JP6096704B2 - 熱もしくは光硬化性組成物、並びに、それを用いた絶縁膜及び薄膜トランジスタ - Google Patents

熱もしくは光硬化性組成物、並びに、それを用いた絶縁膜及び薄膜トランジスタ Download PDF

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Description

本発明は、熱もしくは光硬化性組成物、並びに、それを用いた絶縁膜及び薄膜トランジスタに関する。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及び電気泳動型ディスプレイ等の表示装置等は、薄膜トランジスタ(TFTという)等の半導体素子を備えている。
TFTは、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極及びドレイン電極を有し、ソース電極−ドレイン電極間が半導体層で連結された構造を有している。このようなTFTにおいて、ゲート電極に電圧が印加されると、ソース電極−ドレイン電極間の半導体層と、この半導体層に隣接するゲート絶縁層との界面近傍に電流の流路(チャネル)が形成される。すなわち、ゲート電極に印加される入力電圧に応じてソース電極とドレイン電極との間を流れる電流が制御される。
このように半導体層に隣接して設けられるゲート絶縁層は、半導体層とともに電流の流路を形成する機能を有する。したがって、半導体層はもちろん、ゲート絶縁層やゲート絶縁層を形成する材料も、TFTの性能向上に、重要となる。
ゲート絶縁層を形成する材料として、ポリオルガノシロキサン化合物を含有する組成物が知られている。例えば、特許文献1には、シアヌル酸等の特定の環構造を有する変性ポリオルガノシロキサン化合物を含有する硬化性組成物が記載されている。他にも、アルキル基やアリール基を有するポリオルガノシロキサン化合物を含有する材料又は光硬化性組成物が特許文献2及び3に記載されている。
特開2010−285518号公報 国際公開第2009/116373号パンフレット 特開2011−187558号公報
しかし、従来のポリオルガノシロキサン化合物を含有する組成物を用いてゲート絶縁層を形成すると、有機半導体層を形成する有機半導体材料をゲート絶縁層上に均一に塗布できないことがある(ゲート絶縁層に対する有機半導体材料の塗布性が悪い)。したがって、形成される半導体層の膜質が低下し、このようなゲート絶縁層及び半導体層を有する薄膜トランジスタは十分なTFT特性を発揮しえない。また、湿熱環境下におけるTFT特性、例えばキャリア移動度が経時により低下し、TFT特性の湿熱安定性も十分ではない。
ここで、湿熱環境とは、薄膜トランジスタの使用環境を想定したものであり、例えば、温度0〜60℃、相対湿度30〜60%の環境をいう。
本発明は、有機半導体材料の塗布性を改善し、またTFT特性の湿熱安定性を向上させる熱もしくは光硬化性組成物、並びに、この熱もしくは光硬化性組成物を用いた絶縁膜及び薄膜トランジスタを提供することを課題とする。
本発明者らは、絶縁層を形成するための、ポリオルガノシロキサン化合物を含有する硬化性組成物について検討した。その結果、ポリオルガノシロキサン化合物に硬化反応に与らない特定のヘテロ環を導入することにより、この硬化性組成物の硬化物に対する、有機半導体材料の塗布性を改善できることを見出した。しかも、この硬化性組成物の硬化物をゲート絶縁層として設けるとTFT特性の湿熱安定性が向上することも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成された。
上記の課題は以下の手段により解決された。
[1]少なくとも下記一般式(II)で表される構造ユニットA構造ユニットB及び構造ユニットCを有するポリオルガノシロキサン化合物(AP)を含む熱もしくは光硬化性組成物。
Figure 0006096704
一般式(II)中、R、R 及びR はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表す。L およびL それぞれ独立に単結合又は2価の連結基を表す。 はラジカルもしくはカチオン重合性官能基を表す。は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子の少なくとも1つを含み、炭素原子数が3つ以上の、脂肪族もしくは芳香族ヘテロ環基を表す。ただし、 はラジカル重合性官能基やカチオン重合性官能基であることはなく、また、シアヌル環基であることはない。a及びcは、それぞれ、ポリオルガノシロキサン化合物(AP)中の構造ユニットA構造ユニットB及び構造ユニットCの含有率を表し、1〜98モル%である。
]Rが、含窒素脂肪族ヘテロ環又は含窒素芳香族ヘテロ環である[1]に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
]Rが、ピペリジン環基、ピペラジン環基、モルホリン環基、キヌクリジン環基、ピロリジン環基、アゼチジン環基、アゼチジン−2−オン環基、アジリジン環基、トロパン環基、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、1,2,3−トリアゾール環基、1,2,4−トリアゾール環基、テトラゾール環基、オキサゾール環基、イソオキサゾール環基、チアゾール環基、イソチアゾール環基、チアジアゾール環基、ホスホール環基、ピリジン環基、ピリミジン環基、ピリダジン環基、ピラジン環基、1,2,3−トリアジン環基、1,2,4−トリアジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、キナゾリン環基、フタラジン環基、プテリジン環基、クマリン環基、クロモン環基、1,4−ベンゾジアゼピン環基、インドール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンゾトリアゾール環基、ベンゾフラン環基、プリン環基、アクリジン環基、フェノキサジン環基、フェノチアジン環基、ベンゾチアジアゾール環基、イソベンゾフラン環基、イソインドール環基、ベンゾ(b)チオフェン環基、ベンゾ(c)チオフェン環基、ベンゾホスホール環基、インダゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、ベンゾイソオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、キノキサリン環基、シンノリン環基からなる群より選択される少なくとも1種である[1]又は2]に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
]Rが、ラジカル重合性官能基である[1]〜[]のいずれかに記載の熱もしくは光硬化性組成物。
]Rが、(メタ)アクリロイルオキシ基又はスチリル基である[1]〜[]のいずれかに記載の熱もしくは光硬化性組成物。
]ポリオルガノシロキサン化合物(AP)の少なくとも一部がヒドロシリル基を有し、ポリオルガノシロキサン化合物のヒドロシリル基と、ラジカル重合性を示さないアルケニル基を2つ以上有する化合物(MC)とが反応して得られる変性ポリオルガノシロキサン化合物(mAP)を含む[1]〜[]のいずれかに記載の熱もしくは光硬化性組成物。
]ラジカル重合性を示さないアルケニル基が、ビニル基又はアリル基である[]に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
]ラジカル重合性を示さないアルケニル基を2つ以上有する化合物(MC)が、多官能アリル化合物である[]又は[]に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
]ラジカルもしくはカチオン重合性官能基を有する化合物(B)を含む[1]〜[]のいずれかに記載の熱もしくは光硬化性組成物。
10]化合物(B)が、ラジカル重合性官能基を有する化合物である[]に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
11]熱もしくは光重合開始剤を含有する[1]〜[10]のいずれかに記載の熱もしくは光硬化性組成物。
12 [1]〜[11]のいずれかに記載の熱もしくは光硬化性組成物を硬化してなる絶縁膜。
13 12]に記載の絶縁膜をゲート絶縁層として有する薄膜トランジスタ。
14]ゲート絶縁層が、ゲート電極とゲート電極上に設けられた半導体層との間に設けられてなる[13]に記載の薄膜トランジスタ。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基や連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は複数の置換基等を同時に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、式中に同一の表示で表された複数の部分構造の繰り返しがある場合は、各部分構造ないし繰り返し単位は同一でも異なっていてもよい。また、特に断らない場合であっても、複数の置換基等が近接(特に隣接)するときにはそれらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい。
本明細書において化合物の表示については、その化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。
本明細書において置換・無置換を明記していない基(連結基についても同様)については、所望の効果を奏する範囲で、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の熱もしくは光硬化性組成物及びこれを硬化してなる絶縁膜は、有機半導体材料の塗布性を改善し、しかもTFT特性の湿熱安定性を向上させることができる。
また、本発明の薄膜トランジスタは、TFT特性が高く、その湿熱安定性にも優れる。
本発明の半導体素子の一例である有機薄膜トランジスタの構造を模式的に示す図である。
[熱もしくは光硬化性組成物]
本発明の熱もしくは光硬化性組成物(本発明の硬化性組成物という)は、少なくとも下記一般式(I)で表される構造ユニットA及び構造ユニットBを有するポリオルガノシロキサン化合物(AP)を含有する。好ましくは、ラジカルもしくはカチオン重合性官能基を有する化合物(B)を含有する。
本発明の硬化性組成物は、熱、光又は熱及び光により、硬化して、硬化物となる。
[ポリオルガノシロキサン化合物(AP)]
リオルガノシロキサン化合物(AP)は、下記一般式(I)で表される構造ユニットA及び構造ユニットBを有する。
Figure 0006096704
一般式(I)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。このアルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。アルキル基の炭素数は1又は2が好ましい。R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はフェニル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
2価の連結基としては、後述する連結基Lと同義であり、下記一般式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される2価の連結基、又は、下記一般式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される2価の連結基が2つ以上結合してなる2価の連結基が好ましい。各一般式において、波線部分はケイ素原子との結合位置、又は、一般式(L−1)〜(L−25)の*との結合位置を表す。*はRとの結合位置、又は、一般式(L−1)〜(L−25)の波線部分との結合位置を表す。
2価の連結基が有してもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
Figure 0006096704
なかでも、Lは、一般式(L−1)、(L−4)、(L−7)、(L−9)、(L−10)、(L−13)で表される2価の連結基、又は、これらのうち1つ以上の連結基が結合してなる2価の連結基が、より好ましい。
は、2つ以上の一般式(L−1)が結合してなる2価の連結基、1つ以上の一般式(L−1)と1つ以上の一般式(L−4)とが結合してなる2価の連結基、1つ以上の一般式(L−1)と1つ以上の一般式(L−7)とが結合してなる2価の連結基、1つ以上の一般式(L−1)と1つの一般式(L−9)とが結合してなる2価の連結基がさらに好ましい。
が、一般式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される2価の連結基が結合してなる連結基である場合、一般式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される2価の連結基の結合数は2〜15であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜4であることが特に好ましい。
は、特に好ましくは、−(CH)n−、−(CH)n−O−C(=O)−である。ここで、nは2〜4の整数を示す。
は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子の少なくとも1つのヘテロ原子と、3つ以上の炭素原子を環構成原子とする脂肪族ヘテロ環基又は芳香族ヘテロ環基を示す。
脂肪族ヘテロ環基又は芳香族ヘテロ環基のヘテロ環基は、電極との密着性の点で、環構成原子として少なくとも窒素原子を含有する含窒素脂肪族ヘテロ環、含窒素芳香族ヘテロ環が好ましく、含窒素芳香族ヘテロ環がさらに好ましい。環構成原子としてヘテロ原子を複数有する場合、複数のヘテロ原子はそれぞれ異なっても同一でもよい。
ヘテロ環を構成するヘテロ原子数は、少なくとも1つであればよく、好ましくは2〜4つであり、より好ましくは2又は3つであり、特に好ましくは2つである。環構成原子としての炭素原子数は3以上であればよく、ヘテロ原子数及び環員数に応じて適宜に決定される。炭素原子数は3〜5であることが好ましい。なお、Rが複数のヘテロ環基を有する場合、それぞれにつき、上記環構成原子数を満たすのが好ましい。
ヘテロ環基となるヘテロ環は、5又は6員環が好ましく、芳香族炭素環、芳香族ヘテロ環、脂肪族ヘテロ環又は脂環が縮環してもよい。縮環する環は芳香族炭素環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。芳香族炭素環又は脂環はポリオルガノシロキサン化合物(AP)の主鎖側に縮環するのが好ましい。縮環する環の数は特に限定されないが、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。
本発明において、ヘテロ環基Rは、シアヌル環基(トリアジン−2,4,6−トリオール環及びトリアジン−2,4,6−トリオン環)、及び、トリアジン−2,4,6−トリオール環のアルキル置換体を含まない。
ヘテロ環基は、置換基を有していてもよい。このような置換基Tとしては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜15)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、オキソ基(=O)及びこれら基を組み合わせてなる基(好ましくは総炭素数1〜30、より好ましくは総炭素数1〜15)が挙げられる。
脂肪族ヘテロ環基としては、特に限定されないが、例えば、ピペリジン環基、ピペラジン環基、モルホリン環基、チオモルホリン環基、キヌクリジン環基、ピロリジン環基、アゼチジン環基、オキセタン環基、アゼチジン−2−オン環基、アジリジン環基、トロパン環基が挙げられる。
芳香族ヘテロ環基としては、特に限定されないが、五員環芳香族ヘテロ環基、六員環芳香族ヘテロ環基又は多環芳香族ヘテロ環基等が好ましく挙げられる。
五員環芳香族ヘテロ環基としては、具体的には、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、1,2,3−トリアゾール環基、1,2,4−トリアゾール環基、テトラゾール環基、オキサゾール環基、イソオキサゾール環基、チアゾール環基、イソチアゾール環基、チアジアゾール環基、ホスホール環基が挙げられる。
六員環芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン環基、ピリミジン環基、ピリダジン環基、ピラジン環基、1,2,3−トリアジン環基、1,3,5−トリアジン環基等の含窒素ヘテロ環が挙げられる。
多環芳香族ヘテロ環基としては、キノリン環基、イソキノリン環基、キナゾリン環基、フタラジン環基、プテリジン環基、クマリン環基、クロモン環基、1,4−ベンゾジアゼピン環基、インドール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンゾトリアゾール環基、ベンゾフラン環基、プリン環基、アクリジン環基、フェノキサジン環基、フェノチアジン環基、ベンゾチアジアゾール環基、イソベンゾフラン環基、イソインドール環基、ベンゾ(b)チオフェン環基、ベンゾ(c)チオフェン環基、ベンゾホスホール環基、インダゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、ベンゾイソオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、キノキサリン環基、シンノリン環基が挙げられる。
ヘテロ環基としては、ピリジン環基、1,2,3−トリアジン環基、1,3,5−トリアジン環基、ベンゾトリアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンゾ(b)チオフェン環基、ベンゾ(c)チオフェン環基、ベンゾオキサゾール環基、ベンゾチアジアゾール環基が好ましく、ベンゾトリアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾチアジアゾール環基が特に好ましい。
ヘテロ環基の連結基Lとの結合位置は、特に限定されないが、ヘテロ原子に隣接する環構成原子以外の原子であることが好ましい。例えば、連結基Lに結合する環構成原子を1位としたときにヘテロ原子が3位以上の位置にあるのが好ましい。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)が複数のヘテロ環基Rを有する場合、複数のヘテロ環基Rは互いに同一でも異なっていてもよい。
なお、Rは、連結基Lに1つ結合していることが好ましい。本発明ではこの結合数に限定されず、n個(nは2以上の整数)のRが連結基Lに結合してもよい。この場合、構造ユニットBの側鎖は「−L−(R)n」で表され、Lはnの連結基となる。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)は、下記一般式(II)で表される構造ユニットA、構造ユニットB及び構造ユニットCを有するのが好ましい。
従って、本発明では、ポリオルガノシロキサン化合物(AP)として、下記一般式(II)で表される構造ユニットA、構造ユニットB及び構造ユニットCを有する化合物を使用する。
Figure 0006096704
一般式(II)において、R、R、R、L及びRは、それぞれ、一般式(I)のR、R、R、L及びRと同義であり、好ましいものも同じである。
は、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rと同義であり、好ましいものも同じである。
は、単結合又は2価の連結基を表し、一般式(I)のLと同義であり、好ましいものも同じである。
は、ラジカル重合性官能基又はカチオン重合性官能基を表し、ラジカル重合性官能基が好ましい。
ラジカル重合性官能基としては、ラジカルにより重合可能な官能基であれば特に限定されず、例えば、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合(ラジカル重合性不飽和二重結合)又はエチレン性不飽和結合を有する重合性基が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する重合性基はエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ以上有するものであればどのような基でもよいが、エチレン性不飽和結合を1つ有する基であることが好ましい。
具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸エステル基((メタ)アクリロイルオキシ基)、イタコン酸エステル基(イタコノイルオキシ基)、クロトン酸エステル基(クロトノイルオキシ基)、イソクロトン酸エステル基(イソクロトノイルオキシ基)、マレイン酸エステル基(マレイノイルオキシ基)等の不飽和カルボン酸エステル基(不飽和カルボノイルオキシ基)、スチリル基、アクリルアミド基、ビニルエーテル基等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロイルオキシ基、スチリル基が好ましい。
このラジカル重合性官能基は置換基Tを有していてもよい。
カチオン重合性官能基としては、カチオンにより重合可能な官能基であれば特に限定されず、例えば、後述するカチオン重合性化合物が有する基が挙げられる。具体的には、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、環状ラクトン基等が挙げられる。
エポキシ基及びオキセタニル基は、脂環等の環と縮合していてもよい。このようなエポキシ基又はオキセタニル基として、下記の基を好ましく挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。なお、下記の各基において、連結基Lと結合する位置は特に限定されない。
Figure 0006096704
カチオン重合性官能基としては、エポキシ基、オキセタン基が好ましく、エポキシシクロヘキシル基がさらに好ましい。
カチオン重合性官能基は置換基Tを有していてもよい。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)は、上記構造ユニットA〜C以外の構造ユニット又は繰り返し単位を有していてもよい。
このような構造ユニットとして、ヒドロシリル(Si−H)基を有する構造ユニットDが挙げられる。構造ユニットDを有するポリオルガノシロキサン化合物(AP)は、下記一般式(I−a)又は(II−a)で表される各構造ユニットを有するのが好ましい。
Figure 0006096704
一般式(I−a)中、R、R、R、L及びRはそれぞれ一般式(I)のR、R、R、L及びRと同義である。Rは、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rと同義であり、好ましいものも同じである。
Figure 0006096704
一般式(II−a)中、R、R、R、R、L、L、R及びRは、それぞれ、一般式(II)のR、R、R、R、L、L、R及びRと同義である。Rは上記の通りである。
オルガノポリシロキサン化合物(AP)は、その少なくとも一部がヒドロシリル基(構造ユニットD)を有し、このヒドロシリル基とラジカル重合性を示さないアルケニル基を2つ以上有する化合物(MC)とが反応して得られる変性ポリオルガノシロキサン化合物(mAP)を含んでいてもよい。すなわち、本発明の硬化性組成物は、オルガノポリシロキサン化合物(AP)が有するヒドロシリル基と化合物(MC)とが反応して得られる変性ポリオルガノシロキサン化合物(mPA)を、オルガノポリシロキサン化合物(AP)の少なくとも一部として、含んでいてもよい。
変性ポリオルガノシロキサン化合物(mAP)は、化合物(MC)、反応条件、反応割合等によって、一義的には決定されないが、例えば、構造ユニットDに化合物(MC)が付加反応してなる構造ユニットEを有する化合物、化合物(MC)を架橋剤として構造ユニットDが架橋してなる網目状高分子等が挙げられる。この網目状高分子は、本発明の熱もしくは光硬化性組成物の硬化物(絶縁膜として機能させるため目的とする架橋を有する)に対して、目的とする架橋に到達していない部分的な架橋を有するものである。部分的な架橋は、特に限定されないが、例えば、後述する構造ユニットEの含有率eで規定できる。
変性ポリオルガノシロキサン化合物(mAP)は、ポリオルガノシロキサン(AP)の少なくとも一部であればよく、ポリオルガノシロキサン化合物(AP)中の変性ポリオルガノシロキサン化合物(mAP)の含有率は、特に限定されない。例えば10〜100質量%である。
ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン化合物(AP)としては、特に限定されないが、上記一般式(I−a)又は(II−a)で表される化合物、及び、後述する市販品等が挙げられる。
アルケニル基は、ラジカル重合性を示さず、構造ユニットDと反応するものであれば特に限定されない。ここで、「ラジカル重合性を示さないアルケニル基」は、Q値が0.2以下の非共役二重結合性モノマーを構成するアルケニル基を示す。上記Q値は、ビニルモノマーの重合反応性を推定する尺度として、AlfreyとPriceが提唱した「Q,e−Scheme」のQ値である。「Q,e−Scheme」についての説明、種々のモノマーのQ値については、ポリマーハンドブック(2nd edition J.Brandrup、E.H.Immergut編)を参照することができる。また、実験によってもQ値を推定することができる。
このようなアルケニル基としては、上記Rで示される重合性官能基とは異なるアルケニル基が挙げられ、具体的には、ビニル基、アリル基、メタリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、ビニルエーテル基等が挙げられる。反応性の点から、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基等が好ましく、ビニル基、アリル基が特に好ましい。
化合物(MC)として、例えば多官能アリル化合物が好適に挙げられる。具体的には、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,4−ブタンジオールジアリルエーテル、ノナンジオールジアリルエーテル、1,4−シクロへキサンジメタノールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,5−ジアリルフェノールアリルエーテル、及びそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、その他、公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
他にも下記に示す多官能アリル化合物も好ましく挙げられる。
Figure 0006096704
また、特許文献1の段落[0081]に記載の有機重合体化合物及び同公報の段落[0079]に記載のポリオルガノシロキサン化合物、アルケニル基を含む置換基で置換されたシアヌル環基(例えば、モノアリルイソシアヌル酸、ジアリルイソシアヌル酸、トリアリルイソシアヌル酸)、さらにアルケニル基以外の官能基を有する化合物も挙げられる。アルケニル基以外の基としては、特に限定されないが、例えば、上記カチオン重合性官能基等が挙げられる。
変性ポリオルガノシロキサン化合物(mPA)は、オルガノポリシロキサン化合物(AP)のヒドロシリル基と化合物(MC)とを反応させてなる。
このヒドロシリル化反応においては、ヒドロシリル化触媒を用いるのが好ましい。ヒドロシリル化触媒は、公知のものを特に限定されることなく用いることができるが、触媒活性の点で、塩化白金酸、白金オレフィン錯体、白金ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の使用量は、特に限定されないが、ヒドロシリル化反応を速やかに進行させるためには、アルケニル基1モルに対して好ましくは10−8モル以上、より好ましくは10−6モル以上であり、一方、アルケニル基1モルに対して好ましくは10−1モル以下、より好ましくは10−2モル以下である。
上記触媒に加えて、助触媒を用いることもできる。助触媒としては、例えば、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール化合物、単体の硫黄等の硫黄化合物等が挙げられる。助触媒の使用量は、特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して好ましくは10−2モル以上、より好ましくは10−1モル以上であり、一方、アルケニル基1モルに対して好ましくは10モル以下、より好ましくは10モル以下である。
オルガノポリシロキサン化合物(AP)と化合物(MC)との反応割合は、特に限定されないが、総アルケニル基量に対する総ヒドロシリル基量が1〜30であることが好ましく、1〜15であることが好ましい。
反応温度は、特に限定されず、適宜に設定できるが、好ましく30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、一方、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階又は連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じて適宜に設定できる。またヒドロシリル化反応の際に酸素を使用できる。反応容器の気相部に酸素を添加することで、ヒドロシリル化反応を促進できる。酸素の添加量を爆発限界下限以下とする点から、気相部の酸素体積濃度は3%以下に管理する必要がある。酸素添加によるヒドロシリル化反応の促進効果が見られるという点からは、気相部の酸素体積濃度は0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
ヒドロシリル化反応において、溶媒を使用することもできる。溶媒としては、ヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されない。例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン溶媒が挙げられる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)は、上記各構造ユニットのランダム共重合体でもよく、ブロック共重合体でもよい。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、1000〜500000であることが好ましく、1500〜100000であることがより好ましく、2000〜80000であることがさらに好ましい。
本発明において、Mwは、例えば、HLC−8120(東ソー社製)を用い、カラムとしてTSK gel Multipore HXL−M(東ソー社製、7.8mmHD×30.0cm)を用いて、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)又はNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を用いることで求めることができる。Mwはポリスチレン換算値である。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)を形成する各構造ユニットの含有率は、特に限定されず、各構造ユニットの合計が100モル%となるように、下記範囲から選択される。したがって、ポリオルガノシロキサン化合物(AP)が一般式(I)で表される場合、構造ユニットA及び構造ユニットB以外の構造ユニットが存在するときは、構造ユニットA及び構造ユニットBの両含有率の合計が100モル%にならなくてもよい。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)が一般式(I)で表される場合、ポリオルガノシロキサン化合物(AP)中、−(Si(R)(R)−O)−で表される構造ユニットAの含有率aは、1〜99モル%であることが好ましく、1〜90モル%であることがより好ましく、1〜40モル%であることが特に好ましい。
また、−(Si(R)(L−R))−で表される構造ユニットBの含有率bは、1〜99モル%であることが好ましく、1〜90モル%であることがより好ましく、1〜60モル%であることが特に好ましい。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)が一般式(I−a)で表される場合、構造ユニットAの含有率aは、1〜98モル%であることが好ましく、1〜60モル%であることがより好ましく、1〜40モル%であることが特に好ましい。
構造ユニットBの含有率bは、1〜98モル%であることが好ましく、1〜90モル%であることがより好ましく、1〜60モル%であることが特に好ましい。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)中、−(Si(R)(H))−で表される構造ユニットDの含有率dは、1〜90モル%であることが好ましく、1〜60モル%であることがより好ましく、1〜40モル%であることが特に好ましい。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)が一般式(II)で表される場合、構造ユニットAの含有率aは、1〜98モル%であることが好ましく、1〜90モル%であることがより好ましく、1〜40モル%であることが特に好ましい。
また、構造ユニットBの含有率bは、1〜98モル%であることが好ましく、1〜90モル%であることがより好ましく、1〜60モル%であることが特に好ましい。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)中、−(Si(R)(L−R))−で表される構造ユニットCの含有率cは、1〜98モル%であることが好ましく、1〜90モル%であることがより好ましく、1〜60モル%であることがさらに好ましく、1〜40モル%であることが特に好ましい。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)が一般式(II−a)で表される場合、構造ユニットAの含有率aは、1〜97モル%であることが好ましく、1〜90モル%であることがより好ましく、1〜40モル%であることが特に好ましい。
構造ユニットBの含有率bは、1〜97モル%であることが好ましく、1〜90モル%であることがより好ましく、1〜60モル%であることが特に好ましい。
構造ユニットCの含有率cは、1〜97モル%であることが好ましく、1〜90モル%であることがより好ましく、1〜60モル%であることが特に好ましい。
構造ユニットDの含有率dは、1〜97モル%であることが好ましく、1〜90モル%であることがより好ましく、1〜40モル%であることが特に好ましい。
また、上記構造ユニットEの、ポリオルガノシロキサン化合物中の含有率は、1〜40モル%であることが好ましく、1〜20モル%であることがより好ましく、1〜10モル%であることが特に好ましい。
各構造ユニットの含有率は、例えば、NMR測定装置(ブルカー・バイオスピン社製;AVANCEIII400型)を用い、H−NMR又は13C−NMRにより、求めることができる。
本発明に用いるポリオルガノシロキサン化合物(AP)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体的において各構造ユニットの含有率は上記範囲内にある。
なお、下記のAP−1、AP−6及びAP−9は参考例である。
Figure 0006096704
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)は、各構造ユニットを構成する繰り返し単位となる前駆体、例えばケイ素のアルコキシド等を用いて、加水分解、縮合反応、付加反応又は開環重合等の従来公知の方法に準じて、合成できる。
また、上記のように、ヒドロシリル化反応により、−(L−R)、−(L−R)等を導入して合成することもできる。
このヒドロシリル化反応に使用できる、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンとしては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。
ポリヒドロシロキサンとして、例えば、HMS−991、HMS992、HMS−993(商品名、いずれも、Gelest社製)、ヒドロシロキサンとジメチルシロキサンとの共重合体として、例えば、HMS−013、031、064、071、082、151、301、501(商品名、いずれも、Gelest社製)、メチルヒドロシロキサンとフェニルメチルシロキサンとの共重合体として、例えば、HPM−502(商品名、Gelest社製)等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサン化合物(AP)の硬化性組成物中の含有率は、硬化性組成物の全固形分に対して、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは45〜90質量%である。
[ラジカルもしくはカチオン重合性官能基を有する化合物(B)]
本発明の硬化性組成物は、ラジカルもしくはカチオン重合性官能基を有する化合物(単に、化合物(B)という)を含有することが、硬化性の点で、好ましい。
硬化性の点で、ラジカル重合性官能基及びカチオン重合性官能基は2つ以上であることが好ましく、3つ以上であることがより好ましい。
<ラジカル重合性官能基を有する化合物(B1)>
化合物(B1)は、ラジカル重合可能なラジカル重合性官能基としてエチレン性不飽和基を有する化合物であるのが好ましく、分子中にラジカル重合性官能基を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されない。化合物(B1)は分子中にラジカル重合性官能基を2つ以上有するのが好ましく、2〜6つ有するのがさらに好ましい。化合物(B1)は1種又は2種以上を併用できる。
化合物(B1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びこれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等が挙げられる。
アクリル酸化合物として、具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸化合物として、具体的には、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
その他には、例えば、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物が挙げられる。
また、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三編、1981年大成社)、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(加藤清視編、1985年、高分子刊行会)、「UV・EB硬化技術の応用と市場」(ラドテック研究会編、79頁、1989年、シーエムシー)、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(滝山栄一郎著、1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは公知のラジカル重合性又は架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
また、化合物(B1)として、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる、光硬化型の重合性化合物材料も、挙げることができる。
化合物(B1)の硬化性組成物中の含有率は、硬化性組成物の全固形分に対して、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜60質量%である。
<カチオン重合性官能基を有する化合物(B2)>
化合物(B2)は、カチオン重合可能なカチオン重合性官能基としてエポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基のいずれかを有する化合物であるのが好ましく、分子中にカチオン重合性官能基を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されない。化合物(B2)は分子中にカチオン重合性官能基を2つ以上有するのが好ましく、2〜6つ有するのがさらに好ましい。化合物(B2)は1種又は2種以上を併用できる。
化合物(B2)は、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、特開2001−40068号、特開2001−55507号、特開2001−310938号、特開2001−310937号及び特開2001−220526号等の各公報に記載されている、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物及びオキセタン化合物等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、脂肪族エポキシド等が挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられる。具体的には、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びに、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。具体的には、脂環等の環と縮合した上記エポキシ基及びオキセタニル基が挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等が挙げられる。その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
本発明では、単官能エポキシ化合物及び多官能エポキシ化合物を用いることができる。
単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れる点で、好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、単官能ビニルエーテル化合物及び多官能ビニルエーテル化合物が挙げられる。
単官能ビニルエーテル化合物としては、具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート等が挙げられる。
多官能ビニルエーテル化合物としては、具体的には、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテル、などのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が硬化性等の点で好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物であればよく、例えば、特開2001−220526号、特開2001−310937号、特開2003−341217号の各公報に記載されるオキセタン化合物を用いることができる。
また、分子内に1〜4個のオキセタン環を有する化合物として、特開2007−91946号公報の段落[0037]〜段落[0051]に記載された、一般式(1)〜(4)で示される化合物も挙げられる。
オキセタン化合物は、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
化合物(B2)の硬化性組成物中の含有率は、硬化性組成物の全固形分に対して、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜60質量%である。
[重合開始剤]
本発明の硬化性組成物は、重合開始剤を含有するのが好ましい。重合開始剤は、R、化合物(B)に応じて、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤が用いられる。
<ラジカル重合開始剤>
ラジカル重合開始剤としては、公知のものを特に限定されることなく用いることができる。好ましくは、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキシド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物及びアルキルアミン化合物等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。硬化の点からは、2種以上のラジカル重合開始剤を併用することが好ましい。
本発明の硬化性組成物中のラジカル重合開始剤の含有率は、硬化性組成物の全固形分換算で、0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜7質量%である。
<カチオン重合開始剤>
カチオン重合開始剤としては、公知のものを特に限定されることなく用いることができる。例えば、スルホニウム化合物としてCP−100P(商品名、サンアプロ社製)、ヨードニウム化合物としてWPI−113(商品名、和光純薬工業社製)等が挙げられる。
また、特開2007−91946号公報に記載の「放射線の照射により酸を発生する化合物及び放射線の照射により分解するオニウム塩ハロゲン化物」を用いることもできる。
カチオン重合開始剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
本発明の硬化性組成物中のカチオン重合開始剤の含有率は、硬化性組成物の全固形分換算で、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜8質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
[その他の成分]
本発明の硬化性組成物は、上記成分の他に、各種の添加剤を含有していてもよい。例えば、溶媒、バインダーとしての樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、粘度調整剤、ゲル化剤、無機又は有機物からなるフィラー等が挙げられる。
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で、又は二種以上を併用できる。
なかでも、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、シクロヘキサノン、エタノール、1−ブタノールが、レベリング性の向上の観点から好ましい。
[調製方法]
本発明の硬化性組成物は、上記成分を混合することにより、調製できる。このときの条件は、特に限定されない。例えば、スターラー攪拌、超音波分散、ボールミル分散等により混合して調製できる。
[用途]
本発明の硬化性組成物は、半導体素子の絶縁層、好ましくはTFTのゲート絶縁層、特に好ましくは電極及び電極上に設けられた半導体層の間に設けられる絶縁層を、形成する材料として、用いられる。
[絶縁膜]
本発明の絶縁膜は、本発明の硬化性組成物を硬化してなる膜である。
本発明の硬化性組成物を硬化すると、例えば、ポリオルガノシロキサン化合物(AP)の構造ユニットC及び化合物(B)が有するラジカルもしくはカチオン重合性官能基が重合(硬化)反応して、ポリオルガノシロキサン化合物(AP)が網目状に架橋した硬化物となる。このとき、ヘテロ環基Rは、重合反応に与らず、硬化性組成物が硬化した後もフリー(未反応)の状態で存在する。これにより、有機半導体材料の塗布性を改善し、またTFT特性の安定性を向上させることができる。
本発明の硬化性組成物を熱硬化させる場合、硬化条件は、硬化反応が進行すれば特に限定されないが、例えば、加熱温度は20〜230℃が好ましく、40〜200℃がより好ましく、加熱時間は5分〜24時間が好ましく、10分〜12時間がより好ましい。
本発明の硬化性組成物を光硬化させる場合、硬化条件は、硬化反応が進行すれば特に限定されないが、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライド、キセノンランプ、発光ダイオード(LED)等による照射条件が挙げられる。
照射する放射線は、重合開始剤から開始種を発生させうるエネルギーを付与できるものであれば特に限定されず、例えば、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線が挙げられる。
[薄膜トランジスタ]
本発明の薄膜トランジスタは、本発明の硬化性組成物を硬化してなる絶縁膜をゲート絶縁層として有するものであれば、その他の構成等は特に限定されない。
本発明の薄膜トランジスタとしては、有機半導体材料からなる有機半導体層を備えた有機薄膜トランジスタ(OTFT)が特に好ましい。
以下に、本発明の好ましいTFTについて説明するが、本発明のTFTはこれに限定されるものではない。
本発明のTFTは、基板上に、ゲート電極と、半導体層と、ゲート電極及び半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、半導体層に接して設けられ、半導体層を介して連結されたソース電極及びドレイン電極とを有する。TFTにおいては、通常、半導体層とゲート絶縁層が隣接して設けられる。このようなTFTでは、上記のようにしてソース電極とドレイン電極との間を流れる電流が制御される。
本発明のTFTの好ましい構造を図面に基づいて説明する。各図面に示されるTFTは、本発明の理解を容易にするための模式図であり、各部材のサイズないし相対的な大小関係等は説明の便宜上大小を変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。また、本発明で規定する事項以外はこれらの図面に示された外形、形状に限定されるものでもない。例えば、図1(A)及び(B)において、ゲート電極5は必ずしも基板6のすべてを覆っている必要はなく、基板6の中央部分に設けられた形態も、本発明のTFTの形態として好ましい。
図1(A)〜(D)は、各々、TFTの代表的な好ましい構造を模式的に表わす縦断面図である。図1(A)〜(D)において、1は半導体層、2はゲート絶縁層、3はソース電極、4はドレイン電極、5はゲート電極、6は基板を示す。
また、図1(A)は、ボトムゲート・ボトムコンタクト構造、図1(B)は、ボトムゲート・トップコンタクト構造、図1(C)はトップゲート・ボトムコンタクト構造、図1(D)はトップゲート・トップコンタクト構造のTFTを示している。
本発明のTFTには上記4つの形態のすべてが包含される。図示を省略するが、各TFTの図面最上部(基板6に対して反対側の最上部)には、オーバーコート層が形成されている場合もある。
ボトムゲート構造は、ゲート絶縁層2がゲート電極5とゲート電極5上の半導体層1との間に設けられるものであり、具体的には、基板6上にゲート電極5、ゲート絶縁層2及び半導体層1がこの順で配置されたものである。一方、トップゲート構造は、基板6上に半導体層1、ゲート絶縁層2及びゲート電極5がこの順で配置されたものである。
また、ボトムコンタクト構造は、半導体層1に対して基板6側(すなわち、図1において下方)にソース電極3及びドレイン電極4が配置されたものである。一方、トップコンタクト構造は、半導体層1に対して基板6の反対側にソース電極3及びドレイン電極4が配置されたものである。
[基板]
基板は、TFT及びその上に作製される表示パネル等を支持できるものであればよい。基板は、表面に絶縁性があり、シート状で、表面が平坦であれば特に限定されない。
基板の材料として、無機材料を用いてもよい。無機材料からなる基板として、例えば、ソーダライムガラス、石英ガラス等の各種ガラス基板や、表面に絶縁膜が形成された各種ガラス基板、表面に絶縁膜が形成されたシリコン基板、サファイヤ基板、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の各種合金や各種金属からなる金属基板、金属箔、紙等を挙げることができる。
基板がステンレスシート、アルミ箔、銅箔又はシリコンウェハ等の導電性あるいは半導体性の材料で形成されている場合、通常は、表面に絶縁性の高分子材料あるいは金属酸化物等を塗布又は積層して用いられる。
また、基板の材料として、有機材料を用いてもよい。例えば、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル、PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィンに例示される有機ポリマーから構成された可撓性を有するプラスチック基板(プラスチックフィルム、プラスチックシートともいう)を挙げることができる。また雲母で形成したものも挙げることができる。
このような可撓性を有するプラスチック基板等を使用すれば、例えば曲面形状を有するディスプレイ装置や電子機器へのTFTの組込みあるいは一体化が可能となる。
基板を形成する有機材料は、他の層の積層時や加熱時に軟化し難いことから、ガラス転移点が高いことが好ましく、ガラス転移点が40℃以上であるのが好ましい。また、製造時の熱処理により寸法変化を起こし難く、トランジスタ性能の安定性に優れる点から、線膨張係数が小さいことが好ましい。例えば、線膨張係数が25×10−5cm/cm・℃以下である材料が好ましく、10×10−5cm/cm・℃以下である材料がさらに好ましい。
また、基板を構成する有機材料は、TFT作製時に用いる溶媒に対する耐性を有する材料が好ましく、また、ゲート絶縁層及び電極との密着性に優れる材料が好ましい。
さらに、ガスバリア性の高い有機ポリマーからなるプラスチック基板を用いることも好ましい。
基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けたり、無機材料を蒸着又は積層したりすることも好ましい。
基板として、上記の他に、導電性基板(金やアルミニウム等の金属からなる基板、高配向性グラファイトからなる基板、ステンレス鋼製基板等)も挙げることができる。
基板には、密着性や平坦性を改善するためのバッファー層、ガスバリア性を向上させるためのバリア膜等の機能性膜、また表面に易接着層等の表面処理層を形成してもよいし、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理等の表面処理を施してもよい。
基板の厚みは、10mm以下であるのが好ましく、2mm以下であるのがさらに好ましく、1mm以下であるのが特に好ましい。また、一方で、0.01mm以上であるのが好ましく、0.05mm以上であるのがさらに好ましい。特に、プラスチック基板の場合は、厚みが0.05〜0.1mm程度であるのが好ましい。また、無機材料からなる基板の場合は、厚みが0.1〜10mm程度であるのが好ましい。
[ゲート電極]
ゲート電極は、TFTのゲート電極として用いられている従来公知の電極を用いることができる。ゲート電極を構成する導電性材料(電極材料ともいう)としては、特に限定されない。例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、モリブデン、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、パラジウム、鉄、マンガン等の金属;InO、SnO、インジウム・錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等の導電性金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等の導電性高分子;塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF、AsF、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントを添加した上記導電性高分子、並びに、カーボンブラック、グラファイト粉、金属微粒子等を分散した導電性の複合材料等が挙げられる。これらの材料は、1種のみを用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、ゲート電極は、上記導電性材料からなる1層でもよく、2層以上を積層してもよい。
ゲート電極の形成方法に制限は無い。例えば、真空蒸着法等の物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD法)、スパッタ法、印刷法(塗布法)、転写法、ゾルゲル法、メッキ法等により形成された膜を、必要に応じて所望の形状にパターンニングする方法が挙げられる。
塗布法では、上記材料の溶液、ペースト又は分散液を調製、塗布し、乾燥、焼成、光硬化又はエージング等により、膜を形成し、又は直接電極を形成できる。
また、インクジェット印刷、スクリーン印刷、(反転)オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、熱転写印刷、マイクロコンタクトプリンティング法等は、所望のパターニングが可能であり、工程の簡素化、コスト低減、高速化の点で好ましい。
スピンコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート法、ディップコート法を採用する場合も、下記フォトリソグラフィー法等と組み合わせてパターニングすることができる。
フォトリソグラフィー法としては、例えば、フォトレジストのパターニングと、エッチング液によるウェットエッチングや反応性のプラズマによるドライエッチング等のエッチングやリフトオフ法等とを組み合わせる方法等が挙げられる。
他のパターニング方法として、上記材料に、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して、研磨し、又は材料の導電性を変化させる方法も挙げられる。
さらに、基板以外の支持体に印刷したゲート電極用組成物を基板等の下地層の上に転写させる方法も挙げられる。
ゲート電極の厚みは、任意であるが、1nm以上が好ましく、10nm以上が特に好ましい。また、500nm以下が好ましく、200nm以下が特に好ましい。
[ゲート絶縁層]
ゲート絶縁層は、絶縁性を有する層であれば特に限定されず、単層であってもよいし、多層であってもよい。
ゲート絶縁層は、本発明の絶縁膜により形成されている。ゲート絶縁膜は、ゲート電極5又は半導体層1等の表面に、本発明の硬化性組成物を塗布、硬化して、成膜できる。
本発明の硬化性組成物、硬化方法及び条件は上記の通りである。
ゲート絶縁層は、ヘテロ環基Rがフリーの状態で存在する硬化物で形成されている。これにより、有機半導体材料の塗布性を改善し、またTFT特性の安定性を向上させることができる。その詳細についてはまだ定かではないが、次のように考えられる。すなわち、フリーのヘテロ環基Rは、疎水的な絶縁膜中でドメインを形成しているが、絶縁膜上に比較的極性の高い溶媒有機半導体材料が塗布されると、表面近傍で分子の再構造化により表面の極性が変化し、塗膜が均一になりやすいと考えられる。また、フリーのヘテロ環基Rにより、絶縁膜に接する電極との相互作用が強固になり、絶縁膜及び電極との密着性が向上する。密着性が向上すると、界面等からの水分混入抑制や空隙発生が抑制されることにより、電極からのマイグレーションが抑えられ、その結果、TFT特性の湿熱安定性が向上すると考えられる。
また、ポリオルガノシロキサン化合物(AP)が一般式(II)で表される構造を有していると、TFT特性の湿熱安定性の向上効果がさらに高くなる。その詳細についてはまだ定かではないが、疎水的な架橋構造が導入されることにより、半導体内部への水分の浸透が抑制され、またアニールなどの加熱処理の際の耐熱性向上によるものと考えられる。
ゲート絶縁層は、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理等の表面処理を施してもよいが、この場合、処理による表面粗さが粗くしないのが好ましい。好ましくは、ゲート絶縁層表面の算術平均粗さRa又は二乗平均粗さRMSは0.5nm以下である。
[自己組織化単分子膜層(SAM)]
ゲート絶縁層上には、自己組織化単分子膜層を形成することもできる。
自己組織化単分子膜層を形成する化合物としては、自己組織化する化合物であれば特に限定されず、例えば、自己組織化する化合物として、下記式1Sで表される一種類以上の化合物を用いることができる。
式1S:R1S−X
式1S中、R1Sは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又は、ヘテロ環基(チエニル、ピロリル、ピリジル、フルオレニル等)のいずれかを表す。
は吸着性又は反応性置換基を表し、具体的には、−SiX基(Xは、ハライド基又はアルコキシ基を表し、X、Xはそれぞれ独立にハライド基、アルコキシ基、アルキル基、アリール基を表す。X、X、Xはそれぞれ同じであることが好ましく、クロロ基、メトキシ基、エトキシ基であることがより好ましい)、ホスホン酸基(−PO)、ホスフィン酸基(−PROH、Rはアルキル基)、リン酸基、亜リン酸基、アミノ基、ハライド基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホウ酸基(−B(OH))、ヒドロキシ基、チオール基、エチニル基、ビニル基、ニトロ基又はシアノ基のいずれかを表す。
1Sは、好ましくは分岐しておらず、例えば、直鎖状のノルマルアルキル(n−アルキル)基や、フェニル基が三個直列に配置されたter−フェニル基や、フェニル基のパラ位の両側にn−アルキル基が配置されたような構造が好ましい。また、アルキル鎖の中にエーテル結合を有していてもよく、炭素−炭素の二重結合や三重結合を有していてもよい。
自己組織化単分子膜層は、吸着性又は反応性置換基Xが、対応するゲート絶縁層表面の反応性部位(例えば−OH基)と相互作用、吸着又は反応し結合を形成することにより、ゲート絶縁層上に形成される。分子がより緻密に充填されることにより、自己組織化単分子膜層の表面は、より平滑で表面エネルギーの低い表面を与えることから、上記式1Sで表される化合物は、主骨格が直線状であり、分子長が揃っていることが好ましい。
式1Sで表される化合物の特に好ましい例として具体的には、例えば、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、等のアルキルトリクロロシラン化合物、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン化合物、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、アルキルカルボン酸、アリールホスホン酸、アルキルホウ酸基、アリールホウ酸基、アルキルチオール基、アリールチオール基等が挙げられる。
自己組織化単分子膜層は、上記化合物を真空下でゲート絶縁層に蒸着する方法、上記化合物の溶液中にゲート絶縁層を浸漬する方法、Langmuir−Blodgett法等を用いて、形成することができる。また、例えば、アルキルクロロシラン化合物又はアルキルアルコキシシラン化合物を有機溶媒中に1〜10質量%溶解した溶液でゲート絶縁層を処理することにより形成できる。本発明において、自己組織化単分子膜層を形成する方法はこれらに限るものではない。
例えば、より緻密な自己組織化単分子膜層を得る好ましい方法として、Langmuir 19, 1159 (2003)及びJ. Phys. Chem. B 110, 21101 (2006)等に記載の方法が挙げられる。
具体的には、上記化合物を分散させた揮発性の高い脱水溶媒中にゲート絶縁層を浸漬させて膜を形成し、ゲート絶縁層を取り出し、必要に応じてアニール等の上記化合物とゲート絶縁層の反応工程を行なった後、脱水溶媒で洗い流してから、乾燥させて自己組織化単分子膜層を形成できる。
脱水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、トリクロロエチレン、アニソール、ジエチルエーテル、ヘキサン、トルエン等を単独又は混合して用いることかできる。
さらに、乾燥雰囲気中又は乾燥気体の噴きつけによって、膜を乾燥させることが好ましい。乾燥気体には窒素等の不活性気体を用いるのが好ましい。このような自己組織化単分子膜層の製造方法を用いることにより、緻密で凝集や欠損のない自己組織化単分子膜層が形成されることから、自己組織化単分子膜層の表面粗さを0.3nm以下に抑えることができる。
[半導体層]
半導体層は、半導体性を示し、キャリアを蓄積可能な層である。
半導体層は、有機半導体化合物(単に有機半導体ともいう)で形成される。
以下に説明する有機半導体は、1種を用いても2種以上を併用してもよい。
有機半導体としては、特に限定されず、有機ポリマー及びその誘導体、低分子化合物等が挙げられる。
本発明において、低分子化合物は、有機ポリマー及びその誘導体以外の化合物を意味する。すなわち、繰り返し単位を有さない化合物をいう。低分子化合物は、このような化合物である限り、分子量は特に限定されるものではない。低分子化合物の分子量は、好ましくは300〜2000であり、さらに好ましくは400〜1000である。
低分子化合物としては、縮合多環芳香族化合物が挙げられる。例えば、ナフタセン、ペンタセン(2,3,6,7−ジベンゾアントラセン)、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン等のアセン、アントラジチオフェン、ピレン、ベンゾピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセン、及び、これらの炭素原子の一部をN、S、O等の原子で置換した誘導体又は上記炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子をカルボニル基等の官能基で置換した誘導体(ペリキサンテノキサンテン及びその誘導体を含むジオキサアンタントレン系化合物、トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノン等)、並びに、上記水素原子を他の官能基で置換した誘導体を挙げることができる。
また、銅フタロシアニンで代表される金属フタロシアニン、テトラチアペンタレン及びその誘導体、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)、N,N’−ジオクチルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミド等のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、アントラセン−2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミド等のアントラセンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン及びこれらの誘導体、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素、ヘミシアニン色素等の色素とこれらの誘導体等を挙げることもできる。
さらに、ポリアントラセン、トリフェニレン、キナクリドンを挙げることができる。
また、低分子化合物としては、例えば、4,4’−ビフェニルジチオール(BPDT)、4,4’−ジイソシアノビフェニル、4,4’−ジイソシアノ−p−テルフェニル、2,5−ビス(5’−チオアセチル−2’−チオフェニル)チオフェン、2,5−ビス(5’−チオアセトキシル−2’−チオフェニル)チオフェン、4,4’−ジイソシアノフェニル、ベンジジン(ビフェニル−4,4’−ジアミン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)、テトラチアフルバレン(TTF)及びその誘導体、テトラチアフルバレン(TTF)−TCNQ錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体に代表される電荷移動錯体、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−ジ(4−チオフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン、1,4−ジ(4−イソシアノフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン、1,4−ジ(4−チオフェニルエチニル)−2−エチルベンゼン、2,2”−ジヒドロキシ−1,1’:4’,1”−テルフェニル、4,4’−ビフェニルジエタナール、4,4’−ビフェニルジオール、4,4’−ビフェニルジイソシアネート、1,4−ジアセチニルベンゼン、ジエチルビフェニル−4,4’−ジカルボキシレート、ベンゾ[1,2−c;3,4−c’;5,6−c”]トリス[1,2]ジチオール−1,4,7−トリチオン、α−セキシチオフェン、テトラチアテトラセン、テトラセレノテトラセン、テトラテルルテトラセン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−チオフェン−β−エタンスルホン酸)、ポリ(N−アルキルピロール)ポリ(3−アルキルピロール)、ポリ(3,4−ジアルキルピロール)、ポリ(2,2’−チエニルピロール)、ポリ(ジベンゾチオフェンスルフィド)を例示することができる。
有機半導体は、低分子化合物が好ましく、なかでも、縮合多環芳香族化合物が好ましい。縮合多環芳香族化合物はキャリア移動度及び耐久性の向上効果が高く、さらには優れた閾値電圧の低減効果をも示す。
縮合多環芳香族化合物は、一般式(A1)〜(A4)のいずれかで表されるアセン、及び、下記一般式(C)〜(T)のいずれかで表される化合物が好ましく、樹脂(C)と偏在しやすい点で、下記一般式(C)〜(T)のいずれかで表される化合物がより好ましい。
縮合多環芳香族化合物として好ましいアセンは、下記一般式(A1)又は(A2)で表されるものである。
Figure 0006096704
式中、RA1〜RA6、XA1及びXA2は、水素原子又は置換基を表す。
A1及びZA2は、S、O、Se又はTeを表す。
nA1及びnA2は0〜3の整数を表す。ただし、nA1及びnA2が同時に0になることはない。
A1〜RA6、XA1及びXA2で各々表される置換基としては、特に限定されないが、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、オクチル、tert−オクチル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、2−ペンテニル、イソプロペニル等)、アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル、p−クロロフェニル、メシチル、トリル、キシリル、ナフチル、アントリル、アズレニル、アセナフテニル、フルオレニル、フェナントリル、インデニル、ピレニル、ビフェニリル等)、芳香族複素環基(ヘテロアリール基ともいい、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(ヘテロアリール環基等ともいい、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、オクチルチオ、ドデシルチオ等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、オクチルアミノスルホニル、ドデシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、ナフチルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等)、アシル基(例えば、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、ペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、オクチルカルボニル、2−エチルヘキシルカルボニル、ドデシルカルボニル、フェニルカルボニル、ナフチルカルボニル、ピリジルカルボニル等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、オクチルカルボニルオキシ、ドデシルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルオキシ等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、ジメチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、ペンチルカルボニルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ、オクチルカルボニルアミノ、ドデシルカルボニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニル、オクチルアミノカルボニル、2−エチルヘキシルアミノカルボニル、ドデシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、ナフチルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、オクチルウレイド、ドデシルウレイド、フェニルウレイド、ナフチルウレイド、2−ピリジルアミノウレイド等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、ブチルスルフィニル、シクロヘキシルスルフィニル、2−エチルヘキシルスルフィニル、ドデシルスルフィニル、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル、2−ピリジルスルフィニル等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ドデシルスルホニル等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等)、アミノ基(例えば、アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタフルオロフェニル等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、フェニルジエチルシリル等)、下記一般式(SG1)で表される基(ただし、XはGe又はSn)等が挙げられる。
これらの置換基は、さらに置換基を複数有していてもよい。複数有していてもよい置換基としては、上記、RA1〜RA6で表される置換基が挙げられる。
上記アセンのなかでも、下記一般式(A3)又は(A4)で表されるものがより好ましい。
Figure 0006096704
式中、RA7、RA8、XA1及びXA2は、水素原子又は置換基を表す。RA7、RA8、XA1及びXA2は同じであっても異なっていてもよい。RA7及びRA8で表される置換基は一般式(A1)及び(A2)のRA1〜RA6として採用しうる置換基として上記で列挙したものが好ましい。
A1及びZA2は、S、O、Se又はTeを表す。
nA1及びnA2は0〜3の整数を表す。ただし、nA1とnA2が同時に0になることはない。
一般式(A3)又は(A4)において、RA7及びRA8は、下記一般式(SG1)で表されるものが好ましい。
Figure 0006096704
式中、RA9〜RA11は置換基を表す。XはSi、Ge又はSnを表す。RA9〜RA11で表される置換基は、一般式(A1)及び(A2)のRA1〜RA6として採用しうる置換基として上記で列挙したものであることが好ましい。
以下に、一般式(A1)〜(A4)で表されるアセン又はアセン誘導体の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006096704
Figure 0006096704
Figure 0006096704
Figure 0006096704
縮合多環芳香族化合物としては、さらに、下記一般式(C)〜(T)で表される化合物も好ましい。
Figure 0006096704
一般式(C)中、AC1、AC2は酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。好ましくはAC1、AC2共に酸素原子、硫黄原子を表し、より好ましくは硫黄原子を表す。RC1〜RC6は水素原子又は置換基を表す。RC1〜RC6のうち少なくとも1つが下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(D)中、XD1及びXD2はNRD9、酸素原子又は硫黄原子を表す。AD1はCRD7又はN原子を表し、AD2はCRD8又はN原子を表し、RD9は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基を表す。RD1〜RD8は水素原子又は置換基を表し、RD1〜RD8のうち少なくとも1つが下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(E)中、XE1及びXE2は酸素原子、硫黄原子又はNRE7を表す。AE1及びAE2はCRE8又は窒素原子を表す。RE1〜RE8は水素原子又は置換基を表す。RE1〜RE8のうち少なくとも1つが下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(F)中、XF1及びXF2は酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。好ましくはXF1及びXF2は酸素原子、硫黄原子を表し、より好ましくは、硫黄原子を表す。RF1〜RF10、RFa及びRFbは水素原子又は置換基を表す。RF1〜RF10、RFa及びRFbのうち少なくとも一つは一般式(W)で表される置換基である。p及びqは0〜2の整数を表す。
一般式(G)中、XG1及びXG2はNRG9、酸素原子又は硫黄原子を表す。AG1はCRG7又はN原子を表す。AG2はCRG8又はN原子を表す。RG9は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。RG1〜RG8は水素原子又は置換基を表す。RG1〜RG8のうち少なくとも1つが下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(H)中、XH1〜XH4は、NRH7、酸素原子又は硫黄原子を表す。XH1〜XH4は、好ましくは硫黄原子を表す。RH7は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。RH1〜RH6は水素原子又は置換基を表す。RH1〜RH6のうち少なくとも1つが下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(J)中、XJ1及びXJ2は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNRJ9を表す。XJ3及びXJ4は酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。XJ1、XJ2、XJ3及びXJ4は好ましくは硫黄原子を表す。RJ1〜RJ9は水素原子又は置換基を表す。RJ1〜RJ9のうち少なくとも1つが下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(K)中、XK1及びXK2は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNRK9を表す。XK3及びXK4は酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。XK1、XK2、XK3及びXK4は好ましくは硫黄原子を表す。RK1〜RK9は水素原子又は置換基を表す。RK1〜RK9のうち少なくとも1つが下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(L)中、XL1及びXL2は酸素原子、硫黄原子又はNRL11を表す。XL1及びXL2は好ましくは酸素原子又は硫黄原子を表す。RL1〜RL11は水素原子又は置換基を表し、RL1〜RL11のうち少なくとも1つが下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(M)中、XM1及びXM2は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNRM9を表す。XM1及びXM2は好ましくは硫黄原子を表す。RM1〜RM9は水素原子又は置換基を表す。RM1〜RM9のうち少なくとも1つは下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(N)中、XN1及びXN2は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNRN13を表す。XN1及びXN2は好ましくは硫黄原子を表す。RN1〜RN13は水素原子又は置換基を表す。RN1〜RN13のうち少なくとも1つは下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(P)中、XP1及びXP2は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNRP13を表す。XP1及びXP2は好ましくは硫黄原子を表す。RP1〜RP13は水素原子又は置換基を表す。RP1〜RP13のうち少なくとも1つは下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(Q)中、XQ1及びXQ2は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNRQ13を表す。XQ1及びXQ2は好ましくは硫黄原子を表す。RQ1〜RQ13は水素原子又は置換基を表す。RQ1〜RQ13のうち少なくとも1つは下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(R)中、XR1、XR2及びXR3は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNRR9を表す。XR1、XR2及びXR3は好ましくは硫黄原子を表す。RR1〜RR9は水素原子又は置換基を表す。RR1〜RR9のうち少なくとも1つは下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(S)中、XS1、XS2、XS3及びXS4は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNRS7を表す。XS1、XS2、XS3及びXS4は好ましくは硫黄原子を表す。RS1〜RS7は水素原子又は置換基を表す。RS1〜RS7のうち少なくとも1つは下記一般式(W)で表される置換基である。
一般式(T)中、XT1、XT2、XT3、及びXT4は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNRT7を表す。XT1、XT2、XT3及びXT4は好ましくは硫黄原子を表す。RT1〜RT7は水素原子又は置換基を表す。RT1〜RT7のうち少なくとも1つは下記一般式(W)で表される置換基である。
以下に、上記一般式(C)〜(T)において、水素原子又は置換基を表す、RC1〜RC6、RD1〜RD8、RE1〜RE8、RF1〜RF10、RFa及びRFb、RG1〜RG8、RH1〜RH6、RJ1〜RJ9、RK1〜RK9、RL1〜RL11、RM1〜RM9、RN1〜RN13、RP1〜RP13、RQ1〜RQ13、RR1〜RR9、RS1〜RS7及びRT1〜RT7(以下、置換基R〜Rという)について、説明する。
置換基R〜Rが、とりうる置換基として、ハロゲン原子、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル等の炭素数1〜40のアルキル基、ただし、2,6−ジメチルオクチル、2−デシルテトラデシル、2−ヘキシルドデシル、2−エチルオクチル、2−デシルテトラデシル、2−ブチルデシル、1−オクチルノニル、2−エチルオクチル、2−オクチルテトラデシル、2−エチルヘキシル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル等を含む)、アルケニル基(1−ペンテニル、シクロアルケニル、ビシクロアルケニル等を含む)、アルキニル基(1−ペンチニル、トリメチルシリルエチニル、トリエチルシリルエチニル、トリ−i−プロピルシリルエチニル、2−p−プロピルフェニルエチニル等を含む)、アリール基(フェニル、ナフチル、p−ペンチルフェニル、3,4−ジペンチルフェニル、p−ヘプトキシフェニル、3,4−ジヘプトキシフェニルの炭素数6〜20のアリール基等を含む)、複素環基(ヘテロ環基といってもよい。2−ヘキシルフラニル等を含む)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アシル基(ヘキサノイル、ベンゾイル等を含む。)、アルコキシ基(ブトキシ等を含む)、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基含む)、アルコキシ及びアリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキル及びアリールチオ基(メチルチオ、オクチルチオ等を含む)、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルキル及びアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基(ジトリメチルシロキシメチルブトキシ基等)、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH))、ホスファト基(−OPO(OH))、スルファト基(−OSOH)、その他の公知の置換基が挙げられる。
これら置換基は、さらに上記置換基を有していてもよい。
これらの中でも、置換基R〜Rがとりうる置換基として、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、後述の一般式(W)で表される基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数5〜12の複素環基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、後述の一般式(W)で表される基がより好ましく、後述の一般式(W)で表される基が特に好ましく、後述の一般式(W)で表される基がより特に好ましい。
上記RD9、RG9及びRH7の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基は、それぞれ、置換基R〜Rがとりうる置換基で説明した、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基と同義である。
また、ヘテロアリール基は、RA1〜RA6の置換基で説明したヘテロアリール基と同義である。
一般式(W):−L−R で表される基について説明する。
一般式(W)中、Lは下記一般式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される2価の連結基又は2以上の下記一般式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される2価の連結基が結合した2価の連結基を表す。Rは置換又は無置換のアルキル基、シアノ基、ビニル基、エチニル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、あるいは、置換又は無置換のトリアルキルシリル基を表す。
Figure 0006096704
一般式(L−1)〜(L−25)中、波線部分は上記一般式(C)〜(T)で表される各骨格を形成するいずれかの環との結合位置を表す。なお、本明細書中、Lが一般式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される2価の連結基が2つ以上結合した2価の連結基を表す場合、波線部分は上記一般式(C)〜(T)で表される各骨格を形成するいずれかの環との結合位置及び一般式(L−1)〜(L−25)で表される2価の連結基のいずれかとの結合位置を表してもよい。
*はRwとの結合位置又は一般式(L−1)〜(L−25)の波線部分との結合位置を表す。
一般式(L−13)におけるmは4を表し、一般式(L−14)及び(L−15)におけるmは3を表し、一般式(L−16)〜(L−20)におけるmは2を表し、(L−22)におけるmは6を表す。
一般式(L−1)、(L−2)、(L−6)及び(L−13)〜(L−19)及び(L−21)〜(L−24)におけるR’はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、一般式(L−1)及び(L−2)中のR’はそれぞれLに隣接するRと結合して縮合環を形成してもよい。
は水素原子又は置換基を表し、Rsiはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
この中でも、一般式(L−17)〜(L−21)、(L−23)及び(L−24)で表される2価の連結基は、下記一般式(L−17A)〜(L−21A)、(L−23A)及び(L−24A)で表される2価の連結基であることがより好ましい。
Figure 0006096704
ここで、置換又は無置換のアルキル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、あるいは、置換又は無置換のトリアルキルシリル基が置換基の末端に存在する場合は、一般式(W)における−R単独と解釈することもでき、一般式(W)における−L−Rと解釈することもできる。
本発明では、主鎖が炭素数N個の置換又は無置換のアルキル基が置換基の末端に存在する場合は、置換基の末端から可能な限りの連結基を含めた上で一般式(W)における−L−Rと解釈することとし、一般式(W)における−R単独とは解釈しない。具体的には「一般式(W)におけるLに相当する(L−1)1個」と「一般式(W)におけるRに相当する主鎖が炭素数N−1個の置換又は無置換のアルキル基」とが結合した置換基として解釈する。例えば、炭素数8のアルキル基であるn−オクチル基が置換基の末端に存在する場合、2個のR’が水素原子である(L−1)1個と、炭素数7のn−ヘプチル基とが結合した置換基として解釈する。また、一般式(W)で表される置換基が炭素数8のアルコキシ基である場合、−O−である一般式(L−4)で表される連結基1個と、2個のR’が水素原子である(L−1)で表される連結基1個と、炭素数7のn−ヘプチル基とが結合した置換基として解釈する。
一方、本発明では、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、あるいは、置換又は無置換のトリアルキルシリル基が置換基の末端に存在する場合は、置換基の末端から可能な限りの連結基を含めた上で、一般式(W)におけるR単独と解釈する。例えば、−(OCHCH)−(OCHCH)−(OCHCH)−OCH基が置換基の末端に存在する場合、オキシエチレン単位の繰り返し数vが3のオリゴオキシエチレン基単独の置換基として解釈する。
Lが一般式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される2価の連結基が結合した連結基を形成する場合、一般式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される2価の連結基の結合数は2〜4であることが好ましく、2又は3であることがより好ましい。
一般式(L−1)、(L−2)、(L−6)及び(L−13)〜(L−24)中の置換基R’としては、一般式(C)〜(T)の置換基R〜Rが採りうる置換基として例示したものを挙げることができる。その中でも一般式(L−6)中の置換基R’はアルキル基であることが好ましく、(L−6)中のR’がアルキル基である場合は、アルキル基の炭素数は1〜9であることが好ましく、4〜9であることが化学的安定性、キャリア輸送性の観点からより好ましく、5〜9であることがさらに好ましい。(L−6)中のR’がアルキル基である場合は、アルキル基は直鎖アルキル基であることが、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
としては、置換基R〜Rが採りうる置換基として例示したものを挙げることができる。その中でもRとしては水素原子又はメチル基が好ましい。
siは、アルキル基であることが好ましい。Rsiがとり得るアルキル基としては特に制限はないが、Rsiがとり得るアルキル基の好ましい範囲はRがシリル基である場合にシリル基がとり得るアルキル基の好ましい範囲と同様である。Rsiがとり得るアルケニル基としては特に制限はないが、置換又は無置換のアルケニル基が好ましく、分枝アルケニル基であることがより好ましく、アルケニル基の炭素数は2〜3であることが好ましい。Rsiがとり得るアルキニル基としては特に制限はないが、置換又は無置換のアルキニル基が好ましく、分枝アルキニル基であることがより好ましく、アルキニル基の炭素数は2〜3であることが好ましい。
Lは、一般式(L−1)〜(L−5)、(L−13)、(L−17)もしくは(L−18)のいずれかで表される2価の連結基、又は一般式(L−1)〜(L−5)、(L−13)、(L−17)もしくは(L−18)のいずれかで表される2価の連結基が2以上結合した2価の連結基であることが好ましく、一般式(L−1)、(L−3)、(L−13)もしくは(L−18)のいずれかで表される2価の連結基又は一般式(L−1)、(L−3)、(L−13)もしくは(L−18)で表される2価の連結基が2以上結合した2価の連結基であることがより好ましく、(L−1)、(L−3)、(L−13)もしくは(L−18)で表される2価の連結基、あるいは一般式(L−3)、(L−13)又は(L−18)のいずれか1つで表される2価の連結基と一般式(L−1)で表される2価の連結基が結合した2価の連結基であることが特に好ましい。一般式(L−3)、(L−13)又は(L−18)のいずれか1つで表される2価の連結基と一般式(L−1)で表される2価の連結基が結合した2価の連結基は、一般式(L−1)で表される2価の連結基がR側に結合することが好ましい。
化学的安定性、キャリア輸送性の観点から一般式(L−1)で表される2価の連結基を含む2価の連結基であることが特に好ましく、一般式(L−1)で表される2価の連結基であることがより特に好ましく、Lが一般式(L−18)及び(L−1)で表される2価の連結基であり、(L−1)を介してRと結合し、Rが置換又は無置換のアルキル基であることがさらにより特に好ましく、Lが一般式(L−18A)及び(L−1)で表される2価の連結基であり、(L−1)を介してRと結合し、Rが置換又は無置換のアルキル基であることがさらにより特に好ましい。
一般式(W)において、Rは、好ましくは、置換又は無置換のアルキル基である。一般式(W)において、Rに隣接するLが一般式(L−1)で表される2価の連結基である場合は、Rは置換又は無置換のアルキル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数が2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基であることが好ましく、置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(W)において、Rに隣接するLが一般式(L−2)及び(L−4)〜(L−25)で表される2価の連結基である場合は、Rは置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(W)において、Rに隣接するLが一般式(L−3)で表される2価の連結基である場合は、Rは置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシリル基であることが好ましい。
が置換又は無置換のアルキル基の場合、炭素数は4〜17であることが好ましく、6〜14であることが化学的安定性、キャリア輸送性の観点からより好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。Rが上記の範囲の長鎖アルキル基であること、特に長鎖の直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
がアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
これらの中でも、一般式(W)におけるRとLの組み合わせとしては、一般式(C)〜(T)のLが一般式(L−1)で表される2価の連結基であり、かつ、Rが直鎖の炭素数4〜17のアルキル基であるか、あるいは、Lが一般式(L−3)、(L−13)又は(L−18)のいずれか1つで表される2価の連結基と一般式(L−1)で表される2価の連結基が結合した2価の連結基であり、かつ、Rが直鎖のアルキル基であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。
Lが一般式(L−1)で表される2価の連結基であり、かつ、Rが直鎖の炭素数4〜17のアルキル基である場合、Rが直鎖の炭素数6〜14のアルキル基であることがキャリア移動度を高める観点からより好ましく、直鎖の炭素数6〜12のアルキル基であることが特に好ましい。
Lが一般式(L−3)、(L−13)又は(L−18)のいずれか1つで表される2価の連結基と一般式(L−1)で表される2価の連結基が結合した2価の連結基であり、かつ、Rが直鎖のアルキル基である場合、Rが直鎖の炭素数4〜17のアルキル基であることがより好ましく、直鎖の炭素数6〜14のアルキル基であることが化学的安定性、キャリア輸送性の観点からより好ましく、直鎖の炭素数6〜12のアルキル基であることがキャリア移動度を高める観点から特に好ましい。
一方、有機溶媒への溶解度を高める観点からは、Rが分枝アルキル基であることが好ましい。
が置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、ハロゲン原子等を挙げることができ、フッ素原子が好ましい。なお、Rがフッ素原子を有するアルキル基である場合はアルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されてパーフルオロアルキル基を形成してもよい。ただし、Rは無置換のアルキル基であることが好ましい。
がエチレンオキシ基又はオリゴエチレンオキシ基の場合、Rが表す「オリゴオキシエチレン基」とは本明細書中、−(OCHCHOYで表される基のことを言う(オキシエチレン単位の繰り返し数vは2以上の整数を表し、末端のYは水素原子又は置換基を表す)。なお、オリゴオキシエチレン基の末端のYが水素原子である場合はヒドロキシ基となる。オキシエチレン単位の繰り返し数vは2〜4であることが好ましく、2〜3であることがさらに好ましい。オリゴオキシエチレン基の末端のヒドロキシ基は封止されていること、すなわちYが置換基を表すことが好ましい。この場合、ヒドロキシ基は、炭素数が1〜3のアルキル基で封止されること、すなわちYが炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、Yがメチル基やエチル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
が、シロキサン基又はオリゴシロキサン基の場合、シロキサン単位の繰り返し数は2〜4であることが好ましく、2〜3であることがさらに好ましい。また、Si原子には、水素原子やアルキル基が結合することが好ましい。Si原子にアルキル基が結合する場合、アルキル基の炭素数は1〜3であることが好ましく、例えば、メチル基やエチル基が結合することが好ましい。Si原子には、同一のアルキル基が結合してもよく、異なるアルキル基又は水素原子が結合してもよい。また、オリゴシロキサン基を構成するシロキサン単位はすべて同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一であることが好ましい。
に隣接するLが一般式(L−3)で表される2価の連結基である場合、Rが置換又は無置換のシリル基であることも好ましい。Rが置換又は無置換のシリル基である場合はその中でも、Rが置換シリル基であることが好ましい。シリル基の置換基としては特に制限はないが、置換又は無置換のアルキル基が好ましく、分枝アルキル基であることがより好ましい。Rがトリアルキルシリル基の場合、Si原子に結合するアルキル基の炭素数は1〜3であることが好ましく、例えば、メチル基やエチル基やイソプロピル基が結合することが好ましい。Si原子には、同一のアルキル基が結合してもよく、異なるアルキル基が結合してもよい。Rがアルキル基上にさらに置換基を有するトリアルキルシリル基である場合の置換基としては、特に制限はない。
一般式(W)において、L及びRに含まれる炭素数の合計は5〜18であることが好ましい。L及びRに含まれる炭素数の合計が上記範囲の下限値以上であると、キャリア移動度が高くなり、駆動電圧を低くなる。L及びRに含まれる炭素数の合計が上記範囲の上限値以下であると、有機溶媒に対する溶解性が高くなる。
L及びRに含まれる炭素数の合計は5〜14であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜12であることが特に好ましく、8〜12であることがより特に好ましい。
一般式(C)〜(T)で表される各化合物において置換基R〜Rのうち、一般式(W)で表される基は1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
置換基R〜Rのうち、一般式(W)で表される基の位置に特に制限はない。
一般式(C)で表される化合物においては、RC1、RC2、RC3、RC6のいずれかが一般式(W)で表される基であることが好ましく、RC1とRC2との両方又はRC3とRC6の両方が一般式(W)で表される基であることがより好ましい。
一般式(D)で表される化合物においては、RD6が一般式(W)で表される基であることが好ましく、RD5とRD6との両方が一般式(W)で表される基であることがより好ましい。
一般式(E)で表される化合物においては、RE6が一般式(W)で表される基であることが好ましく、RE5とRE6との両方が一般式(W)で表される基であることがより好ましい。また、RE5及びRE6が一般式(W)で表される基以外の置換基である場合、2つのRE7が一般式(W)で表される基であるのも好ましい。
一般式(F)で表される化合物においては、RF2、RF3、RF8及びRF9のうち少なくとも一つは一般式(W)で表される置換基であるのが好ましい。
一般式(G)で表される化合物においては、RG5又はRG6が一般式(W)で表される基であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましい。
一般式(H)で表される化合物においては、RH4又はRH6が一般式(W)で表される基であるのが好ましく、RH4又はRH6、及び、RH3又はRH5が一般式(W)で表される基であるのがより好ましい。
一般式(J)で表される化合物においては、RJ8が一般式(W)で表される基であるのが好ましく、RJ8とRJ4との両方が一般式(W)で表される基であるのがより好ましい。
一般式(K)で表される化合物においては、RK7が一般式(W)で表される基であるのが好ましく、RK7とRK3との両方が一般式(W)で表される基であるのがより好ましい。
一般式(L)で表される化合物においては、RL2、RL3、RL6及びRL7のうち少なくとも一つが一般式(W)で表される基であるのがより好ましい。
一般式(M)で表される化合物においては、RM2が一般式(W)で表される基であるのが好ましく、RM2とRM6との両方が一般式(W)で表される基であるのがより好ましい。
一般式(N)で表される化合物においては、RN3が一般式(W)で表される基であるのが好ましく、RN3とRN9との両方が一般式(W)で表される基であるのがより好ましい。
一般式(P)で表される化合物においては、RP3が一般式(W)で表される基であるのが好ましく、RP3とRP9との両方が一般式(W)で表される基であるのがより好ましい。
一般式(Q)で表される化合物においては、RQ3が一般式(W)で表される基であるのが好ましく、RQ3とRQ9との両方が一般式(W)で表される基であるのがより好ましい。
一般式(R)で表される化合物においては、RR2が一般式(W)で表される基であるのが好ましく、RR2とRR7との両方が一般式(W)で表される基であるのがより好ましい。
一般式(S)で表される化合物においては、RS2が一般式(W)で表される基であるのが好ましく、RS2とRS5との両方が一般式(W)で表される基であるのがより好ましい。
一般式(T)で表される化合物においては、RT2が一般式(W)で表される基であるのが好ましく、RT2とRT5との両方が一般式(W)で表される基であるのがより好ましい。
置換基R〜Rのうち、一般式(W)で表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましい。
以下に、一般式(C)〜一般式(T)で表される各化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いることができる化合物は、これらの具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
一般式(C)で表される化合物Cの具体例を示す。
Figure 0006096704
一般式(C)で表される化合物は、分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましく、850以下であることが特に好ましい。分子量が上記範囲内にあると、溶媒への溶解性を高めることができる。
一方で、薄膜の膜質安定性の観点からは、分子量は300以上であることが好ましく、350以上であることがより好ましく、400以上であることがさらに好ましい。
一般式(D)で表される化合物Dの具体例を示す。
Figure 0006096704
Figure 0006096704
一般式(D)で表される化合物の分子量は、上限が一般式(C)で表される化合物と同じであるのが、溶媒への溶解性を高めることができ、好ましい。一方で、薄膜の膜質安定性の観点からは、分子量は400以上であることが好ましく、450以上であることがより好ましく、500以上であることがさらに好ましい。
一般式(E)で表される化合物E、一般式(F)で表される化合物F、一般式(G)で表される化合物G及び一般式(H)で表される化合物Hそれぞれの具体例を、順に示す。
Figure 0006096704
Figure 0006096704
Figure 0006096704
Figure 0006096704
Figure 0006096704
Figure 0006096704
上記化合物E、化合物F、化合物G及び化合物Hの分子量は、それぞれ、上限が一般式(C)で表される化合物Cと同じであるのが、溶媒への溶解性を高めることができ、好ましい。一方で、薄膜の膜質安定性の観点から、分子量の下限は一般式(D)で表される化合物と同じである。
一般式(J)及び一般式(K)で表される化合物J及び化合物Kの具体例を示す。
Figure 0006096704
Figure 0006096704
上記化合物J及び化合物Kの分子量は、それぞれ、上限が一般式(C)で表される化合物Cと同じであるのが、溶媒への溶解性を高めることができ、好ましい。一方で、薄膜の膜質安定性の観点から、分子量の下限は一般式(D)で表される化合物と同じである。
一般式(L)で表される化合物L、一般式(M)で表される化合物M、一般式(N)で表される化合物N、一般式(P)で表される化合物P及び一般式(Q)で表される化合物Qそれぞれの具体例を、順に示す。
Figure 0006096704
Figure 0006096704
Figure 0006096704
Figure 0006096704
Figure 0006096704
上記化合物L、化合物M、化合物N、化合物P及び化合物Qの分子量は、それぞれ、上限が一般式(C)で表される化合物Cと同じであるのが、溶媒への溶解性を高めることができ、好ましい。一方で、薄膜の膜質安定性の観点から、分子量の下限は一般式(D)で表される化合物と同じである。
一般式(R)で表される化合物R、一般式(S)で表される化合物S及び一般式(T)で表される化合物Tそれぞれの具体例を、順に示す。
Figure 0006096704
Figure 0006096704
Figure 0006096704
上記化合物R、化合物S及び化合物Tの分子量は、それぞれ、上限が一般式(C)で表される化合物Cと同じであるのが、溶媒への溶解性を高めることができ、好ましい。一方で、薄膜の膜質安定性の観点から、分子量の下限は一般式(D)で表される化合物と同じである。
有機ポリマー及びその誘導体としては、例えば、ポリピロール及びその置換体、ポリジケトピロール及びその置換体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリイソチアナフテン等のイソチアナフテン、ポリチエニレンビニレン等のチエニレンビニレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリアズレン、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリセレノフェン、ポリフラン、ポリ(p−フェニレン)、ポリインドール、ポリピリダジン、ポリテルロフェン、ポリナフタレン、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィド等のポリマー及び縮合多環芳香族化合物の重合体等を挙げることができる。
ポリチオフェン及びその誘導体としては、特に限定されないが、例えば、ポリチオフェンにヘキシル基を導入したポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有するオリゴマー(例えば、オリゴチオフェン)を挙げることもできる。
また、有機ポリマーとして、下記一般式(C)〜(T)で表される化合物が繰り返し構造を有する高分子化合物が挙げられる。
このような高分子化合物としては、一般式(C)〜(T)で表される化合物が少なくとも1つ以上のアリーレン基、ヘテロアリーレン基(チオフェン、ビチオフェン等)を介して繰り返し構造を示すπ共役ポリマーや、一般式(C)〜(T)で表される化合物が高分子主鎖に側鎖を介して結合したペンダント型ポリマーが挙げられる。高分子主鎖としては、ポリアクリレート、ポリビニル、ポリシロキサン等が好ましく、側鎖としては、アルキレン基、ポリエチレンオキシド基等が好ましい。ペンダント型ポリマーの場合、高分子主鎖は置換基R〜Rの少なくとも1つが重合性基由来の基を有し、これが重合してなるものであってもよい。
これらの有機ポリマーは、重量平均分子量が3万以上であることが好ましく、5万以上であることがより好ましく、10万以上であることがさらに好ましい。重量平均分子量が上記下限値以上とすることにより、分子間相互作用を高めることができ、高い移動度が得られる。
上記有機ポリマーに加えて、さらにそれ以外の樹脂(D)を用いることも好ましい。樹脂(D)としては、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリシルセスキオキサン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレートに代表されるポリメタクリレート、ポリメチルアクリレートに代表されるポリアクリレート、トリアセチルセルロースに代表されるセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどの絶縁性ポリマー、及び、これらの構成成分を2種以上共重合して得られる共重合体を挙げることができる。
樹脂(D)を用いる場合、有機ポリマーと樹脂(D)の総量に対する有機ポリマーの質量割合は10質量%以上100質量%未満であることが好ましく、20質量%以上100質量%未満であることがより好ましい。
有機半導体層中、有機ポリマー及び樹脂(D)の合計含有率は、1〜80質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。
有機半導体層はゲート絶縁層上に湿式法(ウエットコーティング法)で形成されると、簡便で低コストに高性能なOTFTを得やすいうえに、大面積化にも適している。また、ゲート絶縁層は本発明の硬化性組成物を硬化して成膜されており、有機半導体を含有する有機半導体材料の塗布性を改善し、均一な塗布を可能にする。したがって、有機半導体層の形成方法は湿式法が好ましい。
湿式法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ノズルプリント、スタンプ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、エレクトロスプレイデポジション法等により有機半導体材料を塗布した後、乾燥させることにより形成することができる。
ゲート絶縁層上に有機半導体層をウエットコーティング法により形成する場合、OTFTが高性能になりやすいことから、有機半導体層は結晶化処理が施されているのが好ましく、加熱やレーザー照射による結晶化処理が施されているのが特に好ましい。
結晶化処理の方法としては、特に限定されないが、ホットプレート、オーブン等による加熱又はレーザー照射等が挙げられる。加熱温度については、結晶化が進行しやすい点では高温が好ましく、また、一方で、基板等に熱の影響を与え難い点では低温が好ましい。具体的には、50℃以上が好ましく、100℃以上が特に好ましく、また、一方で、300℃以下が好ましく、250℃以下が特に好ましい。
[ソース電極、ドレイン電極]
本発明のTFTにおいて、ソース電極は、配線を通じて外部から電流が流入する電極である。また、ドレイン電極は、配線を通じて外部に電流を送り出す電極であり、通常、上記半導体層に接して設けられる。
図1(A)、(D)のようにソース電極及びドレイン電極がゲート絶縁層に接して設けられる場合には、TFT特性の安定性が向上する。
ソース電極及びドレイン電極の材料としては、従来の有機薄膜トランジスタに用いられている導電性材料を用いることができ、例えば、上記ゲート電極で説明した導電性材料等が挙げられる。
ソース電極及びドレイン電極は、それぞれ、上記ゲート電極の形成方法と同様の方法により形成することができる。
上記フォトリソグラフィー法としては、リフトオフ法又はエッチング法を採用できる。
特に、ゲート絶縁層がエッチング液や剥離液に対する耐性に優れていることから、ソース電極及びドレイン電極はエッチング法でも好適に形成することができる。エッチング法は、導電性材料を成膜した後に不要部分をエッチングにより除去する方法である。エッチング法によりパターニングすると、レジスト除去時に下地に残った導電性材料の剥がれ、レジスト残渣や除去された導電性材料の下地への再付着を防止でき、電極エッジ部の形状に優れる。この点で、リフトオフ法よりも好ましい。
リフトオフ法は、下地の一部にレジストを塗布し、この上に導電性材料を成膜し、レジスト等を溶媒により溶出又は剥離等することにより、レジスト上の導電性材料ごと除去して、レジストが塗布されていなかった部分にのみ導電性材料の膜を形成する方法である。
ソース電極及びドレイン電極の厚みは、任意であるが、それぞれ、1nm以上が好ましく、10nm以上が特に好ましい。また、500nm以下が好ましく、300nm以下が特に好ましい。
ソース電極とドレイン電極との間の間隔(チャネル長)は、任意であるが、100μm以下が好ましく、50μm以下が特に好ましい。また、チャネル幅は、5000μm以下が好ましく、1000μm以下が特に好ましい。
[オーバーコート層]
本発明のTFTは、オーバーコート層を有していてもよい。オーバーコート層は、通常、TFTの表面に保護層として形成される層である。単層構造でも多層構造でもよい。
オーバーコート層は、有機系のオーバーコート層でも無機系のオーバーコート層でもよい。
有機系のオーバーコート層を形成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアセナチレン、エポキシ樹脂等の有機ポリマー、及び、これらの有機ポリマーに架橋性基や撥水基等を導入した誘導体等が挙げられる。これらの有機ポリマーやその誘導体は、架橋成分、フッ素化合物、シリコン化合物等と併用することもできる。
無機系のオーバーコート層を形成する材料としては、特に限定されないが、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の金属酸化物、窒化ケイ素等の金属窒化物等が挙げられる。
これらの材料は、1種を用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
オーバーコート層の形成方法に制限は無く、公知の各種の方法により形成することができる。
例えば、有機系のオーバーコート層は、例えば、その下地となる層に、オーバーコート層となる材料を含む溶液を塗布後に乾燥させる、オーバーコート層となる材料を含む溶液を塗布、乾燥後に露光、現像してパターニングする等の方法により形成することができる。なお、オーバーコート層のパターニングは、印刷法やインクジェット法等により直接形成することもできる。また、オーバーコート層のパターニング後に、露光や加熱することにより、オーバーコート層を架橋させてもよい。
一方、無機系のオーバーコート層は、スパッタリング法、蒸着法等の乾式法やゾルゲル法のような湿式法により形成することができる。
[その他の層]
本発明のTFTは、上記以外の層や部材を設けてもよい。
その他の層又は部材としては、例えば、バンク等が挙げられる。バンクは、インクジェット法等により半導体層やオーバーコート層等を形成するときに、吐出液を所定の位置に塞き止める目的等で用いられる。このため、バンクには、通常、撥液性がある。バンクの形成方法としては、フォトリソグラフィー法等によりパターニングした後にフッ素プラズマ法等の撥液処理を施す方法、フッ素化合物等の撥液成分を含む感光性組成物等を硬化させる方法等が挙げられる。
本発明の有機薄膜トランジスタの場合、ゲート絶縁層が有機層であることから、後者の撥液成分を含む感光性組成物を硬化させる方法が、ゲート絶縁層が撥液処理の影響を受ける可能性がなく、好ましい。なお、バンクを用いずに下地に撥液性のコントラストを持たせてバンクと同じ役割を持たせる技術を用いてもよい。
[製造方法]
本発明のTFTは、ゲート電極、ゲート絶縁層、半導体層、ソース電極及びドレイン電極等を、上記した方法により、基板上に成膜又は設けて、製造できる。
本発明の硬化性組成物を塗布する方法は、例えば、スピンキャスト法、ディッピング法、ダイコーティング法、スリットコーティング法、滴下法、オフセット又はスクリーンやオフセット等の印刷法、インクジェット法等が挙げられる。また、得られた膜の表面平滑性を保つために不純物等の混入を防止することが好ましく、塗布前にメンブランフィルタ等でろ過することが好ましい。
TFTの製造において、本発明の硬化性組成物を用いると、また半導体層を形成する材料として有機材料を用いると、溶液塗布法の利点を生かしつつ、優れた特性を発揮するTFTを製造することができる。
さらに、本発明の硬化性組成物を用いると、有機半導体材料の塗布性を改善し、またTFT特性の安定性向上に資するゲート絶縁層を形成でき、TFT特性が高く安定性にも優れたTFTを、溶液塗布法にて製造できる。
[表示パネル]
本発明の有機薄膜トランジスタの用途の一例として表示パネルが挙げられる。表示パネルとしては、例えば、液晶パネル、有機ELパネル、電子ペーパーパネル等が挙げられる。
以下に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[合成例]
各例において、ポリオルガノシロキサン化合物AP1〜AP10及び(テトラメチルピペリジニロキシ)プロピルメチルシロキサンジメチルシロキサン共重合体(商品名:UBS−0822、Gelest社製)を用いた。
Figure 0006096704
(ポリオルガノシロキサン化合物AP1〜AP10の合成)
次のようにしてポリオルガノシロキサン化合物AP2を合成した。すなわち、500mL三口フラスコに、トルエン100ml、ポリメチルヒドロシロキサンとジメチルシロキサンとの共重合体「HMS−031」(商品名、gelest社製)10g、アリルメタクリレート1g、5−ビニルベンゾトリアゾール1.53g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液0.0186gを入れて、窒素置換中、105℃にて6時間反応を行った。H−NMRにてビニル基の消失を確認した後、減圧留去にて溶媒を除去し、ポリオルガノシロキサン化合物を得た。
また、表1に示す、ポリメチルヒドロシロキサンとジメチルシロキサンとの共重合体(表1において「共重合体」と記す。)及び化合物を用いたこと以外はポリオルガノシロキサン化合物AP2の合成と同様にして、ポリオルガノシロキサン化合物AP1、AP3〜AP10を合成した。
Figure 0006096704
(変性ポリオルガノシロキサン化合物mAP−4及びmAP−8)の合成
上記のようにして合成したポリオルガノシロキサン化合物AP−4 1gと、トルエン1g、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリル0.2gと、白金ビニルシロキサン錯体0.01gとを混合し、100℃にて5時間反応を行った。反応物を冷却した後、減圧留去にて残存したトルエンを除去し、変性ポリオリガノシロキサン化合物mAP−4を得た。
変性ポリオリガノシロキサン化合物mAP−4の合成と同様にして、ポリオリガノシロキサン化合物AP−8を用いて反応を行い、変性ポリオリガノシロキサン化合物mAP−8を得た。
合成した各ポリオルガノシロキサン化合物AP1〜3、AP5〜7、9及び10、並びに、変性ポリオリガノシロキサン化合物mAP−4及びmAP−8の重量平均分子量(Mw)及び各構造ユニットの含有率を上記方法により測定した。なお、変性ポリオリガノシロキサン化合物mAP−4及びmAP−8において1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリルが反応した構造ユニットの含有率を「e」で表す。測定結果を表1に示す。
Figure 0006096704
比較のためのポリオリガノシロキサン化合物として、下記UMS−992、下記構造ユニットを有するBS−1及び下記化合物の混合反応物BS−2を準備した。
UMS−992:メタクリロキシプロピルメチルシロキサン(a=1モル%未満、b=99モル%以上、c=0モル%)
Figure 0006096704
BS−1において、a=20モル%、b=25モル%、c=55モル%
Figure 0006096704
混合反応物BS−2は、次のようにして得た。すなわち、500mL三口フラスコに、トルエン100g(和光純薬社製)、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン57.49g(アルドリッチ社製)を入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌル酸10.0g、トルエン70.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液0.0186g(アルドリッチ社製)の混合液を30分かけて滴下した。6時間反応後に溶媒を減圧留去してポリシロキサンとイソシアヌル酸の反応物Aを得た。
次いで、100mL三口フラスコに、反応物A10gとトルエン20gを入れ、窒素置換の後内温105℃にし、ビニルシクロヘキセンオキシド3.81gとトルエン3.81gの混合溶液を30分で滴下した。H−NMRによりビニル基の消失を確認後、溶媒を減圧留去してBS−2を得た。
[実施例1]
[TFTの製造]
図1(B)に示すボトムゲート・トップコンタクト型のOTFTを製造した。
25mm角非アルカリガラス「イーグルXG」(商品名、コーニング社製)からなる基板6上に、銀ナノインク(DOWA社製、水性インク40%)を使用して、ゲート電極5を作成した。
次いで、ペンタエリスリトールテトラアクリレート1g、表3に示すポリオリガノシロキサン化合物1g、重合開始剤「DarocureTPO」(商品名)0.1g、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル2gを混合して、硬化性組成物MS−1〜14を、それぞれ、調製した。
調製した硬化性組成物それぞれを、ゲート電極5を形成した基板6上にスピンコート法(回転数1000rpm、1分)にて塗布して塗膜を作成した。その後、塗膜に高圧水銀ランプ3000mW/cmを用いて、10秒間露光し、硬化させて、ゲート絶縁層2を成膜した。
次いで、ゲート絶縁層2上に、有機半導体として下記に示す化合物M3(C8BTBT)をトルエンに溶解して有機半導体濃度が0.3質量%のトルエン溶液(有機半導体材料)を調製し、このトルエン溶液をスピンコート法にて塗布、乾燥し、130℃で2時間アニーリングして、半導体層1を成膜した。
Figure 0006096704
続いて、図1(B)に示すようにソース電極3及びドレイン電極4(ゲート幅W=100mm、ゲート長L=100μm)を、銀ナノインク(DOWA社製水性インク40%)を使用して、形成した。
このようにして、図1(B)に示される構造のOTFT(試料No1〜12及びc1〜c3)をそれぞれ製造した。
[有機半導体の塗布性の評価]
OTFTの製造において、形成した半導体層1を光学顕微鏡及び偏光顕微鏡にて観察し、有機半導体がゲート電極5上とゲート絶縁層2上に均等に塗布されているかを確認した。有機半導体が均一に塗布されているものを「A」、ゲート電極5又はゲート絶縁層2上のいずれかに偏っているものを「B」として、評価した。その結果を表3に示す。
[TFT特性の湿熱安定性の評価]
各OTFTにつき、耐湿熱性試験を行い、TFT特性の湿熱安定性を評価した。
具体的には、製造した各OTFTのソース電極3及びドレイン電極4間に−40Vの電圧を印加し、ゲート電圧Vgを40V〜−40Vの範囲で変化させ、ドレイン電流Idを表わす下記式を用いて初期キャリア移動度μ1(cm/Vs)を算出した。
Id=(w/2L)μCi(Vg−Vth)
式中、Lはゲート長、wはゲート幅、Ciはゲート絶縁層2の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧
次いで、40℃、50RH%の湿熱環境下に24時間放置した後に、湿熱耐久後のキャリア移動度μ2(cm/Vs)を上記初期キャリア移動度μ1と同様にして算出した。
得られた初期キャリア移動度μ1及び湿熱耐久後のキャリア移動度μ2を用いて、下記式よりキャリア移動度の維持率を算出し、その値によりOTFTの湿熱安定性を評価した。
キャリア移動度の維持率(%)=湿熱耐久後のキャリア移動度μ2/初期キャリア移動度μ1
キャリア移動度の維持率(%)が80%以上である場合を「A」、60%以上80%未満である場合を「B」、60%未満である場合を「C」として、評価した。その結果を表3に示す。
Figure 0006096704
表3に示されるように、一般式(II)で表される構造ユニットA構造ユニットB及び構造ユニットCを少なくとも有するポリオルガノシロキサン化合物(AP)を含む本発明の硬化性組成物で形成した本発明の絶縁膜は、いずれも、有機半導体材料の塗布性を改善できた。また、この絶縁膜をゲート絶縁層として有する本発明のOTFTは、いずれも、高い湿熱安定性を発揮した。
このように、本発明の硬化性組成物及びこれを硬化してなる絶縁膜は、有機半導体材料の塗布性を改善し、しかもTFT特性の湿熱安定性を向上できることが分かった。また、本発明のOTFTFは、半導体層が均一に成膜されて高いTFT特性を発揮するうえ、電極等との密着性が高くTFT特性の湿熱安定性にも優れることが分かった。
特に、ポリオルガノシロキサン化合物が一般式(II)で表される構造ユニットA、構造ユニットB及び構造ユニットCを有している本発明のポリオルガノシロキサン化合物(AP)では、湿熱安定性の改善効果が高いことが分かった。
これに対して、硬化物がフリーのヘテロ環を有しない試料No.c1〜c3は、いずれも、有機半導体材料の塗布性が悪かった。試料No.c1は湿熱耐久性にも劣るものであった。
1 半導体層(有機半導体層)
2 ゲート絶縁層
3 ソース電極
4 ドレイン電極
5 ゲート電極
6 基板

Claims (14)

  1. 少なくとも下記一般式(II)で表される構造ユニットA構造ユニットB及び構造ユニットCを有するポリオルガノシロキサン化合物(AP)を含む熱もしくは光硬化性組成物。
    Figure 0006096704
    一般式(II)中、R、R 及びR はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表す。L およびL それぞれ独立に単結合又は2価の連結基を表す。 はラジカルもしくはカチオン重合性官能基を表す。は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子の少なくとも1つを含み、炭素原子数が3つ以上の、脂肪族もしくは芳香族ヘテロ環基を表す。ただし、 はラジカル重合性官能基やカチオン重合性官能基であることはなく、また、シアヌル環基であることはない。a及びcは、それぞれ、ポリオルガノシロキサン化合物(AP)中の構造ユニットA構造ユニットB及び構造ユニットCの含有率を表し、1〜98モル%である。
  2. 前記Rが、含窒素脂肪族ヘテロ環又は含窒素芳香族ヘテロ環である請求項1に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
  3. 前記Rが、ピペリジン環基、ピペラジン環基、モルホリン環基、キヌクリジン環基、ピロリジン環基、アゼチジン環基、アゼチジン−2−オン環基、アジリジン環基、トロパン環基、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、1,2,3−トリアゾール環基、1,2,4−トリアゾール環基、テトラゾール環基、オキサゾール環基、イソオキサゾール環基、チアゾール環基、イソチアゾール環基、チアジアゾール環基、ホスホール環基、ピリジン環基、ピリミジン環基、ピリダジン環基、ピラジン環基、1,2,3−トリアジン環基、1,2,4−トリアジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、キナゾリン環基、フタラジン環基、プテリジン環基、クマリン環基、クロモン環基、1,4−ベンゾジアゼピン環基、インドール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンゾトリアゾール環基、ベンゾフラン環基、プリン環基、アクリジン環基、フェノキサジン環基、フェノチアジン環基、ベンゾチアジアゾール環基、イソベンゾフラン環基、イソインドール環基、ベンゾ(b)チオフェン環基、ベンゾ(c)チオフェン環基、ベンゾホスホール環基、インダゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、ベンゾイソオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、キノキサリン環基、シンノリン環基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
  4. 前記Rが、ラジカル重合性官能基である請求項1〜のいずれか1項に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
  5. 前記Rが、(メタ)アクリロイルオキシ基又はスチリル基である請求項1〜のいずれか1項に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
  6. 前記ポリオルガノシロキサン化合物(AP)の少なくとも一部がヒドロシリル基を有し、該ポリオルガノシロキサン化合物の該ヒドロシリル基と、ラジカル重合性を示さないアルケニル基を2つ以上有する化合物(MC)とが反応して得られる変性ポリオルガノシロキサン化合物(mAP)を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
  7. 前記ラジカル重合性を示さないアルケニル基が、ビニル基又はアリル基である請求項に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
  8. 前記ラジカル重合性を示さないアルケニル基を2つ以上有する化合物(MC)が、多官能アリル化合物である請求項又はに記載の熱もしくは光硬化性組成物。
  9. ラジカルもしくはカチオン重合性官能基を有する化合物(B)を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
  10. 前記化合物(B)が、ラジカル重合性官能基を有する化合物である請求項に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
  11. 熱もしくは光重合開始剤を含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱もしくは光硬化性組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱もしくは光硬化性組成物を硬化してなる絶縁膜。
  13. 請求項12に記載の絶縁膜をゲート絶縁層として有する薄膜トランジスタ。
  14. 前記ゲート絶縁層が、ゲート電極と該ゲート電極上に設けられた半導体層との間に設けられてなる請求項13に記載の薄膜トランジスタ。
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