以下、本発明の一実施例に係る遊技機であるぱちんこ遊技機について説明する。本実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。またこれらの遊技性を両立させるために、本実施例のぱちんこ遊技機は、複数の始動入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプ、複数の大入賞口を備える。
<ぱちんこ遊技機の正面構成及びゲーム性の概要>
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技媒体である遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、皿ユニット200に設けられ、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、同じく皿ユニット200に設けられ、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。下球皿16の下方に位置する下部前板18には複数のスピーカ19が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、扉14の陰に隠れた外レールと内レールにより区画された遊技領域52上に、アウト口58、演出図柄表示装置60、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、センター飾り64、第1大入賞口91、第2大入賞口92、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない多数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
また、遊技領域52の外における正面から見て左下の部位には、特別図柄等表示装置53が設置されており、この特別図柄等表示装置53には、図6に示すように、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71が設けられている。なお、本実施例においては、第1特別図柄表示装置70及び第2特別図柄表示装置71を総称して特別図柄表示装置と称する場合もある。
図1及び図3に示すように、第1始動入賞口62は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動入賞口63は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動入賞口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成(出力)する。第2始動入賞口63は、始動入賞検出装置75と、普通電動役物(図示略)と、普通電動役物を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成(出力)する。普通電動役物ソレノイド76の駆動力により普通電動役物が拡開されると、第2始動入賞口63への入球容易性が高まる。
なお、第2始動入賞口63は第1始動入賞口62の下、すなわち第1始動入賞口62によって遊技球の入球が阻害される位置に設けられる。そのため、普通電動役物が拡開しない間は、第2始動入賞口63への入球は第1始動入賞口62により阻害されることとなり、第2始動入賞口63は入球困難な状態が維持される。したがって、遊技において第2始動入賞口63への入球を狙うためには、普通電動役物を拡開させる必要がある。なお、本実施例では、普通電動役物が拡開された結果、第2始動入賞口63への入球容易性は、第1始動入賞口62への入球容易性よりも高くなっているが、第1遊技と第2遊技の結果得られる利益等に応じて適宜設定すればよく、普通電動役物が拡開していない場合には一切入球しない構造、或いは第1始動入賞口62と同程度の開口巾を有するようにしても良い。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73(図3のブロック図を参照)を複数備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成(出力)する。なお、一般入賞検出装置73は、一般入賞口に対して個々に有しても良いし、複数の一般入賞口72に入球した遊技球を一括して集合、検出しても良く、或いは各一般入賞口の配置位置(上下・左右)や設定される賞球個数(5個賞球と10個賞球)に応じて適宜グループ化して集合、検出しても良い。
図1に示すように、第1大入賞口91は第1の遊技に対応する大入賞口として設けられ、第2大入賞口92は第2の遊技に対応する大入賞口として設けられる。第1大入賞口91は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78(図3のブロック図を参照)と、第1大入賞口91を開閉させるための第1の開閉扉(図示略)、及び第1の開閉扉を駆動する大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、第1大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1大入賞口入賞情報を生成(出力)する。
第2大入賞口92は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置79と、第2大入賞口92を開閉させるための第2の開閉扉、及び第2の開閉扉を駆動する大入賞口ソレノイド81を備える。入賞検出装置79は、第2大入賞口92への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2大入賞口入賞情報を生成(出力)する。
第1大入賞口91は、第1特別図柄192(図6を参照)が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第1大入賞口91はアウト口58の上方の位置に設けられる。第2大入賞口92は、第2特別図柄193が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第2大入賞口92はアウト口58の右上方の位置に設けられる。
なお、本実施例においては、第1大入賞口91、第2大入賞口92の前方に装飾板91b,92bが各々設けられており、各装飾板には、遊技領域52を装飾するための文字や図形などが描かれている。この装飾板91b,92bには、第1の開閉扉、第2の開閉扉、第1大入賞口91、及び第2大入賞口92を遊技者が視認できるように透明な材質が採用されているが、装飾板91b,92bを不透明としてもよい。また、第1大入賞口91と第2大入賞口92は1の大入賞口(たとえば第1大入賞口91)のみを配置して共通的に利用しても良い。
遊技領域52の略中央に演出図柄表示装置60が設けられ、その左下方に離れて第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置70と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置71とが互いに左右に隣接する形で設けられている(図6を参照)。第1特別図柄表示装置70には第1の遊技に対応する第1特別図柄192の変動が表示され、第2特別図柄表示装置71には第2の遊技に対応する第2特別図柄193の変動が表示される。第1特別図柄192は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を契機として行われる第1の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄193は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を契機として行われる第2の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71は、例えば右下隅にドットが付加された7セグメントLEDで構成される表示手段であり、第1特別図柄192および第2特別図柄193はそれぞれ「0」〜「9」の10種類の数字と記号αおよび記号βで表される。
なお、記号αと記号βは、7セグメントLEDのセグメント組み合わせで表示できる点灯パターンであって、そのパターン自体が文字等の意味をもつ配置とはなっていないものを示す。そのようなパターンを本明細書では便宜上「記号」と称し、その種類を区別するために「記号α」「記号β」として表記する。ちなみに、図6における第2特別図柄の右側には、特別遊技における単位遊技の回数(所謂ラウンド数)を示すラウンド表示装置(図番省略)が2桁の7セグメントLEDとして設けられており、後述する第1又は第2特別遊技の発生に応じて両特別遊技のラウンド数を共用的に表示するようになっている。
図7(a),(b)に示すように、演出図柄表示装置60の表示領域194には第1特別図柄192や第2特別図柄193に連動する左の装飾図柄190a、中の装飾図柄190b、右の装飾図柄190cの変動が表示される。演出図柄表示装置60は、たとえば液晶ディスプレイである。装飾図柄190a〜190cは、第1特別図柄192で示される第1の抽選の結果表示または第2特別図柄193で示される第2の抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出図柄表示装置60は、装飾図柄190a〜190cとして、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を表示領域194に表示する。
演出図柄表示装置60は、本実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出図柄表示装置60の左下方の第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出図柄表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。また、本実施例では、装飾図柄190a〜190cを、演出図柄表示装置60において、第1特別図柄192と第2特別図柄193とで共通で採用したものを例示しているが、個別に表示したり、装置自体を別個に設けてもよく、本実施例のように共用する場合にはいずれの特別図柄に対応した表示であるかを示す表示を演出図柄表示装置60の隅部に表示しても良い。
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69(図3を参照)を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成(出力)する。作動口68への遊技球の通過は第2始動入賞口63の普通電動役物を拡開させるための抽選の契機となる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レールと外レールに案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」、「入球」、「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が第1始動入賞口62に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cが変動表示される。遊技球が第2始動入賞口63に入球すると、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cが変動表示される(図7(a)を参照)。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190a〜190cの変動表示は、表示に先だって決定された変動時間の経過後に停止される(図7(b)を参照)。停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190a〜190cが大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190a〜190cは、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190a〜190cが大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が開始される。
特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放される単位遊技が複数回繰り返される遊技であり、単位遊技が最大回数である15回繰り返される特別遊技と、単位遊技が最少回数である2回だけ繰り返される特別遊技とがある。15回の単位遊技が繰り返される特別遊技(以下、適宜「15R大当り」とも称する)の場合、第1大入賞口91または第2大入賞口92は約30秒間開放されたとき、または9球以上の遊技球が落入したときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。2回の単位遊技が繰り返される特別遊技(以下、適宜「2R大当り」とも称する)の場合、第1大入賞口91または第2大入賞口92は約0.2秒間開放されたときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。なお、本実施例では、上記特別遊技の種類(単位遊技の実行回数、開放する大入賞口(特別遊技の全単位遊技に亘り第1大入賞口91・第2大入賞口92のいずれを開放させるか、或いは各単位遊技毎のいずれの大入賞口を開放させるか)、大入賞口の開放パターン等)は停止表示した特別図柄(第1特別図柄192、第2特別図柄193)に紐づいて決定されるように構成されているが、特別遊技の種類を別の抽選により決定しても良い。
停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190a〜190cが所定の小当り態様であった場合、1回の単位遊技で構成される小当り遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が実行される。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190a〜190cが小当り態様であった場合もまた小当り遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が実行される。小当り遊技を構成する1回の単位遊技においては、第1大入賞口91または第2大入賞口92が約0.2秒間の開放を2回繰り返すので、外観上は2R大当りと同様の動作態様となる。なお、小当り遊技についても前述した特別遊技のように複数の小当り種類を設け、開放する大入賞口や1単位遊技内の開放回数、開放パターンにバリエーションを持たせても良く、この種類の決定も特別遊技の種類を決定した際の手法と同様、小当りとなった特別図柄に基づき、或いは個別の抽選により行うことができる。また、種類として複数の態様のうち、小当りであることが外観上判別しやすい開放パターン(2R大当りであることが外観上判別しやする開放パターンの特別遊技)を一部に設けて遊技性を広げることもできる。
特別遊技が発生した場合であって抽選などの所定の条件が満たされた場合、特別遊技の終了後に特定遊技として確率変動遊技(以下、「確変」という)や変動時間短縮遊技(以下、「時短」という)が開始される。確変中は、通常の確率状態より大当りの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。本実施例においては、確変状態は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が大当りとなるまで継続される。15R大当りの場合はその特別遊技の終了後に確変が開始される場合とされない場合があるが、2R大当りの場合はその特別遊技の終了後に必ず確変が開始される。ただし、変形例としては確変を伴わない2R大当りを併設してもよい。時短は、第1特別図柄192と第2特別図柄193の変動表示の合計が所定の終了条件回数、例えば100回に達するまで継続される。時短中は、第1特別図柄192または第2特別図柄193の変動時間が概ね短縮される。
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、普通図柄と呼ばれる図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は特別図柄等表示装置53に設けられており、本実施例では二つのランプが交互に点灯と消灯を繰り返す形で普通図柄の変動表示を表現し、どちらのランプが最終的に点灯したまま停止するかによって普通図柄の抽選結果を表す。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が所定の当り態様にて停止すると、第2始動入賞口63の普通電動役物が所定時間拡開する。なお、本実施における「ランプ」の用語はLED等も含む意味を有している。
演出図柄表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出図柄表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。多数の遊技効果ランプ(LED等、図示しない)がセンター飾り64の内部に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。また、センター飾り64には、可動演出部材93,94が設けられており、これらが演出用のギミックを構成している。
また、第1の遊技に対応する第1特図保留ランプ20は第1特別図柄表示装置70の上方に設けられ、第2の遊技に対応する第2特図保留ランプ21は第2特別図柄表示装置71の上方に設けられ、普通図柄変動に対応する普図保留ランプ22は普通図柄表示装置59の下方に設けられる。
第1特図保留ランプ20および第2特図保留ランプ21は、それぞれ2個のランプからなり、それぞれの点灯個数または点滅個数によって第1の遊技および第2の遊技のそれぞれにおける当否抽選値の保留数を表示する。第1特図保留ランプ20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中または特別遊技の実行中に第1始動入賞口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特図保留ランプ21における当否抽選値の保留数は、第2特別図柄193いずれかの変動中または特別遊技の実行中に第2始動入賞口63へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。
普図保留ランプ22もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。操作ボタン82は、遊技者が遊技機側所定の指示を入力するために操作するボタンである。この操作ボタン82は、上球皿15の上部の外壁面に設けられており、上球皿15の左右方向の中央近傍に位置している。
操作ボタン82は、ボタン演出が実行された場合に遊技者によって操作され、遊技者に対し、自分が遊技の演出や当否抽選に参加しているような感覚を与える機能を発揮するものである。ボタン演出としては、例えば装飾図柄の変動表示過程で行われるリーチ演出中に、演出図柄表示装置60の表示領域194に操作ボタン82の図柄とともに、「Push」、「連打せよ」等といった文字が表示され、遊技者がこれに従って操作ボタン82を操作すると、登場人物がコメントを発するような演出や、味方キャラクタが敵キャラクタに対する攻撃を行うような演出が挙げられる。
通常時は操作ボタン82の操作が無効となっているが、ボタン演出中は操作ボタン82の操作が有効となるボタン操作有効期間となっている。ボタン操作有効期間は、予め設定された一定時間となっている。なお、操作ボタン82に振動モータ(図示略)を組み合わせて、操作ボタン82を振動させる振動演出を行うことも可能である。
演出図柄表示装置60の表示領域194の下部には、図7(a),(b)中に示すように、第1の遊技における当否抽選値の保留数を示す第1保留数表示部196と、第2の遊技における当否抽選値の保留数を示す第2保留数表示部197とが表示される。ちなみに、保留表示については第1の遊技、第2の遊技の保留数が増加すると、夫々の遊技者からみて左側(図7でも左側)を基準として順次表示が変化するようになっており、通常遊技時に多く入賞する第1始動入賞口62側(第1の遊技)の保留表示を基準側(左側)に、通常時にほとんど入賞しない第2始動入賞口63側(第2の遊技)の保留表示を右側に表示している。これは通常時の保留状態を遊技者が直感的に把握しやすくなることが期待できるためである。
<ぱちんこ遊技機の背面構成及び電気的構成の概要>
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。図2に示すように前枠12の背面には、遊技球を誘導又は回収するための機構を備えたセット基盤39が取着されており、このセット基盤39の下方に、遊技機全体に電源を供給するための電源ユニット48、遊技機枠側の制御を行う払出制御基板45が取り付けられている。また、遊技盤背面には、遊技全体を統括制御する主制御基板102、主制御基板102から受信される情報や独自に入力される情報に基づいて液晶ユニット42(演出図柄表示装置60)等の各種演出装置の動作を制御する演出制御基板104がセット基盤39の開口に対応するような位置に取り付けられている。
セット基盤39には、その上部に賞球を貯留する賞球タンク44、賞球タンク44に貯留された遊技球を整流案内する賞球通路、賞球通路と連絡し賞球タンク44内に貯留された球を1球単位で下方に流下排出可能な賞球払出装置43、賞球払出装置43から流下された遊技球を賞球として球皿(上球皿15又は下球皿16)に案内する賞球排出通路が図2のように遊技盤50の上方から背面視右側部に亘って逆L字状に形成・配置されるとともに、遊技盤50の背面中央に対応する位置に適宜広さの開口部が設けられている。賞球払出装置43は、ステッピングモータを用いた払出しモータによりスプロケットを回転させて遊技球を送出するものである。
電源ユニット48は図2のように遊技機の背面視左下に設けられており、遊技機外部から供給される交流電源を遊技機全体(主制御基板102、演出制御基板104を含む制御装置や液晶ユニット42等の演出装置など)で使用する各種の電圧に変換・生成して供給するものである。電源ユニット48の右側には、電源ユニット48から遊技機各部へ供給する電源を遮断するために傾倒スイッチで構成される電源スイッチ40が遊技球が直撃落下してもオフにならないように下側に傾倒したとき(スイッチの中央より下を押したとき)にオンとなるように設けられている。
払出制御基板45は、図2のように遊技機の背面視右下に設けられており、主に、主制御基板102からの払出に係る指令や外部からの貸出要求に応じて賞球払出装置43を制御する払出制御機能と、発射ハンドル17の操作量に応じた強度で遊技球を遊技領域に発射するように発射装置を制御する発射制御機能とを備えたものであり、CPU・ROM・RWM(リードライトメモリ、以下略。)を中心に適宜入出力回路等を備えている。
主制御基板102は、図2のように遊技盤50の背面視中央下部に設けられており、主に、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63へ入賞したことに基づく抽選処理等、遊技機の出球に関する処理や、演出制御基板104、払出制御基板45等に対する制御指令、遊技状態情報等を出力する処理など、遊技機全体の中心的な制御機能を備えたものであり、前述の払出制御基板45と同様にCPU・ROM・RWMや適宜入出力回路を備えている。
演出制御基板104は、図2のように遊技盤50の背面視中央上部に、液晶ユニット42と一体的に設けられており、主に、液晶ユニット42(演出図柄表示装置60)における表示内容を制御する機能を備えたものであり、先の主制御基板102、払出制御基板45と同様にCPU・ROM・RWMや適宜入出力回路を備えている。なお、演出制御基板104は画像を制御する機能を有する関係上、演出制御基板用の主CPUに加え、画像用のVDP、VDPを制御する画像制御専用のCPUも搭載している。
そして、これらの主制御基板102、払出制御基板45、および演出制御基板104は、遊技制御装置100を構成する。なお、主制御基板102、払出制御基板45、および演出制御基板104の詳細については後述する。また、セット基盤39の図2中における右上部には、主制御基板102や払出制御基板45等からの信号をぱちんこ遊技機10の外部の機器へ中継する外部中継端子板49が設けられている。
<ぱちんこ遊技機の主要な機能ブロック及び機能の概要>
図3は、第一実施例のぱちんこ遊技機10における遊技制御装置100と、遊技制御装置100に対する入出力機器とを機能ブロックにより示している。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出図柄表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ19、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や遊技の進行を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御基板102と、図柄の演出等を制御する演出制御基板104とに機能を分担させた形態で構成される。
なお、本実施例においてブロック図中のブロックとして説明されている構成(特に各種の機能的手段や機能的部分)については、CPUやROM、RWMによって実現されている機能に該当するものが含まれている。
本実施例における主制御基板102は、図5に示すように、入球判定手段110、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段136、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、小当り遊技制御手段330、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、条件保持手段176を備える。本実施例における演出制御基板104は、図示を省略するが、パターン記憶手段、演出決定手段、演出表示制御手段を備える。なお、主制御基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかが主制御基板102ではなく演出制御基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、演出制御基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかが演出制御基板104ではなく主制御基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、主制御基板102と演出制御基板104の間におけるデータの送受信は主制御基板102から演出制御基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成が主制御基板102と演出制御基板104に配置される。このように主制御基板102から演出制御基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、演出制御基板104に含まれる構成から主制御基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、主制御基板102で生成された情報は、主制御基板102が演出制御基板104へ一方的に送信しない限り演出制御基板104から参照することはできない。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動入賞口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動入賞口63に入賞したと判断する。入球判定手段110は、第1大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第1大入賞口91に入賞したと判断し、第2大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第2大入賞口92に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
第1始動入賞口62への入球に対応する第1の抽選を実行する第1抽選手段126は、第1抽選値取得手段112、第1当否判定手段113、第1パターン決定手段114、第1図柄決定手段320を含む。第2始動入賞口63への入球に対応する第2の抽選を実行する第2抽選手段128は、第2抽選値取得手段115、第2当否判定手段117、第2パターン決定手段119、第2図柄決定手段322を含む。第1の抽選の結果は、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cの変動表示の形で示される。第2の抽選の結果は、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cの変動表示の形で示される。
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに演出決定手段へ送信するためのデータ出力を行う。
第1抽選値取得手段112は、第1始動入賞口62への入球を契機に、第1の抽選のために乱数の値を第1当否抽選値として取得する。第2抽選値取得手段115は、第2始動入賞口63への入球を契機に、第2の抽選のために乱数の値を第2当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。本実施例では、第1当否抽選値及び第2当否抽選値として取得する乱数は、ハードウエアで構成された1の生成装置を共用したハードウエア乱数とソフトウエアの乱数生成プログラム(割込毎に更新するカウンタ等)により抽出したソフトウエア乱数とを演算(加算)した2段構成の乱数発生手段により生成されている。ちなみに、取得タイミングが全く同一であれば第1始動入賞口62の入球に基づくハードウエア乱数の値と第2始動入賞口63の入球に基づくハードウエア乱数の値とは同一の値が取得されるため一方の乱数取得系のみが故障して想定外の遊技確率とならないように設計されている。第1抽選値取得手段112および第2抽選値取得手段115が第1当否抽選値または第2当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない範囲で第1当否抽選値と第2当否抽選値が保留される。
第1当否判定手段113は、第1当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第2当否判定手段117は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否判定テーブルを保持する。
図3に戻り、普図抽選手段136は、作動口68を遊技球が通過したときに抽選値を取得することにより抽選を実行する。普図抽選手段136による抽選の結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄の形で変動表示される。普図抽選手段136は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄判定テーブルを保持する。その図柄判定テーブルには抽選値と普通図柄の対応関係が定められており、普図抽選手段136は普通図柄の停止図柄を図柄判定テーブルを参照して決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が第2始動入賞口63の普通電動役物を所定時間拡開する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第1の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。第2保留手段146は、新たに第2の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第2の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第2の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。普図保留手段147は、普図抽選手段136により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ第1特図保留ランプ20、第2特図保留ランプ21、普図保留ランプ22の点灯数または点滅数により表される。第1保留手段144および第2保留手段146による保留の数は表示領域194にも表示される。
第2保留手段146に保留された抽選値は第1保留手段144に保留された抽選値より優先的に消化されて図柄変動が表示される。そのため、第1保留手段144に大当りの抽選値が保留されていても第2保留手段146に保留がある限りは第1保留手段144の大当り抽選値に対応する図柄変動は表示されない。したがって、第1保留手段144に大当りの保留があっても、さらに第2保留手段146へ大当りの保留が入るまで打ち続けることで、複数回の連続的な大当りを獲得できる可能性がある。
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄192の変動を第1特別図柄表示装置70に表示させる。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による第2の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄193の変動を第2特別図柄表示装置71に表示させる。
第1特図制御手段148は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。一方、第2特図制御手段150は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合、第2保留手段146によって保留された抽選値が優先的に読み出されて図柄変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその図柄変動も開始しない。
第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを前述の演出表示制御手段へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値と第1の抽選と第2の抽選のいずれであるかを示す値とを変動開始コマンドとともに演出表示制御手段へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段153は、普図抽選手段136による抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
条件保持手段176は、大入賞口の開放を伴う単位遊技を複数回含む特別遊技へ移行するための条件として特別遊技作動条件を保持する。特別遊技作動条件は、第1の抽選または第2の抽選で特別遊技へ移行する旨を示す結果となり、その抽選に対応する図柄変動が停止したことを条件の内容とする。
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。15R大当りにおいては、1回の単位遊技において第1大入賞口91または第2大入賞口92を原則として約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。
小当り遊技制御手段330は、第1抽選手段126による第1の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより小当り遊技を実行する。同様に、小当り遊技制御手段330は、第2抽選手段128による第2の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより小当り遊技を実行する。小当り遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回行う遊技であり、2回の開閉を単位とした1回の単位遊技で構成される。小当り遊技においては、第1大入賞口91または第2大入賞口92を2R大当りと同様に短時間だけ開放させる。小当り遊技制御手段330は、単位遊技を1回実行した後に小当り遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、確変および時短の状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、第1の抽選と第2の抽選のいずれの結果に起因する特別遊技であったかにかかわらずその特別遊技の終了後に必ず時短状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄が確変への移行を伴う大当り図柄であった場合に限られる。時短状態は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示回数の合計が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、たとえば100回に達するまで継続される。第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示時間が概ね短くなるよう、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。一方、確変状態は、次の大当りによる特別遊技が実行されるまで継続される。確変状態の間は第1当否判定手段113または第2当否判定手段117による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
開閉制御手段124は、第2始動入賞口63の普通電動役物や第1大入賞口91、第2大入賞口92の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第2始動入賞口63の普通電動役物を開放させる。開閉制御手段124は、特別遊技において、大入賞口ソレノイド80または大入賞口ソレノイド81に開放指示を送り、第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放させる。
演出制御基板104に備えられた前述のパターン記憶手段は、装飾図柄の変動演出パターンとして複数の変動演出パターンデータを保持する。同じく演出制御基板104に備えられた前述の演出決定手段は、第1抽選手段126から受け取る第1の抽選の結果または第2抽選手段128から受け取る第2の抽選の結果に応じて、前述の演出表示制御手段によって演出図柄表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段は、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータの中からいずれかを選択してパターン記憶手段から読み出す。演出決定手段は、装飾図柄190a〜190cの停止図柄の組合せを第1抽選手段126または第2抽選手段128が決定する特別図柄の停止図柄や変動パターンに基づいて決定する。
装飾図柄190a〜190cの停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190a〜190cとして揃える数字には、第1特別図柄192や第2特別図柄193と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、第1特別図柄192または第2特別図柄193が「7」の場合は装飾図柄190a〜190cが「777」となる。あるいは、3つの図柄の少なくとも一つに当りであることを示す特定の図柄が含まれる図柄の組み合わせによっても、その大当りを示すようにしてもよい。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きのはずれを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段は、装飾図柄190a〜190cの停止図柄組合せと装飾図柄の変動演出パターンデータを演出表示制御手段へ送る。
装飾図柄の変動演出パターンデータには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの変動過程と演出過程が定義される。変動演出パターンには、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経てから当り態様またははずれ態様である停止図柄組合せを表示するリーチパターンと、リーチ状態を経ずにはずれ態様である停止図柄組合せを表示するリーチなしパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動演出パターンを選択する。
演出表示制御手段は、第1演出制御手段および第2演出制御手段を含む。演出表示制御手段は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ19からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
第1演出制御手段および第2演出制御手段は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果または第2抽選手段128による第2の抽選の結果を、選択された変動演出パターンデータにしたがって装飾図柄190a〜190cとして演出図柄表示装置60の表示領域194に変動表示させる。
第1演出制御手段は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。第2演出制御手段は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合は第2保留手段146により保留された抽選値が優先的に読み出されて装飾図柄の変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその装飾図柄の変動も開始しない。このように演出表示制御手段は、装飾図柄190a〜190cの変動表示を含む図柄変動演出を演出図柄表示装置60に表示させる。
演出決定手段は、第1始動入賞口62への入球に対応する入賞情報と事前判定結果とを第1抽選手段126から受け付けると、その事前判定結果の内容に応じて前兆設定をして、表示させるべき予告演出パターンを決定する。同様に、第2始動入賞口63への入球に対応する入賞情報と事前判定結果とを第2抽選手段128から受け付けると、その事前判定結果の内容に応じて前兆設定をして、表示させるべき予告演出パターンを決定する。前兆設定がなされた場合、演出表示制御手段は、その前兆設定の契機となった入球に対応する図柄変動の実行前、例えば他の入球に対応する図柄変動において、予告演出パターンに応じた予告演出を表示させる。以下、事前判定結果に応じて設定される予告演出を「先読み演出」とも呼ぶこととする。
また演出決定手段は、入賞情報に設定された第1保留手段144における保留数(以下、「第1の保留数」とも呼ぶ。)と第2保留手段146における保留数(以下、「第2の保留数」とも呼ぶ。)、および、図柄変動の実行状況(すなわち保留の消化状況)に応じて、現在時点での第1の保留数および第2の保留数を特定する。演出表示制御手段は、演出決定手段において特定された第1の保留数および第2の保留数を、演出図柄表示装置60の第1保留数表示部196および第2保留数表示部197に表示させる。また、演出決定手段において保留数が新たに特定されると、第1保留数表示部196および第2保留数表示部197の表示を逐次更新する。
<ぱちんこ遊技機の電気的構成の詳細>
次に、前述の電気的構成(図2,図3参照)の細部について、図4及び図5に基づき説明する。先ず、図4に示すように、ぱちんこ遊技機10には、電源基板251、払出制御基板45、主制御基板102、及び演出制御基板104が備えられている。電源基板251には、上記払出制御基板45等が接続されている。払出制御基板45には、上記主制御基板102、遊技球等貸出装置(カードユニット)接続端子板(図示略)、及びハンドル接続基板253等が接続されており、主制御基板102には、遊技盤接続基板254や、演出インターフェースA基板(図示略)等が接続されている。そして、遊技盤接続基板254には、図柄表示基板256が接続されている。
ここで、電源基板251は、前述の電源ユニット48に備えられており、遊技球等貸出装置接続端子板は、球貨操作に用いられる球貨操作基板(図示略)等が接続される。ハンドル接続基板253には、発射装置のタッチスイッチ(図示略)や発射停止スイッチ(図示略)等が接続され、遊技盤接続基板254には、図柄表示基板256のほか、前述の通過検出装置69、普通電動役物ソレノイド76、第1大入賞口91の入賞検出装置78や大入賞口ソレノイド80、第2大入賞口92の入賞検出装置79や大入賞口ソレノイド81、一般入賞検出装置73,磁気センサや電波センサ(図示略)等が接続されている。また、図柄表示基板256は、前述の特別図柄等表示装置53に備えられているものであり、図柄表示基板256には、第1特別図柄表示装置70や第2特別図柄表示装置71が設けられている。
前述の演出インターフェースA基板は、主制御基板102と他の機器とを中継するものであり、この演出インターフェースA基板には、演出制御基板104や、演出インターフェースB基板(図示略)が接続されている。また、演出制御基板104には、前述の液晶ユニット42が接続されている。
演出インターフェースB基板は、演出インターフェースA基板や演出制御基板104と他の機器とを中継するものであり、この演出インターフェースB基板には、図示を省略するが、プラ枠接続基板、各種の枠電飾基板、各種の枠モータ、センター飾り64の各種電飾基板、可動演出部材93,94の各種の可動体モータ等が接続されている。ここで、枠モータは、遊技機枠に備えられた可動演出部材(図示略)の駆動に用いられるものである。
プラ枠接続基板には、上球皿15や下球皿16に設けられた皿電飾接続基板259、各種スピーカ19に接続される各種スピーカ接続基板のうちの下スピーカ接続基板260が接続されており、皿電飾接続基板259には、演出ボタン基板261が接続されている。演出ボタン基板261は、操作ボタン82が備えられたボタン装置に設けられているもので、操作ボタンが押圧操作されたことを検出するスイッチ(図示略)や、後述する操作ボタン用発光体等を搭載している。
次に、電源基板251や主制御基板102等の構成について説明する。図4に示すように、主制御基板102には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRWM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路(図示略)が内蔵されている。なお、ROM502としては、内蔵されたものと外付けされたものを併用してもよい。
RWM503は、ぱちんこ遊技機10の電源の遮断後においても電源基板251からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっている。
RWM503は、停電(瞬間的な電圧降下による停電を含む)などの発生により電源が遮断された場合(電断が生じた場合)において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値をバックアップしておき、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップされた情報に基づいてぱちんこ遊技機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RWM503への書き込みは電源断処理(図9参照、後述する))によって実行され、RWM503に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の制御開始処理(図8,9参照、後述する)において実行される。なお、CPU501のノンマスカブル割込み(NMIと略す場合もある)端子504には、停電等の発生による電源遮断時に、電源基板251の停電監視回路部542(後述する)からの電断信号が入力されるように構成されており、その電断信号がCPU501へ入力されると、停電時処理としてのノンマスカブル割込み処理が即座に実行される。
払出制御基板45において、演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRWM513とを備えている。
払出制御基板45のRWM513は、主制御基板102のRWM503と同様に、ぱちんこ遊技機10の電源の遮断後においても電源基板251からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっている。
演出制御基板104は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRWM523と、ビデオRWM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン(図示略)とを備えている。入力ポート527の入力側には主制御基板102の出力側が接続され、入力ポート527の出力側には、CPU521、ROM522、ワークRWM523、画像コントローラ526、出力ポート528が接続されている。
演出制御基板104のCPU521は、主制御基板102から送信される図柄表示用のコマンドに基づいて演出図柄表示装置60の表示を制御する。ROM522は、CPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRWM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
ビデオRWM524は、演出図柄表示装置60に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRWM524の内容を書き替えることにより、演出図柄表示装置60の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、演出図柄表示装置60に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRWM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRWM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出し、更に予め優先順位を定めたレイヤの順に図柄を重ねて演出図柄表示装置60に表示させるものである。
電源基板251は、ぱちんこ遊技機10の各部に電源を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路部542と、RWMクリアスイッチ544を有するRWMクリアスイッチ回路部543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御基板102や払出制御基板45等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される所定の電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための所定量の電圧を主制御基板102や払出制御基板45等に対して供給する。
停電監視回路部542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御基板102のCPU501のノンマスカブル割込み(NMI)端子504、及び払出制御基板45のノンマスカブル割込み端子514へ電断信号を出力するための回路を備えている。停電監視回路部542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定(例えば30ボルト)の電圧を監視し、この電圧が例えば所定電圧未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、電断信号を主制御基板102及び払出制御基板45へ出力する。電断信号の出力によって、主制御基板102及び払出制御基板45は、停電の発生を認識し、ノンマスカブル割込み処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定電圧が所定電圧未満になった後においても、ノンマスカブル割込み処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御基板102及び払出制御基板45は、ノンマスカブル割込み処理を正常に実行し完了することができる。このような電断信号の発生後の制御処理については後述する。
なお、停電監視回路部542は、電源基板251以外の部位に配置することも可能である。例えば、主制御基板102上に停電監視回路部542を形成して、主制御基板102上において停電監視回路部542からCPU501のノンマスカブル割込み端子504に電断信号を入力してもよい。また、払出制御基板45への電断信号の入力を省略することも可能である。
RWMクリアスイッチ回路部543は、電源投入時に例えば遊技場店員等によってRWMクリアスイッチ544が押下された場合に、主制御基板102及び払出制御基板45へ、バックアップデータをクリアするためのRWM消去信号を出力する回路を備えている。主制御基板102及び払出制御基板45は、ぱちんこ遊技機10の電源投入時に、RWM消去信号を入力した場合に、それぞれのRWM503,513のデータをクリアする。
<ぱちんこ遊技機の主要な制御処理>
次に、上述の構成のぱちんこ遊技機10の主要な制御処理について、図8〜図13に基づいて説明する。なお、説明に先立ち、以下で用いる「特別電動役物」、「条件装置」、「役物連続作動装置」の用語について説明する。これらは何れもぱちんこ遊技機10の制御処理における概念上の機器を表しており、これらのうち「特別電動役物」は、第1大入賞口91、第2大入賞口92を作動させることとなるものである。また、「条件装置」は、第1大入賞口91や第2大入賞口92に進入した遊技球が検出された場合に作動するものであり、「役物連続作動装置」は、特別電動役物を連続して複数回作動させることができるものである。
また、ここで説明するぱちんこ遊技機10の主要な制御処理は、図8及び図9に示す制御開始処理と電源断処理、図10に示す遊技進行割込み処理、及び電源断確認情報設定の処理であり、これらは主制御基板102において実行される。さらには、主制御基板102における制御処理と関係する払出制御基板45の制御処理についても説明する。
<<制御開始処理>>
図8及び図9に示す制御開始処理においては、ぱちんこ遊技機10の電源投入によりCPU501の製造コードを利用したセキュリティチェックが行われた後に開始される制御処理であり、後述する電源投入時に必要な設定(S1〜S4)を実行後、RWMクリアスイッチ544の操作状態(S5)、電断時状況確認処理(S6〜S8)における電源断情報フラグの値、及びRWM領域の加算結果(チェックサムデータ)に対応して、電源断復帰時の処理(S9〜S17)、RWMの初期化時の処理(S24〜S26)、遊技進行割込み用の計時設定の処理(S27)、循環処理(S33(S28〜S32))、電源断確認情報設定時の処理(S301〜S307)等を実行する。
<<<電源投入時に必要な設定>>>
電源投入時に必要な設定として、スタックポインタの設定(S1)、割込みモードの設定(S2)、及びRWM503へのアクセス許可の設定(S3)が行われ、続いて内蔵レジスタの初期設定が行われる(S4)。
これらのうちスタックポインタの設定(S1)の処理においては、スタック領域を確保するため、スタックポインタにスタックポインタの初期値としてセットし、スタックポインタが特定の番地にセットされる。次に、割込みモードの設定(S2)においては、所定番号のモードを設定し、RWMのアクセス許可設定(S3)においては、RWMへのアクセスを許可するため、所定のレジスタにアクセス許可データをセットする。これにより、マスカブル割込みが特定の割込みモードに設定され、CPU内蔵RWMがアクセス許可にされる。さらに、内蔵レジスタの設定(S4)においては、内蔵レジスタ初期設定テーブルを用いて、遊技進行割込み使用設定値やクロック源選択値等といった対応する各種の設定値がセットされる。なお、主制御基板102における割込みについては後述する。
<<<RWMクリアスイッチの操作状態の確認>>>
RWMクリアスイッチ544の操作状態の確認の処理(S5)においては、入力ポートを介して入力されるRWMクリアスイッチ544の出力信号の状態が確認される。RWMクリアスイッチが押されたか(オンされたか)否かが判定され、押されていなければ(S5:NO)、後述する電断時状況判定処理(S6〜S8)中の電源断情報フラグの値の判定処理(S6)へ進む。一方、RWMクリアスイッチ544が押されていれば(S5:YES)、RWMの初期化時の処理(S24〜S26)の処理が行われる。
ここで、RWMクリアスイッチ544は、対応する入力ポートのRWMクリアスイッチビットが5回連続でオンと判定された場合に操作されたと判断される。また、RWMクリアスイッチ544が押されたか否かの情報の読み込みはこのとき1回だけ行われ、以降は読み込みが行われない。
また、このRWMクリアスイッチ544の状態確認の処理(S5)においては、RWM先頭アドレス(番地)が相対アドレスの基準値としてセットされ、入力確認回数(ここでは5回)のセット、対応する入力ポート値の入力、当該入力ポートの値のうちのRWMクリアスイッチビットの検査、検査結果の確認、セットされた入力確認回数に亘り繰り返される入力確認、等の制御処理を実行する。
<<<電断時状況確認処理>>>
RWMクリアスイッチ544の操作がなかった場合の電断時状況確認処理(S6〜S8)においては、電源断情報フラグの値が読込まれ、読込まれた値が所定の電源断正常データに一致するか否かが判定される(S6)。電源断正常データは、電源がオフする電源断(電断)が生じた際に、電源断の処理が正常に行われた場合に保存されるものである。そして、電源断情報フラグの値が電源断正常データに一致せず、S6における判定結果がNOとなった場合には、RWMクリアスイッチ544の操作があった場合と同様に、制御処理は後述するRWMの初期化時の処理(S24以降)へ移行する。
電源断情報フラグの値が電源断正常データに一致した場合(S6:YES)場合には、チェックサムデータが算出される(S7)。このチェックサムデータの算出の処理においては、図示は省略するが、チェックサムデータとして初期値がセットされ、チェックサムデータに対して所定の演算が行われた後、演算後のチェックサムデータが0と異なるか否かの判定が実行される。
チェックサムデータが0でなかった場合(S8:NO)、即ち再開準備処理実行条件が成立していない場合には、相対アドレスの基準値の上位にRWM先頭上位がセットされ、この場合にもRWMの初期化時の処理(S24以降)へ移行する。一方、チェックサムデータが0であった場合(S8:YES)には、後述する電源断復帰時の処理(S9〜S17)へ移行する。
<<<電源断復帰時の処理>>>
電源断復帰時の処理においては、スタックポインタにスタックポインタバッファの値がセットされ、スタックポインタが電源断時に保存した値に戻される(S9)。さらに、主制御基板102と演出制御基板104との通信線の検査を行うため、演出制御コマンドを演出制御基板104へ送信する要求がされ(S10,S11)、装飾ランプ(遊技効果ランプ)及び効果音(音響演出)の演出を電源断発生前の状態に戻すため、演出制御コマンドを演出制御基板104へ送信する要求がされる(S10,S11)。また、特別図柄表示装置(70,71)の作動保留球数に対応したコマンドの要求を行うため、図柄記憶数コマンド要求処理が実行される(S12)。
さらに、ソレノイドが電源断発生前の出力状態に戻される(S13)。具体的には、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92の開放/閉鎖状態を電源断前の状態に復帰させるため、普通電動役物ソレノイド76、大入賞口ソレノイド80,81についてのソレノイド作動ビットが順に検査される。普通電動役物ソレノイド制御のソレノイド作動ビットがオンの場合、電源断前に第2始動入賞口63が開放中と判断し、第2始動入賞口63を開放させるため、ソレノイド作動設定値を普通電動役物ソレノイド制御に格納する。続いて、第1大入賞ソレノイド制御のソレノイド作動ビットがオンの場合、電源断前に第1大入賞口91が開放中と判断し、第1大入賞口91を開放させるため、ソレノイド作動設定値を普通電動役物ソレノイド制御に格納する。また、第2大入賞ソレノイド制御のソレノイド作動ビットがオンの場合、電源断前に第2大入賞口92が開放中と判断し、第1大入賞口91を開放させるため、ソレノイド作動設定値を普通電動役物ソレノイド制御に格納する。
この後、以降の特別図柄の設定の処理(S14)へ進み、特別図柄表示装置(70,71)の確率変動機能の作動状態の情報が設定される。この処理においては、特別図柄モードフラグの値が読み込まれ、所定のレジスタにストアされる。次に、電源復帰の設定(S15)、及びデータ格納処理(S16)が実行される、さらに、払出制御基板45との通信線異常の検出設定(S17)が実行され、ここでは、エラーフラグのアドレスがセットされ、エラー1フラグの内容の通信線異常ビットがセットされる。そして、制御処理は、後述する遊技進行割込み用の計時設定の処理(S27)へ進む。
<<<RWMの初期化時の処理>>>
RWMの初期化時の処理(S24〜S28)においては、RWM領域をクリアした後(S24)、RWMの初期設定(S25)、演出表示器(演出図柄表示装置60)の初期化(S26)、及び遊技進行割込み用の計時設定(S27)を行う。このうちRWM領域のクリア(S24)からRWMの初期設定(S25)の処理においては、RWM全領域にクリアデータ(00H)がセットされ、クリアデータが相対アドレスの基準値としてストアされ、この基準値が+1される。さらに、この基準値のビット7が検査され、検査結果の判定が実行される。検査結果の判定の処理において、検査結果が0であれば、前述のクリアデータを上記基準値にストアする処理に戻り、検査結果が0であれば、初期化データ設定テーブルのアドレスがセットされる。これにより、RWMの初期値が設定される。なお、RWM領域のクリアは、全領域に対して行うものに限定されず、例えば特定の情報が記憶された一部の領域のみや、未使用の領域を除いた領域のみをクリアするようにしてもよい。
演出表示器の初期化(S26)においては、演出図柄表示装置60の初期化、エラー状態及び不正賞球監視情報のコマンド送信要求を行うため、演出初期コマンド設定テーブルのアドレスを引数としてコマンド要求データ設定処理を実行する。
<<遊技進行割込み用の計時設定の処理>>
遊技進行割込み用の計時設定の処理(S27)においては、遊技進行割込みを起動させるため、対応するカウンタ設定レジスタに所定の大きさのカウント値をセットし、遊技進行割込みを例えば4ms毎に発生させる。
<<<循環処理>>>
遊技進行割込み用の計時設定(S27)の後には、割込み処理時間監視手段である所定のタイマの再帰(リスタート)準備や、各種乱数の初期値の生成に用いられる乱数関係値の更新を行う循環処理(S33(S28〜S32))が実行される。この循環処理(S33)においては、遊技機の管理を行うため、先ず、割込みを禁止する(S28)。さらに、割込み処理時間監視手段を再帰させる準備のため、割込み処理時間監視手段クリアレジスタに第1再帰情報となる所定の値をセットする(S29)。この第1再帰情報は、予め定められた例えば55H等の値である。また、電源断確認情報が設定されているか否かが判定され(S30)、設定されている場合には(S30:Yes)、後述する電源断処理(S34〜S41)に移行する。
前述の電源断確認情報が設定されているか否かの判定(S30)において、設定されていないと判定された場合には(S30:No)、初期値乱数更新処理を実行し(S31)、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数を更新する。この後、割込みを許可した後(S32)、再度割込み禁止(S28)の処理に戻り、それ以降の処理(S28〜S32)を順次繰り返して制御処理を循環させる。
割込み許可(S28)が実行される毎に前述の遊技進行割込みが可能となり、遊技進行割込み処理は、S27で設定された周期情報に基づいて、所定の周期(ここでは4ms周期)毎に繰返される。
<<電源断処理>>
電源断確認情報が設定されているか否かの判定(S30)において、設定されていると判定された場合には(S30:Yes)、CPU501が強制再帰手段として機能し、第22再帰情報の設定が行われ(S301)、割込み処理時間監視手段の監視用計時が強制的に初期化され、計時が再帰させられる。この強制的な第2再帰情報の設定(S301)により、電力供給が再開された場合には、監視用計時が再帰した状態で、制御処理が開始される。つまり、電源断発生時に監視用計時を強制的に再帰させておくことにより、電力供給を再開した直後の制御処理において、監視用計時が再帰しないまま、制御処理が進行することを防止できるようになっている。
続いて、電源投入時の情報フラグ(電源断情報フラグ)のアドレスがセットされ、当該電源断情報フラグの値が読み出されて、電源投入時の情報が正常に保存されているか否かが判定される(S302)。そして、電源投入時の情報が正常に保存されていた場合には(S302:Yes)、電源断正常データ(ここでは55H)が設定され(S304)、電源断となる際のRWMのチェックサムが算出されて(S305)、チェックサムデータが作成される。そして、アクセス禁止の設定を行い(S306)、電源断時ループ処理(S307)により、供給電圧が所定値以下となって電源断となるのを待つ。
前述の電源投入時の情報が正常に保存されているか否かの判定(S302)において、判定結果が正常に保存されていない(S302:No)となった場合には、電源断異常データが設定(S303)された後、前述のアクセス禁止の処理(S306)に移行する。
<<電源断確認情報設定の処理>>
次に、前述のS30において判定される電源断確認情報を設定する場合の制御処理(電源断確認情報の設定に係る第一実施形態)について説明する。先ず、電源投入がされた後、所定の処理を経て制御開始処理(図8及び図9参照)が開始され、更に制御開始処理中に実行される遊技進行割込み用の計時設定の処理(図9中にS27で示す)などを経て、ループ処理が開始される。このループ処理は、図9中の循環処理(S33)に対応するものである。
ループ処理の開始後、遊技進行割込み処理の開始タイミングが到来すると、図10に示す遊技進行割込み処理が実行される。この後、遊技進行割込み処理の途中で電源電圧の低下が発生した場合、ノンマスカブル割込み処理(NMI処理)に伴い、制御処理は所定のアドレス(ここでは0066H番地)にジャンプし移行する。そして、制御プログラムにより上述の所定のアドレス(0066H)以降に規定された内容に従い、NMI処理が発生したことを示す電源断確認情報が設定され、この電源断確認情報を設定するための電源断確認情報設定の処理がリターンに抜け、遊技進行割込み処理中の電断発生時の処理に戻る。そして、当該周期の遊技進行割込み処理において実行されるべき残りの処理が全て完了してリターンに抜け、制御開始処理(ここでは図9中のS33に対応するループ処理)に戻る。
また、上記ループ処理中に電源電圧の低下が発生した場合、NMI処理に伴い、前述の場合と同様に制御処理は所定のアドレス(0066H)に移行する。そして、電源断確認情報が設定されてリターンに抜け、制御開始処理(ここではループ処理(S33))に戻る。
そして、前述のように電源断確認情報が設定されているか否かが判定される(図9中のS30)。ここで、電源断確認情報が設定されていなければ、ループ処理開始の処理に移行し循環処理(図9中のS33)が継続される。一方、電源断確認情報が設定されていれば、電源断処理(前述のS301〜S307に対応)が実行され、電源断処理の終了後、電源断となる。
また、本実施例においては、ノンマスカブル割込みが発生した場合に、実行中の命令が命令単位で完遂される。例えば、図11中に符号552で示す制御処理(ここではLD(ロード)命令)の実行中にノンマスカブル割込みが発生すると、この制御処理552は当該命令の実行中は継続され、このLD命令の実行が終わってから前述の電源断確認情報が設定される。つまり、電源断確認情報の設定時期は、命令単位の制御処理によって定まり、このような命令を完遂してから電源断確認情報が設定される。
ここで、上述のような命令を含む制御処理は、プログラムモジュール毎の制御処理(本実施例では、例えば制御開始処理(図8,9参照)、遊技進行割込み処理(図10参照)、初期値乱数更新処理(S31,S48)、入力処理(S45)、その他の処理)に限られるものではなく、各種データの設定や算出など(S1〜S10、S41〜S44、その他)といった制御処理も含む概念である。すなわち、遊技進行割込み処理を例に挙げれば、例えば第2再帰情報のセット(S43)の制御処理を構成する特定の命令の実行中にノンマスカブル割込みが発生した場合には、この特定の命令の実行が終わってから電源断確認情報が設定される。そして、この電源断確認情報を設定するための電源断確認情報設定の処理がリターンに抜け、遊技進行割込み処理中の電断発生時の処理に戻る。そして、当該周期の遊技進行割込み処理において実行されるべき残りの処理が全て完了してリターンに抜け、制御開始処理(図9中のS33に対応するループ処理)に戻り、電源断処理(前述のS301〜S307に対応)が実行される。
また、例えば各種乱数更新処理(S46)内の特定の命令の実行中にノンマスカブル割込みが発生した場合にも、この特定の命令の実行が終わってから電源断確認情報が設定される。そして、電源断確認情報設定の処理がリターンに抜け、遊技進行割込み処理中の電断発生時の処理に戻り、当該周期の遊技進行割込み処理において実行されるべき残りの処理が全て完了して制御開始処理に戻り、前述の場合と同様に電源断処理が実行される。
このような制御態様は、遊技中における様々な局面においてノンマスカブル割込みが発生した場合にも同様である。例えば、後述する入賞監視処理(S51)の開始から賞球制御処理(S52)の終了までの間の特定の命令の実行中にノンマスカブル割込みが発生した場合には、この特定の命令の実行が終わってから電源断確認情報が設定される。そして、入賞監視処理(S51)、或いは賞球制御処理(S52)に戻り、当該周期の遊技進行割込み処理において実行されるべき残りの処理が全て完了してリターンに抜け、制御開始処理(図9中のS33に対応するループ処理)に戻り、電源断処理(前述のS301〜S307に対応)が実行される。
さらに、遊技進行割込み処理内の他の制御処理について説明すれば、特別図柄の変動に係る制御処理を規定した特別図柄制御処理(S57)、大当り抽選判定を行う処理を含んだ特別図柄変動開始監視制御処理(S59)、エラー検知及びエラー報知に係る制御処理を規定した異常検知処理(S60)、或いはその他の制御処理において特定の命令の実行中にノンマスカブル割込みが発生した場合にも、その時の命令の実行が終わってから電源断確認情報が設定され、当該周期の遊技進行割込み処理において実行されるべき残りの処理が全て完了してから、電源断処理が実行される。
また、本実施例においては、電源電圧が下がって所定値に達してから電源断となるまでの時間である電源断所要時間は、電源断所要時間設定手段によって設定されている。電源断所要時間設定手段としては、例えば、電源基板251に設けられたコンデンサ等の、放電を制御する機器を利用することが可能である。電源断所要時間は、図12中に符号Mで示すように、電源電圧が正常値(例えば30V)から徐々に下がり始め、電源基板251が電断信号を出力する値である電断信号出力電圧(例えば18V)に達してから、主制御基板102のCPU501に入力される供給電圧である5Vに達するのに要する時間である。本実施例において電源断所要時間Xは、制御開始処理を完遂するのに要する時間A、遊技進行割込み処理を完遂するのに要する時間B、電源断確認情報を設定するのに要する時間C、及び電源断処理を完遂するのに要する時間Dの総和よりも大きく、A+B+C+D<Xの関係が成立するよう設定されている。
また、電源断所要時間は、主制御基板102に従属して各種制御コマンドを受信する演出制御基板104が電源断処理を開始するタイミングよりも先に終了するよう設定されている。つまり、ぱちんこ遊技機10の電源がオフする際には、主制御基板102のみでなく、副制御手段である演出制御基板104でも、その制御処理の内容に応じて、電源断に備える電源断処理が実行されるが、演出制御基板104で実行される電源断処理の開始タイミングは、主制御基板102において電源断所要時間が経過して、電源断処理が終了した後となっている。なお、演出制御基板104のみでなく、例えば払出制御基板45も同様に、主制御基板102において電源断所要時間が経過した後に、電源断処理を開始するようにしてもよい。また、このような主制御基板102の電源断所要時間と、副制御手段の電源断処理の開始時期との関係を、払出制御基板45のみに適用してもよい。さらに、演出制御基板104及び払出制御基板45以外に、制御機能を有する副制御手段が備えられている場合には、その副制御手段に適用することも可能である。
<<<初期値乱数更新処理>>>
前述の初期値乱数更新処理(S31)においては、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数を更新するため、初期値乱数更新テーブルから乱数の更新回数取得し、更新回数分、初期値乱数の更新を行う。乱数の更新回数の取得においては、初期値乱数更新テーブル(図13(a)参照)の左列1行目の欄のデータアドレス(0D10H)の示す内容(乱数個数)を乱数の更新回数とする。なお、ここでは、乱数個数は、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、特別図柄当りソフト初期値乱数の3つになる。さらに、更新回数分の初期値乱数の更新の処理においては、更新回数分、初期値乱数更新テーブルの普通図柄当り初期値乱数のアドレス(下位)のデータアドレス(0D13H)を引数として2バイトソフト乱数更新処理(後述する)を実行する。なお、更新回数が2回以上の場合、前回実行した2バイトソフト乱数更新処理で取得した相対アドレスの基準値を引数とする。そして、2バイトソフト乱数更新処理で得られた乱数値を用い、初期値乱数更新処理(S31)における乱数関係値が生成される。
具体的には、相対アドレスの基準値として初期値乱数更新テーブルのアドレスがセットされ、乱数個数として上記基準値の内容が読み込まれる。次に、上記基準値が+1され、乱数個数の退避が行われた後、2バイトソフト乱数更新処理が実行される。さらに、乱数個数の復帰が行われ、乱数個数を−1した結果が0でなければ前述の乱数個数の退避の処理に戻り、0であれば初期値乱数更新処理(S31)を抜ける。
また、初期値乱数更新処理(S31)においては、乱数関係値に異常があった場合に、その乱数関係値の補正が行われる。この乱数関係値の補正の処理においては、2バイトソフト乱数更新処理において得られた乱数値を基にして乱数関係値が生成され、この乱数関係値から所定値を減算する。減算した結果が0であれば、乱数関係値が正常であると判定して乱数関係値をストアするが、0未満の場合、乱数関係値が正常であると判定し、乱数関係値の最大値+1を補正値としてセットし、この補正値を乱数関係値に加算してから、得られた乱数関係値のストアを実行する。これにより、乱数関係値の異常が検出されるとともに、異常であった乱数関係値が補正される。
<<<2バイトソフト乱数更新処理>>>
前述の2バイトソフト乱数更新処理においては、入力された相対アドレスの基準値から乱数の最大値、乱数の格納アドレスを取得し、乱数の更新を行う。乱数の最大値の取得においては、上記基準値+0の示す内容を乱数最大値下位、上記基準値+1の示す内容を乱数最大値上位とする。乱数の格納アドレスの取得においては、上記基準値+2の示す内容を乱数格納アドレス下位とし、RWM先頭上位アドレスを乱数格納アドレス上位とする。乱数の更新においては、乱数を+1し、乱数最大値を超える場合には0にするため、取得した乱数格納アドレスの示す内容から2バイトの乱数を取得し、取得した乱数を+1する。加算した結果、取得した乱数最大値を超えた場合、0をセットする。なお、更新した乱数は、取得した乱数格納アドレスに格納した後、出力する乱数データにセットする。また、上記基準値+3を出力する上記基準値にセットする。
<<遊技進行割込み処理>>
次に、遊技進行割込み用の計時設定(S27)の処理において設定された周期情報に基づき4ms周期で繰返される遊技進行割込み処理について説明する。図10に示すように、遊技進行割込み処理においては、割込み動作条件の設定(S41,S42)、割込み処理時間監視手段の再帰(S43)、遊技機の管理(S45〜S68)、割込みの許可(S69)を順に行い、遊技進行割込みが発生する前の処理に復帰させる。
具体的には、割込み動作条件の設定の処理(S41,S42)においては、割込みフラグをクリアするため、割込み動作条件設定値が、遊技進行割込み制御レジスタに格納され(S41)、割込み動作条件設定値が、所定の入力端子に対応した制御レジスタにセットされる(S42)。この後、第2再帰情報がセットされ(S43)、更に第2再帰情報が割込み処理時間監視手段レジスタにセットされる(S44)。第2再帰情報は、後述するように、先にセットされた第1再帰情報とともに、割込み処理時間監視手段の監視用計時を再帰させてリスタートさせるための条件となるものである。
遊技機の管理(S45〜S68)においては、遊技機の管理を行うため、以下の処理を順に実行する。先ず、特定の信号の入力を監視するため、入力処理(S45)を実行する。ここで監視の対象となっているのは、遊技盤面に取り付けられている各種スイッチ、受け皿満タンスイッチ、開放信号、磁気検知信号、電波検知信号、ガラス未検出信号、及び断線短絡電源異常検知信号である。
続いて、各種乱数更新処理(S46)を実行し、普通図柄変動パターン乱数、及び変動パターン乱数を更新する。さらに、初期値更新型乱数更新処理(S47)を実行し、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数を更新する。次に、初期値乱数更新処理(S48)を実行し、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数を更新する。また、2バイトタイマの更新を行うため、タイマ減算処理(S49)を実行し、第2始動入賞口63の有効期間を設定するため、第2始動口の有効期間設定処理(S50)を実行する。
さらに、入賞監視処理(S51)が実行され、賞球を払い出す回数の記憶、盤用外部情報の出力要求の作成、及び演出制御基板104に送信するコマンドの送信要求が行われる。続いて、払出制御基板45を制御するため、賞球制御処理(S52)を実行する。
次に、遊技球が普通図柄作動ゲート(作動口68)を通過したとき、普通図柄に係る乱数を記憶するため、普通図柄作動ゲート監視処理(S53)を実行し、普通図柄表示装置又は普通図柄電動役物に係る処理を行うため、普通図柄制御処理(S54)を実行する。さらに、普通図柄の変動開始の監視を行うため、普通図柄変動開始監視処理(S55)を実行する。また、遊技球の第1始動入賞口62及び第2始動入賞口63の入賞の監視を行うため、始動口監視制御処理(S56)を実行し、第1特別図柄表示装置70又は第2特別図柄表示装置71に係る処理を行うため、特別図柄制御処理(S57)を実行する。続いて、特別電動役物に係る処理を行うため、特別電装役物制御処理(S58)を実行し、第1特別図柄192及び第2特別図柄193の変動開始の監視を行うため、特別図柄変動開始監視制御処理(S59)を実行する。
次に、磁気の監視、断線・短絡・電源の監視、電波の監視、ガラス枠セット・遊技盤の枠の開閉状態の監視、及びペアガラスの監視を行うため、異常検知処理(S60)を実行し、入球通過時間異常の検出を行うため、入球通過時間異常検出処理(S61)を実行する。さらに、特別電動役物が連続して作動する回数、エラー状態、普通図柄表示装置の作動保留球数、及び特別図柄表示装置の作動保留球数の表示要求を行うため、遊技状態表示処理(S62)を実行し、普通電動役物ソレノイド、第1大入賞口開放ソレノイド、及び第2大入賞口開放ソレノイドの出力データの出力を行うため、ソレノイド出力処理(S63)を実行する。また、特別図柄の表示、普通図柄の表示、特別図柄表示装置(70,71)の作動保留球数の表示、普通図柄表示装置の作動保留球数の表示、遊技状態の表示、特別電動役物が連続して作動する回数の表示、及びエラーの表示を行うため、LED出力処理(S64)を実行する。
続いて、遊技球の発射の禁止/許可の信号を出力するため、発射制御信号出力処理(S65)を実行し、試験装置に出力する信号を作成し出力するため、試験信号出力処理(S66)を実行する。さらに、演出制御コマンドを送信するため、演出制御コマンド送信処理(S67)を実行し、外部端子に信号を出力するため、外部情報出力処理(S68)を実行する。
この後、割込み許可(S69)が実行され、制御処理がリターン(RET)に抜ける。そして、次回の遊技割込みが実行されるまでの残余時間を利用して、制御開始処理の前述の循環処理(S33)が実行される。
<<<各種乱数更新処理>>>
各種乱数更新処理(S46)においては、普通図柄変動パターン乱数及び変動パターン乱数を更新する。普通図柄変動パターン乱数の更新においては、普通図柄変動パターン乱数を+1し、最大値(ここでは232)を超える場合は0にするため、普通図柄変動パターン乱数の下位アドレス及び普通図柄変動パターン乱数最大値+1(ここでは223)を引数としてRWM更新処理を実行する。変動パターン乱数の更新においては、変動パターン乱数を更新するため、変動パターン乱数の値から所定値(ここでは3511)を減算する。減算した結果が0未満の場合、減算した結果に変動パターン乱数最大値+1(ここでは50000)を加算する。演算した結果は、変動パターン乱数に格納する。
<<<初期値更新型乱数更新処理>>>
初期値更新型乱数更新処理(S47)においては、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数を更新するため、初期値更新型乱数更新テーブル(図13(b)参照)から更新する乱数の数、乱数の最大値、初期値更新型乱数のアドレス、初期値ワークのアドレスを取得し、初期値更新型乱数の更新を行う。
更新する乱数の数、乱数の最大値、初期値更新型乱数のアドレス、及び初期値ワークのアドレスの取得においては、初期値更新型乱数更新テーブルの左列1行目の欄のデータアドレス(0D30H)の示す内容(乱数個数)を更新する乱数の数とし、初期値更新型乱数更新テーブルの左列2行目の欄以降から乱数の最大値、初期値更新型乱数のアドレス、及び初期値ワークのアドレスを、更新する乱数の数分、順次取得する。
初期値更新型乱数の更新においては、初期値更新型乱数を+1し、最大値を超える場合は0にするため、初期値更新型乱数更新テーブル内の初期値更新型乱数の最大値が記載されているアドレスを引数として、2バイトソフト乱数更新処理を実行する。実行の結果、更新した初期値更新型乱数の値が取得した初期値ワークの内容と一致した場合、初期値更新型乱数の初期値を更新するため、取得した初期値ワークのアドレスから2行下のアドレス(0D37H),3行下のアドレス(0D38H)が示す初期値乱数の内容を新しい初期値とし、取得した初期値更新型乱数のアドレス及び取得した初期値ワークのアドレスに格納する。
<<<初期値乱数更新処理>>>
初期値乱数更新処理については、制御開始処理で実行される初期値乱数更新処理と同じプログラムモジュールが用いられているが、乱数関係値の更新の周期が遊技進行割込みの周期(ここでは4ms)となる点で、制御開始処理中に実行される場合とは異なっている。
<<主制御基板における割込み>>
次に、主制御基板102における割込みについて説明する。主制御基板102においてはマスカブル割込みとノンマスカブル割込みが行われ、このうちマスカブル割込みはPT0Iによるものである。PT0Iによるマスカブル割込みは、システムクロックを分周して4msの割込み周期を実現しており、この割込み周期で前述の遊技進行割込み処理を実行させる。
一方、ノンマスカブル割込みは、主制御基板102が電源断を検知して電断信号を出力し、この電断信号がノンマスカブル割込み端子504に入力されると発生する。
遊技進行割込み処理は、割込み処理時間監視手段により監視されており、この割込み処理時間監視手段が、CPU501のプログラム管理エリアの機能設定に設定されたタイムアウト時間内に初期化されてリスタートすることができない場合は、タイムアウトとなってユーザーリセットが発生する。そして、CPU501のコアがリセットされ、制御開始処理が実行される。割込み処理時間監視手段のリスタートは、制御開始処理内の循環処理中と、遊技進行割込み処理中のそれぞれで再帰情報が設定されて内蔵タイマが初期化されると実行される。
<<主制御基板における乱数>>
次に、主制御基板102において用いられる乱数について説明する。本実施例における乱数は、役物作動に係る乱数と、遊技の用に供されるその他の乱数に分かれる。役物作動に係る乱数には、普通図柄当り乱数、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り乱数、特別図柄当りソフト乱数、特別図柄当りソフト初期値乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当り図柄初期値乱数の7種類がある。
普通図柄当り乱数は、普通図柄表示装置の抽選に使用する乱数である。乱数の値は「0〜282」をとり、乱数の大きさは283である。更新方法は、先ず前回の乱数に1を加算し、加算した結果が最大値を超えた場合は0に戻し、乱数が1周した場合は、その時の普通図柄当り初期値乱数の値を普通図柄当り乱数の値とするものである。更新時期は、遊技進行割込み毎であり、遊技進行割込み毎に1回更新される。取得時期は、作動口68の通過検出装置69により遊技球の通過を検出した時である。当せんすることとなる乱数値の数は、低確率の場合と高確率の場合で異なり、低確率時は11個、高確率時は282個である。
普通図柄当り初期値乱数は、普通図柄当り乱数の初期値、及び普通図柄当り乱数の終了値を決定するための乱数である。乱数の値は「0〜282」をとり、乱数の大きさは283である。更新方法は、先ず前回の乱数に1を加算し、加算した結果が最大値を超えた場合は0に戻すものである。更新時期は、遊技進行割込み毎であり、また、遊技進行割込みを実行していない間も更新がされる。
特別図柄当り乱数は、CPU501の乱数回路のch(チャネル)Aで生成した乱数(ハードウエア乱数)をソフトウエアで取り込んで取得し、特別図柄表示装置(70,71)の抽選に使用する乱数である。乱数の値は「0〜065535」をとり、乱数の大きさは65536である。更新方法は、CPU501のRCK(乱数用クロック)端子に入力された水晶発振器の2クロックで1回更新するものである。乱数のスタート値は、CPU501のIDナンバーを基にした値で、電源のオン(またはオフ)に伴って実行されるシステムリセット毎に変更される。乱数列の変更方法は、乱数列が一巡する度に、自動的に乱数列を更新するものである。更新時期は、RCK端子に入力されたクロックの2分周クロックによって設定されるタイミングである。
取得時期は、第1始動入賞口62の始動入賞検出装置74又は第2始動入賞口63の始動入賞検出装置75で異なる。第1始動入賞口62の始動入賞検出装置74の場合は、入力信号がOFF→ONとなることによって、CPU501のP0端子にロウレベルが入力され、乱数回路のchAから取り込まれた乱数値(ハードウエア乱数の乱数値)が、乱数値レジスタ(RA0D)に格納される。ソフトウエアにより、第1始動入賞口62の始動入賞検出装置74の入力信号がOFF→ONとなったと判断した時に乱数値レジスタ(RA0D)に格納された内蔵乱数(ハードウエア乱数)を取得する。なお、特別図柄当り乱数は、取得した内蔵乱数に特別図柄当りソフト乱数を加算した値となる。
一方、第2始動入賞口63の始動入賞検出装置75の場合は、入力信号がOFF→ONとなった場合に、CPU501のP1端子にロウレベルが入力され、乱数回路のチャネルAから取り込まれた乱数値が、乱数値レジスタ(RA1D)に格納される点で、第1始動入賞口62の始動入賞検出装置74の場合と異なっている。
特別図柄当り乱数について、当せんすることとなる乱数の値の数は、条件装置が作動することとなる図柄の組合せを表示する場合、即ち大当りとなる場合と、条件装置が作動せず、かつ、特別電動役物が作動することとなる図柄の組合せを表示する場合、即ち小当りとなる場合とで異なる。大当りに当せんすることとなる乱数の値の数は、低確率の場合と高確率の場合で異なり、低確率時は164個、高確率時は1640個である。
一方、小当りに当せんすることとなる乱数の値の数は、第1特別図柄表示装置70と第2特別図柄表示装置71とで異なり、第1特別図柄表示装置70については208個、第2特別図柄表示装置71については1個である。
また、特別図柄当り乱数に関し、乱数の周期は、大きさが65536である乱数が所定のスピードで更新がされることから、約0.013s(秒)となる。
特別図柄当りソフト乱数は、特別図柄表示装置(70,71)の抽選に使用する乱数であり、前述のように乱数回路のchAで生成した内蔵乱数の取得時、取得した内蔵乱数に加算される。乱数の値は「0〜65520」をとり、乱数の大きさは65521である。更新方法は、先ず前回の乱数に1を加算し、加算した結果が最大値を超えた場合は0に戻し、乱数が1周した場合は、その時の特別図柄当りソフト初期値乱数の値を特別図柄当りソフト乱数の値とするものである。更新時期は、遊技進行割込み毎であり、遊技進行割込み毎に1回更新される。取得時期は、第1始動入賞口62の始動入賞検出装置74又は第2始動入賞口63の始動入賞検出装置75により遊技球の入賞を検出した時である。
特別図柄当りソフト初期値乱数は、特別図柄当りソフト乱数の初期値及び特別図柄当りソフト乱数の終了値を決定するための乱数であり、乱数の値は「0〜65520」をとり、乱数の大きさは65521である。更新方法は、先ず前回の乱数に1を加算し、加算した結果が最大値を超えた場合は0に戻すものである。更新時期は、遊技進行割込み毎であり、また、遊技進行割込みを実行していない間も更新がされる。
特別図柄当り図柄乱数は、大当りとなる図柄の組合せの決定に使用する乱数である。乱数の値は「0〜999」をとり、乱数の大きさは1000である。更新方法は、先ず前回の乱数に1を加算し、加算した結果が最大値を超えた場合は0に戻し、乱数が1周した場合は、その時の特別図柄当りソフト初期値乱数の値を特別図柄当り図柄乱数の値とするものである。更新時期は、遊技進行割込み毎であり、遊技進行割込み毎に1回更新される。取得時期は、第1始動入賞口62の始動入賞検出装置74又は第2始動入賞口63の始動入賞検出装置75により遊技球の入賞を検出した時である。
特別図柄当り図柄初期値乱数は、特別図柄当り図柄乱数の初期値及び特別図柄当り図柄乱数の終了値を決定するための乱数であり、乱数の値は「0〜999」をとり、乱数の大きさは1000である。更新方法は、先ず前回の乱数に1を加算し、加算した結果が最大値を超えた場合は0に戻すものである。更新時期は、遊技進行割込み毎であり、また、遊技進行割込みを実行していない間も更新がされる。
遊技の用に供されるその他の乱数には、普通図柄変動パターン乱数、変動パターン乱数の2種類がある。これらのうち普通図柄変動パターン乱数は、普通図柄表示装置の変動パターン選択に使用する乱数であり、乱数の値は「0〜232」をとり、乱数の大きさは233である。更新方法は、先ず前回の乱数に1を加算し、加算した結果が最大値を超えた場合は0に戻すものである。更新時期は、遊技進行割込み毎であり、遊技進行割込み毎に1回更新される。取得時期は、作動口68の通過検出装置69により遊技球の通過を検出した時である。
変動パターン乱数は、特別図柄表示装置(70,71)の変動パターン選択に使用する乱数であり、乱数の値は「0〜49999」をとり、乱数の大きさは50000である。更新方法は、先ず前回の乱数から3511を減算し、減算した結果が0未満の場合には、減算した結果に50000を加算するものである。更新時期は、遊技進行割込み毎であり、遊技進行割込み毎に1回更新される。取得時期は、第1始動入賞口62の始動入賞検出装置74又は第2始動入賞口63の始動入賞検出装置75により遊技球の入賞を検出した時である。
<<主制御基板と払出制御基板との通信>>
次に、払出制御基板45について説明する。払出制御基板45は主制御基板102との間で送受信を行っており、この送受信に使用する信号は、払出制御用入力信号及び払出制御用出力信号の2種類である。払出制御用入力信号の方向は、主制御基板102から払出制御基板45の方向であり、払出制御用入力信号が示す内容は、受け皿満タン状態、賞球払出し個数、及び賞球払出し時の連続払出し個数を指示するものである。一方、払出制御用出力信号は、払出制御基板45から主制御基板102の方向であり、払出制御用出力信号が示す内容は、受信したコマンドが正常なコマンドであることを伝達する信号、並びに、球経路球切れ、球経路球不足、払出しモータ異常1、払出しモータ異常2、カウントセンサ異常、払出し異常、及び払出し中であることを伝達する信号である。
払出制御基板45と主制御基板102のCPU間の送受信は、互いのシリアル通信ポートを介して行われ、ボーレートは18938.9(bps)、データ長は9データビット、誤り検出は偶数パリティ有りの条件で行われる。
また、主制御基板102との信号処理には、主制御基板102のCPU501からのコマンド受信処理、受信コマンドの解析処理、及び主制御基板102のCPU501へのコマンド送信処理がある。このうち主制御基板102のCPU501からのコマンド受信処理においては、CPU501は、払出制御基板45のCPU511に対して、主制御MODEコマンド8ビット、主制御EVENTコマンド8ビットの計16ビットで構成されるコマンドを、払出制御用入力信号として送信する。
払出制御基板45のCPU511は、払出データ受信割込み処理毎にコマンドの読み込みを行い、取得したコマンドをコマンド受信バッファに格納する。また、払出制御割込み処理毎にコマンド受信バッファを検査し、主制御MODEコマンドを受信した場合、コマンド受信バッファの値をMODEコマンドバッファに格納し、EVENTコマンドバッファをクリアする。主制御EVENTコマンドを受信した場合、コマンド受信バッファの値をEVENTコマンドバッファに格納する。ここで、払出データ受信割込み処理及び払出制御割込み処理については後述する。
受信コマンドの解析処理においては、CPU511は、主制御基板102のCPU501から主制御MODEコマンド又は主制御EVENTコマンドを受信したと判断すると、コマンドの解析を行う。コマンドの解析により、受け皿満タン状態、賞球払出し個数、及び連続払出し個数を設定する。賞球払出し個数により賞球払出しが指示された場合、賞球の払出しを開始する。
主制御基板102のCPU501へのコマンド送信処理においては、CPU511は、主制御基板102のCPU501から主制御MODEコマンド又は主制御EVENTコマンドを受信すると、主制御基板102のCPU501へのコマンド送信を行う。主制御MODEコマンドを受信した場合、主制御MODEコマンドに対応した払出制御MODEコマンドを送信し、主制御EVENTコマンドを受信した場合、対応した払出制御MODEコマンドを送信する。
主制御MODEコマンドは、賞球払出し個数の指定、及び賞球払出装置43の制御を行う。主制御MODEコマンドの8ビットのうち、ビット番号4は受け皿満タン状態に対応した払出しを行うためのもので、値が0であれば通常の払出しを行い、1であれば受け皿満タンにより払出しを停止する。また、ビット番号3〜0は、賞球払出し個数に対応した賞球の払出しを開始するためのものである。例えば、「0000」の値は賞球払出しなし、「0001」は1個の払出し、「0010」は2個の払出し、「0011」は3個の払出し、「1111」は15個の払出しを開始することを示す。
主制御EVENTコマンドは、賞球払出装置43の制御を行う。主制御EVENTコマンドの8ビットのうち、ビット番号3〜0は、賞球払出し時の連続払出し個数を設定し、例えば、「0001」の値は連続払出し個数を1個単位に設定し、「0010」は2個、「0011」は3個、「1111」は15個の連続払出し個数を設定する。
払出制御MODEコマンドは、主制御MODEコマンドに応答するコマンドであり、例えば「80H」、「81H」、「8FH」、「90H」、「91H」、「9FH」の主制御MODEコマンドには、「80H」、「7FH」、「71H」、「70H」、「6FH」、「61H」の払出制御MODEコマンドが対応している。一方、払出制御EVENTコマンドは、賞球払出装置43の状態を主制御基板102のCPU501に知らせるコマンドである。そして、8ビットのうちビット番号2は、賞球払出装置43の払出し異常の状態を知らせるもので、値が0であれば払出し異常ではなく、1であれば払出し異常中であることを示している。また、ビット番号1は、賞球払出装置43の払出し状態を知らせるもので、値が0であれば払出し中ではなく、1であれば払出し中であることを示している。さらに、ビット番号0は、賞球払出装置43のエラーの状態を知らせるもので、値が0であれば、球経路球切れ、球経路球不足、払出しモータ異常1、払出しモータ異常2、カウントセンサ異常の何れにも該当しないことを示し、1であればこれらの何れかに該当していることを示している。
<<払出制御基板における割込み>>
次に、払出制御基板45における割込みについて説明する。払出制御基板45においてはマスカブル割込みが行われ、このマスカブル割込みには、RXIによるものと、PT0Iによるものとがある。このうちRXIによるものは、シリアル通信回路のデータ受信により発生し、前述の払出データ受信割込み処理を実行させる。一方、PT0Iによるものは、システムクロックを分周して1msの割込み周期で前述の払出制御割込み処理を実行させる。
払出制御割込み処理は、払出制御割込み処理時間監視手段により監視されており、この払出制御割込み処理時間監視手段は、CPU511の内蔵タイマに設定されたタイムアウト時間内に初期化されてリスタートすることができない場合は、タイムアウトとなってユーザーリセットが発生する。そして、CPU511のコアがリセットされ、制御開始処理が実行される。払出制御割込み処理時間監視手段のリスタートは、制御開始処理内の循環処理中と、払出制御割込み処理中のそれぞれで再帰情報が設定されて内蔵タイマが初期化されると実行される。
前述の制御開始処理は、電源投入時の処理、RWM初期化の処理を順に実行後、前述の循環処理を実行する。電源投入時の処理においては、スタックポインタの設定、割込みモードの設定、RWMアクセスの許可、内蔵レジスタの設定、及び払出データ受信割込みの起動を行う。RWM初期化の処理においては、RWMをクリアした後、RWMの初期設定、払出制御割込みの起動を行う。循環処理においては、割込みを禁止し、払出制御割込み処理時間監視手段をリスタートさせる準備のため、払出制御割込み処理時間監視手段用のレジスタに所定の値を設定する。さらに、通信データ出力ポートの所定のポートに出力する設定データの作成を行うため、エラー表示データ作成処理を実行する。また、賞球払出し中に試験信号端子から出力する信号の出力制御を行うため、賞球中試験信号作成処理を実行し、その後、割込みを許可する。
前述の払出制御割込み処理においては、割込み動作条件の設定、割込み許可、払出制御割込み処理時間監視手段のリスタート、払出しの管理を順に行い、払出制御割込み処理が発生する前の処理に復帰させる。
前述の払出データ受信割込み処理においては、主制御基板102からのコマンドを受信するため、使用レジスタの退避、シリアル通信回路の受信状態の確認、受信データの取得、及び払出データ受信割込み要求のクリア、受信コマンドの保存、使用レジスタの復帰、割込み許可を順に行い、払出データ受信割込み処理が発生する前の処理に復帰させる。
<本実施例に係る発明の作用効果>
本実施例のぱちんこ遊技機においては、電源断となる場合に、前述の電源断確認情報が設定保存され、その後は、その時の周期の遊技進行割込み処理が終わるまでは制御処理を継続し、遊技進行割込み処理が終了した後に電源断処理(S301〜S307)が実行されて電源断となる。したがって、電源断となる場合に、当該周期の遊技進行割込み処理を終えてから電源断とすることができ、遊技進行割込み処理中に設定されたコマンドの送受信が強制的に中断されてしまうこと等の、遊技進行割込み処理を途中で打ち切ることによる不具合の発生を防止できる。
より具体的には、例えば前述した主制御基板から払出制御基板への払出制御用入力信号を例に挙げれば、入賞監視処理(図10中のS51)の開始から賞球制御処理(S52)の終了までの間に、主制御MODEコマンドの送信のための制御処理中に電源断の原因となる電圧降下が生じたとしても、その時の命令単位の制御処理を終えた後に電源断確認情報の設定が行われ(S111)、その後に遊技進行割込み処理に戻り、コマンドの送信処理が継続される。そして、主制御EVENTコマンド及び主制御MODEコマンドの双方についての制御処理を終え、当該周期の遊技進行割込み処理中の必要な全ての制御処理が終わった後に、電源断処理が実行される(S301〜S307)。したがって、遊技進行割込み処理単位では制御処理を中途半端な状態で終了させて電源断とすることがなく、電源復帰時の制御処理の再開を容易化することが可能である。さらに、遊技進行割込み処理の途中で電源断となることを防止しているため、遊技進行割込み処理の途中で、使用レジスタの退避や、割込み許可或いは禁止の状態の保存の処理を行う必要がない。
また、例えば、特別図柄の変動に係る制御処理を規定した特別図柄制御処理(図10中のS57)、大当り抽選判定を行う処理を含んだ特別図柄変動開始監視制御処理(S59)、エラー検知及びエラー報知に係る制御処理を規定した異常検知処理(S60)、或いはその他の制御処理においても、電源断確認情報の設定後、コマンドの送信の制御処理等が完遂され、これらの制御処理を含む包括的な制御処理である当該周期の遊技進行割込み処理を終えてから、電源断処理が実行される。したがって、次回の遊技進行割込み処理において、例えば送信すべきであったコマンドの後半部分(下位部分)を送信し直しなどの制御処理を省略でき、情報通信の安定化、及び制御処理の負担軽減を実現することができる。
また、本実施例おいては、電源電圧が下がって所定値に達した場合に、その後に電源断となるまでの時間を設定する電源断所要時間設定手段が備えられており、この電源断所要時間設定手段による電源断所要時間Xは、制御開始処理を完遂するのに要する時間A、遊技進行割込み処理を完遂するのに要する時間B、電源断確認情報を設定するのに要する時間C、及び電源断処理を完遂するのに要する時間Dの総和よりも大きく設定されている。したがって、電源断となる場合の制御処理を途中で打ち切ることなく終了させることができ、このことによっても電源断時の不具合の発生を防止することが可能となる。
また、本実施例によれば、副制御手段(演出制御基板104、払出制御基板45など)の電源断処理の開始タイミングが、主制御手段における制御開始処理、遊技進行割込み処理、電源断確認情報の設定、及び電源断処理の所要時間を考慮したものとなっており、この結果、主制御手段と副制御手段との電源断処理に係る連携を強化できるとともに、主制御手段から副制御手段への制御指令の送信をより完全化することが可能となる。
<<主制御基板と払出制御基板との通信における第二実施形態>>
次に、本実施例のぱちんこ遊技機10における、主制御基板102と払出制御基板45の通信に係る他の実施形態を図14に基づいて説明する。図14に示す例では、主制御基板102及び払出制御基板45のそれぞれに、RWM状態表示器561,562が設けられている。このRWM状態表示器561,562は、ぱちんこ遊技機10の電源投入の際に、図4に示す主制御基板102のRWM503や払出制御基板45のRWM513が、初期化された状態にあるか否かを外部報知するものである。このRWM状態表示器561,562としては、何れも7セグ表示器やLED表示器を用いることが可能である。さらに、LED表示器として、初期化の有無を、例えば点灯(或は点滅)や消灯により区別して表すものなどを採用することができる。
ぱちんこ遊技機10の電源が投入されて、主制御基板102やその他の機器に電力供給が開始される際に、遊技場店員等によりRWMクリアスイッチ544(図4参照)が操作された場合、例えば電源基板251と主制御基板102或いは払出制御基板45との間に断線などの異常がなければ、電源基板251から主制御基板102及び払出制御基板45にRWMクリア信号(RWM消去信号)が送信され、主制御基板102及び払出制御基板45は各々のRWM503,513をクリアする(主制御基板102については、図8のS24などを参照)。そして、主制御基板102及び払出制御基板45のRWM状態表示器561、562が、各々のCPU501,511からの信号に基づき、RWM503,513が初期化された状態にあることを遊技場店員等が視認可能なように表示する。
なお、変形例として、電源基板251からRWMクリア信号を払出制御基板45に直接送信することはせず、払出制御基板45が、主制御基板102からのコマンドに基づき、RWM513をクリアし、その旨をRWM状態表示器562に表示するものであってもよい。
電源投入時にRWMクリアスイッチ544が操作されると、図14中に示すように、主制御基板102から払出制御基板45に向けて、コマンドA1とコマンドB1とが送信される。このコマンドA1及びコマンドB1は、電源投入時における主制御MODEコマンド及び主制御EVENTコマンドとなるものである。一方、払出制御基板45から主制御基板102に対しては、同じく電源投入時における払出制御MODEコマンド及び払出制御EVENTコマンドとなるコマンドA2とコマンドB2とが送信される。さらに、主制御基板102から演出制御基板104へは、演出表示器(演出図柄表示装置60や演出LED(各種遊技効果LED)など)の初期化のための主制御初期化コマンドCが送信される。なお、主制御基板102から払出制御基板45へのコマンドA1,B1の送信は、電源投入時に1回のみ行われるものとすることが可能である。
次に、各コマンドA1,B1,A2,B2の内容について説明する。各コマンドA1,B1,A2,B2は各々8ビットを使用して構成されるものであるが、これらのうちコマンドA1は、RWMクリア状態情報及び賞球情報を有している。RWMクリア状態情報は、電力供給が開始される際にRWMクリアスイッチ544が操作され、主制御基板102のRWM503がクリアされている場合と、クリアされずバックアップされている場合とで異なる値を示す。そして、このRWMクリア状態情報に基づき、主制御基板102のRWM状態表示器561が駆動され、RWM状態表示器561によってRWMクリア状態情報に対応した表示が行われる。RWMクリア状態情報として、ここでは2ビットが使用されている。
賞球情報は、遊技領域52において入賞が発生し、入賞に対応した所定個数の賞球払出しを開始するためのものである。例えば、「0000」の値により賞球払出しなし、「0001」により1個の払出し、「0010」により2個の払出し、「0011」により3個の払出し、「1111」により15個の払出しを開始することを表すことが可能である。
コマンドB1は、遊技機メーカー情報及び賞球払出個数情報を有している。このうち遊技機メーカー情報は、ぱちんこ遊技機10等の遊技機を製造販売する複数の事業者毎に割り当てられた値であり、所定のビット数を利用して表されるものである。そして、この遊技機メーカー情報は、各事業者に対して事前に定められており、各事業者は、遊技機を開発や製造する際に、コマンドB1中の特定範囲のビットから自社に割り振られたコード情報が出力されるようにプログラミングを行う。このため、コマンドB1中の遊技機メーカー情報を解析することにより、主制御基板102を製造販売した事業者の特定や、遊技盤50や主制御基板102の付け間違いの検出が可能である。一方、賞球払出個数情報は、賞球払出し時の連続払出し個数を設定するものであり、その値により、例えば1個〜15個単位の連続払出し個数を表す。
払出制御基板45から主制御基板102へのコマンドA2,B2の送信は、後述するように、主制御基板102からのコマンドA1,B1の双方が受信されたことが確認できてから、コマンドA2,コマンドB2の順に行われる。このうちコマンドA2は、主制御基板102からのコマンドA1の内容に応答するものであり、コマンドA1に基づき演算された値を示す対応コマンドである。本実施形態では、コマンドA1をビット反転させて更に+1し、得られたコマンドA1の負の値がコマンドA2として用いられる。
払出制御基板45からのコマンドB2は、払出制御基板メーカー情報、及び払出しに関するエラー情報を有している。このうち払出制御基板メーカー情報は、ぱちんこ遊技機10などの遊技機の払出制御基板を製造販売する複数の事業者毎に割り当てられた値であり、所定のビット数を利用して表されるものである。そして、この払出制御基板メーカー情報は、各事業者に対して事前に定められており、各事業者は、払出制御基板を開発や製造する際に、コマンドB2中の特定範囲のビットから自社に割り振られたコード情報が出力されるようにプログラミングを行う。このため、コマンドB2中の払出制御基板メーカー情報を解析することにより、払出制御基板45を製造販売した事業者の特定や、払出制御基板の45の付け間違いの検出が可能である。さらに、前述の遊技機メーカー情報と対比することにより、組み合わせられるべき主制御基板102との一致又は不一致の検出が可能である。
一方、払出しに関するエラー情報は、賞球払出しに関するエラーを主制御基板102のCPU501に知らせるものであり、例えば対応するビット番号の値により、賞球払出装置43の状態、賞球払出装置43の払出し状態、及びその他の各種エラー(例えば、球経路球切れ、球経路球不足、払出しモータ異常1、払出しモータ異常2、カウントセンサ異常などうちの何れか)の有無を表すことが可能である。
次に、コマンドA1,B1,A2,B2を用いた制御態様について説明する。まず、ぱちんこ遊技機10への電力供給が開始されると、主制御基板102の制御開始処理(図8及び図9を参照)が実行され、電源投入時に必要な設定(S1〜S4)を実行後、RWMクリアスイッチ544の操作状態(S5)、電断時状況確認処理(S6〜S8)における電源断情報フラグの値、及びRWM領域の加算結果(チェックサムデータ)に対応して、電源断復帰時の処理(S9〜S17)、RWMの初期化時の処理(S24〜S26)、遊技進行割込み用の計時設定の処理(S27)、循環処理(S33(S28〜S32))、電源断確認情報設定時の処理(S301〜S307)等が行われる。
循環処理(S33(S28〜S32))の開始後、遊技進行割込み処理の開始タイミングが到来すると、図10に示す遊技進行割込み処理が実行される。遊技進行割込み処理が開始される際には、払出制御基板45の払出制御割込み処理が実行されており、賞球制御処理(S52)において、コマンドA1が払出制御基板45に送信される。さらに、コマンドB1が、主制御基板102から払出制御基板45に送信され、払出制御基板45においては、コマンドA1,B1の双方が受信されたか否か、及び受信したコマンドが正常なものであるか否かが判断される。
具体的には、コマンドA1に続いてコマンドB1が受信され、コマンドA1,B1の双方のデータが揃うと、両コマンドA1,B1受信後における解析処理(以下では、「コマンド解析処理」と称する場合がある)が実行される。そして、コマンドA1のRWMクリア状態情報に基づいて、RWMクリアスイッチ544の操作があったか否かが判断され、賞球情報に基づき払出すべき賞球の有無及び個数が判断される。さらに、コマンドB1の遊技機メーカー情報が、記憶している正規な遊技機メーカー情報に整合するものであるか否かが判断され、更に、賞球払出個数情報が、本来であれば取り得ない値(例えばゼロなど)でないか否かが判断される。そして、コマンドB1の遊技機メーカー情報、及び賞球払出個数情報の双方が正常であった場合に、コマンドA1,B1が正常であったと判断され、RWM状態表示器562にてRWMクリア状態情報に応じた表示が行われる。
この際、RWMクリア状態情報が、主制御基板102側でRWMクリアされていないことを示していれば、払出制御基板45においては、RWM状態表示器562にRWMクリア状態がバックアップしたままのクリアされていない状態である旨が表示される。さらに、コマンドA1,B1、及びバックアップされたデータに基づいて、賞球数の管理及び賞球の払出制御が実行される。すなわち、コマンドA1の賞球情報がゼロ個以外の所定の値(例えば1〜15個)であれば、賞球情報に応じた数の賞球数を、バックアップされていた賞球個数情報に加算して、払出すべき賞球数の合計である総賞球個数とする。また、総賞球個数がゼロでない値(例えば最小単位の賞球数以上の値)であれば、コマンドB1の賞球払出個数情報に基づき、払出しモータに係る制御処理を実行する。
また、コマンドA1のRWMクリア状態情報が、主制御基板102側でRWMクリアされていることを示していれば、払出制御基板45においては、RWM513が初期化され、主制御基板102と払出制御基板45のRWM初期化状態の整合が図られる。さらに、RWM513を初期化した状態で、コマンドA1,B1に基づいて、賞球数の管理及び賞球の払出制御が実行される。
なお、変形例として、払出制御基板45から主制御基板102へ、主制御基板102に係るRWMクリア状態を認識した旨の情報を送信してもよい。また、払出制御基板45が自らのRWMクリア状態情報を主制御基板102へ送信するようにしてもよい。
さらに、本実施形態においては、コマンドA1,B1,A2,B2を利用して通信状態の判断が行われる。ここで判断される通信状態は、通信異常とコマンド未受信とであり、このうち通信異常に関しては、主制御基板102及び払出制御基板45の各々で判断が可能である。具体的には、払出制御基板45から主制御基板102に送信されるコマンドA2又はコマンドB2に異常があった場合は、主制御基板102において通信異常と判断される。コマンドA2の異常の有無は、自らの遊技機メーカー情報と払出制御基板45から送られてきたコマンドA2とを用いて判断される。そして、遊技機メーカー情報とコマンドA2の加算結果がゼロであれば正常であり、ゼロでなければ通信異常であると判断される。
また、コマンドB2の異常の有無は、主制御基板102が正規な払出制御基板メーカー情報を記憶しておき、この記憶値とコマンドB2に含まれる払出制御基板メーカー情報とが一致するか否かを判定することにより行われる。なお、コマンドB2に含まれる払出しに関するエラー情報が、通常とり得る値であるか否かを判定し、とり得ない値を示している場合に異常ありと判断することも可能である。
なお、変形例として前述したように、払出制御基板45から主制御基板102へ、主制御基板102に係るRWMクリア状態を認識した旨の情報を送信する場合には、主制御基板102がRWMクリア状態情報を送信しても、払出制御基板45からRWMクリア状態を認識した旨の情報が返信されてこなかった場合などに通信異常と判断することが可能である。
これに対し、払出制御基板45において通信異常と判断されるのは、コマンドA1及びコマンドB1を取得できない状態が所定時間以上継続した場合であり、所定時間は、例えば100msec程度とされている。払出制御基板45においては、コマンドA1及びコマンドB1の取得ができない期間をカウントしており、カウント結果に基づいて通信異常の有無を判断している。そして、その後にコマンドA1及びコマンドB1が取得できた場合には、通信異常状態が解除される。なお、コマンドB1の遊技機メーカー情報が正規な値でなかった場合や、賞球払出個数情報が通常とり得ない値であった場合などに通信異常と判断するようにしてもよい。
一方、ノイズ等の影響による一時的なコマンド未受信に関しては、電源投入後からコマンド未受信であるという取扱いがされ、主制御基板102からのコマンドA1,B1の受信後、コマンド解析をした結果、所定の電源投入情報を受信したと判断するまで、コマンド未受信の状態が継続される。ここで、所定の電源投入情報としては、RWMクリア状態情報や電源断復帰情報(電源断正常データ(図8のS6〜S8、図9のS302,S304などを参照))を利用することが可能である。
なお、主制御基板102又は払出制御基板45が、通信異常を検出した場合や、コマンド未受信を検出している間は、各々において状態に応じたエラー報知がされる。このエラー報知にあたっては、例えば7セグ表示器をRWM状態表示器561,562と兼用することなどが可能である。さらに、前述の演出図柄表示装置60や演出LED(各種遊技効果LED)など)を、ここでのエラー報知に利用してもよい。
さらに、本実施形態の通信方式を採用したぱちんこ遊技機10は、前述したように、ノンマスカブル割込みが発生した場合に、実行中の命令が命令単位で完遂されるものである。すなわち、入賞監視処理(図10中のS51)の開始から賞球制御処理(S52)の終了までの間に、コマンドA1或いはコマンドB1の送信のための制御処理中に電源断の原因となる電圧降下が生じたとしても、その時の命令単位の制御処理を終えた後に電源断確認情報の設定が行われ、その後に遊技進行割込み処理に戻り、コマンドの送信処理が継続される。そして、コマンドA1及びコマンドB1の双方についての制御処理を終え、当該周期の遊技進行割込み処理中の必要な全ての制御処理が終わった後に、電源断処理が実行される(図9のS301〜S307)。
<<本第二実施形態に係る発明の作用効果>>
本実施形態のぱちんこ遊技機においては、主制御基板102及び払出制御基板45の各々のRWMクリア状態を示すRWM状態表示器561,562が備えられており、電力供給開始時に、両RWM状態表示器561,562により、主制御基板102及び払出制御基板45のRWMクリア状態が表示される。したがって、主制御基板102及び払出制御基板45のRWMクリア状態を、遊技場店員等が容易に確認することができる。
すなわち、本実施形態のように、電源断時にバックアップしたデータを電源投入時に必要に応じて初期化できるようにしている場合、RWMのデータが実際に初期化されたか否かを確認することが望ましく、更に、主制御基板102及び払出制御基板45の双方でのデータバックアップ及び集中操作によるRWMクリアを可能とした場合には、主制御基板102及び払出制御基板45のそれぞれにRWM状態表示器561,562を実装し、各RWM状態表示器561,562を個別に制御することにより、制御処理上も、或いは人的な管理上も、主制御基板102及び払出制御基板45の双方のRWMクリア状態を確認し得ることとなる。これによって、主制御基板102及び払出制御基板45のRWMクリア状態の不一致を早急に発見することが可能となる。
また、例えば、払出制御基板45のRWM状態表示器562がなかった場合、遊技場店員等は、払出制御基板45におけるRWMクリア状態を直接知ることはできない。このため、遊技場店員等に対しては、主制御基板102から演出制御基板104へ主制御初期化コマンドCを送信し、演出表示器によりRWMクリアされたことを報知して、払出制御基板45についてもRWMクリアされているはずである、という認識を抱くよう促すことしかできない。ここで、例えば、主制御初期化コマンドによりスピーカを駆動して、RWMクリアされたことを報知することも可能である。
また、ぱちんこ遊技機10の例えば工場内検査においては、払出制御基板45のRWMクリアが正常に行われたか否かを検査者等が知るためには、払出制御基板45のRWMクリア状態を例えば演出表示器等に出力するような専用の機器(治具)を準備して検査を行わなければならず、煩雑な作業が必要になる。さらに、上記専用の機器を接続するためには、ぱちんこ遊技機10の背面側の所定位置(例えば背面視で右上)に配置された外部中継端子板49から、払出制御基板45のRWMクリア状態を表す信号を取り出せるようにする必要がある。
このような事情の下、本実施形態のように、主制御基板102と払出制御基板45の各々にRWM状態表示器561,562を備え、RWM状態表示器561,562により各基板のRWMクリア状態を表示することにより、RWMクリア状態を容易に外部報知できるようになり、遊技場店員や検査者等によるRWMクリア状態の確認を、正確且つ容易に行えるようにすることが可能となる。
また、主制御基板102及び払出制御基板45の間でコマンドA1,B1,A2,B2が相互に通信され、主制御基板102から払出制御基板45へコマンドA1を介してRWMクリア状態情報が送信されるので、払出制御基板45において主制御基板102のRWMクリア状態を認識できる。したがって、主制御基板102及び払出制御基板45の双方でRWMクリア状態情報を共有でき、同じRWMクリア状態情報に基づいた各種制御処理が可能となる。
さらに、主制御基板102から払出制御基板45へは、RWMクリア状態情報のほかに、ぱちんこ遊技機10の固有情報である遊技機メーカー情報が送信され、払出制御基板45から主制御基板102へは、遊技機メーカー情報に基づく演算結果に係る情報(コマンドA2)や、払出制御基板45の固有情報である払出制御基板メーカー情報や払出に関するエラー情報(コマンドB2)が送信される。したがって、主制御基板102においても、払出制御基板45が正常な状態にあるのか否かを認識でき、払出制御基板45が正常な状態にある場合には、少なくともRWMクリア状態情報に基づくRWMクリアが行われたであろうとの推論や認定に基づく制御処理が可能となる。この結果、主制御基板102及び払出制御基板45の各々で、相手方のRWMクリア状態を認識したうえでの制御処理が可能となる。
また、払出制御基板45は、主制御基板102とRWMクリア状態情報を共有しているので、RWMクリア状態情報に基づき、自身と主制御基板102とのRWMクリア状態の異同を確認できる。そして、RWM状態が異なる場合には、主制御基板102に合わせてRWMクリア状態を修正することが可能となる。この結果、主制御基板102と払出制御基板45とのRWM状態が不一致となることを防止でき、RWM状態の不一致を原因とするトラブルの発生を防ぐことが可能となる。
例えば、電源基板251から主制御基板102及び払出制御基板45に至る信号経路中に断線などがあった場合、電源投入時にRWMクリアスイッチ544を操作しても、何れか一方でRWMクリアが実行されず、例えば、主制御基板102ではRWMクリアが行われるが、払出制御基板45ではRWMクリアが行われず、RWM513にバックアップされたデータが残るといった事態が生じる。この場合、払出制御基板45においては、RWM513の記憶されているデータに基づき、本来実行されるべきでない賞球の払出しが行われることとなる。しかし、本実施形態のように、主制御基板102から払出制御基板45へRWMクリア状態情報を含むコマンドA1を送信することにより、払出制御基板45において、RWMクリア状態を補正することが可能となり、本来払出すべきでない賞球の排出を防止できる。
図15は、RWMクリアスイッチ544の操作があったにも関わらず、払出制御基板45においてRWMが初期化されなかった場合の制御処理の一例を示している。図15中の左側のブロックE1に示すように、主制御基板102のRWM503には300個の賞球情報が記憶されており、払出制御基板45のRWM513には200個の賞球情報が記憶されている。この例では、100個分の賞球情報が主制御基板102から払出制御基板45に未だ送信されていない。
この後、RWMクリア操作があると、中央のブロックE2に示すように、主制御基板102の賞球情報はクリアされて0個となるが、払出制御基板45の賞球情報はクリアされず、200個のままとなる。しかし、主制御基板102からのコマンドA1,B1が払出制御基板45に入力されることにより、払出制御基板45は、主制御基板102のRWM状態がクリア有となっていることや、正規な主制御基板102からのコマンドであることなどを認識できる。そして、これらの情報に基づいて、右側のブロックE3に示すように、払出制御基板45の賞球情報が消去されて0個となり、主制御基板102及び払出制御基板45の賞球情報が一致する。
なお、図16は、断線等の原因により、主制御基板102にRWMクリア信号が入力されなかった場合の一例を示している。図16中の上段左側のブロックF1に示すように、主制御基板102のRWM503には300個の賞球情報が記憶されており、払出制御基板45のRWM513には200個の賞球情報が記憶されている。この例でも図15に示す例と同様に、100個分の賞球情報が主制御基板102から払出制御基板45に未だ送信されていない。
この後、RWMクリア操作があると、上段中央のブロックF2に示すように、払出制御基板45の賞球情報はクリアされて0個となるが、主制御基板102の賞球情報はクリアされず、300個のままとなる。しかし、主制御基板102からのコマンドA1,B1が払出制御基板45に入力されることにより、上段右端のブロックF3に示すように、払出制御基板45の賞球情報がクリアされて0個となる。図16に示す例では、払出制御基板45の賞球情報がコマンドA1,B1に基づいてクリアされるまでの間に、遊技領域52で合計300個となる複数の入賞が発生し、主制御基板102の賞球情報が300個となっている。
さらに、図16の下段に進み、払出制御基板45において、主制御基板102からのコマンドA1に基づき賞球の払出しが実行される。その間及びその後にも新たな入賞が複数あり、この新たな入賞に基づく賞球情報が、下段のブロッF4中に示すように、主制御基板102については例えば300個となる。なお、説明を簡略化するため図示を省略しているが、主制御基板102の賞球情報が順次加算されていく間にも、コマンドA1,B1,A2,B2の双方向通信、及び払出制御基板45による賞球の払出しは行われており、主制御基板102及び払出制御基板45の賞球情報は、賞球情報や賞球払出個数情報に基づいて増減している。
また、本実施形態によれば、払出制御基板45から主制御基板102へ送信されるコマンドA2は、主制御基板102から出力されるコマンドA1から一元的に定まる値となっており、またコマンドB2は、払出制御基板45の固有の値となっているので、主制御基板102は、払出制御基板45からのコマンドA2,B2に基づいて、通信異常の有無を判断することが可能である。つまり、払出制御基板45からのコマンドA2又はコマンドB2の少なくとも一方が、本来の値と異なっているか否かを判断し、本来の値と異なっていれば、何らかの通信異常が発生したと判断し、判断結果に基づく制御処理を実行することが可能である。
さらに、本実施形態によれば、払出制御基板45が、コマンドA1及びコマンドB1を受信したと判断できない期間がカウントされており、カウントの結果が所定時間(ここでは100msec)に達した場合に、通信状態が正常でないと判断しているので、払出制御基板45においても、通信異常の有無を確認することが可能である。そして、これらのことから、主制御基板102及び払出制御基板45の双方で相手方との通信異常の有無を判断することができる。
また、払出制御基板45において、電力供給の開始からコマンドA1,B1の受信が確認され、コマンド解析処理により特定の情報(例えば、RWMクリア状態情報、電源断復帰情報など)を受信したことが判断されるまではコマンド未受信としてエラー表示を行い、特定の情報の受信が確認されてからコマンド未受信のエラー表示を解消するので、ノイズなどの原因により一時的にコマンドA1,B1を受信できない状態が生じた場合でも、漏れなくコマンド未受信のエラーを報知することが可能である。そして、通信異常とコマンド未受信とを区別して検出することができ、人的にも制御処理上も、的確な対処が可能となる。
さらに、本実施形態によれば、ノンマスカブル割込みが発生した場合に、実行中の命令が命令単位で完遂され、コマンドA1或いはコマンドB1の送信のための制御処理中に電源断の原因となる電圧降下が生じたとしても、その時の命令単位の制御処理を終えた後に電源断確認情報の設定が行われ、その後に遊技進行割込み処理に戻り、コマンドの送信処理が継続される。したがって、遊技進行割込み処理単位では制御処理を中途半端な状態で終了させて電源断とすることがなく、電源復帰時の制御処理の再開を容易化することが可能である。なお、各種データの受信のための制御処理(例えば受信データの読み込みのための制御処理など)中にノンマスカブル割込みが発生した場合でも同様に、その時の命令単位の制御処理を終えた後に電源断確認情報の設定が行われる。
また、払出制御基板45においても電源断確認情報を設定する場合にも、上述の構成と同様の構成を採用することが可能であり、払出制御基板45から主制御基板102へのコマンドA2,B2の送信のための制御処理(或はコマンド受信のための制御処理)中に電源断の原因となる電圧降下が生じたとしても、その時の命令単位の制御処理を終えた後に電源断確認情報の設定が行われ、その後に遊技進行割込み処理に戻り、コマンドの送信処理が継続される。そして、コマンドA2及びコマンドB2の双方についての制御処理を終え、当該周期の払出制御割込み処理中の必要な全ての制御処理が終わった後に、電源断処理が実行される。
<電源断確認情報の設定に係る第二実施形態>
次に、本願発明の電源断確認情報に係る第二実施形態について説明する。なお、前述の電源断確認情報に係る第一実施形態と同様の部分については同一番号を付し、その説明は省略する。前述の電源断確認情報に係る第一実施形態においては、電源の供給電圧が低下してCPU501のNMI端子504(図4参照)に電断信号が入力されると電源断確認情報が設定されるが、本第二実施形態においては、電断信号の入力があったとしても、その電断信号の入力態様が所定条件を満たさなければ電源断確認情報の設定が行われない。この所定条件としては、電断信号の入力回数や入力期間などを例示することができる。
例えば、電断信号は第一電断信号と第二電断信号とに分けられており、第一電断信号は第一実施形態の電断信号と同様のものである。そして、第一電断信号は、CPU501のNMI端子504に入力される。一方、第二電断信号は、第一電断信号の出力に伴ってCPU501に向けて出力されるものであり、第一電断信号がCPU501に入力されると、第二電断信号はCPU501の他の入力端子に入力される。CPU501は、第一電断信号がNMI端子504に入力されると、その時に実行されていた命令を第一実施形態と同様に完遂した後、制御プラグラム上に規定された所定のアドレス(ここでは0066H番地)に制御処理をジャンプさせて移行させる。さらに、CPU501は、第二電断信号の入力回数を監視しており、入力回数が例えば5回に達していれば、上述の所定のアドレス(0066H)以降の内容に従い電源断確認情報の設定を実行する。
第二電断信号の入力が5回以上ない場合においても、NMI端子504に第一電断信号が入力されることに伴って、CPU501は、制御処理を前述の所定のアドレス(0066H)に移行させる。しかし、所定のアドレスへの移行を行うものの、それ以外の電源断に備えるための制御処理は何ら行わず、電源断確認情報の設定は実行しない。そして、一旦前述の所定アドレス(0066H)への移行を行った後には、移行する前の、例えば遊技進行割込み処理中の制御処理に戻る。つまり、第二電断信号の入力態様が所定条件を満たさなくても制御処理は一旦所定のアドレス(0066H)に移行するが、それ以降の電源断確認情報の設定等のための制御処理を何ら行うことなく、移行前の制御処理に戻る。
第二電断信号の入力回数は、遊技進行割込み処理が繰り返される毎に加算される。つまり、本実施例では、5回の遊技進行割込み処理に亘り第二電断信号の入力が繰り返された場合に所定条件が満たされたと判定される。
この第二実施形態によれば、電源電圧が低下していない場合に例えばノイズ等の影響によりNMI端子504に信号入力があったとしても、信号入力があったことのみを原因として電源断確認情報が設定されてしまうことを防止できる。したがって、電源断とする必要がなく電源断となるべきでないような状況において、誤って電断処理が実行されてしまうことを防止できる。さらに、本第二実施形態のように、所定のアドレスに制御処理を移行させた後に、電源断確認情報を設定することなく直ぐにその処理を抜ける構成とすることにより、第一電断信号が入力に伴うノンマスカブル割込みの機能を利用したまま、より確実な電源断確認情報の設定を行うことが可能となる。
すなわち、遊技機の各種制御基板に用いられるCPUは、ハードウエア割込みであるNMIの機能を備えているのが一般的であり、CPUには、NMI機能のための入力端子や電子回路部分(論理回路を含む)が備えられている。しかし、NMI端子504への信号入力を無視してしまうような制御処理を行うこととした場合には、NMIの機能を削除するための設計変更が、プログラム上、及び回路設計上で必要となる。また、NMI端子や、NMIのための電子回路部分を残したまま、これらを使用せず、例えば接地しておくような措置を採った場合には、不使用(又は未使用)の端子や機能が残ってしまい、不正行為に利用されてしまうことも考え得る。これに対して本実施例のように、NMI端子504に第一電断信号が入力されると制御処理を所定のアドレス(0066H)に移行させるという構成を採用することにより、NMI機能のための構成を削除せずに利用したまま、主制御基板102の設計変更を最小限に抑えながらノイズ等への対策を施すことが可能となる。
なお、本実施形態においては、第二電断信号の入力態様が満たすべき所定条件として、5回の入力を定めているが、本発明はこれに限定されるものではなく、5回以外の回数を設定してもよい。また、所定回数に限られるものではなく、例えば所定期間に亘る入力を条件としてもよい。さらに、第二電断信号を生成するために、第一電断信号の信号経路を分岐させてCPU501に直接的に入力することや、第一電断信号の分岐信号をスイッチング回路に入力することなどが考えられる。また、第一電断信号と第二電断信号とは、CPU501に同期して入力されることが望ましいが、本実施形態の作用効果を奏することが可能な範囲で第二電断信号が遅延する構成を採用してもよい。
また、本実施形態においても、前述の主制御基板102と払出制御基板45との間で主制御MODEコマンド(コマンドA1を含む)、主制御EVENTコマンド(コマンドB1を含む)、払出制御MODEコマンド(コマンドA2を含む)、払出制御EVENTコマンド(コマンドB2を含む)の相互通信が行われるぱちんこ遊技機10に適用が可能なものである。そして、これらの各MODEコマンド及び各EVENTコマンドの送受信に係る制御処理中に電源断の原因となる電圧降下が生じたとしても、第二電断信号の入力態様が所定条件を満たした場合に、電源断確認情報が設定され、本来実行されるべきでない電断処理が行われることを防止できる。
<第二実施例(スイッチ情報を用いた発明)>
次に、本発明の第二実施例について説明する。なお、前述の第一実施例や、第一実施例中の各実施形態と同様の部分については同一番号を付し、その説明は省略する。本第二実施例においては、外部出力を行うことが可能な賞球個数情報に関し、「予定賞球」及び「実賞球」の何れの種別における賞球個数情報とするかの選択ができ、更にその種別を表す種別情報(スイッチ情報)の取扱いが規定されている点で、第一実施例とは異なっている。以下に、賞球個数情報の種別を選択するための構成や、種別情報の取扱い等について説明する。
<<第二実施例における第一発明>>
<<<外部中継端子板について>>>
第一実施例においては説明を省略しているが、前述の外部中継端子板49(図2参照)は、プリント基板上に多数の外部接続端子49aを所定の配置で実装しており、図17に示すように、ぱちんこ遊技機10の外部の機器であるホールコンピュータHC等にケーブルハーネスを介して電気的に接続されている。多数の外部接続端子49aの中には、主制御基板102及び払出制御基板45から、例えば中継基板(図示略)を介して複数種類の信号線を集合させた集合型のコネクタを接続するためのものや、ホールコンピュータHCへ出力される情報の種類毎に個々に分離されたコネクタを接続するためのものなどがある。さらに、外部中継端子板49において、入力側と出力側の外部接続端子49aの間には、個々の出力側の外部接続端子49aに対応してリレー素子(図示略)が設けられている。なお、ホールコンピュータHCとの間に、複数のぱちんこ遊技機10を並べて保持することが可能な島設備に備えられた島コンピュータを介在させてもよい。
また、外部中継端子板49の出力用の外部接続端子49aには、以下の用途のものがある。例えば、主制御基板102からの信号に係るものとして、大当り時に大当りの間中信号を出力する大当り出力用端子、そのときの遊技状態(通常遊技状態、特定遊技状態、特別遊技状態等)に係る情報を出力するための遊技状態情報出力用の端子、各始動口(第1始動入賞口62や第2始動入賞口63など)の1個毎の入賞に係る信号を出力する始動口入賞時出力用端子、特別図柄確定停止時に信号を出力する特別図柄確定回数用出力用端子等、遊技機枠の扉類(前枠12や扉14など)の開放に係る信号を出力する扉開放出力用端子、各種エラー情報を出力するためのエラー情報出力用端子、及び、賞球タンク44に球が不足している間信号を出力する球切れ時出力用端子、などである。
また、払出制御基板45からの信号に係るものとしては、払出制御基板45からの情報をホールコンピュータHC等へ出力する賞球払出関連情報出力用端子が設けられている。この賞球払出関連情報出力用端子として、一つの外部接続端子49aが割り当てられている。さらに、賞球払出関連情報出力用端子から出力される情報は、払出制御基板45が管理している賞球個数情報である。そして、この賞球個数情報は、賞球の所定個数分毎(例えば5個毎や10個毎など)に信号形態を変化させて、ホールコンピュータHC等が、単位賞球数の累積値である総賞球個数を集計できるようにしているものである。
<<<球数情報及び実賞球数情報の生成>>>
遊技領域52(図1参照)において各種入賞が発生することにより、各種入賞口(第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92、一般入賞口72等)に対応した単位数の賞球の払出しが決定され、ここで決定された賞球個数は予定賞球数情報となる。さらに、この予定賞球数情報が払出制御基板45に送信され、賞球払出装置43(図2参照)が駆動されて遊技球が排出され、排出された遊技球がカウントセンサにより検出されると、払出しの済んだ実賞球数情報が加算されて増加し、予定賞球数情報がその分減算される。
なお、払出制御基板45において、主制御基板102から送信される予定賞球数情報を加算し、総予定賞球数情報を生成して、総予定賞球数情報から実賞球数を減算することで払出個数の管理を行ってもよい。また、主制御基板102において、連続して発生した入賞に対応する各単位数を合算して総予定賞球数情報を生成し、この総予定賞球数情報を払出制御基板45に送信するようにしてもよい。
また、本実施例では、カウントセンサは、賞球払出装置43に内蔵されたスプロケットの下流側に配置されており、スプロケットから放出された遊技球がカウントセンサにより検出されるようになっている。しかし、本発明はこれに限定されず、例えばカウントセンサをスプロケットの上流側に配置し、スプロケットに向かって順次送られる遊技球をカウントして実賞球の情報としてもよい。
このような予定賞球と実賞球の区別は、賞球個数情報の取扱の統一化を可能とし、賞球個数の正確な管理を可能とするものである。例えば、特別遊技中などには、短時間に連続して入賞が発生し、遊技者が獲得する権利を得る賞球数は、入賞の発生に応じて急速に増加する。そして、払出すべき賞球数の増加ペースに比べると、実際に払出しがされた賞球数の増加ペースは遅いのが通常である。しかし、特別遊技中、或いは連チャン中等に急激に増加する獲得賞球数を、例えば演出図柄表示装置60などで数値を高速に更新表示することで報知するようなものもある。そして、このようにリアルタイム的に賞球個数表示を行う場合には、報知する賞球数を、その時点で払出すことが決まっている予定賞球数とするのか、或いは、払出しを済ませた実績である実賞球数とするのか、を事前に決定しておく必要ある。
このうち、予定賞球数で報知を行うとした場合には、実際の払出しの前に、獲得予定の賞球個数を表示することとなる。しかし、獲得賞球個数が表示された後も、遊技球の払出しが継続されることから、表示が予定数に基づき行われていることを遊技者が理解していなければ、遊技者が賞球個数表示の信憑性について誤解を抱くことも想定し得る。一方、実賞球数で報知を行うとした場合には、入賞発生に対する払出しの遅れによって、短時間で獲得賞球数が増えたという出球感を、遊技者に対し十分に与えることができないことも想定し得る。このような事情は、ぱちんこ遊技機10で獲得賞球数の表示を行う場合のみでなく、島設備(所謂呼出しランプ装置やカードユニット等)の側で賞球個数情報の表示を行う場合にも同様である。
<<<賞球個数情報の種別の設定>>>
次に、賞球個数情報の種別の設定のための構成について説明する。制御処理上、「予定賞球」と「実賞球」の区別が可能である点は第一実施例も同様であるが、本第二実施例のぱちんこ遊技機10においては、賞球個数情報の外部出力を、「予定賞球」或いは「実賞球」の何れで行うかを、遊技場側で事前に選択しておくことが可能である。すなわち、図17中に示すように、払出制御基板45には、種別選択手段571が設けられており、この種別選択手段571は、種別設定スイッチ572と、種別設定スイッチ572の操作結果に応じた情報出力が可能な論理回路部573とを有している。また、予定賞球数情報(予定数)と実賞球数情報(完了数)の双方が、払出制御基板45の入出力ポート515から論理回路部554へ入力される。
種別設定スイッチ572として、例えば、遊技場店員等の手動操作によって状態を変更し維持するディップスイッチが用いられている。そして、このディップスイッチを操作することで、賞球個数情報の意味を、予定賞球数の情報とするのか、或いは実賞球数の情報とするのかの需要に応じて、事前に変更できるようになっている。さらに、論理回路部573の内部における論理回路の入出力関係は、遊技場店員等が設定した種別設定スイッチ572の状態に応じて決められ、種別設定スイッチ572の状態を示す情報(以下、「スイッチ情報」と称する)が、払出制御基板45の外部へ出力される。すなわち、本実施形態では、種別選択手段571が、予定賞球数情報と実賞球数情報に係る入出力関係を変更可能な論理回路となっており、種別選択手段571により予定賞球数情報と実賞球数情報の何れかが選択されて、払出制御基板45から他の基板(主制御基板102など)へ伝送される。
なお、制御処理上、「予定賞球」と「実賞球」の区別は、賞球に限らず、例えばカードユニットからの要求により行われる球貸しの際の貸球にも適用し得る。この場合は、「予定貸球」、「実貸球」として、「予定賞球」と「実賞球」と区別することも可能である。このように、賞球と貸球とを区別して外部出力した場合には、大当り中にカードユニットから貸出要求がなされた場合であっても、大当りに起因した賞球数のみを正確に管理することが可能となる。
<<<スイッチ情報の主制御基板への伝送>>>
また、本実施例においては、前述のスイッチ情報が、払出制御基板45から主制御基板102に伝達される通信形態が採用されている。以下に、主制御基板102と払出制御基板45との間の通信形態について図18に基づき説明する。図18に示すのは、遊技球の払出時に主制御基板102と払出制御基板45との間で送受信される払出コマンド(払出制御用入力信号及び払出制御用出力信号)の一例であり、この払出コマンドは第1コマンド及び第2コマンドからなる2バイト構成を採用している。そして、図18中の左側は、主制御基板102の払出制御基板45に対する通信仕様を示しており、図18中の右側は、払出制御基板45の主制御基板102に対する通信仕様を示している。
先ず、図18(A),(B)は、前述の第1コマンドのうち、主制御基板102から払出制御基板45に送信されるコマンド(主制御MODEコマンド)の態様を示しており、図18(C),(D)は、同じく第1コマンドのうち、主制御基板102からのコマンド(主制御MODEコマンド)に応答して払出制御基板45から主制御基板102に送信されるコマンド(払出制御MODEコマンド)の態様を示している。さらに、図18(E),(F)は、前述の第2コマンドのうち、主制御基板102から払出制御基板45に送信されるコマンド(主制御EVENTコマンド)の態様を示しており、図18(G),(H)は、同じく第2コマンドのうち、主制御基板102からのコマンド(主制御EVENTコマンド)に応答して払出制御基板45から主制御基板102に送信されるコマンド(払出制御EVENTコマンドに相当)の態様を示している。
図18中の左側に示す主制御基板102においては、遊技進行割込み毎(ここでは4ms毎)に、コマンドの送受信の確認が行われる。このコマンドの送受信の確認は、遊技進行割込み処理(図10参照)中の例えば賞球制御処理(S52)において行うことが可能である。一方、図18中の右側に示す払出制御基板45においては、払出制御割込み毎(ここでは1ms毎)にコマンドの送受信の確認が行われる。
図18(A)に示す主制御基板102からの送信1コマンド目において、8ビット中のビット7〜6は「10」の固定値を表し、ビット5は賞球個数の取扱種別に係る情報(取扱種別情報)を表している。また、ビット4は受け皿満タン状態を表し、更にビット3〜0は賞球個数を表している。そして、これらの各種情報のうち、ビット3〜0の4ビットは、0(0000B)個から15(1111B)個の何れかの賞球数の指示に用いられる。
これらのうちビット5の取扱種別情報は、値が「0」である場合は、ビット3〜0による賞球個数の情報が予定賞球を意味していることを示し、値が「1」である場合は、賞球個数の情報が実賞球を意味していることを示す。つまり、主制御基板102から払出制御基板45へ、第1コマンドの主制御MODEコマンドにおいて、ビット5の値を「0」として伝達される賞球個数は、予定賞球数を意味することとなる。ここで、予定賞球数情報に関しては、主制御基板102が伝達側制御手段であり、払出制御基板45が応答側制御手段となっている。また、ビット4は、受け皿満タン状態を示すものであり、0は受け皿満タンではないことを表し、1は受け皿満タン中であることを表している。なお、図18(A)中に示すビット4の値A、及びビット3〜0の値Bは、とり得る値の何れかであることを示している。
次に、図18(B)に示す払出制御基板45の側においては、受信したコマンドの上位3ビットが「100」の場合に、受信したコマンドが1コマンド目であると判断される。さらに、払出制御基板45においては、受信したコマンドに基づき、所定のバッファ(バッファA)に受皿満タン状態の情報を格納し、他の所定のバッファ(バッファB)に賞球個数の情報を格納する。ここで、後述する2コマンド目を受信する前に、再度主制御基板102からの送信1コマンド目を受信した場合には、上記所定のバッファ(バッファA,B)を上書きする。なお、所定のバッファ(バッファA,B)は、前述のMODEコマンドバッファに含まれるものとすることができる。
そして、図18(C),(D)に示すように、払出制御基板45から主制御基板102に対して、主制御MODEコマンドに対応して、払出制御基板45からの送信1コマンド目(払出制御MODEコマンド)が送信されるが、ビット5の値は、前述の種別設定スイッチ572(図17参照)の状態に対応した値となっている。すなわち、ビット5の賞球取扱種別情報は、種別設定スイッチ572に係るスイッチ情報である。そして、図18(C),(D)に示す例では、種別設定スイッチ572の状態は、実賞球を選択した状態となっており、ビット5の値を「1」としてコマンドの送信が行われている。つまり、スイッチ情報に関しては、払出制御基板45が伝達側制御手段であり、主制御基板102が応答側制御手段となっている。
主制御基板102においては、払出制御基板45からの送信1コマンド目を受信すると、図18(E)に示すように、主制御基板102からの送信2コマンド目(主制御EVENTコマンドに相当)を払出制御基板45へ送信する。そして、このときのコマンドの内容は、「0」と「1」とを交互に並べた固定値(01010101(55H))となっている。
払出制御基板45においては、受信したコマンドが所定の値(55H)であることが確認されると、2コマンド目を受信したことが判断される。その際に、前述の受け皿満タン状態及び賞球個数の情報がバッファA及びBに格納されていれば、その値が受け皿満タン状態及び賞球個数に係る情報として所定の記憶領域に格納され、バッファA及びBはクリアされる。そして、払出制御基板45により賞球払出装置43が駆動され、払出し動作が開始される。ここで、この後の1コマンド目を受信する前に、再度主制御基板102からの送信2コマンド目を受信した場合には、バッファA及びBはクリアされているので、受け皿満タン状態及び賞球個数に係る情報の格納が改めて行われるということはない。
そして、図18(G),(H)に示すように、払出制御基板45から主制御基板102に対して、主制御EVENTコマンドに対応して、払出制御基板45からの送信2コマンド目(払出制御EVENTコマンド)が送信されるが、このときのビット5の値は、図18(C),(D)の場合と同様に、種別設定スイッチ572(図17参照)の状態に対応した値となっており、ここではビット5の値は「1」である。
この際、上位2ビットは固定値「01」となっており、更に下位2ビットを用いて賞球払出装置43に係る払出装置異常、及び賞球払出し中の情報が送信される。本実施形態では、ビット1が払出装置異常の情報を表すのに用いられており、ビット1が「0」の場合は払出装置異常がないことが表され、ビット1が「1」の場合は払出装置異常中であることが表される。また、ビット0が賞球払出し中の情報を表すのに用いられており、ビット0が「0」の場合は賞球払出し中ではないことが表され、ビット0が「1」の場合は賞球払出し中であることが表される。なお、図18(G)中に示すビット1の値C、及びビット0の値Dは、とり得る値の何れかであることを示している。
図18(H)に示すように、払出制御基板45からの送信2コマンド目を受信した主制御基板102の側においては、受信したコマンドのビット5が、図18(D)に示す受信1コマンド目と比較され、両者のビット5の値が合致した場合には、2コマンド目について送受信完了と判断される。一方、合致しなかった場合には、2コマンド目について送信エラーが発生したと判断される。そして、送受信完了と判断された場合は、コマンド中のビット1の値を払出装置異常の状態を示す(有無を示す)情報として格納されて保存され、ビット0の値を賞球払出し中の状態を示す(賞球払出し中であるか否かを示す)情報として格納され保存される。そして、図18(I)に示すように払出しコマンドの送受信が完了する。なお、本実施形態では、主制御基板102は、コマンド送信後の次の遊技進行割込み処理において、払出制御基板45からのコマンドを受信しなかった場合には、送信エラーと判断し、コマンドの再送信を行う。
また、主制御基板102における賞球個数情報の取扱形態としては、種々のものを採用可能である。そして、ここでは主制御基板102の側で、入賞の発生に伴って順次加算される予定賞球数のみを取扱っているが、実賞球数の取扱いを併せて行うことが可能である。さらに、実賞球数のみを取扱うこととしてもよい。
主制御基板102において実賞球数情報を取扱う場合には、主制御基板102へ実賞球数に係る情報を入力することが考えられる。具体的には、払出制御基板45、或いは前述のカウントセンサのような検出手段から、主制御基板102に対して、実賞球数情報自体や、実賞球数を把握可能とするための各種情報を入力することを例示できる。さらに、払出制御基板45からの、実賞球数情報自体や、実賞球数を把握可能とするための各種情報としては、所定数の遊技球の払出しがされる毎に主制御基板102へ送信される払出完了信号を挙げることができる。また、払出完了信号の出力タイミングとしては、入賞口毎に定められた単位賞球数(例えば3個や5個など)の払出しが検出された際、一定の区切り数(例えば10個など)の払出しが検出された際、或いは、合算された総実賞球個数の払出しが終わって残数が0となった際、等を例示できる。
また、主制御基板102から外部中継端子板49へ、予定賞球数情報のみを出力すること、実賞球数情報のみを出力すること、或いは、予定賞球数情報及び実賞球数情報の双方を出力すること、など、必要に応じた態様の採用が可能である。この場合、種別設定スイッチ572の操作結果に応じた種別の賞球個数情報を、主制御基板102のみから外部中継端子板49へ出力してもよく、主制御基板102及び払出制御基板45の双方から外部中継端子板49へ出力してもよい。さらに、種別設定スイッチ572のみ、或いは論理回路部573の全体を、主制御基板102に設けるようにしてもよい。
<<<電源断時と電源断復旧時におけるスイッチ情報の取扱い>>>
前述のスイッチ情報は、電源断時にバックアップされる情報の一つである。また、前述の賞球個数情報も、電源断時にバックアップされる。そして、電源断復旧時(電源投入時)には、電源投入により開始される制御開始処理中の所定のタイミングでスイッチ情報設定処理が実行されて、保存されていたスイッチ情報が読み出されて設定される。
図19は、前述の制御開始処理(図8及び図9参照)における、電源投入から遊技進行割込み処理の実行が可能となるまでの制御処理を、第一実施例の説明に比べてより機能的に描き表わしたうえで、スイッチ情報設定処理の実行タイミングを示したものである。図19中に示すように、電源の投入(S81)があると、スタックポインタの設定(S82)割込みモードの設定(S83)、RWMアクセスの許可(S84)、内蔵レジスタの初期設定(S85)、及びRWMクリアスイッチ(図4中の符号544参照)の操作状態の確認(S86)が順に実行される。これらのうちS82〜S86までの制御処理は、第一実施例の制御開始処理(図8及び図9参照)のS1〜S5に対応したものである。
RWMクリアスイッチ544の操作状態の確認の処理(S86)において、RWMクリアスイッチが押されていなければ(S86:NO)、電源断正常の情報が保存されているか否か判定(S87)が実行され、電源断情報フラグの値が電源断正常データに一致した場合(S87:YES)には、チェックサムデータが算出される(S88)。さらに、チェックサムデータが正常であるか否かの判定(S89)が実行され、チェックサムデータが正常であった場合(S89:YES)には、電源断復帰時の処理(S90〜S93)へ移行する。ここで、上述のS87〜S89までの制御処理は、第一実施例の制御開始処理(図8及び図9参照)のS6〜S8に対応したものである。
S90で示すソレノイドの復帰設定の制御処理においては、各可変入賞口に対応して備えられた各ソレノイドが電源断発生前の状態に戻される。さらに、スイッチ情報設定処理(S91)が実行され、スイッチ情報が復元される。また、S92で示す電断復帰時のRWMの初期設定の制御処理においては、バックアップされた情報に基づくRWMの初期設定が行われ、続いて電源投入正常の情報の保存(S93)が行われる。これらのS90,S92,S93の制御処理は、第一実施例の制御開始処理(図8及び図9参照)のS13,S15,S16等の処理に対応したものである。
その後、タイマ割込み起動の処理(S94)、割込み許可の設定(S95)が実行され、タイマ割込み起動の処理(S94)での計時開始から所定時間(ここでは4ms)が経過すると遊技進行割込み処理(図10参照)による遊技制御が開始される(S96)。そして、この後、遊技進行割込み処理は、所定周期(ここでは4ms)毎に繰り返される。
また、前述のS86、S87、及びS89において、RWMクリアスイッチが押されている場合(S86:YES)、電源断正常の情報が保存されていない場合(S87:NO)、及びチェックサムデータが正常でない場合(S89:NO)には、RWMの全領域のクリア(S97)、RWM初期化時のRWMの初期設定(S98)、及び電源投入正常の情報の保存(S99)が順に実行され、制御処理は、タイマ割込み起動の処理(S94)に進む。これらのうちS97,S98の制御処理は、第一実施例の制御開始処理(図8及び図9参照)のS24,S25に対応したものである。また、第一実施例に係る説明においては、図19中の電源投入正常の情報の保存(S99)に対応する制御処理の図示は省略されている。
スイッチ情報の状態の確認(スイッチ情報設定処理(S91))は、正常に電源断復帰が行われる場合、即ちチェックサムデータが正常であるか否かの判定(S89)よりも後のタイミングで行うことが望ましいが、本第一発明では、前述のように、ソレノイドの復帰の設定(S90)と、電断復帰時のRWMの初期設定(S92)との間のタイミング(ソレノイドの復帰設定後のタイミング)で行われる。そして、確認されたスイッチ情報の設定状態が、電源断復帰後のスイッチ情報としてRWMの所定領域に記憶されて設定され、電源断が発生する前と同じ内容のスイッチ情報に基づき、主制御基板102と払出制御基板45との間の通信、及び、払出制御基板45から外部中継端子板49への情報出力を行うことが可能となる。ここで、主制御基板102から外部中継端子板49へ、スイッチ情報や賞球個数情報を出力するようにしてもよい。
また、スイッチ情報の状態の確認タイミングとしては、バックアップデータの初期化の可能性が排除されたタイミングであることが望ましく、上述のタイミング以外のタイミングとしては、例えば、電断復帰時のRWMの初期設定(S93)と電源投入正常の情報の保存(S94)との間(電断復帰時のRWMの初期設定時のタイミング)や、或いは、電源投入正常の情報の保存(S93)とタイマ割込み起動(S94)との間(電源投入正常の情報の保存後のタイミング)などが考えられる。
<<<第二実施例に係る第一発明の作用効果>>>
以上説明したように、第二実施例に係る第一発明によれば、種別設定スイッチ572が備えられているので、賞球個数情報の意味するところを遊技場店員等が必要に応じて事前に設定することができる。このため、外部接続端子から出力される賞球数の情報が、その後に払出しが予定されている予定賞球数情報であるのか、既に払出しが済んだ実賞球数情報であるのかを区別したうえ出力でき、遊技場側において、両者の情報の混同することなく、正確な計数管理を行うことが可能になる。さらに、ホールコンピュータHC等で、ぱちんこ遊技機10からの賞球個数情報の意味を事前に統一化したうえで、賞球個数情報を管理することができる。そして、例えば、単発で、或いは連チャンで発生した特別遊技中に遊技者が獲得した合計の賞球数を、遊技場のニーズに応じた内容で管理や表示することが可能となる。ここで、遊技場のニーズは、遊技場側が一方的に望んだものに限るわけではなく、遊技場のニーズには、例えば、遊技場側が事前に把握或いは想定した多くの遊技者のニーズも含まれる。
また、第二実施例に係る第一発明によれば、払出制御基板45において、予定賞球数情報及び実賞球数情報の双方が扱われており、そのうち、種別設定スイッチ572で選択された一方の賞球個数情報のみが、論理回路を構成する種別選択手段571を介して、外部中継端子板49に出力される。したがって、予定賞球数情報及び実賞球数情報の各々を個別に外部中継端子板49からホールコンピュータHC等へ出力する場合に比べ、外部中継端子板49の入力用の端子及び出力用の端子(外部接続端子49a)の数を減らすことができる。そして、このように外部中継端子板49の端子数を減らすことは、コスト削減の観点から有用である。
さらに、払出制御基板45からの賞球個数情報の端子数を減らすことにより、払出制御基板45の他の情報に係る端子の設置が可能となる。また、払出制御基板45に係る端子数は増やさず、主制御基板102等の他の制御基板からの情報に係る端子数を増やすことも可能である。この場合、例えば、主制御基板102からのゲーム性に係る情報端子を増設することが可能である。そして、主制御基板102からのゲーム性に係る情報端子としては、例えば当りの発生に関して、大当りの種別、小当り、小当りの種別、潜伏確変大当り(遊技者に対する明示的報知や出球を伴わないが確率変動状態を生じる当り)を示す情報などを中継するものを例示できる。
また、本第一発明によれば、種別設定スイッチ572が払出制御基板45に備えられているので、主制御基板102に設けた場合に比べて、種別設定スイッチ572が当否抽選に係る不正に利用される可能性が低く、その分、不正に対する安全性を確保できる。なお、種別設定スイッチ572の配置としては、必要に応じて、例えば、主制御基板102、或いは外部中継端子板49などに設置してもよい。また、種別設定スイッチ572を搭載した種別選択スイッチ基板を新たに追加することも可能である。さらに、種別設定スイッチ572のみでなく、論理回路部573を含んだ種別選択手段571を、例えば、主制御基板102、或いは外部中継端子板49に形成してもよい。
また、本第一発明では、種別設定スイッチ572としてディップスイッチが用いられているので、遊技場店員等がディップスイッチの状態を確認することにより、そのときのスイッチ情報の内容を目視により確認することができる。なお、ディップスイッチに限らず、スイッチ情報の確認のための7セグ表示器を備えたり、演出図柄表示装置60にスイッチ情報に係る表示を行ったりしてもよい。スイッチ情報の確認のための7セグ表示器として、遊技機背面に通常設けられているエラー表示等のための状態表示器を利用したり、或いは、第一実施例のRWM状態表示器562(又はRWM状態表示器561)を利用したりすることも可能である。
さらに、本第一発明では、種別設定スイッチ572としてディップスイッチが用いられているが、ディップスイッチのほか、例えば一回の操作毎にオン・オフを切り換えるプッシュ式スイッチやトグル式スイッチなど、各種の一般的なタイプのスイッチ機器を採用することも可能である。さらに、既存のスイッチを利用することも可能であり、例えば、電源基板251(図4参照)に設けられたRWMクリアスイッチ544を利用してもよい。この場合、電源投入後の所定時間が経過した後には、RWMクリアスイッチ544の機能が自動的に種別設定スイッチ572に切り換わるようにしてもよい。また、電源投入時の操作ボタン82(図1参照)の操作などの付加的操作によって、RWMクリアスイッチ544の機能が種別設定スイッチ572に切り換わるようにしてもよい。
また、RWMクリアスイッチ544の配置は電源基板251以外の部位であってよく、例えば払出制御基板45にRWMクリアスイッチ544を配置し、種別設定スイッチ572として兼用することが考えられる。また、払出制御基板45にエラー解除スイッチが設けられている場合には、このエラー解除スイッチを種別設定スイッチ572として兼用できるようにすることも可能である。この場合、例えばエラーの報知がされていない状況では、エラー解除スイッチが種別設定スイッチ572として機能するようにすることが考えられる。
さらに、本第一発明によれば、払出制御基板45から主制御基板102へスイッチ情報が送信されるので、種別設定スイッチ572の選択状態を主制御基板102へ確実に伝達することができる。また、スイッチ情報の伝達は、払出制御基板45から主制御基板102へのコマンド(払出制御MODEコマンド、払出制御EVENTコマンド)に含めて行われるので、信号経路を新たに追加することなく、スイッチ情報の伝達を行うことが可能である。
さらに、前述のように、主制御基板102における遊技進行割込み処理毎(ここでは4ms毎)、及び払出制御基板45における払出制御割込み処理毎(ここでは1ms毎)に、コマンド送受信の確認が行われているので、スイッチ情報の確認頻度を可能な限り高めることができる。そして、ノイズ等の影響によりスイッチ情報の内容が、選択されたものと異なってしまったとしても、最小限の時間で適正なスイッチ情報を確認でき、スイッチ情報の正確性を高めることができる。また、主制御基板102における遊技進行割込み処理の周期(ここでは4ms)に対し、払出制御基板45における払出制御割込み処理の周期(ここでは1ms)は短く設定されているので、主制御基板102において、適正でないスイッチ情報が確認されてしまうことを可及的に防止できる。
また、本第一発明においては、スイッチ情報が主制御基板102におけるバックアップ対象とされているので、電力供給の復帰時から、賞球個数情報の種別を踏まえた管理を行うことが可能となる。さらに、電源断復帰時におけるスイッチ情報設定処理(図19のS91参照)は、バックアップデータの初期化の可能性が排除されたタイミング以降に行われているので、スイッチ情報が意に反して初期化されてしまうことを防止できる。
また、このようなタイミングでスイッチ情報の設定を行うことにより、タイマ割込みの起動(S93)の前にスイッチ情報の確認を済ませておくことができる。そして、タイマ割込みの起動(S93)の後に実行される循環処理(図9中のS33(S28〜S32)に対応)内の制御処理を増やすことなく、スイッチ情報を確認(設定を含む)でき、循環処理中に、より多くの回数に亘り、乱数更新(ここでは初期値乱数更新(図9中のS31に対応)を行うことが可能となる。
さらに、前述の第一実施例で説明したように、電源断時には、主制御基板102において、そのときに実行されている命令が完遂されてから電源断確認情報が設定され、その後電断発生時の制御処理に戻り、当該制御処理において実行されるべき残りの処理が全て完了してから、制御開始処理(図9中のS33に対応するループ処理)に戻り、電源断処理(前述のS301〜S307に対応)が実行される。また、電断信号が出力されてから、供給電力が主制御基板の動作に必要な値を下回るまでの間に、少なくとも、制御開始処理、遊技進行割込み処理、電源断確認情報の設定、及び前記電源断処理を終え、更に、各種の副制御手段における電源断処理の開始タイミングは、主制御基板102が電源断処理を終えた後となっている。したがって、本第一発明によれば、スイッチ情報を含むコマンドの送受信が強制的に中断されてしまうことを防ぐことができ、スイッチ情報を確実に保存できる。さらに、払出制御基板45を含む副制御手段の電源断処理の開始タイミングを、主制御基板102の各種制御処理の所要時間を考慮したものとすることができ、この結果、主制御基板102におけるスイッチ情報を、払出制御基板45におけるスイッチ情報を確実に反映したまま、バックアップすることが可能である。
なお、賞球個数情報に限らず、図20に示すように、その他の遊技情報について種別の選択を行うようにしてもよい。図20に示すのは、主制御基板102からのゲーム性に係る情報(ゲーム性情報)の選択を可能とする種別選択スイッチ576を備えた例である。この種別選択スイッチ576は、主制御基板102と別体で備えられ、主制御基板102の入出力ポート505に接続されている。主制御基板102においては、外部中継端子板49へ出力する情報の選択が可能となっており、外部中継端子板49の所定の一つ外部接続端子49aに対して、所定の複数のゲーム性情報のうちの何れか一つを、外部中継端子板49に出力すべきゲーム性情報として設定できるよう、制御処理プログラムが作成されている。
ここでは、ゲーム性情報として「大当り情報」が採用されている。この「大当り情報」は、ホールコンピュータHCでの大当りの発生回数を管理できるよう、大当りの発生を通知するものである。さらに、この「大当り情報」には、遊技者にとっての相当の出球を見込める出球有りの当りのみの当りを示す「限定的当り情報」と、相当の出球を見込めない出球無しの当りを含む「総合的当り情報」とがある。そして、主制御基板102は、「限定的当り情報」或いは「総合的当り情報」の何れかを、外部中継端子板49に出力できるようになっている。なお、出球無しの当りとしては、前述の潜伏確変大当りや小当りなどを例示できる。
種別選択スイッチ576は、その状態に応じて、「限定的当り情報」と「総合的当り情報」の何れかを示すようになっている。そして、遊技場店員等が種別選択スイッチ576を操作すると、主制御基板102のCPU501は、種別選択スイッチ576の状態を判断し、種別選択スイッチ576の状態に応じて、「限定的当り情報」及び「総合的当り情報」の何れを外部中継端子板49へ出力するかを決定する。さらに、主制御基板102は、各種の当りが発生すると、種別選択スイッチ576が「限定的当り情報」を選択していれば、出球無しの当りについては外部出力せず、「総合的当り情報」を選択していれば、出球無しの当りも含めて外部出力を行う。
このような実施形態においては、主制御基板102のCPU501、RWM503、及び種別選択スイッチ576等が、全体として論理回路部として機能している。そしてこのような構成とすることにより、少ない端子数で、低コストに、主制御基板102から必要な情報の外部出力が可能となる。なお、本実施形態においても、種別選択スイッチ576のスイッチ情報をバックアップ対象とすることが可能であり、前述の、賞球個数情報に係るスイッチ情報をバックアップし、電源断復帰時にスイッチ情報を復元する場合と同様の作用効果を奏することが可能である。
また、本実施形態の種別選択スイッチ576について種々の配置については、例えば、電源基板251や払出制御基板45、或いは専用に設けられたスイッチ基板等、種々な態様の選択が可能である。さらに、本実施形態に係る発明は、前述の賞球個数情報のスイッチ情報についての実施形態に係る発明と併用することが可能なものである。
<<第二実施例における第二発明>>
次に、第二実施例に係る第二発明について説明する。本第二発明においては、スイッチ情報の維持機能を備え、図17中に示すように、スイッチ状態維持ボタン581を追加した点に特徴がある。このスイッチ状態維持ボタン581は、種別設定スイッチ572の選択状態が、誤操作によって意図せず変更されることを防止し得るものである。すなわち、先の実施形態で説明したように、種別設定スイッチ572が遊技場店員等により操作され、スイッチ情報が選択された後、遊技場店員等がスイッチ状態維持ボタン581を更に操作することにより、スイッチ状態維持ボタン581の操作がトリガーとなり、種別設定スイッチ572の選択状態が確定される。
種別設定スイッチ572の選択状態の確定は、論理回路の入出力関係を規定すること等により行い得るものである。例えば、論理回路部573の構成を、種別設定スイッチ572の操作入力と、スイッチ状態維ボタンの操作入力との論理積により、種別設定スイッチ572の操作入力の値が論理回路部573から出力されるようなものを例示することができる。
スイッチ状態維持ボタン581としては、専用のボタンを例えば払出制御基板45や、その他の基板に追加して設けることや、例えば既存の演出用ボタン(操作ボタン82や十字キーなど)を兼用することなどが考えられる。また、ディップスイッチなどにより、一体的に、種別設定スイッチ572及びスイッチ状態維持ボタン581を構成してもよい。
種別設定スイッチ572の選択状態の変更の際には、一旦スイッチ情報がリセットされる。このリセットのために、遊技場店員等が、スイッチ状態維持ボタン581を再度操作して種別設定スイッチ572の選択状態を解除し、種別設定スイッチ572を予定賞球数情報或いは実賞球数情報の何れかに設定し直してからスイッチ状態維ボタンを操作し、種別設定スイッチ572の選択状態を再度確定することが考えられる。なお、スイッチ情報をリセットすることにより、初期状態として、種別設定スイッチ572が予定賞球数情報(或いは実賞球数情報)を自動的に選択した状態となるようにしてもよい。また、スイッチ情報をリセットのための専用のボタン装置を備えることも可能であり、更にディップスイッチにより、種別設定スイッチ572、スイッチ状態維ボタン(スイッチ)、及び、スイッチ情報リセットボタン(スイッチ)を一体的に構成してもよい。
本第二発明に関して、前述の主制御基板と払出制御基板との通信における第二実施形態に係る発明を応用することも可能である。すなわち、電源断時に、主制御基板102と払出制御基板45の各々で、スイッチ情報及び賞球個数情報をバックアップし保存する。図17中に示すように、RWMクリアスイッチ544を集中操作することで、主制御基板102及び払出制御基板45の各々でのRWMクリアが可能となっており、RWMクリア状態が、RWM状態表示器561,562により表示され報知されるようになっている。
主制御基板102から払出制御基板45への送信1コマンド目には、RWMクリア状態情報が含まれている。また、主制御基板102から払出制御基板45への送信2コマンド目には、賞球情報が含まれている。これに呼応して、払出制御基板45は主制御基板102に対し、主制御基板102から送信1コマンド目を受信することで払出制御基板45からの受信1コマンド目を送信し、主制御基板102から送信2コマンド目を受信することで払出制御基板45からの受信2コマンド目を送信する。払出制御基板45からの送信1コマンド目、及び送信2コマンド目の内容としては、例えば前述の実施例や各種実施形態のように、種々のものを採用することが可能である。
払出制御基板45においては、主制御基板102からの1コマンド目及び2コマンド目を受信してから、両コマンドの解析を行う。この時点で、払出制御基板45は、主制御基板102のRWMクリア状態を認識する。
続いて、主制御基板102から副制御手段(ここでは演出制御基板104)へ、主制御初期化コマンドが送信される。演出制御基板104は、主制御初期化コマンドを受信すると、例えば演出表示器によりRWMクリアされたことを表示し報知する。ここで、演出表示器として、演出図柄表示装置60などを用いることが可能である。また、例えば、主制御初期化コマンドによりスピーカを駆動して、RWMクリアされたことを報知することも可能である。
さらに、主制御基板102から外部中継端子板49に対し、RWMクリア状態情報が出力され、RWMクリア状態情報が外部中継端子板49を介してホールコンピュータHC等に出力される。
これに対し、払出制御基板45においては、電源投入に伴い、主制御基板102からRWMクリア状態情報が取得され、その後の制御処理(払出制御基板45におけるスイッチ情報設定処理)において、種別設定スイッチ572の状態に応じて、賞球個数情報の種別を示すスイッチ情報を設定する。そして、スイッチ情報が、払出制御基板45から外部中継端子板49を介してホールコンピュータHC等へ出力される。また、スイッチ情報は、スイッチ情報の取扱いに係る先の実施形態と同様に、払出制御基板45から主制御基板102に伝達される。また、払出制御基板45におけるスイッチ情報設定処理は、払出制御基板45における制御開始処理中に実行される。
本第二発明によれば、スイッチ状態維持ボタン581が設けられているので、種別設定スイッチ572の選択状態が、誤操作によって意図せず変更されることを防止できる。なお、本第二発明では、論理回路の入出力関係を規定することにより、種別設定スイッチ572の選択状態を維持できるようにしているが、種別設定スイッチ572の動作を機械的に妨げることにより種別設定スイッチ572の選択状態を維持することも考えられる。そして、機械的な手段としては、例えば、種別設定スイッチ572が変位動作しないようロック機構を設ける、或いは種別設定スイッチ572を、遊技場店員等が誤って接触しないよう蓋体で覆う、等といったことが考えられる。
また、本第二発明によれば、主制御基板102と払出制御基板45とでRWMクリア状態情報を共有したうえで、払出制御基板45によるスイッチ情報の設定が行われる。したがって、RWMの初期化操作があったにも関わらず、何らかの原因により、払出制御基板45のRWMの初期化が正常に行われなかった場合でも、一旦賞球個数情報とともにスイッチ情報をクリアしたうえで、スイッチ情報設定処理により改めて適正にスイッチ情報を設定でき、この設定し直されたスイッチ情報に基づく賞球個数情報をホールコンピュータHCへ出力することが可能である。これにより遊技場においては、主制御基板102と払出制御基板45との間におけるスイッチ情報の不一致を疑うことなく、信頼をもって賞球個数情報の管理を行うことができる。
なお、スイッチ情報の維持機能を果たす手段としては、スイッチ状態維持ボタン581を設けることに限らず、例えば、所定の入賞口(第1始動入賞口62など)へ、遊技場店員等が遊技球を落入させ、この遊技球が始動入賞検出装置74により検出されたことを契機として、スイッチ情報を確定させるようにしてもよい。
<<第二実施例における第三発明>>
次に、第二実施例に係る第三発明について説明する。本第三発明においては、図17に示すように、スイッチ情報の取扱いに係る先の各実施形態に対して、スイッチ情報監視手段591を備えている。このスイッチ情報監視手段591は、主制御基板102に備えられており、払出制御基板45から伝送された払出コマンド(図18参照)に基づき、スイッチ情報の異常の有無を判断する。さらに、スイッチ情報監視手段591が異常を検出した場合には、主制御基板102は、演出制御基板104へ、スイッチ情報に異常があったことを示す異常報知コマンドを送信し、演出制御基板104により液晶ユニット42に、スイッチ情報に異常があったことが表示される。
スイッチ情報監視手段591による異常の検出は以下のようにして行われる。すなわち、払出制御基板45からの払出コマンド(図18参照)について、複数回の受信を一単位として、受信1コマンド目と受信2コマンド目のビット5の値を比較し、合致すればスイッチ情報が正常であると判断し、合致しなければスイッチ情報が正常であると判断する(図18(H),(I)についての説明を参照。)。この際、異常の判定は、受信1コマンド目を基準として行われ、異常が検出される場合は、受信2コマンド目が異常と判断される。
なお、スイッチ情報監視手段591による異常の有無の判断を、主制御基板102におけるタイマ割込み処理である遊技進行割込み処理の1周期(ここでは4ms)毎に1回行うことが考えられる。そして、この場合、払出制御基板45におけるタイマ割込み処理(払出制御割込み処理)の周期(ここでは1ms)が、主制御基板102における遊技進行割込み処理よりも短く設定されていることから、1回の遊技進行割込み処理中に、払出制御基板45からのコマンド受信を複数回行うことも可能である。
本第三発明によれば、スイッチ情報に異常があった場合に、その旨が液晶ユニット42に表示されるので、遊技場店員等に対し、スイッチ情報の異常の発生を報知することが可能である。また、本第三発明によれば、遊技進行割込み毎にスイッチ情報の異常が判定されているので、電源投入された場合のみにスイッチ情報を確認するような場合と比べて、監視機能を強化できる。そして、例えば、種別設定スイッチ572を利用した不正があったような場合には、その不正の発見を期待でき、スイッチ情報の選択機能を利用したゴト対策が可能となる。なお、払出制御基板45にスイッチ情報監視手段591を設けて、払出制御基板45で直接スイッチ情報を監視することや、払出制御基板45のみでスイッチ情報を監視することも可能である。
なお、スイッチ情報の異常を報知するのみでなく、スイッチ情報の内容を液晶ユニット42等に表示することにより報知してもよい。この場合、例えば、遊技場の開店前の電源投入時に、遊技場店員等が演出図柄表示装置60を見て、賞球個数の意味が「予定賞球」及び「実賞球」の何れであるのかを確認すること等が可能となる。スイッチ情報の表示を他の表示(客待ち画面など)に切り替える際の契機としては、所定時間経過であってもよく、遊技場店員等による操作入力(操作ボタン82の操作)などであってもよく、更にこれらを併用してもよい。
また、種別設定スイッチ572自体の故障等を検出することも可能である。この場合、断線検知を行ったり、スイッチ情報として通常とり得ない値を受信したりすると、種別設定スイッチ572の故障等と判断することが考えられる。さらに、断線検知の手段としては、ぱちんこ遊技機の電力供給開始後に通電が途切れると、その旨を報知する信号を出力するものなどが考えられる。また、主制御基板102が、払出制御基板45からのコマンドによって種別設定スイッチ572の故障等を判断できるように、払出制御MODEコマンド或いは払出制御EVENTコマンド中に、種別設定スイッチ572の故障等を示すビットを確保したり、スイッチ情報を複数ビットで表現し、正常な場合には互いに異なる値から構成される「01」或いは「10」によって賞球個数情報の種別を表現し、種別設定スイッチ572に故障等があった場合には、スイッチ情報ビットが互いに同じ値から構成される「00」や「11」となるようにしてもよい。
以上、本発明の各実施形態を各実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。
例えば、上記各実施例では、RWMクリア状態情報を含んだ内容の伝達側情報に関し、主制御基板102を伝達側制御手段とし、払出制御基板45を応答側制御手段としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、払出制御基板45を伝達側制御手段とし、主制御基板102を応答側制御手段とし、払出制御基板45からのコマンドに応答するコマンドが、主制御基板102から返信されるようにしてもよい。
また、演出制御基板104については、機能分割構成を採用し、例えば主制御基板102からの演出制御コマンドに基づき演出制御を司るサブメイン基板と、サブメイン基板からの制御コマンドに基づき演出図柄表示装置60などを制御するサブサブ基板とに分けて構成してもよい。
なお、本願発明においては、カードユニットを添設した形態のものをも含めてぱちんこ遊技機として包括的に把握することが可能である。