実施形態1.
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明による商談支援装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、商談支援装置は、商談開始部11と、商談支援部12と、音声認識部13と、商談状況算出部14と、予兆検知部15と、アラーム通知部16と、商談終了部17とを含む。
また、商談支援装置は、商談管理データベース(DB)10と、商談履歴DB20と、予兆検知判定ルールDB30と、担当者DB40とを含む。
商談開始部11は、商談開始の処理を実行する。
商談支援部12は、音声認識部13、商談状況算出部14および予兆検知部15を制御して、売り手が回避すべき商談、すなわち大幅値引き商談の予兆を検知する。
音声認識部13は、商談の発話音声を認識する。
商談状況算出部14は、発話内容、音量および話者に関する情報から、現在の商談状況を算出する。
予兆検知部15は、現在の商談状況と直前の商談状況から、大幅値引き商談に陥る予兆があるかどうかを判定する。
アラーム通知部16は、大幅値引き商談に陥る予兆があった場合にアラームを通知する。
商談終了部17は、商談終了の処理を実行する。
商談管理DB10は、商談情報を記憶する。本実施形態では、商談管理DB10は、商談情報として、商談管理テーブルを記憶する。図2は、商談管理テーブルの一例を示す説明図である。
商談履歴DB20は、商談の発話内容、話者の情報等を含む商談履歴情報を記憶する。本実施形態では、商談履歴DB20は、商談履歴情報として、商談状況履歴テーブル、発話音量履歴テーブルおよびキーワード出現履歴テーブルを記憶する。図3は、商談状況履歴テーブルの一例を示す説明図である。図4は、発話音量履歴テーブルの一例を示す説明図である。図5は、キーワード出現履歴テーブルの一例を示す説明図である。
予兆検知判定ルールDB30は、大幅値引き商談に陥る予兆を判定するためのルールを示す情報を記憶する。本実施形態では、予兆検知判定ルールDB30は、判定計算条件テーブル、音量変化条件テーブル、キーワード条件テーブルおよび担当者返答スピード条件テーブルを記憶する。図6は、判定計算条件テーブルの一例を示す説明図である。図7は、音量変化条件テーブルの一例を示す説明図である。図8は、キーワード条件テーブルの一例を示す説明図である。図9は、担当者返答スピード条件テーブルの一例を示す説明図である。
担当者DB40は、売り手となる担当者の情報を記憶する。本実施形態では、担当者DB40は、担当者テーブルを記憶する。図10は、担当者テーブルの一例を示す説明図である。
なお、商談開始部11、商談支援部12、音声認識部13、商談状況算出部14、予兆検知部15、アラーム通知部16および商談終了部17は、例えば、商談支援プログラムに従って動作するコンピュータによって実現される。この場合、CPUが商談支援プログラムを読み込み、そのプログラムに従って、商談開始部11、商談支援部12、音声認識部13、商談状況算出部14、予兆検知部15、アラーム通知部16および商談終了部17として動作する。また、商談開始部11、商談支援部12、音声認識部13、商談状況算出部14、予兆検知部15、アラーム通知部16および商談終了部17が別々のハードウェアで実現されていてもよい。
また、商談管理DB10、商談履歴DB20、予兆検知判定ルールDB30および担当者DB40は、具体的には、商談支援装置が備える光ディスク装置や磁気ディスク装置、メモリ等の記憶装置によって実現される。
また、商談管理DB10、商談履歴DB20、予兆検知判定ルールDB30および担当者DB40は、商談支援装置の外部に設置されていてもよい。つまり、各データベースは、商談支援装置と通信可能な外部の装置に含まれていてもよい。
次に、本実施形態の動作を説明する。
まず、商談開始部11における商談開始処理を説明する。図11は、商談開始部11の処理を示すフローチャートである。
商談開始部11は、はじめに担当者DB40の担当者テーブルから全ての担当者名を取得する(ステップS1001)。商談開始部11は、商談管理画面を表示するための画面情報を表示装置(図示せず)に出力する(ステップS1002)。表示装置に表示される商談管理画面には、取得した全担当者名が表示される。図12は、商談管理画面の一例を示す説明図である。
売り手は、商談を開始する際に、図12に示す商談管理画面に対して開始操作を行う。具体的には、売り手は、商談管理画面に表示された担当者名の一覧から自分の名前を選択し、商談開始ボタンを押す。すると、商談開始部11は、選択された担当者名と現在時刻とを、商談管理DB10の商談管理テーブルの「担当者」と「商談開始時刻」とに登録する(ステップS1003)。例えば、担当者“田中”が“2012/10/20 10:05:12”に商談を開始した場合、図2に示すように、商談管理デーブルに新たなレコードが登録される。その際、登録されたレコードに、商談IDが割り当てられる。図2に示す例では、商談ID「21」が割り当てられている。
商談開始部11の処理終了後、商談支援部12が処理を開始する。
次に、商談支援部12における商談支援処理を説明する。図13は、商談支援部12の処理を示すフローチャートである。
まず、商談支援部12は、マイク(マイクロフォン)(図示せず)から入力された音声を録音する(ステップS2001)。本実施形態では、マイクが商談支援装置に含まれているものとする。なお、マイクを商談支援装置の外部に設置して、無線ネットワーク等を介して当該マイクから音声を入力するようにしてもよい。
商談支援部12は、商談管理DB10の商談管理テーブルの商談ID「21」に対応するレコードから商談終了時刻を取得する(ステップS2002)。
商談終了時刻が取得できた場合、つまり、当該レコードに商談終了時刻が登録されている場合(ステップ2003のYes)、商談支援部12は、商談が終了していると判断し、マイク音声の録音を終了し(ステップS2009)、処理を終了する。
商談終了時刻が登録されていない場合(ステップS2003のNo)、録音音声に対して以降の処理(ステップS2004〜S2008の処理)を行う。
商談支援部12は、ステップS2001で録音した音声について、未処理の録音音声があるかどうかを判定する(ステップS2004)。未処理の録音音声があれば(ステップS2004のYes)、未処理の録音音声の中から、一定の長さの無音、例えば、0.5秒の無音が出現するまでの区間における音声を、音声認識処理対象として取得する(ステップS2005)。なお、無音の長さは、ユーザ等によって任意に設定可能である。
次に、音声支援部12は、音声認識対象の音声を音声認識部13に出力する(ステップS2006)。音声認識部13は、音声認識対象の音声を入力すると、音声認識処理を開始する。
次に、音声支援部12は、商談履歴IDを商談状況算出部14に出力する(ステップS2007)。商談状況算出部14は、商談履歴IDを入力すると、商談状況算出処理を開始する。
次に、音声支援部12は、商談履歴IDを予兆検知部15に出力する(ステップS2008)。予兆検知部15は、商談履歴IDを入力すると、大幅値引き商談に陥る予兆を検知するための予兆検知処理を開始する。
商談支援部12は、ステップS2005において取得した音声に対する処理を終了すると、ステップS2002の処理に戻る。そして、商談支援部12は、残りの録音音声に対する処理を実行する。
次に、音声認識部13における音声認識処理を説明する。図14は、音声認識部13の処理を示すフローチャートである。
まず、音声認識部13は、担当者DB40の担当者テーブルから担当者の音響モデルを取得する(ステップS3001)。ここでは、商談管理画面に対して開始操作を行った担当者“田中”の音響モデルが取得される。音声認識部13は、音声支援部12から入力された音声と担当者の音響モデルとを比較し、話者が担当者であるかどうかを判定する(ステップS3002)。
話者が担当者であると判断された場合には(ステップS3002のYes)、音声認識部13は、当該担当者の音響モデルを使って音声認識を実行する(ステップS3003)。音声認識方法については、広く知られているため説明を省略する。本実施形態では、例えば、音声認識方法として、特開2002−099296号公報に記載された音声認識方法を用いる。なお、その他の音声認識方法を用いてもよい。
音声認識部13は、話者、発話開始時刻、発話終了時刻、認識結果のテキスト(以下、発話テキストという。)、発話音量および商談IDを、商談履歴DB20の商談状況履歴テーブルに登録する(ステップS3004)。ここでは、図3に示すように、話者「田中」、発話開始時刻「2012/10/20 10:26:32」、発話終了時刻「2012/10/20 10:26:36」、発話テキスト「しかし、すみません、うちではこれがせいいっぱいで」、発話音量「60.89」、商談ID「21」を含むレコードが登録される。その際、当該レコードに商談履歴IDが割り当てられる。図3に示す例では、当該レコードに商談履歴ID「275」が割り当てられている。
話者が担当者ではないと判断された場合には(ステップS3002のNo)、音声認識部13は、話者が買い手であると判断し、一般的な音響モデルを使って音声認識を実行する(ステップS3005)。その後、音声認識部13は、話者「guest」を含むレコードを商談履歴DB20の商談状況履歴テーブルに登録する。「guest」は、担当者以外の話者、つまり買い手を表す。このとき、発話開始時刻、発話終了時刻、発話テキスト、発話音量には、ステップS3005の音声認識の結果に応じた情報が格納される(ステップS3006)。
次に、商談状況算出部14における商談状況算出処理を説明する。図15は、商談状況算出部14の処理を示すフローチャートである。
まず、商談状況算出部14は、音声支援部12が入力した商談履歴IDに対応する商談ID、話者および発話テキストを、商談履歴DB20の商談状況履歴テーブルから取得する(ステップS4001)。ここでは、商談履歴ID「275」に対応する商談ID「21」が取得される。また、商談履歴ID「275」に対応する話者「田中」は担当者であるので、商談状況算出部14は、予兆検知判定ルールDB30のキーワード条件テーブルから話者「担当者」に対応するキーワードIDおよびキーワードを取得する(ステップS4002)。
商談状況算出部14は、ステップS4001で取得した発話テキストの中に、ステップS4002で取得したキーワードが存在するかどうかを判定する(ステップS4003)。
キーワードが存在しない場合には(ステップS4003のNo)、ステップS4005の処理に移行する。
ここでは、発話テキスト「しかし、すみません、うちではこれがせいいっぱいで」の中に、キーワードID「1」のキーワード「すみません」が存在する。従って、キーワードが存在するので(ステップS4003のYes)、商談状況算出部14は、商談履歴DB20のキーワード出現履歴テーブルに、商談履歴ID「275」、話者「田中」、キーワードID「1」を含むレコードを登録する(ステップS4004)。
商談状況算出部14は、話者が「guest」であるかどうかを判定する(ステップS4005)。話者が「guest」である場合には(ステップS4005のYes)、商談状況算出部14は、商談履歴DB20の商談状況履歴テーブルから、話者が「guest」以外であって、商談IDがステップS4001で取得した商談IDと同じである、直近のレコードの発話終了時刻を取得する(ステップS4006)。
ここでは、話者が担当者「田中」なので(ステップS4005のNo)、商談状況算出部14は、商談履歴DB20の商談状況履歴テーブルから、担当者名が「guest」であって、商談IDがステップS4001で取得した商談ID「21」である、直近のレコードの発話終了時刻を取得する(ステップS4007)。図3に示す例では、商談履歴ID「274」に対応する発話終了時刻「2012/10/20 10:26:30」が取得される。
商談状況算出部14は、商談履歴ID「275」に対応する発話開始時刻「2012/10/20 10:26:32」と、取得した発話終了時刻「2012/10/20 10:26:30」の差を計算する。ここでは、2秒が算出される。商談状況算出部14は、商談履歴DB20の商談状況履歴テーブルの商談履歴ID「275」に対応する返答スピードとして「2」を登録する(ステップS4008)。
次に、予兆検知部15における予兆検知処理を説明する。図16および図17は、予兆検知部15の処理を示すフローチャートである。
まず、予兆検知部15は、商談の経過時間および対話数を元に、予兆検知判定を行うか否かを決定する(ステップS5001〜S5003)。
予兆検知部15は、ステップS5001において、予兆検知判定ルールDB30の判定計算条件テーブルに登録された情報を取得する。ここでは、図6に示すように、判定計算条件として、商談経過時間「600」、累積発話数「50」、直近対話数「5」が取得される。
次に、予兆検知部15は、音声支援部12が入力した商談履歴ID「275」に対応する商談ID「21」を含むレコードを、商談管理DB10の商談管理テーブルから取得する。予兆検知部15は、取得したレコードをもとに商談開始時刻を判断し、商談開始時刻から現在時刻までの経過時間が、判定計算条件の商談経過時間より大きいかどうかを判定する(ステップS5002)。図3に示す例では、商談開始時刻は「2012/10/20 10:05:12」(商談履歴ID「210」に対応する発話開始時刻)で、現在時刻が「2012/10/20 10:26:36」(商談履歴ID「275」に対応する発話終了時刻)である。よって、商談開始からの経過時間が、1284秒となる。従って、判定計算条件の商談経過時間「600」秒より大きく、判定計算条件を満たすので(ステップS5002のYes)、予兆検知部15は、次の処理に進む。商談開始からの経過時間が判定計算条件を満たさない場合には(ステップS5002のNo)、予兆検知部15は、処理を終了する。
次に、予兆検知部15は、商談管理DB10の商談状況履歴テーブルから、商談ID「21」に対応するレコードの総数を算出し、判定計算条件の累積発話数より大きいかどうかを判定する(ステップS5003)。
図3に示す例では、商談IDが「21」であるレコードは、商談履歴IDが「210」〜「275」のレコードである。従って、レコードの総数として「66」が算出される。算出したレコードの総数が判定計算条件の累積発話数「50」より大きいので(ステップS5003のYes)、予兆検知部15は、次の処理に進む。算出したレコードの総数が判定計算条件の累積発話数以下である場合には(ステップS5003のNo)、予兆検知部15は、処理を終了する。
次に、予兆検知部15は、直近の発話状況、音量履歴状況、音量変化条件を取得し、直近の発話音量が、商談中における最大音量または最小音量であるかどうかを判定し、判定結果をもとに商談履歴DB20の発話音量履歴テーブルを更新する(ステップS5004〜S5010)。
ステップS5004において、予兆検知部15は、商談履歴DB20の商談状況履歴テーブルから、音声支援部12が入力した商談履歴ID「275」に対応する話者、発話テキスト、発話音量を取得する。図3に示す例では、担当者名「田中」、発話テキスト「しかし、すみません、うちではこれがせいいっぱいで」、発話音量「60.89」が取得される。
次に、予兆検知部15は、商談履歴DB20の発話音量履歴テーブルから、商談IDが「21」であって、話者が「田中」であるレコードの最大音量、最小音量を取得する(ステップS5005)。図4に示す例では、最大音量として「65.55」、最小音量として「61.23」が取得される。以降、この値をそれぞれ最大音量a、最小音量bと表現する。
予兆検知部15は、予兆検知判定ルールDB30の音量変化条件テーブルから、話者に対応する音量変化しきい値を取得する(ステップS5006)。ここで、話者「田中」は担当者であるので、「担当者」に対応する音量変化しきい値「5」が取得される。以降、この値を、音量変化しきい値cと表現する。
次に、予兆検知部15は、ステップS5004において取得した発話音量が、最大音量aより大きいかどうかを判定する(ステップS5007)。
発話音量が最大音量aより大きい場合には(ステップS5007のYes)、予兆検知部15は、商談履歴DB20の発話音量履歴テーブルに、話者に対応する最大音量として当該発話音量を登録し(ステップS5008)、ステップS5011の処理に移行する。
ここでは、発話音量「60.89」が最大音量a「65.55」以下であるので(ステップS5007のNo)、予兆検知部15は、ステップS5009の処理に移行する。
予兆検知部15は、発話音量が最小音量bより小さいかどうかを判定する(ステップS5009)。
ここでは、発話音量「60.89」が最小音量b「61.23」より小さいので(ステップS5009のYes)、予兆検知部15は、商談履歴DB20の発話音量履歴テーブルに、話者「田中」に対応する最小音量として発話音量「60.89」を登録する(ステップS5010)。
発話音量が最小音量b以上である場合には(ステップS5009のNo)、予兆検知部15は、ステップS5011の処理に移行する。
次に、予兆検知部15は、大幅値引き商談に陥る予兆を検知するための処理を行う。
まず、予兆検知部15は、話者が担当者である場合に返答スピードがしきい値より遅いかどうかを判定する返答スピード判定処理を行う(ステップS5011〜S5019)。
ステップS5011において、予兆検知部15は、話者が「guest」かどうかを判定する。
話者が「guest」である場合には(ステップS5011のYes)、予兆検知部15は、音量変化判定処理を行う。具体的には、直近の発話音量と最小音量との差が音量変化しきい値より大きいかどうかを判定する(ステップS5012)。このとき、予兆検知部15は、話者「guest」の発話音量、最小音量および最大音量を、ステップS5004〜S5005の処理と同様の処理により取得する。直近の発話音量と最小音量との差が音量変化しきい値より大きい場合には(ステップS5012のYes)、予兆検知部15は、買い手である話者「guest」に主導権を握られていると判断し、すなわち、大幅値引き商談に陥る予兆が検知されたと判断し(ステップS5020)、アラーム通知部16を起動して、処理を終了する。発話音量と最小音量との差が音量変化しきい値以下である場合には(ステップS5012のNo)、予兆検知部15は、ステップS5021の処理に移行する。
ここでは、話者「田中」は担当者なので(ステップS5011のNo)、予兆検知部15は、予兆検知判定ルールDB30の担当者返答スピード条件テーブルから、予兆検知判定基準である、返答スピードしきい値と出現数とを取得する(ステップS5013)。図9に示す例では、返答スピードしきい値「5」、出現数「3」が取得される。
予兆検知部15は、商談履歴DB20の商談状況履歴テーブルから商談ID「21」、話者「田中」に対応するレコードの商談履歴IDと返答スピードとを取得する(ステップS5014)。このとき、判定計算条件の直近対話数が「5」であるので、商談履歴IDとして「267」、「269」、「271」、「273」、「275」が取得される。また。返答スピードとして「2」、「7」、「4」、「6」、「2」が取得される。
予兆検知部15は、取得した担当者の返答スピードに対して判定処理(ステップS5015〜S5018)を行う。
まず、予兆検知部15は、未処理の商談履歴IDが存在するかどうかを判定する(ステップS5015)。つまり、予兆検知部15は、取得した返答スピードの中に、判定処理を行っていない返答スピードが存在するかどうかを判定する。
未処理の商談履歴IDが存在しない場合には(ステップS5015のNo)、予兆検知部15は、ステップS5019の処理に移行する。未処理の商談履歴IDが存在する場合には(ステップS5015のYes)、予兆検知部15は、以下の処理を行う。
まず、予兆検知部15は、返答スピードが返答スピードしきい値より小さいかどうかを判定する。返答スピードが返答スピードしきい値より小さい場合には(ステップS5016のYes)、予兆検知部15は、ステップS5015の処理に戻る。
返答スピードが返答スピードしきい値以上である場合には(ステップS5016のNo)、変数nをカウントアップする(ステップS5017)。ここで、変数nは、返答スピードしきい値以上である返答スピートを含むレコードの総数を表す変数である。変数nの初期値は0である。
予兆検知部15は、予兆検知判定基準である出現数より変数nが小さいかどうかを判定する(ステップS5018)。予兆検知判定基準である出現数より変数nが小さい場合には(ステップS5018のYes)、予兆検知部15は、ステップS5015の処理に戻る。予兆検知判定基準である出現数が変数n以上である場合には(ステップS5018のNo)、予兆検知部15は、大幅値引き商談に陥る予兆が検知されたと判断し(ステップS5020)、アラーム通知部16を起動して、処理を終了する。
ここで、ステップS5014において取得された商談履歴ID「267」、「269」、「271」、「273」、「275」について、予兆検知部15が、ステップS5015〜S5018の処理を実行する場合の動作を説明する。
まず、商談履歴ID「267」の返答スピード「2」は、返答スピードしきい値「5」より小さいので(ステップS5016のYes)、予兆検知部15は、ステップS5015の処理に戻って、次の商談履歴ID「269」の判定を行う。
商談履歴ID「269」の返答スピード「7」は、返答スピードしきい値「5」よりも大きいので(ステップS5016のNo)、変数nを1とする(ステップS5017)。変数nが出現数「3」より小さいので(ステップS5018のYes)、予兆検知部15は、ステップS5015の処理に戻る。
予兆検知部15は、商談履歴ID「271」、「273」、「275」に対して同様の処理を繰り返す(ステップS5015〜S5018)。この結果、変数nは2となる。つまり、予兆検知判定基準である出現数「3」より小さいままである。従って、予兆検知部15は、ステップS5020に移行することなく、ステップS5019の処理に移行する。
ステップS5019において、予兆検知部15は、音量変化判定処理を行う。具体的には、直近の発話音量と最大音量との差がしきい値より大きいかどうかを判定する。
直近の発話音量と最大音量との差がしきい値より大きい場合には(ステップS5019のYes)、予兆検知部15は、大幅値引き商談に陥る予兆が検知されたと判断し(ステップS5020)、アラーム通知部16を起動して、処理を終了する。
ここでは、直近の発話音量、つまり、商談ID「275」に対応する発話音量「60.89」と、最大音量a「65.55」との差が、音量変化しきい値「5」以下であるので(ステップS5019のNo)、予兆検知部15は、ステップS5021の処理に移行する。
予兆検知部15は、直近の対話において、予兆検知判定用のキーワードが、予兆検知判定基準の出現数以上存在しているかどうかを判定する予兆キーワード出現判定処理を行う(ステップS5021〜S5025)。
ステップS5021において、予兆検知部15は、商談履歴DB20の商談状況履歴テーブルから商談ID「21」、話者が「田中」である、直近対話数分、つまり「5」つ分のレコードの商談履歴IDを取得する。図3に示す例では、商談履歴ID「267」、「269」、「271」、「273」、「275」が取得される。
さらに、ステップS5021において、予兆検知部15は、取得した商談履歴IDに対応するキーワードIDとその出現数を、商談履歴DB20のキーワード出現履歴テーブルから取得する。図5に示す例では、商談履歴ID「271」、「273」、「275」のキーワードIDとして、それぞれ「1」が登録されている。従って、キーワードID「1」とその出現数「3」が取得される。
次に、予兆検知部15は、未処理のキーワードIDが存在するかどうかを判定する(ステップS5022)。つまり、予兆検知部15は、取得したキーワードIDの中に、判定処理を行っていないキーワードIDが存在するかどうかを判定する。
未処理のキーワードIDが存在しない場合には(ステップS5022のNo)、予兆検知部15は、処理を終了する。未処理のキーワードIDが存在する場合には(ステップS5022のYes)、以下の処理を行う。
予兆検知部15は、ステップS5021において取得したキーワードIDに対応する出現数を、変数xに代入する(ステップS5023)。変数xは、当該キーワードIDに対応する出現数を表す変数である。ここでは、変数xに、キーワードID「1」に対応する出現数「3」が代入される。
予兆検知部15は、予兆検知判定ルールDB30のキーワード条件テーブルから、キーワードIDに対応する出現数の判定値を取得する(ステップS5024)。以降、この判定値を出現数yとする。図8に示す例では、キーワードID「1」に対応する出現数yは「2」である。
予兆検知部15は、出現数yが変数xより大きいかどうかを判定する(ステップS5025)。出現数yが変数xより大きい場合には(ステップS5025のYes)、予兆検知部15は、ステップS5021の処理に戻る。
ここでは、出現数yが変数x以下なので(ステップS5025のNo)、予兆検知部15は、大幅値引き商談に陥る予兆が検知されたと判断し(ステップS5026)、アラーム通知部16を起動して、処理を終了する。
次に、大幅値引き商談に陥る予兆が検知された際の、アラーム通知部16におけるアラーム通知処理を説明する。図18は、アラーム通知部16の処理を示すフローチャートである。
アラーム通知部16は、商談管理DB10の商談管理テーブルを更新する。具体的には、アラーム通知部16は、予兆が検知された商談に対応するアラーム発生フラグに「1」を登録する。また、アラーム通知部16は、予兆が検知された商談に対応するアラーム発生時刻に現在時刻を登録する(ステップS6001)。ここでは、商談ID「21」に対応するアラーム発生フラグ、現在時刻が更新される。
アラーム通知部16は、担当者DB40の担当者テーブルから、アラーム通知先を取得する(ステップS6002)。ここでは、アラーム通知部16は、商談ID「21」に対応する担当者「田中」のアラーム通知先を取得する。図10に示す例では、電子メールアドレス「jxajkl@sss.co.jp」が取得される。アラーム通知部16は、取得したアラーム通知先に電子メールを配信する(ステップS6003)。電子メール配信手段は、公知の電子メール配信方法を利用してもよい。つまり、公知の電子メール配信装置を本システムに搭載させてもよい。また、その他の電子メール配信方法を利用してもよい。また、電子メール以外の通知手段を用いてもよい。つまり、アラーム通知先は電子メールアドレス以外であってもよい。
次に、商談終了部17における商談終了処理を説明する。図19は、商談終了部17の処理を示すフローチャートである。
買い手との商談が終了すると、売り手は、図12に示す商談管理画面に対して終了操作を行う。具体的には、売り手は、商談管理画面の商談終了ボタンを押す。すると、商談終了部17は、商談管理DB10の商談管理テーブルに、商談終了時刻を登録する。ここでは、商談終了部17は、商談ID「21」に対応する商談終了時刻に現在時刻を登録する(ステップS7001)。
以上に説明したように、本実施形態では、商品を顧客に対面販売する商談において、商談の対話音声内容から、大幅値引き商談に至りそうな予兆を事前に検知する。そして、予兆を検知した場合には、電子メール等により、予め設定した通知先にアラームを通知する。それにより、大幅値引き商談に陥る前に、売り手の上役等に通知することができる。従って、上役等が適切なタイミングで売り手の商談を手助けすることができる。よって、商品を顧客に対面販売する商談などにおいて、顧客に商談の主導権を握られることにより生じる利益の減少を防止することができる。
また、本実施形態では、商談の履歴をデータベースに記録するので、売り手は、自分の商談状況を後で確認することができる。従って、商談経験の少ない売り手の商談スキルを向上させることが可能となる。特許文献2に記載されたシステムは、顧客とオペレータとの対話の内容を記録しない。従って、特許文献2に記載されたシステムでは、本システムのように、商談経験の少ない売り手の商談スキルを向上させることが難しい。
図20は、本発明による商談支援装置の最小構成を示すブロック図である。図20に示すように、商談支援装置は、商談における売り手と買い手との対話音声を入力し、対話音声から売り手および買い手の発話内容と発話音量とを認識する音声認識部101(図1に示す商談支援部12および音声認識部13に相当。)と、音声認識部101が認識した、売り手および買い手の発話内容と発話音量とをもとに、現在の商談状況を示す情報を生成して商談履歴情報に格納する状況記録部102(図1に示す商談支援部12および商談状況算出部14に相当。)と、商談履歴情報をもとに現在の商談状況と過去の商談状況とを比較し、商談の主導権が買い手に握られているか否かを判定する検知部103(図1に示す商談支援部12および予兆検知部15に相当。)と、検知部103が商談の主導権が買い手に握られていると判断した場合に、予め指定された通知先にアラームを通知する通知部104(図1に示すアラーム通知部16に相当。)とを含む。
そのような構成によれば、販売店が商品を顧客に対面販売する商談において、顧客に主導権を握られ、大幅値引き商談に陥る可能性がある場合に、販売店の上役等にアラームを通知することができる。従って、販売店の上役等が、適切なタイミングで商談を手助けすることができる。よって、商品を顧客に対面販売する商談などにおいて、顧客に商談の主導権を握られることにより生じる利益の減少を防止することができる。
上記の実施形態には、以下のような商談支援装置も開示されている。
(1)検知部103は、商談履歴情報をもとに売り手および買い手のそれぞれの発話音量の最大値と最小値とを算出し、売り手の発話音量と当該売り手の発話音量の最大値との差が予め定められたしきい値より大きい場合、または、買い手の発話音量と当該買い手の発話音量の最小値との差が予め定められたしきい値より大きい場合に、商談の主導権が買い手に握られていると判断する商談支援装置。
そのような構成によれば、販売店の担当者および顧客の発話音量の変化をもとに、顧客に主導権を握られているかどうかを判断することができ、大幅値引き商談に至りそうな予兆をより正確に検知することができる。
(2)検知部103は、商談履歴情報をもとに売り手の返答スピードを算出し、返答スピードが予め定められたしきい値より遅い返答が予め定められた回数以上あった場合に、商談の主導権が買い手に握られていると判断する商談支援装置。
そのような構成によれば、販売店の担当者の返答スピードから、顧客に主導権を握られているかどうかを判断することができ、大幅値引き商談に至りそうな予兆をより正確に検知することができる。
(3)検知部103は、商談履歴情報をもとに売り手および買い手の発話内容から予め定められたキーワードが出現する回数をキーワードごとに算出し、キーワードごとの算出結果と、キーワードごとに予め定められた出現回数のしきい値とを比較し、いずれかのキーワードがしきい値以上出現していると判断した場合に、商談の主導権が買い手に握られていると判断する商談支援装置。
そのような構成によれば、販売店の担当者および顧客の発話内容に含まれるキーワードをもとに、顧客に主導権を握られているかどうかを判断することができる。従って、例えばキーワードを商談の内容に応じて設定することにより、商談の内容に応じた予兆を検知することができる。それにより、大幅値引き商談に至りそうな予兆をより正確に検知することができる。
(4)状況記録部102は、商談履歴情報をデータベースに記憶させる商談支援装置。
そのような構成によれば、商談中に生成された商談履歴情報を記録しておくことができるので、販売店の担当者は、自分の商談状況を後で確認することができる。従って、商談経験の少ない担当者の商談スキルを向上させることが可能となる。