ここでは、実施の形態1、2の電力供給装置について説明する前に、前提技術の電力供給装置について説明する。
図1は、前提技術の電源装置を用いた電源系を示す図である。図1(A)には、無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply unit: UPS)としての電源装置1Aを示し、図1(B)には、無瞬断電源切替装置(Static Transfer Switch: STS)としての電源装置1Bを示す。
図1(A)、(B)に示す電源装置1A、1Bには、ともに2種類の交流電力A、交流電力Bが入力されており、交流電力A、Bに基づく交流電力をサーバ5A〜5Cの電源用に出力する。
サーバ5A〜5Cに電力を供給する場合には、万一の停電等への対処が必要であるため、異なる交流電源から供給される2種類の交流電力A、Bを電源系に引き込んでいる。ここで、交流電力Aを利用しているときに、交流電力Aが停電等によって途絶えた場合には、サーバ5A〜5Cへの電力の供給源を交流電力Aから交流電力Bに切り替えることになる。
そして、このような場合にサーバ5A〜5Cの動作に影響を与えずに交流電力を切り替えるには、交流電力の半周期程度の時間で切り替えを行う必要がある。
例えば、交流電力の周波数が50Hzである場合には、交流電力の1周期が20ms(ミリ秒)になるため、半周期の10ms以内に交流電力Aから交流電力Bに切り替えることになる。
図1(A)に示す電源装置1Aは、バッテリ2を内蔵しており、PSU(Power Supply Unit:電力供給装置)3A、3Bに交流電力を供給する。PSU3A、3Bは、電源装置1から供給される交流電力を所定電圧の直流電力に変換し、サーバ5A〜5Cに供給する。
電源装置1Aは、停電等が発生しておらず、交流電力A、Bがともに供給されている通常時は、常にバッテリ2を充電しながら交流電力をPSU3A、3Bに出力する。
また、電源装置1Aは、交流電力A、Bの一方が停電等で途絶えて十分な電力を出力できないとき、又は、交流電力A、Bの両方が停電等によって途絶えたときには、バッテリ2に充電した電力を交流変換してPSU3A、3Bに出力する。
また、図1(A)に示す電源系では、サーバ5A〜5B側に2つのPSU3A、3Bが設けられており、直流電力源が冗長化されている。PSU3A、3Bのどちらか一方で電源装置1Aから供給される交流電力を直流変換しておき、一方が故障又は破損等で動作しなくなったときには他方を利用することができる。
以上のような電源装置1Aを用いれば、停電等で交流電力A、Bの一方又は両方が途絶えたときでも、サーバ5A〜5Cの電源を確保することができる。また、PSU3A、3Bのどちらかが故障又は破損等で動作しなくなったときでも、他方を利用することによって直流電力を供給できる。
従って、信頼性の非常に高い電源系を構築することができる。ただし、バッテリ2と直流電力を交流変換するコンバータが必要になるため、非常に高価である。
また、図1(B)に示す電源装置1Bは、図1(A)に示す電源装置1Aのようにバッテリ2を含まない。電源装置1Bから出力される交流電力は、サーバ5A〜5C側に設けられたPSU4で所定電圧の直流電力に変換され、サーバ5A〜5Cに供給される。
このように、電源装置1Bは、バッテリ2を含まないため、電源装置1Aよりも構成を簡易にでき、低コスト化を図ることができる。また、交流電力A、Bの両方が途絶えることは通常は考えにくいため、十分な信頼性を確保することができる。
しかしながら、万一交流電力A、Bの両方が途絶えたときは、サーバ5A〜5Cに電力を供給できなくなるため、図1(A)に示す電源装置1Aに比べると、信頼性で劣る。
また、サーバ5A〜5C側には1つのPSU4が設けられており、図1(A)のPSU3A、3Bのように冗長系は構築されていない。従って、低コスト化を図ることができる一方、交流電力を直流変換する変換部における信頼性は、図1(A)に示す電源系に比べると劣る。
以上のように、図1(A)、(B)に示す電源装置1A、1Bを含む電源系は、サーバ5A〜5Cの用途等によって使い分けられている。例えば、サーバ5A〜5Cをデータセンタ等で用いる場合には、データの重要度等によって使い分けることができる。
サーバ5A〜5Cの重要度が非常に高い場合には、図1(A)に示す電源装置1Aを含む電源系を用いればよいし、サーバ5A〜5Cの重要度の比較的低い場合には、図1(B)に示す電源装置1Bを含む電源系を用いればよい。
特に、電源系の信頼性よりもサーバの数を重視する場合には、図1(B)に示す電源装置1Bを含む電源系を用いることがコスト面から有利である。
次に、図2及び図3を用いて、電源装置1Bの具体的な回路構成と動作について説明する。
図2は、前提技術の電源装置1Bを含む電源系を示す図である。図2には、電源装置1Bから1つのPSU4を介して3つのサーバ5A〜5Cに電力を供給する電源系を示す。
電源装置1Bは、入力端子11A、11B、出力端子12、半導体リレー20、リレー30、リレーコイル31、半導体リレー35、及び制御回路40を含む。
入力端子11A、11Bは、それぞれ、交流電力A、Bが入力される端子である。入力端子11Aは、リレー30の一対の入力端子の一方に接続されている。入力端子11Bは、半導体リレー20の入力端子と、リレー30の他方の入力端子とに接続されている。
入力端子11A、11Bは、それぞれ、互いに異なる2つの交流電源に接続されている。2つの交流電源は、それぞれ、交流電力A、Bを出力する。
なお、以下では、交流電力Aを主交流電源から供給される主交流電力として取り扱い、交流電力Bを副交流電源から供給される副交流電力として取り扱う。
また、交流電力Aが瞬断又はスローな電力低下等の停電によって途絶えた状態を停電時と称し、停電が生じていない通常の状態を通常時と称す。また、通常時における電源装置1Bの動作を通常動作と称す。
電源装置1Bは、通常動作時は主交流電力である交流電力Aを出力端子12から出力し、交流電力Aの停電時は、副交流電力である交流電力Bを出力端子12から出力する。
出力端子12は、電源装置1Bが交流電力を出力する端子である。出力端子12は、半導体リレー20及びリレー30の出力端子に接続されている。
半導体リレー20は、半導体スイッチ21及びドライバ22を有する。半導体リレー20は、通常動作時には非導通状態にされ、入力端子11Bを出力端子12から切り離す。このとき、入力端子11Aに入力される交流電力Aはリレー30を経て出力端子12から出力される。
また、半導体リレー20は、交流電力Aに停電が生じたときに導通状態になり、入力端子11Bを出力端子12に接続する。
半導体スイッチ21は、例えば、ソリッドステートリレーで実現される。ソリッドステートリレーは、通常動作時は、入力端子11Bを出力端子12から切り離しておき、交流電力Aに停電が生じたときに、入力端子11Bを出力端子12に接続する。
ドライバ22は、半導体スイッチ21のソリッドステートリレーを駆動する駆動部である。ドライバ22は、制御部80によって駆動される。ドライバ22は、制御部80から入力される制御信号により、通常動作時には入力端子11Bを出力端子12から切り離すように半導体スイッチ21を駆動し、交流電力Aの停電時には入力端子11Bと出力端子12とを接続するように半導体スイッチ21を駆動する。
このような半導体リレー20は、交流電力Aの停電が生じたときに機械式のリレー30を高速で切り替えることができない場合に、出力端子12への電力の供給元を交流電力Bに素早く切り替えるために設けられている。
このため、リレー20を用いるのは、交流電力Aに停電が生じて、電力の供給元を交流電力Aから交流電力Bに切り替えるときであり、リレー30が入力端子11Bと出力端子12とを接続した後は、リレー20は入力端子11Bと出力端子12とを切り離される。半導体リレー20を介して電力供給を行うと、機械式のリレー30よりも損失が大きくなるからである。
リレー30は、入力端子11A及び11Bと出力端子12との間に直列に挿入されている。リレー30は、機械式のリレーであり、リレーコイル31によって駆動される。リレーコイル31は、リレードライバ90から入力される駆動信号によって駆動される。
リレー30は、通常動作時は入力端子11Aと出力端子12とを接続し、交流電力Aが出力端子12から出力される経路を形成する。また、リレー30は、停電時は電力の供給元を交流電力Aから交流電力Bに切り替えるために、入力端子11Bと出力端子12とを接続し、交流電力Bが出力端子12から出力される経路を形成する。
半導体リレー35は、半導体スイッチ36とドライバ37を有する。半導体リレー35は、リレー30の出力端子と出力端子12との間に直列に挿入されている。半導体スイッチ36は、例えば、ソリッドステートリレーで実現される。
半導体リレー35は、交流電力Aの停電時に半導体リレー20とリレー30を切り替える際に、入力端子11Aと11Bとが短絡することを防止するために設けられている。
すなわち、半導体リレー20をオンにするとともに、リレー20の接続を入力端子11Aから入力端子11Bに切り替える際に、動作の速い半導体リレー20が導通する期間と、動作の遅いリレー30の切り替えが済む前に入力端子11Aに接続されている期間との重複期間に、入力端子11Aと11Bとの短絡を防止するために設けられている。
半導体リレー35のドライバ37は、制御部80によって駆動され、半導体リレー20が導通状態にされるのと同時に非導通状態にされる。そして、リレー30によって入力端子11Bと出力端子12とが接続されると、半導体リレー20が非導通状態にされるのと同時に導通状態にされる。
制御回路40は、アッテネータ45、整流回路50、制御回路電源55、LPF(Low Pass Filter:ローパスフィルタ)60H、60L、コンパレータ70H、70L、制御部80、及びリレードライバ90を有する。
アッテネータ45は、自己の入力端子が入力端子11Aに接続されており、自己の出力端子が整流回路50の入力端子に接続されている。アッテネータ45は、入力端子11Aに入力される交流電力Aを分圧(減衰)して出力する。
整流回路50は、全波整流を行うダイオードブリッジを有し、アッテネータ45の出力電圧を全波整流して出力する。
制御回路電源55は、自己の入力端子が半導体リレー20及びリレー30の出力端子に接続され、半導体リレー20又はリレー30を介して入力される交流電力を直流変換して、コンパレータ70H、70L、制御部80、及びリレードライバ90に供給する。すなわち、制御回路電源55は、コンパレータ70H、70L、制御部80、及びリレードライバ90に電力供給を行う。
LPF60H、60Lは、自己の入力端子が整流回路50の出力端子に接続され、整流回路50の出力電圧からノイズを除去する。ノイズとしては、例えば、交流電力Aを出力する交流電源のスイッチがオンにされたときに生じるノイズがある。LPF60H、60Lは、電源装置1Bの誤動作を抑制するために設けられている。
LPF60H、60Lの出力端子は、それぞれ、コンパレータ70H、70Lの一方の入力端子(反転入力端子)に接続されている。
コンパレータ70H、70Lは、それぞれ、一対の入力端子(反転入力端子と非反転入力端子)を有し、それぞれの反転入力端子にはLPF60H、60Lの出力端子が接続されている。また、コンパレータ70H、70Lのそれぞれの非反転入力端子には、制御回路電源55から出力される直流電力に基づいて生成される所定の閾値電圧が入力される。
コンパレータ70Hは、交流電力Aに瞬断のような高速での電力低下が生じたときに、電力低下を検出できるように所定の閾値電圧が設定されている。交流電力Aの瞬断は、電源装置1Bに比較的近い場所にあるブレーカーが落ちた場合に生じうる。このように、高速での電力低下とは、電力の瞬断のように瞬間的に電力が遮断されることをいう。
また、コンパレータ70Lは、交流電力Aに低速での電力低下が生じたときに、電力低下を検出できるように所定の閾値電圧が設定されている。低速での電力低下は、例えば、電源装置1Bから遠く離れた変電所等が停電したときに生じうる。電源装置1Bから比較的遠い箇所で停電が生じると、停電箇所と電源装置1Bとの間の送電線等の容量が大きいため、電力は瞬時には低下せず、比較的緩やかに低下する。このように、低速での電力低下とは、比較的緩やかに電力が低下することをいう。
コンパレータ70H、70Lは、それぞれ、LPF60H、60Lの出力端子から反転入力端子に入力される電圧を所定の閾値電圧と比較した結果を制御部80に出力する。コンパレータ70H、70Lの出力は、それぞれ、LPF60H、60Lの出力端子から入力される電圧が所定の閾値電圧以上のときは、L(Low)レベルである。
コンパレータ70H、70Lの出力は、それぞれ、LPF60H、60Lの出力端子から入力される電圧が所定の閾値電圧未満になると、L(Low)レベルからH(High)レベルに切り替わる。
制御部80は、LPF60H、60Lから入力される比較結果を監視し、交流電力Aにおける高速又は低速での電力低下による停電の有無を監視する。
リレードライバ90は、制御部80によって交流電力Aの停電が生じたと判断されたときに、リレーコイル31を駆動するための駆動信号を出力する。制御部80によって交流電力Aの停電が生じたと判断されると、リレードライバ90は、リレー30への交流電力の入力元を入力端子11Aから入力端子11Bに切り替えるための駆動信号をリレーコイル31に出力する。この結果、リレー30は、交流電力Bを出力端子12に出力するように、交流電力の入力元が切り替えられる。
なお、以上では、リレー30に加えて半導体リレー20を用いた回路構成の電源装置1Bについて説明した。出力端子12に接続されるサーバ5A〜5Cに供給する電力量が多い場合には、機械式のリレー30として容量の大きいリレーを用いる必要がある。
例えば、定格が1kW以上のような容量の大きいリレーは、入力先を切り替えるのに約20ms以上の時間がかかり、動作が低速である。このように低速動作のリレー30だけでは、交流電力の半周期(例えば10ms)以内に切り替えを完了することが困難になる場合がある。
このような場合に高速な切り替えを実現するために、図2に示す電源装置1Bでは、機械式のリレー30に加えて、高速動作が可能な半導体リレー20及び35を設けている。図2に示す電源装置1Bでは、交流電力Aの停電が生じると、半導体リレー20に入力端子11Bと出力端子12とを接続させるとともに、リレー30に入力端子11Bと出力端子12とを接続させる。
機械式のリレー30は切り替え動作が遅いため、切り替え直後には半導体リレー20を介して交流電力Bを出力端子12に供給する。なお、リレー30の切り替えが完了して動作が安定したときに、半導体リレー20を切り替えることにより、入力端子を出力端子12から切り離してもよい。
また、例えば、出力端子12に接続されるサーバの数が少なく、機械式のリレー30として小さな容量で高速の切り替えが可能なリレーを用いることができる場合は、電源装置1Bは、半導体リレー20を含まなくてもよい。この場合は、半導体リレー35も省略することができる。
図3は、前提技術の電源装置1Bにおいて、高速での電力低下による停電と、低速での電力低下による停電とが生じた場合の動作波形を示す図である。
図3(A1)は、高速な電力低下による停電が生じる際の入力端子11Aにおける交流電力Aの実効値を示す図であり、図3(A2)は、図3(A1)に対応する交流電力Aの瞬時電圧を示す図である。
図3(A3)は、図3(A1)、(A2)のときにおけるコンパレータ70H及び70Lの反転入力端子に入力される交流波形と、閾値電圧との関係を示す図であり、図3(A4)は、コンパレータ70H及び70Lの出力波形を示す図である。
なお、図3(A3)において、コンパレータ70Hの所定の閾値電圧をTHH(細実線)で示し、コンパレータ70Hの反転入力端子に入力される交流電圧を細実線で示す。また、コンパレータ70Lの所定の閾値電圧をTHL(太破線)で示し、コンパレータ70Lの反転入力端子に入力される交流電圧を太破線で示す。
また、図3(A4)において、コンパレータ70Hの出力を太破線で示し、コンパレータ70Lの出力を細実線で示す。なお、図3(A1)〜(A4)において横軸は共通であり、時間軸である。
図3(A1)に示すように、時刻0ms〜60msでは交流電力Aの実効値が約200Vであり、このとき図3(A2)に示すように交流電力Aの瞬時電圧は、振幅が280Vの交流電圧である。
また、このとき、図3(A3)に太破線で示すように、コンパレータ70Hの反転入力端子への入力電圧は、太破線で示す閾値電圧THH(約0.6V)よりも高い交流電圧である。また、コンパレータ70Lの反転入力端子への入力電圧は、細実線で示すように約4.5Vであり、細実線で示す閾値電圧THL(約4.2V)よりも高い。
このため、図3(A4)に示すように、コンパレータ70H及び70Lの出力電圧はLレベルである。
図3(A1)、(A2)に示すように、時刻t1(約72ms)で交流電力Aに瞬断が生じると、図3(A3)に示すように、コンパレータ70Hの反転入力端子への入力電圧が閾値電圧THH(約0.6V)未満になり、図3(A4)に示すように、コンパレータ70Hの出力がHレベルになる。これにより、コンパレータ70Hによって交流電力Aの瞬断が検出されたことになる。
なお、図3(A3)に示すように、時刻80msあたりで、コンパレータ70Lの反転入力端子への入力電圧が閾値電圧THL(約4.2V)未満になると、図3(A4)に示すように、コンパレータ70Lの出力がHレベル(1.0V)になる。
コンパレータ70Lの出力の切り替わりがコンパレータ70Hよりも遅れるのは、低速での電力低下を検出するために最適化された閾値電圧THLをコンパレータ70Lの入力電圧が下回るのに、高速での電力低下を検出するために最適化された閾値電圧THHをコンパレータ70Hの入力電圧が下回るよりも時間がかかったためである。
また、図3(B1)は、低速な電力低下による停電が生じる際の入力端子11Aにおける交流電力Aの実効値を示す図であり、図3(B2)は、図3(B1)に対応する交流電力Aの瞬時電圧を示す図である。
図3(B3)は、図3(B1)、(B2)のときにおけるコンパレータ70H及び70Lの反転入力端子に入力される交流波形と、閾値電圧との関係を示す図であり、図3(B4)は、コンパレータ70H及び70Lの出力波形を示す図である。
なお、図3(B3)に示すコンパレータ70Hの所定の閾値電圧THH(細実線)とコンパレータ70Lの所定の閾値電圧をTHL(太破線)は、図3(A3)に示す閾値電圧THH、THLと同様である。
また、コンパレータ70Hの反転入力端子に入力される交流電圧を細実線で示し、コンパレータ70Lの反転入力端子に入力される交流電圧を太破線で示す。
また、図3(B4)において、コンパレータ70Hの出力を太破線で示し、コンパレータ70Lの出力を細実線で示す。なお、図3(B1)〜(B4)において横軸は共通であり、時間軸である。
図3(B1)〜(B4)に示すように、時刻0ms〜60msにおける波形は、図3(A1)〜(A4)に示す波形と同様である。
図3(B1)に示すように、時刻t11(約30ms)で交流電力Aに低速での電力低下が生じると、時刻約80msで実効値が10%低下して180Vになる。このような低速での電力低下の場合には、一例として、実効値が約15%以上低下すると、交流電力を切り替える必要が生じる。
そして、図3(B3)に示すように、時刻t12(約88ms)において、コンパレータ70Lの反転入力端子への入力電圧が閾値電圧THL(約4.2V)未満になり、図3(B4)に示すように、コンパレータ70Lの出力がHレベル(1.0V)になる。閾値電圧THL(約4.2V)は、停電が生じていないときのコンパレータ70Lの一方の端子への入力電圧の約88%に相当する電圧である。これにより、コンパレータ70Lによって交流電力Aの低速での電力低下が検出されたことになる。
なお、図3(B3)に示すように、コンパレータ70Hの反転入力端子への入力電圧は、閾値電圧THH(約0.6V)を下回らず、図3(B4)に示すように、コンパレータ70Hの出力がLレベル(0V)に保持される。すなわち、交流電力Aの低速での電力低下は、コンパレータ70Hによっては検出されない。
交流電力Aに低速での電力低下が生じた場合は、高速での電力低下が発生したときほど迅速に対応することは求められない。しかしながら、図3(B3)に示すコンパレータ70Lの反転入力端子に入力する交流電力の振幅の減少を検出するために、閾値電圧THLの値は、高速での電力低下を検出するための閾値電圧THH(図3(A3)参照)とは大きく異なる。
以上のように、前提技術の電源装置1Bでは、交流電力Aの高速での電力低下を検出するために、LPF60H及びコンパレータ70Hが必要であり、交流電力Aの低速での電力低下を検出するために、LPF60L及びコンパレータ70Lが必要である。
従って、前提技術の電源装置1Bは、構成要素の数が多く、簡易な構成で実現することが困難である。
また、出力端子12に接続されるサーバの数が多い場合のように、出力端子12から供給する電力量が多い場合には、容量が大きく動作が遅い機械式のリレー30の切り替えを補うために、高速動作が可能な半導体リレー20及び35を用いる必要がある。
また、電源装置1Bでは、例えば、交流電力Aの電圧値に応じて、コンパレータ70H、70Lの閾値電圧THH、THLの値を変える必要があり、同様に、交流電力Aの周波数に応じてコンパレータ70H、70Lの閾値電圧THH、THLの値を変える必要がある。このため、交流電力Aの電圧値及び周波数等に応じて、電源装置1Bの仕様を変更する必要がある。
従って、以下では、前提技術の電源装置1Bよりも構成が簡易で性能の優れた、実施の形態1、2の電力供給装置について説明する。
以下、本発明の電力供給装置を適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図4は、実施の形態1の電力供給装置100を示す図である。実施の形態1の電力供給装置100は、所謂PSU(Power Supply Unit)としてサーバ5に取り付けられ、あるいは、直近に配設される。電力供給装置100には、交流電力Aと交流電力Bが入力され、サーバ5に所定電圧の直流電力を供給する。
電力供給装置100は、入力端子101A、101B、出力端子102、リレー110、リレーコイル111、整流回路120、PFC(Power Factor Correction)回路130、DC(Direct Current)−DCコンバータ140、及び制御回路150を含む。
なお、以下では、交流電力Aを主交流電源から供給される主交流電力として取り扱い、交流電力Bを副交流電源から供給される副交流電力として取り扱う。
また、交流電力Aが瞬断又はスローな電力低下等の停電によって途絶えた状態を停電時と称し、停電が生じていない通常の状態を通常時と称す。また、通常時における電源装置1Bの動作を通常動作と称す。
また、交流電力A、Bの周波数は50Hzであるものとして説明を行う。
入力端子101A、101Bには、それぞれ、主交流電源及び副交流電源に接続され、交流電力A、交流電力Bが入力される。入力端子101A、101Bは、電力供給装置100の内部では、それぞれ、リレー110の一対の入力端子110A、110Bに接続されている。入力端子110A、110Bは、それぞれ、第1入力端子、第2入力端子の一例である。
出力端子102は、電力供給装置100の内部では、DC−DCコンバータ140の出力端子に接続され、電力供給装置100で生成する所定電圧の直流電力を出力する端子である。出力端子102は、サーバ5の直流電力を入力する端子に接続される。例えば、出力端子102からは12Vの直流電力が出力される。出力端子102は、電力出力端子の一例である。
リレー110は、機械式のリレーであり、一対の入力端子110A、110Bと出力端子110Cを有する。入力端子110Aは入力端子101Aに接続され、入力端子110Bは入力端子101Bに接続される。出力端子110CはPFC回路130の入力端子に接続される。
リレー110は、一例として、定格が0.5kW程度の比較的小さい容量の機械式のリレーであり、交流電力Aの半周期(10ms)未満での高速切替動作を行うことができるものである。このように容量の小さい機械式のリレーは、容量の大きな機械式のリレー又は半導体リレー等に比べて安価である。
リレー110は、リレーコイル111によって駆動される。リレーコイル111は、リレードライバ175から入力される駆動信号によって駆動され、リレー110の切り替えを行う。
リレー110は、通常動作時は、入力端子110Aと出力端子110Cとを接続し、交流電力Aの停電が発生すると、入力端子110Bと出力端子110Cとを接続するように、切り替えられる。
また、リレー110は、入力端子110Bと出力端子110Cとを接続した後に、タイマー180によって所定時間がカウントされると、再び接続が切り替えられ、入力端子110Aと出力端子110Cとを接続する。このとき制御回路150は、交流電力Aが復帰していれば、入力端子110Aと出力端子110Cとの接続状態を保持し、交流電力Aが復帰していなければ、さらに接続を切り替え、入力端子110Bと出力端子110Cとを接続する。
整流回路120は、入力端子がリレー110の出力端子110Cに接続され、出力端子がPFC回路130の入力端子に接続される。整流回路120はブリッジ型に接続された4つのダイオードを有しリレー110から入力される交流電力(A又はB)を全波整流してPFC回路130に出力する。
PFC回路130は、所謂力率改善回路であり、入力端子130Aと出力端子130Bを有する。入力端子130Aは、整流回路120の出力端子に接続され、出力端子130BはDC−DCコンバータ140の入力端子と、制御回路150の入力端子150Aとに接続される。
また、PFC回路130は、昇圧スイッチングコンバータと同様の回路構成を有する。PFC回路130は、整流回路120で全波整流された電力の昇圧を行うと共に力率を改善し、、直流電力を出力する。
なお、整流回路120とPFC回路130は、リレー110から出力される交流電力を直流電力に変換する第1電力変換部の一例である。また、PFC回路130は、力率改善回路の一例である。
ここで、図5を用いて、PFC回路130の動作について説明する。
図5は、実施の形態1の電力供給装置100のPFC回路130及び周辺の回路と、PFC回路130の入力電圧、入力電流、及び出力電圧の波形とを示す図である。
図5(A)には、PFC回路130に加えて、入力端子101G、リレー110、整流回路120、及び交流電源190を示す。入力端子101Gは、入力端子101Aに対応するグランド電位の入力端子であり、図4では図示を省略している。また、交流電源190は、交流電力Aを出力する電源である。
図5(A)では、リレー110は入力端子110Aと出力端子110Cとが接続された状態であり、交流電源190から入力される交流電力Aは整流回路120に入力される。整流回路120は、図5(A)に示すように、ブリッジ型に接続される4つのダイオードを有する。
PFC回路130は、入力端子130A、130GA、出力端子130B、130GB、コイル131、NMOS(N-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ132、ダイオード133、及び平滑用コンデンサ134を有する。
入力端子130GAと出力端子130GBは、それぞれ、入力端子130Aと出力端子130Bに対応するグランド電位の入力端子と出力端子である。入力端子130GAと出力端子130GBは、図4では図示を省略している。
コイル131とダイオード133は、入力端子130Aと出力端子130Bとの間に直列に接続されている。ダイオード133のアノードはコイル131に接続され、カソードは出力端子130Bに接続される。
NMOSトランジスタ132は、ドレインがコイル131とダイオード133のアノードとの間に接続され、ソースが接地され、ゲートがPFC回路130内の駆動回路によって駆動される。
平滑用コンデンサ134は、一端(図中上側の端子)がダイオード133のカソードと出力端子130Bとの間に接続され、他端(図中下側の端子)が接地される。
PFC回路130は、上述のような回路構成を有し、入力される電力の力率を改善するとともに昇圧を行い、直流電力を出力する。
図5(B)に示すように、一例として、入力端子130A、130GA間に入力される交流電力の入力電圧が細実線で示すように正弦波状に変化するのに対して、太実線で示す交流電力の入力電流は瞬時的にしか流れず、力率が悪い。これは、主に、入力端子130A、130GA間の電圧値が平滑用コンデンサ134の両端子間電圧よりも高いときしか電流が流れないためである。
このように、図5(B)に示す入力電圧及び入力電流を有する交流電力が入力端子130A、130GAから入力されても、PFC回路130を用いれば、図5(C)に示すように、整流回路120から出力される電力を昇圧するとともに、力率を改善することができる。
なお、図5(C)に示す直流電力には、もとの交流電力の周波数に等しい多少の変動成分が含まれるが、その変動分はPFC回路130から出力される直流電力の電圧値(図5(C)では約380V)に比べれば無視できる程度である。
図4に示すDC−DCコンバータ140は、PFC回路130から出力される直流電力を降圧する。ここでは、PFC回路130からDC−DCコンバータ140に380Vの直流電力が入力され、12Vに降圧されて出力されることとする。
DC−DCコンバータ140で12Vまで降圧するのは、出力端子102に接続されるサーバ5(図4(A)参照)に供給する直流電圧の電圧値が12Vだからである。なお、DC−DCコンバータ140は、第2電力変換部の一例である。
制御回路150は、入力端子150A、出力端子150B、電源入力端子150C、アッテネータ155、LPF160、コンパレータ165、判定制御部170、リレードライバ175、及びタイマー180を有する。
入力端子150Aは、PFC回路130の出力端子130Bに接続され、PFC回路130から出力される直流電圧が入力される。
出力端子150Bは、制御回路150の内部では、リレードライバ175の出力端子に接続され、制御回路150の外部では、リレーコイル111に接続される。制御回路150は、出力端子150Bを介して、リレードライバ175が出力する駆動信号をリレーコイル111に出力する。
電源入力端子150Cは、DC−DCコンバータ140の出力端子に接続されており、DC−DCコンバータ140が出力する直流電力を電源として制御回路150に入力する端子である。電源入力端子150Cは、制御回路150の内部では、コンパレータ165、判定制御部170、リレードライバ175、及びタイマー180に接続されている。
DC−DCコンバータ140が出力する直流電力の一部は、電源入力端子150Cを介して、コンパレータ165、判定制御部170、リレードライバ175、及びタイマー180に供給される。
アッテネータ155は、PFC回路130が出力する直流電圧を分圧してLPF160に出力する。ここでは、一例として、アッテネータ155は、PFC回路130が出力する直流電圧を1/20に分圧(減衰)して出力する。なお、アッテネータ155は、減衰回路の一例である。
LPF160は、アッテネータ155の出力電圧からノイズを除去する。ノイズとしては、例えば、交流電力Aを出力する交流電源に電力供給装置100と並列に接続されている別の同様な電源供給装置装置のスイッチがオンにされたときに生じるノイズがあり、LPF160は、例えば、交流電源190(図5参照)に電力供給装置100と並列に接続されている別の同様な電源供給装置装置がオンされた際に生じうるノイズを除去することにより、交流電源190に電力供給装置100と並列に接続されている別の同様な電源供給装置装置のオンに伴う電圧変動によって制御回路150が誤動作を起こさないようにするために設けられている。
コンパレータ165は、反転入力端子にLPF160の出力端子が接続されている。また、コンパレータ165の非反転入力端子には、抵抗器R1及びR2で構築される分圧回路が接続されており、所定の閾値電圧が入力される。所定の閾値電圧は、電力入力端子150Cを介してDC−DCコンバータ140から入力される直流電圧が、抵抗器R1及びR2で構築される分圧回路で分圧されることによって生成される。
コンパレータ165は、交流電力Aに高速又は低速での電力低下が生じたときに、電力低下を検出できるように所定の閾値電圧が設定されている。実施の形態1の電力供給装置100のコンパレータ165は、交流電力Aの高速での電力低下と低速での電力低下の両方を検出することができる。コンパレータ165は、比較器の一例である。
コンパレータ165は、LPF160から反転入力端子に入力される電圧値が、非反転入力端子に入力される所定電圧の閾値電圧未満になると、Hレベルの信号を出力する。すなわち、コンパレータ165は、直流電力Aの高速又は低速での電力低下が生じて、反転入力端子に入力される電圧値が、非反転入力端子に入力される所定電圧の閾値電圧未満になると、Hレベルの信号を出力する。
これは、コンパレータ165が出力する信号が、交流電力Aの停電の有無を表すことを意味する。
なお、コンパレータ165は、電力供給装置100の通常動作時はLレベルの信号を出力する。
判定制御部170は、コンパレータ165から入力される信号の信号レベルを監視し、信号がLレベルからHレベルに切り替わるとリレードライバ175に、リレー110の入力端子110Bと出力端子110Cとを接続させるための信号レベルの駆動信号をリレーコイル111に出力する。判定制御部170は、判定部の一例である。
また、判定制御部170には、タイマー180が接続されている。判定制御部170は、リレー110の入力端子110Bと出力端子110Cとを接続させるための信号レベルの駆動信号をリレーコイル111に出力する際に、タイマー180のカウントを開始させる。
例えば、判定制御部170がリレーコイル111に出力する信号レベルの駆動信号でタイマー180が所定時間のカウントを開始するようにしておけばよい。また、タイマー180は所定時間のカウントを終了すると、判定制御部170にカウントを終了したことを表す信号を入力するようにしておけばよい。
このような場合には、判定制御部170は、タイマー180からカウントを終了したことを表す信号が入力されると、駆動信号を再度切り替え、リレー110の入力端子110Aと出力端子110Cとを接続させるための信号レベルの駆動信号をリレーコイル111に出力する。
この結果、交流電力Aに基づく直流電力がPFC回路130から出力され、コンパレータ165が出力する信号に基づき、判定制御部170が交流電力Aの停電の有無を判断することになる。
交流電力Aの停電状態が続いていれば、判定制御部170は、リレードライバ175からリレーコイル111に出力する駆動信号の信号レベルを切り替え、リレー110の入力端子110Bと出力端子110Cとを接続させる。
交流電力Aが停電から復帰していれば、判定制御部170は、リレードライバ175からリレーコイル111に出力する駆動信号の信号レベルを切り替えずに、リレー110の入力端子110Aと出力端子110Cとを接続させた状態を保持する。
なお、このような判定制御部170は、IC(Integrated Circuit)チップで実現してもよいし、組み合わせ回路によって構築してもよい。
リレードライバ175は、判定制御部170からの指令に基づく信号レベルの駆動信号をリレーコイル111に出力する。リレードライバ175は、切替駆動部の一例である。
タイマー180は、判定制御部170がリレー110の入力端子110Bと出力端子110Cとを接続させるための信号レベルの駆動信号をリレーコイル111に出力する際に、リレーコイル111に入力される駆動信号と同一の駆動信号が入力されることにより、カウントを開始する。
また、タイマー180は所定時間のカウントを終了すると、判定制御部170にカウントを終了したことを表す信号を入力する。タイマー180がカウントする所定時間は、電力供給装置100が用いられる環境等に応じて、最適な時間に設定すればよい。
次に、図6を用いて、実施の形態1の電力供給装置100の動作について説明する。
図6は、実施の形態1の電力供給装置100において、交流電力Aの停電が生じた場合の動作波形を示す図である。
図6(A)は、高速な電力低下による停電が生じる際の入力端子101Aにおける交流電力Aの実効値を示す図であり、図6(B)は、図6(A)に対応する交流電力Aの瞬時電圧を示す図である。
図6(C)は、図6(A)、(B)の交流電力が入力されたときにPFC回路130が出力する直流電力波形を示す図であり、図6(D)は、図6(C)に示すPFC回路130の出力に対応してコンパレータ165の非反転入力端子に入力される交流波形と、閾値電圧との関係を示す図である。
図6(A)に示すように、時刻0ms〜30msでは交流電力Aの実効値が約200Vであり、このとき図6(B)に示すように交流電力Aの瞬時電圧は、振幅が280Vの交流電圧である。
また、このとき、図6(C)に示すように、PFC回路130が出力する直流電力の電圧値は約380Vであり、図6(D)に示すようにコンパレータ165の非反転入力端子への入力電圧は、破線で示す閾値電圧VTH(約7.2V)よりも高い直流電圧(約7.5V)である。
このため、図6には示さないが、コンパレータ165の出力電圧はLレベルである。
また、図6(A)、(B)に示すように、時刻t1で交流電力Aに瞬断が生じると、その直後の時刻t2に、図6(D)に示すようにコンパレータ165の非反転入力端子に入力される電圧が閾値電圧VTH未満になる。このため、時刻t2にリレー110が切り替えられ、入力端子110Bと出力端子110Cとが接続される。
このように、交流電力Aに瞬断が生じると、リレー110がすぐに切り替えられるので、時刻t2以降は、図6(A)、(B)に示すように、交流電力Bによって安定した電力が供給される。
図7は、実施の形態1の電力供給装置100において、交流電力Aに停電が生じた前後における出力端子102から出力される直流電圧の波形を示す図である。なお、図7に示す波形は、図6に示す波形とは交流電力Aに生じる停電のタイミングが異なる条件で得たシミュレーション結果である。
図7に示すように、時刻t1において交流電力Aに瞬断が生じる前の状態では、出力端子102から出力される直流電力は電圧値が12Vで安定している。
また、時刻t1において交流電力Aに瞬断が生じた直後の時刻t2に、出力端子102から出力される直流電力は、時刻t1以前と略同様であり、実施の形態1の電力供給装置100が停電の前後で安定した直流電力を出力できることが分かる。
なお、ここでは、交流電力Aに瞬断が生じた場合の動作について説明した。しかしながら、実施の形態1の電力供給装置100は、交流電力Aに低速での電力低下が生じた場合でも、同様に停電を検出してリレー110を切り替え、交流電力Bに切り替えることができる。
実施の形態1の電力供給装置100は、入力端子101Aから入力される交流電力Aを整流回路120で全波整流し、PFC回路130で直流電力に変換している。そして、制御回路150は、PFC回路130が出力する直流電力の電圧値の変化をコンパレータ165で監視する。
従って、交流電力Aに低速での電力低下が生じた場合でも、PFC回路130が出力する直流電力の電圧値は低下する。このPFC回路130が出力する直流電力の電圧値の低下をコンパレータ165で監視すれば、交流電力Aに低速での電力低下が生じた場合でも、高速での電力低下が生じた場合と同様に、リレー110を切り替えて交流電力Bを出力端子102から出力することができる。
コンパレータ165の非反転入力端子に入力される閾値電圧VTHは図6(D)に示すように約7.2Vであり、高速又は低速での電力低下が生じる前のコンパレータ165の反転入力端子にLPF160から入力される直流電圧は約7.5Vである。
このため、交流電力Aの実効値が約5%程度低下した時点で、交流電力Aの低速での電力低下を検出することができる。
なお、コンパレータ165の閾値電圧VTHは、高速での電力低下が生じた場合と、低速での電力低下が生じた場合とを確実に検出できるように、最適化しておけばよい。
図8は、実施の形態1の電力供給装置100の動作手順を示す図である。
まず、電力供給装置100は、リレー110の入力端子110Aと出力端子110Cとが接続されることにより、交流電力Aを出力する主交流電源が接続される(ステップS1)。
次に、電力供給装置100は、交流電力Aを出力端子102から出力する定常出力動作を行う(ステップS2)。
次に、制御回路150によってPFC回路130が出力する直流電力を監視する(ステップS3)。
そして、制御回路150の判定制御部170は、コンパレータ165の出力に基づき、交流電力Aの電圧の低下が生じたか否かを判定する(ステップS4)。
判定制御部170がステップS4でコンパレータ165の出力信号がLレベルからHレベルに変わったことを検出した場合は、交流電力Aの電圧が低下した(S4:YES)ものとして、制御回路150はリレー110を切り替える(ステップS5)。
この結果、交流電力Bを出力する副交流電源がリレー110を介して出力端子102に接続される(ステップS6)。
次に、判定制御部170は、リレー110の入力端子110Bと出力端子110Cとを接続させるための信号レベルの駆動信号をリレーコイル111に出力する際に、タイマー180のカウントを開始させる(ステップS7)。
タイマー180は所定時間のカウントする(ステップS8)。タイマー180は、所定時間のカウントを終了したか否かを判定する(ステップS9)。タイマー180は、所定時間のカウントを終了するまでステップS9の処理を繰り返す。
判定制御部170は、タイマー180からカウントを終了したことを表す信号が入力されると、駆動信号を再度切り替え、リレー110の入力端子110Aと出力端子110Cとを接続させるための信号レベルの駆動信号をリレーコイル111に出力する。これにより、リレー110の接続状態が停電発生前の状態に復帰する(ステップS10)。
この結果、交流電力Aを出力する主交流電源が接続されることになる(ステップS11)。
なお、ステップS4で、判定制御部170がコンパレータ165の出力信号がLレベルからHレベルに変わったことを検出しない場合は、ステップS2の定常動作が継続される。
以上、実施の形態1によれば、高速での電力低下と低速での電力低下とを制御回路150の1つのコンパレータ165で検出でき、リレー110を切り替えることができる電力供給装置100を提供することができる。
電力供給装置100は、整流回路120及びPFC回路130で交流電力Aを直流電力に変換し、さらに、アッテネータ155で分圧するとともにLPF160でノイズを除去した直流電力をコンパレータ165の反転入力端子に入力することによって交流電力Aの電力低下を検出する。
そして、コンパレータ165の反転入力端子入力される閾値電圧VTHは、高速での電力低下と、低速での電力低下の両方を検出できるように最適化されており、反転入力端子に入力される直流電力の電圧値と非常に近い値に設定されている。
このため、高速での電力低下と低速での電力低下とを制御回路150の1つのコンパレータ165で検出でき、従来の無停電電源装置に比べて回路構成を簡易にすることができる。また、電力供給装置100は、前提技術の電源装置1A及び1Bと比べても回路構成が簡易である。
従って、実施の形態1によれば、構成の簡易な電力供給装置100を提供することができる。
また、高速での電力低下と低速での電力低下とを制御回路150の1つのコンパレータ165で検出できるのは、整流回路120とPFC回路130で交流電力を直流電力に変換し、停電が生じていない場合にコンパレータ165の反転入力端子入力される直流電圧と近い値を有する閾値電圧VTHを用いているためである。
実施の形態1の電力供給装置100では、このように交流電力Aを直流電力に変換することにより、高速での電力低下と低速での電力低下の両方を1つの検出回路で検出することができ、装置構成の簡易化を図っている。
また、整流回路120とPFC回路130で交流電力を一定電圧の直流電力に変換しているため、様々な電圧値及び周波数の交流電力の停電を検出することができるため、交流電力の電圧値と周波数に応じて電力供給装置100を作り分ける必要がない。
すなわち、交流電力A、Bの電圧値が、例えば、80Vから260Vまでのどの値であっても、1種類の電力供給装置100で停電を検出し、リレー110を切り替えることができる。
これは、前提技術の電源装置1B(図2参照)は、例えば、交流電力A、Bの電圧値が100Vの場合と、200Vの場合とでは、LPF60H、60L、コンパレータ70H、70Lの所定の閾値電圧等の値を変える必要があることに対して、非常に有利である。
従って、電力供給装置100を低コストで製造することができる。
また、コンパレータ165、判定制御部170、リレードライバ175、及びタイマー180への電力をDC−DCコンバータ140から供給することができるので、前提技術の電源装置1Bのように制御回路電源55(図2参照)を含む必要がない。
このことによっても、電力供給装置100の構成要素を減らすことができ、簡素化を図ることができる。
以上では、整流回路120とPFC回路130を用いて交流電力Aを直流電力に変換する形態について説明したが、PFC回路130の代わりに、平滑コンデンサを用いてもよい。すなわち、整流回路120の出力側に平滑コンデンサを用いて直流電力を生成し、制御回路150で平滑コンデンサから出力される直流電力の変動を監視することによって、リレー110を切り替えるようにしてもよい。
なお、例えば、出力端子102から供給する電力量を増やしたい場合は、リレー110に加えて、半導体リレーを追加してもよい。
ここで、図9を用いて、実施の形態1の変形例による電力供給装置100Aについて説明する。
図9は、実施の形態1の変形例による電力供給装置100Aを示す図である。
電力供給装置100Aは、図4(B)に示す電力供給装置100に、スイッチ105を追加したものである。
スイッチ105は、外部から人間が切り替えることのできるオルタネイト式のスイッチであり、入力端子101Aと、リレー110の入力端子110Aとの間に直列に挿入されている。
スイッチ105が切り替えられると、スイッチ105は遮断されて非導通状態になる。スイッチ105が非導通状態になると、非導通状態になったことを表す信号が、判定制御部170Aに入力される。
このようなスイッチ105は、交流電力Aが停電して電力供給装置100Aのメンテナンスを行う際に、作業者が入力端子101A等を触れても感電することがないようにするために設けられている。
判定制御部170Aは、スイッチ105から非導通状態になったことを表す信号が入力されている間は、リレー110の入力端子110Aと出力端子110Cとを接続しないように、入力端子110Bと出力端子110Cとを接続した状態を保持する。
このような電力供給装置100Aによれば、交流電力Aの停電時に、メンテナンスを行う作業者の安全性を確保することができる。
<実施の形態2>
図10は、実施の形態2の電力供給装置200を示す図である。
電力供給装置200は、入力端子101A、101B、出力端子102、リレー110、リレーコイル111、整流回路120、PFC回路130、DC−DCコンバータ140、制御回路250、及び電圧スイッチ210を含む。
電力供給装置200は、実施の形態1の電力供給装置100(図4(B)参照)の制御回路150を制御回路250に変更し、電圧スイッチ210を追加したものである。
制御回路250は、実施の形態1の制御回路(図4(B)参照)からタイマー180を省き、判定制御部170を判定制御部270に置き換えたものである。
その他の構成は実施の形態1の電力供給装置100と同様である。従って、同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
電圧スイッチ210は、交流電力Aが入力される入力端子101Aと、リレー110の入力端子110Aとの間に挿入されており、交流電力Aの電圧値を検出するために設けられている。
電圧スイッチ210は、例えば、交流電圧計と、リードスイッチとを有し、交流電力Aの停電後に交流電力Aの電圧値が復帰したことが交流電圧計によって検出されると、リードスイッチがオンになり、判定制御部270に交流電力Aの電圧値が復帰したことを表す信号を出力する。
交流電力Aの停電が生じて判定制御部270がリレー110を切り替えて入力端子110Bと出力端子110Cとが接続されているときに、電圧スイッチ210によって交流電力Aの電圧値が復帰していることを表す信号が判定制御部270に入力されると、判定制御部270は、リレードライバ175から出力される駆動信号を切り替える。
この結果、リレー110は、入力端子110Aと出力端子110Cとを接続する。
従って、実施の形態2によれば、タイマー180(図4(B)参照)の代わりに電圧スイッチ210を用いることにより、交流電力Aの復帰後に、リレー110の接続を復帰させることのできる電力供給装置200を供給することができる。
以上、本発明の例示的な実施の形態の電力供給装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
主交流電力が入力される第1入力端子と、副交流電力が入力される第2入力端子とを有し、前記主交流電力又は前記副交流電力のいずれか一方を出力するリレーと、
前記リレーの出力端子に接続され、前記リレーから出力される交流電力を直流電力に変換する第1電力変換部と、
前記第1電力変換部の出力側に接続され、前記第1電力変換部の出力電力を所定電圧の直流電力に変換する第2電力変換部と、
前記第2電力変換部で変換された直流電力を出力する電力出力端子と、
前記第1電力変換部の出力電力の電圧が所定の閾値以上のときは前記第1入力端子を前記出力端子に接続し、前記第1電力変換部の出力電力の電圧が所定の閾値未満になると前記第2入力端子を前記出力端子に接続する制御部と
を含む、電力供給装置。
(付記2)
前記第1電力変換部は、
前記リレーから出力される前記主交流電力又は前記副交流電力を全波整流する整流回路と、
前記整流回路の出力側に接続され、前記整流回路で全波整流された電力の力率を改善する力率改善回路と
を有し、
前記第2電力変換部は、前記力率改善回路の出力側に接続され、前記力率改善回路の出力電力を所定電圧の直流電力に変換し、
前記制御部は、前記力率改善回路の出力電力の電圧が所定の閾値以上のときは前記第1入力端子を前記出力端子に接続し、前記力率改善回路の出力電力の電圧が所定の閾値未満になると前記第2入力端子を前記出力端子に接続する、付記1記載の電力供給装置。
(付記3)
前記制御部は、
前記力率改善回路の出力電力を減衰させる減衰回路と、
前記減衰回路の出力側に接続されるローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタから入力される信号の信号レベルを所定の閾値と比較する比較器と、
前記比較器の出力に基づき、前記力率改善回路の出力電力の電圧が前記所定の閾値未満であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づき、前記リレーを切り替える切替駆動部と
を有する、付記2記載の電力供給装置。
(付記4)
前記制御部は、
前記判定部によって前記力率改善回路の出力電力の電圧が前記所定の閾値未満であると判定された後の経過時間を計るタイマーをさらに有し、
前記タイマーが所定時間を計り終えると、前記切替駆動部に前記第1入力端子を前記出力端子に接続させる、付記3記載の電力供給装置。
(付記5)
前記第1入力端子に入力される前記主交流電力の電圧値を検出する電圧検出部をさらに含み、
前記制御部は、前記切替駆動部が前記第2入力端子を前記出力端子に接続した後に、前記電圧検出部によって検出される電圧値が所定の電圧値以上になると、前記切替駆動部に前記第1入力端子を前記出力端子に接続させる、付記3記載の電力供給装置。
(付記6)
前記電力出力端子には、1つの情報処理装置が接続される、付記1乃至5のいずれか一項記載の電力供給装置。
(付記7)
前記リレーは、機械式のリレーである、付記1乃至6のいずれか一項記載の電力供給装置。
(付記8)
前記リレーの第1入力端子よりも入力側に設けられ、前記第2入力端子を前記出力端子に接続させた状態を前記制御部に保持させるスイッチをさらに含む、付記1乃至7のいずれか一項記載の電力供給装置。