JP6090828B2 - 肺機能検査装置 - Google Patents

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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

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本発明は,音を利用して,肺機能を検査する技術に関わる.臨床肺機能検査装置として,医療,保健の分野で利用される.
臨床肺機能検査において,肺内気量や気道抵抗を測定する方法として,体プレチスモグラフ法がある(非特許文献1,特許文献1,2).また,近年,肺気道に強制振動を印加し,このとき肺気道内の口唇近傍に生ずる圧力変動と,肺気道内に流入する気流の変動とを検出し,これら二信号の比である呼吸インピーダンスを測定する方法(Forced Oscillation Technique=FOT法)が用いられるようになっている(非特許文献2〜5,特許文献3,4).この他に,肺気道に強制振動を印加したときに発生する圧力変動から,上部気道の断面積を求めて検査に利用する方法が提案されている(非特許文献10,特許文献5〜7).
DuBois AB, Botelho SY, Comroe JH Jr. "A new method for measuring airway resistance in man using a body plethysmograph: values in normal subjects and in patients with respiratory disease," J Clin Invest, 35, 327-335, 1956 N.B.Pride, "Forced oscillation techniques for measuring mechanical properties of the respiratory system," Thorax, 47, 317-320, 1992 E.Oostveen et al., "The forced oscillation technique in clinical practice: methodology, recommendations and future developments," European Respiratory Journal, 22, 1026-1041, 2003 H.J.Smith et al., "Forced oscillation technique and impulse oscillometry," European Respiratory Society Monograph, 31(Lung Function Testing), Ch.5, 72-105, 2005 栂博久,黄正寿,「呼吸機能検査」,呼吸と循環,57巻,4号,385−393,2009年 J.L.Flanagan, "Speech Analysis, Synthesis and Perception," 2nd. expanded ed., Springer-Verlag, 1983 M.R.Schroeder, "Computer Speech," 2nd.ed., Springer-Verlag, 2004 M.M.Sondhi, B.Gopinath, "Determination of Vocal-Tract Shape from Impulse Response at the Lips," Journal of Acoustical Society of America, 49(6-2), 1867-1873, 1971 J.D.Markel and A.H.Gray: Linear Prediction of Speech, Springer-Verlag, 1976 J.J.Fredberg, "Acoustic Determinants of Respiratory System Properties," Annals of Biomedical Engineering, 9, 463-473, 1981
特開昭62−161346 特開平3−39140 特表2008-541957 特開2010−264235 US Patent No.4326416 US Patent No.5882314 US Patent No.6440083
体プレチスモグラフ法は,被験者が中に入るボディーボックスと呼ばれる容器を使用する大がかりな検査であるうえ,パンティングという特殊な動作を被験者に要求する.また,肺気道内の気体が等温変化することを仮定して測定原理が構築されており,この仮定はパンティング中は成り立たないので,測定結果は,厳密な定量的根拠を持つものとは言えない.
FOT法で測定されるのは,口唇から気管を経て肺胞に至る肺気道を,口唇位置から見込んだ入力インピーダンスである.測定される呼吸インピーダンスは,口唇に近い上部気道(中枢側気道)の寄与と,肺胞に近い末梢側気道の寄与を共に含んでいる.しかしながら,臨床肺機能検査の観点から重要なのは,通常,末梢側気道のインピーダンスである.たとえば,強制振動の印加に伴って頬や舌が振動すれば,呼吸インピーダンスに影響が出るが,この影響は,「上部気道アーチファクト」として正しい肺機能診断を妨げる原因となる.この影響を除くために,被験者の頭部全体を容器に入れて強制振動を印加する工夫などが試みられているが,検査が大がかりで煩瑣になり,被験者の負担も大きくなるという問題がある.さらに,上記振動に留まらず,舌の高さ,頬の膨らみ,喉の緊張,声門の開度など,検査中の気道内の状態,上部気道形状の個人差や年齢差なども,上部気道のインピーダンスに影響を及ぼし,呼吸インピーダンスを利用した肺機能検査の妨げになるという問題がある.
これらの問題のため, FOT法による気道抵抗測定では,口唇部分で測定した呼吸インピーダンスのうち,低周波数(5Hz)における抵抗(呼吸インピーダンスの実部)を全気道抵抗,高周波数(20Hz)における抵抗を中枢気道抵抗と見なし,前者から後者を引き算したものを末梢気道抵抗の推定値とするといった推定が行われている(非特許文献5).しかしながら,この推定法は,明確な定量的根拠に基づくものではないから,便宜的な方策に過ぎず,また,周波数の関数としてのインピーダンスが提供する情報を捨て去ってしまっている.
特許文献5〜7の方法は,気管分岐部(カリーナ)より中枢側の気道の断面積を測定する.しかし,肺気道の呼吸インピーダンスを測定することはできないので,検知できるのは,カリーナより中枢側の気道の形態的変化のみであり,末梢側の呼吸インピーダンスに変化をもたらす多くの呼吸器系疾患の検知には役立たない.
上記の課題を解決するために,本発明の検査装置では,肺気道に強制振動を印加し,肺気道ないしは肺気道に連結した管の中の圧力変動を検出するとともに,上部気道断面積推定手段によって上部気道の断面積を推定し,推定した上部気道断面積の情報に基づいて,呼吸インピーダンスに対する上部気道の寄与をのぞいて,上部気道の末梢側端部位置から肺気道の末梢側を見込んだインピーダンスを推定する.
請求項2に記載の発明では,口唇より肺気道に強制振動を印加し,このとき口唇近傍に生じる圧力変動を検出して,口唇側から末梢側に向かって伝播する進行波と,末梢側から口唇側に向かって伝播する反射波を分離し,音波の伝播所要時間の情報を利用して,肺気道内の各位置の断面積とそこで生じる反射の推定を末梢側に向かって逐次的に進め,肺気道内の所望の位置までの断面積を推定し,これらの情報に基づいて末梢側インピーダンスを推定する.
請求項3に記載の発明では,被験者が発する音声信号を口唇近傍で検出して,検出した音声信号に基づいて口唇近傍から声門までの上部気道断面積を気道軸に沿って逐次的に推定し,この情報に基づいて末梢側インピーダンスを推定する.
本発明により,呼吸インピーダンスから上部気道の寄与を除き,臨床応用上重要な末梢側肺気道の呼吸インピーダンスを,上部気道アーチファクトや上部気道の形状影響をうけることなく測定することが可能になる.
(第一実施例)
以下,本発明の具現形態を実施例に基づいて説明する.図1は,本発明の第一実施例である.図において,1は,被験者5の肺気道に強制振動を印加するためのスピーカーボックスである.2は,強制振動を肺気道に印加するための管であり,左端はスピーカーボックス1に接続され,右端はマウスピース(図示せず)を介して被験者5の口唇に接続されている.21は,被験者の呼気および吸気のための開口である.3および3’は,管2に取り付けられたマイクロホンであり,管2の中の圧力変動を検出している.4は,信号処理装置であり,スピーカーボックス1に対して強制振動信号を出力するとともに,マイクロホン3,3’および流量センサー6の信号を取り込み,信号処理を行っている.信号処理装置4の実態は,A/D変換器とD/A変換器を備えたデジタルコンピューターであり,信号処理結果に基づいて呼吸インピーダンスを算出する機能もインストールされている.スピーカーボックス1で発生した振動は,管2を介して,被験者5の肺気道に印加される.51は口唇に近い上部の気道,52は肺胞を含む末梢側気道,53は声門,54は胸郭を表す.マイクロホンの位置で計測される呼吸インピーダンスは,上部気道51,末梢側気道52および胸郭54の機械インピーダンスが接続されたインピーダンスとなる.6は,呼吸流量を測定する流量センサーである.
図2は,断面積が連続的に変化する肺気道を,一定断面積の短い円管の連鎖で表現した肺気道(一部)の模式図である.各短管(区間)には,口唇端から0,1,2,・・・, m-1, m, m+1,・・・と付番している.上部気道の端の区間を第M区間とし,第M区間の右端は,これより末梢側の肺気道の音響インピーダンスZPで終端されていると考えることで,肺気道全体をモデル化することができる.各区間の直径は,通常,スピーカーボックス1で印加される強制振動の波長に比べて十分に小さいので,区間内を伝播する音波は平面波と仮定することができる.
図3は,第m区間内の音波の伝播を示す図である.Smは区間の断面積,pm +は区間内を末梢側に向かって進む進行波の音圧,pm -は区間内を中枢側に向かって進む反射波の音圧を表す.区間m内の進行波pm +は,区間(m+1)との境界で一部が反射される.一方,区間(m+1)内を中枢側に向かって進んできた反射波pm+1 -の一部は区間境界を透過する.これらの反射波と透過波を重ね合わせたものが反射波pm -である.また,区間(m+1)内の進行波pm+1 +は,区間境界を通過したpm +の一部と,区間境界で反射されたpm+1 -の一部の重ね合わせである.なお,各区間の長さをlとし,各区間内の位置を座標xmで示し,時刻t,位置xmにおける音圧をpm +(xm,t)などと書く.ただし,混乱するおそれが無い場合には,添え字mを省略して位置をxで表す.
区間境界で,音圧と体積速度は連続であるから,各音圧の時刻tにおける値の間には,以下の関係が成り立つ.
Figure 0006090828
ただし,μは反射係数を表し,
Figure 0006090828
である.上の関係を,信号流れ図として表すと図4のようになる.ここで,τは,音波が区間長lを伝播するのに要する時間,rm (l)(t)は,音波が区間m内を距離lだけ進んだときの波形変化を表すインパルス応答である.(1)式の関係は,周波数領域では
Figure 0006090828
と表される.ただし,kmは第m区間内の波数,ωは角周波数,c0は音速(区間断面積に依らず一定と近似している),Pは音圧p(0,t)のフーリエ変換を表す.また,rm (l)(t)のフーリエ変換をe-αm lとしている.この関係を音圧の漸化式の形に変形すると
Figure 0006090828
となる.(4)式から,区間mにおける音波の伝播特性e-j km lと反射係数μがわかれば,区間m+1における進行波と反射波は,区間mにおける進行波と反射波から求まることがわかる.(4)式を再帰的に用いると
Figure 0006090828
Figure 0006090828
Figure 0006090828
となり,0からMの全てのmに対して,kmとμmがわかれば,上部気道端部の位置における進行波PM+1 +と反射波PM+1 -も,口唇位置の進行波P0 +および反射波P0 -から,逐次的に計算できることがわかる.口唇位置における進行波P0 +および反射波P0 -は,マイクロホン3および3’で検出された音圧に基づき,音響計測分野で周知の進行波/反射波分離手法を用いて求めることができる.なお,本実施例では,二つのマイクロホンを用いているが,一つのマイクロホンと粒子速度検出手段とを用いて,口唇位置における進行波と反射波を求めても構わない.粒子速度検出手段としては,音響インテンシティー計測用に利用されている粒子速度検出装置や従来のFOT法で用いられているニューモタコグラフなどを用いることができる.
次に,kmとμmを逐次的に決定する方法を説明する.式(4)の第二式両辺にe-j km lをかけて,時間領域で表現すると
Figure 0006090828
となる.ここで,rm (2l)(t)は,音波が区間m内を往復したときの波形変化を表すインパルス応答であり,周波数領域ではe-2αm lと書ける.ところで,強制振動を印加し始める時刻をt=0とすると,区間mまで音波が到達するには,mτの時間を要するから,各音波について
Figure 0006090828
という条件が成立する.(8)式でこの条件を考慮すると,区間mにおける進行波と反射波の間には
Figure 0006090828
の関係が成り立つ.μm-1が既知であればSmがわかる.区間m内の音波伝播特性rm (2l)(t)(またはそのフーリエ変換e-2αm l)は,断面積Smを基に推定することが可能である.このrm (2l)(t)とpm +,pm -を用いて,(10)式からμmを推定できるので,第(m+1)区間の断面積Sm+1が計算できる.以上のように,km(rm),μm,pm +(Pm ),pm -(Pm -)を,口唇側から抹消側に向かって,逐次的に決定していくことができる.なお,これまでの説明で明らかなように,連続的に断面積が変化する気道を短管の連鎖で近似表現しており,区間mの断面積Smは,区間の断面積を音響的な意味で平均したものを表している.また,気管の分岐部(カリーナ)よりも末梢側については,km,μmは,気道を一本と見なしたときの等価的な断面積と伝播特性を表す.
断面積Smに基づいて,区間内の伝播特性km(rm (l)(t))を推定する方法については,音声分析の分野などで研究が行われており(非特許文献5),声道(上部肺気道)内壁の機械的特性のデータなども蓄積されている.本実施例では,伝播特性km(rm (l)(t))の推定を,音声分析分野で周知の壁面モデルに基づいて行っている.
以上のように逐次的な推定を上部気道端部まで進めることで,式(5)に示したように,上部気道出口の音圧信号PM+1 +とPM+1 -が求まる.上部気道端部の音響インピーダンスZpは,進行波PM+1 +と反射波PM+1 -から
Figure 0006090828
と計算できる.このインピーダンスは,上部気道端部から末梢側気道を見込んだときの入力インピーダンスであり,上部気道の寄与を含まない.したがって,上部気道アーチファクトや上部気道状態の影響を受けることなく,末梢気道抵抗や末梢気道リアクタンスを推定することが可能になる.
なお,推定された気道断面積は,気道内の形態的変化の検査に利用される場合がある.さらに,流量センサー6の信号に基づいて呼気期間と吸気期間を判定し,それぞれの期間で気道断面積推定を行って比較することで,呼気時の気道狭窄が生じているか否かの検査に利用される場合がある.
本実施例では,強制振動波形には,図5のパルス信号を図6に示すように時間伸長した波形を用いている.図5の波形は,ガウシアンパルスを誤差関数でシグモイド化して作成している.図5の信号を用いた場合,(10)式において,pm +とpm -の極大値を比較するだけでμmを決定することができる.図6の信号は,図5の信号の各周波数成分に,周波数の二乗に比例した位相回転を付加して時間伸長したものである.スピーカーボックスから図6の波形を出力し,マイクロホンで検出した信号に,位相回転を引き去る逆操作を施すことで,等価的に,スピーカーボックスから図5のパルス信号を送出した場合と同じ測定ができる.図6の信号では,各周波数成分が時間軸上に分散するので,クレストファクターが大幅に減少し,高いS/N比を確保することが可能になっている.
上部気道は,典型的には,口唇から声門までに設定される.この上部気道をいくつの区間に分割するかは,検査目的や信号の周波数帯域などの条件によって決定される.ところで,ここまでの説明からわかるように,各区間長lの長さは,上部気道の全長がlの整数倍となるように取ることが望ましい.上部気道の長さは,被験者の体格等からおおよそ推定することが可能であるが,スピーカーボックスから,上部気道長を推定するためのパルス信号を送信するなどして,声門からの反射を利用して音響的に測定すれば,より正確に推定することができる.なお,検査目的によっては,口唇から声門までの上部気道を一つの区間で近似する場合もある.
逐次的推定過程における伝播特性km(rm (l)(t))の推定を,モデルに基づいて推定する[0034]のではなく,マイクロホンで検出した音圧信号自体に基づいて行うことも可能である。まず、強制振動信号として,高い周波数成分からなる等価パルス波形を用いて,上述の手順にしたがって,km(rm),μm,pm +(Pm ),pm -(Pm -)を推定する.高周波領域では,上部気道アーチファクトや区間内減衰の影響が小さいので,km(rm),μmの推定は精度よく進めることができる.次に,低周波域における伝播特性を推定するために,低い周波数成分を含む強制振動信号を用いて,断面積分布μmが既知という条件の下で,(10)式に基づいてkm(rm (l)(t))の推定を行う.すなわち,この場合には,インピーダンス推定は二つの工程からなり,第一の工程では,高い周波数成分を用いてkmとμmを決定し,第二の工程においては,第一の工程で決定したμm(断面積分布)を用いて,低周波域における伝播特性km(rm (l)(t))とインピーダンスを推定することになる.もし,第二の工程の強制振動に含まれる周波数成分では,低域の周波数分解能がなお不足する場合には,肺気道壁面の機械−音響モデルを先験知識として利用して,周波数特性を低域側に外挿することが行われる.
本実施例では,被験者は開口21を通して外気を自発呼吸しており,スピーカーボックスを利用して強制振動を重畳印加することを想定している.しかし,呼吸インピーダンスの測定は,強制呼吸装置が直流的呼吸流に振動的気流を重畳させて被験者の肺気道に送出している場合でも,自発呼吸に振動的な強制振動が重畳している場合と変わらない.すなわち,本方法は,人工呼吸器などと組み合わせて使用することも可能であるし,強制振動の印加手段はスピーカーボックスに限定される訳でもない.また,図6の信号の持続時間は短時間であるので,呼吸流量センサー6の信号を利用して,肺内気量の様々なレベルごとの呼吸インピーダンスを測定することもできる.
(第二実施例)
本発明の第二の実施例は,検査中に,被験者の自発的な協力が得られる場合に適した実現形態である.機器の構成は第一実施例と同一である.第二実施例においては,被験者は,検査の第一の工程において,マウスピースをくわえたままで一時的に声門を閉めることを求められる.声門を閉めた状態では,声門53において,インピーダンスは近似的に無限大となっている.
検査の第一の工程においては,声門までの上部気道の断面積と伝播特性が測定される.その方法としては,第一実施例と同じ方法を用いればよい.しかし,声門が閉じているという条件を活かして,以下の方法を取ることもできる.すなわち,強制振動信号として,パルス波やランダム波あるいは掃引正弦波や周波数をステップ的に変化させた正弦波などを用い,音声分析分野で周知の声道断面積推定手法(非特許文献7,8)を用いて,声門までの上部気道の断面積と伝播特性を求める.また,検査目的に応じて,上部気道を一区間で近似し,十分な低域成分を有する信号を用い,十分な測定時間をかけて特性を測定して,等価断面積と伝播特性を推定する場合もある.
検査の第二の工程においては,被験者は,声門を開けるよう指示される.この状態で,強制振動を印加して呼吸インピーダンスを測定する.第一の工程で推定した上部気道の特性を用いて上部気道出口における進行波と反射波を推定し,式(11)に基づいて,上部気道の寄与を除いた末梢側インピーダンスを計算する.その手順は第一実施例で説明した手順と同一である.なお,検査目的によっては,肺気道を,特性が既知の上部気道の出口が未知の末梢側気道インピーダンスZpで終端されているという回路モデルに基づき,口唇位置から呼吸インピーダンスを測定して,終端インピーダンスZpを推定するという方法を用いる場合もある.また,必要に応じて,被験者に対して,様々な肺内気量レベルで,声門を開けたまま呼吸動作を中断するように指示する場合がある.
(第三実施例)
本発明の第三実施例は,検査中に,被験者が発声できる場合に適した実現形態である.本実施例の機器構成も,第一実施例のそれと同一である.検査の第一の工程において,被験者は,マウスピースをくわえたまま,調音器官を自発呼吸時と同じ状態にして,発声することが求められる.このときの圧力変動信号(音声信号)は,マイクロホン3によって検出される.
検出された音声信号に基づき,音声分析の分野で周知の推定法,本実施例では偏相関関数(PARCOR)を用いた推定法(非特許文献9)で,上部気道(声道)断面積が気道軸に沿って逐次的に推定される.声道断面積関数すなわち口唇部分から声門までの区間の断面積Smの分布が求まれば,第一実施例ないしは第二実施例と同様の方法によって,声門までの上部気道の伝播特性も推定できる.
第二の工程では,被験者は,発声を止めて自発呼吸を再開するよう指示される.以下,第二実施例の第二の工程と同様の手順によって,声門から肺気道の末梢側を見込んだ末梢気道インピーダンスの推定をおこなう.
本発明の第一実施例の構成を示す図である. 短管の連鎖で表現した肺気道の模式図である. 肺気道の各区間内の音響伝播を説明する図である. 肺気道の区間内と境界での信号の流れを示す図である. 強制振動に用いられる信号の等価波形である. 時間伸長された実際の強制振動波形である.
1 スピーカーボックス
2 検査用管
21 呼吸用開口
3,3’ マイクロホン
4 信号処理装置
5 被験者
51 上部気道
52 末梢気道
53 声門
54 胸郭
6 呼吸流量センサー

Claims (3)

  1. 肺気道に強制振動を印加し,肺気道ないしは肺気道に連結した管の中の圧力変動を検出して呼吸インピーダンスを測定する肺機能検査装置において,上部気道の断面積を推定する手段を有し,該手段によって推定した上部気道断面積の情報に基づいて,呼吸インピーダンスに対する上部気道の寄与をのぞき,上部気道の末梢側端部位置から肺気道の末梢側を見込んだインピーダンスを推定することを特徴とする肺機能検査装置.
  2. 口唇より肺気道に強制振動を印加し,このとき口唇近傍に生じる圧力変動を検出して,口唇側から末梢側に向かって伝播する進行波と,末梢側から口唇側に向かって伝播する反射波を分離し,音波の伝播所要時間の情報を利用して,肺気道内の各位置の断面積とそこで生じる反射の推定を末梢側に向かって逐次的に進め,肺気道内の所望の位置までの断面積を推定する上部気道断面積推定手段を有することを特徴とする,請求項1に記載の肺機能検査装置.
  3. 被験者が発する音声信号を口唇近傍で検出して,検出した音声信号に基づいて口唇近傍から声門までの上部気道断面積を気道軸に沿って逐次的に推定する上部気道断面積推定手段を有することを特徴とする,請求項1に記載の肺機能検査装置.
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