本明細書で使用するとき、請求項で使用される場合の冠詞「a」及び「an」は、請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。
本明細書で使用するとき、用語「洗浄組成物」とは、液体又は固体の組成物を意味し、特に、硬質表面洗浄組成物、食器手洗い用洗剤又は軽質食器洗浄剤、特に高発泡型のもの、食洗機用食器洗浄剤、パーソナルケア組成物、ペットケア組成物、自動車用ケア組成物、及び家庭用ケア組成物が挙げられる。1つの実施形態では、本発明の洗浄組成物は、硬質表面洗浄組成物であり、好ましくは該硬質表面洗浄組成物は、不織布基材に含浸されている。
本明細書で使用するとき、用語「洗濯洗剤」とは、液体又は固体の組成物を意味し、別途記載のない限り、顆粒形態又は粉末形態の汎用又は「重質」洗浄剤、特に、洗浄洗剤、並びに漂白添加剤又は前処理型等の洗浄助剤が挙げられる。1つの実施形態では、洗濯洗剤は、固体洗濯洗剤組成物であり、好ましくは、自由流動粒子状洗濯洗剤組成物(即ち、顆粒状洗剤製品)である。
本明細書で使用するとき、用語「水の硬度」又は「硬度耐性」とは、水及び/又は汚れた布地/物質上の汚れから生じる非錯体化型カルシウム(即ち、Ca2+)を意味し、より一般的且つ典型的には、「水の硬度」は、アルカリ条件下で沈殿する能力を有する他の非錯体化型カチオン(例えば、Mg2+)も含み、界面活性剤の界面活性及び洗浄能を低減する傾向がある。更に、用語「高い水の硬度」又は「水の硬度が高い」は、互換的に用いることができ、本発明の目的のための相対語であり、少なくとも「水1リットル当たり3.17グラム(水1ガロン当たり12グラム)(gpg、「米国穀粒硬度」単位)のカルシウムイオン」を意味することを意図する。
本明細書で使用するとき、用語「平均分子量」とは、ポリマー組成物中のポリマー鎖の平均分子量を指す。更に、「重量平均分子量」(「Mw」)は、以下の等式を用いて計算することができる:
Mw=(ΣiNiMi 2)/(ΣiNiMi 2)
(式中、Niは、分子量Miを有する分子の数である)。重量平均分子量は、試験方法の項に記載の方法によって測定しなければならない。
本明細書で使用するとき、用語「白色度の維持」とは、本発明のカルボキシル基含有ポリマー、又は該ポリマーを含む洗濯洗剤若しくは洗浄組成物が、洗浄に付随する清浄な布地/物質の表面における白色度の喪失を防ぐ又は低減する能力を意味する。
本明細書で使用するとき、用語「汚れ再付着防止」とは、水を用いる洗浄処理において、汚れ成分が繊維又は物質に再付着するのを防ぐポリマーの能力を意味する。硬度の高い水条件では、汚れ再付着防止能は、好ましくは、より低い分子量範囲を有する既存のポリアクリレートポリマーよりも優れている必要があり、例えば、白色度の維持の強化等の洗浄性能の改善を達成する必要があり、試験方法の項に記載の方法によって測定されなければならない。
本明細書で使用するとき、用語「有機汚れ」とは、好ましくは遷移金属不純物の存在下で、粘土、タンパク質性、及び酸化可能な汚れに由来する汚れを意味する。
本願の試験方法の項に開示するアッセイを用いて、発明が本明細書に記載され、請求されているように、本発明のパラメータの各値を求めなければならないことが理解される。
具体的には、本発明は、以下に示す式(1)によって表されるエーテル結合含有モノマー(A)に由来する構造単位(a)と、スルホン酸基含有モノマー(B)に由来する構造単位(b)と、アクリル酸系モノマー(C)に由来する構造単位(c)と、を含むカルボキシル基含有ポリマーを含む洗濯洗剤又は洗浄組成物を提供する。構造単位(a)は、カルボキシル基含有ポリマー中の全てのモノマーに由来する全ての構造単位100質量%に基づいて約0.5質量%〜約10質量%の濃度で存在し、構造単位(b)は、カルボキシル基含有ポリマー中の全てのモノマーに由来する全ての構造単位100質量%に基づいて約0.5質量%〜約30質量%の濃度で存在し、構造単位(c)は、カルボキシル基含有ポリマー中の全てのモノマーに由来する全ての構造単位100質量%に基づいて約55質量%〜約99質量%の濃度で存在する。上記カルボキシル基含有ポリマーは、約20,000〜約60,000の重量平均分子量を有する。
式(1)中、R
0は、水素原子又はメチル基を表し、R
1は、CH
2基、CH
2CH
2基、又は直接結合を表し、Xは、ヒドロキシル基又は以下の式(2)若しくは(3):
(式中、R
2は、同じであっても異なっていてもよく、C
2〜C
4アルキレン基を表し、nは、オキシアルキレン基(−O−R
2−)の平均付加モル数を表し、0〜5であり、R
3、R
4、及びR
5は、独立して、C
1〜C
4アルキル基を表す)によって表される基を表し、
Yは、ヒドロキシル基又は式(2)若しくは(3)によって表される基を表し、X及びYのうちの一方は、ヒドロキシル基であり、他方は、式(2)又は(3)によって表される基である。
また、本発明は、上記の通りカルボキシル基含有ポリマー組成物を含む洗濯洗剤又は洗浄組成物、及び亜硫酸水素塩のアクリル酸系モノマー(C)に対する付加物を提供する。付加物は、カルボキシル基含有ポリマー組成物の固形分含量100質量%に基づいて、約0.01質量%〜約1.5質量%の濃度で存在する。
カルボキシル基含有ポリマー
カルボキシル基含有ポリマー(以後、「ポリマー」と称することもある)は、カルボキシル基含有ポリマー中の全てのモノマーに由来する全ての構造単位(以後、「全ての構造単位」とも称する)100質量%に基づいて、約0.5質量%〜約15質量%の濃度の構造単位(a)と、約0.5質量%〜約30質量%の濃度の構造単位(b)と、約55質量%〜約99質量%の濃度の構造単位(c)とを含む。構造単位(a)は、エーテル結合含有モノマー(A)に由来し、構造単位(b)は、スルホン酸基含有モノマー(B)に由来し、構造単位(c)は、アクリル酸系モノマー(C)に由来する。カルボキシル基含有ポリマーの重量平均分子量は、20,000〜60,000である。
エーテル結合含有モノマー(A)
本発明のカルボキシル基含有ポリマーは、エーテル結合含有モノマー(A)(以後、「モノマー(A)」とも称する)に由来する構造単位(a)を本質的に含むポリマーである。
エーテル結合含有モノマー(A)に由来する構造単位(a)は、式(1)によって表され、炭素−炭素二重結合が単結合に変換されている式(4)によって表される下記エーテル結合含有モノマー(A)に由来する構造単位に対応する。
式(1)中、R
0は、水素原子又はメチル基を表し、R
1は、CH
2基、CH
2CH
2基、又は直接結合を表し、Xは、ヒドロキシル基又は式(2)若しくは(3)によって表される基を表し、Yは、ヒドロキシル基又は式(2)若しくは(3)によって表される基を表し、X及びYのうちの一方は、ヒドロキシル基であり、他方は、式(2)又は(3)によって表される基である。
式(2)及び(3)中、R2は、同じであっても異なっていてもよく、C2〜C4アルキレン基を表し、nは、オキシアルキレン基(−O−R2−)の平均付加モル数を表し、0〜5であり、R3、R4、及びR5は、独立して、C1〜C4アルキル基を表す。
式(2)又は(3)によって表される疎水基の存在により、構造単位(a)は、繊維等に付着した汚れに対する吸着力を有する。更に、構造単位(a)の存在により、カルボキシル基含有ポリマーは、疎水性の汚れに対する吸着力を有し、疎水性の汚れに対する顕著な汚れ再付着防止能を示す。
エーテル結合含有モノマー(A)の例としては、式(4)によって表されるモノマーが挙げられる。
式(4)中、R
0、R
1、X、及びYは、全て、式(1)について上で定義した通りである。式(4)中のR
1が直接結合を表すとき、式(4)中のH
2C=C(R
0)−R
1−O−は、H
2C=C(R
0)−O−である。式(1)にも同じことが当てはまる。
H2C=C(R0)−R1−は、R0及びR1が、それぞれ、メチル基及びCH2基であるとき、メタリル基である。H2C=C(R0)−R1−は、R0及びR1が、それぞれ、メチル基及びCH2CH2基であるとき、イソプレニル基である。H2C=C(R0)−R1−は、R0及びR1が、それぞれ、メチル基及び直接結合であるとき、イソプロペニル基である。H2C=C(R0)−R1−は、R0及びR1が、それぞれ、水素原子及びCH2基であるとき、アリル基である。H2C=C(R0)−R1−は、R0及びR1が、それぞれ、水素原子及びCH2CH2基であるとき、ブテニル基である。H2C=C(R0)−R1−は、R0及びR1が、それぞれ、水素原子及び直接結合であるとき、ビニル基である。
H2C=C(R0)−R1−は、好ましくは、イソプレニル基、メタリル基、アリル基、又はビニル基である。重合性の改善の観点で、H2C=C(R0)−R1−は、より好ましくはイソプレニル基、メタリル基、又はアリル基であり、更により好ましくはイソプレニル基又はメタリル基である。
式(1)及び(4)中のX及びYは、独立して、ヒドロキシル基又は式(2)若しくは(3)によって表される基を表す。X及びYのうちの一方は、ヒドロキシル基であり、他方は、式(2)又は(3)によって表される基である。
式(2)及び(3)中のR2は、同じであっても異なっていてもよく、C2〜C4アルキレン基を表す。C2〜C4アルキレン基の例としては、エチレン、プロピレン、及びブチレン基が挙げられる。エーテル結合含有モノマー(A)の重合性の改善の観点から、C2〜C3アルキレン基(例えば、エチレン及びプロピレン基)が好ましい。1つ以上のアルキレン基を含んでもよい。
式(2)及び(3)中の数nは、オキシアルキレン基(−O−R2−)の平均付加モル数を表し、0〜5である。泥汚れに対する洗浄性及び/又は洗浄性能の観点から、nは、好ましくは0〜4、より好ましくは0〜3、更により好ましくは0〜2、特に好ましくは0又は1、最も好ましくは0である。
式(2)及び(3)中のR3、R4、及びR5は、独立して、C1〜C4アルキル基を表す。C1〜C4アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びt−ブチル基が挙げられる。これらC1〜C4アルキル基は、置換基を有してもよい。置換基の例としては、アミノ及びヒドロキシル基が挙げられる。特に、ポリマーの汚れ再付着防止能及び白色度の維持の観点から、メチル、エチル、及びブチル基が好ましく、ブチル基がより好ましい。
式(3)中のR4及びR5は、互いに連結して、環を形成してもよい。この場合、環構造を安定化させるために、窒素原子、R4及びR5によって形成される環構造は、好ましくは、3〜7員環である、即ち、R4及びR5の炭素原子の総数は、好ましくは2〜6である。
X及びYの組み合わせの例(この順序で記載する)としては、ヒドロキシル基及び式(2)によって表される基、ヒドロキシル基及び式(3)によって表される基、式(2)によって表される基及びヒドロキシル基、並びに式(3)によって表される基及びヒドロキシル基が挙げられる。ポリマーの汚れ再付着防止能の改善の観点から、X及びYは、好ましくは、それぞれヒドロキシル基及び式(2)によって表される基であるか、又はそれぞれヒドロキシル基及び式(3)によって表される基であり、より好ましくは、それぞれヒドロキシル基及び式(2)によって表される基である。
本明細書で使用するとき、語句「エーテル結合含有モノマー(A)に由来する構造単位(a)を含むカルボキシル基含有ポリマー」とは、調製されるポリマーが、式(1)によって表される構造単位を含有することを意味する。具体的には、本明細書における「エーテル結合含有モノマー(A)に由来する構造単位(a)」は、重合反応前の工程で導入される構造単位と重合反応後の工程で導入される構造単位とを含むことを意図し、例えば、エーテル結合含有モノマー(A)を合成し、次いで、エーテル結合含有モノマー(A)と別のモノマーとを共重合させることによってポリマーに組み込まれる構造単位、又は共重合によってカルボキシル基含有ポリマーの主鎖を形成し、次いで、それに特定の構造の側鎖を導入することによって完成する構造単位を指す。
本発明のカルボキシル基含有ポリマーは、構造単位(a)を1つだけ含んでもよく、又は2つ以上の構造単位(a)を含んでもよい。
構造単位(a)は、カルボキシル基含有ポリマー中の全てのモノマーに由来する全ての構造単位100質量%(即ち、構造単位(a)と、下記構造単位(b)、(c)、及び(e)との合計量)に基づいて、約0.5質量%〜約10質量%の濃度で含有される。この範囲内の濃度の構造単位(a)を含む本発明のポリマーは、洗剤ビルダー等として用いられる場合、汚れ成分とうまく相互作用することができる。したがって、ポリマーは、相互作用によって汚れ粒子を分散させることができ、好ましくは、多サイクル洗浄において、改善された汚れ再付着防止能及び白色度の維持を示すことができる。更に、ポリマーは、界面活性剤との改善された相溶性を有し得る。
構造単位(a)の濃度は、好ましくは約1質量%〜約9質量%、より好ましくは約2質量%〜約8質量%、更により好ましくは約3質量%〜約7質量%である。
エーテル結合含有モノマー(A)を調製する方法は、特に限定されず、任意の好適な方法を調製のために用いることができる。炭素−炭素二重結合及びエポキシ環を有する化合物のエポキシ環と、C1〜C4アルキル基並びにヒドロキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物のヒドロキシル基及び/又はアミノ基とを反応させるための調製方法が、調製のための簡便な方法の例として言及される。炭素−炭素二重結合及びエポキシ環を有する化合物の例としては、(メタ)アリルグリシジルエーテル及びグリシジルビニルエーテルが挙げられる。C1〜C4アルキル基並びにヒドロキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジーn−イソプロピルアミン、及びジーn−ブチルアミンが挙げられる。反応は、触媒の非存在下で実施してもよく、あるいは、トリフルオロボロン等の酸性触媒又は水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の塩基性触媒の存在下で実施してもよい。
スルホン酸基含有モノマー(B)
同様に、本発明のカルボキシル基含有ポリマーは、スルホン酸基含有モノマー(B)(以後、「モノマー(B)」とも称する)に由来する構造単位(b)を本質的に含むポリマーである。
スルホン酸基含有モノマー(B)の例としては、炭素−炭素二重結合及びスルホン酸(塩)基を有する化合物が挙げられる。その具体例としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−(メタ)アリルオキシ−1−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アリルオキシエチレンスルホン酸、2ーアクリルアミドー2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの塩類が挙げられる。十分な本発明の効果をより成功裏に保証するために、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸及びその塩類が好ましく、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩がより好ましい。
構造単位(b)の例としては、炭素−炭素二重結合が単結合に変換されている(2つ以上の二重結合が存在する場合、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が単結合に変換されている)モノマー(B)に由来する構造が挙げられる。モノマー(B)の好ましい例としては、以下の式(5)によって表されるものが挙げられ、構造単位(b)の好ましい例としては、以下の式(6)によって表されるものが挙げられる。
式中、R
6は、水素原子又はメチル基を表し、R
7は、CH
2基、CH
2CH
2基、又は直接結合を表し、R
8及びR
9は、独立して、ヒドロキシル基又は−SO
3Zを表し、Zは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、又は有機アミン基を表し、R
8及びR
9のうちの少なくとも1つは、−SO
3Zである。
式中、R
6、R
7、R
8、及びR
9は、上に定義した通りである。構造単位(b)の存在により、カルボキシル基含有ポリマーは、頑固な汚れに対する高性能分散剤として作用することができ、疎水性の汚れに対する強化された汚れ再付着防止能及び改善された白色度の維持を示すことができる。
式(3)及び(4)中のR6は、水素原子又はメチル基を表し、好ましくは、水素原子である。
R7は、CH2基、CH2CH2基、又は直接結合を表し、好ましくは、CH2基である。
R8及びR9は、独立して、ヒドロキシル基又は−SO3Zを表し、R8及びR9のうちの少なくとも1つは、−SO3Zである。好ましい実施形態では、R4及びR5のうちの一方のみが、−SO3Zである。
Zは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、又は有機アミン基を表す。
Zが金属原子、アンモニウム基、又は有機アミン基である場合、−SO3Zは、スルホン酸の金属塩、アンモニウム塩、又は有機アミン塩である。
Zについての金属原子及び有機アミンの例としては、下記R10について以下に列挙するのと同じ金属原子及び有機アミンが挙げられる。Zは、好ましくは、水素原子、アルカリ金属原子、又はアンモニウム基、より好ましくは水素原子、ナトリウム、又はカリウム、更により好ましくは、水素原子又はナトリウムである。
本明細書で使用するとき、語句「スルホン酸基含有モノマー(B)に由来する構造単位(b)を含むカルボキシル基含有ポリマー」とは、調製されるポリマーが、式(6)によって表される構造単位を含有することを意味する。具体的には、本明細書における「スルホン酸基含有モノマー(B)に由来する構造単位(b)」は、重合反応前の工程で導入される構造単位と重合反応後の工程で導入される構造単位とを含むことを意図し、例えば、スルホン酸基含有モノマー(B)を合成し、次いで、スルホン酸基含有モノマー(B)と別のモノマーとを共重合させることによってポリマーに組み込まれる構造単位、又は共重合によってカルボキシル基含有ポリマーの主鎖を形成し、次いで、それに特定の構造の側鎖を導入することによって完成する構造単位を指す。
本発明のカルボキシル基含有ポリマーは、構造単位(b)を1つだけ含んでもよく、又は2つ以上の構造単位(b)を含んでもよい。
構造単位(b)は、カルボキシル基含有ポリマー中の全てのモノマーに由来する全ての構造単位(即ち、構造単位(a)及び(b)と、下記構造単位(c)及び(e)との合計量)100質量%に基づいて、約0.5質量%〜約25質量%の濃度で含有される。この範囲内の濃度の構造単位(b)を含む本発明のポリマーは、洗剤ビルダー等として用いられる場合、汚れ成分とうまく相互作用することができる。したがって、ポリマーは、相互作用によって汚れ粒子を分散させることができ、好ましくは、多サイクル洗浄において、強化された汚れ再付着防止能及び白色度の維持を示すことができる。
構造単位(b)の濃度は、好ましくは約1質量%〜約23質量%、より好ましくは約3質量%〜約22質量%、更により好ましくは約5質量%〜約21質量%である。
本発明では、構造単位(b)の、カルボキシル基含有ポリマー中の全てのモノマーに由来する全ての構造単位に対する質量比(質量%)を計算するとき、構造単位(b)は、その対応する酸として処理される。3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムに由来する構造単位の場合、対応する酸(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)に由来する構造単位の質量比(質量%)を計算する。同様に、スルホン酸基含有モノマー(B)の全てのモノマーに対する質量比(質量%)を計算する場合、スルホン酸基含有モノマー(B)は、その対応する酸として処理される。例えば、3−アリルオキシー2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムの質量比を決定する場合、対応する(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)の質量比(質量%)を代わりに計算する。
スルホン酸基含有モノマー(B)を調製する方法は、特に限定されず、任意の好適な方法を調製のために用いることができる。例えば、(メタ)アリルグリシジルエーテルのグリシジル基に亜硫酸水素塩を付加する方法は、調製のための簡便な方法の例として言及される。
アクリル酸系モノマー(C)
同様に、本明細書におけるカルボキシル基含有ポリマーは、アクリル酸系モノマー(C)(以後、単に「モノマー(C)」とも称する)に由来する構造単位(c)を本質的に含むポリマーである。
本明細書におけるアクリル酸系モノマー(C)の例としては、式(7):
(式中、R
10は、水素原子、金属原子、アンモニウム基、又は有機アミン基を表す)によって表されるモノマーが挙げられる。
アクリル酸系モノマー(C)に由来する構造単位(c)の例としては、炭素−炭素二重結合が単結合に変換されているモノマー(C)に由来する構造が挙げられる。その具体例は、式(8):
(式中、R
10は、上に定義した通りである)によって表されるものである。構造単位(c)の存在により、カルボキシル基含有ポリマーは、高性能分散剤として作用することができ、好ましくは多サイクル洗浄において、疎水性の汚れに対する強化された汚れ再付着防止能及び白色度の維持を示すことができる。
式(7)及び(8)中のR10が、金属原子、アンモニウム基、又は有機アミン基である場合、アクリル酸系モノマー(C)は、アクリル酸の金属塩、アンモニウム塩、又は有機アミン塩である。
式(7)及び(8)中のR10についての金属原子の例としては、リチウム、ナトリウム、及びカリウム等のアルカリ金属原子、並びにマグネシウム及びカルシウム等のアルカリ土類金属原子、並びにアルミニウム及び鉄が挙げられる。
R10についての有機アミンの例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、モノエチルアミン、ジエチルアミン、及びトリエチルアミン等のアルキルアミン類、並びにエチレンジアミン及びトリエチレンジアミン等のポリアミン類が挙げられる。
R10は、好ましくは水素原子、アルカリ金属、又はアンモニウム基であるが、その理由は、ポリマーの汚れ再付着防止能を改善するより大きな効果を有するためである。R10は、より好ましくは、水素原子、ナトリウム、カリウム、又はアンモニウム基、更により好ましくは、水素原子又はナトリウムである。
アクリル酸系モノマー(C)の具体例としては、アクリル酸及びその塩類が挙げられる。アクリル酸系モノマー(C)は、好ましくは、アクリル酸又はそのナトリウム塩である。
語句「アクリル酸系モノマー(C)に由来する構造単位(c)を含むカルボキシル基含有ポリマー」とは、調製されるポリマーが、式(8)によって表される構造単位を含有することを意味する。具体的には、本明細書における「アクリル酸系モノマー(C)に由来する構造単位(c)」は、重合反応前の工程で導入される構造単位と重合反応後の工程で導入される構造単位とを含むことを意図し、例えば、アクリル酸系モノマー(C)を合成し、次いで、アクリル酸系モノマー(C)と別のモノマーとを共重合させることによってポリマーに組み込まれる構造単位、又は共重合によってカルボキシル基含有ポリマーの主鎖を形成し、次いで、それに特定の構造の側鎖を導入することによって完成する構造単位を指す。
本発明のカルボキシル基含有ポリマーは、構造単位(c)を1つだけ含んでもよく、又は2つ以上の構造単位(c)を含んでもよい。
構造単位(c)は、カルボキシル基含有ポリマー中の全てのモノマーに由来する全ての構造単位(即ち、構造単位(a)、(b)、及び(c)と、下記構造単位(e)との合計量)100質量%に基づいて、約55質量%〜約99質量%の濃度で含有される。この範囲内の濃度の構造単位(c)を含む本発明のポリマーは、洗剤ビルダー等として用いられる場合、汚れ成分とうまく相互作用することができる。したがって、ポリマーは、相互作用によって汚れ粒子を分散させることができ、好ましくは、多サイクル洗浄において、改善された汚れ再付着防止能及び白色度の維持を示すことができる。
構造単位(c)の濃度は、好ましくは約68質量%〜約98質量%、より好ましくは約70質量%〜約95質量%、更により好ましくは約72質量%〜約92質量%である。
本発明では、構造単位(c)の、カルボキシル基含有ポリマー中の全てのモノマーに由来する全ての構造単位に対する質量比(質量%)を計算するとき、構造単位(c)は、その対応する酸として処理される。アクリル酸ナトリウムに由来する構造単位−CH2−CH(COONa)−の場合、対応する酸(アクリル酸)に由来する構造単位の質量比(質量%)、即ち、構造単位−CH2−CH(COOH)−の質量比(質量%)を計算する。同様に、アクリル酸系モノマー(C)の全てのモノマーに対する質量比(質量%)を計算するとき、アクリル酸系モノマー(C)は、その対応する酸として処理される。例えば、アクリル酸ナトリウムの質量比を決定するために、対応する酸(アクリル酸)の質量比(質量%)を代わりに計算する。
アクリル酸系モノマー(C)を調製する方法は、特に限定されない。
その他のモノマー
本発明のカルボキシル基含有ポリマーは、その他のモノマー(E)(エーテル結合含有モノマー(A)、スルホン酸基含有モノマー(B)、及びアクリル酸系モノマー(C)以外のモノマー)に由来する構造単位(e)を含んでもよい。カルボキシル基含有ポリマーは、構造単位(e)を1つだけ含んでもよく、又は2つ以上の構造単位(e)を含んでもよい。
その他のモノマー(E)(以後、モノマー(E)とも称する)は、モノマー(A)、(B)、及び(C)と共重合可能である限り、特に限定されない。所望の効果を考慮して適切なものを選択してよい。
その他のモノマー(E)の具体例としては、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、2ーメチレングルタル酸、及びこれらの塩類等のモノマー(C)以外のカルボキシル基含有モノマー;不飽和アルコール類(例えば、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール)及びアルコキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルにアルキレンオキシドを付加することによって得られるモノマー等のポリアルキレングリコール鎖含有モノマー;ビニルピリジン及びビニルイミダゾール等の複素環式芳香族炭化水素基を有するビニル芳香族化合物系モノマー;ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート)、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、ジアリルアミン及びジアリルアルキルアミン(例えば、ジアリルジメチルアミン)を含むアリルアミン、並びにこれらの四級化化合物等のアミノ基含有モノマー;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、及びN−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニルモノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びN−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系モノマー;(メタ)アリルアルコール及びイソプレノール等のヒドロキシル基含有モノマー;ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;スチレン、インデン、及びビニルアニリン等のビニルアリールモノマー;並びにイソブチレン及び酢酸ビニルが挙げられる。
四級化化合物は、アミノ基含有モノマーと一般的な四級化剤との反応によって得ることができる。四級化剤の例としては、アルキルハロゲン化物及びジアルキルサルフェートが挙げられる。
その他のモノマー(E)に由来する構造単位(e)は、各炭素−炭素二重結合が単結合に変換されている(2つ以上の二重結合が存在する場合、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が単結合に変換されている)モノマー(E)に由来する構造単位を指す。
本明細書で使用するとき、語句「その他のモノマー(E)に由来する構造単位(e)を含むカルボキシル基含有ポリマー」とは、調製されるポリマーが、モノマー(E)中の不飽和二重結合が単結合に変換されている構造単位を含有することを意味する。
任意成分であるその他のモノマー(E)に由来する構造単位(e)の濃度は、カルボキシル基含有ポリマー中の全てのモノマーに由来する全ての構造単位(即ち、構造単位(a)、(b)、(c)、及び(e)の合計量)100質量%に基づいて、約0質量%〜約34質量%である。濃度は、より好ましくは約0質量%〜10質量%、更により好ましくは約0質量%〜約5質量%、特に好ましくは0質量%である。
構造単位(e)がアミノ基含有モノマーに由来する構造単位である場合、この構造単位の、全てのモノマーに由来する全ての構造単位に対する質量比、及びアミノ基含有モノマーの全てのモノマーに対する質量比は、対応する非中和アミンとして構造単位及びモノマーを処理することによって計算される。例えば、その他のモノマー(E)がビニルアミン塩酸塩である場合、その対応する非中和アミンの質量比(質量%)、即ち、ビニルアミンの質量比を代わりに計算する。
四級化アミノ基含有モノマー及びそれに由来する構造単位の質量比(質量%)は、対イオンの質量を数えることなく計算される。
構造単位(e)が酸基含有モノマーに由来する構造単位である場合、構造単位の、全てのモノマーに由来する全ての構造単位に対する質量比(質量%)は、構造単位をその対応する酸として処理することによって計算される。また、全てのモノマーに対する酸基含有モノマーの質量比(質量%)も、モノマーをその対応する酸として処理することによって計算される。
カルボキシル基含有ポリマーの物性
上で定義した特定の濃度の構造単位(a)、(b)、及び(c)を含み、任意で、上に定義した特定の濃度の構造単位(e)を含有するカルボキシル基含有ポリマーを含む、本発明の洗濯洗剤又は洗浄組成物。これら構造単位は、ブロック又はランダム状に配置されてよい。
分子量は、立体構造(confirmation)、及びポリマーの特定の汚れ表面への吸着挙動の両方を制御する最も重要な因子のうちの1つである。典型的に、分子量が増加すると(特に60,000超)、布地/物質表面へのポリマー/汚れ複合体及び/又はポリマー/Ca2+沈殿物の付着が増加する傾向があり、残渣問題が生じる。数−重量平均分子量が高すぎると、カルボキシル基含有ポリマーは、高い粘度を有するので、取り扱いが困難となるであろう。逆に、数−重量平均分子量が低すぎると、特に硬度の高い水で洗浄する条件の場合、汚れ再付着防止能が得られない場合がある。
この場合、本発明者らは、予想外に、特定の範囲内のカルボキシル基含有ポリマーの分子量の増加は、ポリマーの残渣付着プロファイルに負の影響を与えないことを見出した。更に、本発明者らは、カルボキシル基含有ポリマーの分子量の増加が、汚れの分散を改善させ、洗濯洗剤又は洗浄組成物に配合されたとき、より低分子量範囲を有する類似のポリアクリレートポリマーと比較して、強化された白色度の維持が得られることを見出した。
理論に束縛されるものではないが、低分子量で高水溶性のカルボキシル基含有ポリマーは、高分子量で高水溶性のカルボキシル基含有ポリマーに比べて、汚れ−ポリマー表面界面における相互作用エネルギーが低く、且つ吸着力が低いと予測される。更に、汚れ表面に有効に吸着及び固着する高分子量カルボキシル基含有ポリマーは、静電的に且つ立体的に汚れ/洗剤残渣を安定化させる。一旦汚れが洗浄溶液中で安定化すると、清浄な布地に対する再付着が阻止される。
カルボキシル基含有ポリマーは、約20,000〜約60,000の重量平均分子量範囲を有するが、その範囲内であれば特に限定されず、好適な分子量は、本発明の洗濯洗剤又は洗浄組成物についての所望の洗浄性能、例えば、汚れ再付着防止、粘土の懸濁、白色度の維持及び/又は汚れ除去の改善等を考慮して、適宜決定してよい。
重量平均分子量がこの範囲内である場合、ポリマーが洗濯洗剤又は洗浄組成物に配合されたときに汚れ再付着防止能が改善され、白色度の維持が強化される。重量平均分子量は、好ましくは約30,000〜約50,000、より好ましくは約33,000〜約42,000、更により好ましくは約35,000〜約40,000、最も好ましくは約36,000〜約39,000である。
更に、本発明者らは、重量平均分子量の高すぎる(即ち、>60,000)カルボキシル基含有ポリマーは、粘度が高すぎる傾向があり、したがって、様々な製造条件にわたって取り扱いが困難になるであろうということを見出した。しかし、重量平均分子量が低すぎる(即ち、<19,000)と、本発明者らは、これらカルボキシル基含有ポリマーを含む洗濯洗剤又は洗浄組成物が、十分な、好ましくは強化/改善された汚れ再付着防止及び白色度の維持効果をもたらさないことを見出した。
本明細書におけるカルボキシル基含有ポリマーの重量平均分子量は、試験方法の項のアッセイに記載する方法及び条件によって決定した。
本発明のカルボキシル基含有ポリマー、及び該ポリマーを含む洗濯洗剤又は洗浄組成物は、改善された汚れ再付着防止能を有し、好ましくは、約37.0%〜約46.0%、好ましくは約37.5%〜約45.0%、より好ましくは約37.5%〜約39.0%の汚れ再付着防止比を有する。汚れ再付着防止比は、本明細書に記載する汚れ再付着防止能試験に記載する手順によって測定することができる。
更に、本発明のカルボキシル基含有ポリマー、及び該ポリマーを含む洗濯洗剤又は洗浄組成物は、本明細書に記載する白色度の維持アッセイに従って、2.0以上、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上、更により好ましくは5.0以上の白色度指数測定値によって証明される通り、改善された白色度の維持性能を有する。
あるいは、本発明のカルボキシル基含有ポリマー、及び該ポリマーを含む洗濯洗剤又は洗浄組成物は、少なくとも6%の白色度維持効果(WME)、好ましくは少なくとも8%のWME、より好ましくは少なくとも10%のWME、更により好ましくは12%のWME、最も好ましくは少なくとも20%のWME(ここで、WME%は、本明細書に記載する通り定義される)。
強化された汚れ再付着防止能を鑑みて、本発明のカルボキシル基含有ポリマー、及び該ポリマーを含む洗濯洗剤又は洗浄組成物は、約40ppm未満、好ましくは約30ppm未満、より好ましくは約20ppm未満、更により好ましくは約10ppm未満の濃度でカルボキシル基含有ポリマーを含む洗浄溶液で用いるとき、十分な白色度維持性能をもたらし得る。
カルボキシル基含有ポリマーを調製する方法
本発明のカルボキシル基含有ポリマーは、特定の量の、式(4)によって表されるエーテル結合含有モノマー(A)、式(5)によって表されるスルホン酸基含有モノマー(B)、及び式(7)によって表されるアクリル酸系モノマー(C)を本質的に含み、任意で、特定の量のその他のモノマー(E)を含むモノマー材料を共重合させることによって調製することができる。
本発明のカルボキシル基含有ポリマーを調製する方法では、重合で用いられるそれぞれのモノマーの量は、具体的に、以下の通りである。全てのモノマー(モノマー(A)、(B)、(C)、及び(E))100質量%に基づいて、モノマー(A)の量は、約0.5質量%〜約15質量%であり、モノマー(B)の量は、約0.5質量%〜30質量%であり、モノマー(C)の量は、約55質量%〜約99質量%である。
約0.5質量%未満の量のモノマー(A)を使用すると、疎水性の汚れに対する吸着力が低下することがあり、したがって、汚れ再付着防止能、特に多サイクル洗浄にわたる白色度の維持、及び疎水性の汚れに対する洗浄力が低下することがある。約0.5質量%未満のモノマー(B)を使用すると、疎水性の汚れに対する汚れ再付着防止能が低下することがあり、洗浄した表面上における灰色の付着物が増加する。約55質量%未満の量のモノマー(C)を使用すると、汚れ再付着防止能及び疎水性の汚れに対する洗浄力が低下することがある。
モノマー(A)、(B)、及び(C)の量は、好ましくは、それぞれ約1質量%〜約9質量%、約1質量%〜約23質量%、及び約68質量%〜約98質量%であり、より好ましくは、それぞれ約2質量%〜約8質量%、約3質量%〜約22質量%、及び約70質量%〜約95質量%であり、更により好ましくは、それぞれ約3質量%〜約7質量%、約5質量%〜約21質量%、及び約72質量%〜約92質量%である。
更に、モノマー(E)は、全てのモノマー(モノマー(A)、(B)、(C)、及び(E))100質量%に基づいて、約0質量%〜約34質量%の量で用いてよい。量は、より好ましくは約0質量%〜約10質量%、更により好ましくは約0質量%〜約5質量%、特に好ましくは0質量%である。
本発明のカルボキシル基含有ポリマーを得るための重合方法は、特に限定されず、一般的な重合方法又はその変法を用いてよい。重合方法の例としては、ラジカル重合が挙げられる。その具体例としては、水中油型エマルジョン重合、油中水型エマルジョン重合、懸濁重合、分散重合、沈殿重合、溶液重合、水溶液重合、及びバルク重合が挙げられる。これら重合方法の中でも、高度に安全な方法であり、且つ生産(重合)コストが抑えられるので、溶液重合が好ましい。
溶液重合の場合、モノマーは、溶媒中で重合する。溶媒は、有機溶媒からなるものであってよいが、好ましくは、水を含有するものである。溶媒は、好ましくは、溶媒の総量(100質量%)に基づいて少なくとも50質量%の水を含有し、水の量は、より好ましくは少なくとも80質量%である。特に、100質量%の水が好ましい。単独で又は水と組み合わせて使用することができる有機溶媒の例としては、低級アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン)、グリコール、グリセリン、及びポリエチレングリコール等の水性有機溶媒が挙げられる。
溶媒を1種だけ単独で用いてもよく、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。溶媒の量は、全てのモノマー(モノマー(A)、(B)、(C)、及び(E))100質量部当たり、好ましくは40〜300質量部、より好ましくは45〜200質量部、更により好ましくは50〜150質量部である。全てのモノマー100質量部当たり40質量部未満の量の溶媒を使用すると、高分子量を有するポリマーが生成され得る。全てのモノマー100質量部当たり300質量部超の量の溶媒を使用すると、得られるポリマーが低濃度になることがあり、したがって、場合によっては、溶媒を除去する工程が必要になることがある。
溶媒の全て又は一部を重合の初期段階で反応容器に仕込み、重合反応中に溶媒の残りの部分を反応系に添加(例えば、滴下)してよい。あるいは、モノマーと重合開始剤等の剤とを溶媒に溶解させてもよく、これら成分を含有するこの溶液を反応系に添加(例えば、滴下)してよい。
溶液重合による反応は、特に限定されず、一般的な方法で実施してよい。反応は、典型的に、反応系に溶媒を仕込み、モノマー及び重合開始剤(以後、「開始剤」とも称する)を含有するものを滴下することによって実施される。このような場合、滴下される各溶液の濃度は、特に限定されず、適宜決定してよい。
例えば、反応系にセットされた溶媒にモノマー及び開始剤を滴下する場合、モノマー(A)、モノマー(B)、モノマー(C)、モノマー(E)(必要に応じて)、開始剤、及び他の添加剤(必要に応じて)を、それぞれ溶媒に溶解させてもよく、又は溶媒に溶解させることなくそのまま用いてもよく、重合は、適切な方法で重合中に反応系に溶液を添加(滴下)することによって実施してよい。この場合、モノマー(A)の一部又は全てを、重合開始前に反応系に仕込んでよい。
重合開始剤:調製方法では、一般的に用いられる重合開始剤を用いてよい。具体的には、その好適な例としては、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ヒドロクロリド、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル、及び2,2’ーアゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;並びに過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルペルオキシド、及びクメンヒドロペルオキシド等の有機過酸化物が挙げられる。これら重合開始剤の中でも、過酸化水素、過硫酸塩、及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリドが好ましく、過硫酸塩及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリドがより好ましい。これら重合開始剤のいずれかを単独で用いてもよく、これらのうちの2つ以上を併用してもよい。
連鎖移動剤:調製方法では、好ましくは、ポリマーの分子量制御剤として連鎖移動剤が用いられる。連鎖移動剤の使用は、有利なことに、得られるポリマーの分子量が特定のレベルを超えて増加するのを防ぎ、したがって、低分子量を有するカルボキシル基含有ポリマーがより効率的に生成される。
亜硫酸水素塩及び/又は亜硫酸水素塩を生成することができる化合物が、好ましくは、調製方法において連鎖移動剤として用いられる。この場合、亜硫酸水素塩及び/又は亜硫酸水素塩を生成することができる化合物に加えて、重合開始剤を使用することが好ましい。更に、下記の通り反応促進剤として重金属イオンを併用してもよい。
亜硫酸水素塩及び/又は亜硫酸水素塩を生成することができる化合物を連鎖移動剤として用いる場合、得られるポリマーは、その主鎖の一端又は両端においてスルホン酸(塩)基で終端する。
亜硫酸水素塩を生成することができる化合物の例としては、ピロ亜硫酸(塩)、亜ジチオン酸(塩)、及び亜硫酸(塩)が挙げられる。特に、ピロ亜硫酸(塩)が好ましい。
塩は、好ましくは、金属原子、アンモニウム、及び有機アミンの塩である。金属原子の例としては、リチウム、ナトリウム、及びカリウム等の一価アルカリ金属原子、カルシウム及びマグネシウム等の二価アルカリ土類金属原子、並びにアルミニウム及び鉄等の三価金属原子が挙げられる。
有機アミンの例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、並びにトリエチルアミンが挙げられる。
亜硫酸水素塩及び亜硫酸水素塩を生成することができる化合物の中でも、亜硫酸水素塩が好ましい。
亜硫酸水素塩の例としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、及び亜硫酸水素アンモニウムが挙げられる。特に、亜硫酸水素ナトリウムがより好ましい。
亜硫酸水素塩を生成することができる化合物の具体例としては、ピロ亜硫酸ナトリウム及びピロ亜硫酸カリウム、亜ジチオン酸ナトリウム及び亜ジチオン酸カリウム、並びに亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、及び亜硫酸アンモニウムが挙げられる。特に、ピロ亜硫酸ナトリウムがより好ましい。
これら亜硫酸水素塩及び亜硫酸水素塩を生成することができる化合物のいずれかを単独で用いてもよく、これらのうちの2つ以上を併用してもよい。
亜硫酸水素塩及び/又は亜硫酸水素塩を生成することができる化合物に加えて、以下の化合物のいずれかを連鎖移動剤として用いてもよい。このような連鎖移動剤の例としては、メルカプトエタノール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、及びn−ドデシルメルカプタン等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、及びブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;イソプロパノール及びグリセリン等の第二級アルコール;並びに亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩類(例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム)等の低級酸化物が挙げられる。これら連鎖移動剤のいずれかを単独で用いてもよく、又はこれらのうちの2つ以上を併用してもよい。
反応促進剤:調製方法において、反応促進剤を添加して、重合開始剤等の反応において用いられる剤の量を低減することができる。反応促進剤の例としては、重金属イオンが挙げられる。
用語「重金属イオン」とは、本明細書で使用するとき、4g/cm3以上の比重を有する金属イオンを含むことを意図する。重金属イオンのための重金属の好ましい例としては、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、及びルテニウムが挙げられる。これら重金属のいずれかを単独で用いてもよく、又はこれらのうちの2つ以上を併用してもよい。これらの中でも、鉄がより好ましい。
重金属イオンのイオン価は、特に限定されない。例えば、鉄を重金属として用いる場合、反応促進剤は、Fe2+形態又はFe3+形態の鉄イオンを含んでもよく、又は両方の形態の鉄イオンを含んでもよい。
これら重金属イオンは、イオン形態で存在する限り、任意の形態で用いてよい。取り扱い性については、これら重金属イオンは、好ましくは、重金属化合物を溶解させることによって得られる溶液形態で用いられる。重金属化合物は、それぞれが重合開始剤に捕捉される所望の重金属を含有している限り、任意の化合物である。併用する重合開始剤に従って適切なものを選択することができる。
鉄イオンを重金属イオンとして用いるとき、重金属化合物の好ましい例としては、モール塩(Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O)、硫酸第一鉄七水和物、塩化第一鉄、及び塩化第二鉄が挙げられる。マンガンを重金属イオンとして用いる場合、塩化マンガン等が好適である。これらの全てが水溶性化合物であり、したがって、水溶液形態で用いられ、取り扱いが容易である。重金属化合物の溶液を調製するために用いられる溶媒は、重金属化合物を溶解し、本発明のカルボキシル基含有ポリマーの調製における重合反応を阻害しない限り、水に限定されない。
重金属イオンは、任意の方法で添加してよい。好ましくは、重金属イオンの全てを、モノマーの添加が完了する前に添加する。より好ましくは、重金属イオンは、反応の開始時に一度に全て仕込む。
重金属イオンの量は、重合の完了時において重合反応溶液の総量当たり、好ましくは0.1〜10ppmである。重金属イオンの量が0.1ppm未満である場合、重金属イオンによる効果が十分に得られないことがある。重金属イオンの量が10ppm超である場合、得られるポリマーの色調が劣化することがある。更に、過剰の重金属イオンを用いて生成されるポリマーは、洗剤ビルダーとして用いたときに汚れの着色を引き起こすことがある。
用語「重合の完了時において」とは、重合反応溶液における重合反応が実質的に終了して、所望のポリマーが得られた時点を意味する。例えば、重合反応溶液において生成されるポリマーを酸成分で中和する場合、重金属イオンの量は、中和後の重合反応溶液の総量に基づいて決定される。2種以上の重金属イオンが含有されている場合、重金属イオンの総量は、上記範囲内である。
調製方法において、重合開始剤を分解するための触媒及び還元化合物等の他の化合物を、上述の化合物に加えて重合反応時に反応系に添加してもよい。
重合開始剤を分解するための触媒の例としては、塩化リチウム及び臭化リチウム等のハロゲン化金属;酸化チタン及び二酸化シリカ等の金属酸化物;塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、及び硝酸等の無機酸の金属塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、及び安息香酸等のカルボン酸、並びにこれらのエステル及び金属塩;並びにピリジン、インドール、イミダゾール、及びカルバゾール等の複素環式アミン、並びにこれらの誘導体が挙げられる。これら分解触媒のいずれかを単独で用いてもよく、又はこれらのうちの2つ以上を併用してもよい。
還元化合物の例としては、フェロセン等の有機金属化合物;ナフテン酸鉄、ナフテン酸銅、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、及びナフテン酸マンガン等の金属イオン(例えば、鉄、銅、ニッケル、コバルト、マンガンイオン)を発生させることができる無機化合物;三フッ化ホウ素、過マンガン酸カリウム、及び過塩素酸のエーテル付加物等の無機化合物;二酸化硫黄、硫酸エステル、チオ硫酸塩、スルホキシル酸、ベンゼンスルフィン酸、及びこれらの置換化合物、並びにp−トルエンスルフィン酸等の環状スルフィン酸のアナログ等の硫黄含有化合物;ヒドラジン、β−ヒドロキシエチルヒドラジン、及びヒドロキシルアミン等の窒素含有化合物;ホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、及びイソバレリアンアルデヒド等のアルデヒド;並びにアスコルビン酸が挙げられる。これら還元化合物のいずれかを単独で用いもよく、又はこれらのうちの2つ以上を併用してもよい。
連鎖移動剤、重合開始剤、及び反応促進剤の組み合わせは、特に限定されず、これらはそれぞれ、上記例から好適に選択してよい。重合開始剤又は反応促進剤のいずれかを用いなくてもよい。連鎖移動剤、重合開始剤、及び反応促進剤の組み合わせの好ましい例(この順序で記載する)としては、亜硫酸水素ナトリウム/過酸化水素/無し、亜硫酸水素ナトリウム/過硫酸ナトリウム/無し、亜硫酸水素ナトリウム/無し/Fe(イオン)、亜硫酸水素ナトリウム/過酸化水素/Fe(イオン)、亜硫酸水素ナトリウム/過硫酸ナトリウム/Fe(イオン)、並びに亜硫酸水素ナトリウム/過硫酸ナトリウム及び過酸化水素/Fe(イオン)が挙げられる。亜硫酸水素ナトリウム/過硫酸ナトリウム/無し及び亜硫酸水素ナトリウム/過硫酸ナトリウム/Fe(イオン)の組み合わせがより好ましく、亜硫酸水素ナトリウム/過硫酸ナトリウム/Fe(イオン)の組み合わせが更により好ましい。ここで、「無し」とは、対応する剤を用いないことを意味する。
重合開始剤及び他の剤の量:重合開始剤の量は、モノマーの共重合を開始させるのに十分である限り、特に限定されない。重合開始剤の量は、全てのモノマー(モノマー(A)、(B)、(C)、及び(E))1モル当たり、好ましくは15g以下であり、より好ましくは1g〜12gである。
過酸化水素を重合開始剤として用いる場合、過酸化水素の量は、全てのモノマー1モル当たり1.0g〜10.0g、より好ましくは2.0g〜8.0gである。過酸化水素の量が1.0g未満である場合、得られるポリマーは、高重量平均分子量を有する傾向がある。他方、10.0g超の過酸化水素を添加すると、添加した量に比例した効果が生じないことがあり、大量の過酸化水素が未反応のまま残る等の問題点を引き起こすことがある。
過硫酸塩を重合開始剤として用いる場合、過硫酸塩の量は、全てのモノマー1モル当たり、好ましくは1.0g〜5.0g、より好ましくは2.0g〜4.0gである。過硫酸塩の量が1.0g未満である場合、得られるポリマーは、高分子量を有する傾向がある。他方、5.0g超の過硫酸塩を添加すると、添加した量に比例した効果が生じないことがあり、得られるポリマーの純度が低い等の問題点引き起こすことがある。
重合開始剤として過酸化水素及び過硫酸塩を併用する場合、過硫酸塩の過酸化水素に対する質量比は、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは0.2〜2.0である。過硫酸塩の質量比が0.1g未満である場合、得られるコポリマーは、高分子量を有する傾向がある。他方、5.0超の質量比で過硫酸塩を添加すると、添加した量に比例した分子量低減効果が生じないことがあり、したがって、重合反応系において過硫酸塩が無駄に浪費されることがある。
過酸化水素の添加に関して、所定の必要量の85質量%以上の量でほとんど連続的に過酸化水素を滴下することが好ましい。量は、より好ましくは90質量%以上、更により好ましくは100質量%(即ち、過酸化水素は、好ましくは、全て滴下される)である。過酸化水素を連続的に滴下する場合、滴下速度を変化させてもよい。
下記好適な反応条件(例えば、温度、圧力、pH)下で反応を実施する場合、モノマー(反応の開始時に仕込むモノマー以外)の滴下開始から特定の時間後に過酸化水素を滴下し始めることが好ましい。具体的には、過酸化水素の滴下は、好ましくは、モノマー(C)の滴下開始から1分間以上後に、より好ましくは開始から3分間以上後に、更により好ましくは開始から5分間以上後に、特に好ましくは開始から10分間以上後に開始される。過酸化水素の滴下の開始前の時間により、初期段階における重合をスムーズに開始することができ、ひいては、分子量分布を狭くする。過酸化水素の滴下の開始前の時間は、モノマーの滴下開始から好ましくは60分間以下、より好ましくは30分間以下である。
しかし、過酸化水素の滴下は、モノマーの滴下と同時に開始してもよく、又は過酸化水素の一部を、モノマーの滴下開始前に反応系に仕込んでおいてもよい。過酸化水素の一部を前もって反応系に仕込んでおく場合、量は、好ましくは所定の必要量の10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更により好ましくは5質量%以下、特により好ましくは3質量%以下である。
例えば、過酸化水素を過硫酸塩と共に使用する場合、過硫酸塩に比べて過酸化水素濃度が高いので、モノマーの滴下開始前に所定の必要量の10質量%超の量で過酸化水素を添加することによって、重合を終了させてもよい。過酸化水素をモノマーの滴下開始から60分間超後に添加する場合、過酸化水素によって引き起こされる連鎖移動反応等の反応が開始しないことがある。その結果、重合の初期段階で生成されるポリマーが、高分子量を有することがある。
下記好適な反応条件(例えば、温度、圧力、pH)下で反応を実施する場合、好ましくは、過酸化水素の滴下は、モノマーの滴下完了と同時に完了する。過酸化水素の添加は、より好ましくは、モノマーの滴下完了の10分間以上前、更により好ましくは、完了の30分間以上前に完了する。過酸化水素の滴下がモノマーの滴下の完了後に完了する場合でさえも、重合系は、全く問題点に悩まされることはない。しかし、添加した過酸化水素の一部が、重合の完了時においても分解されないままである。未反応の過酸化水素は、効果を生じさせず、無駄に使用される。更に、大量の過酸化水素が残る場合、残りの過酸化水素は、得られるポリマーの熱安定性に悪影響を与える。
過硫酸塩を用いる場合、過硫酸塩を添加する方法は、特に限定されない。しかし、その分解可能性等を考慮して、所定の必要量の少なくとも50質量%の量で過硫酸塩をほとんど連続的に滴下することが好ましい。量は、より好ましくは少なくとも80質量%、更により好ましくは100質量%(即ち、過硫酸塩は、好ましくは、全て滴下される)である。過硫酸塩を連続的に滴下する場合、滴下速度を変化させてもよい。
また、滴下時間は、特に限定されない。過硫酸塩は、下記好適な反応条件(例えば、温度、圧力、pH)下で反応を実施する場合、比較的短時間で分解する開始剤であるので、モノマーの滴下が完了するまで過硫酸塩の滴下を続けることが好ましい。モノマーの滴下完了後30分間以内に過硫酸塩の滴下を完了することがより好ましく、モノマーの滴下完了後5〜20分間以内に添加を完了することが特に好ましい。このようなプロセスを通して、得られるポリマー溶液中の残留モノマーの量は、著しく減少し得る。
モノマーの滴下完了前に開始剤の滴下が完了する場合でさえも、重合は全く問題点に悩まされることはない。開始剤の滴下完了のタイミングは、得られるポリマー溶液中の残留モノマーの量に従って決定することができる。
重合開始剤の滴下を開始するタイミングは、特に限定されず、適宜決定される。例えば、開始剤の滴下は、モノマーの滴下前に開始してよい。2つ以上の開始剤を併用する場合、開始剤のうちの1つの滴下開始の特定の時間後、又はこの開始剤の滴下完了後、他の開始剤の滴下を開始してよい。いずれの場合も、開始剤の滴下の開始時間は、開始剤の分解速度及びモノマーの反応性に従って適宜決定してよい。
重合開始剤を滴下する場合、開始剤溶液の濃度は、特に限定されず、好ましくは5質量%〜60質量%、より好ましくは10質量%〜50質量%である。重合反応では、開始剤濃度が5質量%未満である場合、開始剤溶液は、高濃度で溶媒を含有するので、モノマーが低濃度になる。この場合、モノマーの重合性が著しく低下することがあり、モノマーの非常に大きな割合が、得られる溶液中に残ることがある。このような濃度は、輸送効率及び生産性の低さから、コストの観点で不利である。60質量%超の濃度は、安全性及び滴下時の取り扱い性の観点で不利である。
連鎖移動剤の量は、モノマー(A)、(B)、(C)、及び(E)が十分に重合するように決定される限り、特に限定されない。連鎖移動剤の量は、全てのモノマー(モノマー(A)、(B)、(C)、及び(E))1モル当たり、好ましくは1g〜20g、より好ましくは2g〜15gである。連鎖移動剤の量が1g未満である場合、得られるポリマーの分子量が制御できないことがある。他方、20g超の連鎖移動剤を使用すると、大量の不純物が生じることがあり、したがって、得られるポリマーの純度が低下する。特に、20g超の亜硫酸水素塩を用いる場合、過剰の亜硫酸水素塩が反応系で分解され、これは、不利なことに、二酸化硫黄ガスを発生させることがある。更に、20g超の連鎖移動剤を使用すると、コストの観点で不利であることがある。
開始剤及び連鎖移動剤の好ましい組み合わせは、1つ以上の過硫酸塩と1つ以上の亜硫酸水素塩である。
この場合、過硫酸塩と亜硫酸水素塩との間のブレンド比は、特に限定されない。好ましくは、1質量部の過硫酸塩に対して0.5〜5質量部の亜硫酸水素塩が用いられる。亜硫酸水素塩の量の下限は、過硫酸塩1質量部に対して、より好ましくは1質量部、更により好ましくは2質量部である。亜硫酸水素塩の量の上限は、過硫酸塩1質量部に対して、より好ましくは4質量部、更により好ましくは3質量部である。過硫酸塩1質量部に対して0.5質量部未満の亜硫酸水素塩を用いる場合、低分子量ポリマーを生成するのに必要な開始剤の総量が増加することがある。他方、5質量部超の亜硫酸水素塩を使用すると、副反応が増加することがあり、したがって、副反応で生成される不純物が増加することがある。
連鎖移動剤、開始剤、及び反応促進剤の総量は、全てのモノマー(A)、(B)、(C)、及び(E)1モル当たり、好ましくは2g〜20gである。これら剤がこの範囲内の量で用いられる場合、本発明のカルボキシル基含有ポリマーを効率的に生成することができ、ポリマーの分子量分布を、所望の範囲内で制御することができる。これらの総量は、より好ましくは4g〜18g、更により好ましくは6g〜15gである。
調製方法において、モノマー、重合開始剤、及び連鎖移動剤は、滴下及び少しずつ添加する等の連続添加によって反応容器に添加してよい。これらはそれぞれ、反応容器に別々に仕込んでもよく、他の材料又は溶媒等と前もって混合しておいてもよい。
具体的には、これら材料は、反応容器に全てのモノマーを仕込み、該反応容器に重合開始剤を添加して該モノマーを共重合させることを含む方法、反応容器にモノマーの一部を仕込み、重合開始剤及び残りのモノマーを連続的に又は少しずつ(好ましくは、連続的に)該反応容器に添加して、モノマーを共重合させることを含む方法、及び反応容器に重合溶媒を仕込み、全てのモノマー及び重合開始剤を添加することを含む方法等の方法によって添加してよい。これら方法の中でも、重合開始剤及びモノマーを連続的に反応容器に添加して、該モノマーを共重合させることを含む方法が好ましく、その理由は、ポリマーを製品に配合したとき、狭い(即ち、シャープな)分子量分布を有するポリマーを提供し、汚れの分散性及び汚れ再付着防止能を改善し、白色度の維持を強化するためである。重合は、バッチ式重合であっても連続重合であってもよい。
重合条件:調製方法において、重合温度は、重合方法、溶媒、及び重合開始剤等の要因に基づいて適宜決定される。重合温度は、好ましくは25℃〜200℃、より好ましくは50℃〜150℃、更により好ましくは60℃〜120℃、特に好ましくは80℃〜110℃である。25℃未満の重合温度では、得られるポリマーの重量平均分子量が高くなりすぎることがあり、大量の不純物が生じることがある。
重合温度は、必ずしも重合反応全体を通して実質的に一定に維持する必要はない。例えば、重合の開始時に温度を室温に設定し、適切な昇温速度で又は適切な昇温時間をかけて標的温度まで上昇させ、次いで、標的温度で維持してよい。あるいは、モノマー、開始剤等の滴下方法に依存して、重合反応中に経時的に温度を変化(即ち、上昇又は低下)させてもよい。
用語「重合温度」とは、本明細書で使用するとき、重合反応中の反応溶液の温度を意味する。重合温度を測定する方法及び重合温度を制御する手段は、任意の方法及び制御手段から適宜選択してよい。例えば、重合温度は、一般的な装置を用いて測定することができる。
調製方法における重合中の圧力は、特に限定されず、好適に決定してよい。例えば、圧力は、周囲圧力(例えば、大気圧)、減圧、高圧のいずれかであってよい。反応系の雰囲気は、空気又は不活性ガス雰囲気であってよい。反応系において不活性ガス雰囲気を生成するために、例えば、重合開始前に系内の空気を窒素等の不活性ガスで置換する。この雰囲気では、反応系における大気ガス(例えば、酸素ガス)は、液相に溶解し、重合開始剤として作用する。
調製方法において、モノマー、重合開始剤、及び連鎖移動剤の添加完了時における反応溶液(ポリマー溶液)の固形分含量は、好ましくは、35質量%以上である。固形分含量が35質量%未満である場合、得られるポリマーの生産性はそれほど改善されないことがある。固形分含量は、より好ましくは40質量%〜70質量%、更により好ましくは45〜65質量%である。モノマー、重合開始剤、及び連鎖移動剤の添加完了時における固形分含量が35質量%以上である場合、重合は、高濃度反応溶液において一段階で実施してよい。即ち、ポリマーを効率的に生成することができる。この場合、濃縮工程等の工程を省略することができ、ひいては、ポリマーの生産性を著しく改善し、生産コストの増加が抑制される。
固形分含量は、滴下完了後の反応溶液の一部をサンプリングし、130℃の熱風乾燥機で1時間処理した後の不揮発性物質を定量することによって計算することができる。
調製方法において、全ての原材料を添加した後のモノマー等の重合速度を改善するために、熟成工程を実施してよい。熟成時間は、好ましくは1〜120分間、より好ましくは5〜60分間、更により好ましくは10〜30分間である。1分間未満の熟成では不十分であるので、モノマーの一部が残る場合がある。したがって、残りのモノマーに由来する不純物が、生成物の性能を低下させることがある。120分間超の熟成では、有色ポリマー溶液が生じることがある。
調製方法において、重合時間は、特に限定されず、好ましくは30〜420分間、より好ましくは45〜390分間、更により好ましくは60〜360分間、更により好ましくは90〜300分間である。用語「重合時間」は、本明細書で使用するとき、モノマーを添加する時間、即ち、モノマーの添加開始から終了までの時間を意味する。
カルボキシル基含有ポリマーの使用
本発明のカルボキシル基含有ポリマー及び該ポリマーを含有する組成物は、凝集剤、印刷インク、接着剤、汚れ制御(即ち、変性)剤、難燃剤、スキンケア剤、ヘアケア剤、シャンプー用の添加剤、ヘアスプレー、石鹸、及び化粧品、アニオン交換樹脂、繊維及び写真フィルム用の媒染剤及び助剤、製紙用の顔料分散剤、紙強化剤、乳化剤、防腐剤、繊維製品及び紙用の柔軟剤、潤滑剤用の添加剤、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、スケール制御剤(即ち、スケール分散剤)、金属イオン結合剤、粘度調整剤、任意の種類の結合剤、乳化剤等として用いることができる。
1つの好ましい変形例では、カルボキシル基含有ポリマー組成物は、約40質量%〜約60質量%のカルボキシル基含有ポリマーと、約38.5質量%〜約59.99質量%の水とを含む。
水処理剤
本発明のカルボキシル基含有ポリマー及び該ポリマーを含有する組成物は、水処理剤において使用することができる。これら水処理剤では、ポリリン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、粘液制御剤、及びキレート剤等の他の添加剤を必要に応じて添加してよい。
このような水処理剤は、冷却水循環システム、ボイラー水循環システム、海水脱塩工場、パルプ蒸煮装置、黒液凝縮ケトル等のスケールを阻害するために有用である。加えて、この組成物の性能又は効果に影響を及ぼさない範囲内で任意の好適な水溶性ポリマーを含んでもよい。
繊維処理剤
本発明のカルボキシル基含有ポリマー及び該ポリマーを含有する組成物は、繊維処理剤において使用することができる。このような繊維処理剤は、本発明のカルボキシル基含有ポリマー又は該ポリマーを含有する組成物に加えて、染色剤、過酸化物、及び界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1つを含有する。
これら繊維処理剤において、本発明のカルボキシル基含有ポリマーは、総量の好ましくは約1質量%〜約100質量%、より好ましくは約5質量%〜約100質量%を構成する。加えて、この組成物の性能又は効果に影響を及ぼさない範囲内で、任意の好適な水溶性ポリマーを含んでもよい。
これら繊維処理剤における成分の量の例を、以下に記載する。繊維処理剤は、繊維処理において、スカーリング、染色、漂白及び石鹸処理の工程で使用され得る。染色剤、過酸化物、及び界面活性剤の例としては、繊維処理剤で一般的に使用されているものが挙げられる。
本発明のカルボキシル基含有ポリマー組成物と、染色剤、過酸化物、及び界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1つとのブレンド比(固形分含量における)に関して、例えば、本発明の組成物1質量部当たり、0.1〜100質量部の濃度で染色剤、過酸化物、及び界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1つを含有する組成物は、白色度、色の均一性、及び繊維の染色の堅牢度の改善の観点から繊維処理剤として好ましい。
このような繊維処理剤は、綿布及び麻布等のセルロース繊維、ナイロン及びポリエステル等の合成繊維、羊毛及び絹糸等の動物繊維、レーヨン等の半合成繊維、及び織物、並びにこれらの混合製品を含む任意の好適な繊維用に使用することができる。
スカーリング工程で用いられる繊維処理剤の場合、アルカリ剤及び界面活性剤が、好ましくは、本発明のポリマーと共に使用される。漂白工程において用いられる繊維処理剤の場合、アルカリ漂白剤用の分解阻害剤として作用する過酸化物及びケイ酸系剤(例えば、ケイ酸ナトリウム)が、好ましくは、本発明のポリマーと共に使用される。
無機顔料分散剤
本発明のカルボキシル基含有ポリマー及び該ポリマーを含有する組成物は、無機顔料分散剤において用いることができる。これら無機顔料分散剤では、縮合リン酸及びその塩類、ホスホン酸及びその塩類、並びにポリビニルアルコール等の他の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
これら無機顔料分散剤では、本発明のカルボキシル基含有ポリマーは、好ましくは、総量の約5質量%〜約100質量%を構成する。加えて、この組成物の性能又は効果に影響を及ぼさない範囲内で、任意の好適な水溶性ポリマーを含んでもよい。
これら無機顔料分散剤は、重質又は軽質炭酸カルシウム用の無機顔料分散剤、及び紙コーティングで用いられる粘土として優れた性能を示す。例えば、少量のこのような無機顔料分散剤を無機顔料に添加するか又は無機顔料を水に分散させることによって、低粘度、高流動性、及びこれら特性の優れた経時安定性を有する高濃縮炭酸カルシウムスラリー等の高濃縮無機顔料スラリーを生成することができる。
このような無機顔料分散剤を無機顔料の分散剤として用いる場合、無機顔料分散剤の量は、無機顔料100質量部当たり、好ましくは0.05〜2.0質量部である。この範囲内の量の無機顔料分散剤を使用すると、添加量に比例して十分な分散効果が得られ、且つコストの観点で有利である。
洗剤ビルダー
また、本発明のカルボキシル基含有ポリマー及び該ポリマーを含有する組成物は、洗剤ビルダーとして使用することもできる。これら洗剤ビルダーは、衣類、食卓用食器類、掃除、毛髪、身体、歯磨き、及び自動車用の洗剤等多様な用途のための洗剤に添加され得る。
洗濯洗剤又は洗浄組成物
好ましい実施形態では、カルボキシル基含有ポリマーを本発明の洗濯洗剤又は洗浄組成物に添加してよい。洗濯洗剤又は洗浄組成物中のカルボキシル基含有ポリマーの含有量は、特に限定されないが、カルボキシル基含有ポリマー及び亜硫酸水素塩付加物以外の1つ以上の成分を更に含んでもよい。他の成分の例としては、特に限定されないが、残留重合開始剤、残留モノマー、重合の副生成物、及び水が挙げられる。
汚れ再付着防止及び白色度の維持性能の改善を明らかにする観点から、亜硫酸水素塩のアクリル酸系モノマー(C)に対する付加物の含有量は、カルボキシル基含有ポリマー及び亜硫酸水素塩のアクリル酸系モノマー(C)に対する付加物の総含量100質量%に基づいて、好ましくは、約0.01質量%〜約1.5質量%の濃度で存在する。上記範囲内の濃度の亜硫酸水素塩付加物は、汚れに対する洗浄性を改善する。濃度は、好ましくは約0.02質量%〜約1.0質量%、より好ましくは約0.03質量%〜約0.8質量%である。
ポリマーの、亜硫酸水素塩のアクリル酸系モノマー(C)に対する付加物(以後、「亜硫酸水素塩付加物」とも称する)は、未重合で残ったアクリル酸系モノマー(C)に由来する不純物であるが、上記亜硫酸水素塩及び/又は連鎖移動剤としての亜硫酸水素塩を生成することができる化合物がそれに付加される。その具体例としては、3ースルホプロピオン酸(塩)等である。
洗濯洗剤又は洗浄組成物中のポリマーの濃度は特に限定されないが、汚れ再付着防止能及び白色度の維持の改善の観点から、カルボキシル基含有ポリマーの濃度は、洗濯洗剤又は洗浄組成物全体の100質量%に基づいて、約1質量%〜約99.99質量%である。ポリマーの濃度は、カルボキシル基含有ポリマーの好ましくは約0.1質量%〜約20質量%、又は約0.2質量%〜約18質量%、又は約0.3質量%〜約12質量%、又は約0.4質量%〜約5質量%である。
ポリマーを含む洗濯洗剤及び洗浄組成物
本発明の洗濯洗剤又は洗浄組成物は、カルボキシル基含有ポリマーと、任意で他の補助成分とを含む。洗濯洗剤又は洗浄組成物は、任意の形態、即ち、液体の形態;粉末、顆粒、粒塊、ペースト、錠剤、パウチ、バー、ジェル等の固体の形態;エマルションの形態;二区画又は多区画容器又はパウチで送達されるタイプの形態;スプレー又は泡洗剤の形態;予め湿らせた拭取り布(即ち、米国特許第6,121,165号(Mackeyら)で論じられているような不織布材を組み合わせた洗浄組成物)の形態;消費者により水で活性化される乾燥拭取り布(即ち、米国特許第5,980,931号(Fowlerら)で論じられているような不織布材を組み合わせた洗浄組成物)の形態;及び他の均質又は多相の消費者洗浄製品の形態であってよい。
洗濯洗剤及び洗浄組成物の実施形態
発明の概要に記載した本発明の様々な態様の中でも、特定の実施形態が好ましい。
本発明の1つの実施形態は、発明の概要に記載した通り、カルボキシル基含有ポリマーを含む洗濯洗剤又は洗浄組成物であって、前記ポリマーが、
i.式(1)(式中、R0は、水素原子であり、R1は、CH2基であり、Xは、ヒドロキシル基であり、Yは、式(2)であり、式(2)中、nは0であり、R3は、C1〜C4アルキル基、好ましくはブチルである)によって表される構造単位(a)と、
ii.式(5):
(式中、R
6は、水素原子又はメチル基を表し、R
7は、CH
2基、CH
2CH
2基、又は直接結合を表し、R
8及びR
9は、独立して、ヒドロキシル基又は−SO
3Zを表し、Zは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、又は有機アミン基を表し、R
8及びR
9のうちの少なくとも1つは、−SO
3Zである)によって表される構造単位(b)と、
iii.式(8):
(式中、R
10は、水素原子、金属原子、アンモニウム基、又は有機アミン基を表す)によって表される構造単位(c)とを含む洗濯洗剤又は洗浄組成物である。
この実施形態の態様は、カルボキシル基含有ポリマーが、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−(メタ)アリルオキシ−1−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アリルオキシエチレンスルホン酸、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を含む群より選択される構造単位(b)を含み、好ましくは、前記構造単位(b)が、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸である、洗濯洗剤又は洗浄組成物である。
本発明の別の実施形態は、発明の概要に記載した通り、カルボキシル基含有ポリマーが、
i.好ましくは約1質量%〜約9質量%、より好ましくは約2質量%〜約8質量%、更により好ましくは約3質量%〜約7質量%の構造単位(a)と、
ii.好ましくは約1質量%〜約23質量%、より好ましくは約3質量%〜約22質量%、更により好ましくは約5質量%〜約21質量%の構造単位(b)と、
iii.好ましくは約68質量%〜約98質量%、より好ましくは約70質量%〜約95質量%、更により好ましくは約72質量%〜約92質量%の構造単位(c)と、を含む洗濯洗剤又は洗浄組成物である。
この実施形態の態様は、カルボキシル基含有ポリマーが、
i.更により好ましくは約3質量%〜約7質量%の構造単位(a)と、
ii.更により好ましくは約5質量%〜約21質量%の構造単位(b)と、
iii.更により好ましくは約72質量%〜約92質量%の構造単位(c)と、を含む洗濯洗剤又は洗浄組成物である。
別の実施形態では、カルボキシル基含有ポリマーを含む本発明の洗濯洗剤又は洗浄組成物は、水性環境で用いる場合、高性能を有する。更に、カルボキシル基含有ポリマーは、改善された高い硬水耐性、汚れ再付着防止能、粘土の分散性、汚れの除去、及び界面活性剤との相互作用を有し、したがって、本発明の洗濯洗剤又は洗浄組成物で用いる場合、より優れた性能を示す。
別の実施形態では、洗濯洗剤又は洗浄組成物は、液体又は固体の組成物である。
別の実施形態では、本発明の洗濯洗剤は、顆粒形態又は粉末形態の汎用又は「重質」洗浄剤、特に洗浄洗剤に加えて、洗浄助剤、例えば、漂白添加剤、布地柔軟剤、及び布地処理液、又は前処理若しくは後処理型を含む。1つの態様では、洗濯洗剤は、固体洗濯洗剤組成物、例えば、好ましくは、自由流動粒子状洗濯洗剤組成物(即ち、顆粒状洗剤製品)である。別の態様では、洗濯洗剤は、合成及び石鹸系洗濯バーを含む。
別の実施形態では、本発明の洗濯洗剤は、低分子量の脂肪族の又は芳香族のアルコール類、低分子量のアルキレングリコール類、低分子量のアルキレングリコールエーテル類、低分子量のエステル類、低分子量のアルキレンアミン類、低分子量のアルカノールアミン類、及びこれらの混合物からなる群より選択される有機溶媒を含む、ゲル状洗剤組成物に関する。
別の実施形態では、本発明の洗浄組成物は、硬質表面洗浄組成物であり、好ましくはこの硬質表面洗浄組成物は不織布基材に含浸される。本明細書で使用するとき、「含浸」とは、不織布基材の少なくとも一部分に硬質表面洗浄組成物が染み込むように、好ましくは硬質表面洗浄組成物が不織布基材に十分に染み渡るように、硬質表面洗浄組成物が不織布基材と接触して置かれることを意味する。
別の実施形態では、洗浄組成物は、例えば、硬材、タイル、セラミック、プラスチック、皮革、金属、又はガラス等の様々な表面を洗浄するために、カーケア組成物において利用してもよい。
別の実施形態では、本発明の洗浄組成物は、液体食器手洗い用組成物、固体自動食器洗浄組成物、液体自動食器洗浄組成物、又は自動食器洗浄組成物のタブ/単位用量型等の食器洗浄組成物である。
別の実施形態では、本発明の洗浄組成物は、パーソナルケア又はペットケア組成物、例えば、シャンプー組成物、ヘアリンス、マウスウォッシュ、義歯洗浄剤、ボディーウォッシュ(例えば、シャワージェル及びフォームバス)、又は液体若しくは固体石鹸である。
別の実施形態では、本発明の洗浄組成物は、自由硬度と接触し及び/又は硬度耐性界面活性剤系を必要するものであり、例えば、金属洗浄剤、油洗浄剤、腐食防止剤、又は錆止め助剤を含む組成物である。
別の実施形態では、本発明の洗浄組成物は、自動車ケア組成物、例えば、カーシャンプーである。
別の実施形態では、本発明の洗浄組成物は、家庭用ケア組成物、例えば、浴室洗浄剤又はカーペットシャンプーである。
本発明の特定の実施形態は、以下の実施例の項により詳細に記載される。
ポリマーを含む洗濯洗剤又は洗浄組成物の製造
1つの実施形態では、全ての種類の洗浄組成物は、幾つかの補助剤を必要とする。一般的な洗浄補助剤としては、ビルダー、酵素、上述されていないポリマー、漂白剤、漂白活性化剤、触媒物質等が挙げられる。本明細書における他の洗浄補助剤としては、起泡促進剤、抑泡剤(消泡剤)等、各種の活性成分又は特殊な物質、例えば、前述した以外の分散性ポリマー(例えば、BASF Corp.又はRohm & Haas製)、カラースペックル(color speckles)、シルバーケア(silvercare)、錆止め剤及び/又は耐食剤、染料、充填剤、殺菌剤、アルカリ源、ヒドロトロープ、酸化防止剤、酵素安定化剤、プロ香料、香料、可溶化剤、キャリア、加工助剤、顔料、並びに液体製剤の場合、溶媒、キレート剤、移染阻害剤、分散剤、増白剤、抑泡剤、染料、構造弾性化剤(structure elasticizing agents)、布地柔軟剤、磨耗防止剤、ヒドロトロープ、加工助剤、並びに他の布地ケア剤、表面及びスキンケア剤を挙げることができる。このような他の洗浄補助剤及び使用量の好適な例は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812 B1号及び同第6,326,348 B1号に見出される。
別の実施形態では、最終顆粒状洗剤製品は、カルボキシル基含有ポリマーと任意の乾燥混合成分及び/又は任意の液体スプレー式成分とを混合することによって製造される。最終顆粒状洗剤製品は、典型的には、水性洗浄操作における使用中に、洗浄水のpHが約6.5〜約12、又は約7.5〜10.5を有するように処方される。推奨使用レベルでpHを制御する技術としては、緩衝剤、アルカリ、酸等の使用が挙げられるがこれらに限定されず、これらは当該技術分野における当業者には周知である。サンプルの処方については、実施例5を参照。
典型的には、洗濯洗剤は、完全に製剤化された洗濯洗剤組成物であって、単に洗濯洗剤組成物の一部分のみを形成する噴霧乾燥粒子又は凝集粒子等の、洗濯洗剤組成物の一部分ではない。しかし、更なるすすぎ添加剤組成物(例えば、布地コンディショナー又はエンハンサー)、又は主洗浄添加剤組成物(例えば、漂白添加剤)を、本発明の方法中に洗濯洗剤組成物と組み合わせて使用することも、本発明の範囲内である。しかし、本発明の方法中に、漂白添加剤組成物を洗濯洗剤組成物と組み合わせて使用しないことが好ましい場合もある。
典型的に、洗濯洗剤組成物は、噴霧乾燥基剤洗剤粒子及び/又は凝集基剤洗剤粒子及び/又は押出成形基剤洗剤粒子等を、界面活性剤粒子(界面活性剤凝集体、界面活性剤押出物、界面活性剤ニードル、界面活性剤ヌードル、界面活性剤フレークを含む);ポリマー粒子(例えば、セルロース系ポリマー粒子、ポリエステル粒子、ポリアミン粒子、テレフタレートポリマー粒子、ポリエチレングリコールポリマー粒子等);ビルダー粒子(例えば、炭酸ナトリウムとケイ酸ナトリウムとのコビルダー粒子、リン酸塩粒子、ゼオライト粒子、ケイ酸塩粒子、炭酸塩粒子等);充填剤粒子(例えば、硫酸塩粒子等);移染阻害剤粒子;染料固着粒子;漂白剤粒子(例えば、過炭酸塩粒子、特に、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、又はこれらの任意の組み合わせでコーティングされた過炭酸塩等のコーティング過炭酸塩粒子、過ホウ酸塩粒子、遷移金属漂白触媒粒子又はオキサジリジニウム系漂白触媒粒子等の漂白触媒粒子、予形成過酸粒子、特に、コーティング予形成過酸粒子、並びに漂白活性化剤と過酸化水素の供給源と任意で漂白触媒との共漂白粒子等);漂白活性化剤粒子(例えば、オキシベンゼンスルホネート漂白活性化剤粒子及びテトラアセチルエチレンジアミン漂白活性化剤粒子等);キレート剤粒子(例えば、キレート剤凝集体);色相染料粒子;増白剤粒子;酵素粒子(例えば、プロテアーゼ小球、リパーゼ小球、セルラーゼ小球、アミラーゼ小球、マンナナーゼ小球、ペクチン酸リアーゼ小球、キシログルカナーゼ小球、漂白酵素小球、クチナーゼ小球、及びこれら酵素のいずれかの共小球等);粘土粒子(例えば、モンモリロナイト粒子又は粘土及びシリコーンの粒子等);凝集剤粒子(例えば、ポリエチレンオキシド粒子等);ワックス粒子(例えば、ワックス凝集体等);香料粒子(例えば、香料マイクロカプセル、特にメラミンホルムアルデヒド系香料マイクロカプセル、デンプンにカプセル化された香料アコード粒子、及びシッフ塩基反応生成物粒子等のプロ香料粒子等);審美剤粒子(例えば、有色ヌードル又はニードル又はラメラ粒子、及び有色ソープリングを含むソープリング等);及びこれらの任意の組み合わせから選択される1種以上、典型的には、2種以上、又は3種以上、又は4種以上、又は5種以上、又は6種以上、又は更には10種以上の粒子と組み合わせた、複数の化学的に異なる粒子を含む。
洗剤成分:組成物は、典型的に洗剤成分を含む。好適な洗剤成分としては、アニオン性洗浄界面活性剤、非イオン性洗浄界面活性剤、カチオン性洗浄界面活性剤、双極性イオン洗浄界面活性剤、両性洗浄界面活性剤、及びこれらの任意の組み合わせを含む洗浄界面活性剤;カルボキシレートポリマー、ポリエチレングリコールポリマー、テレフタレートポリマー等のポリエステル汚れ放出ポリマー、アミンポリマー、セルロース系ポリマー、移染阻害ポリマー、所望により1:4:1の比率のイミダゾールとエピクロロヒドリンとの縮合によって生成される縮合オリゴマー等の染料固定ポリマー、ヘキサメチレンジアミン誘導体ポリマー、及びこれらの任意の組み合わせを含むポリマー;ゼオライト、リン酸塩、クエン酸塩、及びこれらの任意の組み合わせを含むビルダー;炭酸塩及び/又はケイ酸塩を含む緩衝剤並びにアルカリ源;硫酸塩及びバイオ充填剤材料を含む充填剤;漂白活性化剤、有効酸素の供給源、予形成過酸、漂白触媒、還元漂白剤、及びこれらの任意の組み合わせを含む漂白剤;キレート剤;光漂白剤;色相剤;増白剤;プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、キシログルカナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、漂白酵素、クチナーゼ、及びこれらの任意の組み合わせを含む酵素;粘土、シリコーン、第四級アンモニウム布地柔軟剤、及びこれらの任意の組み合わせを含む布地柔軟剤;ポリエチレンオキシド等の凝集剤;デンプンにカプセル化された香料アコード、香料マイクロカプセル、香料充填ゼオライト、ケトン香料原料とポリアミンとのシッフ塩基反応生成物、ブルーミング香料、及びこれらの任意の組み合わせを含む香料;ソープリング、ラメラ審美粒子、ゼラチンビーズ、炭酸塩及び/又は硫酸塩のスペックル、色土、及びこれらの任意の組み合わせを含む審美剤;並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
洗浄界面活性剤:組成物は、典型的には、洗浄界面活性剤を含む。好適な洗浄界面活性剤としては、アニオン性洗浄界面活性剤、非イオン性洗浄界面活性剤、カチオン性洗浄界面活性剤、双極性イオン洗浄界面活性剤、両性洗浄界面活性剤、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
アニオン性洗浄界面活性剤:好適なアニオン性洗浄界面活性剤としては、サルフェート洗浄界面活性剤及びスルホネート洗浄界面活性剤が挙げられる。
好ましくは、アニオン性洗浄界面活性剤の量は、組成物全体の5重量%〜50重量%の範囲である。より好ましくは、アニオン性界面活性剤の量は、約8重量%〜約35重量%の範囲である。
好適なスルホネート洗浄界面活性剤としては、C10〜13アルキルベンゼンスルホネート等のアルキルベンゼンスルホネートが挙げられる。好適なアルキルベンゼンスルホネート(LAS)は、市販の直鎖アルキルベンゼン(LAB)をスルホン化することによって入手可能であるか、又は更には入手され、好適なLABとしては、Sasolから商品名Isochem(登録商標)として供給されているもの、又はPetresaから商品名Petrelab(登録商標)として供給されているもの等の低2−フェニルLABが挙げられ、他の好適なLABとしては、Sasolから商品名Hyblene(登録商標)として供給されているもの等の高2−フェニルLABが挙げられる。別の好適なアニオン性洗浄界面活性剤は、DETAL触媒プロセスによって得られるアルキルベンゼンスルホネートであるが、HF等の他の合成経路が好適な場合もある。
好適なサルフェート洗浄界面活性剤としては、C8〜18アルキルサルフェート、又は主にC12のアルキルサルフェート等のアルキルサルフェートが挙げられる。アルキルサルフェートは、ココ及び/又はタロー等の天然源に由来してよい。あるいは、アルキルサルフェートは、C12〜15アルキルサルフェート等の合成源に由来してもよい。
別の好適なサルフェート洗浄界面活性剤は、アルキルエトキシル化サルフェート、又はC8〜18アルキルアルコキシル化サルフェート、又はC8〜18アルキルエトキシル化サルフェート等のアルキルアルコキシル化サルフェートである。アルキルアルコキシル化サルフェートは、0.5〜20、又は0.5〜10の平均アルコキシル化度を有し得る。アルキルアルコキシル化サルフェートは、典型的には、0.5〜10、又は0.5〜7、又は0.5〜5、又は0.5〜3の平均エトキシル化度を有する、C8〜18アルキルエトキシル化サルフェートであってよい。
アルキルサルフェート、アルキルアルコキシル化サルフェート及びアルキルベンゼンスルホネートは、直鎖又は分枝鎖であってもよく、置換又は非置換であってもよい。
アニオン性洗浄界面活性剤は、中鎖分枝鎖アルキルサルフェート及び/又は中鎖分枝鎖アルキルベンゼンスルホネート等の中鎖分枝鎖アニオン性洗浄界面活性剤であってよい。中鎖分枝鎖は、典型的に、メチル基及び/又はエチル基等のC1〜4アルキル基である。
別の好適なアニオン性洗浄界面活性剤は、アルキルエトキシカルボキシレートである。
アニオン性洗浄界面活性剤は、典型的にはその塩形態で存在し、典型的には好適なカチオンと錯体化している。好適な対イオンとしては、Na+及びK+、C1〜C6アルカノールアンモニウム等の置換アンモニウム、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジエタノールアミン(DEA)、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
非イオン性洗浄界面活性剤:好適な非イオン性洗浄界面活性剤は、Shell製のNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤等のC8〜C18アルキルエトキシレート;任意で、アルコキシレート単位が、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であるC6〜C12アルキルフェノールアルコキシレート;BASF製のPluronic(登録商標)等のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとC12〜C18アルコール及びC6〜C12アルキルフェノールとの縮合物;C14〜C22中鎖分枝鎖アルコール;典型的には、1〜30の平均アルコキシル化度を有する、C14〜C22中鎖分枝鎖アルキルアルコキシレート;アルキルポリグリコシド等のアルキル多糖類;ポリヒドロキシ脂肪酸アミド;エーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤;並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
好適な非イオン性洗浄界面活性剤は、アルキルポリグルコシド及び/又はアルキルアルコキシル化アルコールである。
非イオン性洗浄界面活性剤は、存在する場合、好ましくは、約1重量%〜約20重量%の範囲内の量で用いられる。
好適な非イオン性洗浄界面活性剤としては、C8〜18アルキルアルコキシル化アルコール、又はC8〜18アルキルエトキシル化アルコール等のアルキルアルコキシル化アルコールが挙げられる。アルキルアルコキシル化アルコールは、0.5〜50、又は1〜30、又は1〜20、又は1〜10の平均アルコキシル化度を有し得る。アルキルアルコキシル化アルコールは、典型的には、1〜10、又は1〜7、又は1〜5、又は3〜7の平均エトキシル化度を有するC8〜18アルキルエトキシル化アルコールであってよい。アルキルアルコキシル化アルコールは、直鎖又は分枝鎖であってもよく、置換又は非置換であってもよい。
好適な非イオン性洗浄界面活性剤としては、式(I)を有する第二級アルコール系洗浄界面活性剤が挙げられる:
(式中、R
1は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換、飽和又は不飽和のC
2〜8アルキルであり、
R
2は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換、飽和又は不飽和のC
2〜8アルキルであり、
R
1+R
2部分に存在する炭素原子の総数は、7〜13の範囲内であり、
EO/POは、エトキシ、プロポキシ、又はこれらの混合物から選択されるアルコキシ部分であり、任意で、EO/POアルコキシ部分はランダム又はブロック構造であり、
nは、平均アルコキシル化度であり、4〜10の範囲である)。
他の好適な非イオン性洗浄界面活性剤としては、BASFから入手可能なPlurafac(登録商標)シリーズの界面活性剤等のEO/POブロックコポリマー界面活性剤、及びアルキルN−メチルグルコースアミド等の糖由来の界面活性剤が挙げられる。
用いることができる好適な非イオン性洗浄界面活性剤としては、第一級及び二級アルコールエトキシレート、特にアルコール1モル当たり平均1〜20モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC8〜C20脂肪族アルコール、より特にアルコール1モル当たり平均1〜10モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC10〜C15第一級及び二級脂肪族アルコールが挙げられる。非エトキシ化非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリグリコシド、グリセロールモノエーテル、及びポリヒドロキシアミド(例えば、グルカミド)が挙げられる。
カチオン性洗浄界面活性剤:好適なカチオン性洗浄界面活性剤としては、アルキルピリジニウム化合物、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルキル第四級ホスホニウム化合物、アルキル第三級スルホニウム化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
好適なカチオン性洗浄界面活性剤は、一般式(II)を有する第四級アンモニウム化合物である:
(II)
(R)(R1)(R2)(R3)N+X−
(式中、Rは、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC6〜18アルキル又はアルケニル部分であり、R1及びR2は、独立して、メチル又はエチル部分から選択され、R3は、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、又はヒドロキシエチル部分であり、Xは、電気的中性を提供するアニオンであり、好適なアニオンとしては、塩化物等のハロゲン化物、サルフェート、及びスルホネートが挙げられる)。好適なカチオン性洗浄界面活性剤は、モノC6〜18アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロリドである。好適なカチオン性洗浄界面活性剤は、モノC8〜10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロリド、モノC10〜12アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロリド、及びモノC10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロリドである。
双極性及び/又は両性の洗浄界面活性剤:好適な双極性及び/又は両性の洗浄界面活性剤としては、ドデシルジメチルアミンN−オキシド等のアミンオキシド、アルカノールアミンスルホベタイン、ココ−アミドプロピルベタイン、HN+−R−CO2 −系界面活性剤(式中、Rは、アルキル、アルコキシ、アリール、又はアミノ酸等の任意の架橋基であってよい)が挙げられる。多くの好適な洗剤活性化合物を使用することができ、例えば、「Surface−Active Agents and Detergents」、第I及びII巻、Schwartz、Perry、及びBerch著に十分に記載されている。
キレート剤:また、好適なキレート剤としては、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチルホスホン酸)、エチレンジアミン−N’N’−二コハク酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエタンジ(メチレンホスホン酸)、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適なキレート剤は、エチレンジアミン−N’N’−二コハク酸(EDDS)及び/又はヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)である。洗浄組成物は、エチレンジアミン−N’N’−二コハク酸、又はその塩を含み得る。エチレンジアミン−N’N’−二コハク酸は、S,Sエナンチオマー形態であってよい。洗浄組成物は、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンジスルホン酸二ナトリウム塩を含んでよい。また、好適なキレート剤は、カルシウム結晶成長抑制剤であってもよい。
ポリマー:好適なポリマーとしては、カルボキシレートポリマー、ポリエチレングリコールポリマー、テレフタレートポリマー等のポリエステル汚れ放出ポリマー、アミンポリマー、セルロース系ポリマー、移染阻害ポリマー、所望により1:4:1の比率のイミダゾールとエピクロロヒドリンとの縮合によって生成される縮合オリゴマー等の染料固定ポリマー、ヘキサメチレンジアミン誘導体ポリマー、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
カルボキシレートポリマー:好適なカルボキシレートポリマーとしては、マレアート/アクリレートランダムコポリマー、又はポリアクリレートホモポリマーが挙げられる。カルボキシレートポリマーは、4,000Da〜9,000Da、又は6,000Da〜9,000Daの分子量を有するポリアクリレートホモポリマーであってよい。他の好適なカルボキシレートポリマーは、マレイン酸とアクリル酸とのコポリマーであり、4,000Da〜9,000Daの範囲内の分子量を有し得る。
ポリマー:好ましくは、ポリマーは、ポリエチレングリコールポリマーである。好適なポリエチレングリコールポリマーとしては、(i)ポリエチレングリコールを含む親水性骨格鎖と、(ii)C4〜C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C1〜C6モノカルボン酸のビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸のC1〜C6アルキルエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される疎水性側鎖と、を含む、ランダムグラフトコポリマーが挙げられる。好適なポリエチレングリコールポリマーは、ランダムグラフトポリ酢酸ビニル側鎖を有するポリエチレングリコール骨格を有する。ポリエチレングリコール骨格の平均分子量は、2,000Da〜20,000Da、又は4,000Da〜8,000Daの範囲内であってよい。ポリエチレングリコール骨格のポリ酢酸ビニル側鎖に対する分子量比は、1:1〜1:5、又は1:1.2〜1:2の範囲内であってよい。エチレンオキシド単位当りのグラフト部位の平均数は、1未満、又は0.8未満であってもよく、エチレンオキシド単位当りのグラフト部位の平均数は、0.5〜0.9の範囲内であってもよく、あるいはエチレンオキシド単位当りのグラフト部位の平均数は、0.1〜0.5、又は0.2〜0.4の範囲内であってもよい。好適なポリエチレングリコールポリマーは、Sokalan(登録商標)HP22である。
ポリエステル汚れ放出ポリマー:好適なポリエステル汚れ放出ポリマーは、以下の構造(III)、構造(IV)、又は構造(V)のうちの1つによって定義される構造を有する。
(III)−[(OCHR1−CHR2)a−O−OC−Ar−CO−]d
(IV)−[(OCHR3−CHR4)b−O−OC−sAr−CO−]e
(V)−[(OCHR5−CHR6)c−OR7]f
(式中、
a、b、及びcは、1〜200であり、
d、e、及びfは、1〜50であり、
Arは、1,4−置換フェニレンであり、
sArは、位置5がSO3Meにより置換されている1,3−置換フェニレンであり、
Meは、H、Na、Li、K、Mg/2、Ca/2、Al/3、アンモニウム、モノ−、ジ−、トリ−、若しくはテトラアルキルアンモニウム(アルキル基は、C1〜C18アルキル又はC2〜C10ヒドロキシアルキルである)、又はこれらの任意の混合物であり、
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、独立して、H、又はC1〜C18 n−若しくはイソ−アルキルから選択され、
R7は、直鎖若しくは分枝鎖C1〜C18アルキル、又は直鎖若しくは分枝鎖C2〜C30アルケニル、又は炭素原子を5〜9個有するシクロアルキル基、又はC8〜C30アリール基、又はC6〜C30アリールアルキル基である。)
好適なポリエステル汚れ放出ポリマーは、上記(III)又は(IV)の構造を有するテレフタレートポリマーである。
好適なポリエステル汚れ放出ポリマーとしては、Repel−O−Tex(登録商標)SF2(Rhodia)等の、Repel−O−Tex(登録商標)シリーズのポリマー、及び/又はTexcare(登録商標)SRA300(Clariant)等の、Texcare(登録商標)シリーズのポリマーが挙げられる。
他の好適な汚れ放出ポリマーとしては、例えば、スルホン化及び非スルホン化PET/POETポリマー、両方の末端が保護されている及び末端保護されていないポリエチレングリコール(olyethylene glycol)/ポリビニルアルコールグラフトコポリマー(例えば、Sokolan(登録商標)HP22)を挙げることができる。
特に好ましい汚れ放出ポリマーは、国際公開第95/32997A号(Rhodia Chimie)に記載及び請求されているスルホン化非末端保護ポリエステルである。
アミンポリマー:好適なアミンポリマーとしては、所望によりポリエチレン及び/又はポリプロピレンオキシドブロックを含む、アルコキシル化ポリアルキレンイミン等のポリエチレンイミンポリマーが挙げられる。
セルロース系ポリマー:洗浄組成物は、アルキルセルロース、アルキルアルコキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルキルカルボキシアルキル、及びこれらの任意の組合せから選択されるポリマー等のセルロース系ポリマーを含んでよい。好適なセルロース系ポリマーは、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物から選択される。カルボキシメチルセルロースは、0.5〜0.9のカルボキシメチル置換度、及び100,000Da〜300,000Daの分子量を有し得る。別の好適なセルロース系ポリマーは、Finnfix(登録商標)SH−1(CP Kelco)等の疎水変性カルボキシメチルセルロースである。
他の適切なセルロース系ポリマーは、0.01〜0.99の置換度(DS)と、DS+DBが少なくとも1.00であるか、又はDB+2DS−DS2が少なくとも1.20となるようなブロック度(DB)とを有してよい。置換セルロース系ポリマーは、少なくとも0.55の置換度(DS)を有し得る。置換セルロース系ポリマーは、少なくとも0.35のブロック度(DB)を有し得る。置換セルロース系ポリマーは、1.05〜2.00のDS+DBを有し得る。好適な置換セルロース系ポリマーは、カルボキシメチルセルロースである。
別の好適な置換セルロース系ポリマーは、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロースである。ランダムグラフトコポリマー。好適なランダムグラフトコポリマーは、典型的に、(i)50重量%以上98重量%未満の、カルボキシル基を含む1つ以上のモノマーに由来する構造単位と、(ii)1重量%以上49重量%未満の、スルホネート部分を含む1つ以上のモノマーに由来する構造単位と、(iii)1重量%〜49重量%の、式(VI)及び(VII)により表されるエーテル結合含有モノマーから選択される1種以上のモノマーに由来する構造単位と、を含む。
(式(VI)中、R
0は、水素原子又はCH
3基を表し、Rは、CH
2基、CH
2CH
2基又は単結合を表し、Xは、0〜5の数を表すが、但し、Rが単結合である場合、Xは1〜5の数を表し、R
1は、水素原子又はC
1〜C
20有機基である。)
(式(VII)中、R
0は、水素原子又はCH
3基を表し、Rは、CH
2基、CH
2CH
2基又は単結合を表し、Xは、0〜5の数を表し、R
1は、水素原子又はC
1〜C
20有機基である。)
移染阻害ポリマー:好適な移染阻害(DTI)ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ピロリドンとイミダゾリンとのビニルコポリマー(PVPVI)、ポリビニルN−オキシド(PVNO)、及びこれらの任意の混合物が挙げられる。
ヘキサメチレンジアミン誘導体ポリマー:好適なポリマーとしては、典型的には式(VIII)を有するヘキサメチレンジアミン誘導体ポリマーが挙げられる。
(VIII)
R2(CH3)N+(CH2)6N+(CH3)R2・2X−
(式中、X−は、好適な対イオン、例えば、塩化物イオンであり、Rは、20〜30の平均エトキシル化度を有するポリ(エチレングリコール)鎖である。)任意で、ポリ(エチレングリコール)鎖は、独立して、サルフェート基及び/又はスルホネート基で末端保護されてよく、典型的に、X−対イオンの数を低減するか、又は(1分子当たりの平均硫酸化度が2よりも大きい場合)Y+対イオン、例えばナトリウムカチオンを導入することによって、荷電が平衡化されている。
別の態様では、洗濯洗剤は、クエン酸塩を含む。好適なクエン酸塩は、クエン酸ナトリウムである。しかし、洗浄液中でクエン酸塩を形成することができるクエン酸を洗濯洗剤組成物中に組み込んでもよい。
別の態様では、洗濯洗剤は、漂白剤を含む。あるいは、洗濯洗剤は、漂白剤を実質的に含まなくてもよい。実質的に含まないとは、「意図的に添加しない」ことを意味する。好適な漂白剤としては、漂白活性化剤、有効酸素の供給源、予形成過酸、漂白触媒、還元漂白剤、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。存在する場合には、漂白剤、又はその任意の成分(例えば、予形成過酸)は、カプセル化等によりコーティングすることができ、又は尿素若しくはシクロデキストリンを使用する等によりクラスレート化(clathrated)することができる。
別の態様では、洗濯洗剤は、漂白活性化剤を含む。好適な漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED);ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)、カプリルアミドノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NACA−OBS)、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート(Iso−NOBS)、ドデシルオキシベンゼンスルホネート(LOBS)、及びこれらの任意の混合物等のオキシベンゼンスルホネート;カプロラクタム;グルコースペンタアセテート(PAG);ニトリル第四級アンモニウム;N−ノナノイル−N−メチルアセトアミド等のイミド漂白活性化剤;並びにこれらの任意の混合物が挙げられる。
別の態様では、洗濯洗剤は、有効酸素の供給源を含む。好適な有効酸素(AvOx)の供給源は、過炭酸塩及び/又は過ホウ酸塩等の過酸化水素の供給源、例えば、過炭酸ナトリウムである。過酸素の供給源は、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、ホウケイ酸、又はこれらの混合塩を含むこれらの任意の混合物等のコーティング成分によって、少なくとも部分的にコーティングしてもよく、又は更には完全にコーティングしてもよい。好適な過炭酸塩は、流動床プロセスによって、又は結晶化プロセスによって調製することができる。好適な過ホウ酸塩としては、過ホウ酸ナトリウム一水和物(PB1)、過ホウ酸ナトリウム四水和物(PB4)、及び発泡性過ホウ酸ナトリウムとしても既知の無水過ホウ酸ナトリウムが挙げられる。他の好適なAvOxの供給源としては、オキソン等の過硫酸塩が挙げられる。別の好適なAvOxの供給源は、過酸化水素である。
別の態様では、洗濯洗剤は、予形成過酸を含む。好適な予形成過酸は、N,N−フタロイルアミノ過酸化カプロン酸(PAP)である。
別の態様では、洗濯洗剤は、漂白触媒を含む。好適な漂白触媒としては、オキサジリジニウム系漂白触媒、遷移金属漂白触媒、及び漂白酵素が挙げられる。
別の態様では、洗濯洗剤は、オキサジリジニウム系漂白触媒を含む。好適なオキサジリジニウム系漂白触媒は、式(IX)を有する。
(式中、R
1は、H、3〜24個の炭素を含む分枝鎖アルキル基、及び1〜24個の炭素を含む直鎖アルキル基からなる群から選択され;R
1は、6〜18個の炭素を含む分枝鎖アルキル基、又は5〜18個の炭素を含む直鎖アルキル基であってよく、R
1は、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、イソ−ノニル、イソ−デシル、イソ−トリデシル、及びイソ−ペンタデシルからなる群から選択することができ;R
2は、独立して、H、3〜12個の炭素を含む分枝鎖アルキル基、及び1〜12個の炭素を含む直鎖アルキル基からなる群から選択され;所望により、R
2は、独立して、H、メチル、3〜12個の炭素を含む分枝鎖アルキル基、及び1〜12個の炭素を含む直鎖アルキル基からなる群より選択され、nは、0〜1の整数である。)オキサジリジニウム系漂白促進剤は、米国特許出願公開第2006/0089284Al号に従って製造することができる。
別の態様では、洗濯洗剤は、遷移金属漂白触媒を含む。洗濯洗剤組成物は、典型的には、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、及び/又はマンガンのカチオンを含む、遷移金属漂白触媒を含んでよい。好適な遷移金属漂白触媒は、マンガン系遷移金属漂白触媒である。
別の態様では、洗濯洗剤は、還元漂白剤を含む。洗浄組成物は、還元漂白剤を含んでもよい。しかし、洗濯洗剤組成物は、還元漂白剤を実質的に含まなくてもよい。実質的に含まないとは、「意図的に添加しない」ことを意味する。好適な還元漂白剤としては、亜硫酸ナトリウム及び/又は二酸化チオ尿素(TDO)が挙げられる。
別の態様では、洗濯洗剤は、共漂白剤粒子を含む。洗浄組成物は、共漂白剤粒子を含んでもよい。典型的には、共漂白剤粒子は、漂白活性化剤、及び過酸化物の供給源を含む。過酸化水素の供給源に対して大量の漂白活性化剤が共漂白剤粒子中に存在することが、非常に好適であり得る。共漂白剤粒子中に存在する、漂白活性化剤の過酸化水素の供給源に対する重量比は、少なくとも0.3:1、又は少なくとも0.6:1、又は少なくとも0.7:1、又は少なくとも0.8:1、又は少なくとも0.9:1、又は少なくとも1.0:1.0、又は更には少なくとも1.2:1以上であってよい。
共漂白剤粒子は、(i)TAED等の漂白活性化剤、及び(ii)過炭酸ナトリウム等の過酸化水素の供給源を含み得る。漂白活性化剤は、少なくとも部分的に、又は更には完全に、過酸化水素の供給源を封入することができる。
共漂白剤粒子は、結合剤を含み得る。好適な結合剤は、ポリアクリレートポリマー等のカルボキシレートポリマー、並びに/又は直鎖C11〜C13非イオン性洗浄界面活性剤及び/若しくはアルキルベンゼンスルホネート等のアニオン性洗浄界面活性剤などの界面活性剤である。
別の態様では、洗濯洗剤は、漂白安定剤(重金属イオン封鎖剤)を含む。好適な漂白安定剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びポリホスホネート、例えば、Dequest(登録商標)、EDTMPが挙げられる。
別の態様では、洗濯洗剤は、光漂白剤を含む。好適な光漂白剤は、スルホン化フタロシアニン亜鉛及び/又はアルミニウムである。
別の態様では、洗濯洗剤は、増白剤を含む。洗浄組成物は、4,4’−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニル二ナトリウム(C.l.蛍光増白剤351);C.I.蛍光増白剤260、又はそのアニリノ若しくはモルホリノ基が他の基によって置換されているアナログ等の蛍光増白剤を含むことが好ましい場合がある。好適なC.I.蛍光増白剤260は、以下の構造(X)を有し得:
該C.I.蛍光増白剤260は、
主にα結晶形態であるか、又は
主にβ結晶形態であり、且つ3〜30マイクロメートルの重量平均一次粒径を有する。
別の態様では、洗濯洗剤は、Ciba Specialty ChemicalsからTinopal(登録商標)PLCとして市販されているビス(スルホベンゾフラニル)ビフェニル等の漂白安定性蛍光増白剤を含む。
別の態様では、洗濯洗剤は、布地色相剤(時に、陰影剤、青味剤、又は白色剤とも称する)を含んでよい。典型的には、色相剤は、布地に青又はバイオレットの色合いをもたらす。色相剤は単独で又は組み合わせて使用して、特有な色合いを作り出す、及び/又は異なる種類の布地に色合いをつけることができる。これは、例えば、赤と緑−青の染料とを混合して青又は紫の色合いを生じさせることにより提供され得る。色相剤は、アクリジン、アントラキノン(多環式キノンを含む)、アジン、前金属化した(premetallized)アゾを含むアゾ(例えば、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ、ポリアゾ)、ベンゾジフラン及びベンゾジフラノン、カロテノイド、クマリン、シアニン、ジアザヘミシアニン、ジフェニルメタン、ホルマザン、ヘミシアニン、インジゴイド、メタン、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロ及びニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、ピラゾール、スチルベン、スチリル、トリアリールメタン、トリフェニルメタン、キサンテン、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない任意の周知される染料の化学分類から選択してよい。
好適な布地色相剤としては、染料、染料−粘土共役体、並びに有機及び無機顔料が挙げられる。好適な染料としては、小分子染料及び高分子染料が挙げられる。好適な小分子染料としては、例えば、青、バイオレット、赤、緑、又は黒に分類され、単独で又は組み合わせで所望の色合いをもたらす、直接染料、塩基性染料、反応染料、又は加水分解した反応性染料、加水分解した溶剤染料、若しくは加水分解した分散染料の色指数(C.I.)分類に分類される染料からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な小分子染料としては、カラーインデックス(染色業者及びカラーリスト協会(Society of Dyers and Colourists, Bradford, UK))番号が、ダイレクトバイオレット染料9、35、48、51、66、及び99等、ダイレクトブルー染料1、71、80、及び279等、アシッドレッド染料17、73、52、88、及び150等、アシッドバイオレット染料15、17、24、43、49、及び50等、アシッドブルー染料15、17、25、29、40、45、75、80、83、90、及び113等、アシッドブラック染料1等、ベーシックバイオレット染料1、3、4、10、及び35等、ベーシックブルー染料3、16、22、47、66、75、及び159等、欧州特許第1794275号又は同第1794276号に記載されるもの等の分散又は溶剤染料、あるいは米国特許第7,208,459 B2号に開示されている染料、並びにこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な小分子染料としては、C.I.番号が、アシッドバイオレット17、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトブルー1、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー29、アシッドブルー113又はこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
好適な高分子染料としては、例えばポリマーと色原体とを共重合してポリマーの主鎖にしたもの等の、共有結合(コンジュゲート化と呼ばれることもある)した色原体を含有するポリマー(染料−ポリマーコンジュゲート)、及びこれらの混合物からなる群から選択される高分子染料が挙げられる。高分子染料としては、国際公開第2011/98355号、国際公開第2011/47987号、米国特許第2012/090102号、国際公開第2010/145887号、国際公開第2006/055787号、及び国際公開第2010/142503号に記載されているものが挙げられる。
別の態様では、適切な高分子染料としては、Liquitint(登録商標)(Milliken(Spartanburg,South Carolina,USA))の名称で市販されている布地直接着色剤、及び少なくとも1つの反応染料と、ヒドロキシル部分、一級アミン部分、二級アミン部分、チオール部分、及びこれらの混合物からなる群から選択される部分を含むポリマーからなる群から選択されるポリマーから形成されている染料−ポリマー共役体、からなる群から選択される高分子染料が挙げられる。更に別の態様では、好適な高分子染料としては、Liquitint(登録商標)バイオレットCT、Megazyme(Wicklow,Ireland)から商品名AZO−CM−セルローズ、商品コードS−ACMCで販売されているC.I.リアクティブブルー19とコンジュゲートしているCMC等のリアクティブブルー、リアクティブバイオレット、又はリアクティブレッドの染料に共有結合しているカルボキシメチルセルロース(CMC)、アルコキシル化トリフェニール−メタン高分子着色料、アルコキシル化チオフェン高分子着色料、及びこれらの混合物からなる群から選択される高分子染料が挙げられる。
好ましい色相染料としては、国際公開第2008/87497 A1号、同第2011/011799号、及び同第2012/054835号に見出される白色剤が挙げられる。本発明において使用するための好ましい色相剤は、国際公開第2011/011799号の表5の実施例1〜42から選択されるものを含む、これらの参考文献に開示されている好ましい染料であってよい。他の好ましい染料は、米国特許第8,138,222号に開示されている。他の好ましい染料は、国際公開第2009/069077号に開示されている。
好適な染料粘土共役体としては、少なくとも1種のカチオン性/塩基性染料及びスメクタイト粘土、並びにこれらの混合物からなる群から選択される染料粘土共役体が挙げられる。別の態様では、好適な染料粘土共役体としては、以下からなる群から選択される1つのカチオン性/塩基性染料からなる群から選択される染料粘土共役体が挙げられる:C.I.ベーシックイエロー1〜108、C.I.ベーシックオレンジ1〜69、C.I.ベーシックレッド1〜118、C.I.ベーシックバイオレット1〜51、C.I.ベーシックブルー1〜164、C.I.ベーシックグリーン1〜14、C.I.ベーシックブラウン1〜23、CIベーシックブラック1〜11、並びにモンモリロナイト粘土、ヘクトライト粘土、サポナイト粘土、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される粘土。更に別の態様では、好適な染料粘土共役体としては、モンモリロナイトベーシックブルーB7 C.I.42595共役体、モンモリロナイトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、モンモリロナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、モンモリロナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、モンモリロナイトベーシックレッドR1 C.I.45160共役体、モンモリロナイトC.I.ベーシックブラック2共役体、ヘクトライトベーシックブルーB7 C.I.42595共役体、ヘクトライトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、ヘクトライトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、ヘクトライトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、ヘクトライトベーシックレッドR1 C.I.45160共役体、ヘクトライトC.I.ベーシックブラック2共役体、サポナイトベーシックブルーB7 C.I.42595共役体、サポナイトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、サポナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、サポナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、サポナイトベーシックレッドR1 C.I.45160共役体、サポナイトC.I.ベーシックブラック2共役体及びこれらの混合物からなる群より選択される染料粘土共役体が挙げられる。
好適な顔料としては、フラバントロン、インダントロン、1〜4個の塩素原子を有する塩素化インダントロン、ピラントロン、ジクロロピラントロン、モノブロモジクロロピラントロン、ジブロモジクロロピラントロン、テトラブロモピラントロン、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミド(イミド基は置換されていないか、あるいは、C1〜C3−アルキル若しくはフェニル又は複素環式ラジカルで置換されていてもよく、このフェニル及び複素環式ラジカルは更に、水溶性を付与しない置換基を有していてもよい)、アントラピリミジンカルボン酸アミド、ビオラントロン、イソビオラントロン、ジオキサジン顔料、銅フタロシアニン(1分子当たり2個以下の塩素原子を有していてもよい)、ポリクロロ−銅フタロシアニン、又はポリブロモクロロ−銅フタロシアニン(1分子当たり14個以下の臭素原子を有する)、及びこれらの混合物からなる群より選択される顔料が挙げられる。
別の態様では、好適な顔料としては、ウルトラマリンブルー(C.I.ピグメントブルー29)、ウルトラマリンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット15)及びこれらの混合物からなる群より選択される顔料が挙げられる。
上記布地色相剤は、組み合わせて使用することができる(布地色相剤の任意の混合物を使用することができる)。
別の態様では、洗浄活性剤は、酵素を含む。好適な酵素としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、キシログルカナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、漂白酵素、クチナーゼ、及びこれらの混合物が挙げられる。酵素については、括弧内に示すアクセッション番号及びIDは、データベースGenbank、EMBL、及び/又はSwiss−Protにおけるエントリー番号を指す。いずれの突然変異体に関しても、標準的なアミノ酸の1文字表記が、欠失を表す*と共に使用される。DSMが前に付くアクセッション番号は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(Mascheroder Weg 1b,38124 Brunswick)(DSMZ)に寄託されている微生物を指す。
プロテアーゼ。組成物は、プロテアーゼを含み得る。好適なプロテアーゼとしては、サブチリシン(EC 3.4.21.62)等の中性又はアルカリ性の微生物セリンプロテアーゼを含むメタロプロテアーゼ及び/又はセリンプロテアーゼが挙げられる。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物由来のものが挙げられる。1つの態様では、このような好適なプロテアーゼは、微生物起源のものであってよい。好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学的に又は遺伝的に改変された変異体が挙げられる。1つの態様では、好適なプロテアーゼは、アルカリ性微生物プロテアーゼ又は/及びトリプシン型プロテアーゼ等のセリンプロテアーゼであり得る。好適な中性又はアルカリ性プロテアーゼの例としては、以下のものが挙げられる。
(a)バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)(P27963,ELYA_BACAO)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)(P00782,SUBT_BACAM)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)(P07518)、及びバチルス・ギブソン(Bacillus gibsonii)(DSM14391)等の、バチルス属に由来するものを含むサブチリシン(EC3.4.21.62)。
(b)フサリウムプロテアーゼ、及びCellumonas(A2RQE2)に由来するキモトリプシンプロテアーゼを含む(例えば、ブタ起源又はウシ起源の)トリプシン等のトリプシン型又はキモトリプシン型プロテアーゼ。
(c)バチルス・アミロリケファシエンス(P06832,NPRE_BACAM)に由来するものを含むメタロプロテアーゼ。
好適なプロテアーゼとしては、サブチリシン309(P29600)及び/又はDSM 5483(P29599)等のバチルス・ギブソン又はバチルス・レンタスに由来するものが挙げられる。
好適な市販のプロテアーゼ酵素としては、Novozymes A/S(Denmark)からAlcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase Ultra(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)、及びEsperase(登録商標)の商品名で販売されているもの;Genencor InternationalからMaxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、及びPurafect OXP(登録商標)の商品名で販売されているもの;Solvay EnzymesからOpticlean(登録商標)、及びOptimase(登録商標)の商品名で販売されているもの;Henkel/Kemiraより入手可能なもの、すなわち、BLAP(以下の突然変異S99D+S101R+S103A+V104I+G159Sを有するP29599)、並びにBLAP R(S3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)、BLAP X(S3T+V4I+V205Iを有するBLAP)及びBLAP F49(S3T+V4I+A194P+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)を含むその変異体(全てHenkel/Kemira製);並びに花王製のKAP(突然変異A230V+S256G+S259Nを有するバチルス・アルカロフィラスサブチリシン)が挙げられる。
別の態様では、好適なタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)は、加水分解反応において、布地の汚れとして存在するとき、株のタンパク質の種類を分解したり変化させたりする触媒的に活性のあるタンパク質であってよい。酵素は、植物、動物、細菌、又は酵母起源等の任意の好適な起源のものであってもよい。4〜12の範囲の様々なpH範囲において活性を有する、様々な品質及び起源のタンパク質分解酵素又はプロテアーゼが入手可能である。高い及び低い等電点のプロテアーゼが好適である。
アミラーゼ:好適なアミラーゼは、細菌由来又は真菌由来のものを含むα−アミラーゼである。化学的に又は遺伝的に改変された突然変異体(変異体)が含まれる。好適なアルカリ性α−アミラーゼは、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・サブチリス、又は他のバチルス属種、例えばバチルス属種NCIB 12289、NCIB 12512、NCIB 12513、sp 707、DSM 9375、DSM 12368、DSM no.12649、KSM AP1378、KSM K36、若しくはKSM K38等のバチルス属の菌株に由来する。好適なアミラーゼとしては、以下のものが挙げられる。
(a)バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)(P06278,AMY_BACLI)に由来するα−アミラーゼ、及びその変異体、特に、位置15、23、105、106、124、128、133、154、156、181、188、190、197、202、208、209、243、264、304、305、391、408、及び444のうちの1つ以上に置換を有する変異体。
(b)AA560アミラーゼ(CBU30457,HD066534)、及びその変異体、特に、位置26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、203、214、231、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、461、471、482、484のうちの1つ以上に置換を有し、また所望によりD183*及びG184*の欠失も含む変異体。
(c)(a)9、26、149、182、186、202、257、295、299、323、339及び345のうち1つ以上の位置における突然変異、並びに(b)任意で、118、183、184、195、320及び458のうちの1つ以上、好ましくは全ての位置に置換及び/又は欠失(存在する場合には、好ましくはR118K、D183*、G184*、N195F、R320K及び/又はR458Kを含む)を有するDSM 12649。
(d)バチルスSP722(CBU30453、HD066526)由来の野生型酵素と少なくとも90%の相同性を呈する変異体、特に、183及び184の位置に欠失を有する変異体。
好適な市販のα−アミラーゼは、Duramyl(登録商標)、Liquezyme(登録商標)、Termamy(登録商標)、Termamyl Ultra(登録商標)、Natalase(登録商標)、Supramyl(登録商標)、Stainzyme(登録商標)、Stainzyme Plus(登録商標)、Fungamyl(登録商標)、及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S)、Bioamylase(登録商標)及びその変異体(Biocon India Ltd.)、Kemzym(登録商標)AT 9000(Biozym Ges.m.b.H,Austria)、Rapidase(登録商標)、Purastar(登録商標)、Optisize HT Plus(登録商標)、Enzysize(登録商標)、Powerase(登録商標)、及びPurastar Oxam(登録商標)、Maxamyl(登録商標)(Genencor International Inc.)並びにKAM(登録商標)(花王、日本)である。好適なアミラーゼは、NATALASE(登録商標)、Stainzyme(登録商標)、及びStainzyme Plus(登録商標)である。
セルラーゼ:洗濯洗剤は、セルラーゼを含んでよい。好適なセルラーゼとしては、細菌由来又は真菌由来のセルラーゼが挙げられる。化学的に改変された又はタンパク質が遺伝子操作された突然変異体が含まれる。好適なセルラーゼとしては、バチルス属、シュードモナス属(Pseudomonas)、フミコーラ属(Humicola)、フサリウム属(Fusarium)、チェラビア属(Thielavia)、アクレモニウム属(Acremonium)由来のセルラーゼ、例えば、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフィソーラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、及びフサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から産生される真菌セルラーゼが挙げられる。
市販のセルラーゼとしては、Celluzyme(登録商標)及びCarezyme(登録商標)(Novozymes A/S)、Clazinase(登録商標)及びPuradax HA(登録商標)(Genencor International Inc.)、並びにKAC−500(B)(登録商標)(花王)が挙げられる。
セルラーゼとしては、エンド−ベータ−1,4−グルカナーゼ活性を示す微生物由来のエンドグルカナーゼ(E.C.3.2.1.4)が挙げられ、例えば、バチルス属種AA349のメンバーの内因性細菌ポリペプチド及びこれらの混合物が挙げられる。好適なエンドグルカナーゼは、商品名Celluclean(登録商標)及びWhitezyme(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))として販売されている。
また、Whitezyme(登録商標)等の好適なセルラーゼは、キシログルカナーゼ活性も呈し得る。
リパーゼ:本組成物はリパーゼを含んでもよい。好適なリパーゼとしては、細菌由来又は真菌由来のものが挙げられる。化学的に改変された又はタンパク質が遺伝子操作された突然変異体が含まれる。有用なリパーゼの例としては、例えば、H.ラヌギノサ(H. lanuginosa)(T.ラヌギノサス)(T. lanuginosus))又はH.インソレンス(H. insolens)等のフミコーラ属(別名サーモマイセス属(Thermomyces))由来のリパーゼ;例えば、P.アルカリゲネス(P. alcaligenes)又はP.シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)、P.セパシア(P. epacia)、P.スタットゼリ(P. stutzeri)、P.フルオレセンス(P. fluorescens)、シュードモナスSD 705株、P.ウィスコシネンシス(P. wisconsinensis)等のシュードモナス属のリパーゼ;例えば、B.サブチリス、B.ステアロサーモフィルス、又はB.プミルス等のバチルス属のリパーゼが挙げられる。
このリパーゼは、「第1サイクルのリパーゼ」であってよく、所望により、T231R及びN233Rの突然変異を含む、サーモマイセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)由来の野生型リパーゼの変異体であってよい。野生型配列は、Swissprotのアクセッション番号Swiss−Prot O59952の、(サーモマイセス・ラヌギノサス(フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa))由来の)269個のアミノ酸(アミノ酸23〜291)である。好適なリパーゼとしては、Novozymes(Bagsvaerd,Denmark)から商品名Lipex(登録商標)、Lipolex(登録商標)、及びLipoclean(登録商標)として販売されているものが挙げられる。
洗濯洗剤又は洗浄組成物は、野生型のアミノ酸と90%超の相同性を有し、T231及び/又はN233に、所望によりT231R及び/又はN233Rの置換を含む、サーモマイセス・ラヌギノサ(O59952)リパーゼの変異体を含み得る。
キシログルカナーゼ:好適なキシログルカナーゼ酵素は、キシログルカン基質及び非晶質セルロース基質の双方に対しての酵素活性を有し得る。この酵素は、グリコシルヒドロラーゼ(GH)ファミリー5、12、44、45又は74から選択されるグリコシドヒドロラーゼであってよい。GHファミリー44から選択されるグリコシルヒドロラーゼが、特に好適である。GHファミリー44から選択される好適なグリコシドヒドロラーゼは、パエニバチルス・ポリキシマ(Paenibacillus polyxyma)(ATCC 832)由来のXYG1006グリコシドヒドロラーゼ、及びその変異型である。
また、特に好適なのは、17kDa〜30kDaの分子量を有するGHファミリー45から選択されるグリコシルヒドロラーゼであり、例えば、Biotouch(登録商標)NCD、DCC、及びDCL(AB Enzymes,Darmstadt,Germany)の商品名で販売されているエンドグルカナーゼである。
ペクチン酸リアーゼ:好適なペクチン酸リアーゼは、Pectawash(登録商標)、Pectaway(登録商標)、及びX−Pect(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))の商品名で販売されている、バチルス由来のペクチン酸リアーゼの野生型若しくは変異型(CAF05441、AAU25568)のいずれかである。
マンナナーゼ:好適なマンナナーゼは、商品名Mannaway(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、及び商品名Purabrite(登録商標)(Genencor International Inc.(Palo Alto,California))で販売されている。
漂白酵素:好適な漂白酵素としては、酸化還元酵素、例えば、グルコースオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、又は炭水化物オキシダーゼ等のオキシダーゼ;オキシゲナーゼ;カタラーゼ;ハロペルオキシダーゼ、クロロペルオキシダーゼ、ブロモペルオキシダーゼ、リグニンペルオキシダーゼ、グルコースペルオキシダーゼ、又はマンガンペルオキシダーゼ等のペルオキシダーゼ;ジオキシゲナーゼ;又はラッカーゼ(フェノールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ)が挙げられる。好適な市販製品は、Novozymesから商品名Guardzyme(登録商標)及びDenilite(登録商標)として販売されている。追加の有機化合物、特に芳香族化合物を、漂白酵素と共に配合することが有利であり得、これら化合物は、漂白酵素と相互作用して、酸化還元酵素の活性を増強する(増強剤)か、又は酸化酵素と汚れとの間の、典型的には大きく異なる酸化還元電位にわたる電子流を促進する(媒介剤)。
他の好適な漂白酵素としては、エステル基質及び過酸素源からの過酸の形成を触媒するペルヒドロラーゼが挙げられる。好適なペルヒドロラーゼとしては、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)のペルヒドロラーゼの変異体、いわゆるCE−7ペルヒドロラーゼの変異体、及びペルヒドロラーゼ活性を保有する野生型サブチリシンCarlsbergの変異体が挙げられる。
クチナーゼ:好適なクチナーゼは、任意で、フサリウム・ソラニ(Fusarium solani)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas Mendocina)、又はフミコーラ・インソレンス(Humicola Insolens)のうちの1つに由来する野生型と少なくとも90%、95%、又は最も任意で少なくとも98%の相同性を呈するE.C.クラス3.1.1.73によって定義される。
相同性。2つのアミノ酸配列の相関性は、「相同性」というパラメータによって表される。本発明の目的では、2つのアミノ酸配列のアラインメントは、EMBOSSパッケージ(http://emboss.org)バージョン2.8.0.からのNeedleプログラムを使用することにより、決定される。Needleプログラムは、Needleman,S.B.and Wunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48,443〜453に記載のグローバルアラインメントアルゴリズムを実行する。使用される置換マトリクスは、BLOSUM62であり、ギャップ開始ペナルティは10、ギャップ伸長ペナルティは0.5である。
別の態様では、洗濯洗剤は、布地柔軟剤を含む。好適な布地柔軟剤としては、粘土、シリコーン、及び/又は第四級アンモニウム化合物が挙げられる。好適な粘土としては、モンモリロナイト粘土、ヘクトライト粘土、及び/又はラポナイト粘土が挙げられる。好適な粘土は、モンモリロナイト粘土である。好適なシリコーンとしては、アミノシリコーン及び/又はポリジメチルシロキサン(PDMS)が挙げられる。好適な柔軟剤は、モンモリロナイト粘土及びPDMSを含む粒子等の粘土及びシリコーンを含む粒子である。
別の態様では、洗濯洗剤は、凝集剤を含む。好適な凝集剤としては、例えば300,000Da〜900,000Daの平均分子量を有する、ポリエチレンオキシドが挙げられる。
別の態様では、洗濯洗剤は、抑泡剤を含む。好適な抑泡剤としては、シリコーン、及び/又はステアリン酸等の脂肪酸が挙げられる。
別の態様では、洗濯洗剤は、香料を含む。好適な香料としては、香料マイクロカプセル、シッフ塩基香料/ポリマー複合体を含むポリマー支援香料送達システム、デンプンにカプセル化された香料アコード、香料充填ゼオライト、ブルーミング香料のアコード、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適な香料マイクロカプセルは、メラミンホルムアルデヒド系であり、典型的には、メラミンホルムアルデヒドを含むシェルによってカプセル化される香料を含む。このような香料マイクロカプセルは、ポリビニルホルムアミド(PVF)及び/又はカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(catHEC)等のカチオン性材料及び/又はカチオン性前駆体材料をシェル内に含むことが非常に好適であり得る。
別の態様では、洗濯洗剤は、他の審美剤を含む。好適な審美剤粒子としては、ソープリング、ラメラ審美剤粒子、ゼラチンビーズ、炭酸塩及び/又は硫酸塩のスペックル、色土粒子、及びこれらの任意の組合せを挙げることができる。
ビルダー:好適なビルダーとしては、ゼオライト、リン酸塩、クエン酸塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
ゼオライトビルダー:洗濯洗剤は、ゼオライトビルダーを実質的に含まなくてもよい。ゼオライトビルダーを実質的に含まないとは、典型的に、0重量%〜10重量%のゼオライトビルダー、又は〜8重量%、又は〜6重量%、又は〜4重量%、又は〜3重量%、又は〜2重量%、又は更には〜1重量%のゼオライトビルダーしか含まないことを意味する。ゼオライトビルダーを実質的に含まないとは、好ましくは、ゼオライトビルダーを「意図的に添加しない」ことを意味する。典型的なゼオライトビルダーとしては、ゼオライトA、ゼオライトP、ゼオライトMAP、ゼオライトX、及びゼオライトYが挙げられる。
リン酸ビルダー:洗濯洗剤は、リン酸ビルダーを実質的に含まなくてもよい。リン酸ビルダーを実質的に含まないとは、典型的に、0重量%〜10重量%のリン酸ビルダー、又は〜8重量%、又は〜6重量%、又は〜4重量%、又は〜3重量%、又は〜2重量%、又は更には〜1重量%のリン酸ビルダーしか含まないことを意味する。リン酸ビルダーを実質的に含まないとは、好ましくは、リン酸ビルダーを「意図的に添加しない」ことを意味する。典型的なリン酸ビルダーは、オルトリン酸ナトリウム及び/又はピロリン酸ナトリウムと組み合わせて用いてよいトリポリリン酸ナトリウム(STPP)である。
これらに加えて又は代えて存在してよい他の無機ビルダーとしては、炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウムが挙げられる。
存在してよい有機ビルダーとしては、ポリカルボキシレートポリマー、例えば、ポリアクリレート及びアクリル酸/マレイン酸コポリマー;ポリアスパルテート;モノマーポリカルボキシレート、例えば、シトレート、グルコネート、オキシジスクシネート、グリセロールモノ−、ジ−、及びトリ−スクシネート、カルボキシメチルオキシスクシネート、カルボキシ−メチルオキシマロネート、ジピコリネート、ヒドロキシエチルイミノジアセテート、アルキル−及びアルケニルマロネート及びスクシネート;並びにスルホン化脂肪酸塩が挙げられる。
緩衝剤及びアルカリ源:好適な緩衝剤及びアルカリ源としては、炭酸塩及び/又はケイ酸塩及び/又はバーカイト等の複塩が挙げられる。
炭酸塩:好適な炭酸塩は、炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウムである。洗濯洗剤は、重炭酸塩を含んでよい。組成物は、低濃度の炭酸塩を含むことが好適である場合があり、例えば、組成物は、0重量%〜10重量%の炭酸塩、又は〜8重量%、又は〜6重量%、又は〜4重量%、又は〜3重量%、又は〜2重量%、又は更には〜1重量%の炭酸塩しか含まないことが好適である場合がある。洗濯洗剤は、更に、炭酸塩を実質的に含まなくてもよい。実質的に含まないとは、「意図的に添加しない」ことを意味する。
炭酸塩は、100〜500マイクロメートルの重量平均粒径を有し得る。あるいは、炭酸塩は、10〜25マイクロメートルの重量平均粒径を有し得る。
ケイ酸塩:洗濯洗剤は、0重量%〜20重量%のケイ酸塩、又は〜15重量%、又は〜10重量%、又は〜5重量%、又は〜4重量%、又は更には〜2重量%のケイ酸塩しか含まなくてよく、0重量%超、又は0.5重量%超、又は更には1重量%超のケイ酸塩を含んでもよい。ケイ酸塩は、結晶質又は非晶質であってよい。好適な結晶質ケイ酸塩としては、SKS−6等の結晶質層状ケイ酸塩が挙げられる。他の好適なケイ酸塩としては、1.6Rケイ酸塩及び/又は2.0Rケイ酸塩が挙げられる。好適なケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウムである。別の好適なケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウムである。
充填剤:洗濯洗剤は、0重量%〜70重量%の充填剤を含んでよい。好適な充填剤としては、硫酸塩及び/又はバイオ充填剤材料が挙げられる。
硫酸塩:好適な硫酸塩は、硫酸ナトリウムである。硫酸塩は、100〜500マイクロメートルの重量平均粒径を有し得るか、又は硫酸塩は、10〜45マイクロメートルの重量平均粒径を有し得る。
バイオ充填剤材料:好適なバイオ充填剤材料は、アルカリ処理及び/又は漂白処理された農業廃棄物である。
炭酸カルシウム結晶成長抑制剤:洗濯洗剤は、1−ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩、N,N−ジカルボキシメチル−2−アミノペンタン−1,5−二酸及びその塩、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸及びその塩、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるもの等の炭酸カルシウム結晶成長抑制剤を含んでよい。
再付着防止剤、例えば、セルロースエステル及びエーテル、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムも存在してよい。
存在し得る他の成分としては、溶媒、ヒドロトロープ、例えば、ナトリウム、又はカルシウムクメンスルホネート、カリウムナフタレンスルホネート等、蛍光剤、必要に応じて発泡促進剤又は発泡制御剤(消泡剤)、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、TEA−25(カチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル)、塩化カルシウム、他の無機塩類、流動助剤、例えば、シリカ及び非晶質アルミノシリケート、布地コンディショニング化合物、更なる粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、他の香料又はプロ香料、並びにこれら洗浄補助剤の1つ以上の組み合わせが挙げられる。
洗濯洗剤又は洗浄組成物の使用方法
組成物は、典型的に、部位、特に表面又は布地を洗浄及び/又は処理するために用いられる。本明細書で使用するとき、「表面」は、皿類、ガラス製品、及び他の調理用器具表面、硬質表面、毛髪又は皮膚等の表面を含んでよい。このような方法は、洗濯洗剤又は洗浄組成物の実施形態を、未希釈形態で、又は洗浄液で希釈して、表面又は布地の少なくとも一部と接触させ、次いで、所望により、このような表面又は布地をすすぐ工程を含む。表面又は布地は、前述のすすぎ工程の前に洗浄工程を経てもよい。本発明の目的上、「洗浄」は、擦る、拭く、及び機械的攪拌を含むが、これらに限定されない。
組成物溶液のpHは、pH約5〜約11の広い範囲にわたって洗浄される標的表面に対して最も相補的になるように選択される。皮膚及び毛髪洗浄のようなパーソナルケアの場合、かかる組成物のpHは、好ましくはpH約5〜約8であり、洗濯洗浄組成物の場合、pH約8〜約10である。組成物は、好ましくは、溶液中約200ppm〜約10,000ppmの濃度で用いられる。水温は、好ましくは約5℃〜約100℃の範囲である。
当業者に理解されるように、本発明の洗濯洗剤は、理想的には、洗濯用途に用いるのに適している。それゆえに、本発明は布地を洗濯する方法を含む。方法は、カルボキシル基含有ポリマーを含む洗濯洗剤と、洗濯される布地とを接触させる工程を含んでよい。布地は、標準的な消費者の使用条件で洗濯され得る大抵の任意の布地を含んでもよい。溶液のpHは、約8〜約10.5であるのが好ましい。洗濯洗剤は、溶液中約500ppm〜約15,000ppmの濃度で使用してよく、任意で、より薄い洗浄条件を用いてもよい。水温は、典型的には約5℃〜約90℃の範囲である。水対布地の比率は典型的には、約1:1〜約30:1である。
布地を洗濯する方法は、頂部充填式又は前側充填式自動洗濯機で実施してもよく、又は手洗い洗濯用途で使用してもよい。これら用途では、形成される洗浄液、及び洗浄液中の洗濯洗剤組成物の濃度は、主要洗浄サイクルのものである。洗浄液の容積を決定する際には、いずれの任意選択的なすすぎ工程中の、いずれの水の投入量も含まれない。
洗浄液は、40リットル以下の水、又は30リットル以下、又は20リットル以下、又は10リットル以下、又は8リットル以下、又は更には6リットル以下の水を含み得る。洗浄液は、0超〜15リットル、又は2リット以上且つ12リットル以下、又は更には8リットル以下の水を含み得る。希薄洗浄条件の場合、洗浄液は、特に手洗い条件では、150リットル以下の水、100リットル以下の水、60リットル以下の水、又は50リットル以下の水を含んでよく、すすぎ回数に依存し得る。
典型的に、洗浄液1リットル当たり0.01kg〜2kgの布地を洗浄液に投入する。典型的に、洗浄液1リットル当たり0.01kg以上、又は0.05kg以上、又は0.07kg以上、又は0.10kg以上、又は0.15kg以上、又は0.20kg以上、又は0.25kg以上の布地を洗浄液に投入する。
任意で、50g以下、又は45g以下、又は40g以下、又は35g以下、又は30g以下、又は25g以下、又は20g以下、又は更には15g以下、又は更には10g以下の組成物を水に接触させて、洗浄液を形成する。
当業者には理解されるように、上記の洗浄組成物は、理想的には、ホームケア(硬質表面洗浄組成物)及び/又は食器洗浄組成物における使用に適している。
試験方法
カルボキシル基含有ポリマーを含む本発明の洗濯洗剤又は洗浄組成物の特性を決定するための様々な技術が当該技術分野において既知であるが、本明細書に記載及び請求する本発明を十分に理解することができるためには、以下のアッセイを使用しなければならない。
試験1:重量平均分子量(Mw)の測定
ポリマーの重量平均分子量は、以下の条件下でゲル透過クロマトグラフィー(GPC)の技術によって決定される。
測定装置:L−7000シリーズ(Hitachi Ltd.の製品)
検出器:HITACHI RI Detector、L−7490)
カラム:SHODEX Asahipak GF−310−HQ、GF−710−HQ、GF−1G 7B(Showa Denko K.K.の製品)
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/分
較正曲線:ポリアクリリック標準(Sowa Kagaku Co.,Ltd.の製品)
溶離液:0.1Nの酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)
試験2:モノマー及び付加物の定量
エーテル結合含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、アクリル酸系モノマー、及び亜硫酸水素塩付加物は、以下の条件下で高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量する。
測定装置:L−7000シリーズ(Hitachi Ltd.の製品)
検出器:UV検出器、L−7400(Hitachi Ltd.の製品)
カラム:SHODEX RSpak DE−413(Showa Denko K.K.の製品)
温度:40.0℃
溶離液:0.1%リン酸水溶液
流速:1.0mL/分
試験3:固形分含量の測定
本発明のカルボキシル基含有ポリマー組成物1.0gと水1.0gとの混合物を、乾燥するように、窒素雰囲気中で130℃に加熱したオーブン内に1時間放置する。固形分含量(%)及び揮発性成分含量(%)を、乾燥工程前後の質量変化から計算する。
試験4:汚れ再付着防止試験(硬水条件下)
この試験は、汚れが布地上に付着するのを防ぐポリマーの能力を測定する。汚れ再付着防止能試験は、以下の手順に基づいてカーボンブラックを用いて実施する。
(1)白色の綿布から選択した試験布地(Testfabric Inc.から入手可能)を5cm×5cmのサンプルに切断する。比色分析色差計(SE2000、Nippon Denshoku Industries Co.,Ltd.の製品)で反射率を測定することによって、この白色布サンプルについての白色度を決定する。
(2)硬水条件(20Kg)が調製されるように、純水(イオン交換水)を塩化カルシウム二水和物(8.82g)に添加する。
(3)純水(イオン交換水)をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(4g)、炭酸水素ナトリウム(4.75g)、及び硫酸ナトリウム(4g)に添加することにより、混合物(90.0g)を調製し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH 10に調整する。界面活性剤水溶液(合計100.0g)を調製するように、純水を更に添加する。
(4)テルゴメーター(tergotmeter)を25℃に設定する。硬水(1L)、界面活性剤水溶液(2.5g)、0.4%(固形分含量に基づいて)ポリマー水溶液(2.5g)、ゼオライト(0.075g)、及びカーボンブラック(0.05g)を、100rpmにてポット内で1分間撹拌する。次いで、7枚の白色布サンプルを混合物中に入れ、混合物を100rpmで10分間撹拌する。
(5)白色布サンプルを手で絞り、25℃の硬水(1L)をポットに注ぎ、100rpmで2分間撹拌する。
(6)白色布サンプルを、それぞれ、布片で覆い、しわをのばしながらアイロンをかけることによって乾燥させる。この布サンプルを、比色分析色差計で白色度として反射率を再度測定する。
(7)汚れ再付着防止比を、測定結果に基づいて以下の等式から決定する。
試験5:界面活性剤との相溶性試験
それぞれカルボキシル基含有ポリマーを含む洗濯洗剤を、以下の材料を用いて調製する:
SFT−70H(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、NIPPON SHOKUBAI Co.,Ltd.の製品):40g
NEOPELEX F−65(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、花王の製品):7.7g
(活性成分:5g)
Kohtamin 86W(ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、花王の製品):17.9g
(活性成分:5g)
ジエタノールアミン:5g
エタノール:5g
プロピレングリコール:5g
試験試料:1.5g(固体含量に基づいて)
イオン交換水:100gの洗剤組成物をもたらすための残部
(1)全ての成分が均一に分散するように、混合物を十分に攪拌する。
混合物の濁度(カオリン濁度、mg/L)を、濁度計(「NDH2000」日本電色工業株式会社の製品)を用いて25℃にて測定された濁度によって評価する。
(2)結果の評価は、以下の基準に基づいて行う:
良い:0以上かつ50mg/L未満のカオリン濁度;相分離、沈殿、及び濁りが目視にて観察されない。
中等度:50mg/L以上かつ200mg/L未満のカオリン濁度;わずかな濁りが目視にて観察される。
不良:200mg/L以上のカオリン濁度;濁りが目視にて観察される。
試験6:白色度の維持アッセイ
この試験は、布地の白色度の喪失を防ぐ(即ち、白色度を維持する)洗濯洗剤の能力を測定することを意図する。布地の白色度の維持は、単一又は多サイクル洗浄後に画像解析によって評価する。典型的に、「白色度」は、その白色度指数によって報告することができ、これは、CIELAB(CIE(「Commission Internationale de I’Eclairage」)によって開発された国際的に認められたカラースケール系)から便利に変換される。白色度についてのCIEカラースケールは、最も一般的に使用される白色度の指標であり、屋外の日光を標準的に表すD65照明の下で行われる測定値のことを言う。技術用語では、白色度は、(特定の照明条件下で白色に近い材料の)白色度の相対的な程度を参照する単数指数であり、数が大きいほど、材料が白い。例として、完全に反射する非蛍光白色材料についてのCIE白色度指数(L*)は、100になるであろう。
本発明の洗濯洗剤の白色度の維持をアッセイするための工程は、以下の通りである:
(1)本明細書における表1に示す濃度に従って、(真空ブフナー濾過装置と共に0.1マイクロメートルのMilliporeメンブレンフィルターを用いて)三回濾過した脱イオン水600gに洗濯洗剤原材料1.1gを溶解させる。
(2)洗浄溶液14mLを20mLのガラスバイアル瓶に移す。次いで、洗浄溶液を本発明のポリマー又は比較ポリマーと混合して、「改変」洗濯洗剤洗浄溶液を作製する。アッセイされる各ポリマー又は比較ポリマーについて、2つのガラスバイアル瓶を準備し、14μL及び56μLの1%溶液を添加する。Teflonコーティングされた磁石を更なる攪拌のために加える。
(3)28μLの1%硬度原液を洗濯溶液に加える。1%水硬度溶液を、以下の手順に従って調製する。
(4)1%水硬度溶液を、以下の手順に従って調製する。1Lのビーカーに、168.09gのCaC1
2〜2H
20及び116.22gのMgC1
2〜6H
20を加える。800mLの脱イオン水を加える。撹拌棒及び撹拌板を用いて、混合物が溶解し、溶液が透明になるまで溶液を撹拌する。溶液を1Lのメスフラスコに注ぎ、1Lの線まで満たす。撹拌棒をフラスコに加え、再度約5分間撹拌する。撹拌棒を取り出し、1Lの線まで脱イオン水を再度満たす。使用する準備が整うまで、溶液をプラスチックの瓶で保管する。
(5)20mLのガラスバイアル瓶において、6.1μLの人工身体汚れを洗浄溶液に添加する。人工身体汚れ組成物は、表2に従って調製する。
(6)試験布地は、Empirical Manufacturing Company(Blue Ash,Cincinnati)から購入した直径1.5cmのポリエステル布地(PW19)及び/又は直径1.5cmの綿布(CW120)から選択する。9枚のポリエステル布地及び9枚の綿布を20mLのガラスバイアル瓶の洗浄溶液に添加する。20mLの洗浄バイアル瓶を、Wrist Action Shaker Model 75(Burrell Scientific(Pittsburgh,Pennsylvania))にしっかりと固定する。タイマーを使用し、30分間洗浄を実施する。洗浄の終了時に、ガラスバイアル瓶の洗浄溶液中の内容物をブフナー漏斗に移す。試験布地ディスクを別の20mLのバイアル瓶に移し、14mLのすすぎ溶液を加える。
(7)すすぎ溶液を調製するため、28μLの1%硬度溶液を14mLの脱イオン濾過水に加える。バイアル瓶をWrist Action Shakerに固定し、3分間すすぎを行う。すすぎの終了時に、Wrist Action Shakerから取り外し、黒色プラスチック型板に試験布地を置く。少なくとも2時間風乾する。多サイクル洗浄の場合、上記工程だけを繰り返す。
(8)各試験布地について、洗浄サイクル前(即ち、初期)及び洗浄サイクル後(即ち、処理後)の2つの白色度指数を、Datacolor分光計によりCIELab色パラメータを用いて測定する。初期未洗浄布地と最終洗浄布地との間の相対白色度指数(即ち、白色度の喪失)を報告する。
(9)初期と処理後との白色度指数測定値の差を表すデルタW(即ち、ΔW)を、試験した各布地について計算し、以下の計算式によって表す。
ΔW=初期白色度指数−処理後白色度指数
典型的に、ΔWは、白色度が洗浄後に低下する傾向があるとき、負の値である。
(10)更に、白色度維持効果率(即ち、% WME)を、以下の計算式を用いて決定する。
式中、
ΔW
Pi=対象ポリマーのΔW
ΔW
Pr=参照ポリマーのΔW
(例えば、比較ポリマー1又は2)
%WMEは、洗濯洗剤の、特にポリマーの、洗浄後の布地の白色度の喪失を防ぐ能力を表す。白色度維持性能は、%WMEが高いほど改善される。
以降、本発明は、実施例に基づいてより詳細に説明される。全ての部は、特に言及しない限り重量を基準とし、並びに全てのパーセンテージは、特に言及されない限り質量を基準とする。
実施例1:カルボキシル基含有ポリマーの合成
本明細書に開示する方法によって表3中の以下のカルボキシル基含有ポリマーを調製したが、当業者に既知の他の方法によって合成することもできる。したがって、以下の合成実施例は、ポリマーを合成するために用いる方法を例示するためのものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1A:ポリマー1の合成
(1)モノマーの合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える500mLの4つ口ガラスフラスコ内において、60℃に加熱しながらn−ブチルアルコール(370.0g)及び水酸化ナトリウムペレット(4.27g)を撹拌した。次に、アリルグリシジルエーテル(以後「AGE」と称する)(57.0g)を30分間かけてそれに添加し、次いで、混合物を5時間反応させた。得られた溶液を1000mLの回収フラスコに移し、その中の溶媒をロータリーエバポレータによって除去した。残渣に、20質量%塩化ナトリウム水溶液(200.0g)を添加し、得られた水溶液を500mLの分液漏斗に移した。溶液を十分振盪させ、次いで、溶液が相に分離するまで放置した。下相を除去し、上相を300mLの回収フラスコに移して、その中の溶媒をロータリーエバポレータによって除去した。沈殿した塩を濾過によって除去し、それによってポリマー(1)を得た。
(2)重合
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える1000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(128.4g)及びモール塩(0.0187g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80%アクリル酸水溶液(以後、80% AAとも称する)(270.0g)、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムの40%水溶液(以後、40% HAPSとも称する)(192.0g)、モノマー(1)(15.0g)、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以後、15% NaPSとも称する)(68.7g)、及び35%硫酸水素ナトリウム水溶液(以後、35% SBSとも称する)(19.6g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、120分間、120分間、190分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48%水酸化ナトリウム水溶液(以後、48% NaOHとも称する)(193.3g)を徐々に滴下した。
これらの工程により、本発明のポリマー(1)を含有するポリマー水溶液(1)を調製した。ポリマー水溶液(1)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(1)の重量平均分子量は、35,000であった。ポリマー(1)は、5質量%の構造(a)と、23質量%の単位(b)と、72質量%の単位(c)とを含む。
実施例1B:ポリマー2の合成
(1)モノマーの合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2Lの4つ口ガラスフラスコ内において、液体温度を50℃に制御しながら、窒素パージ下で純水(491.0g)及びジーn−ブチルアミン(258.0g)を撹拌した。続いて、撹拌しながら2時間かけてAGE(232.8g)をそれに徐々に滴下した。液体温度は、50℃〜60℃に維持した。滴下完了後、液体温度を60℃に維持しながら、得られた混合物を2時間熟成させた。
室温に冷却した後、液体を分液漏斗に移し、放置した。その結果、液体が2相に分離した。下相の水相を除去した。上相を純水で洗浄した。得られた液体を回収フラスコに移し、その中の水をロータリーエバポレータによって完全に除去した。このようにして、モノマー(2)を得た。
(2)重合
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える1000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(128.6g)及びモール塩(0.0186g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(270.0g)、40% HAPS(192.0g)、モノマー(2)(15.0g)、15% NaPS(68.3g)、及び35% SBS(14.6g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(2)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、150分間、120分間、190分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(193.3g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(2)を含有するポリマー水溶液(2)を調製した。ポリマー水溶液(2)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(2)の重量平均分子量は、37,000であった。ポリマー(2)は、15質量%の構造(a)と、13質量%の単位(b)と、72質量%の単位(c)とを含む。
実施例1C:ポリマー3の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える1000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(146.8g)及びモール塩(0.0186g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(270.0g)、40% HAPS(150.2g)、モノマー(1)(30.0g)、15% NaPS(68.7g)、及び35% SBS(19.6g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、130分間、140分間、190分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(197.5g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(3)を含有するポリマー水溶液(3)を調製した。ポリマー水溶液(3)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(3)の重量平均分子量は、46,000であった。ポリマー(3)は、10質量%の構造(a)と、18質量%の単位(b)と、72質量%の単位(c)とを含む。
実施例1D:ポリマー4の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(184.1g)及びモール塩(0.0252g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(400.0g)、40% HAPS(166.9g)、モノマー(1)(20.0g)、15% NaPS(102.4g)、及び35% SBS(22.2g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、120分間、150分間、200分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(298.2g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(4)を含有するポリマー水溶液(4)を調製した。ポリマー水溶液(4)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(4)の重量平均分子量は、35,000であった。ポリマー(4)は、5質量%の構造(a)と、15質量%の単位(b)と、80質量%の単位(c)とを含む。
実施例1E:ポリマー5の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(222.5g)及びモール塩(0.0249g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(450.0g)、40% HAPS(55.6g)、モノマー(1)(20.0g)、15% NaPS(111.1g)、及び35% SBS(22.3g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35%SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、150分間、150分間、200分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(298.2g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(5)を含有するポリマー水溶液(5)を調製した。ポリマー水溶液(5)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(5)の重量平均分子量は、37,000であった。ポリマー(5)は、5質量%の構造(a)と、5質量%の単位(b)と、90質量%の単位(c)とを含む。
実施例1F:ポリマー6の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(184.1g)及びモール塩(0.0251g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(400.0g)、40% HAPS(166.9g)、モノマー(1)(20.0g)、15% NaPS(102.4g)、及び35% SBS(18.0g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、120分間、150分間、200分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(298.2g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(6)を含有するポリマー水溶液(6)を調製した。ポリマー水溶液(6)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(6)の重量平均分子量は、47,000であった。ポリマー(6)は、5質量%の構造(a)と、15質量%の単位(b)と、80質量%の単位(c)とを含む。
実施例1G:ポリマー7の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(187.8g)及びモール塩(0.0251g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(400.0g)、40% HAPS(166.9g)、モノマー(1)(20.0g)、15% NaPS(97.2g)、及び35% SBS(20.8g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、120分間、150分間、190分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(298.2g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(7)を含有するポリマー水溶液(7)を調製した。ポリマー水溶液(7)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(7)の重量平均分子量は、39,000であった。ポリマー(7)は、5質量%の構造(a)と、15質量%の単位(b)と、80質量%の単位(c)とを含む。
実施例1H:ポリマー8の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(187.8g)及びモール塩(0.0252g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(400.0g)、40% HAPS(166.9g)、モノマー(1)(20.0g)、15% NaPS(97.2g)、及び35% SBS(23.6g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、120分間、150分間、190分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(298.2g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(8)を含有するポリマー水溶液(8)を調製した。ポリマー水溶液(8)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(8)の重量平均分子量は、32,000であった。ポリマー(8)は、5質量%の構造(a)と、15質量%の単位(b)と、80質量%の単位(c)とを含む。
実施例1I:ポリマー9の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(182.6g)及びモール塩(0.0253g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(400.0g)、40% HAPS(166.9g)、モノマー(1)(20.0g)、15% NaPS(102.4g)、及び35% SBS(30.5g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、120分間、150分間、200分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(298.2g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(9)を含有するポリマー水溶液(9)を調製した。ポリマー水溶液(9)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(9)の重量平均分子量は、25,000であった。ポリマー(9)は、5質量%の構造(a)と、15質量%の単位(b)と、80質量%の単位(c)とを含む。
実施例1J:ポリマー10の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(295.5g)及びモール塩(0.0354g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(590.6g)、40% HAPS(125.2g)、モノマー(1)(45.0g)、15% NaPS(140.7g)、及び35% SBS(30.1g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、150分間、150分間、200分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(452.3g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(10)を含有するポリマー水溶液(10)を調製した。ポリマー水溶液(10)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(10)の重量平均分子量は、46,000であった。ポリマー(10)は、8質量%の構造(a)と、8質量%の単位(b)と、84質量%の単位(c)とを含む。
実施例1K:ポリマー11の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(250.4g)及びモール塩(0.0360g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(522.0g)、40% HAPS(371.1g)、モノマー(1)(29.0g)、15% NaPS(132.8g)、及び35% SBS(26.6g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、120分間、150分間、190分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(373.8g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(11)を含有するポリマー水溶液(11)を調製した。ポリマー水溶液(11)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(11)の重量平均分子量は、43,000であった。ポリマー(11)は、5質量%の構造(a)と、23質量%の単位(b)と、72質量%の単位(c)とを含む。
実施例1L:ポリマー12の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(280.4g)及びモール塩(0.0352g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(548.6g)、40% HAPS(185.5g)、モノマー(1)(50.0g)、15% NaPS(134.1g)、及び35% SBS(55.5g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、150分間、150分間、200分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(413.3g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(12)を含有するポリマー水溶液(12)を調製した。ポリマー水溶液(12)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(12)の重量平均分子量は、22,000であった。ポリマー(12)は、9質量%の構造(a)と、12質量%の単位(b)と、79質量%の単位(c)とを含む。
実施例1M:ポリマー13の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(252.1g)及びモール塩(0.0356g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(566.7g)、40% HAPS(268.0g)、モノマー(1)(17.0g)、15% NaPS(137.6g)、及び35% SBS(29.5g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、120分間、150分間、200分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(419.2g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(13)を含有するポリマー水溶液(13)を調製した。ポリマー水溶液(13)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(13)の重量平均分子量は、34,000であった。ポリマー(13)は、3質量%の構造(a)と、17質量%の単位(b)と、80質量%の単位(c)とを含む。
実施例1N:ポリマー14の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(101.9g)及びモール塩(0.0222g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(332.5g)、40% HAPS(237.5g)、モノマー(1)(19.0g)、15% NaPS(85.6g)、及び35% SBS(30.6g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、150分間、120分間、190分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(247.9g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(14)を含有するポリマー水溶液(14)を調製した。ポリマー水溶液(14)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(14)の重量平均分子量は、28,000であった。ポリマー(14)は、5質量%の構造(a)と、15 23質量%の単位(b)と、80 72質量%の単位(c)とを含む。
実施例1O:ポリマー15の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(130.2g)及びモール塩(0.0185g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(270.0g)、40% HAPS(192.0g)、モノマー(1)(15.0g)、15% NaPS(68.7g)、及び35% SBS(9.8g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、120分間、150分間、190分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(193.3g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、本発明のポリマー(15)を含有するポリマー水溶液(15)を調製した。ポリマー水溶液(15)の固形分含量は、45%であり、ポリマー(15)の重量平均分子量は、58,000であった。ポリマー(15)は、5質量%の構造(a)と、23質量%の単位(b)と、72質量%の単位(c)とを含む。
実施例2:比較ポリマーの合成
本明細書に開示する方法によって表4中の以下の比較ポリマーを調製したが、当業者に既知の他の方法によって合成することもできる。したがって、以下の合成実施例は、ポリマーを合成するために用いる方法を例示するためのものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例2A:比較ポリマー1の合成
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える2000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(125.7g)及びモール塩(0.0190g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(270.0g)、40% HAPS(192.0g)、モノマー(1)(15.0g)、15% NaPS(68.7g)、及び35% SBS(34.3g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、120分間、150分間、190分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(193.3g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、比較ポリマー(2)を含有する比較ポリマー水溶液(2)を調製した。比較ポリマー水溶液(2)の固形分含量は、45%であり、比較ポリマー(2)の重量平均分子量は、17,000であった。比較ポリマー(2)は、5質量%の構造(a)と、23質量%の単位(b)と、72質量%の単位(c)とを含む。
実施例2B:比較ポリマー2の合成
国際公開第2010/04468号に開示されている方法によって、本明細書に開示する方法によって、又は当業者に既知の方法によって、比較ポリマー4(「CP4」)を調製することができる。あるいは、CP4は、以下の通り調製してもよい。
還流凝縮器及び撹拌棒(パドルブレード)を備える1000mLのガラスセパラブルフラスコ内において、85℃に加熱しながら純水(121.1g)及びモール塩(0.0194g)を撹拌した。このように、重合反応系を構築した。次に、80% AA(270.0g)、40% HAPS(192.0g)、モノマー(1)(15.0g)、15% NaPS(68.7g)、及び35% SBS(58.9g)を、撹拌しながら、85℃に維持された重合反応系に異なるノズルを通して別々に滴下した。80% AA、40% HAPS、モノマー(1)、15% NaPS、及び35% SBSの滴下時間は、それぞれ、180分間、120分間、150分間、190分間、及び175分間であった。各溶液の滴下は、一定速度で連続して実施した。
80% AAの滴下が完了した後、85℃で30分間反応溶液を維持した(熟成させた)。このようにして、重合を完了させた。重合の完了後、重合反応溶液を撹拌しながら冷却し、次いで、48% NaOH(193.3g)を徐々に滴下することによって中和した。
これらの工程により、比較ポリマー(2)を含有する比較ポリマー水溶液(2)を調製した。比較ポリマー水溶液(2)の固形分含量は、45%であり、比較ポリマー(2)の重量平均分子量は、8,200であり、比較ポリマー(2)の上記試験方法に係る汚れ再付着防止能は、32.6%であった。比較ポリマー(2)は、5質量%の構造(a)と、23質量%の単位(b)と、72質量%の単位(c)とを含む。
実施例3:汚れ再付着防止アッセイの結果
本発明のカルボキシル基含有ポリマー及び比較ポリマーの選択例の汚れ再付着防止比(即ち、能)を、試験方法の項に記載する方法でアッセイした。結果を本明細書における表5に示す。ポリマー及び比較ポリマーのそれぞれについて、構造単位(a)、(b)、及び(c)の質量比(質量%)、3ースルホプロピオン酸(3SPA)の含量(ppm)、及び重量平均分子量(g/モル)を表5に示す。更に、表5で用いられる「OBu」及び「OBu2」は、それぞれ、n−ブチルアルコールの水素原子が除去されているn−ブチルアルコール基、及びジーn−ブチルアミンの水素原子が除去されているジーn−ブチルアミン基を指す。
結果:結果は、エーテル結合含有モノマー(A)に由来する構造単位(a)、スルホン酸基含有モノマー(B)に由来する構造単位(b)、及びアクリル酸系モノマー(C)に由来する構造単位(c)を特定の濃度で含み、且つ特定の重量平均分子量を有するカルボキシル基含有ポリマー、及びこれらカルボキシル基含有ポリマーを含む組成物、好ましくは、亜硫酸水素塩の上記アクリル酸系モノマー(C)に対する付加物を特定の量含む組成物は、特に硬度の高い水で洗浄する条件において、高い汚れ再付着防止能を有することを示した。更に、本発明のカルボキシル基含有ポリマー間の汚れ再付着防止能の差は、比較ポリマー1(M.W.17,000)よりも遥かに高く、これは、カルボキシル基含有ポリマーが、本発明の洗濯洗剤に配合されたとき、より硬度の高い水で洗浄する条件で必要とされる、汚れ成分が布地に再付着するのを防ぐ必須の高レベルの性能を有することを示唆する。更に、理論に縛られるものではないが、汚れ再付着防止比は、本発明に係る洗濯洗剤組成物に添加したときのポリマーの全体的な白色度維持特性の優れた且つ再現可能な指標であると考えられる。
実施例4:選択した実施例の白色度の維持
サンプル洗濯洗剤処方における本発明のカルボキシル基含有ポリマー及び比較ポリマーの白色度維持性能を、本明細書に記載する白色度維持アッセイに記載する方法でアッセイした。この試験の目的は、本発明のカルボキシル基含有ポリマーの白色度維持性能が改善されていることを立証することである。具体的には、本発明者らは、国際公開第2010/04468号から例示的なポリマーを同定した。これらは、本明細書に比較ポリマー1及び2として開示されている(それぞれ、「CP1」及び「CP2」とも呼ばれる)。
CP1は、重量平均分子量が17,000であり、5質量%のエーテル結合含有モノマー、23質量%のスルホン酸系モノマー、及び72質量%のアクリル酸系モノマーのモル比を有するカルボン酸基含有ポリマーである。一方、CP2は、重量平均分子量が8,200であり、5質量%のエーテル結合含有モノマー、23質量%のスルホン酸系モノマー、及び72質量%のアクリル酸系モノマーのモル比を有するカルボン酸基含有ポリマーである。
したがって、重量平均分子量がより低いことから、比較ポリマー1及び2は、請求する重量平均分子量約20,000〜約60,000の範囲外である。評価のために選択したポリマー及び比較ポリマーの完全な一覧については、表6を参照。
結果:高濃度(即ち、従来の洗浄条件で40ppm)のカルボキシル基含有ポリマー又は比較ポリマーについての結果を表7及び8に示す。低濃度(即ち、従来の洗浄条件で10ppm)のカルボキシル基含有ポリマー又は比較ポリマーについての結果を表9及び10に示す。
表7及び8の結果は、カルボキシル基含有ポリマー1及び4が、高濃度下で比較ポリマーのいずれよりも優れたΔW白色度指数(即ち、白色度指数)を示すことを示した。低濃度のカルボキシル基含有ポリマー対比較ポリマーを用いて洗濯洗剤を処方したとき、表9及び10に示す通り、白色度の維持の改善が更により著しかった。結果は、カルボキシル基含有ポリマーが、モルベースで比較ポリマーよりも顕著に活性が高く、したがって、カルボキシル基含有ポリマーは、特に、希薄水条件で十分な活性を有して、必要とされる洗浄性能、即ち、白色度の維持を達成し得ることを示唆する傾向がある。これら結果によると、性能に悪影響を与えることなく、低濃度でより高い白色度の維持を達成し得るという点で、本明細書に記載する利点及び/又は実用性について、先行技術のポリマー、特に‘468号特許のカルボキシル基含有ポリマーよりも、本発明のカルボキシル基含有ポリマーを洗濯洗剤又は洗浄組成物において使用する方が都合が良い。
更に、比較ポリマー1に関する、白色度の維持に対する分子量の影響を図1に示す。図1によれば、より高分子量のカルボキシル基含有ポリマーは、著しく強化された白色度の維持性能を示した。
実施例5:洗濯洗剤処方の合成
本発明の1つの態様に係るカルボキシル基含有ポリマーを用いてサンプル洗濯洗剤処方を調製する。成分を混合するための標準的工業的手法を用いて、この処方を調製する。処方を表11に記載する。洗浄プロセス中の処理した布地表面からの汚れ再付着防止及び白色度の維持を改善する能力を証明するために、実施例の洗濯洗剤処方を試験した。
*全ての酵素濃度は、洗剤組成物100g当たりのrug活性酵素タンパク質として表した。
界面活性剤成分は、BASF(Ludwigshafen,Germany)(Lutensol(登録商標));Shell Chemicals(London,UK);Stepan(Northfield,Ill,USA);Huntsman(Huntsman,Salt Lake City,Utah,USA);Clariant(Sulzbach,Germany)(Praepagen(登録商標))からから入手することができる。
トリポリリン酸ナトリウムは、Rhodia(Paris,France)から入手することができる。
ゼオライトは、Industrial Zeolite(UK)Ltd(Grays,Essex,UK)から入手することができる。
クエン酸及びクエン酸ナトリウムは、Jungbunzlauer(Basel,Switzerland)から入手することができる。
NOBSは、Eastman(Batesville,Ark.,USA)から供給されているナトリウムノナノイルオキシベンゼンスルホネートである。
TAEDは、Clariant GmbH(Sulzbach,Germany)からPeractive(登録商標)のブランド名で供給されているテトラアセチルエチレンジアミンである。
炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムは、Solvay(Brussels,Belgium)から入手することができる。
ポリアクリレート、ポリアクリレート/マレエートコポリマーは、BASF(Ludwigshafen,Germany)から入手することができる。
Repel−O−Tex(登録商標)は、Rhodia(Paris,France)から入手することができる。
Texcare(登録商標)は、Clariant(Sulzbach,Germany)から入手することができる。
過炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムは、Solvay(Houston,Tex.,USA)から入手することができる。
エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸、(S,S)異性体(EDDS)のNa塩は、Octel(Ellesmere Port,UK)から供給された。
ヒドロキシエタンジホスホネート(HEDP)は、Dow Chemical(Midland,Mich.,USA)から供給された。
酵素Savinase(登録商標)、Savinase(登録商標)Ultra、Stainzyme(登録商標)Plus、Lipex(登録商標)、Lipolex(登録商標)、Lipoclean(登録商標)、Celluclean(登録商標)、Carezyme(登録商標)、Natalase(登録商標)、Stainzyme(登録商標)、Stainzyme(登録商標)Plus、Termamyl(登録商標)、Termamyl(登録商標)ultra、及びMannaway(登録商標)は、Novozymes(Bagsvaerd,Denmark)から入手することができる。
酵素Purafect(登録商標)、FN3、FN4、及びOptisizeは、Genencor International Inc.(Palo Alto,California,US)から入手することができる。
ダイレクトバイオレット9及び99は、BASF DE(Ludwigshafen,Germany)から入手することができる。
ソルベントバイオレット13は、Ningbo Lixing Chemical Co.,Ltd.(Ningbo,Zhejiang,China)から入手することができる。
増白剤は、Ciba Specialty Chemicals(Basel,Switzerland)から入手することができる。
百分率及び比率は全て、別途記載のない限り重量で計算される。全ての百分率及び比率は、別途記載のない限り組成物全体を基準にして計算される。
本明細書の全体を通じて与えられる全ての最大の数値限定は、それよりも小さい数値限定を、そうしたより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものと理解すべきである。本明細書全体を通して記載される全ての最小数値限定は、このようなより高い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、全てのより高い数値限定を含む。本明細書全体を通して記載される全ての数値範囲は、このようなより狭い数値範囲が本明細書に明示的に記載されているかのように、このようなより広い数値範囲内の全てのより狭い数値範囲を含む。
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を包含する本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、その全てが本明細書中に参照により組み込まれる。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。