JP6076625B2 - 幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化誘導剤 - Google Patents

幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化誘導剤 Download PDF

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Description

本願発明は、幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化誘導剤、該分化誘導剤を含む医薬品、医薬部外品及び飲食品、並びに中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞の製造方法に関する。
幹細胞は、様々な細胞に分化できる多分化能と、細胞分裂を経ても多分化能(未分化状態)を維持できる自己増殖能とを併せ持つ細胞である。なかでも、体性幹細胞は、生体内の各組織に存在しており、障害若しくは疾患又は老化等に伴って組織の細胞が失われた場合に、新たな細胞を供給することにより組織の恒常性を維持している。また、ES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)等の多能性幹細胞は、人工的につくり出された幹細胞であり、生体を構築する全ての細胞種に分化できる能力(多能性)と無限増殖性を有している。
近年、再生医療をはじめとする先端医療の分野において、これら幹細胞の性質を臓器や組織の再生に応用する研究が活発に進められている(非特許文献1)。例えば、生体の心筋細胞の自己増殖能は殆どなく、障害された心筋の再生には外来の細胞による移植をしなければならないと考えられる。このような背景の中、近年の幹細胞技術の進歩によりマウスやヒトのES細胞やiPS細胞から心筋を誘導することが可能となっており、現在これらの誘導された心筋細胞の移植の有効性も報告され、心筋再生への期待が高まっている(特許文献1、非特許文献2、3)。しかし、従来技術は分化誘導剤としてNoggin、TGFβ、BMP−2、PDGF等を用いているため、安定性・安全性等の面でさらなる改善の余地がある。
また、胆汁うっ滞性肝疾患、肝硬変、代謝性肝疾患、劇症肝炎等の末期的肝不全の患者には肝移植が必要とされているが、近年深刻なドナー不足であり、ES細胞やiPS細胞から誘導した肝細胞の再生医療への応用に期待が高まっている。すでに幹細胞から肝細胞への様々な分化誘導技術が報告されている(非特許文献4、5)。しかし、従来技術は分化誘導剤としてBMP−4、Activin A等を用いているため、安定性・安全性等の面でさらなる改善の余地がある。また、上記幹細胞を利用した再生医療を実現するためには、幹細胞から肝細胞への分化をさらに効率的に制御する物質や技術の開発が必須である。
脊椎動物の初期胚の発生過程では胚葉形成と呼ばれる細胞の系統分化が起き、外胚葉、中胚葉、内胚葉の三種類の細胞集団が形成される。このうち、中胚葉及び内胚葉は中内胚葉と呼ばれる共通の前駆体から分化する。中胚葉は筋肉系細胞、骨格系細胞、循環器系細胞、泌尿生殖器系細胞、結合組織を生み出す。また、内胚葉は消化器系細胞、肺、甲状腺等の器官の組織を生み出す。よって、幹細胞から中内胚葉、さらにはそれに由来する中胚葉及び内胚葉の細胞や組織を分化誘導することができれば、上記の心疾患や肝不全等の治療への応用の可能性が広がる。
一方、サルコシンは天然アミノ酸(N−メチルグリシン)で、コリン、メチオニン、グリシン、グルタチオン、クレアチン、プリン及びセリンの代謝過程において中間体及び副生成物として機能している。これまでに、このサルコシン及びサルコシン誘導体に様々な活性が見出されている。例えば、特許文献2には、サルコシンがNMDA受容体を介する神経伝達における欠損を特徴とする神経精神疾患に対し、グリシン取り込みインヒビターとして作用して緩和することができると記載されている。特許文献3には、前立腺がん検体に含まれる代謝物を系統的に分析した結果、サルコシンが悪性度の高い前立腺癌では著しく増加しており、前立腺癌患者の尿中でも検出可能であることや、マウスにおいてグリシンからサルコシンを生成させる酵素を特異的にノックダウンすると前立腺細胞の浸潤が低下したことが記載されており、サルコシンが治療標的の1つとなり得ることが示唆されている。しかしながら、これまでに、サルコシンが未分化の幹細胞に及ぼす影響については殆ど検討されていない。
WO2005/033298 特表2002−511409 特表2010−537170
西川伸一ら、実験医学増刊、2008年、26巻、第5号、pp.74−80 Yuasa S, Itabashi Y, Koshimizu U, Tanaka T, Sugimura K, Kinoshita M, Hattori F, Fukami S, Shimazaki T, Ogawa S, Okano H, Fukuda K.(2005)Nat Biotechnol. 23(5):607−611 Klug MG, Soonpaa MH, Koh GY, Field LJ.(1996)J ClinInvest. 98(1):216−224 Hamazaki T, Iiboshi Y, Oka M, Papst PJ, Meacham AM, Zon LI, Terada N.(2001)FEBS lett. 497(1):15−19 Ishii T, Yasuchika K, Fujii H, Hoppo T, Baba S, Naito M, Machimoto T, Kamo N, Suemori H, Nakatsuji N, Ikai I.(2005)Exp Cell Res. 309(1):68−77
本願発明の目的は、幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への高効率な分化誘導活性を有する安全な物質を見出し、これまで治療が困難であった心疾患や肝不全等を根本的に予防、改善又は治療するための医薬品や飲食品等の組成物を提供することにある。
本願発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、サルコシンを幹細胞の培養系に添加することにより、幹細胞において中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞特異的マーカー遺伝子の発現が亢進することを見出すとともに、心筋細胞又は肝細胞への分化が促進されることを確認し、本願発明を完成させるに至った。
すなわち、本願発明は以下の発明を包含する。
(1)サルコシンを含有する、幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞及び中内胚葉細胞から成る群から選ばれる一種以上の細胞への分化誘導剤。
(2)中胚葉系細胞が循環器系細胞である、(1)に記載の分化誘導剤。
(3)循環器系細胞が心筋細胞である、(2)に記載の分化誘導剤。
(4)内胚葉系細胞が消化器系細胞である、(1)に記載の分化誘導剤。
(5)消化器系細胞が肝前駆細胞又は肝細胞である、(4)に記載の分化誘導剤。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の分化誘導剤を含む、医薬品又は飲食品。
(7)心疾患又は肝不全の治療用又は予防用の、(6)に記載の医薬品又は飲食品。
(8)サルコシンの存在下で幹細胞を培養して、中胚葉系細胞、内胚葉系細胞及び中内胚葉細胞から成る群から選ばれる一種以上の細胞へ分化誘導することを特徴とする、幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化誘導方法。
(9)サルコシンの存在下で幹細胞を培養して中胚葉系細胞、内胚葉系細胞及び中内胚葉細胞から成る群から選ばれる一種以上の細胞へ分化誘導する工程を含む、中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞の製造方法。
(10)(9)に記載の方法により製造された中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞。
本願発明によれば、幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化誘導剤が提供される。本願発明の分化誘導剤は幹細胞から中胚葉系細胞及び内胚葉系細胞の共通の前駆体である中内胚葉細胞への分化を誘導することができる。また、本願発明の分化誘導剤は幹細胞から中胚葉系細胞、例えば筋肉系細胞、骨格系細胞、循環器系細胞、泌尿生殖器系細胞、結合組織、又は、内胚葉系細胞、例えば消化器系細胞、肺、甲状腺等の組織の細胞への分化を誘導することができるので、虚血性心疾患、心不全等の循環器系疾患や肝・膵臓疾患を根本的に予防、改善又は治療するための医薬品や飲食品として利用することができる。また、本願発明の分化誘導剤を用いて幹細胞から分化誘導することにより作製された中胚葉系細胞又は内胚葉系細胞は、心臓や肝臓等の損傷部位に移植してその機能を回復させる再生医療への応用が可能となる。さらに、本願発明の分化誘導剤は、心筋等の中胚葉系細胞、肝細胞等の内胚葉系細胞、並びに中内胚葉細胞の分化の基礎研究試薬としても利用できる。
以下に、本願発明について詳細を述べる。
本願発明は、幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化を誘導する分化誘導剤(以下、「中内胚葉系細胞分化誘導剤」と称する場合がある)であり、サルコシンを有効成分とする。
本願発明における「幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化誘導」とは、生体レベルで又は培養レベルで幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞の分化を誘導及び促進し、中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞を増加させることをいう。
本願発明において「」とは幹細胞、中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞に分化し得る各種幹細胞をいい、胚性幹細胞(ES細胞)、骨髄、皮膚、毛包等、その他の組織に存在する未分化な状態の細胞(総称して、「体性幹細胞」という)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)等を含む。ES細胞としては、例えば、着床以前の初期胚を培養することによって樹立されたES細胞、体細胞の核を核移植することによって作製されたES細胞、及びそれらのES細胞の染色体上の遺伝子を遺伝子工学の手法を用いて改変したES細胞が挙げられる。このようなES細胞は、例えば、公知の方法によって作製することができるが、所定の機関より入手でき、さらには市販品を購入することもできる。また、これら幹細胞は、初代培養細胞、継代培養細胞、凍結細胞のいずれであってもよい。
本願発明の中内胚葉系細胞分化誘導剤は、幹細胞の分化の方向性、及び、分化の過程等について同等の特性を持っていれば、全ての哺乳動物に応用が可能である。例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等の哺乳動物の幹細胞に対して効果を発揮することができる。
解剖学的近接及び共通のシグナル伝達網が最も早期の中胚葉及び内胚葉細胞を結合させて、外胚葉とは異なる中内胚葉を形成する(Curr Opin Genet Dev. 2000;10(4):350−356. Vertebrate mesendoderm induction and patterning. Kimelman D, Griffin KJ.及び Cell. 2001;105(2):169−172. Mesendoderm. an ancient germ layer? Rodaway A, Patient R.)。中内胚葉は、ある程度の発生上の可塑性を有するため、これを利用して、適切な誘導物質に応答して中胚葉又は内胚葉細胞に分離させることができる。
中内胚葉細胞とは、発生の過程で中胚葉系細胞又は内胚葉系細胞経路に沿って分化する能力を有する細胞を意味する。このような細胞は、二能性細胞である。
本願発明の分化誘導剤により分化誘導された細胞が、上記の中内胚葉細胞であるか否かは、例えば、各種の中内胚葉マーカーの発現により確認できる。本願発明において用いることのできる中内胚葉マーカーとしては、例えば、T(中内胚葉細胞マーカー:Trends in Genetics 1994;10:280. The T genes in embryogenesis. Herrmann BG, Kispert A.)、Foxa2(中内胚葉細胞マーカー:Development. 1998;125:3015−3025. The transcription factor HNF3beta is required in visceral endoderm for normal primitive streak morphogenesis. Dufrort D, Schwartz L, Harpal K, Rossant J.)、Gsc(中内胚葉マーカー:Cell. 1992;69(7):1097−1106. Gastrulation in the mouse: the role of the homeobox gene goosecoid. Blum M, Gaunt SJ, Cho KW, Steinbeisser H, Blumberg B, Bittner D, De Robertis EM.)、Mixl1(中内胚葉マーカー:Development. 1999;87:189. Mml, a mouse Mix−like gene expressed in the primitive streak. Pearce JJH, Evans MJ.)等が挙げられる。
中胚葉系細胞及び内胚葉系細胞は、最終分化細胞、並びに中胚葉系細胞及び内胚葉系細胞経路に確定された細胞の両方を含む概念である。中胚葉細胞としては、筋肉系細胞(筋芽細胞、筋衛星細胞等)、骨格系細胞(骨芽細胞、骨細胞、軟骨細胞等)、循環器系細胞(心筋細胞、造血幹細胞、赤血球、血小板、マクロファージ、顆粒球、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、Bリンパ球等)、泌尿生殖器系細胞(尿細管細胞、メサンギウム細胞、傍糸球体細胞、精巣、卵巣等)、結合組織等が挙げられる。内胚葉系細胞としては、消化器系細胞(肝細胞、胆管細胞、膵内分泌細胞、腺房細胞、導管細胞、吸収細胞、杯細胞、パネート細胞、腸内分泌細胞等)、肺、甲状腺等の組織の細胞が挙げられる。
本願発明の分化誘導剤により分化誘導された細胞が、上記の中胚葉系細胞であるか否かは、例えば、各種の循環器系細胞マーカーの発現により確認できる。本願発明において用いることのできる循環器系細胞マーカーとしては、例えば、α−MHC、MLC−2v(心筋細胞マーカー:Circ Res. 2002;91:189−201. Differentiation of pluripotent embryonic stem cells into cardiomyocytes.)等が挙げられる。
本願発明の分化誘導剤により分化誘導された細胞が、上記の内胚葉系細胞であるか否かは、例えば、各種の消化器系細胞マーカーの発現により確認できる。本願発明において用いることのできる消化器系細胞マーカーとしては、例えば、Afp(肝前駆細胞マーカー:Stem Cells. 2002;20:338−346. AFP(+),ESC−derived cells engraft and differentiate into hepatocytes in vivo.)、Alb(肝細胞マーカー:FEBS Lett. 2001;497(1):15−19. Hepatic maturation in differentiating embryonic stem cells in vitro. Hamazaki T, Iiboshi Y, Oka M, Papst PJ, Meacham AM, Zon LI, Terada N.)等が挙げられる。
本願発明に用いるサルコシンは天然アミノ酸の一種である。本願発明におけるサルコシンは動物由来、植物由来及び合成物の何れであっても差し支えない。また、サルコシンは市販品を用いてもよい。
サルコシンは、幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化を培養レベル又は生体レベルで誘導する作用を有する。従って、本願発明の中内胚葉系細胞分化誘導剤は、その有効量を添加した幹細胞分化誘導培地にて幹細胞を培養することによって、又は、ヒトを含む哺乳動物に投与することによって、幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化を誘導することができる。
幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化誘導を幹細胞の培養により行う場合、培地に上記中内胚葉系細胞分化誘導剤を添加する以外は、培養方法の条件及び操作は、当該技術分野で常套的な条件及び操作に従って行うことができる。中内胚葉系細胞分化誘導剤の培地への添加量は、サルコシン濃度として0.5〜25mM、好ましくは1〜15mMである。
幹細胞の培養には、幹細胞の維持又は分化誘導の目的に適する組成の培地を使用する。幹細胞分化誘導培地としては、具体的には、細胞の生存増殖に必要な成分(無機塩、炭水化物、ホルモン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、ビタミン等)を含む基本培地(例えば、Dulbecco’s modified Eagle’s medium(D−MEM)、Minimum Essential Medium(MEM)、RPMI1640、Basal Medium Eagle(BME)、Dulbecco’s modified Eagle’s medium:Nutrient Mixture F−12(D−MEM/F−12)、Glasgow Minimum Essential Meidum(Glasgow MEM)、ハンクス液(Hank’s balanced salt solution)、MCDB15培地)に、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、白血球増殖因子(LIF)等の増殖因子を少なくとも1種添加した培地が用いられる。また、当該培地には、細胞の増殖速度を増大させるために、必要に応じて、腫瘍壊死因子(TNF)、ビタミン類、インターロイキン類、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コラーゲン、ウシ血清アルブミン(BSA)、フィブロネクチン、プロゲステロン、セレナイト、B27−サプリメント、N2−サプリメント、ITS−サプリメント等を添加してもよく、また、抗生物質を添加してもよい。培地の各成分は、各々適する方法で滅菌して使用する。
また、上記以外には、1〜20%の含有率で血清が含まれることが好ましい。しかし、血清はロットの違いにより成分が異なり、その効果にバラツキがあるため、ロットチェックを行った後に使用することが好ましい。
幹細胞の培養は、未分化状態を保つために、マイトマイシンC処理したMEF細胞等をフィーダー細胞として用い、幹細胞維持用培地(基本培地にLIF、L−グルタミン酸等を添加した培地)にて行い、また、幹細胞の中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化誘導は、未分化状態を維持し培養した幹細胞を、低細胞付着性のプレートに播種して細胞塊を形成すること、若しくは、ゼラチン等の培養基質でコーティングされたプレートに播種して培養することにより行う。
幹細胞の培養及び幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化誘導に使用する容器としては、使い捨てのシャーレが好ましい。なお、培地の交換は2〜3日に1回行うことが好ましいが、毎日行うことがより好ましい。また、幹細胞から心筋等の循環器系細胞及び肝細胞等の消化器系細胞への分化誘導は12日以上行うのが好ましい。
本願発明の中内胚葉系細胞分化誘導剤は、生体内にそのまま投与することも可能であるが、本願発明の効果を損なわない範囲で適当な添加物とともに医薬品、医薬部外品、飲食品等の組成物に配合して用いることができる。
本願発明の中内胚葉系細胞分化誘導剤を医薬品として提供する場合は、サルコシンに、医薬品の製剤上許容され、かつ剤型に応じて適宜選択した製剤用基材や担体、賦形剤、希釈剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、崩壊剤又は崩壊補助剤、安定化剤、保存剤、防腐剤、増量剤、分散剤、湿潤化剤、緩衝剤、溶解剤又は溶解補助剤、等張化剤、pH調整剤、噴射剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、香料等を適宜添加し、公知の種々の方法にて経口又は非経口的に全身又は局所投与することができる各種製剤に調製すればよい。
経口投与用製剤には、例えば、デンプン、ブドウ糖、ショ糖、果糖、乳糖、ソルビトール、マンニトール、結晶セルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、デキストリン等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ゼラチン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール、酸化チタン等のコーティング剤;ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、ハードファット等の基剤等を用いることができるが、これらに限定はされない。
非経口投与用製剤には、蒸留水、生理食塩水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、マクロゴール、ミョウバン水、植物油等の溶剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D−マンニトール等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基等のpH調整剤等を用いることができるが、これらに限定はされない。
本願発明の医薬品の形態としては、特に制限されるものではないが、例えば錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、トローチ剤、顆粒剤、散剤、液剤、丸剤、乳剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤等の経口剤、点眼剤、注射剤(例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤、座剤、軟膏剤、ローション剤、噴霧剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤等の非経口剤等が挙げられる。また、使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。なお、本願発明の医薬品には、動物に用いる薬剤、即ち獣医薬も包含される。
上記製剤中のサルコシンの含有量は特に限定されないが、製剤全重量に対して、0.001〜30重量%の範囲が好ましく、0.01〜10重量%がより好ましい。0.001重量%未満では効果が得にくく、30重量%を超えても効果に大きな増強はみられにくい。また、製剤化における有効成分の添加法については、予め加えておいても、製造途中で添加してもよく、作業性を考えて適宜選択すればよい。
本願発明の中内胚葉系細胞分化誘導剤は、有効成分であるサルコシンが幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化を促進する作用を有するので、循環器系疾患等の中胚葉由来器官に関する疾患や肝・膵臓疾患等の内胚葉由来器官に関する疾患等を改善及び予防するための医薬として有効である。
中胚葉由来器官に関する疾患としては、筋肉系細胞、骨格系細胞、循環器系細胞、泌尿生殖器系細胞、結合組織の変性や損傷による疾患であれば特に限定はされないが、例えば、骨粗鬆症、心疾患(心筋梗塞、狭心症、不整脈、心不全、心臓弁膜症、動脈瘤、心筋症、心臓肥大等)、血液疾患(貧血、赤血球増加症、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)、腎疾患(腎炎、腎不全、ネフローゼ症候群、IgA腎症、糖尿病腎症、痛風腎、腎硬化症等)等が挙げられる。
内胚葉由来器官に関する疾患としては、消化器系細胞、肺、甲状腺等の組織の細胞の変性や損傷による疾患であれば特に限定されないが、例えば、肝臓疾患(肝炎、肝硬変、脂肪肝等)、胆・膵臓疾患(膵炎、胆嚢炎、胆道結石、胆管結石等)、甲状腺疾患(甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、結節性甲状腺腫等)等が挙げられる。
本願発明の医薬品は上記疾患の発症を抑制する予防薬として、及び/又は、正常な状態に改善する治療薬として機能する。
本願発明の医薬品を前述の疾患の予防及び/又は治療用医薬として用いる場合、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ等の哺乳動物に対して広い範囲の投与量で経口的に又は非経口的に投与することができる。
本願発明の医薬品の投与量は、疾患の種類、投与対象の年齢、性別、体重、症状の程度に応じて適宜決定することができる。例えば、成人に経口投与する場合には、一日の投与量は、サルコシンとして0.1〜20g、好ましくは1〜10gである。
また、本願発明の中内胚葉系細胞分化誘導剤は、飲食品にも配合できる。本願発明において、飲食品は、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、又は特定保健用食品を含む。さらに、本願発明の飲食品は、ヒト以外の哺乳動物を対象として使用されるペットフード、飼料を含む。特に、心疾患や肝不全等の予防や治療等長期にわたって服用が必要となる場合に、日常的に摂取できる点で有利である。
飲食品の形態は、食用に適した形態、例えば、固形状、液状、顆粒状、粒状、粉末状、カプセル状、クリーム状、ペースト状のいずれであってもよい。
飲食品の種類としては、具体的には、食パン、菓子パン等のパン類;そば、うどん、パスタ、中華麺、即席麺等の麺類;キャンディー、チューインガム、チョコレート、ビスケット・クッキー等の焼き菓子、ゼリー等の菓子類;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;加工乳、発酵乳、ヨーグルト、バター、チーズ等の乳製品;かまぼこ、ちくわ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;しょうゆ、ソース、酢、みりん等の調味料;清涼飲料、炭酸飲料、美容ドリンク、栄養飲料、果実飲料、乳飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調製用粉末を含む)等が挙げられるが、これらに限定はされない。
本願発明の飲食品は、その種類に応じて通常使用される添加物を適宜配合してもよい。添加物としては、食品衛生上許容され得る添加物であればいずれも使用できるが、例えば、ブドウ糖、ショ糖、果糖、異性化液糖、アスパルテーム、ステビア等の甘味料;クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸味料;デキストリン、澱粉等の賦形剤;結合剤、希釈剤、香料、着色料、緩衝剤、増粘剤、ゲル化剤、安定剤、保存剤、乳化剤、分散剤、懸濁剤、防腐剤等が挙げられる。
本願発明の飲食品におけるサルコシンの配合量は、幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化促進作用が発揮できる量であればよいが、対象飲食品の一般的な摂取量、飲食品の形態、効能・効果、呈味性、嗜好性及びコスト等を考慮して適宜設定すればよい。
以下、実施例により本願発明をさらに具体的に説明する。但し、本願発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)サルコシンによる幹細胞(マウスES細胞)の中内胚葉細胞への分化誘導
(1)ES細胞の調製
ゼラチンコート処理した35mmシャーレにmitomycin C処理済みのMEF細胞(mouse embryonic fibroblast)をコンフルエントの状態で培養し、その上にマウスES細胞を10〜20×10個播種し、37℃、5%COインキュベーターで前培養した。培地はDMEMにMillipore社製のES細胞用添加因子(L−グルタミン液、2−メルカプトエタノール液、ヌクレオシド液、非必須アミノ酸液)を推奨濃度で添加した後、LIF(leukemia inhibitory factor)を1000units/mL、FBS(fetal bovine serum)を15%添加したES細胞未分化維持用培地(以下、「ES細胞用培地」という)を用いた。
上記の方法で培養したES細胞及びMEF細胞をトリプシン処理によりシャーレから剥がし、それらを再びゼラチンコート処理した35mmシャーレに播種した。播種後30分間静置し、その後培地を別のチューブに回収した。このとき接着性の強いMEF細胞はシャーレに残り、ES細胞のみが回収される。このようにして回収した未分化のES細胞を用いて以下の実験を行った。
(2)EBを形成する培養系におけるサルコシンによる幹細胞の中内胚葉細胞への分化誘導
MEFから分離した未分化のマウスES細胞を、LIFを除いたES細胞用培地に懸濁し、500cells/100μLの細胞濃度で、低細胞付着性の96wellプレートに播種しEB(Embryoid Body)を作製した。その際、市販のサルコシン(シグマアルドリッチ社製、サルコシン)を2.5、5、10mMの濃度で添加した。
培養6日後にEBを回収し、PBS(−)にて洗浄し、Trizol Reagent(Invitrogen)によってEBからRNAを抽出した。2−STEPリアルタイムPCRキット(Applied Biosystems)を用いて、RNAをcDNAに逆転写後、ABI7300(Applied Biosystems)により、下記の各プライマーセットを用いてリアルタイムPCR(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40サイクル)を実施し、Sox1(外胚葉マーカー:Dvelopment. 1998;125:1967−1978. A role for SOX1 in neural determination. Pevny LH, Sockanathan S, Placzek M, Lovell−Badge R.)、T、Foxa2、Gsc、Mixl1(中内胚葉マーカー)の各マーカー遺伝子の発現を解析した。その他の操作は定められた方法に従って行った。
Sox1(外胚葉マーカー)用プライマーセット:
GCCGAGTGGAAGGTCATGT(配列番号1)
TGTAATCCGGGTGTTCCTTCAT(配列番号2)
T(中内胚葉マーカー)用プライマーセット:
CAGCCCACCTACTGGCTCTA(配列番号3)
GAGCCTCGAAAGAACTGAGC(配列番号4)
Foxa2(中内胚葉マーカー)用プライマーセット:
GGCCCAGTCACGAACAAAGC(配列番号5)
CCCAAAGTCTCCACTCAGCCTC(配列番号6)
Gsc(中内胚葉マーカー)用プライマーセット:
GCACCGCACCATCTTCA(配列番号7)
AAACCAGACCTCCACCTTC(配列番号8)
Mixl1(中内胚葉マーカー)用プライマーセット:
CGCCAGAGTGGGAAGTCA(配列番号9)
CAGGGCAATGGAGGAAAAC(配列番号10)
Gapdh(内部標準)用プライマーセット:
TGCACCACCAACTGCTTAGC(配列番号11)
TCTTCTGGGTGGCAGTGATG(配列番号12)
各細胞のマーカー遺伝子の発現については、サルコシンを添加せずに培養した細胞における各遺伝子mRNAの発現量を内部標準であるGapdh mRNAの発現量に対する割合として算出した相対発現量(各遺伝子の発現量/Gapdhの発現量)の値を1とし、これに対し、サルコシンを添加した各細胞における各遺伝子相対発現量の値を算出し、評価した。その結果を表1に示す。
表1に示されるように、外胚葉マーカーであるSox1はサルコシンの濃度依存的に発現が抑制された。一方で、中内胚葉マーカーであるT、Foxa2、Gsc、Mixl1に関してはその発現が顕著に促進されることが確認された。また、ヒトiPS細胞及び体性幹細胞を用いた実験においても同様の結果が得られた。
(3)定着培養系におけるサルコシンによる幹細胞の中内胚葉細胞への分化誘導
MEFから分離した未分化のマウスES細胞をゼラチンコート処理した35mmシャーレに直接(MEF細胞なしの状態で)播種し(5×10 cells/well)、LIFを除いたES細胞用培地を用いて培養し、5mMのサルコシンを添加した。培養6日後に免疫染色を行い、中内胚葉マーカーであるTの発現を解析した。
図1に上記分化誘導試験の結果を示す。サルコシン5mM添加群では、サルコシン無添加群と比較してT陽性細胞が顕著に増加した。また、ヒトiPS細胞及び体性幹細胞を用いた実験においても同様の結果が得られた。
上記(表1及び図1)のように、サルコシンは幹細胞から外胚葉への分化を抑制し、中内胚葉細胞への分化を顕著に促進する。
(実施例2)サルコシンによる幹細胞(マウスES細胞)の心筋細胞への分化誘導
上記方法と同様に作製し6日間培養されたEBを、ゼラチンコート処理した48wellプレートに各wellに1個ずつ播種し、LIFを除いたES細胞培地を用いて培養し、5mMのサルコシンを添加した。EB播種後毎日、各wellにおいて、定着して分化・増殖している細胞集団のうち、心筋へ分化して拍動している領域の有無を観察した。
図2に上記分化誘導試験の結果を示す。サルコシン添加群では、拍動する領域を有するwellの割合が増加することが確認された。また、ヒトiPS細胞及び体性幹細胞を用いた実験においても同様の結果が得られた。
また、播種後6日目(培養12日目)のEBを回収し、心筋の分化マーカー遺伝子であるα−MHC、MLC2v(心筋細胞マーカー)の発現を下記の各プライマーセットを用いてリアルタイムPCRにより解析した。
α−MHC(心筋細胞マーカー)用プライマーセット:
TAAAGGCAAAGGAGGCAAGAAG(配列番号13)
ACAAAGTGAGGGTGGGTGGT(配列番号14)
MLC2v(心筋細胞マーカー)用プライマーセット:
CGACAAGAATGACCTAAGGGACA(配列番号15)
CCCAAACATCGTGAGGAACA(配列番号16)
リアルタイムPCRによる各マーカー遺伝子の発現の解析結果を表2に示す。
表2に示されるように、サルコシン添加により、心筋の分化マーカー(α−MHC、MLC2v)の発現が促進されることが確認された。また、ヒトiPS細胞及び体性幹細胞を用いた実験においても同様の結果が得られた。
上記(図2及び表2)のように、サルコシンは幹細胞から心筋細胞への分化を促進する。
(実施例3)サルコシンによる幹細胞(マウスES細胞)の肝細胞への分化誘導
上記方法と同様に作製し6日間培養されたEBを、ゼラチンコート処理した48wellプレートに各wellに1個ずつ播種し、LIFを除いたES細胞培地を用いて培養し、5mMのサルコシンを添加した。播種後6日目(培養12日目)のEBを回収し、肝細胞の分化マーカー遺伝子であるAfp(肝前駆細胞マーカー)、Alb(肝細胞マーカー)の発現を下記の各プライマーセットを用いてリアルタイムPCRにより解析した。
Afp(肝前駆細胞マーカー)用プライマーセット:
CACACCCGCTTCCCTCATCC(配列番号17)
TTCTTCTCCGTCACGCACTGG(配列番号18)
Alb(肝細胞マーカー)用プライマーセット:
GACGTGTGTTGCCGATGAGT(配列番号19)
TCACGGAGGTTTGGAATGG(配列番号20)
リアルタイムPCRによる各マーカー遺伝子の発現の解析結果を表3に示す。
表3に示されるように、サルコシン添加により、肝細胞の分化マーカー(Afp、Alb)の発現が促進されることが確認された。また、ヒトiPS細胞及び体性幹細胞を用いた実験においても同様の結果が得られた。以上のように、サルコシンは幹細胞から肝細胞への分化を促進する。
本願発明の中内胚葉系細胞分化誘導剤は、幹細胞から心筋等の中胚葉系細胞、肝細胞等の内胚葉系細胞又は共通の前駆細胞である中内胚葉細胞を効率的に分化誘導できる。分化誘導された心筋細胞や肝細胞は、損傷部位への移植、人工心臓・人工肝臓としての利用等、再生医療分野において利用できる。また、心疾患や肝不全等の疾患の根本的治療を目的とした医薬品、医薬部外品、機能性食品やサプリメント等の飲食品の製造分野において利用できる。
図1AはサルコシンによるES細胞から中内胚葉細胞への分化誘導試験結果を示す(上段左:サルコシン無添加群の培養6日後のT(中内胚葉マーカー)に対する免疫染色像、上段右:サルコシン無添加群の培養6日後のDAPI染色像、下段左:サルコシン5mM添加群の培養6日後のT(中内胚葉マーカー)に対する免疫染色像、下段右:サルコシン5mM添加群の培養6日後のDAPI染色像)。図1Bは、図1Aの免疫染色像から、サルコシン無添加群及びサルコシン5mM添加群の培養6日後のT陽性細胞の割合を示す。 図2はサルコシンによるES細胞から心筋細胞への分化誘導試験結果を示す。サルコシン無添加群とサルコシン5mM添加群それぞれのEBにおいて、心筋に分化して拍動している領域を有する割合を示す。

Claims (7)

  1. サルコシンを含有することを特徴とする、多能性幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞及び中内胚葉細胞から成る群から選ばれる一種以上の細胞への分化誘導剤。
  2. 中胚葉系細胞が循環器系細胞である、請求項1記載の分化誘導剤。
  3. 循環器系細胞が心筋細胞である、請求項2記載の分化誘導剤。
  4. 内胚葉系細胞が消化器系細胞である、請求項1記載の分化誘導剤。
  5. 消化器系細胞が肝前駆細胞又は肝細胞である、請求項4記載の分化誘導剤。
  6. サルコシンの存在下で多能性幹細胞を培養して、中胚葉系細胞、内胚葉系細胞及び中内胚葉細胞から成る群から選ばれる一種以上の細胞へ分化誘導することを特徴とする、多能性幹細胞から中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞への分化誘導方法。
  7. サルコシンの存在下で多能性幹細胞を培養して、中胚葉系細胞、内胚葉系細胞及び中内胚葉細胞から成る群から選ばれる一種以上の細胞へ分化誘導する工程を含む、中胚葉系細胞、内胚葉系細胞又は中内胚葉細胞の製造方法。
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