう、再熱用蒸気FRHSを加熱する。
具体的に、本実施形態では、低圧蒸気タービン43に再熱蒸気RHSを供給する全ての再熱器31を通過する排気ガスEGの温度は、高圧蒸発器26を通過する排気ガスEGの温度よりも低い。また、本実施形態の全ての再熱器31には、高圧極大温度Tmax-HP(臨界温度Tmax1(臨界圧の場合)、擬臨界温度Tmax2(超臨界圧の場合)、飽和温度Tmax3(亜臨界圧の場合))より温度が低い再熱用蒸気FRHSが流入する。本実施形態の全ての再熱器31は、高圧極大温度Tmax-HPを跨がぬよう、高圧極大温度Tmax-HPよりも温度が低い再熱用蒸気FRHSを高圧極大温度Tmax-HP未満まで加熱する。よって、本実施形態では、高圧蒸発器26における高圧極大温度Tmax-HP付近の温度レベルの熱量であって、再熱器で消費される熱量を抑えることができるので、同温度レベルの熱を高圧蒸発器26で多く利用し、高圧蒸発器26で発生する蒸気の流量を増大させることができる。しかも、図2に示すように、再熱器(RH−LP)31に流入する再熱用蒸気FRHSの温度と、この再熱用蒸気FRHSを加熱する排気ガスEGの温度との差ΔT1が比較例の上流側再熱器(RH1)における温度差ΔT(図3参照)よりも小さく、排気ガスEGと再熱用蒸気FRHSとの熱交換の効率がよく、この観点からも再熱器31における排気ガスEGの熱を有効に利用することができる。
さらに、本実施形態では、低圧蒸気タービン43に蒸気を供給する全ての再熱器31が高圧蒸発器26の下流側にのみ配置されているので、再熱器31の存在によって高圧蒸発器26を通過する排気ガス(加熱流体)の温度は低下しない。このため、本実施形態では、高圧蒸発器26に対して、比較例よりも高温の排気ガスを通過させることができる。
よって、本実施形態では、低圧蒸気タービン43に再熱器31で加熱した蒸気を供給しつつも、高圧蒸気タービン41に対して効率的に高温の蒸気を多く供給することでき、蒸気タービン群全体から得られる出力を高めることができる。このため、本実施形態では、蒸気タービンプラントの効率を高めることができる。
「蒸気タービンプラントの第二実施形態」
次に、図4及び図5を参照して、本発明に係る蒸気タービンプラントの第二実施形態について説明する。
本実施形態の蒸気タービンプラントSTP2も、第一実施形態と同様、図4に示すように、排熱回収ボイラー20a、蒸気タービン41,42,43、発電機61,62,63、復水器51、給水ポンプ53、及び煙突39を備えている。なお、本実施形態においても、第一実施形態と同様、ガスタービン10と蒸気タービンプラントSTP2とで、コンバインドサイクルプラントを構成している。
本実施形態の蒸気タービンプラントSTP2は、蒸気タービンとして、高圧蒸気タービン41(第一蒸気タービン)と、中圧蒸気タービン42(第二蒸気タービン、第二再熱蒸気タービン)と、低圧蒸気タービン43(第二蒸気タービン、第一再熱蒸気タービン)とを備えている。高圧蒸気タービン41のタービンロータ、中圧蒸気タービン42のタービンロータ、低圧蒸気タービン43のタービンロータには、それぞれ、発電機61,62,63のロータが接続されている。
排熱回収ボイラー20aは、給水ポンプ53により送られてきた水を加熱する低圧節炭器(ECO−LP)21と、低圧節炭器21で加熱された水を蒸気する低圧蒸発器(EVA−LP)22と、低圧節炭器21で加熱された水を昇圧する高圧ポンプ23と、高圧ポンプ23で昇圧された水である高圧水HWを加熱する高圧節炭器(ECO−HP)25と、高圧節炭器25で加熱された高圧水を蒸気にする高圧蒸発器(EVA−HP)26と、高圧蒸発器26で発生した蒸気を過熱する第一高圧過熱器(SH1−HP)27と、第一高圧過熱器27で過熱された蒸気をさらに過熱して高圧蒸気HSとする第二高圧過熱器(SH2−HP)28と、高圧蒸気タービン41から排気された蒸気を再熱用中圧蒸気FRHS2(第二再熱用蒸気)として加熱する中圧再熱器(RH−IP)32と、中圧蒸気タービン42から排気された蒸気を含む再熱用低圧蒸気FRHS1(第一再熱用蒸気)を加熱する低圧再熱器(RH−LP)31と、を有している。
低圧節炭器21、低圧蒸発器22、低圧再熱器31及び高圧節炭器25、高圧蒸発器26、第一高圧過熱器27、中圧再熱器32、第二高圧過熱器28は、排熱回収ボイラー20aの下流側から上流側に向かって、この順序で配置されている。なお、本実施形態で、排気ガスEGの流れ方向における低圧再熱器31の位置と高圧節炭器25の位置とは、実質的に同じである。
第二高圧過熱器28の蒸気出口と高圧蒸気タービン41の蒸気入口とは、第二高圧過熱器28で過熱された蒸気である高圧蒸気HSを高圧蒸気タービン41に供給する高圧蒸気供給ライン71で接続されている。また、高圧蒸気タービン41の蒸気出口と中圧再熱器32の蒸気入口とは、高圧蒸気回収ライン72aで接続されている。中圧再熱器32の蒸気出口と中圧蒸気タービン42の蒸気入口とは、中圧再熱器32で加熱された蒸気である再熱中圧蒸気RHS2を中圧蒸気タービン42に供給する再熱中圧蒸気供給ライン73で接続されている。中圧蒸気タービン42の蒸気出口と低圧再熱器31の蒸気入口とは、中圧蒸気回収ライン74で接続されている。この中圧蒸気回収ライン74には、低圧蒸発器22で発生した蒸気を低圧再熱器31に送るための低圧蒸気ライン75が接続されている。低圧再熱器31の蒸気出口と低圧蒸気タービン43の蒸気入口とは、低圧再熱器31で加熱された蒸気である再熱低圧蒸気RHS1を低圧蒸気タービン43に供給する再熱低圧蒸気供給ライン76で接続されている。低圧蒸気タービン43の蒸気出口と復水器51とは、低圧蒸気タービン43から排気された蒸気が復水器51に供給されるよう互いに接続されている。
本実施形態の高圧蒸発器26も、第一実施形態の高圧蒸発器26と同様、所定の圧力(臨界圧、超臨界圧、亜臨界圧)での定圧比熱が極大となる定圧比熱極大温度Tmax(臨界温度Tmax1(臨界圧の場合)、擬臨界温度Tmax2(超臨界圧の場合)、飽和温度Tmax3(亜臨界圧の場合))よりも低い温度の水を、この定圧比熱極大温度Tmaxよりも高い温度に加熱する装置である。また、高圧ポンプ23も、第一実施形態の高圧ポンプ23と同様、低圧節炭器21で加熱された水の圧力を臨界圧、超臨界圧又は亜臨界圧まで昇圧するポンプである。
次に、以上で説明したコンバインドサイクルプラントの動作について説明する。
第一実施形態と同様に、ガスタービン10からの排気ガスEGは、排熱回収ボイラー20aを介して、煙突39から大気に放出される。
排熱回収ボイラー20a中で、最も下流側の低圧節炭器21には、復水器51からの水が給水ライン77を介して供給される。低圧節炭器21は、この水を排気ガスEGと熱交換させて加熱する。低圧節炭器21で加熱された水の一部は、低圧蒸発器22でさらに加熱されて蒸気になる。この蒸気は、第一低圧水ライン78及び中圧蒸気回収ライン74を介して、低圧再熱器31に送られる。また、低圧節炭器21で加熱された残りの水は、高圧ポンプ23で臨界圧、超臨界圧又は亜臨界圧に昇圧されて、高圧水HWとして高圧節炭器25に送られる。高圧節炭器25は、高圧水HWを排気ガスEGと熱交換させて加熱する。高圧節炭器25で加熱された高圧水HWは、高圧蒸発器26でさらに加熱されて蒸気になる。この蒸気は、第一高圧過熱器27及び第二高圧過熱器28でさらに過熱されて高圧蒸気HSとなる。この高圧蒸気HSは、高圧蒸気供給ライン71を介して高圧蒸気タービン41に供給される。
高圧蒸気タービン41に供給された高圧蒸気HSは、この高圧蒸気タービン41のタービンロータを回転させる。このタービンロータの回転で、高圧蒸気タービン41に接続されている発電機61は発電する。高圧蒸気タービン41を通過した高圧蒸気HSは、再熱用中圧蒸気FRHS2(第二再熱用蒸気)として、高圧蒸気回収ライン72aを介して、中圧再熱器32(第二再熱器)に送られる。
再熱用中圧蒸気FRHS2の温度は、高圧蒸発器26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)よりも高い。つまり、高圧蒸発器26に臨界圧の水が供給される場合、再熱用中圧蒸気FRHS2の温度は臨界温度Tmax1よりも高く、高圧蒸発器26に超臨界圧の水が供給される場合、再熱用中圧蒸気FRHS2の温度は高圧蒸発器26に供給される水の圧力における擬臨界温度Tmax2よりも高い。また、高圧蒸発器26に亜臨界圧の水が供給される場合、再熱用中圧蒸気FRHS2の温度は高圧蒸発器26に供給される水の圧力における飽和温度Tmax3よりも高い。中圧再熱器32は、この再熱用中圧蒸気FRHS2を加熱する。中圧再熱器32で加熱された再熱用中圧蒸気FRHS2は、再熱中圧蒸気RHS2として、再熱中圧蒸気供給ライン73を介して中圧蒸気タービン42(第二蒸気タービン、第二再熱蒸気タービン)に供給される。
中圧蒸気タービン42に供給された再熱中圧蒸気RHS2は、この中圧蒸気タービン42のタービンロータを回転させる。このタービンロータの回転で、中圧蒸気タービン42に接続されている発電機62は発電する。中圧蒸気タービン42を通過した再熱中圧蒸気RHS2は、中圧蒸気回収ライン74を介して、低圧再熱器31に送られる。前述したように、低圧蒸発器22で発生した蒸気も、低圧蒸気ライン75及び中圧蒸気回収ライン74を介して、低圧再熱器31に送られる。すなわち、中圧蒸気タービン42を通過した再熱中圧蒸気及び低圧蒸発器22で発生した蒸気は、互いに合流して再熱用低圧蒸気FRHS1(第一再熱用蒸気)として低圧再熱器31(第一再熱器)に流入する。
再熱用低圧蒸気FRHS1の温度は、高圧蒸発器26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)よりも低い。つまり、高圧蒸発器26に臨界圧の水が供給される場合、再熱用低圧蒸気FRHS1の温度は臨界温度Tmax1よりも低く、高圧蒸発器(EVA−HP)26に超臨界圧の水が供給される場合、再熱用低圧蒸気FRHS1の温度は高圧蒸発器26に供給される水の圧力における擬臨界温度Tmax2よりも低い。また、高圧蒸発器26に亜臨界圧の水が供給される場合、再熱用中圧蒸気FRHS2の温度は高圧蒸発器26に供給される水の圧力における飽和温度Tmax3よりも低い。低圧再熱器31は、この再熱用低圧蒸気FRHS1を定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)未満の温度にまで加熱する。よって、低圧再熱器31は、この低圧再熱器31を通る排気ガスEGの温度、この低圧再熱器31に流入する再熱用低圧蒸気FRHS1の温度及び流量に対して、低圧再熱器31から流出する再熱用低圧蒸気FRHS1の温度を、定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)未満にまで昇温する、伝熱面積に設定されている。低圧再熱器31で加熱された再熱用低圧蒸気FRHS1は、再熱低圧蒸気RHS1として、再熱低圧蒸気供給ライン76を介して低圧蒸気タービン(第二蒸気タービン、第一再熱蒸気タービン)43に供給される。
低圧蒸気タービン43に供給された再熱低圧蒸気RHS1は、この低圧蒸気タービン43のタービンロータを回転させる。このタービンロータの回転で、低圧蒸気タービン43に接続されている発電機63は発電する。低圧蒸気タービン43を通過した再熱低圧蒸気は、復水器51に流入し、この復水器51で水に戻される。復水器51中の水は、給水ポンプ53により、前述したように、低圧節炭器21に供給される。
次に、本実施形態の蒸気タービンプラントSTP2における排気ガスEG及び水(蒸気を含む)の流れに伴うそれぞれの熱量と温度との関係について、図5のTQ線図を用いて説明する。このTQ線図は、排気ガスEGの流れ方向で、図4に示すように、排熱回収ボイラー20a中で最上流に位置している第二高圧過熱器(SH2−HP)28から低圧再熱器(RH−LP)31及び高圧節炭器(ECO−HP)25までの間DのTQ線図である。なお、このTQ線図も、図2及び図3のTQ線図と同様、排気ガスEG及び水(蒸気を含む)の流れに伴うそれぞれの熱量と温度との関係を定性的に示すものであり、定量的に示すものではない。また、図5では例として高圧蒸発器26で加熱される水が超臨界圧の場合を示す。
本実施形態の蒸気タービンプラントSTP2でも、排気ガスEG(点線で示す)は、下流側に流れるに従って次第に温度が低下すると共に熱量が少なくなる。一方、高圧蒸気タービン41に供給される水(蒸気を含む)HW/HSは、排気ガスEGとの熱交換で、上流側に流れるに従って次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。具体的に、下流側の高圧節炭器(ECO−HP)25に流入した水は、この高圧節炭器(ECO−HP)25、高圧蒸発器(EVA−HP)26、第一高圧過熱器(SH−HP)27、第二高圧過熱器(SH2−HP)28へと上流側に流れるに従って次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。高圧蒸気タービン41に供給される水(蒸気を含む)HW/HSは、高圧蒸発器(EVA−HP)26を通る過程で、この水に応じた定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)より高い温度に加熱される。
低圧再熱器(RH−LP)31には、前述したように、高圧蒸発器(EVA−HP)26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)より低い温度の再熱用低圧蒸気FRHS1が流入する。また、この低圧再熱器(RH−LP)31には、排気ガスEGの流れ方向で低圧再熱器(RH−LP)31と実質的に同じ位置に配置されている高圧節炭器(ECO−HP)25を通る排気ガスEGの温度と同じ温度の排気ガスEGが通る。再熱用低圧蒸気FRHS1は、排気ガスEGとの熱交換で、低圧再熱器(RH−LP)31を通る過程で次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。但し、この再熱用低圧蒸気FRHS1は、前述したように、高圧蒸発器(EVA−HP)26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)未満の温度にまでしか加熱されない。この再熱用低圧蒸気FRHS1は、低圧再熱器(RH−LP)31で加熱されると、再熱低圧蒸気RHS1として、低圧蒸気タービン43に供給される。
本実施形態の蒸気タービンプラントSTP2でも、低圧蒸気タービン43(第二蒸気タービン)に再熱低圧蒸気RHS1を供給する全ての再熱器(本実施形態では一基の低圧再熱器(RH−LP)31)が、高圧蒸発器(EVA−HP)26を基準にして、排気ガスEG(加熱流体)の流れ方向における下流側にのみ配置されている。しかも、低圧蒸気タービン43に再熱低圧蒸気RHS1を供給する全ての低圧再熱器(RH−LP)31では、再熱低圧蒸気RHS1になる再熱用低圧蒸気FRHS1の加熱過程で高圧蒸発器(EVA−HP)26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)を跨がぬよう、再熱用蒸気FRHSを加熱する。
よって、本実施形態でも、高圧蒸発器(EVA−HP)26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)付近の温度レベルの熱量であって、低圧再熱器(RH−LP)31で消費される熱量を抑えることができるので、同温度レベルの熱を高圧蒸発器(EVA−HP)26で多く利用し、高圧蒸発器(EVA−HP)26で発生する蒸気の流量を増大させることができる。しかも、低圧再熱器(RH−LP)31に流入する再熱用低圧蒸気FRHS1の温度と、この再熱用低圧蒸気FRHS1を加熱する排気ガスEGの温度との差ΔT1が小さく、排気ガスEGと再熱用低圧蒸気FRHS1との熱交換の効率がよく、この観点からも低圧再熱器(RH−LP)31における排気ガスEGの熱を有効に利用することができる。
中圧再熱器(RH−IP)32には、前述したように、高圧蒸発器(EVA−HP)26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)より高い温度の再熱用中圧蒸気FRHS2が流入する。再熱用中圧蒸気FRHS2は、排気ガスEGとの熱交換で、中圧再熱器(RH−IP)32を通る過程で次第に温度が上昇すると共に熱量が多くなる。この再熱用中圧蒸気FRHS2は、中圧再熱器(RH−IP)32で加熱されると、再熱中圧蒸気RHS2として、中圧蒸気タービン42に供給される。
本実施形態の蒸気タービンプラントSTP2では、中圧蒸気タービン42(第二蒸気タービン)に再熱中圧蒸気RHS2を供給する全ての再熱器(本実施形態では一基の中圧再熱器(RH−IP)32)が、高圧蒸発器(EVA−HP)26を基準にして、排気ガスEG(加熱流体)の流れ方向における上流側にのみ配置されている。しかも、中圧蒸気タービン42に再熱中圧蒸気RHS2を供給する全ての中圧再熱器(RH−IP)32は、高圧蒸発器(EVA−HP)26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)より高い温度の再熱用中圧蒸気FRHS2を加熱する。つまり、中圧蒸気タービン42に再熱中圧蒸気RHS2を供給する全ての中圧再熱器(RH−IP)32による再熱用中圧蒸気FRHS2の加熱過程で、高圧蒸発器(EVA−HP)26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)を跨がない。
よって、本実施形態では、高圧蒸発器(EVA−HP)26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)付近の温度レベルの熱量であって、中圧再熱器(RH−IP)32で消費される熱量を抑えることができるので、同温度レベルの熱を高圧蒸発器(EVA−HP)26で多く利用し、高圧蒸発器(EVA−HP)26で発生する蒸気の流量を増大させることができる。しかも、中圧再熱器(RH−IP)32に流入する再熱用中圧蒸気FRHS2の温度と、この再熱用中圧蒸気FRHS2を加熱する排気ガスEGの温度との差ΔT2が小さく、排気ガスEGと再熱用中圧蒸気FRHS2との熱交換の効率がよく、この観点からも中圧再熱器(RH−IP)32における排気ガスEGの熱を有効に利用することができる。
よって、本実施形態では、低圧蒸気タービン43に低圧再熱器31で加熱した蒸気を供給し、さらに、中圧蒸気タービン42に中圧再熱器32で加熱した蒸気を供給しつつも、高圧蒸気タービン41に対して効率的に高温の蒸気を多く供給することでき、蒸気タービン群全体から得られる出力を高めることができる。このため、本実施形態では、蒸気タービンプラントの効率を高めることができる。
「蒸気タービンプラントの第一変形例」
次に、図6を参照して、蒸気タービンプラントの第一変形例について説明する。
本変形例の蒸気タービンプラントSTP3は、第二実施形態の蒸気タービンプラントSTP2の変形例で、第二実施形態の中圧再熱器(RH−IP)32を第一中圧再熱器(RH1−IP)32bとこの第一中圧再熱器32bよりも上流側の第二中圧再熱器(RH2−IP)33bとで構成したもので、他の構成に関しては、基本的に、第二実施形態と同様である。
第一中圧再熱器32bは、第二実施形態の中圧再熱器32と同様、排熱回収ボイラー20bにおける排気ガスEGが流れる方向で、第一高圧過熱器27と第二高圧過熱器28bとの間に配置されている。第二中圧再熱器33bは、排気ガスEGが流れる方向で、第一中圧再熱器32bの上流側に配置されている第二高圧過熱器28bと実質的に同じ位置に配置されている。第一中圧再熱器32bの蒸気入口は、第二実施形態の中圧再熱器32と同様、高圧蒸気タービン41の蒸気出口と高圧蒸気回収ライン72aで接続されている。また、第二中圧再熱器33bの蒸気出口は、第二実施形態の中圧再熱器32と同様、中圧蒸気タービン42の蒸気入口と再熱中圧蒸気供給ライン73で接続されている。
本変形例では、以上で説明したように、第二実施形態の中圧再熱器32を第一中圧再熱器32bと第二中圧再熱器33bとの二基の中圧再熱器で構成している。しかしながら、中圧蒸気タービン42(第二蒸気タービン)に再熱中圧蒸気RHS2を供給する全ての再熱器である第一中圧再熱器32b及び第二中圧再熱器33bは、いずれも、高圧蒸発器26を基準にして、排気ガスEG(加熱流体)の流れ方向における上流側にのみ配置されている。しかも、中圧蒸気タービン42に再熱中圧蒸気RHS2を供給する全ての再熱器32b,33bは、高い温度の排気ガスEGにより、高圧蒸発器26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)より高い温度の再熱用中圧蒸気FRHS2を加熱する。
よって、本変形例の蒸気タービンプラントSTP3でも、第二実施形態の蒸気タービンプラントSTP2と同様の効果を得ることができる。
以上のように、ある蒸気タービンに再熱蒸気を供給する再熱器は、複数基あっても、これら全ての再熱器が高圧蒸発器26の上流側にのみ又は下流側にのみ配置され、且つ高圧蒸発器26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)を跨がぬよう再熱用蒸気を加熱するのであれば、以上の各実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本変形例では、高圧蒸発器26における定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)付近の温度レベルの熱量であって、これら全ての再熱器で消費される熱量を抑えることができるので、同温度レベルの熱を高圧蒸発器26で多く利用し、高圧蒸発器26で発生する蒸気の流量を増大させることができる。従って、高圧蒸気タービン41に対して効率的に高温の蒸気を多く供給することでき、蒸気タービン群全体から得られる出力を高めることができる。このため、本変形例では、蒸気タービンプラントの効率を高めることができる。
なお、ここでは、ある蒸気タービンに再熱蒸気を供給する複数の再熱器は、直列に接続されているが、並列に接続されていてもよい。
「蒸気タービンプラントの第二変形例」
次に、図6を参照して、蒸気タービンプラントの第二変形例について説明する。
本変形例の蒸気タービンプラントSTP4も、以上の各実施形態及び第一変形例の蒸気タービンプラントと同様、ボイラー20cと、ボイラー20cで発生した蒸気で駆動する蒸気タービン41,42,43とを備えている。
本変形例の蒸気タービンプラントSTP4は、蒸気タービンとして、高圧蒸気タービン41と、中圧蒸気タービン42と、低圧蒸気タービン43とを備えている。高圧蒸気タービン41のタービンロータ、中圧蒸気タービン42のタービンロータ、低圧蒸気タービン43のタービンロータには、それぞれ、発電機61,62,63のロータが接続されている。
以上の各実施形態及び第一変形例の蒸気タービンプラントにおけるボイラーは、火炉を有さず、ガスタービン10からの排気ガスEGの熱を利用して蒸気を発生させる排熱回収ボイラー20,20a,20bである。一方、本変形例の蒸気タービンプラントSTP4におけるボイラーは、火炉38cを有するボイラー20cである。このボイラー20c内には、火炉38cで発生した燃焼ガスが流れる。ボイラー20cは、この燃焼ガスにより水等を加熱し、蒸気を生成する。ボイラー20cから排気された燃焼ガスは、煙突39を経由して大気に放出される。
本変形例のボイラー20cは、油やガス等の燃料を燃焼させる火炉38cと、水を加熱する節炭器21cと、節炭器21cで加熱された水を蒸気にする蒸発器22cと、蒸発器22cで発生した熱を過熱して高圧蒸気HSを生成する過熱器27cと、高圧蒸気タービン41から排気された蒸気を再熱用中圧蒸気FRHS2として加熱する中圧再熱器32cと、中圧蒸気タービン42から排気された蒸気を含む再熱用低圧蒸気FRHS1を加熱する低圧再熱器31cと、を有している。
ここで、ボイラー20c内を流れる燃焼ガスの流れ方向で、火炉38cを基準にして煙突39が存在する側を下流側、その反対側を上流側とする。節炭器21c、低圧再熱器31c、蒸発器22c、中圧再熱器32c、過熱器27c、火炉38cは、ボイラー20cの下流側から上流側に向かって、この順序で配置されている。
本変形例の蒸気タービンプラントSTP4は、さらに、低圧蒸気タービン43から排気された蒸気を水に戻す復水器51と、復水器51からの水を昇圧する復水ポンプ54と、復水ポンプ54で昇圧された水をさらに昇圧してボイラー20cに送る給水ポンプ53cと、復水器51からの水を加熱する給水加熱器81,82,83と、を備えている。
給水加熱器81,82,83には、復水器51からの水を一次加熱する一次給水加熱器81と、一次給水加熱器81で加熱された水をさらに加熱する二次給水加熱器82と、二次給水加熱器82で加熱された水をさらに加熱する三次給水加熱器83とがある。給水ポンプ53cは、一次給水加熱器81と二次給水加熱器82との間に配置され、一次給水加熱器81で加熱された水を昇圧し、この水を二次給水加熱器82及び三次給水加熱器83を介してボイラー20cに送る。
過熱器27cの蒸気出口と高圧蒸気タービン41の蒸気入口とは、過熱器27cで過熱された蒸気である高圧蒸気HSを高圧蒸気タービン41に供給する高圧蒸気供給ライン71で接続されている。高圧蒸気タービン41の蒸気出口と中圧再熱器32cの蒸気入口とは、高圧蒸気回収ライン72aで接続されている。中圧再熱器32cの蒸気出口と中圧蒸気タービン42の蒸気入口とは、中圧再熱器32cで加熱された蒸気である再熱中圧蒸気RHS2を中圧蒸気タービン42に供給する再熱中圧蒸気供給ライン73で接続されている。中圧蒸気タービン42の蒸気出口と低圧再熱器31cの蒸気入口とは、中圧蒸気回収ライン74で接続されている。低圧再熱器31cの蒸気出口と低圧蒸気タービン43の蒸気入口とは、低圧再熱器31cで加熱された蒸気である再熱低圧蒸気RHS1を低圧蒸気タービン43に供給する再熱低圧蒸気供給ライン76で接続されている。低圧蒸気タービン43の蒸気出口と復水器51とは、低圧蒸気タービン43から排気された蒸気が復水器51に供給されるよう互いに接続されている。低圧蒸気タービン43の蒸気抽気口と一次給水加熱器81とは、この蒸気抽気口から抽気された蒸気を、一次給水加熱器81での熱源として一次給水加熱器81に送る低圧抽気ライン85で接続されている。中圧蒸気タービン42の蒸気抽気口と二次給水加熱器82とは、この蒸気抽気口から抽気された蒸気を、二次給水加熱器82での熱源として二次給水加熱器82に送る中圧抽気ライン86で接続されている。高圧蒸気タービン41の蒸気抽気口と三次給水加熱器83とは、この蒸気抽気口から抽気された蒸気を、三次給水加熱器83での熱源として三次給水加熱器83に送る高圧抽気ライン87で接続されている。
本変形例の蒸発器22cは、以上の各実施形態及び第一変形例の高圧蒸発器26と同様、
定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)よりも低い温度の水を、この定圧比熱極大温度Tmaxよりも高い温度に加熱する装置である。また、本変形例の給水ポンプ53cは、以上の各実施形態及び第一変形例の高圧ポンプ23と同様、水の圧力を臨界圧、超臨界圧又は亜臨界圧まで昇圧するポンプである。
次に、本変形例の蒸気タービンプラントSTP4の動作について説明する。
ボイラー20c中で、最も下流側の節炭器21cには、複数の給水加熱器81,82,83で加熱された水が供給される。節炭器21cは、この水を燃焼ガスと熱交換させて加熱する。節炭器21cで加熱された水は、火炉38cに設けられている水管等を経由して蒸発器22cに送られる。蒸発器22cでは、この水をさらに加熱して蒸気にする。この蒸気は、火炉38cに設けられている水管等を経由して過熱器27cに送られる。過熱器27cでは、この蒸気を過熱して高圧蒸気HSにする。この高圧蒸気HSは、高圧蒸気供給ライン71を介して高圧蒸気タービン41に供給される。
高圧蒸気タービン41を通過した高圧蒸気HSは、再熱用中圧蒸気FRHS2として、高圧蒸気回収ライン72aを介して、中圧再熱器32cに送られる。再熱用中圧蒸気FRHS2の温度は、蒸発器22cにおける定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)よりも高い。中圧再熱器32cは、この再熱用中圧蒸気FRHS2を加熱する。中圧再熱器32cで加熱された再熱用中圧蒸気FRHS2は、再熱中圧蒸気RHS2として、再熱中圧蒸気供給ライン73を介して中圧蒸気タービン42に供給される。
中圧蒸気タービン42を通過した再熱中圧蒸気RHS2は、再熱用低圧蒸気FRHS1として、中圧蒸気回収ライン74を介して、低圧再熱器31cに送られる。再熱用低圧蒸気FRHS1の温度は、蒸発器22cにおける定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)よりも低い。低圧再熱器31cは、この再熱用低圧蒸気FRHS1を定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)未満の温度にまで加熱する。低圧再熱器31cで加熱された再熱用低圧蒸気FRHS1は、再熱低圧蒸気RHS1として、再熱低圧蒸気供給ライン76を介して低圧蒸気タービン43に供給される。
低圧蒸気タービン43を通過した再熱低圧蒸気RHS1は、復水器51に流入し、この復水器51で水に戻される。復水器51中の水は、復水ポンプ54により、一次給水加熱器81に送られる。一次給水加熱器81では、低圧蒸気タービン43から抽気された蒸気との熱交換により、加熱される。一次給水加熱器81で加熱された水は、給水ポンプ53cで昇圧された後、二次給水加熱器82に送られる。二次給水加熱器82では、中圧蒸気タービン42から抽気された蒸気との熱交換により、加熱される。二次給水加熱器82で加熱された水は、三次給水加熱器83に送られる。三次給水加熱器83では、高圧蒸気タービン41から抽気された蒸気との熱交換により、加熱される。三次給水加熱器83で加熱された水は、ボイラー20cの節炭器21cに送られる。
本変形例の蒸気タービンプラントSTP4でも、低圧蒸気タービン43(第二蒸気タービン)に再熱低圧蒸気RHS1を供給する全ての再熱器(本変形例では一基の低圧再熱器31c)が、蒸発器22cを基準にして、燃焼ガス(加熱流体)の流れ方向における下流側にのみ配置されている。しかも、低圧蒸気タービン43に再熱低圧蒸気RHS1を供給する全ての低圧再熱器31cでは、再熱用低圧蒸気FRHS1の加熱過程で蒸発器22cにおける定圧比熱極大温度Tmax(高圧極大温度Tmax-HP)を跨がぬよう、再熱用蒸気FRHSを加熱する。
また、本変形例の蒸気タービンプラントSTP4でも、中圧蒸気タービン42(第二蒸気タービン)に再熱中圧蒸気RHS2を供給する全ての再熱器(本変形例では一基の中圧再熱器32c)が、蒸発器22cを基準にして、燃焼ガスの流れ方向における上流側にのみ配置されている。しかも、中圧蒸気タービン42に再熱中圧蒸気RHS2を供給する全ての中圧再熱器32cでは、蒸発器22cにおける定圧比熱極大温度Tmaxより高い温度の再熱用中圧蒸気FRHS2を加熱する。
よって、本変形例でも、低圧蒸気タービン43に低圧再熱器31cで加熱した蒸気を供給し、さらに、中圧蒸気タービン42に中圧再熱器32cで加熱した蒸気を供給しつつも、高圧蒸気タービン41に対して効率的に高温の蒸気を多く供給することでき、蒸気タービン群全体から得られる出力を高めることができる。このため、本変形例でも、蒸気タービンプラントの効率を高めることができる。
以上のように、蒸気を発生するボイラーは、ガスタービン10からの排気ガスEGの熱を利用して蒸気を発生させる排熱回収ボイラーでなくてもよく、例えば、本変形例にように、火炉38cを有するボイラー20cであってもよい。また、排熱回収ボイラーは、ガスタービン10からの排気ガスEGを利用するものではなく、例えば、セメントプラント、高炉等からの排気ガスEGを利用するものであってもよい。
なお、以上の各実施形態及び各変形例で、最も高圧の水が流入する蒸発器には、臨界圧又は超臨界圧の水で、且つ臨界温度(臨界温度の場合)又は擬臨界温度(超臨界圧の場合)より温度が低い水が流入し、この蒸発器は、この水を臨界温度(臨界温度の場合)又は擬臨界温度(超臨界圧の場合)より高い温度に加熱するものであることが好ましい。これは、蒸発器から高圧蒸気タービンに供給される蒸気の温度及び圧力が高くなり、蒸気タービン群を蒸気が通過する過程での蒸気のエネルギー落差を大きくすることができるからである。さらに、再熱器から流出する再熱蒸気の温度及び圧力が高まるからである。
「蒸気タービンの変形例」
次に、図8を参照して、蒸気タービンの変形例について説明する。
以上の各実施形態及び各変形例の蒸気タービンプラントが備えている複数の蒸気タービンは、いずれも、蒸気タービン毎に、タービンロータを有している。しかしながら、一の蒸気タービンは、他の蒸気タービンと共有するタービンロータを有してもよい。すなわち、複数の蒸気タービンは、タービンロータを互いに共有するコンパウンド型蒸気タービンであってもよい。
本変形例の蒸気タービンは、図8に示すように、二基の蒸気タービン41a,43bが互いでタービンロータ46を共有するコンパウンド型蒸気タービン45である。このコンパウンド型蒸気タービン45を構成する二基の蒸気タービン41a,43bのうち、一基の蒸気タービンは例えば高圧蒸気タービン41aで、残りの一基の蒸気タービンは例えば低圧蒸気タービン43bである。
このコンパウンド型蒸気タービン45は、タービンロータ46と、タービンケーシング47とを有する。タービンロータ46は、その軸方向の一方側が高圧ロータ部46aを成し、他方側が低圧ロータ部46bを成す。タービンケーシング47は、タービンロータ46の高圧ロータ部46aを覆う高圧ケーシング部47aと、タービンロータ46の低圧ロータ部46bを覆う低圧ケーシング部47bとを有する。高圧蒸気タービン41aは、高圧ロータ部46aと高圧ケーシング部47aとを有する。低圧蒸気タービン43bは、低圧ロータ部46bと低圧ケーシング部47bとを有する。このコンパウンド型蒸気タービン45のタービンロータ46には、1基の発電機が接続されている。すなわち、複数の蒸気タービンをコンパウンド化した場合、以上の各実施形態及び各変形例のように、複数の蒸気タービン毎に発電機を接続する必要はない。
高圧ケーシング部47aには、高圧ケーシング部47a内に蒸気を導く高圧蒸気入口48aと、高圧ケーシング部47a内の蒸気をタービンケーシング47外に排気する高圧蒸気出口49aとが形成されている。また、低圧ケーシング部47bには、低圧ケーシング部47b内に蒸気を導く低圧蒸気入口48bと、低圧ケーシング部47b内の蒸気をタービンケーシング47外に排気する低圧蒸気出口49bとが形成されている。
高圧蒸気タービン41aの高圧蒸気入口48aは、例えば、第一実施形態の高圧蒸気タービン41の蒸気入口と同様、高圧過熱器27の蒸気出口と接続される。高圧蒸気タービン41aの高圧蒸気出口49aは、例えば、第一実施形態の高圧蒸気タービン41の蒸気出口と同様、再熱器31の蒸気入口と接続される。低圧蒸気タービン43bの低圧蒸気入口48bは、例えば、第一実施形態の低圧蒸気タービン43の蒸気入口と同様、再熱器31の蒸気出口と接続されている。低圧蒸気タービン43の低圧蒸気出口49bは、例えば、第一実施形態の低圧蒸気タービン43の蒸気出口を同様、復水器51に接続される。
なお、以上では、高圧蒸気タービンと低圧蒸気タービンとをコンパウンド化した例であるが、高圧蒸気タービン、中圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンをコンパウンド化してもよい。高圧蒸気タービン、中圧蒸気タービ及び低圧蒸気タービンに対するコンパウンド型としては、一つのタービンロータを高圧蒸気タービン、中圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンで共有するタンデムコンパウンド型と、二つのタービンロータのうち、一方のタービンロータのみをいずれか二基の蒸気タービンで共有するクロスコンパウンド型とがある。タンデムコンパウンド型とクロスコンパウンド型のいずれを採用するかは、設置条件、運用条件、保守条件等に応じて定められる。
「その他の変形例」
以上の各実施形態及び各変形例の蒸気タービンやガスタービンの駆動対象は、いずれも発電機である。しかしながら、蒸気タービンやガスタービンの駆動対象は、発電機でなくてもよく、例えば、ポンプ等の回転機械であってもよい。