JP6069842B2 - 光学フィルムチップの切り出し装置、光学フィルムチップの製造システム及び光学フィルムチップの切り出し方法 - Google Patents

光学フィルムチップの切り出し装置、光学フィルムチップの製造システム及び光学フィルムチップの切り出し方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルムチップの切り出し装置、光学フィルムチップの製造システム及び光学フィルムチップの切り出し方法に関するものである。
偏光フィルム、位相差フィルム等の光学フィルムは、液晶表示装置を構成する重要な光学部品である。例えば、液晶表示装置においては、偏光フィルムが矩形状の光学フィルムチップとして液晶パネルの上下面に一枚ずつ貼り合わされている。光学フィルムチップは、長尺状の光学フィルムを原材料とし、これをカッターで矩形状に切断することにより得られる(例えば、特許文献1を参照)。
図9は、従来の光学フィルムチップの切り出し方法を示す模式図である。
先ず、図9(a)に示すように、光学フィルム101が搬送装置100により送り出される。
次に、図9(b)に示すように、搬送装置100により送り出された光学フィルム101は、不図示の切断装置により斜角カットされる。これにより光学フィルム中間体(第1の中間フィルム)102が切り出される。この斜角カットの工程においては、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向が目的の液晶表示装置に適合する方向となるように、光学フィルム101から第1の中間フィルム102が所定の角度で切り出される。
次に、図9(c)に示すように、フィルム積層装置110により第1の中間フィルム102にシート状の部材を積層する。フィルム積層装置110は、一対のローラー111,112とシート状の部材を送り出すリール113とを有する。リール113から送り出されるシート状の部材、所定の角度で切り出された第1の中間フィルム102は、一対のローラー111,112の間を通って積層され、次工程に送り出される。
次に、図9(d)に示すように、リール113から送り出されるシート状の部材と、所定の角度で切り出された第1の中間フィルム102とが積層された積層フィルムは、不図示の切断装置により半分にカットされる。これにより、第2の中間フィルム103が切り出される。
次に、図9(e)に示すように、切り出された第2の中間フィルム103の品質を目視で検査する。
次に、図9(f)に示すように、第2の中間フィルム103をステージ120にセットする。ステージ120には、第2の中間フィルム103を位置決めするためのマーキング121が施されている。第2の中間フィルム103をステージ120にセットする際には、図9(d)に示す工程において斜角カットされた辺を基準としてマーキング121に位置決めする。
そして、不図示の切断装置により第2の中間フィルム103から複数の光学フィルムチップ104を切り出す。切断装置には、光学フィルムチップ104の長辺の長さに対応した間隔で並ぶ複数のカッターと、光学フィルムチップ104の短辺の長さに対応した間隔で並ぶ複数のカッターとが平面視格子状に配置されており、4つのカッターにより矩形状に切り出される領域が1つの光学フィルムチップ104の切り出し領域となっている。
切断装置による第2の中間フィルム103の切断方向(例えば、光学フィルムチップ104の長辺の長さに対応した間隔で並ぶカッターの延在方向)は、光学フィルム101の長手方向に対して目的の角度(設計仕様によって定められた角度)をなすように配置される。例えば、光学フィルムチップ104の光学軸が光学フィルムチップ104の長辺に対して7°をなすように設計されている場合には、光学フィルム101の長手方向に対して切断装置の切断方向を7°に設定する。
特開2003−255132号公報
図9(f)の工程において、第2の中間フィルム103の切断方向を光学フィルム101の長手方向を基準として設定するのは、一般に、長尺状の光学フィルム101が二色性色素で染色した樹脂フィルムを一軸延伸させて製造されており、光学フィルム101の光学軸の方向が樹脂フィルムの延伸方向と概ね一致するからである。しかし、光学フィルム101の光学軸は、光学フィルム101全体で均一ではなく、光学フィルム101の幅方向において若干ばらついている。例えば、二色性色素で染色した樹脂フィルムを一軸延伸して光学フィルム101を製造する場合、樹脂フィルムの厚みのむらや二色性色素の染色むらなどに起因して、光学フィルム101の中央部分の光学軸の方向と、光学フィルム101の端部に近い部分(エッジ部分)の光学軸の方向との間にずれが生じる傾向がある。そのため、光学フィルム101から複数の光学フィルムチップ104を切り出す場合には、この光学軸のばらつきを反映して、光学フィルムチップ104間にも光学軸のばらつきが発生する。
以上のように、従来の光学フィルムチップの切り出し方法においては、切り出される複数の光学フィルムチップの間で光学軸の方向にばらつきが発生するという問題がある。最近では、表示装置の高コントラスト化が進んでおり、従来よりも厳しい光学軸の精度が求められるようになっている。例えば、従来の携帯電話では、光学軸の公差は±1°であったが、スマートフォンやタブレット型の情報端末では、±0.25°の光学軸の公差が求められており、今後さらに要求精度が厳しくなると予想される。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、複数の光学フィルムチップの間で光学軸のばらつきが生じることを抑制することが可能な光学フィルムチップの切り出し装置、光学フィルムチップの製造システム及び光学フィルムチップの切り出し方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の光学フィルムチップの切り出し装置は、光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し装置であって、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得し、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルムの切断方向に対して目的の角度をなすように前記光学フィルムの切断方向を調整する制御装置と、前記制御装置によって調整された切断方向で前記光学フィルムを切断することにより、前記光学フィルムから光学フィルム中間体を切り出す第1切断装置と、前記第1切断装置によって切り出された前記光学フィルム中間体の切断辺に対して平行な第1の方向と前記第1の方向に直交する第2の方向とで前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から前記複数の光学フィルムチップを切り出す第2切断装置と、を含み、前記制御装置は、前記光学フィルムの面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角を2等分する軸を前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸として算出することを特徴とする。
本発明においては、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを記憶する記憶装置を含むことを特徴とする
本発明の光学フィルムチップの製造システムは、前記光学フィルムを製造する光学フィルムの製造装置と、前記光学フィルムの製造装置によって製造された前記光学フィルムから前記複数の光学フィルムチップを切り出す前記光学フィルムチップの切り出し装置と、 を含むことを特徴とする。
本発明においては、前記検査装置は、前記光学フィルムの幅方向に移動可能な検光子を含み、前記検査装置は、前記検光子を前記光学フィルムの幅方向に移動させつつ前記検光子によって前記光学フィルムの光学軸を検出することにより、前記光学フィルムの光学軸を前記光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査することを特徴とする。
本発明の光学フィルムチップの切り出し方法は、光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し方法であって、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得する第1のステップと、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルムの切断方向に対して目的の角度をなすように前記光学フィルムの切断方向を調整し、調整された前記切断方向で前記光学フィルムを切断することにより、前記光学フィルムから光学フィルム中間体を切り出す第2のステップと、切り出された前記光学フィルム中間体の切断辺に対して平行な第1の方向と前記第1の方向に直交する第2の方向とで前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から前記複数の光学フィルムチップを切り出す第3のステップと、を含み、前記光学フィルムの面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角度を2等分する軸を前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸として算出することを特徴とする
本発明によれば、複数の光学フィルムチップの間で光学軸のばらつきが生じることを抑制することが可能な光学フィルムチップの切り出し装置、光学フィルムチップの製造システム及び光学フィルムチップの切り出し方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る光学フィルムチップの製造システムを示す模式図である。 光学フィルムの製造装置の平面図である。 光学フィルムチップの切り出し装置の要部を示す平面図である。 光学フィルムの光学軸の面内分布を示す図である。 光学フィルムから光学フィルム中間体を切り出すときの説明図である。 光学フィルムの切断方向を調整するときの説明図である。 光学フィルム中間体から複数の光学フィルムチップを切り出すときの説明図である。 光学フィルムチップの切り出し方法を示すフローチャートである。 従来例の光学フィルムチップの切り出し方法を示す模式図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。また、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態においては、長尺の光学フィルムの幅方向をX方向としており、光学フィルムの面内においてX方向に直交する方向(長尺の光学フィルムの搬送方向)をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向としている。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の光学フィルムチップの製造システムを示す模式図である。以下、光学フィルムチップとして偏光板を製造する例を説明するが、光学フィルムチップは、偏光板の他に、位相差フィルムや輝度向上フィルム等でもよく、位相差フィルムや偏光板などの複数の光学素子を積層したものでもよい。
光学フィルムチップの製造システム1は、長尺状の光学フィルム(以下、単に光学フィルムと称する)Fを製造する光学フィルムの製造装置11と、光学フィルムの製造装置11によって製造された光学フィルムFから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し装置12と、を備えている。
光学フィルムの製造装置11は、複数の光学層F1,F2,F3を積層して1枚の光学フィルムFを製造するフィルム積層装置2と、フィルム積層装置2で製造された光学フィルムFの光学軸を光学フィルムFの幅方向の複数の検査位置で検査する検査装置3と、を備えている。
フィルム積層装置2は、3つの光学層F1,F2,F3を積層して1枚の光学フィルムFを製造する装置である。本実施形態で使用される光学フィルムFは、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)等からなる偏光子フィルムF1が、2枚のセルロース系フィルムであるTAC(トリアセチルセルロース)フィルムF2,F3によって挟まれた構造である。尚、偏光子フィルムF1は、一定方向に振動する光以外の光を遮断するため、例えばヨウ素、二色性染料などにより染色されている。
フィルム積層装置2には、一対のローラー21,22が上下に設けられている。この両ローラー21,22の間に複数の光学層F1,F2,F3が重ね合わされて供給される。そして、両ローラー21,22によって押圧されることにより、複数の光学層F1,F2,F3が貼合され、1枚の光学フィルムFが製造される。尚、第1フィルムF2および第2フィルムF3の表面に剥離フィルムや保護フィルムなどがさらに積層されていてもよい。当該光学フィルムFは、搬送ローラー23によって、検査装置3に向けて搬送される。
検査装置3は、光学フィルムFの上方に配置された光源31と、光学フィルムFの下方に配置された検光子32と、を備えている。検光子32は、光源31から射出され、光学フィルムFを透過した光を受光する図示略の受光素子を備えている。検査装置3では、光学フィルムFおよび検光子32を透過した光の強度を受光素子で検出することにより、光学フィルムFの光学軸を検出する。検光子32は、光学フィルムFの幅方向に移動可能に構成されている。検査装置3は、検光子32を光学フィルムFの幅方向に移動させつつ検光子32によって光学フィルムFの光学軸を検出することにより、光学フィルムFの光学軸を光学フィルムFの幅方向の複数の検査位置で検査する。
尚、検査装置3としては、検光子32に光学フィルムFの幅方向に移動させる構成に限らず、光学フィルムFの幅方向において複数の検光子を備えた構成であってもよい。
図2は光学フィルムの製造装置11の平面図である。
図2に示すように、光学フィルムFの幅方向(X軸方向)には複数の検査領域CPが設けられている。検光子32は、これら複数の検査領域CPの配列方向に沿って移動可能になっている。これにより、光学フィルムFの幅方向における各検査領域CPにおいて光学軸の方向が検出される。
検査装置3で検出された光学フィルムFの光学軸のデータは、光学フィルムFの位置(光学フィルムFの長手方向の位置および幅方向の位置)と関連付けられて記憶装置9に記憶される。検査装置3で検査された光学フィルムは、搬送ローラー24によって、巻き取り部25に向けて搬送される。そして、巻き取り部25においてロール状に巻き取られ、光学フィルムFのロール原反Rが製造される。
図1に戻り、光学フィルムチップの切り出し装置12は、ロール原反Rから光学フィルムFを引き出して搬送する搬送装置4と、搬送装置4によって搬送された光学フィルムFから中間サイズの光学フィルム中間体を切り出す第1切断装置5と、第1切断装置5により切り出された光学フィルム中間体から複数の光学フィルムチップを切り出す第2切断装置6と、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータを記憶する記憶装置9と、フィルム積層装置2、検査装置3、搬送装置4、第1切断装置5、第2切断装置6、及び記憶装置9を統括制御する制御装置10と、を備えている。
搬送装置4は、ロール原反Rを装填する装填部41を備えている。装填部41には、光学フィルムの製造装置11で製造され、検査装置3により光学軸が検査された光学フィルムFのロール原反Rが装填される。装填部41に装填された光学フィルムFは、搬送ローラー42,43によって下流側に搬送され、第1切断装置5および第2切断装置6により切断されて、光学フィルムチップが製造される。
図3は、光学フィルムチップの切り出し装置12の要部構成を示す平面図である。図3では、光学フィルムチップの切り出し装置12の構成部品のうち、第1切断装置5、第2切断装置6、記憶装置9、及び制御装置10を図示し、その他の図示を省略している。
第1切断装置5は、光学フィルムFを載置する基台50と、光学フィルムFを切断するカット部51と、を備えている。
カット部51は、基台50の上方に回転可能に配置されている。例えば、カット部51は円形状のカッターを備えている。また、カッターは、不図示の駆動機構により、一方向に延在するガイド部の長手方向に沿って移動可能に構成されている。尚、光学フィルムFを切断するカット部51は、カッターに限らず、レーザーを備えていてもよい。
尚、ガイド部の長さは、光学フィルムFの幅方向の長さよりも長くなっている。ガイド部は、制御装置10によって調整された切断方向に基づいて光学フィルムFと平行な面内で回転駆動される。
本実施形態では、光学フィルムFから直接複数の光学フィルムチップを切り出すのではなく、いったん光学フィルムFから複数の中間サイズの光学フィルム中間体Faを切り出し、その後、各光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出すこととしている(図7参照)。長尺の光学フィルムFから光学フィルムチップFcを直接切り出すこととすると、光学フィルムチップFcの大きさは長尺の光学フィルムFに比べてはるかに小さい場合が多いため、切り出し操作が困難になる可能性があるからである。
光学フィルム中間体Faの大きさや形状は、光学フィルムチップFcの形状や光学フィルムチップFcにおける光学軸の設定方向などに応じて、任意に設定することができる。本実施形態では、光学フィルムFをその長手方向と交差する方向に切断し(斜角カット)、平行四辺形のフィルム体を切り出すことにより、光学フィルム中間体Faを得ている。
第2切断装置6は、第1切断装置5に隣り合う位置に配置されている。第2切断装置6には、光学フィルム中間体Faを載置する基台60と、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出すためのカッター6a、6b(例えば、加熱彫刻刃)と、を備えている。基台60の上面には、光学フィルム中間体Faを位置決めするためのマーキング61が施されている。光学フィルム中間体Faを基台60にセットする際には、光学フィルム中間体Faの切断辺(第1切断装置5によって斜角カットされた辺)を基準としてマーキング61に位置決めする。
カッター6a、6bは、X方向に一定間隔で並ぶ複数本の第1カッター6aとY方向に一定間隔で並ぶ複数本の第2カッター6bとがZ方向から見て格子状に配置された構成を有する。
このような構成により、光学フィルム中間体Faの切断辺に対して平行な第1の方向と当該第1の方向に直交する第2の方向とで光学フィルム中間体Faが切断される。これにより、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcが切り出される。
第1カッター6aと第2カッター6bとによって切り出される矩形の領域が1つの光学フィルムチップFcとなる。尚、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す構成としては、カッターに限らず、レーザーを用いてもよい。
図4(a)〜(c)は、光学フィルムFの光学軸の面内分布を示す図である。尚、図4(a)〜(c)においては、搬送装置4から光学フィルムFが当該光学フィルムFの長手方向(+Y軸方向)に搬送される様子を示している。
図4(a)〜(c)に示すように、光学フィルムFの光学軸の面内分布には様々な分布が存在する。光学フィルムFの光学軸は、概ね光学フィルムFの長手方向に沿って配置されている。
しかし、図4(a)に示す光学フィルムFの光学軸の面内分布を見ると、光学フィルムFの長手方向に対して光学軸の方向が若干XY方向(右肩下がり)に傾いている。図4(b)に示す光学フィルムFの光学軸の面内分布を見ると、光学フィルムFの長手方向に対して光学軸の方向が若干XY方向(右肩下がり)に傾いているものと若干−XY方向(右肩上がり)に傾いているものとが光学フィルムFの幅方向に沿って交互に配置されている。図4(c)に示す光学フィルムFの光学軸の面内分布を見ると、光学フィルムFの幅方向両端部では、光学フィルムFの中央部に比べて光学軸の方向が若干内側にずれている。
図4(c)のような光学軸の面内分布となるのは、光学フィルムFを構成する偏光子フィルムは、例えば、二色性色素で染色したPVAフィルムを一軸延伸して形成されるが、延伸する際のPVAフィルムの厚みのむらや二色性色素の染色むらなどに起因して、光学フィルムFの中央部分の光学軸の方向と、光学フィルムFの端部に近い部分(エッジ部分)の光学軸の方向との間にはずれが生じる傾向があるためである。以下、一例として図4(c)に示す光学軸の面内分布を有する光学フィルムFを挙げて説明する。
このような光学フィルムFから複数の小型の光学フィルムチップを切り出すと、光学フィルムFの中央部から切り出された光学フィルムチップと、光学フィルムFの端部に近い部分から切り出された光学フィルムチップの間で、光学軸の方向にばらつきが生じるため、そのばらつきが大きい場合には、端部に近い部分から切り出された光学フィルムチップを不良品として使うことができず、光学フィルムチップの取れ個数が減少する。
そこで、本実施形態においては、記憶装置9に予め記憶された光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータに基づいて光学フィルムFの面内の平均的な光学軸の方向を算出し、光学フィルムFの面内の平均的な光学軸の方向が光学フィルムFの切断方向に対して目的の角度をなすように光学フィルムFの切断方向を調整している。これにより、各光学フィルムチップFcの間で生じる光学軸のばらつきを低減することを可能にしている。
図5は、光学フィルムFから光学フィルム中間体Faを切り出すときの説明図である。
本実施形態では、搬送装置4により搬送された光学フィルムFは、第1切断装置(図示略)により斜角カットされる。これにより、1枚の光学フィルム中間体Faが切り出される。図示はしないが、光学フィルム中間体Faは、光学軸の面内分布を有している。以下、一例として、光学フィルムFから光学フィルム中間体Faを切り出し、その後、当該光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す方法について説明する。
図6は、光学フィルムFの切断方向を調整するときの説明図である。図6(a)は、光学フィルムFの光学軸の面内分布を示す図である。図6(b)は光学フィルムFの切断方向を調整した後のカット部51の設置状態を示す図である。
尚、図6(a)及び図6(b)において、符号L1は所定の軸(光学フィルムFのエッジライン(幅方向端縁)に沿う軸)である。符号L2、符号L3はそれぞれ軸L1に対して平行な軸である。符号V1は軸L1からのずれ角が最も大きい光学軸(以下、第1の光学軸と称する)である。符号V2は軸L2からのずれ角が最も小さい光学軸(以下、第2の光学軸と称する)である。符号V3は第1の光学軸V1と第2の光学軸V2とがなす角を2等分する軸(以下、平均光学軸と称する)である。θmaxは所定の軸L1と第1の光学軸V1とのなす角(以下、最大ずれ角と称する)である。θminは所定の軸L2と第2の光学軸V2とのなす角(以下、最小ずれ角と称する)である。θmidは所定の軸L3と平均光学軸V3とのなす角(以下、平均ずれ角と称する)である。
ここで、図6(a)及び図6(b)における「ずれ角」は、所定の軸に対して右回りの方向を正とし、所定の軸に対して左回りの方向を負としたときの角度である。
本実施形態において、制御装置10は、光学フィルムFの面内で互いに最も大きな角度で交差する第1の光学軸V1、第2の光学軸V2を検出し、第1の光学軸V1と第2の光学軸V2とがなす角を2等分する軸を光学フィルムFの面内の平均的な光学軸(平均光学軸V3)として算出する。
本実施形態において、最大ずれ角θmaxと最小ずれ角θminとの角度の差をΔαとする。この場合、最小ずれ角θminを0とすると、図6(a)に示すように、最大ずれ角θmaxは角度(Δα)で表される。また、平均ずれ角θmidは角度(Δα/2)で表される。
例えば、光学フィルムチップを製造するには、光学フィルムチップの面内の平均的な光学軸の方向が目的の液晶表示装置に適合する方向となるように、所定の角度で切り出される。例えば、偏光板の吸収軸の場合、所定の角度は7°である。
ここで、光学フィルムFのエッジラインに沿う軸L1を光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向とした場合を考える。この場合、最小ずれ角θminを0とすると、第2の光学軸V2は、軸L2からのずれ角が最も小さいため、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向に概ね揃う。一方、第1の光学軸V1は、軸L1からのずれ角が最も大きいため、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向から大きくずれる。第1の光学軸V1は、光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向から角度Δαだけずれることとなる。
これに対し、本実施形態において、制御装置10は、光学フィルムFの面内の平均的な光学軸の方向が光学フィルムFの切断方向Vcに対して目的の角度をなすようにカット部51を回転させる構成となっている。本実施形態においては、図6(b)に示すように、平均光学軸V3に対して所定の角度γをなす軸(軸L4)が光学フィルムFから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となるようにカット部51を回転させ、光学フィルムFの切断方向を調整している。
例えば、カット部51の切断方向が初期状態において光学フィルムFのエッジラインに沿う軸L1と直交する方向に設定されている場合には、カット部51を前記初期状態の位置から右回りに(γ+Δα/2)だけ回転させる。これにより、切断方向Vcは、初期状態の切断方向に対して角度(γ+Δα/2)をなす。
このようにして、軸L4が光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となる。言い換えると、切断方向Vcと直交する方向が、光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となる。また、平均光学軸V3が光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対応する。
この場合、第2の光学軸V2は、軸L4に対して(γ−Δα/2)だけずれる。一方、第1の光学軸V1は、軸L4に対して(γ+Δα/2)だけずれる。つまり、第2の光学軸V2は、光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対して(−Δα/2)だけずれることとなる。一方、第1の光学軸V1は、光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対して(Δα/2)だけずれることとなる。
このように、本実施形態によれば、平均光学軸V3を光学フィルムチップFcにおいて目的となる光学軸の方向に対応させているため、光学フィルムFのエッジラインに沿う軸L1を光学フィルムチップにおいて目的とされる光学軸の方向とした場合に比べて、第1の光学軸V1及び第2の光学軸V2の双方のずれ角を半分に低減させることができる(ずれ角Δα→Δα/2)。
図7は、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出すときの説明図である。
尚、図7において、符号Lc1は、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す際の切り出し線(X軸方向に沿う切り出し線、Y軸方向に沿う切り出し線)のうちX軸方向に沿う切り出し線と重なる軸である。軸Lc1は、図6(b)に示した切断方向Vcに対して平行な軸である。尚、軸Lc1は光学フィルム中間体Faの切断辺に対して平行な方向(第1の方向)に対応する。
第2切断装置6は、制御装置10の制御信号により、軸Lc1に基づいて、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す。本実施形態においては、平均光学軸V3に対して所定の角度γをなす軸Lc2(軸L4)が光学フィルム中間体Faから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となる。尚、軸Lc2が第1の方向に直交する方向(第2の方向)に対応する。
このように、光学フィルム中間体Faの切断辺に対して平行な第1の方向と当該第1の方向に直交する第2の方向とで前記光学フィルム中間体を切断することにより、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出すことができる。
(光学フィルムチップの切り出し方法)
本実施形態における光学フィルムチップの切り出し方法は、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータを取得する第1のステップと、光学フィルムFから光学フィルム中間体Faを切り出す第2のステップと、切り出された光学フィルム中間体Faの切断辺に対して平行な第1の方向と第1の方向に直交する第2の方向とで光学フィルム中間体Faを切断することにより、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す第3のステップと、を含む。
以下、図8を用いて具体的に説明する。
図8は、光学フィルムチップの切り出し方法を示すフローチャートである。
まず、第1のステップとして、制御装置10が記憶装置9に記憶された光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータを取得する(図8に示すステップS1)。
次に、第2のステップとして、光学フィルムFから光学フィルム中間体Faを切り出す(図8に示すステップS2)。具体的には、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータに基づいて光学フィルムFの面内の平均的な光学軸の方向を算出する。次いで、光学フィルムFの面内の平均的な光学軸の方向が光学フィルムFの切断方向に対して目的の角度をなすように光学フィルムFの切断方向を調整する。
例えば、制御装置10により、光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータに基づいて光学フィルムFの面内の平均的な光学軸の方向を算出し、光学フィルムFの面内の平均的な光学軸の方向が光学フィルムFの切断方向Vcに対して目的の角度をなすようにカット部51を回転させる。本実施形態においては、図6(b)に示すように、平均光学軸V3に対して所定の角度γをなす軸(軸L4)が光学フィルムFから複数のフィルムチップFcを切り出す際の基準となるようにカット部51を回転させ、光学フィルムFの切断方向を調整する。
そして、調整された切断方向で光学フィルムFを切断することにより、光学フィルムFから光学フィルム中間体Faを切り出す。
その後、第3のステップとして、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す(図8に示すステップS3)。例えば、図7に示すように、軸Lc1に基づいて、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcを切り出す。
以上の工程により、複数の光学フィルムチップFcが得られる。
本実施形態の光学フィルムチップの切り出し装置12、光学フィルムチップの製造システム1、光学フィルムチップの切り出し方法によれば、記憶装置9に予め記憶された光学フィルムFの光学軸の面内分布のデータに基づいて光学フィルムFの切断方向が調整される。この調整では、光学フィルムFの面内の平均的な光学軸の方向が光学フィルムFの切断方向に対して目的の角度をなすように光学フィルムFの切断方向が調整される。そして、このように調整された切断方向で光学フィルムFから光学フィルム中間体Faが切り出される。そして、切り出された光学フィルム中間体Faの切断辺に対して平行な第1の方向と当該第1の方向に直交する第2の方向とで前記光学フィルム中間体Faが切断されることにより、光学フィルム中間体Faから複数の光学フィルムチップFcが切り出される。よって、各光学フィルムチップFcの間で生じる光学軸のばらつきを低減することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
1…光学フィルムチップの製造システム、3…検査装置、5…第1切断装置、6…第2切断装置、9…記憶装置、10…制御装置、11…光学フィルムの製造装置、12…光学フィルムチップの切り出し装置、32…検光子、F…光学フィルム、Fa…光学フィルム中間体、Fc…光学フィルムチップ、V1…第1の光学軸、V2…第2の光学軸、V3…平均光学軸(光学フィルムの面内の平均的な光学軸)

Claims (6)

  1. 光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し装置であって、
    前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得し、前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルムの切断方向に対して目的の角度をなすように前記光学フィルムの切断方向を調整する制御装置と、
    前記制御装置によって調整された切断方向で前記光学フィルムを切断することにより、前記光学フィルムから光学フィルム中間体を切り出す第1切断装置と、
    前記第1切断装置によって切り出された前記光学フィルム中間体の切断辺に対して平行な第1の方向と前記第1の方向に直交する第2の方向とで前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から前記複数の光学フィルムチップを切り出す第2切断装置と、
    を含み、
    前記制御装置は、前記光学フィルムの面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角を2等分する軸を前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸として算出する光学フィルムチップの切り出し装置。
  2. 前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを記憶する記憶装置を含む請求項1に記載の光学フィルムチップの切り出し装置。
  3. 前記光学フィルムを製造する光学フィルムの製造装置と、
    前記光学フィルムの製造装置によって製造された前記光学フィルムから前記複数の光学フィルムチップを切り出す請求項1または2に記載の光学フィルムチップの切り出し装置と、
    を含む光学フィルムチップの製造システム。
  4. 前記光学フィルムの製造装置は、前記光学フィルムの光学軸を前記光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する検査装置を含む請求項に記載の光学フィルムチップの製造システム。
  5. 前記検査装置は、前記光学フィルムの幅方向に移動可能な検光子を含み、
    前記検査装置は、前記検光子を前記光学フィルムの幅方向に移動させつつ前記検光子によって前記光学フィルムの光学軸を検出することにより、前記光学フィルムの光学軸を前記光学フィルムの幅方向の複数の検査位置で検査する請求項に記載の光学フィルムチップの製造システム。
  6. 光学フィルムから複数の光学フィルムチップを切り出す光学フィルムチップの切り出し方法であって、
    前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータを取得する第1のステップと、
    前記光学フィルムの光学軸の面内分布のデータに基づいて前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸の方向を算出し、前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸の方向が前記光学フィルムの切断方向に対して目的の角度をなすように前記光学フィルムの切断方向を調整し、調整された前記切断方向で前記光学フィルムを切断することにより、前記光学フィルムから光学フィルム中間体を切り出す第2のステップと、
    切り出された前記光学フィルム中間体の切断辺に対して平行な第1の方向と前記第1の方向に直交する第2の方向とで前記光学フィルム中間体を切断することにより、前記光学フィルム中間体から前記複数の光学フィルムチップを切り出す第3のステップと、
    を含み、
    前記光学フィルムの面内で最も大きな角度で交差する2つの光学軸を検出し、前記2つの光学軸がなす角度を2等分する軸を前記光学フィルムの面内の平均的な光学軸として算出する光学フィルムチップの切り出し方法。
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