JP6099249B2 - 呼気ガス分析装置 - Google Patents
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Description
呼気ガス分析装置には、呼吸代謝に関する指標を求める呼吸代謝測定装置や、肺の洗い出し検査等をおこなう肺機能検査装置、ピロリ菌の存在を検査するピロリ菌検査装置等、各種のものがある。本発明はこれらすべての呼気ガス分析装置に関するものである。
ここでは呼吸代謝測定用の呼気ガス分析装置を例にして説明するが、これ以外の呼気ガス分析装置についても同様である。
呼吸代謝測定用の呼気ガス分析では測定ガスは酸素ガスと炭酸ガスであり、このためガス分析計25として酸素ガス分析計と炭酸ガス分析計を備える(酸素ガス又は炭酸ガスの一方のみを測定するものもある)。目的によっては酸素ガスと炭酸ガス以外のガスを追加して測定することもある。
気量(体積)は、流量をある期間に積分して求めることができる。例えば、1回の吸気時にわたって流量を積分すると、1回吸気量(1回の吸気で肺に吸い込む空気の量)を得ることができる。同様に、1回呼気量や、分時(1分間当たりの)吸気量、分時呼気量などを求めることができる。
呼気と吸気の酸素ガス量を比較すると、呼吸代謝データを得ることができる。例えば、1回の呼吸時の呼気と吸気の酸素ガス量を比較すると1回の呼吸で体内に摂取される酸素の量(1回呼吸時酸素ガス摂取量)を求めることができる。同様に、呼気と吸気の炭酸ガス量を比較すると、1回の呼吸で体外に排泄される炭酸ガスの量(1回呼吸時炭酸ガス排泄量)や、分時酸素ガス摂取量、分時炭酸ガス排泄量などを求めることができる。
つまり、図2(C)に示す時刻tの呼吸流量データと、時刻t+tdのガス濃度データを組み合わせて、測定ガスの量を評価する必要がある。
この問題を解決するため、制御部23を制御して、サンプリング回路24の内部を通過するサンプルガスの流れが一定流量になるようにする定流量サンプリング技術が開示されている(例えば特許文献1など)。図3は特許文献1の実施例である。
特許文献1等の定流量サンプリング方式では、定流量であるため、サンプルガスの状態と測定環境(気圧や温度、湿度等)が変化しないなら、輸送時間tdが一定に維持される。
しかし、呼吸気ガス(サンプルガス)の状態は変化するため、サンプルガスの体積が変化し、ガスの密度が変化する。ガス密度が変化すると、定流量サンプリング方式では、図2(D)のように、輸送速度が変化して輸送時間tdが変化し、正確な呼気ガス分析ができなくなる。
本発明は、このような課題を解決し、より正確な呼気ガス分析をおこなうことのできる呼気ガス分析装置を提供することを目的とする。
呼吸気の流量を測定する呼吸流量センサと、
サンプルガスに含まれる測定対象ガスのガス濃度を分析するガス分析計と、
呼吸気の一部をサンプルガスとして前記ガス分析計に導入するサンプリング回路と、
前記サンプリング回路の内部の前記サンプルガスを輸送するガス輸送部と、
速度制御が可能なモータを用い単位時間に一定容積を排気するポンプと、
前記ポンプの前記モータを位相同期ループ制御するPLL制御手段と、
前記サンプリング回路の中を輸送される前記サンプルガスの輸送速度を所定の一定速度v0になるように前記ガス輸送部を制御する定輸送速度制御手段と、
測定環境の温度と湿度と気圧を含む環境状態を測定する環境状態測定部と、
前記環境状態測定部で測定した環境状態に応じて前記ガス輸送部を制御して前記サンプルガスの輸送速度を所定の一定速度v0になるように補正する環境状態補正手段と
を設けた呼気ガス分析装置とした。
また、測定環境の状態が変化しても、輸送時間tdは変動が無く正確であり、呼吸気の流量とガス濃度のデータを正確に同期させて評価することができる。
また、輸送時間tdが正確であるため、時刻tに流量と、時刻tから時間tdだけ遅れて測定されるガス濃度を用いて求めるガス量も正確になり、流量を積分して得られる吸気量や、吸気気中の酸素ガス量や酸素ガス量、これらから計算される酸素摂取量や炭酸ガス排泄量などの呼吸代謝データを、正確に求めることができる。
装置は、図1(A)に示すように、センサ部1と、呼吸流量計センサ2、制御部3、サンプリング回路4、ガス分析計5、ガス輸送部6を有する。
呼吸代謝測定用の呼気ガス分析では測定ガスは酸素ガスと炭酸ガスであり、このためガス分析計5として酸素ガス分析計と炭酸ガス分析計を備える(酸素ガス又は炭酸ガスの一方のみを測定し、他方のガス濃度は研鑽によって求めてもよい)。目的によっては酸素ガスと炭酸ガス以外のガスを追加して測定することもある。
また、流量に関する各種データから気量(体積)に関する各種データを算出する。気量(体積)は、流量をある期間に積分して求めることができる。例えば、1回の吸気時にわたって流量を積分すると、1回吸気量(1回の吸気で肺に吸い込む空気の量)を得ることができる。同様に、1回呼気量や、分時(1分間当たりの)吸気量、分時呼気量などを求めることができる。
しかし、従来は、前述のように、例えばサンプリング回路4内のサンプルガスを定流量サンプリング方式でサンプルガスを輸送するように制御しても、サンプルガスのガス状態と測定環境(大気の気温や気圧、湿度など)の状態が変化すると、図2(D)のように、サンプルガスのガス密度が変化して、輸送時間tdが変化する。このため、呼吸流量データとガス分析データの同期がとれなくなり、誤ったガス量を求めることになる。
呼吸気の流量を測定する呼吸流量測定手段と、
サンプルガスに含まれる測定対象ガスのガス濃度を分析するガス分析手段と、
呼吸気の一部をサンプルガスとして前記ガス分析計に導入するサンプリング手段と、
前記サンプリング回路の内部の前記サンプルガスを輸送するガス輸送手段と、
前記サンプリング手段の中を輸送されるサンプルガスの輸送速度が所定の一定速度v0になるように前記ガス輸送部を制御する定輸送速度制御手段と、
を設けた呼気ガス分析装置とした。
ガス輸送手段に、単位時間当たりに一定容積を排気する、速度制御が可能なモータを用いたポンプを用い、
定輸送速度制御手段に、前記モータを位相同期ループ制御を行うPLL制御手段を用いて、
サンプリング手段の中を輸送されるサンプルガスの輸送速度が所定の一定速度v0になるように制御するようにした。
単位時間当たりに一定容積を排気する、速度制御が可能なモータを用いたポンプとして、例えばロータリーがある。このようなポンプを用いればよい。
PLL制御の基本的なブロック図を図1(C)に示す。図のfiは基準信号、f0は出力信号、11は位相比較器で、12はループ(ロ-パス)フィルタ(LPF)、13は電圧制御発振器(VOC)であり、基準信号に一致した周波数の信号を正確に出力することができる公知の技術である。モータ制御では、この図の電圧制御発振器13をモータとエンコーダに置き換えれば、モータのPLL制御をおこなうことが知られている。また、この一部をソフトウェアで実現することも知られている。
このようにして、モータのPLL制御をおこなうことができる。
これを補正して、測定環境の状態が変動しても、サンプルガスの輸送速度を所定の一定速度v0に維持し、輸送時間tdを一定に維持して、呼気ガス分析を正確におこなうようにするのが、本発明である。
測定環境の温度と湿度と気圧を含む測定環境状態を測定する環境状態測定部と、
前記環境状態測定部で測定した環境状態に応じて前記ガス輸送部を制御してサンプルガスの輸送速度が所定の一定速度v0になるように補正する環境状態補正手段と
を設けた。
つまり、図1(A)のように、環境状態測定部7を設けている。
環境状態補正手段は以下のとおりである。つまり、
予め、環境状態とサンプリング回路4の容積の関係を求めておき、
呼気ガス分析検査時に、環境状態を環境状態測定部7で測定し、
測定した環境状態に対応するサンプリング回路4の容積変化量を勘案して 定輸送速度制御手段によるガス輸送部の制御量を補正し、測定環境の状態が変動しても、サンプルガスの輸送速度を所定の一定速度v0に維持し、輸送時間tdを一定に維持するようにする。
環境状態が変化し、サンプリング回路4の容積変化したとき、サンプリング回路4の容積変化量に応じて、定輸送速度制御手段によるガス輸送部の制御を補正し、サンプルガスの輸送速度を所定の一定速度v0に維持し、輸送時間tdを一定に維持するようにするものである。具体的には図1(C)のLPF12の出力にソフトウェアで補正をかけてポンプ6をPLL制御するようにしている。
測定の前に、図2(A)と同様、被検者Mにマスク28を装着させ、マスク28にセンサ部1を接続する。続いて、被検者Mの年齢や身長等のIDデータを入力する。
測定を開始すると、被検者Mの呼吸気は全て、センサ部1を通り、時刻tの呼吸流量は呼吸流量センサ2で測定されて電気信号に変換され、制御部3に転送される。
サンプルガスがサンプリング回路4を通過するのに輸送時間tdだけかかるため、時刻tの呼吸流量のガス分析データは、時刻tからtd遅れて測定される。
さらに、1回呼吸時の呼気と吸気の酸素ガス量を比較すると、1回呼吸時の酸素ガス摂取量を求めることができる。同様に、1回呼吸時の炭酸ガス排泄量や、分時酸素ガス摂取量、分時炭酸ガス排泄量などの呼吸代謝データを求めることができる。
また、本発明により、サンプリング回路の容積が変動しても、この変動を補正して、サンプルガスの輸送速度v0とサンプルガスの輸送時間tdが所定の値になるように定輸送速度制御手段でガス輸送部6を制御している。
このため、呼吸流量データとガス分析データを正確に同期させることができ、呼吸気に含まれる測定対象ガスの量や、酸素摂取量や炭酸ガス排泄量などの各種呼吸代謝データを、正確に測定することができる。
本発明では、センサ部1の圧と呼吸気ガスの状態が変動しても、また、測定環境の状態(気圧、気温、大気ガス状態等)が変化しても、常に、ポンプのモータの回転速度を一定に維持し、一定時間に一定量の排気を行うようにしている。このため、サンプリング回路の中を輸送されるサンプルガスの輸送速度が所定の一定速度v0になるように制御される。
従来の定流量サンプリング方式では、特に測定環境の変動があった場合に、これを補正する手段を有していなかったため、これよりもはるかに大きな輸送速度の変動が生じて、正確な呼気ガス分析はおこなえなかったが、本発明により、輸送時間の変動を10mSよりも小さくすることができ、正確な呼気ガス分析が可能になった。
3、23:制御部 4、24:サンプリング回路
5、25:ガス分析計 6、26:ガス輸送部
7:環境状態測定部
28:呼吸マスク M:被検者
Claims (1)
- 呼吸気の流量を測定する呼吸流量センサと、
サンプルガスに含まれる測定対象ガスのガス濃度を分析するガス分析計と、
呼吸気の一部をサンプルガスとして前記ガス分析計に導入するサンプリング回路と、
前記サンプリング回路の内部の前記サンプルガスを輸送するガス輸送部と、
速度制御が可能なモータを用い単位時間に一定容積を排気するポンプと、
前記ポンプの前記モータを位相同期ループ制御するPLL制御手段と、
前記サンプリング回路の中を輸送される前記サンプルガスの輸送速度を所定の一定速度v0になるように前記ガス輸送部を制御する定輸送速度制御手段と、
測定環境の温度と湿度と気圧を含む環境状態を測定する環境状態測定部と、
前記環境状態測定部で測定した環境状態に応じて前記ガス輸送部を制御して前記サンプルガスの輸送速度を所定の一定速度v0になるように補正する環境状態補正手段と
を設けたことを特徴とする呼気ガス分析装置。
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