JP2513542B2 - 誘導加熱による導電材の温度分布の解析方法 - Google Patents

誘導加熱による導電材の温度分布の解析方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、計算機を用い、誘導加
熱装置による誘導電磁場の解析を行って、被加熱体であ
る導電材の温度分布を解析する方法に関し、例えば、熱
延プロセス等における電磁誘導加熱による導電材の温度
分布を解析する場合に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】まず、過渡及び準定常な誘導電磁場の数
値解析方法について述べる。
【0003】過渡的な誘導電磁場の数値解析方法は、例
えば、中田高義、高橋則雄共著「電気工学における有限
要素法」森北出版、第211頁に、また、準定常な場合
の誘導電磁場の数値解析方法については、"IEEE Transa
ctions on Magnetics" Vol.25, No.5, p.4153 (1989)に
夫々詳述されている。
【0004】誘導電磁場の基礎方程式として、以下の一
連の式、或いは、これらを別の変数で変換した等価な式
が用いられる。
【0005】
【数1】
【0006】
【数2】
【0007】
【数3】
【0008】なお、
【0009】
【数4】
【0010】である。
【0011】これらの式中、頭に矢印記号の付いた文字
は全てx、y、z成分を有するベクトルである(以下同
様。但し、明細書の文章中ではこの頭の矢印記号は省略
する。)。また、A:ベクトルポテンシャル〔V・s/
m〕、φ:スカラーポテンシャル〔V〕、J0 :強制電
流密度〔A/m2 〕、Je :渦電流密度〔A/m2 〕、
E:電場〔V/m〕、B:磁束密度〔Wb/m2 〕、
σ:導電率〔S/m〕、μ:透磁率〔H/m〕、t:時
間〔s〕である。これらの物理量のうち、ベクトルポテ
ンシャルA、スカラーポテンシャルφ、強制電流密度J
0 、渦電流密度J e 、電場E及び磁束密度Bは全て座標
(x,y,z)及び時間tの関数である(以下、「物理
変量」と呼ぶ。)。また、電磁的物性値σとμはテンソ
ル量であって、3×3の行列として表現され、夫々温度
に依存する関数である。即ち、
【0012】
【数5】
【0013】と表すことができる。但し、T=T(x,
y,z):絶対温度〔K〕である。
【0014】上述した〔数1〕はマクスウェルの方程
式、〔数2〕は電流連続の式である。過渡解析では、対
象とする領域に上記物理変量を適用し、時間を更新しな
がら必要な方程式を解いていく。
【0015】一方、交流場等、時間変化に準定常性があ
る場合には、時間微分を複素数で置き換えることがで
き、上記物理変量のうち、渦電流密度Je 及び電場Eを
次式で表すことができる。
【0016】
【数6】
【0017】但し、ω:角周波数〔rad/s〕、j:
虚数単位である。
【0018】また、誘導電流によって発生するジュール
熱の平均値は、
【0019】
【数7】
【0020】で与えられる。単位は〔W/m2 〕であ
る。
【0021】次に、過渡及び定常な温度場の解析方法に
ついて述べる。
【0022】これらの解析方法は、例えば、「熱と流れ
のコンピュータアナリシス」日本機械学編、コロナ社、
昭和61年版、第55頁に詳述されている。
【0023】過渡の温度場の基礎方程式は、一般に、次
式で与えられる。
【0024】
【数8】
【0025】但し、κ:熱伝導率〔W/(m・K)〕、
Q:単位時間及び単位体積当りの発熱量〔W/m3 〕、
C:単位体積当りの熱容量〔J/(K・m3 )〕であ
る。
【0026】温度場が過渡的な場合は、上述した電磁場
の場合と同様にして計算できる。一方、定常な場合に
は、上記〔数8〕の右辺の時間微分を0と置いて解く。
即ち、
【0027】
【数9】
【0028】である。また、境界上での熱のやりとり
は、次式により考慮される。
【0029】
【数10】
【0030】但し、Tb :境界面の温度〔K〕、n:境
界面の法線方向ベクトル、q:境界面を通過する熱流密
度〔W/m2 〕、α:熱伝達率〔W/(m2 ・K)〕、
η:ステファン−ボルツマン定数 5.67×10
-8〔W/(m2 ・K4 )〕、Te :外部温度〔K〕であ
る。
【0031】上述した熱的物性値κ、α及びCも夫々温
度に依存し、
【0032】
【数11】
【0033】と表される。
【0034】以上に述べた誘導電磁場の解析方法と温度
場の解析方法を組み合わせることによって、誘導加熱の
様子を調べることができる。従来の組み合わせ方法とし
て、以下の3つが挙げられる。
【0035】 時々刻々、〔数1〕、〔数2〕、〔数
3〕又はこれらと等価の方程式を解き、平均のジュール
熱を、例えば次式、
【0036】
【数12】
【0037】で算出し、これを発熱源として、〔数1
1〕から得られる熱的物性値を用い、〔数8〕及び〔数
10〕から温度を求め、その温度から〔数5〕に基づい
て〔数1〕、〔数2〕、〔数3〕の導電率σ及び透磁率
μを更新する一連のプロセスを繰り返して解いていく。
【0038】 〔数1〕、〔数2〕、〔数6〕又はこ
れらと等価の方程式を解き、〔数7〕のジュール熱の計
算を一回だけ行い、これを不変の発熱源として〔数
8〕、〔数10〕及び〔数11〕を用い、温度だけを時
々刻々計算する。電磁的物性値の更新は行わない。この
の例は、文献 "IEEE Transactions on Magnetics" Vo
l.MAG-23, No.5, p.3296 (1987) に記載されている。
【0039】 〔数1〕、〔数2〕、〔数6〕又はこ
れらと等価の方程式を解き、〔数7〕のジュール熱の計
算を一回だけ行い、これを不変の発熱源として〔数9〕
を用い、定常状態の温度分布だけを計算する。電磁的物
性値及び熱的物性値の更新はできない。このの例は、
文献 "Proceedings ofthe 5th Eddy Current Seminar"
28-30 Mar.(1988) at Rutherford Appleton Laborator
y, Oxford, UK, RAL-88-099 に記載されている。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の方法には各々以下のような問題点があった。
【0041】の方法では、精度良く温度分布を求める
ことができるが、各時刻毎に電磁場と温度場の両方を計
算するため、膨大な計算時間が必要であった。即ち、温
度場では変数が温度Tだけなのに対し、電磁場は、ベク
トルポテンシャルAの3つの成分Ax 、Ay 、AZ 及び
スカラーポテンシャルφの4倍の変数を持ち、また、計
算する領域が一般に温度場よりも大きいために、その計
算時間が温度場の場合の十数倍〜千倍程度必要であっ
た。
【0042】の方法では、初期の温度分布はかなり正
確に求めることができるが、被加熱材である導電材の電
磁的物性値、例えば、導電率σ及び透磁率μの温度変化
を考慮していないために、時間の経過とともに誤差が大
きくなっていた。
【0043】の方法は、これら3つの計算方法の中で
は最少の計算時間で解が得られるが、精度は最も悪く、
実際の現象から大きくずれることが殆どであった。
【0044】そこで、本発明の目的は、上述したの方
法の計算時間の膨大化と及びの方法の精度の悪さを
克服し、誘導加熱による導電材の温度分布の解析を正確
且つ効率的に行うことができる方法を提供することであ
る。
【0045】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明では、計算機を用い、誘導加熱装置によ
る誘導電磁場の解析を行って、被加熱体である導電材の
ジュール熱を算出し、このジュール熱を基に前記導電材
の温度分布を解析する方法において、(a)前記導電材
の電磁的物性値及び熱的物性値の温度特性曲線データを
夫々入力するステップと;(b)前記導電材の初期温度
を入力するステップと;(c)過渡温度場解析の時間間
隔を入力するステップと;(d)準定常電磁場解析の起
動条件を入力するステップと;(e)過渡温度場解析の
終了時間を入力するステップと;(f)温度に応じて求
められた前記導電材の前記電磁的物性値を用いて準定常
電磁場解析を行い、前記導電材の誘導電流によるジュー
ル熱を算出するステップと;(g)温度に応じて求めら
れた前記導電材の前記熱的物性値及びステップ(f)に
おいて算出されたジュール熱を用いて過渡温度場解析を
行い、前記導電材の温度分布を算出するステップと;
(h)ステップ(d)において入力された準定常電磁場
解析の起動条件を満たしたか否かを判定し、起動条件を
満たした場合には、ステップ(g)において算出された
温度に応じ、ステップ(a)において入力された前記導
電材の前記電磁的物性値の前記温度特性曲線データに基
づいて前記導電材の前記電磁的物性値を更新した後、ス
テップ(f)に戻り、起動条件を満たしていない場合に
は次のステップに進むステップと;(i)ステップ
(e)において入力された過渡温度場解析の終了時間に
なったか否かを判定し、終了時間になっていない場合に
は、ステップ(g)において算出された温度に応じ、ス
テップ(a)において入力された前記導電材の前記熱的
物性値の前記温度特性曲線データに基づいて前記導電材
の前記熱的物性値を更新した後、ステップ(g)に戻
り、終了時間になった場合には次のステップに進むステ
ップと;(j)算出された前記導電材の温度分布データ
を出力するステップとを有する。
【0046】なお、上述した各種データ及び条件を入力
するステップ(a)、(b)、(c)、(d)及び
(e)の順序は任意であって良い。
【0047】
【作用】本発明においては、被加熱材である導電材に関
して過渡温度場解析を行い、その温度分布を求めるが、
例えば、誘導加熱装置等の加熱装置を構成する各材料に
関しても同様の過渡温度場解析を行い、その温度変化に
よる電磁場の変化を正確に計算して、導電材の温度分布
をより正確に求めるようにしても良い。
【0048】本発明の方法によれば、既述した従来の
の方法とは違って、電磁場の計算を各時刻毎に行うので
はなく、解析対象の少なくとも電磁的物性値の変化を考
慮する必要がある時にのみ電磁場の計算を行ってジュー
ル熱を更新する。従って、従来のの方法と比較して、
電磁場の計算回数を大幅に低減することができ、ひいて
は、全体の計算時間を大幅に短縮することができる。し
かも、既述した従来の及びの方法とは違って、解析
対象の電磁的物性値の温度変化をも考慮した解析を行う
ことができるので、これらの方法と比較して、解析の精
度が大幅に向上する。
【0049】この目的を達成するために、本発明におい
ては、準定常電磁場解析の起動条件を入力し、この起動
条件を満足した時にのみ準定常電磁場解析を行ってジュ
ール熱を更新するようにしている。この起動条件として
は、時間間隔を用いるのが最も簡便である。即ち、過渡
温度場解析の時間間隔の所定倍の時間間隔を準定常電磁
場解析の起動条件として用い、過渡温度場解析を所定回
繰り返した時点で準定常電磁場解析を行い、ジュール熱
を更新するのである。この場合、過渡温度場解析の時間
間隔及び準定常電磁場解析の起動条件として用いる時間
間隔は、決して恣意的に決められるものではなく、解析
対象である導電材や加熱装置の各材料の温度特性を考慮
し、且つ、使用する計算機(コンピュータ)の性能(演
算速度等)や目標とする全体の計算時間、要求される解
析精度等を考慮して決められるべきものである。特に、
準定常電磁場解析の起動条件として用いる時間間隔は、
解析対象における電磁的物性値や熱的物性値の温度によ
る変化の度合いを考慮して、できるだけ精度と計算効率
が良くなる値に設定すべきである。
【0050】この準定常電磁場解析の起動条件として
は、上述した時間間隔以外に、例えば、解析対象の到達
温度や温度変化幅等を用いることもできる。例えば、起
動条件として解析対象の到達温度を用いる場合、複数の
設定温度を起動条件として入力し、温度場の計算によっ
て得られた温度が各設定温度を越えた時に準定常電磁場
解析を行うようにする。この場合、起動条件として入力
する設定温度としては、解析対象の電磁的物性値又は熱
的物性値が比較的大きく変化するところの温度を選定す
ると良い。また、温度変化幅を起動条件として用いる場
合には、温度場の計算によって求められた温度上昇が、
予め入力された変化幅を越えた時に準定常電磁場解析を
行う。
【0051】更に、準定常電磁場解析の起動条件は、解
析対象である導電材や加熱装置の各材料毎に設定するこ
とができる。この場合、或る解析対象がその準定常電磁
場解析の起動条件を満足した時には、その解析対象につ
いてのみ準定常電磁場解析を行い、その結果を用いて、
全解析対象の過渡温度場解析を続行する。
【0052】なお、本発明の方法によっても充分な解析
精度が得られる理由は、一般に、電磁場の時間的変化速
度(交流場では角周波数ω)が温度場の変化速度∂T/
∂t≒Q/Cに対して充分に大きく、且つ、温度変化に
よる電磁場の変化が充分に緩慢であるために、温度場に
対する電磁場の準定常性を仮定して良いことによる。
【0053】図1に、本発明による解析方法の手順を示
す。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例につき説明する。
【0055】図2に、軸対称性を持った簡易な誘導加熱
装置の例を示す。1個の環状誘導コイル1に交流の強制
電流がコイル内を同じ電流密度で円周方向に流れ、被加
熱材である鋼材2を誘導加熱する。図中の他の数字は装
置及び被加熱材の各部の長さを示しており、単位は全て
ミリメートルである。本実施例においては、電流密度の
大きさを3.33×1010〔A/m2 〕、周波数を80
〔kHz〕とした。
【0056】図3に、被加熱材として用いた鋼材の導電
率σの温度特性曲線を示す。導電率σは等方的で、その
温度特性も等方的とした。また、本実施例においては、
被加熱材である鋼材の透磁率μの温度特性曲線を、比透
磁率μs の温度特性曲線として次式〔数13〕で与え
る。なお、μs =μ/μ0 (μ0 :真空の透磁率 1.
2566×10-8〔H/m〕)である。
【0057】
【数13】
【0058】比透磁率μs も等方的で、その温度特性も
等方的とした。
【0059】図4に、鋼材の熱伝導率κの温度特性曲
線、図5に鋼材の単位体積当りの熱容量Cの温度特性曲
線を夫々示す。熱伝達率αの温度特性曲線は次式で与え
る。
【0060】
【数14】
【0061】以上に述べた温度特性曲線は全て本発明者
らが行った実験によって得たもの又はそれに基づいた式
を使用している。なお、図3、図4及び図5において
は、温度を摂氏〔℃〕で表している。
【0062】まず、図1のフローチャートに示した通
り、上述した鋼材の電磁的物性値(導電率σ及び比透磁
率μs )及び熱的物性値(熱伝導率κ、単位体積当りの
熱容量C及び熱伝達率α)の温度特性曲線データを夫々
コンピュータに入力し、更に、鋼材2の初期温度を入力
した。なお、本実施例においては、加熱装置である誘導
コイル1の温度場解析は行わない。
【0063】次いで、過渡温度場解析の時間間隔、準定
常電磁場解析の起動条件及び過渡温度場解析の終了時間
を夫々入力した。
【0064】本実施例においては、鋼材2の初期温度を
303〔K〕、過渡温度場解析の時間間隔を0.001
〔s〕、準定常電磁場解析の起動条件を時間間隔0.1
〔s〕で単一とし、更に、過渡温度場解析の終了時間を
3.0〔s〕とした。
【0065】次に、図3に示したデータ及び〔数13〕
に基づき、入力された鋼材2の初期温度から導電率σと
透磁率μ(=μs ・μ0 )を夫々求め、これらを〔数
1〕、〔数2〕及び〔数6〕に代入して、準定常電磁場
解析を行い、〔数7〕から平均のジュール熱を算出し
た。
【0066】次に、図4及び図5に示したデータ並びに
〔数14〕に基づき、鋼材2の初期温度から熱伝導率
κ、単位体積当りの熱容量C及び熱伝達率αを夫々求
め、これらと上記ジュール熱を〔数8〕及び〔数10〕
に代入して過渡温度場解析を行い、温度分布を得た。こ
の過渡温度場解析を、各回毎に熱伝導率κ、単位体積当
りの熱容量C及び熱伝達率αを夫々更新しながら、10
0回行った。
【0067】そして、この過渡温度場解析を100回行
った時の温度に基づいて、鋼材2の導電率σ及び透磁率
μを、図3に示したデータ及び〔数13〕から新たに求
め、これらを用いて準定常電磁場解析を再度行い、発熱
源であるジュール熱を改めて算出した。そして、この新
たなジュール熱を用いて過渡温度場解析を続行した。
【0068】この一連の繰り返し計算を、終了時間であ
る3.0〔s〕まで行った。
【0069】以上に説明した解析方法によって得られた
鋼材2の温度分布を等温線で示した結果を図6に示す。
一方、鋼材2に挿入した熱電対によって測定された実測
温度を、黒丸で示した測定点において示した。なお、図
中の数値は全て摂氏温度である。また、本実施例で用い
た装置は軸対称性を持っているので、結果の表示は、鋼
材2の1/4の部分についてのみ行った。この図6から
明らかなように、本実施例の解析方法により、実測値に
極めて近い温度分布が得られる。
【0070】比較のため、既述した従来の解析方法で
計算した結果を図7に示す。計算結果は、図6と同様、
等温線で示してあり、黒丸で示した測定点における実測
値を明示した。数値は全て摂氏温度である。この従来法
では、鋼材2の導電率σ及び透磁率μの高温での低減を
考慮しないため、ジュール熱が実際よりも大きく見積も
られて、全体的に鋼材温度が高めに得られており、ま
た、高温の領域の大きさにも差異が現れている。
【0071】以上に説明した結果から明らかなように、
本実施例の解析方法においては、温度変化に伴う鋼材2
の電磁的物性値の変化の度合いを考慮することで、解析
精度を保ちながら電磁場の計算回数を減らすことがで
き、計算コストの低減を図ることができる。
【0072】また、本実施例の方法では、解析結果が思
わしくなく、再解析を行う必要ができた場合でも、最初
の各種データの入力から行う必要はなく、例えば、準定
常電磁場解析の起動条件である時間間隔を変更するだけ
で、簡単に解析精度を上げることが可能である。
【0073】なお、本実施例においては、導電率σ及び
透磁率μを夫々等方的として取り扱ったが、これらが非
等方的な場合についても同様に解析を行うことができ
る。即ち、非等方的な場合には、導電率σ及び透磁率μ
を各座標軸方向毎に求め、それらについて、上述したと
同様の更新手続を行う。例えば、導電率σでは、各座標
軸方向についての導電率σx 、σy 、σz(テンソルσ
の3つの対角成分)の夫々について温度特性曲線を求
め、これらを、温度に対応して更新していけば良い。
【0074】また、上述した実施例においては、鋼材を
加熱する場合について説明したが、本発明は、アルミニ
ウム、チタン、銅等の非鉄金属や種々の合金を誘導加熱
する場合にも適用が可能である。
【0075】
【発明の効果】本発明の方法によれば、電磁場と温度場
を毎時刻計算する場合と比べて、電磁場の計算回数を少
なくすることができるので、全体の計算時間を大幅に短
縮することができる。また、被解析対象の電磁的物性値
の温度変化を考慮した解析を行うことができるので、実
用上充分な解析精度を得ることができる。そして、本発
明の方法により、鋼材等の導電材が誘導加熱された時の
温度分布をかなり正確に解析することができ、指定され
た加熱条件で所望の温度分布が得られるかどうかを正確
に知ることができるので、本発明は、誘導加熱装置の設
計や操業シミュレーション等に適用して非常に好適なも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施例を説明するための誘導加熱装
置の概略構成図である。
【図3】鋼材の導電率の温度特性曲線を示すグラフであ
る。
【図4】鋼材の熱伝導率の温度特性曲線を示すグラフで
ある。
【図5】鋼材の単位体積当りの熱容量の温度特性曲線を
示すグラフである。
【図6】本発明の一実施例による解析方法によって得ら
れた鋼材の温度分布を示す概略図である。
【図7】従来の解析方法によって得られた鋼材の温度分
布を示す概略図である。
【符号の説明】
1 誘導コイル 2 鋼材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平野 芳生 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵 株式会社 先端技術研究所内 (72)発明者 岩田 圭司 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵 株式会社 先端技術研究所内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 計算機を用い、誘導加熱装置による誘導
    電磁場の解析を行って、被加熱体である導電材のジュー
    ル熱を算出し、このジュール熱を基に前記導電材の温度
    分布を解析する方法において、 (a)前記導電材の電磁的物性値及び熱的物性値の温度
    特性曲線データを夫々入力するステップと、 (b)前記導電材の初期温度を入力するステップと、 (c)過渡温度場解析の時間間隔を入力するステップ
    と、 (d)準定常電磁場解析の起動条件を入力するステップ
    と、 (e)過渡温度場解析の終了時間を入力するステップ
    と、 (f)温度に応じて求められた前記導電材の前記電磁的
    物性値を用いて準定常電磁場解析を行い、前記導電材の
    誘導電流によるジュール熱を算出するステップと、 (g)温度に応じて求められた前記導電材の前記熱的物
    性値及びステップ(f)において算出されたジュール熱
    を用いて過渡温度場解析を行い、前記導電材の温度分布
    を算出するステップと、 (h)ステップ(d)において入力された準定常電磁場
    解析の起動条件を満たしたか否かを判定し、起動条件を
    満たした場合には、ステップ(g)において算出された
    温度に応じ、ステップ(a)において入力された前記導
    電材の前記電磁的物性値の前記温度特性曲線データに基
    づいて前記導電材の前記電磁的物性値を更新した後、ス
    テップ(f)に戻り、起動条件を満たしていない場合に
    は次のステップに進むステップと、 (i)ステップ(e)において入力された過渡温度場解
    析の終了時間になったか否かを判定し、終了時間になっ
    ていない場合には、ステップ(g)において算出された
    温度に応じ、ステップ(a)において入力された前記導
    電材の前記熱的物性値の前記温度特性曲線データに基づ
    いて前記導電材の前記熱的物性値を更新した後、ステッ
    プ(g)に戻り、終了時間になった場合には次のステッ
    プに進むステップと、 (j)算出された前記導電材の温度分布データを出力す
    るステップと、 を有することを特徴とする方法。
JP20863091A 1991-07-25 1991-07-25 誘導加熱による導電材の温度分布の解析方法 Expired - Fee Related JP2513542B2 (ja)

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