JP6074649B2 - 被処理流体の安定吐出機構を備えた流体処理装置及び流体処理方法 - Google Patents

被処理流体の安定吐出機構を備えた流体処理装置及び流体処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間で反応物を反応させる反応装置に関する。
特開2006−104448号公報 特開2003−159696号公報 特開2003−210957号公報 WO2009/008394号国際公開パンフレット(装置:投入角度)
一般的に反応装置に求められる性能は、反応制御、均一反応、反応物の収率向上、安全性、処理量、洗浄性、低コストなどである。しかしながら、従来の反応装置は反応用タンクなどを用いたバッチ式のものが主に使用されており、そのような場合には反応物の濃度や温度が均一になるまでに一定の時間を要するため、瞬間的な混合・拡散・反応を行う事が難しかった。そのため、反応に長時間を要する場合があるだけでなく、反応生成物の不均一性、収率低下、反応制御不能時に事故が発生する等の問題があった。さらに、上記反応及び反応物に関する問題だけでなく、一定容量のタンクにおいて反応物の生産を考えた場合には、最低処理量及び最高処理量に限界があるため、反応生成物の必要量に対して新たに別のタンクを準備する必要が発生したり、同じ工程を複数回繰り返す必要があるなど、運用の不自由度やエネルギー使用量を含め高コストと なりやすいという問題があった。
上記バッチ式の問題を解決する手段として、特許文献1〜3に示されるような微小な流路や微小な反応容器を用いたマイクロリアクターやマイクロミキサーが提供されている。狭い反応流路または反応容器において、反応を行う事によって、瞬間的な混合・攪拌・拡散を可能とできるため、上記の課題を解決されることが期待された。しかし、より均一な反応に対応するために、その反応流路をより狭くする方向にあることや、小型のスタティックミキサーのように攪拌効率を期待する手段を講じたり、スケールアップできないことなどの問題によって、大量生産への課題は未だ解決されていない。すなわち、単純な構造で拡散を制御できる技術が実現できれば、必要なときに必要な量の反応生成物を、効率よく高収率で得る事が可能な反応装置が実現できる。
本願出願人によって出願された特許文献4の装置のように、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部の処理用面間において、反応物を含む流体を処理用面間に導入し、前記流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から反応物を含む少なくとももう一つの流体を処理用面間に導入して、処理用面間で各流体を混合・攪拌して反応を行う事を可能とする流体処理装置がある。この装置を用いれば、従来の反応装置において問題とされてきた、目的としてきた反応系における温度均一化速度の向上、濃度均一化速度の向上、またマイクロリアクターにおいて問題とされた流路径が狭くなる事による圧力損失の影響や、析出を伴う反応の場合における生成物の流路の閉塞現象、または反応によって生じる泡によるマイクロ流路の閉鎖などの問題を解決し、さらに拡散の補助による反応の時間短縮や均一化等をこれまで以上に効果的に行う事ができる。
しかし上記特許文献4に記載されたような機構の装置を用いた場合であっても処理用面間において処理された流体を、処理用面間より吐出液として排出させ、ベッセルなどで捕集して吐出させる場合には、上記処理用部が回転することによって、ベッセル内の流体が、ベッセル内に滞留しやすくなり、吐出され難い状態となる場合や、また処理用面間より吐出された流体が、処理用部周辺の部材(例えば、処理用部を支持するホルダ)の天板などに付着する場合があり、処理用面間において処理された流体を安定的に吐出させることが難しい場合があった。そのため、ベッセルが大きくなりやすいことや、例えば微粒子の作製を目的とした場合に、処理用面間において微粒子の核を生成させ、処理用面間より前記微粒子の核を含む流体として吐出させた後に、吐出液中において微粒子の核を成長させる方法のような、目的物を得るために処理用面間より吐出された後も反応・析出を継続する場合に、安定的に目的物が得られないなどの問題があった。
本発明は上記の知見により、特許文献4の装置を更に改良して、処理用面間より吐出させた流体を、安定的にベッセル等の容器内において意図的に移動させることができる流体処理機構及び流体処理方法を提供せんとするものである。
上記課題を解決するために本発明は、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面間で被処理流体を処理し、前記被処理流体を処理用面間より吐出液として排出させる流体処理装置と、前記吐出部を含む前記流体処理装置の一部又は全部を収納する容器とを備えた流体処理機構において、次の特徴を備えたものを提供する。
本発明の前記容器は、その内部空間内に存在する流体を、前記容器外に流出させる流出部を備えるものである。本発明の流体処理機構は、前記容器内の流体を前記流出部へ導くための補助機構を備える。前記補助機構は、前記吐出部から吐出する前記吐出液の流れを強制的に変更するものであり、この変更によって前記流出部への前記吐出液の移動を促すことを特徴とするものである。
また、本発明は、前記吐出部から前記容器の内部空間へ吐出する前記吐出液の流れを強制的に変更する補助機構を備えたものであり、この変更によって、前記回転の軸方向の成分を含む方向への前記吐出液の移動を促すことを特徴とするものである。
本発明の前記補助機構は、回転機構と静止機構との少なくとも何れか一方の機構を備えるものとして実施し得る。前記回転機構は、前記内部空間内において回転部を回転させるものであり、前記回転部の回転により生ずる前記容器内空間の流れによって、前記吐出液の移動を促すものである。また、前記静止機構は、前記吐出部の半径方向の外側であって、前記処理用部とは間隔を隔てて配置された誘導部を含み、前記処理用部の前記回転によって周方向成分と半径方向の外側への径方向成分とをもって吐出する前記吐出液に対して、前記誘導部が衝突することにより、前記吐出液の流れが軸方向成分を含む方向に変更されるものである。
また、前記補助機構としての前記回転機構は、前記回転をなす前記処理用部と同軸に回転する回転部を有するものであり、前記回転部は、回転することによって、前記吐出部から前記処理用部の半径方向の外側方向に吐出された前記吐出液を含む前記容器内の流体を、半径方向の内側方向に吸引するフィンを備えたものであり、前記吸引により生ずる前記容器内空間の流れによって、前記吐出液の移動を促すものであることを特徴とするものとして実施し得る。
前記流体処理装置は、回転軸と、前記回転軸によって回転するホルダーとを備え、前記回転部は、前記ホルダーの少なくとも外側に延設されたフィンであることを特徴とするものとして実施し得る。
また、前記静止機構は、前記内部空間内における前記吐出部の半径方向の外側に設けられた誘導部を含み、前記誘導部は、前記容器の内壁に固定され、前記処理用部の前記回転によって、周方向成分と半径方向の外側への径方向成分とをもって吐出する前記吐出液に対して、前記誘導部が衝突して軸方向成分を含む方向に変更させるものであることを特徴とするものとして実施し得る。
本発明は、上記の流体処理機構によって、少なくとも2種類の前記被処理流体を前記処理用面間で混合・攪拌して反応を行わせ、前記吐出部より吐出液として排出させることを特徴とする流体処理方法を提供する。
本発明は、処理用面間より吐出させた流体を、安定的にベッセル等の容器内において意図的に移動させることができる流体処理機構及び流体処理方法を提供することができたものである。
より具体的な一例を示せば、上記吐出液を捕集するための容器として、ベッセルを用いた場合、ベッセルより吐出させる方向に、前記吐出液の流れを補助する機構を敷設することによって、処理用面間より排出された吐出液を安定的にベッセルより吐出させることができる。また、ベッセル内における流体の滞留を低減することができる。さらに、処理用部を保持するためのホルダへ、吐出液などが付着することを低減できるため、目的生成物を安定的に得やすくすることができる。またベッセル等の容器のサイズも小さくできるという付加的な効果も発揮し得る。
従来例に係る流体処理装置の略断面図である。 (A)は図1に示す流体処理装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は同装置の処理用面の要部拡大図である。 (A)は同装置の第2導入部の断面図であり、(B)は同第2導入部を説明するための処理用面の要部拡大図である。 本発明の第1の実施に係る流体処理機構の略断面図である。 同実施の形態に係る流体処理機構における補助機構(回転機構)を下方から見た斜視図である。 (A)は同実施の形態に係る流体処理機構における補助機構(回転機構)の底面図、(B)は同補助機構(回転機構)の変更例の底面図である。 本発明の第2の実施に係る流体処理機構の略断面図である。 (A)は同実施の形態に係る流体処理機構における補助機構(回転機構)の平面からみた説明図、(B)は図8(A)のa−b−c−d線に沿う断面の補助機構(回転機構)の断面図である。 本発明の第3の実施に係る流体処理機構の略断面図である。 (A)は同実施の形態に係る流体処理機構における補助機構(静止機構)の平面からみた説明図であり、(B)は同補助機構(静止機構)の斜視図である。
以下、図面を用いて本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1〜図3に示す流体処理装置は、特許文献3に記載の装置と同様であり、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間で被処理物を処理するものであって、被処理流動体のうちの第1の被処理流動体である第1流体を処理用面間に導入し、前記第1流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から被処理流動体のうちの第2の被処理流動体である第2流体を処理用面間に導入して処理用面間で上記第1流体と第2流体を混合・攪拌して処理を行う装置である。なお、図1においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示しているが、本発明において上下前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。図2(A)、図3(B)においてRは回転方向を示している。図3(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
この装置は、被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体については被処理物を少なくとも1種類含むものであり、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面を備え、これらの処理用面の間で上記の各流体を合流させて薄膜流体とするものであり、当該薄膜流体中において上記の被処理物を処理する装置である。この装置は、上述のとおり、複数の被処理流動体を処理することができるが、単一の被処理流動体を処理することもできる。
この流体処理装置は、対向する第1及び第2の、2つの処理用部10,20を備え、少なくとも一方の処理用部が回転する。両処理用部10,20の対向する面が、夫々処理用面となる。第1処理用部10は第1処理用面1を備え、第2処理用部20は第2処理用面2を備える。
両処理用面1,2は、被処理流動体の流路に接続され、被処理流動体の流路の一部を構成する。この両処理用面1,2間の間隔は、適宜変更して実施することができるが、通常は、1mm以下、例えば0.1μmから50μm程度の微小間隔に調整される。これによって、この両処理用面1,2間を通過する被処理流動体は、両処理用面1,2によって強制された強制薄膜流体となる。
この装置を用いて複数の被処理流動体を処理する場合、この装置は、第1の被処理流動体の流路に接続され、当該第1被処理流動体の流路の一部を形成すると共に、第1被処理流動体とは別の、第2被処理流動体の流路の一部を形成する。そして、この装置は、両流路を合流させて、処理用面1,2間において、両被処理流動体を混合し、反応させるなどの流体の処理を行なう。なお、ここで「処理」とは、被処理物が反応する形態に限らず、反応を伴わずに混合・分散のみがなされる形態も含む。
具体的に説明すると、上記の第1処理用部10を保持する第1ホルダ11と、第2処理用部20を保持する第2ホルダ21と、接面圧付与機構と、回転駆動機構と、第1導入部d1と、第2導入部d2と、流体圧付与機構pとを備える。
図2(A)へ示す通り、この実施の形態において、第1処理用部10は、環状体であり、より詳しくはリング状のディスクである。また、第2処理用部20もリング状のディスクである。第1、第2処理用部10、20の材質は、金属の他、カーボン、セラミック、焼結金属、耐磨耗鋼、サファイア、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどを施工したものを採用することができる。この実施の形態において、両処理用部10,20は、互いに対向する第1、第2の処理用面1、2の少なくとも一部が鏡面研磨されている。
この鏡面研磨の面粗度は、特に限定されないが、好ましくはRa0.01〜1.0μm、より好ましくはRa0.03〜0.3μmとする。
少なくとも一方のホルダは、電動機などの回転駆動機構(図示せず)にて、他方のホルダに対して相対的に回転することができる。図1の50は、回転駆動機構の回転軸を示しており、この例では、この回転軸50に取り付けられた第1ホルダ11が回転し、この第1ホルダ11に支持された第1処理用部10が第2処理用部20に対して回転する。もちろん、第2処理用部20を回転させるようにしてもよく、双方を回転させるようにしてもよい。また、この例では、第1、第2ホルダ11、21を固定しておき、この第1、第2ホルダ11、21に対して第1、第2処理用部10、20が回転するようにしてもよい。
第1処理用部10と第2処理用部20とは、少なくとも何れか一方が、少なくとも何れか他方に、接近・離反可能となっており、両処理用面1,2は、接近・離反できる。
この実施の形態では、第1処理用部10に対して、第2処理用部20が接近・離反するもので、第2ホルダ21に設けられた収容部41に、第2処理用部20が出没可能に収容されている。但し、これとは、逆に、第1処理用部10が、第2処理用部20に対して接近・離反するものであってもよく、両処理用部10,20が互いに接近・離反するものであってもよい。
この収容部41は、第2処理用部20の、主として処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、平面視において、円を呈する、即ち環状に形成された、溝である。この収容部41は、第2処理用部20を回転させ得る十分なクリアランスを持って、第2処理用部20を収容する。なお、第2処理用部20は軸方向に平行移動のみが可能なように配置してもよいが、上記クリアランスを大きくすることにより、第2処理用部20は、収容部41に対して、処理用部20の中心線を、上記収容部41の軸方向と平行の関係を崩すように傾斜して変位できるようにしてもよく、さらに、第2処理用部20の中心線と収容部41の中心線とが半径方向にずれるように変位できるようにしてもよい。
このように、3次元的に変位可能に保持するフローティング機構によって、第2処理用部20を保持することが望ましい。
上記の被処理流動体は、各種のポンプや位置エネルギーなどによって構成される流体圧付与機構pによって圧力が付与された状態で、第1導入部d1と、第2導入部d2から両処理用面1、2間に導入される。この実施の形態において、第1導入部d1は、環状の第2ホルダ21の中央に設けられた通路であり、その一端が、環状の両処理用部10、20の内側から、両処理用面1、2間に導入される。第2導入部d2は、第1の被処理流動体と反応させる第2の被処理流動体を処理用面1,2へ供給する。この実施の形態において、第2導入部d2は、第2処理用部20の内部に設けられた通路であり、その一端が、第2処理用面2にて開口する。流体圧付与機構pにより加圧された第1の被処理流動体は、第1導入部d1から、両処理用部10,20の内側の空間に導入され、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通り、両処理用部10,20の外側に通り抜けようとする。これらの処理用面1,2間において、第2導入部d2から流体圧付与機構pにより加圧された第2の被処理流動体が供給され、第1の被処理流動体と合流し、混合、攪拌、乳化、分散、反応、晶出、晶析、析出などの種々の流体処理がなされ、両処理用面1,2から、両処理用部10,20の外側に排出される。なお、減圧ポンプにより両処理用部10,20の外側の環境を負圧にすることもできる。
上記の接面圧付与機構は、第1処理用面1と第2処理用面2とを接近させる方向に作用させる力を、処理用部に付与する。この実施の形態では、接面圧付与機構は、第2ホルダ21に設けられ、第2処理用部20を第1処理用部10に向けて付勢する。
前記の接面圧付与機構は、第1処理用部10の第1処理用面1と第2処理用部20の第2処理用面2とが接近する方向に押す力(以下、接面圧力という)を発生させるための機構である。この接面圧力と、流体圧力などの両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、nm単位ないしμm単位の微小な膜厚を有する薄膜流体を発生させる。言い換えれば、上記力の均衡によって、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保つ。
図1に示す実施の形態において、接面圧付与機構は、上記の収容部41と第2処理用部20との間に配位される。具体的には、第2処理用部20を第1処理用部10に近づく方向に付勢するスプリング43と、空気や油などの付勢用流体を導入する付勢用流体導入部44とにて構成され、スプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とによって、上記の接面圧力を付与する。このスプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とは、いずれか一方が付与されるものであればよく、磁力や重力などの他の力であってもよい。この接面圧付与機構の付勢に抗して、流体圧付与機構pにより加圧された被処理流動体の圧力や粘性などによって生じる離反力によって、第2処理用部20は、第1処理用部10から遠ざかり、両処理用面間に微小な間隔を開ける。このように、この接面圧力と離反力とのバランスによって、第1処理用面1と第2処理用面2とは、μm単位の精度で設定され、両処理用面1,2間の微小間隔の設定がなされる。上記離反力としては、被処理流動体の流体圧や粘性と、処理用部の回転による遠心力と、付勢用流体導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧、スプリング43を引っ張りスプリングとした場合のバネの力などを挙げることができる。この接面圧付与機構は、第2処理用部20ではなく、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。
上記の離反力について、具体的に説明すると、第2処理用部20は、上記の第2処理用面2と共に、第2処理用面2の内側(即ち、第1処理用面1と第2処理用面2との間への被処理流動体の進入口側)に位置して当該第2処理用面2に隣接する離反用調整面23を備える。この例では、離反用調整面23は、傾斜面として実施されているが、水平面であってもよい。被処理流動体の圧力が、離反用調整面23に作用して、第2処理用部20を第1処理用部10から離反させる方向への力を発生させる。従って、離反力を発生させるための受圧面は、第2処理用面2と離反用調整面23とになる。
さらに、この図1の例では、第2処理用部20に近接用調整面24が形成されている。この近接用調整面24は、離反用調整面23と軸方向において反対側の面(図1においては上方の面)であり、被処理流動体の圧力が作用して、第2処理用部20を第1処理用部10に接近させる方向への力を発生させる。
なお、第2処理用面2及び離反用調整面23に作用する被処理流動体の圧力、即ち流体圧は、メカニカルシールにおけるオープニングフォースを構成する力として理解される。処理用面1,2の接近・離反の方向、即ち第2処理用部20の出没方向(図1においては軸方向)と直交する仮想平面上に投影した近接用調整面24の投影面積A1と、当該仮想平面上に投影した第2処理用部20の第2処理用面2及び離反用調整面23との投影面積の合計面積A2との、面積比A1/A2は、バランス比Kと呼ばれ、上記オープニングフォースの調整に重要である。このオープニングフォースについては、上記バランスライン、即ち近接用調整面24の面積A1を変更することで、被処理流動体の圧力、即ち流体圧により調整できる。
摺動面の実面圧P、即ち、接面圧力のうち流体圧によるものは次式で計算される。
P=P1×(K−k)+Ps
ここでP1は、被処理流動体の圧力即ち流体圧を示し、Kは上記のバランス比を示し、kはオープニングフォース係数を示し、Psはスプリング及び背圧力を示す。
このバランスラインの調整により摺動面の実面圧Pを調整することで処理用面1,2間を所望の微小隙間量にし被処理流動体による流動体膜を形成させ、生成物などの処理された被処理物を微細とし、また、均一な反応処理を行うのである。
なお、図示は省略するが、近接用調整面24を離反用調整面23よりも広い面積を持ったものとして実施することも可能である。
被処理流動体は、上記の微小な隙間を保持する両処理用面1,2によって強制された薄膜流体となり、環状の両処理用面1、2の外側に移動しようとする。ところが、第1処理用部10は回転しているので、混合された被処理流動体は、環状の両処理用面1,2の内側から外側へ直線的に移動するのではなく、環状の半径方向への移動ベクトルと周方向への移動ベクトルとの合成ベクトルが被処理流動体に作用して、内側から外側へ略渦巻き状に移動する。
なお、回転軸50は、鉛直に配置されたものに限定するものではなく、水平方向に配位されたものであってもよく、傾斜して配位されたものであってよい。被処理流動体は両処理用面1,2間の微細な間隔にて処理がなされるものであり、実質的に重力の影響を排除できるからである。また、この接面圧付与機構は、前述の第2処理用部20を変位可能に保持するフローティング機構と併用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能する。
第1、第2処理用部10、20は、その少なくともいずれか一方を、冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよく、図1では、第1、第2処理用部10、20に温調機構(温度調整機構)J1,J2を設けた例を図示している。また、導入される被処理流動体を冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしもよい。これらの温度は、処理された被処理物の析出のために用いることもでき、また、第1、第2処理用面1、2間における被処理流動体にベナール対流若しくはマランゴニ対流を発生させるために設定してもよい。
図2に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1には、第1処理用部10の中心側から外側に向けて、即ち径方向について伸びる溝状の凹部13を形成して実施してもよい。この凹部13の平面形状は、図2(B)へ示すように、第1処理用面1上をカーブして或いは渦巻き状に伸びるものや、図示はしないが、真っ直ぐ外方向に伸びるもの、L字状などに屈曲あるいは湾曲するもの、連続したもの、断続するもの、枝分かれするものであってもよい。また、この凹部13は、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、第1及び第2の処理用面1,2の双方に形成するものとしても実施可能である。この様な凹部13を形成することによりマイクロポンプ効果を得ることができ、被処理流動体を第1及び第2の処理用面1,2間に吸引することができる効果がある。
この凹部13の基端は第1処理用部10の内周に達することが望ましい。この凹部13の先端は、第1処理用部面1の外周面側に向けて伸びるもので、その深さ(横断面積)は、基端から先端に向かうにつれて、漸次減少するものとしている。
この凹部13の先端と第1処理用面1の外周面との間には、凹部13のない平坦面16が設けられている。
前述の第2導入部d2の開口部d20を第2処理用面2に設ける場合は、対向する上記第1処理用面1の平坦面16と対向する位置に設けることが好ましい。
この開口部d20は、第1処理用面1の凹部13からよりも下流側(この例では外側)に設けることが望ましい。特に、マイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側の平坦面16に対向する位置に設置することが望ましい。具体的には、図2(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の最も外側の位置から、径方向への距離nを、約0.5mm以上とするのが好ましい。特に、流体中から微粒子を析出させる場合には、層流条件下にて複数の被処理流動体の混合と、微粒子の析出が行なわれることが望ましい。開口部d20の形状は、図2(B)や図3(B)に示すように円形状であってもよく、図示しないが、リング状ディスクである処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状であってもよい。また、開口部を円環形状とした場合、その円環形状の開口部は連続していてもよいし、不連続であってもよい。
この第2導入部d2は方向性を持たせることができる。例えば、図3(A)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、第2処理用面2に対して所定の仰角(θ1)で傾斜している。この仰角(θ1)は、0度を超えて90度未満に設定されており、さらに反応速度が速い反応の場合には1度以上45度以下で設置されるのが好ましい。
また、図3(B)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、上記の第2処理用面2に沿う平面において、方向性を有するものである。この第2流体の導入方向は、処理用面の半径方向の成分にあっては中心から遠ざかる外方向であって、且つ、回転する処理用面間における流体の回転方向に対しての成分にあっては順方向である。言い換えると、開口部d20を通る半径方向であって外方向の線分を基準線gとして、この基準線gから回転方向Rへの所定の角度(θ2)を有するものである。この角度(θ2)についても、0度を超えて90度未満に設定されることが好ましい。
この角度(θ2)は、流体の種類、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。また、第2導入部d2に方向性を全く持たせないこともできる。
上記の被処理流動体の種類とその流路の数は、図1の例では、2つとしたが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。図1の例では、第2導入部d2から処理用面1,2間に第2流体を導入したが、この導入部は、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。また、一種類の被処理流動体に対して、複数の導入部を用意してもよい。また、各処理用部に設けられる導入用の開口部は、その形状や大きさや数は特に制限はなく適宜変更して実施し得る。また、上記第1及び第2の処理用面間1、2の直前或いはさらに上流側に導入用の開口部を設けてもよい。
なお、処理用面1,2間にて上記処理を行う事ができれば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
上記装置においては、析出・沈殿または結晶化のような処理が、図1に示すように、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間で強制的に均一混合しながら起こる。処理された被処理物の粒子径や単分散度は処理用部10、20の回転数や流速、処理用面1,2間の距離や、被処理流動体の原料濃度、または被処理流動体の溶媒種等を適宜調整することにより、制御することができる。
(第1の実施の形態:回転機構)本発明の第1の実施の形態に係る流体処理機構を、図4〜図6を参照して説明する。この実施の形態においては、図1〜図3を参照して説明した上述の流体処理装置が、密閉した容器61の内部に配置されている。この例においては、容器61は、処理用面1,2間の吐出部70(この例では、処理用面1,2の外周端と外周端との間)より排出させた吐出液を捕集するためのベッセル61として実施されている。
このベッセル61は、上述の流体処理装置の前記吐出部70全体を少なくとも収納する内部空間68を有しており、その下端に流出部69を有する。流出部69には管状容器62が接続されており、この接続箇所が管状容器62への入口63となる。
この流体処理機構の用途は種々想定し得るが、例えば、ベッセル61に接続された管状容器62内に入口63から前記吐出液を含む内部空間68内の流体を導入し、管状容器62内において、吐出液に含まれるシード微粒子を成長させるものとして実施できる。より具体的には、処理用面1,2間にできる薄膜流体中においてシード微粒子を析出させて、シード微粒子を含む流体を吐出液として吐出部70から排出させる工程と、吐出部70から排出された吐出液をベッセル61で捕集して、流出部69から流出させ、同吐出液を管状容器62内に入口63から導入し、管状容器62内にて同吐出液に含まれるシード微粒子を成長させて目的の微粒子を得る工程とを連続的に行うことができる。
図4では、ベッセル61は、円筒状などの筒状部分を上側に備え、径が徐々に小さくなる円錐形状のロート状部分を筒状部分の下側に備え、このロート状部分の下端に流出部69を備えているが、その形状は特に限定されるものではなく、例えば筒状部分のみで構成してもよい。また、角筒状のものであってもよい。流出部69は、ベッセル61の下端に限らず、筒状部分やロート状部分の側面に開口するものであってもよい。
また、管状容器62内にミキサーを内蔵したり、管状容器62に温度調整機構65を設けてもよい。さらに、処理用面1、2間に供給される流体とは異なる第3の流体を供給するための供給装置66を設け、その供給口67をベッセル61内に配置して、吐出部70からの吐出液とともに第3の流体を流出部69から流出させるようにしてもよい。
なお、上記のシード微粒子の析出と成長は、本発明の流体処理機構の単なる一使用例を示したに止まる。従って、管状容器62を流出部69に接続して実施する必要はなく、例えば、捕集した吐出液を流出部69から外部に排出するだけのもとして実施したり、流出部69を次の工程の流路に接続してもよく、流出部69より下流の構成は、処理の目的や吐出液の用途などに応じて適宜変更して実施することができる。
また流出部69を備えていない容器に前述の流体処理装置を配置した流体処理機構として実施することもできる。このような流体処理機構としては、流体処理装置を一定時間運転した後、容器内に溜まっている吐出液を外部に一度に排出するような、いわばバッチ処理に近い方法で処理を行なう機構を例示できる。
この実施の形態においては、吐出部70から吐出する吐出液の流れを強制的に変更し、この変更によって流出部69への前記吐出液の移動を促す補助機構を備えている。本発明では、この補助機構として、回転機構71(図4〜図8)と、静止機構81(図9、図10)との2種を提案するものであるが、この実施の形態では回転機構71を採用している。この回転機構71は、内部空間68において回転部72を回転させるものであり、回転部72により生ずる内部空間68の流体の流れによって、流出部69への吐出液の移動を促すものである。この流体の流れは、中央から外側に向けての移動を促すものであっても、また、外側から中央に向けての移動を促すものであっても、内部空間68の流体の攪拌をなす点で、効果がある。特に、以下に述べるように、外側から中央に向けての移動(言い換えると吸引作用)を、なすものが好ましい。
図4、図5に示すように、回転部72は、第1処理用部10を保持する第1ホルダ11の下部に設けられている。この第1ホルダ11は、相対的な回転をなす処理用部10、20のうち、ベッセル61の流出部69から近い側(図4では下側)の処理用部である第1処理用部10を保持するもので、回転駆動機構の回転軸50によって回転させられる。この例では、流出部69から遠い側(図4では上側)の第2処理用部20は回転しないものであるが、回転するものとして実施することもできる。
この第1ホルダ11は、上面に第1処理用面1を備えた第1処理用部10を、下側から保持している。この第1ホルダ11の下面(言い換えれば、ベッセル61の流出部69に近い側の面)は、この流体処理装置全体の下面を構成するものであり、この下面に回転機構71の回転部72が設けられている。
言い換えると、ベッセル61の内部空間68は、筒状の容器内空間であり、その上方側に吐出部70を備え、下端側に流出部69を備えており、流出部69の上方に位置する第1ホルダ11の下面に回転部72が設けられている。そのため、回転部72は、上下の位置関係で、吐出部70と流出部69との中間に位置している。また、回転軸50を中心とした半径方向(左右方向)の位置関係では、第1処理用部10を回転させる回転軸50と同軸上に回転部72が位置しており、その半径方向の外側に吐出部70が開口しており、吐出液を外側に向けて吐出する。図の例では、流出部69は、回転軸50の真下に位置しているが、これに限らず、回転部72の領域内の下方でもよく、さらに、第1ホルダ11の領域内の下方でもよく、第1ホルダ11の領域外の下方でもよく、ベッセル61の側面であってもよい。
回転部72は、第1ホルダ11を直接加工して形成するなど、第1ホルダ11と完全な同体として構成してもよいが、回転部72を第1ホルダ11とは別部品として作成し、第1ホルダ11と同体に回転するように、第1ホルダ11に取り付けてもよい。また、第1ホルダ11に設けずに、処理用部(この例では第1処理用部10)に直接設けることもできる。さらに回転部72を、第1ホルダ11の下面とは空間を置いて設けてもよく、この場合には、回転軸50を下方に延長して、回転軸50に回転部72を固定又は一体形成してもよい。このように、上記の例では、いずれも回転軸50の回転を利用して回転するものであり、回転部72の単独の制御を行なわずに回転軸50に追随して回転することで、別個の駆動手段を用いず、構造が簡便で、エネルギー効率もよいが、これに限らず、回転機構71として電動機などの別の駆動機構を設けて、これによって回転部72を回転軸50とは独立して回転させるものとしてもよい 。
回転部72の具体的構成について、図5、図6(A)を参照して説明する。この回転部72は、吐出液を含む容器内の流体を外側から内側(第1ホルダ11の中心側)に吸引するものとして機能する。そのために、回転部72の回転によって、回転部72の周囲の流体を回転部72に近づくように吸引するフィン73を備える。この例では、フィン73は、凹部74と凸部75とによって規定されるもので、多数のフィン73が中心から外側に向けて形成されている。より詳しくは、それぞれのフィン73は、回転部72の中心から外側に向かうに従って、回転方向Rに対して前に進むように(言い換えると、回転方向Rに対して同方向に伸びるように)形成されている。これによって、回転方向Rへ回転部72が回転すると、回転部72の周囲の流体を、凸部75と凸部75との間の凹部74内に迎え入れ、そして中心方向に導き、これによって、外側から内側へ容器内の流体を強制的に移動させる。この流れによって、中央に集まって来た容器内の流体は、回転部72の軸方向成分を含む方向(図4の下方)に進む。このように、容器内の流体の流れができることによって、吐出部70から外側に向けて吐出された吐出液は、その流れの方向を外側から内側へ、さらに下方へと強制的に変更され、下方に設けられた流出部69へと導かれるものある。
なお、上記の容器内の流体は、吐出液のみで構成されていてもよく、吐出液と共に他の気体などを含むものであってもよい。例えば、吐出液が細かなミスト状に吐出された場合には、内部空間68中にもともと存在する気体中に浮遊するものであり、このミスト状の吐出液(液体)と、この吐出液が浮遊している内部空間68内の気体とが、容器内の流体を構成する。そして、この容器内の流体を、回転部72の回転によって、外側から内側へ吸引し、下方の流出部69への移動を促す。この容器内の流体は流出部69からそのままの状態で流出して次工程に送られる場合もあり、或いは、ミスト状の吐出液がベッセル61の下部において捕集される際に集められて再度液体状となって流出部69から流出する場合もあるが、何れの場合にあっても、吐出部70より吐出された吐出液はベッセル61の流出部69から安定的に排出される。
言い換えると、回転機構71を敷設しない場合には、ベッセル61の内部において吐出部70より吐出された流体が、処理用部10、20が回転することによって、処理用部10、20の回転方向へ流れやすくなり、ベッセル61内部を旋回して滞留しやすくなる。また、相対的に回転する処理用面1、2間において処理された流体は、大概の場合、霧状となって吐出部70より吐出され、ベッセル61において捕集される際に再度液体状となる。そのため、吐出液はベッセル61内においてミスト状のまま滞留しやすくなる。これに対して、本発明では、上記回転機構71を用いることによって、吐出部70間より吐出された流体またはミスト状の流体についても、容器内の流体を流出部69への移動を促すことができ、これによって、流出部69から安定的に排出することが可能となる。
フィン73を構成する凹部74と凸部75の形成は、凹部74を切削することによって、凹凸を形成するものであってもよく、凸部75となる部材を接合することによって凹凸を形成するものであってもよく、凹凸を有する金型などを用いた成型によって凹部74と凸部75とを同時に形成するものであってもよい。また、フィン73の形状や構造は、回転することで、吐出液を内外方向に移動させることができる形状、より好ましいくは外側から内側に吸引する機能を有するものであれば、種々の形式のファンに用いられる形状や構造に変更して実施することができるものであり、図示したものの他、さらに立体的な形状をなすものであってもよい。また、凹部74の深さ(凹部74と凸部75との高さの差)は特に限定されない。凹部74は、一定の深さであっても良いが、外側から中心に向かうほどに深くなることが好ましい。
凹部74の幅は、図6(A)のように中心部分に向かうに従って徐々に細くなるようにしてもよく、図6(B)のように、略一定の大きさを保ったものであってもよい。また、凹部74の幅と、凸部75の幅とは、何れか一方が大きく何れか他方が小さいものでもよく、同じ幅としてもよい。
また、図示は省略するが、フィン73の形状を、回転することによって、内側(中央)から外側に流体を移動させることができる形状としてもよい。これによって、吐出液は、ベッセル61の内壁に衝突して、上下方向(回転軸の軸方向)を含む成分に流体が流れる。但し、ベッセル61の内壁の形状や、流体処理装置の諸条件(特にその吐出部70の位置やベッセル61の内壁との間隔などの条件)に大きく影響されずに、吐出部70からの吐出液を軸方向に移動させることができる点で、前述のような吸引作用を果たす形状であることが好ましい。なお、中央から外側へ流体の流れを形成しようとする場合には、フィン73の伸びる向きを、上記とは逆にすればよい。
(第2の実施の形態:処理用部よりも外周側への敷設)回転機構71の第2の実施の形態を、図7、図8を参照して説明する。この例では、処理用部(この例では第1処理用部10)よりも外側に回転部72として、フィンを敷設したものである。より詳しくは、第1処理用部10を保持する第1ホルダ11の外周に複数本の板状フィン76を設けたものである。この板状フィン76は、吐出部70よりも図の下方(回転軸の軸方向において流出部69に近い方)に止まるものであってもよいが、好ましくは、吐出部70よりも図の上方(回転軸の軸方向において流出部69から遠い方)まで延設されているようにする。これにより、第1ホルダ11が回転することによって、外側の流体を中央側に吸引して、下方に流す。
そのため、それぞれ板状フィン76は、中央の基部から外側の先端に向かうに従って、回転方向Rに対して前に進むように(言い換えると、回転方向Rに対して同じ方向に伸びるように)形成されている。この板状フィン76の伸びる向きは、先のフィン73の伸びる向きとは同方向であるものを図示したが、逆向きに伸びるものであってもよい。このように回転部72の具体的形状は、種々変更して実施することができる。
なお、それぞれ板状フィン76は、軸方向においては、中央の基部から外側の先端に向かうに従って、上方に向かっており、吐出部70よりも上方(第2処理用部20側)に達するようにしているが、上昇させることなく、吐出部70に達せず、第1処理用部10と同じ高さに止まるようにしてもよく、さらには、第1処理用部10よりも下方に位置するものであってよい。
この実施の形態においても、先の実施の形態と同様に、第1ホルダ11が回転することによって、吐出部70より吐出された吐出液は、板状フィン76によって、第1ホルダ11の中心部に向かって流れることによって、吐出液が流出部69の方向に移動することを促す。
以上、第1、第2の実施の形態においては、回転機構71の回転部72が回転することによって、周囲の流体を吸引する吸引機構として機能する。
(第3の実施の形態2:静止機構81)図9、図10に、補助機構として、静止機構81を用いた例を示す。この静止機構81は、ベッセル61の内壁に、誘導部82を敷設したものである。
それぞれ誘導部82は、板状をなしており、その基部が、ベッセル61の内壁に固定され、中央の第1、第2処理用部10、20に向かって伸びている。誘導部82の先端は、第1、第2処理用部10、20と間隔を隔てて配置され、処理用面1、2間の吐出部70を取り巻くように配置されている。
この誘導部82は、上方から下方に向かうに従って、回転方向Rに対して前に進むように(言い換えると、回転方向Rに対して同方向に伸びるように)形成されている。この例では、吐出部70から、径外方向の成分を持って吐出する吐出液は、誘導部82に衝突してこれに導かれるように、下方へと向きを変え、流出部69へと導かれる。なお、上方とは軸方向において流出部69よりも遠い方、下方とは軸方向において流出部69よりも近い方を言う。
なお、誘導部82が設けられる軸方向の範囲は、吐出部70と同位置か、それよりも上方から、第1処理用部10よりも下方に向けて伸びるようにすることが好ましい。ベッセル61との関係で言えば、上部の筒状部から、下部のロート状部にまで延設させることが望ましい。
この実施の形態においては、誘導部82は静止しているが、相対的に回転する処理用面1、2間の吐出部70から吐出する吐出液は、半径方向成分と周方向成分との2成分をもって放射状に吐出され、この吐出液が誘導部82に衝突することによって、吐出液は第1ホルダ11の下方に向かって流れを変えるように案内され、吐出液が流出部69の方向に移動することを促す。
以上より、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間に、反応物を含む第1の流体を処理用面間に導入し、前記流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から反応物を含む第2流体を処理用面間に導入して処理用面間で混合・攪拌して反応を行う装置において、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面間で被処理流体を処理し、前記被処理流体を処理用面間より吐出液として排出させる流体処理装置において、上記吐出液を捕集するためのベッセルより吐出させる方向に、前記吐出液の流れを補助する機構を敷設することによって、処理用面間より排出された吐出液を安定的にベッセルより吐出させることができる。また、ベッセル内における流体の滞留並びにホルダ(特に第1ホルダ)への流体並びに反応物の付着を低減できるため、目的生成物を安定的に得やすく、またベッセルのサイズも小さくできる。
本発明に係る流体処理機構は、種々の流体処理に使用することができる。当該流体処理には、被処理物が反応する形態に限らず、反応を伴わずに混合・分散のみがなされる形態も含まれる。
例えば、本願出願人によって出願された、国際公開WO2009/008393号パンフレットに記載された対象物の流体処理に使用することができる。
1 第1処理用面
2 第2処理用面
10 第1処理用部
20 第2処理用部
61 容器
69 流出部
70 吐出部
71 回転機構
72 回転部
73 フィン
74 凹部
75 凸部
76 板状フィン
81 静止機構
82 誘導部

Claims (7)

  1. 接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して相対的な回転をなす処理用部における処理用面間で被処理流体を処理し、前記被処理流体を前記処理用面間の吐出部より吐出液として排出させる流体処理装置と、
    前記吐出部を含む前記流体処理装置の一部又は全部を収納する容器と、
    前記吐出液を含む前記容器の内部空間に存在する流体を、前記容器外に流出させる流出部を備えた流体処理機構において、
    前記吐出部は、前記処理用部の回転の軸に対して半径方向の外側に開口しており、
    前記容器内の流体を前記流出部へ導くための補助機構を備え、
    前記補助機構は、前記処理用部の前記回転によって、前記吐出部から前記半径方向の外側への径方向成分をもって吐出する前記吐出液の流れを強制的に変更するものであり、この変更によって前記流出部への前記吐出液の移動を促すものであり、
    前記補助機構は、回転機構を備え、
    前記回転機構は、前記回転をなす前記処理用部と同軸に回転する回転部を有するものであり、前記回転部は、回転することによって、前記吐出部から前記処理用部の半径方向の外側方向に吐出された前記吐出液を含む前記容器内の流体を、半径方向の内側方向に吸引するフィンを備えたものであり、
    前記吸引により生ずる前記容器内の流体の流れによって、前記吐出液の移動を促すものであり、前記吐出液が、前記回転の軸方向の成分を含む方向に進み、前記流出部へと導かれることを特徴とする流体処理機構。
  2. 接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して相対的な回転をなす処理用部における処理用面間で被処理流体を処理し、前記被処理流体を前記処理用面間の吐出部より吐出液として排出させる流体処理装置と、
    前記吐出部を含む前記流体処理装置の一部又は全部を収納する容器とを備えた流体処理機構において、
    前記吐出部は、前記処理用部の回転の軸に対して半径方向の外側に開口しており、
    前記処理用部の前記回転によって、前記吐出部から前記容器の内部空間へ前記半径方向の外側への径方向成分をもって吐出する前記吐出液の流れを、強制的に変更する補助機構を備えたものであり、この変更によって、前記回転の軸方向の成分を含む方向への前記吐出液の移動を促すものであり、
    前記補助機構は、回転機構を備え、
    前記回転機構は、前記回転をなす前記処理用部と同軸に回転する回転部を有するものであり、前記回転部は、回転することによって、前記吐出部から前記処理用部の半径方向の外側方向に吐出された前記吐出液を含む前記容器内の流体を、半径方向の内側方向に吸引するフィンを備えたものであり、
    前記吸引により生ずる前記容器内の流体の流れによって、前記吐出液の移動を促すものであり、前記吐出液が、前記回転の軸方向の成分を含む方向に進み、前記処理用部の下方へ導かれることを特徴とする流体処理機構。
  3. 前記流体処理装置は、回転軸と、前記回転軸によって少なくとも一方が他方に対して相対的に回転するホルダとを備え、
    前記処理用部は、第1処理用部と、第2処理用部とを備え、
    前記ホルダは、前記第1処理用部を保持する第1ホルダと、前記第2処理用部を保持する第2ホルダとを備え、
    前記回転部は、前記第1ホルダの少なくとも外側に延設されたフィンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体処理機構。
  4. 接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して相対的な回転をなす処理用部における処理用面間で被処理流体を処理し、前記被処理流体を前記処理用面間の吐出部より吐出液として排出させる流体処理装置と、
    前記吐出部を含む前記流体処理装置の一部又は全部を収納する容器と、
    前記吐出液を含む前記容器の内部空間に存在する流体を、前記容器外に流出させる流出部を備えた流体処理機構において、
    前記吐出部は、前記処理用部の回転の軸に対して半径方向の外側に開口しており、
    前記容器内の流体を前記流出部へ導くため、前記吐出液の流れを、前記流出部に近づく方向に強制的に変更する静止機構を備え、
    前記静止機構は、前記吐出部の半径方向の外側に設けられた誘導部を含み、
    前記誘導部は、前記容器の内壁に固定され、
    前記処理用部の前記回転によって、前記吐出部から周方向成分と半径方向の外側への径方向成分とをもって吐出する前記吐出液に対して、前記誘導部が衝突して前記回転の軸方向において前記処理用部よりも下方に流れを変更させるよう形成されたものであることを特徴とする流体処理機構。
  5. 前記流出部が前記処理用部の下方に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の流体処理機構。
  6. 記誘導部は、板状であって、その基部が前記容器の内壁に固定され、前記処理用部に向かって伸び、前記吐出部を取り巻くように配置されており、
    前記処理用部の前記回転によって、前記吐出部から周方向成分と半径方向の外側への径方向成分とをもって吐出する前記吐出液に対して、前記誘導部が衝突して前記回転の軸方向において前記処理用部よりも下方であって、前記流出部に近づく方向に強制的に流れを変更させるよう形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の流体処理機構。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の流体処理機構によって、少なくとも2種類の前記被処理流体を前記処理用面間で混合・攪拌して反応を行わせ、前記吐出部より吐出液として排出させることを特徴とする流体処理方法。
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