以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。まず、本発明に係る弾球遊技機を適用した第1実施形態に係るパチンコ機PM1の全体構成を図1〜図6の各図を参照しながら概要説明する。第1実施形態のパチンコ機PM1は、いわゆる球皿別体型、すなわち、基体正面に上球皿及び下球皿の二つの球皿を持つ形態のパチンコ機である。ここで、図1はパチンコ機PM1の正面図、図2はパチンコ機PM1の背面図、図3はパチンコ機PM1の側面図、図4は外枠及び前枠を組み付けた状態を正面から見た斜視図、図5はガラス枠の背面図、図6は遊技盤の正面図である。
[パチンコ機の全体構成I]
パチンコ機PM1は、図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3により横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠2の前面側には、前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス枠5が上下のヒンジ機構3を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。ガラス枠5の背後に位置する前枠2の前面側には、遊技盤10を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠の上部領域に遊技盤10が後方から着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス枠5の複層ガラスを通して遊技盤10の正面の遊技領域PA1を視認可能に臨ませるようになっている。
遊技盤10は、図6に示すように、ルータ加工等を施した矩形状の積層合板に、所定の図柄が印刷されたセルを貼り付けて成型される化粧板11を基板として構成される。化粧板11の前面には、外レール12a及び内レール12bが円弧状に固設されて遊技球が転動可能な略円形の遊技領域PAが区画形成され、この遊技領域PA1に多数本の遊技釘とともに各種の入賞具(入賞口)14,15,16などが配設され、遊技領域PA1の中央部近傍には、各種の演出パターンの画像および図柄を表示する画像表示装置(図柄表示装置)18が取り付けられている。また、遊技領域PA1の下端には、各入賞具に入賞せずに落下した遊技球を遊技盤10の裏面側へ排出させるアウト口19が化粧板11を前後に貫通して形成されている。ここで、遊技盤に設けられる入賞具には、その外観意匠や入賞時の動作を含めて種々の形態のものがあり、ゲージ設定等に応じてどのような形態の入賞具を用いるものであってもよいが、例えば図6に例示した遊技盤では、一般入賞具14、始動入賞具15、大入賞具16の3種類の入賞具を設けた例を示しており、本実施形態では左打ち用の遊技領域と右打ち用の遊技領域とに大入賞具16がそれぞれ設けられている。各入賞口に落入した遊技球は化粧板11の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出センサ14s,15s,16sをそれぞれ通過することによって入賞が検出される。
遊技盤10の裏面側には、図2に示すように、パチンコ機PMの作動を統括的に制御するメイン制御基板1000や、パチンコ機PMの機種(バージョンを含む)および遊技展開に応じた遊技演出の制御を行うサブ制御基板3000などが設けられている。
ガラス枠5の下部には遊技球を貯留する皿部材である上球皿6及び下球皿7が設けられ、下球皿7の正面右側には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が設けられている。なお、ガラス枠5の前面側には発光ダイオード(LED)やランプ等の電飾装置や、遊技の展開状態に応じて効果音を発生させるスピーカ等が適宜設けられるが、図1においてはこれらを取り外した状態を示している。
前枠2の前面下部にはガラス枠5の背後に位置して遊技盤10と上下に整合し得る遊技補助盤20(図4を参照)が形成されており、この遊技補助盤20の各部に、遊技盤10の遊技領域PA1へ向けて遊技球を発射する発射機構21、前枠2の前後に連通して形成された賞球連絡通路22及び溢れ球連絡通路23などが設けられている。一方、常には遊技補助盤20を覆って閉鎖状態に保持されるガラス枠5の裏面側(図5を参照)には、遊技補助盤20に設けられた各機器に対応した機構装置が設けられている。すなわち、発射機構21に対応して上球皿6に貯留された遊技球を1球ずつ発射機構21に送り出す球送り機構24が設けられ、賞球連絡通路22の通路開口に位置整合して賞球連絡通路22から流下する遊技球を上球皿6に導く上球皿連絡ダクト25が設けられ、溢れ球連絡通路23の通路開口に位置整合して溢れ球連絡通路23から流下する遊技球を下球皿7に導く下球皿連絡ダクト26が設けられている。
また、図1に示すように、パチンコ機PM1に隣接して、プリペードカードによる遊技球の貸出しを受け付けるカードユニットCが設けられている。ここで、カードユニットCは、周知の構成と同様であるので、その説明は省略する。
前枠2の裏面側には、図2に示すように、中央に前後連通する窓口を有して前枠2よりも幾分小型の矩形枠状に形成された基枠体をベースとしてなる裏セット盤30が、上下のヒンジ機構3を介して前枠2後方に横開き開閉および着脱が可能に連結されている。この裏セット盤30には前面開放の矩形箱状をなす保護カバー30Cが着脱自在に装着されており、常には前枠2に取り付けられた遊技盤10の裏面側を覆って配設されている(これによりメイン制御基板1000及びサブ制御基板3000が保護カバー30Cにより覆われる)。裏セット盤30の各部には、多数個の遊技球を貯留する球貯留タンク31、球貯留タンク31から右方に緩やかな下り傾斜を有して延びるタンクレール32、タンクレール32の右端部に繋がり下方に延びる球供給通路33a(図16を参照)が形成された上側通路部材33、球供給通路33aにより導かれた遊技球を所定条件のもと(例えば、各入賞口への入賞やカードユニットCからの要求に応じて)払い出す賞球払出ユニット40、賞球払出ユニット40から払い出された遊技球を球皿に導くための賞球通路35a(図15を参照)が形成された下側通路部材35などが設けられている。また、裏セット盤30の背面側部分には、遊技球の発射及び払い出しに関する制御を行う払出制御基板2000や、遊技施設側から受電して各種制御基板や電気・電子部品に電力を供給する電源基板4000などが取り付けられている。
[パチンコ機の基本動作I]
以上のように構成されるパチンコ機PM1は、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に固定設置され、前枠2、ガラス枠5等が閉鎖施錠された状態で遊技に供され、上球皿6に遊技球を貯留させて発射ハンドル8を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル8が回動操作されると、上球皿6に貯留された遊技球が、ガラス枠5の裏面側に配設される球送り機構24によって1球ずつ発射機構21に送り出され、発射機構21のハンマーにより遊技領域PA1に打ち出されて、以降パチンコゲームが展開される。
例えば、遊技領域PA1を転がり落ちる遊技球が一般入賞具14に落入すると、入球した遊技球が入賞球検出センサ14sを通過する際に入賞が検出され、その検出信号がメイン制御基板1000に入力される。メイン制御基板1000は、この検出信号から、遊技球が入賞具に入賞したこと、および該入賞した入賞具が一般入賞具14であることを検知し、払出制御基板2000に対して入賞条件に応じた賞球払出コマンドを出力して賞球払出ユニット40を作動させ、一般入賞具14に入賞した場合の褒賞として予め設定された所定個数(例えば、15個)の賞球を上球皿6に払い出させる。
また、始動入賞具15に遊技球が落入して入賞球検出センサ15sから検出信号が出力されると、メイン制御基板1000はこの検出信号から、遊技球が入賞したこと、および該入賞した入賞具が始動入賞具15であることを検知し、この入賞条件に応じた遊技プログラムを呼び出して実行する。具体的には、メイン制御基板1000内で図柄の組み合わせ抽選を行うとともに、サブ制御基板3000に抽選結果を出力して画像表示装置18に表示させる図柄を変動および停止制御させ、停止図柄の組み合わせに応じた作動、例えばLEDの点滅表示やスピーカによる効果音の発生等を行わせる。また、メイン制御基板1000は、払出制御基板2000に対して入賞条件に応じた賞球払出コマンドを出力して賞球払出ユニット40を作動させ、始動入賞具15に入賞した場合の褒賞として予め設定された所定個数(例えば、3個)の賞球を上球皿6に払い出させる。
メイン制御基板1000による抽選結果が大当たりである場合(変動停止時の図柄が大当たりの図柄で停止する場合)、画像表示装置18には、例えば、スロットマシンの図柄表示を模した装飾図柄を一致させるような表示態様を有して表示され、特別遊技が実行される。特別遊技においては、大入賞具16の作動により大入賞口が開放される。そして、例えば、大入賞口が約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が大入賞具16に
入賞した後、大入賞口が一旦閉鎖され、このような開閉動作が所定回数(例えば15回)継続して繰り返される。また、メイン制御基板1000は、払出制御基板2000に対して入賞条件に応じた賞球払出コマンドを出力して賞球払出ユニット40を作動させ、大入賞具16に入賞した場合の褒賞として予め設定された所定個数(例えば、12個)の賞球を上球皿6に払い出させる。
[電気的構成I]
次に、図7のブロック図を追加参照しながら、パチンコ機PM1の電気的な概要構成を説明する。メイン制御基板1000、払出制御基板2000、及びサブ制御基板3000には、様々な演算処理を行う演算装置としてのCPU、このCPUの演算処理を規定したプログラムを予め記憶するROM、CPUが取り扱うデータ(遊技中に発生する各種データやROMから読み出されたコンピュータプログラム等)を一時的に記憶するRAMが搭載されている。
メイン制御基板1000は、ROMに予め記憶されているシステムプログラムに従ってCPUが入賞役及び演出の抽選等の演算処理を実行してパチンコ遊技が展開される。また、メイン制御基板1000には、払出制御基板2000及びサブ制御基板3000等の各制御基板がハーネス(ケーブル)で接続され、これら制御基板に各種のコマンドや情報を送信して各制御基板に分散制御させることにより、パチンコ機PM1の全体を統括制御している。
払出制御基板2000は、メイン制御基板1000からのコマンドに基づいて遊技球の払出及び発射の制御を司るものである。払出制御基板2000はメイン制御基板1000と双方向通信可能に接続されている。また、払出制御基板2000には中継端子板5000を介して賞球払出ユニット40が電気接続され、不図示の接続端子板を介してカードユニットCがシリアル通信可能に接続されている。
サブ制御基板3000は、メイン制御基板1000からのコマンドに基づいて画像表示、効果照明、効果音等の演出全般の制御を司るものである。サブ制御基板3000はメイン制御基板1000から一方向通信可能となるように接続されている。なお、サブ制御基板3000は、複数の制御基板(例えば、演出全般を制御する演出制御基板と主として画像表示装置18上での各種演出を制御する画像制御基板など)に機能分割して構成しても、これらの制御基板が担う機能を一体的に構成して1つの制御基板として構成してもよい。
ここで、メイン制御基板1000と払出制御基板2000とのコマンドや情報の送受信、メイン制御基板1000からサブ制御基板3000へのコマンドや情報の送信は、パラレル通信でもシリアル通信でもよい。また、払出制御基板2000とメイン制御基板1000との間には賞球払出状況を伝達する回線が配置されており、メイン制御基板1000から賞球払出コマンドが送信されると払出信号がオンになり、払出が完了すると払出信号がオフになる。
[賞球払出ユニットの基本構成I]
それでは以下に、第1実施形態に係る賞球払出ユニット40の基本的な構成について、図8〜図16を追加参照しながら説明する。ここで、図8は賞球払出ユニット40が取り外された状態のパチンコ機PMを背面から見た斜視図、図9は賞球払出ユニット40を前方から見た斜視図、図10は賞球払出ユニット40の分解斜視図、図11はケース蓋部材を開放した状態の賞球払出ユニット40を前方から見た斜視図、図12はカバー部材を開放した状態の賞球払出ユニット40を後方から見た斜視図、図13はケース蓋部材を開放した状態の賞球払出ユニットの側面図、図14はカバー部材を開放した状態の賞球払出ユ
ニット40の側面図、図15は図3における矢印XV−XVに沿って示す断面図、図16は図3における矢印XVI−XVIに沿って示す断面図である。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、前後左右および上下の方向は、パチンコ機PM1への取付状態での方向として、図8〜図11の状態を基準として定義しており、図8〜図11に示す矢印の方向をそれぞれ前後、左右、上下と称して説明する。
賞球払出ユニット40は、図8に示すように、パチンコ機PM背面の裏セット盤30に形成されるユニット収容部34に着脱自在に取り付けられる。ユニット収容部34は上側通路部材33と下側通路部材35との間で凹状に形成されている。この賞球払出ユニット40の着脱構造については詳細後述するが、賞球払出ユニット40がユニット収容部34に装着されると上側通路部材33及び下側通路部材35に連結されて、上方から順番に、球貯留タンク31、タンクレール32、上側通路部材33、賞球払出ユニット40、下側通路部材35等により賞球機構が形成される。なお、裏セット盤30(ユニット収容部34)への着脱構造は、後述する変形例に係る賞球払出ユニット140,240,340,440,540においても同様とする。
賞球払出ユニット40は、当該ユニット40のベースとなる縦長方形箱状のユニットケース41と、ユニットケース41の側方を覆って取り付けられるカバー部材60と、遊技球を1球ずつ払い出すスプロケット70と、スプロケット70を回転作動させる払出モータ80と、遊技球をパチンコ機PM1の機外へ排出させる球抜き機構90と、を主体として構成される。
ユニットケース41は、スプロケット70及び払出モータ80等の取付ベースとなるケース本体部材42と、ケース本体部材42の右側面に重合して取り付けられるケース蓋部材59とにより形成されている。ケース本体部材42は、縦長の矩形板状に形成された基壁43aと、この基壁43aを囲んで右側方に延びる前後及び上下の側壁43bとを有し、透明な樹脂材料を用いて全体としてケース蓋部材59と対向する方の側面が開放された薄い箱型に形成されている。ケース蓋部材59は、透明な樹脂材料を用いて、ケース本体部材42の側面開口を閉止可能な板状に形成されている。
ユニットケース41には、この賞球払出ユニット40が裏セット盤30のユニット収容部34に装着されたときに、上側通路部材33の下端部(球供給通路33a)と連絡して遊技球を受容する球受容口44、下側通路部材35の上端部(賞球通路35a)と連絡して遊技球を払い出す球払出口45が形成される。
また、ケース本体部材42の基壁43aの主面(右側面)には遊技球の球径よりも幾分大きめの間隔をおいて立設された上通路壁46a,46b及び下通路壁46c,46dが設けられ、基壁43aの主面側に通路壁46a,46b,46c,46dにより1条の案内通路46が形成されている。この案内通路46は上端の球受容口44と下端の球払出口45とを繋いでS字状に連続したカーブを有した通路状に形成されており、この案内通路46における遊技球の経路途中に球送り部材としてのスプロケット70が配設されている。
案内通路46は、スプロケット70の配設位置よりも上流側(球受容口44側)の待機通路47と、スプロケット70の配設位置よりも下流側(球払出口45側)の払出通路48とにより形成される。
上流側の待機通路47は、第1待機通路47aと第2待機通路47bとから略S字状に形成されており、球受容口44から導入された遊技球を一列の整列状態でスプロケット70に導くとともに、スプロケット70の作動停止時に遊技球を整列状態で待機させる。待
機通路47は、この通路を流下する遊技球の球圧を分散させるように蛇行して形成されており、鉛直下方向(重力の作用する方向)への遊技球の自重による球圧の一部を水平方向への球圧に分散させている。第1待機通路47aは基壁43aと上通路壁46a,46bとにより囲まれて形成され、第2通路壁47bは基壁43aと上通路壁46a,46bと後述の球送り部材91の傾斜壁とに囲まれて形成されている。すなわち、本実施形態では、球送り部材91の傾斜壁も待機通路47(第2待機通路47b)の一部を形成している。
下流側の払出通路48は、スプロケット70の上部からその外周方向(図13における時計回り方向)に沿って円弧状に湾曲する第1払出通路48aと、スプロケット70の側方やや下寄りの位置から下端の球払出口45に向けて垂直に延びる第2払出通路48bとから形成される。この払出通路48の途中にはセンサ収容部49が形成されており、このセンサ収容部49に、スプロケット70の回転作動によって払出通路45に払い出された遊技球を検出するカウントセンサ50が取り付けられ、その検出信号が払出制御基板2000に入力されるようになっている。なお、カウントセンサ50の近傍位置には、賞球払出ユニット40(特に、カウントセンサ50)に向けて発せられた不正な電波を検出する電波検出センサ51が取り付けられている。
カバー部材60は、ユニットケース41のケース蓋部材59と対向する右側面が開放した矩形箱状に形成されており、ケース蓋部材59との間に形成される空間内に払出モータ80及び歯車機構81などの機構部品が収容されている。なお、ケース本体部材42、ケース蓋部材59及びカバー部材60は3本のビス69(図10を参照)を用いて左右方向に重合状態で互いにネジ止め固定される。
スプロケット70は、遊技球の球径とほぼ同じ程度の厚さに形成された複数の羽根72を有する回転盤71と、この回転盤71の中心からケース本体部材42側に突出して歯車機構81の出力端側に連結される回転軸73とから形成され、羽根72の外周部には遊技球を受容する円弧溝状の球受容凹部75が回転軸73を中心として等間隔に複数形成されている。スプロケット70の回転軌道は第1払出通路48aに入り込んで配置されており、スプロケット70の回転(図13における時計回り方向への回転)に従って、待機通路47を流下する遊技球を球受容凹部75に受け入れて払出通路48へ送り出すようになっている。
払出モータ80は、スプロケット70を正逆両方向(時計周り方向及び反時計周り方向)に回転駆動するための電気モータであり、このモータの出力軸は歯車機構81の入力端側に連結され、この球払出モータ80の回転駆動力は歯車機構81によってスプロケット70に伝達される。歯車機構81は、払出モータ80の出力軸に直結された駆動歯車82と、スプロケット70の回転軸73に直結されて駆動歯車82と外接噛合する従動歯車83とからなり、入力端側の駆動歯車82の歯数よりも出力端側の従動歯車83の歯数の方が多数個形成されることで減速機構を構成している。そのため、払出モータ80の回転は駆動歯車82及び従動歯車83の減速比に応じて減速されてスプロケット70に伝達される。
従動歯車83には検出突起(図示せず)が所定の角度ピッチ(スプロケット70の球受容凹部75と同じ個数)で形成されており、センサ基板84上に実装されたフォトセンサである回転検出センサ85により従動歯車83の回転が所定の角度ピッチずつ(例えば、球受容凹部75が2コの場合には180度ずつ)検出される。これにより、従動歯車83に直結されるスプロケット70の回転を所定の角度ピッチずつ、すなわち、スプロケット70に形成される球受容凹部75の角度ピッチに対応させて検出することができる。
ユニットケース41においてスプロケット70の後方には遊技球をパチンコ機PM1の外部へ排出するための球抜き通路52が形成されており、案内通路46の途中には待機通路47と球抜き通路52とを連絡する球抜き孔53が形成されている。また、球抜き通路52の終端には球排出口54が形成されている。
球抜き機構90は、球抜き孔53を開閉可能な球抜き部材91を備えており、球抜き孔53を開閉することで待機通路47と球抜き通路52とを連通・遮断して、待機通路47を流下してきた遊技球の流路を払出通路48と球抜き通路52とに切り換えるようになっている。そのため、球抜き部材91による球抜き孔53の開放によって球抜き通路52へ導かれた遊技球は球排出口54を通って賞球払出ユニット40の外部へ排出されるようになっている。
払出通路48と球抜き通路52との間には、スプロケット70の外周(回転軌跡)に沿って円弧状に湾曲して延びる仕切壁55が形成されている。この仕切壁55の一方の端部は、球抜き機構90の後述する操作レバー93が下端位置に操作されたときに、閉止位置に変位した球抜き部材91の下端部と係合するようになっている。なお、仕切壁55の他方の端部には、例えば、ピアノ線等を利用した不正行為を阻止するための後述するカエシなどが形成されていてもよい。
賞球払出ユニット40が裏セット盤30のユニット収容部34に装着された状態では、球受容口44が上側通路部材33の球供給通路33aと位置整合するとともに、球払出口45が前方側に配置されて下側通路部材35の賞球通路35aと位置整合し、球排出口54が後方側に配置されて下側通路部材35の球排出通路35c(詳細後述)と位置整合する。
なお、賞球払出ユニット40の球受容口44と連絡する上側通路部材33の球供給通路33aは、図16に示すように、上下方向に延設された通路であり、遊技球が1球だけ通過可能な通路幅を有している。この球供給通路33aを形成する左右の壁面には、通路内側に向かって突出する通路突起33bが複数形成されている。右の壁面から突出した通路突起33bと左の壁面から突出した通路突起33bとは、上下方向にずれて互い違いに配置されている。そのため、球供給通路33aに導かれた遊技球は、左右の通路突起33bへの衝突を繰り返して左右に順次移動しつつ下方に向かって通過する。そのため、遊技球を複数の通路突起33bに衝突させる過程で、遊技球を減速することができる。更には、この球供給通路33a内で複数の遊技球が整列する場合には、遊技球を左右にずらして配置することができるため、上流側に停留された遊技球の自重による押圧力が下流側で過大な圧力とならないように分散させている。
下側通路部材35には、図15に示すように、賞球払出ユニット40から払い出された遊技球を上球皿6に導く賞球通路35a、この賞球通路35aから分岐して上球皿6が満杯の状態で払い出された遊技球を下球皿7に導く溢れ球通路35b、遊技球をパチンコ機PMの機外へ排出するための球排出通路35cが形成されている。賞球通路35aは、遊技補助盤20の賞球連絡通路22及びガラス枠5の上球皿連絡ダクト25を介して上球皿6と連通している。一方、溢れ球通路35bは、遊技補助盤20の溢れ球連絡通路23及びガラス枠5の下球皿連絡ダクト26を介して下球皿7と連通している。なお、溢れ球通路35bの途中には、下球皿7に多数の遊技球が滞留した満タン状態を検出する満タン検出手段(満タン検出スイッチ)36が設けられている。満タン検出手段36は、不図示の押圧片を有しており、下球皿7が満タン状態となって溢れ球通路35bに遊技球が溜まると、遊技球によって押圧片が押圧されて、満タン状態を検出する。このとき、払出制御基板2000は、満タン検出手段36からの満タン信号を受信すると、賞球払出ユニット40による賞球の払出処理を停止したり遅延させたりする制御を実行するとともに、メイン
制御基板1000側に賞球動作停止コマンドを送信する。主制御基板1000は、賞球動作停止コマンドを受信すると、サブ制御基板3000側にエラー報知コマンドを送信して、外部に異常を報知する処理(サイドランプの点滅、スピーカによる報音、ホールコンピュータへの異常情報出力など)を実行する。
[賞球払出ユニットの特徴構成I]
次に、第1実施形態に係る賞球払出ユニット40の特徴的な構成について、図1〜図16等を参照しながら説明する。以下では、その技術的意義をより明確に把握し易くするために、各特徴構成について課題・構成・効果の順で説明する。
[1条の案内通路]
(課題)
近年での遊技盤や画像表示装置の大型化の傾向に伴って、遊技機の限られた背面側のスペースに、遊技盤などを配置するのが非常に困難となっているのが実情である。そのため、遊技機の背面側に取り付けられる賞球機構(特に賞球払出ユニット)の小型化の要請がある。そこで、賞球払出ユニットを小型化することで、遊技機の背面側のスペースを確保して、大型化する遊技盤や画像表示装置を遊技機の背面側に取り付けることが可能な構成を実現する。
(構成)
図11及び図13等に示すように、ユニットケース41の案内通路46は、ケース本体部材42の基壁43aの主面側において、上通路壁46a,46b(一部は球抜き部材91の傾斜壁91a)に挟まれて形成された待機通路47と、下通路壁46c,46dに挟まれて形成された払出通路48a,48bとから構成されており、該通路全体を通して1条のみで形成されている。すなわち、スプロケット70の配設位置を基準として案内通路46の上流側(待機通路47)と下流側(払出通路48)とが共に1条の状態で接続されて形成されている。
案内通路46を1条のみで構成する場合には、この案内通路46の途中に配置されるスプロケット70やカウントセンサ50等の構成部品も案内通路46の条数に合わせた個数、すなわち各1個で配置される。よって、ユニットケース41は1条の案内通路46を形成するために必要な幅(左右方向の幅)に形成されるので、賞球払出ユニット40全体として左右方向の幅を小さくして小型化することができる。なお、案内通路46の条数を1条に減らした場合、賞球払出ユニット40における一定時間当たりの遊技球の払出個数を確保するためには、1条当たりの払出速度の高速化を図る必要があるが、これについては他の特徴構成で説明する。
(効果)
賞球払出ユニット40を小型化して設置面積を減らすことで、裏セット盤30に賞球払出ユニット40をコンパクトに組み付けることができる。従って、遊技機の背面側において遊技盤10等を配設するための有効スペースが拡大されるため、遊技盤10等の大型化に対応した遊技機を提供することが可能である。
[スプロケットの形状]
(課題)
遊技球を払い出す球送り部材としてのスプロケットには、二つの凸状部の間に遊技球を受容可能な凹状部(本実施形態では球受容凹部75が相当する)が形成され、その回転作動によって、待機通路に整列された先頭の遊技球を凹状部に受け入れるようになっている。この遊技球の受容動作の際に、遊技球を凸状部から凹状部へ円滑に受け渡せないと、遊技球を凸状部と周辺の通路壁との間に噛み込む、いわゆる球噛みが生じてしまうという問
題がある。特に、賞球払出ユニットにおける払出速度の高速化のために、スプロケットの回転速度を高速化した場合には顕著に現れる問題である。そこで、スプロケットの回転速度(遊技球の払出速度)を高速化しても球噛みの発生を回避することが可能な構成を実現する。
以下において、二枚、三枚、又は四枚の羽根を持つスプロケットの形態を例示してそれぞれ説明する。
(構成:二枚羽根)
スプロケット70は、図11及び図13等に示すように、遊技球の球径とほぼ同じ程度の厚さに形成された二枚の羽根72を持つ回転盤71を有しており、その外周には遊技球を受容する球受容凹部75が回転軸73を中心として全周を2等分した180度の角度ピッチで2カ所形成されている。
スプロケット70の外周には、球案内凸部74及び球受容凹部75が交互に連続的に形成され、球案内凸部74は回転方向に沿って曲率半径が連続的に変化(減少)する凸曲面を形成し、球受容凹部75は遊技球の球径と同程度(遊技球1個を受容可能な大きさ)の円弧状の凹曲面を形成している。この凸曲面と凹曲面とが連続的に滑らかに繋がって形成されているため、スプロケット70の回転作動に伴って、先頭の遊技球を球案内凸部74から球受容凹部75へ円滑に摺接させながら案内して球受容凹部75へ受容させることができる。
スプロケット70は、その正転方向(図13における時計周り方向)への回転動作によって、球受容凹部75が上方を向いたときに球受容凹部75に遊技球を1個受け入れて、球受容凹部75が払出通路48側を向いたときに遊技球の自重及び慣性によって払出通路48へ放出する。
この二枚羽根のスプロケット70の形態では、スプロケット70が180度回転する毎に球受容凹部75に受け入れられた遊技球が1個ずつ払い出され、スプロケット70が1周する毎に(球受容凹部75に受け入れられた順に)遊技球が1個ずつ、計2個払い出されるようになっている。
(構成:三枚羽根)
図17に三枚羽根のスプロケット70′を適用した賞球払出ユニット(ケース蓋部材が開放された状態)の側面図を示している。なお、図17ではスプロケット70′以外の同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。スプロケット70′は、遊技球の球径とほぼ同じ程度の厚さに形成された二枚の羽根72′を持つ回転盤71′を有しており、その外周には遊技球を受容する球受容凹部75′が回転軸73′を中心として全周を3等分した120度の角度ピッチで3カ所形成されている。
スプロケット70′の外周には、球案内凸部74′及び球受容凹部75′が交互に連続的に形成され、球案内凸部74′は回転方向に沿って曲率半径が連続的に変化(減少)する凸曲面を形成し、球受容凹部75′は遊技球の球径と同程度(遊技球1個を受容可能な大きさ)の円弧状の凹曲面を形成している。この凸曲面と凹曲面とが連続的に滑らかに繋がって形成されているため、スプロケット70′の回転作動に伴って、先頭の遊技球を球案内凸部74′から球受容凹部75′へ円滑に摺接させながら案内して球受容凹部75′へ受容させることができる。
スプロケット70′は、その正転方向(図17における時計周り方向)への回転動作に
よって、球受容凹部75′が上方を向いたときに球受容凹部75′に遊技球を1個受け入れて、球受容凹部75′が払出通路48′側を向いたときに遊技球の自重及び慣性によって払出通路48′へ放出する。
この三枚羽根のスプロケット70′の形態では、スプロケット70′が120度回転する毎に球受容凹部75′に受け入れられた遊技球が1個ずつ払い出され、スプロケット70′が1周する毎に(球受容凹部75′に受け入れられた順に)遊技球が1個ずつ、計3個払い出されるようになっている。
(構成:四枚羽根)
図18に四枚羽根のスプロケット70″を適用した賞球払出ユニット(ケース蓋部材が開放された状態)の側面図を示している。なお、図18ではスプロケット70″以外の同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。スプロケット70″は、遊技球の球径とほぼ同じ程度の厚さに形成された二枚の羽根72″を持つ回転盤71を有しており、その外周には遊技球を受容する球受容凹部75″が回転軸73″を中心として全周を4等分した90度の角度ピッチで4カ所形成されている。
スプロケット70″の外周には、球案内凸部74″及び球受容凹部75″が交互に連続的に形成され、球案内凸部74″は回転方向に沿って曲率半径が連続的に変化(減少)する凸曲面を形成し、球受容凹部75″は遊技球の球径と同程度(遊技球1個を受容可能な大きさ)の円弧状の凹曲面を形成している。この凸曲面と凹曲面とが連続的に滑らかに繋がって形成されているため、スプロケット70″の回転作動に伴って、先頭の遊技球を球案内凸部74″から球受容凹部75″へ円滑に摺接させながら案内して球受容凹部75″へ受容させることができる。
スプロケット70″は、その正転方向(図18における時計周り方向)への回転動作によって、球受容凹部75″が上方を向いたときに球受容凹部75″に遊技球を1個受け入れて、球受容凹部75″が払出通路48″側を向いたときに遊技球の自重及び慣性によって払出通路48″へ放出する。
この四枚羽根のスプロケット70″の形態では、スプロケット70″が90度回転する毎に球受容凹部75″に受け入れられた遊技球が1個ずつ払い出され、スプロケット70″が1周する毎に(球受容凹部75″に受け入れられた順に)遊技球が1個ずつ、計4個払い出されるようになっている。
(効果)
スプロケットの外周面上で円弧状の凸曲面と凹曲面とが連続的になめらかに繋いで形成されているため、遊技球の球受容凹部への受容動作の際に、遊技球を凸曲面から凹曲面へ円滑に摺接させながら受け渡して球受容凹部に流入させることができる。そのため、遊技球の受容動作において、スプロケットによる遊技球の球噛みの発生を防止することが可能である。
なお、上述の説明では、二枚、三枚又は四枚の羽根を有するスプロケットを例示したが、これに限定されるものではなく、五枚以上の羽根を有するスプロケットに適用させてもよい。また、以下の説明においては、二枚羽根のスプロケットを代表して説明するが、三枚以上の複数枚の羽根を有するスプロケットに適用しても同様な効果が得られる。
[案内通路とスプロケットの関係]
(課題)
従来から賞球払出ユニットに複数条の案内通路を形成した構成が知られているが、賞球払出ユニットを小型化するために案内通路を1条のみに減らした場合、一定時間当たりの必要払出個数を従来通りに確保するためには、スプロケットの回転速度を高速化して案内通路1条当たりの払出個数を増加させる必要がある。しかしながら、スプロケットを高速化すると、遊技球のバタツキやバウンド等によってスプロケットと通路壁との間で球噛み(球詰まり)し易くなり、遊技球をスプロケットの球受容凹部に正確に受容することが困難になるという問題がある。そこで、スプロケットの回転速度(遊技球の払出速度)を高速化しても球噛みの発生を回避することが可能な構成を実現する。
(構成)
まず第1に、案内通路46の上流側を形成する待機通路47における第2待機通路47aは、基壁43a、上通路壁46a,46b及び傾斜壁91aにより囲まれて、全体として鉛直方向に対して前方に傾斜(図13では右下がりに傾斜)して形成されており、図13では下流側の4個の遊技球が停留している通路部分が該当する。そのため、この待機通路47に整列する先頭の遊技球は、スプロケット70の球受容凹部75に真上からではなく傾斜壁91aに沿って斜め上方から円滑に導入されるようになっている。
第2に、前述したように、スプロケット70の外周面には凸曲面(球案内凸部74)と凹曲面(球受容凹部75)とが周方向に沿って交互に連続的に形成され、待機通路75に整列する先頭の遊技球はスプロケット70の外周面と球抜き部材91の傾斜壁91aとの双方に当接した状態を維持しながら、凸曲面から凹曲面へ(つまり、球案内凸部74から球受容凹部75へ)円滑に案内されて受け渡されるようになっている。そのため、遊技球の受容動作の際に、スプロケット70による遊技球の球噛みの発生を防止して、遊技球を円滑に球受容凹部75に受け入れることが可能である。
第3に、第2待機通路47b部分に整列する遊技球の自重による球圧が第2待機通路47bの傾斜方向に沿ってスプロケット70へ向けて作用するようになっている。そのため、スプロケット70が回転作動するときに、球受容凹部75に受容された遊技球は後続の遊技球(2〜3個分の遊技球)の球圧を受けて球受容凹部75内にしっかりと停留されるので、その慣性によって待機通路46側(凹曲面から離反する上方向)へ押し戻されることがない。
第4に、この第2待機通路47b(球抜き部材91の傾斜壁91a)の傾斜は、スプロケット70への遊技球の導入方向がスプロケット70の正転方向(払出方向)に沿った方向となるように設定されており、すなわち、遊技球の球圧がスプロケット70の中心よりも上側に働くようになっている。そのため、待機通路47に整列する遊技球の自重による球圧がスプロケット70を正転方向(図13における時計周り方向)に押し出すようなモーメントを付与するため、払出モータ80の起動負荷を低減して低トルクで回転駆動させることができる。
図19は払出動作時におけるスプロケット70の回転角度と遊技球の払い出しの様子を示すスプロケットの遷移図である。ここで、スプロケット70の回転角度θにおいて初期位置を0°とし、スプロケット70を正転方向(図19における時計周り方向)に半回転(180°回転)させる場合について説明する。ここで、図19において、A1は回転角度θ=0°、A2は回転角度θ=α°(例えば30°)、A3は回転角度θ=β°(例えば90°)、A4は回転角度θ=γ°(例えば120°)、A5は回転角度θ=180°の状態を示す。なお、回転角度α°,β°,γ°の具体的な数値はスプロケットの形状によって異なるものであり、ここで例示した数値のみに限定されるものではない。
スプロケット70は、遊技球の払出動作時において、A1→A2→A3→A4→A5の
順番で回転変位する。A1〜A3は遊技球を球受容凹部75に受容する動作の過程であり、A4〜A5は遊技球を払出通路48へ放出する動作の過程である。
図19(A1)に示すように、スプロケット70が初期位置(θ=0°)で停止した状態(「初期状態」と称する)では、待機通路47内で整列する先頭の遊技球は、スプロケット70の球案内凸部74の凸曲面と球抜き部材91の傾斜壁91aとに跨って受け止められている。
図19(A2)に示すように、スプロケット70が正転方向への回転を開始すると、遊技球が球案内凸部74の凸曲面上を滑りながら、この凸曲面の曲率半径(回転軸73を中心とする曲率半径)の変化に伴って降下して球受容凹部75の凹曲面へ案内される。
続いて、図19(A3)に示すように、球受容凹部75の凹曲面が上方に向けて開く角度位置(θ=β°)までスプロケット70が回転すると、遊技球はスプロケット70の外周面上で球案内凸部74から球受容凹部75へ受け渡されて受容される。このとき、先頭の遊技球は真上からではなく傾斜壁91aの傾斜方向に沿って斜め上方から球受容凹部75へ円滑に導入される。
そして、図19(A4)に示すように、球受容凹部75に受容された遊技球は、スプロケット70の移送方向(正転方向)に沿って払出通路48へ導かれる。このとき、球受容凹部75に受容された遊技球は、後続の遊技球の球圧を受けて球受容凹部75内にしっかり留められるので、その慣性によって球受容凹部75の外方へ弾き出されることがない。
また、後続の遊技球の球圧が傾斜壁91aの傾斜方向に沿ってスプロケット70の中心よりも上側に働くようになっており、第2待機通路47bに整列する遊技球の自重による球圧がスプロケット70を正転方向に押し出すようなモーメントを付与するため、払出モータ80の起動負荷を低減させることができる。
球受容凹部75が払出通路48を向いた角度位置まで移動すると、遊技球が球受容凹部75から離れて払出通路48を自由落下する。スプロケット70より下方に放出された遊技球は、カウントセンサ50にて検出され、その検出信号が払出制御基板2000に向けて送信される。
図19(A5)に示すように、スプロケット70が初期位置から180°だけ回転すると、スプロケット70と案内通路46との相対的な位置は元の初期位置(初期状態)に戻される。このように180°を1周期としてスプロケット70は初期位置に戻され、待機通路47内に整列する遊技球はスプロケットが180度回転する毎に1球ずつ払い出される。
(効果)
遊技球をスプロケットの球受容凹部に円滑に受容させて確実に払出通路へ放出することができるため、スプロケットと通路壁との間で球噛み(球詰まり)が発生するのを回避できるとともに、スプロケットの空送りを防止することができる。また、払出モータの起動負荷を低減させて低トルクで回転駆動することができるため、スプロケットを高速回転させて賞球の払出速度の高速化を図ることが可能である。従って、高速で安定した遊技球の払い出しを実現することができる。
[スプロケットの変速制御]
(課題)
賞球払出ユニットの小型化のため、案内通路を1条(1列)とした場合、スプロケット
の回転速度(すなわち、払出速度)を高速化する必要がある。しかしながら、スプロケットを高速回転すると、遊技球を球受容凹部に受容させる際に、遊技球が高速回転するスプロケットに弾かれたり、遊技球のバタツキやバウンド等によってスプロケットと通路壁との間で球噛み(球詰まり)し易くなり、遊技球をスプロケットの球受容凹部に正確に受容することが困難になるという問題がある。そこで、遊技球の払出速度を高速化しつつ、遊技球を確実に球受容凹部に受容させて払い出すことが可能な構成を実現する。
(構成)
払出モータ80は、駆動パルスの励磁パターンを切り替えることで作動するステッピングモータであり、360ステップ(パルス)の駆動信号を与えることにより、スプロケット70を1回転させるようになっている。つまり、180パルスの駆動信号でスプロケット70が180°だけ回転変位して遊技球を1個払い出すというように、駆動信号の数に応じた回転量でスプロケット70を回転させるようになっており、この駆動信号によって払出モータ80の回転量を制御して遊技球の払出個数を制御している。払出モータ80は、払出制御基板2000からの駆動信号に基づいて、1ステップの速度を変更することにより自身の回転速度を変化させて、スプロケット70の回転を変速制御するようになっている。払出制御基板2000は、払出モータ80の駆動パルスの数に基づきスプロケット70の回転角度を演算することができ、これによりスプロケット70の回転角度に応じて回転速度を変化させることが可能である。
ここで、図20はスプロケット70を初期状態(θ=0°)から正転方向へ360°回転させる場合に低速回転の区間と高速回転の区間とを説明するための模式図であり、図21はスプロケット70の回転角度と回転速度との関係を示すグラフである。
スプロケット70は、回転角度θに応じて変速して、低速回転と高速回転とを交互に繰り返すようになっている(低速→高速→低速→高速→…)。なお、本実施形態において、回転角度β=90°と仮定すると、スプロケット70が低速回転する区間と高速回転する区間とは共に同一範囲(90°に亘る範囲)となる。
ここで、遊技球を球案内凸部74の凸曲面で保持する初期状態から該遊技球を球受容凹部75の凹曲面に受容するまでの区間、すなわち、遊技球の球受容凹部75への受容動作のための区間(0°<θ<β°、180°<θ<180°+β°)では、スプロケット70を定常の回転速度よりも低速に制御する。例えば、払出モータ80を駆動するステップ周期を、定常の設定値で1ステップ=2.0[msec]と仮定した場合、この低速回転時には1ステップ=1.0[msec]の周期(速度)で駆動する。
このように遊技球の受容動作の際には、スプロケット70の回転モードが高速回転から低速回転に切り換えられ、遊技球がスプロケット70の回転動作に追従し易くなるため、回転中のスプロケット70に遊技球が弾かれたり、遊技球のバタツキやバウンド等によって球噛み(球詰まり)が発生したりすることがなく、遊技球を円滑に球受容凹部75に受容させることができる。
一方、遊技球を球受容凹部75に受容してから払出通路48へ放出すまで(後続の遊技球を球案内凸部74で保持するまで)の区間、すなわち、遊技球の放出動作のための区間(β°<θ<180°、180°+β°<θ<360°)では、スプロケット70を定常の回転速度よりも高速に制御する。例えば、払出モータ80を駆動するステップ周期を、定常の設定値で1ステップ=2.0[msec]と仮定した場合、この低速回転時には1ステップ=4.0[msec]の周期(速度)で駆動する。
このように遊技球の放出動作の際には、スプロケット70の回転モードが低速回転から
高速回転に切り換えられるため、定常よりも素早く遊技球を払い出すことができる。
ここで、スプロケット70の回転速度(払出モータ80のステップ周期)の値は、一定時間当たりに必要な遊技球の払出個数などを勘案して適宜に設定され、低速回転と高速回転とを交互に繰り返すことにより、トータルとしての遊技球の払出速度を定常の払出速度よりも遅延しないように設定することが望ましい。
(効果)
遊技球を球受容凹部に受け入れる受容動作のときはスプロケットの回転速度を低速に切り換え、遊技球を球受容凹部から払出通路48へ放出する放出動作のときはスプロケットの回転速度を高速に切り換えるため、遊技球がスプロケット70の回転動作に追従し易くなって、回転中のスプロケット70に遊技球が弾かれたり、遊技球のバタツキやバウンド等によって球噛み(球詰まり)が発生したりすることがなく、遊技球を円滑に球受容凹部75に受容させることができるとともに、遊技球の払出速度を遅延させることなく定常の払出個数を満足することが可能である。
[電源断時のスプロケット強制停止処理]
(課題)
パチンコ機において停電等の発生により電源断が発生したとき、電源が落ちた時点でスプロケットの回転が停止していない場合には、スプロケットを所定の停止位置(遊技球が払い出されない初期位置)で強制停止させることができない結果、スプロケットが惰性で回転し続けて、遊技球(賞球)が余剰に払い出されてしまうという問題がある。そこで、遊技球の払出動作時に電源断が発生した場合であっても、スプロケットが惰性で回転して遊技球が余剰に払い出される事態を防止することができる構成を実現する。
(ハードウェア構成)
図22は、メイン制御基板1000におけるハードウェア構成の概要図である。メイン制御基板1000の処理ユニット1010は、電源基板4000に接続された電源1020から電圧供給を受けて稼働する電子回路である。処理ユニット1010は演算回路として機能するCPU1011と、CPU1011の演算処理を規定したプログラムを記憶するROM1012と、プログラムを実行する上で作業領域として機能するRAM(バックアップRAM)1013とを内蔵するワンチップマイコンである。RAM1013は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)
等の高速・揮発性メモリとして形成される。
処理ユニット1010への供給電圧は、電圧監視手段1610により定期的に、例えば0.01秒の間隔で検出される。電圧監視手段1610は、電源1020から処理ユニット1010へ供給される供給電圧を監視する。電源監視手段1610は、所定の閾値に基づいて処理ユニット1010への供給電圧の低下を検出すると、電源1020が遮断されたと判断し、電断信号(NMI信号)を処理ユニット1010に送信する。CPU1011は、電圧監視手段1610から電断信号を受信したことを条件として、ROM1012に格納されたプログラムを読み出して後述の電断時処理を実行する。
図23は、電源遮断時における供給電圧と時間の関係を示すグラフである。CPU1011は、電圧V0で平常動作する電子回路である。例えば、時刻T0において、電源が遮断されたとすると、処理ユニット1010への供給電圧は徐々に低下する。なお、コンデンサ等の平滑作用により、供給電圧の立ち下がりが遅くなるように回路構成してもよい。
供給電圧が所定の閾値V1を下回ると、電圧監視手段1610は電断信号を処理ユニット1010に送信する。ここでは、時刻T1のタイミングにて電断信号が送信される。時
刻T2となると、供給電圧はCPU1011が稼働可能な最低電圧であるV2を下回り、CPU1011は物理的制約により停止する。時刻T1からT2までの時間が電断時処理を実行するための猶予時間ΔTである。そのため、CPU1011は、供給電圧が閾値電圧V1から電圧V2を下回るまでの間に、電断時処理を実行する。
なお、図示省略するが、払出制御基板2000もCPU、ROM及びRAM(バックアップRAM)等からなる処理ユニットを備えており、電源断が発生した場合でもある程度の蓄電があるため、時刻T1からT2までの猶予時間ΔTの間で、払出モータ80を駆動したり、カウントセンサ50からの検出信号等を入力して、主制御基板1000との間で各種の情報やコマンドの送受信をすることが可能である。
(機能構成)
次に、図24の機能ブロック図を追加参照しながら、メイン制御基板1000及び払出制御基板2000の機能を説明する。なお、ここで主として示す機能は、本発明と特に関連する、メイン制御基板1000/払出制御基板2000間での機能である。
メイン制御基板1000は、遊技の進行や賞球払出決定に関する制御を司る遊技制御手段1100と、払出制御基板2000等とのコマンド・情報の送受信の制御を司る送受信制御手段1200と、払出制御基板2000側で現在払出実行中の賞球についての残球数に関する制御を司る残賞球関連制御手段1300と、払出関連の処理に関する情報を一時記憶するための処理関連情報一時記憶手段1400と、メイン制御基板1000及び払出制御基板2000等での賞球払出に関するエラーを制御するエラー制御手段1500と、停電等の電源断時や電源投入時において実行する処理制御を司る電源断時・電源立ち上げ時処理制御手段1600と、を有している。
遊技制御手段1100は、従来機が有する周知構成である。具体的には、遊技制御手段1100は、まず遊技の進行に関する処理としては、例えば(従来の第1種遊技機の場合を例に採ると)、乱数発生、始動口入球を契機とした乱数取得、この取得した乱数を用いての抽選、抽選結果に基づいた図柄(特別図柄)変動、抽選に当選している場合に通常は閉鎖状態にある大入賞口を開放する特別遊技の実行等、周知の処理を実行し、また、各入賞口に遊技球が入球した場合には、入賞口に対応した賞球数の払出決定処理を実行する。
送受信制御手段1200は、メイン制御基板1000から払出制御基板2000等への送信制御を司る送信制御手段1210と、各種周辺機器(例えば、払出制御基板2000や各種の信号出力装置)からの情報(信号を含む)を受信する受信制御手段1220と、を有している。
ここで、送受信制御手段1200の送信制御手段1210は、払出制御基板2000側にコマンドや情報を送信するための払出制御側送信制御手段1211を備えている。この払出制御側送信制御手段1211は、賞球払出の際に、払出制御基板2000側に送信される賞球払出コマンドがセットされる送信コマンド一時記憶手段1211aを有している。
また、送受信制御手段1200の受信制御手段1220は、遊技機に備えられた信号出力装置(例えば、入賞球検出センサなど)からの情報(信号)を受信する遊技側受信制御手段1221と、払出制御基板2000からの情報を受信する払出制御側受信制御手段1222と、を有している。ここで、遊技側受信制御手段1221は、信号出力装置から受信した情報を、当該情報に係る処理が実行されるまで一時記憶するための遊技側受信情報一時記憶手段1221aを有している。払出制御側受信制御手段1222は、払出制御基板2000から受信した情報を、当該情報に係る処理が実行されるまで一時記憶するため
の払出制御側受信情報一時記憶手段1222aを有している。
残賞球関連制御手段1300は、払出制御基板2000側で現在払い出している賞球の残賞球数を逐次更新しつつ一時記憶するための残賞球数一時記憶手段1310を有している。
処理関連情報一時記憶手段1400は、賞球払出の順番に到達していない未払賞球情報(待機賞球払出情報)を一時記憶するための未払賞球情報一時記憶手段1410と、メイン制御基板1000側で実行される処理の際に必要な情報を一時記憶するための主制御側処理状態一時記憶手段1420と、払出制御基板2000側で実行されている払出処理状況や状態を一時記憶する払出制御側処理状態一時記憶手段1430と、を有している。
エラー制御手段1500は、メイン制御基板1000及び払出制御基板2000側での送受信に関するエラーを含む遊技関連エラー(例えば、送受信に関するエラー以外としてガラス枠5の扉開放エラー等)を監視するとともに、所定のエラーが発生した際に外部に異常を報知する制御を司る異常報知制御手段1510を有している。ここで、異常報知制御手段1510は、遊技関連エラーフラグのオンオフ状態を一時記憶するためのエラーフラグ一時記憶手段1511を有している。
電源断時・電源立ち上げ時処理制御手段1600は、供給電圧が閾値を下回るときにNMI信号を送信する前述の電圧監視手段1610と、電圧監視手段1610からNMI信号を受信したか否か、すなわち、停電等の発生により電源断が発生したか否かを判定する電源断有無判定手段1620と、電源の再投入時に遊技機の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源断時にメイン制御基板1000側で一時記憶していたデータを記憶しておくためのバックアップ情報一時記憶手段(バックアップRAM)1630と、遊技機の電源のオフ後においてもバックアップ情報一時記憶手段1630にバックアップ電圧を供給してデータを保持するバックアップ電源供給手段1640と、を有している。なお、後述のように、バックアップ情報一時記憶手段1630への書き込みは、通常処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップ情報一時記憶手段1630に書き込まれた各情報の復帰は、電源等投入時のメイン処理において実行される。
払出制御基板2000は、メイン制御基板1000側やカードユニットC側等とのコマンド・情報の送受信の制御を司る送受信制御手段2100と、払出制御基板2000側での払出等に関連したエラーの制御を実行するエラー制御手段2200と、賞球払出コマンドや貸球コマンドを受けて所定個数の遊技球の払出処理を実行する払出制御手段2300と、を有している。
送受信制御手段2100は、メイン制御基板1000やカードユニットCからの情報(例えば、コマンドや信号)の受信制御を司る受信制御手段2110と、メイン制御基板1000やカードユニットCへの情報の送信制御を司る送信制御手段2120と、を有している。
ここで、受信制御手段2110は、メイン制御基板1000からの情報(例えば、コマンド)の受信制御を司るメイン側受信制御手段2111を有している。メイン側受信制御手段2111は、メイン制御基板1000側から送信されてきた情報が一時記憶されるメイン側受信データ一時記憶手段2111aを有している。
送信制御手段2120は、賞球払出コマンド受信確認済情報、エラー情報及び賞球払出完了情報等を、メイン制御基板1000に対して第一回線を介して送信制御する第一回線経由情報送信制御手段2121と、所定状況下で第二回線を介してメイン制御基板100
0側にパルス信号を送信する第二回線経由信号送信制御手段2122と、を有している。ここで、第二回線経由信号送信制御手段2122は、賞球払出中には賞球払出信号(賞球が払出中の際にオンとなる信号)を第二回線を介してメイン制御基板1000側に送信するよう制御する払出中信号送信制御手段2122aと、電源断時には残払出個数を第二回線を介してメイン制御基板1000側にパルス信号として送信するよう制御する電源断時信号送信制御手段2122bと、を有している。
エラー制御手段2200は、払出制御基板2000側での払出等のエラーフラグのオンオフ状態を一時記憶するためのエラーフラグ一時記憶手段2221を有している。
払出制御手段2300は、払出処理の際に必要な情報を一時記憶するための払出処理関連情報一時記憶手段2310を有している。ここで、払出処理関連情報一時記憶手段2310は、払出に関連した状態(例えば、払出中か否か、払出異常が発生しているか否か)を一時記憶するための払出状態フラグ一時記憶手段2311と、払出処理時に、払い出されるべき遊技球数がセットされる払出カウンタ2312と、を有している。
(処理)
続いて、図25〜図38のフローチャートを追加参照しながら、電断時処理を含めた払出制御処理を説明する。ここで、図25〜図32がメイン制御基板1000側での処理を示すフローチャートであり、図33〜図38が払出制御基板2000側での処理を示すフローチャートである。以下、順に説明することとする。
(メイン制御基板側での処理)
まず、図25〜図32のフローチャートを参照しながら、メイン制御基板1000側で実行する払出制御基板2000との通信処理を説明する。ここで、図25の左側は所定時間毎に起動されるタイマ割り込み処理(ステップS1100〜S1400)であり、図25の右側は電源電圧が所定の閾値を下回ると発せられるNMI信号を契機として行われる電源断時処理(ステップS1500〜S1700)である。
図25(左側)に係る所定時間毎に起動されるタイマ割り込みから説明すると、まず、ステップS1100で、メイン制御基板1000は、後述する電源立ち上げ時処理を実行する。次に、ステップS1200で、メイン制御基板1000は、後述する未払出賞球管理処理を実行する。次に、ステップS1300で、メイン制御基板1000は、後述する払出制御基板2000側へのコマンド送信制御処理を実行する。次に、ステップS1400で、メイン制御基板1000は、後述する払出制御基板2000側からの情報受信制御処理を実行し、ステップS1200に移行する。また、図25(右側)に係る電断時処理を説明すると、NMI信号の受信を受け、まず、ステップS1500で、メイン制御基板1000は、後述する電源断時基本処理を実行する。次に、ステップS1600で、メイン制御基板1000は、後述する、払出制御基板2000側に0球コマンドを送信する払出ユニット強制停止コマンド送信制御処理を実行する。次に、ステップS1700で、メイン制御基板1000は、後述する、払出動作途中で電源断した際の未払出賞球数を管理する未払出賞球管理処理を実行し、その後、該処理をループすることで他の割り込み処理が実行されることを禁止し、電源電圧が降下してCPUが非動作状態になるのを待つ。以下、各サブルーチンの処理を順に説明する。
まず、図26は、図25のステップS1100のサブルーチンに係る、電源立ち上げ時処理のフローチャートを示したものである。まず、ステップS1105で、電源断時・電源立ち上げ時処理制御手段1600は、バックアップ情報一時記憶手段(バックアップRAM)1620のフラグ領域にアクセスし、NMIフラグがオンであるか否かを判定する。ここで、「NMIフラグ」とは、NMI信号を受信後、電源断前に遊技状態をバックア
ップ情報一時記憶手段1620に一時記憶した後にオンとなるフラグである。ステップS1105でYesの場合、ステップS1110で、電源断時・電源立ち上げ時処理制御手段1600は、バックアップ情報一時記憶手段1620に一時記憶された情報に基づき、各一時記憶手段(レジスタ)等に電源断時前に状態をセットする。例えば、賞球払出中に電源断してしまい途中までしか賞球払出が実行されていない場合には、残りの賞球数を残賞球数一時記憶手段1310にセットする。そして、ステップS1115で、電源断時・電源立ち上げ時処理制御手段1600は、バックアップ情報一時記憶手段1620のフラグ領域にアクセスし、NMIフラグをオフにする。ステップS1120で、電源断時・電源立ち上げ時処理制御手段1600は、残賞球数一時記憶手段1310の残球数が0でないか否かを判定する。ステップS1120でYesの場合、ステップS1125で、払出制御側送信制御手段1211は、残賞球数一時記憶手段1310の残賞球数が払い出されるよう、当該残賞球数に対応した賞球払出コマンドを送信コマンド一時記憶手段1211aにセットする。そして、ステップS1130で、払出制御側送信制御手段1211は、送信コマンド一時記憶手段1211aにセットした賞球払出コマンドを払出制御基板2000側に送信し、次の処理(ステップS1200の未払出賞球管理)に移行する。これを受信した払出制御基板2000側では、電源断時に払い出されなかった残賞球分が電源断復帰後に払い出されることになる。なお、ステップ1105及びステップS1120でNoの場合にも次の処理(ステップS1200の未払出賞球管理処理)に移行する。
次に、図27は、図25のステップS1200のサブルーチンに係る、未払出賞球(賞球払出コマンド送信前)管理処理のフローチャートを示したものである。まず、ステップS1205で、遊技側受信制御手段1211は、遊技側受信情報一時記憶手段1221aを参照し、いずれかの入賞球検出センサ14s,15s,16sから入賞信号を受信したか否かを判定する。ステップS1205でYesの場合、ステップS1210で、遊技側受信制御手段1221は、受信した入賞信号に係る未払出賞球情報を、未払出賞球情報一時記憶手段1410に一時記憶し、次の処理(ステップS1300の対払出制御基板送信制御処理)に移行する。なお、ステップS1205でNoの場合にも、次の処理(ステップS1300の対払出制御基板送信制御処理)に移行する。
次に、図28は、図25のステップS1300のサブルーチンに係る、対払出制御基板送信制御処理のフローチャートを示したものである。まず、ステップS1305で、払出制御側送信制御手段1211は、第二回線(賞球払出中か否かに係るON・OFF信号を送信する回線)の入力ポートを参照し、払出信号がOFFであるか否か、すなわち、現在払出が実行されていないか否かを判定する。ステップS1305でYesの場合、ステップS1310で、払出制御側送信制御手段1211は、未払賞球情報一時記憶手段1410を参照し、未払出賞球(まだ賞球払出コマンドを払出制御基板2000側に送信していない賞球)が存在するか否かを判定する。ステップS1310でYesの場合、ステップS1315で、払出制御側送信制御手段1211は、エラーフラグ一時記憶手段1511を参照し、賞球払出に関するエラー(例えば、払出モータ80の故障に関するエラー、球皿満タン等)が発生していないか否かを判定する。ステップS1315でYesの場合、ステップS1320で、払出制御側送信制御手段1211は、未払賞球情報一時記憶手段1410に一時記憶されている、今回払出処理が実行される順番の未払出賞球情報に対応した賞球数分の賞球払出コマンドを、送信コマンド一時記憶手段1211aにセットする。そして、ステップS1325で、払出制御側送信制御手段1211は、今回セットした賞球払出コマンドに対応する残賞球情報を、残賞球情報一時記憶手段1310から消去し、以後の情報をシフトさせる処理を実行する。次に、ステップS1330で、払出制御側送信制御手段1211は、送信コマンド一時記憶手段1211aにセットした賞球払出コマンドを払出制御基板2000側に送信する。そして、ステップS1335で、残賞球関連制御手段1300は、残賞球数一時記憶手段1310の残賞球数として、今回セットした賞球払出コマンドに係る賞球数をセットし、次の処理(ステップS1400の対払出制
御基板受信制御処理)に移行する。なお、ステップS1305、ステップS1310及びステップS1315でNoの場合にも、次の処理(ステップS1400の対払出制御基板受信制御処理)に移行する。
次に、図29は、図25のステップS1400のサブルーチンに係る、対払出制御基板受信制御処理のフローチャートを示したものである。ここで、ステップS1405〜S1435の処理が第一の払出関連情報受信に係る処理であり、ステップS1440〜S1445の処理が第二の払出関連情報受信に係る処理である。なお、「第一の払出関連情報」とは、前述したように、賞球払出関連情報及び払出異常関連情報に係る情報であり、固定値、払出装置異常情報及び賞球払出完了情報からなる。また、「第二の払出関連情報」とは、一球払い出された旨の情報であり、固定値からなる。
そこで、第一の払出関連情報受信に係る処理から説明すると、まず、ステップS1405で、払出制御側受信制御手段1122は、払出制御側受信情報一時記憶手段1122aを参照し、第一の払出関連情報を受信したか否かを判定する。ここで、ステップS1405でYesの場合、ステップS1410で、エラー制御手段1500は、受信した第一の払出関連情報中にエラー情報(払出関連エラー)が存在するか否かを判定する。ステップS1410でYesの場合、ステップS1415で、エラー制御手段1500は、エラーフラグ一時記憶手段1511にアクセスし、該当するエラーに係るエラーフラグをオンにすることで、払出制御基板2000側でのエラー情報をメイン制御基板1000側でも管理(一元管理)する。他方、ステップS1410でNoの場合、エラー制御手段1500は、エラーフラグ一時記憶手段1511にアクセスし、払出制御基板2000側でのエラーに係るエラーフラグをオフにする。次に、ステップS1425で、異常報知制御手段1510は、受信した第一の払出関連情報中に賞球払出完了情報が存在するか否かを判定する。ステップS1425でYesの場合、ステップS1430で、異常報知制御手段1510は、払出制御基板2000側で払出完了している旨の情報を受信したにも拘わらず、残賞球数一時記憶手段1310に一時記憶されている残賞球数が0でない状況であるか否かを判定する。ステップS1430でYesの場合、ステップS1435で、異常報知制御手段1510は、外部に異常を報知する処理(例えば、ホールコンピュータへの異常情報出力、サイドランプの点滅等)を実行する。なお、ステップS1405でNoの場合にはステップ1440に移行し、ステップS1425及びS1430でNoの場合にもステップS1440に移行する。以上で第一の払出関連情報の受信に関する処理が終了する。
次に、第二の払出関連情報受信に係る処理を説明すると、まず、ステップS1440で、払出制御側受信制御手段1122は、払出制御側受信情報一時記憶手段1122aを参照し、第二の払出関連情報を受信したか否かを判定する。ここで、ステップS1440でYesの場合、ステップS1445で、残賞球関連制御手段1300は、残賞球数一時記憶手段1310の残賞球数を1減算し、次の処理(ステップS1200の未払出賞球管理処理)に移行する。なお、ステップS1440でNoの場合にも、次の処理(ステップS1200の未払出賞球管理処理)に移行する。
次に、図30〜図32を参照しながら、電源電圧が所定の閾値を下回ると発せられるNMI信号を契機としてCPUのレジスタ値をバックアップする等の電源断時処理(ステップS1500〜S1700)を説明する。まず、図30は、図25のステップS1500のサブルーチンに係る、電源断時基本処理のフローチャートである。はじめに、ステップS1505で、電源断時・電源立ち上げ時処理制御手段1600は、現在の遊技状態をバックアップ情報一時記憶手段(バックアップRAM)1620に一時記憶する。ここで、現在の遊技状態としては、現時点における各レジスタの内容、例えば、賞球払出中の場合には賞球払出状態、未賞球払出データがある場合には当該データ等を挙げることができる。そして、ステップS1510で、電源断時・電源立ち上げ時処理制御手段1600は、
バックアップ情報一時記憶手段(バックアップRAM)1620のフラグ領域にアクセスし、NMIフラグをオンにし、次の処理(ステップS1600の払出ユニット強制停止コマンド送信制御処理)に移行する。
次に、図31は、図25におけるステップS1600のサブルーチンに係る、払出ユニット強制停止コマンド送信制御処理のフローチャートである。まず、ステップS1605で、払出制御側送信制御手段1211は、賞球数が0球である賞球払出コマンドを送信コマンド一時記憶手段2111aにセットする。なお、後述するように、これを受信した払出制御基板2000側では、賞球払出動作中であった場合には当該動作を強制停止させる処理を実行する。そして、ステップS1610で、払出制御側送信制御手段1211は、送信コマンド一時記憶手段1211aにセットした賞球払出コマンドを払出制御基板2000側に送信し、次の処理(ステップS1700の未払出賞球管理処理)に移行する。
次に、図32は、図25のステップS1700のサブルーチンに係る、未払出賞球(賞球払出コマンド送信済)管理処理のフローチャートである。まず、ステップS1705で、払出制御側送信制御手段1211は、電源断が発生した旨の情報を払出制御基板2000側に送信する。次に、ステップS1710で、払出制御側受信制御手段1222は、第二回線の入力ポートを参照し、払出制御基板2000から残賞球情報を受信したか否かを参照する。なお、情報受信態様としては、第二回線を介しての残賞球情報に係るパルスを受信する手法で実行される。ここで、ステップS1710でNoの場合には、当該情報を受信するまでこの処理をループする。そして、ステップS1710でYesの場合、ステップS1715で、残賞球関連制御手段1300は、払出制御基板2000から受信した残賞球情報と、メイン制御基板1000側で管理している残賞球数一時記憶手段1310に一時記憶されている残賞球情報との比較を実行する。そして、ステップS1720で、残賞球関連制御手段1300は、ステップS1715での比較結果が同一であるか否かを判定する。ステップ1720でYesの場合には、賞球払出に異常が発生していないものとし、図25に示すように、当該処理をループすることで他の割り込み処理が実行されることを禁止し、電源電圧が降下してCPUが非動作状態になるのを待つ。他方、ステップS1720でNoの場合、すなわち、メイン制御基板1000及び払出制御基板2000間で残賞球情報が不一致である場合には、ステップS1725で、残賞球関連制御手段1300は、メイン制御基板1000側で管理している、残賞球数一時記憶手段1310に一時記憶されている残賞球情報をクリアし、前記同様、当該処理をループすることで他の割り込み処理が実行されることを禁止し、電源電圧が降下してCPUが非動作状態になるのを待つ。
(払出制御基板側での処理)
次に、図33〜図38を参照しながら、払出制御基板2000側での処理を詳述する。まず、図33は、払出制御基板2000におけるメインルーチンを示すフローチャートである。始めに、ステップS2100で、払出制御基板2000は、後述する賞球払出関連情報受信処理を実行する。次に、ステップS2200で、払出制御基板2000は、後述する賞球払出制御処理を実行し、ステップS2100に移行する。以下、各サブルーチンについて説明する。
まず、図34は、図33のステップS2100のサブルーチンに係る、賞球払出関連情報受信処理(対メイン制御基板)のフローチャートである。まず、ステップS2105で、メイン側受信制御手段2111は、払出状態フラグ一時記憶手段2311を参照し、モータ駆動中フラグがオフであるか否かを判定する。ここで、「モータ駆動中フラグ」とは、賞球払出ユニット40の払出モータ80が駆動中にオンになるフラグである。ステップS2105でYesの場合、ステップS2110で、メイン側受信制御手段2111は、メイン側受信情報一時記憶手段2111aを参照し、賞球払出コマンドを受信したか否か
を判定する。ステップS2110でYesの場合、ステップ2115で、払出制御手段2300は、払出状態フラグ一時記憶手段2311のフラグ領域にアクセスし、賞球払出開始許可フラグをオンにする。次に、ステップS2120で、払出制御手段2300は、メイン側受信情報一時記憶手段2111aに一時記憶されている賞球払出コマンド情報に基づき、今回払い出されるべき賞球数を導き、当該賞球数情報を払出カウンタ2312にセットする。以上で、通常の賞球払出処理が実行される際の、賞球払出数のセット処理を終了する。
他方、ステップS2105でNoの場合、電源断時における強制払出停止処理が実行される。具体的には、ステップS2105でNoの場合、すなわち、払出モータ80が駆動中である場合、メイン側受信制御手段2111は、メイン側受信情報一時記憶手段2111aを参照し、払出数=0球の賞球払出コマンドを受信したか否かを判定する。ここで、図25〜図32で説明したメイン制御基板1000側での処理からも理解できるように、本実施形態では原則として、払出制御基板2000側で賞球払出中である場合には、メイン制御基板1000側からは次の賞球払出コマンドが送信されることはない。但し、電源断時に払出制御基板2000側で賞球払出中である場合には、メイン制御基板1000側から賞球払出コマンドに対して0球賞球払出コマンドを送信し、払出動作を強制的に停止するように構成されている。このような構成下、ステップS2125でYesの場合には、ステップS2120に移行する。すなわち、現在の払出カウンタ2312に0をオーバーライトする。これにより、後述するように、賞球払出ユニット40のスプロケット70は初期位置で強制停止し、電源断によるスプロケット70の惰性による回転を防止できる。他方、ステップS2125でNoの場合には次の処理(ステップS2130)に移行する。また、ステップS2120でNoの場合にも次の処理(ステップS2130)に移行する。以上で、電源断時にメイン制御基板1000から0球賞球払出コマンドを受信した際の、0球賞球払出のセット処理を終了する。
次に、ステップS2130で、メイン側受信制御手段2111は、メイン側受信情報一時記憶手段2111aを参照し、電源断発生情報(図31のステップS1705参照)を受信したか否かを判定する。ステップS2130でYesの場合、ステップS2135で、第二回線経由信号送信制御手段2122(特に電源断時信号送信制御手段2122b)は、払出カウンタ2312を参照して残賞球数に関する情報を取得した上、当該残賞球数と対応したパルス信号を、メイン制御基板1000側に第二回線を介して送信し、次の処理(ステップS2140)に移行する。以上で、電源断時にメイン制御基板1000側に対して残賞球数を送信する処理を終了する。
次にステップS2140で、第一回線経由情報送信制御手段2121は、払出状態フラグ一時記憶手段2311を参照し、1個払出確認フラグがオンであるか否かを判定する。ここで、「1個払出確認フラグ」とは賞球払出ユニット40のカウントセンサ50で遊技球が1個検出された際にオンとなるフラグである。ステップS2140でYesの場合、ステップS2145で、第一回線経由情報送信制御手段2121は、払出状態フラグ一時記憶手段2311のフラグ領域にアクセスし、1個払出確認フラグをオフにする。そして、ステップS2150で、第一回線経由情報送信制御手段2121は、メイン制御基板1000側に対して1個賞球が払い出された旨の情報を送信し、ステップS2155に移行する。なお、ステップS2140でNoの場合にも次の処理(ステップS2155)に移行する。以上で、1個払出確認情報の送信処理を終了する。
次にステップS2155で、第一回線経由情報送信制御手段2121は、エラーフラグ一時記憶手段2221を参照し、払出に関するエラーフラグがオンであるか否か、すなわち、払出関連エラーが発生したか否かを判定する。ステップS2155でYesの場合、ステップS2160で、第一回線経由情報送信制御手段2121は、メイン制御基板10
00側に対して払出関連エラーが発生した旨の情報を送信し、次の処理(ステップS2165)に移行する。なお、ステップS2155でNoの場合には、次の処理(ステップS
2165)に移行する。以上で、払出関連エラー情報送信処理を終了する。
次に、ステップS2165で、第一回線経由情報送信制御手段2121は、払出状態フラグ一時記憶手段2311を参照し、賞球払出完了フラグがオンであるか否かを判定する。ここで、「賞球払出完了フラグ」とは、払出制御手段2300により賞球払出が完了したと判定された場合にオンとなるフラグである。ステップS2165でYesの場合、ステップS2170で、第一回線経由情報送信制御手段2121は、払出状態フラグ一時記憶手段2311のフラグ領域にアクセスし、賞球払出完了フラグをオフにする。そして、ステップS2175で、第一回線経由情報送信制御手段2121は、メイン制御基板1000側に対して賞球払出が完了した旨の情報を送信し、次の処理(ステップS2200の賞球払出制御処理)に移行する。なお、ステップS2165でNoの場合にも、次の処理(ステップS2200の賞球払出制御処理)に移行する。以上で、賞球払出完了情報送信処理を終了する。
次に、図35は、図33のステップS2200のサブルーチンに係る、賞球払出制御処理のフローチャートである。まず、ステップS2205で、払出制御手段2300は、払出状態フラグ一時記憶手段2311を参照し、賞球払出開始許可フラグ(図34のステップS2115参照)オンであるか否かを判定する。ステップS2205でYesの場合、ステップS2210及びステップS2215で、払出制御手段2300は、払出状態フラグ一時記憶手段2311にアクセスし、賞球払出中フラグをオンにすると共に賞球払出開始許可フラグをオフにする。そして、ステップS2220で、払出制御手段2300は、払出カウンタ2312にセットされている賞球払出個数が所定個数(例えば5個)以上であるか否かを判定する。ステップS2220でYesの場合、ステップS2225で、払出制御手段2300は、所定個数分払い出されるよう、賞球払出ユニット40の払出モータ80を駆動制御する。他方、ステップ2220でNoの場合、すなわち、払出カウンタ2312にセットされている賞球払出個数が所定個数に満たない場合には、払出制御手段2300は、払出カウンタ2312にセットされている賞球払出個数分が払い出されるよう、賞球払出ユニット40の払出モータ80を駆動制御する。そして、ステップS2235で、払出状態フラグ一時記憶手段2311にアクセスし、モータ駆動中フラグをオンにする。以上で、払出モータ駆動開始処理を終了する。
次に、ステップS2240で、払出制御手段2300は、回転検出センサ85からのON・OFF信号に基づき、ステップS2225又はステップS2230で予定していたモータ駆動が完了したか否かを判定する。ステップS2240でYesの場合、ステップS2245で、払出制御手段2300は、回転検出センサ85からのON・OFF信号に基づき、スプロケット70を初期位置で停止させる。他方、ステップS2240でNoの場合、すなわち、ステップS2225又はステップS2230で予定していたモータ駆動が完了していない場合には、ステップS2290で、払出制御手段2300は、払出カウンタ2312の払出カウンタ値が0であるか否か、すなわち、メイン制御基板1000側からの電源断時強制停止指令を受信したか否かを判定する。ステップS2290でYesの場合、ステップS2300で、払出制御手段2300は、回転検出センサ85からのON・OFF信号に基づき、スプロケット70を初期位置で停止させる(詳細は、図36等に示すステップS2300のサブルーチンに係る、電源断時におけるスプロケット強制停止処理のところで説明する)。そして、ステップS2250で払出制御手段2300は、払出状態フラグ一時記憶手段2311にアクセスし、モータ駆動中フラグをオフにする。なお、ステップS2290でNoの場合には次の処理(ステップS2255)に移行する。以上で、払出モータ停止処理を終了する。
次に、ステップS2255で、払出制御手段2300は、カウントセンサ50から遊技球検知信号を受信したか否かを判定する。ステップS2255でYesの場合、ステップ2260で、払出制御手段2300は、払出カウンタ2312に一時記憶されているカウンタ値を1減算する。そして、ステップS2262で、払出制御手段2300は、払出状態フラグ一時記憶手段2311にアクセスし、1個払出確認フラグをオンにし、次の処理(ステップ2265)に移行する。なお、ステップS2255でNoの場合にも次の処理(ステップ2265)に移行する。以上で、遊技球検知時処理を終了する。
次に、ステップS2265で、払出制御手段2300は、払出カウンタ2312を参照し、カウンタ値が0であるか否かを判定する。ステップS2265でYesの場合、ステップ2270及びステップ2275で、払出制御手段2300は、払出状態フラグ一時記憶手段2311にアクセスし、賞球払出中フラグをオフにすると共に賞球払出完了フラグをオンにし、次の処理(ステップS2100の賞球払出関連情報送受信処理)に移行する。
他方、ステップS2205でNoの場合、すなわち、賞球払出開始許可フラグがオフである場合には、ステップS2280で、払出制御手段2300は、払出状態フラグ一時記憶手段2311を参照し、モータ駆動中フラグがオンであるか否かを判定する。ここで、ステップS2280でYesの場合には、ステップS2240に移行して賞球払出動作を継続する。他方、ステップS2280で、Noの場合には、ステップS2285で、払出制御手段2300は、賞球払出中フラグがオフであるか否かを判定する。ステップS2285でNoの場合には、まだ払出を実行すべき賞球が存在すると判定し、ステップS2220に移行する。他方、ステップS2285でYesの場合及びステップS2265でNoの場合には、次の処理(ステップ2100の賞球払出関連情報送受信処理)に移行する。
まず、図36は、図35のステップS2300のサブルーチンに係る、電源断時におけるスプロケット強制停止処理のフローチャートである。まず、ステップS2301で、払出制御手段2300は、回転検出センサ85からのON・OFF信号に基づいて、スプロケット70が初期位置にあるか否かを判定する。ステップS2301でNoの場合、すなわち、スプロケット70が初期位置にない場合には、ステップS2303で、払出制御手段2300は、払出モータ80を駆動制御してスプロケット70を逆転方向に回転させて、回転検出センサ85からのON・OFF信号に基づきスプロケット70を前回の初期位置に戻し、次の処理(ステップS2302)に移行する。ここで、前回の初期位置とは、スプロケット70を逆回転させた場合に最初に到達する初期位置をいう。なお、ステップS2302でYesの場合にも次の処理(ステップS2302)に移行する。そして、ステップS2302で、払出制御手段2300は、払出モータ80の励磁相の切換えを停止して、定常よりも高い駆動電圧を停止相に対して印加し(デューティ比を大きく制御し)、スプロケット70を初期位置でホールドさせるよう、この励磁による保持トルクで払出モータ80を停止させて、次の処理(ステップS2250)に移行する。
これにより、スプロケット70が正転方向に回転して遊技球を払出中に電断が発生しても、スプロケット70の回転方向を逆転させて前回の初期位置でホールドするため、スプロケットがそのまま惰性で回転を続ける事態を回避できる。
続いて、図37は、図35のステップS2300のサブルーチンに係る、電源断時におけるスプロケット強制停止処理の第1の変形例として示すフローチャートである。まず、ステップS2311で、払出制御手段2300は、回転検出センサ85からのON・OFF信号に基づいて、スプロケット70が初期位置にあるか否かを判定する。ステップS2311でNoの場合、すなわち、スプロケット70が初期位置ではない場合には、ステッ
プS2313で、払出制御手段2300は、払出モータ80を駆動制御してスプロケット70を正転方向に回転させて、回転検出センサ85からのON・OFF信号に基づきスプロケット70を次回の初期位置まで進行させ、次の処理(ステップS2312)に移行する。ここで、次回の初期位置とは、スプロケット70を正転方向に回転させた場合に最初に到達する初期位置をいう。なお、ステップS2311でYesの場合にも次の処理(ステップS2312)に移行する。そして、ステップS2312で、払出制御手段2300は、払出モータ80の励磁相の切換えを停止して、定常よりも高い駆動電圧を停止相に対して印加し(デューティ比を大きく制御し)、スプロケット70を初期位置でホールドさせるよう、この励磁による保持トルクで払出モータ80を停止させて、次の処理(ステップS2250)に移行する。
これにより、スプロケット70が遊技球を払出中に電源断が発生しても、スプロケット70を正転方向に継続して回転させて次回の初期位置でホールドするため、スプロケットがそのまま惰性で回転を続ける事態を回避できる。
なお、上述のように、スプロケット70を正転方向に回転させて次回の初期位置で停止させた場合には、電源断の発生後に遊技球を1個だけ払い出すことになるが、猶予時間(時刻T1〜T2)内に遊技球をカウントセンサ50に通過させれば、電源断発生時でも遊技球を取りこぼしなくカウントセンサ50にて検出することができる。
次いで、図38は、図35のステップS2300のサブルーチンに係る、電源断時におけるスプロケット強制停止処理の第2の変形例として示すフローチャートである。まず、ステップS2321で、払出制御手段2300は、回転検出センサ85からのON・OFF信号に基づいて、スプロケット70が初期位置にあるか否かを判定する。ステップS2321でNoの場合、すなわち、スプロケット70が初期位置にない場合には、ステップS2323で、払出制御手段2300は、払出モータ80の駆動パルスの数に基づきスプロケット70の回転位置(回転角度θ)を求め、スプロケット70の現在の回転位置が次回の初期位置よりも前回の初期位置に近いか否か、すなわち、スプロケット70の回転角度θが0°<θ<90°又は180°<θ<270°(図19及び図20を参照)の範囲内にあるか否かを判定する。ステップS2323でYesの場合、すなわち、スプロケット70の回転位置が前回の初期位置に近い場合(0°<θ<90°又は180°<θ<270°)には、ステップS2324で、払出制御手段2300は、払出モータ80を駆動制御してスプロケット70を逆転方向に回転させて、回転検出センサ85からのON・OFF信号に基づきスプロケット70を前回の初期位置まで戻し、次の処理(ステップS2322)に移行する。一方、ステップS2323でNoの場合、すなわち、スプロケット70の回転位置が次回の初期位置に近い場合(90°≦θ<180°又は270°≦θ<360°)には、ステップS2325で、払出制御手段2300は、払出モータ80を駆動制御してスプロケット70を正転方向に回転させて、回転検出センサ85からのON・OFF信号に基づきスプロケット70を次回の初期位置まで進行させ、次の処理(ステップS2322)に移行する。なお、ステップS2321でYesの場合にも次の処理(ステップS2322)に移行する。そして、ステップS2322で、払出制御手段2300は、払出モータ80の励磁相の切換えを停止して、定常よりも高い駆動電圧を停止相に対して印加し(デューティ比を大きく制御し)、スプロケット70を初期位置でホールドさせるよう、この励磁による保持トルクで払出モータ80を停止させて、次の処理(ステップS2250)に移行する。
これにより、スプロケット70が遊技球を払出中に電源断が発生しても、スプロケット70の現在の回転位置に応じて、スプロケット70をより近い方の初期位置まで回転させて停止状態で迅速にホールドするため、スプロケット70がそのまま惰性で回転を続ける事態を回避できる。
(効果)
遊技球の払出動作中に電源断が発生した場合であっても、払出制御基板側において蓄電がある状況下でスプロケットを正転方向又は逆転方向に回転させて初期位置で強制停止させるように構成されているため、スプロケットが回転している最中に電源断しても、スプロケットが惰性で回転し続けて遊技球が余剰に払い出される事態を回避することが可能になる。
続いて、上述した電源断時におけるスプロケット強制停止処理の変更例を説明する。上述の実施形態では、電源断時にはメイン制御基板1000側がNMI信号を受信後、メイン制御基板1000側から払出制御基板2000側に電源断発生情報を送信するように構成(図32のステップS1705等を参照)したが、これには限定されない。電源断時に払出制御基板2000がNMI信号を受信するように構成した場合、すなわち、払出制御基板2000を図22に示すようなハードウェア構成を採用して電圧監視手段を備えた場合には、図32のステップS1705のような、メイン制御基板1000側から払出制御基板2000側への電源断発生情報の送信処理は不要となる。そして、払出制御基板2000側で電源断が発生したと判断した場合には、払出カウンタ2312のカウンタ値に0をセットして、スプロケット70を正転又は逆転させて強制的に初期位置で停止させる処理や、メイン制御基板1000側に残賞球数情報を送信する処理を実行することができる。
[カウントセンサ]
(課題)
遊技球がスプロケットにより払い出されてからカウントセンサにて検出されるまでの経過時間が長いと、次の払出動作までのタイムラグが長くなり、遊技球を高速で払い出すことができなくなるという問題がある。そこで、スプロケットから払い出される遊技球をカウントセンサにて早いタイミングで検出することができる構成を実現する。
(構成:近接センサ)
カウントセンサ50は、図10〜図13等に示すように、遊技球の通過を検出する通過型センサ(電磁誘導型の近接センサ)であり、スプロケット70の回転作動によって払出通路48へ払い出される遊技球の実数をカウントする。この通過型センサは、遊技球(金属)が球検出口50aを通過すると、球検出口50aの周囲に配置されたコイル(図示せず)の磁界が変化してコイルのインピーダンスが変化することにより、その変化から遊技球が通過したことを検出するものである。
カウントセンサ50は、第1払出通路48aと第2払出通路48bとのほぼ境界部に取り付けられて、スプロケット70の直ぐ下方に配置されており、スプロケット70による遊技球の払出位置に近接してカウントセンサ50による遊技球の検出位置が設定されている。従って、スプロケット70によって放出された遊技球を自由落下後の早いタイミングでカウントセンサ50により検出することができるため、遊技球がスプロケット70により払い出されてからカウントセンサ50にて検出されるまでのタイムラグを短縮することが可能である。
(構成:光センサ)
図39はカウントセンサとして光センサを適用した賞球払出ユニット(ケース蓋部材が開放された状態)の側面図、図40はカウントセンサとスプロケット70との関係を示す模式図である。なお、図39及び図40ではカウントセンサ50′以外の同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。
カウントセンサ50′は、一対の測定部50a′を有しており、測定部50a′間を通過する物体を光の投受光により検出するフォトセンサ(光センサ)である。一対の測定部50a′は、発光ダイオード等の発光素子を有する発光部とフォトダイオード等の受光素子を有する受光部とからなり、コ字状のセンサ基体50b′の間にスプロケット70及び基壁43aを挟んで配置されている。カウントセンサ50′は、発光部から射出された光の反射光(遊技球の外表面で反射した反射光)を受光部により検出して、スプロケット70の回転作動によって払出通路48へ払い出される遊技球の実数をカウントする。なお、ケース本体部材42の基壁43aにおける測定部50a′間には投受光される光を通過させるための光通過孔43cが表裏貫通して形成されている。
カウントセンサ50′は、スプロケット70の回転軌道が入り込んで形成された円弧状の第1払出通路48aの途中に配置されている。これにより、スプロケット70による遊技球の払出位置とカウントセンサ50′による遊技球の検出位置とがほぼ一致する。従って、スプロケット70によって放出された遊技球を自由落下後の早いタイミングでカウントセンサ50′により検出することができるため、遊技球がスプロケット70により払い出されてからカウントセンサ50′にて検出されるまでのタイムラグを短縮することが可能である。
(効果)
スプロケットによる遊技球の放出位置とカウントセンサによる遊技球の検出位置とを近接又は一致させることにより、スプロケットから払い出された遊技球をカウントセンサにて早いタイミングで検出することができるため、スプロケットの回転を高速化しても次の払出動作までのタイムラグが短縮されて、払出個数のカウントを正確に実施することが可能となる。従って、賞球の払出速度の高速化を図ることができる。
ところで近年においては、外部から不正な電波(電磁波)を発してカウントセンサ(主として近接センサ)を誤作動させ、規定数の賞球が払い出されたにもかかわらず検出されていない形にして多数の賞球を得ようとする不正行為(所謂「電波ゴト」)が問題となっているが、賞球の払出速度を高速化した条件下においてこのような不正行為が行われると、単位時間当たりに払い出される賞球数がより多大になるため、被害が甚大となるおそれがある。これに対して、カウントセンサとしてフォトセンサを適用すれば、磁界の変化とは関係なく光量の変化に基づいて遊技球の通過を検出できるため、電波を用いた不正行為を効果的に防止することが可能である。
[球抜き構造]
(課題)
賞球払出ユニットには、この賞球払出ユニットや上側通路部材に形成された球通路の清掃や構成部品の保守点検等のメンテナンス作業を行うため、またいわゆる打ち止めと称される定量制を採用する場合に払出個数を一定化し、あるいは営業日あたりの各パチンコ機の払出個数を計数するため、賞球払出ユニットに貯留された遊技球を機外へ排出するための球抜き機構が設けられている。球抜き機構は、案内通路の途上に通路壁の一部を開閉する球抜き部材を有し、この球抜き部材を開放位置に切り換えたときに球抜き部材よりも上流側に位置する遊技球が球抜き通路を介して機外へ排出されるように構成されている。このような球抜き機構では、球抜き処理時に遊技球がスプロケット上に1球も残存しない構造が望まれる。そこで、球抜き処理時に賞球払出ユニットに遊技球が残存しない構成を実現する。
(構成)
以下に、球抜き機構90について図11、図13、図41及び図42等を参照しながら説明する。なお、図41は球抜き部材91が閉止位置にある状態を示す要部側面図、図4
2は球抜き部材91が開放位置にある状態を示す要部側面図である。
球抜き機構90は、基壁43aに枢支された揺動軸92を中心として球抜き孔53を閉止する閉止位置(図41を参照)と球抜き孔53を開放する開放位置(図42を参照)との間で揺動自在に取り付けられた球抜き部材91と、この球抜き部材91の開閉操作を行うための操作レバー93とを備えて構成される。
球抜き部材91は、スプロケット70に向かって下り傾斜する傾斜壁91aを有しており、第2待機通路48bに沿って整列待機する先頭の遊技球が重力の作用を受けて傾斜壁91aに当接し得るように構成されている。球抜き部材91は、ケース本体部材42の後方の側壁43bに配設された操作レバー93に係合可能に形成されている。
操作レバー93は、ケース本体部材42の後方の側壁43bに形成された操作開口部94に係合して上下方向にスライド移動可能に取り付けられている。この操作レバー93を下方位置にスライド移動させたときには、操作レバー93の操作部材側突起93bが球抜き部材91の球抜き部材側突起91bに係合し、球抜き部材91を閉止位置に保持させて後方への揺動を規制し、案内通路46の上流側を流下してきた遊技球をスプロケット70(払出通路48)へ導く。一方、操作レバー93を上方位置にスライド移動させたときには、この操作レバー93と球抜き部材91との係合が解除されて球抜き部材91の後方への揺動が許容され、遊技球が案内通路46の上流側を流下するときに揺動部材91が遊技球の自重により後方に押圧されて開放位置へ揺動され、案内通路46の上流側を流下してきた遊技球を球抜き孔53から球抜き通路52へ排出させる。球抜き通路52を流下した遊技球は、下端の球排出口54から下側通路部材35の球排出通路35cを通過してパチンコ機PM1の機外へ排出される。
ここで、球抜き孔53は待機通路47の終端に開口されており、この終端位置に至った遊技球(スプロケット70の上方で整列する先頭の遊技球)は、スプロケット70が初期状態にあるときに、スプロケット70の球案内凸部(凸曲面)74に乗った状態で球抜き部材91の傾斜壁91aにも接している(図41を参照)。このとき、待機通路47に整列する遊技球の自重による球圧は、球抜き部材91を開放位置に揺動させる方向にも作用しているため、操作レバー93を上方位置に移動させると、図42に示すように、この遊技球の球圧によって球抜き部材91が後方に揺動されて球抜き孔53が開放され、スプロケット70の上方で待機する遊技球の全数が球抜き孔53を通って球抜き通路52に導かれる。つまり、待機通路47に数珠つなぎ状に整列する遊技球の全数をパチンコ機PM1の機外に排出することができる。
(効果)
従って、スプロケットの球案内凸部に当接する先頭の遊技球を含めたスプロケットよりも上流側に位置する遊技球、すなわち、待機通路に整列待機する遊技球の全数を球抜き通路に導くことができ、球抜き処理後に賞球払出ユニットに残留する遊技球数をゼロにすることが可能である。
なお、上述の実施形態では、操作レバー93が上方位置に操作されたときに球抜き部材91が仕切壁55と係合することで閉止位置に保持される構成となっているが、これに限定されるものではなく、以下に球抜き機構の変形例について図43を追加参照して説明する。図43は、球抜き機構の変形例を示す賞球払出ユニットの要部側面図である。なお、図43では球抜き機構90′、球抜き通路52′、球抜き孔53′及び仕切壁55′以外の同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。
球抜き機構90′は、「く」字状に屈曲して細長く延びる球抜き部材91′と、この球抜き部材91′の開閉操作を行うための操作レバー93′とを備えている。球抜き部材91′は、揺動軸92′を中心として球抜き孔53′を閉止する閉止位置と球抜き孔53′を開放する開放位置との間で揺動自在である。また、球抜き部材91′は、スプロケット70に向かって下り傾斜する傾斜壁91a′を有しており、第2待機通路48bに沿って整列待機する先頭の遊技球が重力の作用を受けて傾斜壁91a′に当接し得るように構成されている。球抜き部材91′は、ケース本体部材42の後方の側壁43bに配設された操作レバー93′に係合可能に形成されている。
球抜き部材91′は、操作レバー53′が上方位置に操作されたときに、基壁43aの主面側に形成された気壁係合部43dと係合することで閉止位置に保持されるようになっている。ここで、球抜き部材91′の先端部(揺動軸92′と反対側の端部)とスプロケット70の羽根72とは左右方向(図43における紙面直交方向)から見て重なって配置されているが、この先端部の基壁43d側には、スプロケット70が回転したときに羽根72が通過可能な羽根通過孔91b′が形成されているため、球抜き部材91′が羽根72と干渉するおそれはない。なお、球抜き部材91′が閉止位置にあるとき、球抜き部材91′と仕切壁55′とは所定の間隙をあけて離間している。
ここで、球抜き孔53は待機通路47の終端に開口されており、この終端位置に至った遊技球(スプロケット70の上方で整列する先頭の遊技球)は、スプロケット70が初期状態にあるときに、スプロケット70の球案内凸部(凸曲面)74に乗った状態で球抜き部材91′の傾斜壁91a′にも接している。このとき、待機通路47に整列する遊技球の自重による球圧は、球抜き部材91′を開放位置に揺動させる方向にも作用しているため、操作レバー93′を上方位置に移動させると、この遊技球の球圧によって球抜き部材91′が後方に揺動されて球抜き孔53′が開放され、スプロケット70の上方で待機する遊技球の全数が球抜き孔53′を通って球抜き通路52′に導かれる。つまり、待機通路47に数珠つなぎ状に整列する遊技球の全数をパチンコ機PM1の機外に排出することができる。
従って、この変形例に係る球抜き機構においても、スプロケットの球案内凸部に当接する先頭の遊技球を含めたスプロケットよりも上流側に位置する遊技球、すなわち、待機通路に整列待機する遊技球の全数を球抜き通路に導くことができ、球抜き処理後に賞球払出ユニットに残留する遊技球数をゼロにすることが可能である。
[アース構造I]
(課題)
遊技球は金属材料から形成されており、遊技盤面の役物や裏セット盤の賞球機構等に接触した際に静電気を帯びることがある。遊技球に静電気が帯電していると、電気部品等の異常等の不具合が発生するおそれがあるため、遊技球の静電気を適宜除去することが望ましい。そこで、遊技球が案内通路を通過する際に、該遊技球に帯電する静電気を除去し得る構造を実現する。
(構成)
賞球払出ユニット40のアース構造について、図11及び図13等を参照しながら説明する。賞球払出ユニット40の案内通路46には、その通路壁46a,46b,46c,46dの内面の一部に沿って配置される放電板としてのアース板58が取り付けられている。アース板58は、例えばステンレス等の導電性の金属材料を用いて薄肉の矩形板状に形成されている。
上側のアース板58は、上端の球受容口44の近傍において待機通路47の通路壁46
a,46bの内面に沿って前後(図13では左右)に対向して取り付けられている。下側のアース板58は、下端の球払出口45の近傍において払出通路48の通路壁46c,46dの内面に沿って前後(図13では左右)に対向して取り付けられている。
各アース板58は、不図示のアース線を介してアース接続(接地)されている。そのため、案内通路46を通過する遊技球をアース板58に接触させることで、遊技球に帯電する静電気をアース板58を介して効果的に除去し得るようになっている。
(効果)
遊技球が案内通路を通過する際に、遊技球をアース板に接触されることで、遊技球に帯電する静電気を効率良く除電することが可能である。また、このアース板は、案内通路の通路壁の一部に沿った保護板としての機能を有しており、案内通路の機械的強度を高めている。特に、遊技球が接触し易い位置にアース板を配置することが好ましく、これにより遊技球の除電を確実にするとともに、遊技球の衝突による通路壁の破損を防止できるようにしている。
なお、本実施形態では、アース板を直線状の通路壁の内面に配置した場合を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えばS字状に屈曲する通路壁の内面に取り付けてもよい。また、球抜き部材の案内通路側の壁面に沿ってアース板を取り付けてもよい。
[不正防止構造I]
(課題)
賞球払出ユニットに対する不正行為には、ピアノ線、針金、セルロイド板などの長尺な部材(以下、不正部材と称する)を球皿から賞球通路等を通じて賞球払出ユニット内に侵入させて、スプロケットを強制的に回転させることで、遊技球を不正に払い出させる行為がある。そこで、球皿からスプロケットへ至る不正部材の通過する経路中に、スプロケットへのアクセスを阻止するための不正防止手段を形成する。
(構成:カエシ)
図44は不正防止手段としての「カエシ」の一例を示す賞球払出ユニットの要部側面図である。なお、図44では「カエシ」以外の同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。
図44に示すように、払出通路48の途中に、不正防止手段として、いわゆる「カエシ」を形成する。例えば、払出通路48の途中に、スプロケット70の直下の仕切壁55から斜め上方に延びて通路内方に突出するカエシ部56を形成する。カエシ部56の先端は下方(球払出口45)へ向けてカールされており、侵入してきた不正部材の先端を確実に捕捉できるようなっている。そのため、不正部材の挿入経路はカエシ部56によって遮断される。
従って、不正部材が球払出口45から賞球払出ユニット40内に挿入され、第2払出通路48bを通してスプロケット70まで到達させようとしても、不正部材の先端がカエシ部56に当接してその動きが食い止められ、或いはカエシ部56によってスプロケット70から離れる方向や元来た方向に誘導されるので、不正部材によるスプロケット70への不正なアクセスを防止できる。
なお、第2払出通路48bの下通路壁46c,46dに通路内方へ向けて突出するカエシ部を形成してもよく、この場合には、この第2払出通路48bの壁面を伝って不正部材を挿入させたとしてもカエシ部56に当接してその侵入が食い止められる。
(構成:袋小路)
図45は不正防止手段としての「袋小路」の一例を示す賞球払出ユニットの要部側面図である。なお、図45では「袋小路」以外の同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。
図45に示すように、払出通路48′の途中に、不正防止手段として、いわゆる「袋小路」を形成する。払出通路48′は、スプロケット70の上部からその外周方向(図45における時計回り方向)に沿って円弧状に湾曲する第1払出通路48a′と、スプロケット70の側方やや下寄りの位置から下端の球払出口45に向けて延びる第2払出通路48b′とから形成される。
第2払出通路48b′は、カウントセンサ50の球検出口50aとケース本体部材42の球払出口45との間でS字状に屈曲して形成されており、球払出口45がカウントセンサ50の球検出口50aよりも後方(図45では左方)に偏倚している。この第2払出通路48b′の途中には、この第2払出通路48b′を逆方向(遊技球の通過方向とは逆方向)に移動させられる不正部材の先端を捕捉するための袋小路部57が設けられている。
袋小路部57は、第2払出通路48b′の屈曲部に形成されており、賞球払出ユニット40の下方(球払出口45)からの不正部材の侵入に対して行き止まりとなるように、前後左右及び上方の壁によって先細りのピラミッド状に仕切られた空間となっている。
従って、不正部材が球払出口45から賞球払出ユニット40内に挿入され、第2払出通路48b′を通してスプロケット70まで到達させようとしても、第2払出通路48b′に沿って不正部材を屈曲させなければならず、さらに不正部材の先端が袋小路部57に入り込むことにより、不正部材の移動を困難なものとしてスプロケット70への不正なアクセスを防止できる。
(効果)
以上のように、球払出口からスプロケットへ向かう払出通路の途中に不正防止手段を設けることにより、不正部材の挿入によるスプロケットへのアクセスを防ぐことができ、不正に賞球を得ようとする不正行為を効果的に抑止することが可能である。
[賞球払出ユニットの着脱構造]
(課題)
賞球払出ユニットには払出モータ及びカウントセンサ等の電気部品が設けられており、賞球払出ユニットと払出制御基板とを電気的に接続することで、払出制御基板から出力される制御信号に基づいて払出モータを回転作動させたり、カウントセンサからの検出信号が払出制御基板に入力されるようになっている。賞球払出ユニットはハーネス(コネクタ付ハーネス)を介して払出制御基板に電気接続されており、賞球払出ユニットを裏セット盤に着脱する際には、ハーネスのコネクタを払出制御基板に実装されたコネクタから挿抜する作業をしなければならないため、賞球払出ユニットの着脱作業が煩雑化するという問題がある。そこで、賞球払出ユニットの着脱の作業性を向上させることができる構成を実現する。
(構成)
賞球払出ユニット40の着脱構造について図46及び図47を追加参照しながら以下に説明する。ここで、図46は裏セット盤30におけるユニット収容部34を示す斜視図、図47は賞球払出ユニット40をユニット収容部34に装着する状態を示す模式図である。
裏セット盤30には、図46に示すように、上側通路部材33と下側通路部材35との間で後面側に開口して形成されたユニット収容部34が設けられており、このユニット収容部34に賞球払出ユニット40が後方から着脱自在に取り付けられるようになっている。このユニット収容部34には、賞球払出ユニット40の着脱構造として、上側通路部材33の下部に上下方向にスライド移動可能に設けられた第1係止レバー37と、下側通路部材35の上部に鉛直面内で回動可能に設けられた第2係止レバー38と、下側通路部材35の上端で左右に突出して前後方向に延びる板状の被ガイド部39と、不図示のハーネス等を介して払出制御基板2000に電気接続される中継端子板5000上に実装された本体側コネクタ5100とが備えられている。
第1係止レバー37は、上側通路部材33の後面に沿って上方に変位したアンロック位置と下方に変位したロック位置との間の可動範囲で上下にスライド移動可能である。
第2係止レバー38は、下側通路部材35の後面と直交する(前後方向に延びた)軸回りに、レバーを水平姿勢としたアンロック位置と、そのアンロック位置から後面視において反時計周り方向に約90度だけ回動させてレバーを垂直姿勢としたロック位置との間の可動範囲で往復回動可能となっている。
一方、賞球払出ユニット40には、ユニット収容部34の着脱構造に対応して、図9等に示すように、コ字状に形成されて前後方向に延びる左右一対のガイド溝41bと、ユニット収容部34の中継端子板5000に実装された本体側コネクタ5100と嵌合接続するユニット側コネクタ61とが設けられている。
本体側コネクタ5100とユニット側コネクタ61は雌雄嵌合型のドロアコネクタから構成され、賞球払出ユニット40を裏セット盤30のユニット収容部34に装着する際に相互に結合(嵌合接続)する位置に設けられている。本体側コネクタ5100とユニット側コネクタ61とが結合されると、裏セット盤30の払出制御基板2000と賞球払出ユニット40(払出モータ80、カウントセンサ50、電波検出センサ51、回転検出センサ85)とが中継端子板5000を経由して電気接続される。
賞球払出ユニット40の裏セット盤30への取り付けは、賞球払出ユニット40を裏セット盤30のユニット収容部34に位置合わせして、この賞球払出ユニット40のガイド溝41bに下側通路部材35の被ガイド部39を挿入させながら前方へ真っ直ぐにスライド移動させる。賞球払出ユニット40のユニット側コネクタ61が中継端子板5000の本体側コネクタ5100に結合する位置までスライド移動させると、賞球払出ユニット40の球受容口44、球払出口45及び球排出口54が、球供給通路33a、賞球通路35a及び球排出通路35cとそれぞれ位置整合して、相互間で遊技球が流入・流出可能なように接続された状態となる。
このとき、賞球払出ユニット40のユニットケース41に形成された上部の被覆壁41a(図9等を参照)が、上側通路部材33の下端部と賞球払出ユニット40の上端部との間に生じる隙間、すなわち上側通路部材33の球供給通路33aと賞球払出ユニット40の球受容口44との間に生じる隙間の左右及び後方を覆うようになっている。
この状態から上側通路部材33に設けられた第1係止レバー37を下方にスライドさせるとともに、下側通路部材35に設けられた第2係止レバー38を上方(後面視において反時計周り方向)に回動させて、各係止レバー37,38をそれぞれ賞球払出ユニット40の後面側に係合させることで、賞球払出ユニット40が裏セット盤30のユニット収容部34に抜け止め状態で装着される。こうして賞球払出ユニット40が裏セット盤30に
固定された状態では、球抜き機構90の操作レバー93が後方に向けて露出しているので、この操作レバー93にアクセスして球抜き操作が可能である。このように、上下の係止レバー37,38をスライド又は回動操作して賞球払出ユニット40の後面側に係合させることで、賞球払出ユニット40の取り外し方向(後方)への移動を規制することができる。よって、賞球払出ユニット40の裏セット盤30に対する位置ずれを抑止して、ユニット側コネクタ61が本体側コネクタ5100から抜脱されるような不具合を抑止することで、賞球払出ユニット40と払出制御基板2000との電気接続が断たれるような事態を未然に防止することができる。
(効果)
従って、賞球払出ユニットを裏セット盤のユニット収容部に対して着脱する動作に対応して、賞球払出ユニットのユニット側コネクタと中継端子板の本体側コネクタとが挿脱される構成であるため、払出制御基板と賞球払出ユニットとをハーネス等により配線接続する手間が省けて配線作業に要する時間が短縮されるため、賞球払出ユニットの裏セット盤への着脱の作業性が向上される。
[コネクタ接続の補助]
(課題)
賞球払出ユニットを裏セット盤に装着したときに、賞球払出ユニットのコネクタと払出制御基板もしくは中継基板のコネクタとが結合して電気的に接続される構成において、裏セット盤への賞球払出ユニットの装着が不完全(例えば、半差し状態)であると、コネクタ相互の結合が未接続状態となったり、コネクタが不用意に抜脱されるおそれがあり、電気的接続の信頼性が低下するという問題がある。そこで、賞球払出ユニットと払出制御基板との間でコネクタ相互の電気的接続を高めることができる構成を実現する。
(構成)
図46及び図47に示すように、賞球払出ユニット40を固定する二つの係止レバー37,38には、本体側コネクタ5100とユニット側コネクタ61との結合を案内するとともに該結合状態を安定的に保持するための補助構造が設けられている。
第1係止レバー37にはアンロック方向(上方向)へ向かって前方に傾斜する第1案内傾斜面37aが形成されており、第2係止レバー38にはそのアンロック方向(後面視において時計回り方向)へ向かって前方に傾斜する第2案内傾斜面38aが形成されている。そのため、上下の係止レバー37,38をアンロック位置からロック位置に変位させた際に、第1案内傾斜面37a及び第2案内傾斜面38aが協働して、賞球払出ユニット40を被ガイド部39に沿って前方に案内するようになっている。二つの係止レバー37,38が互いにロック位置に至ると、賞球払出ユニット40がユニット収容部34の所定位置(正確な取付位置)に位置決めされ、本体側コネクタ5100とユニット側コネクタ61とが完全に結合された状態となる。
また、上下の係止レバー37,38がロック位置で保持された状態では、賞球払出ユニット40の取り外し方向(後方)への移動が規制されるため、パチンコ機PM1に振動等が生じた場合でもユニット側コネクタ61が本体側コネクタ5100から抜脱されることがなく、賞球払出ユニット40と払出制御基板2000との電気接続が断たれることが防止される。
(効果)
各係止レバーをロック位置に変位させて賞球払出ユニットを裏セット盤のユニット収容部に装着したときに、本体側コネクタとユニット側コネクタとが完全に結合するとともに、二つの係止レバーによって賞球払出ユニットの取り外し方向(後方)への移動が規制さ
れて該結合状態が強固に保持されるため、コネクタ相互の電気的接続の信頼性を維持することができる。
[ユニットの分割構成I]
(課題)
賞球払出ユニットは裏セット盤に対して着脱可能に構成されているが、このユニットに故障等が生じたときには、不具合箇所の特定が困難であるとともに、故障した部品等を交換する作業が煩雑であり、その結果としてユニット全体を丸ごと交換しなければならないため作業効率が低下するという問題があった。そこで、賞球払出ユニットに故障が生じた場合でも、不具合箇所の特定が容易であるとともに故障部品の交換作業を容易に行うことができる構成を実現する。
(構成)
図48は第1の変形例に係る賞球払出ユニット140を前方から見た斜視図、図49は賞球払出ユニット140(ケース蓋部材を開放した状態)の側面図である。なお、図48及び図49では上述の実施形態と同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。
賞球払出ユニット140は、球受容口144を有する上側の第1サブアッセンブリ140Uと、球払出口145を有する下側の第2サブアッセンブリ140Dとにより上下に二分割されて構成されている。
第1サブアッセンブリ140Uは、第1ケース本体部材142U及び第1ケース蓋部材159Uからなる第1ユニットケース141Uと、第1ユニットケース141Uの右側面を覆って取り付けられる第1カバー部材160Uと、遊技球を1球ずつ払い出すスプロケット70と、スプロケット70を回転作動させる払出モータ80(図10等を参照)と、遊技球をパチンコ機PM1の機外へ排出させる球抜き機構90とを有して構成される。なお、第1サブアッセンブリ140Uには、第1ケース本体部材142Uと第1カバー部材160Uとの間に、歯車機構81、電波検出センサ51、及び回転検出センサ85(図10等を参照)などが設けられている。第1ユニットケース141Uには、この賞球払出ユニット140が裏セット盤30に装着されたときに、上側通路部材33の球供給通路33aと連絡して遊技球を受容する球受容口144が形成されている。
第2サブアッセンブリ140Dは、第2ケース本体部材142D及び第2ケース蓋部材142Dからなる第2ユニットケース141Dと、第2ユニットケース141Dの右側面を覆って取り付けられる第2カバー部材160Dと、スプロケット70によって払い出された遊技球を検出するカウントセンサ50とを有して構成される。第2ユニットケース141Dには、この賞球払出ユニット140が裏セット盤30に装着されたときに、下側通路部材35の賞球通路35aと連絡して遊技球を払い出す球払出口145と、下側通路部材35の球排出通路35cと連絡して遊技球を排出する球排出口154とが形成されている。
案内通路146は、スプロケット70の配設位置よりも上流側(球受容口144側)の待機通路147と、スプロケット70の配設位置よりも下流側(球払出口145側)の払出通路148とにより形成される。
上流側の待機通路147は、第1待機通路147aと第2待機通路147bとから略S字状に形成されており、球受容口144から導入された遊技球を一列の整列状態でスプロケット70に導くとともに、スプロケット70の作動停止時に遊技球を整列状態で待機させる。待機通路147は、この通路を流下する遊技球の球圧を分散させるように蛇行して
形成されており、鉛直下方向(重力の作用する方向)への遊技球の自重による球圧の一部を水平方向への球圧に分散させている。
下流側の払出通路148は、スプロケット70の上部からその外周方向(図49における時計回り方向)に沿って円弧状に湾曲する第1払出通路148aと、スプロケット70の側方やや下寄りの位置から下端の球払出口145に向けて垂直に延びる第2払出通路148bとから形成される。
このように、案内通路147は第1ユニットケース141U及び第2ユニットケース141Dに跨って形成されており、第1ユニットケース141U側に待機通路147(147a,147b)及び第1払出通路148aが形成され、第2ユニットケース141D側に第2払出通路148bが形成される。
スプロケット70の後方には遊技球をパチンコ機PM1の外部へ排出するための球抜き通路152が形成されており、案内通路146の途中には待機通路147と球抜き通路152とを連絡する球抜き孔53が形成されている。球抜き通路152は、第1ユニットケース141U側に形成された第1球抜き通路152aと、第2ユニットケース141D側に形成された第2球抜き通路152bとから形成される。
第1払出通路148aと第1球抜き通路152aとの間には、スプロケット70の外周(回転軌跡)に沿って円弧状に湾曲して延びる仕切壁155が形成されている。この仕切壁155の一方の端部は、操作レバー93が下端位置に操作されたときに、閉止位置に変位した球抜き部材91の下端部と係合するようになっている。なお、仕切壁155の他方の端部には、例えば、ピアノ線等を利用した不正行為を阻止するための後述するカエシなどが形成されていてもよい。
第1ケース本体部材142Uには、その下端面(第2ケース本体部材142Dとの当接面)に複数の位置決め凸部162が下方に突設されており、前後の側面には略L字状に下方に延びる一対の係止アーム163が設けられている。
第2ケース本体部材142Dには、その上端面(第1ケース本体部材142Uとの当接面)に複数の位置決め凸部162と嵌合する複数の位置決め凹部164が設けられ、前後の側面には一対の係止アーム163と係合する一対の突起165が設けられている。
賞球払出ユニット140を組み立てるには、まず、第1ケース本体部材142Uに第1ケース蓋部材159U及び第1カバー部材160Uをネジ止め固定して第1サブアッセンブリ140Uを組み付け、第2ケース本体部材142Dに第2ケース蓋部材159D及び第2カバー部材160Dをネジ止め固定することで第2サブアッセンブリ140Dを組み付ける。そして、第1サブアッセンブリ140Uの下端部と第2サブアッセンブリ140Dの上端部とを近づけていき、第1サブアッセンブリ140Uの位置決め凸部162を第2サブアッセンブリ140Dの位置決め凹部164に嵌合させるとともに、各係止アーム163を対応する突起165にそれぞれ係合させて、第1サブアッセンブリ140Uと第2サブアッセンブリ140Dとを連結させる。
こうして第1サブアッセンブリ140Uと第2サブアッセンブリ140Dとが一体的に組み付けられると、第1払出通路148aと第2払出通路148bとがカウントセンサ50を介して上下に繋がるとともに、第1球抜き通路152Uと第2球抜き通路152Dとが上下に繋がり、これにより最終的なアッセンブリとしての賞球払出ユニット140が得られ、この賞球払出ユニット140を一個の単体として裏セット盤30のユニット収容部34に着脱自在に取り付けが可能である。
なお、賞球払出ユニット140が裏セット盤30のユニット収容部34に装着された状態では、球受容口144が上側通路部材33の球供給通路33aと位置整合するとともに、球払出口145が前方側に配置されて下側通路部材35の賞球通路35aと位置整合し、球排出口154が後方側に配置されて下側通路部材35の球排出通路35cと位置整合する。
一方、賞球払出ユニット140を第1サブアッセンブリ140U及び第2サブアッセンブリ140Dに分離させるためには、前述の組み立ての手順と逆の手順で行えばよいため、その説明は省略する。
(効果)
賞球払出ユニットを複数のサブアッセンブリとして構成することにより、賞球払出ユニットのパーツ交換や保守点検を分離した各サブアッセンブリ別に行うことができる。従って、例えば賞球払出ユニットが何らかの不具合によって故障等した場合に、賞球払出ユニットを個別分離したサブアッセンブリ単位で取り扱うことができ、不具合箇所の特定が容易になるとともに故障部品の交換や搬送が容易になるため、交換費用等のコストを削減できるのと同時に、作業効率およびリサイクル性の向上を図ることが可能である。
[分割ユニットの電気接続I]
(課題)
賞球払出ユニットを複数のサブアッセンブリに分割した構成では、各サブアッセンブリに払出モータやカウントセンサ等の電気部品が分散して配置された場合、サブアッセンブリごとに払出制御基板にハーネス等を介して電気接続する必要があるため、賞球払出ユニットの組立の作業が煩雑になるという問題があった。そこで、複数のサブアッセンブリに分割構成された賞球払出ユニットの組立の作業性を向上させる構成を実現する。
(構成)
図48及び図49に示すように、第1サブアッセンブリ140Uと第2サブアッセンブリ140Dとの電気接続は、第1サブアッセンブリ140Uの下部側方に取り付けられた第1コネクタ166と、第2サブアッセンブリ140Dの上部側方に取り付けられた第2コネクタ167とを嵌合接続することで行われる。第1コネクタ166及び第2コネクタ167は、第1サブアッセンブリ140Uと第2サブアッセンブリ140Dとを組み立てる際に互いに結合する位置(すなわち、上下に対向する位置)に設けられている。
第1コネクタ166は、L字型のコネクタ取付板166aを介して第1カバー部材160Uに取り付けられたドロワコネクタであり、不図示のハーネスを介してユニット側コネクタ61に接続されている。そのため、ユニット側コネクタ61には、不図示のハーネスを介して、払出モータ80、電波検出センサ51、回転検出センサ85、及び第1コネクタ166がそれぞれ接続されている。
第2コネクタ167は、L字型の取付板167aを介して第2カバー部材160Dに取り付けられたドロワコネクタであり、不図示のハーネスを介してカウントセンサ50が接続されている。そのため、カウントセンサ50は、第1コネクタ166及び第2コネクタ167を結合させたときに、これら第1及び第2コネクタ166,167を介してユニット側コネクタ61に接続される。
第1サブアッセンブリ140Uと第2サブアッセンブリ140Dとが組み付けられると、雌雄嵌合型の第1コネクタ166と第2コネクタ167とが結合して、これら第1コネクタ166及び第2コネクタ167を介してカウントセンサ50とユニット側コネクタ6
1とが接続される。よって、この組付状態では、ユニット側コネクタ61に、払出モータ80、電波検出センサ51、及び回転検出センサ85が接続されるとともに、第1コネクタ166及び第2コネクタ167を介してカウントセンサ50が接続される。
賞球払出ユニット140を裏セット盤30のユニット収容部34に装着してユニット側コネクタ61を中継端子板5000の本体側コネクタ5100に結合させると、払出制御基板2000と賞球払出ユニット40(払出モータ80、カウントセンサ50、電波検出センサ51、回転検出センサ85)とが中継端子板5000を経由して電気接続される。
(効果)
第1サブアッセンブリと第2サブアッセンブリとを着脱する動作に対応して、第1コネクタと第2コネクタとが挿脱される構成であるため、第1サブアッセンブリと第2サブアッセンブリとをハーネス等により配線接続する手間が省けて配線作業に要する時間が短縮されるため、複数のサブアッセンブリとして分割構成された賞球払出ユニットの組み立ての作業性が向上される。
[スプロケットの回転姿勢]
(課題)
近年のパチンコ機では遊技の進行の妨げとならなうように、賞球払出ユニットによる賞球の払出速度の高速化が求められている。ここで、スプロケットは一般的に水平に延びる回転軸を中心として垂直面内で回転可能に構成され、その回転作動に伴って凹部に受容した遊技球を払出通路へ払い出すようになっているが、垂直姿勢のスプロケットの凹部に遊技球を安定的に保持することは比較的難しく、スプロケットを高速回転させた場合には凹部内で遊技球がバウンド等して球噛み等が生じるおそれがある。そこで、スプロケットの回転速度(遊技球の払出速度)を高速化しても球噛みの発生を回避することができる構成を実現する。
上述ではスプロケットを水平軸線周りに回転させた場合を例示して説明したが、以下ではスプロケットの回転軸を水平軸線に対して所定の傾斜角度(例えば、45°,90°)だけ傾けて、スプロケットを傾斜面内又は鉛直面内で回転させるようにした構成を説明する。なお、以下ではスプロケットに球受け部が2カ所形成された形態を例示しているが、3カ所以上の複数形成されているものであってもよい。
(構成:傾斜角度=45°)
図50は第2の変形例に係る賞球払出ユニット(ケース蓋部材が開放された状態)240の側面図、図51は賞球払出ユニット240の要部断面図である。なお、図50及び図51では上述の実施形態と同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。
賞球払出ユニット240のユニットケース241は、スプロケット271等の取付ベースとなるケース本体部材242と、ケース本体部材242の側面に重合して取り付けられるケース蓋部材259とにより形成される。ケース本体部材242の主面(右側面)には遊技球の球径よりも幾分大きめの間隔をおいて立設された通路壁に囲まれて1条の案内通路246が形成されている。
案内通路246は、スプロケット270の配設位置よりも上流側(球受容口244側)の待機通路247と、スプロケット270の配設位置よりも下流側(球払出口245側)の払出通路248とにより形成される。
待機通路247は、第1待機通路247aと第2待機通路247bとから略S字状に形
成されており、球受容口244から導入された遊技球を一列の整列状態でスプロケット270に導くとともに、スプロケット270の作動停止時に遊技球を整列状態で待機させる。待機通路247は、この通路を流下する遊技球の球圧を分散させるように蛇行して形成されており、鉛直下方向(重力の作用する方向)への遊技球の自重による球圧の一部を水平方向への球圧に分散させている。
下流側の払出通路248は、スプロケット270の上部からその外周方向(図50における時計回り方向)に沿って円弧状に湾曲するとともにケース蓋部材側(図50において手前側)に向かって下り傾斜する第1払出通路248aと、スプロケット270の側方やや下寄りの位置から第1払出通路248aの終端と球払出口245とを繋いて鉛直下方に延びる第2払出通路248bとから形成される。
スプロケット270は、二枚の羽根272を有する回転盤271と、この回転盤271の中心から斜め下方に延びる回転軸273とを有して構成される(ケース本体部材242への配設姿勢が異なるものの、詳細構成は前述の二枚羽根のスプロケット70と同様である)。スプロケット270は、回転盤271の表面が上向きとなる配設姿勢で水平軸線及び鉛直軸線に対して45度傾斜した回転軸273を中心としてケース本体部材242に回転自在に取り付けられている。そのため、スプロケット270は、水平面及び鉛直面に対して45度で傾斜した傾斜面内で回転自在である。なお、払出モータ80及び歯車機構81(図10等を参照)は、スプロケット270と同様に水平面に対して45度で傾斜した配設姿勢でユニットケース241の背面側に取り付けられている。
球受容凹部275は、スプロケット270がケース本体部材242に対して初期状態となったときに、略直角に開いた二つの壁面271a,271bが鉛直軸線に対して互いに相反する方向へ45度傾斜して配置されており、この初期状態で球受容凹部275が上方を向いたときに待機通路247と対向するようになっている。そのため、遊技球が球受容凹部275に受け入れられると、遊技球はその傾斜した両壁面271a,271bに当接して安定的に保持されるので、スプロケット270の回転速度を高速化しても、遊技球のバタツキやバウンド等により球噛みすることなく、遊技球を正確に払い出すことが可能である。また、遊技球の加重が回転軸273の軸方向及び軸直交方向に分散されるため、払出モータ80に掛かる負荷が軽減されて、スプロケット270を低トルクで回転作動させることができるため、払出モータ80を小型化することが可能である。
(構成:傾斜角度=90°)
図52は第3の変形例に係る賞球払出ユニット(ケース蓋部材が開放された状態)340の側面図である。なお、図52では上述の実施形態と同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。
賞球払出ユニット340のユニットケース341は、スプロケット370等の取付ベースとなるケース本体部材342を備えている。ケース本体部材342の上下方向の略中央には、円筒状のスプロケット配設空間346Sが形成されており、このスプロケット配設空間246S内において水平な円盤状の支持壁355上にスプロケット370が回転自在に載置されている。ケース本体部材342の主面(右側面)には遊技球の球径よりも幾分大きめの間隔をおいて立設された通路壁に囲まれて1条の案内通路346が形成されている。
案内通路346は、スプロケット370の配設位置よりも上流側(球受容口344側)の待機通路347と、スプロケット370の配設位置よりも下流側(球払出口345側)の払出通路348とにより形成されており、待機通路347及び払出通路348に連通するようにしてスプロケット配設空間346Sが設けられている。
上流側の待機通路347は、第1待機通路347aと第2待機通路347bとから略S字状に形成されており、球受容口344から導入された遊技球を一列の整列状態でスプロケット370に導くとともに、スプロケット370の作動停止時に遊技球を整列状態で待機させる。待機通路347は、この通路を流下する遊技球の球圧を分散させるように蛇行して形成されており、鉛直下方向(重力の作用する方向)への遊技球の自重による球圧の一部を水平方向への球圧に分散させている。
下流側の払出通路348は、スプロケット配設空間346Sの一部をなしてスプロケット70の外周方向に沿って円弧状に湾曲する第1払出通路348aと、後述する球通過孔355bから下端の球払出口345に向けて延びる第2払出通路348bとから形成される。
スプロケット370は、二枚の羽根372を有する回転盤371と、この回転盤371から下方に延びる回転軸373とを有して構成される(ケース本体部材342への配設姿勢が異なるものの、詳細構成は前述の二枚羽根のスプロケット70と同様である)。スプロケット370は、鉛直方向に延びる(水平軸線に対して90度傾斜した)回転軸373を中心として水平面内で回転可能である。スプロケット370の表面の輪郭部は適度に丸められており、遊技球を球受容凹部375へスムーズに受け入れられるようになっている。スプロケット370の回転軸373はケース本体部材342の支持壁355に穿設された貫通孔355aを通して下方に延出しており、この回転軸373の下端に取り付けられた中間歯車376がケース本体部材342に貫通形成されたギヤ挿通孔(図示せず)を通って歯車機構81(図52では不図示)に接続される。
また、ケース本体部材342には、遊技球をパチンコ機PM1の外部へ排出するための球抜き通路352が形成されており、案内通路346の途中には待機通路347と球抜き通路352とを連絡する球抜き孔353が形成されている。また、球抜き通路352の終端には球排出口354が開口形成されている。
スプロケット370の後方には、球抜き孔353を開閉する球抜き機構390の球抜き部材391が揺動軸392を中心として揺動自在に取り付けられており、操作レバー393を上端位置にスライドさせて球抜き部材391が開放位置に揺動変位したときに、スプロケット配設空間346Sと球抜き通路352とが連通するようになっている。
ケース本体部材342の支持壁355には遊技球が通過可能な大きさの球通過口355bが上下に貫通形成されており、この球通過口355bのほぼ真下にカウントセンサ50の球検出口50aが配置されている。スプロケット370が初期状態となったとき、すなわち、スプロケット370が回転して球受容凹部375が待機通路347の終端と位置整合したときに、待機通路347内に整列する先頭の遊技球が球受容凹部375に受容され、そこから更に180°回転して球通過口355bと位置整合したときに、球受容凹部375に受容されていた遊技球が球通過口355bから自由落下してカウントセンサ50にて検出される。
以上のように、スプロケット370がケース本体部材342に対して初期状態となったときに、先頭の遊技球が球受容凹部375に受け入れられると、遊技球はスプロケット370の壁面371aと支持壁355の壁面とに当接して安定的に保持されるので、スプロケット370の回転速度を高速化しても、遊技球のバタツキやバウンド等により球噛みすることなく、遊技球を正確に払い出すことが可能である。また、遊技球の加重の大部分は支持壁355の壁面に作用して、払出モータ80に掛かる負荷が軽減されることで、スプロケット370を低トルクで回転作動させることができるため、払出モータ80を小型化
することが可能である。
(効果)
スプロケットを水平軸線に対して傾斜した配設姿勢で回転自在に設けているため、遊技球を球受容凹部に安定的に保持した状態でスプロケットを回転作動させることができる。そのため、スプロケットの回転速度を高速化しても、スプロケットの回転作動中に遊技球がバウンド等することがないため、球詰まりの発生を防止することが可能である。また、スプロケットの回転軸は水平軸線に対して傾斜して設けられているため、待機通路に数珠繋ぎ状に整列待機する遊技球の自重による球圧を受けても、モータへの負荷が軽減する。よって、スプロケットを低トルクで回転作動させることができるとともに、払出モータの小型化を図ることができる。
なお、上述の実施形態では、球抜き処理時に遊技球の全数を賞球払出ユニットから排出するように構成したが、これに限定されるものでなく、球抜き処理時に所定個数の遊技球を賞球払出ユニット内にストックできるように構成してもよく、この変形例について図53を追加参照しながら説明する。ここで、図53は第4の変形例に係る賞球払出ユニット(ケース蓋部材を開放した状態)440の側面図である。なお、図53では上述の実施形態と同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。
賞球払出ユニット440のユニットケース441は、スプロケット70等の取付ベースとなるケース本体部材442を備えている。ケース本体部材442は、縦長の矩形板状に形成された基壁443aと、この基壁443aを囲んで右側方に延びる前後及び上下の側壁443bとを有し、全体としてケース蓋部材(図示せず)と対向する方の側面が開放された薄い箱型に形成されている。
また、ケース本体部材442の基壁443aの主面(右側面)には遊技球の球径よりも幾分大きめの間隔をおいて立設された上通路壁446a,446b1,446b2及び下通路壁446c,446dが設けられ、基壁443aの主面側に通路壁446a,446b1,446b2,446c,446dにより1条の案内通路446が形成されている。この案内通路446は上端の球受容口444と下端の球払出口445とを繋いでS字状に連続したカーブを有した通路状に形成されており、この案内通路446における遊技球の経路途中に球送り部材としてのスプロケット70が配設されている。
案内通路446は、スプロケット70の配設位置よりも上流側(球受容口444側)の待機通路447と、スプロケット70の配設位置よりも下流側(球払出口445側)の払出通路448とにより形成される。
上流側の待機通路447は、第1待機通路447aと第2待機通路447bとから略S字状に形成されており、球受容口444から導入された遊技球を一列の整列状態でスプロケット70に導くとともに、スプロケット70の作動停止時に遊技球を整列状態で待機させる。待機通路447は、この通路を流下する遊技球の球圧を分散させるように蛇行して形成されており、鉛直下方向(重力の作用する方向)への遊技球の自重による球圧の一部を水平方向への球圧に分散させている。第1待機通路447aは基壁443aと上通路壁446a,446b1とにより囲まれて形成され、第2通路壁447bは基壁443aと上通路壁446a,446b2とに囲まれて形成されている。
下流側の払出通路448は、スプロケット70の上部からその外周方向(図53における時計回り方向)に沿って円弧状に湾曲する第1払出通路448aと、スプロケット70の側方やや下寄りの位置から下端の球払出口445に向けて垂直に延びる第2払出通路4
48bとから形成される。
ユニットケース441においてスプロケット70の後方には遊技球をパチンコ機PM1の外部へ排出するための球抜き通路452が形成されており、案内通路446の途中には待機通路447と球抜き通路452とを連絡する球抜き孔453が形成されている。また、球抜き通路452の終端には球排出口454が形成されている。
球抜き機構490は、球抜き孔453を開閉可能な球抜き部材491を備えており、操作レバー493の操作に応じて球抜き孔453を開閉することで待機通路447と球抜き通路452とを連通・遮断して、待機通路447を流下してきた遊技球の流路を払出通路448と球抜き通路452とに切り換えるようになっている。そのため、球抜き部材491による球抜き孔453の開放によって球抜き通路452へ導かれた遊技球は球排出口454を通って賞球払出ユニット440の外部へ排出されるようになっている。
球抜き部材491は、基壁443aに枢支された揺動軸492を中心として、球抜き孔453を閉止する閉止位置と、球抜き孔453を開放する開放位置との間で揺動自在に構成されている。ここで、球抜き孔453は、待機通路447における通路壁446b1と通路壁446b2との間に形成されているため、操作レバー493が上方位置に操作されて操作レバー493と球抜き部材491との係合が解除されると、第1待機通路447aに整列する遊技球は球抜き孔453から球抜き通路452に排出される。一方、第2待機通路447bに整列する遊技球(図53ではスプロケット70の上流側にある8個の遊技球)はそのまま通路内に停留する。従って、このような構成によれば、球抜き処理時に所定個数の遊技球(第2待機通路447bに整列する遊技球)を賞球払出ユニット440内にストックしておくことが可能である。
また、上述の実施形態では、スプロケットの回転軌道のうちの上半分の領域で遊技球の払い出しが行われるように構成されているが、これに限定されるものではなく、スプロケットの回転軌道のうちの下半分の領域で遊技球の払い出しが行われるように構成してもよく、この変形例について図54〜図57を参照しながら説明する。ここで、図54は第5の変形例に係る賞球払出ユニット540の分解斜視図、図55は賞球払出ユニット540(ケース蓋部材を開放した状態)の側面図、図56は球抜き部材が閉止位置にある状態を示す要部側面図、図57は球抜き部材が開放位置にある状態を示す要部側面図である。なお、図54〜57では上述の実施形態と同じ構成部品及び同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。
賞球払出ユニット540は、当該ユニットのベースとなる縦長方形箱状のユニットケース541と、ユニットケース541の側方を覆って取り付けられるカバー部材560と、遊技球を1球ずつ払い出すスプロケット70と、スプロケット70を回転作動させる払出モータ80と、遊技球をパチンコ機PM1の機外へ排出させる球抜き機構590と、を主体として構成される。
ユニットケース541は、スプロケット70及び払出モータ80等の取付ベースとなるケース本体部材542と、ケース本体部材542の右側面に重合して取り付けられるケース蓋部材559とにより形成されている。ケース本体部材542は、縦長の矩形板状に形成された基壁543aと、この基壁543aを囲んで右側方に延びる前後及び上下の側壁543bとを有し、全体としてケース蓋部材559と対向する方の側面が開放された薄い箱型に形成されている。ケース蓋部材559は、ケース本体部材542の側面開口を閉止可能な板状に形成されている。
ユニットケース541には、この賞球払出ユニット540が裏セット盤30のユニット
収容部34に装着されたときに、上側通路部材33の球供給通路33aと連絡して遊技球を受容する球受容口544、下側通路部材35の賞球通路35aと連絡して遊技球を球皿に払い出す球払出口545、下側通路部材35の球排出通路35cと連絡して遊技球を機外に排出する球排出口554が形成される。なお、この変形例では、賞球払出ユニット540と下側通路部材35との前後の連絡口のうち、前側の連絡口を球排出口554、後側の連絡口を球払出口545に設定した構成例、すなわち、上述までの実施形態とは二つの連絡口を前後逆にした配置構成となっているが、連絡口の配置は下側通路部材の球通路(賞球通路35a及び球排出通路35c)との関係で適宜に設定可能なため、以下では球払出口545と賞球通路35aとが連絡され、球排出口554と球排出通路35cとが連絡されることを前提として説明する。
また、ケース本体部材542の基壁543aの主面(右側面)には遊技球の球径よりも幾分大きめの間隔をおいて立設された上通路壁546a,546b及び下通路壁546c,546dが設けられ、基壁543aの主面側に通路壁546a,546b,546c,546dにより1条の案内通路546が形成されている。この案内通路546は上端の球受容口544と下端の球払出口545とを繋いでS字状に連続したカーブを有した通路状に形成されており、この案内通路546における遊技球の経路途中に球送り部材としてのスプロケット70が配設されている。
案内通路546は、スプロケット70の配設位置よりも上流側(球受容口544側)の待機通路547と、スプロケット70の配設位置よりも下流側(球払出口545側)の払出通路548とにより形成される。
上流側の待機通路547は、略S字状に蛇行して形成されており、球受容口544から導入された遊技球を一列の整列状態でスプロケット70の下部に導くとともに、スプロケット70の作動停止時に遊技球を整列状態で待機させる。待機通路547は、この通路を流下する遊技球の球圧を分散させるように蛇行して形成されており、鉛直下方向(重力の作用する方向)への遊技球の自重による球圧の一部を水平方向への球圧に分散させている。待機通路547は、基壁543aと上通路壁546a,546bとにより囲まれた形成されている。
下流側の払出通路548は、スプロケット70の下方やや後ろ寄りの位置から下端の球払出口545に向けて延びており、基壁543aと下通路壁546c,546dとにより囲まれて形成されている。この払出通路548の途中にはセンサ収容部549が形成されており、このセンサ収容部549に、カウントセンサ50が取り付けられている。
案内通路546における待機通路547と払出通路548との合流部では、スプロケット70の回転軌道が入り込んで配置されており、スプロケット70の回転(図55における時計周り方向への回転)に従って、待機通路547を流下する遊技球を球受容凹部75に受け入れて払出通路548へ送り出すようになっている。
カバー部材560は、ユニットケース541のケース蓋部材559と対向する右側面が開放した矩形箱状に形成されており、ケース蓋部材559との間に形成される空間内に払出モータ80及び歯車機構81などの機構部品が収容されている。なお、ケース本体部材542、ケース蓋部材559及びカバー部材560は3本のビス569(図54を参照)を用いて左右方向に重合状態で互いにネジ止め固定される。
スプロケット70の下方には遊技球をパチンコ機PM1の外部へ排出するための球抜き通路552が形成されており、待機通路547の終端にはこの待機通路547と球抜き通路552とを連絡する球抜き孔553が形成されている。
球抜き機構590は、不図示の駆動源(例えば、ロータリノレノイド)に連結された揺動軸592を中心として球抜き孔553を閉止する閉止位置(図56を参照)と球抜き孔553を開放する開放位置(図57を参照)との間で揺動自在な球抜き部材591を備えて構成される。球抜き部材591は、球抜き孔553を開閉することで待機通路547と球抜き通路552とを連通・遮断して、待機通路547を流下してきた遊技球の流路を払出通路547と球抜き通路552とに切り換えるようになっている。なお、球抜き部材591は、このような揺動開閉型である必要はなく、例えばスライド開閉型であってもよい。
なお、パチンコ機PM1には外部からスイッチ操作可能な球抜き操作スイッチ(図示せず)が設けられており、この球抜き操作スイッチの操作信号は払出制御基板2000に入力されるようになっている。払出制御基板2000は、球抜き操作スイッチが操作されたとき(すなわち、球抜き操作スイッチから操作信号が入力されたとき)に、球抜き機構590の駆動源を駆動させて、球抜き部材591を開放位置に揺動変位させる。
球抜き部材591が閉止位置にあるときは、待機通路547を流下してきた遊技球は球抜き部材553の上面を転がってスプロケット70の下部(スプロケット70の回転軌道内)へ導かれ、スプロケット70の回転作動に伴って羽根72により1球ずつ払出通路へ送り出される。
一方、球抜き部材591が開放位置にあるときは、待機通路547を流下してきた遊技球は開放状態の球抜き孔553を通過して球抜き通路552へ自由落下する。球抜き通路552を降下した遊技球は、下端の球排出口554から下側通路部材35の球排出通路35cを通過してパチンコ機PM1の機外へ排出される。従って、球抜き部材591によって球抜き孔553が開放されると、スプロケット70の手前(待機通路547の終端)に流下してきた遊技球の全数が球抜き孔553を通って球抜き通路552に導かれる。つまり、待機通路547に数珠つなぎ状に整列する遊技球の全数をパチンコ機PM1の機外に排出して、球抜き処理後に賞球払出ユニット540に残留する遊技球数をゼロにすることが可能である。
次に、本発明に係る弾球遊技機を適用した第2実施形態に係るパチンコ機PM2の全体構成を図58〜図60を参照しながら説明する。第2実施形態に係るパチンコ機PM2は、いわゆる球皿一体型、すなわち、基体正面に単一の球皿のみを持つ形態のパチンコ機である。ここで、図58はパチンコ機PM2の正面図、図59はガラス枠を開放した状態のパチンコ機PM2の正面図、図60はパチンコ機PM2の背面図である。
[パチンコ機の全体構成II]
パチンコ機PM2は、図58に示すように、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠10001の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠10002が互いの正面左側縁部に配設されたヒンジ機構10003を利用して前方に横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置10004を利用して常には外枠10001と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠10002の前面側には、前枠10002の上部前面域に合わせた方形状のガラス枠10005が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、施錠装置10004を利用して常には前枠10002の前面を覆う閉鎖状態に保持される。ガラス枠10005の背後に位置する前枠10002の前面側には、遊技盤10010を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠の上部領域に遊技盤10010が前方から着脱可能
にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス枠10005の複層ガラスを通して遊技盤10010の正面の遊技領域PA2を視認可能に臨ませるようになっている。
遊技盤10010は、ルータ加工等を施した矩形状の積層合板に、所定の図柄が印刷されたセルを貼り付けて成型される化粧板10011を基板として構成される。化粧板10011の前面には、外レール10012a及び内レール10012bが円弧状に固設されて遊技球が転動可能な略円形の遊技領域PA2が区画形成され、この遊技領域PA2に多数本の遊技釘とともに各種の入賞具(入賞口)10014,10015,10016などが配設され、遊技領域PA2の中央部近傍には、各種の演出パターンの画像および図柄を表示する画像表示装置(図柄表示装置)10018が取り付けられている。また、遊技領域PA2の下端には、各入賞具に入賞せずに落下した遊技球を遊技盤10010の裏面側へ排出させるアウト口10019が化粧板10011を前後に貫通して形成されている。図58に例示した遊技盤では、一般入賞具10014、始動入賞具10015、大入賞具10016の3種類の入賞具を設けた例を示しているが、どのような形態の入賞具を用いるものであってもよい。各入賞口に落入した遊技球は化粧板10011の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出センサ10014s,10015s,10016s(図61を参照)をそれぞれ通過することによって入賞が検出される。
前枠10002の前面側(表面側)におけるガラス枠10005の下側には、遊技球を貯留する一体皿10007が設けられた球皿ユニット10006が横開き開閉および着脱可能に組み付けられるとともに、一体皿10007の右側方に位置して遊技球の発射操作を行う発射ハンドル10008が設けられている。ガラス枠10005の前面上部には発光ダイオード(LED)やランプ等を内蔵する演出用照明部10009aが配設されており、一体皿10007の下方には遊技の展開状態に応じて効果音を発生させるスピーカ10009bが配設されている。
前枠10002の前面下部にはガラス枠10005の背後に位置して遊技盤10010と上下に整合し得る遊技補助盤10020(図59を参照)が形成されており、この遊技補助盤10020の各部に、遊技盤10010の遊技領域PA2へ向けて遊技球を発射する発射機構10021、前面に開口する賞球連絡口10022aに向けて底面が緩やかな下り勾配を有する賞球連絡タンク10022などが設けられている。遊技において入賞時に払い出される賞球、又は貸出し操作によって貸し出される貸球は、この賞球連絡タンク10022を通って賞球連絡口10022aから一体皿10007に払い出される。また、ファール球その他のこぼれ球が賞球連絡タンク10007で回収されて一体皿10007へ戻されるようになっている。
前枠10002の裏面側には、図60に示すように、中央に前後連通する窓口を有して前枠10002よりも幾分小型の矩形枠状に形成された基枠体をベースとしてなる裏セット盤10030が、複数のレバーLによって後方に横開き開閉および着脱が可能に連結されている。裏セット盤10030の各部には、多数個の遊技球を貯留する球貯留タンク10031、球貯留タンク10031から右方に緩やかな下り傾斜を有して延びるタンクレール10032、タンクレール10032の右端部に繋がり下方に延びる球供給通路10033aが形成された上側通路部材10033、球供給通路10033aにより導かれた遊技球を所定条件のもと(例えば、各入賞口への入賞やカードユニットからの要求に応じて)払い出す賞球払出ユニット10040、賞球払出ユニット10040から払い出された遊技球を球皿に導くための賞球通路10035aが形成された下側通路部材10035などが設けられている。なお、賞球払出ユニット10040は、裏セット盤10030における上側通路部材10033と下側通路部材10035との間で後面側に開口して形成されたユニット収容部10034に着脱自在に取り付けられるようになっている。このユニット収容部10034には不図示のハーネス等を介して払出制御基板12000に電気
接続される中継端子板15000(図61を参照)が設けられており、この中継端子板15000上にはドロワコネクタからなる本体側コネクタ(図46等の本体側コネクタ5100を参照)が実装されている。
賞球通路10035aは、賞球払出ユニット10040から降下して電源基板14000の上方で屈曲して左方へ下り傾斜しながら延びて、遊技補助盤20の賞球連絡タンク10022の一端に連通している。これにより、賞球払出ユニット10040から払い出される賞球、又は貸球が賞球通路10035a及び賞球連絡タンク10022を通って球皿ユニット10006の一体皿10007へ払い出されるようになっている。一方、球抜き操作によって賞球払出ユニット10040から排出された遊技球は、下側通路部材10035に形成された球排出通路10035cを通ってパチンコ機PM2の機外へ排出される。
また、裏セット盤10030の背面側部分には、パチンコ機PMの作動を統括的に制御するメイン制御基板11000、遊技球の発射及び払い出しに関する制御を行う払出制御基板12000、パチンコ機PMの機種(バージョンを含む)および遊技展開に応じた遊技演出の制御を行うサブ制御基板13000、遊技施設側から受電して各種制御基板や電気・電子部品に電力を供給する電源基板14000などが取り付けられており、これらが図示しないハーネスで接続されてパチンコ機PM2が作動可能に構成される。
[パチンコ機の基本動作II]
以上のように構成されるパチンコ機PM2は、外枠10001が遊技施設の遊技島(設置枠台)に固定設置され、前枠10002、ガラス枠10005、球皿ユニット10006等が閉鎖施錠された状態で遊技に供され、一体皿10007に遊技球を貯留させて発射ハンドル10008を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル10008が回動操作されると、一体皿10007に貯留された遊技球が、ガラス枠10005の裏面側に配設される球送り機構(図示せず)によって1球ずつ発射機構10021に送り出され、発射機構10021のハンマーにより遊技領域PA2に打ち出されて、以降パチンコゲームが展開される。
例えば、遊技領域PA2を転がり落ちる遊技球が一般入賞具10014に落入すると、入球した遊技球が入賞球検出センサ10014sを通過する際に入賞が検出され、その検出信号がメイン制御基板11000に入力される。メイン制御基板11000は、この検出信号から、遊技球が入賞具に入賞したこと、および該入賞した入賞具が一般入賞具10014であることを検知し、払出制御基板12000に対して入賞条件に応じた賞球払出コマンドを出力して賞球払出ユニット10040を作動させ、一般入賞具10014に入賞した場合の褒賞として予め設定された所定個数(例えば、15個)の賞球を一体皿10007に払い出させる。
また、始動入賞具10015に遊技球が落入して入賞球検出センサ10015sから検出信号が出力されると、メイン制御基板11000はこの検出信号から、遊技球が入賞したこと、および該入賞した入賞具が始動入賞具10015であることを検知し、この入賞条件に応じた遊技プログラムを呼び出して実行する。具体的には、メイン制御基板11000内で図柄の組み合わせ抽選を行うとともに、サブ制御基板13000に抽選結果を出力して画像表示装置10018に表示させる図柄を変動および停止制御させ、停止図柄の組み合わせに応じた作動、例えばLEDの点滅表示やスピーカによる効果音の発生等を行わせる。また、メイン制御基板11000は、払出制御基板12000に対して入賞条件に応じた賞球払出コマンドを出力して賞球払出ユニット10040を作動させ、始動入賞具10015に入賞した場合の褒賞として予め設定された所定個数(例えば、3個)の賞球を一体皿10007に払い出させる。
メイン制御基板11000による抽選結果が大当たりである場合(変動停止時の図柄が大当たりの図柄で停止する場合)、画像表示装置10018には、例えば、スロットマシンの図柄表示を模した装飾図柄を一致させるような表示態様を有して表示され、特別遊技が実行される。特別遊技においては、大入賞具10016の作動により大入賞口が開放される。そして、例えば、大入賞口が約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が大入賞具10016に入賞した後、大入賞口が一旦閉鎖され、このような開閉動作が所定回数(例えば15回)継続して繰り返される。また、メイン制御基板11000は、払出制御基板12000に対して入賞条件に応じた賞球払出コマンドを出力して賞球払出ユニット10040を作動させ、大入賞具10016に入賞した場合の褒賞として予め設定された所定個数(例えば、12個)の賞球を一体皿10007に払い出させる。
[電気的構成II]
次に、図61のブロック図を追加参照しながら、パチンコ機PM2の電気的な概要構成を説明する。メイン制御基板11000、払出制御基板12000、及びサブ制御基板13000には、様々な演算処理を行う演算装置としてのCPU、このCPUの演算処理を規定したプログラムを予め記憶するROM、CPUが取り扱うデータ(遊技中に発生する各種データやROMから読み出されたコンピュータプログラム等)を一時的に記憶するRAMが搭載されている。
メイン制御基板11000は、ROMに予め記憶されているシステムプログラムに従ってCPUが入賞役及び演出の抽選等の演算処理を実行してパチンコ遊技が展開される。また、メイン制御基板11000には、払出制御基板12000及びサブ制御基板13000等の各制御基板がワイヤハーネスで接続され、これら制御基板に各種のコマンドや情報を送信して各制御基板に分散制御させることにより、パチンコ機PM2の全体を統括制御している。
払出制御基板12000は、メイン制御基板11000からのコマンドに基づいて遊技球の払出及び発射の制御を司るものである。払出制御基板12000はメイン制御基板11000と双方向通信可能に接続されている。また、払出制御基板12000には中継端子板15000を介して賞球払出ユニット10040が電気接続されている。
サブ制御基板13000は、メイン制御基板11000からのコマンドに基づいて画像表示、効果照明、効果音等の演出全般の制御を司るものである。サブ制御基板13000はメイン制御基板11000から一方向通信可能となるように接続されている。なお、サブ制御基板13000は、複数の制御基板(例えば、演出全般を制御する演出制御基板と主として画像表示装置10018上での各種演出を制御する画像制御基板など)に機能分割して構成しても、これらの制御基板が担う機能を一体的に構成して1つの制御基板として構成してもよい。
ここで、メイン制御基板11000と払出制御基板12000とのコマンドや情報の送受信、メイン制御基板11000からサブ制御基板13000へのコマンドや情報の送信は、パラレル通信でもシリアル通信でもよい。また、払出制御基板12000とメイン制御基板11000との間には賞球払出状況を伝達する回線が配置されており、メイン制御基板11000から賞球払出コマンドが送信されると払出信号がオンになり、払出が完了すると払出信号がオフになる。
なお、本実施形態におけるメイン制御基板11000、払出制御基板12000、及びサブ制御基板13000は、第1実施形態におけるメイン制御基板1000、払出制御基板2000、サブ制御基板3000と主要構成が同等であるため、図24に示す第1実施
形態における機能ブロックを概念でき、第1実施形態で説明したようなコマンドや情報の送受信を行って同様の制御処理を行うことが可能である。
[賞球払出ユニットの基本構成・特徴構成II]
それでは以下に、第2実施形態に係る賞球払出ユニット10040の構成について、図62〜図64を追加参照しながら説明する。なお、本実施形態の賞球払出ユニット10040は第1実施形態で説明した上記基本構成を具備するとともに、上記特徴構成を好適に適用することができるが、ここでは重複説明を省略して、主として第2実施形態の賞球払出ユニット10040特有の特徴構成のみを説明する。そのため、上述の第1実施形態と同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付してその説明を省略する。
ここで、図62は賞球払出ユニット10040を前方から見た斜視図、図63は賞球払出ユニット10040(ケース蓋部材を開放した状態)の側面図、図64は不正部材を払出通路から他の通路へ誘導した状態を示す模式図である。
さて、一体皿型のパチンコ機においては単一の一体皿のみで遊技に供される多数の遊技球を貯留しなければならいため、一体皿の近傍に満タン検出手段を配置すると(一体皿と満タン検出手段とが近距離であると)、一体皿が多数の遊技球で満タン状態となったときに、比較的に直ぐ満タン検出手段が満タン状態を検出し、この満タン状態の検出に伴って、遊技の中断処理が実行されることとなる。そのため、一体皿型のパチンコ機においては、一体皿から遠く離れて配設される賞球払出ユニット内に満タン検出手段が設けられる構成が多数採用されており、これにより、満タン状態を検出するタイミングを遅延させるようにしている。本実施形態では、一体皿型のパチンコ機PM2における賞球払出ユニット10040の満タン検出手段10036に不正防止構造及びアース構造を設けており、以下に順に説明する。
[不正防止構造II]
(課題)
前述したように、賞球払出ユニットに対する不正行為には、ピアノ線、針金、セルロイド板などの長尺な部材(以下、不正部材と称する)を球皿から賞球通路等を通じて賞球払出ユニット内に侵入させて、スプロケットを強制的に回転させることで、賞球を不正に払い出させる行為がある。そこで、球皿からスプロケットへ至る不正部材の通過する経路中において、満タン検出手段にスプロケットへのアクセスを阻止するための不正防止手段を形成する。
(構成)
下流側の払出通路10048は、スプロケット70の上部からその外周方向(図63における時計回り方向)に沿って円弧状に湾曲する第1払出通路10048aと、スプロケット70の側方やや下寄りの位置から下端の球払出口45に向けて緩やかなS字状に屈曲して延びる第2払出通路10048bとから形成される。第2払出通路10048bの途中には遊技球の滞留状態を検出する満タン検出手段10036が設けられている。満タン検出手段10036は、第2払出通路10036の前面を形成する下通路壁10046cに対して前後に揺動自在な揺動部材10036aと、揺動部材10036aの位置を検出する揺動センサ10036bとを備えている。
揺動部材10036aは、後側の下通路壁10046dに接近して第2払出通路10048bの通路幅を狭める第1位置と、下通路壁10046dから離間して第2払出通路10048bの通路幅を広げる第2位置と、の間で前後に揺動自在である。揺動部材10036aの背後には、この揺動部材10036aが第2位置に変位したことを検出する揺動
センサ10036bが設けられている。揺動部材10036aは、外力が作用しない状態では第1位置となり、第2払出通路10048b内に複数の遊技球が滞留した状態では遊技球によって揺動センサ10036b側に押圧されて第2位置に変位する。
揺動部材10036aが第2位置にあることを揺動センサ10036bが検出すると、払出制御基板12000によって異常の有無が判定されるように構成されている。さらには、払出制御基板12000の判定結果に応じて、スプロケット70の回転停止処理や、遊技者に対して一体皿10007から遊技球を抜く球抜き操作を促す処理が実行されるようになっている。
第2払出通路10048bを通過した遊技球は、下端の球払出口45から下側通路部材10035の賞球通路10035aに流入し、遊技補助盤10020の賞球連絡タンク10022を通って球皿ユニット10006の一体皿10007に導かれる。しかし、一体皿10007が満タン状態となると、賞球を一体皿10007に供給することができず、賞球通路10035a内に遊技球が停留される。そして、賞球通路10035aまでが満タン状態となると、賞球払出ユニット10040から遊技球を排出することができず、スプロケット70より払い出された遊技球は第2払出通路10048bに溜まることとなる。
そして、第2払出通路10048b内に滞留する遊技球が増加すると、遊技球が揺動部材10036aを揺動センサ10036b側に押圧し、揺動部材10036aが前方の第2位置に揺動する。これにより、揺動センサ10036bは揺動部材10036aの揺動位置(第2位置)に基づいて一体皿10007の満タン状態を検出することができる。
揺動部材10036aの側面(下通路壁10046dと対向する側面)には第2払出通路10048bの内方へ向かって突出するカエシ部10036cが設けられている。カエシ部10036cは、下通路壁10048dに貫通形成されて第2払出通路10048bと球抜き通路10052とを連絡する誘導孔10046eに向かって延びている。
従って、球払出口45から賞球払出ユニット10040内に不正部材が挿入された場合には、不正部材の先端は揺動部材10036aのカエシ部10036cに接触して誘導孔10046eに向かって方向転換される。不正部材がカエシ部10036cによって誘導された先には、誘導孔10046eを介して球抜き通路10052が配置されており、不正部材の先端は球抜き通路10052に到達することとなる。
従って、不正部材が球払出口45から賞球払出ユニット10040内に挿入され、第2払出通路10048bを通してスプロケット70まで到達させようとしても、不正部材の先端がカエシ部10036cによって誘導孔10048eを介して球抜き通路10052へ誘導されるため、不正部材によるスプロケット70への不正なアクセスを防止できる。
(効果)
以上のように、満タン検出手段における揺動部材の側面に、球払出口から挿入された不正部材を第2払出通路から他の通路(球抜き通路)へ誘導するカエシ部を設けることにより、不正部材の挿入によるスプロケットへのアクセスを防ぐことができ、不正に賞球を得ようとする不正行為を効果的に抑止することが可能である。
[アース構造II]
(課題)
遊技球は金属材料から形成されており、遊技盤面の役物や裏セット盤の賞球機構等に接触した際に静電気を帯びることがある。遊技球に静電気が帯電していると、電気部品等の
異常等の不具合が発生するおそれがあるため、遊技球の静電気を適宜除去することが望ましい。そこで、遊技球が案内通路を通過する際に、該遊技球に帯電する静電気を除去し得る構造を実現する。
(構成)
図65は満タン検出手段の変形例を適用した賞球払出ユニット(ケース蓋部材が開放された状態)の側面図、図66は満タン検出手段が遊技球の滞留を検出した状態を示す賞球払出ユニット(ケース蓋部材が開放された状態)の側面図である。なお、図65及び図66では満タン検出手段10036′以外の同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付しており、その説明を省略する。
満タン検出手段10036′には、図65に示すように、揺動部材10036′の側面(下通路壁に対向する側面)に沿って配置される放電板としてのアース板10036d′が取り付けられている。このアース板10036d′は、例えばステンレス等の導電性の金属材料を用いて薄肉の矩形板状に形成されている。
アース板10036d′は、揺動部材10036a′の通路側の側面に第2払出通路10048bの下通路壁10046dに設けられたアース板10058と対向して設けられており、揺動部材10036a′と一体となってアース板10058と近接する位置(第1位置)と、アース板10058から離間する位置(第2位置)との間で揺動可能である。
各アース板10036d′,10058は、不図示のアース線を介してアース接続(接地)されている。そのため、図65に示すように、第2払出通路10048bを通過する遊技球をアース板10036d′,10058に接触させることで、遊技球に帯電する静電気をアース板10036d′,10058を介して効果的に除去し得るようになっている。
一方、図66に示すように、遊技球が第2払出通路10048b内で滞留した状態では、揺動部材10036a′が遊技球によって押圧されて第2位置にあり、アース板10036d′には遊技球が接触している。この滞留状態では、アース板10036d′と直接的に接触している遊技球は他の遊技球とも接触しており、他の遊技球はアース板10036d′と接触している遊技球を介してアース板10036d′と電気的に接続されている。従って、第2払出通路10048b内で滞留する遊技球の静電気を、アース板10036d′と直接的に接している遊技球を介して除去することができる。
(効果)
遊技球が第2払出通路を通過する際、或いは、遊技球が第2払出通路内で満タン状態となったときに、遊技球をアース板に接触されることで、遊技球に帯電する静電気を効率良く除電することが可能である。
なお、本実施形態では、揺動部材の側面にアース板を取り付けているが、揺動部材自体を導電性の金属材料で形成して放電体としての機能を発揮させるように構成してもよい。また、揺動部材に形成されるカエシ部を導電性の金属材料で形成して、揺動部材に不正防止手段及び放電体としての両方の機能を発揮させるように構成してもよい。
[ユニットの分割構成II]
(課題)
賞球払出ユニットは裏セット盤に対して着脱可能に構成されているが、このユニットに故障等が生じたときには、不具合箇所の特定が困難であるとともに、故障した部品等を交
換する作業が煩雑であり、その結果としてユニット全体を丸ごと交換しなければならないため作業効率が低下するという問題があった。そこで、賞球払出ユニットに故障が生じた場合でも、不具合箇所の特定が容易であるとともに故障部品の交換作業を容易に行うことができる構成を実現する。
(構成)
図67は第2実施形態の変形例に係る賞球払出ユニット10140を前方から見た斜視図、図68は賞球払出ユニット10140(ケース蓋部材を開放した状態)の側面図である。なお、図67及び図68では上述の実施形態と同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付している。
賞球払出ユニット10140は、球受容口10144を有する上側の第1サブアッセンブリ10140Uと、球払出口10145を有する下側の第2サブアッセンブリ10140Dとにより上下に二分割されて構成されている。
第1サブアッセンブリ10140Uは、第1ケース本体部材10142U及び第1ケース蓋部材10159Uからなる第1ユニットケース10141Uと、第1ユニットケース10141Uの右側面を覆って取り付けられる第1カバー部材10160Uと、遊技球を1球ずつ払い出すスプロケット70と、スプロケット70によって払い出された遊技球を検出するカウントセンサ50と、スプロケット70を回転作動させる払出モータ80(図
67及び図68では図示省略)と、遊技球をパチンコ機PMの機外へ排出させる球抜き機
構90とを有して構成される。なお、第1サブアッセンブリ10140Uには、第1ケース本体部材10142Uと第1カバー部材10160Uとの間に、図67及び図68では図示省略する、歯車機構81、電波検出センサ51、及び回転検出センサ85などが設けられている。第1ユニットケース10141Uには、この賞球払出ユニット10140が裏セット盤10030に装着されたときに、上側通路部材10033の球供給通路10033aと連絡して遊技球を受容する球受容口10144が形成されている。
第2サブアッセンブリ10140Dは、第2ケース本体部材10142D及び第2ケース蓋部材10142Dからなる第2ユニットケース10141Dと、第2ユニットケース10141Dの右側面を覆って取り付けられる第2カバー部材10160Dと、遊技球の滞留状態を検出する満タン検出手段10036′とを有して構成される。第2ユニットケース10141Dには、この賞球払出ユニット10140が裏セット盤10030に装着されたときに、下側通路部材10035の賞球通路10035aと連絡して遊技球を払い出す球払出口10145と、下側通路部材10035の球排出通路10035cと連絡して遊技球を排出する球排出口10154とが形成されている。
案内通路10146は、スプロケット70の配設位置よりも上流側(球受容口10144側)の待機通路10147と、スプロケット70の配設位置よりも下流側(球払出口10145側)の払出通路10148とにより形成される。
上流側の待機通路10147は、第1待機通路10147aと第2待機通路10147bとから略S字状に形成されており、球受容口10144から導入された遊技球を一列の整列状態でスプロケット70に導くとともに、スプロケット70の作動停止時に遊技球を整列状態で待機させる。待機通路10147は、この通路を流下する遊技球の球圧を分散させるように蛇行して形成されており、鉛直下方向(重力の作用する方向)への遊技球の自重による球圧の一部を水平方向への球圧に分散させている。
下流側の払出通路10148は、スプロケット70の上部からその外周方向(図68における時計回り方向)に沿って円弧状に湾曲する第1払出通路10148aと、スプロケ
ット70の側方やや下寄りの位置から下端の球払出口10145に向けて緩やかなS字状に屈曲して延びる第2払出通路10148bとから形成される。
このように、案内通路10146は第1ユニットケース10141U及び第2ユニットケース10141Dに跨って形成されており、第1ユニットケース10141U側に待機通路10147(10147a,10147b)及び第1払出通路10148aが形成され、第2ユニットケース10141D側に第2払出通路10148bが形成される。
スプロケット70の後方には遊技球をパチンコ機PM2の外部へ排出するための球抜き通路10152が形成されており、案内通路10146の途中には待機通路10147と球抜き通路10152とを連絡する球抜き孔10153が形成されている。球抜き通路10152は、第1ユニットケース10141U側に形成された第1球抜き通路10152aと、第2ユニットケース10141D側に形成された第2球抜き通路10152bとから形成される。
第1払出通路10148aと第1球抜き通路10152aとの間には、スプロケット70の外周(回転軌跡)に沿って円弧状に湾曲して延びる仕切壁10155が形成されている。この仕切壁10155の一方の端部は、操作レバー93が下端位置に操作されたときに、閉止位置に変位した球抜き部材91の下端部と係合するようになっている。なお、仕切壁10155の他方の端部には、例えば、ピアノ線等を利用した不正行為を阻止するための後述するカエシなどが形成されていてもよい。
第1ケース本体部材10142Uには、その下端面(第2ケース本体部材10142Dとの当接面)に複数の位置決め凸部10162が下方に突設されており、前後の側面には略L字状に下方に延びる一対の係止アーム10163が設けられている。
第2ケース本体部材10142Dには、その上端面(第1ケース本体部材10142Uとの当接面)に複数の位置決め凸部10162と嵌合する複数の位置決め凹部10164が設けられ、前後の側面には一対の係止アーム10163と係合する一対の突起10165が設けられている。
賞球払出ユニット10140を組み立てるには、まず、第1ケース本体部材10142Uに第1ケース蓋部材10159U及び第1カバー部材10160Uをネジ止め固定して第1サブアッセンブリ10140Uを組み付け、第2ケース本体部材10142Dに第2ケース蓋部材10159D及び第2カバー部材10160Dをネジ止め固定することで第2サブアッセンブリ10140Dを組み付ける。そして、第1サブアッセンブリ10140Uの下端部と第2サブアッセンブリ10140Dの上端部とを近づけていき、第1サブアッセンブリ10140Uの位置決め凸部10162を第2サブアッセンブリ10140Dの位置決め凹部10164に嵌合させるとともに、各係止アーム10163を対応する突起10165にそれぞれ係合させて、第1サブアッセンブリ10140Uと第2サブアッセンブリ10140Dとを連結させる。
こうして第1サブアッセンブリ10140Uと第2サブアッセンブリ10140Dとが一体的に組み付けられると、第1払出通路10148aと第2払出通路10148bとがカウントセンサ50を介して上下に繋がるとともに、第1球抜き通路10152aと第2球抜き通路10152bとが上下に繋がり、これにより最終的なアッセンブリとしての賞球払出ユニット10140が得られ、この賞球払出ユニット10140を一個の単体として裏セット盤10030に着脱自在に取り付けが可能である。
なお、賞球払出ユニット10140が裏セット盤10030に装着された状態では、球
受容口10144が上側通路部材10033の球供給通路10033aと位置整合するとともに、球払出口10145が前方側に配置されて下側通路部材10035の賞球通路10035aと位置整合し、球排出口10154が後方側に配置されて下側通路部材10035の球排出通路10035cと位置整合する。
一方、賞球払出ユニット10140を第1サブアッセンブリ10140U及び第2サブアッセンブリ10140Dに分離させるためには、前述の組み立ての手順と逆の手順で行えばよいため、その説明は省略する。
(効果)
賞球払出ユニットを複数のサブアッセンブリとして構成することにより、賞球払出ユニットのパーツ交換や保守点検を分離した各サブアッセンブリ別に行うことができる。従って、例えば賞球払出ユニットが何らかの不具合によって故障等した場合に、賞球払出ユニットを個別分離したサブアッセンブリ単位で取り扱うことができ、不具合箇所の特定が容易になるとともに故障部品の交換や搬送が容易になるため、交換費用等のコストを削減できるのと同時に、作業効率およびリサイクル性の向上を図ることが可能である。
[分割ユニットの電気接続II]
(課題)
賞球払出ユニットを複数のサブアッセンブリに分割した構成では、各サブアッセンブリに払出モータやカウントセンサ等の電気部品が分散して配置された場合、サブアッセンブリごとに払出制御基板にハーネス等を介して電気接続する必要があるため、賞球払出ユニットの組立の作業が煩雑になるという問題があった。そこで、複数のサブアッセンブリに分割構成された賞球払出ユニットの組立の作業性を向上させる構成を実現する。
(構成)
図67及び図68に示すように、第1サブアッセンブリ10140Uと第2サブアッセンブリ10140Dとの電気接続は、第1サブアッセンブリ10140Uの下部側方に取り付けられた第1コネクタ10166と、第2サブアッセンブリ10140Dの上部側方に取り付けられた第2コネクタ10167とを嵌合接続することで行われる。第1コネクタ10166及び第2コネクタ10167は、第1サブアッセンブリ10140Uと第2サブアッセンブリ10140Dとを組み立てる際に互いに結合する位置(すなわち、上下に対向する位置)に設けられている。
第1コネクタ10166は、L字型のコネクタ取付板10166aを介して第1カバー部材10160Uに取り付けられたドロワコネクタであり、不図示のハーネスを介してユニット側コネクタ61に接続されている。そのため、ユニット側コネクタ61には、不図示のハーネスを介して、払出モータ80、カウントセンサ50、電波検出センサ51、回転検出センサ85、及び第1コネクタ10166がそれぞれ接続されている。
第2コネクタ10167は、L字型の取付板10167aを介して第2カバー部材10160Dに取り付けられたドロワコネクタであり、不図示のハーネスを介して満タン検出手段10036′が接続されている。そのため、カウントセンサ50は、第1コネクタ10166及び第2コネクタ10167を結合させたときに、これら第1及び第2コネクタ10166,10167を介してユニット側コネクタ61に接続される。
第1サブアッセンブリ10140Uと第2サブアッセンブリ10140Dとが組み付けられると、雌雄嵌合型の第1コネクタ10166と第2コネクタ10167とが結合して、これら第1コネクタ10166及び第2コネクタ10167を介して満タン検出手段10036′とユニット側コネクタ61とが接続される。よって、この組付状態では、ユニ
ット側コネクタ61に、払出モータ80、カウントセンサ50、電波検出センサ51、及び回転検出センサ85が接続されるとともに、第1コネクタ10166及び第2コネクタ10167を介して満タン検出手段10036′が接続される。
賞球払出ユニット10140を裏セット盤10030に装着してユニット側コネクタ61を中継端子板15000の本体側コネクタ(図示せず)に結合させると、払出制御基板12000と賞球払出ユニット10140(払出モータ80、カウントセンサ50、電波検出センサ51、回転検出センサ85、満タン検出手段10036′)とが中継端子板15000を経由して電気接続される。
(効果)
第1サブアッセンブリと第2サブアッセンブリとを着脱する動作に対応して、第1コネクタと第2コネクタとが挿脱される構成であるため、第1サブアッセンブリと第2サブアッセンブリとをハーネス等により配線接続する手間が省けて配線作業に要する時間が短縮されるため、複数のサブアッセンブリとして分割構成された賞球払出ユニットの組み立ての作業性が向上される。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
上述の実施形態では、賞球払出ユニットを裏セット盤(ユニット収容部)に装着する構成を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、前枠の裏面に取り付けられたベース部材に対して装着する構成や、前枠自体に直接装着する構成であってもよい。
また、上述の実施形態では、互いに円弧状の凸曲面と凹曲面とを連続的に繋いで形成される複数枚の羽根を有する形態のスプロケットを例示して説明したが、スプロケットの外周面に遊技球を受容可能な凹部(球受容凹部)が形成されていれば、スプロケットの形状は特に限定されない。さらに、このスプロケットを回転駆動する駆動手段としては、ステッピングモータに限定されず、サーボモータ等の他の電気モータを採用してもよい。
また、上述の実施形態では、賞球払出ユニットが案内通路を1条のみ有して構成されているが、これに限定されるものではなく、2以上の複数条の案内通路を有して構成されていてもよい。なお、案内通路の通路全体を通して複数条とせず、上流側の待機通路のみを複数条とし、下流側の払出通路を1条のみで形成して、複数条の待機通路と1条の払出通路とを合流させる形態を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、スプロケットと払出モータとを歯車機構(二つの歯車)を介して連結させた構成を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、払出モータの出力軸にスプロケットを直結させて構成してもよい。
また、上述の実施形態では、払出制御基板側で満タン状態を認識する構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、主制御基板側で満タン状態を認識する構成、すなわち、主制御基板が、満タン検出手段からの満タン信号を受信すると、払出制御基板側に払出停止コマンドを送信して、賞球払出ユニットによる賞球の払出処理を停止したり遅延させたりする制御を実行するとともに、サブ制御基板側にエラー報知コマンドを送信して、外部に異常を報知する処理(サイドランプの点滅、スピーカによる報音、ホールコンピュータへの異常情報出力など)を実行するように構成してもよい。
また、上述の実施形態では、本体側コネクタ及びユニット側コネクタ、第1コネクタ及
び第2コネクタ、をドロアコネクタで構成した場合を例示して説明したが、雌雄嵌合型の電気コネクタであれば、基板対基板型、基板対ケーブル型、ケーブル対ケーブル型など、特に限定されない。
また、上述の実施形態において、待機通路47(スプロケット70の上流側)に遊技球の払い出しを行い得る十分な個数の遊技球が保持されているか否かを検出するための球有検出センサを設けた構成を採用してもよい。
なお、上述の実施形態では、本発明をパチンコ機に適用した事例について説明したが、アレンジボール機や雀球遊技機などの他の遊技機に適用することができ、同様の効果を得ることができる。