JP6078165B2 - 予め充填可能で自動格納式の安全注射器 - Google Patents

Description

本発明は、格納式の安全注射器に関し、より詳細には、格納式の針組立体、及び、注射の完了後に針の格納を容易にするように動作可能である圧潰可能なプランジャを含む、予め充填可能で自動格納式の安全注射器に関する。

［関連出願の相互参照］
本願は、２０１２年１２月２０日に出願された米国仮特許出願第６１／７４０，２０７号に対する、米国特許法第１１９条（ｅ）項に基く優先権の利益を主張するものである。上述した仮出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。

ＡＩＤＳ、Ａ型肝炎又はＣ型肝炎等の血液によって感染する病気は、血液又は体物質との接触によって感染する。血液由来病原体は、深刻な又は命に関わる病気を感染させ、主要な感染経路は、注射器の不注意による操作又は不適当な針の再使用によって生じる予期しない針刺し損傷であることが知られている。
針が露出した状態の注射器の不適切な操作又は廃棄は多くの場合に予期しない針刺し損傷につながり、これにより、医療従事者は血液由来病原体に容易に曝され、病院職員でさえもかなりの伝染病のリスクに曝される可能性がある。さらに、未消毒の又は汚染された注射器の再使用の結果として病気が蔓延する可能性がある。残念ながら、針の再使用又は共有は、麻薬中毒者の間では重大であり、注射器の無断使用は、違法薬物の使用に一般的に関連付けられ、それによって感染のリスクが劇的に高まり、結果として生じる、それらの血液によって感染する病気の蔓延は、公衆衛生にとって深刻な脅威となる。

前述したリスク及び問題を低減するために、再使用不可能な安全注射装置又は注射器が現在では広く用いられている。現在、ばねベースの機構を使用する安全注射器は、注射後に針を自動的に格納させる最も一般的な設計である。例えば、「ＡＵＴＯＭＡＴＩＣＡＬＬＹ ＲＥＴＲＡＣＴＡＢＬＥ ＳＡＦＥＴＹ ＩＮＪＥＣＴＩＯＮ ＤＥＶＩＣＥ ＦＯＲ ＮＯＮ−ＬＩＱＵＩＤ ＭＡＴＥＲＩＡＬ」と題する特許文献１が安全注射器を開示している。

図１Ａ及び図１Ｂに示されているように、従来から既知の安全注射器９は、キャップ９００、針９０に接続する針基９１、針基９１に接続する中空のバレル９２、圧縮状態の環状のばね９３、及び、中空のバレル９２内に据え付けられる圧潰可能なプランジャの組み合わせ９４を有する。圧潰可能なプランジャの組み合わせ９４は、プランジャヘッド９４２を有するロッド９４１、格納式のプランジャ９５及び中空のプランジャ９６を含む。中空のバレル９２には、その前端に、複数の弾性的で僅かに可撓性の保持フック９２２が配置され、一方で、針基９１には、複数のスロット９１３、斜面９１４、回転シュート９１５及び案内シュート９１６が形成される。
中空のバレル９２の保持フック９２２は、安全注射器９の操作中にスロット９１３に係合し、注入物質９７の注射が完了するまで針基９１をクランプする。保持フック９２２は、注入物質９７の注射の完了後にユーザが中空のプランジャ９６を押圧し続けているときに、間接的に押圧されるとともに柔軟に拡張し始めてスロット９１３と離脱し、保持フック９２２はその結果、針基９１を案内するとともに後方に押して中空のバレル９２に入れるように環状のばね９３の圧縮を解放するために、斜面９１４、回転シュート９１５及び案内シュート９１６に沿って摺動する。

開示されている注射器９に関して、中空のバレル９２の保持フック９２２とスロットとが離脱することによって、環状のばね９３の圧縮が解放されるだけではなく回転することも可能となり、環状のばね９３のこの回転は、針基９１の格納を妨げる可能性が高く、したがって、針基９１が、所望されるほどは中空のバレル内に完全に格納されないか、又は更には格納され始めないことが留意される。その結果、格納機構全体が依然として故障の可能性を有し、信頼性が低くなり、したがって、ユーザを前述した脅威に曝す。

一方で、これらの安全注射器は、それらの本質から、洗練された設計を有し、部品の数が多く、結果として複雑な製造手順を必要とし、これは多くの場合に、より低い製品収量率及びより高い生産コストにつながる。安全注射器のより高いコストは、機能的な信頼性の懸案事項とは別に、高度な安全注射器を市販することの主な障害となる。

したがって、医療従事者に針刺し損傷に対する完璧な保護を提供し、命に関わる可能性がある血液由来病原体の感染を防止することを目的として、安全注射器のための改良されたより安全な設計が以下で提供される。

米国特許第８，０８８，１１０号

本発明の主な目的は、簡便に操作でき、注射プロセス中の不適切な操作に起因した格納の完了を失敗する可能性が低い、ユーザによって作動される針の格納を行うことが可能である自動格納式の安全注射器を提供することである。

本発明の別の目的は、より高い品質、信頼性及び収率を有するように、製造の組み立てプロセス中に損傷を受ける可能性が低く、したがって原材料の無駄及び加工のコストが低下する、ユーザによって作動される格納を行うことが可能である自動格納式の安全注射器を提供することである。

本発明の更なる目的は、プラスチック射出成形によって容易に作ることができ、巧妙な構造が金型のツーリングをより容易にし、成形された構成要素がより一貫性のある寸法を有するため、寸法のばらつきに起因して不良品とされる構成要素が大幅に減る、ユーザによって作動される格納を行うことが可能である自動格納式の安全注射器を提供することである。

本発明のまた別の目的は、圧潰可能なプランジャが所定の機械的強度を有することによって、当該機械的強度を超える力が印加されて圧潰可能なプランジャを破断するとともに格納機構を即座にトリガすると、針が自動的に格納されることができる、ユーザによって作動される格納を行うことが可能である自動格納式の安全注射器を提供することである。

上述の目的に基いて、本発明は、筋肉注射、皮下注射及び静脈注射を含む種々の種類の注射のための、ユーザによって作動される格納を行うことが可能である自動格納式の安全注射器であって、格納式の安全注射器及び圧潰可能なプランジャは使い捨てのみを可能にする、自動格納式の安全注射器を提供する。

本明細書では格納式の安全注射器が提案され、格納式の安全注射器は、以下の説明におけるそれらの要素及び相互関係並びにその機能を有する。

本発明による格納式の安全注射器は、針基であって、遠位に延在する針を受け入れて保持する第１の端、針基の外側（注釈：内側対外側の使用）壁の近傍の第１の案内手段、及び、第１の端とは反対側の第２の端を有する針基を含む。

本発明による格納式の安全注射器は、中空のバレルであって、チャンバを画成し、針基を中空のバレルのチャンバ内に解放可能に配置することを可能にする内面、針基の第１の端が遠位に突出することを可能にする遠位の開口端を有するとともに、中空のバレルの側壁の近傍の第２の案内手段、及び、遠位の開口端とは反対側の近位の開口端を有する、中空のバレルを含む。

本発明による格納式の安全注射器は、中空のバレル内に摺動可能に嵌められる圧潰可能なプランジャであって、近位端及び遠位端を有する第１のプランジャ要素、第１のプランジャ要素に解放可能に連結される第２のプランジャ要素を有し、第１のプランジャ要素には、第１のプランジャ要素の遠位端付近に突起が形成され、第２のプランジャ要素は、第１のプランジャ要素の突起を収容するように第２のプランジャ要素の側壁に長尺方向スロットを有し、突起が長尺方向スロットに沿って長尺方向に摺動することを可能にし、長尺方向スロットは、突起に歯止めをかける挟持ゾーンが形成される近位部分及び遠位部分を有し、それによって、第１のプランジャ要素及び第２のプランジャ要素は、挟持ゾーンが変形して突起が挟持ゾーンから離脱するまで連結され、突起が長尺方向スロットの遠位部分に向かって摺動することを可能にし、それによって、第１のプランジャ要素及び第２のプランジャ要素は互いに対して軸方向に摺動可能になる、圧潰可能なプランジャを含む。

本発明による格納式の安全注射器は、針基と中空のバレルの内面との間に配置されるばねであって、ばねが針基と中空のバレルとの間で作用するようにする、ばねを含む。

上述した格納式の安全注射器の針基には、チャンバと流体連通するように、針を通って長尺方向に延在する少なくとも流路が更に形成される。

上述した格納式の安全注射器の第１の案内手段は、第２の案内手段の第１の部分に解放可能に係合し、それによって、第１の案内手段及び第２の案内手段は、第１の案内手段が第２の案内手段の第１の部分から離脱して第２の案内手段の第２の部分に向かって移動し、針基の格納を開始させるまで、針基を、ばねの拡張力に抗して解放可能に保持することが可能である。

上述した格納式の安全注射器によると、第１の案内手段は突起であり、第２の案内手段は、中空のバレルの内面に形成されるとともに第１の案内手段を受け入れるように構成されている湾曲したトラックである。第２の案内手段は、格納式の注射器全体が、針が上向きである状態で鉛直に位置付けられると画成される水平面から測定して好ましくは４５度〜７５度の角度である方向に沿って延在する。より好ましくは、角度は水平面から測定して６０度である。

上述した格納式の安全注射器によると、圧潰可能なプランジャは９８Ｎ未満の力に耐えることが可能であるため、通常の使用では第１のプランジャ要素及び第２のプランジャ要素は連結解除されない。好ましくは、第１のプランジャ要素はロッド又はシリンダであり、第２のプランジャ要素はスリーブ又は中空のシリンダである。

上述した格納式の安全注射器によると、第２のプランジャ要素は、挟持ゾーンに隣接する複数の孔を更に有する。

上述した格納式の安全注射器によると、第１のプランジャ要素には、近位端付近に１つ又は複数の環状の隆起部を有するロック手段が設けられ、１つ又は複数の環状の隆起部は、中空のバレルのフランジ内の環状の凹部及び隣接する環状の隆起部によって受け入れられてスナップロックされ、第１のプランジャ要素が中空のバレル内に完全に押圧されると第１のプランジャ要素がロック手段によって中空のバレルと拘束されるようにする。

上述した格納式の安全注射器によると、針基は、第２の端のルーメンであって、ルーメン内に突出する細長い円筒部分及びディスク部分を有するプラグを受け入れる、ルーメンを更に有し、封止要素が更に設けられ、針基に適合するように形状決めされ、封止要素は、針基の第２の端とプラグのディスク部分との間に配置される。

上述した格納式の安全注射器によると、流路は、プラグを通って長尺方向に延在する内部チャネルである。流路は、プラグの細長い円筒部分の外面に沿う複数の長尺方向リセスから構成される。

本発明、並びに、その好ましい使用の形態及び利点は、添付の図面とともに例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって最も良く理解されるであろう。

従来から既知の安全注射器の分解斜視図である。 安全注射器の針基及び中空のバレルを主に示す、従来から既知の安全注射器の断面図である。 本発明の第１の実施形態による、針基及び圧潰可能なプランジャが中空のバレル内にまだ挿入されていないことを示す、格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャの斜視図である。 本発明の第１の実施形態による格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャの分解斜視図である。 本発明の第１の実施形態による、針基及び圧潰可能なプランジャが中空のバレル内にまだ挿入されていないことを示す、格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャの断面図である。 本発明の第１の実施形態による、針基及び圧潰可能なプランジャが中空のバレル内にまだ挿入されていないことを示す、格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャの正面図である。 図２Ｄに示されている、本発明の第１の実施形態による格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャのセクションＡの拡大図である。 本発明の第１の実施形態による、針基及び圧潰可能なプランジャが中空のバレル内にまだ挿入されていないことを示す、格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャの側面図である。 図２Ｆに示されている、本発明の第１の実施形態による格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャのセクションＡ’の拡大図である。 図２Ｄに示されている、本発明の第１の実施形態による格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャのセクションＢの拡大図である。 針基及び圧潰可能なプランジャの双方が中空のバレル内に挿入されていることを示す、本発明の第１の実施形態による格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャの斜視図である。 針基及び圧潰可能なプランジャの双方が中空のバレル内に挿入されていることを示す、本発明の第１の実施形態による格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャの側面図である。 格納式の針基及び圧潰可能なプランジャの双方が中空のバレル内に挿入されていることを示す、本発明の第１の実施形態による格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャの断面図である。 本発明の第２の実施形態による、格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャの分解斜視図である。 図４Ａに示されている、本発明の第２の実施形態による格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャのセクションＤの拡大図である。 本発明の第２の実施形態による、針基及び圧潰可能なプランジャが中空のバレル内にまだ挿入されていないことを示す、格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャの断面図である。 図４Ｃに示されている、本発明の第２の実施形態による格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャのセクションＥの拡大図である。 針基及び圧潰可能なプランジャの双方が中空のバレル内に挿入されていることを示す、本発明の第２の実施形態による格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャの断面図である。 図３Ｃ及び図４Ｅに示されている、本発明の第１の実施形態及び第２の実施形態による格納式の安全注射器及びその圧潰可能なプランジャのセクションＣ又はセクションＣ’の拡大図である。

以下、本発明の詳細な説明を、その実施形態を参照して以下で提供する。本発明の他の利点及び特徴は、本開示を考察すると当業者には容易に理解されるであろう。しかし、本発明は、他の実施形態として実施又は適用することもでき、本明細書における種々の詳細は、本発明の主旨から逸脱することなく、異なる観点から、異なる用途に基いて変更及び修正できる。

格納式の安全注射器の個々の要素間の空間的な配置及び要素の相対的な動き又は相互関係をより良く理解するために、以下、要素の遠位端（部分）は針に向かって面する端（部分）を意味し、要素の近位端（部分）は、操作されるプランジャの親指の当接部に向かって面する、遠位端（部分）とは反対の端（部分）を意味する。

図２Ａ及び図２Ｂを参照する。本発明の第１の実施形態による格納式の安全注射器１は、以下の内容において記載されるような針４０、針基４、中空のバレル２、ばね８及び圧潰可能なプランジャ６を含む。

格納式の針基４は、遠位端である第１の端４０１及び近位端である第２の端４０２を有する。遠位に延在する針４０を受け入れて保持するように遠位端４０１に開口が形成され、針基４の外側側壁４４には、突起４２等の近傍の第１の案内手段が形成される。近位端４０２は遠位端４０１とは反対側にある。

中空のバレル２は、遠位の開口端２０１、及び、遠位の開口端２０１とは反対の近位の開口端２０２を有する。遠位の開口端２０１には、針４０が中空のバレル２の外に突出するか又は中空のバレル２内に格納されることを可能にするように開口が形成され、湾曲したトラック２２等の第２の案内手段が中空のバレル２の側壁の近傍に形成される。中空のバレル２の近位の開口端２０２にはフランジ２０３及び開口が形成される。中空のバレル２はチャンバ２０を画成する内面２１を有し、針基４を中空のバレル２のチャンバ２０内に解放可能に配置することを可能にする。

圧縮可能なばね８が、針基４の外側側壁４４と中空のバレル２の内側側壁との間に介装され、ばね８の圧縮が解放されることによって針基４が駆動されて中空のバレル２内に移動する。

圧潰可能なプランジャ６は中空のバレル２内に摺動可能に嵌まる。圧潰可能なプランジャ６は、その遠位端付近に（図２Ｈに示されている）突起６０３が形成されるプランジャロッド６４等の第１のプランジャ要素、及び、その側壁に形成される長尺方向スロット６０２を有するプランジャスリーブ６２等の第２のプランジャ要素を有し、プランジャスリーブ６２はプランジャロッド６４に解放可能に連結され、好ましくは、プランジャロッド６４は、突起６０３を長尺方向スロット６０２内に入れることによってプランジャスリーブ６２内に部分的に入れ子状になるとともに解放可能に結合される。

実際には、格納式の注射器１が注射に用いられるとき、プランジャロッド６４の突起６０３は、プランジャスリーブ６２の長尺方向スロット６０２の（図２Ｈに示されている）挟持ゾーン６０２１において歯止めをかけられる。
図２Ｈを参照する。長尺方向スロット６０２は、突起６０３を収容するように構成されており、近位端付近に挟持ゾーン６０２１を有する。挟持ゾーン６０２１は、突起６０３の移動に歯止めをかけるように形状決めされ、それによって、通常の使用では圧潰可能なプランジャ６は連結解除されない。換言すると、プランジャロッド６４は、挟持ゾーン６０２１が過剰な外力に降伏するまで、挟持ゾーン６０２１の拘束に起因して固定される。実際には、圧潰可能なプランジャ６は好ましくは、９８Ｎ未満の力に耐えることが可能であるため、通常の使用では、プランジャロッド６４及びプランジャスリーブ６２は連結解除されない。

複数の孔６０４が挟持ゾーン６０２１に隣接して更に形成され、プランジャスリーブ６２を挟持ゾーン６０２１の近傍で比較的可撓性にするか又は更には壊れやすくし、したがって、外力が印加されると、歯止めをかけられた突起６０３の解放を容易にできる。突起６０３が挟持ゾーン６０２１を横切って強制的に押し通され、したがって歯止めを克服すると、圧潰可能なプランジャ６は連結解除され、これによって、突起６０３が長尺方向スロット６０２に沿って摺動することを可能にし、それによって、プランジャロッド６４及びプランジャスリーブ６２は互いに対して軸方向に移動可能になる。
プランジャロッド６４及びプランジャスリーブ６２が圧潰すると、圧潰可能なプランジャ６が針基４に対して加える力が解放され、したがって格納機構が作動され、針基４がばね８の拡張力によって中空のバレル２内に押し込まれ、プランジャスリーブ６２が結果として後退し、長尺方向スロット６０２に沿う突起６０３の摺動運動によってプランジャロッド６４を包囲する。他方で、孔６０４を考案することによって生じるプランジャスリーブ６２の壊れやすさは、圧潰可能なプランジャ６を再使用不可能にし、格納式の安全注射器１の再使用の試みを回避する。

図２Ｃ及び図２Ｄを参照する。注射の操作前の、格納式の安全注射器１及びその圧潰可能なプランジャ６の断面図及び正面図がそれぞれ示されており、格納式の針基４及び圧潰可能なプランジャ６は、本発明の第１の実施形態による中空のバレル２内に部分的に入れ子状になっており、まだ完全には挿入されていない。
格納式の安全注射器１の組み立てを考慮すると、針基４は中空のバレル２の（図２Ｂに示されている）近位の開口端２０２の開口を通して中空のバレル２内に挿入され、次に、針４０が、中空のバレル２の（図２Ｂに示されている）遠位の開口端２０１の開口から突出することが可能になる。針４０を保持する針基４が中空のバレル２内に適切に挿入されて中空のバレル２の遠位の開口端２０１の近傍に据え付けられると、針基４は、針基４の（図２Ｂに示されている）突起４２及び中空のバレル２の（図２Ｂに示されている）湾曲したトラック２２の協働によって中空のバレル２内に収容される。特に、針基４の突起４２は中空のバレル２の湾曲したトラック２２によって保持及び案内され、針基４は湾曲したトラック２２に沿って摺動することが可能である。

圧潰可能なプランジャ６は、中空のバレル２の近位端２０２の開口を通して中空のバレル２内に挿入され、これは、圧潰可能なプランジャ６が中空のバレル２内に部分的に入れ子状になり、中空のバレル２内で前後に移動することが可能であることを示す。
さらに、圧潰可能なプランジャ６の遠位端に取り付けられるストッパ６０が設けられる。したがって、ストッパ６０が針基４の近位端４０２に対して接触した状態で圧潰可能なプランジャ６を中空のバレル２内に押すことができる。

図２Ｄは、格納式の安全注射器１の正面図を示しており、図２Ｅは、格納式の安全注射器１のセクションＡの拡大図を更に示している。本発明の第１の実施形態の格納式の安全注射器１のセクションＡを参照する。湾曲したトラック２２は、針基４の突起４２を案内し、湾曲したトラック２２の経路に沿って摺動して移動させるように設計されており、したがって、湾曲したトラック２２は、突起４２が湾曲したトラック２２内で摺動することが可能になると、針基４を軸方向に回転させることを可能にする。
格納式の安全注射器１の格納機構に関する技術的な特徴のより良い理解のために、本明細書では水平面が画成される。具体的には、水平面は、重力の方向に対して垂直な平面として画成される。換言すると、格納式の注射器１全体が、針が上向きの状態で鉛直に位置付けられると、水平面は、格納式の注射器１を横断方向かつ水平に（すなわち重力の方向に対して垂直に）通り、格納式の注射器１を上部及び下部に分割する平面として画成される。

図２Ｅに示されているセクションＡの新規の設計に関して、湾曲したトラック２２は中空のバレル２を部分的に囲み、突起４２が中空のバレル２の（図２Ｂに示されている）遠位端２０１又は（図２Ｂに示されている）近位端２０２に向かって摺動することを可能にする。さらに、湾曲したトラック２２は、湾曲したトラック２２の（図２Ｅに示されている）第１の湾曲部位２２ａの周りの係留部分２２１である第１の部分を含み、係留部分２２１は、格納機構が作動される前に、突起４２と湾曲したトラック２２とを一時的に係合させ、突起４２及び針基４を係留させるように使用される。
十分な外的な押す力が突起４２に印加されて突起４２を係留部分２２１から外し、突起４２が湾曲したトラック２２の経路に沿って摺動させられると突起４２は上述した係合の拘束から解放されて自由になり、針基４が中空のバレル２の遠位端２０１に向かって移動することを可能にする。換言すると、格納機構が作動される。さらに、外的な押す力は、突起４２を押しやって係留部分２２１から外すだけではなく、湾曲したトラック２２に沿う更なる摺動にも寄与し、したがって、湾曲したトラック２２は針基４の軸方向の回転及び移動を方向付けて格納の準備が整った位置にし、針基４はその結果として中空のバレル２内に格納される。

図２Ｆは格納式の安全注射器１の側面図を示しており、図２Ｇは、本発明の第１の実施形態による注射の操作前の格納式の安全注射器１のセクションＡ’の拡大図を示している。図２Ｆ及び図２Ｇの双方は、中空のバレル２の湾曲したトラック２２及び（図２Ｆ、図２Ｇに示されている）第２の湾曲部位２２ｂの側面図を示している。特に、第２の湾曲部位２２ｂは、突起４２の方向を変えるように案内し、次に、中空のバレル２の（図２Ｂに示されている）近位端２０２に向かって移動させるようにはっきりと示されている。
当業者は、湾曲したトラック２２が、湾曲したトラック２２の湾曲角度及び対応する長さを最適化される限り、十分な摺動力が提供されて突起４２の回転をトリガするとともに中空のバレル２の近位端２０２に向かって移動させ、同時に、突起４２の跳ね返りによって、上述した摺動力が（図２Ｂに示されている）ばね８の圧縮を解放するように伝達されるまで針基４の周りに巻回されて圧縮されているばね８の圧縮の解放が開始することを容易に理解できる。
好ましくは、湾曲したトラック２２は、格納式の安全注射器１全体が、針が上向きである状態で鉛直に位置付けられると、水平面から測定して４５度〜７５度の角度である方向に沿って第１の湾曲部位２２ａから延在する部分を有する。より好ましくは、角度は水平面から測定して６０度である。

上述した角度の形態は、湾曲したトラック２２内の突起４２の摺動を最適化するだけではなく、中空のバレル２の近位端２０２に向かう針基４の回転も最適化し、結果としてそれに続いて針基４の取り出し機構が開始する。他方で、取り出し機構が作動されるとすぐに、圧潰可能なプランジャ６が連結解除されて格納機構全体をトリガする。

具体的には、ばね８に由来する拡張力が針基４を押してバレル２内に移動させる。簡潔には、湾曲したトラック２２は、針基４の（遠位端２０１に向かう）前方移動及び回転を案内するだけではなく、ばね８の圧縮を解放する力も方向付け、バレル２内への針基４の完全な格納を容易にする。

したがって、本発明の利点は、格納式の安全注射器１の格納機構を実行する新規の設計が、より信頼性の高い格納機構を大いに提供し、従来技術において存在する針基の格納を多くの場合に妨げるばねの作用の妨げの可能性を排除するか又は少なくとも大幅に低減することである。本発明において示される格納式の安全注射器１の実際的な使用に関して、信頼性が大幅に改善される。

図２Ｈを参照する。図２Ｄに示されている本発明の第１の実施形態による格納式の安全注射器１の圧潰可能なプランジャ６のセクションＢの拡大図を示している。
注射の完了後に格納機構を適切に開始し、より重要には、針基４が中空のバレル２の（図２Ｂに示されている）遠位端２０１から過って又は尚早に解放されて中空のバレル２内に格納されることを防止するために、本発明は、プランジャスリーブ６２の長尺方向スロット６０２の挟持ゾーン６０２１に隣接する複数の孔６０４を有するプランジャスリーブ６２を提供することによって解決策を更に提供する。
実際には、複数の孔６０４は、挟持ゾーン６０２１の近傍のプランジャスリーブ６２の部分を、変形可能に、壊れやすく又は可撓性にし、挟持ゾーン６０２１における歯止めからの突起６０３の解放を容易にするように設計されている。より詳細には、圧潰可能なプランジャ６は、注射の完了時に針基４と接触し、更に押圧すると、針基４は（第１の湾曲部位２２ａの周りの）係留部分２２１から外れ、前方に移動し、針基４は、（第２の湾曲部位２２ｂの周りの）最前位置に達するまで回転し、格納の準備が整い、プランジャ６を更に押して挟持ゾーン６０２１によって設定される歯止めを突起６０３に克服させると、圧潰可能なプランジャ６はしたがって連結解除され、それによって、圧潰可能なプランジャ６によって針基４に対して加わる力が解放され、格納機構が完全に作動され、その一方で、ばね８の拡張力が針基４を中空のバレル２内に移動させ続け、同時に、プランジャスリーブ６２が続いて後退してプランジャロッド６４を包囲する。したがって、完全な格納機構は、突起６０３及び長尺方向スロット６０２の協働によって容易になる。

図３Ａ及び図３Ｂを参照する。本発明の第１の実施形態による格納式の安全注射器１及びその圧潰可能なプランジャ６の斜視図及び側面図がそれぞれ示されており、針４０及び圧潰可能なプランジャ６の双方が、格納の完了後に中空のバレル２内に挿入されることを明示している。

図４Ａ〜図４Ｅを参照する。本発明の第２の実施形態による格納式の安全注射器２が示されている。格納式の安全注射器２は、第１の実施形態による格納式の安全注射器１の上述した特徴及び有利な設計の全てを有する。簡潔には、格納式の安全注射器２は、格納式の針基４であって、針基４の外側側壁４４に形成される（図４Ｂに示されている）突起４２を有する、格納式の針基４、（図４Ｃに示されている）中空のバレル２であって、中空のバレル２の側壁の近傍に形成される（図４Ｃに示されている）湾曲したトラック２２を有する、中空のバレル２、針基４の外側側壁４４と中空のバレル２の内側側壁との間に介装される（図４Ｃに示されている）ばね８、及び、（図４Ｃに示されている）プランジャロッド６４及びプランジャスリーブ６２からなる圧潰可能なプランジャ６を含み、プランジャロッド６４はプランジャスリーブ６２内に部分的に入れ子状になり、プランジャスリーブ６２と解放可能に結合され、プランジャロッド６４には突起が形成され、プランジャスリーブ６２には長尺方向スロットが形成される。したがって、第２の実施形態の格納機構は、前述した格納式の医療用安全注射器１の格納機構と実質的に同じである。

加えて、図４Ａ〜図４Ｅは、本発明の第２の実施形態による好ましい形態をそれぞれ開示している。図４Ａ及び図４Ｂに示されているように、格納式の安全注射器２の格納式の針基４は、針基４の近位端４０２の開口からプラグ４１を受け入れる、針基４の内部のルーメンを更に有し、プラグ４１は、針基４のルーメン内に突出する細長いシリンダ、及び、プラグ４１の近位端付近のより大きい直径のディスク４１８を含み、針４０のルーメンと中空のバレル２内の流体チャンバとの間で流体連通させる少なくとも１つの流路を有する。
なお、針基４の内側側壁（すなわち、針基４の、ルーメンに面する側壁）と、プラグ４１の外側側壁（すなわち、プラグ４１の、ルーメンに面する側壁）との間に十分なスペースが設けられ、このスペースは、注射用の医療物質又は流体の流路のために十分に設けられる。

さらに、格納式の安全注射器２の好ましい形態を実施するために封止要素４３が更に設けられる。封止要素４３の材料は、限定はされないが好ましくは、ゴム等の特定の硬さを有するエラストマ材料、熱可塑性エラストマ又は他の高分子材料であり、したがって、接合された継ぎ目からの液体の漏れを防止するために封止に役立つように好適である。例えば、所望の形状を有するＯリングが好ましい。
具体的には、封止要素４３は、針基４の近位端４０２とプラグ４１のディスク４１８との間に位置決めされる。また、封止要素４３は、針基４の近位端４０２及びプラグの近位端付近のディスク４１８に適合されるように設計及び形状決めされ、したがって、針基４とプラグ４１との間の継ぎ目を封止するように機能する。

封止要素４３は、封止要素４３の中央に貫通孔４３０を更に含み、これによって、プラグ４１の細長い円筒部分が貫通孔４３０を通って同時に針基４のルーメンに入ることを可能にし、次に、プラグ４１は、封止要素４３が間に位置決めされた状態で針基４に最終的に組み付けられる。したがって、プラグ４１の細長い円筒部分が貫通孔４３０を通って所望の深さにわたって針基４のルーメンに入ると、プラグ４１のディスク４１８が封止要素４３に付着し、それによってプラグ４１自体及び封止要素４３が針基４の近位端４０２に対して固定される。

図４Ｄ及び図４Ｅを参照する。上述したプラグ４１には少なくとも１つの流路４１０が更に形成される。好ましくは、本発明の第２の実施形態によると、２つの流路４１０が設けられる。流路４１０には入口４１２及び出口４１６が設けられ、これらは、注射の医療物質又は流体（以下「注入物質」）が流路４１０に沿って流れることを可能にする。より詳細には、ユーザが注射を行うときに、注入物質は中空のバレル２の遠位端２０１に向かって流れ、注入物質はプラグ４１のディスク４１８の中央の開口、入口４１２、流路４１０及び次に出口４１６を通って流れ、最終的に、針基４の遠位端４０１の開口に達し、その後で注射が完了する。
代替的には、プラグを通って長尺方向に延在する、プラグ４１内に配置される内部チャネルが、同様の有利な効果を達成できる。したがって、本発明の第２の実施形態の好ましい形態によると、針基４内のデッドスペースが大幅に減り、この結果として注入物質の残余、したがって無駄が少なくなる。全体的に、注射の効率及びコストが改善される。

図３Ｃに示されている、本発明の第１の実施形態による格納式の安全注射器１及びその圧潰可能なプランジャ６のセクションＣの拡大図を示す図５を更に参照する。図４Ｅに示されている本発明の第２の実施形態による格納式の安全注射器２のセクションＣ’の設計は、格納式の安全注射器１のセクションＣの設計と実質的に同じである。
注射器の再使用から生じる問題に関する課題を克服するために、本発明ではロック手段が更に設けられる。なお、プランジャロッド６４には、その近位端付近に隆起部６４１が更に形成され、中空のバレル２には、中空のバレル２のフランジ２０３内に環状の凹部２２２及び隣接する環状の隆起部２２３が形成される。隆起部６４１は、プランジャロッド６４が中空のバレル２内に完全に押圧されると、環状の凹部２２２によって受け入れられるとともにスナップロックされ、環状の隆起部２２３によって拘束され、プランジャロッド６４を、中空のバレル２から取り外し不可能にし、したがって注射器の再使用を防止する。より好ましくは、隆起部６４１の縁の外観は、環状の凹部２２２とより良く係合するように傾斜した縁を有するように構成され、したがって、隆起部６４１は環状の凹部２２２によってしっかりと拘束される。また、好ましい形態を、上述した拘束を改善するように環状の凹部２２２の形態を変更することによって対応してなすことができる。したがって、プランジャロッド６４を中空のバレル２から引き出そうとするいかなる試みも、格納式の安全注射器１、２を破損する可能性があり、格納式の安全注射器１、２を再使用する可能性を更に低減する。

したがって、圧潰可能なプランジャが針基の格納機構を開始させる作動手段として働く、格納式の安全注射器、格納式の針基及び圧潰可能なプランジャが開示される。注射が完了すると、圧潰可能なプランジャの遠位端に接続するストッパを、針基の近位端に当接して位置決めできる。
圧潰可能なプランジャを押圧すると、格納式の針基は、湾曲したトラックに沿って最前位置まで前方に移動して最前位置で停止し、格納される準備が整い、力の増大によって圧潰可能なプランジャを連結解除し、同時に格納機構を作動する。したがって、圧縮されたばね又は他の圧縮可能及び圧縮を解放可能な装置等の付勢手段によって針の格納が容易になる。

通常、格納式の安全注射器は、注射可能な組み合わせ製品に好適な所望の医療物質を予め充填できる予め充填可能な注射器である。格納式の安全注射器の従来技術は、ストッパ又はプランジャを針ホルダと連結させ、針を格納可能にする係合装置を必要とするか、又は、ばね保持体を離脱させることでばねの圧縮を解放する装置を必要とし、これらの複雑な構造は多くの場合に、流体チャンバを脆弱なものにして容器のクロージャの完全性を損なわせ、したがって、予め充填される注射器として働くには好適ではない。
ここで開示した発明は、格納のためのより信頼性の高い手法、したがって、本発明の実施形態による格納式の安全注射器の容器のクロージャの改善された完全性を提供することによって上述の欠点を解決した。

そのような格納式の安全注射器はすぐに使える製品の形に作製できるため、利点は、薬剤充填作業を排除することによる改善された簡便性及び投与の効率に限定されず、改善された投与量の正確さ、人々が針刺し損傷及び被る感染に暴露されるリスクの低減を含む、上述した特徴に由来する他の利点がある。

上記の実施形態は、本発明の原理及び機能を実証するためだけに提供され、本発明の範囲を限定する意図はない。以下の特許請求の範囲によって規定される本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の種々の変更を当業者によって行うことができる。

Claims (1)

1. 格納式の注射器であって、
   針基であって、遠位に延在する針を受け入れて保持する第１の端、該針基の外側壁の近傍の第１の案内手段、及び、前記第１の端とは反対側の第２の端を有する針基、
   中空のバレルであって、チャンバを画成し、前記針基を該中空のバレルの該チャンバ内に解放可能に配置することを可能にする内面、前記針基の前記第１の端が遠位に突出することを可能にする遠位の開口端を有するとともに、該中空のバレルの側壁の近傍の第２の案内手段、及び、前記遠位の開口端とは反対側の近位の開口端を有する、中空のバレル、
   前記中空のバレル内に摺動可能に嵌められる圧潰可能なプランジャであって、近位端及び遠位端を有する第１のプランジャ要素、該第１のプランジャ要素に解放可能に連結される第２のプランジャ要素を有し、前記第１のプランジャ要素には、該第１のプランジャ要素の前記遠位端付近に突起が形成され、前記第２のプランジャ要素は、前記第１のプランジャ要素の前記突起を収容するように該第２のプランジャ要素の側壁に長尺方向スロットを有し、前記突起が該長尺方向スロットに沿って長尺方向に摺動することを可能にし、前記長尺方向スロットは、前記突起に歯止めをかける挟持ゾーンが形成される近位部分及び遠位部分を有し、それによって、前記第１のプランジャ要素及び前記第２のプランジャ要素は、前記挟持ゾーンが変形して前記突起が該挟持ゾーンから離脱するまで連結され、前記突起が前記長尺方向スロットの前記遠位部分に向かって摺動することを可能にし、それによって、前記第１のプランジャ要素及び前記第２のプランジャ要素は互いに対して軸方向に摺動可能になる、圧潰可能なプランジャ、並びに
   前記針基と前記中空のバレルの前記内面との間に配置されるばねであって、前記針基と前記中空のバレルとの間で作用するようにする、ばね、を備え、
   前記針基には、前記チャンバと流体連通するように、前記針を通って長尺方向に延在する少なくとも１つの流路が更に形成され、前記第１の案内手段は、前記第２の案内手段の第１の部分に解放可能に係合し、それによって、前記第１の案内手段及び前記第２の案内手段は、該第１の案内手段が該第２の案内手段の前記第１の部分から離脱して該第２の案内手段の第２の部分に向かって移動し、前記針基の格納を開始させるまで、前記針基を、前記ばねの拡張力に抗して解放可能に保持することが可能であることを特徴とする、
   格納式の注射器。

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