JP6081241B2 - 着色剤含有レミフェンタニル注射製剤 - Google Patents

着色剤含有レミフェンタニル注射製剤 Download PDF

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Description

本発明は、レミフェンタニル注射製剤に関する。より詳細には、本発明は着色剤を含有するレミフェンタニル注射製剤に関する。
オピオイド鎮痛薬は、強力な鎮痛作用を有し、手術侵襲による循環動態のストレス反応を安定化させることから、手術の鎮静、鎮痛、筋弛緩という麻酔の要素を満たすだけでなく、手術中のストレスを最小限にとどめて手術侵襲による血圧上昇や頻脈などの循環動態などのストレス反応を最小限に抑えて、患者に痛みのない、安らかな術後を約束するという点で全身麻酔などを行う際の鎮痛剤として適している。
麻酔時に用いるオピオイド鎮痛薬としては、従来、数十年の歴史を持つフェンタニルが用いられ、また欧米などではフェンタニルの次世代品としてスフェンタニルやアルフェンタニルなどが認可されて用いられていた。そのような状況下において、レミフェンタニルが日本では2006年10月に承認され、2007年1月から販売されるに至り、現在では全身麻酔時用のオピオイド鎮痛薬としては主にレミフェンタニルが用いられている。
レミフェンタニルは、選択的なμオピオイド受容体アゴニストである点でフェンタニルと共通しているが、フェンタニルは肝臓で活性代謝物および非活性代謝物に代謝されてその約10%だけが腎臓より排出されるため、持続投与すると体内に蓄積され、投与終了後にもその作用が残存して、遅発性呼吸抑制、覚醒遅延、悪心、嘔吐などの症状がみられるのに対して、レミフェンタニルは、血中および生体組織内の非特異的エステラーゼによって速やかに加水分解されて非活性代謝物となって腎臓より排泄されるため、鎮痛作用の発現と消失が速やかで、しかも体内での蓄積性がないので、侵襲刺激に応じた鎮痛のコントロールが容易であり、腎機能や肝機能に障害のある患者に対しても容量の調節を行うことなく使用でき、かかる点から全身麻酔の導入および維持における鎮痛用の剤として現在、吸入麻酔薬や静脈麻酔薬と併用されている(非特許文献1および2を参照)。
レミフェンタニルは水によく溶けるが、レミフェンタニルの水溶液は不安定で長期間保存できないため、現在、凍結乾燥したレミフェンタニル粉体をバイアル瓶などの容器に収容して流通・販売されている。
麻酔の際には、レミフェンタニルは注射液の形態にして静脈注射によって患者に投与され、その際の手順としては、レミフェンタニル凍結乾燥製剤を収容しているバイアル瓶などの容器に少量の溶解液(水、生理食塩水、5%ブドウ糖注射液など)を注入して溶解した後、それを希釈液(生理食塩水、5%ブドウ糖注射液など)と混合して最終的な注射液とし、これを麻酔時に患者に投与するという方法が採られている(非特許文献1の第1655頁左欄などを参照)。
凍結乾燥製剤の形態で流通・販売され、使用時に溶解液や希釈液を用いて溶液状にして患者に投与される薬剤は、レミフェンタニルに限らず数多く存在する。
しかし、麻酔薬の多くは液状の注射液剤またはガス状製剤の形態で流通・販売されており、凍結乾燥製剤の形態で流通・販売されている麻酔薬は稀であることから、医療現場では、レミフェンタニル注射製剤についても通常の麻酔薬と同じであると錯覚して、レミフェンタニル凍結乾燥製剤を溶解液や希釈液を用いて溶液状にするのを失念して、レミフェンタニル注射製剤と混合する前のレミフェンタニルを含まない溶解液や希釈液を間違って患者に投与してしまったという現場事例が報告されている。このようなトラブルを回避するには、麻酔時に患者に投与する液がレミフェンタニル注射製剤と混合して調製したレミフェンタニルを含む液であることを医療現場で確認する必要がある。しかし、レミフェンタニル注射製剤に溶解液や希釈液を加えて得られるレミフェンタニル注射液と、レミフェンタニル注射製剤と混合する前の溶解液や希釈液は、いずれも無色で区別がつきにくいことから、作業者にいちいち問い合わせたり、レミフェンタニル注射製剤を取り出した後の空の容器が現場に残っているか等々、確認作業にかなりの手間がかかり、現場での負担を増大させている。
薬剤の投薬ミスに伴う医療過誤を防止するために、トロンビンなどの止血作用を有する薬剤に食用青色1号などの色素を混合して、トロンビンなどの止血剤が注射薬と間違って人体に注射されるのを防止する技術が知られている(特許文献1)。
しかし、特許文献1の技術は、経内視鏡的に散布されるトロンビンなどの局所用止血剤が誤って注射されることを防止するという、薬剤の用法の間違いを防ぐための技術であり、注射液中に所定の薬剤が入っているか否かを確認するための技術ではない。しかも、トロンビンなどの止血剤の着色に係る特許文献1には、トロンビンなどの止血剤とは薬剤の種類や物性、薬剤の作用、用法などが著しく異なるレミフェンタニル注射製剤に対して、引用文献1の技術が転用可能であることは開示も示唆もされていない。
特開2002−104996号公報
「Anesthesia 21 Century」 Vol.9,No.2−28,p.1652−1665(2007) 「鹿児島市医報」第46巻第6号,p.12(2007)
本発明の目的は、麻酔現場において、レミフェンタニル注射製剤を溶解液や希釈液で溶解したり、希釈するのを失念して、レミフェンタニル注射製剤が含まれていない溶解液や希釈液をそのまま患者に注射するというトラブルを防止して、患者に注射される注射液がレミフェンタニル注射製剤と混合して調製したレミフェンタニルを含有する注射液であることを簡単に且つ確実に確認することのできるレミフェンタニル注射製剤を提供することである。
さらに、本発明の目的は、レミフェンタニル注射製剤を溶解液、希釈液で溶解、希釈して調製した注射液が、レミフェンタニル注射液剤と混合して調製したレミフェンタニルを含有する注射液であることを簡単に且つ確実に確認できると共に、レミフェンタニル注射製剤を溶解液、希釈液で溶解、希釈して調製したレミフェンタニルを含有する注射液が、麻酔時に患者の状態をモニターするために患者に取り付けられるパルスオキシメーターなどのバイタルサインモニターの作動に影響を及ぼさないレミフェンタニル注射製剤を提供することである。
また、本発明の目的は、上記した目的と併せて、常温で長期保存しても、レミフェンタニルの分解や変質が少なく、レミフェンタニルが高い残存率で維持される、長期保存安定性に優れるレミフェンタニル注射製剤を提供することである。
本発明者らは上記の目的を達成すべく研究を続け、その一環として、レミフェンタニル注射製剤中に着色剤を含有させることによって、レミフェンタニルを含まない溶解液や希釈液をレミフェンタニル注射溶液と間違って患者に注射してしまうとトラブルを防止できることに想到した。そこで、それに基づいて、生体にとって安全であるとされている種々の着色剤を用いて多数の実験を重ね、その結果、多数の着色剤のうち、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤が本発明の目的に合致していることを見出した。
レミフェンタニルおよび/またはその生理学的に許容される塩に、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる特定の着色剤を混合してレミフェンタニル注射製剤を製造すると、それを溶解液、希釈液で溶解、希釈して得られるレミフェンタニル溶液(レミフェンタニル注射液)は色がついているために、レミフェンタニルを含まない無色の溶解液および希釈液と明確に区別することができ、それによってレミフェンタニルを含まない溶解液や希釈液をそのまま患者に注射するというトラブルを確実に防げること、しかもシアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンは、いずれも、レミフェンタニル(塩)の分解や品質低下をもたらさず、レミフェンタニル(塩)にシアノコバラミン、インドシアニングリーンまたはインジゴカルミンを配合して得られるレミフェンタニル注射製剤は、これらの着色剤を含有しないレミフェンタニル注射製剤と同等の長期保存安定性を有することを見出した。
さらに、本発明者らは、レミフェンタニル注射製剤にシアノコバラミン、インドシアニングリーンまたはインジゴカルミンを含有させても、レミフェンタニル注射製剤の麻酔・鎮痛薬としての機能の低下がないことを見出した本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) レミフェンタニルおよび/またはその生理学的に許容される塩、並びにシアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤を含有することを特徴とするレミフェンタニル注射製剤である。
そして、本発明は、
(2) 着色剤が、シアノコバラミンである前記(1)のレミフェンタニル注射製剤;
(3) レミフェンタニル1mg当たり、着色剤を0.02〜0.30mgの割合で含有する前記(1)または(2)のレミフェンタニル注射製剤;
(4) レミフェンタニル注射製剤が、液状のレミフェンタニル注射液剤である前記(1)〜(3)のいずれかのレミフェンタニル注射製剤;
(5) レミフェンタニル注射液剤1mL中に、レミフェンタニルおよび/またはその生理学的に許容される塩を、レミフェンタニルとして1〜10mgの割合で含有する前記(4)に記載のレミフェンタニル注射製剤;
(6) レミフェンタニル注射製剤が乾燥したレミフェンタニル注射製剤である前記(1)〜(3)のいずれかのレミフェンタニル注射製剤;および、
(7) 前記(1)〜(6)のいずれかのレミフェンタニル注射製剤を収容した容器と、溶解液を収容した容器および希釈液を収容した容器のいずれか一方または両方を備えるキット製剤;
である。
本発明のレミフェンタニル注射製剤を溶解液、希釈液で溶解、希釈して調製したレミフェンタニル注射液は、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤に由来する色を呈していて、無色の溶解液および希釈液と明確に区別できるので、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤を含有する本発明のレミフェンタニル注射製剤を用いることによって、レミフェンタニル注射製剤と混合する前のレミフェンタニルを含まない溶解液や希釈液を誤ってそのまま患者に注射してしまうという医療過誤を回避することができる。
シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤を含有する本発明のレミフェンタニル注射製剤は、麻酔・鎮痛薬としての優れた機能をそのまま維持している。
本発明のレミフェンタニル注射製剤に含まれるシアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤は、レミフェンタニルの安定性に何ら悪影響を及ぼさないため、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤を含有する本発明のレミフェンタニル注射製剤は、着色剤を含まないレミフェンタニル注射製剤と同じように、長期保存安定性に優れている。
特にシアノコバラミンを含有する本発明のレミフェンタニル注射製剤は、剤型が乾燥注射製剤である場合および液状の注射液剤である場合のいずれにおいても、常温で長期間保存してもレミフェンタニルの分解や変質が極めて少なくて長期保存安定性に優れており、しかも長期保存後も変色や退色がなく、その上シアノコバラミンを含有する本発明のレミフェンタニル注射製剤に溶解液および/または希釈液を加えて調製した注射液は、麻酔時に患者の状態をモニターするためのパルスオキシメーターなどのバイタルサインモニターの作動に影響を及ぼさない。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のレミフェンタニル注射製剤で用いている「レミフェンタニルおよび/またはその生理学的に許容される塩」[以下、「レミフェンタニル(塩)」ということがある]は、メチル4−(メトキシカルボニル)−4−[(1−オキソプロピル)フェニルアミノ]ピペリジン−1−プロパン酸メチルエステルの別称である。
本発明では、レミフェンタニル(塩)として、塩になっていないレミフェンタニル自体およびその生理学的に許容される塩から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
レミフェンタニルの生理学的に許容される塩としては、例えば、レミフェンタニルの塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、グルタミン酸塩、フマル酸塩、アスパラギン酸塩、グルタル酸塩、ステアリン酸塩、酪酸塩、マロン酸塩、乳酸塩などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
そのうちでも、本発明では、レミフェンタニル(塩)として、レミフェンタニル、レミフェンタニル塩酸塩が好ましく用いられ、特にレミフェンタニル塩酸塩が入手容易性の点からより好ましく用いられる。
本発明のレミフェンタニル注射製剤では、着色剤として、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤のいずれか1つを含有している。
シアノコバラミンは、ビタミンB12とも称される水溶性のビタミンの1種で、ポルフィリン類似のコリン環とヌクレオチドの構造を有するコバルトの錯体であり、赤色またはピンク色を呈し、従来から眼精疲労、末梢神経障害、巨赤芽球貧血の治療などに用いられている。
また、インドシアニングリーンは、化学的および光学的な変化を受けにくい、毒性のない緑色色素であり、従来から循環機能検査や肝機能検査などで用いられている。
インジゴカルミンは、インジゴイド系の食用タール色素に分類される合成着色料であって、常温では暗紫青色(暗紫褐色)の粒状または粉末状の固体であり、医療用としては色素内視鏡検査などで用いられている。
シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤は、いずれも、レミフェンタニル注射製剤に含有させても、レミフェンタニル(塩)の分解、劣化などの品質低下を招かないため、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤を含有する本発明のレミフェンタニル注射製剤は、麻酔・鎮痛薬としての機能の低下や保存安定性の低下がない。
かかる点から、本発明では、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤のいずれもが有効に用いることができる。
そのうちでも、シアノコバラミンは、固体状のレミフェンタニル注射製剤に含有させた場合だけでなく、液状のレミフェンタニル注射液剤に含有させた場合にも、室温で長期保存したときに退色や変色が生じず、当初の色調を維持でき、しかもシアノコバラミンを含有するレミフェンタニル注射製剤を溶解液、希釈液で溶解、希釈して調製した麻酔用のレミフェンタニル注射液は、パルスオキシメーターの測定波長である660nmに吸収がなく、麻酔時にパルスオキシメータの作動に悪影響を及ぼさないため、より好ましく用いられる。
着色剤として、インドシアニングリーンまたはインジゴカルミンを用いる場合は、保存時の退色や変色を防止するために、レミフェンタニル注射製剤を、凍結乾燥した粉状または微粒子状のレミフェンタニル注射製剤とすることが望ましい。
一方、医薬品などの着色剤としては、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、ウラニン(別名フルオレセインナトリウム)などの着色剤も知られているが、本発明者らが、これらの着色剤をレミフェンタニル注射製剤に含有させて安定性試験を行ったところ、レミフェンタニルの残存率が大きく低下してしまい、レミフェンタニル注射製剤用の着色剤として使用できなかった。
レミフェンタニル注射製剤中での着色剤の含有量は、レミフェンタニル(塩の形態でないレミフェンタニル)1m当たり、0.02〜0.30mgの範囲であることが好ましく、それによってレミフェンタニル注射製剤を溶解液、希釈液で溶解、希釈して得られる麻酔時に用いるレミフェンタニル注射液の色調と、レミフェンタニル注射製剤と混合する前のレミフェンタニルを含まない溶解液や希釈液の色調との違いが目視によって明確に区別できて、レミフェンタニルが含まれていない溶解液や希釈液をそのまま麻酔時に注射するというトラブルの発生を防止することができる。
より具体的には、着色剤がシアノコバラミンである場合は、レミフェンタニル注射製剤中のレミフェンタニル1mg当たり、シアノコバラミンを0.05〜0.30mgの割合で含有することがより好ましく、0.10〜0.20mgの割合で含有することが更に好ましい。
また、着色剤がインドシアニングリーンである場合は、レミフェンタニル注射製剤中のレミフェンタニル1mg当たり、インドシアニングリーンを0.05〜0.15mgの割合で含有することがより好ましく、0.05〜0.10mgの割合で含有することが更に好ましい。
さらに、着色剤がインジゴカルミンである場合は、レミフェンタニル注射製剤中のレミフェンタニル1mg当たり、インジゴカルミンを0.02〜0.10mgの割合で含有することがより好ましく、0.04〜0.10mgの割合で含有することが更に好ましい。
着色剤としてシアノコバラミンを含有する本発明のレミフェンタニル注射製剤は、液状のレミフェンタニル注射液剤であっても、または乾燥した固体状のレミフェンタニル注射製剤であってもいずれでもよい。
着色剤としてインドシアニングリーンまたはインジゴカルミンを含有する本発明のレミフェンタニル注射製剤は、液剤にすると保存時に変色や退色が生ずることがあるので、乾燥した固体状のレミフェンタニル注射製剤とすることが望ましい。
本発明のレミフェンタニル注射製剤が、シアノコバラミンを含有する液状のレミフェンタニル注射液剤である場合は、レミフェンタニル製剤を少量の溶解液で溶解する溶解操作が不要で、容器に収容されているレミフェンタニル注射液剤を希釈液と混合するだけで麻酔時に用いるレミフェンタニル注射液を簡単に調製することができる。
また、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤を含有する本発明のレミフェンタニル注射製剤が乾燥した固体状の製剤である場合は、凍結乾燥した粒状または粉状の製剤であることが、溶解液や希釈液による溶解性などの点から好ましい。
本発明のレミフェンタニル注射製剤が乾燥した固体状の製剤である場合は、容器に収容されているレミフェンタニル注射製剤に少量の溶解液を加えて溶解した後、それに希釈液を加えて希釈して、麻酔時に用いるレミフェンタニル注射液を調製する。
本発明のレミフェンタニル注射製剤がシアノコバラミンを含有する液状のレミフェンタニル注射製剤である場合は、レミフェンタニル(塩)を注射液剤中に良好に溶解させ且つ長期保存安定性に優れたものとするために、
(I) レミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミンと、水(医薬上で薬理学的および生理学的に許容されうる、例えば蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水などの水)と安定化剤を含有し、水の含有量が、レミフェンタニル1mg当たり、0.007〜0.025mL、好ましくは0.007〜0.02mL、更には0.008〜0.015mL、特に0.009〜0.015mLであるレミフェンタニル注射液剤[以下、これを「レミフェンタニル注射液剤(I)」ということがある];または、
(II) レミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミンと、エタノールおよび安定化剤を含有し、エタノールの含有量が、レミフェンタニル1mg当たり、0.10〜0.50mL、更には0.10〜0.35mL、特に0.12〜0.30mLであるレミフェンタニル注射液剤[以下、これをレミフェンタニル注射液剤(II)」ということがある];
にすることが好ましい。
レミフェンタニル注射液剤(I)では、レミフェンタニル1mg当たりの水の含有量が前記範囲であることによって、レミフェンタニル(塩)が水に良好に溶解し、その状態で安定化剤によって安定化されるため、レミフェンタニル注射液剤(I)を室温で長期間保存した後でもレミフェンタニルの変質、分解、析出などが防止されて、レミフェンタニルが高い残存率で液中に溶解・維持されて長期保存安定性に優れたものとなる。
レミフェンタニル1mg当たりの水の含有割合が0.007mLよりも少ないと、レミフェンタニル(塩)が水に十分に溶解しなくなり、溶解した場合でも保存時に析出し易くなる。一方、レミフェンタニル1mg当たりの水の含有割合が0.025mLよりも多くなると、レミフェンタニル(塩)の溶解性の点では問題はないが、レミフェンタニル注射液剤を長期保存したときに、レミフェンタニル(塩)の変質や分解などが生じてレミフェンタニルの残存率が低下する。
なお、本明細書における「レミフェンタニル1mg当たり」とは、「塩の形態でないレミフェンタニル1mg当たり」をいう。
また、レミフェンタニル注射液剤(I)が2種類以上のレミフェンタニル(塩)を含有する場合は、上記した水の含有割合は、レミフェンタニルの全合計1mg当たりの含有割合をいう。
また、本明細書におけるレミフェンタニル注射液剤(I)でのレミフェンタニル1mg当たりの水の含有割合(mL)は、20℃における水の含有割合(mL)をいう。
レミフェンタニル1mg当たりのエタノールの含有量が前記範囲であることによって、レミフェンタニル(塩)がエタノールに良好に溶解すると共に、レミフェンタニル注射液剤(II)中に含まれる安定化剤によって安定化されて、レミフェンタニル注射液剤(II)を室温で長期間保存した後でもレミフェンタニルの変質や分解などが極めて少なくて、レミフェンタニルが高い残存率で液中に維持され、長期保存安定性に優れたものとなる。
レミフェンタニル1mg当たりのエタノールの含有割合が0.1mLよりも少ないと、レミフェンタニル(塩)が十分に溶解しなくなり、溶解した場合でも保存時に析出し易くなる。一方、レミフェンタニル1mg当たりのエタノールの含有割合が0.50mLよりも多くなると、レミフェンタニル(塩)の溶解性の点では問題はないが、安定化剤を含んでいても、レミフェンタニル(塩)を長期保存したときに、レミフェンタニル(塩)の変質や分解などが生じてレミフェンタニルの残存率が低下する。
ここで、本明細書におけるレミフェンタニル注射液剤(II)でのレミフェンタニル1mg当たりのエタノールの含有割合(mL)は、20℃におけるエタノールの含有割合(mL)をいう。
また、レミフェンタニル注射液剤(II)が2種類以上のレミフェンタニル(塩)を含有する場合は、上記したエタノールの含有割合は、レミフェンタニルの全合計1mg当たりの含有割合をいう。
レミフェンタニル注射液剤(I)および(II)で用いる安定化剤は、レミフェンタニル(塩)を水中またはエタノール中に安定に溶解させるための剤である。安定化剤としては、生理学的に許容される液状の多価アルコールが好ましく用いられ、具体例として、液状のポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどを挙げることができ、そのうちでも分子量が約200〜600ダルトンの液状のポリエチレングリコールがより好ましく用いられる。
分子量が200〜600ダルトンの範囲にある液状のポリエチレングリコールとしては、マクロゴール400、マクロゴール200などを挙げることができる。
レミフェンタニル注射液剤(I)では、水:安定化剤の含有比率は、2:23〜2:198の体積比であることが好ましく、2:23〜2:98の体積比であることがより好ましく、2:48〜2:98の体積比であることが更に好ましい。
また、レミフェンタニル注射液剤(II)では、エタノール:安定化剤の含有比率は、3:2〜3:7の体積比であることが好ましい。
レミフェンタニル注射液剤(I)における水:安定化剤の体積比、およびレミフェンタニル注射液剤(II)におけるエタノール:安定化剤の体積比が前記した範囲であると、レミフェンタニル注射液剤(I)およびレミフェンタニル注射液剤(II)における安定化剤量が十分となり、浸透圧も静注可能な範囲に収まるとともに、レミフェンタニル注射液剤の長期保存安定性が確保される。
ここで、本明細書におけるレミフェンタニル注射液剤(I)での水:安定化剤の含有比率(体積比)、およびレミフェンタニル注射液剤(II)でのエタノール:安定化剤の含有比率(体積比)は、いずれも、20℃における含有比率(体積比)をいう。
レミフェンタニル注射液剤(I)における水:安定化剤の含有比率が前記した範囲から外れて安定化剤の含有比率が少なすぎると、レミフェンタニル(塩)が水中に安定に溶解したレミフェンタニル注射液剤が得られにくくなり、一方安定化剤の含有比率が多くなりすぎると、浸透圧が高くなり易い。
また、レミフェンタニル注射液剤(II)におけるエタノール:安定化剤の含有比率が前記した範囲から外れて安定化剤の含有比率が少なすぎると、レミフェンタニル(塩)がエタノール中に安定に溶解したレミフェンタニル注射液剤が得られにくくなり、一方安定化剤の含有比率が多くなりすぎると、浸透圧が高くなり易い。
レミフェンタニル注射液剤(I)およびレミフェンタニル注射液剤(II)は、レミフェンタニル(塩)を、レミフェンタニル注射液剤1mL当たり、レミフェンタニルとして1〜10mgの割合で含有していることが好ましく、2〜5mgの割合で含有していることがより好ましい。
レミフェンタニル注射液剤1mL当たりのレミフェンタニル(塩)の含有量が前記範囲内の所定の量(例えば、1容器当たり、1mg、2mg、5mgなど)であると、バイアル、アンプル、プレフィルドシリンジなどの容器からそのままレミフェンタニル注射液剤の全量を取り出してそれを所定量の希釈液と混合することで、麻酔時にそのまま使用可能な所定のレミフェンタニル濃度のレミフェンタニル注射液を簡単に調製することができる。
本発明のレミフェンタニル注射製剤が液状のレミフェンタニル注射液剤である場合は、レミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミンと、水と、安定化剤のみを含有していてもよいし、レミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミンと、エタノールと、安定化剤のみを含有していてもよいし、或いは場合により更に他の成分を含有していてもよい。
また、本発明のレミフェンタニル注射液剤が、乾燥した固体状の製剤である場合は、レミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤のみを含有していてもよいし、またはレミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤と、他の成分を含有していてもよい。
本発明のレミフェンタニル注射製剤は、バイアル、アンプル、シリンジなどの容器に収容して、保存、流通、販売することができる。その際の容器の材質は特に制限されず、例えば、ガラス、プラスチックやゴム(エラストマー)などの有機重合体、これらの複合材などのいずれから形成されていてもよい。有機重合体製容器を用いる場合は、ポリプロピレン、環状オレフィン系重合体、ゴム(エラストマー)などからなる容器を用いることができる。
レミフェンタニル注射製剤を収容する容器の大きさは特に制限されず、適宜の大きさにすることができ、例えば、0.2〜20mL容とすることができる。
また、容器へのレミフェンタニル注射製剤の収容量も特に制限されず、適宜の収容量とすることができ、例えば、1容器当たりのレミフェンタニル(塩)の量が、レミフェンタニルとして1〜10mg、特に2mg、5mgとなるようにして各容器にレミフェンタニル注射製剤を収容すればよい。
本発明のレミフェンタニル注射製剤の製造方法は特に制限されない。
本発明のレミフェンタニル注射製剤が、液状のレミフェンタニル注射液剤である場合は、レミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミンと、水と、安定化剤と、場合により他の成分が均一に混合して溶解したレミフェンタニル注射液剤(I)を製造できる方法、またはレミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミンと、エタノールと、安定化剤と、場合により他の成分が均一に混合して溶解したレミフェンタニル注射液剤(II)を製造できる方法のいずれもが採用できる。
限定されるものではないが、例えば、10〜80℃、特に20〜50℃の温度で、レミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミンと、水と、安定化剤と、場合により他の成分を混合するか、レミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミンと、エタノールと、安定化剤と、場合により他の成分を混合して、レミフェンタニル(塩)および着色剤(シアノコバラミン)が均一に溶解した液をつくり、これを無菌濾過した後、容器に所定の量で充填し、高圧蒸気滅菌することによって、シアノコバラミンを含有するレミフェンタニル注射液剤を得ることができる。その際の無菌濾過および高圧蒸気滅菌は注射液剤の製造に当たって従来から採用されているのと同様の方法で行なうことができる。
本発明のレミフェンタニル注射製剤が、乾燥した固体状のレミフェンタニル注射製剤である場合は、レミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤と、場合により他の成分が均一に混合した乾燥した固体状のレミフェンタニル注射製剤を製造できるいずれの方法を用いてもよい。
限定されるものではないが、例えば、レミフェンタニル(塩)と、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤と、水と、場合により他の成分を混合してレミフェンタニル(塩)と前記着色剤を含有する水溶液を調製し、この水溶液を無菌ろ過した後、所定量を容器に充填するか、または容器に充填せずに、凍結乾燥することによって、粒状または粉状の乾燥した固体状の本発明のレミフェンタニル注射製剤を製造することができる。
本発明のレミフェンタニル注射製剤を用いて麻酔時用の最終的なレミフェンタニル注射液を調製するに当たっては、液状のレミフェンタニル注射液剤である場合は、容器に収容されているレミフェンタニル注射液剤の全量または所定の量を適当な手段(例えば、注射器、スポイト、注射器と接続可能な容器など)を使用して容器から取り出し、それを所定量の希釈液(例えば、生理食塩水、5%ブドウ糖注射液など)と混合して希釈することによって、レミフェンタニル(塩)を所定の正確な濃度で含有する麻酔時用のレミフェンタニル注射液を容易に得ることができる。
また、本発明のレミフェンタニル注射製剤が乾燥した固体状のレミフェンタニル注射製剤である場合は、レミフェンタニル注射製剤を収容している容器に少量の溶解液を入れてレミフェンタニル注射製剤を溶解した後、その全量または所定の量を適当な手段(例えば、注射器、スポイト、注射器と接続可能な容器など)を使用して容器から取り出し、それを所定量の希釈液(例えば、生理食塩水、5%ブドウ糖注射液など)と混合して希釈することによって、レミフェンタニル(塩)を所定の正確な濃度で含有する麻酔時用のレミフェンタニル注射液を容易に得ることができる。
本発明は、本発明のレミフェンタニル注射製剤を収容した容器と、溶解液を収容した容器および希釈液を収容した容器のいずれか一方または両方を備えるキット製剤を包含する。かかるキット製剤において、溶解液としては、水、生理食塩水、5%ブドウ糖注射液などを用いることができ、また希釈液としては、生理食塩水、5%ブドウ糖液などを用いることができる。
本発明のレミフェンタニル注射製剤が液状のレミフェンタニル注射液剤である場合は、レミフェンタニル注射液剤を収容した容器と希釈液を収容した容器を備えるキット製剤が挙げられる。
また、本発明のレミフェンタニル注射製剤が乾燥した固体状のレミフェンタニル注射製剤である場合は、固体状のレミフェンタニル注射製剤を収容した容器と溶解液を収容した容器と希釈液を収容した容器を備えるキット製剤、固体状のレミフェンタニル注射製剤を収容した容器と希釈液を収容した容器を備えるキット製剤(このキット製剤では希釈液の一部を溶解液として用いる)などを挙げることができる。
上記した本発明のキット製剤を用いることによって、麻酔医などの医療従事者は、レミフェンタニル注射製剤の他に溶解液や希釈液を別途準備または調達するという手間が不要になり、本発明のキット製剤を用いるだけで、レミフェンタニル注射製剤と混合する前のレミフェンタニルを含まない無色の溶解液や希釈液と明確に区別できる、着色した麻酔用のレミフェンタニル注射液を簡単に調製することができる。
以下に実施例などによって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例によって何ら限定されない。
《実施例1》[シアノコバラミンを含有するレミフェンタニル注射液剤の製造]
(1) レミフェンタニル塩酸塩2.20mg(レミフェンタニルとして2.00mg)、シアノコバラミン0.20mg、マクロゴール400(ポリエチレングリコール400)(安定化剤)1.10g(0.98mL;比重1.12g/mL)および水0.02mLを20℃で混合して、レミフェンタニル1mg当たりシアノコバラミン0.1mg、溶液1mL当たりのレミフェンタニルの含有量が2mgの溶液(レミフェンタニル濃度=2mg/mL)を調製した。
(2) 上記(1)で得られた溶液を無菌ろ過した後、1mL容量の容器(ガスケットがブチルゴム製、シリンジ本体が環状ポリオレフィン製のシリンジ)に1mLずつ充填し、高圧蒸気滅菌して、シアノコバラミンを含有するレミフェンタニル注射液を充填したプレフィルドシリンジ製剤(シアノコバラミン含有シアノコバラミンレミフェンタニル注射液剤)を製造した。
《実施例2》[シアノコバラミンを含有する凍結乾燥レミフェンタニル注射製剤の製造]
(1) 実施例1で使用したのと同じ、レミフェンタニル塩酸塩2.20mg(レミフェンタニルとして2.00mg)、グリシン(賦形剤)15.00mg、実施例1で使用したのと同じシアノコバラミン0.20mgおよび水1.00mLを20℃で混合して、レミフェンタニル溶液を調製した。
(2) 上記(1)で得られたレミフェンタニル溶液を無菌ろ過した後、1mL容量の容器(蓋がゴム製で、本体がガラス製のバイアル瓶)に1mLずつ充填し、−45℃から25℃まで温度を上昇させながら14時間かけて凍結乾燥して、シアノコバラミンを含有する粉末状のレミフェンタニル注射製剤を製造した。
《実施例3》[インジゴカルミンを含有する凍結乾燥レミフェンタニル注射製剤の製造]
実施例2の(1)において、シアノコバラミン0.20mgの代わりにインジゴカルミン0.10mgを用いた以外は、実施例2の(1)および(2)と同じ操作を行って、インジゴカルミンを含有する粉末状のレミフェンタニル注射製剤(凍結乾燥製剤)を製造した。
《実施例4》[インドシアニングリーンを含有する凍結乾燥レミフェンタニル注射製剤の製造]
実施例2の(1)において、シアノコバラミン0.20mgの代わりに、インドシアニングリーン0.20mgを用いた以外は、実施例2の(1)および(2)と同じ操作を行って、インドシアニングリーンを含有する粉末のレミフェンタニル注射製剤(凍結乾燥製剤)を製造した。
《参考例1》[インジゴカルミンを含有するレミフェンタニル注射液剤の製造]
実施例1の(1)において、シアノコバラミン0.20mgの代わりに、実施例3で用いたのと同じインジゴカルミン0.10mgを用いた以外は実施例1の(1)および(2)と同じ操作を行って、インジゴカルミンを含有するレミフェンタニル注射液剤を製造した。
《参考例2》[インドシアニングリーンを含有するレミフェンタニル注射液剤の製造]
実施例1の(1)において、シアノコバラミン0.20mgの代わりに、実施例4で用いたのと同じインドシアニングリーン0.20mgを用いた以外は実施例1の(1)および(2)と同じ操作を行って、インドシアニングリーンを含有するレミフェンタニル注射液剤を製造した。
《比較例1》[リボフラビンリン酸エステルナトリウムを含有する凍結乾燥レミフェンタニル注射製剤の製造]
実施例2の(1)において、シアノコバラミン0.20mgの代わりに、リボフラビンリン酸エステルナトリウム0.40mgを用いた以外は、実施例2の(1)および(2)と同じ操作を行って、リボフラビンリン酸エステルナトリウムを含有する粉末状のレミフェンタニル注射製剤(凍結乾燥製剤)を製造した。
《比較例2》[リボフラビンリン酸エステルナトリウムを含有するレミフェンタニル注射液剤の製造]
実施例1の(1)において、シアノコバラミン0.20mgの代わりに、比較例1で用いたのと同じリボフラビンリン酸エステルナトリウム0.40mgを用いた以外は実施例1の(1)および(2)と同じ操作を行って、リボフラビンリン酸エステルナトリウムを含有するレミフェンタニル注射液剤を製造した。
なお、比較例1および比較例2で、レミフェンタニル注射製剤中のリボフラビンリン酸エステルナトリウムの含有量を0.40mgとした理由は、リボフラビンリン酸エステルナトリウムの含有量が0.20mgであると溶解液および希釈液を用いて溶解・希釈して得られる麻酔用のレミフェンタニル注射溶液の着色が薄すぎて、レミフェンタニル注射液剤と混合して得られた注射溶液であるかの確認が目視では困難なためである。
《比較例3》[ウラニンを含有する凍結乾燥レミフェンタニル注射製剤の製造]
実施例2の(1)において、シアノコバラミン0.20mgの代わりに、ウラニン1.00mgを用いた以外は、実施例2の(1)および(2)と同じ操作を行って、ウラニンを含有する粉末状のレミフェンタニル注射製剤(凍結乾燥製剤)を製造した。
《比較例4》[ウラニンを含有するレミフェンタニル注射液剤の製造]
実施例1の(1)において、シアノコバラミン0.20mgの代わりに、比較例3で用いたのと同じウラニン1.00mgを用いた以外は実施例1の(1)および(2)と同じ操作を行って、ウラニンを含有するレミフェンタニル注射液剤を製造した。
なお、比較例3および比較例4で、レミフェンタニル注射製剤中のウラニンの含有量を1.0mgとした理由は、ウラニンの含有量が1.0mgよりも少ないと、溶解液および希釈液を用いて溶解・希釈して得られる麻酔用のレミフェンタニル注射溶液の着色が薄すぎて、レミフェンタニル注射液剤と混合して得られた注射溶液であるかの確認が目視では困難なためである。
《安定性試験1》
上記の実施例1〜4、参考例1〜2および比較例1〜4で得られたそれぞれのレミフェンタニル注射製剤を、60℃で3週間保存し、以下の方法にしたがって試験開始時および3週間経過後の各時点で剤中のレミフェンタニルの定量を行い、試験開始時を100%として、3週間経過後の残存率(%)を求めた。なお、各実施例、参考例および比較例につき、それぞれ3つの試料を用いて同じ試験を行い(n=3)、3つ平均値を採って残存率(%)とした。
その結果を、以下の表1に示す。
[定量法]
(1) 実施例1、参考例1〜2、比較例2および比較例4のレミフェンタニル注射液剤(液剤)ではその1mLを正確に量り、また実施例2〜4、比較例1および比較例3の粉粒状の凍結乾燥製剤では製剤に生理食塩水を加えて溶解し、正確に10mLとした後、この液の4mLを正確に量り採り、それに内標準溶液[パラオキシ安息香酸メチルの移動相溶液(1→40000)]8mLを正確に加え、さらに移動相[リン酸緩衝液(pH2.5):アセトニトリル=78:22(容積比)の混合液]を加えて20mLとし、試料溶液とした。
(2) 別にレミフェンタニル塩酸塩約20mgを精密に秤量した後、移動相[リン酸緩衝液(pH2.5):アセトニトリル=78:22(容積比)の混合液]を加えて正確に100mLとし、この液の4mLを正確に量り採り、内標準溶液8mLを正確に加え、さらに移動相[リン酸緩衝液(pH2.5):アセトニトリル=78:22(容積比)の混合液]を加えて20mLとし、標準溶液とした。
(3) 上記(1)で調製した試料溶液10μLおよび上記(2)で調製した標準溶液10μLを用いて、以下の条件で液体クロマトグラフ法により測定を行った。
それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定し、内標準物質[パラオキシ安息香酸メチルの移動相溶液(1→40000)]のピーク面積に対するレミフェンタニルのピーク面積の比からレミフェンタニルの量を求めた。
<測定条件>
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
・カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したもの
・カラム温度:40℃付近の一定温度
・移動相:リン酸二水素アンモニウム2.9gを水1000mLに溶かし、リン酸を加えてpHを約2.5に調整し、この液780mLにアセトニトリル220mLを加えたもの
・内標準溶液:パラオキシ安息香酸メチルの移動相溶液(1→40000)
・流量:レミフェンタニルのピークの保持時間が約10分になるように調整
Figure 0006081241
上記の表1にみるように、シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤を含有する実施例1〜4のレミフェンタニル注射製剤は、60℃で3週間保存したときのレミフェンタニルの残存率が95%以上と高くて、室温での長期保存安定性に優れている。
それに対して、着色剤としてリボフラビンリン酸エステルナトリウムまたはウラニンを含有する比較例1〜4のレミフェンタニル注射製剤は、60℃で3週間保存したときのレミフェンタニルの残存率が75%または55%と低く、リボフラビンリン酸エステルナトリウムまたはウラニンを含有させたことによって、レミフェンタニル注射製剤の保存安定性が低下し、実用価値が失われた。
シアノコバラミン、インドシアニングリーンおよびインジゴカルミンから選ばれる着色剤を含有する本発明のレミフェンタニル注射製剤は、常温下での長期保存安定性に優れており、しかも溶解液、希釈液を用いて溶解、希釈して麻酔時用のレミフェンタニル注射液としたときに色がついていて、無色の溶解液および希釈液と明確に区別できるため、麻酔現場において、レミフェンタニル注射製剤と混合する前のレミフェンタニルを含まない溶解液や希釈液が間違って注射するという医療過誤を確実に防止できるという点で極めて有用である。

Claims (5)

  1. レミフェンタニルおよび/またはその生理学的に許容される塩、並びにシアノコバラミンを含有するレミフェンタニル注射製剤であって、レミフェンタニル1mg当たり、シアノコバラミンを0.02〜0.30mgの割合で含有することを特徴とするレミフェンタニル注射製剤。
  2. レミフェンタニル注射製剤が、液状のレミフェンタニル注射液剤である請求項に記載のレミフェンタニル注射製剤。
  3. レミフェンタニル注射液剤1mL中に、レミフェンタニルおよび/またはその生理学的に許容される塩を、レミフェンタニルとして1〜10mgの割合で含有する請求項に記載のレミフェンタニル注射製剤。
  4. レミフェンタニル注射製剤が、乾燥したレミフェンタニル注射製剤である請求項に記載のレミフェンタニル注射製剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のレミフェンタニル注射製剤を収容した容器と、溶解液を収容した容器および希釈液を収容した容器のいずれか一方または両方を備えるキット製剤。
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