JP6071807B2 - 伝熱体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、熱交換器に利用可能な伝熱体及びその製造方法に関する。
一般に、熱交換器における固体伝熱体は、温度差のある流体間に設けられ、高温側の流体の熱を低温側の流体へ輸送することにより熱交換を図るものである。この熱交換の効率は、固体である伝熱体の材質で決まる熱伝導率、低温側の流体と伝熱体との界面における熱伝達率、及び高温側の流体と伝熱体との界面における熱伝達率の3つの因子によって決定される。このうち、伝熱体の材質で決まる熱伝導率は、環境温度と伝熱体の材質が決まれば一義的に決まる物性値である。
これに対し、低温側の流体と伝熱体との界面における熱伝達率、及び高温側の流体と伝熱体との界面における熱伝達率は、いずれも流体の材質、伝熱体の材質の他に、流体の流速や向き等の流れの状態、及び伝熱体の表面性状によっても大きく変わることが知られている。特に、伝熱体の表面性状については、実用性の高さとそのインパクトの大きさの観点から、今まで多くの研究者によって研究がなされてきた。
例えば、特許文献1、2には、伝熱体の表面にナノオーダからミクロンオーダの孔を有する多孔質層(ナノミクロポーラス層)を形成する手法により、伝熱体の表面熱伝達率を向上できることが記載されている。
特開2005−69520号公報 国際公開第2004/033980号
しかしながら、上記の手法は、いずれも酸又はアルカリ水溶液中にナノ粒子を分散したエッチング液により金属基材を処理し、金属基材表面を溶かしながらナノ粒子を付着させるものである。
このため、上記の手法は、付着したナノ粒子により形成される皮膜の気孔率、気孔径、及び膜厚を厳密に制御することは困難である。
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、伝熱特性に優れるとともに、皮膜の気孔率、気孔径、及び膜厚を厳密に制御することで伝熱特性の制御が可能な伝熱体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、流体の有する熱を効率良く伝達するため、固体伝熱体表面構造に関して鋭意研究を重ねた結果、基材上に微細な気孔を有する皮膜を不連続に形成することによって、伝熱特性に優れた伝熱体を形成できることを見出し、本実施形態を完成させたものである。
すなわち、本実施形態の伝熱体は、固体状の基材上に、気孔率20%以上80%以下、かつ膜厚0.01μm以上1μm以下の皮膜を分散して形成したことを特徴とする。
また、本実施形態の伝熱体の製造方法は、固体状の基材上に、セラミックスの前駆体組成中に複数種類の粒径の気孔形成用物質を同時に配合して調製した組成物を塗布する組成物塗布工程と、前記組成物塗布工程の後に、前記複数種類の粒径の気孔形成用物質を消失させて前記基材上に気孔率20%以上80%以下、かつ膜厚0.01μm以上1μm以下の皮膜を分散して形成する皮膜形成工程と、を有することを特徴とする。
本実施形態の伝熱体によれば、伝熱特性に優れた実用性の高い伝熱体を提供することが可能となる。また、皮膜の気孔率や皮膜の形成されていない部分の比率を制御することによって伝熱特性を制御することができる。
また、本実施形態の伝熱体の製造方法によれば、上記の高熱伝達率のコーティング皮膜を安価にかつ高品質で安定的に製造することができる。
本発明に係る伝熱体の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る伝熱体の製造方法の一実施形態において熱処理前に塗布した組成物を示す拡大平面図である。 本発明に係る伝熱体の製造方法の一実施形態において熱処理前に塗布した組成物を示す拡大断面図である。 本発明に係る伝熱体の一実施形態の第1変形例を示す概略断面図である。 本発明に係る伝熱体の一実施形態の第2変形例を示す概略断面図である。 一実施形態で用いた伝熱体の沸騰熱伝達率を評価する評価装置を示す概略構成図である。
以下に、本発明に係る伝熱体及びその製造方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の実施形態は、伝熱体を例えば加圧水型原子炉の蒸気発生器の伝熱管に適用した例について説明する。
(伝熱体12の全体構成)
図1は本発明に係る伝熱体の一実施形態を示す概略断面図である。
図1に示すように、伝熱体12は、固体状の基材1上の一方の側に、気孔率20%以上80%以下、かつ膜厚0.01μm以上1μm以下の皮膜2が不連続に分散して形成されている。したがって、この皮膜2内には、複数の微細な気孔3が形成され、上記のような気孔率に設定されている。
本実施形態では、例えば基材1の皮膜2が形成された側に低温の液体(例えば、水)が流通し、その反対側には、高温の流体が流れている。したがって、低温の液体は、その反対側の高温の流体により熱交換される。
次に、沸騰環境場を例にとって伝熱向上のメカニズムを説明する。
伝熱体12近傍の液体は、図1の矢印に示すように、皮膜2の内部に形成された気孔3の毛細管力によって皮膜2内に引き込まれ基材1と衝突し、この際に液体は蒸気を発生する。
ここで、皮膜2が基材1上に不連続に分散して形成されているため、この蒸気は例えば矢印に示すように皮膜2の側面から排出される。これによって、液体の循環が起こり、固体―液体界面における熱交換が促進される。この原理は、沸騰環境場に限定されるものではなく、液体単相の場合においても温められた液体が伝熱体12の皮膜2の側面から排出されるため、同じ原理が当てはまる。
皮膜2の気孔率は、20%以上80%以下、好ましくは25%以上60%以下とする。ここで、皮膜2の気孔率を20%以上80%以下に限定したのは、気孔率が20%より小さい場合、皮膜2の気孔による毛細管力の効果が発揮されず、十分な熱伝達率の向上が得られないためである。また、気孔率が80%より大きい場合、皮膜2自身の強度が弱くなり、皮膜2が基材1から剥離してしまうためである。
また、皮膜2の膜厚は、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。皮膜2の膜厚を0.01μm以上としたのは、膜厚が0.01μmより小さい場合には、部分的に皮膜2の形成されていない部位が生じたり、あるいはわずかな摩耗により皮膜2が失われてしまったりするためである。
一方、1μm以下としたのは、膜厚が1μmより厚い場合には密着強度が減少すると同時に、被膜2自身が熱抵抗となり、全体として高伝熱特性を達成することができなくなるためである。
また、基材1の表面積に対する皮膜2の面積比率は、30%以上70%以下であることが好ましい。皮膜2の面積比率を30%以上としたのは、皮膜2の面積比率が30%より小さいと、皮膜2の側面からの蒸気や温められた液体が効率的に排出されず、これにより固体−液体界面での熱交換も促進されないためである。
一方、皮膜2の面積比率を70%以下としたのは、皮膜2の面積比率が70%より大きいと、皮膜2内に存在する気孔3の毛細管力による液体の引き込みが全体として小さくなるため、やはり固体−液体界面での熱交換が十分でないためである。
ここで、皮膜2の材質は、酸化物セラミックスであることが好ましい。これは、酸化物セラミックスが様々な流体に対して化学的に安定であると同時に、熱的にも安定であるからである。また、酸化物セラミックスは、高い硬度を有するため、摩耗にも強く様々な環境において高い耐久性を有するからである。
また、皮膜2の材質は、酸化物セラミックスの中でもTiO、ZrO、Al、若しくはZrTiO又はこれらの混合物であることが好ましい。これらは、例えば加圧水型原子炉で用いられる蒸気発生器の伝熱管の場合、皮膜2は高温水中に晒されるため耐食性という観点から、これらの酸化物セラミックスが特に優れた材質であるからである。TiO、ZrO、及びZrTiOは、いずれも結晶質であっても良いし、非晶質であっても良い。また結晶質と非晶質の混合体でも良い。
(基材1)
伝熱体12の基材1は、熱伝導率、コスト、強度、加工性の観点から金属が好ましいが、例えばカーボン等の熱伝導率の高い非金属材料も適用することができる。また、基材1は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物セラミックスや、炭化ケイ素等の炭化物セラミックス等も適用することができる。
(伝熱体12の製造方法)
次に、上記のような構造を有する伝熱体12の製造方法について説明する。
セラミックス前駆体組成中に平均粒径0.1μm以下の気孔形成用物質(第1気孔形成用物質)と、平均粒径0.5μm以上の気孔形成用物質(第2気孔形成用物質)を同時に配合して調製した組成物を基材1の表面に塗布する。
その後、組成物を塗布した基材1を大気中で加熱処理し、平均粒径0.1μm以下の気孔形成用物質と平均粒径0.5μm以上の気孔形成用物質を消失させて皮膜2を形成する。
図2は本発明に係る伝熱体の製造方法の一実施形態において熱処理前に塗布した組成物を示す拡大平面図である。図3は本発明に係る伝熱体の製造方法の一実施形態において熱処理前に塗布した組成物を示す拡大断面図である。
図2及び図3に示すように、平均粒径0.1μm以下の第1気孔形成用物質4aは、大気中で加熱処理することで消失する。これにより、皮膜2内に微細な気孔3が形成される。また、平均粒径0.5μm以上の第2気孔形成用物質4bは、大気中で加熱処理することで消失する。これにより、皮膜2が不連続に分散して形成される。
ここで、上記セラミックス前駆体としては、例えば、酸化ジルコニウムの前駆体溶液、酸化チタンの前駆体溶液、酸化アルミニウムの前駆体溶液、又はこれらの混合溶液等を使用することができる。
酸化ジルコニウムの前駆体溶液としては、ジルコニウムのアルコキシド、アシレート、キレート、塩、ゾル等が挙げられる。酸化チタンの前駆体溶液としては、チタンのアルコキシド、アシレート、キレート、塩、ゾル等が挙げられる。酸化アルミニウムの前駆体溶液としては、アルミニウムのアルコキシド、アシレート、キレート、塩、ゾル等が挙げられる。
気孔3を形成するための第1気孔形成用物質4a及び第2気孔形成用物質4bは、組成物を調製する際や皮膜2を形成する際において、粒状の固形状で存在し、気孔3を形成する際には後述するように、この物質のみが消失する特性を有するものを用いる。これにより、塗布した組成物内に気孔3を形成する。
これら第1気孔形成用物質4a及び第2気孔形成用物質4bとしては、カーボンが好適である。カーボンには、アモルファス、黒鉛、ダイアモンド等が含まれる。いずれのカーボンも500℃〜700℃程度で大気中の酸素と反応して二酸化炭素となり消失する。
したがって、第1気孔形成用物質4a及び第2気孔形成用物質4bを含むセラミックス前駆体組成物に対して500℃以上で加熱処理を行うことにより、第1気孔形成用物質4a及び第2気孔形成用物質4bを消失させてその跡を気孔とすることができる。また、第1気孔形成用物質4a及び第2気孔形成用物質4bには、カーボンファイバーや、これを短く切断したミルドファイバー(短繊維)、あるいはカーボンウィスカー(針状結晶)も適用することができる。
皮膜2中の気孔3を形成するための第1気孔形成用物質4aの粒径を0.1μm以下に限定したのは0.1μmより大きい場合、毛細管力が弱くなり、したがって、流体−伝熱体界面において高い熱伝達率が達成できなくなるからである。
皮膜を不連続に分散して形成するための第2気孔形成用物質4bの粒径を0.5μm以上に限定したのは、0.5μmより小さい場合、カーボン粒子は皮膜2に取り込まれ、皮膜2内の気孔3となり、皮膜2を不連続に分散して形成することができないためである。
また、前述した皮膜2の形成方法では、調製された伝熱体組成物を用いて、基材1表面に皮膜2を形成する。例えば、コーティング組成物をディップコーティング、スプレーコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング等の湿式コーティングにより、基材1の表面を覆った後、乾燥させて皮膜2を形成することができる。上記乾燥は、常温で放置することにより行っても良いし、加熱して行ってもよく、これらを適宜組み合わせて行うこともできる。
(伝熱体12の効果)
本実施形態に係る伝熱体12によれば、基材1上に、微細な気孔3を有する皮膜2が不連続に分散して形成されているので、伝熱特性に優れた実用性の高い伝熱体を提供することが可能となる。
また、皮膜2の気孔率、気孔径、膜厚等を制御することによって伝熱特性を制御することができる。
したがって、液体の関与する熱交換器システムにおいて、液体と伝熱体との界面における熱伝達率を著しく向上させ、伝熱効率を飛躍的に向上させることができる。
なお、上記実施形態では、皮膜2を基材1の一方の側に形成した例について説明したが、これに限らず、皮膜2を基材1の両側に形成してもよい。このように皮膜2を基材1の両側に形成した場合には、伝熱特性を一段と高めることが可能となる。
また、上記実施形態では、基材1の皮膜2が形成された側に低温の水が流通し、その反対側には、高温の流体が流れている場合について説明したが、これに限らず、基材1の皮膜2が形成された側に高温の流体が流通し、その反対側には、低温の水が流れている場合等、あらゆる場合に適用可能である。
(伝熱体の第1変形例)
図4は本発明に係る伝熱体の一実施形態の第1変形例を示す概略断面図である。なお、以下の変形例では、前記実施形態と同一の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略する。
第1変形例は、前記実施形態の製造方法を用いて伝熱体を製造したときに、皮膜2の周囲に薄膜が分散して形成される例である。
本変形例の伝熱体12Aは、図4に示すように前記実施形態と同様に、固体状の基材1上に、気孔率20%以上80%以下、かつ膜厚0.01μm以上1μm以下の皮膜2が不連続に分散して形成されている。
本変形例の伝熱体12Aは、皮膜2の周囲に膜厚が0.1μmより薄く、かつ皮膜2より薄い薄膜2aが分散して形成されている。この薄膜2aは、膜厚が0.1μmより薄いため、薄膜2a内には、気孔3が形成されていない場合が多い。仮に、気孔3が形成されていたとしてもその数は少ない。
薄膜2aの膜厚を皮膜2より薄くしたのは、皮膜2より厚く形成すると、皮膜2の側面からの蒸気や温められた液体が効率的に排出されず、これにより固体−液体界面での熱交換も促進されないためである。
このように本変形例によれば、皮膜2の周囲に膜厚が0.1μmより薄く、かつ皮膜2より薄い薄膜2aを分散して形成したことにより、前記実施形態と同様の効果が得られる。その他の作用及び製造方法は、前記実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
(伝熱体の第2変形例)
図5は本発明に係る伝熱体の一実施形態の第2変形例を示す概略断面図である。
第2変形例は、前記実施形態の製造方法を用いて伝熱体を製造したときに、皮膜2の周囲の基材1上全面に薄膜が形成される例である。
本変形例の伝熱体12Bは、図5に示すように前記実施形態と同様に、固体状の基材1上に、気孔率20%以上80%以下、かつ膜厚0.01μm以上1μm以下の皮膜2が不連続に分散して形成されている。
本変形例の伝熱体12Bは、皮膜2の周囲の基材1上全面に、膜厚が0.1μmより薄く、かつ皮膜2より薄い薄膜2aが形成されている。
このように本変形例によれば、皮膜2の周囲の基材1上全面に、膜厚が0.1μmより薄く、かつ皮膜2より薄い薄膜2aを形成したことにより、前記第1変形例と同様の効果が得られる。その他の作用は、前記第1変形例と同様であるので、その説明を省略する。
なお、上記各変形例では、皮膜2及び薄膜2aを基材1の一方の側に形成した例について説明したが、これに限らず、皮膜2及び薄膜2aを基材1の両側に形成してもよい。このように皮膜2及び薄膜2aを基材1の両側に形成した場合には、伝熱特性を一段と高めることが可能となる。
以下の実施例及び比較例において、図1に示したように、基材1を金属製とし、この基材1上に気孔率20%以上80%以下の皮膜2が形成された構造を有する伝熱体12を作製して伝熱性能を評価した。
図6は一実施形態で用いた伝熱体の沸騰熱伝達率を評価する評価装置を示す概略構成図である。
図6に示すように、評価装置は、金属製の容器6に純水7が収容されている。この純水7中には、金属板状試験体5が浸漬される。金属板状試験体5には、パワーコントローラ11から一定範囲内の電圧が印加されて表面温度が調整される。金属板状試験体5の表面温度は、熱電対9により測定される。純水7の温度は、熱電対10により測定される。凝縮器8は、純水7が沸騰して水蒸気になり、その水蒸気を水に凝縮するものである。
図6に示す評価装置を用いて伝熱体12の性能評価は以下のように行った。
まず、金属板状試験体5に皮膜2を形成し、図6に示すように、純水7を収容した金属製の容器6中に金属板状試験体5を挿入する。
次いで、パワーコントローラ11にて金属板状試験体5を直接通電加熱しながら、熱電対9にて金属板状試験体5の表面の温度を測定するとともに、熱電対10にて純水7の温度を測定することにより、伝熱特性を評価した。
(実施例1)
ZrTiOのアルコキシ金属塩(溶媒はイソプロピルアルコール)中に平均粒子径0.05μmのアモルファスカーボン粒子(第1気孔形成用物質)と平均粒子径2μmのグラファイト粒子(第2気孔形成用物質)を配合して分散液とした。このときの配合比率は、皮膜2の気孔率が25%、皮膜2の面積が53%になるようにした。
3mm×40mm、厚さ3mmのインコネル(スペシャルメタルズ社の商標)600の金属板状試験体5の片面にこの分散液をディッピングにより塗布した。塗布後、大気中700℃で30分熱処理して微細な気孔3を有する不連続に分散した皮膜2を形成した。このときの皮膜2の膜厚は約0.3μmであった。
コーティングを行ったインコネル600の金属板状試験体5を用いて図6に示した装置構成とし、純水7を収容した金属製の容器6中に金属板状試験体5を浸漬し、パワーコントローラ11にて金属板状試験体5を直接通電加熱しながら、熱電対9にて金属板状試験体5の表面の温度を、熱電対10にて純水7の温度を、それぞれ測定することにより伝熱特性を評価した。
なお、この金属板状試験体5は、コーティングを施工した面を除いて回りを断熱材で囲み、コーティング面のみから熱交換するようにした。
その結果、皮膜2を形成した金属板状試験体5は、皮膜2が形成されていない金属板状試験体と比較して熱伝達率が大幅に向上していることが認められた。
(実施例2)
皮膜2の気孔率を20%とした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。
その結果、皮膜2を形成した金属板状試験体5は、皮膜2が形成されていない金属板状試験体と比較して熱伝達率が向上していることが認められた。
(実施例3)
皮膜2の気孔率を80%とした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。
その結果、皮膜2を形成した金属板状試験体5は、皮膜2が形成されていない金属板状試験体と比較して熱伝達率が向上していることが認められた。
(実施例4)
皮膜2の膜厚を0.01μmとした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。
その結果、皮膜2を形成した金属板状試験体5は、皮膜2が形成されていない金属板状試験体と比較して熱伝達率が向上していることが認められた。
(実施例5)
皮膜2の膜厚を1μmとした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。
その結果、皮膜2を形成した金属板状試験体5は、皮膜2が形成されていない金属板状試験体と比較して熱伝達率が向上していることが認められた。
(実施例6)
皮膜2の不連続部分を30%とした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。
その結果、皮膜2を形成した金属板状試験体5は、皮膜2が形成されていない金属板状試験体と比較して熱伝達率が向上していることが認められた。
(実施例7)
皮膜2の不連続部分を70%とした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。
その結果、皮膜2を形成した金属板状試験体5は、皮膜2が形成されていない金属板状試験体と比較して熱伝達率が向上していることが認められた。
(実施例8)
皮膜2の材質をZrOとした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。
その結果、皮膜2を形成した金属板状試験体5は、皮膜2が形成されていない金属板状試験体と比較して大幅に熱伝達率が向上していることが認められた。
(実施例9)
皮膜2の材質をTiOとした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。
その結果、皮膜2を形成した金属板状試験体5は、皮膜2が形成されていない金属板状試験体と比較して熱伝達率が向上していることが認められた。
(実施例10)
皮膜2の材質をAlとした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。
その結果、皮膜2を形成した金属板状試験体5は、皮膜2が形成されていない金属板状試験体と比較して熱伝達率が向上していることが認められた。
(比較例1)
皮膜2の気孔率を15%とした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。その結果、皮膜2の形成された金属板状試験体5は、熱伝達率の向上が認められなかった。
(比較例2)
皮膜2の気孔率を85%とした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。その結果、皮膜2の形成された金属板状試験体5は、剥離が生じ熱伝達率を測定することができなかった。
(比較例3)
皮膜2の膜厚を0.009μmとした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。その結果、皮膜2の形成された金属板状試験体5は、熱伝達率の向上が認められなかった。
(比較例4)
皮膜2の膜厚を2μmとした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。その結果、皮膜2の形成された金属板状試験体5は、熱伝達率の向上が認められなかった。
(比較例5)
皮膜2の不連続部分の面積を25%とした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。その結果、皮膜2の形成された金属板状試験体5は、熱伝達率の向上が認められなかった。
(比較例6)
皮膜2の不連続部分の面積を75%とした他は、実施例1と全く同様な方法で皮膜2を形成し、実施例1と同じ方法で伝熱特性を評価した。その結果、皮膜2の形成された金属板状試験体5は、熱伝達率の向上が認められなかった。
(その他の実施形態)
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、上記実施形態及び変形例では、伝熱体を加圧水型原子炉の蒸気発生器の伝熱管に適用した例について説明したが、これに限らず、その他の熱交換器の伝熱管にも適用することが可能である。
1…基材、2…皮膜、2a…薄膜、3…気孔、4a…第1気孔形成用物質、4b…第2気孔形成用物質、5…金属板状試験体、6…容器、7…純水、8…凝縮器、9…熱電対(試験体表面温度測定用)、10…熱電対(水温測定用)、11…パワーコントローラ、12…伝熱体、12A…伝熱体、12B…伝熱体

Claims (12)

  1. 固体状の基材上に、気孔率20%以上80%以下、かつ膜厚0.01μm以上1μm以下の皮膜を分散して形成したことを特徴とする伝熱体。
  2. 前記皮膜の周囲に、膜厚が前記皮膜より薄い薄膜を分散して形成したことを特徴とする請求項1に記載の伝熱体。
  3. 前記皮膜の周囲の前記基材上全面に、膜厚が前記皮膜より薄い薄膜を形成したことを特徴とする請求項1に記載の伝熱体。
  4. 前記基材の表面積に対する前記皮膜の面積比率は、30%以上70%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の伝熱体。
  5. 前記皮膜は、前記基材において加熱されて液体が蒸発する側に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の伝熱体。
  6. 前記皮膜は、酸化物セラミックスからなる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の伝熱体。
  7. 前記皮膜は、TiO、ZrO、Al、若しくはZrTiO又はこれらの混合物である酸化物セラミックスからなることを特徴とする請求項6に記載の伝熱体。
  8. 固体状の基材上に、セラミックスの前駆体組成中に複数種類の粒径の気孔形成用物質を同時に配合して調製した組成物を塗布する組成物塗布工程と、
    前記組成物塗布工程の後に、前記複数種類の粒径の気孔形成用物質を消失させて前記基材上に気孔率20%以上80%以下、かつ膜厚0.01μm以上1μm以下の皮膜を分散して形成する皮膜形成工程と、
    を有することを特徴とする伝熱体の製造方法。
  9. 前記複数種類の粒径の気孔形成用物質は、平均粒径0.1μm以下の第1気孔形成用物質と、平均粒径0.5μm以上の第2気孔形成物質を含むことを特徴とする請求項8に記載の伝熱体の製造方法。
  10. 前記第1気孔形成用物質及び前記第2気孔形成用物質は、カーボンからなることを特徴とする請求項9に記載の伝熱体の製造方法。
  11. 前記皮膜形成工程は、大気中において500℃以上の温度で加熱処理を施すことによって前記気孔形成用物質を分解消失させることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の伝熱体の製造方法。
  12. 前記組成物塗布工程は、ディップコーティング、スプレーコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、及びロールコーティングを含む湿式コーティングによることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の伝熱体の製造方法。
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