JP6081118B2 - 圧縮機、圧縮機の運転制御方法 - Google Patents

圧縮機、圧縮機の運転制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、軸流圧縮機、遠心圧縮機等の圧縮機、圧縮機の運転制御方法に関するものである。
各種用途に用いられる軸流圧縮機、遠心圧縮機等の圧縮機においては、運転時に、流量を絞った状態で圧力を上昇させていくと、失速またはサージが発生する。
軸流圧縮機における失速は、いわゆる旋回失速であり、圧縮機を構成する動翼や静翼の翼列の周方向の一部で発生した失速域が、翼列内を周方向に伝搬して旋回する現象である。また、サージは、翼列の周方向全体で一斉に失速が生じ、圧力が急激に低下する現象である。
特に、サージが発生すると、圧縮機につながる管路系全体にわたって、逆流や脈動による流速や圧力の大きな変動が生じ、管路系を含めた機器類に大きな負荷がかかってしまう。
このようなサージは、事前の解析により、発生する条件を推定することができるため、圧縮機の運転に対しては、サージが発生する領域(サージライン)から、安全率を取り、それよりも低圧力側で運転されている。
しかし、圧縮機の効率が最大となる領域は、サージラインの近傍にあるため、できるだけサージラインに領域の運転条件で、圧縮機を運転するのが好ましい。
ところが、圧縮機の経年変化による、圧縮機内の汚れやエロージョン等により、実際の圧縮機におけるサージラインは、解析で得られたサージラインよりも低くなる可能性がある。また、安全のため、実機ではサージラインの確認試験が行われないことも多い。したがって、安全率を大きく取らざるを得ず、圧縮機を高い効率を発揮する条件で運転するのが難しい。
そこで、圧縮機の運転中、失速やサージの発生を検出し、それに応じて運転条件を制御することが考えられる。
このような手法として、圧縮機の圧力変化、温度上昇、異音の発生等を検出することによって、サージの発生を検出するものがある(例えば、特許文献1〜3参照。)。
しかし、このような手法は、サージが発生したことを検出してから、圧縮機の運転を制御するものである。したがって、圧縮機側に何らかのダメージを与えてしまう可能性がある。
これに対し、圧力センサで検出した圧力変動値に対する、カルマンフィルタのイノベーション信号を抽出することで、サージの発生の前段階で、時間の経過とともに徐々に増加していく擾乱波の強さを評価する手法が提案されている(特許文献4参照)。このような手法によれば、それまでの圧力の平均値を基準として、圧力変動が大きくなったことを検出することによって、サージを予兆段階で有効に検出できることが期待される。
特許第1341730号公報 特許第1846235号公報 特開平7−248273号公報 特許第4030490号公報
しかしながら、本発明者らが鋭意行った検討によれば、実際の圧縮機において、サージの発生前に擾乱波の明確な成長(変動レベルの増大)がみられるのは、サージ発生直前のごく短い時間(例えば、数μsec〜数sec)である。したがって、カルマンフィルタを用いた上記手法によりサージの予兆を検出したとしても、ごく短時間の間には十分な対応ができない可能性が高い。
また、ファンやブロワ等の送風機用の圧縮機においては、圧力変動レベルが低く、擾乱波が明確に増加する現象は検出が困難であり、カルマンフィルタを用いた上記手法は、適用対象が限られてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、失速やサージの発生の予兆を、より高感度に検出することのできる圧縮機、圧縮機の運転制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の圧縮機、圧縮機の運転制御方法は以下の手段を採用する。
本発明の圧縮機は、圧縮機の圧縮流路における流体の流動状態を示すパラメータ値を検出するセンサと、前記センサで検出された前記パラメータ値に基づき、前記圧縮機における失速またはサージの予兆の発生を検出するサージ予兆発生検出部と、前記サージ予兆発生検出部で前記予兆の発生を検出したときに、前記圧縮機の運転条件を変化させる制御装置と、を備え、前記サージ予兆発生検出部は、前記センサで検出された前記パラメータ値の時系列変化を表す波形信号を取得する波形取得ステップと、取得された波形信号において、一定のサンプリング時間中に予め定めたしきい値を超える回数または時間をカウントし、前記サンプリング時間を基準とした前記回数または前記時間の発生頻度または発生確率を算出する発生度合い算出ステップと、算出された前記発生頻度または前記発生確率が予め定めた基準レベルを超えたときに、前記予兆の発生を検出したことを示す信号を前記制御装置に出力する信号出力ステップと、を実行することを特徴とする。
このように、流体の流動状態を示すパラメータ値の時系列変化を表す波形信号から、パラメータ値が、一定のサンプリング時間中にしきい値を超える発生度合いを算出して、その算出結果に基づいて、失速またはサージの予兆が発生したか否かを評価するようにした。これにより、サージラインへ近づくにつれて徐々に不安定化していく圧縮機の流動状態の変化を高感度に検出することが可能となり、失速やサージの予兆の発生を検出することができる。
ここで、前記発生度合い算出ステップに先立ち、前記波形取得ステップで取得した前記波形信号から、前記圧縮機の翼が通過することで生じるノイズ成分をフィルタリングにより除去するフィルタ処理ステップを、さらに実行することができる。
これにより、翼通過によって生じるノイズを除去できる。
また、前記発生度合い算出ステップに先立ち、前記波形取得ステップで取得した前記波形信号について、予め定めた特定の周波数域における特定周波数域波形信号を抽出する波形抽出ステップを、さらに実行することもできる。
さらに、動翼と静翼とを備えるとともに、動翼および静翼の少なくとも一方の翼角度が可変とされている場合、前記波形抽出ステップでは、前記翼角度に応じて、前記波形取得ステップで取得した前記波形信号から前記特定周波数域波形信号を抽出する周波数域を変更することができる。
また、動翼と静翼とを備えるとともに、前記動翼の近傍と、前記静翼の近傍とにそれぞれ設置され、前記サージ予兆発生検出部は、前記動翼の近傍に配置された前記センサと、前記静翼の近傍に設置された前記センサのそれぞれで検出したパラメータ値に基づいて、前記動翼の近傍と前記静翼の近傍とで、失速またはサージの予兆の発生を検出することを特徴とすることもできる。
この場合、前記動翼の近傍に設置された前記センサは、前記動翼の外周側に配置するのが好ましい。
また、前記静翼の近傍に設置された前記センサは、前記静翼の前記翼の内周側に配置されているのが好ましい。
本発明は、圧縮機の圧縮流路における流体の流動状態を示すパラメータ値を検出するパラメータ値検出ステップと、前記センサで検出された前記パラメータ値の時系列変化を表す波形信号を取得する波形取得ステップと、取得された波形信号において、一定のサンプリング時間中に予め定めたしきい値を超える回数または時間をカウントし、前記サンプリング時間を基準とした前記回数または前記時間の発生頻度または発生確率を算出する発生度合い算出ステップと、算出された前記発生頻度または前記発生確率が予め定めた基準レベルを超えたときに、前記圧縮機の運転条件を変化させるステップと、を備えることを特徴とする圧縮機の運転制御方法とすることもできる。
流体の流動状態を示すパラメータ値が、一定のサンプリング時間中にしきい値を超える発生度合いを算出することによって、失速またはサージの予兆が発生したか否かを評価するようにした。これにより、サージラインへ近づくにつれて徐々に不安定化していく圧縮機の流動状態の変化を高感度に検出することが可能となり、失速やサージの予兆の発生を検出することができる。
本発明の圧縮機の構成を備えたブロワの半断面図である。 本発明の第1実施形態における圧縮機の一部の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の圧縮機において、運転条件と擾乱発生頻度との関係を示す図である。 本発明の圧縮機の運転制御方法の処理の流れを示す図である。 本発明の圧縮機において取得される波形信号の一例を示す図である。 本発明の圧縮機の運転制御方法において採用できるフィルタリングによる波形の例を示す図である。 本発明の第2実施形態を説明するための図であり、(a)は本発明の圧縮機において取得される合成波の一例を示す図、(b)は、(a)の合成波の特定周波数域について、ウェーブレット解析により周波数解析することで得られる波形信号の一例を示す図である。 (a)は本発明の圧縮機において、実際に得られる合成波の例を示す図、(b)は、(a)の合成波をローパスフィルタによってフィルタリング処理した波形信号を示す図、(c)は、(b)の波形信号をウェーブレット解析により周波数解析した波形信号の例を示す図、(d)は、(c)のウェーブレット係数から変動波形を抽出した波形信号の例を示す図である。 (a)は本発明の圧縮機において、実際に得られる合成波の例を示す図、(b)は、(a)の合成波をショートタイムフーリエ変換により周波数解析した波形信号の例を示す図である。 本発明の第3実施形態における圧縮機の一部の構成を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明に係る圧縮機、圧縮機の運転制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、軸流圧縮機(圧縮機)10は、ケーシング11と、ケーシング11内に設けられた主軸12と、主軸12の軸線方向に沿って複数枚が配置された動翼13と、主軸12の軸線方向において互いに前後する動翼13と動翼13の間に配置された静翼14と、を備えている。
図2に示すように、動翼13は主軸12の外周面に一体に設けられ、その外周部に、周方向に間隔を隔てて複数枚の翼13aが設けられている。静翼14は、中央部に設けられた円盤状のハブ15の外周面とケーシング11の内周面との間に固定された翼14aを有している。
軸流圧縮機10のケーシング11内には、圧力センサ20が設けられている。
また、軸流圧縮機10には、圧力センサ20で検出するケーシング11の圧縮室(圧縮流路)11a内の流体の圧力(流体の流動状態を示すパラメータ値)に基づき、失速やサージ(以下、単にサージと称する)の予兆現象を検出するサージ予兆発生検出部30が備えられている。サージ予兆発生検出部30は、この軸流圧縮機10の制御装置50において機能的に構成されたものである。
以下、サージ予兆発生検出部30におけるサージ予兆発生検出処理の流れについて示す。
軸流圧縮機10は、運転条件を、流量を絞る方向、圧力を高める方向に移行していくと、圧力の時系列変化を表す波形に、擾乱波が発生するようになる。図3に示すように、この擾乱波は、サージレベルに近づくにつれ、その発生頻度が増大し、発生が周期的・持続的になる。そこで、本実施形態のサージ予兆発生検出部30では、図4に示すような流れで擾乱波の発生をモニタリングすることで、サージ予兆を検出する。
(波形取得ステップ)
サージ予兆発生検出部30は、微小時間間隔で圧力センサ20から出力されるケーシング11内の圧縮室11a内の圧力検出値を逐次記憶し、図5に示すような波形信号S1を取得する(ステップS101)。
(フィルタ処理ステップ)
得られた波形信号S1には、動翼13の回転によって複数枚の翼13aが圧力センサ20の近傍を通過するたびに生じる圧力変動によるノイズが含まれている(ノイズ成分;動翼13の回転速度V×翼枚数Z)。そこで、得られた波形信号S1をローパスフィルタやバンドパスフィルタに通すことによって、ノイズを除去するのが好ましい(ステップS102)。ここで、サージが発生するときに生じる擾乱波は、翼13aが通過する周波数fよりも低周波帯域に現れる。そこで、波形信号S1から、翼13aが通過する周波数f以上の周波数帯域の信号を除去するのが好ましい。さらに好ましくは、波形信号S1から、翼13aが通過する周波数fの50%以上の周波数帯域の信号を、波形信号S1から除去するのが好ましい。
(発生度合い算出ステップ)
次いで、波形信号S1から、圧力が予め定めたしきい値Lを越える度合いを表す評価値を算出する(ステップS103)。
これには、波形信号S1が、予め定めたサンプリング時間Tsの間に、規定のしきい値Lを超える回数Nをカウントする(図5中、矢印箇所が、波形信号S1がしきい値Lを越えた部分であり、矢印の数が回数N。)。
そして、得られた回数Nから、しきい値L以上の圧力の発生頻度を、
発生頻度=回数N[−]/サンプリング時間Ts[s]
として算出し、これを、圧力が予め定めたしきい値L以上となる度合いを表す評価値とする。
また、この発生頻度に代えて、予め定めたサンプリング時間Tsにおけるすべての波数N0と、規定のしきい値Lを超える回数Nとから、
発生確率:回数N[−]/サンプリング時間中に発生する全波数N0[−]
として算出し、これを、圧力が予め定めたしきい値L以上となる度合いを表す評価値とすることもできる。
また、上記の発生頻度、発生確率に代えて、波形信号S1が、予め定めたサンプリング時間Tsの間に、規定のしきい値Lを超える持続時間の長さT1(図5の例では、T1−1とT1−2の合計)をカウントすることもできる。
この場合、得られた持続時間の長さT1から、しきい値L以上の圧力となる発生確率を、
発生確率:しきい値Lを超えた持続時間の長さT1[s]/サンプリング時間Ts[s]
として算出し、これを、圧力が予め定めたしきい値L以上となる度合いを表す評価値とすることもできる。
ここで、上記の評価値を得るに際し、サンプリング時間Tsは、長くすればするほど、圧縮室11a内における流れ場の急激な変化に対するサージ予兆信号の応答性が落ちる。そこで、サンプリング時間Tsは、動翼13が100回転するのに要する時間以下、より好ましくは10回転するのに要する時間以下の、微小時間とするのが好ましい。一方、サンプリング時間Tsが短すぎると、サージ予兆信号の応答性が過敏となるため、サンプリング時間Tsは動翼13が1回転するのに要する時間以上を取るのが好ましい。
次いで、得られた評価値に基づき、失速発生予兆の有無を判定する。これには、前記した評価値(発生頻度または発生確率)が、予め定めた基準値を上回るか否かを判定する(ステップS104)。
その結果、評価値が基準値以下であれば、ステップS101に戻り、そのまま処理を続行する。
(信号出力ステップ)
一方、評価値が基準値を上回っていた場合、サージ予兆発生信号を、軸流圧縮機10の制御装置50に出力する(ステップS105)。
軸流圧縮機10の制御装置50は、サージ予兆発生信号を受け取ると、予め定めたサージ防止処理を実行する(ステップS106)。
サージ防止処理としては、例えば、軸流圧縮機10の運転を緊急停止させる処理がある。
他のサージ防止処理としては、例えば、軸流圧縮機10の運転を継続したまま、圧力を低下させる処理、流量を増加させる処理等、運転条件をサージが生じにくい側に移行させるものがある。また、このように軸流圧縮機10の運転条件を移行させて運転を継続する場合、運転条件の変更後、再び前記ステップS101に戻って前記の処理を繰り返し、サージの発生を防止する。
また、サージ防止処理としては、単に、アラームを発するものでも良い。
また、これらのサージ防止処理を、評価値のレベルに応じて選択して実行しても良い。
上述したような構成によれば、軸流圧縮機10の圧縮室11a内の圧力の時間的な変動をモニタリングし、一定のサンプリング時間Tsにおいて圧力が予め定めたしきい値L以上となる発生度合いを表す評価値を算出し、その評価値が基準値を上回るか否かを判定することによって、失速またはサージの予兆が発生したか否かを評価するようにした。これにより、サージラインへ近づくにつれて徐々に不安定化していく軸流圧縮機10の流動状態の変化を高感度に検出することが可能となり、失速やサージの予兆の発生を検出することができる。
なお、上記第1実施形態において、図6に示すように、評価に用いた波形信号S1は、整流回路により、半波または全波整流しても良い。さらに、波形信号S1の正または負の信号値のみ評価する半波評価、または信号の絶対値を評価する全波評価を行っても良い。このようにすることで、波形信号S1をそのまま用いる場合には、しきい値Lを、正(+)、負(−)の2つのしきい値Lを用いる必要があるが、1つのしきい値Lを用いれば良く、処理を容易に行うことができる。
また、波形信号S1は、軸流圧縮機10の運転中に、時間の経過とともに、常に更新されていく。そこで、複数のサンプリング時間Tsを1つの時間区間とし、その時間区間内での圧力の最大値を検出し、この最大値を、前記の発生頻度または発生確率と同様に扱って、サージ予兆発生のモニタリングを行うようにしても良い。
また、上記実施形態では、サージ予兆発生信号を受け取った場合のサージ防止処理としては、軸流圧縮機10の運転を継続したまま、圧力を低下させる処理、流量を増加させる処理等、運転条件をサージが生じにくい側に移行させる例を示した。この場合、さらに、運転条件をサージが生じにくい側に移行させてから一定時間が経過した後、圧力や流量を、元の条件に戻す方向に、運転条件を段階的に移行させていくことも可能である。これにより、サージ予兆が生じない範囲で、なるべく効率のよい条件で軸流圧縮機10を運転することができる。
さらに、上記実施形態では、軸流圧縮機10の圧縮室11a内の流体の流動状態を示すパラメータ値として圧力を用い、圧力センサ20を設けるようにしたが、このパラメータ値としては、圧力以外に、圧縮室内の温度、騒音、振動等のレベルを用いることができる。したがって、それらの場合、温度センサ、マイクロフォン、振動計等によって、それぞれのパラメータ値の変動波形を得て、上記と同様の処理を行えばよい。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の圧縮機、圧縮機の運転制御方法の第2実施形態について説明する。
ここで、以下に説明する第2実施形態においては、サージ予兆発生検出部30におけるサージ予兆発生検出処理の内容が異なるのみで、ハードウェア構成については上記第1実施形態と共通する。したがって、以下においては、第2実施形態に特有のサージ予兆発生検出部30におけるサージ予兆発生検出処理について説明し、上記第1実施形態と共通する構成については、その説明を省略する。
上記第1実施形態においては、一つの波形信号S1を元に、サージ予兆の発生をモニタリングする構成を示したが、実際に軸流圧縮機10を運転しながら得られる変動波形は、図7(a)に示すように、様々な周波数の変動の合成波S3として現れることが多い。
したがって、例えば、図8(a)に示すような、圧力センサ20から得られる生の波形信号S3Lや、図8(b)に示すような、波形信号S3Lを上記のステップS102で示したようにローパスフィルタによるフィルタリング処理を施して波形信号S3Fを取得しても、他の変動要因の影響が排除できず、正確な評価が行えないことがある。
そこで、本実施形態においては、サージ予兆発生検出部30で、微小時間間隔で圧力センサ20から出力されるケーシング11内の圧縮室11a内の圧力検出値から、図7(a)に示すような、様々な振動数の変動の合成波からなる波形信号S3を得た後、この波形信号S3を周波数解析し、図7(b)に示すように、予め定めた特定周波数帯における時系列的な変化を示す波形信号S4を抽出する。この周波数解析には、ウェーブレット解析を適用するのが好ましい。ウェーブレット解析によって、図8(c)に例示するような、周波数帯に対する相関を示すウェーブレット係数の等高線図が得られる。図8(d)は、図8(c)のウェーブレット係数の等高線図から、あらかじめ定めた特定周波数fに関して、ウェーブレット係数の変動波形を抽出した波形信号の例である。
この後は、波形信号S4を対象として、上記第1実施形態におけるステップS103以下と同様にして、圧力が予め定めたしきい値L以上となる度合いを表す評価値の算出、得られた評価値に基づく失速発生予兆の有無の判定、評価値が基準値を上回っていた場合のサージ予兆発生信号の出力、予め定めたサージ防止処理の実行といった処理を順次実行する。
上述したような構成によれば、実際の軸流圧縮機10から得られる、様々な周波数の変動の合成波から、ウェーブレット解析によって、特定の周波数域の圧力変動波形(波形信号S4)を抽出するようにした。これにより、様々な要因による影響を排除して、サージ予兆の発生を高感度かつ確実に検出することが可能となる。
なお、上記実施形態では、周波数解析にウェーブレット解析を用いたが、これに代えて、STFT(ショートタイムフーリエ変換)を用いても良い。この場合、図9(a)に示すような、様々な周波数の変動の合成波S5から、図9(b)に示すような特定の周波数域のスペクトル強度の時系列的な変動を示す波形信号S6を得る。そして、この波形信号S6において、スペクトル強度が、予め定めたしきい値Lが越える持続時間Tc(図9(b)の例の場合、時間Tc−1と、時間Tc−2との和)を検出し、この周期性持続時間Tc[s]、または周期性持続時間Tcの時間的占積率(:周期性持続時間Tc[s]/サンプリング時間Ts[s])を用いて評価を行うのが良い。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の圧縮機、圧縮機の運転制御方法の第3実施形態について説明する。
ここで、以下に説明する第3実施形態においては、上記第2実施形態で示した構成をベースとしたものであり、上記第1、第2実施形態と異なる構成を中心に説明を行い、上記第1、第2実施形態と共通する構成については、同符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の軸流圧縮機10(図1参照)は、動翼13の翼13a、静翼14の翼14aの少なくとも一方が、ケーシング11の中心から放射方向に延びる軸周りに回動可能に設けられることによって、その翼角が可変とされている。このような翼13a,14aの翼角は、軸流圧縮機10の運転条件に応じて、自動的に制御される。なお、その翼角の可変機構については、何ら限定するものではなく、周知の構成を適用すれば良い。
このように動翼13の翼13a、静翼14の翼14aの少なくとも一方の翼角が可変である場合、例えば、動翼13の翼13aが閉じている状態にあるときには、サージ予兆として、高周波の擾乱波が先行して発生し、動翼13の翼13aが開いている状態にあるときには、サージ予兆として、低周波の擾乱波が発生する。
そこで、本実施形態では、サージ予兆発生検出部30においてサージ予兆発生検出処理を行うに際しては、第1または第2実施形態と同様の流れで処理を行う。ここでは、例えば、第2実施形態と同様の流れにおいて、ウェーブレット解析により周波数解析を行うものとして説明を行う。
ここで、得られた波形信号S3を周波数解析し、予め定めた特定周波数帯における波形信号S4を抽出するときには、サージ予兆発生検出部30は、その時点での動翼13の翼13a、静翼14の翼14aの翼角の情報を軸流圧縮機10の制御装置50から取得する。
次いで、予め設定された翼角と擾乱波の周波数との相関を示すマップやテーブルに基づき、取得した翼角に応じた擾乱波の発生周波数を特定する。
そして、第2実施形態で示した手法により、波形信号S3を周波数解析し、前記で特定した擾乱波の発生周波数における波形信号S4を抽出する。
しかる後は、抽出した波形信号S4をもとに、上記第2実施形態と同様にして、サージ予兆発生検出処理を行う。
上述したようにして、軸流圧縮機10の運転条件に応じて可変する動翼13の翼13aや静翼14の翼14aの翼角に応じ、擾乱波の発生する周波数域の圧力変動を抽出して、サージ予兆発生を検出するようにした。これにより、動翼13の翼13aや静翼14の翼14aの翼角が可変である場合にも、最適な条件でサージ予兆発生検出処理を実行することができる。
(第3実施形態の応用例)
ところで、上記第3実施形態で示した、動翼13の翼13aや静翼14の翼14aの翼角が可変である場合であるが、動翼13で失速が発生した場合には高周波数の擾乱波が発生し、静翼14で失速が発生した場合には低周波数の擾乱波が発生することを、本発明者らは見出した。
これは、動翼13の翼13aが閉じている状態にあるときには、反動度が増加し、動翼13の負荷が上昇するため、動翼13で先に失速が起こり、動翼13の翼13aが開いている状態にあるときには、反動度が低下し、動翼13に負荷が低下するため、静翼14で先に失速が起こると考えられる。
そこで、図10に示すように、本実施形態では、二つの圧力センサ20A,20Bを、動翼13および静翼14の近傍の2箇所に設置し、それぞれの圧力センサ20からの信号を同時に監視する。
ここで、低エネルギー流体は遠心力によって外周側に集積するため、動翼13における失速は、翼13aの先端側で起こりやすい。そこで、動翼13の監視は、圧力センサ20Aを、動翼13の翼13aの上流であって、ケーシング11側に設置して行うのが好ましい。
また、静翼14の監視は、圧力センサ20Bを、静翼14の翼13aの上流であって、ケーシング11側に設置して行っても良い(図10中、符号20B−1の位置)。しかし、低エネルギー流体は、動翼13で発生した圧力勾配によってハブ15側に集積しやすく、翼13aの根元側で失速が生じやすい。そこで、静翼14の監視は、圧力センサ20Bを、静翼14の翼13aの上流であって、ハブ15に設置して行うのが好ましい(図10中、符号20B−2の位置)。
なお、上記第1〜第3実施形態で示した構成は、様々な用途の軸流圧縮機10や、さらには遠心圧縮機においても同様に適用することができる。
また、上記第1〜第3実施形態で示した構成は、適宜組み合わせることもできる。
これに限らず、本発明の主旨の範囲内であれば、構成の適宜の変更、追加を許容する。
10 軸流圧縮機(圧縮機)
11 ケーシング
11a 圧縮室(圧縮流路)
12 主軸
13 動翼
13a 翼
14 静翼
14a 翼
15 コア
20,20A,20B 圧力センサ
30 サージ予兆発生検出部
50 制御装置

Claims (7)

  1. 動翼と静翼とを備えて前記動翼および前記静翼の少なくとも一方の翼角度が可変とされた圧縮機の圧縮流路における流体の流動状態を示すパラメータ値を検出するセンサと、
    前記センサで検出された前記パラメータ値に基づき、前記圧縮機における失速またはサージの予兆の発生を検出するサージ予兆発生検出部と、
    前記サージ予兆発生検出部で前記予兆の発生を検出したときに、前記圧縮機の運転条件を変化させる制御装置と、
    を備え、
    前記サージ予兆発生検出部は、前記センサで検出された前記パラメータ値の時系列変化を表す波形信号を取得する波形取得ステップと、
    取得された前記波形信号について、予め定めた特定の周波数域における特定周波数域波形信号を抽出する波形抽出ステップと、
    取得された前記波形信号において、一定のサンプリング時間中に予め定めたしきい値を超える回数または時間をカウントし、前記サンプリング時間を基準とした前記回数または前記時間の発生頻度または発生確率を算出する発生度合い算出ステップと、
    算出された前記発生頻度または前記発生確率が予め定めた基準レベルを超えたときに、前記予兆の発生を検出したことを示す信号を前記制御装置に出力する信号出力ステップと、
    を実行し、
    前記波形抽出ステップでは、前記翼角度に応じて、前記波形取得ステップで取得した前記波形信号から特定周波数域波形信号を抽出する周波数域を変更することを特徴とする圧縮機。
  2. 記サージ予兆発生検出部は、前記動翼の近傍に配置された前記センサと前記静翼の近傍に設置された前記センサのそれぞれで同時に検出した前記パラメータ値に基づいて、前記動翼の近傍と前記静翼の近傍とで、失速またはサージの前記予兆の発生を検出することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記動翼の近傍に設置された前記センサは、前記動翼の外周側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機。
  4. 前記静翼の近傍に設置された前記センサは、前記静翼の前記翼の内周側に配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の圧縮機。
  5. 前記発生度合い算出ステップに先立ち、前記波形取得ステップで取得した前記波形信号から、前記圧縮機の翼が通過することで生じるノイズ成分をフィルタリングにより除去するフィルタ処理ステップを、さらに実行することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の圧縮機。
  6. 動翼と静翼とを備えて前記動翼および前記静翼の少なくとも一方の翼角度が可変とされた圧縮機の圧縮流路における流体の流動状態を示すパラメータ値を検出するパラメータ値検出ステップと、
    検出された前記パラメータ値の時系列変化を表す波形信号を取得する波形取得ステップと、
    取得された前記波形信号について、予め定めた特定の周波数域における特定周波数域波形信号を抽出する波形抽出ステップと、
    取得された前記波形信号において、一定のサンプリング時間中に予め定めたしきい値を超える回数または時間をカウントし、前記サンプリング時間を基準とした前記回数または前記時間の発生頻度または発生確率を算出する発生度合い算出ステップと、
    算出された前記発生頻度または前記発生確率が予め定めた基準レベルを超えたときに、前記圧縮機の運転条件を変化させるステップと、
    を備え、
    前記波形抽出ステップでは、前記翼角度に応じて、前記波形取得ステップで取得した前記波形信号から特定周波数域波形信号を抽出する周波数域を変更することを特徴とする圧縮機の運転制御方法。
  7. 前記パラメータ値検出ステップは、動翼と静翼とを備えた圧縮機の圧縮流路における流体の流動状態を示すパラメータ値を、前記動翼の近傍と前記静翼の近傍とにそれぞれ設置されたセンサによって検出
    前記波形取得ステップは、前記動翼の近傍に配置された前記センサと前記静翼の近傍に設置された前記センサのそれぞれで同時に検出した前記パラメータ値の時系列変化を表す波形信号を取得することを特徴とする請求項6に記載の圧縮機の運転制御方法。
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