JP6097122B2 - 光フリップフロップ回路 - Google Patents

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Description

本発明は、光共振器を用いた光フップフロップ回路に関する。
近年、光素子の作製技術向上により、ナノフォトニクスと呼ばれるような、サブマイクロメートルのサイズに加工された様々な光素子が実現可能になってきている。ナノフォトニクス技術の1つとして、フォトニック結晶と呼ばれる微細構造がある。特に、数百nm厚の半導体薄膜(スラブ)に周期的に円孔を形成した構造は、フォトニック結晶スラブ構造と呼ばれ、これを利用した光導波路や光共振器を基盤として、非常に微小なサイズかつ低消費パワーで動作可能な様々な光素子が実現されている。
その中でも、光フリップフロップ回路は、光記憶素子の実現の一つの目安であり、光フリップフロップ回路が実現すれば、電子回路におけるフリップフロップと同様に、スタティックRAMに相当する光素子やより高度な機能を有する光素子の実現が可能である。特に、光出力ポートを切り替えるという意味では、光フリップフロップ回路は光スイッチとしての機能も持ち合わせており、光処理における重要な素子になり得る。
これまでに報告されている光フリップフロップ回路の構成として、非特許文献1に示される光フリップフロップ回路がある。図1は、非特許文献1に示される従来の光フリップフロップ回路の構成を示す。図1に示すように、非特許文献1に示される光フリップフロップ回路は、2個のエタロン共振器1及び2と、光ファイバ3〜7によって構成される。エタロン共振器1及び2は、光双安定状態を有する素子であり、前後にGRINレンズを有している。
以下に、図1に示される従来の光フリップフロップ回路の動作を示す。光ファイバ3及び4からそれぞれエタロン共振器1及び2に供給される入力光Ain及びBinの光強度が小さいとき、エタロン共振器1及び2はともに光遮断状態であり、光ファイバ6及び7から光出力はされない。光強度の大きいパルス光がエタロン共振器1に入力されると、エタロン共振器1が光導通状態となり、光ファイバ6から光出力Aoutが出力される。このとき、エタロン共振器2は光遮断状態であるため、入力光Binはエタロン共振器2で反射され、光ファイバ5を通してエタロン共振器1に供給されており、光パルスが去っても入力光AinとBinの和によってエタロン共振器1は光導通状態を維持する。
この後、エタロン共振器2に強い光パルスが入力されると、エタロン共振器2が光導通状態となるが、このときエタロン共振器1に対する入力光Binの供給がなくなるためにエタロン共振器1は光遮断状態となり、今度は入力光Ainが光ファイバ5を通してエタロン共振器2に供給される。そのため、光パルスが去ってもエタロン共振器2は光導通状態を維持する。図1に示される従来の光フリップフロップ回路では、このような過程が繰り返されることにより、光フリップフロップ動作が実現される。
しかし、非特許文献1に示された光フリップフロップ回路は、エタロン共振器1及び2と光ファイバ3〜7で構成されるため、サイズが大きく動作速度が遅い点や、光双安定を示すエタロン共振器1及び2を光遮断状態から光導通状態に遷移させるために大きな光強度の光パルスが必要となる点が問題である。
上記の問題を解決するために、フォトニック結晶スラブのような微小構造を利用することが考えられる。しかし、ここでのエタロン共振器やファイバ部分をフォトニック結晶に置き換えた場合を考えると、光ファイバ5に相当する導波路では少なくとも1つの曲り部分が必要となるが、フォトニック結晶スラブ構造では、広帯域かつ高透過率な光の曲げ導波路を作製するのは技術的に難しい。また、同様の構成では、光遮断状態のフォトニック結晶共振器へ入射された光は同じポートへ反射されてしまうため、光ファイバ5に相当する導波路へ光が反射されるような状況を作ることは難しい。
もう1つの光フリップフロップ回路として、特許文献1に示される構成がある。図2(a)は特許文献1に示された従来の光フリップフロップ回路の構成を示し、図2(b)は、特許文献1に示された従来の光フリップフロップ回路における共振波長と入力光との関係を示す。
図2(a)には、2つの光共振器CVS及びCVRが、光Bを入力する導波路WGBに対し、共通の結合端を持つように配置された光フリップフロップ回路が示されている。図2(b)に示すように、光共振器CVRは2つの共振モードCVRH及びCVRLを有し、光共振器CVSは2つの共振モードCVSH及びCVSLを有するように光フリップフロップ回路が設計されている。
2つの共振モードCVRL及びCVSLは同一の波長を有するものとし、共通導波路WGBには常に出力信号の元となる共通の光Bを常に入力しておき、その波長は共振モードCVRLおよびCVSLのやや短波側とする。光共振器CVRに制御パルス光CRを入射すると、非線形屈折率変化によりCVRLが短波長化するため、光Bは全て光共振器CVRに入射される。その結果、光双安定現象が生じ、制御パルス光CRが終了しても光共振器CVRはオン状態を保ち、光Bは出力端QBのみから出力される。
この後、光共振器CVSに制御パルス光CSを入射すると、今度はCVSLが短波長化するが、この時、光Bは光共振器CVS及びCVRに分配されるため、光共振器CVRのオン状態は維持できなくなりオフ状態となる。その結果、光Bは全て光共振器CVSに入射され、制御パルス光CSが終了しても光共振器CVSはオン状態を保ち、光Bは出力端Qのみから出力される。このような過程が繰り返されることにより光フリップフロップ動作が実現される。この特許文献1に示される構成に関しては、前述のようなフォトニック結晶スラブ構造を用いて実現可能である。
特開2006−349951号公報
Hiroyuki Tsuda and Takashi Kurokawa, "Construction of an all-optical flip-flop by combination of two optical triodes", Applied Physics Letters, 1990年, Vol. 55, p. 1724-1726 A. Sakai, T. Fukazawa and T. Baba, "Low loss ultra-small branches in Si photonic wire waveguides", IEICE Trans Electron, 2002年, Vol. E85-C, No.4, p. 1033-1038,
しかし、特許文献1に示された光フリップフロップ回路に関しても問題点がある。このような構成では、2つの光共振器CVS及びCVRが導波路WGBに対して共通の結合端を有するように配置されている必要があり、そのために光共振器同士がかなり近接することが避けられない。このとき、両者の共振モードが光結合してしまうと、光Bを各共振器に選択的に結合させることができず、結果として両共振器ともオフ状態又は点滅状態に陥ることになる。
特許文献1に示される光フリップフロップ回路では、これを避けるために、共振器CVS及びCVRに対して、空間対称性が異なる2つの共振モードを設計している。ただし、これら2つのモードは、光Bの結合度を同一にするために、ほぼ同一の共振波長およびQ値を有する必要があり、かつ、光双安定を生じる動作パワーがほぼ同じである必要があるという制限がある。また、このような空間対称性が異なる共振モードが形成可能な共振器形状は限られており、どのような共振器でも使えるわけではない。更に、上記のように共振器同士を近接させた設計であるが故に、これ以上共振器数を増やして導波路WGBに結合させることはできない。これは、光フリップフロップ回路を光スイッチとして用いた場合、出力ポート数は2ポートが最大であることを示している。したがって、このような制限が緩和された、より簡便な共振器設計および回路設計が可能な構成が望ましい。
本発明は、上記のような課題を解決するためのものであり、共振器設計および回路設計に係る制限が緩和され、より簡便な共振器設計および回路設計が可能な構成を有する光フリップフロップ回路を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の光フリップフロップ回路は、複数の光共振器と、第1の光と、前記第1の光の波長と同じ波長を有し、前記第1の光の導波方向に対して反対の導波方向の第2の光とを前記複数の光共振器に供給するバス導波路と、前記複数の光共振器の各々に制御パルス光を入力可能な複数のドロップ導波路とを備え、前記第1の光及び前記第2の光は、前記複数の光共振器の共振波長よりも短波長もしくは長波長であり、前記複数の光共振器は、前記バス導波路外に設けられており、前記バス導波路に沿うように離間して配列されており、前記複数の光共振器のいずれかに前記制御パルス光が入力されると、前記制御パルス光を入力した光共振器に前記第1の光及び前記第2の光が結合して出力光が生成され、当該生成された出力光は、前記ドロップ導波路を介して出力されることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の光フリップフロップ回路は、本発明の請求項1に記載の光フリップフロップ回路であって、前記複数の光共振器は、フォトニック結晶を用いて構成された点欠陥共振器であり、前記バス導波路及び前記複数のドロップ導波路は、矩形導波路又はフォトニック結晶スラブ導波路からなることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の光フリップフロップ回路は、本発明の請求項1又は2に記載の光フリップフロップ回路であって、前記バス導波路は、入力光を入力する入力部と接続されており、前記入力部は、前記入力光を前記第1の光及び前記第2の光に2分岐する光分岐部と、前記光分岐部及び前記バス導波路に接続され、前記光分岐部によって分岐された前記第1の光を前記バス導波路に入力する第1の曲げ導波路と、前記光分岐部及び前記バス導波路に接続され、前記光分岐部によって分岐された前記第2の光を前記バス導波路に入力する第2の曲げ導波路とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の光フリップフロップ回路は、本発明の請求項1乃至3のいずれかに記載の光フリップフロップ回路であって、前記バス導波路は、前記第1の光を入力する第1のバス導波路部と、前記第2の光を入力する第2のバス導波路部とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の光フリップフロップ回路は、本発明の請求項1乃至3のいずれかに記載の光フリップフロップ回路であって、前記複数の光共振器は、複数の光共振器群を構成し、前記複数の光共振器群は、それぞれ、共振波長が異なることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の光フリップフロップ回路は、本発明の請求項1乃至3のいずれかに記載の光フリップフロップ回路であって、前記バス導波路は、2つの反射ミラーが形成されることによりファブリ−ペロー共振器が形成されており、前記バス導波路は、前記ファブリ−ペロー共振器を介して前記第1の光及び前記第2の光を前記複数の光共振器に供給することを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の光フリップフロップ回路は、本発明の請求項1乃至3のいずれかに記載の光フリップフロップ回路であって、前記バス導波路と前記複数の光共振器との間にリング型共振器が形成されており、前記バス導波路は、前記リング型共振器を介して前記第1の光及び前記第2の光を前記複数の光共振器に供給することを特徴とする。
本発明に係る光フリップフロップ回路によると、非特許文献1に示される構成で必要になるような光共振器の間の曲り導波路が不要であるため、フォトニック結晶スラブ構造を利用した構成が可能である。その結果、光ファイバやエタロン共振器で構成した場合に比べて低い消費パワーで動作させることができる。また、非特許文献1に示される構成をフォトニック結晶スラブ構造で構成した場合に想定される事柄として、入射されたCW光が共振器へ結合しない場合、同じポートへ反射されるという問題があったが、本発明の構成では、共振器に結合しないCW光はバス導波路を介して他方の共振器へ結合させることができるため、この問題も解決される。
一方で、特許文献1に示される構成のように空間対称性の異なる複数のモードが必要といったような特殊な共振器設計をすることなく、どのような共振器形状でも適用可能であり、設計自由度が高い。また、1つのモードのみで動作が可能である。また、2つの共振器のQ値および双安定パワーを整合させる必要があるが、両共振器の設計は同一であるため、特許文献1に示される構成のように異なるモードのそれらを整合させる場合に比べて、はるかに容易である。フォトニック結晶光共振器のような微小な素子を用いることにより、マイクロワットオーダの低消費パワーで動作させることが可能である。
非特許文献1に示された従来の光フリップフロップ回路の構成図である。 特許文献1に示された従来の光フリップフロップ回路の原理及び構成を示す図である。 本発明に係る光フリップフロップ回路における単体の光共振器の構成及び動作原理を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る光フリップフロップ回路の原理構成図である。 第1の実施形態に係る光フリップフロップ回路における2つの光共振器での双安定特性と2つの光共振器の共振波長の関係を示す。 本発明の第2の実施形態に係る光フリップフロップ回路の構成を示す図である。 図6(a)に示される光フリップフロップ回路の作製方法を示す図である。 図6(b)に示される光フリップフロップ回路の作製方法を示す図である。 本発明に係る光フリップフロップ回路に入力部を付加した構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る光フリップフロップ回路の構成を示す図である。 2つの共振器を利用する場合における、本発明の光フリップフロップ回路での動作シミュレーション結果を表す図である。 本発明に係る光フリップフロップ回路における光パケットデータのスイッチ動作を示す図である。 光共振器を3個配列させた光フリップフロップ回路を示す図である。 3つの共振器を利用する場合における、本発明の光フリップフロップ回路での動作シミュレーション結果を表す図である。 異なる3種類の共振波長を有する光共振器を3つずつ配列させたときの光フリップフロップ回路の構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る光フリップフロップ回路の構成を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る光フリップフロップ回路の構成を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る光フリップフロップ回路の他の構成を示す図である。 中間の共振器を利用した場合における、本発明の光フリップフロップ回路での動作シミュレーション結果を表す図である。
図3を用いて、本発明に係る光フリップフロップ回路における単体の光共振器の構成及び動作原理を説明する。図3(a)は本発明に係る光フリップフロップ回路における光共振器の単体の構成を示す。図3(a)には、光共振器301と、バス導波路302と、ドロップ導波路303とが示されている。図3(a)に示されるように、バス導波路302とドロップ導波路303との間に光共振器301が配置されており、共振モードを介して光結合をとることができる。
図3(b)は、共振波長とCW光(Continuous Wave:連続発振光)の出力との関係を示す。図3(b)には、バス導波路302の第1の入力端304からCW光入力を与えたときのドロップ導波路303からのCW光出力と波長の関係が示されている。キャリア非線形効果を用いた動作の場合は、図3(b)に示されるように、元の共振波長よりも短波長側にCW光の波長を設定するものとする。なお、光カー効果、熱光学効果のような別の非線形効果を用いた場合は、元の共振波長よりも長波長側にCW光の波長を設定するものとする。以下は、キャリア非線形効果を用いた場合として説明する。
図3(c)は、CW補助光がある場合とCW補助光がない場合の光入出力特性の双安定特性を示す。図3(c)に示されるような光入出力特性において、非線形光学効果により光双安定現象が観測されることを前提とする。図3(c)に示されるように、共振波長に対してCW光波長が離れている場合はCW光出力が小さく(これをオフ状態と呼ぶ)、共振波長が短波長側にシフトすることでCW光出力が大きくなっている(これをオン状態と呼ぶ)。オフ状態の光共振器301に対しては、共振波長と同じ波長を有する強い光パルスを与えることでオン状態へ遷移させることができる。
ここで、図3(a)に示すように、CW光入力と同じ波長を有するCW補助光を、バス導波路302の第1の入力端303の他端である第2の入力端305から入力することを考える。このとき、図3(c)に示されるように、CW補助光を入力することにより、CW補助光がない場合と比較して双安定領域が低パワー側にシフトする効果が得られる。すなわち、通常、このシフトされた部分のパワーの領域では、CW補助光がないCW光のみの入力に対して光共振器301は常にオフ状態であるが、図3(c)に示されるように、CW光に加えてCW補助光及び強い光パルスを組み合わせて入力することによりオン状態へ遷移させることが可能である。
図4は、本発明に係る光フリップフロップ回路400の基本的な構成を示す。図4には、一本の直線的なバス導波路402と、バス導波路402に略平行に並べて配列された第1の光共振器401及び第2の光共振器401と、第1のドロップ導波路403及び第2のドロップ導波路403とを備えた光フリップフロップ回路400が示されている。図4に示される光フリップフロップ回路400においては、第1の光共振器401及び第2の光共振器401はバス導波路402と接続されている。また、第1の光共振器401及び第2の光共振器401は、それぞれ個別の第1のドロップ導波路403及び第2のドロップ導波路403と接続されている。
このとき、第1の光共振器401及び第2の光共振器401は同一設計であり、同じ共振モードおよび共振波長を有するものとし、導波路を介さずに直接光結合が生じることのない程度に隔離されている。すなわち、同じ光共振器を並べるだけでよいため、特許文献1に示される構成のように、空間対称性が異なる2つの共振モードを有する必要がなく、設計が容易である。また、共振器形状に制限がない。また、最低限の動作に必要な共振モード数は1つでよい。
図4及び図5を用いて本発明の光フリップフロップ回路の基本的な動作原理を説明する。図4に示されるように、第1の入力CW光406と第1の入力CW光406の導波方向に対して反対の導波方向の第2の入力CW光406とを第1の光共振器401及び第2の光共振器401に供給するために、バス導波路402の第1の入力端404から第1の入力CW光406を入力し、バス導波路402の第1の入力端404の他端である第2の入力端405から第2の入力CW光406を入力する。第1の光共振器401に結合せずに透過した第1の透過CW光407は、第2の光共振器401へのCW補助光として働き、同様に、第2の光共振器401に結合せずに透過した第2の透過CW光407は、第1の光共振器401へのCW補助光として働く。
第1の入力CW光406及び第2の入力CW光406の波長は、第1の光共振器401及び第2の光共振器401の共振波長よりも少し短波長側に設定しておき、このときの第1の入力CW光406及び第2の入力CW光406が合成された光強度は、オフ状態の光共振器1つをオン状態に遷移させることはできないが、オン状態の光共振器1つをオン状態に保つことができ、第1の光共振器401及び第2の光共振器401のどちらか一方だけの強度ではオン状態を保つことができない程度の入力レベルとする。
初期状態として、第1の入力CW光406及び第2の入力CW光406の波長は、第1の光共振器401及び第2の光共振器401の共振波長よりも短波長側にあるため、第1の入力CW光406及び第2の入力CW光406はいずれの光共振器にも結合せずにバス導波路402を透過する。
ここで、第1の光共振器401に第1の制御パルス光408が入射されると、非線形屈折率変化により第1の光共振器401の共振波長が短波長化する。その結果、CW光波長が第1の光共振器401の共振波長に一致するため、第1の入力CW光406及び第2の入力CW光406の両者は第1の光共振器401に結合し始め、第1の出力CW光409が生成される。これにより、光双安定現象が生じ、第1の制御パルス光408の入射を終了しても第1の光共振器401はオン状態を維持するため、第1のドロップ導波路403より第1の出力CW光409が得られる。なお、このときの第1の透過CW光407は小さいため、第2の光共振器401はオン状態になり得ず、これにより第2の入力CW光406は第2の光共振器401に結合することなく、第2の透過CW光407として第1の光共振器401へ結合することができる。
この後、第2の光共振器401に第2の制御パルス光408が入射されると、非線形屈折率変化により今度は第2の光共振器401の共振波長が短波長化するため、第2の入力CW光406が第2の光共振器401に結合し始め、第2の出力CW光409が生成される。すると、第1の光共振器401がオン状態を維持できなくなりオフ状態となる。その結果、第1の透過CW光407が強くなり、第1の透過CW光407が第2の光共振器401に結合し始めるため、第2の制御パルス光408の入射を終了しても第2の光共振器401はオン状態を維持する。したがって、第2のドロップ導波路403より第2の出力CW光409が得られる。このような過程が繰り返されることにより光フリップフロップ動作が実現される。
このような動作は、図5に示される光双安定特性からも表すことができる。図5(a)は光フリップフロップ回路400における2つの光共振器での双安定特性を示し、図5(b)は光フリップフロップ回路400における状態Aと状態Bでの2つの光共振器の共振波長の関係を示す。
図5(a)において状態Aとして表されるように、第2の光共振器401がオフ状態のときは、第2の入力CW光406が補助光として働くため、第1の光共振器401の双安定領域は低パワー側に寄る。その結果、動作点では、第1の出力CW光409が高いオン状態となる。このとき、図5(b)に示されるように、第1の光共振器401の共振波長は短波長側にシフトしており、CW光波長に整合している。第2の光共振器401の双安定領域は動作点よりも高いパワー領域にあるため、第2の光共振器401はオン状態になれない。
一方、図5(a)において状態Bとして表されるように、第1の光共振器401がオフ状態になると、第1の入力CW光406が補助光として働くため、第2の光共振器401の双安定領域は低パワー側に寄り、オン状態となる。このときは、第2の光共振器401の共振波長が短波長側にシフトしている。以上のように、制御パルスの入力によって、状態Aと状態Bが切り替わることによって、CW光を出力するドロップ導波路が切り替えられる。
以上のような光フリップフロップ回路400に対して、図11に示すように、結合モード理論を用いて動作シミュレーションを行った。図11における光フリップフロップ回路では、フォトニック結晶光共振器の典型的なモード体積を仮定し、半導体材料としてInGaAsPを仮定した時の材料パラメータを仮定した。また、前述のように共振器中では様々な非線形光学効果が生じるが、このシミュレーションではキャリア非線形効果が生じることを仮定し、InGaAsPを用いたときの現実的な非線形パラメータを設定した。ここで、一方の光共振器から他方の光共振器へオン状態を切り替える際、制御パルスの時間幅は、少なくともキャリア寿命および光子寿命の両者よりも長くなければならない。図11に示される動作シミュレーションでは、キャリア寿命は20ps、光子寿命(共振器Q値で制限される)は約10psであり、制御パルス幅は100psと仮定した。
図11(b)及び(c)に示されるように、第1及び第2の制御パルス光408及び408をランダムな順で入力させたときの第1及び第2の出力CW光409及び409を観察すると、制御パルスが入力された側からのみCW光が出力されている様子がわかる。これは光フリップフロップの動作に他ならない。図11(d)に示されるように、出力されている側の共振器の共振波長は短波長側にシフトしており、図5で想定した動作がなされていることが確認された。
本発明に係る光フリップフロップ回路は、単純にCW光出力を切り替えるだけでなく、光パケットデータの出力導波路を切り替える光スイッチとしても機能させることができる。本発明に係る光フリップフロップ回路における光パケットデータのスイッチ動作を図12に示す。
図12においては、光パケットデータの設定波長は、オン状態での光共振器の共振波長に一致している。ここで、図12(a)に示されるように、光フリップフロップ動作をさせている最中に、光パケットデータをバス導波路のどちらか一方の側から入力させると、オン状態となっている光共振器のみに結合させることができる。そのため、図12(b)乃至(d)に示されるように、光パケットデータを所望の導波路へ出力させることができる。ここで、入力可能な光パケットデータの帯域幅は、共振器のスペクトル線幅(すなわちQ値)で制限され、上記のシミュレーションで用いた構造パラメータの場合(共振器Q値10000程度)は、20Gb/s程度の光パケットデータをスイッチングさせることが可能である。
以上のような本発明の構成により、従来技術より動作速度が速く、低消費パワーで動作する光フリップフロップ回路を実現できる。また、従来技術では空間対称性の異なる複数のモードが必要で共振器設計が複雑だったのに対し、上記のような本発明に係る光フリップフロップ回路によると、1つのモードのみで実現可能となる。
<第1の実施形態>
以下、図6を用いて本発明の第1の実施形態に係るフォトニック結晶共振器を用いて構成した光フリップフロップ回路を示す。図6(a)は、本発明の第1の実施形態に係る二次元フォトニック結晶スラブに形成した光導波路および光共振器を用いた光フリップフロップ回路の構成の平面図を示す。図6(a)に示される光フリップフロップ回路600では、バス導波路602は第1の点欠陥共振器601及び第2の点欠陥共振器601と接続され、第1の点欠陥共振器601及び第2の点欠陥共振器601はそれぞれ個別の第1のドロップ導波路603及び第2のドロップ導波路603と接続されている。
第1の実施形態に係る光フリップフロップ回路600では、最も代表的な適用例として、高屈折率媒質であるInGaAsP等からなる半導体のスラブに、三角格子状の二次元フォトニック結晶円孔配列が形成されている例を示しており、スラブ上下ならびに円孔中は低屈折率媒質(例えば空気)とし、円孔の周期をa[nm]、円孔の直径を0.5a[nm]、スラブ厚さを0.5a[nm]としている。
図6(a)では、2つの同一の光共振器として、3つの連続する円孔を除去した点欠陥共振器を示しているが、あらゆる形状の点欠陥共振器が適用可能である。共振モード同士の光結合を避けるため、第1の点欠陥共振器601及び第2の点欠陥共振器601間は少なくとも円孔1周期以上隔離するものとする。バス導波路およびドロップ導波路と共振器の間の円孔周期は1〜8列の間とする。第1の点欠陥共振器601及び第2の点欠陥共振器601内においては、光入射に対して非線形光学効果が生じるものとし、光非線形効果の種類としては、光カー効果、キャリア非線形効果、熱光学効果を含む。キャリア非線形効果を利用する場合は、CW光の波長は元々の共振波長よりも短波側に設定し、光カー効果、熱光学効果を利用する場合は、CW光の波長は元々の共振波長よりも長波側に設定するものとする。
図6(b)は、本発明の第1の実施形態に係る、バス導波路及びドロップ導波路として矩形導波路を利用し、光共振器に一次元フォトニック結晶共振器を利用した場合の光フリップフロップ回路の構成の平面図である。図6(b)に示される光フリップフロップ回路650では、矩形導波路からなるバス導波路652は、第1の点欠陥共振器651及び第2の点欠陥共振器651と接続され、第1の点欠陥共振器651及び第2の点欠陥共振器651は矩形導波路からなる個別の第1のドロップ導波路653及び第2のドロップ導波路653と接続されている。
バス導波路652、第1のドロップ導波路653及び第2のドロップ導波路653で利用される矩形導波路は、断面積500nm×500nm以下といった微小な導波路である。この場合に使用する第1の点欠陥共振器651及び第2の点欠陥共振器651としては、矩形導波路中に1列の円孔配列を形成して点欠陥を加えた、一次元フォトニック結晶共振器が適当である。このとき、共振器とバス導波路およびドロップ導波路との間隔は、0〜1μmとする。
図6(a)に示されるようなフォトニック結晶スラブを用いた光フリップフロップ回路において、導波路コアをInGaAsPとするときの作製方法を図7に示す。図7に示されるように、ステップS1で、InP基板701上に、InPバッファ層702とInGaAsP層703とを順にエピタキシャル成長させる。ステップS2で、InGaAsP層703上にSiNマスク704を堆積させ、電子ビーム描画及びドライエッチングにより円孔配列705を形成する。ステップS3で、ウェットエッチングによりInGaAs層702を部分的に除去することにより、エアブリッジ構造706を形成する。
一方で、図6(b)に示されるような矩形導波路とフォトニック結晶スラブを組み合わせた光フリップフロップ回路において、導波路コアをInGaAsPとするときの作製方法を図8に示す。図8に示されるように、ステップS1で、InP基板801上にInPバッファ層802とInGaAsP層803とを順にエピタキシャル成長させたエピタキシャル基板と、Si基板804及びSiO層805からなるSOI基板(Siを予め除去)とをボンディングにより接合させる。ステップS2で、不要なInP基板801及びInPバッファ層802をウェットエッチングにより除去する。ステップS3で、電子ビーム描画とドライエッチングにより円孔配列806及び矩形導波路を形成する。
<第2の実施形態>
図6(a)及び(b)に示される光フリップフロップ回路は、動作に必要な最小の構成であるが、第2の実施形態に係る光フリップフロップ回路はこれに加えてCW光を入力させるための矩形導波路と50:50光カップラとを付加するように構成されている。図9を用いて、本発明の第2の実施形態に係る光フリップフロップ回路の構成を説明する。
図9(a)は、本発明の第2の実施形態に係る、図4に示される光フリップフロップ回路400に入力部を付加した構成を示す。図9(a)には、図4に示される光フリップフロップ回路400と、光フリップフロップ回路400に接続された入力部911とが示されている。入力部911は、50:50光分岐部912と、第1の曲げ導波路913と第2の曲げ導波路913とを備える。
図9(a)に示される構成では、入力部911に入力されたCW光は、50:50光分岐部912によって等分に光強度が分配されて2分岐される。各分岐光は、それぞれ第1の曲げ導波路913と第2の曲げ導波路913とを介して第1の入力CW光406及び第2の入力CW光406として両サイドからバス導波路402に入力される。
図9(b)は、本発明の第2の実施形態の他の例に係る、図6(a)に示される光フリップフロップ回路600に、矩形導波路からなる入力部を付加した構成を示す。図9(b)には、図6(a)に示される光フリップフロップ回路600と、光フリップフロップ回路600に接続された入力部911とが示されている。入力部911は、50:50光分岐部912と、第1の曲げ導波路913と第2の曲げ導波路913とを備える。
図9(b)に示される構成では、矩形導波路からなる入力部911に入力されたCW光は、例えば非特許文献2で示される構造を有する50:50光分岐部によって等分に光強度が分配されて2分岐される。各分岐光は、それぞれ第1の曲げ導波路913と第2の曲げ導波路913とを介して両サイドからバス導波路602に入力される。
矩形導波路はフォトニック結晶導波路と光接続が容易であるため、図7(b)に示されるように、図6(a)で示した二次元フォトニック結晶スラブからなる光フリップフロップ回路600と入力部901とを容易に接続することができる。
図9(c)は、本発明の第2の実施形態のさらに他の例に係る、図6(b)に示される光フリップフロップ回路650に、矩形導波路からなる入力部を付加した構成を示す。図9(c)に示されるように、図6(b)で示した矩形導波路と一次元フォトニック結晶共振器からなる光フリップフロップ回路650の構成に対しても同様に、バス導波路652に入力部911をスムーズに接続することができる。
図9で示される構成において、2つの光共振器は入力部に対して左右対称な位置に配置されており、かつ、光共振器間の間隔は、両サイドから入力されるCW光の位相差Δφが2πの整数倍となるように設計されている。これにより、両サイドから入力されたCW光同士が光共振器内で相殺的干渉を起こさないようにしている。図9に示されるような構成により、CW光源を2つ用意する必要がなくなる。
<第3の実施形態>
図10を用いて、本発明の第3の実施形態に係る光フリップフロップ回路の構成を説明する。本発明の第3の実施形態に係る光フリップフロップ回路は、図10に示されるように、CW光入力用のバス導波路を2つ用いたものである。
図10(a)は、第3の実施形態に係る光フリップフロップ回路において、フォトニック結晶スラブの平面上に2本のバス導波路を形成する場合を示す。図10(a)に示される光フリップフロップ回路1000では、第1のバス導波路1002は第1の点欠陥共振器1001と接続され、第1の点欠陥共振器1001は第1のドロップ導波路1003と接続され、第2のバス導波路1002は第2の点欠陥共振器1001と接続され、第2の点欠陥共振器1001は第2のドロップ導波路1003と接続されている。図10(a)に示されるように、光フリップフロップ回路1000においては、第1のドロップ導波路1003及び第2の点欠陥共振器1001を挟むように第1のバス導波路1002及び第2のバス導波路1002を配置している。
第1及び第2の実施形態に係る光フリップフロップ回路600及び900のような構成では、完全に対称な素子が作製できれば問題ないが、偶発的な非対称性があると、2方向から入射した光が導波路上で干渉し合うことにより動作が不安定になる可能性を否定できない。図10(a)に示される光フリップフロップ回路1000のように、第1のバス導波路1002と第2のバス導波路1002とを形成してバス導波路を分離することにより、この問題を解決できる。
図10(b)は、第3の実施形態の他の例に係る光フリップフロップ回路において、バス導波路を共振器の上下に1つずつ配置した場合を示す。図10(b)に示される光フリップフロップ回路1050においては、図10(b)のXc−Xc断面を示す図10(c)に示されるように、第1の点欠陥共振器1051及び第2の点欠陥共振器1051の上下で挟み込むように、それぞれ第1のバス導波路1052及び第2のバス導波路1052が設けられている。
第1のバス導波路1052及び第2のバス導波路1052は、フォトニック結晶スラブ導波路又は図6(b)で示したような矩形導波路で構成することができるが、これに限定されない。共振器レイヤと導波路レイヤとの間は、空気またはSiOのような低屈折率の誘電体とすることができる。
<第1乃至第3の実施形態の他の例>
上記第1乃至第3の実施形態に係る光フリップフロップ回路は、光共振器数を増加させても動作可能である。図13は、光共振器を3個配列させた光フリップフロップ回路を示す。図13に示される光フリップフロップ回路1300においては、第1の光共振器1301、第2の光共振器1301及び第3の光共振器1301がバス導波路1302と接続されている。また、第1の光共振器1301、第2の光共振器1301及び第3の光共振器1301には、それぞれ個別の第1のドロップ導波路1303、第2のドロップ導波路1303及び第3のドロップ導波路1303と接続されている。第1の光共振器1301、第2の光共振器1301及び第3の光共振器1301は、バス導波路1302と略平行に配列されている。図13に示される光フリップフロップ回路1300においては、第1の光共振器1301、第2の光共振器1301及び第3の光共振器1301の構造は全て同じものとする。
図13に示される光フリップフロップ回路1300では、図4に示される光フリップフロップ回路400と同様に、第1の光共振器1301、第2の光共振器1301及び第3の光共振器1301のうちの1つにそれぞれ第1の制御パルス光1308、第2の制御パルス光1308及び第3の制御パルス光1308が入射されると、制御パルスが入射した光共振器はオン状態となり、他の光共振器はオフ状態となる。
図14は、3個の光共振器を配列した光フリップフロップ回路1300の動作シミュレーション結果を示す。図14(b)に示されるように、第1の制御パルス光1308、第2の制御パルス光1308及び第3の制御パルス光1308をランダムな順で入力させたときのそれぞれのCW光出力を観察すると、図14(c)に示されるように制御パルスが入力された側からのみCW光が出力されている様子がわかる。すなわち、光共振器2個の場合と同様の原理で3ポートの光スイッチとして機能させることができる。このような動作は、共振器数を更に増加させても可能と考えられ、バス導波路と並べて配列することにより任意の数の光共振器を利用可能とする。
更に、光フリップフロップ回路において複数の光共振器を配列した構成は、同一の共振器だけでなく、別の共振波長を有する共振器も同じバス導波路に対して配列させることができる。図15は、異なる3種類の共振波長を有する光共振器を3つずつ配列させたときの光フリップフロップ回路の構成を示す。
図15には、光共振器1501乃至1501からなる第1の光共振器群1510と、光共振器1501乃至1501からなる第2の光共振器群1510と、光共振器1501乃至1501からなる第3の光共振器群1510と、バス導波路1502と、第1のドロップ導波路1503乃至1503とを備えた光フリップフロップ回路1500が示されている。光共振器1501乃至1501はそれぞれ、バス導波路1502と並べて配列されている。
図15に示される光フリップフロップ回路1500においては、バス導波路1502に、波長λを有する入力CW光1506及び1506が両端から入力され、波長λを有する入力CW光1506及び1506が両端から入力され、波長λを有する入力CW光1506及び1506が両端から入力されている。また、バス導波路1502の一端から、波長λを有する光パケットデータ1520と、波長λを有する光パケットデータ1520と、波長λを有する光パケットデータ1520とが入力されている。
第1の光共振器群1510の光共振器1501乃至1501と、第2の光共振器群1510の光共振器1501乃至1501と、第3の光共振器群1510の光共振器1501乃至1501とは、それぞれ異なる共振波長を有する。入力CW光1506及び1506の波長λは、第1の光共振器群1510の光共振器1501乃至1501の共振波長よりも少し短波長側に設定され、入力CW光1506及び1506の波長λは、第2の光共振器群1510の光共振器1501乃至1501の共振波長よりも少し短波長側に設定され、入力CW光1506及び1506の波長λは、第3の光共振器群1510の光共振器1501乃至1501の共振波長よりも少し短波長側に設定されている。
バス導波路1502に各々の波長λ〜λの入力CW光1506および光パケットデータ1520が入力されたとき、所望の光共振器1501に制御パルス光1508を入力することにより、波長および出力導波路を選択して出力CW光1509を得ることができ、またWDMにも利用することができる。
<第4の実施形態>
図16は、本発明の第4の実施形態に係る光フリップフロップ回路の構成を示す。図16(a)に示される光フリップフロップ回路1600では、バス導波路1602に2つの反射ミラー1601及び1601を形成することにより、ファブリ−ペロー共振器1615を形成し、これに対して2つのスイッチ用の光共振器1601及び1601を結合させている。以降、区別を容易にするため、2つの光共振器をスイッチ共振器と呼ぶことにする。
図16(b)は、図16(a)に示されるファブリ−ペロー共振器1615の代わりにリング型共振器1620を形成した構成を示す。図16(b)に示される光フリップフロップ回路1650では、スイッチ共振器1601及び1601とバス導波路1602との間にリング型共振器1620が形成されている。
図16(a)に示される構成では、CW光1606を一方のみから入力させた場合であっても、ファブリ−ペロー共振器1615では右向きの光と左向きの光によって定在波が形成される。図16(b)に示される構成でも同様に、リング型共振器1620では右周りの光と左周りの光によって定在波が形成される。
これらの場合、第1の実施形態に係る光フリップフロップ回路400のような2方向から光入力した場合と等価な状況となり、同じように光スイッチとして機能させることができる。設計上の注意点の1つ目として、ファブリ−ペロー共振器1615およびリング型共振器1620における共振波長がスイッチ共振器1601及び1601の共振波長に近い必要がある。より具体的には、スイッチ共振器1601及び1601の共振波長をλpc、共振線幅をδpcとすると、ファブリ−ペロー共振器1615およびリング共振器1620の共振波長はλpc±20δpcとする。
また、設計上の注意点の2つ目として、ファブリ−ペロー共振器1615およびリング共振器1620のQ値は、スイッチ共振器1601及び1601のQ値と同じか又はそれ以下とする。これは、共振器をスイッチングした後に速やかに定在波が形成させるためと、Q値が同等以上になることによってスペクトル上でモード分裂が生じるのを防ぐためである。
<第5の実施形態>
図17は、ファブリ−ペロー共振器を利用した場合における、本発明の第5の実施形態に係る光フリップフロップ回路の構成を示す。図17(a)は、フォトニック結晶スラブを基盤とした場合の光フリップフロップ回路1700を示す。光フリップフロップ回路1700は、図6(a)に示される光フリップフロップ回路600に、反射ミラー1710及び1710を追加してファブリ−ペロー共振器1715を形成したものである。この反射ミラー1710及び1710の形成方法としては、図17(a)に示されるように、円孔を拡大する方法(例えば、周囲の円孔に対する拡大率を1〜2倍とする)、バス導波路1702上に円孔を追加する方法(例えば、円孔を1−4個とする)がある。
一方で、図17(b)は矩形導波路と一次元フォトニック結晶共振器を基盤とした場合の光フリップフロップ回路1750を示す。光フリップフロップ回路1750は、図6(a)に示される光フリップフロップ回路650に、反射ミラー1760及び1760を追加してファブリ−ペロー共振器1765を形成したものである。この反射ミラー1760及び1760の形成方法としては、図17(b)に示されるように、入力用の矩形導波路に突起、窪み、断裂を形成する方法がある。
図18は、リング共振器を利用した場合における、本発明の第5の実施形態に係る光フリップフロップ回路の構成を示す。図18(a)は、フォトニック結晶スラブを基盤とした場合の光フリップフロップ回路1800を示す。光フリップフロップ回路1800は、図6(a)に示される光フリップフロップ回路600にリング共振器1820を形成したものである。図18(b)は矩形導波路と一次元フォトニック結晶共振器を基盤とした場合の光フリップフロップ回路1850を示す。光フリップフロップ回路1850は、図6(a)に示される光フリップフロップ回路600にリング共振器1870を形成したものである。
図19は、ファブリ−ペロー共振器およびリング共振器のような中間の共振器を2個のスイッチ共振器と光結合させたときの光フリップフロップ回路の動作シミュレーション結果を示す。図19(a)に示される光フリップフロップ回路1900においては、スイッチ共振器1901及び1901とバス導波路1902との間に中間共振器1930が設けられている。
図19(b)に示されるように、第1の制御パルス光1308、第2の制御パルス光1308を順番に入力させたときのそれぞれのCW光出力を観察すると、図19(c)に示されるように、制御パルスが入力された側からのみCW光が出力されている様子がわかる。すなわち図11に示される動作シミュレーション結果と同様の結果であり、この場合も光スイッチとして機能できることを示している。このような動作は、第1の実施形態に係る光フリップフロップ回路600の場合と同様に、共振器数を更に増加させても可能と考えられる。
光共振器 301、401、1301、1501、1601、1901
バス導波路 302、402、602、652、1002、1052、1302、1502、1602、1702、1752、1802、1852、1902
ドロップ導波路 303、403、603、653、1003、1053、1303、1503、1603、1703、1753、1803、1853、1903
光フリップフロップ回路 400、600、650、1000、1050、1300、1500、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900
点欠陥共振器 601、651、1001、1051、1701、1751、1801、1851
入力部 911
50:50光分岐部 912
曲げ導波路 913
反射ミラー 1610、1710、1760
ファブリ−ペロー共振器 1615、1715、1765
リング型共振器 1620、1820、1870
中間共振器 1930

Claims (7)

  1. 複数の光共振器と、
    第1の光と、前記第1の光の波長と同じ波長を有し、前記第1の光の導波方向に対して反対の導波方向の第2の光とを前記複数の光共振器に供給するバス導波路と、
    前記複数の光共振器の各々に制御パルス光を入力可能な複数のドロップ導波路とを備え、
    前記第1の光及び前記第2の光は、前記複数の光共振器の共振波長よりも短波長もしくは長波長であり、
    前記複数の光共振器は、前記バス導波路外に設けられており、前記バス導波路に沿うように離間して配列されており、前記複数の光共振器のいずれかに前記制御パルス光が入力されると、前記制御パルス光を入力した光共振器に前記第1の光及び前記第2の光が結合して出力光が生成され、当該生成された出力光は、前記ドロップ導波路を介して出力されることを特徴とする光フリップフロップ回路。
  2. 前記複数の光共振器は、フォトニック結晶を用いて構成された点欠陥共振器であり、前記バス導波路及び前記複数のドロップ導波路は、矩形導波路又はフォトニック結晶スラブ導波路からなることを特徴とする請求項1に記載の光フリップフロップ回路。
  3. 前記バス導波路は、入力光を入力する入力部と接続されており、前記入力部は、
    前記入力光を前記第1の光及び前記第2の光に2分岐する光分岐部と、
    前記光分岐部及び前記バス導波路に接続され、前記光分岐部によって分岐された前記第1の光を前記バス導波路に入力する第1の曲げ導波路と、
    前記光分岐部及び前記バス導波路に接続され、前記光分岐部によって分岐された前記第2の光を前記バス導波路に入力する第2の曲げ導波路と
    を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光フリップフロップ回路。
  4. 前記バス導波路は、前記第1の光を入力する第1のバス導波路部と、前記第2の光を入力する第2のバス導波路部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光フリップフロップ回路。
  5. 前記複数の光共振器は、複数の光共振器群を構成し、
    前記複数の光共振器群は、それぞれ、共振波長が異なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光フリップフロップ回路。
  6. 前記バス導波路は、2つの反射ミラーが形成されることによりファブリ−ペロー共振器が形成されており、前記バス導波路は、前記ファブリ−ペロー共振器を介して前記第1の光及び前記第2の光を前記複数の光共振器に供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光フリップフロップ回路。
  7. 前記バス導波路と前記複数の光共振器との間にリング型共振器が形成されており、前記バス導波路は、前記リング型共振器を介して前記第1の光及び前記第2の光を前記複数の光共振器に供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光フリップフロップ回路。
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