JP6048649B2 - 摩擦圧接装置 - Google Patents
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前記特許文献2のように、まず高融点の接合部材を低融点の接合部材の融点近傍まで予備加熱することで、異なる融点の接合部材における温度分布を均一化する方法も考えられるが、これは少なくとも2度の予備加熱を行う必要があり、工数が増加するという問題が生じる。また、合計の予備加熱時間が増える場合、熱伝導による熱影響範囲の拡大が懸念される。
請求項4の摩擦圧接装置では、請求項3において、前記磁気遮断手段は、分割部分が互いに重なり合う構成をなしていることを特徴としている。
このように、磁気遮断手段を設けることで、一対の接合部材間における突き出し量や形状、材質等の違いに関わらず、一度の予備加熱で当該一対の接合部材の温度分布を適切に調整することができ、理想的な条件で摩擦圧接を行うことができる。
図1は本実施形態の摩擦圧接装置を示す全体構成図、図2は接合部材と加熱コイルとの位置関係を示す部分斜視図である。以下、説明の便宜上、図1の上下方向を上下、図1の左右方向を前後、図1の紙面と直交する方向を左右として規定する。
全体として摩擦圧接装置は、接合対象物である一対の接合部材W1、W2(図1では一方の接合部材W1のみを記載)を把持して線形摩擦圧接法により接合する摩擦圧接部1、及び接合部材W1、W2の接合に先立って加熱コイル8により予備加熱する予備加熱部2から構成されており、装置のベース3上にそれぞれ配置されている。なお、本実施形態では、当該接合部材W1、W2は、航空機等に使用されるガスタービンエンジンのディスクの外周に複数設けられるブレードであり、当該摩擦圧接装置は、ディスクから突出しているブレード根元部分の接合部材W1とブレード先端側の接合部材W2とを接合するものとする。
前記予備加熱部2は摩擦圧接部1の後方位置に配置されている。ベース3上には予備加熱部2の直動ステージ5が設置され、この直動ステージ5上に配設された制御ボックス6が直動ステージ5に沿って前後方向に移送されるようになっている。制御ボックス6からは前方に向けて水平に支持アーム7が延設され、支持アーム7の先端は二股状に分岐して加熱コイル8の両端が接続されている。加熱コイル8は左右方向に延びる螺旋状をなしている。
詳しくは、図2〜4に基づき、接合部材W1、W2の予備加熱時における両把持部4a、4b間の構成について説明する。
図2には図1のA−A線に沿う断面を含む部分斜視図が示されており、図3(a)には図2の矢印Bから視た正面図、図3(b)には図2の矢印Cから視た上面図がそれぞれ示されている。なお、これらの図において加熱コイル8は図示を簡略化して2つの矩形の環として示している。
ブレード根元側の接合部材W1は図示しないディスクから突出している基部W1aが左側の把持部4aにより把持されている。当該基部W1aは矩形の先端面を有しており、当該先端面からは断面翼形状をなしたブレード根元部W1bが突き出している。一方、ブレード先端側の接合部材W2は、ブレード根元部W1b先端の接合面と同一の断面翼形状をなしている。また、両接合部材W1、W2は同種の金属からなる。
この突き出し量の大きい接合部材W1に、当該接合部材W1が突き出している方向と垂直に交差するようにして磁気シールド板12が設けられている。当該磁気シールド板12は、ブレード根元側の接合部材W1における当該磁気シールド板12からの突き出し量L1bが、ブレード先端側の接合部材W2の突き出し量L2aと同一になる位置(L1b=L2a)に設けられている。
当該図4(a)に示すように、磁気シールド板12は、長方形の板の中央に接合部材W1の断面形状に合わせた孔13が形成されている。当該孔13の開口縁は、接合部材W1の外周面と隙間を有しており、つまりは接合部材W1の断面積よりも大きい開口面積をなしている。この隙間の間隔は、例えば予備加熱や摩擦圧接により接合部材W1及び磁気シールド板12が熱膨張した場合にも、当該接合部材W1及び磁気シールド板12が接触しない程度に設定されている。
図4(b)(c)に示すように分割部分の断面を視ると、第1板部12aの分割面には凹部14aが形成され、第2板部12bの分割面には凸部14bが形成されており、当該凹部14aと凸部14bとが嵌合することで磁気シールド板12は一体をなしている。
次に、以上のように構成された線形摩擦圧接装置による接合部材W1、W2の接合作業を説明する。
次いで、高周波誘導加熱回路により加熱コイル8に高周波電流を流し、接合部材W1、W2の接合面を予備加熱する。予備加熱時の電流値及び予備加熱の継続時間は、予め試験により求められた値に基づき制御される。
このように本実施形態の線形摩擦圧接装置によれば、一対の接合部材W1、W2の把持部4a、4bからの突き出し量L1a、L2aが異なっており、予備加熱による温度分布が非対称となる場合に、突き出し量の大きい一方の接合部材W1側に磁気シールド板12を設けることで、予備加熱中に加熱コイル8により発生する磁気を遮断して、当該一対の接合部材W1、W2の温度分布を調整することができる。
さらに、磁気シールド板12の分割面においては、図4(b)、(c)に示したように、凹部14aと凸部14aが嵌合し、当該分割部分が互いに重なり合うように結合している。これにより、磁気シールド板12を分割したことによる当該磁気シールド板12における電気抵抗の増加にともなう渦電流の減少を軽減することができ、分割構造による磁気遮断の効率の低下を抑制することができる。
上記実施形態における接合部材W1、W2は同種の金属及び同種の接合面形状をなしているが、異種金属であったり、接合面形状が異なることにより、予備加熱による温度分布が非対称となる場合にも適用することができる。例えば一対の接合部材のうち昇温しやすい又は融点の低い接合部材側、場合によってはそれらの反対側に、磁気シールド板を設けることで、昇温し難い又は融点の高い接合部材と温度分布を調整することができる。
また、上記実施形態における接合部材W1、W2はガスタービンエンジンのディスクとし、線形摩擦圧接法による接合について説明したが、接合部材及び摩擦圧接法はこれに限られるものではない。例えば、軸形状又は筒形状の接合部材を突き合わせ、相対回転させることで摩擦熱を発生させる摩擦圧接法にも適用することができる。また、加熱コイルを離脱させることなく、予備加熱と同時期に摩擦圧接を開始することのできる摩擦圧接法にも適用することができる。
また、上記実施形態では、摩擦圧接による接合後に磁気シールド板12を取り外しているが、予備加熱後に加熱コイルの離脱とともに磁気シールド板12を取り外しても構わない。
2 予備加熱部
4 駆動装置
4a、4b 把持部(把持手段)
8 加熱コイル
12 磁気シールド板(磁気遮断手段)
12a 第1板部
12b 第2板部
13 孔
14a 凹部
14b 凸部
Claims (4)
- 一対の接合部材を摩擦圧接する摩擦圧接装置であって、
前記接合部材を把持し、当該接合部材同士を突き合わせて相対運動させることで摩擦熱を発生させ、押圧力を作用させる把持手段と、
前記摩擦圧接を行う以前に、前記一対の接合部材を電磁誘導加熱により予備加熱する誘導加熱手段と、
前記一対の接合部材のうちの少なくとも一方の接合部材側に、当該接合部材と交差するようにして設けられ、前記予備加熱中に前記誘導加熱手段により発生する磁気を遮蔽して、当該一対の接合部材の温度分布を調整する磁気遮断手段と、
を備え、
前記磁気遮断手段は、前記誘導加熱手段に対する前記接合部材における前記把持部又は前記磁気遮断手段からの突き出し量が、前記一対の接合部材で同一になる位置に設けられることで、前記一対の接合部材の温度分布を調整することを特徴とする摩擦圧接装置。 - 前記磁気遮断手段は、前記接合部材の外周面と隙間を有して、当該接合部材と交差するようにして設けられていることを特徴とする請求項1記載の摩擦圧接装置。
- 前記磁気遮断手段は、取り外しのために分割可能な板部材であることを特徴とする請求項1又は2記載の摩擦圧接装置。
- 前記磁気遮断手段は、分割部分が互いに重なり合う構成をなしていることを特徴とする請求項3記載の摩擦圧接装置。
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