添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下では、本発明を「フレキソ印刷」に適用する例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、レリーフが形成される印刷版を利用する印刷技術に対して広く適用可能である。
図1は、フレキソ印刷機10の要部構成例を示す図である。図2は、印刷時におけるフレキソ印刷版1と被印刷媒体3との接触箇所の拡大図である。
フレキソ印刷機(印刷部)10は、フレキソ印刷版1と、フレキソ印刷版1が両面テープ等のクッションテープ2を介して取り付けられる版胴4と、ドクターチャンバ6によりインクが供給されるアニロックスローラ8と、版胴4と対向して設置される圧胴9とを備える。
フレキソ印刷版1のレリーフ50の頂部(印刷面)には、アニロックスローラ8からインクが転写される。そして、フレキソ印刷版1が取り付けられた版胴4と圧胴9との間を被印刷媒体3が通過する間に、被印刷媒体3にフレキソ印刷版1(レリーフ50の頂部)が押し当てられることで、フレキソ印刷版1のレリーフ頂部に付着するインクが被印刷媒体3に転写され、被印刷媒体3上に所望画像が印刷形成される。
図3は、フレキソ印刷版1にレリーフ50を形成するレーザー彫刻機20の一例を示す平面図である。
レーザー彫刻機20は、ドラム22と、ドラム22上に保持されるフレキソ版材(印刷版)Fを露光彫刻するための露光ヘッド28とを備える。露光ヘッド28はステージ30に搭載され、ピント位置変更機構32及び間欠送り機構38によって移動可能となっている。
ピント位置変更機構32は、フレキソ版材Fが取り付けられたドラム22に対して露光ヘッド28を前後移動させるためのモータ34及びボールネジ36を有する。これらのモータ34及びボールネジ36によって露光ヘッド28の主走査方向の移動が制御され、露光彫刻処理のピント位置が調整される。
間欠送り機構38は、ボールネジ40と、このボールネジ40を回転させる副走査モータ42とを有する。これらのボールネジ40及び副走査モータ42によって露光ヘッド28(ステージ30)の副走査方向への移動が制御され、露光ヘッド28はドラム22の軸線24方向(副走査方向)に間欠送りされる。ドラム22上のフレキソ版材Fは、チャック部材26によってチャックされ、ドラム22上での保持位置が固定される。フレキソ版材Fのうちチャック部材26によってチャックされる箇所は、露光ヘッド28による露光が行われない領域にある。
ドラム22を回転させながら、露光ヘッド28からのレーザービームをフレキソ版材Fに照射することで、フレキソ版材Fの表面に所望のレリーフ50が形成される。なお、ドラム22の回転によってチャック部材26が露光ヘッド28の前を通過する間に、露光ヘッド28(ステージ30)は副走査方向に間欠送りされ、その後、次のラインのレーザー彫刻が行われる。
上述の「ドラム22の回転によるフレキソ版材Fの主走査方向の送り」及び「露光ヘッド28の副走査方向の間欠送り」を組み合わせることによって、露光走査位置がコントロールされる。また、露光データ(深さデータ)に基づくレーザービームの強度やオン/オフが露光走査位置毎に制御されることで、所望形状のレリーフ50がフレキソ版材Fに彫刻され、フレキソ印刷版1(図1及び図2参照)が形成される。
<印圧分布と印刷結果の関係>
フレキソ印刷版1(特にレリーフ50)は、弾性に富んだ柔軟な部材によって形成され、印圧に応じて変形する。したがって掛かる印圧の大きさによって、レリーフ50の変形量は変動し、被印刷媒体3上に形成される印刷画像も変わってしまう。このフレキソ印刷版1に掛かる印圧は、注目位置のレリーフ50の種類(白抜き、網点、凸細線、ベタ等)だけではなく、周辺のレリーフ50の種類によっても変動する。
図4は、フレキソ印刷版1の一部に形成されるレリーフ例を示す平面図である。図4に示すフレキソ印刷版1のレリーフ50は1ビット画像データに基づいている。
図4に示すフレキソ印刷版1では、均一な網点濃度(面積率)を有する網点を印刷するためのレリーフ50が形成された「網点領域」を挟んで、白抜き印刷用の「白抜き領域」(図4の左側)及びベタ印刷用の「ベタ領域」(図4の右側)が存在する。フレキソ印刷版1がこのような複数種類の領域(レリーフ50)を有する場合、印刷時に各領域に掛かる印圧は、隣接領域の種類によって変動する。すなわち、網点領域のうち白抜き領域に近接する側では比較的強い印圧を受ける一方で(図4の「強印圧領域」参照)、網点領域のうちベタ領域に近接する側では比較的弱い印圧を受ける(図4の「弱印圧領域」参照)。
図5は、図4に示すフレキソ印刷版1の領域(図4の矢印A方向の位置)と、印刷時の押し下げ量との関係例を示す図である。図6は、図4に示すフレキソ印刷版1の領域(図4の矢印A方向の位置)と、印刷時の印圧との関係例を示す図である。図5及び図6には、図4に示すフレキソ印刷版1の「白抜き領域」、「網点領域」及び「ベタ領域」の各々に同じ大きさの荷重が一様に加えられている場合の関係が示されている。また図5及び図6には、図4の「上部」、「中央部」及び「下部」の表示で示された断面線に沿った「押し下げ量」及び「印圧」の変化が示されている。
フレキソ印刷版1のうち、被印刷媒体と接触せずに印刷時の押し下げ方向の版移動を阻害するものがない「白抜き領域」では、被印刷媒体と接触して押し下げ方向の版移動が阻害される「網点領域」や「ベタ領域」と比べ、印刷時の押し下げ量が大きくなる傾向がある(図5参照)。また、この「白抜き領域」は被印刷媒体と接触しないため、「白抜き領域」と被印刷媒体との間で生じる印圧は、基本的にゼロになる(図6参照)。
一方、フレキソ印刷版1のうち「ベタ領域」は、印刷時に被印刷媒体と全面的に接触して押し下げ移動が阻害されるため、「白抜き領域」及び「網点領域」と比べ、印刷時の押し下げ量自体は小さくなる(図5参照)。また、加えられる荷重が同じ場合、被印刷媒体との接触面積の割合が大きいほど、単位面積当たりの圧力は小さくなるため、被印刷媒体と全面にわたって接触するフレキソ印刷版1の「ベタ領域」では、被印刷媒体と部分的に接触する「網点領域」よりも、印圧が小さくなる(図6参照)。
一方、フレキソ印刷版1のうち「網点領域」は、印刷時に被印刷媒体と部分的に接触して押し下げ移動が阻害されるため、「白抜き領域」よりは印刷時の押し下げ量が小さくなるが、「ベタ領域」よりは印刷時の押し下げ量が大きくなる(図5参照)。またフレキソ印刷版1の「網点領域」における印刷時の印圧は、被印刷媒体と接触しない「白抜き領域」よりも大きく、また被印刷媒体との接触面積割合(黒画素数)が大きい「ベタ領域」よりも大きくなる。
上述のように、フレキソ印刷版1の印刷時の押し下げ量及び印圧は、各領域自体の特性(レリーフ50、接触面積)の影響を受けるが、更に隣接領域の種類・特性の影響も受ける。
例えば図4に示す例において、「網点領域」のうち「白抜き領域」に近い側では、白抜き領域の押し下げ量の影響を受け、比較的強い印圧が掛かり、押し下げ量も比較的大きくなる(図5及び図6の「強印圧領域」参照)。一方、「網点領域」のうち「ベタ領域」に近い側では、ベタ領域の押し下げ量の影響を受け、比較的弱い印圧が掛かり、押し下げ量も比較的小さくなる(図5及び図6の「弱印圧領域」参照)。このように、印圧によって変形の程度が変動する網点領域のレリーフ(小点)は、周囲のレリーフ種類の影響を受け、位置によって印刷状態が変わってしまうことがある。
図7は、図4に示すフレキソ印刷版1によって通常の印刷が行われた場合の、実際の印刷画像が示された被印刷媒体3の平面図であり、特にフレキソ印刷版1の版厚が全体にわたって一定であると仮定した場合に得られる印刷画像(被印刷媒体3)を示す。
実際の印刷では、周辺領域のレリーフ種類の影響を受けて印圧に偏りが生じ(図6参照)、被印刷媒体3上の印刷状態はそのような印圧の偏りの影響を受ける。したがって実際の印刷では、図7に示すように、網点領域のうち白抜き領域に近接する「強印圧領域」及びベタ領域に近接する「弱印圧領域」の印刷状態にムラが生じる。
更に画像印刷時におけるフレキソ印刷版1の押し下げ量及び印圧は、フレキソ印刷版1が本来的に有する版厚の影響も受ける。すなわちフレキソ印刷版1(フレキソ版材F)のうち版厚が厚い部分では、版厚が薄い部分よりも、「押し下げ量」及び「印圧」が大きくなる。
図8は、図4〜図6に係るフレキソ印刷版1の版厚分布を示す図である。図8では、濃い部分ほど版厚が薄いことを示し、白(ブランク)に近い部分ほど版厚が厚いことを示す。図4〜図6及び図8に示す例では、版厚が「上部」、「中央部」、「下部」の順に厚い部分から薄い部分に変化しており、「押し下げ量」及び「印圧」が、「上部」、「中央部」、「下部」の順に大から小の値を示す。すなわち版上部の版厚が相対的に大きく、版下部の版厚が相対的に小さいため、版上部の印圧が相対的に大きく、版下部の印圧が相対的に小さくなる。このように版厚は印圧の大きさに影響を与え、網点領域や凸細線領域では、版厚が厚い部分(図4の「上部」及び図8参照)の印刷画像は濃く(太く)なり、薄い部分(図4の「下部」及び図8参照)の印刷画像は薄く(細く)なる。
図9は、図4に示すフレキソ印刷版1によって理想的な印刷が行われた場合の、目標となる理想的な印刷画像が示された被印刷媒体3の平面図である。図10は、図4に示すフレキソ印刷版1によって通常の印刷が行われた場合の、実際の印刷画像が示された被印刷媒体3の平面図である。
図9に示すように理想的な状態で印刷が行われる場合、フレキソ印刷版1のレリーフ50が適切に反映された印刷が行われ、「白抜き領域」、「網点領域」及び「ベタ領域」の領域境界も明確になっており、各領域内の印刷状態も一様になる。
しかしながら実際の印刷では図10に示すように、周辺領域のレリーフ種類の影響(図7参照)及びフレキソ印刷版1(フレキソ版材F)の版厚分布(版高さ分布)の影響(図8参照)を受ける。すなわち、周辺領域のレリーフ種類によって網点領域の小点の変形程度が異なることと、版の厚みバラツキによって版表面の高さが異なることとが原因で、被印刷媒体3上の印刷状態は印圧の偏りの影響を受ける。このように、注目エリアの印刷状態は周辺エリアの彫刻形状分布(レリーフ種類)及び版厚分布によって左右されるため、通常方式のフレキソ印刷では、ユーザの意図通りの印刷結果が得られないことがある。
更に被印刷媒体3上の印刷結果は、フレキソ印刷版1、インク、及び被印刷媒体3の種類によっても変動しうる。すなわち、フレキソ印刷版1(レリーフ50)から被印刷媒体3に転写されたインクが被印刷媒体3上で想定よりも広がり過ぎる場合や想定よりも広がらない場合、被印刷媒体3上の印刷結果の画質が悪くなる。この被印刷媒体3上でのインクの拡大(ドット径の大きさ)の程度は、フレキソ印刷版1、インク、及び被印刷媒体3の特性(印刷条件)によって左右され、フレキソ印刷版1及び被印刷媒体3の表面粗さやインク粘度等の印刷条件に応じて変動する。
このように被印刷媒体3上に再現される画像(印刷)の画質劣化の程度は、画像データやフレキソ印刷版1の版厚分布に基づく「印圧分布条件」だけではなく、フレキソ印刷版1、インク、及び被印刷媒体3の組み合わせに基づく「印刷条件」によっても左右される。
本件発明者は、「印圧分布条件及び印刷条件」と「印刷状態」との関係に注目し、印圧分布に応じた版変形及び印刷条件に応じたインク挙動から印刷画像の再現予測を行ってレリーフパターンデータを決定し、被印刷媒体上で所望の画像を良好に再現することが可能な技術を新たに見出した。すなわち、印刷対象となっている画像データ及び版厚分布を解析してフレキソ印刷版1に掛かる印圧分布を推定する一方で、実際に使用するフレキソ印刷版1、インク及び被印刷媒体3の種類から印刷時における被印刷媒体3上でのインクの挙動(広がり)を推定する。推定された印圧分布に基づく「フレキソ印刷版1の変形」及び推定された「被印刷媒体3上でのインクの広がり」を加味した彫刻形状の決定(補正)を行うことで、所望画像を被印刷媒体上で正確に印刷再現することが可能となる。
以下、そのような印圧分布条件及び印刷条件に基づく彫刻形状補正を行う印刷装置の一例について説明する。
<印刷装置の構成例>
図11は、本発明の一実施形態に係るフレキソ印刷システム(印刷用凸版作成システム(印刷装置))60の構成を示すブロック図である。
フレキソ印刷システム60は、RIP(Raster Image Processor)装置61と、印刷版製造装置62とを備える。これらのRIP装置61及び印刷版製造装置62によって、画像データ(レリーフパターンデータ)に基づくレリーフ50(レリーフパターン)をフレキソ版材F(フレキソ印刷版1)に形成する製版装置(製版方法)が構成されている。
RIP装置61は、RIP処理部66と、スクリーニング処理部(2値画像データ生成部)68と、露光量データ生成部70とを有する。
RIP処理部66は、コンピュータ等を用いて編集された印刷原稿のベクトル画像を表現するPDF(Portable Document Format)データやPS(PostScript;登録商標)データ等のページ記述言語(Page Description Language)データを、ラスタ画像データに展開する。
ラスタ画像データを構成する各画素データは、階調値として、例えばCMYKの4チャンネルにおいてチャンネル毎に8ビット、すなわち256(0〜255)階調をとることが可能である。なお、このような階調は、対応する網点面積率(網点濃度)に変換可能である。例えば網点面積率が0〜100の値をとる場合、網点面積率が100の場合にはベタ部が形成され、網点面積率が0の場合には網点突起部(網点印刷用突起部、又は、単に突起部)が形成されなくてもよい。
スクリーニング処理部68は、ラスタ画像データを、予め指定された網(AM網点、FM網点等)、角度、スクリーン線数等の条件下でスクリーニングして、2値画像データに変換する。例えばスクリーン線数を175本/インチとし、1つの網点で表現可能な階調を256(=16×16)階調とすると、スクリーニング処理部68は、2800(=175×16)dpiの解像度の2値ビットマップデータを生成できる。
露光量データ生成部70は、2値画像データを、16ビット(65536階調)等によって表現可能な露光量データに変換する。なお、露光量データ生成部70の詳細は後述する(図12参照)。
一方、印刷版製造装置62は、彫刻型のCTP(Computer To Plate)描画機72を有し、このCTP描画機72はレーザー彫刻機20(図3参照)を具備する。この印刷版製造装置62では、RIP装置61(露光量データ生成部70)から供給される露光量データに基づいて、CTP描画機72によるレーザー彫刻処理(露光処理)がフレキソ版材F(合成樹脂、ゴム等の弾性材)に施される。これにより、印刷対象の画像を反映したレリーフ50がフレキソ版材F(フレキソ印刷版1)に彫刻形成される。詳細は後述するが、本例の印刷版製造装置62(CTP描画機72)は、印圧分布条件及び印刷条件に応じて補正されたレリーフパターンデータ(彫刻形状データ、露光量データ)に基づいてフレキソ版材F(フレキソ印刷版1)にレリーフを形成する(レリーフ形成ステップ)。
このようにして製造されるフレキソ印刷版1は、後段に設けられるフレキソ印刷機10(図1及び図2参照)において使用され、被印刷媒体3上に所望画像を転写印刷するのに用いられる。
図12は、図11の露光量データ生成部70の一構成例を示す機能ブロック図である。
露光量データ生成部70は、突起部高さデータ変換部74、彫刻形状データ変換部76、版厚分布取得部77、彫刻形状データ補正部78、印刷条件取得部79及び露光量データ変換部80を含む。
突起部高さデータ変換部74は、スクリーニング処理部68からの2値画像データを、レリーフ50の高さ(突起部の高さ)の2次元分布を表す突起部高さデータに変換する。
彫刻形状データ変換部76は、突起部高さデータ変換部74から供給された突起部高さデータを、より高解像度な彫刻形状データ(レリーフパターンデータ)に変換する。この彫刻形状データは、突起部の3次元形状を再現するために、突起部高さデータを2次元補間することで得られるデータであり、フレキソ版材Fの深さ方向の距離を示す深さデータとすることも可能である。
なお上述のように本例では、突起部高さデータ変換部74及び彫刻形状データ変換部76によって「画像データに基づいてレリーフパターンデータを算出するレリーフ算出部」が構成される。
版厚分布取得部77は、フレキソ版材F(フレキソ印刷版1)の版厚分布を示す版厚分布データを取得する。図12に示す例では、露光量データ生成部70(RIP装置61)とは別個に設けられた版厚分布測定装置43によって、レリーフ彫刻対象のフレキソ版材Fの厚み(版厚分布)が測定され、その測定結果が版厚分布記憶部44に記憶される。版厚分布取得部77は、版厚分布記憶部44に記憶されているフレキソ版材Fの厚み(版厚分布データ)を読み出して、彫刻形状データ補正部78に供給する。なお迅速且つスムーズな製版を行う観点からは、版厚分布測定装置43による測定を露光量データ生成部70(RIP装置61)の前段で行って、版厚分布測定後のフレキソ版材Fが自動的に印刷版製造装置62(CTP描画機72)にセットされることが好ましい。また版厚分布測定装置43によって測定取得される版厚分布データが、版厚分布取得部77に直接的に送られてもよい。
印刷条件取得部79は、フレキソ印刷版1(フレキソ版材F)、被印刷媒体3及びフレキソ印刷版1のレリーフ50に付着するインクのうちの少なくともいずれかの特性を示す印刷条件を取得する。
ここでいう印刷条件は、広義には印刷時における被印刷媒体3上でのインクの挙動に影響を及ぼしうる各種の条件を含みうるものであり、使用されるフレキソ印刷版1、被印刷媒体3及びインクの種類(特性)に基づく。より具体的な印刷条件として、例えばフレキソ印刷版1及び被印刷媒体3の「組成、硬度、表面特性(表面粗さ(平滑度)、表面エネルギー等)、及びその他の特性(粘弾性等)」及びインクの「組成、粘度、及びその他の特性(表面張力等)」のうちの1又は複数の情報(条件)が挙げられる。なお、フレキソ印刷版1、被印刷媒体3及びインクの種類・特性を代表する属性情報(ロット、コード(型番)等)によって、印刷条件が間接的に表されてもよい。
印刷条件の取得(条件出し)は、ユーザによるマニュアル入力に基づいてもよいし、使用するフレキソ印刷版1、被印刷媒体3及びインクの種類・特性を任意の手法で自動計測してその計測結果を利用する自動入力に基づいてもよい。図12に示す例では、ユーザによって印刷条件(印刷条件データ)が印刷条件入力部46に入力され、その入力された印刷条件データが印刷条件記憶部47に記憶される。印刷条件取得部79は、印刷条件記憶部47に記憶されている印刷条件データ(フレキソ印刷版1、被印刷媒体3及びインクの特性)を読み出して、彫刻形状データ補正部78に供給する。なお印刷条件入力部46に入力される印刷条件データは、印刷条件取得部79に直接的に送られてもよい。
本例の印刷条件記憶部47及び印刷条件入力部46はRIP装置61(図11参照)の一部として設けられるが、それぞれRIP装置61とは別個に設けられてもよい。また印刷条件が予め定められている場合、定められた印刷条件(印刷条件データ)を印刷条件記憶部47に記憶しておき、印刷条件入力部46を省略してもよい。また印刷条件(印刷条件データ)を予め印刷条件記憶部47に記憶しておき、その記憶された印刷条件と異なる印刷条件によって印刷が行われる場合にのみ、印刷条件記憶部47に記憶されている印刷条件が印刷条件入力部46を介して修正されてもよい。
彫刻形状データ補正部78は、被印刷媒体3に押し当てられたフレキソ印刷版1の印圧分布を示す印圧分布条件(彫刻形状データ、版厚分布データ)と、印刷条件とに基づいて、彫刻形状データ(レリーフパターンデータ)を補正してレリーフパターンデータを決定するレリーフ決定部として機能する。なお、彫刻形状データ補正部78の詳細は後述する(図13参照)。
露光量データ変換部80は、彫刻形状データ補正部78によって補正・決定された彫刻形状データ(レリーフパターンデータ)を、フレキソ版材Fに対する露光光量に応じた露光量データに変換する。なお本例の露光量データ変換部80(露光量データ生成部70)は、RIP装置61(図11参照)の一部として設けられるが、印刷版製造装置62側に設けられてもよい。
このようにして補正彫刻形状データ(レリーフパターンデータ)から露光量データが算出され、この算出された露光量データに基づいて、印刷版製造装置62(図11参照)では、フレキソ版材F(フレキソ印刷版1)にレリーフ50が形成される。
なお、フレキソ印刷版1の印圧分布条件及び印刷条件に基づくデータ補正は種々の方法に基づいて行うことができ、印圧分布条件及び印刷条件に基づいて算出されるデータ補正量を彫刻形状データに反映させてもよいし、露光量データに反映させてもよい。彫刻形状データにデータ補正量を反映させる場合、補正量を含む彫刻形状データが露光量データに変換され、その変換された露光量データを使って露光処理が行われる。一方、露光量データにデータ補正量を反映させる場合、「(データ補正量が反映されていない)彫刻形状データに基づく露光量データ」と「データ補正量自体に基づく露光量データ」とが算出され、両者から「データ補正量が反映された露光量データ」が算出される。以下の図13に示す例では、彫刻形状データにデータ補正量を反映させるケースについて説明する。
図13は、図12の彫刻形状データ補正部78の一構成例を示す機能ブロック図である。
彫刻形状データ補正部78は、印圧分布推定部82、補正量算出部84、データ補正部86及び条件識別マーク決定部87を含む。
印圧分布推定部82は、彫刻形状データ変換部76からの彫刻形状データ(画像データ)と版厚分布取得部77からの版厚分布データとに基づいて、印刷時に被印刷媒体3に押し当てられたフレキソ印刷版1の印圧分布(印圧分布条件)を推定取得する。なお印圧分布推定部82は、彫刻形状データに変換前の画像データに基づいて印圧分布を推定してもよいし、彫刻形状データに基づいて印圧分布を推定してもよい。印圧分布をより精密に計算する場合や彫刻装置(印刷版製造装置62)の特性によって1ビット画像通りにレリーフ形状を彫刻形成できない場合には、実際に彫刻される形状を表す彫刻形状データに基づいて印圧分布が推定されることが好ましい。
補正量算出部84は、印圧分布推定部82によって取得される印圧分布条件及び印刷条件取得部79によって取得される印刷条件に基づいて、彫刻形状データ(レリーフパターンデータ)の補正量を算出し、最終的な彫刻形状データ(レリーフパターンデータ)を決定する。なお、補正量の具体的な算出例は後述する(図19参照)。
データ補正部86は、補正量算出部84によって算出された補正量に基づき、彫刻形状データ変換部76において求められた彫刻形状データ(レリーフパターンデータ)を補正する。
本例のフレキソ印刷版1には、印刷条件を示す「印刷条件識別部」が、画像データに基づくレリーフ50とともに露光形成される。その印刷条件識別部の具体的な形状等が、彫刻形状データ補正部78の条件識別マーク決定部87によって印刷条件データに基づいて決定される。
図14は、フレキソ印刷版1の印刷面の外観図であり、理解を容易にするために平板状のフレキソ印刷版1を図示する。本例のフレキソ印刷版1は、版の中央部に設けられる画像レリーフ領域(画線部)12と、版の端部に設けられる複数の印刷条件コントロール領域14とを有する。画像レリーフ領域12は、画像データに基づくレリーフ50が彫刻形成される領域であり、印刷条件コントロール領域14は、被印刷媒体3を仕上がりサイズに断裁するための位置合わせや多色刷りの見当合わせのための目印(トンボ:Registry Guide)のための領域である。本例では、フレキソ印刷版1の四隅及び各辺の中央部の計8箇所に印刷条件コントロール領域14が設けられ、それらの印刷条件コントロール領域14のうちの1又は複数の領域(図14では左上隅部の印刷条件コントロール領域14)に印刷条件識別部16が設けられる。
印刷条件識別部16は、印刷条件に関する情報(印刷条件情報)を被印刷媒体3に印刷する部位であり、フレキソ印刷版1が被印刷媒体3に押し当てられた際に画像データに基づく所望画像とともに印刷条件情報が被印刷媒体3に転写印刷される。印刷条件識別部16によって被印刷媒体3に印刷される印刷条件情報は、フレキソ印刷版1、被印刷媒体3及びインクの特性・種類が文字等によって直接的に表されてもよいし、コード類(1次元バーコード、2次元バーコード(QRコード(登録商標)等))等によって間接的に表されてもよい。ユーザは、フレキソ印刷版1に設けられた印刷条件識別部16を確認することによって、そのフレキソ印刷版1を使用するための印刷条件を知ることが可能であり、印刷時における「フレキソ印刷版1と印刷条件との対応関係の間違い」を有効に防げる。またユーザは、被印刷媒体3に印刷された印刷条件情報を確認することによって、使用されたフレキソ印刷版1、被印刷媒体3及びインクの特性及び種類を容易に認識できる。
したがって図13に示す条件識別マーク決定部87は、印刷条件取得部79からの印刷条件に基づいて印刷条件識別部16の形状、位置等を決定し、決定した印刷条件識別部16のデータ(印刷条件識別データ)を補正量算出部84に送る。補正量算出部84は、印圧分布条件及び印刷条件に基づく彫刻形状データの補正量とともに、印刷条件識別データに基づく彫刻形状データの補正量(印刷条件識別部16を彫刻するための彫刻形状データ)を算出する。そして本例のデータ補正部86は、画像データを印刷再現するためのレリーフ(画像レリーフ領域12)とともに印刷条件識別部16がフレキソ版材Fに彫刻形成されるように、彫刻形状データを補正する。
なお、フレキソ印刷版1に設けられる印刷条件識別部16の形状、位置等は特に限定されず、被印刷媒体3上への印刷条件情報の具体的な印刷手法も特に限定されない。例えばインク以外の物質(透かし液等)を使って印刷条件情報の印刷を行ってもよいし、印刷条件識別部16の押圧による刻印によって印刷条件情報の印刷を行ってもよい。
図15は、条件識別形成部の配置例を示すブロック図である。上述の例では、レリーフ50をフレキソ版材Fに形成する画像レリーフ形成部63(RIP装置61、印刷版製造装置62)に設けられる条件識別形成部64a(条件識別マーク決定部87)によって、印刷条件識別部16がフレキソ印刷版1に形成される。ただし、フレキソ印刷版1(フレキソ版材F)に印刷条件識別部16を形成するタイミングは特に限定されない。例えば、画像レリーフ形成部63の後段に設けられる条件識別形成部64bや前段に設けられる条件識別形成部64cによって、フレキソ印刷版1(フレキソ版材F)に印刷条件識別部16が形成されてもよい。
また本例では、フレキソ印刷版1に設けられた印刷条件識別部16によって被印刷媒体3上に印刷条件情報が記録されるが、被印刷媒体3上への印刷条件情報の記録を行わない印刷条件識別部16が用いられてもよい。例えば、印刷条件を記録可能なICチップ等の情報記録媒体を印刷条件識別部16として使用してもよく、ユーザは専用のリーダーを用いて印刷条件識別部16に記録された印刷条件情報を読み取ることで、フレキソ印刷版1と印刷条件との対応関係を把握することが可能である。電気的に印刷条件を保持する印刷条件識別部16の記録方式や具体的な構成は特に限定されず、読み取り方式も接触型であってもよいし非接触型(RFID(Radio Frequency IDentification)等)であってもよい。
図16は、彫刻形状データ補正部78及び露光量データ変換部80における処理の流れを示すフローチャートであり、彫刻形状データに変換する前の画像データ及び版厚分布データに基づいて印圧分布を推定する例を示す。図16に示す例では、画像と版高さ分布に基づいて印圧分布を計算し、印圧分布及び印刷条件(被印刷媒体3上でのインク挙動)に応じて彫刻形状を補正する。更に版高さによって露光ビーム径が異なるため、目的の彫刻形状が得られるように露光補正・露光変換することで、印圧分布及び印刷条件を予め考慮した彫刻形状のレリーフ50が作られる。
すなわち本例では、印圧分布推定部82(図13参照)において、彫刻形状データに変換前の画像データ(後述の図25に示す1ビット画像データ例参照)及び版厚分布データに基づき、フレキソ印刷版1の印圧分布の計算が行われ、印圧分布条件が取得される(図16のS10)。なお印圧分布推定部82は、彫刻形状データ変換部76を介して彫刻形状データに変換前の画像データを取得可能であり、また版厚分布取得部77を介して版厚分布データを取得可能である。
一方、被印刷媒体3上におけるインクの挙動(印刷条件に基づくインクの太り:ドット広がり)に影響を及ぼしうる印刷条件が、印刷条件取得部79(図12参照)によって取得される(S11)。
そして、これらの印圧分布条件及び印刷条件に基づいて彫刻形状データ(レリーフパターンデータ)の補正量が補正量算出部84(図13参照)で算出される。そしてデータ補正部86は、画像データに基づいて突起部高さデータ変換部74及び彫刻形状データ変換部76により算出された彫刻形状データ(レリーフパターンデータ)を、算出された補正量に基づいて補正する(S12)。なお本例の補正量算出部84及びデータ補正部86は、画像データを印刷再現するためのレリーフ50に加えて印刷条件識別部16(図14参照)をフレキソ版材F(フレキソ印刷版1)に彫刻形成するための補正量算出及びデータ補正を行う。
そして、露光量データ変換部80において、版厚分布データに基づく露光補正が彫刻形状データに加えられ(S13)、更に露光補正後の彫刻形状データが露光量データに変換される(S14)。なお、印圧分布条件及び印刷条件に基づくデータ補正量は、露光量データへの変換前のデータ及び変換後のデータのいずれに対して反映されてもよい。したがって、上述のように露光量データへの変換前の彫刻形状データを算出補正量に基づいて補正してもよいし、変換後の露光量データを算出補正量に基づいて補正してもよい。
図17は、レーザー彫刻機20のレーザー露光時のレーザー径を示す図である。フレキソ版材F(フレキソ印刷版1)にレリーフ50を形成する露光処理で用いられるレーザーLは、その進行方向(版厚方向)Cに関してビーム径が変化する。
すなわちレーザーLは、フォーカス位置f0におけるビーム径d0が最小となり、このフォーカス位置f0を基準として、このフォーカス位置f0からの距離(相対的な高さ)に応じてビーム径が大きくなる。例えば図17に示す例では、版厚方向Cに関し、「フォーカス位置fp(基準フォーカス位置f0からの距離がTp)におけるビーム径dp」及び「フォーカス位置fq(基準フォーカス位置f0からの距離がTq)におけるビーム径dq」は、「Tq>Tp」の場合には「dq>dp」となる。またレーザーLのビーム径は、フォーカス位置f0を基準として、その進行方向(版厚方向)Cに関して対称性を有する。したがって、基準フォーカス位置f0を挟んで上記のフォーカス位置fp及びfqとは反対側に位置するフォーカス位置fm及びfnに関し、フォーカス位置fmの基準フォーカス位置f0からの距離Tmが「Tm=Tp」を満たす場合、フォーカス位置fmのビーム径dmは「dm=dp」の関係を満たす。同様に、フォーカス位置fnの基準フォーカス位置f0からの距離Tnが「Tn>Tm」の場合、フォーカス位置fnのビーム径dnは「dn>dm」の関係を満たす。
レーザーLのビーム径は、レーザーLの照射範囲や照射強度を左右する要素であるため、レーザーLを用いた露光処理は、フレキソ版材F(フレキソ印刷版1)の厚み方向に関して特有の露光特性(ビーム径、照射強度、等)を有する。したがって、レーザーLの露光特性が加味された露光処理によって、レリーフ50がフレキソ版材F(フレキソ印刷版1)に形成されることが好ましい。特に、フレキソ版材F(フレキソ印刷版1)の厚みが一定ではない場合、レーザーLの版厚み方向に関する露光特性が加味されることで、レリーフ50の彫刻精度を向上できる。したがって露光量データ変換部80では、レーザーLの版厚み方向(フレキソ印刷版1の厚み方向)に関する露光特性が版厚分布データに基づいて導出され、この露光特性が彫刻形状データ/露光量データに反映される(図16のS13)。なお露光量データ変換部80は、印刷条件取得部79から直接的に版厚分布データを取得してもよいし、彫刻形状データ補正部78を介して間接的に版厚分布データを取得してもよい。
上述の「彫刻形状データ補正」(S12)及び「露光補正」(S13)が行われた彫刻形状データは、露光量データ変換部80において露光量データに変換され(S14)、この露光量データは印刷版製造装置62(図11参照)に送られる。なお、上述の「版厚分布データに基づく露光補正(S13)」は「露光量データ変換(S14)」とともに行われてもよい。すなわち、フレキソ版材Fの版厚によって変動する露光特性に基づく製造誤差をキャンセルするように、露光特性に基づく補正が彫刻形状データの段階で加えられてもよいし、露光量データの段階で加えられてもよい。
上述の一連のプロセス(S10〜S14)によって、印圧分布条件及び印刷条件に基づく彫刻形状を持つレリーフ50を、露光特性が加味された露光処理によって、フレキソ版材F(フレキソ印刷版1)上に精度良く形成するための露光量データを算出できる。
図18は、彫刻形状データ変換部76、彫刻形状データ補正部78及び露光量データ変換部80における処理の流れを示すフローチャートであり、彫刻形状データ及び版厚分布データに基づいて印圧分布を推定する例を示す。なお図18の処理ステップのうち、図16と共通するステップについては説明を省略する。
突起部高さデータ変換部74(図12参照)によって突起部高さデータ(レリーフパターンデータ)が得られると、彫刻形状データ変換部76において突起部高さデータ(画像データ)から彫刻形状データが変換算出される(図18のS20)。
そして、得られた彫刻形状データ及び版厚分布データに基づいて、フレキソ印刷版1の印圧分布(印圧分布条件)の計算が印圧分布推定部82において行われる(S21)。また被印刷媒体3上でのインクの挙動(ドット広がり)に影響を及ぼしうる印刷条件が印刷条件取得部79によって取得される(S22)。そして、印圧分布条件及び印刷条件に基づく彫刻形状データの補正量の算出及び補正の実行が補正量算出部84及びデータ補正部86において行われ(S23)、版厚分布データに基づく露光補正(S24)及び露光量データへの変換(S25)が露光量データ変換部80(図12参照)において行われる。
次に、印圧分布条件及び印刷条件に基づく彫刻形状データの補正量の算出例について説明する。
図19は、画像データ(彫刻形状データ)及び版厚分布に基づいて押し込み量(印圧分布)を計算し、この押し込み量(印圧分布)に基づく補正量を印刷条件に応じて算出するプロセスの一例を説明するフローチャートである。なお、図19のフローにおける各処理は、主として彫刻形状データ補正部78の補正量算出部84(図13参照)において行われるが、必要に応じて他部により処理の一部が行われてもよい。
フレキソ印刷版1の印圧分布が及ぼす影響範囲は、「フレキソ印刷版1の版硬度(ショアA)」と「フレキソ印刷版1の粘弾性」によって変動する。したがって、「彫刻形状データの補正量を算出するための印圧分布範囲(所定範囲)」であるROI(Region of Interest)のサイズは、フレキソ印刷版1の版硬度及び粘弾性に基づいて決められることが望ましい。そこで、まず、予め求められメモリ等に保存されているフレキソ印刷版1の版硬度及び粘弾性に基づいて、ROI(印圧分布範囲)が決定される(図19のS30)。なお、フレキソ印刷版1の版硬度及び粘弾性に関する情報が上述の印刷条件に含まれる場合、印刷条件取得部79によって取得される印刷条件に基づいてROIが決定されてもよい。
図20は、ROIを説明するための画像例を示す図である。ROIは、画像内の注目位置(注目画素)を中心とした所定範囲の領域によって構成され、ROI内の印圧分布に基づいて、注目位置のレリーフ彫刻(彫刻形状データ)の補正量が算出される。したがってROIは画像中の位置毎に設定され、画像内で注目位置を順次変えながら、後述の「ROI内の印圧分布に基づく注目位置におけるレリーフ彫刻の補正量算出」が行われる。例えば、フレキソ印刷版1の版硬度(ショアA)が79°で粘弾性が15MPa程度であって、図20に示す円形のROIが適用される場合、ROIのサイズ(直径)を500μm〜3000μmの範囲に設定してもよい。なお、図20に示す例では注目位置を中心とした円形状のROIが設定されるが、ROIのサイズ及び形状は特に限定されない。
次に、ROI範囲における被印刷媒体3に対するフレキソ印刷版1の接地面積率(接触面積比率)が算出される(図19のS31)。
すなわち、「ROI全体の面積」に対する「印刷時にROI内において被印刷媒体3と接触するレリーフ部分であって、被印刷媒体3に対するフレキソ印刷版1の支えに相当するレリーフ部分の面積(接触面積)」の比率(ROI内の接地面積率)Rが算出される。例えばROI内のすべての範囲が白抜き領域である場合、フレキソ印刷版1(レリーフ50)と被印刷媒体3とは接触しないので、面積率は0%になり、Rはゼロとなる(R=0)。一方、ROI内のすべての範囲がベタ領域である場合、フレキソ印刷版1(レリーフ50)と被印刷媒体3とはROI内のすべての範囲で接触するので、面積率は100%になり、Rは1となる(R=1)。したがって、ROI内で白抜き領域が多ければRはゼロに近づき、ROI内でベタ領域が多ければRは1に近づく。
次に、注目位置(注目画素)のレリーフの種類が判定され、まず、注目位置が網点に相当する領域か否かが判定される(図19のS32)。この判定は、画像データ(彫刻形状データ)に基づいて、注目位置(注目画素)毎に行われる。
注目位置が網点に相当する領域の場合(S32のYES)、網点領域の面積率(接地面積率、網点面積率、網点濃度)Rに対応する、注目位置の押し込み量が求められる(S33)。
図21は、ROI内における接地面積率(%)と押し込み量との対応関係の一例を示す図である。
図21に示すように、同じ荷重が作用する場合、ROI内における接地面積率が大きいほど押し込み量は小さくなり、ROI内における接地面積率が小さいほど押し込み量は大きくなる。これは、接触面積が小さいほど、単位面積当たりに掛かる力(印圧)は大きくなり、その印圧の増大に伴って押し込み量も増大するためである。この「ROI内における接地面積率と押し込み量との対応関係」は、予め測定され、図示しないメモリ等に記憶され、必要に応じて読み出される。そして、読み出された「ROI内における接地面積率と押し込み量との対応関係」に基づいて、網点領域の面積率Rに対応する、注目位置の押し込み量が求められる。
このように本例では、「印圧分布」と関連する「押し込み量」がパラメータとして用いられており、この「押し込み量」パラメータを使用することで、被印刷媒体に押し当てられた印刷版の印圧分布が画像データに基づいて間接的に推定される。なお、使用パラメータとして「印圧(印圧分布)」が用いられてもよいが、後述の版厚分布データに基づく補正を行う観点からは「押し込み量」をパラメータとして使用したほうが演算処理が容易である。
このようにして求められる注目位置の押し込み量は、フレキソ版材F(フレキソ印刷版1)の高さ分布(版厚分布)に基づいて、データ補正される(図19のS34)。すなわち、フレキソ版材Fの版厚のバラツキによってもたらされる印圧のバラツキをキャンセルするように、注目位置の押し込み量は補正される。版厚分布は、画像との対応に基づいて、ベタ領域のうち最も低い位置の高さ(基準高さ)、すなわちベタ領域のうち最も薄い部分の接触位置を基準とすることができる。この基準高さに対し、注目位置(注目画素)のレリーフ先端部位置(レリーフ接触位置)が相対的に高い場合はその注目位置における押し込み量が増大するように、また相対的に低い場合はその注目位置における押し込み量が減じられるように、注目位置における押し込み量のデータが補正される。
そして、補正された「注目位置における押し込み量のデータ」に基づいて、彫刻形状データの補正量が求められる(S35)。なお本例では、この彫刻形状データの補正量が印刷条件に応じて算出される。
図22は、「注目位置(注目画素)における押し込み量」と「注目位置の彫刻形状データの補正量」との対応関係の一例を示す図である。なお図22における「基準値」は、予め定められた標準的な印圧に対応する押し込み量に相当する。
図22に示すように、押し込み量が大きいほど補正量が大きく、押し込み量が小さいほど補正量が小さい。これは、押し込み量が大きいほど、単位面積当たりに掛かる力(印圧)も大きくなり、その印圧の増大に伴って、本来の印刷画像からのズレ量も増大する傾向にあるからである。
この「押し込み量とデータ補正量との対応関係」は、予め測定され、図示しないメモリに記憶され、必要に応じて読み出される。この「押し込み量とデータ補正量との対応関係」のデータは、印刷条件毎に予め測定されてメモリ(図示省略)に記憶される。このメモリに記憶された複数の「押し込み量とデータ補正量との対応関係」のデータの中から、印刷条件に応じた「押し込み量とデータ補正量との対応関係」のデータが適宜読み出される。そして、読み出された「押し込み量とデータ補正量との対応関係」に基づいて、補正された「注目位置における押し込み量のデータ」に対応する、彫刻形状データの補正量が求められる。
この印刷条件毎の「押し込み量とデータ補正量との対応関係」のデータは、実験的に求めることが可能であり、「印刷条件」及び「押し込み量(印圧)」の一方及び双方を変えながら必要とされるデータ補正量を求めてメモリに記憶することが望ましい。なおデータ補正量は、例えばレリーフの形状(径、高さ、体積等)に基づいて定められうる。
このように押し込み量及びデータ補正量は、画像データ、版厚分布データ及び印刷条件に基づいて算出されるが、これは、画像データ及び版厚分布データに基づいて印圧分布条件を推定し、この印圧分布条件及び印刷条件に基づいてレリーフパターンデータの補正量を算出することに等しい。
なお、図21に示されるデータや図22に示されるデータは、印刷条件やレーザー彫刻機20における彫刻特性(レリーフ形成特性)に応じて変動するため、使用するシステム(フレキソ印刷システム60)に応じて定められる。したがって、印刷条件に応じてレリーフの種類毎に予め求められた「ROI内における接地面積率と押し込み量との対応関係」のデータ及び「注目位置(注目画素)における押し込み量とデータ補正量との対応関係」のデータは、図示しない所定のメモリに記憶され、「彫刻形状データの補正量」の算出時に適宜読み出されて用いられる。
また注目位置が網点の場合には、網点面積率(網点濃度:網点パーセント)に応じて、「ROI内における接地面積率と押し込み量との対応関係」の特性(図21参照)や「注目位置(注目画素)における押し込み量とデータ補正量との対応関係」の特性(図22参照)が変更決定されることが望ましい。これは、網点パーセントが高い網点(特に網点面積率が50パーセント以上の網点)の場合には、印刷時におけるフレキソ印刷版1のレリーフ50の変形が比較的小さいが、網点パーセントが低い網点の場合には印刷時におけるフレキソ印刷版1のレリーフ50の変形が比較的大きいためである。
このようにして、注目位置が網点の場合の「彫刻形状データの補正量」が算出される。一方、注目位置が凸細線の場合も同様にして「彫刻形状データの補正量」が算出される。
すなわち、注目位置が網点ではなく(図19のS32のNO)、凸細線に相当する領域であると判定される場合(S36のYES)、凸細線領域の面積率(接地面積率)Rに対応する、注目位置の押し込み量が求められる(S37、図21参照)。そして、フレキソ版材Fの版厚分布データに基づいて、注目位置における押し込み量のデータが補正され(S38)、補正された「注目位置における押し込み量のデータ」に基づいて、印刷条件に応じた彫刻形状データの補正量が求められる(S39、図22参照)。
なおこの場合、彫刻形状データの補正量の算出のための「ROI内における接地面積率と押し込み量との対応関係」の特性や「注目位置(注目画素)における押し込み量とデータ補正量との対応関係」の特性は、注目位置が凸細線の場合の特性が用いられ、注目位置が網点の場合の特性(図21及び図22参照)とは基本的に異なるものとなる。
一方、注目位置が凸細線ではなく(S36のNO)、ベタに相当する領域であると判定される場合(S40のYES)、補正量の算出は行われず、データ補正部86(図13参照)における彫刻形状データの補正は行われずスキップされる。これは、ベタ領域では、全面にわたってフレキソ印刷版1と被印刷媒体3とが接触するため、彫刻形状データの補正が不要だからである。
そして、注目位置が網点、凸細線及びベタのいずれでもないと判定される場合には(S40のNO)、その他の領域の面積率(接地面積率)Rに対応する、注目位置の押し込み量が求められる(S41、図21参照)。そして、フレキソ版材Fの版厚分布データに基づいて、注目位置における押し込み量のデータが補正され(S42)、補正された「注目位置における押し込み量のデータ」に基づいて、印刷条件に応じた彫刻形状データの補正量が求められる(S43、図22参照)。
なおこの場合、彫刻形状データの補正量の算出のための「ROI内における接地面積率と押し込み量との対応関係」の特性や「注目位置(注目画素)における押し込み量とデータ補正量との対応関係」の特性は、注目位置が網点の場合の特性(図21及び図22参照)や凸細線の場合の特性とは基本的に異なるものとなる。
上述の彫刻形状データの補正量算出時(図19のS30〜S43参照)に使用される、「ROI内における接地面積率と押し込み量との対応関係」の特性や「注目位置(注目画素)における押し込み量とデータ補正量との対応関係」の特性は、ROIサイズと同様に、注目位置が網点、凸細線、或いはそれ以外のいずれの場合においても、印刷条件(フレキソ印刷版1(フレキソ版材F)の版硬度及び粘弾性等)に応じて定められることが望ましい。
上述のようにして彫刻形状データの補正量が決定されると、彫刻形状データ補正部78のデータ補正部86(図13参照)において、決定された補正量に基づき彫刻形状データが補正される。
なお、データ補正部86を露光量データ変換部80と一体的に設けてもよく、印圧分布条件及び印刷条件に基づいて求められる「データ補正量」が、彫刻形状データに対して直接的に反映されるのではなく、露光量データに対して反映されるようにしてもよい。
図23は、形状補正を実現する露光テーブルの一例を示す表(変換テーブル)である。図23では、「彫刻形状データの補正量(「補正量1」〜「補正量5」)」及び「注目位置(注目画素)のレリーフ種類」に対して「露光テーブル(「網点」、「凸細線」及び「その他」における「露光テーブル1」〜「露光テーブル5」)」が対応づけられている。
データ補正部86を露光量データ変換部80と一体的に設ける場合、決定した「彫刻形状データの補正量」の各々(図23の「補正量1」〜「補正量5」参照)に対応する露光量データが、「網点」、「凸細線」及び「その他」の場合のそれぞれに対して予め定められていてもよい(「露光テーブル1」〜「露光テーブル5」)。この場合、露光量データ変換部80では、図23のような変換テーブルに基づき、注目位置が網点、凸細線、ベタ、その他の場合のそれぞれに対し、補正量が反映された露光量データを算出できる。
この場合、版厚分布データに基づく露光補正(図16の「S13」、図18の「S24」参照)も、露光量データ変換部80で行われてもよい。
図24は、レーザービーム径に対応した形状補正を実現するための露光変換テーブルを示す表である。図24において、「フォーカス位置f0」はビーム径が最小となる位置(基準フォーカス位置)を表し(図17参照)、「+」及び「−」は、基準フォーカス位置f0を挟んで逆側の位置に関することを表し、高さの単位はマイクロメートル(μm)を基準としている。したがって、図24に示す「フォーカス位置f+1」及び「フォーカス位置f+2」と「フォーカス位置f−1」及び「フォーカス位置f−2」とは、基準フォーカス位置f0を挟んで逆側に位置する(図17の「fp」及び「fq」と「fm」及び「fn」参照)。また基準フォーカス位置f0からの距離に関し、「フォーカス位置f+1」と「フォーカス位置f−1」とは等しく、「フォーカス位置f+2」と「フォーカス位置f−2」とは等しい。
図24に示すように、レリーフ高さに応じた露光量データが露光テーブルとして図示しないメモリに格納されていてもよい。レーザー彫刻機20(図3参照)は、オートフォーカス機構によってフレキソ版材Fの所定位置をフォーカス位置(図17の「f0」)となるように、レーザーLの焦点位置を調整する。図24の表中の「高さ」(フォーカス位置)は基準フォーカス位置f0を基準とし、版高さ(版厚)バラツキはフォーカス位置f0に対する距離(相対的な高さ)によって表される。
露光量データ変換部80は、図24に示す露光変換テーブルを参照することで、注目位置毎に決定した補正量に基づいて露光量データの補正(露光補正)を行うことが可能である。なお、図24に示すフォーカス位置毎の露光テーブルは、図23に示す補正量(「補正量1」〜「補正量5」)とレリーフ種類(「網点」、「凸細線」及び「その他」)とによって決定される露光テーブル(「露光テーブル1」〜「露光テーブル5」)の各々に対して割り当てられる。したがって露光量データ変換部80は、注目位置(注目画素)のレリーフ種類(「網点」、「凸細線」及び「その他」)と算出されたデータ補正量(「補正量1」〜「補正量5」)から対応の露光テーブル(図23)を決定する。一方、露光量データ変換部80は、注目位置の基準フォーカス位置f0に対する版高さ(版厚)を算出する。そして、露光量データ変換部80は、決定した露光テーブル(図23)に割り当てられる「図24に示すフォーカス位置毎の露光テーブル」のうち、注目位置の版高さ(版厚)に対応する露光テーブルを決定する。このようにして決定される露光テーブルに基づいて、露光量データが決められる。
このようにして算出される「補正量が反映された露光量データ」に基づいて、印刷版製造装置62ではフレキソ印刷版1の適切なレリーフ彫刻形成を行うことができる。なお、彫刻装置(印刷版製造装置62)に応じた彫刻アルゴリズムに基づく露光量データの変換算出過程において、図23及び図24に示すような変換テーブルに格納される数値(補正反映値:露光テーブル)を補正前の露光量データ(補正前の彫刻形状データから導き出される露光量データ)に乗じることで、「補正量が反映された露光量データ」を算出してもよい。
<レリーフ補正例>
上述のようにして彫刻形状データ/露光量データが補正されることで、印圧分布条件及び印刷条件を考慮したレリーフ補正が可能となる。
図25は、彫刻形状データに変換前の画像データ(1ビット画像データ)の一例を示す図であり、図26は、図25の画像データから求められる彫刻形状データの一例を示す図である。なお図25及び図26の各々には、画像データ/彫刻形状データによって被印刷媒体3上に再現された印刷画像90が示されている。また図27は、レリーフ50の先端が被印刷媒体3と接触する箇所(レリーフ先端部形状92)と、レリーフ50の先端から被印刷媒体3に転写されたインクの広がり(印刷画像90)との関係例を示す図である。
上述の例において印圧分布条件は、フレキソ印刷版1の所定範囲のうち被印刷媒体3と接する部分の面積割合(黒画素数)に基づいて推定されるが、図25に示すような「彫刻形状データに変換前の画像データ」に基づいて推定されてもよいし、図26に示すような「彫刻形状データ」に基づいて推定されてもよい。またフレキソ印刷版1(レリーフ50)から被印刷媒体3に転写されたインクは印刷条件に応じた広がり挙動を見せ、レリーフ先端部形状92と印刷画像90とは必ずしも一致しない。
図28及び図29は、図26に示す彫刻形状データを印圧分布条件及び印刷条件に基づいて補正することで得られる「補正後の彫刻形状データ」を例示する図である。なお図28及び図29の各々には、周辺の印圧分布の影響を無視した状態で、「補正後の彫刻形状データ」に基づき通常のフレキソ印刷(転写印刷)を行うことによって被印刷媒体3上に再現される印刷画像90の一例が示されている。
図26に示す「補正前の彫刻形状データ」と比較し、図28に示す例では印刷画像90が全体的に太るように「彫刻形状データ」が補正され、図29に示す例では印刷画像90が全体的に細るように「彫刻形状データ」が補正されている。したがって、例えば周辺の状態によって注目位置に掛かる印圧が通常よりも小さくなる場合には、図28に示すような「印刷画像90を太らせる彫刻形状データ」に補正する。これにより、掛かる印圧が通常より小さくても、結果として、通常印圧が掛かる場合と同じ印刷画像90を被印刷媒体3上に再現することが可能となる。一方、周辺の状態によって注目位置に掛かる印圧が通常よりも大きくなる場合には、図29に示すような「印刷画像90を細らせる彫刻形状データ」に補正することで、掛かる印圧が通常より大きくても、結果として、通常印圧が掛かる場合と同じ印刷画像90を被印刷媒体3上に再現することが可能となる。同様に、例えば通常よりも被印刷媒体3上におけるインク広がりの程度が小さい印刷条件の場合には、図28に示すような「印刷画像90を太らせる彫刻形状データ」に補正する。これにより、結果として、通常のインクの広がり挙動を示す印刷条件の場合と同じ印刷画像90を被印刷媒体3上に再現することが可能となる。一方、通常よりも被印刷媒体3上におけるインク広がりの程度が大きい印刷条件の場合には、図29に示すような「印刷画像90を細らせる彫刻形状データ」に補正することで、結果として、通常のインクの広がり挙動を示す印刷条件の場合と同じ印刷画像90を被印刷媒体3上に再現することが可能となる。
図30は、フレキソ印刷版1の一部に形成されたレリーフ50の一例を示す外観斜視図であり、印圧分布条件及び印刷条件に応じた補正が行われていない彫刻形状データに基づいて、フレキソ印刷版1上に彫刻作成されたレリーフ50(凸部51)の一例を示す。図31は、フレキソ印刷版1の一部に形成されたレリーフ50の一例を示す外観斜視図であり、印圧分布条件及び印刷条件に応じた補正が行われた彫刻形状データに基づいて、フレキソ印刷版1上に彫刻作成されたレリーフ50(凸部51)の一例を示す。
フレキソ印刷版1に形成されるレリーフパターンは複数の凸部51を含み、各凸部は、基礎部と、基礎部上に設けられ被印刷媒体3に押し当てられる先端部とを有する。フレキソ印刷において被印刷媒体3に再現される印刷画像90の質を大きく左右する要素として、この凸部51の高さ(図30の「TA」参照)と、凸部51のうち被印刷媒体3と接触する先端部の形状(径:図30の「DA」参照)とが挙げられる。
したがって彫刻形状データ(レリーフパターンデータ)は、レリーフパターンに含まれる複数の凸部51の高さのデータ及び形状のデータを含むことが好ましい。また印圧分布に基づく彫刻形状データの補正量は、これらの凸部51の高さのデータ及び形状のデータのうち少なくともいずれか一方に関することが好ましい。特に、凸部51の形状のデータは、少なくとも先端部の形状のデータを含むことが好ましく、この先端部の形状のデータは、先端部のうち印刷時に被印刷媒体と接する部分(面)のデータを含むことが好ましい。また複数の凸部の高さのデータは、先端部の高さと、基礎部の高さと、先端部及び基礎部の全体の高さとのうち少なくともいずれか一つに関するものであることが好ましく、特に全体高さ及び先端部の高さに関するものであることが好ましい。
したがって印圧分布条件及び印刷条件に基づく補正により、フレキソ印刷版1に形成される凸部51(レリーフ50)の高さ(図31の「TB(=TA−ΔT)」参照)や先端部の形状(径:図31の「DB」参照)を調整することが好ましい。
図32は、網点中の小点の彫刻形状(先端部形状)を印圧分布条件及び印刷条件に応じて補正する例を説明するための凸部51の外観図である。図32において、(a)は「標準よりも大きな印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準よりも大きい場合」の凸部51を示し、(b)は「標準的な印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準的な場合」の凸部51を示し、(c)は「標準よりも小さな印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準よりも小さい場合」の凸部51を示す。
凸部51の各々は、円錐台状の基礎部52と、基礎部52上に設けられる円柱状の先端部53とを有し、先端部53は基礎部52の頂部と同じ大きさの断面径を持つ。図32に示す例では、彫刻形状データの「複数の凸部51の形状のデータ」は少なくとも先端部53の形状のデータを含み、この「先端部53の形状のデータ」は先端部53のうち印刷時に被印刷媒体3と接する部分のデータを含み、印圧分布条件及び印刷条件に応じて凸部51の先端部53の形状(径)が補正調整されている。
すなわち、周辺からの影響が小さく、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な範囲内にある場合、凸部51の先端部53のうち「被印刷媒体3と接する部分(接地部分)」の径も標準的な大きさに設定される(図32(b)の「D2」参照)。一方、周辺からの影響によって、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な大きさよりも大きい場合(過大な場合)には、標準印圧時(図32(b))に比べて、凸部51の先端部53の径を小さくして先端部断面積を減少させる(図32(a)の「D1」参照)。これにより、凸部51(先端部53)の変形によってもたらされうる「接地部分及び印刷画像90の太り」を軽減する予測補正を行うことができる。また周辺からの影響によって、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な大きさよりも小さい場合(過小な場合)には、標準印圧時(図32(b))に比べて、凸部51の先端部53の接地部分の径を大きくして先端部断面積を増大させる(図32(c)の「D3」参照)。これにより、想定よりも小さな印圧による凸部51(先端部53)の変形不足やインクの広がり不足によってもたらされうる「接地部分及び印刷画像90の細り」の影響を軽減する予測補正を行うことができる。
また本例では、更に印刷条件に基づく被印刷媒体3上でのインクの広がり挙動が加味され、インクの広がり挙動が標準的な場合には、凸部51の先端部53のうち「被印刷媒体3と接する部分(接地部分)」の径も標準的な大きさに設定される(図32(b)の「D2」参照)。一方、被印刷媒体3上でのインクの広がりが標準よりも大きい場合(過大な場合)には、標準インク挙動時(図32(b))に比べて、凸部51の先端部53の径を小さくして先端部断面積を減少させる(図32(a)の「D1」参照)。これにより、被印刷媒体3上でのインク挙動によってもたらされうる「印刷画像90の太り」を軽減する予測補正を行うことができる。また、被印刷媒体3上でのインクの広がりが標準よりも小さい場合(過小な場合)には、標準インク挙動時(図32(b))に比べて、凸部51の先端部53の径を小さくして先端部断面積を減少させる(図32(c)の「D3」参照)。これにより、被印刷媒体3上でのインク挙動によってもたらされうる「印刷画像90の細り」を軽減する予測補正を行うことができる。
このように本例では、印圧分布及び印刷条件(インク挙動)を総合的に勘案して凸部51の形状(レリーフ50の形状)が定められ、先端部53の断面径をコントロールすることで、意図しない印刷画像90の太りや細りを防いで、高品位なフレキソ印刷を行うことができる。
図33は、網点中の小点の彫刻形状(凸部高さ)を印圧分布条件及び印刷条件に応じて補正する例を説明するための凸部51(レリーフ50)の外観図である。図33において、(a)は「標準よりも大きな印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準よりも大きい場合」の凸部51を示し、(b)は「標準的な印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準的な場合」の凸部51を示し、(c)は「標準よりも小さな印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準よりも小さい場合」の凸部51を示す。
図32に示す例では「凸部51(レリーフ50)の先端部53の径」を調整することで、印圧分布条件及び印刷条件に基づく彫刻形状データの補正を行うが、「凸部51の高さ」を調整(低層化/高層化)することでそのような補正が行われてもよい。すなわち、凸部51の先端部53の接地部分の高さを調整することで、注目位置に掛かる印圧の大きさをコントロールし、印刷時における意図しない凸部51の変形及びインク挙動を防止することが可能である。
なお、ここでいう「凸部51の高さ」の調整とは、フレキソ印刷版1のレリーフ形成領域(図14の画像レリーフ領域12参照)内での相対的なレリーフ高さを調整することである。例えばベタ部印刷用の領域(図4の「ベタ領域」参照)のレリーフ頂部の位置(高さ)を基準とした相対位置(相対高さ)を調整することで、「凸部51の高さ」が調整可能である。
彫刻装置の特性によっては、最小径を持つ網点印刷に使用されるレリーフ50(凸部51)の接地面(最小接地面)が制限されるが、そのような制限を受ける場合であっても「凸部51の高さ」を調整することによって、被印刷媒体3との相対距離をコントロールし、印刷小点径を小さくすることが可能である。
例えば、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な範囲内にある場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がり挙動が標準的な場合には、凸部51の先端部53のうち「凸部51の高さ」も標準的な高さに設定される(図33(b)の「T2」参照)。一方、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な大きさよりも大きい場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がりが標準よりも大きい場合には、標準印圧時(図33(b))に比べて、「凸部51の高さ」を小さくする(図33(a)の「T1」参照)。これにより、凸部51(先端部53)の変形やインクの広がり挙動によってもたらされうる「接地部分及び印刷画像90の太り」を軽減する予測補正を行うことができる。また、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な大きさよりも小さい場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がりが標準よりも小さい場合には、標準印圧時(図33(b))に比べて、「凸部51の高さ」を大きくする(図33(c)の「T3」参照)。これにより、想定よりも小さな印圧による凸部51(先端部53)の変形不足やインクの広がり不足によってもたらされうる「接地部分及び印刷画像90の細り」の影響を軽減する予測補正を行うことができる。
図34は、網点中の小点の彫刻形状(凸部先端部体積)を印圧分布条件及び印刷条件に応じて補正する例を説明するための凸部51(レリーフ50)の外観図である。図34において、(a)は「標準よりも大きな印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準よりも大きい場合」の凸部51を示し、(b)は「標準的な印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準的な場合」の凸部51を示し、(c)は「標準よりも小さな印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準よりも小さい場合」の凸部51を示す。
図32及び図33に示す例では凸部51(レリーフ50)の1次元方向の大きさ(先端部径、凸部高さ)を調整することで、印圧分布に基づく彫刻形状データの補正が行われるが、3次元的な観点から、印圧分布に基づく彫刻形状データの補正を行ってもよい。すなわち彫刻形状データは、レリーフパターンに含まれる複数の凸部51の体積のデータを直接的に又は間接的に含み、印圧分布条件及び印刷条件に基づく彫刻形状データの補正量は、この体積のデータに関するものであることが好ましい。凸部51の体積(とりわけ先端部53の体積)をコントロールすることで、注目位置に掛かる印圧の大きさを調整し、印刷時における意図しない凸部51の変形やインク挙動を防止することが可能である。なお、ここでいう「凸部51の体積のデータ」は、凸部51(基礎部52及び先端部53)の断面形状(断面径等)のデータ及び高さデータによって表される間接的な「体積のデータ」であってもよい。
図34に示す例では、各凸部51は、円錐台状の基礎部52の頂部に円錐台状の先端部53の底部が位置するように一体的に設けられており、基礎部52の頂部の断面径と先端部53の底部の断面径とは必ずしも一致しておらず、「基礎部52の頂部の断面径」>「先端部53の底部の断面径」の関係を有する。この構成において、「凸部51の先端部53の体積」を調整することにより、印刷小点径をコントロールすることが可能である。
例えば、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な範囲内にある場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がり挙動が標準的な場合には、凸部51の先端部53の体積も標準的な大きさとなるように、先端部53の径及び高さが決められる(図34(b)の「D2」及び「TH2」参照)。一方、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な大きさよりも大きい場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がりが標準よりも大きい場合には、標準印圧時(図34(b))に比べて、凸部51の先端部53の体積が小さくなるように先端部53の径及び高さが決められる(図34(a)の「D1」及び「TH1」参照)。これにより、凸部51(先端部53)の変形やインクの広がり挙動によってもたらされうる「接地部分及び印刷画像90の太り」を軽減する予測補正を行うことができる。また、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な大きさよりも小さい場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がりが標準よりも小さい場合には、標準印圧時(図34(b))に比べて、凸部51の先端部53の体積が大きくなるように先端部53の径及び高さが決められる(図34(c)の「D3」及び「TH3」参照)。これにより、想定よりも小さな印圧による凸部51(先端部53)の変形不足やインクの広がり不足によってもたらされうる「接地部分及び印刷画像90の細り」の影響を軽減する予測補正を行うことができる。
なお凸部51の先端部53に加えて(或いは凸部51の先端部53に代えて)、基礎部52の体積を調整してもよい。すなわち、印圧に対する周辺からの影響やインク挙動の影響を軽減するように、標準よりも大きな印圧が掛かる場合や被印刷媒体3上でのインク広がりの程度が大きい場合には基礎部52の体積が小さくなるように、また標準よりも小さな印圧が掛かる場合や被印刷媒体3上でのインク広がりの程度が小さい場合には基礎部52の体積が大きくなるように、基礎部52の径及び高さが決められてもよい(図34(a)〜(c)の「DB1」〜「DB3」、「TL1」〜「TL3」参照)。ただし、通常は、基礎部52よりも先端部53の体積のほうが、印圧に与える影響は大きいので、先端部53の体積(径、高さ)を優先的にコントロールしたほうが良い場合が多い。
なお上述以外の手法によって、フレキソ印刷版1の網点用のレリーフ50(凸部51)の彫刻形状(彫刻形状データ)を調整してもよい。また上述の図32〜図34に示した手法を組み合わせて、凸部51の先端部53の径及び高さ、基礎部52の径及び高さ、先端部53と基礎部52との間におけるサイズ比(体積比)等を適宜調整してもよい。
上述では網点印刷のための彫刻形状補正について説明したが、他の彫刻形状補正も同様にして行うことができる。
図35は、凸細線印刷用のレリーフ彫刻形状(先端部形状)を印圧分布条件及び印刷条件に応じて補正する例を説明するための凸部51の外観図である。図35において、(a)は凸細線印刷用の凸部51の外観斜視図であり、(b)は「標準よりも大きな印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準よりも大きい場合」の凸部51の断面図を示し、(c)は「標準的な印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準的な場合」の凸部51の断面図を示し、(d)は「標準よりも小さな印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準よりも小さい場合」の凸部51の断面図を示す。
本例の凸細線印刷用の凸部51は、基礎部52と、基礎部52の頂面上に設けられる先端部53とを有し、基礎部52は側面が台形の四角柱状の形状を有し、先端部53は側面が長方形の四角柱状の形状を有する。
例えば、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な範囲内にある場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がり挙動が標準的な場合には、凸部51の先端部53のうち「被印刷媒体3と接する頂部(接地部分)」の大きさ(幅)も標準的な大きさに設定される(図35(c)の「D2」参照)。一方、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な大きさよりも大きい場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がりが標準よりも大きい場合には、標準印圧時(図35(c))に比べて、凸部51の先端部53の大きさ(幅)を減じて先端部断面積を減少させる(図35(b)の「D1」参照)。これにより凸部51(先端部53)の変形やインクの広がり挙動によってもたらされうる「接地部分及び印刷画像90の太り」を軽減する予測補正を行うことができる。また、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な大きさよりも小さい場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がりが標準よりも小さい場合には、標準印圧時(図35(c))に比べて、凸部51の先端部53の大きさ(幅)を増して先端部断面積を増大させる(図35(d)の「D3」参照)。これにより、想定よりも小さな印圧による凸部51(先端部53)の変形不足やインクの広がり不足によってもたらされうる「接地部分及び印刷画像90の細り」の影響を軽減する予測補正を行うことができる。
また3次元的な観点から彫刻形状データの補正を行ってもよく、凸部51の体積(とりわけ先端部53の体積)をコントロールすることで、注目位置に掛かる印圧の大きさを調整し、印刷時における意図しない凸部51の変形やインク挙動を防止することが可能である。
図36は、凸細線印刷用のレリーフ彫刻形状(先端部体積)を印圧分布条件及び印刷条件に応じて補正する例を説明するための凸部51(レリーフ50)の外観図である。図36において、(a)は凸細線印刷用の凸部51の外観斜視図であり、(b)は「標準よりも大きな印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準よりも大きい場合」の凸部51の断面図を示し、(c)は「標準的な印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準的な場合」の凸部51の断面図を示し、(d)は「標準よりも小さな印圧が作用する場合」及び「被印刷媒体3上におけるインクの広がり挙動が標準よりも小さい場合」の凸部51の断面図を示す。
本例の凸細線印刷用の凸部51の基礎部52は、図35の凸部51と同様に側面が台形の四角柱状の形状を有し、先端部53も側面が台形の四角柱状の形状を有する。
例えば、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な範囲内にある場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がり挙動が標準的な場合には、凸部51の先端部53の体積も標準的な大きさとなるように、先端部53のうち「被印刷媒体3と接する頂部(接地部分)」の大きさ(幅)も標準的な大きさに設定される(図36(c)の「D2」参照)。一方、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な大きさよりも大きい場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がりが標準よりも大きい場合には、標準印圧時(図36(c))に比べて、凸部51の先端部53の体積が小さくなるように先端部53のうち被印刷媒体3と接する接地部分の大きさ(幅)を決める(図36(b)の「D1」参照)。これにより、凸部51(先端部53)の変形やインクの広がり挙動によってもたらされうる「接地部分及び印刷画像90の太り」を軽減する予測補正を行うことができる。また、注目位置に掛かる印圧が予想される標準的な大きさよりも小さい場合や、被印刷媒体3上でのインクの広がりが標準よりも小さい場合には、標準印圧時(図36(c))に比べて、凸部51の先端部53の体積が大きくなるように先端部53のうち被印刷媒体3と接する接地部分の大きさ(幅)を決める(図36(d)の「D3」参照)。これにより、想定よりも小さな印圧による凸部51(先端部53)の変形不足やインクの広がりの不足によってもたらされうる「接地部分及び印刷画像90の細り」の影響を軽減する予測補正を行うことができる。
なお上述以外の手法によって、フレキソ印刷版1の凸細線用のレリーフ50(凸部51)の彫刻形状(彫刻形状データ)を調整してもよい。また上述の図35〜図36に示した手法を組み合わせて、凸部51の先端部53の幅及び高さ、基礎部52の幅及び高さ、先端部53と基礎部52との間におけるサイズ比(体積比)等を適宜調整してもよい。
以上説明したように、上述の実施形態によれば、フレキソ版材F(フレキソ印刷版1)の版厚み分布と画像データとに基づいて印圧分布が推定され、推定された印圧分布(押し込み量)に基づくレリーフパターンデータに対する補正量が印刷条件毎に決められる。これにより、印刷条件及び画像内容(画像データ)に因らずに、所望の印刷物を安定的に得られる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述の例では印圧分布条件及び印刷条件から直接的にレリーフパターンデータを決定する例について説明したが、印圧分布条件及び印刷条件から間接的にレリーフパターンデータを決定してもよい。
図37は、彫刻形状データ補正部78の一変形例を示す機能ブロック図である。本変形例の彫刻形状データ補正部78はインク挙動推定部83を有する。インク挙動推定部83は、印刷条件取得部79から供給される印刷条件に基づいて、被印刷媒体3に押し当てられたフレキソ印刷版1のレリーフ50によって被印刷媒体3上に転写されるインクの範囲を示す印刷径条件を推定する。ここでいう印刷径条件は、転写時の被印刷媒体3上におけるインクの範囲(広がり挙動)を示す指標であり、例えばインクの範囲の程度を複数段階に分類する簡易な指標を用いることができる。補正量算出部84は、印圧分布推定部82から供給される印圧分布条件と、インク挙動推定部83から供給される印刷径条件とに基づいて、レリーフパターンデータ(彫刻形状データ)の補正量を算出し、最終的なレリーフパターンデータを決定する。このように印刷条件に対応する「インクの広がり挙動を示すパラメータ(印刷径条件)」を用いることによって、たとえ印刷条件が複数のパラメータを含む場合であっても、比較的簡単に補正量算出部84においてレリーフパターンデータを決定することが可能である。