JP6076698B2 - 電極溶食防止層を有する部品 - Google Patents

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本発明は、電極溶食防止層を有する部品及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、プリント基板、ウエハー、フレキシブル基板等の基板が有する電極上、又は、チップ、抵抗、コンデンサ、フィルター等の実装部品が有する電極上に、電極溶食防止層が形成された部品(基板又は実装部品等)、及びその製造方法等に関する。
近年、プリント基板、ウエハー及びフレキシブル基板等の基板(以下、これらを「実装基板」ということがある。)は、配線密度や実装密度がますます向上している。実装基板は、電子部品をはんだ付けするための電極を多数有している。その電極上に、電子部品をはんだ付けするためのはんだバンプやはんだペースト等のはんだ(以下、「接続はんだ」ともいう。)が設けられ、電子部品は、その接続はんだにはんだ付けされて実装基板に実装される。
接続はんだは、微細で、形状及び寸法等が揃っており、必要な部分にのみ設けられていることが要求されている。そうした要求を満たす接続はんだの形成方法として、特許文献1には、ペーストでペーストバンプを形成するための開口を備えたスクリーン版であって、剛性な第1の金属層、樹脂系の接着剤層及び第2の金属層からなり、かつ第1の金属層の開口に対して接着剤層及び第2の金属層の開口が縮径していることを特徴とするスクリーン版を用い、緻密で一定形状のペーストバンプを容易に形成する手法等が提案されている。
ところで、コネクタ、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、BGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、等々の電子部品は、リード端子等の接続端子の寸法にばらつきが存在することがある。接続端子の寸法がばらついた電子部品をはんだ付け不良なくはんだ付けするためには、実装基板に設ける「接続はんだ」を厚くすることにより、電子部品の寸法ばらつきの影響を小さくする必要がある。実装基板に実装するための電子部品にCSP(Chip Size Package)等の小型の電子部品が混在する場合、そうした小型電子部品用の接続はんだの大きさは極めて小さく微細である。
一般的な接続はんだの形成方法として、銅等からなる電極(例えば銅電極。以下同じ。)が設けられた実装基板をそのまま溶融はんだ中にディッピング(浸漬)する方法が知られている。銅電極にはんだが接触すると、銅とはんだに含まれる錫とが化合してCuSn金属間化合物が生成する。このCuSn金属間化合物の生成自体がはんだ接合の基本である。しかし、その現象は、銅電極がはんだ中の錫で浸食される態様で形成されることから「電極溶食」と呼ばれることがある。こうした電極溶食は、電子部品を接続する銅電極の容積を減少させて信頼性を低下させ、実装基板の信頼性を損なわせるおそれがある。そのため、溶融はんだ中への実装基板のディッピング時間を短縮して電極溶食を抑制することが必要であり、そのために、実装基板の銅電極上に予備はんだ層を形成し、その後に実装基板を溶融はんだ中にディッピングする方法(ディッピング方法)が検討されている。
特開平10−286936号公報
上記した接続はんだの形成方法のうち、スクリーン版を用いた接続はんだの形成方法は生産性が悪いという難点があり、ディッピング方法での接続はんだの形成方法は、最初にディッピング(浸漬)する部分と、最後にディッピングする部分とで、電極溶食の差が大きくなり、同じ基板の各部で銅電極の信頼性に大きな差が生じる。そのため、電極溶食の問題が依然として解決できていないという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、低コストで、歩留まりが高く、信頼性の高いはんだ付けを行うことができる「電極の溶食防止層」(以下「電極溶食防止層」という。)を有する部品(基板及び実装部品等)及びその製造方法を提供することにある。
(1)上記課題を解決するための本発明に係る部品の製造方法は、はんだ付けされる電極を有する部品を準備する工程と、前記電極に第1の有機脂肪酸含有溶液を接触させる工程と、前記電極に第1の溶融はんだを接触させて該電極に該第1の溶融はんだを付着させる工程と、付着した前記第1の溶融はんだに向けて、気流又は液流を噴射して前記電極に付着した第1の溶融はんだのうち余剰の第1の溶融はんだを除去する工程と、前記余剰の第1の溶融はんだが除去された前記電極を前記第1の溶融はんだの融点未満に下げる工程と、を備え、前記第1の溶融はんだの付着工程において、前記第1の溶融はんだが、前記電極に含まれる成分に化合して該電極の表面に金属間化合物層からなる電極溶食防止層を形成する成分を含み、前記電極への前記第1の溶融はんだの接触を、前記部品を移動させながら前記電極に前記第1の溶融はんだの液流を衝突させ又は回り込ませて行うことを特徴とする。
この発明によれば、(i)第1の溶融はんだの付着工程において、第1の溶融はんだが、電極に含まれる成分に化合してその電極の表面に金属間化合物層からなる電極溶食防止層を形成する成分(電極溶食防止層形性成分ともいう。)を含むので、その接触時に電極の表面に金属間化合物層からなる電極溶食防止層を形成することができる。その金属間化合物層は、電極溶食防止層として電極成分の溶出を抑えることができるので、電極の溶食による電極の欠損や消失を防ぐことができる。
(ii)第1の溶融はんだの付着工程において、電極への第1の溶融はんだの接触を、部品を移動させながらその部品に第1の溶融はんだの液流を衝突させ又は回り込ませて行うので、いずれの場合も、電極上には満遍なく第1の溶融はんだを付着させることができる。その結果、電極溶食防止層が電極上に満遍なく形成されるので、その電極溶食防止層によって電極の欠損や消失を防ぐことができる。
(iii)また、電極と第1の溶融はんだとが接触する前に第1の有機脂肪酸含有溶液を電極に接触させる工程を有するので、その第1の有機脂肪酸含有溶液は電極の表面に存在する酸化物や不純物等を除去するように作用する。その結果、そうした酸化物や不純物等が電極の表面に存在するのを極力抑制した状態で、第1の溶融はんだを電極の表面に接触させることができる。こうした処理により、清浄化された電極表面に、電極溶食防止層をボイドや欠陥を極力生じさせない均一な厚さで形成することができる。電極溶食防止層は、ボイドや欠陥を極力生じさせない状態で設けられるので、その電極溶食防止層上に設けられたはんだにも、ボイドの発生や欠陥を極力生じさせないようにすることができる。
(iv)また、電極に付着した余剰の第1の溶融はんだを、気流又は液流を噴射して除去する工程を有するので、第1の溶融はんだ又は第1のはんだ層を僅かに付着した電極溶食防止層が設けられた電極となる。電極溶食防止層が設けられている電極は、その後に他の溶融はんだ(第2の溶融はんだ)にディッピングさせた場合であっても、その第2の溶融はんだによる電極成分の溶出を抑制することができる。また、気流又は液流を噴射して余剰の第1の溶融はんだを除去した後の電極表面には、電極溶食防止層の酸化を防止する有機脂肪酸のコーティング膜を形成することができる。その結果、その部品を直ぐに処理しない場合であっても、部品の電極上に電極溶食防止層が設けられた態様での保管又は流通を行うことができる。
(v)また、余剰の第1の溶融はんだが除去された電極を第1の溶融はんだの融点未満に下げる工程を有するので、電極の表面に形成された電極溶食防止層を、亀裂のない所定の厚さ範囲(例えば0.5μm以上、3μm以下の程度)の電極溶食防止層にして安定化させることができる。こうして形成された電極溶食防止層を備えた部品は、その後に、電極上に接続はんだ(電子部品を接合させるためのはんだ層)を設けるためにはんだ槽中にディッピング(浸漬)しても、最初にディッピング(浸漬)した部分と、最後にディッピングした部分とで、電極溶食の差を極力小さくすることができる。また、ディッピングにより接続はんだを設けた部品は、その後に電子部品の実装工程に供されて各種の熱処理が加わったとしても、電極溶食防止層がバリアになるので、その熱によって電極がはんだに溶食するのを抑制できる。その結果、同じ部品の各部の電極は、それぞれの信頼性の差を極力小さくすることができ、電子部品の接続構造の信頼性をより向上させることができる高品質の接続構造を提供可能な部品を製造できる。
(2)本発明に係る部品の製造方法は、前記第1の溶融はんだの付着工程において、前記電極への第1の溶融はんだの接触を下記の第1〜第3の形態のいずれかで行うことが好ましい。
第1形態は、前記電極への前記第1の溶融はんだの接触手段として、前記部品を上下方向に移動させながら、重力で加速した前記第1の溶融はんだの液流又はポンプで加圧した前記第1の溶融はんだ液流を前記上下方向に直交又は略直交する角度で前記部品に衝突させて行う。
この発明によれば、部品を上下方向に移動させながら重力で加速した第1の溶融はんだの液流又はポンプで加圧した第1の溶融はんだ液流を、上下方向に直交又は略直交する角度で部品に衝突させるので、電極上に滞留した溶融はんだ自身で減速されることなく溶融はんだ液流が横方向から電極に強く衝突する。その結果、電極上には満遍なく第1の溶融はんだを付着させることができる。
第2形態は、前記電極への前記第1の溶融はんだの接触手段として、前記部品を横方向に移動させながら前記第1の溶融はんだの液流を前記部品の上方から該部品に向けて所定の角度で衝突させて行う。
この発明によれば、部品を横方向に移動させながら第1の溶融はんだの液流をその部品の上方から部品に向けて所定の角度で衝突させるので、電極上に滞留した溶融はんだ自身で減速されることなく溶融はんだ液流が上方向から電極に強く衝突する。その結果、電極上には満遍なく第1の溶融はんだを付着させることができる。
第3形態は、前記電極への前記第1の溶融はんだの接触手段として、前記部品を上下方向に移動させて前記第1の溶融はんだで満たしたはんだ槽中に浸漬した後に引き上げる途中で、該部品を前記第1の溶融はんだの液面に配置されたスリットを通過させて行う。
この発明によれば、部品を上下方向に移動させて第1の溶融はんだで満たしたはんだ槽中に浸漬した後に引き上げる途中で、その部品を第1の溶融はんだの液面に配置されたスリットを通過させて行うので、そのスリットを通過する際の表面張力の作用により、溶融はんだが電極の全域に回り込む。その結果、電極上には満遍なく第1の溶融はんだを付着させることができる。
(3)本発明に係る部品の製造方法において、前記電極を前記第1の溶融はんだの融点未満に下げる工程の後に、前記部品と、前記第1の溶融はんだと同じ溶融はんだ又は異なる溶融はんだとを接触させて、前記電極に第2の溶融はんだを付着させる工程をさらに備えてもよい。
この発明によれば、電極を第1の溶融はんだの融点未満に下げる工程の後に、部品と前記第1の溶融はんだと同じ溶融はんだ又は異なる溶融はんだとを接触させて、電極に第2の溶融はんだを付着させる工程をさらに備えるので、部品を第2の溶融はんだ槽中にディッピングさせた場合であっても、電極に設けられた電極溶食防止層が電極成分の溶出を抑えることができる。その結果、第2の溶融はんだによる電極溶食に起因した電極の欠損や消失を防ぐことができる。こうした本発明によれば、第2の溶融はんだが凝固してなる第2のはんだ層ではんだ付けされた電極の信頼性を確保でき、電子部品を実装基板にはんだ付けする際に、電子部品の接続構造の信頼性をより向上させることができる高品質の接続構造を提供可能な部品を製造できる。
(4)本発明に係る部品の製造方法において、前記第2の溶融はんだが、前記電極溶食防止層を構成する成分のうち電極溶食防止能を生じさせる成分を含まないことが好ましい。
この発明によれば、第2の溶融はんだが、電極溶食防止層を構成する成分のうち電極溶食防止能を生じさせる成分を含まないので、予め形成された電極溶食防止層の上には、電極溶食防止能を生じさせる成分を含まない第2のはんだ層が設けられる。こうした第2のはんだ層は、電極溶食防止層と第2のはんだ層の成分が同じ場合に起こる電極溶食防止層の厚さ拡大現象を抑制することができる。その結果、第2のはんだ層ではんだ付けされた部品が有する電極の信頼性をより一層向上させることができる。
(5)本発明に係る部品の製造方法において、前記第1の溶融はんだの付着工程において、前記電極への前記第1の溶融はんだの接触を、有機脂肪酸含有溶液の蒸気雰囲気中で行ってもよい。
この発明によれば、電極への第1の溶融はんだの接触を有機脂肪酸含有溶液の蒸気雰囲気中で行うので、第1溶融はんだの接触時に電極が酸化したり不純物で汚染されたりすることがない。
(6)本発明に係る部品の製造方法において、前記第1の溶融はんだの粘度が、0.002Pa・s以上、0.004Pa・s以下であることが好ましい。
この発明によれば、第1の溶融はんだの粘度が上記範囲内であるので、微細パターンで形成された各電極に満遍なく第1の溶融はんだを付着させることができ、その結果、電極表面に均一で安定した電極溶食防止層を形成することができる。さらに、第1の溶融はんだの粘度が上記範囲内であるので、その第1の溶融はんだを容易に除去することができる。その結果、微細パターンで形成された各電極に満遍なく電極溶食防止層が形成され、無駄な溶融はんだが設けられていない態様の部品を得ることができる。
(7)本発明に係る部品の製造方法において、前記第2の溶融はんだの粘度が、0.002Pa・s以上、0.008Pa・s以下であることが好ましい。
この発明によれば、電極に第1の溶融はんだを接触させて電極溶食防止層を形成した部品に、上記した広い範囲内の任意の粘度を示す第2の溶融はんだを接触させることができる。こうした第2の溶融はんだは、汎用の溶融はんだを含むので、廉価なはんだを溶融した溶融はんだを用いてはんだ付けすることができ、その場合であっても、電極の溶食を防ぐことができる。
(8)本発明に係る部品の製造方法において、前記第1の溶融はんだ及び前記第2の溶融はんだを、有機脂肪酸含有溶液と混合処理して用いてもよい。
この発明によれば、第1の溶融はんだ及び第2の溶融はんだを、有機脂肪酸含有溶液と混合処理して用いるので、それら溶融はんだに含まれる酸化物や不純物等を除去することができる。その結果、処理後の溶融はんだの粘度を、その処理条件(処理時間等)によって任意にコントロールすることができる。粘度を小さくした溶融はんだは、濡れ広がりが良好であり、電極溶食防止層上に表面張力によってバランスのよい対称形のはんだ層を形成することができる。
(9)本発明に係る部品の製造方法において、前記第2の溶融はんだの付着工程の後に、第3の有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を前記第2の溶融はんだに接触させる工程をさらに備えてもよい。
この発明によれば、第2の溶融はんだの付着工程の後に、第3の有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を第2の溶融はんだに接触させる工程をさらに備えるので、第2の溶融はんだの表面には、酸化や汚染を防止する有機脂肪酸のコーティング膜が形成される。その結果、第2のはんだ層が設けられた部品を直ぐに処理しないで、保管又は流通を行うことができる。また、保管又は流通させた後に実装部品の実装工程に供しても、電子部品の接続構造の信頼性をより向上させることができる高品質の接続構造を提供可能な部品を製造できる。
(10)本発明に係る部品の製造方法において、前記部品が、微細な配線パターンを有するプリント基板、ウエハー、フレキシブル基板等の基板(実装基板ともいう。)や、チップ、抵抗、コンデンサ、フィルター等の部品(実装部品ともいう。)を挙げることができる。
(11)上記課題を解決するための本発明に係る部品は、上記した本発明に係る部品の製造方法により製造されてなる部品であって、はんだ層が設けられた電極を複数備え、前記はんだ層と前記電極との間に厚さ0.5μm以上、3μm以下の電極溶食防止層が形成されており、前記はんだ層のはんだ付け形態が、前記電極の中心位置で対称の半球形状又は曲面形状であることを特徴とする。
本発明に係る部品の製造方法によれば、低コストで、歩留まりが高く、信頼性の高いはんだ付けを行うことができる電極溶食防止層を有する部品を提供することができる。
製造された部品は、その後に、電極上に接続はんだを設けるためにはんだ槽中にディッピングしても、最初にディッピングした部分と、最後にディッピングした部分とで、電極溶食の差を極力小さくすることができる。また、ディッピングにより接続はんだを設けた部品は、その後に電子部品の実装工程に供されて各種の熱処理が加わったとしても、電極溶食防止層がバリアになるので、その熱によって電極がはんだに溶食するのを抑制できる。その結果、同じ部品の各部の電極は、それぞれの信頼性の差を極力小さくすることができ、電子部品の接続構造の信頼性をより向上させることができる高品質の接続構造を提供可能な部品を製造できる。
本発明に係る部品の製造方法の一例を示すフロー図である。 部品の一例を示す表面写真と断面写真であり、(A)はBGA側の部品表面を示す光学顕微鏡写真であり、(B)は部品の断面を示す電子顕微鏡写真である。 部品を横方向に移動させながら、第1の溶融はんだの液流を部品の上方から所定の角度で衝突させる形態の一例を示す模式的な断面図であり、有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を噴射する工程(E)を有している。 部品を横方向に移動させながら、第1の溶融はんだの液流を部品の上方から所定の角度で衝突させる形態の他の一例を示す模式的な断面図であり、有機脂肪酸含有溶液の気体雰囲気中で、不活性ガス又は気体を噴射する工程(E)を有している。 部品を上下方向に移動させながら、重力で加速した第1の溶融はんだの液流を横方向から部品に衝突させる形態を示す模式的な断面図である。 部品を上下方向に移動させながら、ポンプで加圧した第1の溶融はんだ液流を横方向から部品に衝突させる形態を示す模式的な断面図である。 部品を上下方向に移動させて第1の溶融はんだで満たしたはんだ槽中に浸漬した後に引き上げ、その引き上げ途中で、部品を第1の溶融はんだの液面に配置されたスリットを通過させるる形態を示す模式的な断面図である。 電極上に電極溶食防止層が設けられ、その電極溶食防止層上に第1のはんだ層が設けられた部品の一例を示す模式的な断面図である。 第1の溶融はんだを付着させる前後の部品断面の電子顕微鏡写真であり、(A)(B)は付着前の一例であり、(C)(D)は付着後の一例である。 部品を横方向に移動させながら、溶融はんだの液流を部品に接触させて得られた従来例(A,B)の光学顕微鏡写真である。 電極上に電極溶食防止層が設けられた部品を第2の溶融はんだ槽中に浸漬させる第1の態様を示す模式図である。 電極上に電極溶食防止層が設けられた部品を、有機脂肪酸含有溶液を上層に設けた第2の溶融はんだ槽中に浸漬させる第2の態様を示す模式図である。 電極溶食防止層上にはんだ層が設けられた部品の一例を示す模式的な断面図である。 電極溶食防止層上に設けられたはんだ層の断面形態の説明図であり、(A)は基材上に設けられた電極を覆うように設けられたはんだ層の断面形態の一例であり、(B)は基材に埋め込まれた電極上に設けられたはんだ層の断面形態の一例である。 電極溶食防止層上に設けられたはんだ層の平面形態の説明図であり、(A)は円形状の電極上に設けられたはんだ層の平面形態の一例であり、(B)は矩形状の電極上に設けられたはんだ層の平面形態の一例である。 電極溶食防止層上に設けられたはんだ層の形態の一例を示す走査型トンネル顕微鏡像である。 電極溶食防止層上に設けられたはんだ層の断面形態の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 製造された部品の一例を示す斜視図(A)と断面図(B)である。 製造された部品の他の例を示す斜視図(A)(B)である。 はんだ層の深さ方向の酸素量を示すグラフである。 はんだ付けされた銅電極部を加熱した後のマイクロボイドの発生形態の例であり、(A)(B)は比較例での結果であり、(C)(D)は実施例での結果である。 基板の微細な銅電極に、電極溶食防止層、はんだ層及び有機脂肪酸コーティング膜の順で設けた断面形態を示す電子顕微鏡写真(A)及びその元素マッピング像(B)である。 電極上にはんだ層が設けられた従来例を示す写真である。 はんだ処理前の電極パターンを示す平面図(A)と、その電極パターンの断面図(B)(C)と、電極の断面図(D)である。 2段階のはんだ処理を行わない場合の例を示す電極の断面図であり、(A)はニッケルを含有しない溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(B)はニッケルを含有しない溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図であり、(C)は0.01質量%のニッケルを含有する溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(D)は0.01質量%のニッケルを含有する溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図である。 2段階のはんだ処理を行わない場合の例を示す電極の断面図であり、(A)は0.03質量%のニッケルを含有する溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(B)は0.03質量%のニッケルを含有する溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図であり、(C)は0.05質量%のニッケルを含有する溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(D)は0.05質量%のニッケルを含有する溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図である。 2段階のはんだ処理を行わない場合の例を示す電極の断面図であり、(A)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(B)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図である。 2段階のはんだ処理を行った場合の例を示す電極の断面図であり、(A)はニッケルを含有しない溶融はんだで3秒間処理した後に0.01質量%のニッケルを含有する溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(B)はニッケルを含有しない溶融はんだで3秒間処理した後に0.01質量%のニッケルを含有する溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図であり、(C)はニッケルを含有しない溶融はんだで3秒間処理した後に0.03質量%のニッケルを含有する溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(D)はニッケルを含有しない溶融はんだで3秒間処理した後に0.03質量%のニッケルを含有する溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図である。 2段階のはんだ処理を行った場合の例を示す電極の断面図であり、(A)はニッケルを含有しない溶融はんだで3秒間処理した後に0.05質量%のニッケルを含有する溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(B)はニッケルを含有しない溶融はんだで3秒間処理した後に0.05質量%のニッケルを含有する溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図であり、(C)はニッケルを含有しない溶融はんだで3秒間処理した後に0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(D)はニッケルを含有しない溶融はんだで3秒間処理した後に0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図である。 2段階のはんだ処理を行った場合の例を示す電極の断面図であり、(A)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで3秒間処理した後に0.01質量%のニッケルを含有する溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(B)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで3秒間処理した後に0.01質量%のニッケルを含有する溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図であり、(C)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで3秒間処理した後に0.03質量%のニッケルを含有する溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(D)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで3秒間処理した後に0.03質量%のニッケルを含有する溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図である。 2段階のはんだ処理を行った場合の例を示す電極の断面図であり、(A)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで3秒間処理した後に0.05質量%のニッケルを含有する溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(B)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで3秒間処理した後に0.05質量%のニッケルを含有する溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図である。 2段階のはんだ処理を行った場合の例を示す電極の断面図であり、(A)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで3秒間処理した後にニッケルを含有しない溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、(B)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで3秒間処理した後にニッケルを含有しない溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図である。
以下、本発明に係る部品及びその製造方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、「本発明」を「本願の実施形態」と言い換えることができる。なお、「電極溶食防止層」とは、電極を構成する成分の一部又は全部がはんだによって溶食(電極成分が拡散して溶け出す態様のこと。)されるのを抑えるように機能する層のことである。
[部品の製造方法]
本発明に係る部品10の製造方法は、図1〜図7等に示すように、はんだ付けされる電極2を有する部品10’を準備する工程と、電極2に第1の有機脂肪酸含有溶液3aを接触させる工程と、電極2に第1の溶融はんだ5aを接触させて電極2上に第1の溶融はんだ5aを付着させる工程と、付着した第1の溶融はんだ5aに向けて、流体6a又は気流14を噴射して電極2上に付着した第1の溶融はんだ5aのうち余剰の第1の溶融はんだ5aを除去する工程と、余剰の第1の溶融はんだ5aが除去された電極2を第1の溶融はんだ5aの融点未満に下げる工程と、を備えている。そして、第1の溶融はんだ5aの付着工程において、第1の溶融はんだ5aが、電極2に含まれる成分に化合して電極2の表面に金属間化合物層からなる電極溶食防止層4を形成するための成分を含むこと、及び、電極2への第1の溶融はんだ5aの接触を、部品10’を移動させながら電極2に第1の溶融はんだ5aの液流を衝突させ又は回り込ませて行うことに特徴がある。
こうした部品10の製造方法は、以下の(i)〜(v)の作用効果を奏する。なお、第1の溶融はんだの液流も符号「5a」を用い、その場合は「第1の溶融はんだ液流5a」という。
(i)第1の溶融はんだ5aの付着工程において、第1の溶融はんだ5aが、電極2に含まれる成分に化合してその電極2の表面に金属間化合物層からなる電極溶食防止層4を形成する成分(電極溶食防止層形性成分)を含むので、その接触時に第1の溶融はんだ5aに含まれる成分が電極2に含まれる成分に化合して、電極2の表面に金属間化合物層からなる電極溶食防止層4を形成する。その金属間化合物層は、電極溶食防止層4として電極成分の溶出を抑えることができるので、電極2の溶食による電極2の欠損や消失を防ぐことができる。
(ii)また、第1の溶融はんだ5aの付着工程において、部品10’を移動させながらその部品10’に第1の溶融はんだ液流5aを衝突させ又は回り込ませて行うので、いずれの場合も電極2上には満遍なく第1の溶融はんだ5aが付着する。その結果、電極溶食防止層4が電極2上に満遍なく形成されるので、その電極溶食防止層4によって電極2の欠損や消失を防ぐことができる。
(iii)電極2と第1の溶融はんだ5aとが接触する前に第1の有機脂肪酸含有溶液3aを電極2に接触させる工程を有するので、その第1の有機脂肪酸含有溶液3aは電極2の表面に存在する酸化物や不純物等を除去するように作用する。その結果、そうした酸化物や不純物等が電極2の表面に存在するのを極力抑制した状態で第1の溶融はんだ5aを電極2の表面に接触させることができる。こうした処理により、清浄化された電極表面に、電極溶食防止層4をボイドや欠陥の発生を抑えた均一な厚さで形成することができる。電極溶食防止層4は、ボイドや欠陥を極力生じさせない状態で設けられるので、その電極溶食防止層4上に設けられたはんだ層8(図13及び図17等を参照)にもボイドの発生や欠陥をより抑えることができる。
(iv)電極2に付着した余剰の第1の溶融はんだ5aを、気流14又は流体6aを噴射して除去する工程を有するので、第1の溶融はんだ5a又は第1のはんだ層5を僅かに付着した電極溶食防止層4が設けられた電極2となる。電極溶食防止層4が設けられている電極2は、その後に他の溶融はんだ(第2の溶融はんだ16)にディッピングさせた場合であっても、その第2の溶融はんだ16による電極成分の溶出を抑制することができる。また、気流14又は流体6aを噴射して余剰の第1の溶融はんだ5aを除去した後の電極表面には、電極溶食防止層4の酸化を防止する有機脂肪酸のコーティング膜6を形成することができる。その結果、その部品を直ぐに処理しない場合であっても、部品の電極上に電極溶食防止層4が設けられた態様での保管又は流通を行うことができる。
(v)余剰の第1の溶融はんだ5aが除去された電極2を第1の溶融はんだ5aの融点未満に下げる工程を有するので、電極2の表面に形成された電極溶食防止層4を、亀裂のない所定の厚さ範囲(例えば0.5μm以上、3μm以下の程度)の電極溶食防止層4にして安定化させることができる。こうして形成された電極溶食防止層4を備えた部品10は、その後に、電極2上に接続はんだ(電子部品を接合させるためのはんだ層8。図13及び図17等を参照。)を設けるためにはんだ槽中にディッピング(浸漬)しても、最初にディッピング(浸漬)した部分と、最後にディッピングした部分とで、電極溶食の差を極力小さくすることができる。また、ディッピングにより接続はんだ(はんだ層8と同義。以下同じ。)を設けた部品20は、その後に電子部品の実装工程に供されて各種の熱処理が加わったとしても、電極溶食防止層がバリアになるので、その熱によって電極がはんだに溶食するのを抑制できる。その結果、同じ部品の各部の電極は、それぞれの信頼性の差を極力小さくすることができ、電子部品の接続構造の信頼性をより向上させることができる高品質の接続構造を提供可能な部品を製造できる。
以下、上記の作用効果を奏する各工程について詳しく説明する。
<準備工程>
準備工程は、図1、図2、図3(A)、図4(A)、図9(A)(B)及び図24に示すように、はんだ付けされる電極2を有する部品10’を準備する工程である。
(部品)
部品10’は、基材1上に電極2が任意の形態で設けられているものであれば特に限定されない。部品10’としては、例えば、プリント基板、ウエハー、フレキシブル基板等の基板(「実装基板」ともいう。)や、コネクタ、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Out line Package)、BGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、半導体チップ、チップ抵抗、チップコンデンサ、ジャンパー配線材等の電子部品を挙げることができる。また、ここに例示したもの以外の公知の基板や電子部品、さらには今後開発される新しい基板や電子部品を含む。
具体例としては、図2及び図9(A)(B)及び図24等に示すような部品を例示できる。この部品10’は、電極2を両面に有している。BGA側の電極形態は、図8(B)及び図9(B)に示すように、絶縁膜80で電極パターンが形成されており、電極2は、絶縁膜80の開口部内の窪みの底に設けられている。一方、配線パターン側の電極形態は、図8(A)及び図9(A)に示すように、電極2が基材1上に突出した形態で設けられている。本発明では、こうした異なる電極形態のいずれに対しても、満遍なく電極溶食防止層4を形成でき、さらにその電極溶食防止層4上に第2のはんだ層8を形成できる。なお、第1のはんだ層5は、実際には、余剰の第1の溶融はんだ5aが除去された後の電極溶食防止層4上に薄い厚さで付着しているが、本明細書ではその第1のはんだ層5については、図面も含めて必要に応じて省略し又は説明している。また、絶縁膜80は、はんだレジスト膜と言い換えることができる。
これらの部品10’は、最終的には電極2に電極溶食防止層4及び第2のはんだ層8が設けられた部品10になり、その第2のはんだ層8が実装対象となる部品に電気的に接続される。部品10’が基板の場合は、図2及び図24等に示すように、基板に設けられている電極2に電極溶食防止層4及び第2のはんだ層8が設けられ、その第2のはんだ層8に上記した電子部品が接続して実装される。このときの電子部品にも、本発明で形成する電極溶食防止層4及び第2のはんだ層8が設けられていることが好ましい。一方、部品10’が電子部品の場合は、図18及び図19等に示すように、電子部品に設けられている電極2に電極溶食防止層4及び第2のはんだ層8が設けられ、その第2のはんだ層8を上記した基板が接続して実装される。このときの基板にも、本発明で形成する電極溶食防止層4及び第2のはんだ層8が設けられていることが好ましい。
(電極)
電極2は、部品10’に各種の形態で設けられている。電極2の種類も特に限定されないが、第1の溶融はんだ5aに含まれる錫と化合して溶食される金属成分を含む導電性電極2が対象になる。錫と化合して溶食される金属成分としては、Cu、Ag、Au、Pd、Rh、Zn、Sn、Ni、Co、Bi等を挙げることができる。電極2は、こうした金属成分から選ばれる1種又は2種以上で構成されている。なお、はんだ濡れ性と溶食は表裏一体であり、「はんだ濡れ性」は、そうした金属成分の1種又は2種以上が第1の溶融はんだ5aに含まれる錫と容易に化合して錫化合物として濡れ広がる現象であり、「溶食」は、金属成分の1種又は2種以上が第1の溶融はんだ5aに含まれる錫と化合して錫化合物になって電極2が痩せてしまう現象のことである。後述する電極溶食防止層4は、そうした溶食を防いで、電極2の信頼性が低下するのを防止する層である。
具体的な電極2としては、銅電極、銅合金電極、銀電極、銀合金電極、金電極、金合金電極、パラジウム電極、パラジウム合金電極、アルミニウム電極、アルミニウム合金電極等を挙げることができる。これらの合金成分に、上記したCu、Ag、Au、Pd、Rh、Zn、Sn、Ni、Co、Bi等から選ばれる1種又は2種以上の金属成分が含まれている場合には、そうした含有成分は、第1の溶融はんだ5aに含まれる錫と化合して錫化合物になって電極2が痩せてしまうという現象が起こる。
例えば、電極2が銅電極又は銅合金電極である場合は、その銅成分と第1の溶融はんだ中の錫とでCuSn化合物が容易に形成する(例えば図21を参照)。その結果、電極2を構成する銅成分が減少(電極溶食)して電極2が痩せてしまう。同様に、銀電極、銀合金電極、金電極、金合金電極、パラジウム電極、パラジウム合金電極、アルミニウム電極、アルミニウム合金電極等の電極2の構成成分として、Cu、Ag、Au、Pd、Rh、Zn、Sn、Ni、Co、Biのいずれか1種又は2種以上含まれる場合も、その1種又は2種以上の成分(M)と第1の溶融はんだ中の錫(Sn)とでMSn化合物が容易に形成する。その結果、電極2を構成する成分Mが減少して電極2が痩せてしまう。
電極2の形態や寸法は特に限定されないが、例えば図2、図9及び図24等に示すように、実装基板に設けられている電極パターンの場合は、例えばパターン幅又はパターン直径で、5μm以上又は10μm以上で、500μm以下の狭幅パターン又は微細円形パターンのものを例示することができる。また、例えば図18に示すように、電子部品に設けられている電極の場合は、その電子部品の種類に応じ、数百μm以上、数mm以下の程度の大きい寸法の電極を例示できる。
また、電極2の厚さも特に限定されないが、一例としては、例えば5μm以上、30μm以下の程度を挙げることができる。電極2が設けられる基材1の大きさや外形形状も特に限定されず、各種のものに対して本発明を適用できる。本発明に係る部品10の製造方法は、そうした電極2の表面に、電極成分の溶出を抑えることができる電極溶食防止層4を形成する方法である。
<接触工程>
接触工程は、上記の準備工程と下記の付着工程との間に設けられる工程であり、図1、図3(B)及び図4(B)に示すように、電極2と第1の溶融はんだ5aとの接触前に、第1の有機脂肪酸含有溶液3aの気体又は液体を電極2に接触させる工程である。
(接触形態)
電極2に対する第1の有機脂肪酸含有溶液3aの接触は、気体(蒸気ともいう。)として接触させてもよいし、液体として接触させてもよい。気体として接触させる場合は、有機脂肪酸含有溶液の蒸気雰囲気下に曝して接触させてもよいし、図3(B)及び図4(B)に示すように、ノズル11から第1の有機脂肪酸含有溶液3aの気体を噴射して接触させてもよい。また、第1の有機脂肪酸含有溶液3aを液体として接触させる場合は、第1の有機脂肪酸含有溶液3aの水槽中にディッピング(浸漬)して接触させてもよいし、図3(B)及び図4(B)に示すように、ノズル11から第1の有機脂肪酸含有溶液3aの液体を噴射して接触させてもよい。
(有機脂肪酸含有溶液)
第1の有機脂肪酸含有溶液3aは、炭素数が12以上、20以下の有機脂肪酸を含む溶液であることが好ましい。炭素数11以下の有機脂肪酸でも使用可能ではあるが、そうした有機脂肪酸は、吸水性があり、あまり好ましくない。また、炭素数21以上の有機脂肪酸は、融点が高いこと、浸透性が悪いこと、取扱いし難いこと等の難点がある。代表的なものとしては、炭素数16のパルミチン酸が好ましい。有機脂肪酸としては、炭素数16のパルミチン酸のみを用いることが特に好ましく、必要に応じて炭素数12以上、20以下の有機脂肪酸、例えば炭素数18のステアリン酸を含有させることもできる。
第1の有機脂肪酸含有溶液3aは、5質量%以上、25質量%以下の有機脂肪酸を含み、残部がエステル合成油からなるものが好ましく用いられる。こうした第1の有機脂肪酸含有溶液3aを用いることにより、その第1の有機脂肪酸含有溶液3aは、電極2の表面に存在する酸化物やフラックス成分等の不純物等を選択的に取り込み、電極2の表面を清浄化することができる。対象となる電極種は特に限定されず、一般的な銅電極、金めっき銅電極、銀めっき銅電極、金電極、銀電極、上記した他の電極等の各種の電極種に対しても同様に清浄化することができる。有機脂肪酸としては、特に炭素数16のパルミチン酸を用いることが好ましく、そのパルミチン酸を10質量%前後(例えば5質量%以上、15質量%以下)含有する第1の有機脂肪酸含有溶液3aが好ましい。なお、第1の有機脂肪酸含有溶液3aには、ニッケル塩やコバルト塩等の金属塩や酸化防止剤等の添加剤は含まれていない。
有機脂肪酸の濃度が5質量%未満では、電極2の表面に存在する酸化物やフラックス成分等の不純物を選択的に取り込んで精製する効果がやや低く、低濃度での管理が煩雑になることがある。一方、有機脂肪酸の濃度が25質量%を超えると、第1の有機脂肪酸含有溶液3aの粘度が高くなること、例えば280℃を超える高温領域では発煙と悪臭の問題を生ずること、等の問題がある。したがって、有機脂肪酸の含有量は、5質量%以上、20質量%以下であることが好ましく、特に炭素数16のパルミチン酸のみを用いる場合は、10質量%前後(例えば、5質量%以上、15質量%以下)の含有量であることが好ましい。
こうした第1の有機脂肪酸含有溶液3aの気体又は液体に接触させることにより、部品10’が有する電極2の表面に存在する酸化物や不純物等を除去して清浄化することができる。さらに、電極2の表面には、第1の有機脂肪酸含有溶液3aを構成する有機脂肪酸のコーティング膜3(図3(B)及び図4(B)を参照)が形成される。このコーティング膜3は、電極2の表面を清浄し、さらには電極2の表面の酸化を抑制して酸化被膜の生成や不純物の付着を極力抑制できるという利点がある。その結果、そうした酸化物や不純物等が電極の表面に極力存在しない状態で、第1の溶融はんだ5aを電極2の表面に接触させることができる(図3(C)、図4(C)、図5〜図7を参照)。こうした接触工程により、清浄化された電極2の表面に、電極溶食防止層4を欠陥等がない均一な厚さで形成することができる(図3(D)、図4(D)、図5〜図7を参照)。電極溶食防止層4は、ボイドの発生や欠陥の発生が抑制された状態で設けられるので、その後の工程(図11及び図12を参照)において、電極溶食防止層4上に第2の溶融はんだ16を接触させて設けられたはんだ層8(図13を参照)にも、ボイドの発生や欠陥の発生をより抑制することができる。
第1の有機脂肪酸含有溶液3aの気体又は液体の温度は特に限定されないが、比較的高めの温度にして接触させることが好ましい。そうした温度としては、例えば50℃以上、280℃以下の範囲が好ましい。その温度が280℃を超えると、煙が発生したり、悪臭が発生したりすることがある。
<付着工程>
付着工程は、図1、図2、図3(C)、図4(C)、図5〜図7に示すように、電極2に第1の溶融はんだ5aを接触させて電極2上に第1の溶融はんだ5aを付着させる工程である。この付着工程は、電極2上に第1の溶融はんだ5aを付着させて、電極2の表面に電極溶食防止層4を形成する電極溶食防止層4の形成工程と言い換えることができる。電極2への第1の溶融はんだ5aの接触手段は限定されず、各種の接触手段を挙げることができる。そうした接触手段として、下記の第1〜第3の形態のいずれかを好ましく挙げることができる。
下記の第1〜第3の形態の接触手段は、図8(A)及び図9(A)に示す配線パターン側の電極形態(電極2が基材1上に突出した形態)に対して良好にはんだ付けでき、さらに図8(B)及び図9(B)に示すBGA側の電極形態(絶縁膜80で電極パターンが形成されており、電極2は絶縁膜80の開口部内の窪みの底に設けられた形態)に対しても良好にはんだ付けできる。なお、従来のはんだ付け手段では、配線パターン側の電極形態に対しては歩留まり良くはんだ付けできても、BGA側の電極形態に対しては歩留まり良くはんだ付けできなかった。
(第1形態)
第1形態は、図5及び図6に示すように、第1の溶融はんだ液流5aを部品10’に衝突させる接触手段である。
図5の例は、部品10’を上下方向に移動させながら、重力で加速した第1の溶融はんだ液流5aを、上下方向に直交又は略直交する角度θで部品10’に衝突させる。この例では、溶融はんだ液流5aが横方向から電極2に衝突することにより、溶融はんだ液流5aが電極2の全面に余すところ無く接触し、電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できる点に特徴がある。
この例では、部品10’は、上方向又は下方向(鉛直方向と言うこともできる。)に移動する。図5に示すように部品10’を上方向に移動してもよいし、図示しないが部品10’を下方向に移動してもよい。部品10’を上方向に移動させながら第1の溶融はんだ液流5aを衝突させることが好ましく、下槽で有機脂肪酸含有溶液に浸漬した後の部品10’に第1の溶融はんだ液流5aを効果的に衝突させることができる。
第1の溶融はんだ液流5aは、例えば図5に示すように、ポンプ(図示しない)で汲み上げられた溶融はんだ液流5aが配管59を通って上方に設けられた貯蔵槽58に入り、その貯蔵槽58から自由落下し、その自重と重力によって配管57内で加速されて降下する。降下した溶融はんだ液流5aは、任意の速度にまで上昇し、方向転換部56でできるだけ減速させることなく方向を変え、ノズル先端55から部品10’に向けて勢いよく噴出して、部品10’に衝突する。
溶融はんだ液流5aとしては、後述する各種の溶融はんだの液流を用いることができる。例えば密度が約7.3g/cmの鉛フリーはんだ等を用いることができる。
溶融はんだ液流5aのノズル先端55での速度や溶融はんだ液流5aが電極2に衝突する圧力は、用いる溶融はんだ液流5aの密度、ノズル先端55から貯蔵槽58までの高さ(距離)、配管形態等を任意に設計して調整できる。配管形態とは、垂直降下させる配管57の径、方向変換部56の曲がりの程度、ノズル先端55の口径等を挙げることができる。また、これらの要素を基にして、溶融はんだ液流5aの速度や圧力を計算により算出することもできる。例えば密度が約7.3g/cmの鉛フリーはんだを用い、ノズル先端55から貯蔵槽58までの高さを例えば500mmや1000mmにした場合に、その貯蔵槽58から垂直に降下させた溶融はんだ液流5aの速度や圧力を計算できる。例えば、その高さを、例えば、500mm、1000mm、1500mm、又はそれ以上に高くするほど溶融はんだ液流5aの加速度が増し、溶融はんだ液流5aを勢いよく電極2に衝突させることができる。
第1の溶融はんだ液流5aは、その上下方向に直交又は略直交する角度θで部品10’に衝突する。ここで、「直交」とは90°のことであり、「略直交」とは厳密に90°に限定されるものではなく、「横方向から当たる」という意味である。したがって、「上下方向に直交又は略直交する角度で衝突させる」を「横方向から衝突させる」と言い換えてもよい。このときの横方向は、水平方向と言い換えてもよい。
溶融はんだ液流5aは、上記したように、横方向から水平に当ててもよいし、所定の角度θだけ上方から斜めに当ててもよい。角度θは、水平を0°とし、その水平線から上方に設けられた角度である。図5に示す例では、ノズル先端55は水平位置からが少しだけ下がるようにして設けられているので、溶融はんだ液流5aは、その角度θで電極2に向かって衝突する。この角度θは、溶融はんだ液流5aの流れ、速度、衝突圧力等によって調整され、特に限定されないが、一例としては、3°以上で、60°以下、好ましくは30°以下である。この好ましい範囲で電極2に衝突させることにより、溶融はんだ液流5aの速度を過度に減速させず、所望の衝突圧力で電極2に衝突させることができる。その結果、溶融はんだ液流5aを電極2の全面に余すところ無く接触させることができ、結果として電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できる。
ノズル先端55から、衝突させる電極2までの直線距離は、特に限定されないが、通常、20mm以上、60mm以下の程度を挙げることができる。また、ノズル先端55の形状も特に限定されないが、衝突させる電極形状や部品の大きさに応じて変化さることが好ましい。通常は、ノズル先端55を絞ったものを好ましく用いている。
図6の例は、部品10’を上下方向に移動させながら、ポンプで加圧した第1の溶融はんだ液流5aを、上下方向に直交又は略直交する角度θ(図6では省略。図5を参照。)で、横方向から部品10’に衝突させる。この例でも、溶融はんだ液流5aが横方向から電極2に衝突することにより、溶融はんだ液流5aが電極2の全面に余すところ無く接触し、電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できる点に特徴がある。ここで、「上下方向に移動させながら」、「直交」、「略直交」、「横方向から衝突させる」等は、図5で説明したものと同じである。
第1の溶融はんだ液流5aは、例えば図6に示すように、ポンプによって所定の圧力で送られたれた溶融はんだ液流5aが配管57を通って、ノズル先端55から部品10’に向けて勢いよく噴出して、部品10’に衝突する。溶融はんだ液流5aのノズル先端55から電極2に衝突する圧力は、ポンプ圧によって任意に調整できる。ポンプ圧を高くするほど、溶融はんだ液流5aを勢いよく電極2に衝突させることができる。この形態では、ポンプ圧によって衝突圧力を調整できるので、図6に示すように、横方向から水平に当ててもよい。また、図5に示したように、所定の角度θだけ上方から斜めに当ててもよい。
図5及び図6に示す第1形態では、部品10’を上方向(鉛直方向)に移動させている途中で横方向(水平方向)から溶融はんだ液流5aを衝突させている。こうすることで、その後に直ぐに後述する余剰はんだの除去工程を施すことができるので便利である。なお、その後の余剰はんだの除去手段によっては、部品10’を下方向に移動させても構わない。
第1の溶融はんだ液流5aが電極2に衝突する衝突圧力は、溶融はんだ液流5aが電極2の全面に余すところ無く接触し、電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できるように任意に設定される。したがって、その衝突圧力は特に限定されないが、例えば図5の例では、第1の溶融はんだ液流5aをその自重と重力加速度によって、0.5Pa以上、4.0Pa以下の圧力で電極2に衝突させることが好ましい。また、例えば図6の例も同様、第1の溶融はんだ液流5aをポンプによって、0.5Pa以上、4.0Pa以下の圧力で電極2に衝突させることが好ましい。
この第1形態の接触手段は、配線パターン側の電極形態であっても、BGA側の電極形態であっても、溶融はんだ液流5aが電極2の全面に余すところ無く接触し、電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できる。
(第2形態)
第2形態は、図3(C)及び図4(C)に示すように、部品10’を横方向に移動させながら、第1の溶融はんだ液流5aを、部品10’の上方から所定の角度で電極2に衝突させて付着させる。こうした付着手段により、電極2上に滞留した溶融はんだ5a自身で減速されることなく、溶融はんだ液流5aが上方向から電極2に強く衝突する。その結果、図3(D)及び図4(D)に示すように、溶融はんだ液流5aが電極2の全面に余すところ無く接触し、電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できる。
このときの衝突は、加熱溶融させた第1の溶融はんだ液流5aをノズル12の先端から電極2に向けて吹き付けて行う。吹き付けられた第1の溶融はんだは、電極2上に盛り上がっている。第1の溶融はんだ液流5aを部品10’に向けて衝突させるときのノズル先端からの噴射圧も、上記同様、第1の溶融はんだ液流5aが電極2の全面に余すところ無く接触し、電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できるように任意に設定される。したがって、その噴射圧は特に限定されないが、上記した衝突圧力と同様、例えば図3(C)及び図4(C)の噴射圧が0.5Pa以上、4.0Pa以下であることが好ましい。
第1の溶融はんだ液流5aの噴射角度は、横方向に移動する部品10’の速度、噴射圧、噴射量によって任意に設定される。その噴射角度の一例としては、例えば部品10’面に対して、20°以上、85°以下であることが好ましい。この噴射角度で第1の溶融はんだ液流5aを部品面に向けて噴射し、衝突させることにより、溶融はんだ液流5aを電極2の全面に余すところ無く接触させることができ、結果として電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できる。
ノズル12の先端口の向きは、特に限定されず、部品10’が移動する方向と同じ方向でも逆方向でもよいが、好ましくは逆方向に向いていることが好ましい。逆方向とは、ノズル12の先端が左に向いている図3(C)及び図4(C)の例では、部品10’は右方向に移動する場合が好ましい。ノズル12の先端の向きと逆方向、すなわちノズル12の先端に向かうように部品10’を移動させることにより、溶融はんだ液流5aを電極2の全面に余すところ無く接触させることができ、結果として電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できる。
この第2形態の接触手段は、配線パターン側の電極形態であっても、BGA側の電極形態であっても、溶融はんだ液流5aが電極2の全面に余すところ無く接触し、電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できる。
(第3形態)
第3形態は、図7に示すように、部品10’を上下方向に移動させて第1の溶融はんだ5aで満たしたはんだ槽52中に浸漬した後に引き上げる途中で、部品10’を第1の溶融はんだ5aの液面53に配置されたスリット51を通過させて付着させる。こうした方法により、部品10’は、第1の溶融はんだ5aの液面53(表面ともいう。)に配置されたスリット51を通過させて行うので、そのスリット51を通過する際の表面張力の作用により、溶融はんだ5aが電極2の全域に回り込む。その結果、電極2上には満遍なく第1の溶融はんだ5aを付着させることができる。
第1の溶融はんだ5aは、後述する所定の温度で溶融している。その第1の溶融はんだ5aの上に載るようにスリット51が配置されている。配置されたスリット51は、所定の間隔が開いている。その間隔は、そのスリット51を通過させる部品10’の厚さ寸法に応じて任意に調整される。具体的には、図7(A)に示すように、部品10’の表面からスリット51の端部までのギャップg1,g2が、0.1mm以上、5mm以下の範囲内であることが好ましい。したがって、部品10’の厚さが厚い場合は、両側のギャップg1,g2が上記範囲内になるように、スリット51の開口寸法を大きくし、部品10’の厚さが薄い場合は、両側のギャップg1,g2が上記範囲内になるように、スリット51の開口寸法を小さくする。
この第3形態では、先ず、図7(B)に示すように、部品10’をはんだ槽52中に浸漬する。このときは、電極2上には、第1の溶融はんだ5aが十分に付着していない。その後、浸漬した部品10’がスリット51間を引き上がる際に、部品10’とスリット51との間の狭いギャップg1,g2で、図7(C)に示すように、第1の溶融はんだ5aが表面張力で引き上げられる。その表面張力で引き上げられた第1の溶融はんだ5aは、配線パターン側の電極形態であっても、BGA側の電極形態であっても、電極2の全面に余すところ無く接触し、電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できる。ギャップg1,g2が5mmを超える場合は、特にBGA側の電極2へのはんだ付けが十分でない。一方、ギャップg1,g2が0.1mm未満では、部品10’の幅に対してスリット間が狭いので、部品10’の引き上げに過度に注意を払う必要があり、製造が困難になりやすい。
(第1の溶融はんだ)
上記した第1〜第3形態で用いる第1の溶融はんだ5aは、加熱して溶融した液流であって、落下又は噴射させて、部品10’に衝突又は回り込ませることができる程度に流動化したものを用いる。その加熱温度は、電極組成やはんだ組成によって任意に選択されるが、通常、150℃以上、300℃以下の程度の範囲内から良好な温度が設定される。
本発明では、電極2が銅電極又は銅合金電極である場合には、錫を主成分とし、ニッケルを副成分として少なくとも含む溶融鉛フリーはんだが好ましく用いられる。また、錫ビスマス系はんだに少なくともニッケルを副成分として含む低融点溶融はんだも好ましく用いられる。こうした溶融鉛フリーはんだには、さらに、銅、ゲルマニウム及びリンから選ばれる1種又は2種以上が副成分として任意に含まれていてもよい。また、さらに銀が含まれていてもよいが、本発明によれば、濡れ性を向上させると一般的にいわれている高価な銀を含まなくても、均一なはんだ付けが可能になるという利点がある。なお、上記したように、銅電極又は銅合金電極以外の電極に対しては、その電極成分に対応した組成の溶融はんだが任意に選択されて適用される。
第1の溶融はんだ5aを構成するはんだとしては、例えば、SnNi系はんだ、SnCuNi系はんだ、SnGeNi系はんだ、SnPNi系はんだ、SnCuGeNi系はんだ、SnCuGePNi系はんだ、SnAgCuNi系はんだ、SnZnAlNi系はんだ、SnAgCuGeNi系はんだ、SnSbNi系はんだ、等を用いることができる。また、低融点はんだとしては、SnBiNi系はんだ、SnBiZnNi系はんだ、SnBiAgInNi系はんだ、等を挙げることができる。
こうした処理により、第1有機脂肪酸含有溶液で既に清浄化された電極2の表面に、電極溶食防止層4を形成することができる。電極溶食防止層4は、欠陥等が極力抑えられ、均一な厚さで形成されている。その厚さは、最も薄い部分の厚さが少なくとも0.5μm以上であり、最も厚い部分の厚さが3μm以下であり、最も薄い部分と最も厚い部分を含む電極溶食防止層全体の平均厚さが1μm以上、2μm以下である。
以下では、電極2が銅電極又は銅合金電極である場合の好ましい形態について説明するが、その他の成分で構成された電極も同様の観点で任意に適用できる。
電極2が銅電極又は銅合金電極である場合も、上記した各種のはんだを用いることができ、いずれの場合も本発明の効果を奏することができる。特に好ましいはんだとしては、Sn−Ni−Ag−Cu−Geの5元系はんだ合金、Sn−Ni−Cu−Geの4元系はんだ合金、Sn−Ni−Cuの3元系はんだ合金、Sn−Ni−Geの3元系はんだ合金等、上記した各種のはんだ合金を適用できる。Sn−Ni−Ag−Cu−Geの5元系はんだは、例えば、ニッケル0.01質量%以上0.5質量%以下、銀2質量%以上4質量%以下、銅0.1質量%以上1質量%以下、ゲルマニウム0.001質量%以上0.02質量%以下、残部が錫のはんだ合金である。Sn−Ni−Cu−Geの4元系はんだは、例えば、ニッケル0.01質量%以上0.5質量%以下、銅0.1質量%以上1質量%以下、ゲルマニウム0.001質量%以上0.02質量%以下、残部が錫のはんだ合金である。Sn−Ni−Cuの3元系はんだは、例えば、ニッケル0.01質量%以上0.5質量%以下、銅0.1質量%以上1質量%以下、残部が錫のはんだ合金である。これらのはんだ合金からなる溶融はんだ5aは、銅電極の溶食を安定して抑えることができるCuNiSn金属間化合物4(図21(B)参照。)を電極溶食防止層4として形成するために好ましい。そうしたCuNiSn金属間化合物4を形成するための特に好ましい組成は、ニッケル0.01質量%以上、0.1質量%以下含有するはんだ合金である。こうしたはんだ合金ではんだ付けする場合は、240℃以上、260℃以下の温度の第1の溶融はんだ5aとして用いることが好ましい。
また、ビスマスを含む所謂低融点はんだは、第1の溶融はんだ5aの加熱温度をさらに低温化することができ、その成分組成を調整することにより、例えばはんだ付け温度を150℃近くまで低温化させることができる。ビスマスを含有するはんだ組成も、上記同様、ニッケルを0.01質量%以上、0.5質量%以下含有することが好ましく、0.01質量%以上、0.1質量%以下含有することがより好ましい。こうすることにより、CuNiSn金属間化合物層4を電極溶食防止層として容易に形成できる低温型の第1の溶融はんだ5aとすることができる。
また、その他の亜鉛、銅、ゲルマニウム、アンチモン等も、必要に応じて配合される。いずれの場合であっても、はんだ組成は、少なくともニッケルを0.01質量%以上、0.5質量%以下含有することが好ましく、0.01質量%以上、0.1質量%以下含有することがより好ましい。
こうした組成の第1の溶融はんだ5aは、鉛を含まない鉛フリーはんだであるとともに、上記含有量のニッケルを必須に含むので、図21(B)に示すように、第1の溶融はんだ5aに含まれるニッケルが銅電極2の銅と化合し、さらに第1の溶融はんだ5aの錫とも化合して、CuNiSn金属間化合物層4を銅電極2の表面に容易に形成することができる。形成されたCuNiSn金属間化合物層は、銅電極2の電極溶食防止層4として作用し、銅電極2の欠損や消失を防ぐように作用する。したがって、CuNiSn金属間化合物層4を有する電極2は、その後において、その電極2上にCuNiSn金属間化合物層4が形成された部品10をはんだ槽中にディッピングするディッピング工程に投入する場合のように、銅電極2にとって過酷とも言える処理にも容易に耐えることができる。そのため、低コストのはんだディッピング工程を適用しても、最初にディッピング(浸漬)する部分と、最後にディッピングする部分とで、電極溶食の差をより抑えることができ、同じ部品10の各部で電極2の信頼性の差を極力抑えることができる。その結果、歩留まりがよく、信頼性の高い部品10を提供できる。さらに、部品10への電子部品の実装等を低コストで信頼性高く行うことができる。
また、図11及び図12に示すように、ディッピング工程ではんだ層8が設けられた部品20は、その後、そのはんだ層8に電子部品を実装する実装工程で、複数の熱処理(リフロー炉)が施され、その熱処理時間も短いものから長いものまである場合であっても、電極溶食防止層4は、熱処理による電極2の溶食を抑制して、はんだ接続部での部品実装の信頼性を維持することができる。また、上記のように、電極溶食防止層4上に設けられたはんだ層8は、ボイドの発生や欠陥の発生をより抑えることができるので、はんだ接続部での部品実装の信頼性を維持することができる。
第1の溶融はんだ5aに含まれるニッケル含有量は、後述の実施例に示すように、CuNiSn金属間化合物層4の厚さに影響する。具体的には、ニッケル含有量が0.01質量%以上、0.5質量%以下(好ましくは0.1質量%以下)の範囲では、1μm以上、3μm以下mの程度の略均一厚さのCuNiSn金属間化合物層4を生成できる。この範囲内の厚さのCuNiSn金属間化合物層4は、銅電極2中の銅が第1の溶融はんだ5a中に溶け込んで溶食されるのを抑えることができる。
ニッケル含有量が0.01質量%では、CuNiSn金属間化合物層4の厚さが約1μm以上、1.5μm以下の程度になり、ニッケル含有量が例えば0.1質量%では、CuNiSn金属間化合物層4の厚さが約2μm程度になり、ニッケル含有量が0.5質量%では、CuNiSn金属間化合物層4の厚さが約3μm程度になる。
ニッケル含有量が0.01質量%未満では、CuNiSn金属間化合物層4の厚さが1μm未満になって、そのCuNiSn金属間化合物層4が銅電極2を覆いきれない箇所が生じ、その箇所から銅の溶食が起こりやすくなることがある。ニッケル含有量が0.5質量%を超えると、硬いCuNiSn金属間化合物層4が厚さ3μmを超えてさらに厚くなり、そのCuNiSn金属間化合物層4に亀裂が生じることがある。その結果、その亀裂部分から銅の溶食が起こりやすくなる。
好ましいニッケル含有量は0.01質量%以上、0.1質量%以下であり、この範囲のニッケル含有量を有する第1の溶融はんだ5aは、ニッケル含有量が0.1質量%を超え、0.5質量%以下の場合に比べて、CuNiSn金属間化合物層4の亀裂を起こすことをより抑制でき、平均厚さが1μm以上、2μm以下の平滑で均一な電極溶食防止層4層を形成することができる。また、ニッケル含有量が0.1質量%を超えて多くなると、生成したCuNiSn金属間化合物層4もより厚くなる傾向になり、その結果、生成するCuNiSn金属間化合物層4が電極2中の銅成分を取り込むことになって、結果として電極2中の銅が溶食される傾向が生じる。
第1の溶融はんだ5aの温度は、融点を超える温度であればよく、その温度は用いる第1の溶融はんだ5aの種類に応じて任意に設定される。通常は、第1の溶融はんだ5aの融点よりも例えば20℃高い温度から100℃高い温度の範囲に加熱することが好ましい。上記した各種のはんだは、上記温度範囲にして第1の溶融はんだ5aの液流とし、上記した第1〜第3形態のように、電極2に向けて衝突させ又は回り込ませる。
例えば、後述する実施例に記載の融点217℃前後のSn−Ni−Ag−Cu−Geの5元系はんだ、Sn−Ni−Cu−Geの4元系はんだ、Sn−Ni−Cuの3元系はんだ等を用いた場合は、はんだ温度を250℃前後に設定することが好ましい。はんだ温度が融点よりも20℃高い温度以上ではない場合(20℃高い温度未満の場合)は、電極2への溶融はんだ液流5aを衝突等させることによって得られたはんだの付着が不十分になることがある。一方、はんだ温度が融点よりも100℃高い温度以下ではない場合(100℃高い温度を超える場合)は、温度が高すぎて、電極溶食防止層4の厚さが厚くなり易く、結果として電極成分が溶食されてしまうことがある。
電極2と第1の溶融はんだ5aとの接触時間は、少なくとも電極溶食防止層4が形成される時間が必要であり、さらに、電極成分の溶食を抑えることができ、さらに、電極溶食防止層4の厚さが過度に厚くならない程度の時間であることが好ましい。そうした時間は、はんだの種類やはんだの温度によっても異なるので一概には言えないが、通常、電極溶食防止層4の厚さが0.5μm以上、3μm以下の範囲内になる時間である。より好ましくは、電極溶食防止層4の平均厚さが1μm以上、2μm以下の範囲内になる時間であることが好ましい。電極溶食防止層4の厚さが0.5μm以上、3μm以下の範囲内になる時間としては、例えば、1秒以上、45秒以下、好ましくは1秒以上、20秒以下、より好ましくは1秒以上、10秒以下である。こうした範囲内ではんだ付けすることにより、電極溶食防止層4を0.5μm以上、3μm以下の範囲内で形成し易い。時間が短すぎる場合は、所望の厚さの電極溶食防止層4を形成できずに欠陥を有することがあり、第2の溶融はんだとの接触時にその欠陥から電極成分が溶出してしまうことがある。一方、時間が長すぎる場合は、電極溶食防止層4が厚くなりすぎて脆くなり、亀裂が生じてしまうことがある。そして、第2の溶融はんだとの接触時にその亀裂から電極成分が溶出してしまうことがある。また、時間が長すぎる場合は、電極溶食防止層4の厚さが厚くなり易く、結果として電極成分が溶食されてしまうことがある。なお、第1の溶融はんだ液流5aは、ニッケルを少なくとも含むはんだ組成であるので、上記範囲であったとしても、電極上に形成さえた電極溶食防止層4の作用により、電極成分が溶解して電極2が溶解するのを抑制することができる。
(付着雰囲気)
上記した第1〜第3形態の付着手段において、溶融はんだ液流5aと電極2との接触時の雰囲気は特に限定されないが、その後に余剰の第1の溶融はんだ5aを各種の手段で除去することから、「第1の溶融はんだの付着工程」と「余剰はんだの除去工程」の両方の工程で処理する間、雰囲気温度は第1の溶融はんだ5aとしての溶融状態をそのまま維持できる温度(融点が217℃前後のはんだを用いた上記の例では、240℃以上、260℃以下の温度)に保持されている必要がある。そうした雰囲気温度としては、具体的には、はんだ付けする第1の溶融はんだ5aの種類に対応した温度と同じ又はそれに近い温度であることが好ましい。
なお、図5及び図6に示す第1形態と、図3(C)及び図4(C)に示した第2形態では、「雰囲気とは、第1の溶融はんだ液流5aが電極2に衝突する部分の雰囲気、及び、その後に電極2に付着した余剰はんだを除去する雰囲気の両方である。また、図7に示す第3形態では、「雰囲気」は、第1の溶融はんだ槽52から部品10’が引き上げられた後の部分の雰囲気、及び、その後に電極2に付着した余剰はんだを除去する雰囲気の両方である。
雰囲気の温度と、溶融はんだ5aの温度とは、同じ温度であってもよく、実用上問題ない。ただし、雰囲気温度を第1の溶融はんだ5aの温度よりもやや高く設定することが好ましい。例えば、雰囲気温度が、第1の溶融はんだ5aの液流温度に比べて、2℃以上、10℃以下の高さで設定されていることが好ましく、2℃以上、5℃以下の温度に設定されていることがより好ましい。雰囲気温度をこうした温度範囲内とすることにより、電極2の表面に衝突又は回り込みした後の第1の溶融はんだ5aの液流をその電極2の表面に満遍なく流動させることができ、特に有機脂肪酸含有溶液で精製した溶融はんだ5aを用いた場合には、電極表面、電極側面等の隅々にまで第1の溶融はんだ5aを広げることができる。また、電極溶食防止層4上に残る余剰はんだの量を最小限にすることができる。その結果として、亀裂のない一定厚さの電極溶食防止層4を電極上に満遍なく形成することができる。雰囲気温度が第1の溶融はんだ5aの液流温度よりも低い場合は、第1の溶融はんだ5aの流動性が低下することがあり、一方、雰囲気温度が10℃を超える高さで設定されると、温度が高すぎて基板に熱ダメージを与えるおそれがある。
その雰囲気は、空気雰囲気、窒素等の不活性雰囲気、有機脂肪酸含有溶液の蒸気雰囲気のいずれかの雰囲気又はそれら1若しくは2以上の混合雰囲気であってもよい。中でも、有機脂肪酸含有溶液の蒸気を含む雰囲気が好ましい。例えば、有機脂肪酸含有溶液の蒸気雰囲気、又は、有機脂肪酸含有溶液の蒸気に空気又は不活性ガスが混合した雰囲気が好ましい。有機脂肪酸含有溶液の蒸気雰囲気とすることにより、第1の溶融はんだ液流5aとの接触時に電極2が酸化したり不純物で汚染されたりすることがない。また、その後の余剰はんだの除去工程でも、電極溶食防止層4が形成された電極2が酸化したり不純物で汚染されたりすることがない。
この雰囲気は、有機脂肪酸含有溶液の蒸気又はその混合気体等で満たされており、加圧状態になっていることが好ましい。雰囲気内の圧力は特に限定されないが0.1Pa前後であることが好ましい。特に有機脂肪酸含有溶液の蒸気によって上記範囲の加圧状態になっていることにより、部品10’の電極2が酸化したり不純物で汚染されたりすることがない。有機脂肪酸含有溶液の蒸気は、どのような手段で供給されてもよい。例えば、図5及び図6に示すように、その下に位置する有機脂肪酸含有溶液3aを含む槽から蒸発した有機脂肪酸含有溶液の蒸気であってもよい。また、別の蒸気発生装置(図示しない)で発生させた蒸気を、配管等で供給したものであってもよい。
このときの有機脂肪酸含有溶液は、上記した第1の有機脂肪酸含有溶液3aと同じく、炭素数が12以上20以下の有機脂肪酸を含む溶液であることが好ましい。代表的なものとしては、炭素数16のパルミチン酸が好ましい。有機脂肪酸としては、炭素数16のパルミチン酸のみを用いることが特に好ましく、必要に応じて炭素数12以上20以下の有機脂肪酸、例えば炭素数18のステアリン酸を含有させることもできる。そして、有機脂肪酸含有溶液は、5質量%以上25質量%以下のパルミチン酸を含み、残部がエステル合成油からなるものが好ましく用いられる。こうした有機脂肪酸含有溶液を加温して蒸気発生源として用いることにより、発生した蒸気が電極2の表面に存在する酸化物やフラックス成分等の不純物を選択的に取り込み、電極2の表面を清浄化することができる。特に、炭素数16のパルミチン酸を10質量%前後(例えば、5質量%以上15質量%以下)含有する有機脂肪酸含有溶液の蒸気雰囲気が好ましい。なお、有機脂肪酸含有溶液には、ニッケル塩やコバルト塩等の金属塩や酸化防止剤等の添加剤は含まれていない。なお、有機脂肪酸の濃度の上下限は、上記した第1有機脂肪酸含有溶液3aで説明したのと同じであるので、ここではその説明を省略する。
(精製処理)
第1の溶融はんだ5aは、精製処理されていることが好ましい。具体的には、炭素数12〜20の有機脂肪酸を5質量%以上、25質量%以下含有する溶液を180℃以上、280℃以下に加熱し、その加熱された溶液と第1の溶融はんだ5aとを接触させて激しく撹拌混合する。こうすることにより、酸化物とフラックス成分等で汚染された精製処理前の第1の溶融はんだ5aを清浄化することができ、酸化物やフラックス成分等を除去した第1の溶融はんだ5aを得ることができる。その後、酸化物やフラックス成分等が除去された第1の溶融はんだ5aを含む混合液を、有機脂肪酸含有溶液貯槽に導入し、その有機脂肪酸含有溶液貯槽中において比重差で分離した清浄化後の第1の溶融はんだ5aをその有機脂肪酸含有溶液貯槽の底部からポンプで鉛フリーはんだ液貯槽に戻す。こうした精製処理を行うことで、液流として使用する第1の溶融はんだ5a中の銅濃度及び不純物濃度の経時的な上昇を抑制し、かつ酸化物やフラックス残渣等の不純物を鉛フリーはんだ液貯槽に持ち込ませないようにすることができる。その結果、鉛フリーはんだ液貯槽内の第1の溶融はんだ5aの経時的な組成変化を抑制することができるので、安定した接合信頼性の高い第1の溶融はんだ5aを用いることができる。
精製された第1の溶融はんだ5aは、電極2の接合品質に影響する酸化物やフラックス残渣等の不純物を極力含まない。その結果、電極2と電子部品との接合品質のロット間ばらつきを極めて少なくすることができ、経時的な品質安定性に寄与することができる。
また、有機脂肪酸含有溶液で精製された第1の溶融はんだ5aは、有機脂肪酸含有溶液で精製されていない溶融はんだに比べて、濡れ性が劣るという結果が得られている。具体的には、後述の実施例と比較例で得られたはんだ濡れ性試験(メニスコグラフ)の結果からもわかるように、精製された第1の溶融はんだ5aのゼロクロスタイムは0.4秒であったが、未精製の溶融はんだのゼロクロスタイムは5秒であった。
また、有機脂肪酸含有溶液で精製された第1の溶融はんだ5aは、有機脂肪酸含有溶液で精製されていない溶融はんだに比べて、粘度が顕著に小さいという結果が得られている。具体的には、後述の実施例と比較例で得られた結果からもわかるように、精製された第1の溶融はんだ5aの粘度は、溶融状態で0.002Pa・s以上、0.004Pa・s以下であるのに対し、未精製の溶融はんだの粘度は、溶融状態で0.005Pa・s以上、0.008Pa・s以下であり、両者には約2倍の顕著な差があった。なお、後述の実施例と比較例で用いた溶融はんだは、いずれも融点が217℃程度であり、上記した粘度の範囲は少なくとも240℃以上、260℃以下の温度範囲で得られた結果である。粘度は振動片式粘度計で測定した。
精製された第1の溶融はんだ5aと未精製の溶融はんだとの上記特性差は、第1の溶融はんだ5aの液流が電極2上の隅々まで良好なはんだ濡れ性で満遍なく広がることを意味している。特に、第1の溶融はんだ5aを電極2上に衝突させる前に、精製に用いる有機脂肪酸含有溶液3aをその電極2に接触(吹きつけ、浸漬)させることにより(図3(B)及び図4(B)を参照)、その有機脂肪酸含有溶液3aが電極2の表面に存在する酸化物や不純物等を除去するように清浄化する。こうして清浄化された電極表面に、同じく有機脂肪酸含有溶液で精製されて粘度が上記範囲内(0.002Pa・s以上、0.004Pa・s以下)の第1の溶融はんだ5aを衝突させて付着させることにより、第1の溶融はんだ5aを電極表面上にはんだ濡れ性よく、満遍なく一様に濡れ広げることができる。その結果、第1の溶融はんだ5aに含まれるニッケル成分と錫成分が電極2に含まれる例えば銅成分に化合して電極溶食防止層4であるCuNiSn金属間化合物層を、電極表面の隅々まで生成させることができる。
一方、清浄化された電極表面に未精製の溶融はんだを衝突させて付着させた場合は、溶融状態での粘度が0.005Pa・s以上、0.008Pa・s以下と高く、前記のような濡れ性よく濡れ広がることがなく、電極表面に第1の溶融はんだ5aが満遍なく濡れ広がらない。そのため、電極溶食防止層4を電極表面の隅々まで生成することができない。これらの結果は、有機脂肪酸含有溶液で清浄化された電極表面に、有機脂肪酸含有溶液で精製した第1の溶融はんだ5aを衝突させて付着させることが、電極溶食防止層4の形成の点からも顕著な効果を導くことを示している。
精製に用いる有機脂肪酸含有溶液に含まれる有機脂肪酸は、上記した接触工程で適用する第1の有機脂肪酸含有溶液3aに含有させるものと同じものであることが好ましい。用いる有機脂肪酸含有溶液の成分や含有量等は上記した第1の有機脂肪酸含有溶液と同じであるのでここではその説明を省略する。
精製に用いる有機脂肪酸含有溶液の温度は、精製する第1の溶融はんだ5aの融点で決まり、有機脂肪酸含有溶液と第1の溶融はんだ5aとは、少なくとも第1の溶融はんだ5aの融点以上の高温領域(一例として、融点が217℃前後のはんだでは240℃〜260℃)で激しく撹拌接触させる。また、有機脂肪酸含有溶液の上限温度は、発煙の問題や省エネの観点から280℃程度であり、望ましくは精製処理する第1の溶融はんだ5aの融点以上の温度〜260℃の範囲である。例えば、ニッケル0.01質量%以上0.1質量%以下、銀0.1質量%以上4質量%以下、銅0.1質量%以上1質量%以下、ゲルマニウム0.001質量%以上0.01質量%以下、残部が錫のはんだ合金は、融点が217℃前後であり、240℃以上、260℃以下の温度で第1の溶融はんだ5aとして用いるので、有機脂肪酸含有溶液の温度もそれと同じ240℃以上、260℃以下の程度であることが好ましい。
<除去工程>
除去工程は、上記した第1〜第3形態のいずれでも行われる工程であり、第1の溶融はんだ液流5aを衝突又は回り込ませて付着した余剰のはんだを除去する工程である。具体的には、図1、図2、図3(E)及び図4(E)に示すように、付着した第1の溶融はんだ5aに向けて、気流14又は流体6aを噴射して除去する工程である。気流14又は流体6aとしては、第2の有機脂肪酸含有溶液の気体(蒸気ともいう。以下同じ。)若しくは液体を含有する雰囲気下での不活性ガス又は空気、第2の有機脂肪酸含有溶液の気体若しくは液体を含む流体、又は、不活性ガス又は空気、を挙げることができる。なお、以下では、図3及び図4の第2形態の例で説明する。
(噴射処理)
噴射処理は、余剰の溶融はんだを除去することができればよく、その除去で行う噴射流体は、気体でも液体でもよい。噴射は、例えば第2形態の例で説明すれば、例えば図3(E)に示すように、有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を含む流体6aの噴射により行ってもよし、図4(E)に示すように、有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を含有する雰囲気6bの下での不活性ガス又は空気等の気体14の噴射により行ってもよいし、図示しないが、有機脂肪酸含有溶液で精製処理された第1の溶融はんだ5aで付着処理した場合や、有機脂肪酸含有溶液で精製処理しない第1の溶融はんだ5aであっても、その第1の溶融はんだ5aを付着処理した後に、その第1の溶融はんだ5aに有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を付着させた場合には、不活性ガス又は空気等の気流のみの噴射により行ってもよい。
なお、有機脂肪酸含有溶液で精製処理された第1の溶融はんだ5aで付着処理した場合は、図3(E)や図4(E)に示すように、有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を含む流体6aの噴射や、有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を含有する雰囲気6bの下での不活性ガス又は空気等の気体14の噴射、による噴射処理を行ってもよい。また、有機脂肪酸含有溶液で精製処理しない第1の溶融はんだ5aを付着処理した後に、その第1の溶融はんだ5aに有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を付着させた場合も同様、図3(E)や図4(E)に示すように、有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を含む流体6aの噴射や、有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を含有する雰囲気6bの下での不活性ガス又は空気等の気体14の噴射、による噴射処理を行ってもよい。
こうすることにより、第1の溶融はんだ5aの除去と同時に、電極溶食防止層4やその電極溶食防止層4上に付着したはんだの酸化を防止するコーティング膜6が形成される。その結果、電極2上に電極溶食防止層4が設けられた態様での保管又は流通を問題なく行うことができ、保管又は流通させた後に他の溶融はんだ(第2の溶融はんだ16。図11及び図12を参照。)にディッピングさせて、電極2上にはんだ層8(図13参照。)を所望の厚さ設ける場合であっても、はんだ濡れ性よくはんだ層8を形成することができる。
具体的には、有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を含む流体6aの噴射により行う場合は、図3(E)に示すように、電極2に盛り上がって付着した第1の溶融はんだ5aに向けて、有機脂肪酸含有溶液の蒸気や有機脂肪酸含有溶液の液体をノズル13から噴射させる。このときの有機脂肪酸含有溶液には、窒素ガス等の不活性ガスや空気等を一部混入させてもよい。一方、水又は水蒸気は、電極溶食防止層4やはんだの酸化や、有機脂肪酸含有溶液への相溶性の観点から混入させない。また、有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を含有する雰囲気6bの下での不活性ガス又は空気等の気体14の噴射により行う場合は、図4(E)に示すように、有機脂肪酸含有溶液の蒸気雰囲気又は液体雰囲気(液体中)で、電極2に盛り上がって付着した第1の溶融はんだ5aに向けて、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス(希ガスを含む)又は空気等の気体14をノズル13から噴射させる。また、有機脂肪酸含有溶液で精製処理された第1の溶融はんだ5aで付着処理した場合や、有機脂肪酸含有溶液で精製処理しない第1の溶融はんだ5aであっても、その第1の溶融はんだ5aを付着処理した後に、その第1の溶融はんだ5aに有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を付着させた場合も、図4(E)に示すように、電極2に盛り上がって付着した第1の溶融はんだ5aに向けて、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス(希ガスを含む)又は空気等の気体14をノズル13から噴射させる。
余剰の第1の溶融はんだ5aを除去するために噴射する気体としては、特に限定されないが、好ましくは、窒素、アルゴン、空気、有機脂肪酸含有溶液の蒸気、又はそれらの2種以上の混合気体、を用いることができる。また、液体としては、有機脂肪酸含有溶液を用いることが好ましい。なお、そうした気体又は液体の温度は、それらを噴射する際に、余剰の第1の溶融はんだ5aが冷却されて凝固しない温度で噴射することが好ましい。
そうした温度としては、第1の溶融はんだ5aの融点等によっても異なるが、通常、第1の溶融はんだ5aの融点よりも20℃高い温度以上であることが好ましい。第1の溶融はんだ5aの融点よりも20℃高い温度以上ではない場合、すなわち、第1の溶融はんだ5aの融点よりも20℃高い温度未満の場合は、気体又は液体の噴射によって除去すべき第1の溶融はんだ5aが凝固して除去できないことがある。例えば後述する実施例で用いた5元系はんだ、4元系はんだ又は3元系はんだの場合は、融点が217℃前後であるので、噴射する気体又は液体の温度は、240℃以上であることが好ましい。
なお、噴射する気体又は液体の温度があまり高すぎると、その熱によって基材1が損傷してしまうという問題が生じるので、その温度は無制限に高くせず、使用する第1の溶融はんだ5aの融点よりも100℃高い温度以下の範囲で行うことが好ましい。例えば後述する実施例で用いた5元系はんだ、4元系はんだ又は3元系はんだの場合は、融点が217℃前後であるので、噴射する気体又は液体の温度の上限は、最大310℃程度であり、300℃以下が好ましく、260℃以下がより好ましい。
ノズル13から吹付ける流体6a(図3(E))や気体14(図4(E))の流速と吹付け処理時間は、第1の溶融はんだ5aの種類やコーティング膜6の厚さ等を考慮して任意に設定する。また、ノズル13の形状と吹付け角度等の条件についても、第1の溶融はんだ5aの種類やコーティング膜6の厚さ等を考慮して任意に適用又は設定する。吹き付け角度は特に限定されないが、ノズル13の中心軸と基材1の面との仮想角を例えば30°〜45°の範囲内にすることが好ましい。この除去工程で処理する間の雰囲気温度は、第1の溶融はんだ5aの溶融状態をそのまま維持できる温度に保持されている。そうした温度は、適用する第1の溶融はんだ5aの種類に応じて異なるが、融点が217℃前後の溶融はんだ5aを用いた上記の例では、240℃以上、260℃以下の温度に保持されている必要がある。
こうして、電極2上の電極溶食防止層4に付着した第1の溶融はんだ5aの余剰部分が吹き飛ばされて除去される。その結果、図8及び図9(C)(D)に示すように、電極2上に電極溶食防止層4が設けられ、その電極溶食防止層4上に薄い第1のはんだ層5が付着したまま残っている中間的な部品10を得ることができる。「中間的な」といったのは、このまま保存又は流通した後に、第2のはんだ層8が設けられて、図13〜図15に示すような実装基板20等になるからである。なお、「余剰の第1の溶融はんだ5a」とは、吹き飛ばされる第1の溶融はんだ5aのことを指し、電極溶食防止層4に付着したまま残っている第1の溶融はんだ5aは含まない。
図8及び図9(C)(D)に示す中間的な部品10は、電極2を両面に有している。BGA側の電極形態は、図8(A)の下面、図8(B)の両面及び図9(D)に示すように、例えば厚さ10μm〜30μm程度の絶縁膜80で電極パターンが形成されており、電極2は、絶縁膜80の開口部内の窪みの底に設けられている。一方、配線パターン側の電極形態は、図8(A)の上面及び図9(C)に示すように、電極2が基材1上に突出した形態で設けられている。上記した各処理を経ることにより、こうした異なる電極形態のいずれに対しても、満遍なく電極溶食防止層4を形成でき、最終的には図13〜図15に示すように、電極溶食防止層4上に第2のはんだ層8を形成できる。なお、第1のはんだ層5は、図8に示すように、実際には、余剰の第1の溶融はんだ5aが除去された後の電極溶食防止層4上に薄い厚さで付着している。なお、図9(A)(B)は付着前の一例である。
ここで、図10の光学顕微鏡写真を例にして従来例について説明する。図8(A)に示すように、基材1の上面には電極2が突出した配線パターンが配置され、基材1の下面には絶縁膜80の開口部内の窪み(深さは例えば10μm〜30μm程度)の底に電極2が設けられたBGA用パターンが配置されている部品を用い、その部品を横方向に移動させながら、上下から溶融はんだの噴流を与える従来の噴流はんだ付け方法ではんだ付け処理した。図10(A)の光学顕微鏡写真は、基材1の下面に設けられたBGA用パターン電極のはんだ付け状態を示している。一方、図8(A)の上下を逆にして、基材1の上面には、絶縁膜80の開口部内の窪みの底に電極2が設けられたBGA用パターンが配置され、基材1の下面には、電極2が突出した配線パターンが配置されている部品を用い、その部品を横方向に移動させながら、上下から溶融はんだの噴流を与える従来の噴流はんだ付け方法ではんだ付け処理した。図10(B)の光学顕微鏡写真は、基材1の上面に設けられたBGA用パターン電極のはんだ付け状態を示している。
図10(A)(B)の結果からわかるように、BGA用パターンは、上面にあるとき(図10(B))は比較的良好にはんだ付けされていたものの、下面にあるとき(図10(A))ははんだ付けが不十分で、銅電極の赤色が観察されていた。こうした結果より、溶融はんだが窪みの中にまで入り込みにくい構造であるBGA用パターンに対しては、下からのはんだ噴流ではんだ付けする従来の噴流方式は不十分であることを意味している。
一方、本発明の方法では、第1の溶融はんだ5aの付着工程において、第1〜第3形態で説明したように、部品10’を移動させながらその部品10’に第1の溶融はんだ液流5aを衝突させ又は回り込ませて行うので、いずれの場合も電極2上には満遍なく第1の溶融はんだ5aを付着させることができる。その結果、電極溶食防止層4が電極2上に満遍なく形成されるので、その電極溶食防止層4によって電極2の欠損や消失を防ぐことができる。
(有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体)
有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を含有した流体6aを用いて、図3(E)に示すように余剰の第1の溶融はんだ5aを除去する場合、その流体6a中の有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体の含有量は、その流体6aの全量に対して3容量%以上、20容量%以下であることが好ましい。この範囲内にすることにより、電極溶食防止層4上に、又は電極溶食防止層4に付着したまま残っている第1の溶融はんだ5a上に、有機脂肪酸のコーティング膜6を形成することができる。このコーティング膜6は、いわゆる油成分がコーティングされているものであり、極めて薄く、その厚さは容易には評価できない。このコーティング膜6が設けられることにより、その後に次工程に搬送する間や、そのまま流通させる場合であっても、電極溶食防止層4上に、又は電極溶食防止層4に付着したまま残っている第1の溶融はんだ5a上に、酸化物等を極力形成させないという利点がある。また、その後の第2の溶融はんだ16との接触時にも、その接触時の熱等によって、電極溶食防止層4上に、又は電極溶食防止層4に付着したまま残っている第1の溶融はんだ5a上に、酸化物等を極力形成させないという利点がある。
その含有量が3容量%未満では、電極溶食防止層4上、又は電極溶食防止層4に付着したまま残っている第1の溶融はんだ5a上への第2の溶融はんだ16を良好にはんだ付けできない場合があった。その理由は、コーティング膜6の厚さが薄すぎたためと考えられ、酸化物が形成したためであろうと考えられる。一方、その含有量が20容量%を超えると、20容量%のものと効果が変わらなかった。
有機脂肪酸含有溶液の流体6aを噴射して余剰の第1の溶融はんだ5aを除去する場合、用いる有機脂肪酸含有溶液は、上記した接触工程(図3(B))で用いたものと同じ有機脂肪酸含有溶液を用いることが好ましい。すなわち、炭素数12〜20の有機脂肪酸を5質量%以上、25質量%以下含有する有機脂肪酸含有溶液を用いることが好ましい。特に炭素数16のパルミチン酸を5質量%以上、15質量%以下含有する有機脂肪酸含有溶液が好ましく、必要に応じて炭素数12以上、20以下の有機脂肪酸、例えば炭素数18のステアリン酸を含有させることもできる。なお、有機脂肪酸含有溶液には、ニッケル塩やコバルト塩等の金属塩や酸化防止剤等の添加剤は通常は含まれないが、本発明の効果を阻害しない範囲で含まれていてもよい。
有機脂肪酸含有溶液は、第1の溶融はんだ5aの温度と同じ又は略同じ温度に加温されていることが好ましく、例えば180℃以上、280℃以下に加温した有機脂肪酸含有溶液を用いる。第1の溶融はんだ5aを上記同様に例えば240℃〜260℃の範囲で噴射して設けた場合には、その第1の溶融はんだ5aと同じ240℃〜260℃の温度の有機脂肪酸含有溶液を噴射して、余剰の第1の溶融はんだ5aを除去することが好ましい。なお、スプレー噴射した有機脂肪酸含有溶液と、その有機脂肪酸含有溶液とともに除去された第1の溶融はんだ5aとは、比重差で分離され、有機脂肪酸含有溶液の底に沈んだ第1の溶融はんだ5aを取り出して、有機脂肪酸含有溶液と分離することができる。分離された第1の溶融はんだ5aと有機脂肪酸含有溶液は、再利用することができる。
上記同様、有機脂肪酸含有溶液に含まれる有機脂肪酸は、炭素数11以下でも使用可能ではあるが、そうした有機脂肪酸は、吸水性があり、上記した180℃以上、280℃以下の高温域で使用する場合にはあまり好ましくない。また、炭素数21以上の有機脂肪酸は、融点が高いこと、浸透性が悪いこと、取扱いし難いこと等の難点があり、また、第1の溶融はんだ5aの表面に成膜されるコーティング膜6の防錆効果も不充分になる。炭素数16のパルミチン酸が好ましく用いられ、そのパルミチン酸のみを用いることが特に好ましく、必要に応じて炭素数12以上、20以下の有機脂肪酸、例えば炭素数18のステアリン酸を含有させることもできる。
こうした除去工程を不活性ガス又は空気等の気流のみの噴射により行う場合は、有機脂肪酸含有溶液で精製処理された第1の溶融はんだ5aで付着処理した場合や、有機脂肪酸含有溶液で精製処理しない第1の溶融はんだ5aを付着処理した後にその第1の溶融はんだ5aに有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を付着させた場合である。このときに用いる有機脂肪酸含有溶液も、上記同様のものが用いられる。
<冷却工程>
冷却工程は、余剰の第1の溶融はんだ5aが除去された電極2を第1の溶融はんだ5aの融点未満に下げる工程である。この冷却工程により、電極2の表面に形成された電極溶食防止層4を、亀裂のない所定の厚さ範囲にして、各部の電極溶食防止能を安定化させることができる。こうして形成された電極溶食防止層4は、電子部品を実装基板にはんだ付けする際に、従来のはんだ付け時に起こる電極成分の溶食を防止でき、実装基板の銅ランド等の電極2の信頼性を著しく高めることができる。
(冷却条件)
冷却工程での冷却温度は、用いた第1の溶融はんだ5aの融点を基準にして設定される。例えば用いた第1の溶融はんだ5aが後述する実施例で用いた5元系はんだ、4元系はんだ又は3元系はんだである場合は、その融点が217℃前後であるので、冷却温度はその融点未満の温度にすることが好ましい。冷却温度の下限は特に限定されず、20℃以上、50℃以下の程度の常温域であってもよい。こうした範囲内で冷却することにより、電極溶食防止層4をより安定化させることができる。
冷却態様は急冷であることが望ましく、放冷のようにゆっくり冷やすことは望ましくない。急冷することにより、電極2上に設けられた電極溶食防止層4に含まれる成分(例えばSn等)が、電極成分(例えばCu等)に化合して溶食してしまうのを抑制することができる。放冷のようにゆっくり冷やした場合は、電極溶食防止層4に含まれる成分(例えばSn等)が電極成分(例えばCu等)に化合し続け、結果として電極成分が溶食されることになる。
急冷としては、例えば、電極2が第1の溶融はんだ5aに接触した時点から、付着した第1の溶融はんだ5aを除去し、冷却する時点までの時間が、30秒以下であることが好ましい。この範囲で急冷することにより、上記効果を奏することができる。
急冷手段としては、冷却工程に供する部品を融点未満の雰囲気に接触させることにより容易に急冷することができる。特に、融点よりも40℃以上低い温度に接触させることが好ましい。そうした雰囲気への接触は、気体中であっても液体中であってもよいし、気体を吹き付けてもよいし、液体を吹き付けてもよい。
特に、有機脂肪酸含有溶液で精製処理した第1の溶融はんだ5aの場合は、第1の溶融はんだ5a中の不純物や酸化物が除去されているので、純度が高く、速やかに冷却しやすいという利点がある。なお、徐冷の場合は、デンドライトが生じることがある。
(電極溶食防止層)
電極溶食防止層4は、上記した条件での冷却処理によって形成された層であり、電極2上に設けられた厚さ0.5μm以上、3μm以下のニッケル含有金属間化合物からなる層であることが好ましい。電極溶食防止層の溶出防止能を安定化させるためには、電極溶食防止層4が欠陥等を抑えた均一な厚さで形成されていることが好ましい。この均一化に冷却工程が必要であり、冷却工程によって電極溶食防止層4の厚さを上記範囲にすることにより、電極2上に設けられた電極溶食防止層4に含まれる成分(例えばSn等)が、電極成分(例えばCu等)に化合して溶食してしまうのを抑制することができる。上記した冷却工程を省略すると、少なくとも0.5μm以上の欠陥等を抑えた電極溶食防止層4を形成できないことが多い。
電極溶食防止層4の厚さが厚すぎると、電極溶食防止層自体に割れや亀裂が生じるおそれがあるので、最も厚い部分の厚さは、3μm以下であることが好ましい。電極溶食防止層4の最も薄い部分が0.5μm以上で最も厚い部分が3μm以下であり、且つ、電極溶食防止層4の全体の平均厚さが1μm以上、2μm以下であることが特に好ましい。なお、厚さは、断面を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡で観察した結果から、測定箇所100ポイントの結果から算出した。
本発明では、電極2が、銅又は銅合金からなり、第1の溶融はんだ5aが、錫を主成分としニッケルを副成分として少なくとも含み、さらに銀、銅、亜鉛、ビスマス、アンチモン及びゲルマニウムから選ばれる1種又は2種以上を任意の副成分として含む場合を好ましい態様として挙げることができる。この場合に生成される電極溶食防止層4であるCuNiSnの金属間化合物層は、第1の溶融はんだ5aの融点約217℃未満の温度に冷却することが好ましい。こうした冷却工程により、CuNiSn金属間化合物層の最低厚さを0.5μm以上とし、且つ平均厚さを1μm以上、2μm以下の範囲内とすることができる。こうして、亀裂がなく、脆くないCuNiSn金属間化合物層を電極2上に均一に形成でき、電極2の溶食による電極2の欠損や消失を防ぐことができる。
<第2の溶融はんだの付着工程>
この付着工程は、電極2を第1の溶融はんだ5aの融点未満に下げた工程の後に、電極溶食防止層4が電極2上に形成された部品10と、前記した第1の溶融はんだ5aと同じ溶融はんだ又は異なる溶融はんだ(これらを「第2の溶融はんだ16」という。)とを接触させて、電極2上に第2の溶融はんだ16を付着させて第2のはんだ層8を設ける工程である。
(第2の溶融はんだ)
第2の溶融はんだ16は特に限定されず、各種のはんだ組成のものを用いることができる。例えば、上記した第1の溶融はんだ5aと同じはんだを再度用いてもよいし、それ以外の一般的なはんだを用いてもよい。例えば、後述する実施例で用いたニッケルを含有する5元系、4元系、3元系のはんだ、ニッケルを含有しない4元系、3元系、2元系のはんだ、後述する比較例で用いた3元系のはんだ、又は、ビスマス系の低温はんだであってもよい。
第2の溶融はんだ16は、上記した「付着工程」の欄で説明したものと同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、錫を主成分とし、銀、銅、亜鉛、ビスマス、ニッケル、アンチモン及びゲルマニウムから選ばれる1種又は2種以上を副成分として任意に含む溶融鉛フリーはんだが好ましく用いられる。
また、第2の溶融はんだ16として、上記した第1の溶融はんだ5aの場合と同様のはんだペーストであってもよい。はんだペーストとしては、上記同様、150℃以上、300℃以下の程度の範囲内で溶融するものが好ましく用いられ、錫を主成分とし、銀、銅、亜鉛、ビスマス、ニッケル、アンチモン及びゲルマニウムから選ばれる1種又は2種以上を副成分として任意に含むはんだペーストが好ましく用いられる。フラックスも同様、各種のもうちのものが配合されていればよく、特に限定されない。第2の溶融はんだ16としてはんだペーストを用いる場合は、そのはんだペーストを、電極溶食防止層4上に印刷し、その後に加熱溶融して、電極溶食防止層4上に第2の溶融はんだ16として接触させることができる。
第2の溶融はんだ16を構成するはんだとしては、上記した第1の溶融はんだ5aと同様のニッケルを含むものとしては、例えば、SnNi系はんだ、SnCuNi系はんだ、SnGeNi系はんだ、SnPNi系はんだ、SnCuGeNi系はんだ、SnCuGePNi系はんだ、SnAgCuNi系はんだ、SnZnAlNi系はんだ、SnAgCuGeNi系はんだ、SnSbNi系はんだ、等を用いることができる。また、低融点はんだとしては、SnBiNi系はんだ、SnBiZnNi系はんだ、SnBiAgInNi系はんだ、等を挙げることができる。また、ニッケルを含まないものとしては、例えば、SnCu系はんだ、SnGe系はんだ、SnP系はんだ、SnCuGe系はんだ、SnCuGeP系はんだ、SnAgCu系はんだ、SnZnAl系はんだ、SnAgCuGe系はんだ、SnSb系はんだ、等を用いることができる。また、低融点はんだとしては、SnBi系はんだ、SnBiZn系はんだ、SnBiAgIn系はんだ、等を挙げることができる。
なお、上記した第1の溶融はんだ5aは、電極溶食防止層4を形成するためにニッケルを必須成分として含むが、この第2の溶融はんだ16は、既に電極溶食防止層4が電極上に設けられているので、必ずしもニッケルを含まなくてもよい。すなわち、この第2の溶融はんだ16は、一般的な汎用性のあるはんだ、又はビスマス系の低温はんだ、又は廉価なはんだ、又は各種の特性を備えたはんだ等を第2の溶融はんだ16として任意に採用できる。
特に第2の溶融はんだ16は、電極溶食防止層4を構成する成分のうち、電極溶食防止能を生じさせる成分(例えばニッケル)を含まないことが好ましい。このようにすることにより、予め形成された電極溶食防止層4の上には、電極溶食防止能を生じさせる成分を含まない第2のはんだ層8が設けられる。こうした第2のはんだ層8は、電極溶食防止層4の成分と第2のはんだ層8の成分とが同じ場合に起こる電極溶食防止層4の厚さ拡大現象を抑制することができる。その結果、第2のはんだ層8ではんだ付けされた部品10が有する電極2の信頼性をより一層向上させることができる。
(付着処理)
付着処理は、種々の方法で行うことができる。例えば、図11及び図12に示すように、電極2上に電極溶食防止層4を設けた部品10を第2の溶融はんだ16を満たしたはんだ槽にディッピングし、第2の溶融はんだ16をその電極溶食防止層4の上に付着させる付着処理を採用することができる。また、図示しないが、第2の溶融はんだ16としてはんだペーストを用い、そのはんだペーストを電極溶食防止層4上に印刷し、その後に加熱溶融して第2の溶融はんだ16を電極溶食防止層4上に付着させる付着処理を採用することもできる。また、それ以外の付着処理であってもよい。これらの付着処理により、第2のはんだ層8を設けた部品20とすることができる(図13を参照)。
最初に、電極溶食防止層4を電極2上に設けた部品10を、第2の溶融はんだ16を満たしたはんだ槽にディッピングする場合について説明する。
第2の溶融はんだ16は、図11及び図12に示すように、所定の温度に加温及び保温可能なはんだ槽に満たされる。その温度は、用いるはんだの種類に応じて任意に設定される。通常は、用いるはんだの融点よりも20℃高い温度から100℃高い温度の範囲に加熱し、溶融して用いる。なお、はんだ槽は、図11に示すように、第2の溶融はんだ16だけを満たしたものであってもよいし、図12に示すように、第2の溶融はんだ16を満たし、その上に有機脂肪酸含有溶液8を満たしたものであってもよい。
図11に示すはんだ槽では、電極上に電極溶食防止層4を設けた部品10をディッピングして第2の溶融はんだ16をその電極溶食防止層4の上に付着させ、第2のはんだ層8を設けた部品20とすることができる(図13を参照)。この第2の溶融はんだ16を設ける直前に、有機脂肪酸含有溶液と接触させることが好ましい。その接触手段は特に限定されないが、例えばその部品10に向けて有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を噴射したり、有機脂肪酸含有溶液の気体雰囲気に曝したりして行うことができる。ここで用いる有機脂肪酸含有溶液は、第1の溶融はんだ5aを付着させる前に接触させる第1の有機脂肪酸含有溶液3aと同じものを好ましく用いることができる。なお、ここではその説明を省略する。
図12に示すはんだ槽では、第2の溶融はんだ16に浸漬する前に、その第2の溶融はんだ16上に満たされた有機脂肪酸含有溶液18にディッピングし、その後、第2の溶融はんだ16にディッピングして、電極溶食防止層4上に第2の溶融はんだ16を付着させる。さらにその後の引き上げ時に、第2の溶融はんだ16が付着した部品を再び有機脂肪酸含有溶液18に接触させることができる。こうした方法により、例えば保管、搬送又は流通させた過程で、電極溶食防止層4上、又は電極溶食防止層4上の第1のはんだ層上に、不純物や酸化物等が付着した場合であっても、その不純物や酸化物等を有機脂肪酸含有溶液18で除去することができ、その状態で第2の溶融はんだ16に接触させることができる。こうすることにより、電極溶食防止層4と第2の溶融はんだ16との間に不純物や酸化物等が存在するのを抑えることができるので、第2の溶融はんだ16を高い接続信頼性のもとで電極溶食防止層4上に設けることができる。
また、図12に示すように、引き上げ時に再び有機脂肪酸含有溶液18に接触させるので、第2の溶融はんだ16の表面に有機脂肪酸含有溶液を付着させることができる。こうした有機脂肪酸含有溶液を第2の溶融はんだ16の表面に付着させることにより、第2のはんだ層8上に有機脂肪酸のコーティング膜9を設けることができる。こうしたコーティング膜9は、いわゆる油成分がコーティングされているものであり、極めて薄く、その厚さは容易には評価できない。このコーティング膜9が設けられることにより、その後に次工程に搬送する間や、そのまま流通させる場合であっても、第2のはんだ層8上に、酸化物等を形成させ難いという利点がある。ここで用いる有機脂肪酸含有溶液18は、第1の溶融はんだ5aを付着させる前に接触させる第1の有機脂肪酸含有溶液3aと同じものを好ましく用いることができる。なお、ここではその説明を省略する。
本発明では、このような第2の溶融はんだ16にディッピングするという過酷な条件に曝されても、電極上に予め安定な電極溶食防止層4が設けられているので、最初にディッピング(浸漬)する先端部分と、最後にディッピングする後端部分とで、電極溶食の差をより抑えることができ、同じ部品20の各部で電極2の信頼性の差を極力抑えることができる。その結果、歩留まりがよく、信頼性の高い部品20を提供できる。さらに、所定の厚さのはんだ層8が設けられた部品20への電子部品の実装等を低コストで信頼性高く行うことができる。また、図11及び図12に示すように、ディッピング工程ではんだ層8が設けられた部品20は、その後、そのはんだ層8に電子部品を実装する実装工程で、複数の熱処理(リフロー炉)が施される場合であっても、電極溶食防止層4は、熱処理による電極2の溶食を抑制して、はんだ接続部での部品実装の信頼性を維持することができる。また、上記のように、電極溶食防止層4上に設けられたはんだ層8は、ボイドの発生や欠陥の発生をより抑えるので、はんだ接続部での部品実装の信頼性を維持することができる。
次に、電極溶食防止層4を電極2上に設けた部品10にはんだペーストを印刷し、そのはんだペーストを加熱溶融させた第2の溶融はんだ16を付着する場合について説明する。
ここで用いるはんだペースト(ソルダーペーストともいう。)は、はんだ粉末とフラックスとのペースト状の複合材料であり、電子部品を表面実装にてはんだ付けする工法(SMT)のうち、接合材料として印刷工程に用いられるものである。本発明では、こうしたはんだペーストを第2の溶融はんだ16として用いることができる。はんだペーストとしては、150℃以上300℃以下程度の範囲内で溶融するものが好ましく用いられ、錫を主成分とし、ニッケルを副成分として少なくとも含み、さらに銀、銅、亜鉛、ビスマス、アンチモン及びゲルマニウムから選ばれる1種又は2種以上を副成分として任意に含むはんだペーストが好ましく用いられる。フラックスは、各種のもうちのものが配合されていればよく、特に限定されない。はんだペーストを用いる場合は、そのはんだペーストを所定の電極2上に印刷し、その後に加熱溶融して、電極2上に第2の溶融はんだ16として接触させることができる。
本発明では、はんだペーストを電極上に印刷し、印刷されたはんだペースト上に電子部品等を搭載した後、リフロー炉等に投入されて熱処理が施された場合に、そのはんだペーストが溶融して第2の溶融はんだ16となり、その第2の溶融はんだ16が電極2に付着するとともに、搭載された電子部品をはんだ付けする。こうした熱処理によっても、電極上に予め安定な電極溶食防止層4が設けられているので、電極各部での電極溶食の差を抑えることができ、同じ部品20の各部で電極2の信頼性の差を極力抑えることができる。その結果、歩留まりがよく、信頼性の高い部品20を提供できる。
(第2のはんだ層)
第2のはんだ層8は、上記した第2の溶融はんだ16の付着工程によって形成された層である。この第2のはんだ層8は、図13〜図18に示すように、電極溶食防止層4が形成された電極2上に、滑らかな曲線で、盛り上がった形態で形成されている。
はんだ層8は、図14及び図15に示すように、所定厚さの電極溶食防止層4上に、所定厚さTで設けられている。その形態は、電極幅Wの中心位置63を基準にして左右対称又は点対称の半球形状又は滑らかな曲面形状である。符号61,62は、電極幅Wの中心位置63を通過する直線と交差する電極2のエッジであり、電極幅Wはそのエッジ61,62間の長さである。そして、はんだ層8は、そのエッジ61,62間で盛り上がり、中心位置63で左右対称又は点対称の断面形態及び平面視形態で形成されている。はんだ層8の厚さTは、電極溶食防止層4の表面からはんだ層8の頂部までの高さである。このはんだ層8は、中心位置63で左右対称又は点対称の断面形態及び平面視形態で設けられているので、はんだ層8の頂部と中心位置63とは一致している。なお、図14及び図15では、コーティング膜9は省略してある。
はんだ層8は、基材1上に設けられた電極2を覆うように設けられた場合(図14(A))であっても、基材1に埋め込まれた電極2上に設けられた場合(図14(B))であっても、はんだ組成とはんだ付け条件が同じであれば、ほぼ同じ形状及び同じ厚さTで、安定且つ歩留まりよく設けられる。また、平面視で円形形状の電極2上に設けられる場合(図15(A))であっても、平面視で矩形形状(長方形、正方形、菱形、等)の電極2上に設けられる場合(図15(B))であっても、はんだ層8は、平面視した電極2の中心位置63で対称に設けられている。例えば、図15(A)では、円形形状の電極2の直径を示す直線は中心位置63を通過し、はんだ層8はその中心位置63を点対称にして設けられている。また、図15(B)でも、長方形の電極2の対角線は中心位置63を通過し、はんだ層8はその中心位置63を点対称にして設けられている。
図16は、電極溶食防止層4上に設けられたはんだ層8の形態の一例を示す走査型トンネル顕微鏡像であり、図17は、電極溶食防止層4上に設けられたはんだ層8の断面形態の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。このような例に示すように、はんだ層8は、電極溶食防止層4が形成された電極2上に、滑らかな曲線で、盛り上がった形態で形成されている。
こうしたはんだ層8の形態は、上記した本発明に係る製造方法で製造した結果として得られた形態であり、(i)精製処理した第1の溶融はんだ5aを、有機脂肪酸含有溶液で処理した電極2上に付着させて、厚さが少なくとも0.5μm以上、3μm以下で平均厚さが1μm以上、2μm以下の電極溶食防止層4を均一且つ亀裂なく設けたこと、(ii)電極2を第1の溶融はんだ5aの融点未満に下げて、厚さが少なくとも0.5μm以上、3μm以下で平均厚さが1μm以上、2μm以下の電極溶食防止層4をより一層安定化させて均一且つ亀裂をなくしたこと、(iii)有機脂肪酸含有溶液で処理した電極溶食防止層4上に、第2の溶融はんだ16(好ましくは精製処理したもの)を付着させたこと、によるものと推察される。この現象は、粘度の低い滑らかな第2の溶融はんだ16が、濡れ性のよい電極溶食防止層4上に容易に濡れ広がり、且つ表面張力によってその電極溶食防止層4上に盛り上がっているものと考えられる。そして、その盛り上がったはんだ層8が、均一で、信頼性の高いはんだ層として形成されているものと考えられる。
第1の溶融はんだ5aと第2の溶融はんだ16の粘度は、上記した精製処理によりコントロールすることができる。例えば、各溶融はんだは、任意の粘度を有しているが、本発明では、精製処理により、第1の溶融はんだ5aの粘度を0.002Pa・s以上、0.004Pa・s以下の範囲内とすることができ、第2の溶融はんだ16の粘度も0.002Pa・s以上、0.008Pa・s以下の範囲内とすることができる。第1の溶融はんだ5aの粘度を上記範囲内にすることにより、微細パターンで形成された各電極2上に満遍なく第1の溶融はんだ5aを付着させることができ、さらにその第1の溶融はんだ5aを容易に除去することができる。その結果、微細パターンで形成された各電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく設けることができ、電極の溶食を防ぐことができる。
また、第2の溶融はんだ16の粘度を上記範囲内にすることにより、電極2に第1の溶融はんだ5aを接触させて電極溶食防止層4を形成した部品10に、上記した広い範囲の粘度を示す第2の溶融はんだ16を接触させることができる。こうした第2の溶融はんだ16は、汎用の溶融鉛フリーはんだを含むので、廉価なはんだを溶融した溶融はんだではんだ付けすることができ、その場合であっても、電極の溶食を防ぐことができる。
後述の実施例に記載のように、精製処理の有無により、又はその処理時間により、はんだ中の酸化物や不純物等をより減らすことができ、溶融はんだの粘度を下げることができる。例えば、融点が約217℃の未精製の溶融はんだの粘度が250℃で0.007Pa・sであるとき、精製処理を行い、さらにその処理時間を順次長くすることにより、250℃での溶融はんだの粘度を、0.004Pa・s→0.002Pa・sに低下させることができる。こうした粘度の低下は、はんだ中に含まれる酸化物や不純物の量が少なくなったものであり、そうした酸化物や不純物の量の低減は図20の結果からも明らかである。また、後述の実施例等で説明するように、酸化物や不純物の量の低減ははんだ濡れ性を向上させている。こうしたことにより、微細な電極パターンへのはんだ付けであっても、ブリッジのない態様で所定の厚さのはんだ層8を、上記した滑らかな曲線で且つ盛り上がった形態で、均一且つ歩留まりよく形成できる。
なお、図23は、電極上にはんだ層が設けられた従来例を示す写真である。このように、本発明に係る製造方法を適用しない場合には、はんだ層の厚さが均一ではなく、さらにブリッジも形成されてしまうことがある。
後述の実施例で示すように、銅電極の幅Wが60μmの場合、平均厚さが約1μmの電極溶食防止層4上に厚さTが約25μmのはんだ層8を形成することができ、銅電極の幅Wが30μmの場合、平均厚さが約1μmの電極溶食防止層4上に厚さTが約15μmのはんだ層8を形成することができ、銅電極の幅Wが15μmの場合、平均厚さが約1μmの電極溶食防止層4上に厚さTが約10μmのはんだ層8を形成することができた。このように、[はんだ層8の厚さT]/[銅電極の幅W]=0.3以上、0.7以下の範囲で形成することが可能である。
<有機脂肪酸含有溶液の接触工程>
この接触工程は、第2の溶融はんだ16の付着工程の後に、第3の有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を、第2の溶融はんだ16に接触させる工程である。この接触工程は、例えば図11に示すように、第2の溶融はんだ16にディッピングした後にそのまま引き上げた場合には、引き上げた後の部品に向けて第3の有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体を噴射させて施される(図示しない)。一方、この接触工程は、例えば図12に示すように、第2の溶融はんだ16にディッピングした後に、有機脂肪酸含有溶液18に接触させる場合には、その接触工程がここで言う接触工程である。
第2の溶融はんだ16の付着工程の後に、部品20への第3の有機脂肪酸含有溶液の接触は、例えば図12に示すように、第3の有機脂肪酸含有溶液18に部品20をディッピングして行ってもよいし、例えば図3(B)及び図4(B)に示すように、第3の有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体をノズルから部品20に向けて噴射して接触させてもよい。噴射させる第3の有機脂肪酸含有溶液の気体は、有機脂肪酸含有溶液の蒸気であってもよいし、窒素や空気との混合ガスであってもよい。混合ガスの場合は、少なくとも有機脂肪酸含有溶液の蒸気が第2のはんだ層8上に満遍なく付着する程度の混合量であることが好ましい。
ここで用いる第3の有機脂肪酸含有溶液は、第1の溶融はんだ5aを付着させる前に接触させる第1の有機脂肪酸含有溶液3aと同じものを好ましく用いることができる。なお、ここではその説明を省略する。
この接触工程により、第2の溶融はんだ16又はその第2の溶融はんだ16が凝固した第2のはんだ層8の表面には、酸化や汚染を防止する有機脂肪酸のコーティング膜9が形成される。その結果、第2のはんだ層8が設けられた部品20を直ぐに処理しないで、保管又は流通を行うことができる。また、保管又は流通させた後に実装部品の実装工程に供しても、電子部品の接続構造の信頼性を損なうことのない、高品質の接続構造を提供可能な部品20を製造できる。
(その他)
第3の有機脂肪酸含有溶液に接触させた後の部品20は、ノズルから噴射した空気や不活性ガス等で、その第3の有機脂肪酸含有溶液を液切りしてもよい。こうした液切りにより、部品2に付着した余剰の第3の有機脂肪酸含有溶液を除去できる。
また、付着した第3の有機脂肪酸含有溶液を除去してもよい。第3の有機脂肪酸含有溶液の除去は、一般的に使用されている有機系洗浄剤や、アルカリ洗浄剤等の無機系洗浄剤にディッピングやシャワー洗浄等をして行うことができる。このとき、超音波を併用した超音波洗浄であってもよい。洗浄溶媒で第3の有機脂肪酸含有溶液を除去した後は、純水洗浄等のような実装基板に対して一般的に行われる各種の処理を行ってもよい。
[部品]
本発明に係る部品20,30,40は、図13〜図19に示すように、上記本発明に係る部品の製造方法で製造された部品である。そして、はんだ層8が設けられた電極2を複数備え、そのはんだ層8と電極2との間に電極溶食防止層4が形成されている。さらに、そのはんだ層8は、電極溶食防止層4が形成された電極2上に、滑らかな曲線で、盛り上がった形態で形成されている。なお、はんだ層8の上に、有機脂肪酸のコーティング膜9が設けられていることが好ましい。
部品の例としては、図13に示すプリント基板等の基板や、図18に示すチップコンデンサ、図19(A)に示すLGA(Land grid array)、図19(B)に示すBGA(Ball Grid Array)等の電子部品を含む。基板20としては、プリント基板、ウエハー及びフレキシブル基板等の各種の基板を挙げることができる。特にウエハーは、電極の幅やピッチが狭いので、本発明に係る製造方法を適用することが好ましく、狭ピッチの微細電極に、はんだ層8を精度よく設けることができる。また、大きな電子部品を設けるプリント基板やフレキシブル基板の場合も、そのはんだ層8の表面を清浄化した状態で保持し、又はその後の工程で処理できるので、信頼性がある基板として用いることができる。
また、電子部品30,40としては、半導体チップ、半導体モジュール、ICチップ、ICモジュール、誘電体チップ、誘電体モジュール、抵抗体チップ、抵抗体モジュール、等々を挙げることができる。
こうした基板及び電子部品によれば、その後のリフロー炉や焼成路等で熱が加わっても、電極溶食防止層4で電極2の溶食がブロックされる。その結果、種々の工程を経て行われる電子部品の実装工程での電気的接続部(電極部)の信頼性が低下せず、しかも歩留まりよく製造できるので、低コストで信頼性の高い基板及び電子部品を提供できる。
以下、実施例と比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
一例として、縦100mm×横100mmのプリント基板1に幅Wが50μmで厚さが20μmの銅配線パターンが形成された基板10’を準備した(例えば図3(A)参照)。この基板10’は、銅配線パターンのうち、電子部品の実装部分となる幅Wが50μmの銅電極2のみが多数露出し、他の銅配線パターンは絶縁層で覆われている。
その銅電極2に予め噴射する第1の有機脂肪酸含有溶液3aとして、ニッケル塩やコバルト塩等の金属塩や酸化防止剤等が含まれていないエステル合成油にパルミチン酸を10質量%になるように含有させた有機脂肪酸含有溶液を準備した。その第1の有機脂肪酸含有溶液3aの温度を150℃に制御した。用いた第1の溶融はんだ5aは、Ni:0.05質量%、Ge:0.005質量%、Ag:3質量%、Cu:0.5質量%、残部がSnからなる5元系鉛フリーはんだ(融点:約217℃)を用い、そのはんだを上記第1の有機脂肪酸含有溶液3aと同じ有機脂肪酸含有溶液で250℃の条件下で強撹拌しで精製して準備した。準備した第1の溶融はんだ5aの粘度は、250℃で0.0035Pa・sであった。
準備した第1の有機脂肪酸含有溶液3aを150℃に加温して基板10’に噴射し、銅電極2上に有機脂肪酸コーティング膜3を設けた(例えば図3(B)参照)。この有機脂肪酸コーティング膜3は、第1の有機脂肪酸含有溶液3aで銅表面を清浄化した結果として付着されるものである。引き続いて、準備した第1の溶融はんだ5aの液流(250℃)をコーティング処理した基板10’に向けて噴射した(例えば図3(C)参照)。第1の溶融はんだ5aが吹き付けられた銅電極2上に、第1の溶融はんだ5aが付着して盛られた状態になった(例えば図3(D)参照)。
引き続いて、銅電極上に盛られた余剰の第1の溶融はんだ5aを除去した(例えば図3(E)参照)。その除去手段は、噴射ノズル13を用い、噴射ノズル13からは、上記した第1の有機脂肪酸含有溶液3aと同じ組成の第2の有機脂肪酸含有溶液6aを250℃に加温して噴射させた。第1の溶融はんだ5aを銅電極上に噴射してから、第2の有機脂肪酸含有溶液6aで余剰はんだを除去し、その後、部品にエアー流を吹き付けて第1の溶融はんだ5aをその融点未満である200℃に急冷するまでの時間は、合計10秒であった。その結果、図3(F)に示す形態の部品10Aを得た。この部品10Aは、銅電極2上に、電極溶食防止層4、はんだ層(除去後に残っているはんだ層。図示しない。)、コーティング膜6の順で設けられている。
こうして、電極溶食防止層6が形成された実施例1に係る部品10Aを得た。その断面を電子顕微鏡で観察したところ、部品10Aが有する銅電極2上には、厚さ1.5μm程度で亀裂のない電極溶食防止層4が設けられていることが確認でき、その電極溶食防止層4上に厚さ1μm程度の第1はんだ層5が付着しており、その第1はんだ層5上にコーティング膜6が薄く付着していることを確認した。これらの製造条件と結果を表1に示し、評価結果を表2に示した。
[実施例2]
実施例1で得られた部品10Aを、250℃の第2の溶融はんだ16が満たされたはんだ槽にディッピング(浸漬)した。第2の溶融はんだ16として、Ag:3質量%、Cu:0.5質量%、残部がSnからなる3元系鉛フリーはんだを用いた。基板がはんだ槽に浸漬している時間は合計10秒であった。これらの製造条件と結果を表1に示し、評価結果を表2に示した。
こうして、第2のはんだ層8を設けた実施例2の基板(本発明に係る部品)を得た。その断面を電子顕微鏡で観察したところ、幅W50μmの銅電極2上に、厚さ約1.5μmの亀裂のない電極溶食防止層4が設けられ、その電極溶食防止層4上に厚さT20μmの第2はんだ層8が設けられていた。
得られた基板(例えば図13参照)の第2はんだ層8の断面の走査型電子顕微鏡写真形態を図21(C)に示した。図21(C)に示す断面写真から、CuNiSn金属間化合物層4の厚さを走査型電子顕微鏡写真で測定したところ、約1.5μmの厚さで均一に形成されていた。また、基板の各部の電極の断面を観察したところ、はんだ槽に最初に入った部分の電極と、はんだ槽に最後に入った部分の電極とでは、電極溶食に大きな差がなかった。また、図21(D)は、150℃で240時間エージングした後の第2はんだ層8の断面の走査型電子顕微鏡写真形態である。ボイド等の不具合は発生していなかった。また、その断面をX線マイクロアナライザー(EPMA)の元素マッピングで評価し、図22に示した。
[実施例3]
実施例1において、第1の有機脂肪酸含有溶液3aが含むパルミチン酸の含有量を15質量%とし、250℃に加温して電極に向けて噴射させた。銅電極上に盛られた余剰の第1の溶融はんだ5aの除去工程で、基板10を255℃の第2の有機脂肪酸含有溶液6bの蒸気雰囲気下に置き、その雰囲気下で、噴射ノズル13から255℃に加熱した窒素ガスを噴射させた(図4(E)参照)。この第2の有機脂肪酸含有溶液6bは、第1の有機脂肪酸含有溶液3aと同じ組成の有機脂肪酸含有溶液を255℃の蒸気にして用いた。その結果、図4(F)に示す形態の基板10Bを得た。なお、この基板10Bは、銅電極2上に、電極溶食防止層4、はんだ層(除去後に残っているはんだ層。図示しない。)、コーティング膜6の順で設けられている。これらの製造条件と結果を表1に示し、評価結果を表2に示した。
こうして、電極溶食防止層6が形成された実施例3に係る基板10Bを得た。その断面を電子顕微鏡で観察したところ、基板10Bが有する銅電極2上に、厚さ約1.5μmの電極溶食防止層4が設けられ、その電極溶食防止層4上に厚さ0.5μm程度の第1はんだ層5が付着しており、その第1はんだ層5上にコーティング膜6が薄く付着していることを確認した。また、255℃の温度で除去したので、電極溶食防止層4上に残る余剰はんだの量を最小限にすることができた。
[実施例4]
実施例3で得られた基板10Bを、250℃の第2の溶融はんだ16が満たされたはんだ槽にディッピング(浸漬)した。第2の溶融はんだ16として、Ag:3質量%、Cu:0.5質量%、残部がSnからなる3元系鉛フリーはんだを用いた。基板がはんだ槽に浸漬している時間は合計10秒であった。これらの製造条件と結果を表1に示し、評価結果を表2に示した。
こうして、第2のはんだ層8を設けた実施例4の基板(本発明に係る部品)を得た。その断面を電子顕微鏡で観察したところ、幅W50μmの銅電極2上に、厚さ約1.5μmの電極溶食防止層4が設けられ、その電極溶食防止層4上に厚さT約20μmの第2はんだ層8が設けられていた。なお、実施例2と同様に、得られた基板(例えば図13参照)の第2はんだ層8の断面の走査型電子顕微鏡写真形態を観察した。実施例2の結果と同様の結果が得られ、電極溶食防止層4は1.5μmの厚さで均一に形成されており、150℃で240時間エージングした後の第2はんだ層8の断面もボイド等の不具合は発生していなかった。
[実施例5〜10]
実施例5〜10は、上記した実施例1〜4と同様にして部品を製造した。その製造条件と結果を表1に示し、評価結果を表2に示した。いずれの場合も、電極溶食の抑制が確認された。
[比較例1]
実施例1において、第1の溶融はんだ5aのはんだ材料として、Ag:3質量%、Cu:0.5質量%、残部がSnからなる3元系鉛フリーはんだを用いた他は、実施例1と同様にして、比較例1の基板を得た。実施例1と同様に、断面の走査型電子顕微鏡写真から、CuNiSn金属間化合物層は存在せず(図21(A)を参照。)、銅電極2上に、CuSn金属間化合物層が形成されて大きな電極溶食が確認された。また、図21(B)は、150℃で240時間エージングした後のはんだ層8の断面の走査型電子顕微鏡写真形態である。ボイド等の不具合が発生していた。
Figure 0006076698
Figure 0006076698
[実施例11]
この実施例11では、第2の溶融はんだ16が、電極溶食防止層4を構成する成分のうち電極溶食防止能を生じさせる成分を含まないことが好ましいことを検討した。なお、はんだ処理とは、電極への溶融はんだの付着処理のことである。はんだの付着処理は、下記で用いたはんだの種類(融点はいずれも約217℃前後)にかかわらず、図3に示すように、250℃に加熱溶融させた溶融はんだ5aの液流をノズル12から吹き付け、電極2上に盛り上げるようにして行った。付着処理後の余剰はんだの除去処理は、この実施例では電極溶食防止層4の生成形態を観察することを目的としていることから、第1の溶融はんだ5aの付着処理後と第2の溶融はんだ16の付着処理後のいずれの場合も行った。その除去処理は、電極2上に盛り上がった溶融はんだ5a,16に空気を吹き付けて行った。下記のはんだ処理時間は、電極2が溶融はんだ5a,16に接触した時点から、電極2上に盛り上がった余剰はんだ5a,16を除去する時点までの時間であり、その間は溶融はんだ5a,16の温度を保持した。
図24(A)ははんだ処理前の銅電極パターンを示す平面図であり、図24(B)はその銅電極パターンの断面図であり、図24(C)はその断面図の拡大図であり、図24(D)は銅電極2の断面図である。銅電極2としては、パターン幅が40μmで厚さが22μmであり、純水洗浄し、乾燥させた後、第1の有機脂肪酸含有溶液3aの液流をノズル11から噴射したものを準備し、その後のはんだ処理に供した。
図25は、準備した銅電極に対して2段階のはんだ処理(第1の溶融はんだ5aの付着処理と第2の溶融はんだ16の付着処理)を行わず、1回のはんだ処理を行った後に余剰はんだを除去した場合の例を示す電極の断面図である。図25(A)はニッケルを含有しない溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu)で5秒間処理した場合であり、図25(B)は同じ溶融はんだで60秒間処理した場合である。また、図25(C)は0.01質量%のニッケルを含有する溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.01Ni−0.006Ge)で5秒間処理した場合であり、図25(D)は同じ溶融はんだで60秒間処理した場合である。
この結果からわかるように、はんだ処理時間が5秒の場合は、はんだの種類にかかわらず銅電極2の溶食は少なかった。なお、図25(C)に示すように、ニッケルを含有するはんだで処理した場合は、電極上に厚さ1μm前後の電極溶食防止層4が形成されていた。一方、はんだ処理時間が60秒の場合は、はんだの種類にかかわらず銅電極2の溶食が確認された。ニッケルを含有するはんだで処理した場合は、その程度は小さく、しかも、当初の電極形状をほぼ保持していた。しかし、断面をみると、電極溶食防止層4がかなり厚くなっており(約4μm前後)、その電極溶食防止層4で電極形状がほぼ保持されているのが確認された。
図26は、ニッケル含有量をさらに増した溶融はんだで処理した例である。具体的には、上記同様、準備した銅電極に対して2段階のはんだ処理(第1の溶融はんだ5aの付着処理と第2の溶融はんだ16の付着処理)を行わず、1回のはんだ処理を行った後に余剰はんだを除去した場合の例を示す電極の断面図である。図26(A)は0.03質量%のニッケルを含有する溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.03Ni−0.006Ge)で5秒間処理した場合であり、図26(B)は同じ溶融はんだで60秒間処理した場合である。また、図26(C)は0.05質量%のニッケルを含有する溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.05Ni−0.006Ge)で5秒間処理した場合であり、図26(D)は同じ溶融はんだで60秒間処理した場合である。
この結果からわかるように、はんだ処理時間が5秒の場合は、はんだの種類にかかわらず銅電極2の溶食は少なく、電極上に厚さ2μm前後の電極溶食防止層4が形成されていた。一方、はんだ処理時間が60秒の場合は、はんだの種類にかかわらず銅電極2の溶食が確認されたが、いずれもニッケルを含有するのでその程度は小さく、しかも、当初の電極形状をほぼ保持していた。しかし、断面をみると、電極溶食防止層4がかなり厚くなっており(約5μm前後)、その電極溶食防止層4で電極形状がほぼ保持されているのが確認された。
図27は、ニッケル含有量をさらに増した溶融はんだで処理した例である。具体的には、上記同様、準備した銅電極に対して2段階のはんだ処理(第1の溶融はんだ5aの付着処理と第2の溶融はんだ16の付着処理)を行わず、1回のはんだ処理を行った後に余剰はんだを除去した場合の例を示す電極の断面図である。図27(A)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.1Ni−0.006Ge)で5秒間処理した場合であり、図27(B)は同じ溶融はんだで60秒間処理した場合である。
この結果からわかるように、はんだ処理時間が5秒の場合は、銅電極2の溶食は少なく、電極上に厚さ約3μmの電極溶食防止層4が形成されていた。一方、はんだ処理時間が60秒の場合は、銅電極2の大きな溶食が確認された。しかし、当初の電極形状をほぼ保持していた。断面をみると、電極溶食防止層4がかなり厚くなっていた。
図25〜図27の結果より、ニッケルを含有する溶融はんだで付着処理した場合は、銅電極2上にCuNiSn金属間化合物からなる電極溶食防止層4が形成されており、電極成分である銅の溶食を抑制できるのが確認された。しかし、その場合であっても、処理時間が長くなると、電極溶食防止層4が厚くなってしまうのが確認された。
図28と図29は、準備した銅電極2に対して2段階のはんだ処理(第1の溶融はんだ5aの付着処理と第2の溶融はんだ16の付着処理)を行い、それぞれのはんだ処理を行った後にそれぞれの余剰はんだを除去した場合の例を示す電極の断面図である。図28(A)はニッケルを含有しない第1の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu)で3秒間処理した後、0.01質量%のニッケルを含有する第2の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.01Ni−0.006Ge)で5秒間処理した場合であり、図28(B)は図28(A)での第2の溶融はんだの処理時間を60秒に変更した場合である。また、図28(C)はニッケルを含有しない第1の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu)で3秒間処理した後、0.03質量%のニッケルを含有する第2の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.03Ni−0.006Ge)で5秒間処理した場合であり、図28(D)は図28(C)での第2の溶融はんだの処理時間を60秒に変更した場合である。
図29(A)はニッケルを含有しない第1の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu)で3秒間処理した後、0.05質量%のニッケルを含有する第2の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.05Ni−0.006Ge)で5秒間処理した場合であり、図29(B)は図29(A)での第2の溶融はんだの処理時間を60秒に変更した場合である。また、図29(C)はニッケルを含有しない第1の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu)で3秒間処理した後、0.1質量%のニッケルを含有する第2の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.1Ni−0.006Ge)で5秒間処理した場合であり、図29(D)は図29(C)での第2の溶融はんだの処理時間を60秒に変更した場合である。
これらの結果からわかるように、はんだ処理時間が5秒の場合であっても、第2の溶融はんだのニッケル含有量が増すにしたがって、銅電極上に形成される電極溶食防止層4の厚さが厚くなり、銅電極2の溶食が大きくなることを確認した。さらに、はんだ処理時間が60秒の場合も、銅電極上に形成される電極溶食防止層4の厚さが厚くなり、銅電極2の溶食が大きくなることを確認した。
図30と図31は、準備した銅電極2に対して2段階のはんだ処理(第1の溶融はんだ5aの付着処理と第2の溶融はんだ16の付着処理)を行い、それぞれのはんだ処理を行った後にそれぞれの余剰はんだを除去した場合の例を示す電極の断面図である。図30(A)は0.1質量%のニッケルを含有する第1の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.1Ni−0.006Ge)で3秒間処理した後、0.01質量%のニッケルを含有する第2の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.01Ni−0.006Ge)で5秒間処理した場合であり、図30(B)は図30(A)での第2の溶融はんだの処理時間を60秒に変更した場合である。また、図30(C)は0.1質量%のニッケルを含有する第1の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.1Ni−0.006Ge)で3秒間処理した後、0.03質量%のニッケルを含有する第2の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.03Ni−0.006Ge)で5秒間処理した場合であり、図30(D)は図30(C)での第2の溶融はんだの処理時間を60秒に変更した場合である。
また、図31(A)は0.1質量%のニッケルを含有する第1の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.1Ni−0.006Ge)で3秒間処理した後、0.05質量%のニッケルを含有する第2の溶融はんだ(Sn−3Ag−0.5Cu−0.05Ni−0.006Ge)で5秒間処理した場合であり、図31(B)は図31(A)での第2の溶融はんだの処理時間を60秒に変更した場合である。
これらの結果からわかるように、第1の溶融はんだ5aがニッケルを含有する場合であっても、第2の溶融はんだ16にもニッケルが含まれることにより、銅電極上に形成される電極溶食防止層4の厚さが厚くなり、銅電極2の溶食が大きくなることを確認した。さらに、はんだ処理時間が60秒の場合も、銅電極上に形成される電極溶食防止層4の厚さが厚くなり、銅電極2の溶食が大きくなることを確認した。
図32は、準備した銅電極2に対して2段階のはんだ処理(第1の溶融はんだ5aの付着処理と第2の溶融はんだ16の付着処理)を行い、それぞれのはんだ処理を行った後にそれぞれの余剰はんだを除去した場合の例を示す電極の断面図である。図32(A)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで3秒間処理した後にニッケルを含有しない溶融はんだで5秒間処理した電極の断面図であり、図32(B)は0.1質量%のニッケルを含有する溶融はんだで3秒間処理した後にニッケルを含有しない溶融はんだで60秒間処理した電極の断面図である。
この結果からわかるように、第1の溶融はんだ5aがニッケルを含み、第2の溶融はんだ16がニッケルを含まないようにしたことによって、処理時間が5秒の場合も60秒の場合も、電極上に形成された電極溶食防止層4の厚さは約2μmと同程度であった。また、銅電極2の溶食も極力抑えられており、図24(D)に示す当初のものとあまり変化していなかった。
図25〜図27で示した結果より、ニッケルを含有する溶融はんだを第1の溶融はんだ5aとして用い、第2の溶融はんだ16を用いない1段階処理の場合、短い処理時間(例えば5秒)では、生成した電極溶食防止層4の効果により銅電極の溶食をある程度抑制できたが、長い処理時間(例えば60秒)では、ニッケルを含有したとしても銅電極の溶食が進行することが明らかになった。また、図28及び図29で示した結果より、第1の溶融はんだ5aにニッケルが含まれない場合は、第2の溶融はんだ16にニッケルが含まれていたとしても、銅電極の溶食が進行することが明らかになった。また、図30及び図31で示した結果より、第1の溶融はんだ5aと第2の溶融はんだ16の両方にニッケルが含まれている場合は、前記の結果よりも効果はあったが、それでもなお、銅電極の溶食が進行していることが明らかになった
これらに対し、第1の溶融はんだ5aにニッケル(電極溶食防止層4を構成する成分のうち電極溶食防止能を生じさせる成分)が含まれ、第2の溶融はんだ16にニッケルが含まれていない場合は、第2の溶融はんだ16にニッケルが含まれていたとしても、銅電極の溶食の進行を抑制できることが明らかになった。この理由は、ニッケルを含む第1の溶融はんだ5aを付着させ、直ぐに余剰はんだ5aの除去と冷却(はんだの融点未満)を行うことにより、冷却しない場合に電極溶食を起こして電極溶食防止層4が厚くなるのを防ぐことができ、電極成分の溶食を止めて所定厚さ(0.5μm以上、3μm以下)の電極溶食防止層4を形成できる。こうした薄い厚さの電極溶食防止層4が電極上に設けられていることにより、ニッケルを含まない第2の溶融はんだ16の付着処理を行った場合、その付着処理時間が短くても長くても、銅電極の溶食の進行が起きにくい。その理由は、電極溶食防止層4に含まれるニッケル(電極溶食防止層4を構成する成分のうち電極溶食防止能を生じさせる成分)がその電極溶食防止層4中で安定化し、動かないためであろうと考えられる。こうした手段により、電極溶食防止層4の厚さ拡大現象を抑制することができることがわかった。この実施例では、溶融はんだを用いたが、はんだペーストの場合も同様であったことを確認している。
[実施例12]
図5に示す第1形態に係る付着工程で、第1の溶融はんだ液流5aを図9に示す形態の部品10’(実装基板)に衝突させた。第1の溶融はんだとしては、密度が約7.3g/cmで、0.05質量%Niを含むSnCuNi系はんだを用いた。この第1の溶融はんだ液流5aは、上方に配置された貯蔵槽58に貯蔵させた。その貯蔵槽58内の溶融はんだ液流5aを配管57で垂直降下させ、方向変換部56で部品側に曲げて、溶融はんだ液流5aを勢いよく電極2に衝突させた。なお、貯蔵槽58は、垂直に降下させた溶融はんだ液流5aの圧力が約2Paになる高さに設置した。衝突時のノズル角度θを15°程度とし、電極までの距離を30mmとし、電極2に対して横方向から衝突させた。この付着工程以外は、実施例1と同様にして、実施例12の部品を得た。
こうした実施例により、溶融はんだ液流5aの速度を過度に減速させずに電極2に衝突させることができた。その結果、溶融はんだ液流5aを電極2の全面に余すところ無く接触させることができ、結果として電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できた。
電極上に電極溶食防止層4が形成された部品を、250℃の第2の溶融はんだ16が満たされたはんだ槽にディッピング(浸漬)した。第2の溶融はんだ16として、Cu:0.5質量%、Ge:0.006質量%、残部がSnからなる鉛フリーはんだを用いた。ニッケルを含む薄い厚さの電極溶食防止層4が設けられた電極に、ニッケルを含まない第2の溶融はんだ16の付着処理を行った結果、部品の各部で銅電極の溶食の進行差が起きにくかった。また、銀を含まないはんだ合金を用いても、十分なはんだ濡れ性を示し、良好な第2はんだ層を設けることができた。
[実施例13]
実施例12において、溶融はんだの種類を、密度が約7.3g/cmで、0.05質量%Niを含むSnCuGeNi系はんだを用いた他は、実施例12と同様にして、実施例13の部品を得た。こうした実施例により、溶融はんだ液流5aの速度を過度に減速させずに電極2に衝突させることができた。その結果、溶融はんだ液流5aを電極2の全面に余すところ無く接触させることができ、結果として電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できた。
電極上に電極溶食防止層4が形成された部品を、実施例12と同様にして、ニッケルを含む薄い厚さの電極溶食防止層4が設けられた電極に、ニッケルを含まない第2の溶融はんだ16の付着処理を行った結果、部品の各部で銅電極の溶食の進行差が起きにくかった。また、銀を含まないはんだ合金を用いても、十分なはんだ濡れ性を示し、良好な第2はんだ層を設けることができた。
[実施例14]
図6に示す第1形態に係る付着工程で、第1の溶融はんだ液流5aを図9に示す形態の部品10’(実装基板)に衝突させた。第1の溶融はんだとしては、密度が約7.3g/cmで、0.05質量%Niを含むSnCuNi系はんだを用いた。この第1の溶融はんだ液流5aは、下方に配置された貯蔵槽58からポンプで溶融はんだ液流5aを引き上げ、溶融はんだ液流5aを勢いよく電極2に衝突させた。なお、溶融はんだ液流5aの圧力が約2Paになるように調整した。衝突時のノズル角度θを15°程度とし、電極までの距離を30mmとし、電極2に対して横方向から衝突させた。この付着工程以外は、実施例1と同様にして、実施例14の部品を得た。
こうした実施例により、溶融はんだ液流5aの速度を過度に減速させずに電極2に衝突させることができた。その結果、溶融はんだ液流5aを電極2の全面に余すところ無く接触させることができ、結果として電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できた。次いで、電極上に電極溶食防止層4が形成された部品を、実施例12と同様にして、ニッケルを含む薄い厚さの電極溶食防止層4が設けられた電極に、ニッケルを含まない第2の溶融はんだ16の付着処理を行った結果、部品の各部で銅電極の溶食の進行差が起きにくかった。また、銀を含まないはんだ合金を用いても、十分なはんだ濡れ性を示し、良好な第2はんだ層を設けることができた。
[実施例15]
図7に示す第3形態に係る付着工程で、第1の溶融はんだ5aを図9に示す形態の部品10’(実装基板)に表面張力現象を利用して回り込ませた。第1の溶融はんだとしては、密度が約7.3g/cmで、0.05質量%Niを含むSnCuNi系はんだを用いた。この第1の溶融はんだ5aをはんだ槽52中に満たし、そのはんだ槽52の上面に設けられたスリット51の間から部品を浸漬し、その後に引き上げる途中で、部品10’を第1の溶融はんだ5aの液面53に配置されたスリット51を通過させた。なお、部品10’の表面からスリット51の端部までのギャップg1,g2を、約1mmとした。この付着工程以外は、実施例1と同様にして、実施例15の部品を得た。
この過程で、部品10’がスリット51を通過する際の表面張力の作用により、溶融はんだ5aが電極2の全域に回り込んだ。こうした実施例により、溶融はんだ5aを電極2の全面に余すところ無く接触させることができ、結果として電極2上に電極溶食防止層4を満遍なく形成できた。次いで、電極上に電極溶食防止層4が形成された部品を、実施例12と同様にして、ニッケルを含む薄い厚さの電極溶食防止層4が設けられた電極に、ニッケルを含まない第2の溶融はんだ16の付着処理を行った結果、部品の各部で銅電極の溶食の進行差が起きにくかった。また、銀を含まないはんだ合金を用いても、十分なはんだ濡れ性を示し、良好な第2はんだ層を設けることができた。
1 基材
2 電極
3 コーティング膜
3a 第1の有機脂肪酸含有溶液(気体又は液体)
4 電極溶食防止層(CuNiSn化合物層)
5 はんだ層(第1のはんだ層)
5a 第1の溶融はんだ
6 コーティング膜
6a 第2の有機脂肪酸含有溶液の気体又は液体
6b 第2の有機脂肪酸含有溶液の気体雰囲気
7 CuSn化合物層
8 はんだ層(第2のはんだ層)
9 コーティング膜
10,10A,10B 電極溶食防止層を設けた部品(はんだ層を設ける前の部品)
10’ 電極溶食防止層を設ける前の部品
11,12,13 噴射ノズル
14 不活性ガス又は空気
16 第2の溶融はんだ
18 第3の有機脂肪酸含有溶液
20 はんだ層を設けた後の実装基板
21 電極パッド
30,40,40A,40B はんだ層を設けた後の実装部品
51 スリット部材
52 第1の溶融はんだ槽
53 溶融はんだの表面
55 ノズル先端
56 配管の方向変換部
57 はんだ液流の配管
58 はんだ液流の貯蔵槽
59 はんだ液流の配管
61,62 エッジ
63 中心位置
80 絶縁膜(レジスト膜)
W 電極幅
T はんだ層の高さ
g1,g2 部品とスリット部材とのギャップ
T スリット部材の厚さ

Claims (4)

  1. 銅又は銅合金からなる電極と、該電極上に厚さ0.5μm以上、3μm以下の範囲内で設けられた電極溶食防止層と、前記電極溶食防止層上に付着した有機脂肪酸のコーティング膜とを有し、
    前記電極溶食防止層は、前記電極上に、SnNi系はんだ、SnCuNi系はんだ、SnGeNi系はんだ、SnPNi系はんだ、SnCuGeNi系はんだ、SnCuGePNi系はんだ、SnAgCuNi系はんだ、SnZnAlNi系はんだ、SnAgCuGeNi系はんだ、SnSbNi系はんだ、SnBiNi系はんだ、SnBiZnNi系はんだ、及びSnBiAgInNi系はんだから選ばれるいずれかのはんだ材料であって、かつ前記はんだ材料に含まれるニッケル含有量が、0.01質量%以上0.1質量%以下の範囲内であるものを溶融した溶融はんだを接触させて形成されてなり、
    前記電極溶食防止層上に設けるはんだ層を介して他の部品と接合することを特徴とする部品。
  2. 銅又は銅合金からなる電極と、該電極上に厚さ0.5μm以上3μm以下の範囲内で設けられた電極溶食防止層と、該電極溶食防止層上に、[はんだ層の厚さ]/[電極の幅]=0.3以上0.7以下、の関係式で表される厚さで設けられたはんだ層とを有し、
    前記電極溶食防止層は、前記電極上に、SnNi系はんだ、SnCuNi系はんだ、SnGeNi系はんだ、SnPNi系はんだ、SnCuGeNi系はんだ、SnCuGePNi系はんだ、SnAgCuNi系はんだ、SnZnAlNi系はんだ、SnAgCuGeNi系はんだ、SnSbNi系はんだ、SnBiNi系はんだ、SnBiZnNi系はんだ、及びSnBiAgInNi系はんだから選ばれるいずれかのはんだ材料であって、かつ前記はんだ材料に含まれるニッケル含有量が、0.01質量%以上0.1質量%以下の範囲内であるものを溶融した溶融はんだを接触させて形成されてなり、
    前記はんだ層を介して他の部品と接合することを特徴とする部品。
  3. 前記はんだ層のはんだ付け形態が、前記電極の中心位置で対称の半球形状又は曲面形状である、請求項に記載の部品。
  4. 微細な配線パターンを有するプリント基板、ウエハー及びフレキシブル基板から選ばれるいずれか、又は、チップ、抵抗、コンデンサ及びフィルターから選ばれるいずれかである、請求項1〜のいずれか1項に記載の部品。
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