JP6074164B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨ておむつに関する。
従来、前胴回り域と、後胴回り域と、前胴回り域と後胴回り域との間に位置する股下域とを有し、一対の脚回り開口部が形成されると共に、股下域を跨ぎ前胴回り域及び後胴回り域に向かって延びる吸収体を備えた使い捨ておむつが知られている。
ここで、かかる使い捨ておむつを着用者の身体にフィットさせるために、かかる使い捨ておむつの胴回り域にエラストマー要素を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
特許第4824013号
しかしながら、上述のような使い捨ておむつの胴回り域の構造(エラストマー要素)によって、使い捨ておむつを着用者の身体にフィットさせるためには、かかる胴回り域の構造全体として、着用者の身体に対するフィット性を高める必要があり、その結果、着用者の肌への負荷が大きくなってしまうという問題点があった。
また、従来のテープ型の使い捨ておむつにおいては、着用者の脚が動いた場合や着用者が抱っこの姿勢を取った場合に、かかる使い捨ておむつが、着用者の背中においてズレてしまい、一旦、かかるズレが発生すると、かかる使い捨ておむつは、着用者の背中から股下部までの領域で、着用者の身体から離れてしまうという問題があった。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、着用者の肌への過度な負荷を与えることなく、着用者の身体にフィットし、着用者の身体からズレ難い構造を有する使い捨ておむつの提供を目的とする。
本発明の第1の特徴は、前胴回り域と、後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域と有し、一対の脚回り開口部が形成されると共に、前記股下域を跨ぎ前記前胴回り域及び前記後胴回り域に向かって延びる吸収体を備え、前記前胴回り域から前記後胴回り域に向かう製品長手方向と、前記製品長手方向と直交する製品幅方向とを有する使い捨ておむつであって、前記前胴回り域及び前記後胴回り域において、前記製品幅方向に沿って延び、前記使い捨ておむつを着用者の身体に保持するように構成されている胴回り保持部と、前記股下域に形成されたクロッチ伸縮部と、前記後胴回り域に形成され、前記製品幅方向に伸縮可能な一対のウェスト伸縮部と、前記吸収体に形成され、前記製品幅方向に沿って延びて前記使い捨ておむつの曲げ基点となる第1変曲部と、前記吸収体に形成され、前記製品幅方向に沿って延びて前記使い捨ておむつの曲げ基点となると共に、前記第1変曲部よりも前記後胴回り域側に位置する第2変曲部とを備え、前記クロッチ伸縮部は、前記胴回り保持部と交差することなく前記胴回り保持部から独立して備えられ、前記一対のウェスト伸縮部の間に、非伸縮領域が形成されていることを要旨とする。
本発明の特徴によれば、着用者の肌への過度な負荷を与えることなく、着用者の身体にフィットし、着用者の身体からズレ難い構造を有する使い捨ておむつを提供することができる。
本発明の実施形態に係る使い捨ておむつにおいて、レッグ伸縮部及びレッグサイドギャザーを構成する弾性部材が伸長した状態の展開平面図の一例である。 本発明の実施形態に係る使い捨ておむつにおいて、レッグ伸縮部及びレッグサイドギャザーを構成する弾性部材が伸長した状態の展開平面図の一例である。 図1に示すF-F線に沿った本実施形態に係る使い捨ておむつの断面図である。 本発明の実施形態に係る使い捨ておむつの着用者への装着状態を模式的に示す図である。
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る使い捨ておむつ10について説明する。
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
なお、本実施形態では、テープ型の使い捨ておむつ10を例に挙げて説明を行うが、本発明は、パンツ型の使い捨ておむつ10にも適用可能である。
図1及び図2は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の展開平面図であり、図3は、図1に示したF-F線に沿った本実施形態に係る使い捨ておむつ10の断面図であり、図4は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の着用者への装着状態を模式的に示す図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る使い捨ておむつ10は、前胴回り域20と、股下域25と、後胴回り域30とを有する。また、使い捨ておむつ10には、一対の脚回り開口部35が形成されている。
ここで、前胴回り域20は、着用者の前胴回り部と接する部分であり、後胴回り域30は、着用者の後胴回り部と接する部分であり、股下域25は、前胴回り域20と後胴回り域30との間に位置する部分である。
なお、本実施形態では、前胴回り域20から後胴回り域30に向かう方向を製品長手方向Lと呼び、製品長手方向Lと直交する方向を製品幅方向Wと呼ぶこととする。
本実施形態に係る使い捨ておむつ10は、股下域25を跨ぎ前胴回り域20及び後胴回り域30に延びる吸収体40を備える。図3に示すように、吸収体40は、吸収体コア40aとコアラップ40bとによって構成されている。
吸収体コア40aは、従来の使い捨ておむつで用いられているものと同様であり、粉砕パルプや高吸収ポリマー等、公知の部材や材料を用いて、吸収体コア40aを適宜構成することができる。吸収体コア40aは、シート状のコアラップ40bによって包まれている。
コアラップ40bは、吸収体コア40aを被覆するシートである。コアラップ40bの少なくとも肌当接面側の一部は、液透過性を有する各種の繊維不織布若しくはティッシュシートによって構成されている。
例えば、コアラップ40bを構成する部材としては、質量約10〜30g/mのエアスルー繊維不織布や、スパンボンド不織布や、SMS(スパンボンド-メルトブロン-スパンボンド)不織布や、質量約10〜30g/mのティッシュシートを用いることができる。
また、図3に示すように、吸収体40の表面側(肌当接面側)には、液透過性のトップシート50が備えられており、吸収体40の裏面側(非肌当接面側)には、バックシート60が備えられている。
さらに、図3に示すように、トップシート50とバックシート60との間に、液不透過性の防漏シート61が備えられている。
吸収体40の製品幅方向Wにおける両側縁部には、サイドフラップ70がそれぞれ備えられている。サイドフラップ70は、1枚又は2枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。
また、図1及び図2に示すように、本実施形態に係る使い捨ておむつ10は、後胴回り域30において、一対のファスニングテープ90を備えており、前胴回り域20の非肌当接面側の所定領域において、ターゲットテープ91を備えている。
ここで、ファスニングテープ90が、ターゲットテープ91に取り付けられることによって、使い捨ておむつ10を着用者の身体に保持することができる。
本実施形態において、前胴回り域20と後胴回り域30とファスニングテープ90とによって、胴回り保持部115が構成される。
後胴回り域30の胴回り保持部115は、ファスニングテープ90の係合部材が設けられた領域から製品幅方向Wに延びる範囲である。前胴回り域20の胴回り保持部115は、ターゲットテープ91が設けられた領域から製品幅方向Wに延びる範囲である。
また、図1及び図2に示すように、本実施形態に係る使い捨ておむつ10は、股下域25内において吸収体40が配置されている吸収体配置領域内に形成されるクロッチ伸縮部200aを備えていてもよい。
例えば、クロッチ伸縮部200aは、吸収体40(コアラップ40b)と防漏シート61との間に備えられていてもよい。
ここで、クロッチ伸縮部200aは、製品長手方向Lに伸縮可能であってもよいし、製品長手方向L及び製品幅方向Wの両方に伸縮可能であってもよい。
かかる場合、クロッチ伸縮部200aは、伸縮性シート部材によって構成されていてもよい。
クロッチ伸縮部200aは、レッグ伸縮部75とは個別独立して設けられており、吸収体コア40aと重なる位置(本実施形態では、吸収体コア40aを包むコアラップ40bとバックシート60との間の位置)において、当該重なる位置における吸収体コア40aの幅方向の長さの60%以上を収縮させるように構成されている。
このように、クロッチ伸縮部200aによって吸収体コア40aが配置された部分を収縮させることにより、吸収体コア40aが縮み、吸収性コア40a40aが縮まない部分と比較して平坦な形状を維持し易くなる。
一方、クロッチ伸縮部200aよりも製品長手方向L外側に位置する前胴回り域20や後胴回り域30に位置する吸収体コア440aは、クロッチ伸縮部200aによって収縮していない。
したがって、ファスニングテープ90により、着用者の腰やウエスト周りに保持された状態において、使い捨ておむつ10の股下域25に平坦な形状で維持されるクロッチ伸縮部200aが、過度に着用者の身体に密着することなく、結果、クロッチ伸縮部200aが、適度に着用者の身体に沿って配置される。
例えば、かかる伸縮性シート部材としては、ウレタンやスチレンのような熱可塑性エラストマー樹脂を溶融しフィルム状とした伸縮性フィルムや、伸縮繊維からなる伸縮性不織布や、伸縮性フィルムや伸縮性不織布に部分的に切断され又は脆弱化された非伸張性シートを張り合わせた複合シート等を用いることができる。
また、かかる伸縮性シート部材の代わりに、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる糸状・帯状の伸縮可能な弾性部材を、互いに並列に並べることによってクロッチ伸縮部200aを構成してもよい。
かかる場合、吸収体コア40aの剛性及び使い捨ておむつ10を構成する他の部材の剛性を考慮して、用いる弾性部材の太さや配置するピッチを適宜選択できるが、この場合、クロッチ伸縮部200aによって吸収体コア40aを一様に縮めるためには、弾性部材同士の間隔を、7mm以下とすることが好ましく、5mm以下とすることがより好ましい。また、吸収体コア40aを一様に縮めるために、隣り合う弾性部材の間隔の差は、2mm以下であることが望ましい。
具体的には、クロッチ伸縮部200aの伸縮率は、1.2倍以上1.8倍以下であることが好ましい。例えば、本実施形態では、クロッチ伸縮部200aの伸縮率は、1.4倍に設定されていてもよい。
伸縮率は、伸縮方向(本実施形態では、製品長手方向L)におけるクロッチ伸縮部200aの伸縮の程度を意味し、以下の(式1)によって規定される。
伸縮率=(最大伸張状態におけるクロッチ伸縮部200aの伸縮方向における長さ)/(自然状態におけるクロッチ伸縮部200aの伸縮方向における長さ)…(式1)
なお、本明細書において、かかる伸縮率は、例えば、次のように測定されるものとする。
第1に、使い捨ておむつ10がパッケージ等に封入されている場合には、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において60分間放置する。
第2に、かかる状態(すなわち、自然状態)における所望領域の伸縮方向における長さ、及び、自然状態から弾性部材による皺が目視にて確認できない状態まで延伸した時の(すなわち、最大伸張状態における)所望領域の伸縮方向における長さを測定し、前述の(式1)を用いて伸縮率を算出する。
このように、クロッチ伸縮部200aの伸縮率を、1.2倍以上1.8倍以下とすることによって、着用者の皮膚の伸縮に好適に追従することができる。
例えば、着用者が、身体前側が縮むような前屈みの姿勢をとると、着用者の臀部側の皮膚が、身体を伸ばした状態に対して30%程度伸びる。
つまり、クロッチ伸縮部200aの伸縮率を1.2倍以下とすると、自然状態におけるクロッチ伸縮部200aの収縮が十分でなく、クロッチ伸縮部200aが設けられていない場合と比較して、使い捨ておむつ10の曲げ易さの差が小さく、所望の位置において前胴回り域20が立ち上がらなくなってしまう。
一方、クロッチ伸縮部200aの伸縮率を1.8倍よりも大きくすると、クロッチ伸縮部200aの収縮方向における収縮寸法が大きくなり過ぎるため、クロッチ伸縮部200aが存在する領域が、身体に沿うよりも密着する状態となり易く、使い捨ておむつ10が、着用者の下方にズレ易くなってしまう。
なお、図1及び図2に示すように、クロッチ伸縮部200aは、胴回り保持部115と交差することなく胴回り保持部115から独立して備えられている。
また、クロッチ伸縮部200aの製品長手方向Lにおける収縮量は、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さの2〜8%となるように構成されていてもよい。
なお、収縮量は、皺が十分に小さくなり、サンプルの表面が平滑に近くなるように伸長した状態での長さ「b(mm)」と、サンプルの伸縮方向に沿う向きにおける自然状態での長さ「a(mm)」との差であり、(b-a)によって算出されることができる。
本発明者は、クロッチ伸縮部200aの製品長手方向Lにおける収縮量を、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さの2〜8%とすると、使い捨ておむつ10を着用者に対して装着する過程において、クロッチ伸縮部200aが、好ましく着用者の身体に沿い易くなることを確認することができた。
ここで、クロッチ伸縮部200aの製品長手方向Lにおける収縮量を、8%より大きくすると、クロッチ伸縮部200aが、縮み過ぎてしまい、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さが足りず、使い捨ておむつ10を着用者の身体に付け難くなったり、使い捨ておむつ10及び着用者の身体が、股下域25において、過度に密着してズレ易くなったりしてしまう。
一方、クロッチ伸縮部200aの製品長手方向Lにおける収縮量を、2%以下とすると、使い捨ておむつ10を着用者の身体に近付けるというクロッチ伸縮部200aの効果そのものが発現し難くなってしまう。
また、図1及び図2に示すように、吸収体40の表面側(トップシート50側)には、脚回り開口部35に沿って形成され、少なくとも製品長手方向Lに伸縮可能な一対のレッグ伸縮部(レッグギャザー)75が備えられている。
レッグ伸縮部75は、製品長手方向Lにおいて、クロッチ伸縮部200aよりも長いと共に、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200aよりも外側に備えられている。
例えば、レッグ伸縮部75は、所定本数の弾性部材によって構成されていてもよい。また、図1及び図2に示すように、レッグ伸縮部75は、クロッチ伸縮部200aと同様に、伸縮性シート部材で形成されていてもよい。
具体的には、かかる伸縮性シート部材の幅(使い捨ておむつ10の自然状態における製品幅方向Wにおける幅)は、少なくとも股下域25において、好ましくは、5mm以上45mm以下であり、より好ましくは、12.5mm以上35mm以下である。
ここで、かかる伸縮性シート部材の幅が5mm未満では、実質的に面で着用者の脚回りに沿うという効果が発現せず、かかる伸縮性シート部材の幅が45mmを超えると、脚回りに沿う領域が広くなり、かかる伸縮性シート部材が着用者の身体側に巻き込んだり、めくれたりし易くなってしまう。
レッグ伸縮部75の伸縮率は、1.5〜2.4倍であることが好ましい。例えば、本実施形態では、レッグ伸縮部75の伸縮率は、1.9倍に設定されていてもよい。かかるレッグ伸縮部75の伸縮率は、上述のクロッチ伸縮部200aの伸縮率と同様に規定されるものとする。
また、図1及び図2に示すように、一対のレッグ伸縮部75の内側(製品幅方向Wにおける中央寄り)には、製品長手方向Lに沿って延びる一対のレッグサイドギャザー80が備えられていてもよい。
図1及び図2に示すように、レッグサイドギャザー80は、接合部分81と、かかる接合部分81と反対側に位置し、弾性部材83が配置された自由端部分82とを有する。
ここで、接合部分81は、トップシート50やバックシート60や防漏シート61に接合されていてもよい。
また、自由端部分82の製品長手方向Lにおける前胴回り域20側の端部及び後胴回り域30側の端部は、トップシート50に接合される。接合部分81は、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200aとレッグ伸縮部75との間に配置されている。
レッグサイドギャザー80は、着用時には、接合部分81を基端部として立ち上がり、自由端部分82が頂点部として着用者の肌と接触する。
図1及び図2に示すように、吸収体40には、第1変曲部116及び第2変曲部125が形成されている。
ここで、本明細書において、第1変曲部116及び第2変曲部125は、吸収体40の切り欠きを示すのではなく、クロッチ伸縮部200aの収縮によって縮められた部位と縮められた部位以外の部分との間にできる部位を示す。
また、第2変曲部125は、第1変曲部116よりも後胴回り域30側に位置している。
なお、第1変曲部116及び第2変曲部125は、製品幅方向Wに沿って延びており、使い捨ておむつ10の曲げ基点となるように構成されている。
上述のクロッチ伸縮部200aは、第1変曲部116と第2変曲部125との間に形成されている。
ここで、第1変曲部116及び第2変曲部125は、クロッチ伸縮部200aの収縮によって縮められた部位と、縮められた部位以外の部位との剛性差によって形成される。この結果、使い捨ておむつ10に、平坦な「底部」を形成することができる。
また、本実施形態では、第1変曲部116及び第2変曲部125のLの外側の領域には、それぞれ切欠部110及び切欠部120が形成されている。切欠部110及び切欠部120は、吸収体40を構成する吸収体コア40aが存在しない領域である。
図1及び図2に示すように、切欠部110及び切欠部120は、クロッチ伸縮部200aの製品長手方向Lにおける縁部に沿って形成されている。
なお、第1変曲部116及び第2変曲部125のLの外側の領域において、切欠部110及び切欠部120を形成する代わりに、吸収体コア40aの目付を周辺領域よりも低くなるようにしてもよい。
切欠部110及び切欠部120は、第1変曲部116及び第2変曲部125をより良い状態にするために形成されている。
なお、切欠部110及び切欠部120が形成されている場合であっても、前胴回り域20及び後胴回り域30に位置する吸収体コア40aと、股下域25に位置する吸収体コア40aとは、完全に切り離されることなく連続していることが好ましい。
切欠部110及び切欠部120は、製品幅方向Wの外側に行くに連れて、製品長手方向Lにおける長さが長くなるように構成されている。
このような形状により、吸収体コア40aの製品幅方向Wの外側が、より縮み易くなるため、使い捨ておむつ10に、平坦な「底部」を形成しつつ、切欠部110よりも前胴回り域20側に位置する吸収体コア40a及び切欠部120よりも後胴回り域30側に位置する吸収体コア40aが、平坦な「底部」から立ち上がり、着用者の身体(腹部及び臀部)の丸みに沿うように製品幅方向Wに湾曲し易くなる。
図1及び図2に示すように、切欠部110の前胴回り域20側の縁部及び切欠部120よりも後胴回り域30側の縁部は、円弧状であってもよい。
具体的には、切欠部110の前胴回り域20側の縁部は、円弧の中心が、かかる縁部よりも後胴回り域30側に位置するような形状であり、切欠部120の後胴回り域30側の縁部は、円弧の中心が、かかる縁部よりも前胴回り域20側に位置するような形状である。
このような形状により、着用者の体の丸みに沿った変形がより容易かつ顕著に起き易い。
なお、吸収体40の製品幅方向Wにおける長さが最も短い領域は、クロッチ伸縮部200aが形成されている領域に配置されている。
また、使い捨ておむつ10は、後胴回り域30に形成され、製品幅方向Wに伸縮可能な一対のウェスト伸縮部(ウェストギャザー)210を備えている。
本実施形態において、一対のウェスト伸縮部210の各々は、クロッチ伸縮部200aやレッグ伸縮部75と同様に、伸縮性シートによって構成されている。かかるウェスト伸縮部210を構成する部材については、特に限定されないが、出来る限り薄くて剛性が低く、幅入り率が小さいものを用いることが、柔軟に着用者の胴回りに、胴回り方向に沿って密着できるウェスト伸縮部210とするためには好ましい。
本実施形態では、ウェスト伸縮部210として、目付けが30g/mの伸縮性フィルムを用いた。
ウェスト伸縮部210は、非伸長状態(自然状態)における長さの1.5〜2.5倍に引き延ばされた後、ホットメルト接着剤又は加熱処理等によってバックシート60に接着される。
ウェスト伸縮部210は、トップシート50とバックシート60との間に配置されている。なお、図3に示すように、トップシート50とウェスト伸縮部210との間には、吸収体40が配置されていてもよい。
或いは、吸収体40とバックシート60との間に配置される防漏シート61が備えられる場合には、ウェスト伸縮部20は、防漏シート61とバックシート60との間に配置されてもよい。
図1及び図2に示すように、ウェスト伸縮部210は、一対のウェスト伸縮部210によって構成されている。
また、一対のウェスト伸縮部210の間に、非伸縮領域211が形成されている。
なお、図2に示すように、一対のウェスト伸縮部210は、製品長手方向外側寄りの位置において接続されるように構成されていてもよい。ここで、一対のウェスト伸縮部210は、かかる一対のウェスト伸縮部210と同一の部材によって接続されるように構成されていてもよいし、かかる一対のウェスト伸縮部210と異なる部材によって接続されるように構成されていてもよい。
図4に示すように、使い捨ておむつ10が、着用者に装着された場合、かかる非伸縮領域は、着用者の仙骨周辺の部位(或いは、仙骨の窪み部分に相当する部位)に接する部分である。
これらの部位は、着用者の身体において、筋肉や脂肪分が少なく、着用者の身体の外側から容易に骨(骨盤)の存在を確認することができる位置である。
ここで、着用者が動いた場合であっても、これらの部位は、着用者の骨格部に近いため、着用者の皮膚表面の動きが少ない、また、着用者の身体の中で弾力が少ない部位であるため、使い捨ておむつ10を押し当てる力が、そのまま骨(骨盤)に作用することができる。
そのため、これらの部位に対して、使い捨ておむつ10の非伸縮領域211を押し当てることで、使い捨ておむつ10のズレを抑制することができる。
また、このように筋肉や脂肪分が少ない部位に対して、使い捨ておむつ10の非伸縮領域211を押し当てても、着用者の肌に対して使い捨ておむつ10の構成要素が食い込むという事態が発生し難く、着用者の肌が赤くなってしまうという事態を抑制することができる。
すなわち、本実施形態に係る使い捨ておむつ10によれば、図4に示すように、クロッチ伸縮部200aによって、着用者の股下部に使い捨ておむつ10を沿わせつつ、一対のウェスト伸縮部200aによる製品幅方向Wの収縮力Fwによって、非伸縮領域211を着用者の仙骨周辺の部位に押し当てることで、着用者の背中における使い捨ておむつの10のズレを抑制することができる。
また、図1に示すように、一対のウェスト伸縮部210は、吸収体40と重なるように構成されていてもよい。
なお、図1に示すように、一対のウェスト伸縮部210の製品長手方向Lにおける位置及び吸収体40の製品長手方向Lにおける位置がズレているケースでは、一対のウェスト伸縮部210及び吸収体40が実際に重なっていなくてもよく、一対のウェスト伸縮部210の製品幅方向Wにおける位置及び吸収体40の製品幅方向Wにおける位置が重なるように構成されていればよい。
かかる場合、図1に示すように、後胴回り域30において、距離D1が距離D2以下となる領域が設けられていることになる。
ここで、距離D1は、ウェスト伸縮部210の各々における製品幅方向W内側の端部E5と使い捨ておむつ10における製品幅方向Wの中心線Oとの間の距離である。
一方、距離D2は、吸収体40における製品幅方向W外側の端部E6と中心線Oとの間の距離である。
かかる構成によれば、使い捨ておむつ10の製品幅方向Wの中央領域に延びる吸収体40を、着用者の身体の中心にある仙骨周辺の部位に対して、より確実に押し当てることができる。
また、ウェスト伸縮部210の各々における製品幅方向W外側の端部E7は、ファスニングテープ90の基端部90aと重ならないように構成されていてもよい。
かかる構成によれば、ウェスト伸縮部210の各々における製品幅方向W外側の端部E7とファスニングテープ90の基端部90aとの間にも、非伸縮領域212を設けることができ、かかる非伸縮領域212を、着用者の脇部にある腸骨稜及び上前腸骨棘に押し当てることができ、より使い捨ておむつ10のズレを抑制することができる。
また、クロッチ伸縮部200aにおける製品長手方向Lの前胴回り域20側の端部E3と使い捨ておむつ10の製品長手方向Lの前胴回り域20側の端部E4との間の距離D4は、クロッチ伸縮部200aにおける製品長手方向Lの後胴回り域30側の端部E2と使い捨ておむつ10の製品長手方向Lの後胴回り域30側の端部E1との間の距離D3よりも短くなるように構成されていてもよい。
かかる構成によれば、使い捨ておむつ10の着用時に平坦な「底」となり着用者の身体に沿うように構成されているクロッチ伸縮部200aが、着用者の股下部に装着される。クロッチ伸縮部200aが、着用者の背側(臀部側)よりも腹側寄りに変位した位置に存在することとなる一方、非伸縮領域211の部位が、着用者の背側に密着していることから、図1及び図2に示す領域Hの部位が、着用者の臀部に位置しつつ、着用者の身体と使い捨ておむつ10本体との間に空間を形成する領域となる。
この結果、クロッチ伸縮部200aを前寄り側に配置したことで、上述の領域Hをより広く確保することができ、領域Hに着用者によって排出された便を収容することができる。かつ、クロッチ伸縮部200aは、着用者の体に近づく位置へと持ち上がり、体に沿うので収容された便が前胴回り方向に流れにくい状態とすることができる結果、より安定して便を使い捨ておむつ10内に保持でき漏れを防ぐことが可能となる。
更には、主に、使い捨ておむつ10の前胴回り域20側寄りにて収容される尿と領域Hとが異なる位置に分離していることから、尿と便とが混在する状態となり難く、両者が混在することにより誘発される着用者の肌への刺激を低減することも可能となる。
また、非伸縮領域211に対応する位置の肌当接面側のシート(例えば、トップシート50)には、凹凸が設けられていてもよい。凹凸は、例えば、倦縮繊維等を用いて嵩高くされた不織布に部分的にエンボスを設けて形成したり、不織布シートそのものに積層された繊維量を部分的に変化させたりすることで形成することが可能となる。
上述のように、非伸縮領域211は、着用者の身体に密着する部位であるため、着用者の肌面当接面側に設けられたシート(例えば、トップシート50)に、凹凸を設けることで、密着による肌への刺激を低減させることができ、ウェスト伸縮部210の伸縮率を更に高め、より密着できる状態とすることも可能となる。
また、非伸縮領域211の製品幅方向Wの長さD5(自然状態)は、クロッチ伸縮部200aの製品幅方向Wの長さD6(自然状態)よりも長くなるように構成されている。
例えば、非伸縮領域211の製品幅方向Wの長さD5は、80mmであり、クロッチ伸縮部200aの製品幅方向Wの長さD6は、70mmであってもよい。
ここで、クロッチ伸縮部200aは、着用者の身体に沿っているため、使い捨ておむつ10の着用時には、着用者の身体に近い位置に、使い捨ておむつ10が配置される。
そのため、非伸縮領域211を着用者の身体から離れないようにすることで、使い捨ておむつ10全体のズレを抑制することができる。
すなわち、クロッチ伸縮部200aの製品幅方向Wに長さの範囲に相当する非伸縮領域211を、着用者の身体に密着させることで、使い捨ておむつ10全体のズレを抑制することができる。
(変更例)
クロッチ伸縮部200aは、上述の第1の実施形態の場合のように、少なくとも製品長手方向Lに伸縮可能となるように構成される代わりに、クロッチ伸縮部200aの製品長手方向Lにおける縁部にダーツ部を形成してもよい。
かかるダーツ部は、上述のように、クロッチ伸縮部200aを平坦な「底部」とするために、バックシート60の一部を摘むようにし、シート同士を接合することにより構成されている。
或いは、クロッチ伸縮部200aは、上述の第1の実施形態の場合のように、少なくとも製品長手方向Lに伸縮可能となるように構成される代わりに、クロッチ伸縮部200aを補強シートによって構成してもよい。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
10…使い捨ておむつ
20…前胴回り域
25…股下域
30…後胴回り域
35…脚回り開口部
40…吸収体
40a…吸収体コア
40b…コアラップ
50…トップシート
60…バックシート
61…防漏シート
70…サイドフラップ
75…レッグ伸縮部
80…レッグサイドギャザー
81…接合部分
82…自由端部分
90…ファスニングテープ
91…ターゲットテープ
115…胴回り保持部
116…第1変曲部
125…第2変曲部
200a…クロッチ伸縮部
210…ウェスト伸縮部
211…非伸縮領域

Claims (9)

  1. 前胴回り域と、後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域と有し、
    一対の脚回り開口部が形成されると共に、
    前記股下域を跨ぎ前記前胴回り域及び前記後胴回り域に向かって延びる吸収体を備え、
    前記前胴回り域から前記後胴回り域に向かう製品長手方向と、前記製品長手方向と直交する製品幅方向とを有する使い捨ておむつであって、
    前記前胴回り域及び前記後胴回り域において、前記製品幅方向に沿って延び、前記使い捨ておむつを着用者の身体に保持するように構成されている胴回り保持部と、
    前記股下域に形成されたクロッチ伸縮部と、
    前記後胴回り域に形成され、前記製品幅方向に伸縮可能な一対のウェスト伸縮部と、
    前記吸収体に形成され、前記製品幅方向に沿って延びて前記使い捨ておむつの曲げ基点となる第1変曲部と、
    前記吸収体に形成され、前記製品幅方向に沿って延びて前記使い捨ておむつの曲げ基点となると共に、前記第1変曲部よりも前記後胴回り域側に位置する第2変曲部とを備え、
    前記クロッチ伸縮部は、前記胴回り保持部と交差することなく前記胴回り保持部から独立して備えられ、
    前記一対のウェスト伸縮部の間に、非伸縮領域が形成され、
    前記クロッチ伸縮部における前記製品長手方向の前記前胴回り域側の端部と前記使い捨ておむつの前記製品長手方向の前記前胴回り域側の端部との間の距離は、前記クロッチ伸縮部における前記製品長手方向の前記後胴回り域側の端部と前記使い捨ておむつの前記製品長手方向の前記後胴回り域側の端部との間の距離よりも短くなるように構成されており、
    前記第1変曲部の前記製品長手方向外側の領域及び前記第2変曲部の前記製品長手方向外側の領域には、それぞれ切欠部が形成されており、
    前記切欠部は、前記クロッチ伸縮部の前記製品長手方向の縁部に沿って形成され、前記製品幅方向の外側に行くに連れて前記製品長手方向における長さが長くなるように構成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
  2. 前記一対のウェスト伸縮部は、前記製品長手方向外側寄りの位置において接続されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記クロッチ伸縮部は、少なくとも前記製品長手方向に伸縮可能となるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
  4. 第1距離は、前記ウェスト伸縮部の各々における前記製品幅方向内側の端部と前記使い捨ておむつにおける前記製品幅方向の中心線との間の距離であり、
    第2距離は、前記吸収体における前記製品幅方向外側の端部と前記中心線との間の距離であり、
    前記後胴回り域において、前記第1距離が前記第2距離以下となる領域が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
  5. 前記後胴回り域において、ファスニングテープを備え、
    前記ウェスト伸縮部の各々における前記製品幅方向外側の端部は、前記ファスニングテープの基端部と重ならないように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
  6. 前記非伸縮領域に対応する位置の肌当接面側のシートには、凹凸が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
  7. 前記非伸縮領域の前記製品幅方向の長さは、前記クロッチ伸縮部の前記製品幅方向の長さよりも長くなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
  8. 前記クロッチ伸縮部は、伸縮性シート又は7mm以下の間隔で配置された弾性部材によって構成される、請求項1から請求項7のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
  9. 前記クロッチ伸縮部の製品長手方向における収縮量は、前記使い捨ておむつの製品長手方向における長さの2〜8%である、請求項1から請求項8のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
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