JP6081744B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波を利用して特定部位の音速値を測定する超音波診断装置に関する。特に、超音波診断装置は、特定部位の音速値から特定部位の性状を診断する。
生体内組織の診断において、その組織の硬さから組織の状態を把握する手法が知られている。例えば、肝臓は、肥満又はアルコールの摂取過多によって脂肪肝になったり、何らかの原因でその機能が低下して代謝が悪化して硬くなったりする。このため、肝臓の脂肪の付き方又は硬さは、肝臓の性状を把握するための重要な指標となる。
生体内組織の性状を評価するために、超音波振動を利用する技術が知られている。特許文献1に開示される超音波診断装置は、生体内組織にプローブを直接接触させ、接触前後で共振周波数が変化する原理を利用して、組織の硬さを評価する。この超音波診断装置は、この超音波診断装置は、医者の手などによる主観的な硬さの評価に代わって、客観的で定量的な硬さを測定している。具体的には、超音波診断装置は、手術下において露出した肝臓に直接プローブを接触させて、その肝臓が線維質状であるか脂肪組織が多く含まれているか等の性状を測定する。
特開2004−73496号公報
しかしながら、特許文献1の超音波診断装置は、直接肝臓などの生体内組織に接触しなければならないため、手術下においてしか使用できない。そこで、生体を切開することなく、定量的に生体内組織の性状を測定する超音波診断装置が求められている。
第1の観点の超音波診断装置は、被検体の皮下脂肪下の特定部位の音速値を測定する。超音波診断装置は、超音波トランスデューサから超音波を被検体に送信すると共に被検体によって反射された超音波エコーを受信する超音波探触子と、超音波エコーを異なる音速値に対応するような複数のフォーカス条件でフォーカス処理して複数の音線信号を生成する受信制御部と、を備える。さらに診断装置は、音線信号に基づいて複数の超音波画像を生成する画像生成部と、複数の超音波画像から被検体を診断する最適な音速値を設定する最適音速値設定部と、被検体の皮下脂肪厚さを測定する皮下脂肪厚さ測定部と、皮下脂肪厚さに基づいて特定部位の音速値を計算する音速値計算部と、を備える。
第2の観点の超音波診断装置は、さらに超音波画像に基づいて皮下脂肪と特定部位との間の筋肉の厚さを測定する筋肉厚さ測定部を備える。そして音速値計算部は、皮下脂肪厚さ及び筋肉厚さに基づいて特定部位の音速値を計算する。
第3の観点の超音波診断装置において、皮下脂肪測定部は、超音波画像に基づいて皮下脂肪の厚さを測定する。
第4の観点の超音波診断装置において、皮下脂肪測定部は、超音波エコーに基づいて皮下脂肪と特定部位との境界面を検出して皮下脂肪の厚さを測定する。
第5の観点の超音波診断装置において、超音波探触子は、LED光源から被検体にレーザ光が放射され被検体から反射されるレーザ光の散乱透過光強度の変化に応じて、皮下脂肪の厚さを測定する光学測定部を有する。そして皮下脂肪測定部は、光学測定部で測定された皮下脂肪の厚さを測定する。
第6の観点の超音波診断装置において、画像生成部は、音線信号による第1音速値から第2音速値までのBモード画像を生成し、最適音速値設定部は、複数のBモード画像でコントラストが最大になる際の音速値を最適な音速値と設定する。
第7の観点の超音波診断装置において、画像生成部は、音線信号による第1音速値から第2音速値までのBモード画像を生成し、最適音速値設定部は、複数のBモード画像で空間周波数が最大になる際の音速値を最適な音速値と設定する。
本発明は、このような状況に鑑みて成されたものであり、その目的は、生体内組織を手術することなく、生体内の特定部位の音速度を測定し、特定部位の性状を測定することにある。
実施形態に係る超音波診断装置100の構成を示すブロック図である。 (a)は、被検体BDの皮下脂肪B1が薄い場合を示し、(b)は、被検体BDの皮下脂肪B1が厚い場合を示す。 (a)は、被検体BDの肝臓B3のA点からの超音波エコーECを受信する超音波探触子110である。(b)は、肝臓B3の音速値S3を計算するフローチャートである。 (a)は、所定の音速値の幅で、Bモード画像BMIを生成する概念図である。(b)は、最適音速値Spを設定するフローチャートである。 皮下脂肪B1の厚さ及び筋肉B2の厚さを測定する第1例を説明する図である。 (a)は、第2例の超音波探触子110’を示した図である。(b)は、皮下脂肪B1の厚さを測定するフローチャートである。 (a)は、被検体BDのA点〜C点を受信して各点の音速値を計測する図である。(b)は、第2実施形態のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
<<第1実施形態>>
<超音波診断装置100の構成>
図1は、実施形態に係る超音波診断装置100の構成を示すブロック図である。この超音波診断装置100は、超音波探触子110とメモリ140とCPU120とを有する。さらに、超音波診断装置100は、送信制御部112と受信制御部113と送信遅延量(パターン)記憶部114と受信遅延量(パターン)記憶部115を備えている。また超音波診断装置100は、キーボード又はマウスなどの入力部131とLCD(Liquid Crystal Display)などの表示部133とを備えている。
超音波探触子(プローブ)110は、一次元又は二次元のトランスデューサアレイを構成する複数の超音波トランスデューサ111を備えている。それらの超音波トランスデューサ111は、送信制御部112から印加される駆動信号に基づいて超音波を生体内に送信すると共に、生体内を伝搬する超音波エコーを受信して受信信号を受信制御部113に出力する。
各超音波トランスデューサ111は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(lead) zirconate titanate)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinylidene difluoride)に代表される高分子圧電素子等の圧電性を有する材料(圧電体)を使った振動子である。各超音波トランスデューサ111は、パルス状又は連続波の超音波を発生し、それらの超音波の合成によって超音波ビームを形成する。また、超音波トランスデューサ111は、被検体内BD内から反射される超音波エコーを受信することによって伸縮し、電気信号を発生する。それらの電気信号は、超音波エコーの受信信号として受信制御部113に出力される。
各超音波トランスデューサ111は、被検体BDの表面に接する。被検体内BDは、例えば、皮下脂肪B1、筋肉B2及び肝臓B3に対して超音波ビームを送信する。第1実施形態では、特定部位として肝臓を挙げて説明する。
送信遅延量(パターン)記憶部114は、超音波ビームを形成する際に用いられる複数の送信遅延量を記憶している。送信制御部112は、走査制御部11において設定された送信方向に応じて、送信遅延量記憶部114に記憶されている複数の遅延量の中から1つのパターンを選択し、その遅延量に基づいて、複数の超音波トランスデューサ111の駆動信号にそれぞれ与えられる遅延時間を設定する。これにより、複数の超音波トランスデューサ111から一度に送信される超音波ビームが被検体の撮像領域全体に届くようになる。
受信遅延量(パターン)記憶部115は、複数の超音波トランスデューサ111から出力される複数の受信信号に対してフォーカス処理を行う際に用いられる複数の受信遅延量を記憶している。受信制御部113は、受信遅延量記憶部115に記憶されている複数の受信遅延量の中から1つの遅延量を選択し、その受信遅延量と被検体内の音速とに基づいて、複数の受信信号に遅延を与えて加算する。これにより、受信フォーカス処理を行う。このフォーカス処理により、超音波エコーのフォーカスが絞り込まれた音線信号が生成される。さらに、受信制御部113は、形成された音線信号に対して包絡線検波処理を施す。音線信号は、メモリ140内の音線信号メモリ142に記憶される。
ここで、受信信号の遅延量は、被検体BD内の音速に基づいて定められる。一般には、人体内の平均音速値として、1530〜1540m/sに設定されている。しかし実際には、被検体BD内の組織によって音速値が異なっている。一般に、皮下脂肪B1では音速値が約1450m/sであり、筋肉B2又は肝臓B3では音速値が約1550m/sに設定されている。肝硬変になった肝臓では音速値が速くなる。本実施形態では、受信遅延量記憶部115は、例えば1430m/sから1580m/sまでの遅延量を記憶している。
CPU120は、画像生成部121、最適音速値設定部123、脂肪厚さ測定部125、筋肉厚さ測定部127及び音速値計算部129を備えている。なお、第1実施形態では筋肉厚さ測定部127を有しているが、筋肉厚さ測定部127は必ずしも必要ない。画像生成部121は、受信制御部113から出力される音線信号に基づいて、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像を生成する。Bモード画像は、メモリ140内のBモード画像メモリ144に記憶される。
最適音速値設定部123は、受信信号の遅延量と画像生成部121によるBモード画像信号とに基づいて、特定部位の画像表示に最適な音速値を設定する。最適音速値設定部123の詳細は、図4を使って後述する。
脂肪厚さ測定部125は、被検体BDの皮下脂肪B1の厚さを測定する。脂肪厚さ測定部125の詳細は、図5又は図6を使って後述する。筋肉厚さ測定部127は、被検体BDの筋肉B2の厚さを測定する。筋肉厚さ測定部127の詳細は、図5を使って後述する。
音速値計算部129は、特定部位である肝臓B3の音速値S3を計算する。音速値計算部129で計算された音速値S3は、表示部133に表示される。また、音速値S3に基づいて、音速値計算部129は、肝臓B3の標準音速値(閾値)よりも速いか遅いかを表示部133に示してもよい。
本実施形態においては、ソフトウェア(プログラム)が、CPU120で実行されることによって、画像生成部121、最適音速値設定部123、脂肪厚さ測定部125、筋肉厚さ測定部127及び音速値計算部129を構成する。ソフトウェアは、メモリ140に記憶される。ソフトウェアは、内蔵のハードディスクの他に、フラッシュメモリ、DVD−ROM等の記録媒体に記録されてもよい。
<受信フォーカス処理>
図2は、被検体BDの肝臓B3のA点を受信する受信フォーカス処理について説明する図である。図2(a)は、被検体BDの皮下脂肪B1が薄い場合を示し、図2(b)は、被検体BDの皮下脂肪B1が厚い場合を示す。
被検体BDの表面に、複数の超音波トランスデューサ111が接する。各超音波トランスデューサ111は、肝臓B3のA点からの超音波エコーECを電気信号に変換して受信信号として出力する。その受信信号は、受信遅延量記憶部115の遅延量に基づいて、遅延される。図2(a)及び(b)では、棒状の枠の長いは、遅延量の長さを示している。
A点からの超音波エコーECは、A点からの距離の遠い端部側にある超音波トランスデューサ111とA点からの距離の近い中央側にある超音波トランスデューサ111とを比べると、遠くにある超音波トランスデューサ111よりも近くにある超音波トランスデューサ111に先に到達する。ここで被検体BD内の音速値S0が均一であると仮定し、距離差ΔLとすると、時間差はΔL/S0で示される。この到達の時間差ΔL/S0は、中央側と端部とにある超音波トランスデューサ111の距離差だけ超音波エコーECが速く進む時間となる。このようにA点と各超音波トランスデューサ111との間の各距離差があるため、該各距離差を各時間に換算し、各超音波トランスデューサ111で得られた各受信信号を各時間差に相当する分だけ遅延させる。これによりこれらの受信信号の到達時刻を互いに揃える整相処理が行われる。これで、超音波エコーのフォーカスが絞り込まれた音線信号が生成される。画像生成部121は、この音線信号に基づいてBモード画像を生成する。受信信号の到達時刻を互いに揃えることができないと、画像生成部121は、不明瞭なBモード画像を生成することになる。
被検体BD内の音速値S0が均一であると仮定したが、実際には、肝臓B3の領域では音速値S3であり、筋肉B2の領域は音速値S2であり、皮下脂肪B1の領域は音速値S1である。A点からの超音波エコーECは、A点から筋肉までの距離及び肝臓B3の音速値S3、筋肉B2の領域の厚さ及び筋肉B2の音速値S2、並びに皮下脂肪B1の領域の厚さ及び皮下脂肪B1の音速値S1に影響を受ける。皮下脂肪B1の音速値S1が約1450m/s、筋肉B2の音速値S2が約1550m/sである場合には、遅延時間は、筋肉B2の領域の厚さ及び皮下脂肪B1の領域の厚さの影響を受ける。
図2(b)の被検体BDの皮下脂肪B1は、図2(a)のそれよりも厚い。また、皮下脂肪B1の音速値S1が筋肉B2の音速値S2より遅い。このため、A点からの距離の遠い端部側にある超音波トランスデューサ111とA点からの距離の近い中央側にある超音波トランスデューサ111とを比べると、時間差は大きくなる。したがって、図2(b)の中央側の遅延量は、図2(a)の中央側の遅延量よりも長い遅延量となる。すなわち、被検体BDの皮下脂肪B1が厚い場合は、中央側の遅延量をより長くして受信信号の到達時刻を互いに揃える。そして画像生成部121は、皮下脂肪B1が厚い場合であっても、明瞭なBモード画像を生成することができる。
なお、図2(a)の遅延量に相当する音速値(A点から超音波トランスデューサ111までの平均音速値S0)は、例えば1540m/sである。一方、図2(b)の遅延量に相当する音速値(A点から超音波トランスデューサ111までの平均音速値S0)は、例えば1520m/sである。
<肝臓B3の音速値B3の計算>
一般に、健康な肝臓B3の音速値S3は、装置の持つ平均音速値付近となる。しかしながら、食べ過ぎや飲みすぎによって肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった肝臓は、“脂肪肝”と呼ばれるように、多くの脂肪を含んでいる。このため、“脂肪肝”なる肝臓B3の音速値S3は、健康な肝臓の音速値よりも遅くなる。一方、肝臓病が続いた結果、肝細胞が死に線維質状になって肝臓が硬くなった肝臓は、“肝硬変”と呼ばれるように、硬くなっている。このため、“肝硬変”肝臓B3の音速値S3は、健康な肝臓の音速値よりも速くなる。
図2(a)及び(b)で説明したように、画像生成部121が、明瞭、すなわち最適なBモード画像を生成した際には、最適な遅延量が設定されていたことになる。別言すれば、A点から各超音波トランスデューサ111までの平均音速値S0が最適音速値Spに設定されたことを意味する。皮下脂肪B1の音速値S1及び筋肉B2の音速値S2が既知であるため、最適音速値Spに設定され、さらに、筋肉B2の領域の厚さ及び皮下脂肪B1の領域の厚さが求められると、肝臓B3の音速値S3を求めることができる。医師は、この音速値S3に基づいて、定量的に、肝臓が、“脂肪肝”の疑いがあるか“肝硬変”の疑いがあるかを判断することができる。
以下、図3を使って、特定部位である肝臓B3の音速値S3を計算する方法を説明する。図3(a)は、被検体BDの肝臓B3のA点からの超音波エコーECを受信する超音波探触子110である。A点から中央の超音波トランスデューサ111までは、距離Leである。図3(a)では、被検体BCの皮下脂肪B1は厚さMであり、筋肉B2の厚さNである。図3(b)は、肝臓B3の音速値S3を計算するフローチャートである。
ステップS10では、超音波診断装置100の最適音速値設定部123が、画像生成部121によって生成されたBモード画像に基づいて最適音速値Spを設定する。図2で説明したように、受信遅延量記憶部115に記憶された複数の受信遅延量(パターン)から、最適な遅延量を設定することにより最適音速値Spが設定される。詳細は図4を使って後述する。
ステップS12では、脂肪厚さ測定部125が皮下脂肪B1の厚さMを測定する。その厚さMの測定については、図5又は図6を使って後述する。
ステップS14では、筋肉厚さ測定部127が筋肉B2の厚さNを測定する。その厚さNの測定については、図5を使って後述する。
ステップS16では、音速値計算部129が肝臓B3の音速値S3より以下の数式1が成立する。皮下脂肪B1の音速値S1は1450m/s、筋肉B2の音速値S2は1580m/sと仮定して計算する。ステップS10で最適音速値Spが設定され、ステップS12で測定された皮下脂肪B1の厚さMと、ステップS14で測定された筋肉B2の厚さNとに基づいて、音速値S3を計算できる。
ステップS18では、音速値計算部129が計算した肝臓B3の音速値S3を表示部133に表示する。音速値S3を表示する代わりに、表示部133に、音速値S3が基準値、例えば1550m/sよりも速い音速値か遅い音速値かを示しても良い。なお、計算を簡単にするため、皮下脂肪層及び肝臓のみを対象として計算してもよい。
<最適音速値Spの設定>
図4は、最適音速値設定部123が最適音速値Spを設定する方法を示した図面である。図4(a)は、所定の音速値の幅で、Bモード画像BMIを生成する概念図である。図4(b)は、最適音速値Spを設定するフローチャートである。
ステップS101では、受信遅延量記憶部115に記憶された遅延量(パターン)を次々に可変させて、被検体BDの音線信号を生成する。例えば遅延量を可変することで、音速値1430m/s相当の音線信号から1580m/s相当の音線信号までを10m/sごとに得る。これらの音線信号は音線信号メモリ142に記憶される。受信の遅延量とともに、送信の遅延量も同時に変更してもよい。
ステップS102では、画像生成部121が、音速値1430m/s相当、1440m/s相当……1580m/s相当の音線信号に基づいて、16枚のBモード画像BMIを生成する。生成されたBモード画像BMIは、Bモード画像メモリ144に記憶される。
ステップS103では、最適音速値設定部123が、16枚のBモード画像BMIに基づいて、空間周波数の一番高いBモード画像BMIを一枚選ぶ。具体的には、Bモード画像BMIをフーリエ変換して,空間周波数領域でフィルタ処理を行い、一番高い空間周波数を有するBモード画像BMIを選択する。空間周波数を使う代わりにコントラストの一番高いBモード画像BMIを一枚選ぶようにしてもよい。
ステップS104では、ステップS103で選ばれたBモード画像BMIの音速値を最適音速値Spと設定する。本実施形態では例えば最適音速値Spが1500m/sと設定する。
<皮下脂肪厚さM及び筋肉厚さNの測定 第1例>
図5は、被検体BDの皮下脂肪B1の厚さ及び筋肉B2の厚さを測定する第1例を説明する図である。
表示部133は、最適音速値Spで得られたBモード画像BMIを画面の一部に表示する。その画面の横には、皮下脂肪厚さ測定画面150と筋肉厚さ測定画面160とが表示される。皮下脂肪厚さ測定画面150には、開始ボタン152と確定ボタン154とが設けられる。また、筋肉厚さ測定画面160にも、開始ボタン162と確定ボタン164とが設けられる。
臨床検査技師などの操作者がマウスなどの入力部131で画面上のカーソル137を移動させ、皮下脂肪厚さ測定画面150の開始ボタン152をクリックすると、指定カーソル156が表示される。操作者は、この指定カーソル156を皮下脂肪B1と筋肉B2との境目に配置する。そして、操作者がカーソル137を移動させ、皮下脂肪厚さ測定画面150の確定ボタン154をクリックする。すると、脂肪厚さ測定部125(図1を参照)は、超音波トランスデューサ111(又は被検体の表面である皮膚)から指定カーソル156までの距離を測定する。これにより、脂肪厚さ測定部125は、皮下脂肪B1の厚さMを測定することができる。
次に、操作者がカーソル137を移動させ筋肉厚さ測定画面160の開始ボタン162をクリックすると、指定カーソル166が表示される。操作者は、この指定カーソル166を筋肉B2と肝臓B3との境目に配置する。そして、操作者がカーソル137を移動させ、確定ボタン164をクリックする。すると、筋肉厚さ測定部127(図1を参照)は、先に指定された指定カーソル156から指定カーソル166までの距離を測定する。これにより、筋肉厚さ測定部127は、筋肉B2の厚さNを測定することができる。
<皮下脂肪厚さMの測定 第2例>
図6は、被検体BDの皮下脂肪B1の厚さを測定する第2例を説明する図である。
図6(a)は、第2例の超音波探触子110’を示した図である。図6(b)は、皮下脂肪B1の厚さを測定するフローチャートである。
皮下脂肪B1は、音響インピーダンスがその他の生体構成要素の主成分である水と大きく異なるので、超音波エコーは皮下脂肪B1と筋肉B2との界面で強く反射される。脂肪厚さ測定部125(図1を参照)は、この超音波エコーに基づいて、皮下脂肪B1の厚さMを測定することができる(ステップS201)。
しかしながら、皮下脂肪B1の細胞の質・大きさなどの個人ごとの違いや部位による差により、界面のみならず、皮下脂肪B1の内部からも超音波エコーが反射してくる場合も多々あり、皮下脂肪B1と筋肉B2などの他の生体組織との界面がはっきりしない場合もある。臨床検査技師などの熟練した操作者は、表示部133に映し出されたBモード画像BMIから皮下脂肪層がどの位置かを正しく判断できるが、Bモード画像BMIを見慣れていない操作者はどの超音波エコー信号が皮下脂肪B1と筋肉B2との界面であるか判断できないこともある。超音波探触子110’は、光学的な測定により皮下脂肪の厚さの範囲を推定し、超音波エコーに基づく皮下脂肪B1と筋肉B2との界面を決定できるようにする。
超音波探触子110’は、超音波トランスデューサ111に加えて、LED光源117とレンズ118とイメージセンサ119とからなる。被検体BDの皮膚表面から約15mm程度離した被検体BD内をLED光源117で照射する。そして、照射されたLED光LEは、被検体BD内部で透過・散乱し、レンズ118によりイメージセンサ119上に結像される。
LED光源117とイメージセンサ119を例えば15〜20mm離して設ける。すると、LED光源117から出射されたLED光LEは、皮下脂肪B1では散乱されながら透過するが、筋肉B2では吸収されて光強度は減衰する。したがって、LED光源117から出射されたLED光LEは、一般的に皮下脂肪B1が厚くなると増加する。皮下脂肪の厚さMl(mm)と散乱透過光強度Iの関係は近似的にI=Io(1−exp(−Ml/C))と表せる(Ioは光学系により決まる定数、Cは標準的な生体の皮下脂肪の厚さ)。脂肪厚さ測定部125は、イメージセンサ119の画像情報から平均の散乱透過光強度を算出し、皮下脂肪の厚さMlと散乱透過光強度との関係式から皮下脂肪の厚さMlを推定することができる。
ステップS201では、脂肪厚さ測定部125は、超音波エコー(音響インピーダンス)に基づいて、皮下脂肪B1と筋肉B2との界面として最大振幅の界面エコーを抽出し、皮下脂肪B1の厚さMを仮決定する。
ステップS202では、脂肪厚さ測定部125は、LED光LEを照射し、皮下脂肪B1の厚さMlを推定する。
ステップS203では、脂肪厚さ測定部125は、仮決定した皮下脂肪B1の厚さMとLED光による厚さMlとがほぼ一致するか判断する。具体的には、厚さMl±Δlの範囲に、仮決定した厚さMが入るか否かを判断する。入るのであればステップS204に進み、入らなければ再度ステップS201に戻り、測定をし直す。
ステップS204では、ステップS201で仮決定された皮下脂肪B1の厚さMを測定値として決定する。
<<第2実施形態>>
第1実施形態では、皮下脂肪B1の音速値S1及び筋肉B2の音速値S2が一般的な値(S1=1450m/s、S2=1580m/s)を使って計算した。しかし、被検体BDにより、音速値S1、S2が異なる場合もある。第2実施形態では、より正確に肝臓B3の音速値S3を求めるため、皮下脂肪B1の音速値S1及び筋肉B2の音速値S2を計測する例を示す。
図7(a)は、被検体BDのA点〜C点を受信して各点の音速値を計測する図である。図7(b)は、第2実施形態のフローチャートである。
ステップS30では、適音速値設定部123が、画像生成部121によって生成されたBモード画像に基づいてC点の最適音速値Spを設定する。C点は皮下脂肪B1しかないため、最適音速値Spが皮下脂肪B1の音速値S1となる。
ステップS31では、適音速値設定部123が、画像生成部121によって生成されたBモード画像に基づいてB点の最適音速値Spを設定する。ここで求められた最適音速値Spは、筋肉B2と皮下脂肪B1とを経由した音速値である。またB点から中央の超音波トランスデューサ111までは、距離Lfである。
ステップS32では、適音速値設定部123が、画像生成部121によって生成されたBモード画像に基づいてA点の最適音速値Spを設定する。A点は、肝臓B3と筋肉B2と皮下脂肪B1とを経由する最適音速値Spである。
ステップS33では、脂肪厚さ測定部125が皮下脂肪B1の厚さMを測定する。
ステップS34では、筋肉厚さ測定部127が筋肉B2の厚さNを測定する。
ステップS35では、音速値計算部129が筋肉B2の音速値S2を下記数式2に従い計算する。
その際に、皮下脂肪B1の音速値S1はステップS30で求められた音速値S1を使用する。
ステップS36では、音速値計算部129が肝臓B3の音速値S3を下記数式1に従い計算する。ステップS30で求められた音速値S1とステップS35で求められた音速値S2とを使用する。
ステップS37では、音速値計算部129が計算した肝臓B3の音速値S3を表示部133に表示する。
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
100 … 被検体
110,110’ … 超音波探触子、
111 … 超音波トランスデューサ
112 … 送信制御部、 113 … 受信制御部
114 … 送信遅延量記憶部、115 … 受信遅延量記憶部
117 … LED光源、 118 … レンズ
119 … イメージセンサ
120 … CPU
121 … 画像生成部、 123 … 最適音速値設定部
125 … 脂肪厚さ測定部、127 … 筋肉厚さ測定部
129 … 音速値計算部
140 … メモリ
142 … 音線信号メモリ、144 … Bモード画像メモリ
150 … 皮下脂肪厚さ測定画面
160 … 筋肉厚さ測定画面
BD … 被検体
B1 … 皮下脂肪
B2 … 筋肉
B3 … 特定部位(肝臓)

Claims (7)

  1. 被検体の皮下脂肪下の特定部位の音速値を測定する超音波診断装置であって、
    超音波トランスデューサから超音波を前記被検体に送信すると共に、前記被検体によって反射された超音波エコーを受信する超音波探触子と、
    前記超音波エコーを、一つのフォーカス点について、異なる音速値に対応するような複数のフォーカス条件でフォーカス処理して、複数の音線信号を生成する受信制御部と、
    前記音線信号に基づいて、複数の超音波画像を生成する画像生成部と、
    前記複数の超音波画像から前記被検体を診断する最適な音速値を設定する最適音速値設定部と、
    前記被検体の皮下脂肪厚さを測定する皮下脂肪厚さ測定部と、
    前記皮下脂肪厚さに基づいて、前記特定部位の音速値を計算する音速値計算部と、
    を備える超音波診断装置。
  2. さらに、前記超音波画像に基づいて前記皮下脂肪と前記特定部位との間の筋肉の厚さを測定する筋肉厚さ測定部を備え、
    前記音速値計算部は、前記皮下脂肪厚さ及び前記筋肉厚さに基づいて前記特定部位の音速値を計算する請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記皮下脂肪測定部は、前記超音波画像に基づいて前記皮下脂肪の厚さを測定する請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記皮下脂肪測定部は、前記超音波エコーに基づいて前記皮下脂肪と前記特定部位との境界面を検出して前記皮下脂肪の厚さを測定する請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置。
  5. 前記超音波探触子は、LED光源から前記被検体にレーザ光が放射され前記被検体から反射されるレーザ光の散乱透過光強度の変化に応じて、前記皮下脂肪の厚さを測定する光学測定部を有し、
    前記皮下脂肪測定部は、前記光学測定部で測定された前記皮下脂肪の厚さを測定する、請求項4に記載の超音波診断装置。
  6. 前記画像生成部は、前記音線信号による前記第1音速値から前記第2音速値までのBモード画像を生成し、
    前記最適音速値設定部は、複数の前記Bモード画像でコントラストが最大になる際の音速値を最適な音速値と設定する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  7. 前記画像生成部は、前記音線信号による前記第1音速値から前記第2音速値までのBモード画像を生成し、
    前記最適音速値設定部は、複数の前記Bモード画像で空間周波数が最大になる際の音速値を最適な音速値と設定する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
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