JP6099936B2 - 下半身用衣類 - Google Patents
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Description
現在市販されているほとんどのストッキングは、ナイロン糸、または、ナイロン糸とポリウレタン糸とで編まれている。使用している糸により、「交編」および「ゾッキ」の2種類に大別される。
ゾッキ(ゾッキ編み)は、一般的にはサポート糸(ポリウレタン糸にナイロン糸を巻き付けたカバリング糸)だけで編成されているものが多い。良好なフィット性を求めるときに好適である。また、いわゆる伝線(使用中に編み組織の一部に引掛傷ができ糸が切れると生成される編組織が解編されたはしご状の線)が発生しにくいという特徴を備えたゾッキ編みのストッキングが、最近では増えてきている。
いのが当業者の常識であった。本出願人は、このような常識を覆すべく鋭意開発を進め、トレードオフの関係である透明感と伝線しにくさとを併せ持つ画期的なストッキング(下半身用衣類)を実現するに至った。
すなわち、本発明に係る下半身用衣類は、第1の編糸および第2の編糸を含んで編成した下半身用衣類であって、前記第1の編糸は、ウレタン系弾性糸の芯糸に非弾性糸の捲糸を巻着させたカバリング糸であって、前記第2の編糸は、ウレタン系弾性糸のベア糸であることを特徴とする。
さらに好ましくは、前記ウレタン系弾性糸は、熱融着性ポリウレタン糸で構成することができる。
さらに好ましくは、前記ウレタン系弾性糸は、熱合着性ポリウレタン糸で構成することができる。
[下半身用衣類]
図1に、本実施の形態に係るパンティストッキング1の概略正面図を示す。このパンティストッキング1は、腹部および臀部を被覆するパンティ部3と、脚を被覆するレッグ部2とを備えるものである。このパンティストッキング1は、筒状に編成された1対の編地を用い、パンティ部3に相当する部分に切れ目を入れて裁断縁どうしをつき合わせて股部4を縫着して一体化することにより製造される。また、足部の爪先部は周知の手段により、袋状に縫着することにより製造される。このような製造工程の最終工程において、熱セット(湿熱セット)が行われる。
ットしたり、熱合着糸どうしの接触部において繊維どうしが合着して離れ難くなるようにセットしたりすることにより、簡単に伝線することを防止することを目的とする。この熱セットは、熱融着糸または熱合着糸に対応した所望の条件(温度、時間等)で行われる。
[編地]
本実施の形態に係るパンティストッキング1を構成する編地は、図2に示すカバリング糸(SCY:Single Covered Yarn)5(51)を第1の編糸として用いて、かつ、ウレタン系弾性糸のベア糸(裸糸)を第2の編糸として用いて、編み組織として図3に示すように平編ループ8で編成された伸縮性平編地で構成される。後述するように、第1の編糸として、ウレタン系弾性糸(ポリウレタン弾性糸6(61))の芯糸に非弾性糸(ナイロン糸7(71))の捲糸を巻着させたカバリング糸51を用いて、第2の編糸として、ウレタン系弾性糸のベア糸(後述するポリウレタン弾性ベア糸62)を用いたという特徴を有する編地であれば特に制限されるものではなく、平編地、ゴム編地、パール編地等の編地を好適に用いることができ、その変化組織として、タック編、浮編、パイル編、レース編とすることもできる。また、図3においてはナイロン糸71をモノフィラメントとして表しているが、後述するように、ナイロン糸71はマルチフィラメントであっても構わない。
図3に示すように、平編ループ8は、ウレタン系弾性糸であるポリウレタン弾性糸61を芯糸として、非弾性糸であるナイロン糸71を捲糸として巻き付けた、第1の編糸であるカバリング糸51(芯糸がポリウレタン弾性糸61で捲糸がナイロン糸71)および第2の編糸であるポリウレタン弾性ベア糸62の2種類で編成するという、新たな概念の交編編みで編成されている。なお、上述したように、ゾッキ編みとは編糸の構成が1種類のサポート糸(同じポリウレタン糸に同じナイロン糸を同じように(同じドラフト率で単位長さあたり同じ巻き数で)巻き付けたカバリング糸)だけで編成するものであるため、このように編糸の構成が異なる第1の編糸(カバリング糸51)および第2の編糸(ポリウレタン弾性ベア糸62)を用いた平編ループ8は、ゾッキ編みに対して新たな概念の交編編みと記載している。
以下において、第1の編糸であるカバリング糸51および第2の編糸を構成するウレタン系弾性糸(ポリウレタン弾性糸61、ポリウレタン弾性ベア糸62)および非弾性糸(ナイロン糸71)について詳しく説明する。
カバリング糸51の芯糸およびポリウレタン弾性ベア糸62を構成するウレタン系弾性糸としては、熱処理(特に湿熱処理)によりこの糸どうしが離れがたくなる繊維であれば限定されるものではなく、熱融着するウレタン系弾性糸であっても、特許文献1に開示された熱合着するウレタン系弾性糸であっても構わない。ここでは、ウレタン系弾性糸として、熱セット性、伸度および耐久性の面からより好ましい、熱融着性のポリウレタン弾性糸61、熱融着性のポリウレタン弾性ベア糸62とする。
を持つエーテルタイプであってもエステル結合を持つエステルタイプであっても構わない。その繊度は、パワー(緊縛力)が強すぎることなく最適なパワーとなる範囲のものであれば特に限定されない。
なお、このポリウレタン弾性糸61、ポリウレタン弾性ベア糸62のフィラメント数はモノフィラメントおよびマルチフィラメントのいずれでもよく、さらに、このポリウレタン弾性糸61、ポリウレタン弾性ベア糸62の繊度およびフィラメント数は、(最適なパワーとなる範囲のものであれば)特に限定されるもでのはなく、通常パンティストッキングに用いられる繊度であれば構わない。
後述するように、ウレタン系弾性糸としてポリウレタン弾性ベア糸62を用いて、本発明の特徴的な構成(カバリング糸51とポリウレタン弾性ベア糸62とで編成された構成)することにより、パンティストッキング1に透明感(タイツの場合には透け感)を与えつつ伝線を防止することができる。
上述したように、第1の編糸として用いられるカバリング糸51は、パンティストッキング用の通常のSCYであって、第2の編糸として用いられるポリウレタン弾性ベア糸62は、ポリウレタン弾性糸のベア糸(裸糸)であることを特徴とする。
[編地の詳細構造および作用効果]
以上のようなカバリング糸51およびポリウレタン弾性ベア糸62により編成された平編地の構造および作用効果について、図3を参照して説明する。
糸9も、ナイロン糸71と同じ構成であっても異なる構成であっても構わない。
図3に示すように、本実施の形態に係るパンティストッキング1の編地において、カバリング糸51は、芯糸であるポリウレタン弾性糸61に捲糸であるナイロン糸71が巻着した状態をほぼ維持している(ただし、ポリウレタン弾性糸どうしの接点ではポリウレタン弾性糸にはナイロン糸が巻着されているがポリウレタン弾性糸どうしが熱融着している)。それに対して、ポリウレタン弾性ベア糸62は、ナイロン糸との交絡糸でもなく、ナイロン糸が巻着されたカバリング糸でもない。すなわち、ポリウレタン弾性ベア糸62は、ポリウレタン弾性糸にナイロン糸が巻着されているものではなく、また、ポリウレタン弾性糸とナイロン糸との交絡糸でもなく絡み合わせられておらず、ポリウレタン弾性糸のベア糸(裸糸)である。このように第2の編糸には、ナイロン糸が存在しない。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 レッグ部
3 パンティ部
4 股部
5、51 カバリング糸
6、61 ポリウレタン弾性糸
62 ポリウレタン弾性ベア糸
7、71 (カバリング糸を構成する)ナイロン糸
8 平編ループ
9 (交編編み用の)ナイロン糸
91 ナイロン単糸
Claims (3)
- 第1の編糸および第2の編糸を含んで編成した下半身用衣類であって、
前記第1の編糸は、ウレタン系弾性糸の芯糸に非弾性糸の捲糸を巻着させたカバリング糸であって、
前記第2の編糸は、ウレタン系弾性糸のベア糸であり、
前記ウレタン系弾性糸は熱融着性ポリウレタン糸であって、前記非弾性糸はナイロン糸であり、
前記第1の編糸と前記第2の編糸とを交互に用いて編成された前記下半身用衣類の編地において、前記第2の編糸により編成された編目の空間がナイロン糸を含まないことにより埋められておらず、前記交互に用いられた第1の編糸と前記第2の編糸との接触部において前記第1の編糸の熱融着性ポリウレタン糸と前記第2の編糸の熱融着性ポリウレタン糸とが熱融着していることを特徴とする下半身用衣類。 - 第1の編糸および第2の編糸を含んで編成した下半身用衣類であって、
前記第1の編糸は、ウレタン系弾性糸の芯糸に非弾性糸の捲糸を巻着させたカバリング糸であって、
前記第2の編糸は、ウレタン系弾性糸のベア糸であり、
前記ウレタン系弾性糸は熱合着性ポリウレタン糸であって、前記非弾性糸はナイロン糸であり、
前記第1の編糸と前記第2の編糸とを交互に用いて編成された前記下半身用衣類の編地において、前記第2の編糸により編成された編目の空間がナイロン糸を含まないことにより埋められておらず、前記交互に用いられた第1の編糸と前記第2の編糸との接触部において前記第1の編糸の熱合着性ポリウレタン糸と前記第2の編糸の熱合着性ポリウレタン糸とが熱合着していることを特徴とする下半身用衣類。 - 前記下半身用衣類は、ストッキング、パンティストッキング、タイツおよび靴下のいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の下半身用衣類。
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