JP6061816B2 - 撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および、記憶媒体 - Google Patents

撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および、記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は、リフォーカス画像を取得可能な撮像装置に関する。
近年、撮像素子により得られたデータに対して演算を行い、それに応じたデジタル画像処理を行うことで様々な画像の出力を行う撮像装置が提案されている。非特許文献1、2、3には、「Light Field Photography」を用いて、被写体空間の光の2次元強度分布と光線の角度情報を同時に取得する撮像装置が開示されている。ここで、光の2次元強度分布と光線の角度情報を合わせてライトフィールドと呼び、ライトフィールドを取得することで被写体空間の3次元的な情報を得ることができる。前述の撮像装置では、ライトフィールドの取得と撮影後の画像処理により、リフォーカスと呼ばれる画像のピント位置変更や、撮影視点の変更、被写界深度の調節などが可能である。
特許文献1には、リフォーカス機能をオートフォーカスの補助として利用する構成が開示されている。特許文献2には、複数の被写体を被写界深度内に収めるように、絞りで決定される被写界深度に関連させてピント位置をずらして撮影する構成が開示されている。
特開2011−109310号公報 特開昭59−146029号公報
Ren Ng,et al.,"Light Field Photography with a Hand−held Plenoptic Camera",2005 Computer Science Technical Report CTSR Todor Georgiev,et al.,"Superresolution with Plenoptic 2.0 Camera",2009 Optical Society of America Aaron Isaksen,et al.,"Dynamically Reparameterized Light Fields",ACM SIGGRAPH,pp.297−306(2000)
リフォーカス機能によって撮影後にピント位置の変更ができるが、ピント位置を変更可能な範囲は有限であり、必ずしも任意の位置にピント位置を設定できるわけではない。このため、撮影後にユーザが意図した点にピント位置を変更できない場合がある。特許文献1の構成では、複数の任意の被写体を同時にリフォーカス範囲内に収めることはできない。また特許文献2の構成では、リフォーカス画像を生成することはできない。
そこで本発明は、撮影後にユーザが意図したピント位置でのリフォーカス画像を取得可能な撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および、記憶媒体を提供する。
本発明の一側面としての撮像装置は、入力画像を再構成することによりピント位置の異なる複数の出力画像を生成可能な撮像装置であって、結像光学系と、複数の画素を備えた撮像素子と、被写体面の同一位置からの光線を、該光線が通過する前記結像光学系の瞳領域に応じて、前記撮像素子の互いに異なる画素に入射させるレンズアレイと、前記撮像素子で取得された前記入力画像に対して画像処理を行うことにより前記出力画像を生成する画像処理部と、前記結像光学系を駆動してフォーカス制御を行う制御部とを有し、前記画像処理部は、リフォーカス制御範囲に関する情報を取得し、該リフォーカス制御範囲に関する情報に基づいて、第1のピント位置および第2のピント位置が前記リフォーカス制御範囲に含まれるピント位置である第3のピント位置を取得し、前記制御部は、前記ピント位置を前記第3のピント位置に移動させるように前記結像光学系を駆動して前記フォーカス制御を行う。
本発明の他の側面としての撮像装置は、入力画像を再構成することによりピント位置の異なる複数の出力画像を生成可能な撮像装置であって、複数の光学系を備えた結像光学系と、複数の画素を備えた少なくとも1つの撮像素子と、前記撮像素子で取得された前記入力画像から前記出力画像を生成する画像処理部と、前記結像光学系を駆動してフォーカス制御を行う制御部とを有し、前記結像光学系の瞳を、前記複数の光学系の瞳を合成した瞳であるとしたとき、前記複数の光学系は、被写体面の同一位置からの光線を、該光線が通過する前記結像光学系の瞳領域に応じて、前記撮像素子の互いに異なる画素に入射させるように配列されており、前記画像処理部は、リフォーカス制御範囲に関する情報を取得し、該リフォーカス制御範囲に関する情報に基づいて、第1のピント位置および第2のピント位置が前記リフォーカス制御範囲に含まれるピント位置である第3のピント位置を取得し、前記制御部は、前記ピント位置を前記第3のピント位置に移動させるように前記結像光学系を駆動して前記フォーカス制御を行う。
本発明の他の側面としての撮像装置の制御方法は、入力画像を再構成することによりピント位置の異なる複数の出力画像を生成可能な撮像装置の制御方法であって、結像光学系および複数の画素を備えた撮像素子を有する撮像装置を用いて、複数の視点から被写体空間の情報を取得した画像である前記入力画像を取得するステップと、リフォーカス制御範囲に関する情報を取得するステップと、前記リフォーカス制御範囲に関する情報に基づいて、第1のピント位置および第2のピント位置が前記リフォーカス制御範囲に含まれるピント位置である第3のピント位置を取得するステップと、前記ピント位置を前記第3のピント位置に移動させるようにフォーカス制御を行うステップとを有する。
本発明の他の側面としてのプログラムは、入力画像を再構成することによりピント位置の異なる複数の出力画像を生成可能なプログラムであって、結像光学系および複数の画素を備えた撮像素子を有する撮像装置を用いて、複数の視点から被写体空間の情報を取得した画像である前記入力画像を取得するステップと、リフォーカス制御範囲に関する情報を取得するステップと、前記リフォーカス制御範囲に関する情報に基づいて、第1のピント位置および第2のピント位置が前記リフォーカス制御範囲に含まれるピント位置である第3のピント位置を取得するステップと、前記ピント位置を前記第3のピント位置に移動させるようにフォーカス制御を行うステップと、をコンピュータに実行させる。
本発明の他の側面としての記憶媒体は、前記プログラムを格納している。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
本発明によれば、撮影後にユーザが意図したピント位置でのリフォーカス画像を取得可能な撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および、記憶媒体を提供することができる。
実施例1乃至3における撮像装置のブロック図である。 実施例1における撮像部の概略構成図である。 実施例2における撮像部の概略構成図である。 実施例2における撮像部の概略構成図である。 実施例3における撮像部の概略構成図である。 実施例1における撮像部の断面図である。 実施例2における撮像部の断面図である。 実施例3における結像光学系の断面図である。 実施例4における結像光学系の断面図である。 実施例2におけるリフォーカス画像生成に関する説明図である。 実施例1におけるリフォーカス画像生成に関する説明図である。 実施例1におけるリフォーカス制御範囲の説明図である。 実施例2におけるリフォーカス制御範囲の説明図である。 実施例3におけるリフォーカス制御範囲の説明図である。 実施例3における撮像部の概略構成図である。 実施例1乃至4における撮影処理を示すフローチャートである。 実施例1乃至4における撮影処理を示すフローチャートである。 実施例1乃至4における撮影処理を示すフローチャートである。 実施例1乃至4における撮影シーンの例を示す図である。 実施例1乃至4における撮影シーンの例を示す図である。 実施例1乃至4における撮影シーンの例を示す図である。 実施例1におけるリフォーカス制御範囲の説明図である。 実施例1乃至4における撮影処理を示すフローチャートである。 実施例1乃至4における撮影処理を示すフローチャートである。 実施例1乃至4における撮影処理を示すフローチャートである。 実施例1乃至4における撮影シーンの例を示す図である。 実施例1における撮像部の光学配置図である。 実施例1におけるリフォーカス制御範囲の説明図である。 実施例1乃至4における撮影処理のフローチャートである。 実施例1乃至4における撮影処理のフローチャートである。 実施例4における画像処理システムのブロック図である。 実施例4における画像処理システムの概略構成図である。 実施例4における単視点画像取得部のブロック図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の撮像部は、被写体空間を複数の視点から撮影した複数の視差画像、すなわちライトフィールドを取得する。ここで「被写体空間」とは、本実施形態の撮像装置により取得可能な画角内の実空間のことである。撮像部の例として、図2乃至図4に示されるような結像光学系の像側にレンズアレイを配置した構成や、図5に示されるような複数の結像光学系を配列した構成などが挙げられる。また、その他にライトフィールドを取得する例として、結像光学系および撮像素子を有する撮像装置を用いて、撮像装置の位置を変化させながら複数回撮影を行う方法が考えられる。このとき、視差画像は互いに異なる時間における被写体空間を撮像している。このため、被写体空間に移動物体が存在する場合、正しい視差情報を得ることができない。したがって、撮像部は、図2乃至図5に示されるように、同時に複数の視差画像を取得可能な構成であることが望ましい。
図2乃至図5に示される構成により取得された視差画像は、画素の抽出や並び換えや合成などの処理を行うことにより、リフォーカスや被写界深度制御、視点の変更などを行うことができる。本実施形態では、このような処理を再構成と呼び、再構成により生成された画像を再構成画像という。特に、リフォーカス処理が施された画像をリフォーカス画像という。リフォーカス画像は、ノイズリダクションなどの処理や、被写界深度制御などの再構成処理が施されていてもよい。また、被写体空間においてリフォーカス可能な範囲をリフォーカス制御範囲と呼ぶ。
なお、図2乃至図5に示される被写体面201上には、人物や物体が必ずしも存在していなくてよい。これは、リフォーカス処理により、被写体面201よりも奥または手前に存在する人物や物体に、撮影後にピント位置を制御することができるためである。また、以下の各実施例は、簡単のために1次元系を用いて説明する場合があるが、2次元系に関しても同様の議論が成り立つ。
まず、図1および図2を参照して、本発明の実施例1における撮像装置の基本構成について説明する。図1は、本実施例における撮像装置10のブロック図である。図2は、本実施例における撮像部100の概略構成図である。
本実施例の撮像装置10は、入力画像を再構成することによりピント位置の異なる複数の出力画像を生成可能である。図2に示されるように、撮像部100は、結像光学系101、レンズアレイ102、および、撮像素子103を備えて構成されており、被写体面201側から、結像光学系101、レンズアレイ102、および、撮像素子103の順に配置されている。なお、撮像部100の詳細については後述する。
撮像素子103は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)などの2次元撮像素子である。撮像素子103は、複数の画素を備え、被写体像(光学像)を光電変換する。すなわち、結像光学系101およびレンズアレイ102を通過して撮像素子103へ入射した光線のエネルギーは、電気信号(アナログ信号)へ変換される。このアナログ信号は、A/Dコンバータ104は、撮像部100(撮像素子103)からのアナログ信号をデジタル信号へ変換する。画像処理部105は、デジタル信号に対して所定の処理を施し、表示画像を生成する。また画像処理部105は、撮像部100にて取得された撮像データまたは記憶部109から取得された撮像データから、後述するリフォーカス処理などの画像生成処理を行う。このように画像処理部105は、撮像素子103で取得された入力画像などの撮像データに対して画像処理を行うことにより出力画像を生成する。なお、画像処理部105の詳細については後述する。
画像処理部105により生成された表示画像は、液晶ディスプレイなどの表示部106に出力されて表示される。ユーザは、表示部106に表示された画像を見て、どのような画像が撮影可能か確認しながら撮影を行うことができる。また表示部106は、タッチスクリーン機能を有していてもよい。この場合、タッチスクリーンを用いたユーザ指示を入力として扱うことも可能である。表示画像は、画像取得条件(撮影条件情報)、露出状態予測部113や画像記録媒体110からの情報、または、距離情報取得部105aにより得られた距離情報などを用いて生成される。ここで画像取得条件(撮影条件情報)とは、アナログ信号を取得した際の撮像部100の構成や、絞りなどの露出状態、フォーカス位置、ズームレンズにおける焦点距離などである。画像取得条件は、状態検知部108がシステムコントローラ111から直接取得してもよいし、撮像部100に関する情報については制御部107から取得することもできる。本実施例において、撮像部100の構成に関する情報は、記憶部109に記憶されている。露出状態予測部113は、測光部112の情報から撮影時の露出状態を予測する。距離情報取得部105aは、入力された視差情報(入力画像の視差情報)を用いて被写体空間(被写体)の距離情報を取得する。この距離情報は、リフォーカス制御範囲を算出するために用いられる。
システムコントローラ111は、表示指令部111cを備えている。表示部106は、表示指令部111cからの信号に基づいて、表示のON/OFF、および、表示画像の切換えを行う。例えば、撮像装置10がレリーズボタンを備えている場合、ユーザがレリーズボタンを第1の位置まで押している間、表示指令部111cは表示画像の表示信号を表示する。このとき、第1の位置より深い第2の位置までレリーズボタンが押されると、撮影が実行される。ただし、本実施例はこれに限定されるものではなく、表示指令部111cは他の手法で信号を送信するように構成してもよい。
またシステムコントローラ111は、撮像部100が合焦する被写体を指定する合焦被写体指定部111bを備えている。制御部107内に設けられた合焦制御部107aは、合焦被写体指定部111bからの信号に基づいて、撮像部100のフォーカス機構を駆動し、指定被写体に対する合焦を行う。すなわち制御部107(システムコントローラ111)は、結像光学系101を駆動してフォーカス制御を行う。撮影指令部111dにより撮影が実行される際、制御部107は、測光部112の情報に基づいて撮像部100の露出を調節する。このとき、撮像素子103により取得された画像は、前述と同様の経路を辿って画像処理部105に入力され、所定の処理を施された後、半導体メモリなどの画像記録媒体110に所定のフォーマットで保存される。また同時に、状態検知部108から得られた撮影時の画像取得条件も記録される。画像記録媒体110に記録する画像は、再構成処理を施した画像であってもよい。
画像記録媒体110に保存された画像を表示部106に表示する際、画像処理部105は、撮影時の画像取得条件(撮影条件情報)に基づいた処理を行う。その結果、表示部106には、所望の設定(解像度、視点、ピント位置、被写界深度など)で再構成された画像が表示される。再構成画像の解像度は、合成画像解像度指定部111aにより指定される。また高速化のため、所望の設定を予め記憶部109に記憶し、画像記録媒体110を介すことなく再構成画像を表示部106に表示させてもよい。なお、撮像装置10の構成要素は上記以外にも存在するが、本実施例の主眼ではないため、それらの説明を省略する。以上の一連の制御は、システムコントローラ111により行われる。
次に、本実施例における撮像部100の構成について説明する。撮像部100は、図2に示されるような配置を有する。レンズアレイ102は、結像光学系101の被写体面201に対する像側共役面に配置されている。またレンズアレイ102は、結像光学系101の射出瞳と撮像素子103とが略共役関係となるように構成されている。略共役関係とは、厳密な共役関係だけでなく実質的に共役関係であると評価される場合も含む意味である。
被写体面201からの光線は、結像光学系101およびレンズアレイ102を介することにより、光線の被写体面201上における位置と角度に応じて、撮像素子103の異なる画素へ入射する。これにより、視差画像データ(ライトフィールドデータ)が取得される。ここでレンズアレイ102は、被写体面201上の異なる位置を通過した光線が、同一の画素へ入射するのを防ぐ役割を有する。すなわちレンズアレイ102は、被写体面201の同一位置からの光線を、光線が通過する結像光学系101の瞳領域に応じて、撮像素子103の互いに異なる画素に入射させる。その結果、撮像素子103において、被写体面201上の同一の領域を複数の視点から撮影した画素群が並んだ画像が取得される。
続いて図6を参照して、撮像部100の断面について説明する。図6は、本実施例における撮像部100の断面図である。図6の結像光学系101は、単焦点レンズである。フォーカス群IFが光軸OA上を移動してフォーカスを行う。本実施例において、レンズアレイ102は固体の単レンズによって構成されているが、これに限定されるものではなく、複数枚のレンズを備えて構成されていてもよい。また、液体レンズ、液晶レンズ、または、回折光学素子などを使用してもよい。また本実施例において、レンズアレイ102を構成する小レンズは、両側が凸形状であるが、片側の面が平面でもよく、または、非球面であってもよい。
続いて、リフォーカス処理に関して説明する。リフォーカスに関しては、「Fourier Slice Photography」(Ren Ng著、2005 ACM Trans. Graph.24,735−744参照)で詳しく説明されている。このため、ここでは簡単に述べる。リフォーカスの基本的な原理は、図2乃至図5のいずれの構成でも共通である。本実施例では、図2の構成を例にとって説明する。
図2において、結像光学系101の瞳が2次元で9つ(1次元で3つ)に分割されているため、9視点の画像が取得される。ここで、ある分割された瞳に対応する画像を単視点画像と呼ぶ。9つの単視点画像は、互いに視差を有する。このため、被写体距離に応じて画像上の被写体の相対的な位置関係が変化する。ある被写体が重なるように単視点画像を合成すると、異なる被写体距離に位置する被写体は、ずれて合成される。このずれにより、異なる被写体距離に位置する被写体はボケる。このときに生じるボケは、合成に使用した単視点画像に対応した瞳により決定され、9枚全ての画像を合成すると結像光学系101で撮影した画像のボケを再現することができる。単視点画像の合成で重ね合わせる被写体は任意である。これにより、結像光学系101により任意の被写体に合焦して撮影した画像を再現することができる。これが撮影後のピント制御、すなわちリフォーカスの原理である。
続いて、図11を参照して、本実施例における単視点画像の生成方法について説明する。図11は、本実施例におけるリフォーカス画像生成に関する説明図であり、図2のレンズアレイ102と撮像素子103との関係を示している。破線の円は、1つの小レンズを通過した光線が入射する画素の領域を表す。図11は、小レンズが格子配置された場合に対応しているが、小レンズの配置はこれに限定されるものではない。例えば、六回対称性(ハニカム構造)を有する配置でもよく、または、規則的な配置から各小レンズを微小にずらしてもよい。図11の斜線は、結像光学系101の同じ瞳領域を通過した光線が入射する画素を表す。このため、斜線の画素を抽出することにより、結像光学系101の瞳の下部から被写体空間を見た単視点画像を生成することができる。同様に、破線で表された各円に対する相対位置が同じ画素を抽出することにより、他の単視点画像も生成することができる。
続いて、ピント位置変更が可能なリフォーカス制御範囲に関して説明する。リフォーカスは単視点画像を重ね合わせて行うため、各単視点画像内でボケている被写体にピントを合わせ直すことはできない。これはボケた画像を重ね合わせても、高周波成分は得られず、ボケたままだからである。すなわちリフォーカス制御範囲は、結像光学系101の分割された瞳に依存する。瞳を小さく分割するほど、各単視点画像は被写界深度が深くなるため、リフォーカス制御範囲は広がる。ただし、単視点画像における被写界深度とリフォーカス制御範囲は必ずしも一致しない。それは、単視点画像とそれらを再構成した再構成画像の解像度比により、リフォーカス制御範囲が変化するためである。例えば、再構成画像の解像度が各視点の画像の解像度より低い場合、再構成画像における空間成分のサンプリングピッチは単視点画像に対して大きくなる。このため、単視点画像よりも再構成画像は被写界深度が深くなり、それに伴い、そのリフォーカス制御範囲も広がる。逆に、再構成画像の解像度が単視点画像よりも大きい場合、リフォーカス制御範囲は単視点画像の被写界深度よりも小さくなる。ここまでの議論から、再構成画像の正確なリフォーカス制御範囲を取得するには、単視点画像を再構成する時の条件を加味する必要があることがわかる。
次に、再構成画像のリフォーカス制御範囲の算出方法について具体的に説明する。まず、再構成画像の被写界深度に対応する焦点深度を考える。焦点深度の許容錯乱円の大きさをε、光線の角度成分のサンプリングピッチをΔuとする。このとき、リフォーカスの係数α±は、以下の式(1)のように表される。
式(1)により表される像側のリフォーカス範囲は、結像光学系101の像側主平面と被写体面201に対する結像光学系101の像側共役面との間隔をsとすると、α±とsの積で表され、α〜αの範囲となる。これから、結像光学系101に対して共役な範囲が、物体側のリフォーカス範囲であるリフォーカス制御範囲となる。図12に示されるように、リフォーカス範囲の中心位置は、結像光学系101のピント位置となる。この場合、レンズアレイ102の位置がリフォーカス範囲の中心位置となる。式(1)の関係は、図2乃至図5のいずれの構成でも成り立つ。
図12は、本実施例におけるリフォーカス制御範囲の説明図である。像側のリフォーカス制御範囲drefocusとは、結像光学系101を介して物体側のリフォーカス制御範囲と共役な範囲を指す。Δyは、光の2次元強度分布のサンプリングピッチであり、図2の構成ではレンズアレイ102のピッチΔLAに等しい。式(1)は、撮像素子103の画素ピッチΔが、結像光学系101の射出瞳距離Pに対して十分小さいため、以下の式(2)のように近似することができる。
ここで、結像光学系101の射出瞳距離Pとは、結像光学系101の射出瞳面と被写体面201に対する結像光学系101の像側共役面との間隔である。また、Nは結像光学系101の瞳の1次元分割数、Fは結像光学系101のF値である。
また像側のリフォーカス制御範囲drefocusは、式(2)を用いて以下の式(3)のように表される。
像側のリフォーカス制御範囲drefocusを物体側のリフォーカス制御範囲Drefocusに変換するには、結像光学系101に対して共役な範囲を求めればよい。これは、被写界深度を求める公式を応用して得られる。
物体側のリフォーカス範囲Drefocusのうち、被写体面201から撮像装置側の範囲をDnear、被写体面201から離れる方向の範囲をDfarとする。また、sを被写体面201と結像光学系101の物体側主平面との距離、fを結像光学系101が物体距離無限遠の位置に結像しているときの焦点距離とする。いずれも記号の符号は方向に寄らず正とする。このとき、以下の式(4)が成立する。
ここで、範囲Dfarと範囲Dnearは、それぞれ、以下の式(5)、(6)のように表される。
次に、本実施例における複数の任意の被写体空間内の点をリフォーカス制御範囲に含ませる方法について、図16乃至図18を参照して説明する。図16乃至図18は、本実施例における撮影処理を示すフローチャートである。図16乃至図18のフローチャートの違いは、任意の被写体の有無である。
図16のフローチャートは、任意の被写体が存在する場合のフローチャートである。例えば、図19(a)、(b)に示されるように被写体空間に実際に人や物体などの複数の被写体が存在し、その中からユーザがリフォーカス制御範囲に含めたい被写体を撮影時に選択する(または、撮像装置10が自動的に選択する)場合のフローチャートである。
一方、図17および図18のフローチャートは、特定の被写体が存在しない場合のフローチャートである。この場合、具体例がないと理解しにくいため、使用例を挙げて説明する。まず、図17のフローチャートの使用例を挙げる。図20(a)、(b)に示されるように、撮像部100のフォーカス機構により決定されたピント位置を基準として、リフォーカス制御範囲を手前1m(実際の数値は任意に決定される)から可能な限り奥までをリフォーカス制御範囲としたい場合に使用される。使用例を挙げると、スポーツの撮影など早い動きの被写体を撮影する場合、撮影する被写体の奥にボールや他の選手等が不意に入り込み、他の被写体にピントが合って撮影してしまった場合のピント位置変更に使用される。この場合、撮影したい被写体以外の物体が必ずしも入り込まなくてもよいため、ピント位置から手前1mの場所に実際の被写体が存在しない場合がある。また逆に、ピント位置を基準として奥に数m(実際の数値は任意に決定される)から可能な限り手前までをリフォーカス制御範囲としたい場合も同様のフローチャートが用いられる。
続いて、図18のフローチャートの使用例を挙げる。図21(a)、(b)に示されるように、ピント位置から手前はリフォーカス制御範囲に含めず、ピント位置から可能な限り奥までをリフォーカス制御範囲としたい場合に使用される。使用例を挙げると、陸上競技(100m走など)のゴールシーンを正面から撮影していて、フォーカス機構により1位の選手にピントを合わせて撮影し、撮影後に2位や3位の選手にピント位置を変更するような場合である。この場合、最初に決定されたピント位置(1位の選手)よりも手前側には被写体が存在しないため、リフォーカスできるようにする必要はない。このように、リフォーカス制御範囲を有効に制御したい場合に使用可能である。なお、図16乃至図18のフローチャートの各ステップは、主に、システムコントローラ111の指令に基づいて画像処理部105により実行される。
まず、図16のフローチャートを参照して、撮影時に任意の被写体が存在する場合について説明する。まずステップS101において、画像処理部105は、撮像部100により取得された視差画像(の情報)を取得する。続いてステップS102において、画像処理部105は、ステップS101にて取得した視差画像の再構成画像を表示部106に表示する。これにより、ユーザは、撮像素子103により現在取得されている画像(スルー画像)を逐次確認することができる。このときのピント位置は、例えばフォーカス機構により合焦したピント位置であり、得られた視差画像をリフォーカス処理せずに得られた再構成画像である。または、画像処理部105は、視差画像のうち、結像光学系101の瞳中心に最近接した視点の単視点画像を生成し、表示部106へ出力してもよい。単視点画像の出力は、再構成画像の出力よりも処理が軽微なため、タイムラグが少なく早く表示することが可能である。また、出力が単視点画像の場合、その視点は結像光学系101の瞳の任意の位置でよい。
次に、ステップS103において、ステップS102にて表示された画像に基づいて、第1のピント位置が指定される。第1のピント位置は、撮影時にユーザがタッチパネルなどで指定することができる。また、撮像装置10による顔認識技術などを利用して自動的に指定してもよい。続いて、ステップS104とステップS105において、画像処理部105(距離情報取得部105a)は、撮像装置10から第1のピント位置までの距離情報を取得する。このとき、まずステップS104において、ステップS105にて距離情報を取得するための準備を行う。ステップS105の「距離情報」とは、撮像装置10から第1のピント位置までの距離である。
撮像装置10から第1のピント位置までの距離を求める方法は、フォーカスの方式に応じて異なる。例えば、コントラストAFやマニュアルフォーカスの場合について説明する。コントラストAFとは、山登りAFとも呼ばれ、撮像装置10で取得した画像のコントラストに基づいてフォーカス機構を自動的に動作させて合焦する方式である。またマニュアルフォーカスは、ユーザ自身がフォーカス機構を動作させてピント位置を決定する方式である。これらのフォーカス方式において、撮像装置10から第1のピント位置までの距離を求める場合、フォーカス機構の移動距離を利用することができる。撮像部100内の結像光学系101の仕様により、撮像装置10から任意のピント位置までの距離に対応したフォーカス機構の移動距離が決定される。これは、幾何光学的に計算で求められるため、その都度計算することができる。または、フォーカス機構の移動距離と、撮像装置10と任意のピント位置までの距離の対応テーブルを予め保持し、そのテーブルを参照してもよい。この場合、ステップS104にて実際にフォーカス機構を第1のピント位置に合焦するまで動作させることにより、ステップS105にて撮像装置10から第1のピント位置までの距離情報を取得することができる。
なお、フォーカス方式として位相差AFを使用する場合、必ずしもステップS104は必要ではない。位相差AFとは、視差画像を使用してフォーカス機構を移動させる距離を求める方法であり、距離を求めるために実際にフォーカス機構を移動させる必要がない。フォーカス機構を移動させる距離を把握することができれば、前述のように撮像装置10と任意のピント位置までの距離がわかる。このような場合、ステップS104を省略してもよい。このように、フォーカス方式に応じて距離情報の取得工程は若干異なるが、距離情報を取得するための方法としてフォーカス機構を用いることには限定されない。例えば、従来技術のDFD(Depth From Defocus)などの手法や、赤外線などを利用した測距部を用いて距離情報を取得してもよい。またステップS104にて、いずれのフォーカス方式を採用する場合でも、第1のピント位置にある被写体をユーザに確認させるためにフォーカス機構により合焦させてもよい。
次に、ステップS106において、画像処理部105は、ステップS105にて得られた距離情報に基づいて、第1のピント位置に関するリフォーカス制御範囲を算出する。前述のように、リフォーカス制御範囲は、各単視点画像と再構成画像との解像度比に応じて変化する。ここでは、説明を簡単にするため、その解像度比が1の場合を考える。像側のリフォーカス制御範囲が式(2)の範囲内に収まっている場合、リフォーカスが可能な領域を取得できていることになる。このため、被写体面201に対する結像光学系101の像側共役面と像側のリフォーカス制御範囲との間隔dは、以下の式(7)を満たせばよい。なお、dは距離を表すものであり、その符号は方向に寄らず正である。
ここで、図27を参照すると、幾何学的にNF=σ/Δであることが分かる。図27は、図2に示される撮像部100の光学配置図であり、各パラメータの関係を示している。図27において、σはレンズアレイ102の像側主平面と撮像素子103との間隔である。図27の破線は、1つの小レンズに対応する撮像素子103の領域を表し、斜線の画素は光線の入射しない不感帯を表す。本実施例では、不感帯が発生しないようにレンズアレイ102が構成されており、ΔLA=NΔが成立する。ただし、本実施例はこれに限定されるものではなく、不感帯が存在していてもよい。焦点深度を決める許容錯乱円の大きさを、空間成分のサンプリングピッチΔy=ΔLAで特徴付けると、式(7)は以下の式(8)のように書き換えられる。
次に、単視点画像と再構成画像の解像度比が異なる一般的な場合について考える。再構成画像と再構成に使用する単視点画像の画角は、互いに等しい。このため、解像度比が異なる場合、両者のΔyが異なる。許容錯乱円は、一般的に、Δyが小さいほど小さく、大きいほど大きくなる。このため、式(8)は単視点画像と再構成画像のΔyの比をとり、以下の式(9)のように拡張することができる。
ここで、Rmonoは合成に使用する単視点画像の解像度、Rsynthは再構成画像の解像度を表す。RmonoとRsynthの比の平方根をとることにより、Δyの比が得られる。図27から、単視点画像の解像度Rmonoは、以下の式(10)で表されることが分かる。
ここで、Rtotalは撮像素子103の有効画素数である。式(9)および式(10)から、像側のリフォーカス制御範囲が満たすべき以下の条件式(11)が求められる。
条件式(11)の範囲に像側のリフォーカス制御範囲を定めることにより、撮影後にリフォーカスが可能な領域を取得することができる。条件式(11)は、理論的に負の値をとることができない。また、条件式(11)が0の場合、ピント制御ができないことを意味する。このため、条件式(11)の下限を超えることはできない。条件式(11)の上限は、再構成画像のピント位置における点像の広がりを表し、小さいほど鮮鋭なリフォーカスを行うことができる。条件式(11)の上限を超えると、点像の広がりが大きくなり、ピント位置にも関わらずボケてしまう。すなわちリフォーカスができていないこととなる。
望ましくは、以下の式(11a)の範囲内に設定することにより、より鮮鋭な再構成画像を得ることができる。
より望ましくは、以下の式(11b)の範囲内とすることで、更に鮮鋭な合焦画像を得ることができる。
本実施例における条件式(11)の値は、表1に示されるとおりである。本実施例における撮像素子103の有効画素数はRtotal=46.7×10(pix)であり、レンズアレイ102の像側主平面と撮像素子103との間隔はσ=0.0374(mm)である。ここで、pixは画素数を表す単位である。撮像素子103の画素ピッチはΔ=0.0043(mm)、レンズアレイ102のピッチはΔLA=0.0129(mm)である。結像光学系101の焦点距離はf=14.0(mm)、F値はF=2.9、1次元瞳分割数はN=3である。再構成画像の解像度Rsynthは、合成画像解像度指定部111aにより、8.0×10pix、5.2×10pix、2.0×10pixの3種類から選択することができる。それぞれの解像度に対するdの値は、表1に示されるとおりである。ここで、単視点画像1枚当たりの解像度は5.2×10pixであるため、8.0×10pixの再構成画像を生成するには、画素ずらし超解像などによる高解像度化が必要となる。また、再構成画像の解像度は前記の値以外をとってもよいし、種類も3種類でなくてよい。ただしその際には、式(7)を満たすようにdが決定される。
ここまでは、リフォーカス制御範囲を算出する方法について説明したが、撮影時に随時算出していると処理が多くなってしまう。これを防ぐため、画像取得条件に対するリフォーカス制御範囲のテーブルを記憶部109に予め記憶しておき、リフォーカス制御範囲を算出する代わりに対応するデータを読み込むように構成してもよい。
また、他のリフォーカス制御範囲を取得する方法として、リフォーカスした再構成画像を実際に生成して、ピント位置に存在する被写体のコントラスト等を評価する方法が考えられる。ただしこの手法では、ピント位置を動かしながら再構成画像を生成し、逐次リフォーカスができているかを判定する必要がある。このため、処理に時間がかかってしまう。また、リフォーカスしたピント位置に被写体が存在していない場合、評価することができないため、正確なピント制御範囲を取得することができない。したがって、リフォーカス制御範囲の取得には、前述の手法を用いることが望ましい。
図16のフローチャートの説明に戻る。ステップS107において、第2のピント位置が指定される。第2のピント位置についても、第1のピント位置と同様に、撮影時にユーザがタッチパネルなどで指定することができる。または、撮像装置10による顔認識技術などを使用して自動的に指定してもよい。続いて、ステップS108およびステップS109は、第2のピント位置を対象とする以外は、前述のステップS104およびステップS105とそれぞれ同様であるため、これらの詳細な説明は省略する。
次に、ステップS110において、画像処理部105は、最初に指定した第1のピント位置のリフォーカス制御範囲内に第2のピント位置が含まれているかを、以下の式(12)を用いて判定する。
ここで、s1st_objは第1のピント位置と結像光学系101の物体側主平面との距離であり、D1st_near、D1st_farは第1のピント位置からの前後の物体側のリフォーカス制御範囲である。ステップS110にて第2のピント位置が第1のピンチ位置のリフォーカス制御範囲に含まれている場合(ステップS110の判定がOKの場合)、撮影の実行を待つか、または、更に多くのピント位置の指定を行う。更に多くのピント位置(第nのピント位置)を指定する場合、ステップS107に戻り、ステップS107乃至S111を繰り返せばよい。なお本実施例では、簡単のため、第1のピント位置および第2のピント位置の2つのピント位置を指定した場合について説明する。
ステップS110における判定がNGの場合、ステップS200において、制御部107はフォーカス機構を駆動してピント位置を調整し、リフォーカス制御範囲を変更する。そして画像処理部105は、第1のピント位置および第2のピント位置の両方がリフォーカス制御範囲内に含まれるような第3のピント位置を求める。第3のピント位置を求める方法については後述する。
画像処理部105は、第3のピント位置を求めると、ステップS111にて次の指示を待つ。そしてステップS112により撮影指示があれば、ステップS113において、第3のピント位置まで制御部107はフォーカス機構を駆動してピント位置を第3のピント位置に変更する。そしてステップS114において、システムコントローラ111は撮影を実行する。仮に、ステップS110にて一度も判定がNGとならない場合、第1のピント位置と第3のピント位置とが等しくなる。このとき、フォーカス機構によりピント位置を第1のピント位置へ移動し(ステップS104で移動済みであればそのまま)、撮影を実行する。ここまでが撮影時に任意の被写体が有る場合の一連の流れである。
次に、第1のピント位置および第2のピント位置の両方がリフォーカス制御範囲内に入るような第3のピント位置を求める方法について説明する。ここでは3つの具体的な方法を示す。第1の方法は、被写体距離とリフォーカス制御範囲の対応テーブルから最適なピント位置を求める方法である。第2の方法は、フォーカス機構を少しずつ移動して、最適なピント位置を探索する方法である。第3の方法は、単視点画像のコントラストから最適なピント位置を求める方法である。これらの方法は、図16のステップS200に対応し、図23乃至図25のフローチャートにそれぞれ示される。
まず第1の方法は、被写体距離とリフォーカス制御範囲の対応テーブルを予め持ち、そのテーブル上から第3のピント位置を導出する方法である。図22(a)は、本実施例におけるテーブルの例を示す。また、図23は、第1の方法を示すフローチャートである。ステップS105およびステップS109により、撮像装置10から第1のピント位置および第2のピント位置までの距離(距離情報)が取得されている。この距離情報に基づいて、ステップS211において、画像処理部105は、第1のピント位置と第2のピント位置との相対距離(相対距離情報)を算出する。これにより必要なリフォーカス制御範囲がわかるため、続いてステップS212において図22(a)に示されるテーブルを参照し、ステップS213において、画像処理部105は第3のピント位置を算出する。テーブルには離散的なデータしか載せることができないため、テーブル上に解がない場合、補間処理を行って解を算出してもよい。また、第1のピント位置および第2のピント位置の両方がリフォーカス制御範囲内に含まれるような解がない場合、ステップS300へ移行する。
このように画像処理部105は、第1のピント位置と第2のピント位置との相対距離情報を取得する。そして、画像処理部105は、被写体距離とリフォーカス制御範囲との関係を示すテーブルを用いて、第3のピント位置を算出する。好ましくは、被写体距離とリフォーカス制御範囲との関係を示すテーブルを記憶した記憶部(記憶部109など)を更に有する。
第2の方法は、フォーカス機構を少しずつ移動させることにより探索的に解を探す方法である。図24は、第2の方法を示すフローチャートである。まず、算出対象である第3のピント位置の初期値として、簡単のためにステップS221において第1のピント位置が与えられたものとして説明する。ただし本実施例はこれに限定されるものではなく、第2のピント位置などの他の位置を初期値として用いてもよい。
続いてステップS222において、画像処理部105は、現在のリフォーカス制御範囲を算出する。そしてステップS223において、第1のピント位置および第2のピント位置がリフォーカス制御範囲に含まれるか否かを、式(12)を用いて判定する。この判定がOK(リフォーカス制御範囲内)の場合、図16のステップS111へ戻る。一方、この判定がNG(リフォーカス制御範囲外)の場合、ステップS224において、フォーカス機構を一定量だけ駆動する。駆動方向は、初期値が第1のピント位置であれば、第2のピント位置へ向かって合焦する方向に動かせばよい。また初期値が第1のピント位置や第2のピント位置のいずれでもない場合、いずれか遠い方のピント位置へ向かって合焦するようにフォーカス機構を一定量だけ駆動すればよい。また、駆動方法については、少しずつ一定方向に移動させて、その都度リフォーカス制御範囲を計算してもよい。または、初めは大雑把に駆動し、第2のピント位置はリフォーカス制御範囲に含まれるが第1のピント位置はリフォーカス制御範囲から外れるようになった場合、ピント位置の移動方向を反転させて、ピント位置の移動量を変更するなどして探索してもよい。なお、フォーカス機構をいくら移動させても解が得られない場合、ステップS300に移行する。
このように画像処理部105は、ピント位置を変更しながら(複数の異なるピント位置に対する)リフォーカス制御範囲を算出する。そして画像処理部105は、第1のピント位置および第2のピント位置が特定のピント位置におけるリフォーカス制御範囲に含まれる場合、特定のピント位置を第3のピント位置として設定する。好ましくは、システムコントローラ111(制御部107)は、ピント位置を変更しながら算出されたリフォーカス制御範囲に基づいて、ピント位置の移動方向および移動量を決定する。
第3の方法は、単視点画像のコントラスト値により判定する方法である。前述のように、リフォーカス制御範囲は単視点画像の被写界深度に依存する(ただし厳密には、単視点画像と再構成画像の解像度比を考慮する必要はある)。このため、単視点画像の中の、第1のピント位置と第2のピント位置に相当する位置の被写体のコントラストを比較して、ある閾値レベル以上のコントラスト値を有している場合、リフォーカス制御範囲内であると判定される。したがって、この方法は、両ピント位置に物体があることが前提である。コントラスト値は、例えば任意の領域(例えば10×10画素など)内での最大輝度値をLmax、最小輝度値をLminとするとき、以下の式(13)を用いて算出することができる。
ここでの輝度値は、R、G、Bのうちのいずれかの単色でよく、または、ある重み付けによって足し合わされた白色での輝度値でもよい。ここで求まるmの値が任意の閾値以上である場合、リフォーカス制御範囲内であると判定される。ただし、閾値自体は撮像装置10の仕様などに応じて異なる(ただし実際には、単視点画像と再構成画像の解像度比を考慮する必要があるため、それに合わせて閾値を設定することが好ましい)。
図25は、第3の方法を示すフローチャートである。第3の方法は、コントラスト値を算出して比較する以外のステップ(ステップS231、S234)は、前述の第2の方法と同様であるため、これらの説明は省略する。ステップS232において、画像処理部105は、第1のピント位置にある被写体と第2のピント位置にある被写体のコントラスト値を算出する。そしてステップS233において、第1のピント位置と第2のピント位置のコントラスト値が閾値以下である場合(ステップS233でNGの場合)、ステップS234において、フォーカス機構を一定量だけ駆動する。
このように画像処理部105は、単視点画像に対する第1のピント位置および第2のピント位置でのコントラスト値を算出する。そして画像処理部105は、第1のピント位置および第2のピント位置でのコントラスト値が所定の閾値以上である場合、特定のピント位置を第3のピント位置として設定する。
以上のとおり、第3のピント位置を算出する3つの方法について説明したが、各ステップの間に、確認工程などの他のステップが挿入されても構わない。また、3つの方法の一部または全部を組み合わせてもよい。
次に、第3のピント位置の解がない場合のステップS300について説明する。この場合、表示指令部111cは、撮像装置10のファインダーや背面モニターなどの表示部106に、選択被写体がリフォーカス制御範囲外であることをユーザに知らせるための警告を出す。
図26(a)、(b)は、本実施例における撮影シーンの例を示す図である。図26(a)は画面上に文字で警告を行う例、図26(b)は選択被写体を点滅させて、選択被写体がリフォーカス制御範囲外であることを知らせる例である。このように警告を出すことにより、ユーザに解がないことを知らせるステップがあることが好ましい。また、表示画像上にメッセージを表示する以外にも、音声など、その他の通知方法を用いてもよい。
次に、図17のフローチャートについて説明する。なお図17のステップS401乃至S403は、図16のフローチャートのステップS101乃至S103とそれぞれ同様であるため、それらの説明は省略する。ステップS404において、制御部107はフォーカス機構を駆動し、ピント位置をステップS403にて指定されたピント位置へ移動させる。続いてステップS405において、距離情報取得部105aは、撮像装置10と第1のピント位置との距離情報を取得する。距離情報の取得方法は、前述のステップS105と同様のため省略する。続いてステップS406において、画像処理部105は、第1のピント位置でのリフォーカス制御範囲を取得する。この取得方法および算出方法はステップS106と同様のため省略する。
次に、ステップS407において、画像処理部105は、第2のピント位置を指定する。この例は、前述のスポーツ撮影のシーンで例に挙げたように、第1のピント位置から手前(もしくは奥)1mを第2のピント位置にする場合などである。撮影時に指定してもよく、または、事前に撮像装置10内の記憶部109にプリセットし、ここでそのデータを読み込んでもよい。
続いてステップS408において、画像処理部105は、ステップS406にて取得されたリフォーカス制御範囲内に第2のピント位置が含まれているか否かを判定する。この判定方法は、ステップS110と同様である。第2のピント位置がリフォーカス制御範囲内に含まれている場合、撮像素子103により現在取得されている画像(スルー画像)を表示し(ステップS402と同様)、撮影指示を待つ。ユーザがレリーズボタンを押すなどの撮影指示があれば、ステップS411においてフォーカス機構を駆動してピント位置を調整する。そしてステップS412において、撮影を実行し、本フローを終了する。ステップS411においていずれにピントを合わせるかは、ステップS408の判定による。一度もNGにならずにステップS409に移行した場合、第1のピント位置で問題ないということになる。このため、ステップS411におけるピント位置は、第1のピント位置に等しい。また、ステップS408の判定でNGとなり、ステップS200に移行した場合、ステップS411にてステップS200で算出した第3のピント位置にフォーカス機構によりピント位置を変更する。ステップS200およびステップS300は前述のとおりである。
次に、図18のフローチャートについて説明する。ただし、ステップS501乃至S505は、図17のフローチャートのS401乃至S405とそれぞれ同様のため、それらの説明は省略する。ステップS506において、制御部107は、フォーカス機構を駆動してピント位置を一定量だけ移動させることにより、ピント位置を第3のピント位置へ変更する。この例は、前述のゴールシーンの撮影で例に挙げたように、第1のピント位置を手前側のリフォーカス制御範囲の境界付近に置き、そこからできるだけ奥側にリフォーカス制御範囲を持たせようとする場合である(奥と手前は逆でも可能)。このため、ここでは図28に示されるように、最終的な結像光学系101のピント位置が第3のピント位置(D3rd)となる。図28は、本実施例におけるリフォーカス制御範囲の説明図である。
また、第3のピント位置に対する手前側(撮像装置10側)のリフォーカス制御範囲内外の境界は第1のピント位置D1stであり、第3のピント位置D3rdと第1のピント位置D1stとの距離はD3rd_nearと表される。また反対に、第3のピント位置に対する奥側(撮像装置から離れる方向)のリフォーカス制御範囲内外の境界は第2のピント位置D2ndであり、第3のピント位置D3rdと第2のピント位置D2ndとの距離をD3rd_farと表す。これを実現させるには、第1のピント位置D1stと第2のピント位置D2ndには、第3のピント位置D3rdと結像光学系101の物体側主平面との距離をs1_3rdとすると、以下の式(14)、(15)により表される関係が必要である。
ただし式(14)では、第1のピント位置D1stがリフォーカス制御範囲のぎりぎりに位置するため、フォーカス機構の精度によってはリフォーカス制御範囲外になる可能性もある。このため、式(14)に関しては、以下の式(14a)のように一定の余裕量αをもたせることが好ましい。
ここで、定数αは、ユーザがシーンにあわせて任意に決定されることができ、また、始めから記憶部109などに書き込まれてセットされていてもよい。ステップS506において、以上のような関係となる第3のピント位置へピント位置が変更される。ピント位置の変更方法はいくつか考えられる。前述の第1の方法のように、ピント位置とリフォーカス制御範囲の対応テーブルを参照する方法を用いる場合、テーブルから読み取ったデータ、または参照データを補間処理して得られたデータに基づいて第3のピント位置を決定すればよい。また、テーブルを持たない場合でも、前述のパラメータに基づいて、リフォーカス制御範囲を算出することにより、式(14)または式(14a)を満足する第3のピント位置を算出することが可能である。以上のような方法で第3のピント位置を算出すれば、迅速にピント位置を変更可能であるため、好ましい。この場合、ステップS507において、画像処理部105は、算出した第3のピント位置に対して式(14)または式(14a)を満足しているか否かを判定する。
このとき、問題がなければステップS508にてスルー画像を表示させ、撮影指示を待つ。撮影指示があれば、ステップS509からステップ510に移行し、決定された第3のピント位置へピント位置を変更する。そしてステップS511において撮影を実行する。これで本フローは終了する。一方、ステップS507にてNG判定の場合、第3のピント位置の算出過程で算出できなったなどのエラーが発生している可能性がある。この場合、後述の探索的な手法(ステップS600)に切り替えてピント位置を変更するか、または、そのままステップS300へ移行してユーザに警告指示を出せばよい。
次に、ピント位置とリフォーカス制御範囲の対応テーブルを用いずに探索的に第3のピント位置を求める方法(ステップS600)について説明する。この場合、ピント位置の変更量として適当な初期値を与えて、そこから第3のピント位置を探索する。この方法は、前述の第2の方法や第3の方法と類似しているが、そのフローチャートは若干異なる。
図29および図30は、本実施例における撮影処理のフローチャートであり、図18のステップS600に対応する。また、図29は前述の第2の方法に対応し、図30は前述の第3の方法に対応するフローチャートを示している。
まず、図18のステップS506において、適当な初期値を用いてピント位置を変更する。ピント位置を変更する方向は、第1のピント位置から奥側(撮像装置10から離れる方向)である。その後、ステップS507にて判定を行う。この判定がOKであれば前述のようにステップS508へ進み、その後の処理は前述と同じである。一方、この判定がNGの場合、ステップS600へ進む。
まず、図29を参照して、第2の方法を用いた場合のステップS600について詳述する。ステップS507でNG判定となった後、ステップS611へ移行する。ここで、またピント位置を一定量だけ変更する。ピント位置の変更量は、先ほどと同じ量であってもよく、または、変更してもよい。続いてステップS612において、画像処理部105は、変更後のピント位置でのリフォーカス制御範囲を算出する。リフォーカス制御範囲の算出方法は、前述の方法と同様である。その後、ステップS613において、ステップS507と同様の判定を行う。この判定がOKの場合、ステップS508へ移行する。一方、この判定がNGの場合、ステップS611に戻り、ピント位置の変更を繰り返す。ステップS611におけるピント位置の移動方法については、少しずつ一定方向に移動し、その都度リフォーカス制御範囲を算出してもよい。または、初めは大雑把に移動し、第1のピント位置がリフォーカス制御範囲から外れた場合、ピント位置の移動方向を反転させて、ピント位置の移動量を変更するなどして探索してもよい。ステップS611において、フォーカス機構でピント位置を移動可能な範囲(機構的な範囲)を超えるなどでエラーとなる場合、ステップS300へ移行する。
次に、図30を参照して、第3の方法を用いた場合のステップS600について詳述する。ステップS507でNG判定となった後、ステップS621へ移行する。ここで、またピント位置を一定量だけ変更する。ピント位置の変更量は、先ほどと同じ量であってもよく、または、変更してもよい。続いてステップS622において、画像処理部105は、変更したピント位置での各被写体のコントラスト値を算出する。コントラスト値の算出方法は、第3の方法と同様であるため省略する。その後、ステップS623において、ステップS507と同様の判定を行う。この判定がOKの場合、ステップS508へ移行する。一方、この判定がNGの場合、ステップS621に戻り、ピント位置の変更を繰り返す。ステップS621におけるピント位置の移動方法についても、ステップS611で述べたように少しずつ移動させてもよく、または、探索的に移動させてもよい。ステップS621において、フォーカス機構でピント位置を移動可能な範囲(機構的な範囲)を超えるなどでエラーとなる場合、ステップS300へ移行する。
本実施例において、画像処理部105は、リフォーカス制御範囲に関する情報を取得する。そしてシステムコントローラ111(制御部107)は、リフォーカス制御範囲に関する情報に基づいてフォーカス制御を行う。好ましくは、画像処理部105は、第1のピント位置に対するリフォーカス制御範囲に、第2のピント位置が含まれるか否かを判定する。そしてシステムコントローラ111(制御部107)は、第2のピント位置がリフォーカス制御範囲に含まれない場合、フォーカス制御を行う。そして、第1のピント位置および第2のピント位置の両方がリフォーカス制御範囲に含まれるように第1のピント位置を第3のピント位置に変更する。
また好ましくは、画像処理部105は、リフォーカス制御範囲に関する情報に基づいて、第1のピント位置および第2のピント位置がリフォーカス制御範囲に含まれるように第3のピント位置を取得する。より好ましくは、システムコントローラ111(制御部107)は、ピント位置を第3のピント位置に移動させるようにフォーカス制御を行う。より好ましくは、システムコントローラ111は、第3のピント位置を設定することができないと判定した場合、ユーザに対する警告を出力する。
より好ましくは、画像処理部105は、撮影条件情報、入力画像の画角領域、および、再構成された出力画像の解像度の少なくとも一つに応じてリフォーカス制御範囲を変更する。
本実施例によれば、撮影後にユーザが意図したピント位置でのリフォーカス画像を取得可能な撮像装置を提供することができる。
次に、本発明の実施例2における撮像装置について説明する。本実施例の撮像装置は、実施例1の撮像装置と同様に図1の基本構成を有する。また、本実施例の撮像部100は、図3に示されるように配置されている。図7は、本実施例の撮像部100の断面図である。結像光学系101は、ズームレンズである。結像光学系101は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群L1、正の屈折力を有する第2レンズ群L2、負の屈折力を有する第3レンズ群L3、正の屈折力を有する第4レンズ群L4、および、正の屈折力を有する第5レンズ群L5で構成されている。変倍時において、第1レンズ群L1と第5レンズ群L5は固定され、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、および、第4レンズ群L4は光軸上を移動する。フォーカス時において、第2レンズ群L2が駆動される。
図3に示されるように、レンズアレイ102は、結像光学系101の被写体面201に対する像側共役面202より物体側へ配置されている。また、像側共役面202と撮像素子103とは、レンズアレイ102を介して共役関係になるように配置されている。被写体面201からの光線は、結像光学系101およびレンズアレイ102を通過した後、光線の被写体面201上での位置と角度に応じて、撮像素子103の異なる画素へ入射し、ライトフィールドが取得される。図3および図4の構成では、撮影視点と撮影範囲の異なる複数の小画像が並んだ画像が、撮像素子103で取得される。図4の構成は、レンズアレイ102が像側共役面202より像側へ配置されていることを除けば、図3に示される構成と同様である。図3との違いは、レンズアレイ102が結像光学系101の形成した像を実物体として見て、撮像素子103へ再結像させることである。しかし、図3および図4に示される構成は、いずれも結像光学系101の結んだ像をレンズアレイ102が物体として見て、その像を撮像素子103へ結像しているため、本質的には同じである。このため、以下の議論は、図4の構成に関しても同様に成立する。
次に、本実施例におけるリフォーカス処理について説明する。本実施例のリフォーカス処理は、定性的には実施例1と同様であり、結像光学系101の分割瞳の画像を、合焦したい被写体距離に対応したずれ量で重ね合わせればよい。
図10(a)、(b)は、リフォーカス画像生成に関する説明図であり、図3の構成におけるレンズアレイ102と撮像素子103の部分詳細図を示している。本実施例において、レンズアレイ102は、物体側の面が平面で、像側の面が凸形状の小レンズにより構成されている。ただし、実施例1と同様に、レンズアレイ102の形状はこれに限定されるものではない。図10(a)、(b)中の一点鎖線は、各小レンズの画角を表す。撮像素子103で得られた画素値を、画素に対応する小レンズを介して仮想結像面203へ投影して合成することにより、仮想結像面203にピントの合ったリフォーカス画像を生成することができる。ここで、仮想結像面203とは、リフォーカスにより合焦したい物体側の面と、結像光学系101を介して共役な面のことを指す。例えば、図3の被写体面201にピントの合った画像を生成するには、像側共役面202に仮想結像面203を設定すればよい。
図10(a)、(b)において、リフォーカス画像生成の際に投影した画素は、破線で表され、分かりやすくするために重ねずにずらして描画した。リフォーカスしたリフォーカス画像の生成は、前述の画素を投影する方法と同様の画素の重なりになる場合、各画素を平行移動させて合成する方法でもよい。このとき、画素に入射した光束が通過したレンズアレイ102の領域が同じである場合、それらの画素の平行移動量は同じになる。すなわち図3および図4におけるリフォーカス画像生成時の画素の操作は、画素に入射する光束が通過したレンズアレイ102の領域に応じて決定される。
次に、リフォーカス制御範囲に関して説明する。本実施例におけるリフォーカス制御範囲も、実施例1と同様に、式(1)のように表される。その関係は、図13に示されるとおりである。図13は、本実施例におけるリフォーカス制御範囲の説明図である。図13中のΔyは、図3および図4における光の2次元強度分布のサンプリングピッチを表し、Δy=Δσ/σである。これは、結像光学系101が形成した像を、レンズアレイ102が虚物体として見ることで、撮像素子103へσ/σ倍で縮小結像するためである。ここで、σは像側共役面202とレンズアレイ102の物体側主平面の間隔、σはレンズアレイ102の像側主平面と撮像素子103の間隔である。本実施例においても、Δ≪Pであるから、式(1)は式(2)に近似することができる。
本実施例において、複数の任意の被写体空間内の点をリフォーカス制御範囲に入れる過程については、図16乃至図18のフローチャートで表される。このため、実施例1と同様の部分についての説明は省略する。
ステップS106(図16)やステップS406(図17)、または、ステップS507(図18)において、再構成画像のリフォーカス制御範囲が算出されて取得される。この算出方法は、実施例1と同様であり、像側のリフォーカス制御範囲が算出される。図22(b)は、前述の第1の方法でテーブルを有する場合において、本実施例のテーブルの例を示している。図13から、幾何学的にNF=σ/ΔLAである。また、前述のように、Δy=Δσ/σであるから、以下の式(16)が成り立つ。
これらを用いることで、dが満たすべき以下の条件式(17)が求められる。
なお、条件式(17)における上下限の意味は、条件式(11)と同様である。
望ましくは、以下の条件式(17a)の範囲内とすることにより、再構成画像の鮮鋭度が増す。
更に望ましくは、以下の条件式(17b)の範囲内とすることにより、より鮮鋭な再構成画像を得ることができる。
本実施例における条件式(17)の値は、表1に示されるとおりである。本実施例において、撮像素子103の有効画素数はRtotal=150.0×10(pix)である。また、σ=0.3712(mm)、σ=0.0740(mm)である。撮像素子103の画素ピッチはΔ=0.0024(mm)、レンズアレイ102のピッチはΔLA=0.0256(mm)である。結像光学系101の広角端における焦点距離はf=72.2(mm)、望遠端における焦点距離はf=194.0(mm)、F値は広角端から望遠端までF=2.9であり、1次元瞳分割数はN=5である。再構成画像の解像度Rsynthは、合成画像解像度指定部111aにより、10.0×10pix、6.0×10pix、3.0×10pixの3種類から選択することができる。それぞれの解像度に対するdは、表1に示されるとおりである。ここで、単視点画像1枚当たりの解像度が6.0×10pixであるため、10.0×10pixの再構成画像を生成するには、画素ずらし超解像などによる高解像度化が必要となる。
本実施例によれば、撮影後にユーザが意図したピント位置でのリフォーカス画像を取得可能な撮像装置を提供することができる。
次に、本発明の実施例3における撮像装置について説明する。本実施例の撮像装置は、実施例1の撮像装置と同様に図1の基本構成を有する。また、本実施例の撮像部100は、図5に示されるように配置されており、物体側から見ると図15のような配置となっている。実施例3において撮像部100は、正の屈折率を有する複数の光学系101a〜101g(結像光学系)を備え、光学系101bの光軸を回転軸として六回対称性を有するように構成されている。すなわち結像光学系の瞳を、複数の光学系101a〜101gの瞳を合成した瞳であるとしたとき、複数の光学系は、被写体面の同一位置からの光線を、光線が通過する結像光学系の瞳領域に応じて、撮像素子の互いに異なる画素に入射させるように配列されている。
ただし、本実施例はこれに限定されるものではなく、結像光学系の個数や配列は変更可能である。複数の光学系101a〜101gの像側には、撮像素子103a〜103gがそれぞれ配列されている。ただし、撮像素子は複数である必要はなく、結像光学系101a〜101gの各々により形成される像を取得可能であれば単数の撮像素子でもよい。
複数の光学系101a〜101gで屈折された光線は、それぞれに対応する撮像素子103a〜103gで受光される。撮像素子103a〜103gで取得された複数の画像は、被写体空間を異なる視点から観察した視差画像である。これらの複数の画像を合成することにより、被写体空間のライトフィールドを取得することができる。
図8は、本実施例における結像光学系(光学系101a)および撮像素子103aの断面図である。他の結像光学系(光学系101b〜101g)、および、撮像素子103b〜103gも同様である。ただし、各結像光学系の構成はそれぞれ異なっていてもよい。図8の結像光学系(光学系101a)は、単焦点レンズである。光学系101aと撮像素子103aとの間隔を変化させることにより、フォーカス制御が可能である。
本実施例におけるリフォーカス処理は、実施例1と同様に、ピントを合わせたい被写体距離に対応するずれ量で各視点の画像を重ね合わせればよい。また、リフォーカスが可能なピント制御範囲に関しても、式(1)で記述される。その関係は、図14に示されるとおりである。図14は、本実施例におけるリフォーカス制御範囲の説明図である。本実施例において、Δy=Δ、および、Δu=Pmono/Fmonoである。ここで、Fmonoは結像光学系101a〜101gの1つのF値、Pmonoは結像光学系の射出瞳距離である。Δ≪Pmonoが成立するため、式(1)は以下の式(18)で表されるように近似することができる。
本実施例における複数の任意の被写体空間内の点をリフォーカス制御範囲に入れる過程も、図16乃至図18のフローチャートで示され、実施例1と同様の部分についての説明は省略する。ステップS106(図16)、ステップS406(図17)、または、ステップS507(図18)において、再構成画像のリフォーカス制御範囲が算出されて取得される。また、像側のリフォーカス制御範囲は、実施例1と同様の考え方で算出される。
露出状態の予測で得られた撮影時の結像光学系101a〜101gのF値をFmonoに代入して、リフォーカス制御範囲が取得される。結像光学系101a〜101gのうちFmonoのF値を有する光学系で結像される画像の解像度をRmonoとすると、dが満たすべき以下の条件式(19)が得られる。
条件式(19)における上下限の意味は、条件式(11)と同様である。
望ましくは、以下の条件式(19a)の範囲内とすることにより、再構成画像の鮮鋭度が増す。
更に望ましくは、以下の条件式(19b)の範囲内とすることにより、より鮮鋭な再構成画像を得ることができる。
本実施例における条件式(19)の値は、表1に示されるとおりである。本実施例における撮像素子103a〜103gの各々の有効画素数はRmono=19.3×10(pix)であり、画素ピッチはΔ=0.0012(mm)である。結像光学系101a〜101gの各々の焦点距離はf=50.0(mm)であり、開放F値はF=1.8である。表1において、撮影時のF値はFmono=1.8である。異なるF値の場合、条件式(19)を満たすようにdが決定される。また、高画角の領域では、光束のケラレに応じてリフォーカス制御範囲を変化させる。例えば、画像のある画角領域が軸上領域に対して焦点深度が2倍になっている場合、その画角領域のリフォーカス制御範囲を軸上における範囲の2倍にする。再構成画像の解像度Rsynthは、合成画像解像度指定部111aにより、19.3×10pix、10.0×10pix、5.0×10pixの3種類から選択することができる。それぞれの解像度に対するdは表1に示されるとおりである。
本実施例によれば、撮影後にユーザが意図したピント位置でのリフォーカス画像を取得可能な撮像装置を提供することができる。
次に、図31乃至図33を参照して、本発明の実施例4における画像処理システムの基本構成について説明する。図31は、本実施例における画像処理システム30のブロック図である。図32は、画像処理システム30の概略構成図である。図33は、本実施例における単視点画像取得部400のブロック図である。
撮像部300は、図32に示されるように、複数の単視点画像取得部400a〜400dを備えている。図33の単視点画像取得部400は、複数の単視点画像取得部400a〜400dの一つを示している。単視点画像取得部400a〜400dは、図5の構成と定性的には同じである。
図31に示される画像処理部301は、図16乃至図18に示される処理を行うコンピュータ機器であり、実施例1と同様に距離情報取得部301aを備えている。画像処理部301で処理された画像は、表示部302、記録媒体303、出力部304のいずれか一つまたは複数に出力される。表示部302は、例えば、液晶ディスプレイやプロジェクタである。記憶媒体303は、例えば、半導体メモリ、ハードディスク、または、ネットワーク上のサーバである。出力部304は、プリンタなどである。ユーザは、撮影または編集時に、表示部302を介して画像を確認しながら作業を行うことができる。画像処理部301は、図16乃至図18の処理や再構成処理の他に、必要に応じて現像処理やその他の画像処理を行う機能を有する。各部材の制御は、パーソナルコンピュータ(PC)などのシステムコントローラ305により行われる。また、この制御をコンピュータに実行させるプログラムを格納したCD−ROMなどの記憶媒体を用いることもできる。システムコントローラ305は、実施例1と同様に、合成画像解像度指定部305a、合焦被写体指定部305b、表示指令部305c、撮影指令部305d、および、合焦制御部305eを備えている。
図33において、結像光学系401を介して撮像素子403に結像された像は、電気信号(アナログ信号)に変換される。そしてアナログ信号は、A/Dコンバータ404によりデジタル信号に変換される。このデジタル信号は画像処理部405で所定の処理を施され、単視点画像取得部400内の各部材、および、画像処理部301へ出力される。システムコントローラ411は、システムコントローラ305からの信号を受けて、単視点画像取得部400の各部材を制御する。露出状態予測部413は、測光部412の情報から撮影時の露出状態の予測を行う部材である。表示部406は、システムコントローラ411からの信号に基づいて、画像処理部405を介して表示のON/OFFおよび表示画像の切換えを行う。システムコントローラ411からの指令によって撮影が実行される際には、測光部412の情報に基づいて制御部407が結像光学系401の露出を調節する。このとき、撮像素子403で取得された画像は、前述と同様の経路を辿って画像処理部405に入力され、所定の処理を施された後、半導体メモリなどの画像記録媒体410に所定のフォーマットで保存される。また同時に、状態検知部408から得られた撮影時の画像取得条件も記録される。さらに、画像記録媒体410に記録する画像は、再構成処理を施した画像でもよい。また高速化のため、所望の設定を予め記憶部409に記憶し、画像記録媒体410を介さずに再構成画像を表示部406に表示させてもよい。
図9は、単視点画像取得部400aの結像光学系401aと撮像素子403aの断面図である。図9に示される結像光学系401aは単焦点レンズであり、フォーカス群IFを駆動してフォーカスを行う。他の単視点画像取得部400b〜400dも、同様に構成されている。ただし、各単視点画像取得部は互いに異なる構成を有していてもよく、また、その数や配置も限定されるものではない。
本実施例のリフォーカス処理は実施例3と同様であり、撮影および編集時の表示画像生成も実施例3と同様である。また、本実施例における条件式(19)の値は、表1に示されるとおりである。本実施例における撮像素子403a〜403dの各々の有効画素数はRmono=32.0×10(pix)であり、画素ピッチはΔ=0.0052(mm)である。結像光学系401a〜401dの各々の焦点距離はf=200.0(mm)、開放F値はF=2.0である。表1は、撮影時の予測F値をFmono=2.0で計算した値となっている。再構成画像の解像度Rsynthは、合成画像解像度指定部305aにより、64.0×10pix、32.0×10pix、8.0×10pixの3種類から選択することができる。それぞれの解像度に対するdは表1に示されるとおりである。ここで、64.0×10pixの再構成画像を生成するためには、画素ずらし超解像などの高解像度が必要となる。
本実施例によれば、撮影後にユーザが意図したピント位置でのリフォーカス画像を取得可能な画像処理システムを提供することができる。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
各実施形態によれば、撮影後にユーザが意図したピント位置でのリフォーカス画像を取得可能な撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および、記憶媒体を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されたものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形、及び変更が可能である。
10 撮像装置
101 結像光学系
102 レンズアレイ
103 撮像素子
105 画像処理部
107 制御部

Claims (17)

  1. 入力画像を再構成することによりピント位置の異なる複数の出力画像を生成可能な撮像装置であって、
    結像光学系と、
    複数の画素を備えた撮像素子と、
    被写体面の同一位置からの光線を、該光線が通過する前記結像光学系の瞳領域に応じて、前記撮像素子の互いに異なる画素に入射させるレンズアレイと、
    前記撮像素子で取得された前記入力画像に対して画像処理を行うことにより前記出力画像を生成する画像処理部と、
    前記結像光学系を駆動してフォーカス制御を行う制御部と、を有し、
    前記画像処理部は、リフォーカス制御範囲に関する情報を取得し、該リフォーカス制御範囲に関する情報に基づいて、第1のピント位置および第2のピント位置が前記リフォーカス制御範囲に含まれるピント位置である第3のピント位置を取得し、
    前記制御部は、前記ピント位置を前記第3のピント位置に移動させるように前記結像光学系を駆動して前記フォーカス制御を行う、ことを特徴とする撮像装置。
  2. 入力画像を再構成することによりピント位置の異なる複数の出力画像を生成可能な撮像装置であって、
    複数の光学系を備えた結像光学系と、
    複数の画素を備えた少なくとも1つの撮像素子と、
    前記撮像素子で取得された前記入力画像から前記出力画像を生成する画像処理部と、
    前記結像光学系を駆動してフォーカス制御を行う制御部と、を有し、
    前記結像光学系の瞳を、前記複数の光学系の瞳を合成した瞳であるとしたとき、前記複数の光学系は、被写体面の同一位置からの光線を、該光線が通過する前記結像光学系の瞳領域に応じて、前記撮像素子の互いに異なる画素に入射させるように配列されており、
    前記画像処理部は、リフォーカス制御範囲に関する情報を取得し、該リフォーカス制御範囲に関する情報に基づいて、第1のピント位置および第2のピント位置が前記リフォーカス制御範囲に含まれるピント位置である第3のピント位置を取得し、
    前記制御部は、前記ピント位置を前記第3のピント位置に移動させるように前記結像光学系を駆動して前記フォーカス制御を行う、ことを特徴とする撮像装置。
  3. 前記画像処理部は、第1のピント位置に対するリフォーカス制御範囲に、第2のピント位置が含まれるか否かを判定し、
    前記制御部は、前記第2のピント位置が前記リフォーカス制御範囲に含まれない場合、前記第1のピント位置および前記第2のピント位置の両方がリフォーカス制御範囲に含まれるように前記結像光学系を駆動してフォーカス制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
  4. 前記制御部は、前記第3のピント位置を設定することができないと判定した場合、ユーザに対する警告を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
  5. 前記画像処理部は、
    前記第1のピント位置と前記第2のピント位置との相対距離情報を取得し、
    被写体距離と前記リフォーカス制御範囲との関係を示すテーブルを用いて、前記第3のピント位置を算出することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
  6. 前記被写体距離と前記リフォーカス制御範囲との関係を示す前記テーブルを記憶した記憶部を更に有することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
  7. 前記画像処理部は、
    前記ピント位置を変更しながら前記リフォーカス制御範囲を算出し、
    前記第1のピント位置および前記第2のピント位置が特定のピント位置におけるリフォーカス制御範囲に含まれる場合、該特定のピント位置を前記第3のピント位置として設定することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
  8. 前記制御部は、前記ピント位置を変更しながら算出された前記リフォーカス制御範囲に基づいて、該ピント位置の移動方向および移動量を決定することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
  9. 前記画像処理部は、
    単視点画像に対する前記第1のピント位置および前記第2のピント位置でのコントラスト値を算出し、
    前記第1のピント位置および前記第2のピント位置での前記コントラスト値が所定の閾値以上である場合、前記特定のピント位置を前記第3のピント位置として設定することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
  10. 前記画像処理部は、被写体の距離情報を取得する距離情報取得部を有し、該距離情報を用いて前記リフォーカス制御範囲を算出することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
  11. 前記距離情報取得部は、前記入力画像の視差情報を用いて前記距離情報を取得することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
  12. 前記画像処理部は、撮影条件情報に応じて前記リフォーカス制御範囲を変更することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像装置。
  13. 前記画像処理部は、前記入力画像の画角領域に応じて前記リフォーカス制御範囲を変更することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の撮像装置。
  14. 前記画像処理部は、再構成された前記出力画像の解像度に応じて前記リフォーカス制御範囲を変更することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の撮像装置。
  15. 入力画像を再構成することによりピント位置の異なる複数の出力画像を生成可能な撮像装置の制御方法であって、
    結像光学系および複数の画素を備えた撮像素子を有する撮像装置を用いて、複数の視点から被写体空間の情報を取得した画像である前記入力画像を取得するステップと、
    リフォーカス制御範囲に関する情報を取得するステップと、
    前記リフォーカス制御範囲に関する情報に基づいて、第1のピント位置および第2のピント位置が前記リフォーカス制御範囲に含まれるピント位置である第3のピント位置を取得するステップと、
    前記ピント位置を前記第3のピント位置に移動させるように前記結像光学系を駆動することによりフォーカス制御を行うステップと、を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
  16. 入力画像を再構成することによりピント位置の異なる複数の出力画像を生成可能なプログラムであって、
    結像光学系および複数の画素を備えた撮像素子を有する撮像装置を用いて、複数の視点から被写体空間の情報を取得した画像である前記入力画像を取得するステップと、
    リフォーカス制御範囲に関する情報を取得するステップと、
    前記リフォーカス制御範囲に関する情報に基づいて、第1のピント位置および第2のピント位置が前記リフォーカス制御範囲に含まれるピント位置である第3のピント位置を取得するステップと、
    前記ピント位置を前記第3のピント位置に移動させるように前記結像光学系を駆動することによりフォーカス制御を行うステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  17. 請求項16に記載のプログラムを格納していることを特徴とする記憶媒体。
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