JP6059645B2 - 無線送信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、パルス信号を用いて変調波を生成し送信する無線通信技術に関する。
パルス信号を変調波として空中へ伝搬させるインパルス無線と呼ばれる通信方式が提案されている。この無線方式は、ディジタル回路やリング発振器といった簡便な構成でパルス信号を生成することができるため、回路の小型化や低消費電力化に有利であるとされてきた。
パルス信号は、図5(a)に示すように、時間的に非常に短い間信号が出力される矩形波であり、図5(b)に示すように、パルス信号のスペクトルは広帯域でかつ高調波成分を有する。この無線方式を使用して無線通信を行う際には、パルス信号の高調波成分を抑制する必要がある。
図6に、従来のインパルス無線通信を行う無線送信器の構成を示す。パルス生成器51で生成されたパルス信号は非線形増幅器52で増幅され、フィルタ53で高調波成分が抑制されて、アンテナ54より空中へ放射される。非特許文献1では、ディジタル信号処理により高調波の抑制されたパルス信号を予め生成し、増幅器とアンテナの間にバンドパスフィルタを用いている。また、パルス信号を増幅するためにスイッチング素子、すなわち非線形増幅器を用いる場合が多く、図6に示す無線送信器は従来技術より容易に類推できる構成である。
Vishal V. Kulkarni, et. al., "A 750 Mb/s, 12 pJ/b, 6-to-10 GHz CMOS IR-UWB Transmitter With Embedded On-Chip Antenna", IEEE Journal of Solid-State Circuits, Feb. 2009, vol. 44, no. 2, pp. 394-403
瞬間的に生成されるパルス信号を用いた通信は、QPSKやFSKなどの連続的な正弦波を用いた通信と比較して高調波成分が発生しやすい方式である。このため、増幅器とアンテナの間のフィルタのみで高調波成分を抑制する場合は減衰率の高い強力なフィルタが必要となる。
しかしながら、パルス信号を用いた通信は、同じ通信速度を有する連続的な正弦波を用いた通信と比較してスペクトルの占有帯域が広くなるため、挿入損失が低く減衰率が高いフィルタ、例えば音響フィルタを使用することが困難である場合が多く、フィルタを多段接続し減衰率を稼ぐ必要がある。このため、挿入損失の増加による消費電力の増加や実装面積の増加によるコスト増が課題となる。
一方で、ディジタル信号処理で波形整形を行う場合は、パルス信号に対して高速で高い分解能を持つディジタル−アナログ変換器を用いるか、複数のディジタル−アナログ変換器を用いて信号を合算する必要があり、消費電力の増加や回路規模、LSIピン数の増加によるコスト増が課題となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、消費電力を抑えつつ、高調波成分を簡易な構成で抑制することのできる無線送信器を提供することを目的とする。
本発明に係る無線送信装置は、パルス信号を生成するパルス生成器と、前記パルス生成器の後段に配置され、前記パルス信号の高調波成分を抑制するフィルタと、前記フィルタの後段に配置され、前記パルス信号を増幅する線形増幅器と、前記線形増幅器の後段に配置され、前記パルス信号を無線信号として送信する無線通信の中心周波数に相当する波長より十分に小さいアンテナと、を有することを特徴とする。
上記無線送信装置において、前記フィルタは、前記パルス信号の三次高調波成分以上を抑制し、前記アンテナは、差動信号を入力する差動型のアンテナであることを特徴とする。
上記無線送信装置において、前記線形増幅器と前記アンテナの間に帯域通過フィルタを有することを特徴とする。
上記無線送信装置において、無線通信を行うときのみ前記線形増幅器に電力を供給する電源制御回路を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、パルス生成器と線形増幅器の間のフィルタによりパルス信号の高調波成分を抑制するとともに、波長より十分に小さい小型のアンテナを使用することで、アンテナ自身が帯域外スペクトルの残渣成分を抑制するので、線形増幅器の後段に高い減衰率を有するフィルタを備える必要がなくなり、消費電力を抑えつつ、高調波成分を簡易な構成で抑制することのできる無線送信器を提供することができる。
第1の実施の形態における無線送信器の構成を示すブロック図である。 第2の実施の形態における無線送信器の構成を示すブロック図である。 第3の実施の形態における無線送信器の構成を示すブロック図である。 第4の実施の形態における無線送信器の構成を示すブロック図である。 パルス信号の波形とスペクトルを示す図である。 従来の無線送信器の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態における無線送信器の構成を示すブロック図である。同図に示す無線送信器は、パルス信号を用いて変調波を生成し送信する無線送信器であり、パルス信号を生成するパルス生成器11、パルス信号から高調波成分を取り除くフィルタ12、フィルタ12から出力されるパルス信号を増幅する線形増幅器13、および波長より十分に小さい小型アンテナ14を備える。
パルス生成器11は、リング発振器やインバータなどを用いて構成する。フィルタ12としては、抵抗器とコンデンサ、コイルとコンデンサを用いたものや、オペアンプなどトランジスタを用いたものを利用する。線形増幅器13は、A級・AB級・B級・C級などのバイアス級を有するトランジスタ増幅器であり、ゲート接地、ソース接地、あるいはドレーン接地のいずれでも構わない。小型アンテナ14は、無線通信の中心周波数に相当する波長に対し、1/10〜1/100程度の大きさのアンテナである。例えば、周波数帯が300MHzであった場合、その波長は1mとなり、想定する小型アンテナ14のサイズは10cm〜1cmである。
パルス生成器11は、リング発振器やインバータなどを用いることで低消費電力化が可能となるが信号波形が歪んでしまうので、パルス生成器11の後段にフィルタ12を備えてパルス信号の高調波成分を予め抑制する。フィルタ12から出力される信号を線形増幅器13により増幅することで、高調波成分が抑制された信号が小型アンテナ14へ供給される。波長より十分に小さい小型アンテナ14を使用することで、アンテナ自身の帯域制限効果により帯域外スペクトルの残渣成分をフィルタなしで抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、パルス生成器11と線形増幅器13との間に高調波抑制用のフィルタ12を備えるとともに、増幅器として線形増幅器13を用い、線形増幅器13の後段に波長より十分に小さい小型アンテナ14を備えることにより、小型アンテナ14自身が帯域外成分を抑制するので、増幅器の後段に高い減衰率を有するフィルタにより高調波成分を抑制する無線送信器に比べて電力損失量が抑えられるとともに、ディジタル信号処理で波形整形を行う場合に比べて電力消費量が低く抑えられ、簡易かつ小型・低コストで無線送信器を提供することができる。
[第2の実施の形態]
図2(a)〜(c)は、第2の実施の形態における無線送信器の構成を示すブロック図である。
第2の実施の形態では、パルス生成器11の後段に配置するフィルタとしてパルス信号の三次高調波以上の成分を抑制する三次抑制フィルタ15を用いるとともに、小型アンテナを差動化して差動信号を入力し、偶数次高調波成分を抑制する差動型小型アンテナ16を用いた。
差動信号を生成する方法としては、線形増幅器13の後段にバランを設ける(図2(a))、線形増幅器13で単相差動変換を行う(図2(a))、三次抑制フィルタ15で変換する(図2(b))、あるいはパルス生成器11から差動信号を発生する(図2(c))などの方法が考えられる。
第2の実施の形態では、三次抑制フィルタ15のカットオフ帯域を三次高調波を抑制する帯域とすればよいため、フィルタの設計・調整が簡便となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、パルス生成器11の後段にパルス信号の三次高調波以上の成分を抑制する三次抑制フィルタ15を配置するとともに、差動化した差動型小型アンテナ16を用いることにより、差動型小型アンテナ16で偶数次高調波成分が抑制されるので、三次抑制フィルタ15のカットオフ帯域を三次高調波を抑制する帯域とすればよく、フィルタの設計・調整が簡便となる。
[第3の実施の形態]
図3は、第3の実施の形態における無線送信器の構成を示すブロック図である。
第3の実施の形態では、線形増幅器13と小型アンテナ14の間に帯域通過フィルタ17を挿入した。
従来は、増幅器とアンテナの間のフィルタのみで高調波を抑制するため、このフィルタでの電力損失量が問題となっていた。第3の実施の形態では、予めパルス生成器11の後段のフィルタ12で高調波を抑制しているため、線形増幅器13の後段のフィルタ17の減衰特性は緩やかでよく、挿入損失を低く抑えることが可能となる。
[第4の実施の形態]
図4は、第4の実施の形態における無線送信器の構成を示すブロック図である。
第4の実施の形態では、通信を行うときのみ線形増幅器13に電力を供給する電源制御回路18を備えた。
A級・AB級といった動作級のトランジスタを電流源として使う線形増幅器13では、線形増幅器13の電源が投入されている間は常に電力を消費してしまうため、消費電力の増加が課題となる。第4の実施の形態では、通信を行うその瞬間のみに線形増幅器13に電力を供給する電源制御回路18を備えることで、他の通信回路やCPU等の装置が起動していても、通信が行われていないときの消費電力を抑えるもことが可能となる。
なお、第3,4の実施の形態は、第1,2の実施の形態のいずれの無線送信器に適用してもよい。
11…パルス生成器
12…フィルタ
13…線形増幅器
14…小型アンテナ
15…三次抑制フィルタ
16…差動型小型アンテナ
17…帯域通過フィルタ
18…電源制御回路
51…パルス生成器
52…非線形増幅器
53…フィルタ
54…アンテナ

Claims (4)

  1. パルス信号を生成するパルス生成器と、
    前記パルス生成器の後段に配置され、前記パルス信号の高調波成分を抑制するフィルタと、
    前記フィルタの後段に配置され、前記パルス信号を増幅する線形増幅器と、
    前記線形増幅器の後段に配置され、前記パルス信号を無線信号として送信する無線通信の中心周波数に相当する波長より十分に小さいアンテナと、
    を有することを特徴とする無線送信装置。
  2. 前記フィルタは、前記パルス信号の三次高調波成分以上を抑制し、
    前記アンテナは、差動信号を入力する差動型のアンテナであることを特徴とする請求項1記載の無線送信装置。
  3. 前記線形増幅器と前記アンテナの間に帯域通過フィルタを有することを特徴とする請求項1又は2記載の無線送信装置。
  4. 無線通信を行うときのみ前記線形増幅器に電力を供給する電源制御回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の無線送信装置。
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