JP6086344B2 - 熱処理のシミュレーションプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、加熱コイルに高周波電流を流し、加熱コイルに対してワークを軸回り若しくはワークの形状に沿って移動させながら又はワークに対して加熱コイルを軸回り若しくはワークの形状に沿って移動させながら、ワークを誘導加熱する熱処理のシミュレーションプログラムに関する。
自動車部品、建機部品などを作製する際、疲労強度や耐摩耗性の向上を目的として熱処理が行われている。高周波焼入れは、短時間加熱やインライン処理が可能であり、焼入品質の再現性に優れるなどの特徴を持つ熱処理の一つである。
本発明者らは、高周波焼入れにおいて、焼入範囲や硬さ分布、変形量などの熱処理品質に影響を及ぼす因子は多く存在することから、高周波焼入れに必要な加熱コイルや冷却ジャケット形状、焼入れ条件設定について、高精度に予測できるコンピュータシミュレーション技術の研究開発を行っている(例えば特許文献1)。
高周波焼入れのシミュレーションでは、磁場解析と熱処理解析を交互に行うことで、熱処理の品質を予測することができる。その予測精度を高めるため、特許文献1では、誘導加熱による金属部品の渦電流・発熱密度量分布を求めるのに適した磁場解析用FEMモデルと、金属部品の温度分布、金属組織分布、応力・ひずみ分布を相互に関連付けて解析するのに適した熱処理解析用FEMモデルと、を用いる。これら複数のFEMモデルを使用するため、解析結果を相互にやりとりを行う連成解析プログラムを使用している(例えば特許文献2)。
特開2010−230331号公報 特開平11−328157号公報
ワークの加熱領域が軸対称であって加熱コイルが複雑な形状を有している場合には、ワークを軸回りに回転させながら誘導加熱を施している。誘導加熱による昇温をシミュレーションするためには、加熱コイルに対してワークを同軸上で相対回転角θを0から2πまでΔθずつ増加させ、Δθ増加させるたびに磁場解析と熱処理解析とを交互に実行することになる。磁場解析とは、磁場解析により加熱コイルを用いてワークに生じる発熱密度量分布を求めることであり、熱処理解析とは、磁場解析の結果から熱伝導解析によりワークの温度分布、金属組織分布および応力・ひずみ分布を求めることである。
すると磁場解析と熱処理解析とをΔθ毎に交互に頻繁に行うことになり、シミュレーション結果を得るまでに要する時間が長くなり、迅速な加熱コイルの設計に支障をきたす。
そこで、本発明は、解析時間の大幅な短縮化を図った熱処理のシミュレーションプログラムを提供することを目的の一つとする。
上記目的を達成するために、本発明は、加熱コイルに対してワークを軸回りに回転させながら若しくはワークの形状に沿って移動させながら又はワークに対して加熱コイルを軸回りに回転させながら若しくはワークの形状に沿って移動させながらワークを誘導加熱する熱処理のシミュレーションプログラムにおいて、加熱コイルに対してワークを固定した状態で、誘導加熱によってワークに生じる発熱密度量の分布を求める磁場解析ステップと、加熱コイル、ワークの何れかを軸回りに微小量回転させたときの発熱密度分布について又はワークの形状に沿って微小量移動させたときの発熱密度量分布について、磁場解析ステップで求めた発熱密度量分布を軸回りに回転させるか又はワークの形状に沿って移動させることで計算し、その計算のたびに、ワークの温度分布を求める熱処理解析ステップと、を有し、微小量の回転は、加熱領域が軸回りに分割された区分に相当する微小量の回転であり、微小量の移動は、加熱領域がワークの形状に沿って分割された区分に相当する微小量の移動であることを特徴とする。
好ましくは、磁場解析ステップでは、メッシュ単位で発熱密度量を求め、熱処理解析ステップでは、磁場解析ステップで求めたメッシュ単位での発熱密度量を移動させて、磁場解析の回数を低減したことを特徴とする。
好ましくは、熱処理解析ステップにおいて、前記磁場解析ステップにおけるワークの昇温範囲が閾値を超えた場合、又は、微小量の回転又は移動の回数が所定回数となった場合前記磁場解析ステップを実行する。
好ましくは、熱処理解析ステップでは、発熱密度量分布の結果を用いて熱伝導解析を実行させ、ワークの温度分布を求める。
好ましくは、熱処理解析ステップでは、熱伝導解析を実行する際に、ワークの金属組織の相変態と応力及びひずみとの連成解析を行ってワークの温度分布を求める。
本発明によれば、加熱コイルとワークとが或る位置関係にあるときに磁場解析を行い、その後、ワークの温度分布を熱処理解析で求める際、その磁場解析の結果を軸回り又はワークの形状に沿って微小量移動させて発熱密度分布を求める。これにより、加熱コイルに対しワークを微小移動させるたびに、磁場解析を行う必要がない。従来、磁場解析と熱処理解析とを交互に行うと、トータルの解析時間の大半は磁場解析に使用される。本発明により、磁場解析の回数を大幅に低減するため、熱処理シミュレーションに要する時間を大幅に短縮することができる。
本発明の実施形態に係る熱処理のシミュレーションプログラムをインストールすることにより実現される熱処理シミュレーション装置のブロック構成図である。 本発明の実施形態に係る熱処理のシミュレーションの対象となるワーク及び加熱コイルの一例を模式的に示す断面図である。 図2に示す配置において加熱コイルにより生じるワーク表面の発熱密度量の分布を模式的に示す図である。 図1に示す熱処理解析部において行わる連成解析を説明するための概略図である。 本発明の実施形態に係る熱処理のシミュレーションプログラムによる処理フローを示す図である。 本発明の実施形態に係る熱処理のシミュレーションプログラムによるタイムチャートを示す図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
〔熱処理シミュレーション装置〕
図1は本発明の実施形態に係る熱処理のシミュレーションプログラムをインストールすることにより実現される熱処理シミュレーション装置のブロック構成図である。本発明の実施形態に係る熱処理シミュレーション装置1は、入力手段2と出力手段3と解析手段4とを備える。
入力手段2はキーボードやマウスなどで構成されており、入力手段2はユーザから入力された各種指令や情報についての信号を解析手段4に出力する。出力手段3はディスプレイ装置などで構成されており、出力手段3は解析手段4からの出力信号に基いて表示する。解析手段4は、入力手段2から信号の入力を受けると共に、出力手段3に対して出力信号を出力し、シミュレーション解析を行う。
解析手段4は、CPU又はMPUと本発明の実施形態に係る熱処理シミュレーションプログラムを格納する記録媒体とで構成される。CPUやMPUにより熱処理シミュレーションプログラムを実行することで解析手段4が機能する。解析手段4は、磁場解析部4A、熱処理解析部4B、解析制御部4C及び解析データベース4Dを備える。
解析手段4の各部について詳細に説明する前提として、本発明の実施形態に係る熱処理シミュレーションの対象について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る熱処理シミュレーションの対象となるワーク及び加熱コイルの一例を模式的に示す断面図である。
熱処理シミュレーションの対象となる金属部品は、加熱領域が軸回りまたは部品形状に沿って設定される場合が多い。ここで、「加熱領域が軸回り」とは、例えば加熱領域が軸回りに対称である場合のみならず、加熱領域が軸回りに対称と近似できる場合も当然含まれている。「加熱領域が部品形状に沿って」とは、例えば、所定の断面形状がある特定の方向に沿って延びている場合が挙げられる。図2は、シミュレーションの理解を容易にするために模式的に示しているに過ぎない。磁場解析、熱処理解析をする際にワークには座標軸が設定されるが、加熱領域はその座標軸を回転変換したり平行移動したりすることによって表現出来るようであれば、本発明が適用される。
図2に示すワークw及び加熱コイル10について説明する。図2に示すように、ワークwは、軸回りに対称な形状であって、円錐台形状を有する。加熱コイル10は、ワークwの形状に応じて設計される。図2に示すように、例えばワークwと同軸上に配置されかつワークwに外周側面に対向するように、加熱コイル10が設計される。外周面から所定の厚み部分が加熱領域として選定される。加熱コイル10は、図2に示すように、ワークwの外周側面に対向し、ワークwを挟んで左右で対を成すように左側の加熱コイル10Lと右側の加熱コイル10Rとで構成される。
次に、解析手段4の各部について詳細に説明する。
磁場解析部4Aは、マクスウェルの電磁方程式に基いて有限要素法により解析を行う。解析手法にはA法又はA−φ法が用いられる。磁場解析部4Aは、ワーク、加熱コイル及びその周りの空間を複数の要素に分割し、加熱コイル及びその周辺に発生する磁束分布の時間的変化に伴ってワーク表面近傍に生じる渦電流を算出し、要素毎又は節点毎に発熱密度量を求める。本発明の実施形態においては、加熱コイルに対しワークが軸回り又はワークの形状に沿って移動させている熱処理状況をシミュレーションするわけであるが、磁場解析部4Aでは加熱コイルに対してワークが或る位置で固定された状態で磁場解析を行い、或る位置から僅かに順に移動させた状態での磁場解析を行わない。
図3は、図2に示す配置において加熱コイルにより生じるワーク表面の発熱密度量の分布を模式的に示す図である。図3に示すように、横軸に加熱領域の軸回りの角度θを、縦軸に発熱密度量をとる。加熱領域の軸回りの角度θの座標軸は、非回転系に設定されているものとする。
磁場解析によって、時間tにおける発熱密度量分布が、例えば図3に実線で示すようにf(θ,t)として求まる。図3では、ワークw、加熱コイル10が軸回りに略対称であるので、発熱密度量分布f(θ,t)も対称となる。
時間t+Δtのときの発熱密度量分布f(θ,t+Δt)は、時間tにおいて加熱コイル10をワークwに対してΔθだけ回転させたときの発熱密度量分布f(θ+Δθ,t)等しいと近似することができる。つまり、f(θ,t+Δt)≒f(θ+Δθ,t)が成り立つ。
なお、時間t+Δtのとき、加熱コイル10とワークwとの位置関係の何れかをΔθだけ回転させるとすると、ΔθとΔtとの関係として、Δθ=Δt×(ワークw又は加熱コイル10の軸回りの角速度)が成立する。
よって、磁場解析を行った状態から加熱コイル10をnΔθだけ回転したときの発熱密度量分布f(θ+nΔθ,t)は、ワークwの温度上昇量が小さいと評価して、f(θ,t+nΔt)と近似することができ、角度θの座標を変換すればよい。ただし、nは自然数である。
従って、ワークwに対して加熱コイル10が僅かに移動しても磁場解析を逐一行う必要がない。
なお、電磁方程式を有限要素法で解析する手法及び数値解析手法について概略を示すと次のとおりである。ワーク、加熱コイルなどの形状及び寸法やその周りの空間が各節点で複数の要素にFEMモデルによって区分けされている。FEMモデルとして、座標で示す節点情報と、各要素を構成する節点情報の組み合わせ(以下、単に「要素情報」と呼ぶことにする。)が解析データベース4Dに設定されている。ワーク及び加熱コイルの各素材に関する材料物性情報として、組織毎の電気伝導率及び比透磁率データについて温度依存性のデータが、例えば解析データベース4Dに格納される。FEMモデルにおいて各節点での温度データの初期値が設定され、周波数とコイル電流又はコイル電圧とが解析条件として入力されることで、磁場解析部4Aにより磁場に関する解析がなされて節点毎又は要素毎に発熱密度量が求められる。
熱処理解析部4Bは、磁場解析部4Aで求めた結果、すなわち発熱密度量の分布を用いてワークを軸回りに又はワークの形状に沿って微小量移動させたとき熱伝導方程式を解く。熱処理解析部4Bにおいて、熱伝導方程式を解く際、連成解析を行うと、熱処理の解析を行うことができる。
図4は、熱処理解析部4Bにおいて行わる連成解析を説明するための概略図である。図4に示すように、ワーク、つまり金属部品における任意領域の温度、組織、応力及びひずみは相互に関連しあっている。「連成解析」とは、複数の物理現象の複雑な相互影響を考慮しながら解析することを意味する。この連成解析により、FEMモデルに設定した各節点の温度やひずみ、要素毎の応力、金属組織などが予測できる。
複数の物理現象の複雑な相互影響について具体的に説明する。ワークの任意の領域において時系列的な温度変化による相変態が生じる一方、逆に任意の領域において相変態が生じると、潜熱の発生・吸収が生じる。ワークの任意の領域において相変態が不均一であると、その局部的な体積変化による応力が生じる一方、逆に応力が生じると相変態の開始時間に影響を与える。また、ワークに変形が生じるとその変形部分が発熱する一方、逆に任意の領域に温度差が生じると応力が生じる。
そのため、熱伝達解析、組成解析、応力・ひずみ解析はそれぞれの項目に相関関係があり、温度変化から組織が変化したり、応力やひずみが生じたりする一方、相変態や応力・ひずみが生じるとその領域の温度が変化する。
熱処理解析部4Bの処理について、図2に示すワークw及び加熱コイル10を例にとって説明する。
ワークwと加熱コイル10との位置関係を固定した状態において、磁場解析部4Aにより図3に示すように発熱密度量の分布f(θ、t)が求まっているので、要素毎に発熱量が求まっている。そこで、連成解析を行って、節点又は要素毎に熱処理解析を行い、要素毎の組成、節点又は要素毎に温度を求める。
次に、ワークwが加熱コイル10の軸回りにΔθだけ回転しているとき、発熱密度量分布を求める。加熱領域が軸回りに対称であることから、発熱密度量分布f(θ,t+Δt)は、f(θ+Δθ,t)として近似することができる。これにより、要素毎に発熱量が求まるので、連成解析により熱処理解析を行い、要素毎の組成、節点又は要素毎に温度を求める。
このように、ワークwを僅かに回転させながら、Δt毎にワークwの加熱領域に生じる発熱密度量の分布を、磁場解析部4Aで求めた発熱密度量分布f(θ,t)をワークwの軸回りにΔθ回転させることにより、f(θ+nΔθ,t)として求める。
よって、発熱密度量分布を回転させて求めた結果を基にして熱処理解析をすればよい。
熱処理解析部4Bは、このように、発熱密度量の分布を座標変換して求めることとその求めた分布に基いて熱処理解析を行うことを繰り返すことにより、あたかも磁場解析と熱処理解析を逐一交互に行った場合と同じように、ワークを軸回りに回転させたときの節点又は要素毎に温度分布を求めることができる。
解析制御部4Cは、ワークの昇温によって加熱コイルによる磁場分布が解析結果に影響を大きく与えるほど変化するか否かを判断し、変化したと判断した場合に磁場解析ステップを行うよう、解析処理に関する制御を行う。
具体的には、解析制御部4Cは、熱処理解析部4Bが求めたワークの温度分布から、ワークの温度上昇により加熱コイルによる磁場分布に影響を与えるか否かを判断し、影響を与えると判断した場合に、磁場解析部4Aにより再度磁場解析を行うよう磁場解析部4Aと熱処理解析部4Bとの処理を制御する。この判断は、ワークの昇温範囲を設定してもよいし、又はワークを軸回りに又はワークの形状に沿って微小量移動させた回数によって設定してもよい。
解析制御部4Cがこのような制御を行う理由は、ワークwと加熱コイルとの位置関係を固定して求めた発熱密度量の分布が、ワークwの昇温によって透磁率が変化してワークwへの渦電流が生じる深さや大きさが変化するからである。
解析制御部4Cによる判断は、ワークの昇温が一定の範囲を超えた場合だけでなく、次のような場合であってもよい。例えば図2に示すように、ワークwの外周側面に対して対をなすように左右の加熱コイル10L,10Rが対向して配置されているような形態にあっては、ワークwをπ回転するまで熱処理解析することによってワークが一様に昇温したと擬制される場合であってもよい。つまり、前回行った磁場解析の結果をそのまま使用すると誤差が生じてしまうような場合が含まれる。
解析データベース4Dには、磁場解析部4A、熱処理解析部4B及び解析制御部4Cにおいて必要とされる各種データが蓄積される。各種データには、材料物性データ以外にワークwや加熱コイル10の形状など3次元CADなどを用いてモデル化したデータも含まれる。
ここで、本発明の実施形態に係る熱処理シミュレーション装置、方法及びプログラムは、図2に示すようなワークとそれに対応した加熱コイルとが同軸上に配置されワークが回転されるものに限らず、場合によっては加熱コイルが回転してもよい。ワークが一方向に並んでいる、特にレールなどの表面部分を熱処理する場合にも適用される。ワークの長手方向に沿って直線状又は曲線状に加熱領域が設定されているものであってもよい。以下ではその双方を前提として、シミュレーション方法及びプログラムについて説明する。
〔シミュレーション方法、シミュレーションプログラム〕
本発明の実施形態に係る熱処理のシミュレーションプログラムを実行することでなされる熱処理のシミュレーション方法について詳細に説明する。図5は本発明の実施形態に係る熱処理のシミュレーションプログラムによる処理フローを示す図である。
STEP1として、入力手段2から各種データの入力を行う。入力されるデータとしては、ワーク、加熱コイルの形状データがある。形状データは、形状、寸法、材料、など各種の情報を含んでいる。これらの形状データは、磁場解析部4Aや熱処理解析部4Bにおいて用いられるFEMモデルとして、ワーク及び加熱コイルのそれぞれの形状に沿って節点を座標として定め、節点の組み合わせ、即ち要素情報に基づいてワーク及び加熱コイルを微細化した領域、つまり各要素を定める。
ワークの加熱領域が軸回りに対称である場合には、軸回りに複数に分割し、その分割領域毎に、各要素を定める。ワークの加熱領域が一方向に延びているような場合にはその一方向に沿って複数に分割し、その分割領域毎に、各要素を定める。FEMモデルに関するデータは、解析データベース部4Dに格納される。
STEP2では、磁場解析部4Aにより、FEMモデルに基づいて有限要素法を用いて、ワークが加熱コイルに対して固定されていると仮定し、ワーク及び加熱コイル並びにその周辺部全体を複数の要素に区分して各要素に生じる磁束の分布を求め、各要素における磁束密度分布から渦電流分布を求めて各要素の発熱密度量を求める。その際、加熱コイルからの磁束によりワーク表面からどの程度の深さまで渦電流が発生するかは、解析時点でのワークの温度から参照される電気伝導率と比透磁率とから求められる。
STEP3として、熱処理解析部4Bによりワークの各要素の熱分布を解析するため、STEP3−1とSTEP3−2を行う。
STEP3−1として、熱処理解析部4Bは、STEP2で磁場解析部4Aにより求めた発熱密度量の分布の座標変換を行う。すなわち、磁場解析部4Aで磁場解析を行った際の加熱コイルとワークとの位置関係から、ワーク又は加熱コイルを軸回り又はワークの形状に沿って微小量移動させた状態での発熱密度量分布を座標変換などによって求める。STEP2で求めた磁場解析をそのまま活用できる場合には、座標変換は不要である。
STEP3−2において、熱処理解析部4Bは、STEP3−1で座標変換で求めた発熱密度分布に基づいて、組織解析、応力・ひずみ解析により連成解析を行って各要素の温度を求める。
STEP4において、解析制御部4Cは、ワークを昇温することで加熱コイルによる磁場分布が大きく変化するか否かを判断する。大きく変化したと判断すると、解析終了条件を満たさない限り(STEP6でNo)、磁場解析ステップ(STEP2)に戻る。加熱コイルによる磁場分布が大きく変化する場合とは、例えば、磁場解析をしたときのワークの温度からの昇温範囲が閾値を超えた場合や、軸回りにジュール熱損失量分布を回転させてワークの各部が加熱コイルの各部と対向して昇温した場合などがある。
STEP4において、加熱コイルによる磁場分布が大きく変化しないと判断されると、STEP3に戻る。
よって、発熱密度量分布を座標変換して熱処理解析を行うことを繰り返すことができる。これにより、微小量移動回数が所定回数、すなわち微小区分数に達した場合、又は加熱コイル10の対称性を考慮して求めた所定回数に達した場合、ワークの各要素の温度が変化したと擬制して、加熱コイルにおる磁場分布が変化したと擬制し、STEP2に戻る。
以上の手順に沿って、ワークの軸回りに又はワーク形状に沿って所定量移動させることで、シミュレーションが行える。
図6は、本発明の実施形態に係る熱処理のシミュレーションプログラムによるタイムチャートを示す図である。上段が磁場解析部4Aの処理であり、下段が熱処理解析部4Bの処理である。例えば図2に示すような形状のワークwを加熱コイル10により誘導加熱する場合、ワークwと加熱コイル10との位置関係の一つだけ磁場解析部4Aにより計算を行い、熱処理解析部4Bによる計算をワークwをΔθ(例えば3°)ずつ回転させながら行う。つまり、磁場解析ステップでは、メッシュ単位で発熱密度量を求め、熱処理解析ステップでは、磁場解析ステップで求めたメッシュ単位での発熱密度量を回転又は移動をさせる。よって、磁場解析の回数を大幅に低減することができ、解析時間を大幅に短縮することができる。
本発明は、前述の実施形態に限らず、本発明の範疇において適宜変更してもよい。なお、前述の説明においては、熱処理解析部では、連成解析を行っているが、熱伝達解析だけでもよい。また、FEMモデルとは、解析しやすいように或る領域(前述の説明では「要素」と呼んでいる。)毎をメッシュに区分けしたものであり、メッシュを構成する複数の節点の組み合せ(前述の説明では「要素情報」と呼んでいる。)を、特許文献2ではメッシュ情報と呼んでいる。なお、磁場解析部4Aと熱処理解析部4BとでFEMモデルを別々にしてそれらの結果を相互に利用し合うように、特許文献1、2に倣って座標変換してもよい。
1:熱処理シミュレーション装置
2:入力手段
3:出力手段
4:解析手段
4A:磁場解析部
4B:熱処理解析部
4C:解析制御部
4D:解析データベース
10:加熱コイル
10L:左側の加熱コイル
10R:右側の加熱コイル
W:金属部材(ワーク)

Claims (5)

  1. 加熱コイルに対してワークを軸回りに回転させながら若しくはワークの形状に沿って移動させながら又はワークに対して加熱コイルを軸回りに回転させながら若しくはワークの形状に沿って移動させながらワークを誘導加熱する熱処理のシミュレーションプログラムにおいて、
    加熱コイルに対してワークを固定した状態で、誘導加熱によってワークに生じる発熱密度量の分布を求める磁場解析ステップと、
    加熱コイル、ワークの何れかを軸回りに微小量回転させたときの発熱密度分布について又はワークの形状に沿って微小量移動させたときの発熱密度量分布について、記磁場解析ステップで求めた発熱密度量分布を軸回りに回転させるか又はワークの形状に沿って移動させることで計算し、その計算のたびに、ワークの温度分布を求める熱処理解析ステップと、
    を有し、
    前記微小量の回転は、加熱領域が軸回りに分割された区分に相当する微小量の回転であり、
    前記微小量の移動は、加熱領域がワークの形状に沿って分割された区分に相当する微小量の移動であることを特徴とする、熱処理のシミュレーションプログラム。
  2. 前記磁場解析ステップでは、メッシュ単位で発熱密度量を求め、
    前記熱処理解析ステップでは、前記磁場解析ステップで求めたメッシュ単位での発熱密度量を移動させて、磁場解析の回数を低減したことを特徴とする、請求項1に記載の熱処理のシミュレーションプログラム。
  3. 前記熱処理解析ステップにおいて、前記磁場解析ステップにおけるワークの昇温範囲が閾値を超えた場合、又は、微小量の回転又は移動の回数が所定回数となった場合、前記磁場解析ステップを実行する、請求項1に記載の熱処理のシミュレーションプログラム。
  4. 前記熱処理解析ステップでは、発熱密度量分布の結果を用いて熱伝導解析を実行させワークの温度分布を求める、請求項1又は2に記載の熱処理のシミュレーションプログラム。
  5. 前記熱処理解析ステップでは、熱伝導解析を実行する際に、ワークの金属組織の相変態と応力及びひずみとの連成解析を行ってワークの温度分布を求める、請求項4に記載の熱処理のシミュレーションプログラム。
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