図面は説明のためだけのものであり、寸法通りにはなっていない。いくつかの実施形態において、分かり易くするためにさまざまな要素が表示されていないこともある。様々な実施形態における類似で対応する要素は、同様の参照符合で示されている。
本明細書に記述の例示的実施形態を完全に理解できるようにするために、数多くの特定の詳細を説明する。ただし、本明細書で記述する実施形態はこれらの特定の詳細なしで実行可能であることを当業者は理解するであろう。他の例では、本明細書の実施形態が不明確とならないようにするために、周知の方法、手順および部品に関する詳細な説明はしなかった。更には、以下の説明および図面は本明細書の実施形態の範囲をいかなる形であれ制限するものではなく、単に本明細書で記述される様々な実施形態の実装を説明するものである。
本明細書に記載のシステムと方法の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェア、あるいはそれらの組合せで実装されてもよい。ソフトウェア部品は、少なくとも1つのプロセッサ(例えばマイクロプロセッサ)と、データ記憶システム(揮発性および不揮発性のメモリおよび/または記憶素子を含む)と、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置とをそれぞれが備える、プログラム可能なコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラム内に実装されてもよい。例えば、これに限定するものではないが、プログラム可能なコンピュータ(以下、コンピュータ装置と称する)は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、パーソナルデータアシスタント(PDA)、携帯電話、スマートフォン装置、タブレットコンピュータ、および/または無線装置であってよい。プログラムコードを用いてデータを入力し、本明細書に記載の機能を実行して出力情報を生成する。出力情報は、周知の方法で1つまたは複数の出力装置に適用される。
各プログラムは、高水準の手続き型プログラミングまたはオブジェクト指向プログラミングおよび/またはスクリプト言語で実装されて、コンピュータシステムと通信する。ただし、プログラムはアセンブリ言語または機械語で実装されてもよい。いずれにせよ、言語はコンパイラ言語であってもインタプリタ言語であってもよい。そのようなコンピュータプログラムのそれぞれは、好ましくは汎用または特定用途のプログラム可能なコンピュータによって読み出し可能な記憶媒体または記憶装置(例えばROMまたは磁気ディスク)に記憶されて、記憶媒体または装置がコンピュータによって読み込まれるとコンピュータの設定と運転を行って、本明細書に記載の手順を実行する。本システムはまた、コンピュータプログラムによって設定された、計算機可読記憶媒体として実装されることも考慮されていてよい。ここでは、そのように設定された記憶媒体がコンピュータを特定かつ所定の方法で運転し、本明細書に記載の機能を実行させる。
本明細書で説明する例示的実施形態は、様々な放射源と放射センサとに関連して1つまたは複数の放射遮蔽体の位置を決定するシステムと方法に関する詳細を提供する。ある実施形態において、放射源とセンサはフレームに取り付けられていてよい。ある実施形態において、システムは、ホワイトボード、ディスプレイモニタやその他の装置などの、基となる様々な装置に含まれるか、それらと共に使用されてもよい。ある実施形態では、システムは、ホワイトボード、壁、ディスプレイスクリーン表面またはその他の一般に平坦な面のような、基となる面を含んでもよいし、またはそれらと共に使用されてもよい。放射源は、可視光スペクトルまたは、紫外スペクトルや赤外スペクトルなどの他のスペクトルの放射を行ってもよい。本明細書に記載の実施形態は、例示のみを目的とするものであり、他の実装および構成もまた可能である。
先ず図1を参照すると、放射遮蔽体124の位置を検知または推定するシステム100が示されている。
システム100には、一対の放射センサ102a、102bと、コントローラ104と、フレームまたはハウジング108に取り付けられた複数の放射源106が含まれている。フレーム108には、上側110、下側112、左側114、および右側116がある。この実施形態においては、放射源106はフレーム108の左側と下側と右側に取り付けられている。放射センサ102aはフレーム108の左上角に取り付けられ、放射センサ102bはフレーム108の右上角に取り付けられている。
フレーム108が面128を取り囲んでいる。様々な実施形態において、面128はディスプレイスクリーン面や書き込み面、またはその他の面であってよい。本実施形態において、フレーム108は面128の端にベゼル(bezel)を備えている。放射源106と放射センサ102はベゼル内部に取り付けられている。ある実施形態において、フレームは面を部分的にしか取り囲まなくてよい。例えば、上端付近に放射センサも放射源も取り付けられていない場合には、面の上端を囲まなくてもよい。他の実施形態において、フレームは面を支持するが取り囲まなくてもよい。例えば、フレームは面と放射センサと放射源の支持体を提供するが、面を取り囲むベゼルまたはその他の要素を持っていなくてもよい。他の実施形態において、フレームそのものが面の一部または全部を提供してもよい。例えば、フレームはその端から端の間に固体表面を有し、システム100の使用時に放射遮蔽体がその固体表面上に配置されてもよい。一般的には、これらの実施例におけるように、面はフレームに取り付けられる。
図1では、フレーム108の左上角は切り取られていて、放射センサ102aといくつかの放射源106が見えるようにしてある。フレーム108の右下角も切り取られていて、いくつかの放射源106が見えるようにしてある。この実施形態においては、各放射源106はLEDであり、赤外スペクトルの放射を行う。別の実施形態においては、放射源は、可視スペクトルおよび紫外スペクトルを含む、他のスペクトルの放射を行う、さまざまな種類の放射源であってもよい。放射源106は、放射源からの放射が放射センサ102の片方または両方に到達するように、フレーム108に取り付けられている。この実施形態においては、放射源はフレーム108の左側と下側と右側に等間隔に配置されている。この実施形態において、フレーム108は直角の角を持つ矩形である。フレーム108の側部はx−y平面の軸に平行である。ある実施形態においては、放射源は等間隔に配置されていなくてもよい。ある実施形態では、フレームは矩形でなくてもよい。
コントローラ104はプロセッサ120を備える。このプロセッサは、ハードウェア部品、ソフトウェア部品、もしくは、ハードウェアとソフトウェアまたはファームウェアまたはそれらの両方を含む部品、などのような、システム100を動作させることのできる任意の種類のデバイスまたは部品であってよい。例えば、プロセッサ120は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ゲートアレイ、または任意の種類のデータ処理装置あるいはコンピュータ装置であってよい。このプロセッサは、システム100とその部品を動作させて外部装置と通信するようにプログラムされているか、またはそのように設定することができる。コントローラ104はメモリ121も含み、これはプロセッサ120によってアクセスされてよい。プロセッサ120はコントローラ104とシステム100の動作を制御する。命令はメモリ121に記憶され、プロセッサに読み込まれて、以下で説明するようなコントローラ104並びにシステム100の動作を制御するために、プロセッサが、制御、データ処理、データ変換、および通信動作を実行できるように設定されてよい。コントローラ104は各放射源106に接続されている。図1にはこの接続の一部のみを示す。コントローラ104は各放射源106を独立に作動させて、1つの放射源が作動すなわちオン(つまり放射する)の時に、残りの放射源を非作動すなわちオフ(つまり放射しない)とすることができる。
この実施形態において、各放射センサ102は、PIN型フォトダイオードであって、フレーム108の2つの対向する側の放射源106から放出される放射を検知できるようになっている。放射センサ102aは、フレーム108の下側と右側にある放射源106から放出される放射を検知する。放射センサ102bは、フレーム108の下側と左側にある放射源106から放出される放射を検知する。各放射センサ102はコントローラ104に接続されていて、任意の特定の時刻に放射センサ102に注がれる放射の強度に対応する、放射強度レベルをコントローラに与える。放射強度レベルは、対応する放射センサ102が放射源106から放射を受けているときには相対的に高い値を持ち、対応する放射センサ102が放射源106から放射を受けていないときには相対的に低い値を持つ。放射源106に対応する一連の放射強度レベルは、結合して放射強度信号となし、放射遮蔽体124の位置を推定するのに利用することができるようにしてもよい。これをこの後説明する。
別の実施形態においては、各放射センサは、放射源から放出された放射に応答して、そのセンサに入射された放射に応じた放射強度レベルを提供することができる任意の装置であってよい。例えば、光センサ、光ダイオード、光セル、太陽電池、あるいは光起電力セルなどの感光素子を利用して放射強度レベルを提供してもよい。放射センサは、デジタル形式またはアナログ形式を含む、コントローラ104に適合する任意の形式で出力放射強度レベルを提供してもよい。
コントローラ104は、フレーム108の寸法、各放射源106の位置、および各放射センサ102の位置を用いてプログラムされる。この実施例においては、コントローラ104は次の情報を用いてプログラムされる。
−センサ102aと102bは距離dだけ離間している。放射センサ102aはx−y平面の原点(0,0)の位置にあり、放射センサ102bはx−y平面上の(d,0)の位置にある。
−フレーム108の下側または右側にある各放射源に対して、フレームの左側(あるいは、センサ102aの位置によっては、フレームの左側に平行な線)と、放射センサ102aと放射源を結ぶ線との間の角度、あるいはその角度に対応する値。
−フレーム108の左側または下側にある各放射源に対して、フレームの右側(あるいは、センサ102bの位置によっては、フレームの右側に平行な線)と、放射センサ102bと放射源を結ぶ線との間の角度、あるいはその角度に対応する値。
コントローラ104の制御の下にシステム100は動作して、放射遮蔽体124の物理的な位置P124a(x124a,y124a)を推定することができる。図1では、放射遮蔽体124は丸い物体として表示されている。放射遮蔽体124は、スタイラスの先端、指、あるいはその他の、放射源から放出された放射が放射センサ102に到達するのを遮蔽したり減衰させたりする物体であってよい。放射遮蔽体は点P124において面128に接触しており、これはここで説明した物理的な位置P124a、および以下で説明するピクセル位置P124dに対応する。
動作時には、コントローラ104は放射源106を順次作動させる。放射源106が作動している間、コントローラ104は放射センサ102の片方または両方からの出力をサンプリングし、それぞれの放射センサ102に入射された放射強度に対応する放射強度レベルを得る。一般的に、放射源と各放射センサを結ぶ経路は、遮蔽されるか、部分的に遮蔽される(すなわち部分的に減衰される)か、または全く遮蔽がないかである。ある実施形態において、放射源106が作動している間、放射源106と放射センサ102との間に直射経路がある場合に、コントローラは放射センサ102に対する放射強度レベルをチェックするだけであってもよい。例えば、放射センサ102aと、フレーム108の下側112と右側116にある放射源106との間には、直射経路がある。同様に、フレーム108の左側114と下側112にある放射源106と放射源102bとの間には、直射経路がある。別の実施形態において、コントローラ104は、たとえ作動している放射源106が放射センサに対して直射経路を持っていない場合にも、放射センサ102における放射強度レベルをチェックしてもよい。
このプロセスを実行する命令がメモリ121内に記録される。プロセッサ120はメモリ121内の命令にアクセスして命令を実行し、上記および以下で説明するプロセスを行う。プロセッサ120はこのプロセスの実行中にメモリ121内へデータを記録することができる。
他の実施形態において、放射源と放射センサの特定の配置、およびフレームの形状(これは必ずしも矩形である必要はなく、他の形状であってもよい)が、どの放射源がどの放射センサに対して直射経路を持つかということに影響を与える。
本実施形態に戻って考えると、放射源106aが作動された場合、コントローラ104は放射強度レベルを取得するために放射センサ102aのサンプリングをする必要がない。これは放射センサ102aは他の放射源106には妨げられないが、放射源106aとの間には直射経路がないからである。コントローラ104は放射センサ102bにより提供される放射強度レベルのサンプリングは行う。これは比較的高い値であり、放射源106aと放射センサ102bの間の経路が全く遮られていない、すなわち遮蔽されていない、ということを示している。
放射源106cが作動された場合、コントローラ104は放射センサ102aと102bの両方からサンプリングする。放射センサ102aからの放射強度レベルは相対的に高く、放射源106cと放射センサ102aとの間は遮蔽物がないことを示している。放射センサ102bからの放射強度レベルは相対的に低く、放射源106cと放射センサ102bとの間の経路は、この例の場合には、放射遮蔽体124によって遮蔽されていることを示している。
放射源106gが作動されると、放射センサ102aと102bからの放射強度レベルのそれぞれにより、放射源106gと放射センサ102aと102bとの間の経路には遮蔽物がないことが示される。
放射源106iが作動されると、コントローラ104は放射源102aからの放射強度レベルをサンプリングし、これは放射源106iと放射センサ102aとの間の経路が放射遮蔽体124によって遮蔽されていることを示す。
更に図2aと2bを参照する。図2aは、コントローラ104が放射センサ102aから取得した放射強度レベルに対応する放射強度信号122aを示す。図2bは、コントローラ104が放射センサ102bから取得した放射強度レベルに対応する放射強度信号122bを示す。それぞれの放射強度信号は、放射源106が順次作動、停止された時の、放射センサ102bの出力から成る。任意の1つの放射源がオンである間、他の放射源はオフとなっている。
図2a、2bはまた、放射センサ102aと102bから取得された放射強度レベルに基づく、さまざまな放射源106に対する基準強度レベル126を個別に示している。コントローラ104は、各放射源106に対する基準強度レベル126を、各放射センサ102との組合せで確立する。各放射源に対して、コントローラ104は、放射源がオンであって、放射遮蔽体がない場合に、放射センサ102からの放射強度レベルをサンプリングして、基準強度レベル126を生成する。
この実施形態においてはシステムの始動時に、放射源が見える(すなわち放射源と放射センサとの間に直射経路がある場合の)放射センサのそれぞれに関して、各放射源に対する基準強度レベルが先ず決定される。システムの立上がり中は、強度信号の放射強度レベルサンプルの初期の組は、任意選択により除外してもよい。この初期の立ち上がり期間に続く選択された期間において、各放射源に対する放射強度レベルが、各放射源がオンしている間に各放射センサにおいてサンプリングされる。放射強度レベルは記録されて、各放射センサにおけるその放射源に対する平均強度レベルが決定される。例えば、各放射源が毎秒50回作動される場合、各放射センサにおける基準強度レベルは、放射源ごとに2分の1秒に相当する25サンプルを用いて算出されてもよい。別の実施形態においては、基準強度レベルが、より多いかより少ないサンプルを用いて、すなわちより長いかより短い期間に亘って、算出されてもよい。各放射センサに対する基準強度レベルには、特定の放射源がオンされているときに放射センサに到達する放射量に影響する、周囲条件および他の条件が本質的に取り込まれる。そのような他の条件としては、各放射源から放出される放射量、放射源と放射センサ間の物理的な距離が含まれ、またシステム100の使用状態も含まれ得る。
各放射センサ102に関して、各放射源106に対して算出された基準強度レベルは、時間経過とともに更新されてもよい。例えば、周囲条件およびその他の条件が変化する場合、より新しい期間のいくつかの放射強度の読取り値の移動平均を計算して、基準レベルの精度を上げてもよい。放射強度の読取り値のあるものは、基準強度レベルの更新の計算に使用しなくてもよい。例えば、10番目毎または20番目毎の放射強度の読取り値を使って、各基準強度レベルの移動平均を計算してもよい。こうすることにより、長期間にわたる基準強度レベルを計算するために記憶しなければならないデータ量が少なくなり、またコントローラがこのタスクを処理するために要する計算時間が低減される。典型的には、基準強度レベルは、直近の数分の1秒から数秒または数十秒までの期間に亘って計算される。放射源106と放射センサ102との間の経路が遮蔽された場合、そのセンサにおける該当する放射源に対する放射強度は著しく低下する。ただし、それでも周囲からの放射と放射遮蔽体を迂回する一部の放射は、放射センサに到達し得る。以下で更に説明するように、基準強度の精度を上げる際に、コントローラは、現在の基準強度レベルに比べてある閾値以下の放射強度レベルは除外してもよい。各放射センサにおけるそれぞれの放射源に対する基準強度レベルの計算には、様々な他の方法が利用されてもよい。ある実施形態においては、1つの基準強度レベルが、一群またはすべての放射センサに対して計算されてもよい。別の実施形態においては、所定の強度レベルが、放射源の一部またはすべてに対して基準強度として使用されてもよい。
この実施形態においては、放射源106が作動されるたびに、放射源が見える各放射センサ102からの放射強度レベルがサンプリングされ、その放射センサにおけるその放射源に対する既存の規準強度と比較される。現在の強度レベルが基準強度より低いある閾値を超えていれば、基準レベルからの差分のパーセンテージが計算される。例えば、閾値は基準強度レベルの90%であってよい。現在の強度レベルが基準レベルの90%よりも大きい場合には、現在の強度レベルを使用して基準レベルを更に改善してもよいし、あるいは無視してもよい。現在の強度レベルが基準レベルの90%よりも小さい場合には、放射源106と放射センサ102との間の経路は少なくとも部分的に遮蔽されているものと、プロセッサは仮定する。別の実施形態においては、異なる閾値が使用されてもよい。
コントローラは周期的なプロセスで放射源を順次作動させる。放射源106をオンして、放射源に対する各放射センサからの放射強度レベルを測定するサイクルが終わるたびに、コントローラは放射遮蔽体の位置を推定する。
コントローラ104は、放射強度信号122を利用して放射遮蔽体124の位置P124aを推定するように構成またはプログラムされている。
コントローラ104は、各放射強度レベルと対応する基準強度レベルとを比較することにより、各放射強度信号122における、減衰された放射源の1つまたは複数の領域を特定する。この実施形態において、放射強度レベルが対応する基準強度レベルのパーセンテージ閾値よりも小さい場合には、減衰されているとみなされる。この実施形態においては、パーセンテージ閾値は80%である。別の実施形態においては、異なるパーセンテージ閾値が用いられてもよい。ある実施形態において、放射源領域の特定の放射源に対応する放射強度レベルに対して、異なるパーセンテージ閾値が用いられてもよい。
放射強度信号126aにおいて、放射源106h〜106kに対する放射強度レベルはそれらの個別の基準強度レベル126に対して減衰されている。放射源106hの放射強度レベルは、その基準強度レベルの80%よりも大きく、従って、放射源106hは減衰された放射源の領域の一部とは見做されない。放射源106i〜106kに対する放射強度レベルはすべて、それぞれの基準強度レベルの80%未満である。そして、これらの隣接する複数の放射源は、線分154aと154bに対応する、減衰放射源領域であると見做される。線分154aは放射源106iの中心に向かって延びている。一般的に、照射源106iの中心は、放射放出面または放射源表面の中央またはその近辺にある。同様に、線分154bは放射センサ102aから放射源106kの中心へ延びている。線分154aと154bは、放射源102aの位置に中心を持つ円の扇形152を画定する。
同様に、放射強度信号122bにおいて、放射源106b〜106fに対する放射強度レベルはそれぞれの基準強度レベルの80%未満である。コントローラ104は、放射源106b〜106fを、線分158aと158bとの間の扇形156に対応する、放射強度信号122bにおける減衰放射源領域として特定する。線分158aは放射センサ102bと放射源106b上の中心点との間を結ぶ。線分158bは放射センサ102bと放射源106f上の中心点との間を結ぶ。扇形156は放射センサ102bに中心を置く円の扇形である。
放射遮蔽体124の領域を詳細に示す図3を参照する。四辺形160は扇形152と156の結合部すなわち重複領域を画定する。コントローラ104が四辺形160の幾何中心、すなわち重心を計算し、得られた点が放射遮蔽体124の推定位置P124aである。別の実施形態では、違う点が、放射遮蔽体124の推定位置P124aとして計算される可能性がある。例えば、コントローラ104は、四辺形160に内接する最大の円を求めるか、あるいは四辺形160に外接する最小の円を求めることがあり得る。そのような円の中心が推定位置P124aとして使用されてよい。扇形152と156に基づいて推定位置P124aを計算する他の幾何学的手法も用いられてよい。
推定位置P124aは、x−y平面上の点(x124a,y124a)に対応する。
推定位置P124a(x124a,y124a)は、放射センサ102aと102bの距離dの次元と同じ単位で計測され、放射センサ102aにあるx−y平面の原点に対して計測される、物理的な位置である。
コントローラ104はインタフェース148に結合され、これはこの実施形態においてはユニバーサルシリアルバス(USB)ポートである。
別の実施形態では、インタフェースは任意の種類の通信インタフェースであってよい。例えば、インタフェース148はアナログインタフェースまたは、シリアルデータポートあるいはパラレルデータポートなどのデジタルデータインタフェースであってよい。インタフェースがアナログインタフェースである実施形態においては、コントローラは、値x124aとy124aに対応する(電流信号または電圧信号のような)アナログ信号を提供してもよい。インタフェースがデジタルインタフェースである実施形態においては、コントローラは、物理位置x124aとy124aを、センサ102aと102bに対して、対応のデジタル位置x124dとy124dに変換するように構成されていてもよい。コントローラは、インタフェースにおいてデジタル位置x124dとy124dとを与えるように構成されていてもよい。
本実施形態では、面128は液晶ディスプレイスクリーンの面である。液晶ディスプレイスクリーンは、水平ピクセルX、垂直ピクセルYの解像度を持っている。例えば、ある実施形態において、スクリーンは1280x1024ピクセル、または1920x1080ピクセルの解像度を持っていてもよい。別の実施形態では、ディスプレイスクリーンがこれ以外の任意の標準ピクセルまたは非標準ピクセルの分解能を持っていてもよい。
コントローラ104は物理位置を対応するピクセル位置P124d(x124d,y124d)に変換する。コントローラ104は種々の方法によってそれを行うように構成されていてもよい。その中には、水平、垂直の物理位置に対応して水平、垂直のピクセル位置を与えるルックアップテーブルの利用、物理位置とピクセル位置の間の変換公式の利用、または他の任意の方法の利用が含まれる。コントローラ104は、インタフェース148にデジタル位置P124dを与える。
ある実施形態において、周囲の放射の影響を明らかにするために、各放射源において検知される、基準の周囲放射レベルを測定して考慮に入れることが望ましい。例えばある実施形態において、周囲の放射が放射センサにより検知され、その結果放射センサにより提供される放射強度レベルは、放射源からの放射と周囲の放射からのものとの両方を計測していることになり得る。コントローラ104は、すべての放射源106がオフとなっているときに、各放射センサ102における放射強度レベルを決定し、それにより各放射センサ102に対する周囲放射レベルを確立するようになっていてもよい。各周囲放射レベルは、一群のサンプルの平均であってもよいし、直近に得られたサンプルの移動平均であってもよいし、または別の方法で計算されてもよい。ある場合には、放射センサに入射する周囲放射の量は、時間とともに変化し得る。それぞれの放射センサで周囲放射のサンプリングを定期的に行って、周囲放射のレベルを更新することが望ましい場合がある。ある実施形態においては、それぞれの放射センサに対する周囲放射のレベルを、放射源をオンして放射強度レベルの取得する直前(または直後)に、すべての放射源をオフして取得することが望ましい場合がある。
周囲放射のレベルを利用して、放射強度レベルに一定割合を掛けるか、調整することにより、放射遮蔽体の推定位置に対する周囲放射の影響を除去ないしは低減してもよい。例えば、放射強度信号を解析して放射遮蔽体の位置を推定する前に、周囲放射のレベル(あるいは周囲放射レベルに基づくある量)を、各放射源に対する基準強度レベル126と放射強度レベルの測定値との両方から差し引いてもよい。
ある実施形態において、コントローラは、放射源の一部またはすべてから放出される放射の強度を変化させてもよい。これは、周囲の光による影響を克服するため、またはシステムの電力消費を低減するため、あるいはその他の理由のために、放射センサにおける各放射源に対する強度レベルの測定値を変化させることにより行われてもよい。
放射源により放出された放射の強度は、一般的にセンサが放射源から遠く離れるほど減少する。図2a、2bにおいて、図に示された放射強度レベルは、説明のためだけのものであり、この放射強度の低下の影響を無視して規格化されたものである。ある実施形態においては、放射強度のこの低下を補償することが望ましい。一例としてある実施形態においては、コントローラ104が、放射源と、その放射を検知する放射センサとの間の距離に基づいて、より高い強度の放射を各放射源から放出させるようにしてもよい。そのような実施形態においては、異なる放射源で検知する場合に、特定の放射源からそれぞれの放射センサまでの距離に基づいた強度レベルを選択することにより、放射源の一部または全部を異なる強度レベルで作動させることが望ましい。
システム100は、さまざまなタイプの放射遮蔽体124の位置を特定するために様々な構成を取ってよい。例えば、システム100はホワイトボードまたはその他のディスプレイ面と共に使用されてもよい。フレーム108はホワイトボードの端またはフレームに取り付けられるか、またはホワイトボードのフレームを兼ねていてもよい。放射遮蔽体124はホワイトボードに書き込むペンであってよく、ペンがホワイトボード面上を動くと、その位置がコントローラ104によって推定される。コントローラ104はホワイトボード(またはその一部)に結合されて、ペン位置の推定値を記録するようになっていてよい。ペン位置の連続的な推定値を記録することで、ホワイトボード上の情報が電子的な形態で再生され、その後の利用のために記録されてもよいし、また表示や印刷がされてもよい。ホワイトボードシステムは、推定位置間のペンの動いた経路を計算し、計算された経路を平滑化するためのソフトウェアを含んでいてもよい。
ホワイトボード上に書き込むためにペンを使用する場合、ホワイトボード上のインクが放射センサ102に反射される周囲の光量を変化させることがあり、また放射源106から放射センサ102に伝搬する放射量を変化させる可能性がある。それにより、放射源106の一部または全部に対して、測定される放射強度のレベルに影響を及ぼす可能性がある。そのような実施形態において、放射源の一部または全部に対して基準強度レベルを周期的に更新することで、放射遮蔽体の位置の推定値の精度を改善できることもある。
別の実施形態において、システム100はディスプレイモニタまたはスクリーンと共に使用してタッチスクリーンを形成してもよい。フレーム108はディスプレイモニタに取り付けられてもよいし、ディスプレイモニタのハウジングの一部であってもよい。この場合、放射遮蔽体124は指であってよく、人が指をディスプレイモニタに向かってまたは離れる方向に動かすと、指の存在が検出されてディスプレイスクリーン上の位置がコントローラ104によって推定される。コントローラ104は(ディスプレイモニタも含む)タッチスクリーンシステム(またはその一部)に結合されていてもよく、指の位置の推定値をタッチスクリーンシステムに提供してもよい。指がディスプレイスクリーン上を動くと、指の位置の連続的な推定値がタッチスクリーンシステムに記録されて、指の動きの電子的記録を提供することができ、また推定位置をディスプレイモニタ上に表示することができる。タッチスクリーンシステムは、連続的な推定位置間の指の動きの経路を計算し、計算された経路を平滑化するためのソフトウェアを含んでいてもよい。そのようなタッチスクリーンシステムでは、システム100との組合せにより、ユーザが指を使って、ディスプレイ上に文字や絵を書いたり、ディスプレイ上に表示された物体を操作したりすることが効果的に行えるようになる。
タッチスクリーンシステムにおいて、放射源106と放射センサ102は、ディスプレイスクリーンの比較的近くに配置することが可能で、放射センサに入射する放射量は、ディスプレイスクリーン上に表示される情報が変化するにつれて変化し得る。そのような実施形態において、放射源の一部または全部に対して基準強度レベルを更新することもまた有益であり得る。
次に図4aと図4bを参照する。図4aは、放射遮蔽体424の位置を推定するための別のシステム400を示す。図4bはシステム400の下右角部を詳細に示した図である。システム400はシステム100と大体において同じであり、対応する要素は対応する参照番号で示されている。システム400は放射源406に隣接して取り付けられた拡散器430を含んでいる。拡散器430は放射源から放出された放射を拡散させ、それにより、見かけ上、フレーム408の左側と下側と右側に沿って放射源により放出された放射量を放射センサ402から見た場合に平滑化させる。この実施形態において、放射遮蔽体424の、フレームの左側と右側および放射センサとに対する角度位置がシステム100に関して既に述べたようにして推定される。発明者らは、放射源406から放出された放射を拡散させることにより、放射遮蔽体の位置をより正確に推定できることを見出した。
様々な材料が拡散器430として好適に利用され、これには、僅かに曇らせたすなわち半透明のプラスチックやその他の材料で、拡散はさせるが放射源からの放射を放射センサ102が正確に計測できないほどまでには散乱させない材料が含まれる。ある実施形態では、拡散はさせるが拡散器を通過する光を実質的に遮蔽はしない、光学グレードの拡散器を効果的に利用してもよく、これには、回折格子、レンチキュラー拡散器が含まれ、またレンチキュラー回折格子も拡散器430の代用として利用することができる。図4bは、フレーム408の下側412上に取り付けられた連続体のレンチキュラー拡散器430bと、フレーム408の右側416上に取り付けられた連続体のレンチキュラー拡散器430rとを示している。
図5は別の実施形態500の一部分であって、図4bに示したシステム400の部分に対応している。システム500においては、個々の拡散器530が各放射源506に隣接して取り付けられている。
上記の実施形態において、フレームは矩形で放射センサはフレームの2つの角に取り付けられている。別の実施形態では、フレームは異なる形状をしていてもよい。例えば、本発明は、掲示板または任意の規則的な形状または不規則な形状を持つその他の物体と共に利用されてもよく、フレームは基になる物体の上またはそれを覆って装着されるような形状と寸法であってよい。センサは、フレーム上の様々な場所に配置されてよく、フレームの側面(これは直線的でも曲線的でもよい)に沿った場所でもよい。それぞれの場合、各センサとセンサから見える放射源の位置を利用して、放射遮蔽体の存在と位置が幾何学的に特定される。
矩形またはその他のフレーム形状を有する実施形態において、追加的なセンサが利用されてもよい。例えば、追加的なセンサは、システム100(図1)とシステム400(図4a)の左下と右下の角に置くことができる。ある実施形態において、追加の放射源を、フレームの上側110沿いに加えてもよい。ある実施形態において、追加のセンサからの、放射遮蔽体124または424の位置に関する追加の情報を組合せることにより、放射遮蔽体位置のより正確な推定を行うことができる。
矩形またはその他のフレーム形状をしたある実施形態において、センサをフレームの側面沿いに配置してもよい。放射遮蔽体が検出される基となるシステム(ホワイトボードやディスプレイモニタやそのほかのシステムなど)の部分によって、放射センサと放射源の配置は変わる。
様々な実施形態において、本発明によるシステムは、放射源、放射センサ、拡散器を含むシステム部品の一部または全部を隠す、ベゼル(これはフレームの一部であってもよい)を含んでもよい。ある実施形態において、ベゼルまたはフレームまたはその両方が、放射吸収ペイントで塗られるか、またはそれ以外の形で、ベゼルまたはフレームまたはその両方から放射センサに向けて反射される放射量を減少させるようになっていてもよい。
ある実施形態において、放射センサの一部または全部と、放射源の一部または全部との間に、光学フィルタを配置してもよい。例えば、光学フィルタを放射センサの周りに設置して、放射センサに入射する周囲およびその他の望ましくない放射の量を減少させるようにしてもよい。例えば、放射源が赤外放射を放出し、かつ放射源が赤外放射に対して感度があれば、赤外放射は通すが、他の放射は減衰させる光学フィルタを利用して周囲放射の影響を低減してもよい。
次に図6を参照する。これは複数の放射遮蔽体624を同時に追跡する別のシステム600を示している。システム600は、接続されたコンピュータまたはそれ以外の外部システムに対して、入力装置と出力装置の両方として動作する。
システム600は、システム100および400と類似の構造をしており、対応する部品は類似の参照番号で示される。前述のシステムと同様に、システム600は電子ホワイトボードシステムまたはタッチスクリーンシステムとして使用されてもよい。
システム600には3つの放射センサ602a、602b、602cと、コントローラ604と、フレーム608上に取り付けられた複数の放射源606とLCDディスプレイスクリーンとが含まれている。放射源606は、フレーム608の左側614と下側612と右側616に取り付けられている。フレーム608には上側610もある。放射センサ602aはフレーム608の左上角に取り付けられている。放射センサ602bはフレーム608の右上角に取り付けられている。放射センサ602cはフレームの上側620の、放射センサ602aと602bの間に取り付けられている。放射センサ602aと602bは距離d1だけ離間している。放射センサ602aと602cは距離d2だけ離間している。コントローラ604は、放射センサ602と放射源606に接続されている。コントローラ604は放射源を制御し、システム100に関して説明したように、放射センサからの放射強度レベルを受信する。
フレーム608の側部はx−y平面の軸に平行である。それぞれの放射遮蔽体624は、放射遮蔽体624が少なくとも1つの放射源606と各放射センサ602との間の直線経路を遮蔽するように配置されている。
LCDディスプレイスクリーンはフレーム608内に取り付けられ、ディスプレイ面628を有している。放射源606から放射センサ602への放射が通る、視線経路はディスプレイ面上を通過し、これは一般にディスプレイ面に対して平行である。液晶ディスプレイスクリーンは、X水平ピクセル×Y垂直ピクセルの解像度を持っている。例えば、ある実施形態において、LCDディスプレイスクリーンは1280×1024ピクセル、または1920×1080ピクセルの解像度を持っていてもよい。他の多くのピクセル分解能が、種々のディスプレイパネルに対して可能である。様々な実施形態において、任意のタイプのディスプレイパネルを、LCDパネルの代わりに使用してもよい。典型的には、フレーム608はディスプレイパネルに取り付けられるか、あるいはディスプレイパネルのハウジングの一部を形成する。
システム600は、図4と5に示すような拡散器430、530のような拡散器を任意選択で含んでもよい。
システム600は典型的には1つまたは複数の入力/出力インタフェースを含んでいる。この実施形態では、コントローラ604はインタフェース648を介して計算機装置に接続されて、放射遮蔽体の位置を計算機装置に送信する。例えば、インタフェース648は、USBインタフェースなどのシリアルインタフェース、またはパラレルインタフェースであってよい。LCDディスプレイは計算機装置に接続されて、ビデオ信号を受信し、それがビデオ信号インタフェース(図示せず)を介してディスプレイ628上に表示される。
次に図7を参照すると、放射遮蔽体624aと624bの位置を特定または推定するための方法700が示されている。この実施形態において、方法700はコントローラ604によって実行される。この方法700を実行する命令はメモリ621に記憶されている。コントローラ604は記憶された命令にアクセスし、命令を実行して、方法を遂行するように設定されている。方法700を開始する前には、ディスプレイ面628には放射遮蔽体は置かれていない。
方法700はステップ702で始まり、第1の放射遮蔽体624aが先ずディスプレイ面628上に配置される。方法700を実施例により説明する。例示のために、第1の放射遮蔽体624aが、ディスプレイ面上の図6に示す位置に先ず置かれる。このステップにおいて、放射遮蔽体624bはディスプレイ面628上には配置されない。
図8a、8b、8cには、放射遮蔽体624aがディスプレイ面628上に配置された後の放射強度信号622a、622b、622cが示されている。
放射強度信号622aは、放射源606y〜606aaからの放射強度レベルが、扇形652aに対応して放射センサ602aにおいて減衰されていることを示している。放射強度信号622bは、放射源606n〜606pからの放射強度レベルが、扇形656aに対応して放射センサ602bにおいて減衰されていることを示している。放射強度信号622cは、放射源606s〜606uからの放射強度レベルが、扇形664aに対応して放射センサ602bにおいて減衰されていることを示している。
コントローラ604は、システム100に関連して前述したように、放射強度信号622a、622b、622cを用いて、放射遮蔽体724aの物理的な位置P624a(xaa,yaa)を推定する。図9bにおいて、コントローラ604は扇形652a、656a、664aの重複領域を決定する。この例においては、重複領域は四辺形670である。位置P624a(xaa,yaa)は、四辺形670の重心であり、放射センサ602aの位置を原点とするx−y平面に関して計算される物理(すなわちアナログ)位置である。
コントローラ604はタッチテーブルを維持し、その中に、面628上で検出された各放射遮蔽体の最後に分かっている位置が記録されている。一般的に、タッチテーブルは、メモリ621に記憶されている1組の変数、あるいはデータベースの一部であってよい。この実施形態において、タッチテーブルは、2つまでの放射遮蔽体の最後の分かっている位置を記録するために、2つのスロットA、Bを含む。別の実施形態では、タッチテーブルは2つより多いスロットを含んでもよいし、または可変数のスロットを含んでもよい。
コントローラ604は、第1の放射遮蔽体624aの物理位置P
624aを、タッチテーブルのスロットAに記録する。
物理位置P624a(xaa,yaa)は、LCDディスプレイ628上のピクセル(あるいはデジタル)位置P624d(xad,yad)に対応する。コントローラ604は、物理位置P624aを対応するピクセル位置P624dに変換し、インタフェース648でピクセル位置P624dを提供する。
方法700は次にステップ704に移る。ステップ704において、コントローラ604は放射源606と放射センサ602を動作させて、各放射センサ602から、放射源606に関する放射強度レベルを順次取得する。各放射源からの放射強度レベルは、結合されて放射強度信号622となる。コントローラ604は各放射強度信号622を解析して、それぞれの放射強度信号に反映されている放射遮蔽体の数を判定する。
この実施形態においては、2つまでの放射遮蔽体が面628上に配置されてもよい。
図10a、10b、10cには、図6に示したように、2つの放射遮蔽体624aと624bが面628上に配置されている場合の、放射強度信号622a、622b、622cの例を示している。放射強度信号622aと622bのそれぞれには、各放射センサ602において減衰された明確な2つの放射強度レベルの領域がある。(放射強度レベルが減衰された放射源は、減衰放射源と称してもよい。)減衰された放射強度レベルの各領域は、離間した放射遮蔽体624に対応する。減衰放射強度レベルの領域は、少なくとも1つの減衰されていない放射源によって分離される。この例では、各減衰放射源領域は、それぞれの放射センサ602を中心とする明確な扇形に対応している。例えば、図6も参照すると、放射強度信号622aでは、放射源606l〜606pと606y〜606aaに対する放射強度レベルが、放射センサ602aにおいて減衰されている。放射源606l〜606pは扇形652bに対応する。放射源606y〜606aaは扇形652aに対応する。コントローラ604は、減衰放射源の2つの別々の領域を、それらの領域の間にある減衰されていない少なくとも1つの放射源を特定することによって特定するように構成されている。情況によっては、減衰放射源の領域は1つの減衰放射源から成ることもある。
図10bにおいて放射強度信号622bは、それぞれ扇形656bと656aに対応する、2つの減衰放射源領域606a〜660dと606n〜660pとを持っている。
図10cにおいて放射強度信号622cは、それぞれ扇形664bと664aに対応する、2つの減衰放射源領域606a〜660dと606n〜660pとを持っている。
コントローラ604は、任意の放射強度信号622中の減衰放射源領域の最大数を判定することによって、ディスプレイ面628上にある放射遮蔽体の数を判定する。コントローラ604は、任意の放射強度信号622中の減衰領域の最大数を判定するように構成されており、これが、そのディスプレイ面628上の放射遮蔽体の数であると考えられる。図10a、10b、10cの各放射強度信号622a、622b、622cには、2つの明確な減衰放射源領域がある。コントローラ604は、この実施例においては、ディスプレイ面628上に2つの照射遮蔽体があると判定する。
場合によっては、放射強度信号が違えば、減衰放射源領域の数が変わることがある。次に図11では、図6とは異なる位置にある放射遮蔽体624aと624bを示している。図12a、12b、12cは、図11に示す配置に対応する放射強度信号622a、622b、6222cを示している。
放射遮蔽体624bは、放射源602aから見た場合、扇形652に対応する放射源606i’〜606j’からの放射を減衰させる。放射遮蔽体624aは扇形652の内部にある。その結果、放射強度信号622aは、1つだけの減衰放射源領域を持つ。放射源102bと102cから見た場合、放射遮蔽体624aと624は、明確な複数の放射源領域からの放射を減衰させる。その結果、各放射強度信号622bと622cは、放射強度レベルの2つの明確な減衰領域を持つ。こうしてコントローラ604は、図11に示された条件では、ディスプレイ面628には2つの放射遮蔽体があると判定する。
方法700は次にステップ706に進む。ここでコントローラ604は、ステップ704で特定された複数の扇形が交差する部分に対応する一組の多角形と、そのそれぞれの多角形の面積を特定する。
図6を再び参照すると、2つの扇形が各放射センサ602に関連して示されている。各扇形は、各放射源602に対するそれぞれの放射強度信号622における減衰放射強度レベル領域に対応している。各放射センサ602に対応する1つの扇形を選択すると、次の扇形の組合せが得られる。
コントローラ604はそれぞれの組合せにおいて、3つの扇形の結合部(すなわち重複部)に対応する多角形がないかどうかを判定し、もしあればその多角形の面積を決定する。
次に図9a〜9cを参照する。コントローラ604はそれぞれの組合せにおける扇形が、いかなる形であれ多角形で重なり合うかどうかを判定する。
図9aと9bは組合せAに関する一方法を示す。コントローラ604は先ず、この組合せの中の2つの扇形の間に重なり領域があるかどうかを判定する。この実施形態においては、コントローラは先ず、放射センサ602aと602bに対応する扇形間に重なり領域があるかどうかを判定する。図9aにおいて、扇形652aと656aがハッチングした四辺形669で重なっている。
最初の2つの扇形が重なり合わない(すなわちディスプレイ面628の面積内で重ならない)場合、コントローラ604はこの組合せに対しては重なり領域がないことを記録する。最初の2つの扇形が多角形で重なる場合には、コントローラ604は、その組合せのもう1つの扇形と多角形が重なるかどうかを判定する。図9bにおいて、四辺形669は扇形664aと小さい四辺形670で重なっている。
3つより多い放射センサのある別の実施形態においては、それぞれの組合せがより多数の対応する扇形を有する。そのような実施形態では、コントローラは、それぞれの連続的な四辺形を、それぞれの追加の扇形と順次比較する。任意のステップにおいて、現在の四辺形と組合せ中の次の扇形との間に重なりがない場合には、コントローラはその組合せに関して重なり領域なしであることを記録する。
組合せ内のすべての扇形に対して重なり領域がある場合には、コントローラ604は重なり領域の面積を決定する。
図9bにおいて、組合せAの全扇形が四辺形670を形成することが解析された。コントローラ604はこの四辺形の面積を計算して記録する。
組合せBに関しては、3つの扇形652a、656a,664bの間に重なり領域があるかどうかを判定するコントローラ604の第1のステップは、四辺形669を特定することである。次のステップは、この組合せの3つの扇形の間には重なり領域がないと判定することである。コントローラ604は、重なり領域がないこと、あるいはそれに対応して、任意の重なり領域の面積が0であることを記録する。
図9cはこのプロセスを組合せEに適用した図である。扇形652bと656bは四辺形672で重なり合い、これは影を付けた(ハッチングおよび網掛けされた)全領域に対応している。扇形664bは四辺形672と六角形674で重なり合い、これは網掛けがされて、ハッチングを施した三角形を重なり領域から排除する。コントローラ604はこの重なり部の面積を計算して記録する。
図6の例では、コントローラはステップ706で次の結果を決定できる。
方法700は次にステップ708に移る。
コントローラ604は、ステップ704で特定された放射遮蔽体624の数に対応する組合せの数を選択する。この実施形態において、コントローラ604は、ステップ706で計算された最大面積に対する組合せを選択する。
図6の例では、コントローラ604は、ステップ704において2つの放射遮蔽体624があることを判定した。そして多角形を形成する2つだけの組合せAとEを選択する。残りの組合せは3つの対応する扇形の全ての間で重なり領域を全く持たない。
様々な状況において、ステップ704で特定された放射遮蔽体の数よりも多い組合せが多角形を形成することがある。図13にはこの例が示されている。図13に示したのは、システム100と600と類似のシステム1300であり、対応する部品は類似の参照番号で示されている。システム1300は4つの放射センサ1302a〜1302dを含んでいる。ディスプレイ面1328上には、3つの放射遮蔽体1324a〜1324cが置かれている。各放射センサに中心を持つ円の種々の扇形が、破線の外形線で示すように、それぞれの放射遮蔽体の位置に対応している。様々な扇形の組合せが、各放射遮蔽体の位置に対応する、多角形1380a、1380b、1380bで重なっている。4つの扇形1352a、1356c、1364c、1384bが実線の外形線で図示されている。これらの4つの扇形は、三角形1382で重なっている。三角形1382は放射遮蔽体には対応していない。
方法700が図に示すシステム1300に適用されると、ステップ704において、放射センサ1302a、1302c、1302dのそれぞれに対応する放射強度信号(図示せず)が、3つの個別の扇形に対応する3つの明確な減衰放射源領域を持つことがコントローラにより確認されるであろう。放射センサ1302bに対応する放射強度信号は、放射センサ1302bから見た場合に、放射遮蔽体1324bが放射遮蔽体1324aの影に一部隠れるために、明確な放射源の領域は2つしか持たない。コントローラ1304は、ディスプレイ面1328上には3つの放射遮蔽体があると判定するかもしれない。ステップ706において、多角形1380a、1380b、1380c、1382は、対応する扇形の組合せが解析されるとすべて特定され得る。各多角形の面積もまた計算されて記録される。このステップ708において、コントローラ1304は、最大面積を有する3つの組合せを選択する。発明者らは、それぞれの扇形同士の重なりの最大面積を有する組合せは、一般的に、ディスプレイ面1328上にある放射遮蔽体の実際の位置に対応するということを見出した。
別の実施形態において、コントローラは沢山の組合せの中から、違うやり方で多角形を形成する組合せを選択するように構成されてもよい。例えば、コントローラは、以前推定された放射遮蔽体の位置に最も近い組合せを選択するように構成されてもよい。例えば、2つの放射遮蔽体に関する推定位置がタッチテーブルに記録されているとすると、多角形が以前記録された位置に最も近い2つの組合せがステップ708で選択されてもよい。ある実施形態において、多角形の面積またはそれ以外の寸法と、以前に記録された位置からの距離との組合せを利用して組合せが選択されてもよい。この他の様々な方法が以下で議論される。
方法700は次にステップ710に進み、そこではコントローラは、ステップ708で選択された各組合せに対応する照射遮蔽体に対する推定位置を計算する。この実施形態において、コントローラ604は、システム100に関して前述した方法で、各選択された組合せに対応する多角形の重心を計算する。図9b、9cを参照すると、この例においては、コントローラ604が点P1(x1,y1)と点P2(x2,y2)の位置を計算する。ただし、この時点ではどの位置が放射遮蔽体624aまたは624bに対応するかは判定されていない。
方法700は次にステップ712に進み、ステップ710で計算された推定位置がタッチテーブル内に記録される。
ステップ704において、コントローラ604が、ディスプレイ面628上には1つの放射遮蔽体しか存在しないと判定した場合、その唯一の推定位置P1がステップ710で計算される。1つの放射遮蔽体に対応する1つの推定位置しか、タッチテーブルに記録されていない場合には、コントローラ604は同一の放射遮蔽体が新規の推定位置P1に移動したとみなし、タッチテーブル中の以前に記録した位置を更新する。コントローラ604はまた放射遮蔽体の物理位置P1を対応するピクセル位置に変換し、それをインタフェース648で、以前特定された放射遮蔽体の新しい位置として提供する。
ステップ710において、コントローラ604は1つの放射遮蔽体に対して1つの推定位置P1のみを計算したが、タッチテーブルには2つの位置が記録されている場合には、コントローラ604は以前記録された位置のどちらが新規に計算された推定位置P1に最も近いかを判定する。以前記録された最近接位置に対するタッチテーブルのスロットが、新規に計算された座標で更新される。もう一方のタッチテーブルスロットは消去される。コントローラ604は推定物理位置P1を対応するピクセル位置に変換し、インタフェースで、以前記録された最近接の照射遮蔽体の新しい位置として報告する。もう一方の以前記録された照射遮蔽体には新しい位置は提供されない。ただし任意選択で、もう一方の照射遮蔽体がないことを確認するデータがインタフェースに提供されてもよい。
ステップ704において、ディスプレイ面上に2つの放射遮蔽体が存在すると判定された場合、2つの推定位置P1、P2がステップ710で計算されることになる。タッチテーブルに以前記録された位置が1つしかない場合には、コントローラ604は位置P1とP2のどちらが以前記録された位置に最も近いかを判定する。最近接の推定位置P1またはP2を用いて、以前記録した位置の座標を置き換える。もう1つの推定位置はタッチテーブルの他のスロット内に記録される。
この実施例において、タッチテーブルのスロットAは、以前には放射遮蔽体624aの初期位置を記録するために使用された。ステップ710において、2つの放射遮蔽体に対応する位置P1、P2が計算された。P1は放射遮蔽体624aの元の位置により近く、推定位置P1の座標がタッチテーブルのスロットAに記録される。推定位置P2の座標はスロットBに記録される。タッチテーブルは以下の内容となる。
コントローラ604は推定物理位置P1、P2を対応するピクセル位置に変換し、それらを2つの放射遮蔽体の位置としてインタフェース648で報告する。位置P1は以前特定された放射遮蔽体624aの新しい位置として報告される。位置P2は新しく特定された放射遮蔽体624bの位置として報告される。
ステップ710で2つの推定位置P1、P2が計算され、2つの位置は以前にタッチテーブル中に記録されている場合には、コントローラ604は、どの新規に推定された位置が、どの以前に記録された位置に近いかを判定する。新規に推定されたそれぞれの位置は、以前に記録された位置の内の新規に推定された位置に近い方に対応するものとみなされる。新規に推定された位置が両方とも、同一の以前記録された位置に近い場合には、コントローラ604は、2つの以前に記録された位置と2つの新規に推定された位置の間の移動のどの組合せが、必要とする全体の移動距離が最小であるかを判定する。こうして、新規推定位置P1またはP2のうちの1つが、以前記録された位置の1つに対応するものとみなされ、もう一方の新規推定位置は、もう一方の以前に記録した位置に対応するものとみなされる。
新規に記録された位置はピクセル位置に変換され、以前特定されたそれぞれの放射遮蔽体の新規の位置として、インタフェース648で報告される。
方法700は次にステップ704に戻る。
方法700は、1つまたは複数の放射遮蔽体の位置を推定して追跡することを可能とする。インタフェース748に接続された装置は、面上にある各放射遮蔽体んお連続的な推定位置を受信し、従って、放射遮蔽体の運動を追跡することができる。
上に示した例示的実施形態において、図示された放射遮蔽体の数は、図示された放射源の数よりも少ない。本発明者らは、さまざまな実施形態において、提供される放射センサの数よりも多数の放射遮蔽体を追跡し得ることを見出した。それぞれの実施形態において、タッチテーブルには十分なスロットがあり、面上に配置し得る数の放射遮蔽体の推定位置を記録することができる。
方法700において、システム600はタッチテーブル内でいくつかの放射遮蔽体の位置を追跡し、放射遮蔽体の位置をインタフェース648に提供する。別の実施形態において、システムはタッチテーブルを持たなくて、特定の放射遮蔽体を追跡できない場合がある。そのような実施形態において、システムコントローラは、ステップ704〜710に関連して上述した方法で、あるいは別の好適な方法で、1つまたは複数の放射遮蔽体の位置を推定するように構成され、かつインタフェース648でその放射遮蔽体の推定位置を単純に報告してもよい。システムは繰返し方式でこれを行い、従って、放射遮蔽体の一連の推定位置を外部装置に対して各繰返しごとに提供することが可能である。
方法700において、ステップ706〜708において1つまたは複数の扇形の組合せは、その組合せに対応する多角形の面積に基づいて選択される。別の実施形態においては、他の手法を用いて扇形の1つまたは複数の組合せを選択してもよい。
次に図18を参照すると、ここには扇形の組合せを選択する別の方法が示されている。図18は、3つの放射遮蔽体624a、624b、624cがディスプレイ面628上に配置されたシステム600を示している。放射センサに対する、放射遮蔽体の位置によって、扇形:652a、652b、656a、656a、664a、664b、664cが特定される。コントローラ604は、特定された扇形の数と位置が与えられると、必要とされる放射遮蔽体の最小数を判定するように構成されている。そうして、コントローラ604はその数の扇形の組合せを選択して、それが選択された組合せに含まれる全扇形の合計の角度の広がりを最大とするように構成されている。
図18に示す構成では、コントローラにより扇形652a、652b、656a、656a、664a、664b、664cが(対応する放射強度信号に基づいて)特定されるとすると、少なくとも3つの放射遮蔽体が存在しなければならない。少なくとも3つの放射遮蔽体がディスプレイ面628上にあると判定した後、コントローラ604は以下の組合せの中から扇形の3つの組合せを特定するように構成されている。
コントローラ604は、ステップ706に関連して前に説明したように、どの扇形の組合せが、その組合せ中の3つの扇形の重なった多角形を含むかを、判定する。その組合せ中に全ての扇形の重なりを含まない組合せは、除去される。図18の構成において、A、E、J、Mの組合せのみが、組合せ中の3つの全ての扇形の重なりに対応する多角形を含んでいる。
重なりを含む組合せの中で、各放射源に対応する各扇形が選択された組合せの中の少なくとも1つに使用されているような3つの組合せをコントローラ604は選択する。図18の配置において、コントローラは3つの組合せ、AとEとJ、またはAとEとMを選択し得る。コントローラは、選択された組合せの対応する多角形が、全ての特定された扇形652a、652b、656a、656a、664a、664b、664cの最大角度範囲を覆う組合せの群を選択するように構成されている。領域Mの多角形においては扇形656bの角度範囲がより大きくなっているので、A、E、Mの組合せの組が好ましい。
ある実施形態において、放射遮蔽体の寸法を推定することが望ましいことがある。再び図6を参照する。放射遮蔽体624aは、放射遮蔽体624bよりも小さい直径となっている。様々な放射遮蔽体は、形状と寸法が異なっており、不規則で可変の形状と寸法を持つものもある。例えば、指が放射遮蔽体として使われ得る。指は不規則で可変形状をしている。例えば、指は面に対して優しく押し付けられることも、強く押し付けられることもある。一般に、指を面に強く押し付けると、放射源から見て、放射源のより広範囲を遮蔽することになる。
次に図14を参照すると、図9cに関連して説明した多角形670が示されている。前に説明したように、コントローラ604は、多角形670の重心に推定位置P2を計算する。線686a〜686fは点P2から多角形670の頂点へ延びる。コントローラ604は、これらの線686の平均長さを決定するように構成されていてもよい。円688は、点P2を中心とし、線686の平均長さに等しい直径を持っている。円688は、点P2に対応する放射遮蔽体の大きさの推定量である。放射遮蔽体の一部またはすべての大きさが推定される実施形態では、タッチテーブルには各スロットに寸法フィールドが含まれる。推定位置に対する推定直径が計算され、方法700の一部として推定された位置と共にインタフェースで報告される。
次に図15において、システム600に類似のシステム1500が示される。対応する部品は対応する参照番号で示されている。システム1500は、各放射遮蔽体の推定寸法を、放射遮蔽体の推定位置と共に提供するように構成されている。放射遮蔽体は指であってよいし、可変寸法の放射遮蔽体であってもよい。ある実施形態において、ディスプレイ面はディスプレイスクリーンであってよく、インタフェース1548に接続された計算機装置は、放射遮蔽体の報告された連続的な位置と寸法に対応する、連続的な円を表示し得る。1つの放射遮蔽体がディスプレイ面1528を近似的に線690に沿って移動する際の、放射遮蔽体に対する、一連の報告された推定中心位置と推定直径に対応する一連の円1574a〜1574wが示されている。図15の例では、分かり易くするために連続的な円を分離して示している。実際の実施形態では、放射遮蔽体が動く際に、一般的にはもっと多くの位置と寸法が報告されて、連続的な円が実質的に重なり合うようになっている。線692aと692bは、このような実施形態において表示され得る一連の円の外側端を表している。放射遮蔽体が移動する際にその寸法が変化すると、ユーザはより広いまたはより狭い寸法で形状を描画することになる。
次に図16と図17を参照する。図16は、面1628上の1つまたは複数の放射遮蔽体1624の位置を推定して追跡する別のシステム1600を示している。システム1600は構造的には前述のシステムと同様であり、対応する部品は同様の符号で示されている。
2つの放射遮蔽体1624a、1624bが面1628上に配置され、それぞれは異なってはいるが隣接する領域の放射源からの放射が放射センサ1602aへ到達することを減衰させている。図17は、図16の放射遮蔽体1624aと1624bの配置に対応する、放射強度信号1622を示している。放射源1624b〜1624eに対する放射強度レベルは、それらの対応する基準強度レベルの選択された割合よりもすべて低い。システム1600において、選択された閾値は基準強度レベルの80%である。ただし、別の実施形態では、異なる閾値を用いて、放射遮蔽体の存在により減衰される放射源を特定してもよい。上記のシステムにおいて、放射源1624b〜1624eは単一の減衰放射源領域とみなされ、単一の扇形を利用して(放射センサ1624bと1624cから得られる放射強度信号に基づいて特定される扇形との組合せで)、放射遮蔽体1624aと1624bの位置が推定される。
システム1600において、コントローラ1604は、周囲の放射源よりも選択された量または割合だけ減衰の少ない、1つまたは複数の放射源を特定するように構成されている。例えば、ある特定のシステムにおいて、放射遮蔽体によって放射センサの視界から遮蔽される場合に放射源が典型的に通常の放射強度レベルの約5%に減衰されるとすると、限界を25%に選択してもよい。減衰放射源領域内で、1つまたは複数の放射源の減衰が、隣接する放射源よりも少なくとも25%小さい場合には、その1つまたは複数の放射源は異なる減衰放射源領域の端を画定するものとみなされる。この1つまたは複数の放射源領域の中心点は、異なる減衰放射源領域のそれぞれの端であるとみなしてよい。
図16と図17の例において、コントローラ1604は、放射源1606cと1606dがその隣接する放射源よりも少なくとも25%少なく減衰されていると特定した。コントローラ1604は、放射源1606cと1606dの間の中間点を、2つの異なる減衰放射源領域の端であると判定する。こうして、コントローラは2つの異なる扇形1652aと1652bを特定することができ、これを利用して放射源1624aと1624bの位置を推定してもよい。
システム1600はまた、放射遮蔽体の位置推定に利用する扇形の端の推定位置の精度を上げるために利用できる、別の任意選択の特徴も示す。
上記のシステムにおいて、各扇形の端は、その扇形に対応する減衰放射源の最初と最後の放射源の中心に整列しているものと仮定される。
システム1600において、減衰放射源領域の端と、端に隣接する場所での放射の相対的減衰が、扇形端の位置の精度を上げるために利用される。
放射強度信号1622では、放射源1606aに対する放射強度レベルは、対応する基準強度レベルの85%まで減衰される(すなわち15%が減衰される)。放射源1606bに対する放射強度レベルは、その基準強度レベルの28%に減衰される(すなわち、72%が減衰される)。この実施形態において、2つの放射源の減衰は平均化されて、
(15%+72%)/2=43.5%
となる。
扇形1652bの端は、放射源1606bと1606aの両中心間の距離の43.5%にあると推定される。
同様に、放射源1606eはその基準強度レベルに比べて55%だけ減衰しており、その一方で放射源1606fはその基準強度レベルに比べて減衰していない。扇形1652aの端は、放射源1606eと1606fの両中心間の距離の27.5%にあると推定される。
この手法は、減衰放射源領域の端における放射源と、その領域外の隣接する放射源とにおける放射源との相対的減衰に基づいて、扇形の両端の位置精度を上げるために使用されてもよい。
別の実施形態において、扇形の端は、放射源領域の端の放射源と領域外の隣接する放射源との角度位置の荷重付き平均を、放射源の相対的減衰に基づいて計算することにより決定されてもよい。
別の実施形態において、減衰放射源領域の端における2つの放射源の相対的減衰を利用して扇形の端が推定されてもよい。
本明細書において様々な実施形態を、例示としてのみ説明した。これらの例示的実施形態に対して、本発明の精神と範囲から逸脱することなしに様々な修正および変形を行うことができる。