JP6073138B2 - 形質転換用酵母およびタンパク質の製造方法 - Google Patents

形質転換用酵母およびタンパク質の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酵母を宿主としたタンパク質の産生向上を目的とし、特定の転写調節因子遺伝子を導入及び/又は活性化した酵母、該酵母を用いたタンパク質の製造方法に関する。
近年、遺伝子組換え法によってタンパク質を生産するために、そのタンパク質に適切な宿主、例えばCHO等の動物細胞や、カイコ等の昆虫及び昆虫細胞、ニワトリや牛などの動物、大腸菌、酵母などの微生物が用いられている。中でも、酵母は安価な培地で大規模高密度培養が可能であり、タンパク質を低コストで生産することができる。また、シグナルペプチド等を利用すれば培養液中への分泌発現も可能なためタンパク質の精製過程も容易となり、しかも、真核生物であるため糖鎖付加などの翻訳後修飾も可能であるという長所が期待できる。
しかしながら、酵母を宿主として用いた場合、目的タンパク質によって生産性が大きく異なり、用いる炭素源によっても生産物が影響を受ける場合がある。例えば、グルコースによる糖化やメタノールによる酸化などが後者の例である。
そこで、これらの問題を回避するための宿主として、メタノール資化性酵母、例えばピキア(Pichia)属酵母、キャンディダ(Candida)属酵母、トルロプシス(Torulopsis)属酵母の利用が検討されており、緑色蛍光タンパク質、ヒト血清アルブミン、B型肝炎ウイルス表面抗原、ヒト上皮成長因子、ヒルジンなどの生産が報告されている(非特許文献1)。
これらタンパク質の生産には、そのタンパク質をコードする遺伝子上流に遺伝子を転写するための塩基配列領域(プロモーター)が必要であるが、転写には、鋳型であるDNAの塩基配列を読み取って相補的なRNAを合成(転写)するRNAポリメラーゼのほか、転写の促進や抑制に関わる様々な転写調節因子が関与している。
一方、メタノール資化性酵母のメタノール資化は、アルコールオキシダーゼ(Alcohol oxidase、AOX)やメタノールオキシダーゼ(Methanol oxidase、MOX)により開始され、これに先立ちAOX遺伝子もしくはMOX遺伝子が転写される。AOX遺伝子もしくはMOX遺伝子上流には該遺伝子を転写するための塩基配列領域(プロモーター)が存在しており、例えば、MOXプロモーターには炭素源に応じて2つの転写開始点があることが分かっている(非特許文献2)。また、複数の因子がMOXプロモーターに関与していることも示唆されている。
ここで、メタノール資化性酵母のAOXプロモーターやMOXプロモーター等は強力なプロモーターであるため、タンパク質生産のプロモーターとして使用されているが、汎用的に目的タンパク質を高生産するためには、まだまだ多くの課題が残されている。
Gellissen G. Appl Microbiol Biotechnol. 2000 Dec;54(6):741-50. V. Genu et al. Eur. J. Biochem. 270, 2467-2475 (2003)
本発明は、プロモーターの改変や転写因子の高発現、宿主改変など、転写または翻訳レベルの増強や活性化によって、酵母、中でもメタノール資化性酵母における目的タンパク質の生産効率改善を課題とする。特に、プロモーターを活性化する因子の同定を課題とする。
本発明は以下の発明を包含する。
(1) MPP1同族体の高発現により目的タンパク質の産生能力が向上していることを特徴とする、形質転換用酵母。
(2) MPP1同族体が、以下の(a)、(b)または(c)のいずれかのポリペプチド:
(a)配列番号38のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号38に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(c)配列番号38に記載のアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するポリペプチド;
または、以下の(d)、(e)または(f)のいずれかのポリペプチド:
(d)配列番号41のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(e)配列番号41に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(f)配列番号41に記載のアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するポリペプチド;
である、(1)に記載の形質転換用酵母。
(3) MPP1同族体が、以下の(g)、(h)または(i)のいずれかのポリペプチド:
(g)配列番号49のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(h)配列番号49に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(i)配列番号49に記載のアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するポリペプチド;
または、以下の(j)、(k)または(l)のいずれかのポリペプチド:
(j)配列番号50のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(k)配列番号50に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(l)配列番号50に記載のアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するポリペプチド;
を一部に含むポリペプチドである、(1)に記載の形質転換用酵母。
(4) さらに、転写因子が高発現されていることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の形質転換用酵母。
(5) 転写因子が、MPP1同族体と相加的または相乗的に働くことを特徴とする、(4)に記載の形質転換用酵母。
(6) 転写因子が、以下の(m)、(n)または(o)のいずれかのポリペプチド:
(m)配列番号46のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(n)配列番号46に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(o)配列番号46に記載のアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するポリペプチド;
である、(4)または(5)に記載の形質転換用酵母。
(7) 以下の(p)、(q)、(r)または(s)のいずれかの塩基配列:
(p)MPP1同族体をコードする塩基配列;
(q)配列番号10または11に記載の塩基配列;
(r)配列番号10または11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列;
(s)配列番号10または11に記載の塩基配列と85%以上の配列同一性を有する塩基配列;
からなる遺伝子が高発現されていることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の形質転換用酵母。
(8) さらに、以下の(t)、(u)、(v)または(w)のいずれかの塩基配列:
(t)転写因子をコードする塩基配列;
(u)配列番号12に記載の塩基配列;
(v)配列番号12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列;
(w)配列番号12に記載の塩基配列と85%以上の配列同一性を有する塩基配列;
からなる遺伝子が高発現されていることを特徴とする、(7)に記載の形質転換用酵母。
(9) 目的タンパク質の発現が、MPP1同族体によって活性化されるプロモーターによって制御されていることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載の形質転換用酵母。
(10) プロモーターが、メタノール誘導性プロモーターであることを特徴とする、(9)に記載の形質転換用酵母。
(11) メタノール誘導性プロモーターが、AMOプロモーター、AOX1プロモーター、AOX2プロモーター、CATプロモーター、DAKプロモーター、DAOプロモーター、DHASプロモーター、FAOプロモーター、FDHプロモーター、FGHプロモーター、FMDプロモーター、GAPプロモーター、MOXプロモーター、MPP1プロモーター、Mut3プロモーター、Mxr1プロモーター、PER6プロモーター、PER10プロモーター、Pex3プロモーター、Pex5プロモーター、Pex8プロモーター、Pex10プロモーター、PHO1プロモーター、Prm1プロモーター、SNF1プロモーター、Swi1pプロモーター、Trm1プロモーター、Trm2プロモーター、YNA1プロモーター、及びYNA2プロモーターからなる群から選択される、(10)に記載の形質転換用酵母。
(12) メタノール誘導性プロモーターが、AOXプロモーター、DHASプロモーター、FMDプロモーター、及びMOXプロモーターからなる群から選択される、(10)に記載の形質転換用酵母。
(13) 形質転換用酵母が、メタノール資化性酵母の形質転換体である、(1)〜(12)のいずれかに記載の形質転換用酵母。
(14) メタノール資化性酵母が、ピキア(Pichia)属酵母、キャンディ(Candida)属酵母、及びトルロプシス(Torulopsis)属酵母からなる群から選択される、(13)に記載の形質転換用酵母。
(15) ピキア(Pichia)属酵母が、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、及びピキア・ミヌータ(Pichia minuta)からなる群から選択される、(14)に記載の形質転換用酵母。
(16) (1)〜(15)のいずれかに記載の形質転換用酵母を用いることを特徴とする、目的タンパク質の製造方法。
(17) (1)〜(15)のいずれかに記載の形質転換用酵母を培養することを特徴とする、(16)に記載の目的タンパク質の製造方法。
(18) 培養が、グルコース、及び/又はグリセロール、及び/又はメタノールを炭素源とすることを特徴とする、(17)に記載の目的タンパク質の製造方法。
(19) 培養が、グルコース、またはグリセロール、またはメタノールを炭素源とすることを特徴とする、(18)に記載の目的タンパク質の製造方法。
(20) (16)〜(19)に記載の製造方法で製造された、目的タンパク質。
本願は、2011年1月27日に出願された日本国特許出願2011−015719号の優先権を主張するものであり、該特許出願の明細書に記載される内容を包含する。
本発明によれば、プロモーターを活性化する因子を高発現させた形質転換用酵母が提供される。本発明の形質転換用酵母を用いることにより、目的タンパク質を効率的に分泌生産できる。
実施例8で作製した各形質転換酵母による完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体抗体の分泌発現量を示す(1.ピキア・アングスタの完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体、2.ピキア・アングスタのPaMPP1発現(pUCPgapPaMPP1TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体、3.ピキア・アングスタのPpMPP1発現(pUCPgapPpMPP1TmG418導入) /完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体、4.ピキア・アングスタのMut3発現(pUCPgapMut3TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体、5.ピキア・アングスタのPaMPP1・Mut3共発現(pUCPgapMut3PgapPaMPP1TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体、6.ピキア・アングスタのPaMPP1・Mut3・PpMPP1共発現(pUCPgapPpMPP1PgapMut3PgapPaMPP1TmG418)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体、7.ピキア・パストリスの完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体、8.ピキア・パストリスのPaMPP1発現(pUCPgapPaMPP1TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体、9.ピキア・パストリスのPpMPP1発現(pUCPgapPpMPP1TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体、10.ピキア・パストリスのMut3発現(pUCPgapMut3TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体、11.ピキア・パストリスのPaMPP1・Mut3共発現(pUCPgapMut3PgapPaMPP1TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体)。
以下、本発明を、好ましい実施形態を用いて詳細に説明する。
1.形質転換用酵母
本発明の形質転換用酵母は、目的タンパク質をコードする遺伝子を転写・発現させるためのプロモーターを活性化する因子を酵母内で高発現させることによって、目的タンパク質の産生能力が向上していることを特徴する酵母である。本発明において、「プロモーターを活性化する因子」とは、「MPP1」及びその機能的相同体(以下、MPP1及びその機能的相同体を総称して「MPP1同族体」という)をいう。
ここで、「プロモーター」とは、タンパク質をコードする遺伝子の上流に位置する塩基配列領域をいい、RNAポリメラーゼのほか、転写の促進や抑制に関わる様々な転写調節因子が該領域に結合または作用することによって鋳型である遺伝子の塩基配列を読み取って相補的なRNAを合成(転写)する。
「MPP1」は、ペルオキシソームタンパク量の制御に関与するタンパク質であり、具体的には、transcriptional downregulation of peroxisome numbers affects selective peroxisome degradation in Hansenula polymorpha.(J Biol Chem 2003,278:40749-40756)に記載のピキア・アングスタ由来の配列番号38で示されるPaMPP1、または、ピキア・パストリス由来のGenBank accession number XP_002493066に記載の配列番号41で示されるPpMPP1をいう。
また、MPP1の機能的相同体としては、上記ピキア属酵母由来のPaMPP1またはPpMPP1と同等のプロモーターを活性化する因子としての機能を有するポリペプチドであれば特に限定はされず、他の酵母やカビを含む真菌類から単離されたものであってもよい。例えば、CBF78897 TPA: Putative Zn(II)2Cys6 transcription factor (Eurofung) [Aspergillus nidulans FGSC A4]、又はCBF82226 TPA: Putative Zn(II)2Cys6 transcription factor (Eurofung) [Aspergillus nidulans FGSC A4] 、又はEDK37118 hypothetical protein PGUG_01216 [Pichia guilliermondii ATCC 6260] 、又はEDK41734 hypothetical protein PGUG_05832 [Pichia guilliermondii ATCC 6260] 、又はEDP47334 C6 transcription factor, putative [Aspergillus fumigatus A1163] 、又はEDP53358 C6 transcription factor, putative [Aspergillus fumigatus A1163] 、又はEEH16200 conserved hypothetical protein [Paracoccidioides brasiliensis Pb03] 、又はEEH22621 conserved hypothetical protein [Paracoccidioides brasiliensis Pb03] 、又はEEH42856 conserved hypothetical protein [Paracoccidioides brasiliensis Pb18] 、又はEEH49391 C6 zinc finger domain-containing protein [Paracoccidioides brasiliensis Pb18] 、又はEEQ42087 conserved hypothetical protein [Candida albicans WO-1] 、又はEEQ88974 C6 zinc finger domain-containing protein [Ajellomyces dermatitidis ER-3] 、又はEER38331 C6 zinc finger protein [Ajellomyces capsulatus H143] 、又はEFQ30548 hypothetical protein GLRG_05692 [Glomerella graminicola M1.001] 、又はEFQ34763 hypothetical protein GLRG_09907 [Glomerella graminicola M1.001] 、又はEFQ35786 C6 zinc finger domain-containing protein [Glomerella graminicola M1.001] 、又はEFQ86342 hypothetical protein PTT_18442 [Pyrenophora teres f. teres 0-1] 、又はEFQ86946 hypothetical protein PTT_17743 [Pyrenophora teres f. teres 0-1] 、又はEFR00222 C6 zinc finger domain-containing protein [Arthroderma gypseum CBS 118893] 、又はXP_001210705 conserved hypothetical protein [Aspergillus terreus NIH2624] 、又はXP_001210874 conserved hypothetical protein [Aspergillus terreus NIH2624] 、又はXP_001212782 conserved hypothetical protein [Aspergillus terreus NIH2624] 、又はXP_001215119 conserved hypothetical protein [Aspergillus terreus NIH2624] 、又はXP_001216311 predicted protein 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6260] 、又はXP_001525560 conserved hypothetical protein [Lodderomyces elongisporus NRRL YB-4239] 、又はXP_001552259 hypothetical protein BC1G_08737 [Botryotinia fuckeliana B05.10] 、又はXP_001590624 hypothetical protein SS1G_08364 [Sclerotinia sclerotiorum 1980] 、又はXP_001791576 hypothetical protein SNOG_00909 [Phaeosphaeria nodorum SN15] 、又はXP_001798983 hypothetical protein SNOG_08674 [Phaeosphaeria nodorum SN15] 、又はXP_001800139 hypothetical protein SNOG_09853 [Phaeosphaeria nodorum SN15] 、又はXP_001800140 hypothetical protein SNOG_09854 [Phaeosphaeria nodorum SN15] 、又はXP_001820352 hypothetical protein [Aspergillus oryzae RIB40] 、又はXP_001820847 hypothetical protein [Aspergillus oryzae RIB40] 、又はXP_001822149 hypothetical protein [Aspergillus oryzae RIB40] 、又はXP_001825067 hypothetical protein [Aspergillus oryzae RIB40] 、又はXP_001827368 hypothetical protein [Aspergillus oryzae RIB40] 、又はXP_001933596 conserved hypothetical protein [Pyrenophora tritici-repentis Pt-1C-BFP] 、又はXP_001939276 C6 zinc finger domain containing protein [Pyrenophora tritici-repentis Pt-1C-BFP] 、又はXP_002145025 C6 transcription factor (ArcA), putative [Penicillium marneffei ATCC 18224] 、又はXP_002149655 conserved hypothetical protein [Penicillium marneffei ATCC 18224] 、又はXP_002149656 C6 transcription factor, putative [Penicillium marneffei ATCC 18224] 、又はXP_002152992 conserved hypothetical protein [Penicillium marneffei ATCC 18224] 、又はXP_002340358 C6 transcription factor (ArcA), putative [Talaromyces stipitatus ATCC 10500] 、又はXP_002374058 conserved hypothetical protein [Aspergillus flavus NRRL3357] 、又はXP_002375724 C6 transcription factor, putative [Aspergillus flavus NRRL3357] 、又はXP_002376570 conserved hypothetical protein [Aspergillus flavus NRRL3357] 、又はXP_002379231 C6 transcription factor (ArcA), putative [Aspergillus flavus NRRL3357] 、又はXP_002381760 C6 transcription factor, putative [Aspergillus flavus NRRL3357] 、又はXP_002417371 conserved hypothetical protein [Candida dubliniensis CD36] 、又はXP_002417723 zinc cluster transcription factor, putative [Candida dubliniensis CD36] 、又はXP_002481660 C6 transcription factor, putative [Talaromyces stipitatus ATCC 10500] 、又はXP_002484214 conserved hypothetical protein [Talaromyces stipitatus ATCC 10500] 、又はXP_002494969 ZYRO0B00242p [Zygosaccharomyces rouxii] 、又はXP_002498535 ZYRO0G12584p [Zygosaccharomyces rouxii] 、又はXP_002541155 predicted protein [Uncinocarpus reesii 1704] 、又はXP_002549474 hypothetical protein CTRG_03771 [Candida tropicalis MYA-3404] 、又はXP_002549678 predicted protein [Candida tropicalis MYA-3404] 、又はXP_002557168 Pc12g02800 [Penicillium chrysogenum Wisconsin 54-1255] 、又はXP_002557176 Pc12g02890 [Penicillium chrysogenum Wisconsin 54-1255] 、又はXP_002558943 Pc13g05080 [Penicillium chrysogenum Wisconsin 54-1255] 、又はXP_002560015 Pc14g00200 [Penicillium chrysogenum Wisconsin 54-1255] 、又はXP_002563281 Pc20g07580 [Penicillium chrysogenum Wisconsin 54-1255] 、又はXP_002567816 Pc21g07760 [Penicillium chrysogenum Wisconsin 54-1255] 、又はXP_002628177 C6 zinc finger domain-containing protein [Ajellomyces dermatitidis SLH14081] 、又はXP_002795625 conserved hypothetical protein [Paracoccidioides brasiliensis Pb01] 、又はXP_002848121 C6 zinc finger domain-containing protein [Arthroderma otae CBS 113480] 、又はXP_003001329 C6 zinc finger domain-containing protein [Verticillium albo-atrum VaMs.102] 、又はXP_003001370 C6 zinc finger domain-containing protein [Verticillium albo-atrum VaMs.102] 、又はXP_003002986 conserved hypothetical protein [Verticillium albo-atrum VaMs.102] 、又はXP_003002987 C6 zinc finger domain-containing protein [Verticillium albo-atrum VaMs.102] 、又はXP_003009478 C6 zinc finger domain-containing protein [Verticillium albo-atrum VaMs.102] 、又はXP_003010314 conserved hypothetical protein [Arthroderma benhamiae CBS 112371] 、又はXP_003024130 conserved hypothetical protein [Trichophyton verrucosum HKI 0517] 、又はXP_003040390 hypothetical protein NECHADRAFT_44605 [Nectria haematococca mpVI 77-13-4] 、又はXP_003040613 hypothetical protein NECHADRAFT_79789 [Nectria haematococca mpVI 77-13-4] 、又はXP_003042194 hypothetical protein NECHADRAFT_42482 [Nectria haematococca mpVI 77-13-4] 、又はXP_003045088 hypothetical protein NECHADRAFT_43849 [Nectria haematococca mpVI 77-13-4] 、又はXP_003051420 hypothetical protein NECHADRAFT_80852 [Nectria haematococca mpVI 77-13-4] 、又はXP_003051651 hypothetical protein NECHADRAFT_92631 [Nectria haematococca mpVI 77-13-4] 、又はXP_003052094 hypothetical protein NECHADRAFT_78932 [Nectria haematococca mpVI 77-13-4] 、又はXP_003068062 Fungal Zn binuclear cluster domain containing protein [Coccidioides posadasii C735 delta SOWgp] 、又はXP_363960 hypothetical protein MGG_01887 [Magnaporthe oryzae 70-15] 、又はXP_370281 hypothetical protein MGG_06778 [Magnaporthe oryzae 70-15] 、又はXP_384237 hypothetical protein FG04061.1 [Gibberella zeae PH-1] 、又はXP_384367 hypothetical protein FG04191.1 [Gibberella zeae PH-1] 、又はXP_388176 hypothetical protein FG08000.1 [Gibberella zeae PH-1] 、又はXP_391514 hypothetical protein FG11338.1 [Gibberella zeae PH-1] 、又はXP_456995 DEHA2B00638p [Debaryomyces hansenii CBS767] 、又はXP_460402 DEHA2F00946p [Debaryomyces hansenii CBS767] 、又はXP_570940 hypothetical protein CNE02410 [Cryptococcus neoformans var. neoformans JEC21] 、又はXP_659433 hypothetical protein AN1829.2 [Aspergillus nidulans FGSC A4] 、又はXP_660561 hypothetical protein AN2957.2 [Aspergillus nidulans FGSC A4] 、又はXP_662863 hypothetical protein AN5259.2 [Aspergillus nidulans FGSC A4] 、又はXP_664794 hypothetical protein AN7190.2 [Aspergillus nidulans FGSC A4] 、又はXP_746554 C6 transcription factor [Aspergillus fumigatus Af293] 、又はXP_748614 C6 transcription factor [Aspergillus fumigatus Af293] 、又はXP_7
51365 C6 transcription factor [Aspergillus fumigatus Af293] 、又はXP_753541 C6 transcription factor (ArcA) [Aspergillus fumigatus Af293] 、又はXP_775527 hypothetical protein CNBE2410 [Cryptococcus neoformans var. neoformans B-3501A]などのポリペプチドが挙げられる。
本発明のMPP1同族体は、好ましくは、PaMPP1、又はPpMPP1、又はCBF82226 TPA: Putative Zn(II)2Cys6 transcription factor (Eurofung) [Aspergillus nidulans FGSC A4] 、又はEDK37118 hypothetical protein PGUG_01216 [Pichia guilliermondii ATCC 6260] 、又はEDP47334 C6 transcription factor, putative [Aspergillus fumigatus A1163] 、又はEEH22621 conserved hypothetical protein [Paracoccidioides brasiliensis Pb03] 、又はEEH49391 C6 zinc finger domain-containing protein [Paracoccidioides brasiliensis Pb18] 、又はEEQ42087 conserved hypothetical protein [Candida albicans WO-1] 、又はEFQ34763 hypothetical protein GLRG_09907 [Glomerella graminicola M1.001] 、又はEFQ86342 hypothetical protein PTT_18442 [Pyrenophora teres f. teres 0-1] 、又はEFQ86946 hypothetical protein PTT_17743 [Pyrenophora teres f. teres 0-1] 、又はEFR00222 C6 zinc finger domain-containing protein [Arthroderma gypseum CBS 118893] 、又はXP_001216865 predicted protein [Aspergillus terreus NIH2624] 、又はXP_001246901 hypothetical protein CIMG_00672 [Coccidioides immitis RS] 、又はXP_001259586 C6 zinc finger domain protein [Neosartorya fischeri NRRL 181] 、又はXP_001262439 hypothetical protein NFIA_029740 [Neosartorya fischeri NRRL 181] 、又はXP_001387003 predicted protein [Scheffersomyces stipitis CBS 6054] 、又はXP_001485545 hypothetical protein PGUG_01216 [Meyerozyma guilliermondii ATCC 6260] 、又はXP_001525560 conserved hypothetical protein [Lodderomyces elongisporus NRRL YB-4239] 、又はXP_001552259 hypothetical protein BC1G_08737 [Botryotinia fuckeliana B05.10] 、又はXP_001798983 hypothetical protein SNOG_08674 [Phaeosphaeria nodorum SN15] 、又はXP_001933596 conserved hypothetical protein [Pyrenophora tritici-repentis Pt-1C-BFP] 、又はXP_001939276 C6 zinc finger domain containing protein [Pyrenophora tritici-repentis Pt-1C-BFP] 、又はXP_002152992 conserved hypothetical protein [Penicillium marneffei ATCC 18224] 、又はXP_002340358 C6 transcription factor (ArcA), putative [Talaromyces stipitatus ATCC 10500] 、又はXP_002379231 C6 transcription factor (ArcA), putative [Aspergillus flavus NRRL3357] 、又はXP_002417371 conserved hypothetical protein [Candida dubliniensis CD36] 、又はXP_002417723 zinc cluster transcription factor, putative [Candida dubliniensis CD36] 、又はXP_002481660 C6 transcription factor, putative [Talaromyces stipitatus ATCC 10500] 、又はXP_002494969 ZYRO0B00242p [Zygosaccharomyces rouxii] 、又はXP_002541155 predicted protein [Uncinocarpus reesii 1704] 、又はXP_002549474 hypothetical protein CTRG_03771 [Candida tropicalis MYA-3404] 、又はXP_002549678 predicted protein [Candida tropicalis MYA-3404] 、又はXP_002795625 conserved hypothetical protein [Paracoccidioides brasiliensis Pb01] 、又はXP_003002986 conserved hypothetical protein [Verticillium albo-atrum VaMs.102] 、又はXP_003009478 C6 zinc finger domain-containing protein [Verticillium albo-atrum VaMs.102] 、又はXP_003045088 hypothetical protein NECHADRAFT_43849 [Nectria haematococca mpVI 77-13-4] 、又はXP_003068062 Fungal Zn binuclear cluster domain containing protein [Coccidioides posadasii C735 delta SOWgp] 、又はXP_363960 hypothetical protein MGG_01887 [Magnaporthe oryzae 70-15] 、又はXP_384367 hypothetical protein FG04191.1 [Gibberella zeae PH-1] 、又はXP_456995 DEHA2B00638p [Debaryomyces hansenii CBS767] 、又はXP_746554 C6 transcription factor [Aspergillus fumigatus Af293] 、又はXP_753541 C6 transcription factor (ArcA) [Aspergillus fumigatus Af293]である。
本発明のMPP1同族体は、より好ましくはPaMPP1、又はPpMPP1、又はXP_001246901 hypothetical protein CIMG_00672 [Coccidioides immitis RS] 、又はXP_001262439 hypothetical protein NFIA_029740 [Neosartorya fischeri NRRL 181] 、又はXP_001387003 predicted protein [Scheffersomyces stipitis CBS 6054] 、又はXP_001552259 hypothetical protein BC1G_08737 [Botryotinia fuckeliana B05.10] 、又はXP_002340358 C6 transcription factor (ArcA), putative [Talaromyces stipitatus ATCC 10500] 、又はXP_002549678 predicted protein [Candida tropicalis MYA-3404] 、又はXP_384367 hypothetical protein FG04191.1 [Gibberella zeae PH-1] 、又はXP_456995 DEHA2B00638p [Debaryomyces hansenii CBS767]である。
また、本発明のMPP1同族体には、上記のMPP1同族体と実質的に同等の機能を発揮し得る限り、該MPP1同族体のアミノ酸配列と少なくとも85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、最も好ましくは99%以上の配列同一性を有するポリペプチドが含まれる。
MPP1同族体によって活性化されるプロモーターは、MPP1同族体によって活性化され、かつ酵母内において目的タンパク質を高発現させるプロモーターであれば特に限定されない。MPP1同族体によって活性化されるプロモーターは、好ましくはメタノール誘導性プロモーターである。
本発明のメタノール誘導性プロモーターは、炭素源がメタノールの際に転写活性を有するプロモーターであれば特に制限されないが、好ましくはADR1プロモーター、ALDプロモーター、Alg3プロモーター、AMOプロモーター、AOX1プロモーター、AOX2プロモーター、Atg1プロモーター、Atg2プロモーター、Atg3プロモーター、Atg4プロモーター、Atg5プロモーター、Atg6プロモーター、Atg7プロモーター、Atg8プロモーター、Atg9プロモーター、Atg10プロモーター、Atg11プロモーター、Atg12プロモーター、Atg13プロモーター、Atg15プロモーター、Atg16プロモーター、Atg17プロモーター、Atg18プロモーター、Atg19プロモーター、Atg21プロモーター、Atg22プロモーター、Atg24プロモーター、Atg26プロモーター、Atg28プロモーター、CATプロモーター、CNXプロモーター、CPYプロモーター、DAKプロモーター、DAOプロモーター、DHASプロモーター、DIC1プロモーター、DNM1プロモーター、FAOプロモーター、FDHプロモーター、FGHプロモーター、FIG4プロモーター、FMDプロモーター、Fmp22プロモーター、GAPプロモーター、Gas1pプロモーター、GCR1プロモーター、GDHプロモーター、GSHプロモーター、HARO7プロモーター、HpPmp20プロモーター、HSA1プロモーター、HSV2プロモーター、KEX1プロモーター、KEX2プロモーター、MAL1プロモーター、MASプロモーター、MDV1プロモーター、MLNプロモーター、Mnn9pプロモーター、MOXプロモーター、MPP1プロモーター、Mut3プロモーター、Mxr1プロモーター、Nii2pプロモーター、OCHプロモーター、PAH2プロモーター、PAK1プロモーター、PDD1プロモーター、PEP4プロモーター、PEP12プロモーター、PepNプロモーター、PER6プロモーター、PER10プロモーター、Pex1プロモーター、Pex3プロモーター、Pex4プロモーター、Pex5プロモーター、Pex6プロモーター、Pex7プロモーター、Pex8プロモーター、Pex10プロモーター、Pex11プロモーター、Pex12プロモーター、Pex13プロモーター、Pex17プロモーター、Pex19プロモーター、Pex20プロモーター、Pex22プロモーター、Pex23プロモーター、Pex24プロモーター、Pex25プロモーター、Pex26プロモーター、Pex32プロモーター、PHO1プロモーター、PIP2プロモーター、POX1プロモーター、PPIプロモーター、PRAIプロモーター、Prm1プロモーター、PYCプロモーター、RHOプロモーター、SLA2プロモーター、SNF1プロモーター、STL1プロモーター、Swi1pプロモーター、TORプロモーター、TPS1プロモーター、TPS3プロモーター、Trm1プロモーター、Trm2プロモーター、Vac8pプロモーター、Vam3pプロモーター、Vam7pプロモーター、YAPプロモーター、VPS1プロモーター、Yhf1pプロモーター、YNA1プロモーター、YNA2プロモーター、YNI1プロモーター、YNR1プロモーター、YNT1プロモーター、YPT1プロモーター、Ypt7pプロモーターなどが挙げられ、より好ましくは、AOXプロモーター、DHASプロモーター、FMDプロモーター、MOXプロモーターである。
本発明のMPP1同族体は、好ましくはPaMPP1であり、PaMPP1は上記のプロモーターを活性化する因子としての機能を有するポリペプチドであれば特に限定されず、配列番号38に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドのほか、配列番号38に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列、又は配列番号38に記載のアミノ酸配列と85%以上、90%以上、95%以上、より好ましくは99%以上の配列同一性を有するポリペプチドであってもよい。ここでの「複数個のアミノ酸」とは、MPP1同族体としての機能を失わない限りその個数は特に制限されないが、好ましくは102アミノ酸以下であり、より好ましくは100アミノ酸以下、さらに好ましくは90アミノ酸以下、最も好ましくは80、70、60、50、40、30、20、10、5、4、3、または2個以下である。
本発明のMPP1同族体は、好ましくはPpMPP1であり、PpMPP1は上記のプロモーターを活性化する因子としての機能を有するポリペプチドであれば特に限定されず、配列番号41に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドのほか、配列番号41に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列、又は配列番号41に記載のアミノ酸配列と85%以上、90%以上、95%以上、より好ましくは99%以上の配列同一性を有するポリペプチドであってもよい。ここでの「複数個のアミノ酸」とは、MPP1同族体としての機能を失わない限りその個数は特に制限されないが、好ましくは133アミノ酸以下であり、より好ましくは130アミノ酸以下、さらに好ましくは120アミノ酸以下、最も好ましくは110、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、4、3、または2個以下である。
本発明のアミノ酸の配列同一性とは、当業者に周知の方法、配列解析ソフトウェア等を使用して求めることができる。例えば、GENETYX Ver.10遺伝情報処理ソフトウェア/ネットワーク版(ゼネティックス社製)のホモロジー検索が挙げられる。
本発明のMPP1同族体には配列番号49に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドも包含される。配列番号49はPaMPP1のアミノ酸残基28〜67のポリペプチドであり、プロモーターに結合する機能が期待される。これにより、配列番号49のポリペプチドと他のポリペプチドを組み合わせ、宿主においてそのタンパク質を高発現させれば、プロモーターを活性化する効果を得ることができる。また、配列番号49に記載のアミノ酸配列のみならず、配列番号49に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列、又は配列番号49に記載のアミノ酸配列と85%以上、90%以上、95%以上、より好ましくは99%以上の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドであってもよい。ここでの「複数個のアミノ酸」とは、MPP1同族体としての機能を失わない限りその個数は特に制限されないが、好ましくは6アミノ酸以下であり、より好ましくは5アミノ酸以下、さらに好ましくは4アミノ酸以下、最も好ましくは3、または2個以下である。
本発明のMPP1同族体には配列番号50に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドも包含される。配列番号50はPpMPP1のアミノ酸残基58〜98のポリペプチドであり、プロモーターに結合する機能が期待される。これにより、配列番号50のポリペプチドと他のポリペプチドを組み合わせ、宿主においてそのタンパク質を高発現させれば、プロモーターを活性化する効果を得ることができる。また、配列番号50に記載のアミノ酸配列のみならず、配列番号50に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列、又は配列番号50に記載のアミノ酸配列と85%以上、90%以上、95%以上、より好ましくは99%以上の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドであってもよい。ここでの「複数個のアミノ酸」とは、MPP1同族体としての機能を失わない限りその個数は特に制限されないが、好ましくは6アミノ酸以下であり、より好ましくは5アミノ酸以下、さらに好ましくは4アミノ酸以下、最も好ましくは3、または2個以下である。
本発明において、「発現」とは、遺伝子の産物であるタンパク質の生成をもたらす塩基配列の転写及び翻訳を指す。また、その発現は外部刺激や生育条件などに依存せずにほぼ一定の状態でも良いし、依存してもよい。発現を駆動するプロモーターは、目的タンパク質をコードする塩基配列の発現を駆動するプロモーターであれば特に限定されない。
本発明において、「高発現」とは、宿主または培養液中のタンパク質の量、もしくは、宿主内のmRNAの量が、通常の量に比較して増加していることを意味し、例えば、タンパク質を認識する抗体を利用して測定し、あるいは、例えば、RT-PCR法やノーザンハイブリダイゼーション、DNAアレイを使用するハイブリダイゼーション等によって測定し、親株又は野生型のような非改変株と比較することによって確認することができる。
MPP1同族体の高発現は、染色体上及び/又はベクター上のMPP1同族体をコードする遺伝子の発現誘導の他、染色体上及び/又はベクター上のMPP1同族体遺伝子の改変(コピー数の増加やプロモーターの挿入、コドン改変等)、MPP1同族体遺伝子の宿主への導入、宿主への変異導入によるMPP1同族体遺伝子高発現株の取得等、公知の手法により達成し得る。
宿主への変異導入による、MPP1同族体高発現株の取得は、公知の方法、例えば宿主を薬剤や紫外線照射による変異処理をした後にMPP1同族体が高発現されている株を選抜することによって実施できる。
本発明における「タンパク質」とは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合したもので、通常ペプチドやオリゴペプチドと呼ばれる鎖長の短いものからポリペプチドと呼ばれる鎖長の長いものも含まれる。
本発明の「目的タンパク質」とは、特に限定されるものではないが、微生物由来の酵素類、多細胞生物である動物や植物が産生するタンパク質等である。例えば、フィターゼ、プロテインA、プロテインG、プロテインL、アミラーゼ、グルコシダーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、グルタミナーゼ、ペプチダーゼ、ヌクレアーゼ、オキシダーゼ、ラクターゼ、キシラナーゼ 、トリプシン 、ペクチナーゼ、イソメラーゼ、蛍光タンパク質などが挙げられる。好ましい例としては、ヒト及び/又は動物治療用タンパク質が挙げられる。
ヒト及び/又は動物治療用タンパク質として、具体的には、B型肝炎ウイルス表面抗原、ヒルジン、抗体、ヒト抗体、部分抗体、ヒト部分抗体、血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、上皮成長因子、ヒト上皮成長因子、インシュリン、成長ホルモン、エリスロポエチン、インターフェロン、血液凝固第VIII因子、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、トロンボポエチン、IL-1、IL-6、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ウロキナーゼ、レプチン、幹細胞成長因子(SCF)、などが挙げられる。
「抗体」とは、L鎖とH鎖の各2本のポリペプチド鎖がジスルフィド結合して構成されるヘテロテトラマータンパク質のことを指し、特定の抗原に結合する能力を有していれば、特に限定されない。
「部分抗体」とは、Fab型抗体、(Fab)型抗体、scFv型抗体、diabody型抗体や、これらの誘導体等のことを指し、特定の抗原に結合する能力を有していれば、特に限定されない。Fab型抗体とは、抗体のL鎖とFd鎖がS-S結合で結合したヘテロマータンパク質、または抗体のL鎖とFd鎖がS-S結合を含まず会合したヘテロマータンパク質のことを指し、特定の抗原に結合する能力を有していれば、特に限定されない。
タンパク質を構成するアミノ酸は天然のものでも良いし、非天然のものでも良いし、修飾を受けていても良い。また、タンパク質のアミノ酸配列は、人為的な改変が施されていてもよいし、de-novoで設計されたものでもよい。
本発明における「目的タンパク質の産生能力」とは、目的タンパク質を宿主細胞内で作り出す能力のことをいい、該タンパク質をコードする遺伝子の導入によって実現し得るポテンシャルを指す。
本発明における「形質転換用酵母」とは、目的タンパク質をコードする遺伝子導入により、目的タンパク質が高生産可能な酵母を指す。好ましくはMPP1同族体を高発現した酵母、より好ましくは、PaMPP1、またはPpMPP1、または配列番号49のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号50のアミノ酸配列を含むポリペプチドを高発現した酵母である。
酵母への形質転換法は公知の情報、例えば、エレクトロポレーション法や酢酸リチウム法、スフェロプラスト法などが挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。例えば、ピキア・アングスタの形質転換法としては、Highly-efficient electrotransformation of the yeast Hansenula polymorpha.(Curr Genet 25: 305.310.)に記載されているエレクトロポレーション法が一般的である。
また、本発明の形質転換用酵母において、上記のプロモーターを活性化する因子に加えて、「転写因子」を高発現させてもよい。本発明の「転写因子」とは、プロモーターによるタンパク質生産機構において、プロモーターによる転写開始やタンパク質生産を活性化させるように作用する物質を意味する。
転写因子の高発現は、染色体上及び/又はベクター上の転写因子をコードする遺伝子(転写因子遺伝子)の発現誘導の他、染色体上及び/又はベクター上の転写因子遺伝子の改変(コピー数の増加やプロモーターの挿入、コドン改変等)、転写因子遺伝子の宿主への導入、宿主への変異導入による転写因子遺伝子高発現株の取得等、公知の手法により達成し得る。
宿主への変異導入による、転写因子遺伝子高発現株の取得は、公知の方法、例えば宿主を薬剤や紫外線照射による変異処理をした後に転写因子遺伝子が高発現されている株を選抜することによって実施できる。
転写因子は、好ましくはMPP1同族体と相加的または相乗的に働く転写因子であるが、特にこれらに限定されない。転写因子の例としては、ピキア・アングスタ由来のMut3が挙げられる。Mut3はGenBank accession number AY046886に記載のポリペプチドであり、配列番号46で示される。
本発明における転写因子は、他の酵母細胞から単離されたMut3の同族体であってもよく、例えばキャンディダ・ボイディニのTrm1が挙げられる。
本発明のMut3は、好ましくは配列番号46に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドであるが、配列番号46に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列、又は配列番号46に記載のアミノ酸配列と85%以上、90%以上、95%以上、より好ましくは99%以上の配列同一性を有するポリペプチドであってもよい。ここでの「複数個のアミノ酸」とは、転写因子としての機能を失わない限りその個数は特に制限されないが、好ましくは139アミノ酸以下であり、より好ましくは130アミノ酸以下、さらに好ましくは120アミノ酸以下、最も好ましくは110,100,90,80、70、60、50、40、30、20、10、5、4、3、または2個以下である。
本発明のMPP1同族体遺伝子または転写因子遺伝子は、MPP1同族体をコードするDNAまたは転写因子をコードするDNAであればよい。MPP1同族体をコードするDNAは、好ましくは配列表の配列番号10または11に示されるDNAであり、転写因子をコードするDNAは、好ましくは配列表の配列番号12に示されるDNAである。また、MPP1同族体をコードするDNA 、転写因子をコードするDNAは、配列表の配列番号10又は11又は12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつMPP1同族体または転写因子としての機能を有するポリペプチドをコードする塩基配列からなるDNAでもよい。また、配列番号10又は11又は12で示される塩基配列と85%以上、好ましくは90%以上、95%以上、より好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつMPP1同族体または転写因子としての機能を有するポリペプチドをコードするDNAであってもよい。
「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、例えば、コロニーまたはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃の条件下でフィルターを洗浄することにより取得できるDNAを挙げることができる。好ましくは65℃で0.5倍濃度のSSC溶液で洗浄、より好ましくは65℃で0.2倍濃度のSSC溶液で洗浄、更に好ましくは65℃で0.1倍濃度のSSC溶液で洗浄することにより取得できるDNAである。
本発明の塩基配列の配列同一性とは、当業者に周知の方法、配列解析ソフトウェア等を使用して求めることができる。例えば、GENETYX Ver.10遺伝情報処理ソフトウェア/ネットワーク版(ゼネティックス社製)のホモロジー検索が挙げられる。
本発明における酵母は特に限定されるものではないが、メタノール資化性酵母が好ましい。メタノール資化性酵母としては、ピキア(Pichia)属、キャンディダ(Candida)属、トルロプシス(Torulopsis)属などが挙げられる。特に、ピキア(Pichia)属ではピキア・アングスタ(Pichia angusta)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・ミヌータ(Pichia minuta)などが好ましく挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
ピキア・アングスタは別名ハンゼヌラ・ポリモルファ(hansenula polymorpha)でも表される。ピキア・ミヌータは別名オガタエア・ミヌータ(Ogataea minuta)でも表される。
一般に、メタノール資化性酵母は、唯一の炭素源としてメタノールを利用して培養可能な酵母と定義されるが、人為的な改変あるいは変異によりメタノール資化性能を喪失していてもよい。
ピキア・アングスタとしては、好ましくはNCYC495(ATCC14754)、8V(ATCC34438)、DL-1(ATCC26012)などの株が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの菌株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション等から入手することができる。また、該株からの誘導株なども含まれ、例えばロイシン要求性株であれば、NCYC495由来のBY4329、8V由来のBY5242、DL-1由来のBY5243などが挙げられ、これらはNational BioResource Projectから分譲可能である。本発明においては、これらの菌株からの誘導株も使用できる。
ピキア・パストリスとしては、好ましくはY-11430、X-33などの株が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの菌株は、Northern Regional Research Laboratory等から入手することができる。また、該株からの誘導株なども含まれる。本発明においては、これらの菌株からの誘導株も使用できる。
2.タンパク質の生産方法
本発明の形質転換用酵母を用いてタンパク質を生産する方法としては、上記の形質転換用酵母を培養し、その菌体中または培養上清中に蓄積させる方法が挙げられる。好ましい例としてメタノール資化性酵母の場合を例示するが、本例示に限定されるものではない。
形質転換用酵母の培養は、通常メタノール資化性酵母が資化しうる栄養源を含む培地であれば何でも使用しうる。例えば、グルコース、シュークロース、マルトース等の糖類、乳酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸等の有機酸類、メタノール、エタノール、グリセロール等のアルコール類、パラフィン等の炭化水素類、大豆油、菜種油等の油脂類、またはこれらの混合物等の炭素源、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、尿素、酵母エキス、肉エキス、ペプトン、コーンスチープリカー等の窒素源、更に、その他の無機塩、ビタミン類等の栄養源を適宜混合・配合した通常の培地を用いることが出来、バッチ培養や連続培養のいずれでも培養可能である。
形質転換用酵母の培養に用いる炭素源は1種類でも良いし、2種類以上混合されている状態でも良い。また、炭素源は培養初期から存在していても良いし、培養途中に添加しても良い。
形質転換用酵母の培養は、形質転換用酵母1種類の培養でも良いし、2種類以上混合されている共培養の状態でも良い。また、形質転換用酵母と他の微生物が共培養されている状態でも良い。
本発明の培養は通常一般の条件により行なうことができ、例えば、pH2.5〜10.0、温度範囲10℃〜48℃の範囲で、好気的に10時間〜10日間培養することにより行うことができる。
本発明の形質転換用酵母を用いて生産されたタンパク質は、培養上清に存在する状態であっても良いし、菌体内に蓄積している状態であっても良いし、そこから任意の方法で単離したものでも良い。培養上清や菌体内からのタンパク質の単離は、公知のタンパク質精製法を適当に組み合わせて用いることにより実施できる。例えば、まず、当該形質転換体を適当な培地で培養し、培養液の遠心分離、あるいは、濾過処理により培養上清から菌体を除く。得られた培養上清を、塩析(硫酸アンモニウム沈殿、リン酸ナトリウム沈殿など)、溶媒沈殿(アセトンまたはエタノールなどによる蛋白質分画沈殿法)、透析、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、限外濾過等の手法を単独で、または組み合わせて用いることにより、該培養上清から本発明のタンパク質を単離する。
単離されたタンパク質は、そのまま使用することもできるが、その後PEG化等の薬理学的な変化をもたらす修飾、酵素やアイソトープ等の機能を付加する修飾を加えて使用することもできる。また、各種の製剤化処理を使用しても良い。
前記MPP1同族体または転写因子の高発現を、MPP1同族体遺伝子または転写因子遺伝子の宿主への導入によって達成する場合は、これらの遺伝子を含む発現ベクターを構築し、該ベクターを宿主に導入することが好ましい。
本発明における「発現ベクター」とは、形質転換後の宿主細胞にて目的遺伝子が発現する機能を持った核酸分子のことを指し、発現カセット、組み込み相同領域、栄養要求性相補遺伝子または薬剤耐性遺伝子などの選択マーカー遺伝子、自律複製配列などを有する。形質転換後のベクターは、染色体に組み込まれている状態でも良いし、自律複製型として存在している状態でも良い。自律複製型ベクターの例としては、YEpベクター、YRpベクター、YCpベクターなどが挙げられる。ピキア属の場合はpPICHOLI、pHIP、pHRP、pHARSなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
上記の「発現カセット」は、プロモーター活性化因子としてMPP1同族体遺伝子及び/又は転写因子遺伝子と、これらを発現させるためのプロモーターにより構成され、ターミネーター遺伝子を含んでも良い。よって、本発現カセットには、プロモーター活性化因子としてMPP1同族体遺伝子を含むカセット(MPP1同族体遺伝子発現カセット)、転写因子遺伝子を含むカセット(転写因子遺伝子発現カセット)、MPP1同族体遺伝子と転写因子遺伝子を両方含むカセットが包含される。本発現カセットは、例えばpUC19等のプラスミド上に構築することもできるし、PCR法によっても作成することができる。
MPP1同族体遺伝子を発現させるプロモーターは、選択した炭素源にて発現が起こりうるプロモーターを適切に使用すればよく、特に限定されない。
炭素源がメタノールの場合、MPP1同族体遺伝子を発現させるプロモーターは、MOXプロモーター、FMDプロモーター、DHASプロモーター、AOXプロモーター、GAPプロモーターなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
炭素源がグルコースやグリセロールの場合、MPP1同族体遺伝子を発現させるプロモーターは、GAPプロモーター、TEFプロモーター、LEU2プロモーター、URA3プロモーター、ADEプロモーター、ADH1プロモーター、PGK1プロモーターなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
また、転写因子遺伝子を発現させるプロモーターも、選択した炭素源にて発現が起こりうるプロモーターを適切に使用すればよく、上記のMPP1同族体遺伝子を発現させるプロモーターの具体例と同じである。
本発明における「目的タンパク質の発現ベクター」は、目的タンパク質遺伝子の5’側にMPP1同族体によって活性化されるプロモーター、好ましくはメタノール誘導性プロモーターを有し、3’側に停止コドン及び/又はターミネーター配列を有する「目的タンパク質発現カセット」を含むことを特徴とする。染色体に組み込む場合、酵母の染色体の少なくとも50bp以上の塩基配列と少なくとも50%以上の配列同一性を有する塩基配列をベクター上に有することが好ましい。
目的タンパク質を菌体外に分泌させる場合には、目的タンパク質遺伝子の5’末端にシグナル配列をコードする塩基配列を導入すればよい。シグナル配列をコードする塩基配列は、酵母が分泌発現できるシグナル配列をコードする塩基配列であれば特に限定されないが、サッカロマイセス・セレビシエのMating Factor α(MFα)やピキア・アングスタの酸性ホスファターゼ(PHO1)、ピキア・パストリスの酸性ホスファターゼ(PHO1)、サッカロマイセス・セレビシエのインベルターゼ(SUC2)、サッカロマイセス・セレビシエのPLB1、牛血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、免疫グロブリンのシグナル配列をコードする塩基配列などが挙げられる。
なお、本発明における「目的タンパク質発現カセット」、「MPP1同族体遺伝子発現カセット」、及び「転写因子遺伝子発現カセット」等は、1種類のベクターに含まれていても良い。すなわちこの場合、酵母宿主と形質転換体を同時に作成することになる。
MPP1同族体遺伝子、転写因子遺伝子、及び目的タンパク質をコードする遺伝子を酵母に導入する場合、MPP1同族体遺伝子発現カセット、転写因子遺伝子発現カセット、及び目的タンパク質遺伝子カセットとともに、栄養要求性相補遺伝子または薬剤耐性遺伝子などの選択マーカー遺伝子を用いることが好ましい。選択マーカーは特に限定されないが、URA3遺伝子、LEU2遺伝子、ADE1遺伝子、HIS4遺伝子などの栄養要求性相補遺伝子であれば、それぞれウラシル、ロイシン、アデニン、ヒスチジンの栄養要求性株において原栄養株表現型の回復により選択することができる。また、G418耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子などの薬剤耐性遺伝子であれば、それぞれG418、ゼオシン、ハイグロマイシンを含む培地上における耐性により選択することができる。なお、酵母宿主を作成するときに用いた栄養要求性選択マーカーは、該選択マーカーが破壊されていない場合は、用いることができない。この場合、該選択マーカーを回復させればよく、方法は当業者には公知の方法を用いることができる。
MPP1同族体遺伝子または転写因子遺伝子を染色体に組み込む場合、酵母の染色体の相同領域を同時に有するDNAとして作成することが好ましい。染色体上へのMPP1同族体発現カセットまたは転写因子遺伝子発現カセットの組み込みの方法は、相同領域を利用しない非特異的な組み込みでも良いし、1箇所の相同領域を利用した組み込みでも良いし、2箇所の相同領域を利用したダブルインテグレート型の組み込みでも良い。
なお、相同領域とは、染色体と発現ベクターの塩基配列を比較して、50%以上の配列同一性があれば良く、その長さも特に限定されないが、50bp以上が好ましい。相同領域の配列同一性は、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることがさらにより好ましく、最も好ましくは100%である。
相同領域を利用した組み込みの場合、例えば、プラスミドベクターの相同領域を制限酵素で1箇所以上を切断し、直鎖状の発現ベクターの末端に相同領域が来るようにして形質転換を行うことが出来る。例えば、MOXターミネーターへの相同組込みであれば、MOXターミネーターの配列に1箇所存在するNruIサイトやEcoRVサイトで切断して直鎖状にした発現ベクターを用いることでMOXターミネーターへ組み込むことができる。
染色体あたりの発現カセットのコピー数は特に限定されない。また、染色体上にMPP1同族体遺伝子または転写因子遺伝子の発現ベクターが組み込まれている位置は、MPP1同族体遺伝子または転写因子遺伝子が菌体内で産生される限り、特に限定されない。なお、2コピー以上の発現ベクターが組み込まれている形質転換体の組み込み位置については、同じ位置に複数が組み込まれている状態でも良いし、異なる位置に1コピーずつ組み込まれている状態でも良い。
本発明の目的タンパク質遺伝子、MPP1同族体または転写因子等の遺伝子の調製方法は特に限定されず、微生物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、ファージディスプレイライブラリからPCRなどで調製しても良いし、該塩基配列を元に遺伝子を全合成して調製しても良い。例えば、MPP1同族体の遺伝子にもとづいて設計したDNAプライマーを合成し、次に、MPP1同族体の遺伝子を有する酵母より染色体DNAを単離し、この染色体DNAを鋳型に、上記のDNAプライマーを用いてPCRを行うことで、目的遺伝子を取得できる。
染色体上の目的タンパク質遺伝子またはMPP1同族体遺伝子または転写因子遺伝子の改変は、宿主染色体について相同組換えを利用した遺伝子の挿入や部位特異的変異導入の手法を使用して実施することができる。例えば、コピー数増加のためタンパク質遺伝子の染色体への導入や、タンパク質上流プロモーターのより強力なプロモーターへの置換、タンパク質遺伝子の宿主に適したコドンへの改変等によって実施できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において用いた組み換えDNA技術に関する詳細な操作方法などは、次の成書に記載されている:
Molecular Cloning 2nd Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience)、Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience)。
また、以下の実施例において取得したプラスミドは、大腸菌E. coli DH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)を用いて、これに記載の条件で行うことにより取得した形質転換体を用いて増幅している。
抗体発現ベクターの構築において利用したMOXプロモーター(配列番号1)、MOXターミネーター(配列番号2)、LEU2遺伝子(配列番号3)は、ピキア・アングスタ 8V株のゲノムDNAをテンプレートにしてPCRで調製した。AOXプロモーター(配列番号4)はピキア・パストリスX-33株のゲノムDNAをテンプレートにしてPCRで調製した。Mating Factorαプレプロシグナル遺伝子(MFα、配列番号5)は、サッカロマイセス・セレビシアエS288c株のゲノムDNAをテンプレートにしてPCRで調製した。
抗体遺伝子は、完全ヒト型化抗TNF-α 抗体の配列(adalimumab;HUMIRA(登録商標))の公開配列情報に基づいて、L鎖遺伝子(配列番号6)、Fd鎖遺伝子(配列番号7)を化学合成した(特開2009−082033)ものをテンプレートにしてPCRで調製した。
その他、ベクターの構築において利用したGAPプロモーター(配列番号8)、GAPプロモーターで制御されたG418耐性遺伝子(配列番号9)、PaMPP1遺伝子(配列番号10)、PpMPP1遺伝子(配列番号11)、Mut3遺伝子(配列番号12)は、ピキア・アングスタNCYC495株のゲノムDNAやピキア・パストリスX-33株のゲノムDNA、適当な市販ベクター等をテンプレートにしてPCRで調製した。
PCRにはPrime STAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ社製)を用い、反応条件は添付のマニュアルに記載の方法で行った。ゲノムDNAの調製は、各菌株からGenとるくん(タカラバイオ社製)を用いて、これに記載の条件で実施した。
各プラスミドの調製に関しては、大腸菌DH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に形質転換することで行った。プラスミド保持株からのプラスミドの調製は、QIAprep spin miniprep kit(QIAGEN社製)を用いて行った。
(実施例1)完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現ベクターの構築
HindIII-NotI-BamHI-SpeI-MunI-BglII-XbaI-EcoRIのマルチクローニングサイトもつ遺伝子断片(配列番号13)を全合成し、これをpUC19のHindIII-EcoRIサイト間に挿入して、pUC-1を調製した。また、LEU2遺伝子の両側にHindIII認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー1および2(配列番号14および15)を用いたPCRにより調製し、HindIII処理後にpUC-1のHindIIIサイトに挿入して、pUC-2を調製した。次に、MOXプロモーターの両側にBamHI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー3および4(配列番号16および17)を用いたPCRにより調製し、BamHI処理後にpUC-2のBamHIサイトに挿入して、pUC-Pmoxを調製した。また、AOXプロモーターの両側にEcoRI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー5および6(配列番号18および19)を用いたPCRにより調製し、EcoRI処理後にpUC-2のMunIサイトに挿入して、pUC-Paoxを調製した。
MOXプロモーターの両側にMunI認識配列を付加した遺伝子断片をプライマー7および8(配列番号20および21)を用いたPCRにより調製し、MunI処理後にpUC-PmoxのMunIサイトに挿入して、pUC-PmoxPmoxを調製した。AOXプロモーターの両側にBamHI認識配列を付加した遺伝子断片をプライマー9および10(配列番号22および23)を用いたPCRにより調製し、BamHI処理後にpUC-PaoxのBamHIサイトに挿入して、pUC-PaoxPaoxを調製した。MOXターミネーターの両側にXbaI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー11および12(配列番号24および25)を用いたPCRにより調製し、XbaI処理後にpUC-PmoxPmoxおよびpUC-PaoxPaoxのXbaIサイトに挿入して、それぞれ、pUC-PmoxPmoxTm、pUC-PaoxPaoxTmを調製した。
MFαの上流にSpeI認識配列を付加した遺伝子断片をプライマー13および14(配列番号26および27)を用いたPCRにより調製した。L鎖の上流にMFαの3’末端19bpを付加し、下流にSpeI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー15および16(配列番号28および29)を用いたPCRにより調製した。これらの遺伝子断片を混合してテンプレートにして、プライマー13および16を用いたPCRにより、MFαとL鎖の融合遺伝子の両側にSpeI認識配列を付加した遺伝子断片を調製した。本遺伝子断片をSpeI処理後、pUC-PmoxPmoxTm、pUC-PaoxPaoxTmのSpeIサイトに挿入して、それぞれpUC-PmoxLPmoxTm、pUC-PaoxLPaoxTmを構築した。
一方、MFαの上流にBglII認識配列を付加した遺伝子断片をプライマー17(配列番号30)および14を用いたPCRにより調製した。Fd鎖の上流にMFαの3’末端19bpを付加し、下流にBglII認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー18および19(配列番号31および32)を用いたPCRにより調製した。これらの遺伝子断片を混合してテンプレートにし、プライマー17および19を用いたPCRにより、MFαとFd鎖の融合遺伝子の両側にBglII認識配列を付加した遺伝子断片を調製した。本遺伝子断片をBglII処理後、pUC-PmoxLPmoxTm、pUC-PaoxLPaoxTmのBglIIサイトに挿入して、それぞれ、pUC-PmoxLPmoxFdTm、pUC-PaoxLPaoxFdTmを構築した。
pUC-PmoxLPmoxFdTmは、Fab型抗体のL鎖およびFd鎖がMOXプロモーター制御下で発現するように設計されている。pUC-PaoxLPaoxFdTmは、Fab型抗体のL鎖およびFd鎖がAOXプロモーター制御下で発現するように設計されている。
(実施例2) PaMPP1発現ベクターの構築
MOXターミネーターの両側にXbaI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー11および12を用いたPCRにより調製し、XbaI処理後に実施例1にて調製したpUC-1のXbaIサイトに挿入して、pUCTmを調製した。
次に、GAPプロモーターの両側にEcoRI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー20および21(配列番号33および34)を用いたPCRにより調製し、EcoRI処理後にpUCTmのMunIサイトに挿入して、pUCPgapTmを調製した。次に、GAPプロモーターで制御されたG418耐性遺伝子の両側にEcoRI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー20および22(配列番号35)を用いたPCRにより調製し、EcoRI処理後にpUCPgapTmのEcoRIサイトに挿入して、pUCPgapTmG418を調製した。次に、PaMPP1遺伝子の両側にBamHI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー23および24(配列番号36および37)を用いたPCRにより調製し、BamHI処理後にpUCPgapTmG418のBglIIサイトに挿入して、pUCPgapPaMPP1TmG418を構築した。
本発現ベクターは、PaMPP1(配列番号38)がGAPプロモーター制御下で発現するように設計されている。
(実施例3) PpMPP1発現ベクターの構築
PpMPP1遺伝子の両側にBamHI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー25および26(配列番号39および40)を用いたPCRにより調製し、BamHI処理後に前記pUCPgapTmG418のBglIIサイトに挿入して、pUCPgapPpMPP1TmG418を構築した。
本発現ベクターは、PpMPP1(配列番号41)がGAPプロモーター制御下で発現するように設計されている。
(実施例4) Mut3発現ベクターの構築
GAPプロモーターで制御されたG418耐性遺伝子の両側にEcoRI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー20および22を用いたPCRにより調製し、EcoRI処理後に前記pUCTmのEcoRIサイトに挿入して、pUCTmG418を調製した。次に、Mut3遺伝子の5’末端側にSpeI認識配列、3’末端側にBamHI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー27および28(配列番号42および43)を用いたPCRにより調製し、SpeIとBamHI処理後にpUCTmG418のSpeI-BglIIサイト間に挿入して、pUCMut3TmG418を構築した。次に、GAPプロモーターの両側にBamHI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー29および30(配列番号44および45)を用いたPCRにより調製し、BamHI処理後にpUCMut3TmG418のBamHIサイトに挿入して、pUCPgapMut3TmG418を構築した。
本発現ベクターは、Mut3(配列番号46)がGAPプロモーター制御下で発現するように設計されている。
(実施例5) PaMPP1・Mut3共発現ベクターの構築
Mut3遺伝子の5’末端側にBamHI認識配列、3’末端側にSpeI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー31および32(配列番号47および48)を用いたPCRにより調製し、BamHIとSpeI処理後に実施例2で得られたpUCPgapPaMPP1TmG418のBamHI-SpeIサイトに挿入して、pUCMut3PgapPaMPP1TmG418を構築した。次に、GAPプロモーターの両側にBamHI認識配列を付加した遺伝子断片を、プライマー29および30を用いたPCRにより調製し、BamHI処理後にpUCMut3PgapPaMPP1TmG418のBamHIサイトに挿入して、pUCPgapMut3PgapPaMPP1TmG418を構築した。
本発現ベクターは、PaMPP1とMut3がGAPプロモーター制御下で共発現するように設計されている。
(実施例6) PaMPP1・Mut3・PpMPP1共発現ベクターの構築
GAPプロモーターの5’末端側にNotI認識配列、PpMPP1遺伝子の3’末端側にEco52I認識配列を付加した遺伝子断片を、実施例3で得られたpUCPgapPpMPP1TmG418を鋳型としてプライマー33および34(配列番号51および52)を用いたPCRにより調製し、NotIとEco52I処理後に実施例5で得られたpUCPgapMut3PgapPaMPP1TmG418のNotIサイトに挿入して、pUCPgapPpMPP1PgapMut3PgapPaMPP1TmG418を構築した。
本発現ベクターは、PaMPP1とMut3とPpMPP1がGAPプロモーター制御下で共発現するように設計されている。
(実施例7) MPP1同族体発現ベクターによるMPP1同族体発現酵母宿主の取得
実施例2〜6で構築したpUCPgapPaMPP1TmG418、pUCPgapPpMPP1TmG418、pUCPgapMut3TmG418、pUCPgapMut3PgapPaMPP1TmG418、pUCPgapPpMPP1PgapMut3PgapPaMPP1TmG418を用いて大腸菌を形質転換して、得られた形質転換体のそれぞれを、5mlの2YT培地(1.6% tryptone bacto(Difco社製), 1.0% yeast extract bacto(Difco社製), 0.5% NaCl)で培養し、得られた菌体からQIAprep spin miniprep kit(QIAGEN社製)を用いて、それぞれ、pUCPgapPaMPP1TmG418、pUCPgapPpMPP1TmG418、pUCPgapMut3TmG418、pUCPgapMut3PgapPaMPP1TmG418、pUCPgapPpMPP1PgapMut3PgapPaMPP1TmG418を取得した。
本プラスミドをMOXターミネーター遺伝子内のEcoRVサイトやNruIサイト、もしくはマルチクローニングサイト内のNotIサイトなどで切断して直鎖状にした。この直鎖状のpUCPgapPaMPP1TmG418、pUCPgapPpMPP1TmG418、pUCPgapMut3TmG418、pUCPgapMut3PgapPaMPP1TmG418、pUCPgapPpMPP1PgapMut3PgapPaMPP1TmG418を用いて、以下のようにピキア・アングスタおよびピキア・パストリスを形質転換した。
ピキア・アングスタNCYC495ロイシン要求性株を3mlのYPD培地(1% yeast extract bacto(Difco社製),2% peptone,2% glucose)に接種し、37℃で一晩振盪培養して、前培養液を得た。得られた前培養液500μlを50mlのYPD培地に接種し、OD600が1〜1.5になるまで37℃で振盪培養後、集菌(3000×g、10分、20℃)し、250μlの1M DTT(終濃度25mM)を含む10mlの50mMリン酸カリウムバッファー, pH7.5に再懸濁した。
この懸濁液を37℃で15分インキュベート後、集菌(3000×g、10分、20℃)し、予め氷冷した50mlのSTMバッファー(270mMスクロース, 10mM Tris-HCl, 1mM塩化マグネシウム, pH7.5)で洗浄した。洗浄液を集菌(3000×g、10分、4℃)し、25mlの氷冷STMバッファーで再度洗浄したのち、集菌(3000×g、10分、4℃)した。最終的に、250μlの氷冷STMバッファーに懸濁し、これをコンピテントセル溶液とした。
このコンピテントセル溶液60μlと直鎖状のpUCPgapPaMPP1TmG418、pUCPgapPpMPP1TmG418、pUCPgapMut3TmG418、pUCPgapMut3PgapPaMPP1TmG418、pUCPgapPpMPP1PgapMut3PgapPaMPP1TmG418溶液のそれぞれ3μlを混合し、エレクトロポレーション用キュベット(ディスポキュベット電極,電極間隔2mm;ビーエム機器社製)に移し入れ、7.5kV/cm、10μF、900Ωのパルスに供した後、菌体をYPD培地1mlで懸濁し、37℃で1時間静置した。1時間静置後、集菌(3000×g、5分、室温)し、1mlのYNBMSG培地(0.17% Yeast Nitrogen Base Without Amino Acid and Ammonium Sulfate(Difco社製)、0.1% グルタミン酸ナトリウム)に懸濁後、再度集菌(3000×g、5分、室温)した。菌体を適当量のYNBMSG培地で再懸濁後、YNBMSGG418選択寒天プレート(0.17% yeast nitrogen base Without Amino Acid and Ammonium Sulfate(Difco社製)、0.1% グルタミン酸ナトリウム、1.5%アガロース、2%グルコース、0.05% G418二硫酸塩、100mg/Lロイシン)に塗布し、37℃、3日間の静置培養で生育する株を選択し、5種のピキア・アングスタMPP1同族体発現酵母宿主を取得した。
ピキア・パストリスX-33ロイシン要求性株を3mlのYPD培地(1% yeast extract bacto(Difco社製),2% peptone,2% glucose)に接種し、30℃で一晩振盪培養して、前培養液を得た。得られた前培養液500μlを100mlのYPD培地に接種し、OD600が1〜1.5になるまで30℃で振盪培養後、集菌(1500×g、5分、4℃)し、菌体を100mlの滅菌水で再懸濁した。
この懸濁液を集菌(1500×g、5分、4℃)し、菌体を50mlの滅菌水で再懸濁した。この懸濁液を集菌(1500×g、5分、4℃)し、菌体を4mlの1Mソルビトール溶液で再懸濁した。この懸濁液を集菌(1500×g、5分、4℃)し、菌体を200μlの1Mソルビトール溶液で再懸濁し、これをコンピテントセル溶液とした。
このコンピテントセル溶液50μlと直鎖状のpUCPgapPaMPP1TmG418、pUCPgapPpMPP1TmG418、pUCPgapMut3TmG418、pUCPgapMut3PgapPaMPP1TmG418溶液のそれぞれ3μlを混合し、エレクトロポレーション用キュベット(ディスポキュベット電極,電極間隔2mm;ビーエム機器社製)に移し入れ、7.5kV/cm、25μF、200Ωのパルスに供した後、菌体を1Mソルビトール溶液1mlで懸濁し、YNBMSGG418選択寒天プレート(0.17% yeast nitrogen base Without Amino Acid and Ammonium Sulfate(Difco社製)、0.1% グルタミン酸ナトリウム、1.5%アガロース、2%グルコース、0.05% G418二硫酸塩、100mg/Lロイシン)に塗布し、30℃、3日間の静置培養で生育する株を選択し、4種のピキア・パストリスMPP1同族体発現酵母宿主を取得した。
(実施例8) 完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現ベクターによるMPP1同族体発現/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体の取得
実施例1で構築したpUC-PmoxLPmoxFdTmおよびpUC-PaoxLPaoxFdTmを用いて大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体のそれぞれを5mlの2YT培地(1.6% tryptone bacto(Difco社製)、1.0% yeast extract bacto(Difco社製)、0.5% NaCl)で培養し、得られた菌体からQIAprep spin miniprep kit(QIAGEN社製)を用いて、それぞれ、pUC-PmoxLPmoxFdTmおよびpUC-PaoxLPaoxFdTmを取得した。
本プラスミドをMOXターミネーター遺伝子内のEcoRVサイトで切断して直鎖状にした。この直鎖状のpUC-PmoxLPmoxFdTmおよびpUC-PaoxLPaoxFdTmを用いて、以下のようにpUC-PmoxLPmoxFdTmではピキア・アングスタを形質転換し、pUC-PaoxLPaoxFdTmではピキア・パストリスを形質転換した。
実施例7で取得したピキア・アングスタMPP1同族体発現酵母宿主5種類またはピキア・アングスタNCYC495ロイシン要求性株を3mlのYPD培地(1% yeast extract bacto(Difco社製)、2% peptone、2% glucose)に接種し、37℃で一晩振盪培養して、前培養液を得た。得られた前培養液500μlを50mlのYPD培地に接種し、OD600が1〜1.5になるまで37℃で振盪培養後、集菌(3000×g、10分、20℃)し、250μlの1M DTT(終濃度25mM)を含む10mlの50mMリン酸カリウムバッファー, pH7.5に再懸濁した。
この懸濁液を37℃で15分インキュベート後、集菌(3000×g、10分、20℃)し、予め氷冷した50mlのSTMバッファー(270mMスクロース, 10mM Tris-HCl, 1mM塩化マグネシウム, pH7.5)で洗浄した。洗浄液を集菌(3000×g、10分、4℃)し、25mlの氷冷STMバッファーで再度洗浄したのち、集菌(3000×g、10分、4℃)した。最終的に、250μlの氷冷STMバッファーに懸濁し、これをコンピテントセル溶液とした。
このコンピテントセル溶液60μlと直鎖状のpUC-PmoxLPmoxFdTm 溶液3μlを混合し、エレクトロポレーション用キュベット(ディスポキュベット電極,電極間隔2mm;ビーエム機器社製)に移し入れ、7.5kV/cm、10μF、900Ωのパルスに供した後、菌体を1mlのYPD培地で懸濁し、37℃で1時間静置した。1時間静置後、集菌(3000×g、5分、室温)し、1mlのYNBMSG培地(0.17% Yeast Nitrogen Base Without Amino Acid and Ammonium Sulfate(Difco社製)、0.1% グルタミン酸ナトリウム)に懸濁後、、再度集菌(3000×g、5分、室温)した。菌体を適当量のYNBMSG培地で再懸濁後、ピキア・アングスタMPP1同族体発現酵母宿主形質転換体はYNBMSGG418選択寒天プレート(0.17% yeast nitrogen base Without Amino Acid and Ammonium Sulfate(Difco社製)、0.1% グルタミン酸ナトリウム、1.5%アガロース、2%グルコース、0.05%G418二硫酸塩)に、ピキア・アングスタNCYC495ロイシン要求性株形質転換体はYNB選択寒天プレート(0.67% yeast nitrogen base Without Amino Acid(Difco社製)、1.5%アガロース、2%グルコース)に塗布し、37℃、3日間の静置培養で生育する株を選択し、ピキア・アングスタのMPP1同族体発現−完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体とピキア・アングスタの完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体を取得した。
実施例7で取得したピキア・パストリスMPP1同族体発現酵母宿主4種類またはピキア・パストリスX-33ロイシン要求性株を3mlのYPD培地(1% yeast extract bacto(Difco社製),2% peptone,2% glucose)に接種し、30℃で一晩振盪培養して、前培養液を得た。得られた前培養液500μlを100mlのYPD培地に接種し、OD600が1〜1.5になるまで30℃で振盪培養後、集菌(1500×g、5分、4℃)し、菌体を100mlの滅菌水で再懸濁した。
この懸濁液を集菌(1500×g、5分、4℃)し、菌体を50mlの滅菌水で再懸濁した。この懸濁液を集菌(1500×g、5分、4℃)し、菌体を4mlの1Mソルビトール溶液で再懸濁した。この懸濁液を集菌(1500×g、5分、4℃)し、菌体を200μlの1Mソルビトール溶液で再懸濁し、これをコンピテントセル溶液とした。
このコンピテントセル溶液50μlと直鎖状のpUC-PaoxLPaoxFdTm溶液3μlを混合し、エレクトロポレーション用キュベット(ディスポキュベット電極,電極間隔2mm;ビーエム機器社製)に移し入れ、7.5kV/cm、25μF、200Ωのパルスに供した後、菌体を1Mソルビトール溶液1mlで懸濁し、ピキア・パストリスMPP1同族体発現酵母宿主形質転換体はYNBMSGG418選択寒天プレート(0.17% yeast nitrogen base Without Amino Acid and Ammonium Sulfate(Difco社製)、0.1% グルタミン酸ナトリウム、1.5%アガロース、2%グルコース、0.05%G418二硫酸塩)に、ピキア・パストリスロイシン要求性株形質転換体はYNB選択寒天プレート(0.67% yeast nitrogen base Without Amino Acid(Difco社製)、1.5%アガロース、2%グルコース)に塗布し、30℃、3日間の静置培養で生育する株を選択し、ピキア・パストリスのMPP1同族体発現/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体とピキア・パストリスの完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体を取得した。
(実施例9)MPP1同族体発現/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体の培養
実施例8で得られたMPP1同族体発現/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体と完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体を2mlのBMGY培地(1% yeast extract bacto、2% peptone、0.34% yeast nitrogen base Without Amino Acid and Ammonium Sulfate(Difco社製)、1% Ammonium Sulfate、0.4mg/l Biotin、100mMリン酸カリウム(pH6.0)、2% Glycerol)に接種し、これを37℃、120rpm、72時間振盪培養後、遠心分離(15,000rpm、1分、4℃)により培養上清を回収した。
(実施例10)ELISA法による完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体の分泌量の測定
MPP1同族体発現/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体の培養上清への抗TNF-α Fab抗体分泌発現量は、サンドイッチELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)法により以下に示す方法で行った。ELISA用プレート(マキシソープ;NUNC社製)に固定化バッファー(0.1N重炭酸ナトリウム溶液,pH9.6)にて2500倍希釈したGoat Anti-Human IgG (Fab Specific) Antibody(SIGMA社製)を各ウェル50μlずつ添加し、終夜4℃でインキュベートした。
インキュベート後、ウェル中の溶液を除去し、イムノブロック(大日本住友製薬社製)250μlでブロッキングし、室温で1時間静置した。PBSTバッファー(8g/L塩化ナトリウム 、0.2g/L塩化カリウム、1.15g/Lリン酸一水素ナトリウム(無水)、0.2g/Lリン酸二水素カリウム(無水)、0.1% Tween20)で3回洗浄後、系列希釈した標準Fab抗体(Anti-Human IgG Fab;rockland社製)と培養上清を各ウェル50μlずつ添加し、室温で1時間反応した。
PBSTバッファーで2回洗浄後、PBSTバッファーにて8000倍希釈した二次抗体溶液(二次抗体:Anti-Human IgG(Fab Specific)HRP conjugate Antibody(SIGMA社製))を各ウェル50μlずつ添加し、室温で1時間反応させた。PBSTバッファーで4回洗浄後、100μlのTMB-1 Component Microwell Peroxidase Substrate SureBlue(KPL社製)を添加し、室温で20分静置した。100μlのTMB Stop Solution(KPL社製)を添加して反応を停止させた後、マイクロプレートリーダー(BenchMark Plus;Bio-Rad社製)で450nmの吸光度を測定した。培養上清中のFab抗体の定量は、標準Fab抗体の検量線を用いて行った。この方法により得られた抗TNF-α Fab抗体分泌発現量を図1に示した。
その結果、PaMPP1発現(pUCPgapPaMPP1TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体とPpMPP1発現(pUCPgapPpMPP1TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体、Mut3発現(pUCPgapMut3TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体は、明らかに、宿主である完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体より高い抗体分泌発現量を示した。
さらに、PaMPP1・Mut3共発現(pUCPgMut3PgMPP1TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体では、宿主である完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体はもとより、PaMPP1発現(pUCPgMPP1TmG418導入)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体より顕著に高い抗体分泌発現量を示した。PaMPP1・Mut3・PpMPP1共発現(pUCPgapPpMPP1PgapMut3PgapPaMPP1TmG418)/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体はPaMPP1・Mut3共発現/完全ヒト型化抗TNF-α Fab抗体発現形質転換体の抗体分泌発現量に対して劣ることから、PaMPP1とMut3の組み合わせが有効な組み合わせであることが示された。
本発明は、疾患治療用タンパク質、特には抗体の製造分野において利用できる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書に組み入れるものとする。

Claims (13)

  1. MPP1同族体の高発現により目的タンパク質の産生能力が向上していることを特徴とする、形質転換用ピキア(Pichia)属酵母であって、
    MPP1同族体が、以下の(d)、(e)、または(f)のいずれかのポリペプチド:
    (d)配列番号41のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (e)配列番号41に記載のアミノ酸配列において、10個以下のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつメタノール誘導性プロモーターを活性化する機能を有するポリペプチド;
    (f)配列番号41に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつメタノール誘導性プロモーターを活性化する機能を有するポリペプチド;
    である、形質転換用ピキア(Pichia)属酵母。
  2. 以下の(q)、(r)または(s)のいずれかの塩基配列:
    (q)配列番号11に記載の塩基配列;
    (r)配列番号11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下
    でハイブリダイズし、かつメタノール誘導性プロモーターを活性化する機能を有するポリペプチドをコードする塩基配列;
    (s)配列番号11に記載の塩基配列と90%以上の配列同一性を有し、かつメタノール誘導性プロモーターを活性化する機能を有するポリペプチドをコードする塩基配列;
    からなる遺伝子が高発現されていることを特徴とする、請求項1に記載の形質転換用ピキア(Pichia)属酵母。
  3. MPP1同族体及び転写因子の高発現により目的タンパク質の産生能力が向上していることを特徴とする、形質転換用ピキア(Pichia)属酵母であって、
    MPP1同族体が、以下の(a)、(b)、または(c)のいずれかのポリペプチド:
    (a)配列番号38のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (b)配列番号38に記載のアミノ酸配列において、10個以下のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつメタノール誘導性プロモーターを活性化する機能を有するポリペプチド;
    (c)配列番号38に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつメタノール誘導性プロモーターを活性化する機能を有するポリペプチド;
    であり、
    転写因子が、以下の(m)、(n)または(o)のいずれかのポリペプチド:
    (m)配列番号46のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (n)配列番号46に記載のアミノ酸配列において、10個以下のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ転写因子活性を有するポリペプチド;
    (o)配列番号46に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつ転写因子活性を有するポリペプチド;
    である、形質転換用ピキア(Pichia)属酵母。
  4. 以下の(q)、(r)または(s)のいずれかの塩基配列:
    (q)配列番号10に記載の塩基配列;
    (r)配列番号10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下
    でハイブリダイズし、かつメタノール誘導性プロモーターを活性化する機能を有するポリペプチドをコードする塩基配列;
    (s)配列番号10に記載の塩基配列と90%以上の配列同一性を有し、かつメタノール誘導性プロモーターを活性化する機能を有するポリペプチドをコードする塩基配列;
    からなる遺伝子と、
    以下の(u)、(v)または(w)のいずれかの塩基配列:
    (u)配列番号12に記載の塩基配列;
    (v)配列番号12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下
    でハイブリダイズし、かつ転写因子活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列;
    (w)配列番号12に記載の塩基配列と90%以上の配列同一性を有し、かつ転写因子活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列;
    からなる遺伝子が高発現されていることを特徴とする、請求項3に記載の形質転換用ピキ
    ア(Pichia)属酵母。
  5. 転写因子が、MPP1同族体と相加的または相乗的に働くことを特徴とする、請求項3または4に記載の形質転換用ピキア(Pichia)属酵母。
  6. 目的タンパク質の発現が、メタノール誘導性プロモーターによって制御されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の形質転換用ピキア(Pichia)属酵母。
  7. メタノール誘導性プロモーターが、AMOプロモーター、AOX1プロモーター、AOX2プロモーター、CATプロモーター、DAKプロモーター、DAOプロモーター、DHASプロモーター、FAOプロモーター、FDHプロモーター、FGHプロモーター、FMDプロモーター、GAPプロモーター、MOXプロモーター、MPP1プロモーター、Mut3プロモーター、Mxr1プロモーター、PER6プロモーター、PER10プロモーター、Pex3プロモーター、Pex5プロモーター、Pex8プロモーター、Pex10プロモーター、PHO1プロモーター、Prm1プロモーター、SNF1プロモーター、Swi1pプロモーター、Trm1プロモーター、Trm2プロモーター、YNA1プロモーター、及びYNA2プロモーターからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の形質転換用ピキア(Pichia)属酵母。
  8. メタノール誘導性プロモーターが、AOXプロモーター、DHASプロモーター、FMDプロモーター、及びYNA2プロモーターからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の形質転換用ピキア(Pichia)属酵母。
  9. ピキア(Pichia)属酵母が、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、及びピキア・
    ミヌータ(Pichia minuta)からなる群から選択される、請求項1〜のいずれかに記載の形質転換用ピキア(Pichia)属酵母。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の形質転換用ピキア(Pichia)属酵母を用いることを特徴とする、目的タンパク質の製造方法。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の形質転換用ピキア(Pichia)属酵母を培養することを特徴とする、請求項10に記載の目的タンパク質の製造方法。
  12. 培養が、グルコース、及び/又はグリセロール、及び/又はメタノールを炭素源とすることを特徴とする、請求項11に記載の目的タンパク質の製造方法。
  13. 培養が、グルコース、またはグリセロール、またはメタノールを炭素源とすることを特徴とする、請求項11に記載の目的タンパク質の製造方法。
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