JP6047041B2 - 超音波診断装置、超音波診断装置の信号処理方法およびプログラム - Google Patents
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Description
一般に、この種の超音波診断装置は、複数の素子(超音波トランスデューサ)を内蔵した超音波プローブ(超音波探触子 以下、プローブとも言う)と、このプローブに接続された装置本体とを有している。超音波診断装置では、プローブの複数の素子から所定の焦点(送信焦点)を形成するように被検体(検査対象物)に向けて超音波ビームを送信し、被検体からの超音波エコーをプローブで受信して、受信した超音波エコーの受信信号を装置本体で電気的に処理することにより超音波画像が生成される。
そのため、超音波診断装置では、各素子で受信した超音波エコーの受信信号をA/D(アナログ/デジタル)変換してデジタルの受信信号(以下、素子データとする)とした後、この素子データを受信フォーカス処理、即ち、受信信号の遅延時間に応じた遅延補正を行い、位相を合わせ整相加算して受信データ(音線信号)を生成し、各ラインに対応する複数の受信データによって、1つの超音波画像を生成している。
このような問題に対して、超音波診断装置では、1つの超音波画像の生成において、各送信によって得られた複数のデータ(素子データあるいは受信データ)を受信時間や素子の位置に応じて重ね合わせて、データを補正する、いわゆるマルチライン処理を行うことにより、解像度を向上させることが行われている。
あるいは、動き量算出部は、複数の第1の素子データをそれぞれ整相加算して得られる複数の受信データに対して検波処理を行った後のデータを用いて動き量を算出するのも好ましい。
あるいは、動き量算出部は、複数の第1の素子データをそれぞれ処理して得られる複数のライン状の画像を用いて動き量を算出するのも好ましい。
また、データ処理部は、中心となる素子が互いに異なる超音波ビームの送信で得られた複数の第1の素子データ、および、送信方向が互いに異なる前記超音波ビームの送信で得られた複数の前記第1の素子データの、少なくとも一方を用いて、第2の素子データを生成するのが好ましい。
また、データ処理部は、送信領域が重なり合う超音波ビームの送信で得られた、複数の第1の素子データから、第2の素子データを生成するのが好ましい。
さらに、複数の第1の素子データに対して、同じ素子に対応するラインを中心にしてそれぞれ整相加算を行い複数の第1の受信データを生成する整相加算部を有し、データ処理部は、複数の第1の受信データから、第1の受信データのいずれかに対応する第2の受信データを生成するのも好ましい。
また、検査対象物における組織の動き量は、拍動によって動いた組織の動き量であるのが好ましい。
図示例においては、送信部14、受信部16、A/D変換部18、素子データ記憶部20、動き量算出部21、素子データ処理部22、画像生成部24、表示制御部26、表示部28、制御部30、操作部32、および、格納部34が、超音波診断装置10の装置本体を構成する。
超音波プローブ12(以下、プローブ12とする)は、超音波トランスデューサを一次元的または二次元的に配列してなる振動子アレイ36を有する。
超音波トランスデューサは、検査対象物(以下、被検体という)の超音波画像の撮像の際に、それぞれ送信部14から供給される駆動信号に従って超音波ビームを被検体に送信すると共に、被検体で反射された超音波エコーを受信して、受信した超音波の強さに応じた受信信号を出力する。
また、振動子は、被検体内で反射された超音波エコーが入射することで伸縮し、この伸縮の大きさ応じた電気信号を発生する。この電気信号が、受信信号(アナログの素子信号)として、受信部16に出力される。
送信部14は、制御部30が選択した送信遅延パターンに基づいて、所定数(複数)の超音波トランスデューサが送信する超音波が、設定した焦点に収束する超音波ビームを形成するように、駆動信号の遅延量(駆動電圧の印加タイミング)を調節する送信フォーカスを行って、駆動信号を超音波トランスデューサに供給する。
これにより、プローブ12(振動子アレイ36)から被検体に、目的とする超音波ビームが送信される。
従って、1回の超音波の送受信(1本の超音波ビームの送信、および、この送信に対応する超音波エコーの受信)において、超音波を発生する超音波トランスデューサの数(送信開口の数)、および、超音波を受信(受信部16が受信信号を受け取る)する超音波トランスデューサの数(受信開口の数)は、共に、複数であれば、限定は無い。また、1回の送受信において、送信と受信とで、開口数は、同じでも異なってもよい。
また、少なくとも方位方向(アジマス方向(超音波トランスデューサの配列方向))に隣接する超音波ビームで、送信領域が重複していれば、1つの超音波画像を形成するための超音波の送受信の回数(音線数)や、送受信の中心となる超音波トランスデューサ(中心素子)の間隔(すなわち走査線/音線の密度)にも、限定は無い。従って、超音波で走査する領域に対応する全ての超音波トランスデューサを中心素子として超音波の送受信を行ってもよく、2個置きや4個置きなどの所定間隔の超音波トランスデューサを中心素子として超音波の送受信を行ってもよい。
A/D変換部18は、A/D変換した素子データを素子データ記憶部20に供給する。
好ましくは、素子データ記憶部20は、少なくとも1つの超音波画像(1フレームの超音波画像)に対応する全ての素子データを記憶し、かつ、少なくとも超音波画像の表示を終了するまでは、表示中および表示前の超音波画像の素子データを消去しない。
動き量算出部21は、素子データ記憶部20から隣接するラインに対応する2つの素子データを読み出し、2つの素子データの信号の類似度を評価することで、信号の関係(同期している、片方が遅れている、無関係である等)、すなわち、動き量Mを算出する。なお、2つの素子データの相互相関の評価方法は、例えば、特許文献1に記載される方法等、種々の公知の方法を利用することができる。
図2(A)は、振動子アレイ36と被検体内とを模式的に示す図であり、図2(B)は、図2(A)に示すn番目の素子(超音波トランスデューサ)を中心素子として超音波を送受信して得られた素子データ(n番目の素子データ)を示す図であり、図2(C)は、図2(A)に示すn+1番目の素子を中心素子として超音波を送受信して得られた素子データ(n+1番目の素子データ)を示す図である。
例えば、n番目の素子を中心素子として超音波を送受信した際には、組織の境界は、図2(A)の実線の位置にあり、n+1番目の素子を中心素子として超音波を送受信した際には、組織の境界は、同図中の一点鎖線の位置あった場合には、組織の境界を反射点(図中黒丸で示す)として、それぞれ図2(B)および(C)に実線で示す信号を得る。
動き量算出部21は、算出した動き量Mの情報を素子データ処理部22に供給する。
具体的には、素子データ処理部22は、制御部30による制御に基づいて、素子データ記憶部20に記憶された素子データのうち、中心となる超音波トランスデューサ(中心となる素子(中心素子))が異なり、かつ、超音波ビームの送信領域が重なり合う、所定数(複数)の超音波ビームの送信で得られた素子データを、動き量算出部21から供給された動き量M、各超音波トランスデューサが超音波エコーを受信した時間、および、超音波トランスデューサの位置に応じて重ね合わせて、素子データ(後述する注目素子の素子データ)に対応する処理済素子データを生成する。
素子データ処理部22における処理については、後に詳述する。
素子データ処理部22は、生成した処理済素子データを、画像生成部24に送る。
画像生成部24は、整相加算部38、検波処理部40、DSC42、画像処理部44、および、画像メモリ46を有する。
前述のように、プローブ12の振動子アレイ36は、複数の素子(超音波トランスデューサ)を一次元的あるいは二次元的に配列してなるものである。従って、被検体内の1つの反射点との間の距離は、各々超音波トランスデューサで異なる。そのため、同じ反射点で反射された超音波エコーであっても、各超音波トランスデューサに超音波エコーが到達する時間が異なる。整相加算部38は、制御部30が選択した受信遅延パターンに応じて、各超音波トランスデューサ毎の超音波エコーの到達時刻の差(遅延時間)に相当する分、各処理済素子データを遅延して、遅延時間を与えた処理済素子データを整合加算することにより、デジタル的に受信フォーカス処理を行い、受信データを生成する。
整相加算部38は、生成した受信データを、検波処理部40に供給する。
ここで、図3は、プローブ12が有する複数の超音波トランスデューサが、同図中左右方向に一列に配列されている、リニアプローブの場合である。しかしながら、コンベックスプローブの場合もプローブ形状が違うだけで、考え方は同じでよい。
同図に示すように、超音波の反射点が、中心の超音波トランスデューサから配列方向に対して垂直な距離(深さ)dの位置にあるとすると、n番目の超音波トランスデューサと反射点との間の距離(長さ)dnは、式(1)により算出される。
dn=((nL)2+d2)1/2 … (1)
従って、被検体内の超音波の音速(環境音速)Vaを用いて、超音波エコーが反射点からn番目の超音波トランスデューサに到達(受信)する時間tnは、式(2)により算出される。
tn=dn/Va=((nL)2+d2)1/2/Va … (2)
具体的には、n番目の超音波トランスデューサで受信される超音波は、超音波が反射点から中心の超音波トランスデューサで受信されるまでの時間をt1とすると、中心の超音波トランスデューサで受信される超音波に対して、時間Δt=tn−t1だけ遅れる。本例では、この遅延時間Δtが、すなわち、受信遅延パターンである。
整相加算部38は、各々の超音波トランスデューサに対応する受信データについて、上記時間Δtで表される遅延時間を用いて整相加算を行い、受信フォーカス処理を行う。
DSC(digital scan converter)42は、検波処理部40で生成されたBモード画像データを、通常のテレビジョン信号の走査方式に対応する画像データに変換(ラスター変換)する。
画像メモリ46は、画像処理部44が処理したBモード画像データを格納する、公知の記憶手段(記憶媒体)である。画像メモリ46に格納されたBモード画像データは、必要に応じて、表示部28で表示するために表示制御部26に読み出される。
表示部28は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、表示制御部26の制御の下で、超音波画像を表示する。
また、制御部30は、操作部32を用いて操作者によって入力された各種の情報を、必要な部位に供給する。例えば、操作部32に、動き量算出部21で用いられる動き量算出に必要な情報、素子データ処理部22および画像生成部24の整相加算部38で用いられる遅延時間算出に必要な情報、ならびに、素子データ処理部22における素子データ処理に必要な情報の入力が行われた場合には、これらの情報を、必要に応じて、送信部14、受信部16、素子データ記憶部20、動き量算出部21、素子データ処理部22、画像生成部24および表示制御部26等の各部に供給する。
また、操作部32は、操作者が、必要に応じて各種の情報を入力するための、入力機能を備えている。例えば、操作部32は、プローブ12(超音波トランスデューサ)の情報、プローブ12(振動子アレイ36)における送信開口および受信開口、重ね合わせる素子データ数や方法などの処理済素子データの生成に関する情報、超音波ビームの焦点位置等を入力するための、入力機能を備えている。
これらは、例えば、撮影部位(診察部位)の選択、画質の選択、撮影する超音波画像の深度の選択等によって、入力される。
格納部34には、ハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、DVD−ROM等の公知の記録媒体を用いることができる。
なお、以下の説明では、超音波トランスデューサのことを、単に『素子』とも言う。
図4に示すように、素子データ処理部22は、動き量補正部47と、遅延時間算出部48と、重ね合わせ処理部49とを有する。
全ての素子データに対して、同じ素子データを基準として動き量を補正することにより、組織の拍動の影響を低減して、実質的に同じ状態の組織の情報を有する素子データとみなすことができる。
動き量補正部47は、動き量を補正した素子データを重ね合わせ処理部49に供給する。
また、遅延時間算出部48は、超音波ビームを送信(生成)するために超音波を発振する送信開口の素子と、被検体からの超音波エコーを受信する受信開口の素子との幾何学的な位置に基づいて、受信開口の素子で受信される超音波エコーすなわち素子データの遅延時間を算出する。
ここで、読み出した素子データは、動き量補正部47で動き量を補正された後に重ね合わせ処理部49に供給される。なお、以下の説明では、動き量を補正された素子データを補正後素子データというが、遅延時間算出部48および重ね合わせ処理部49の説明においては、単に素子データともいう。
さらに、重ね合わせ処理部49は、遅延時間算出部48で算出された、それぞれの素子データに対応する遅延時間に基づいて、2以上の補正後素子データを、受信時間上で、即ち時間を合わせて、かつ、受信された探触子の素子の絶対的な位置を合わせて、重ね合わせて、処理済素子データを生成する。
初めに、超音波プローブ12において、送信開口すなわち超音波ビームを送信するために超音波を発信する素子(以下、単に送信素子という)から、被検体に超音波ビームを送信し、被検体との間の相互作用によって発生された超音波エコーを、受信開口すなわち超音波エコーの受信を行う素子(以下、単に受信素子という)で受信して、素子データを得る場合において、送信素子からの超音波ビームと受信素子で得られる素子データとの関係について説明する。
すなわち、図5(a)に示す例では、中心素子(中心となる素子)は、素子52dであり、図5(b)に示す例では、中心素子は素子52eである。
図5(a)のように、反射点54の真上(反射点と焦点とを結ぶ直線上)にある素子52dを中心素子として、送信素子である素子52c〜52eから超音波ビーム56を送信し、受信素子である素子52a〜52gで超音波エコーを受信して素子データを取得すると、超音波ビーム56の焦点58は、中心素子である素子52dと反射点54とを結ぶ一直線上にある。この場合、超音波ビーム56は、反射点54まで送信されるので、反射点54から反射される超音波エコーが生成される。
反射点54からの超音波エコーは、所定角度に拡がる受信経路60を通って受信素子である素子52a〜52gに受信され、素子52a〜52gによって、図5(b)に示すような素子データ62が得られる。なお、図5(b)において、縦軸は時間で、横軸は図5(a)に一致する方位方向の位置(素子の位置)である(図5(d)も同じ)。
素子52eを中心素子として、送信素子である素子52d〜52fから超音波ビーム56を送信し、受信素子である素子52b〜52hで超音波エコーを受信する。この際に、同様に超音波ビーム56が理想的であれば、超音波ビーム56の送信方向、即ち、中心素子52eと焦点58とを結ぶ直線上に反射点54が存在しない。従って、この超音波ビーム56は、反射点54に送信されない。
そのため、反射点54から反射される超音波エコーは生成されず、受信素子である素子52b〜52hは、反射点54からの超音波エコーを受信しないので、図5(d)に示すように、反射点からの反射信号が無い素子データとなる(素子データの信号強度が『0』になる)。
ここで、図5(a)と同様に、図6(a)のように、反射点54の真上にある素子52dを中心素子として、素子52c〜52eを送信素子として超音波ビーム64を送信した場合には、超音波ビーム56が幅広であっても、その焦点58は、素子52dと反射点54とを結ぶ一直線上にある。従って、超音波ビーム64は、反射点54で反射され、超音波エコーが生成される。
その結果、図5(a)の場合と同様に、反射点54からの超音波エコーは、所定角度に拡がる受信経路60を通って受信素子である素子52a〜52gに受信され、同様に、図6(b)に示すような真の素子データ66が得られる。
そのため、反射点54から、超音波ビームの送信方向には、本来、存在しない超音波エコー、所謂ゴーストの反射エコーが発生する。この反射点54からのゴーストの反射エコーは、図6(c)に示すように、所定角度に拡がる受信経路60を通って受信素子である素子52b〜52hに受信される。その結果、素子52b〜52hによって、図6(d)に示すようなゴーストの素子データ68が得られることになる。
素子データ処理部22は、素子データに対応する遅延時間を遅延時間算出部48で算出し、重ね合わせ処理部49が、2以上の素子データを、この遅延時間および素子の絶対的な位置に応じて重ね合わせることで、真の素子データを強調して、ゴーストの素子データを減衰させた、高精度な素子データである処理済素子データを生成するものである。
すなわち、図6(c)に示す超音波ビーム64の伝播距離は、超音波ビーム64が中心素子である素子52eから焦点58を経由して反射点54に至る送信経路と、ゴーストの反射エコーが反射点54から受信素子である素子52b〜52hの個々に至る受信経路との和となる。
この図6(c)に示す超音波ビーム64の伝播距離は、図6(a)に示す超音波ビーム64の伝播距離、すなわち、超音波ビーム64が中心素子52dから焦点58を経由して反射点54に至る送信経路と、真の超音波エコーが反射点54から受信素子である素子52a〜52gに至る受信経路との和より長くなる。
そのため、図6(d)に示すようなゴーストの素子データ68は、図6(b)に示すような真の素子データ66に対して、遅延することになる。
したがって、遅延時間の計算には、プローブ12の形状(素子間隔、リニア、コンベックスなど)、音速、焦点の位置、送信開口、受信開口などの情報が必要である。遅延時間算出部48では、操作部32によって入力された、若しくは格納部34に格納されたこれらの情報を取得して、遅延時間の計算を行う。なお、音速は、固定値(例えば、1540m/sec)を用いてもよく、あるいは、音速算出部を有する場合には、音速算出部が算出した音速(環境音速)を用いてもよく、あるいは、操作者が入力できるようにしてもよい。
遅延時間は、例えば、送信素子、超音波ビームの焦点、被検体の反射点、および受信素子の幾何学的配置から算出される、送信素子から焦点を経て反射点に至る超音波ビームの送信経路および反射点から受信素子に至る真の反射超音波エコーまたはゴーストの反射信号の受信経路の合計長さ(伝播距離)と、音速によって算出される伝播時間の差から算出することができる。
また、図7(a)は、図6(a)と同様の超音波の送受信を行い、図7(b)は、図6(c)と同様の超音波の送受信を行うものである。
従って、中心素子である素子52dの位置をx−yの2次元座標上の座標(x0、0)とすると、焦点58および反射点54のx座標も『x0』となる。以下、この送信における焦点58の位置を座標(x0、df)、反射点54の位置を座標(x0、z)とし、さらに、素子の間隔をLeとする。
この際において、中心素子である素子52dから焦点58を経て反射点54に至る超音波ビームの送信経路61の長さ(送信経路距離)Lta、および、反射点54から素子52dに至る真の反射超音波エコーの受信経路60の長さ(受信経路距離)Lraは、Lta=Lra=zによって算出できる。
したがって、真の超音波エコーの場合、超音波エコーの伝播距離Luaは、Lua=Lta+Lra=2zとなる。
反射点54は、素子52dの真下(方位方向の同位置)に位置している。従って、図7(b)に示すように、この送受信では、中心素子である素子52eと、反射点54とのx方向の位置は、1素子分すなわちLeだけ、x方向にずれる。
反射点54とx方向の位置が一致する素子52dの座標が(x0、0)であるので、中心素子である素子52eの座標は(x0+Le、0)、この送信における焦点58の座標は(x0+Le、df)となる。なお、前述のように、反射点54の座標は(x0、z)である。
従って、中心素子である素子52eから焦点58を経て、反射点54に至る超音波ビームの送信経路61の長さ(送信経路距離)Ltbは、Ltb=df+√{(z−df)2+Le2}で算出できる。他方、反射点54から、直下(x方向=方位方向の同位置)の素子52dに至るゴーストの反射信号の受信経路60の長さ(受信経路距離)Lrbは、Lrb=zによって算出できる。
したがって、ゴーストの反射エコーの場合の超音波の伝播距離Lubは、Lub=Ltb+Lrb=df+√{(z−df)2+Le2}+zとなる。
遅延時間は、反射点54と中心素子とのx座標が一致している時の真の超音波エコーの伝播時間から、反射点54と中心素子とのx座標を1素子間隔ずつずらしたときのゴーストの反射エコーの伝播時間の差から求められる。
なお、図7(a)および図7(b)の幾何学モデルでは、送信経路61が焦点58を経由したモデルになっているが、本発明はこれに限定されず、例えば、焦点58を経由せずに、直接、反射点54に至る経路であっても良い。
例えば、コンベックスプローブの場合、プローブの半径と素子間隔の角度から幾何学モデルを設定して、同じように計算することができる。
さらに、幾何学モデルよって遅延時間を算出する方法に限らず、あらかじめ装置の計測条件に合わせて高輝度反射点を計測した計測結果から、計測条件毎に遅延時間を求めておき、その遅延時間を装置内に記憶しておくことで、同じ計測条件の遅延時間を読み出すようにしておいてもよい。
図7(c)において、方位方向の中央が、真の素子データ66、すなわち、中心素子と反射点54とでx方向の位置が一致している送受信によって得られた素子データ(図示例では、素子52dを中心素子とした素子データ)である。また、中央の両側が、ゴーストの素子データ、すなわち、中心素子と反射点54とでx方向の位置が一致していない送受信によって得られた素子データ(図示例では、素子52cや素子52e等を中心素子とした素子データ)である。
また、図7(d)に、上述の幾何学計算から得られた真の素子データ66に対する、ゴーストの素子データ68の遅延時間の一例を示す。真の素子データ66を中心に、ゴーストの信号の素子データ68は、x方向すなわち方位方向に対称的に時間が遅れることが示されている。
なお、こうして、素子データ処理部22の遅延時間算出部48において算出された遅延時間は、整相加算部38における遅延補正に用いることもできる。
図7において、反射点54は、注目素子の真下(方位方向の同位置/注目素子と焦点とを結ぶ直線上)に位置する或るサンプリングポイントの位置(素子データの出力位置)を示している。本発明では、注目素子の送受信におけるサンプリングポイントへの送受信経路を真の素子データの送受信経路と見なし、中心素子が異なる超音波の送受信(周辺素子からの送受信)における同じサンプリングポイントへの送受信経路をゴーストの送受信経路と見なして、両送信経路の差から、遅延時間を算出して、この遅延時間を用いて素子データの時間を合わせて、重ね合わせを行う。言い換えれば、注目素子の送受信で得られた素子データを真の素子データ、中心素子が異なる送受信で得られた素子データをゴーストの素子データと仮定して、遅延時間を算出し、素子データの重ね合わせを行う。
本発明では、全てのサンプリングポイント(全ての素子データの出力位置)に対応して、同様の考え方で遅延時間を算出して、素子データの重ね合わせを行い、各素子の処理済素子データを生成する。
ここで、実際には、方位方向(x方向)にサンプリングポント(反射点)の位置をズラしても、受信経路の長さ(受信経路距離Lrb)は変わらない。従って、各注目素子に関しては、深さ方向(y方向)の各サンプリングポイント毎に、中心素子が異なる送受信による素子データとの遅延時間の算出を行えばよい。
また、この重ね合わせ処理においては、真の素子データがどの素子データであるかを知っている必要はない。すなわち、後に図8を用いて詳述するが、この重ね合わせ処理では、注目素子の素子データが真の素子データであれば、自動的に強調されて素子データが残り、ゴーストであれば素子データは打ち消される。すなわち、注目素子の素子データが真の素子データである場合には、遅延時間による処理が一致して信号が強調され、注目素子の素子データがゴーストの素子データである場合には、遅延時間による処理が一致せずに、信号が打ち消される。
なお、重ね合わせ処理部49における重ね合わせ処理では、重ね合わせる時の重ね合わせ素子データ数と重ね合わせ処理方法の情報が必要になるが、これらは、予め、操作部32によって入力しておいても良いし、格納部34に格納しておいても良い。
図8(a)は、5回の超音波の送受信によって得られた5つの素子データを横に並べて表示している。また、図8(a)は、素子データ毎に、超音波ビームを送信して、超音波エコーを受信した様子を表している。各素子データの横軸は、受信素子を表しており、それぞれの素子データにおいて超音波ビームの送受信における中心素子を中心にして表示している。縦軸は、受信時間を表す。この例では、例えば前記素子52b〜52fなど、中心素子を、1素子ずつ、ずらして、5回の超音波の送受信を行っている。
図8では、中央の素子データにおける中心素子の真下にのみ、1つの反射点が存在している状態を示す。すなわち、5つの素子データのうち、真中の素子データでは、超音波の送受信において、反射点からの真の超音波エコーが受信されている。つまり、真中の素子データは、真の素子データである。
ゴーストの素子データは、真の素子データから離れるほど、反射点までの超音波の伝播時間が長くなるため、真の素子データよりも受信時間が遅くなる。また、反射点からの超音波エコーが初めに受信される受信素子の位置は、反射点の真上の素子(反射点と方位方向の位置が一致する素子)である。
ここで、図8の各素子データの横軸は、超音波ビームの送信時における中心素子を中心にしている。従って、図8に示す例では、素子データ毎に、この中心素子を1素子ずつずらして送信していることから、各素子データにおいて方位方向の素子の絶対位置は、1素子ずつずれている。つまり、真中の素子データでは、反射点からの反射信号が初めに受信される受信素子は中心素子であるが、両隣の素子データにおいては、真中の素子データよりも1素子ずれており、右側の素子データでは左に1素子ずれ、左側の素子データでは右に1素子ずれている。さらに、両端の素子データでは、真中の素子データよりも2素子ずれており、右端の素子データでは左に2素子ずれ、左端の素子データでは右に2素子ずれている。このように、ゴーストの信号は、真の信号に対して、受信時間が遅れるだけでなく、受信素子の方向に対してもずれを生じている。
重ね合わせ処理部49では、図8(b)に示す遅延時間を用いて、真中の素子データの中心素子を注目素子とした場合に、注目素子を中心に、重ね合わせる素子の数分、図示例では3素子分だけ遅延時間補正を行うと共に、注目素子との素子数分、図示例では両側に1素子分だけ方位方向にシフトさせて、即ち位相を合わせて3素子分の素子データを重ね合わせ、注目素子の1つの重ね合わせ処理済素子データとして求める。
すなわち、本例においては、注目素子を中心素子とする超音波の送受信によって得られた素子データ(以下、注目素子の素子データとも言う)に、注目素子の隣の素子を中心素子とする超音波の送受信によって得られた素子データ(以下、隣の素子の素子データとも言う)を重ね合わせて、注目素子の素子データの処理済素子データを生成している。
前述のように、図8(a)に示す注目素子の素子データは、中心素子(すなわち注目素子)の真下に反射点が存在する、真の素子データである。また、注目素子に隣接する素子を中心素子とする送受信によって得られた素子データも、反射点に入射して、反射された超音波エコーのデータである。
従って、注目素子の両側の隣の素子の素子データに遅延時間補正および方位方向のシフトを行って位相合わせを行うと、図8(c)に示すように、隣の素子の素子データと、注目素子の素子データとは、位相が合うので高輝度位置で重なり合う。そのため、これらの素子データを、例えば加算すると素子データ値は大きな値(高輝度値)を示し、例えば、平均して平均値を求めても強調された値(高輝度値)を示す。
図8(e)は、図8(b)と同じものであり、図8(a)に示す5素子分の素子データの注目素子の素子データに対する受信時間の遅延時間の一例を示す。即ち、図8(a)と図8(d)は同じ素子データであるので、図8(d)に示す5素子分の素子データの真中の素子データに対する受信時間の遅延時間とも同じである。
重ね合わせ処理部49では、図8(e)(即ち、図8(b)と同じ)に示す遅延時間を用いて、注目素子を中心に、重ね合わせ素子数分、図示例では3素子分だけ遅延時間補正を行うと共に、注目素子との素子数分、図示例では両側に1素子分だけ方位方向にシフトさせて、3素子分の未処理素子データを重ね合わせ、注目素子の1つの重ね合わせ処理済素子データとして求める。
図8(d)に示す注目素子の素子データは、ゴーストの素子データである。そのため、注目素子の両側の隣接素子の未処理素子データに遅延時間補正および方位方向のシフトを行って位相合わせを行っても、図8(f)に示すように、隣接素子の各素子データと注目素子の素子データとは、互いに位相が合わないので重なり合わない。このため、これらの3つの素子データを、例えば加算しても、位相が合っていないために、位相が反転している信号などは信号が打ち消しあうため、加算値は大きくならず、例えば、平均して平均値を求めると小さな値を示すことになる。
図8(h)に示すように、図8(a)に示す直下に反射点が存在している中心素子を注目素子とした場合には、真の信号の素子データが高輝度値を持つ重ね合わせ処理済素子データとして求められる。これに対して、その両側の各2素子の全4素子では、ゴーストの素子データは互いに位相が合わない素子データを加算し、または平均化する。そのため、素子データ同士が、互いに打ち消し合うことになるため、ゴーストの重ね合わせ処理済素子データは、その値が真の信号の素子データである高輝度値を持つ重ね合わせ処理済素子データに対して小さくなり、真の素子データに対してゴーストの素子データの影響を低減させることができ、または、その影響を無視できる程、小さくすることができる。
そのため、処理済素子データに整相加算や検波処理を行って、受信データを生成して、超音波画像を生成することにより、ゴーストの影響を無くし、すなわち音線上の全ての点で焦点を結んだのに等しい素子データで超音波画像生成できるので、高輝度で、鮮鋭性に優れた、高画質な超音波画像を生成することができる。
他方、開口数が偶数の場合には、方位方向の中央の素子のいずれかを中心素子とし、あるいは、方位方向の真中に素子が有ると仮定して、中心素子とする。すなわち、開口数が偶数の場合には、開口の真中のライン上に焦点が有るものとして計算を行ってもよい。
あるいは、重ね合わせる各素子データ同士を比較し、類似している場合には最大値、類似していない場合には平均値、分布の偏りがある場合には中間値をとるなど、これに限らず、重ね合わせる各素子データの特徴量に基づいて重ね合わせ処理を変えてもよい。
ここで、注目素子の素子データに重ね合わせる素子データ数は、超音波ビームのビーム幅の広がり程度に合わせた方が望ましい。従って、深さによってビーム幅が変わる場合には、重ね合わせる素子データ数も深さによって変更してもよい。
また、ビーム幅は送信開口数に依存することから、送信開口数に応じて重ね合わせる素子データの数を変更してもよい。あるいは、画像の輝度値などの特徴量に基づいて重ね合わせ素子データ数を変更してもよいし、重ね合わせ素子データ数を複数パターンを変えて作成した画像から最適な重ね合わせ素子データ数を選択してもよい。
例えば、中心素子を同一として、送信方向(角度)が異なる複数の超音波ビームの送信によって得られた素子データを重ね合わせることにより、処理済素子データを生成してもよい。この際において、何れの超音波ビームの送信で得られた素子データの処理済素子データを生成するか(すなわち、どの方向の音線の処理済素子データを生成するか)は、診察部位やプローブの種類等に応じてデフォルトで設定されていてもよく、あるいは、操作者が選択するようにしてもよい。
また、中心素子が異なり、平行な超音波ビームの送信で得られた素子データと、中心素子を同一として、送信方向が異なる超音波ビームの送信で得られた素子データとの両方を用いて、処理済素子データを生成してもよい。
処理済素子データを供給された画像生成部24では、前述のように、整相加算部38が処理済素子データを整相加算して受信フォーカス処理を行って受信データを生成し、検波処理部40が、受信データに減衰補正および包絡線検波処理を施すことにより、Bモード画像データを生成する。
画像生成部24では、さらに、DSC42が、Bモード画像データを通常のテレビジョン信号の走査方式に対応する画像データにラスター変換し、画像処理部44で階調処理等の所定の処理を施す。
画像処理部44は、生成したBモード画像データを画像メモリ46に格納し、および/または、表示制御部26に送って、被検体のBモード画像を表示部28に表示する。
各素子データの動き量Mを補正することにより、組織の拍動や手ブレ等の画像上の動きの影響を低減して、実質的に同じ状態(位置)にある組織の情報を有する素子データとみなすことができる。従って、動き量を補正した素子データを用いてマルチライン処理をすることにより、組織の拍動や手ブレ等の画像上の動きがあった場合でも、素子データの重ね合わせを行った際に、適切に重ね合わせることができる。これにより、高画質な超音波画像を得ることができる。
本発明のプログラムは、超音波診断装置10が有するコンピュータに、以下の信号処理方法を実行させるプログラムである。
受信部16は、1ライン目のアナログの受信信号に、増幅等の所定の処理を施して、A/D変換部18に供給する。
A/D変換部18は、受信部16から供給された1ライン目のアナログの受信信号をA/D変換して、デジタルの受信信号である1ライン目の素子データとする。
1ライン目の素子データは、素子データ記憶部20に記憶される。
ここで、2ライン目の素子データを取得すると、動き量算出部21は、1ライン目の素子データと2ライン目の素子データとを素子データ記憶部20から読み出し、2つの素子データの相互相関を評価して、2ライン目の素子データの動き量M2を算出し記憶する。
このように、超音波診断装置10は、超音波プローブ12の開口をずらしながら、順次、nライン目のスキャンを行い、かつ、動き量算出部21でnライン目の素子データの動き量Mnを算出し記憶する。
すなわち、前述のように、まず、動き量補正部47が、1ライン目の素子データを基準として、各素子データを動き量Mnに基づいて補正する。例えば、5ライン目の素子データに対しては、動き量M2+M3+M4+M5分だけ時間軸上でデータをシフトする。これにより、各補正後素子データは、同じ状態(タイミング)の組織の情報を有するデータとみなすことができる。
また、動き量Mを算出するのが困難な素子データが多数ある場合には、素子データ処理部22によるマルチライン処理を行わずに、通常の超音波画像を生成するようにしてもよい。
なお、図10に示す超音波診断装置100は、動き量算出部21に代えて動き量算出部102を有し、信号の流れが異なる以外には、図1に示す超音波診断装置10と、同じ構成を有するので、同一の構成要素には、同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
動き量算出部102による相互相関の評価方法は、動き量算出部21と同様の方法を利用することができる。
図2(A)と同様に、図11(A)は、振動子アレイ36と被検体内とを模式的に示す図である。また、図11(B)は、図11(A)に示すn番目の素子(超音波トランスデューサ)を中心素子として超音波を送受信して得られた素子データ(n番目の素子データ)、および、この素子データを整相加算して得られた受信データ(n番目の受信データ)を示す図であり、図11(C)は、図11(A)に示すn+1番目の素子を中心素子として超音波を送受信して得られた素子データ(n+1番目の素子データ)および、この素子データを整相加算して得られた受信データ(n+1番目の受信データ)を示す図である。
一方、図11(C)は、n+1番目の素子を中心素子として超音波を送受信した際に、組織の境界が、同図中の一点鎖線の位置あった時に取得された素子データおよび受信データを示すものである。
動き量算出部102は、算出した動き量Mの情報を素子データ処理部22に供給する。
素子データ処理部22は、生成した処理済素子データを画像生成部24(整相加算部38)に送る。
画像生成部24では、さらに、DSC42が、Bモード画像データを通常のテレビジョン信号の走査方式に対応する画像データにラスター変換し、画像処理部44で階調処理等の所定の処理を施す。
画像処理部44は、生成したBモード画像データを画像メモリ46に格納し、および/または、表示制御部26に送って、被検体のBモード画像を表示部28に表示する。
あるいは、さらに、検波処理部40で検波処理した後に、Bモード画像データ化したライン上の画像データを用いて動き量を算出する構成としてもよい。
なお、図12に示す超音波診断装置110は、素子データ処理部22に代えてデータ処理部114を有し、画像生成部24に代えて画像生成部116を有する以外には、図1に示す超音波診断装置10と同じ構成を有するので、同一の構成要素には、同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
データ処理部114は、動き量補正部47と、整相加算部118と、遅延時間算出部48と、重ね合わせ処理部120とを有する。
ここで、整相加算部118は、後述する重ね合わせ処理部120で重ね合わせを行う複数の素子データに対して、同じ素子(ライン)を基準として、それぞれ整相加算を行う。
また、重ね合わせ処理部120は、遅延時間算出部48で算出された、それぞれの受信データに対応する遅延時間に基づいて、2以上の第1の受信データを、受信時間上で、即ち時間を合わせて、重ね合わせて、処理済(第2の)受信データを生成する。
図14に示す素子データは、n番目の素子を中心素子として超音波の送受信を行って得られた素子データである。
以下の説明では、例えば、n番目の素子データに対して、n−2番目のラインを基準として整相加算を行い生成した受信データを、n(n−2)番目の受信データと表す。すなわち、n番目の素子データをi番目のラインを基準として整相加算して得られた受信データを、n(i)番目の受信データと表す。
図15(A)は、それぞれn−2番目の素子データ、n−1番目の素子データ、n番目の素子データを示す。
一例として、n−2番目、n−1番目、n番目の受信データを用いて、n番目の受信データに対応する処理済受信データを生成する場合を考える。
データ処理部114は、処理済受信データを画像生成部116に供給する。
画像処理部44は、生成したBモード画像データを画像メモリ46に格納し、および/または、表示制御部26に送って、被検体のBモード画像を表示部28に表示する。
12 (超音波)プローブ
14 送信部
16 受信部
18 A/D変換部
20 素子データ記憶部
21、102 動き量算出部
22 素子データ処理部
24、116 画像生成部
26 表示制御部
28 表示部
30 制御部
32 操作部
34 格納部
36 振動子アレイ
38、118 整相加算部
40 検波処理部
42 DSC
44 画像処理部
46 画像メモリ
47 動き量補正部
48 遅延時間算出部
49、120 重ね合わせ処理部
52 素子
54 反射点
56、64 超音波ビーム
58 焦点
60 受信経路
61 送信経路
62 素子データ
66 真の素子データ
68 ゴーストの素子データ
114 データ処理部
Claims (12)
- 超音波ビームを用いて検査対象物を検査する超音波診断装置であって、
前記超音波ビームを送信し、かつ、前記検査対象物によって反射された超音波エコーを受信して、受信した超音波エコーに応じたアナログ素子信号を出力する、複数の素子が配列された探触子と、
前記探触子に、複数の前記素子を用い、所定の送信焦点を形成するように前記超音波ビームを送信させることを、複数回、行わせる送信部と、
個々の前記超音波ビームの送信に対応して、複数の前記素子が出力したアナログ素子信号を受け、所定の処理を施す受信部と、
前記受信部が処理したアナログ素子信号をA/D変換して、デジタル素子信号であり、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第1の素子データとするAD変換部と、
複数の前記第1の素子データから、前記第1の素子データのいずれかに対応する、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第2の素子データを生成するデータ処理部と、
複数の前記第1の素子データを用いて動き量を算出する動き量算出部とを有し、
前記データ処理部は、前記動き量算出部が算出した前記動き量を用いて、複数の前記第1の素子データを補正して、補正後の第1の素子データを生成し、複数の前記補正後の第1の素子データを、前記素子が超音波エコーを受信した受信時間および前記素子の位置に応じて重ね合わせて、前記第1の素子データのいずれかに対応する前記第2の素子データを生成することを特徴とする超音波診断装置。 - 前記データ処理部は、前記動き量を用いて、複数の前記第1の素子データ間の時間差を補正する請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記動き量算出部は、複数の前記第1の素子データをそれぞれ整相加算して得られる複数の受信データを用いて前記動き量を算出する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
- 前記動き量算出部は、複数の前記第1の素子データをそれぞれ整相加算して得られる複数の受信データに対して検波処理を行った後のデータを用いて前記動き量を算出する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
- 前記動き量算出部は、複数の前記第1の素子データをそれぞれ処理して得られる複数のライン状の画像を用いて前記動き量を算出する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
- 前記送信部は、中心となる素子の変更、および、超音波ビームの送信方向の変更の少なくとも一方を行って、前記探触子に前記複数回の超音波ビームの送信を行わせる請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 前記データ処理部は、中心となる素子が互いに異なる前記超音波ビームの送信で得られた複数の前記第1の素子データ、および、送信方向が互いに異なる前記超音波ビームの送信で得られた複数の前記第1の素子データの、少なくとも一方を用いて、前記第2の素子データを生成する請求項6に記載の超音波診断装置。
- 前記データ処理部は、送信領域が重なり合う前記超音波ビームの送信で得られた、複数の前記第1の素子データから、前記第2の素子データを生成する請求項1〜7のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 前記動き量算出部は、前記検査対象物における組織の動き量、および、検査時の手ブレの動き量の少なくとも1つを算出するものである請求項1〜8のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 前記検査対象物における組織の動き量は、拍動によって動いた組織の動き量である請求項9に記載の超音波診断装置。
- 超音波ビームを送信し、かつ、検査対象物によって反射された超音波エコーを受信して、受信した超音波エコーに応じたアナログ素子信号を出力する、複数の素子が配列された探触子を用いて前記検査対象物を検査する超音波診断装置の信号処理方法であって、
前記探触子によって、複数の前記素子を用い、所定の送信焦点を形成するように超音波ビームを送信することを、複数回、行う送信ステップと、
個々の前記超音波ビームの送信に対応して、複数の前記素子がアナログ素子信号を出力する受信ステップと、
前記アナログ素子信号をA/D変換して、デジタル素子信号であり、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第1の素子データを生成するAD変換ステップと、
複数の前記第1の素子データから、前記第1の素子データのいずれかに対応する、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第2の素子データを生成するデータ処理ステップと、
複数の前記第1の素子データを用いて動き量を算出する動き量算出ステップとを有し、
前記データ処理ステップは、前記動き量算出ステップで算出した前記動き量を用いて、複数の前記第1の素子データを補正して、補正後の第1の素子データを生成し、複数の前記補正後の第1の素子データを、前記素子が超音波エコーを受信した受信時間および前記素子の位置に応じて重ね合わせて、前記第1の素子データのいずれかに対応する前記第2の素子データを生成することを特徴とする超音波診断装置の信号処理方法。 - 超音波ビームを送信し、かつ、検査対象物によって反射された超音波エコーを受信して、受信した超音波エコーに応じたアナログ素子信号を出力する、複数の素子が配列された探触子を用いて前記検査対象物を検査する超音波診断装置の信号処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記探触子によって、複数の前記素子を用い、所定の送信焦点を形成するように超音波ビームを送信することを、複数回、行う送信ステップと、
個々の前記超音波ビームの送信に対応して、複数の前記素子がアナログ素子信号を出力する受信ステップと、
前記アナログ素子信号をA/D変換して、デジタル素子信号であり、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第1の素子データを生成するAD変換ステップと、
複数の前記第1の素子データを用いて動き量を算出する動き量算出ステップと、
前記動き量算出ステップで算出した前記動き量を用いて、複数の前記第1の素子データを補正して、補正後の第1の素子データを生成し、複数の前記補正後の第1の素子データを、前記素子が超音波エコーを受信した受信時間および前記素子の位置に応じて重ね合わせて、前記第1の素子データのいずれかに対応する、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第2の素子データを生成するデータ処理ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする超音波診断装置の信号処理プログラム。
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