以下、この発明の装置、方法、プログラムの一実施の形態について説明する。この発明の施設検索装置は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット型端末装置などを用いて単体の装置(いわゆるスタンドアロンの装置)として実現できる。しかし、この発明の施設検索装置は、地図情報(地図データ)を用いた施設検索を行うものであるため、外出先等においても手軽に利用できることが好ましい。
そこで、以下に説明する実施の形態においては、検索サーバー装置と例えばスマートフォンと呼ばれる高機能携帯電話端末であるユーザー端末装置とをネットワークを通じて接続することにより施設検索装置を構成する場合を例にして説明する。これにより、ユーザーは、ユーザー端末装置を持ち歩いて、場所を選ばずに手軽に目的とする施設の検索を行える。
[施設検索装置の構成例]
図1は、この実施の形態の施設検索装置の構成例を説明するための図である。図1に示すように、この実施の形態の施設検索装置は、検索サーバー装置1とユーザー端末装置3とがネットワーク2を通じて接続されて構成される。この実施の形態の検索サーバー装置1は、種々の施設についての詳細情報を含む地図データベースを保持し、ユーザー端末装置3からの要求に応じて、施設検索処理を実行し、検索結果をユーザー端末装置3に返信する機能を備える。
ネットワーク2は、主にインターネットであるが、後述するユーザー端末装置3からインターネットまでを接続する、例えば、携帯電話網や種々のLAN(Local Area Network)等をも含む。また、ユーザー端末装置3は、スマートフォンと呼ばれる高機能携帯電話端末であり、主に情報の入出力装置としての機能を実現する。
そして、この実施の形態の検索サーバー装置1とユーザー端末装置3とからなる施設検索装置は、従来の施設検索装置のように、ユーザー端末装置3の現在位置を中心とする円形状の検索エリアを設定して施設検索を行うものではない。この実施の形態の施設検索装置では、検索サーバー装置1において、地図上に隙間なく設けられる所定の大きさのメッシュごとに、人の混雑度を示す情報が集計されて保持される。なお、地図上におけるメッシュは、緯度、経度に基づき地域をすき間なく網の目(Mesh)の区域に分けたものであり、この実施の形態では、例えば、250m×250m程度の矩形エリアを意味する。
そして、検索サーバー装置1では、ユーザー端末装置3の現在位置などの検索基準位置と、ユーザー端末装置3のユーザーの移動コストに関する情報とに基づいて、ユーザー端末装置3のユーザーが移動可能なエリアを特定する。移動コストに関する情報は、検索基準位置からの距離、検索基準位置からの移動手段に応じた移動距離、検索基準位置からの移動手段に応じた移動時間、検索基準位置からの移動手段に応じた交通費、移動手段が電車である場合の移動可能な駅の数などである。すなわち、移動コストに関する情報は、ユーザー端末装置3のユーザーが移動可能なエリアを特定することが可能な種々の情報ということになる。この移動コストに関する情報は、複数の情報が用いられる場合もある。
さらに、検索サーバー装置1では、混雑度を示す情報を参照し、移動コストに関する情報に基づいて特定されるユーザーが移動可能なエリア内において、混雑度に応じた連続するメッシュからなる1以上のエリアを特定して、1以上の検索エリアを設定する。すなわち、検索サーバー装置1は、ユーザーが移動可能なエリア内において、人の実際の混雑度に基づいて、人の多い1以上のエリアを検索範囲として設定することができるものである。
より具体的には、例えば、山手線の大塚駅の駅前で施設検索を行うとする。この場合、従来であれば、大塚駅周辺(例えば、大塚駅前の現在位置から半径500mのエリア)しか検索エリアとすることができない。しかし、この実施の形態の検索サーバー装置1に場合には、ユーザーが移動可能なエリアをも考慮して、大塚駅周辺の検索エリアと、大塚駅の隣の池袋駅周辺の検索エリアとの2つの検索エリアを設定する、そして、それら2つの検索エリアについて施設検索を行って、その結果を、ユーザー端末装置3を通じてユーザーに提供できるようにしている。
なお、図1においては、ユーザー端末装置3は1つしか示していないが、実際には、多数のユーザー端末装置3が、ネットワーク2を通じて検索サーバー装置1にアクセスし、検索サーバー装置1が提供する施設検索サービスを利用できるようになっている。以下、この実施の形態の施設検索装置を構成する検索サーバー装置1とユーザー端末装置3のそれぞれについて詳細に説明する。
[検索サーバー装置1の構成例]
まず、検索サーバー装置1の構成例について説明する。図1の上端側のブロック図に、検索サーバー装置1の基本構成を示す。図1に示す検索サーバー装置1において、通信I/F101は、ネットワーク2を通じて受信した信号を自機が処理可能なデータに変換して取り込んだり、送信用の種々のデータをプロトコルに準拠した信号に変換してネットワーク2に送出したりする。なお、I/Fはインターフェースの略称である。
制御部102は、検索サーバー装置1の各部を制御するものであり、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)がCPUバスを通じて接続されて構成されたコンピュータ装置である。また、制御部102は、種々のアプリケーションを実行するアプリケーション実行部としても機能する。記憶装置103は、記録媒体としてハードディスクを備え、種々のアプリケーションプログラムや種々の処理により得られたデータ等のハードディスクへの書込み/記録保持/読み出し/削除を行う。
地図DB104、ネットワークDB105のそれぞれは、ハードディスクなどの大容量記録媒体に形成され、所定のデータを記憶保持する。ここで、文字「DB」は、データベースの略称である。
地図DB104は、地図を描画するための例えばベクトルデータやラスタデータ、注記データ等の種々の地図情報(地図データ)を緯度・経度情報に対応付けて記憶保持する。具体的に、地図DB104に蓄積されている地図情報は、例えば、道路、鉄道、河川、山岳、商業施設、金融機関、住宅、標識などの所定の種別毎(レイヤ毎)に形成されている。
また、地図DB104は、各レイヤに含まれる種々の店舗や種々の施設、あるいは、地形上の特徴点などである種々の拠点について、いわゆるPOI(point of interest)情報と呼ばれる拠点情報をも保持している。例えば、地図上に飲食物を提供する拠点(飲食店)が存在する場合、その飲食店は、どのような飲食物を提供する店なのか、規模はどれ位なのか、どのような顧客が多いのか等の詳細情報が整えられている。
ネットワークDB105は、ノードデータ及びリンクデータからなる自動車用道路ネットワークデータや歩行者用道路ネットワークデータを記憶保持する。自動車用道路ネットワークデータの場合、ノードデータは、ランドマーク、建物、施設、交差点、分岐点、屈曲点などの地点を表す。また、リンクデータは、ノードデータを結ぶ線分によって、高速道路、国道、県道、市町村道、私道などの自動車が通行可能な経路を示す。そして、各リンクデータには、そのリンクを構成するノードの番号と、リンクコストと、リンク種別等の情報が対応付けられている。
自動車用道路ネットワークデータの場合、リンクコストは、そのリンクが表す道路を通行する際にユーザーにかかる負荷を表している。この実施の形態においてリンクコストは、そのリンクが表す道路の長さに応じたコストと、そのリンクが表す道路を通行するのに要する時間に応じたコストの両方を備えっている。そして、リンクコストは、いわゆるダイクストラ法により、リンクコストが最小となる経路を探索する場合に参照される。リンク種別は、当該リンク部分が、高速道路、国道、県道、市町村道、私道の内のどれかを示す情報である。この他にも、リンクデータは、そのリンクの道幅などの詳細情報を備えている。
また、歩行者用道路ネットワークデータは、基本的なデータ構成は、上述した自動車用道路ネットワークデータと同様である。しかし、歩行者用道路ネットワークデータで管理されるリンクデータは、歩行者が通行可能な一般道、種々の道路に付随する歩道、横断歩道、歩道橋、建物内や公園内の通り抜け可能な歩行者用通路など、歩行者が通行可能な道路についてのものである。
混雑度データファイル106もまた、ハードディスクなどの大容量記録媒体に形成される。そして、混雑度データファイル106は、地図上に隙間なく設けられる所定の大きさのメッシュごとに集計される人の混雑度を示す情報を記憶保持する。ここで、混雑度を示す情報は、GPS対応携帯電話を使っている多数のユーザーから許諾を得て、当該GPS対応携帯電話から送信される位置情報の分布を、日本の総人口に当てはめてメッシュ化して地図上に重ね合わせたものである。すなわち、混雑度データファイル106が保持するメッシュごとの混雑度は、そのメッシュに存在するであろう人の数(人数の推測値)である。
この実施の形態において、混雑度データファイル106では、13時から14時、14時から15時というように、1時間毎の携帯電話端末の位置情報の分布を用いて、メッシュごとに、そのメッシュにとどまっている人の推定人数を混雑度として用いている。なお、混雑度データファイル106には、メッシュごとに直近の1時間の推定人数だけでなく、過去の推定人数をも保持しており、過去の推定人数を示す情報の利用も可能になっている。
コスト対応エリア特定部111は、検索エリアの設定が可能な、ユーザー端末装置3のユーザーが移動できる範囲(移動可能エリア)を特定する。具体的に、コスト対応エリア特定部111は、ユーザー端末装置3の現在位置やユーザー端末装置3のユーザーによって指示された指示位置である検索基準位置と、ユーザー端末装置3からの移動コストに関する情報とに基づいて移動可能エリアを特定する。この実施の形態において、移動コストに関する情報は、上述もしたが、検索基準位置からの距離、検索基準位置からの移動手段に応じた移動距離、検索基準位置からの移動手段に応じた移動時間、検索基準位置からの移動手段に応じた交通費、移動手段が電車である場合の移動可能な駅の数などである。
コスト対応エリア特定部111は、これらの情報に基づいて、ユーザー端末装置3のユーザーが移動可能なエリアを特定する。具体的に、移動コストに関する情報が、検索基準位置からの距離である場合には、検索基準位置を中心とする半径が指示された距離分の円形状のエリアが移動可能なエリアになる。また、移動コストに関する情報が、検索基準位置からの移動手段に応じた移動距離である場合には、検索基準位置を起点として、指示された移動手段で、種々の方向に指示された移動距離を移動した場合に含まれるエリアが移動可能なエリアになる。
また、移動コストに関する情報が、検索基準位置からの移動手段に応じた移動時間である場合には、検索基準位置を起点として、指示された移動手段で、指示された時間内に移動可能なエリアが移動可能なエリアになる。また、移動コストに関する情報が、検索基準位置からの移動手段に応じた交通費である場合には、検索基準位置を起点として、指示された移動手段で、指示された交通費以内で移動可能なエリアが移動可能なエリアになる。また、移動コストに関する情報が、移動手段が電車である場合の移動可能な駅の数である場合には、検索基準位置近傍の駅を起点として、指示された駅数に至るまでのエリアが移動可能なエリアになる。
このため、移動コストに関する情報に基づいて、移動可能な範囲を特定するための情報が、地図DB104やネットワークDB105に保持されている。例えば、検索基準位置からの所定の移動手段により所定の移動距離分移動することができるエリアは、地図DB104の地図情報とネットワークDB105の移動手段に応じたリンクの長さに応じたリンクコストによって特定可能である。また、検索基準位置からの所定の移動手段により所定の移動時間分移動することができるエリアは、地図DB104の地図情報とネットワークDB105の移動手段に応じたリンクの時間に応じたリンクコストによって特定可能である。
また、検索基準位置から所定の移動手段に応じて所定の交通費で移動することができるエリアは、地図DB104が備える、交通機関別の料金表に応じて特定可能である。また、検索基準位置近傍の駅から電車で所定の駅数分移動可能なエリアは、地図DB104の鉄道経路情報により特定可能である。このように、コスト対応エリア特定部111は、検索基準位置と移動コストに関する情報とに基づいて、地図DB104やネットワークDB105の情報を参照して、ユーザー端末装置3のユーザーが移動可能なエリアを特定する。この特定された移動可能なエリアが、1以上の検索エリアを設定することが可能な移動可能エリアになる。
コスト混雑度対応検索エリア設定部112は、混雑度データファイル106の情報を参照し、コスト対応エリア特定部111により特定されたユーザーが移動可能なエリアにおいて、1以上の検索エリアを設定する。図2は、検索エリアの設定例を説明するための図であり、図2(A)はコスト混雑度対応検索エリア設定部112で行われる1以上の検索エリアの設定例を、図2(B)は従来の検索エリアの設定例を説明するための図である。
この実施の形態のコスト混雑度対応検索エリア設定部112は、混雑度データファイル106の格納データを参照し、コスト対応エリア特定部111により特定されたユーザーが移動可能なエリアにおいて、混雑度の高いメッシュを特定する。そして、混雑度が高いメッシュが連続する場合に、その連続する複数のメッシュからなるエリアを検索エリアとして設定する。
例えば、図2(A)に示すように、A駅の駅前の検索基準位置Pにユーザー端末装置3を持つユーザーが位置していたとする。そして、移動コストに関する情報が、例えば、電車で移動可能な駅の数が一駅であるものとする。従って、ユーザーが移動可能なエリアは、A駅の両隣の駅までのエリアということになる。この場合に、図2(A)において斜線でも示すように、A駅周辺のエリアと、B駅周辺のエリアとにおいて、混雑度の高いメッシュが連続するエリアが存在していたとする。
具体的には、A駅の周辺には、混雑度が4000人から5000人までの4つのメッシュが存在し、B駅の周辺には、混雑度が5000人以上の2つのメッシュと、混雑度が4000人から5000人までの2つのメッシュが存在していたとする。それら以外のメッシュの混雑度は、例えば1000人以下であったとする。この場合、コスト混雑度対応検索エリア設定部112は、図2(A)において、斜線を付して示したA駅周辺のエリアAR1とB駅周辺のエリアAR2との2つの離れたエリアを検索エリアとして設定する。
従来は、図2(B)に示すように、A駅の駅前の検索基準位置Pにユーザー端末装置3を持つユーザーが位置していた場合、検索基準位置Pを中心にして、所定半径の円形状のエリアAR−Jが検索エリアとなっていた。このため、B駅周辺は検索エリアにならない。しかし、この実施の形態のコスト混雑度対応検索エリア設定部112の場合には、図2(A)を用いて説明したように、ユーザーが移動可能なエリアを特定し、その特定したエリア内において更に混雑度を考慮して、1以上の検索エリアを設定できる。
このため、ユーザー端末装置3を持つユーザーが位置Pにいたとしても、検索サーバー装置1では、当該ユーザーが移動可能な範囲内とした電車で1駅移動可能な範囲において、検索エリアAR1と検索エリアAR2との2つの検索エリアを設定できる。そして、それら2つの検索エリアAR1、AR2のそれぞれについて施設検索を行うことができるようにされる。
さらに、図2(B)に示したように、従来の方式により設定される検索エリアAR−Jの場合には、図2(B)においてA駅の上側の混雑度の低いメッシュ部分も、検索エリアAR−Jの一部に含まれている。しかし、図2(A)に示したように、この実施の形態の検索サーバー装置1のコスト混雑度対応検索エリア設定部112は、混雑度の高いメッシュが連続する部分(隣合う部分)を検索エリアとして設定するので、より適切な施設検索が可能になる。
したがって、図2(B)に示したように、従来の方式により設定される検索エリアAR−Jの場合には、図2(B)において、A駅の上側の混雑度が低いメッシュ部分に位置していた店舗が検索され、その店舗に行ったが、混雑していては入れなかったとする。この場合、それ以外に検索された店舗が、図2(B)において、A駅の下側に位置していたとすると、ユーザーが次の店舗に移動するために時間も労力もかかるためユーザーにとっては好ましくない。
しかし、この実施の形態のユーザー端末装置3のコスト混雑度対応検索エリア設定部112は、図2(A)に示したように、混雑度の高いメッシュが連続する部分を検索エリアとして設定する。換言すれば、コスト混雑度対応検索エリア設定部112は、混雑度が低いメッシュを検索エリアには含めずに適切に検索エリアが設定できる。したがって、ユーザーの時間や労力を無駄にするような検索結果をユーザーに提供することもないようにされる。
施設検索処理部113は、地図DB104の格納データの内、設定された検索エリアAR1と検索エリアAR2のそれぞれについて、対応するエリアのPOIデータなどを参照し、ユーザー端末装置3から提供される検索条件に合致する施設を検索する。そして、施設検索処理部113は、検索結果をリスト化して検索結果リストを形成し、これを検索要求元のユーザー端末装置3に対して提供する。この場合、施設検索処理部113は、検索エリアAR1での検索結果と検索エリアAR2での検索結果とを区別可能な態様で、検索結果をリスト化する。すなわち、ユーザーが、検索エリアAR1での検索結果と検索エリアAR2での検索結果とを区別可能にしておく。
詳細情報提供部121は、検索結果を提供したユーザー端末装置3からの施設の詳細情報の提供要求に応じて、地図DB104のPOIデータから対応する施設に関する詳細情報を取得し、これを要求元のユーザー端末装置3に対して提供する。地図情報提供部122は、検索結果リストを提供したユーザー端末装置3からの施設についての地図情報の提供要求に応じて、当該施設の周辺地図を地図DB104から取得し、これを要求元のユーザー端末装置3に対して提供する。
また、地図情報提供部122は、検索結果リストを提供したユーザー端末装置3からの施設へのルート情報の提供要求に応じて、検索基準位置から当該施設までのルートを示す地図を地図DB104から取得し、これを要求元のユーザー端末装置3に提供もできる。なお、ルートの探索には、ネットワークDB105のネットワークデータが用いられる。また、施設検索処理部113からの検索結果や、詳細情報提供部121からの詳細情報や、地図情報提供部122からの地図情報は、通信I/F101を通じてネットワーク2に送出され、要求元のユーザー端末装置3に提供される。
そして、混雑度集計部123は、GPS対応携帯電話を使っている多数のユーザーのそれぞれから許諾を得て、当該GPS対応携帯電話から送信される位置情報の単位時間当りの分布を集計し、メッシュごとの推定人数を算出して、混雑度データファイルに更新する。なお、GPS対応携帯電話から送信される位置情報のメッシュごと分布は、種々の方法により求めることができる。例えば、メッシュごとに、所定時間ごとの位置情報の数の平均を当該分布としたり、メッシュごとに、所定時間以上滞在したGPS対応携帯電話端末の数を当該分布としたりできる。また、メッシュごとであって、単位時間ごと(例えば1時間ごと)に、初めの滞在者数と単位時間当りに当該メッシュに入ってきた人の数を加算し、これから単位時間当りに当該メッシュから出て行った人の数を減算して、当該分布を求めるなど、種々の方式を用いることができる。
このような構成を有する検索サーバー装置1においては、ユーザーからの施設の検索要求に基づき、メッシュごとの混雑度を考慮して適切に検索エリアを設定し、この検索エリア内に位置する施設を検索対象として施設検索が行える。
[ユーザー端末装置3の構成例]
次に、ユーザー端末装置3の構成例について説明する。図1の下端側のブロック図に、ユーザー端末装置3の基本構成を示す。図1に示すユーザー端末装置3おいて、無線通信部301は、ネットワーク2を通じて受信した信号を自機が処理可能なデータに変換して取り込んだり、送信用の種々のデータをプロトコルに準拠した信号に変換してネットワーク2に送出したりする。当該無線通信部301には、送受信アンテナ301Aが接続されている。
制御部302は、ユーザー端末装置3の各部を制御するものであり、図示しないが、CPU、ROM、RAMがCPUバスを通じて接続されて構成されたコンピュータ装置である。また、制御部302は、種々のアプリケーションを実行するアプリ実行部としても機能する。記憶装置303は、記録媒体として不揮発性メモリを備え、種々のアプリケーションプログラムや種々の処理により得られたデータ等の不揮発性メモリへの書込み/記録保持/読み出し/削除を行う。
操作部304は、ユーザー端末装置3に設けられたハードウェアキーからなり、ユーザーからの操作入力を受け付けて、受け付けた情報を制御部302に供給する。なお、操作部304に設けられたハードウェアキーは例えば電源のオン/オフキーや基本機能を実行するための幾つかのファンクションキー等である。時間制御部305は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を管理する。また、GPS部306およびGPSアンテナ306Aは、自機の現在位置を測位するものである。
表示部307は、種々の画像データや映像データの供給を受けて、これを映像信号に変換し、当該映像信号に応じた画像や映像を自己の表示画面に表示する。また、表示部307の表示画面に貼付されたタッチパネル308は、表示画面に表示される情報と共に、いわゆるソフトウェアキーを構成する。したがって、制御部302は、タッチパネル308からのユーザーの指示位置を示す情報と当該指示位置に対応する表示部307の表示画面上に表示された情報とに基づいて、ユーザーからの指示入力が認識できるようになっている。
要求形成部309は、制御部302の制御の下、検索基準位置や移動コストに関する情報や検索条件を含む施設の検索要求を形成し、これを無線通信部301及び送受信アンテナ301Aを通じてネットワークに送出することによって、検索サーバー装置1に送信する。ここで、検索基準位置は、GPS部306を通じて取得する現在位置や、タッチパネル308を通じて入力された指示位置(目的位置)である。
また、移動コストに関する情報は、タッチパネル308を通じて入力される、検索基準位置からの距離、検索基準位置からの移動手段に応じた移動距離、移動時間、交通費、移動手段が電車である場合の移動可能な駅の数などの情報である。また、検索条件は、タッチパネル308を通じて入力される、検索対象の施設のジャンル、予算、駐車場の有無などの検索のための種々の条件情報である。
結果出力部310は、制御部102の制御の下、検索サーバー装置1から受信した検索結果などから表示部307に表示するための表示情報を形成し、これを表示部307に供給する。これにより、検索結果が表示部307の表示画面に表示される。このように、結果出力部310は、表示部307を通じて検索結果を出力する機能を実現する。また、結果出力部310は、施設の詳細情報や地図情報の提供を受けた場合に、表示部307を通じて出力する機能をも実現する。
なお、上述したように、この実施の形態のユーザー端末装置3は、高機能携帯電話端末である。しかし、図1のユーザー端末装置3においては、施設検索処理等に直接的に関係のない、通話機能を実現するための通話処理部や送話器、受話器等の構成部分、自機の姿勢や向き等を検出するセンサ部、着信音や警告音を放音したり、音声メッセージを放音したりする音声出力部及びスピーカ等の各部分については記載を省略している。
このような構成のユーザー端末装置3は、詳しくは後述するが、ユーザーからの指示入力に応じて、施設の検索要求を形成して検索サーバー装置1に送信し、検索サーバー装置1からの施設検索結果の提供を受けて、これをユーザーに提示する。また、ユーザー端末装置3は、施設の詳細情報や地図情報の提供を検索サーバー装置1から受けた場合には、これをユーザーに提供する機能をも実現する。
[施設検索装置において実行される施設検索処理]
次に、上述したように検索サーバー装置1とユーザー端末装置3とからなる施設検索装置において行われる施設検索処理の詳細について説明する。この実施の形態の施設検索装置では、検索サーバー装置1でサーバー側の施設検索処理が行われると共に、ユーザー端末装置3で端末装置側の施設検索処理が行われる。これにより、検索サーバー装置1とユーザー端末装置3とが協働し、施設の検索処理を行って、その検索結果をユーザー端末装置3のユーザーに提供できる。以下においては、検索サーバー装置1での処理と、ユーザー端末装置3での処理とに分けて説明する。
[ユーザー端末装置3での施設検索処理]
まず、施設検索処理の開始の契機となるユーザーからの指示入力を受け付ける処理を含むユーザー端末装置3側の施設検索処理について説明する。図3、図4は、ユーザー端末装置3で実行される施設検索処理を説明するためのフローチャートであり、図5は、ユーザー端末装置3で当該施設検索処理において用いられる入力画面の一例を説明するための図である。
図3、図4に示す処理は、ユーザー端末装置3において、表示部307に表示される所定のメニューから例えば「施設検索」などという目的とする施設の検索処理を実行するための項目が選択された場合に制御部302により実行される。図3、図4に示す処理が実行されると、まず、制御部302は、記憶装置303などに記憶保持している所定のURL(Uniform Resource Locator)を用い、検索サーバー装置1にアクセスして、施設検索処理のための入力画面を取得する(ステップS101)。
そして、制御部302は、検索サーバー装置1から取得した施設検索のための入力画面を表示部307に表示する(ステップS102)。ステップS102で表示される施設検索のための入力画面は、例えば、図5(A)に示すように、基準位置の入力欄N1と、移動コストに関する情報の入力欄N2と、ジャンルの選択入力欄N3と、目的とする施設の電話番号、施設名、住所等の入力欄N4と、検索実行ボタンBTとが設けられたものである。
そして、制御部302は、タッチパネル308を通じて検索基準位置や移動コストに関する情報や検索条件などの必要情報の入力を受け付ける(ステップS103)。ステップS103において、基準位置の入力欄N1に対してタッチ操作が行われた場合には、現在位置の選択ボタンと基準位置入力の選択ボタンが表示される。そして、現在位置の選択ボタンがタッチされたときには、GPS部306を通じて取得する現在位置を検索基準位置として特定する。また、基準位置入力の選択ボタンがタッチされた場合には、ソフトウェアキーボードを表示し、例えば、「新宿駅西口」、「渋谷駅ハチ公前」などといように、検索基準位置とする目的とする場所の入力を行うことができるようにされる。そして、入力された場所名などにより特定される場所(位置)を検索基準位置として特定する。
また、ステップS103において、タッチパネル308を通じて移動コストに関する情報の入力欄N2に対してタッチ操作が行われたとする。この場合には、「検索基準位置からの距離」、「移動手段に応じた移動距離」、「移動手段に応じた移動時間」、「移動手段に応じた交通費」、「電車の場合の移動可能な駅の数」等のジャンルの選択項目が表示され、選択可能にされる。そして、目的とする項目欄に対してタッチ操作が行われると、更に詳細な選択項目が表示され、選択できるようにされる。
例えば、「検索基準位置からの距離」が選択された場合には、距離の入力ができるようにされ、「移動手段に応じた移動距離」が選択された場合には、移動手段と移動距離(移動することができると考えられる距離)の入力ができるようにされる。また、「移動手段に応じた移動時間」が選択された場合には、移動手段と移動時間の入力が可能にされ、「移動手段に応じた交通費」が選択された場合には、移動手段と交通費の入力ができるようにされる。また、「電車の場合の移動可能な駅の数」が選択された場合には、駅数の入力ができるようにされる。
これにより、例えば、「検索基準位置からの距離」→「500m」や「移動手段に応じた移動距離」→「タクシー」で「3km」などのように目的とする移動コストに関する情報の入力ができる。なお、ここで「入力」は、選択可能な項目から目的する項目を選択する場合と、ソフトウェアキーボードなどを通じて、目的とする情報の入力を行う場合の両方を含む。
また、ステップS103において、タッチパネル308を通じてジャンルの選択入力欄N3に対してタッチ操作が行われた場合には、例えば、「グルメ」、「レジャー・観光・スポーツ」、「ホテル・旅館」、…等のジャンルの選択項目が表示され、選択可能にされる。そして、目的とする項目欄に対してタッチ操作が行われると、更に詳細な選択項目が表示され、選択できるようにされる。このようにして、ユーザーは表示されるメニューから目的とする項目を選択して行くことで、検索条件の入力ができる。従って、例えば、「グルメ」→「とんかつ・てんぷら」などのように、目的とする検索条件の入力ができる。
また、目的とする施設の電話番号、施設名、住所をユーザーが把握している場合もある。この場合、ユーザーにより、目的とする施設の電話番号、施設名、住所等の入力欄N4に対してタッチ操作が行われると、ソフトウェアキーボードを表示部307に表示し、タッチパネル308を通じて目的とする施設の電話番号、施設名、住所の入力を受け付ける。なお、この場合、ユーザーは、移動コストに関する情報や検索条件としてジャンルの入力を行う必要はない。
そして、ステップS103の処理の後、制御部302は、要求形成部309を制御して、施設検索要求を形成し、これを無線通信部301および送受信アンテナ301Aを通じてネットワーク2に送出し、検索サーバー装置1に送信する(ステップS104)。当該検索要求は、ステップS103で受け付けた検索基準位置や移動コストに関する情報や検索条件を含み、送信元であるユーザー端末装置3の識別情報や当該要求が施設検索要求であることを示す情報などを含む。
この後、制御部302は、送受信アンテナ301A及び無線通信部301を通じて自機宛ての施設の検索結果を受信するようにし(ステップS105)、検索結果を受信したか否かを判別する(ステップS106)。ステップS106の判別処理において、検索結果を受信していないと判別したときには、ステップS105からの処理を繰り返す。また、ステップS106の判別処理において、検索結果を受信したと判別したとする。制御部302は、結果出力部310を制御して、受信した検索結果から表示部307に表示する検索結果を示す表示情報を形成し、これを表示部307に供給することによって、検索結果を表示部307に表示する(ステップS107)。
ステップS107においては、ジャンルを指示して施設の検索を行うようにした場合には、施設の検索結果として、例えば、図5(B)に示すような検索結果一覧リストが表示部307に表示される。図5(B)は、ジャンルとして、「居酒屋」を検索するようにした場合の検索結果の例である。そして、検索エリアとして、図2(A)を用いて説明したように、A駅周辺の検索エリアAR1とB駅周辺の検索エリアAR2の2つ検索エリアが設定されたとする。この場合には、図5(B)に示すように、検索された施設である居酒屋が、A駅付近なのか、B駅付近なのかが区別可能な態様で検索結果が出力される。図5(B)に示し例の場合には、上側2つの居酒屋がA駅周辺の検索エリアAR1において検索され、下側3つの居酒屋がB駅周辺の検索エリアAR2で検索されたことが示されている。
この後、制御部302は、タッチパネル308を通じて、図5(B)に示したように表示される施設の検索結果の表示画面に対する操作入力を受け付ける(ステップS108)。そして、制御部302は、図5(B)に示したように表示される検索結果の表示画面において、左下端側に設けられた「戻る」ボタンが操作されたか否かを判別する(ステップS109)。
ステップS109の判別処理において、「戻る」ボタンが操作されたと判別したときには、ステップS102からの処理を繰り返し、再度、図5(A)に示した施設検索のための入力画面を表示して、検索基準位置や移動コストに関する情報や検索条件などの入力を行うことができる。また、ステップS109の判別処理において、「戻る」ボタンは操作されていないと判別したときには、図4に示す処理に進み、制御部302は、図5(B)に示した検索結果一覧リストにおいて、項目ごとの表示欄の「詳細」ボタンS1、S2、…が選択されたか否かを判別する(ステップS110)。
ステップS110において、「詳細」ボタンが選択されたと判別したときには、制御部302は、要求形成部309、結果出力部310を制御し、詳細等表示処理を実行する(ステップS111)。このステップS111では、選択された「詳細」ボタンを含む表示エリアに表示されている施設に関する詳細情報の提供を検索サーバー装置1に要求して、これに応じて検索サーバー装置1から提供される詳細情報等を表示する詳細情報等表示処理を行う。そして、ステップS111の詳細情報等表示処理が終了すると、図3に示したステップS107からの処理を行う。これにより、図5(B)に示した検索結果一覧リストの表示に戻り、他の施設についての詳細情報を表示して見ることができる状態に戻る。
なお、ステップS111の詳細情報等表示処理においては、施設の詳細情報が表示されている場合に、当該施設周辺の地図情報や検索基準位置から当該施設までのルートの表示指示を受け付けることもできる。この場合には、当該詳細情報が表示された施設周辺の地図やルートを示す地図の提供を検索サーバー装置1に要求して、これに応じて検索サーバー装置1から提供される地図情報を受信して表示する処理が行われる。
また、ステップS110において、「詳細」ボタンは選択されていないと判別した時には、制御部302は、図5(B)に示したように表示される検索結果の表示画面において、右下端側に設けられた「終了」ボタンが操作されたか否かを判別する(ステップS112)。ステップS112において、終了ボタンは操作されていないと判別したときには、操作に応じた処理、例えば、検索結果リストのスクロール処理などが行われる(ステップS113)。ステップS113の処理の後において、制御部302は、図3に示したステップS108からの処理を繰り返す。
また、ステップS112において、終了ボタンが操作されたと判別したときには、所定の終了処理を実行し(ステップS114)、この図3、図4に示す処理を終了する。なお、ステップS114で行われる所定の終了処理は、施設の検索処理の終了要求を検索サーバー装置1に送信したり、表示中の検索結果一覧リストを消去し、図3、図4に示した施設検索処理の実行前の表示画面に戻したりする処理などを含む。
なお、この実施の形態において、目的とする施設の電話番号、施設名、住所を入力して施設の検索処理を行った場合にも、図5(B)に示した態様で検索結果を出力し、詳細情報や地図情報の表示を行うことができる。例えば、施設名に基づいて検索を施設の検索を行った場合、目的とする施設がチェーン店などの場合には、同じ施設名の複数の施設が検索できる場合もあるためである。
このように、この実施の形態のユーザー端末装置3は、図3、図4に示した処理を実行することにより、検索サーバー装置1に対して検索要求等を送信し、これに応じて検索サーバー装置から提供される検索結果等を受信して出力することができる。これにより、ユーザー端末装置3の利用者であるユーザーが、ユーザー端末装置3を通じて、検索結果等を利用できる。
[検索サーバー装置1での施設検索処理]
次に、ユーザー端末装置3からの要求に応じて施設検索を行う検索サーバー装置1側の施設検索処理について説明する。図5(A)を用いて説明したように、この実施の形態のユーザー端末装置3からは、目的とする施設の電話番号、施設名、住所を用いてピンポイントで施設検索を行うこともできる。しかし、この実施の形態の施設検索装置においては、特に検索エリアの設定の仕方に特徴がある。このため、以下においては、ユーザー端末装置3から検索基準位置と移動コストに関する情報とジャンルなどの検索条件を含む検索要求に応じて、施設の検索処理を行う場合について説明する。
図6、図7は、検索サーバー装置1で実行される施設検索処理を説明するためのフローチャートである。この図6、図7に示す処理は、検索サーバー装置1の制御部102において常時実行されている。そして、制御部102は、ユーザー端末装置3からのアクセスを通信I/F101を通じて受信したか否かを常時監視しており(ステップS201)、自機へのアクセスを受信するまでステップS201の判別処理が繰り返される。
ステップS201の判別処理において、自機へのアクセスを受信したと判別したときには、制御部102は、図5(A)に示した態様の入力画面をアクセス要求元のユーザー端末装置3に提供する(ステップS202)。そして、制御部102は、通信I/F101を通じてアクセス元のユーザー端末装置3からの検索要求を受信するようにし(ステップS203)、検索要求を受信したか否かを判別する(ステップS204)。ステップS204の判別処理で、検索要求を受信していないと判別したときには、制御部102は、ステップS203からの処理を繰り返す。
ステップS204の判別処理で、アクセス元のユーザー端末装置3からの検索要求を受信したと判別したとする。この場合、制御部102は、受信した検索要求から検索基準位置、移動コストに関する情報、検索条件を抽出する(ステップS205)。そして、制御部102は、検索基準位置と移動コストに関する情報とをコスト対応エリア特定部111に供給し、コスト対応エリア特定部111がユーザー端末装置3のユーザーが移動可能なエリアを特定する(ステップS206)。
そして、制御部102は、コスト混雑度対応検索エリア設定部112を制御して、ステップS206で特定したユーザーが移動可能なエリア内に、混雑度に応じた1以上の検索エリアを設定する(ステップS207)。ステップS207において、コスト混雑度対応検索エリア設定部112は、制御部102の制御の下、ステップS206で特定されたユーザーが移動可能な範囲内において、混雑度の高いメッシュが連続する1以上のエリアを検索エリアとして設定する。混雑度の高いメッシュか否かは混雑度データファイル106のデータにより把握可能である。
この場合、コスト混雑度対応検索エリア設定部112は、混雑度データファイル106のユーザーが移動可能なエリア内に位置するメッシュの混雑度を参照し、混雑度の高い連続するメッシュからなるエリアを、検索エリアとして設定する。また、コスト混雑度対応検索エリア設定部112は、例えば、検索基準位置を含むメッシュの混雑度に基づいて、混雑度の下限値を定め、当該下限値よりも混雑度の低いメッシュは検索対象に含めないようにできる。例えば、検索基準位置を含むメッシュの混雑度が5000人以上であるとすると、下限値を2000人以上、あるいは、3000人以上などというように設定できる。そして、コスト混雑度対応検索エリア設定部112は、図2(A)を用いて説明したように、ユーザーの移動が可能な範囲内において、混雑度の高い連続するメッシュからなる1つ以上のエリアを検索エリアAR1、AR2、…として設定する。
次に、制御部102は、ステップS205で抽出した検索条件を施設検索処理部113に供給し、当該検索条件に合致する施設を、ステップS207で設定した1以上の検索エリアのそれぞれで検索するように施設検索処理部113を制御する(ステップS208)。このステップS208の処理により、施設検索処理部113が、地図DB104の情報を参照し、1以上の検索エリア(図2(A)に示した例の場合には検索エリアAR1、AR2)内の施設を検索条件に従って検索する処理を行う。
そして、制御部102は、ステップS208の検索処理により得られた検索結果を、通信I/F101を通じてネットワーク2に送出し、検索要求元のユーザー端末装置3に送信する(ステップS209)。この後、制御部102は、図7に示す処理に移り、検索結果を送信したユーザー端末装置3からの要求を通信I/F101を通じて受信する(ステップS210)。
そして、制御部102は、検索結果を提供したユーザー端末装置3からの要求を受信したか否かを判別し(ステップS211)、受信していないと判別したときには、ステップS210からの処理を繰り返す。当該繰り返しの処理により、ユーザー端末装置3からの要求の受信待ちとなる。また、ステップS211の判別処理により、検索結果を提供したユーザー端末装置3からの要求を受信したと判別したとする。この場合、制御部102は、受信した要求は、当該ユーザー端末装置3において「戻る」ボタンが操作されたことによる処理を戻らせる要求か否かを判別する(ステップS212)。
ステップS212の判別処理において、受信した要求は処理を戻らせる要求であると判別したときには、制御部102は、図6に示したステップS203からの処理を繰り返す。また、受信した要求は処理を戻らせる要求ではないと判別したときには、制御部102は、受信した要求は、指示された施設の詳細情報の提供要求が否かを判別する(ステップS213)。
ステップS213の判別処理において、受信した要求が指示された施設の詳細情報の提供要求であると判別したとする。この場合、制御部102は、指示された施設の詳細情報を地図DB104から取得して要求元に提供したり、指示された施設についての地図情報を地図DB104から取得して要求元に提供したりする処理を実行する(ステップS214)。ステップS214の処理が終了すると、ステップS210からの処理が繰り替えされる。
また、ステップS213の判別処理において、受信した要求が指示された施設の詳細情報の提供要求ではないと判別したとする。この場合には、制御部102は、受信した要求は、施設の検索処理の終了要求か否かを判別する(ステップS215)。そして、ステップS215において、受信した要求は施設の検索処理の終了要求ではないと判別したときには、有効な要求ではないので、ステップS210からの処理を繰り返す。これにより、検索結果を提供したユーザー端末装置3からの要求を再度受信することができる。
また、ステップS215の判別処理において、受信した要求は施設の検索処理の終了要求であると判別したときには、要求元のユーザー端末装置3との接続を解放するなどの所定の終了処理を行って(ステップS216)、図6に示したステップS201からの処理を繰り返す。これにより、新たにユーザー端末装置からのアクセスが受け付けられる。
このように、この実施の形態の検索サーバー装置1は、図6、図7に示した処理を実行することにより、ユーザー端末装置3からの検索基準位置と検索条件を含む検索要求に応じて、まず、ユーザーが移動可能なエリアを特定する。そして、特定した移動が可能なエリアにおいて、混雑度を考慮した1つ以上の検索エリアを設定し、そのそれぞれの検索エリアにおいて、施設検索を適切に行うことができる。これにより、ユーザー端末装置3の利用者であるユーザーに対して、より適切な施設の検索結果を提供できる。
[実施の形態の効果]
この実施の形態においては、図2(A)を用いて説明したように、検索サーバー装置1が、移動コストに関する情報に応じて特定されるユーザー端末装置3のユーザーが移動可能なエリア内に1以上の検索エリアを設定する。この1つ以上の検索エリアは、混雑度データファイル106のメッシュごとの混雑度を示す情報を利用し、混雑度に応じた連続するメッシュからなるエリアを特定して設定されるものである。そして、検索サーバー装置1は、混雑度に応じて設定された1つ以上の検索エリアにおいて、検索条件に合致した施設を検索できる。
これにより、図2(B)に示した従来の一例のように、検索基準位置を中心とする所定半径の円形状のエリアを検索エリアとする場合とは大きく異なり、ユーザーが移動可能なエリア内の混雑度の高い複数の検索エリアにおいて、施設検索を行える。これにより、ユーザーの検索条件に合致した施設の検索範囲を広げ、移動可能なエリア内であれば、検索基準位置から離れていても、検索条件により合致した施設を検索できる。すなわち、より適切な検索エリアで施設検索を行い、ユーザーに対して検索条件に合致したより適切な施設をリコメンド(推薦)することができる。
[変形例など]
なお、上述した実施の形態においては、ユーザー端末装置3のユーザーによって入力される移動コストに関する情報に基づいて、ユーザーが移動可能なエリアを特定するようにした。そして、当該エリアをフレキシブルに変更できるようにすることも可能である。図8は、ユーザーが移動可能なエリアを段間的に変更できるようにするための移動コストと混雑度との関係付けのためのテーブルの例を説明するための図である。
図8に示す例は、移動手段と基準項目とにより構成される移動コストに関する情報ごとに、検索対象とする混雑度を対応付けるようにしたテーブルの例である。図8に示した例においては、例えば、移動手段が徒歩の場合であって、基準項目が時間の場合には、以下のように5つのエリアを段階的に選択して切り替えることができるようにする。すなわち、(1)徒歩により5分以内で移動可能なエリア、(2)徒歩により10分以内で移動可能なエリア、(3)徒歩により15分以内で移動可能なエリア、(4)徒歩により20分以内で移動可能なエリア、(5)徒歩により25分以内で移動可能なエリアの5つのエリアを切り替え可能にする。したがって、ユーザー端末装置3においては、移動手段と基準項目を選択すれば、後は、例えば、上矢印キーなどの所定の操作キーを操作するだけで、段階的に移動可能エリアを広げる指示を入力することができるようにされる。そして、各エリアでは、どの程度の混雑度のメッシュを検索エリアとするのかが対応付けられている。
すなわち、図8に示したテーブルにおいて、(1)徒歩により5分以内で移動可能なエリアでは、混雑度が3000人〜5000人のメッシュからなる検索エリアを探すようになっており、また、(2)徒歩により10分以内で移動可能なエリアでは、混雑度が5000人〜9000人のメッシュからなる検索エリアを探すようになっている。また、(3)徒歩により15分以内で移動可能なエリアでは、混雑度が9000人〜12000人のメッシュからなる検索エリアを探すようになっており、また、(4)徒歩により20分以内で移動可能なエリアでは、混雑度が12000人〜15000人のメッシュからなる検索エリアを探すようになっている。また、(5)徒歩により25分以内で移動可能なエリアでは、混雑度が15000人以上のメッシュからなる検索エリアを探すようになっている。
このようなテーブルを作成しておくことにより、ユーザーが移動可能なエリアが広がるにしたがって、混雑度のより高いメッシュからなる検索エリアを設定して、施設検索を行うことができる。したがって、移動コストが高くなるほど、より混雑度の高い検索エリアを探し出して検索エリアを設定し、検索条件に合致した施設を検索することができる。
なお、ここでは、移動手段が徒歩で、基準項目が時間の場合を例にして説明したが、図8における他の項目についても同様である。すなわち、移動手段が徒歩で、基準項目が距離の場合にも、距離が長くなれば移動可能なエリアはそれに応じて広がり、それに応じて混雑度の高い検索エリアを探し出すようにすることができる。また、移動手段が電車の場合には、移動可能な駅数や電車賃により移動可能なエリアを特定したり、また、移動手段がタクシーの場合には、運賃により移動可能エリアを特定したりできる。もちろん、図8には図示しなかったが、移動手段が電車やタクシーの場合にも、距離により、移動可能なエリアを特定することも可能である。また、図8には示さなかったが、移動手段として、バスや自転車やその他の交通機関などを用いるようにすることももちろん可能である。
また、図8では、移動可能なエリアが大きくなるにしたがって、検索エリアとすべきメッシュの混雑度も大きく(高く)なるようにしたが、これに限るものではない。検索基準位置がどこかによって、移動可能なエリアを広げて行っても、それに応じた混雑度のメッシュが存在せず、検索エリアを設定できない場合もある。そこで、単に移動可能エリアを段階的に広げるようにし、混雑度については、例えば下限値だけを設定しておく。このようにすれば、移動可能エリアを広げていくことにより、多くの検索エリアの設定が可能になり、ユーザーの選択の幅をより広げることができる。
また、混雑度の下限値を設定する方式も種々の方式がある。例えば、1000以上などというように固定値としてもよい。また、検索基準位置が属するメッシュの混雑度を基準にして、それよりもマイナス1000人を下限値とするなどの方法もある。その他、種々の方式や計算式を用いて、検索エリアを設定する場合に用いる混雑度の下限値を設定することができる。
また、「移動手段に応じた移動距離」や「移動手段に応じた移動時間」を用いる場合には、ネットワークDB105のデータを用いて、ユーザーが移動可能なエリアを正確に特定できる。例えば、移動コストに関する情報として、「移動手段に応じた移動距離」が用いられる場合には、コスト対応エリア特定部111は、ネットワークDB105のネットワークデータを利用して、検索基準位置から指示された移動手段で指示された移動距離分の移動が可能な範囲を特定できる。
また、この場合、移動手段が自動車である場合には、交通情報を提供するサーバー装置からの渋滞情報をも考慮して、移動可能なエリアを特定できる。同様に、移動コストに関する情報として、「移動手段に応じた移動時間」を用いる場合にも、コスト対応エリア特定部111は、ネットワークDB105のネットワークデータを利用して、検索基準位置から指示された移動手段で指示された移動時間分で移動が可能な範囲を定できる。
また、上述した実施の形態の検索サーバー装置1では、図2(A)を用いて説明したように、所定のメッシュを単位として検索エリアを設定した。しかし、これに限るものではない。例えば、混雑度を考慮した連続するメッシュからなる基準エリアKAの周囲に所定幅のエリアを設けて、この所定幅のエリアを含む範囲を拡張した検索エリアとして設定して用いてもよい。このようにした場合には、混雑度の高いメッシュには属さないが、その近傍に位置する繁盛店などを漏らさずに検索対象とすることが可能である。なお、所定幅は、メッシュの一辺の長さ以下の任意の幅とされ、具体的には、例えば、30m、50m、70mなどといった幅とされる。
また、図2(A)に示した例の場合には、4つのメッシュからなるエリアを検索エリアAR1、AR2としたが、これに限るものではない。検索エリアを構成するメッシュの数は、混雑度に応じて種々の数となる。したがって、検索エリアを構成するメッシュの数は、奇数の場合も有れば偶数の場合もあり、また、複数のメッシュからなる検索エリアの形状も混雑度に応じてどのようにメッシュが隣接するかによって、種々の形状となる。
また、上述もしたように、混雑度データファイル106は、メッシュごとに1時間ごとの混雑度を求めて保持するともに、メッシュごとの過去の混雑度を示す情報をも保持する。すなわち、混雑度データファイル106は、混雑度を統計的に保持している。このため、コスト混雑度対応検索エリア設定部112は、メッシュごとの直近の1時間分の混雑度を用いて、検索エリアを設定することができる。また、コスト混雑度対応検索エリア設定部112は、メッシュごとに過去数時間分の混雑度を用いたり、過去1日分の混雑度を用いたりして、検索エリアを設定できる。
もちろん、過去1ヶ月分、過去数ヶ月分、過去1年分などのように、比較的に長期間の混雑度を用いて、検索エリアを設定することもできる。また、例えば、過去数日分の同じ時間帯の混雑度を用いて検索エリアを設定したり、過去数週間分の検索対応曜日の混雑度から検索対応エリアを設定したりするなど、混雑度を統計情報として種々の態様で用いて検索エリアを設定できる。
また、上述した実施の形態では、基本となるメッシュの大きさを250m×250mとしたが、これに限るものではない。例えば、50m×50m、100m×100mというように、より小さなメッシュを用いるようにしてもよい。また、500m×500m、750m×750mというように、より大きなメッシュを用いるようにしてもよい。また、メッシュの形状も正方形に限るものではない。地図上を緯度、経度に基づき地域をすき間なく網の目(Mesh)の区域に分けることができればよいので、メッシュの形状は、長方形でもよいし、その他の多角形の形状でもよい。
また、上述した実施の形態では、検索サーバー装置1とユーザー端末装置3とから施設検索装置が構成される場合を例にして説明したが、これに限るものではない。ユーザー端末装置3に、地図DB104、混雑度データファイル106、コスト対応エリア特定部111、コスト混雑度対応検索エリア設定部112、施設検索処理部113などの関係する機能を設けることにより、いわゆるスタンドアロンの施設検索装置を構成することもできる。
また、地図DB104や混雑度データファイル106は、ネットワーク2上の所定のサーバー装置に設けられているものを用い、ユーザー端末装置3にコスト対応エリア特定部111、コスト混雑度対応検索エリア設定部112、施設検索処理部113などの処理機能を設ける。このようにしても施設検索装置を構成できる。すなわち、図1を用いて説明した検索サーバー装置1が備える機能の一部あるいは全部をユーザー端末装置3が備えるように構成することができる。
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、施設検索装置の地図データベース、混雑度情報記憶手段の機能は、検索サーバー装置1の地図DB104、混雑度データファイル106が実現している。また、施設検索装置の基準位置取得手段の機能は、ユーザー端末装置3のGPS部306、タッチパネル308、無線通信部301、及び検索サーバー装置1の通信I/F101、制御部102が協働して実現している。
また、施設検索装置の移動コスト受付手段、検索条件受付手段の機能は、ユーザー端末装置3のタッチパネル308、要求形成部309、無線通信部301、及び検索サーバー装置1の通信I/F101、制御部102が協働して実現している。また、施設検索装置の特定手段、エリア設定手段、施設検索手段の機能は、検索サーバー装置1のコスト対応エリア特定部111、コスト混雑度対応検索エリア設定部112、施設検索処理部113が実現している。
また、施設検索装置の出力手段の機能は、検索サーバー装置1の通信I/F101、制御部102及びユーザー端末装置3の無線通信部301、制御部302、結果出力部310、表示部307が協働して実現している。
また、図3、図4及び図6、図7に示した処理を行なう方法が、この発明の施設検索方法に対応している。また、図3、図4に示した処理を行なうプログラムを形成し、ネットワーク上のサーバー装置に実行可能なように搭載する。また、図6、図7に示した処理を行なうプログラムを形成し、携帯電話端末、高機能携帯電話端末、通信機能を備えたタブレットPCなどのユーザー端末装置に実行可能なように搭載する。このようにすることによって、当該プログラムが搭載されたサーバー装置とユーザー端末装置とで、この発明の施設検索装置を実現できる。
また、図3、図4及び図6、図7に示した処理の内、情報の送受信を行う処理以外の処理を実行するプログラムを形成し、地図DBや混雑度データファイルを備えた情報処理装置に実行可能なように搭載することにより、いわゆるスタンドアロン型の施設検索装置を実現できる。
したがって、図1に示した検索サーバー装置1のコスト対応エリア特定部111、コスト混雑度対応検索エリア設定部112、施設検索処理部113、詳細情報提供部121、地図情報提供部122、混雑度集計部123の各機能は、制御部102で実行されるソフトウェアにより、制御部102の機能として実現することもできる。また、図1に示したユーザー端末装置3の要求形成部309、結果出力部310の各機能は、制御部302で実行されるソフトウェアにより、制御部302の機能として実現することもできる。