JP6047041B2 - 超音波診断装置、超音波診断装置の信号処理方法およびプログラム - Google Patents

超音波診断装置、超音波診断装置の信号処理方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、超音波ビームを送受信することにより生体内の臓器等の検査対象物の撮像を行って、検査対象物の検査や診断のために用いられる超音波画像を生成する超音波診断装置、信号処理方法およびプログラムに関する。
従来から、医療分野において、超音波画像を利用した超音波画像診断装置等の超音波診断装置が実用化されている。
一般に、この種の超音波診断装置は、複数の素子(超音波トランスデューサ)を内蔵した超音波プローブ(超音波探触子 以下、プローブとも言う)と、このプローブに接続された装置本体とを有している。超音波診断装置では、プローブの複数の素子から所定の焦点(送信焦点)を形成するように被検体(検査対象物)に向けて超音波ビームを送信し、被検体からの超音波エコーをプローブで受信して、受信した超音波エコーの受信信号を装置本体で電気的に処理することにより超音波画像が生成される。
超音波診断装置では、一回の超音波ビームの送信による被検体からの超音波エコーを、複数の素子で受信する。従って、同一の反射体で反射された超音波エコーでも、各素子の位置に応じて、超音波エコーの受信時間は遅延する。
そのため、超音波診断装置では、各素子で受信した超音波エコーの受信信号をA/D(アナログ/デジタル)変換してデジタルの受信信号(以下、素子データとする)とした後、この素子データを受信フォーカス処理、即ち、受信信号の遅延時間に応じた遅延補正を行い、位相を合わせ整相加算して受信データ(音線信号)を生成し、各ラインに対応する複数の受信データによって、1つの超音波画像を生成している。
ここで、超音波ビームは、所定の送信遅延パターンに基づいて複数の素子を駆動し、設定した焦点を形成するように送信される。このような超音波ビームは横方向に幅を有する形状となる。そのため、横方向にずれた位置にある反射点の情報を拾ってしまうため、横方向の解像度が低いという問題があった。
このような問題に対して、超音波診断装置では、1つの超音波画像の生成において、各送信によって得られた複数のデータ(素子データあるいは受信データ)を受信時間や素子の位置に応じて重ね合わせて、データを補正する、いわゆるマルチライン処理を行うことにより、解像度を向上させることが行われている。
しかしながら、補正のために重ね合わせる各データはそれぞれ異なるタイミングで送受信されて取得されたデータである。そのため、例えば、組織の拍動や手ブレによって画像上の動きがあった場合には、画像上での位置がずれてしまい、マルチライン処理の際に適切に重ね合わせることができず、画質を向上させることができないという問題があった。
そこで、特許文献1では、連続するフレーム間で画像の相関を取ることで画像上の動きを検出して、動きに応じて、マルチライン処理の際に重ね合わせるデータの数を変えることが行われている。具体的には、動きが大きい時ほど、データの数を少なくすることで動きの影響を抑制することが行われている。
特開2009−536854号公報
しかしながら、特許文献1に記載される超音波診断装置においては、画像上の動きが大きいほど、重ね合わせるデータの数を少なくするため、通常の超音波画像に近づいてしまい、マルチライン処理を行っても高画質な画像を得ることができないという問題があった。また、動き自体に対しては何ら補正を行っていないため、動きの影響により画質が低下してしまうという問題があった。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、超音波診断装置において、1つの超音波画像を生成するための、異なる送受信によって得られた複数のデータを重ね合わせて、データを補正する際に、組織の拍動や手ブレによる画像上の動きがある場合でも、適切に重ね合わせることができ、高画質な画像を得ることができる超音波診断装置、信号処理方法およびプログラムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、超音波ビームを用いて検査対象物を検査する超音波診断装置であって、超音波ビームを送信し、かつ、検査対象物によって反射された超音波エコーを受信して、受信した超音波エコーに応じたアナログ素子信号を出力する、複数の素子が配列された探触子と、探触子に、複数の素子を用い、所定の送信焦点を形成するように超音波ビームを送信させることを、複数回、行わせる送信部と、個々の超音波ビームの送信に対応して、複数の素子が出力したアナログ素子信号を受け、所定の処理を施す受信部と、受信部が処理したアナログ素子信号をA/D変換して、デジタル素子信号である第1の素子データとするAD変換部と、複数の第1の素子データから、第1の素子データのいずれかに対応する第2の素子データを生成するデータ処理部と、複数の第1の素子データを用いて動き量を算出する動き量算出部とを有し、データ処理部は、動き量算出部が算出した動き量を用いて、複数の第1の素子データを補正して、第1の素子データのいずれかに対応する第2の素子データを生成することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
このような本発明の超音波診断装置において、データ処理部は、動き量を用いて、複数の第1の素子データ間の時間差を補正するのが好ましい。
また、動き量算出部は、複数の第1の素子データをそれぞれ整相加算して得られる複数の受信データを用いて動き量を算出するのも好ましい。
あるいは、動き量算出部は、複数の第1の素子データをそれぞれ整相加算して得られる複数の受信データに対して検波処理を行った後のデータを用いて動き量を算出するのも好ましい。
あるいは、動き量算出部は、複数の第1の素子データをそれぞれ処理して得られる複数のライン状の画像を用いて動き量を算出するのも好ましい。
また、送信部は、中心となる素子の変更、および、超音波ビームの送信方向の変更の少なくとも一方を行って、探触子に複数回の超音波ビームの送信を行わせるのが好ましい。
また、データ処理部は、中心となる素子が互いに異なる超音波ビームの送信で得られた複数の第1の素子データ、および、送信方向が互いに異なる前記超音波ビームの送信で得られた複数の前記第1の素子データの、少なくとも一方を用いて、第2の素子データを生成するのが好ましい。
また、データ処理部は、送信領域が重なり合う超音波ビームの送信で得られた、複数の第1の素子データから、第2の素子データを生成するのが好ましい。
また、データ処理部は、複数の第1の素子データを、素子が超音波エコーを受信した受信時間および素子の位置に応じて重ね合わせて、第2の素子データを生成するのが好ましい。
さらに、複数の第1の素子データに対して、同じ素子に対応するラインを中心にしてそれぞれ整相加算を行い複数の第1の受信データを生成する整相加算部を有し、データ処理部は、複数の第1の受信データから、第1の受信データのいずれかに対応する第2の受信データを生成するのも好ましい。
また、動き量算出部は、検査対象物における組織の動き量、および、検査時の手ブレの動き量の少なくとも1つを算出するものであるのが好ましい。
また、検査対象物における組織の動き量は、拍動によって動いた組織の動き量であるのが好ましい。
また、上記目的を達成するため本発明は、超音波ビームを送信し、かつ、検査対象物によって反射された超音波エコーを受信して、受信した超音波エコーに応じたアナログ素子信号を出力する、複数の素子が配列された探触子を用いて検査対象物を検査する超音波診断装置の信号処理方法であって、探触子によって、複数の素子を用い、所定の送信焦点を形成するように超音波ビームを送信することを、複数回、行う送信ステップと、個々の超音波ビームの送信に対応して、複数の素子がアナログ素子信号を出力する受信ステップと、アナログ素子信号をA/D変換して、デジタル素子信号である第1の素子データを生成するAD変換ステップと、複数の第1の素子データから、第1の素子データのいずれかに対応する第2の素子データを生成するデータ処理ステップと、複数の第1の素子データを用いて動き量を算出する動き量算出ステップとを有し、データ処理ステップは、動き量算出ステップで算出した動き量を用いて、複数の第1の素子データを補正して、第1の素子データのいずれかに対応する第2の素子データを生成することを特徴とする超音波診断装置の信号処理方法を提供する。
さらに、上記目的を達成するため本発明は、超音波ビームを送信し、かつ、検査対象物によって反射された超音波エコーを受信して、受信した超音波エコーに応じたアナログ素子信号を出力する、複数の素子が配列された探触子を用いて検査対象物を検査する超音波診断装置の信号処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、探触子によって、複数の素子を用い、所定の送信焦点を形成するように超音波ビームを送信することを、複数回、行う送信ステップと、個々の超音波ビームの送信に対応して、複数の素子がアナログ素子信号を出力する受信ステップと、アナログ素子信号をA/D変換して、デジタル素子信号である第1の素子データを生成するAD変換ステップと、複数の第1の素子データを用いて動き量を算出する動き量算出ステップと、動き量算出ステップで算出した動き量を用いて、複数の第1の素子データから、第1の素子データのいずれかに対応する第2の素子データを生成するデータ処理ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする超音波診断装置の信号処理プログラムを提供する。
このような本発明によれば、異なる送信によって得られた複数のデータを重ね合わせて、データを補正する際に、組織の拍動や手ブレによって画像上の動きがある場合であっても、適切に重ね合わせることができ、高画質な超音波画像を得ることができる。
本発明の超音波診断装置の構成の一例を概念的に示すブロック図である。 (A)〜(C)は、図1に示す超音波診断装置における動き量算出の一例を説明するための概念図である。 図1に示す超音波診断装置における受信フォーカス処理の一例を説明するための概念図である。 図1に示す超音波診断装置の素子データ処理部の構成の一例を概念的に示すブロック図である。 (a)および(c)は、それぞれ理想的な超音波ビームによる超音波の送受信を説明するための概念図であり、(b)および(d)は、それぞれの超音波の送受信で得られる素子データを示す概念図である。 (a)および(c)は、それぞれ実際の超音波ビームによる超音波の送受信を説明するための概念図であり、(b)および(d)は、それぞれの超音波の送受信で得られる素子データを示す概念図である。 (a)および(b)は、同じ反射点に対して、互いに異なる中心素子による超音波の送受信を行った場合の音波の経路を説明するための概念図であり、(c)は、複数の素子で得られる素子データを、(d)は、(c)に示す素子データの遅延時間を、それぞれ説明するための概念図である。 (a)、(b)および(c)は真の信号の、(d)、(e)および(f)はゴーストの、それぞれ素子データ、それらの遅延時間および素子データの重ね合わせ状態を説明するための概念図であり、(g)は、複数の素子に対応する素子データの重ね合わせ状態を、(h)は、(g)における素子データの重ね合わせの結果を、それぞれ説明するための概念図である。 図1に示す超音波診断装置の作用を説明するためのフローチャートである。 本発明の超音波診断装置の構成の他の一例を概念的に示すブロック図である。 (A)〜(C)は、図10に示す超音波診断装置における動き量算出の一例を説明するための概念図である。 本発明の超音波診断装置の構成の他の一例を概念的に示すブロック図である。 図13に示す超音波診断装置のデータ処理部の構成の一例を概念的に示すブロック図である。 素子データと素子とを概念的に示す図である。 (A)〜(C)は、図13に示すデータ処理部の整相加算、および、重ね合わせ処理を説明するための図である。
以下、本発明の超音波診断装置、信号処理方法およびプログラムについて、添付の図面に示される好適な第1実施形態を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の信号処理方法を実施する、本発明の超音波診断装置の一例を、ブロック図によって概念的に示す。
図1に示すように、超音波診断装置10は、超音波プローブ12と、超音波プローブ12に接続される送信部14および受信部16と、A/D変換部18と、素子データ記憶部20と、動き量算出部21と、素子データ処理部22と、画像生成部24と、表示制御部26と、表示部28と、制御部30と、操作部32と、格納部34とを有する。
図示例においては、送信部14、受信部16、A/D変換部18、素子データ記憶部20、動き量算出部21、素子データ処理部22、画像生成部24、表示制御部26、表示部28、制御部30、操作部32、および、格納部34が、超音波診断装置10の装置本体を構成する。
超音波プローブ(超音波探触子)12は、通常の超音波診断装置に用いられる、公知の超音波プローブである。
超音波プローブ12(以下、プローブ12とする)は、超音波トランスデューサを一次元的または二次元的に配列してなる振動子アレイ36を有する。
超音波トランスデューサは、検査対象物(以下、被検体という)の超音波画像の撮像の際に、それぞれ送信部14から供給される駆動信号に従って超音波ビームを被検体に送信すると共に、被検体で反射された超音波エコーを受信して、受信した超音波の強さに応じた受信信号を出力する。
各超音波トランスデューサは、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子、PMN−PT(マグネシウムニオブ酸・チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成した、振動子で構成される。
このような振動子の電極に、パルス状または連続波状の電圧を印加すると、印加された電圧に応じて圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状または連続波の超音波を発生する。また、各振動子から発生した超音波は、各振動子の駆動の遅延に応じて、設定された焦点に収束して合成されて(すなわち送信フォーカスされて)、超音波ビームが形成される。
また、振動子は、被検体内で反射された超音波エコーが入射することで伸縮し、この伸縮の大きさ応じた電気信号を発生する。この電気信号が、受信信号(アナログの素子信号)として、受信部16に出力される。
送信部14は、例えば、複数のパルサを有し、プローブ12の各超音波トランスデューサ(振動子)に、駆動信号を供給する(駆動電圧を印加する)。
送信部14は、制御部30が選択した送信遅延パターンに基づいて、所定数(複数)の超音波トランスデューサが送信する超音波が、設定した焦点に収束する超音波ビームを形成するように、駆動信号の遅延量(駆動電圧の印加タイミング)を調節する送信フォーカスを行って、駆動信号を超音波トランスデューサに供給する。
これにより、プローブ12(振動子アレイ36)から被検体に、目的とする超音波ビームが送信される。
受信部16は、制御部30からの制御信号に応じて、1回の超音波ビームの送信に対応して、所定数(複数)の超音波トランスデューサが出力した受信信号を受け取り、増幅等の所定の処理を施して、A/D変換部18に供給する。
なお、本発明の超音波診断装置10において、超音波の送受信の方法は、基本的に、公知の超音波診断装置と同様である。すなわち、1つの超音波画像を形成するために、送受信位置を順次、移動させて複数の位置(ライン)で送受信を行う。
従って、1回の超音波の送受信(1本の超音波ビームの送信、および、この送信に対応する超音波エコーの受信)において、超音波を発生する超音波トランスデューサの数(送信開口の数)、および、超音波を受信(受信部16が受信信号を受け取る)する超音波トランスデューサの数(受信開口の数)は、共に、複数であれば、限定は無い。また、1回の送受信において、送信と受信とで、開口数は、同じでも異なってもよい。
また、少なくとも方位方向(アジマス方向(超音波トランスデューサの配列方向))に隣接する超音波ビームで、送信領域が重複していれば、1つの超音波画像を形成するための超音波の送受信の回数(音線数)や、送受信の中心となる超音波トランスデューサ(中心素子)の間隔(すなわち走査線/音線の密度)にも、限定は無い。従って、超音波で走査する領域に対応する全ての超音波トランスデューサを中心素子として超音波の送受信を行ってもよく、2個置きや4個置きなどの所定間隔の超音波トランスデューサを中心素子として超音波の送受信を行ってもよい。
A/D変換部18は、受信部16から供給されたアナログの受信信号を、アナログ/デジタル変換して、デジタルの受信信号である素子データ(第1の素子データ)とする。
A/D変換部18は、A/D変換した素子データを素子データ記憶部20に供給する。
素子データ記憶部20は、A/D変換部18から供給された素子データを、順次、記憶する。また、素子データ記憶部20は、制御部30から入力されるフレームレートに関する情報(例えば、超音波の反射位置の深度、走査線の密度、視野幅を示すパラメータ)を、各素子データに関連付けて格納する。
好ましくは、素子データ記憶部20は、少なくとも1つの超音波画像(1フレームの超音波画像)に対応する全ての素子データを記憶し、かつ、少なくとも超音波画像の表示を終了するまでは、表示中および表示前の超音波画像の素子データを消去しない。
動き量算出部21は、隣接するライン間で素子データの相互相関を取ることで相関値を評価して、画像上の動き量Mを算出する部位である。
動き量算出部21は、素子データ記憶部20から隣接するラインに対応する2つの素子データを読み出し、2つの素子データの信号の類似度を評価することで、信号の関係(同期している、片方が遅れている、無関係である等)、すなわち、動き量Mを算出する。なお、2つの素子データの相互相関の評価方法は、例えば、特許文献1に記載される方法等、種々の公知の方法を利用することができる。
図2(A)〜(C)に、動き量算出の一例を説明するための概念図を示す。
図2(A)は、振動子アレイ36と被検体内とを模式的に示す図であり、図2(B)は、図2(A)に示すn番目の素子(超音波トランスデューサ)を中心素子として超音波を送受信して得られた素子データ(n番目の素子データ)を示す図であり、図2(C)は、図2(A)に示すn+1番目の素子を中心素子として超音波を送受信して得られた素子データ(n+1番目の素子データ)を示す図である。
図2(A)において、プローブ12が有する複数の超音波トランスデューサ(振動子アレイ36)は、同図中左右方向に一列に配列されている。また、同図中の振動子アレイ36の下側に被検体が配置されている。
ここで、組織の拍動等により、画像上の動きがあった場合、各素子データは、それぞれ異なる状態の組織の情報を有するデータとなる。
例えば、n番目の素子を中心素子として超音波を送受信した際には、組織の境界は、図2(A)の実線の位置にあり、n+1番目の素子を中心素子として超音波を送受信した際には、組織の境界は、同図中の一点鎖線の位置あった場合には、組織の境界を反射点(図中黒丸で示す)として、それぞれ図2(B)および(C)に実線で示す信号を得る。
ここで、n+1番目の素子を中心素子として超音波を送受信した際に、組織の境界が同図中の実線の位置にあったとすると、白丸で示す位置を反射点として、図2(C)に破線で示す信号を得る。すなわち、図2(C)に実線で示す信号と破線で示す信号との時間差がn+1番目の素子データにおける動き量Mn+1となる。n番目の素子データとn+1番目の素子データは、互いに隣接した素子をそれぞれ中心としているので、図2(B)に実線で示す信号と、図2(C)に破線で示す信号は、相似した(ほぼ同等の)信号であるとみなすことができる。従って、n番目の素子データとn+1番目の素子データとの相互相関を取ることで、n+1番目の素子データにおける動き量Mn+1を算出することができる。
動き量算出部21は、全ての素子データについて、それぞれ隣接する素子データとの相互相関を取って、各素子データの動き量Mを算出する。
動き量算出部21は、算出した動き量Mの情報を素子データ処理部22に供給する。
なお、動き量算出部21は、1つの素子データ同士を比較して動き量Mを算出する構成としたが、これに限定はされず、近傍の複数のラインに対応する複数の素子データを平均化したもの同士を比較して動き量を算出する構成としてもよい。
素子データ処理部22は、素子データを重ね合わせて、各素子データに対応する処理済素子データ(第2の素子データ)を生成する部位である。
具体的には、素子データ処理部22は、制御部30による制御に基づいて、素子データ記憶部20に記憶された素子データのうち、中心となる超音波トランスデューサ(中心となる素子(中心素子))が異なり、かつ、超音波ビームの送信領域が重なり合う、所定数(複数)の超音波ビームの送信で得られた素子データを、動き量算出部21から供給された動き量M、各超音波トランスデューサが超音波エコーを受信した時間、および、超音波トランスデューサの位置に応じて重ね合わせて、素子データ(後述する注目素子の素子データ)に対応する処理済素子データを生成する。
素子データ処理部22における処理については、後に詳述する。
素子データ処理部22は、生成した処理済素子データを、画像生成部24に送る。
画像生成部24は、制御部30による制御に基づいて、素子データ処理部22から供給された処理済素子データから受信データ(音線信号)を生成し、この受信データから超音波画像を生成するものである。
画像生成部24は、整相加算部38、検波処理部40、DSC42、画像処理部44、および、画像メモリ46を有する。
整相加算部38は、素子データ処理部22が生成した処理済素子データを整合加算して受信フォーカス処理を行い、受信データを生成する。
前述のように、プローブ12の振動子アレイ36は、複数の素子(超音波トランスデューサ)を一次元的あるいは二次元的に配列してなるものである。従って、被検体内の1つの反射点との間の距離は、各々超音波トランスデューサで異なる。そのため、同じ反射点で反射された超音波エコーであっても、各超音波トランスデューサに超音波エコーが到達する時間が異なる。整相加算部38は、制御部30が選択した受信遅延パターンに応じて、各超音波トランスデューサ毎の超音波エコーの到達時刻の差(遅延時間)に相当する分、各処理済素子データを遅延して、遅延時間を与えた処理済素子データを整合加算することにより、デジタル的に受信フォーカス処理を行い、受信データを生成する。
整相加算部38は、生成した受信データを、検波処理部40に供給する。
図3に、受信フォーカス処理の一例を示す。
ここで、図3は、プローブ12が有する複数の超音波トランスデューサが、同図中左右方向に一列に配列されている、リニアプローブの場合である。しかしながら、コンベックスプローブの場合もプローブ形状が違うだけで、考え方は同じでよい。
方位方向における各々の超音波トランスデューサの幅をLとすると、方位方向の中心の超音波トランスデューサから端部に向かってn番目の超音波トランスデューサまでの距離はnLとなる。
同図に示すように、超音波の反射点が、中心の超音波トランスデューサから配列方向に対して垂直な距離(深さ)dの位置にあるとすると、n番目の超音波トランスデューサと反射点との間の距離(長さ)dnは、式(1)により算出される。
n=((nL)2+d21/2 … (1)
従って、被検体内の超音波の音速(環境音速)Vaを用いて、超音波エコーが反射点からn番目の超音波トランスデューサに到達(受信)する時間tは、式(2)により算出される。
n=dn/Va=((nL)2+d21/2/Va … (2)
前述のように、超音波トランスデューサと反射点との間の距離は、各超音波トランスデューサ毎に異なる。そのため、この例の場合、同図上部のグラフに示すように、超音波エコーの到達時間tnは、配列方向の端部側の超音波トランスデューサほど、長くなる。
具体的には、n番目の超音波トランスデューサで受信される超音波は、超音波が反射点から中心の超音波トランスデューサで受信されるまでの時間をt1とすると、中心の超音波トランスデューサで受信される超音波に対して、時間Δt=tn−t1だけ遅れる。本例では、この遅延時間Δtが、すなわち、受信遅延パターンである。
整相加算部38は、各々の超音波トランスデューサに対応する受信データについて、上記時間Δtで表される遅延時間を用いて整相加算を行い、受信フォーカス処理を行う。
検波処理部40は、整相加算部38が生成した受信データに対し、超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内における断層の画像情報(輝度画像情報)であるBモード画像データを生成する。
DSC(digital scan converter)42は、検波処理部40で生成されたBモード画像データを、通常のテレビジョン信号の走査方式に対応する画像データに変換(ラスター変換)する。
画像処理部44は、DSC42から入力されるBモード画像データに、階調処理等の各種の必要な画像処理を施して、表示に供するためのBモード画像データとする。画像処理部44は、画像処理済のBモード画像データを、表示のために表示制御部26に出力し、および/または、画像メモリ46に格納する。
画像メモリ46は、画像処理部44が処理したBモード画像データを格納する、公知の記憶手段(記憶媒体)である。画像メモリ46に格納されたBモード画像データは、必要に応じて、表示部28で表示するために表示制御部26に読み出される。
表示制御部26は、画像処理部44によって所定の画像処理が施されたBモード画像データを用いて、表示部28に超音波画像を表示させる。
表示部28は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、表示制御部26の制御の下で、超音波画像を表示する。
制御部30は、操作者により操作部32から入力された指令に基づいて超音波診断装置10の各部の制御を行う部位である。
また、制御部30は、操作部32を用いて操作者によって入力された各種の情報を、必要な部位に供給する。例えば、操作部32に、動き量算出部21で用いられる動き量算出に必要な情報、素子データ処理部22および画像生成部24の整相加算部38で用いられる遅延時間算出に必要な情報、ならびに、素子データ処理部22における素子データ処理に必要な情報の入力が行われた場合には、これらの情報を、必要に応じて、送信部14、受信部16、素子データ記憶部20、動き量算出部21、素子データ処理部22、画像生成部24および表示制御部26等の各部に供給する。
操作部32は、操作者が入力操作を行うためのものであり、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパネル等から形成することができる。
また、操作部32は、操作者が、必要に応じて各種の情報を入力するための、入力機能を備えている。例えば、操作部32は、プローブ12(超音波トランスデューサ)の情報、プローブ12(振動子アレイ36)における送信開口および受信開口、重ね合わせる素子データ数や方法などの処理済素子データの生成に関する情報、超音波ビームの焦点位置等を入力するための、入力機能を備えている。
これらは、例えば、撮影部位(診察部位)の選択、画質の選択、撮影する超音波画像の深度の選択等によって、入力される。
格納部34は、制御部30が超音波診断装置10の各部の制御を実行するための動作プログラム、送信遅延パターンおよび受信遅延パターン、処理済素子データの生成に関する情報、さらには、操作部32から入力されたプローブ12の情報、送信開口および受信開口、焦点位置の情報など、制御部30が超音波診断装置の動作や制御を行うための必要な情報等を格納するものである。
格納部34には、ハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、DVD−ROM等の公知の記録媒体を用いることができる。
なお、超音波診断装置10において、動き量算出部21、素子データ処理部22、整相加算部38、検波処理部40、DSC42、画像処理部44、および表示制御部26等は、CPUと、CPUに各種の処理を行わせるための動作プログラムから構成される。しかしながら、本発明においては、これらの部位をデジタル回路で構成してもよい。
前述のように、素子データ処理部22は、素子データ記憶部20に記憶された素子データ(未処理素子データ)のうち、中心となる超音波トランスデューサ(中心素子)が異なり、かつ、超音波ビームの送信領域が重なる、所定数(複数)の超音波ビームの送信で得られた素子データを、動き量算出部21が算出した動き量、各超音波トランスデューサが受信した時間および超音波トランスデューサの位置に応じて重ね合わせて、処理済素子データを生成する部位である。
なお、以下の説明では、超音波トランスデューサのことを、単に『素子』とも言う。
図4に、素子データ処理部22の構成を、ブロック図で概念的に示す。
図4に示すように、素子データ処理部22は、動き量補正部47と、遅延時間算出部48と、重ね合わせ処理部49とを有する。
動き量補正部47は、動き量算出部21が算出した動き量Mに基づいて、素子データ記憶部20から読み出した素子データを補正する。具体的には、動き量補正部47は、例えば、n番目の素子データを基準として、n+1番目の素子データに対しては、動き量Mn+1分だけ時間軸上でデータをシフトする。また、n+2番目の素子データに対して、動き量Mn+1+Mn+2分だけデータをシフトする。すなわち、基準の素子データから自身までの間の全ての動き量M分だけデータをシフトする。
全ての素子データに対して、同じ素子データを基準として動き量を補正することにより、組織の拍動の影響を低減して、実質的に同じ状態の組織の情報を有する素子データとみなすことができる。
動き量補正部47は、動き量を補正した素子データを重ね合わせ処理部49に供給する。
なお、基準とする素子データには特に限定はなく、1番目の素子データを基準としてもよく、振動子アレイ36の配列の中央の素子に対応する素子データを基準としてもよい。
遅延時間算出部48は、操作部32から入力された、もしくは、操作部32から入力されて格納部34に格納されているプローブ12(超音波トランスデューサ(素子))、超音波ビームの焦点位置、プローブ12の送信開口および受信開口などに関する情報を事前に取得しておく。
また、遅延時間算出部48は、超音波ビームを送信(生成)するために超音波を発振する送信開口の素子と、被検体からの超音波エコーを受信する受信開口の素子との幾何学的な位置に基づいて、受信開口の素子で受信される超音波エコーすなわち素子データの遅延時間を算出する。
重ね合わせ処理部49は、操作部32から入力された、もしくは、操作部32から入力されて格納部34に格納されている、重ね合わせる素子データの数および重ね合わせ処理方法等の素子データ処理に関する情報に基づいて、素子データ記憶部20に記憶されている素子データから、重ね合わせを行う素子データ(中心素子が異なり、かつ、送信領域が重なる超音波ビームで得られた素子データ(2以上の対象領域毎に生成された2以上の素子データ))を読み出す。
ここで、読み出した素子データは、動き量補正部47で動き量を補正された後に重ね合わせ処理部49に供給される。なお、以下の説明では、動き量を補正された素子データを補正後素子データというが、遅延時間算出部48および重ね合わせ処理部49の説明においては、単に素子データともいう。
さらに、重ね合わせ処理部49は、遅延時間算出部48で算出された、それぞれの素子データに対応する遅延時間に基づいて、2以上の補正後素子データを、受信時間上で、即ち時間を合わせて、かつ、受信された探触子の素子の絶対的な位置を合わせて、重ね合わせて、処理済素子データを生成する。
以下に、素子データ処理部22で行う素子データの処理について、詳細に説明する。
初めに、超音波プローブ12において、送信開口すなわち超音波ビームを送信するために超音波を発信する素子(以下、単に送信素子という)から、被検体に超音波ビームを送信し、被検体との間の相互作用によって発生された超音波エコーを、受信開口すなわち超音波エコーの受信を行う素子(以下、単に受信素子という)で受信して、素子データを得る場合において、送信素子からの超音波ビームと受信素子で得られる素子データとの関係について説明する。
一例として、図5(a)に示すように、3つの素子52c〜52eを送信素子として超音波ビームを送信し、7つの素子52a〜52gを受信素子として超音波エコーを受信する。次いで、図5(c)に示すように、1素子分、素子を方位方向に移動(以下、シフトとも言う)して、3つの素子52d〜52fを送信素子として超音波ビームを送信し、7つの素子52b〜52hを受信素子として超音波エコーを受信して、それぞれ、素子データを取得する。
すなわち、図5(a)に示す例では、中心素子(中心となる素子)は、素子52dであり、図5(b)に示す例では、中心素子は素子52eである。
この際において、反射点54を含む検査対象領域に送信する超音波ビーム56が、焦点58で収束して、素子間隔以下に絞れている理想的な場合を考える。
図5(a)のように、反射点54の真上(反射点と焦点とを結ぶ直線上)にある素子52dを中心素子として、送信素子である素子52c〜52eから超音波ビーム56を送信し、受信素子である素子52a〜52gで超音波エコーを受信して素子データを取得すると、超音波ビーム56の焦点58は、中心素子である素子52dと反射点54とを結ぶ一直線上にある。この場合、超音波ビーム56は、反射点54まで送信されるので、反射点54から反射される超音波エコーが生成される。
反射点54からの超音波エコーは、所定角度に拡がる受信経路60を通って受信素子である素子52a〜52gに受信され、素子52a〜52gによって、図5(b)に示すような素子データ62が得られる。なお、図5(b)において、縦軸は時間で、横軸は図5(a)に一致する方位方向の位置(素子の位置)である(図5(d)も同じ)。
これに対し、図5(c)に示すように、中心素子を1素子分、シフトさせた場合には、反射点54の真上にある素子52dの隣の素子52eが、中心素子となる。
素子52eを中心素子として、送信素子である素子52d〜52fから超音波ビーム56を送信し、受信素子である素子52b〜52hで超音波エコーを受信する。この際に、同様に超音波ビーム56が理想的であれば、超音波ビーム56の送信方向、即ち、中心素子52eと焦点58とを結ぶ直線上に反射点54が存在しない。従って、この超音波ビーム56は、反射点54に送信されない。
そのため、反射点54から反射される超音波エコーは生成されず、受信素子である素子52b〜52hは、反射点54からの超音波エコーを受信しないので、図5(d)に示すように、反射点からの反射信号が無い素子データとなる(素子データの信号強度が『0』になる)。
しかしながら、実際の超音波ビームは、図6(a)および(c)に示す超音波ビーム64のように、焦点58で収束した後に拡散するので、素子間隔より幅が広い。
ここで、図5(a)と同様に、図6(a)のように、反射点54の真上にある素子52dを中心素子として、素子52c〜52eを送信素子として超音波ビーム64を送信した場合には、超音波ビーム56が幅広であっても、その焦点58は、素子52dと反射点54とを結ぶ一直線上にある。従って、超音波ビーム64は、反射点54で反射され、超音波エコーが生成される。
その結果、図5(a)の場合と同様に、反射点54からの超音波エコーは、所定角度に拡がる受信経路60を通って受信素子である素子52a〜52gに受信され、同様に、図6(b)に示すような真の素子データ66が得られる。
次いで、図5(c)と同様、図6(c)に示すように、中心素子を1素子分、シフトして、隣の素子52eを中心素子として、素子52d〜52fを送信素子として超音波ビーム56を送信し、素子52b〜52hを受信素子として超音波エコーを受信する。この場合でも、超音波ビーム64は幅広であるため、その超音波の送信方向、即ち、中心素子である素子52eと焦点58とを結ぶ直線上に反射点54が存在していなくても、超音波ビーム64は、反射点54に送信される(到達する)。
そのため、反射点54から、超音波ビームの送信方向には、本来、存在しない超音波エコー、所謂ゴーストの反射エコーが発生する。この反射点54からのゴーストの反射エコーは、図6(c)に示すように、所定角度に拡がる受信経路60を通って受信素子である素子52b〜52hに受信される。その結果、素子52b〜52hによって、図6(d)に示すようなゴーストの素子データ68が得られることになる。
このようなゴーストの素子データ68は、素子データから生成される超音波画像の精度を低下させる原因となる。
素子データ処理部22は、素子データに対応する遅延時間を遅延時間算出部48で算出し、重ね合わせ処理部49が、2以上の素子データを、この遅延時間および素子の絶対的な位置に応じて重ね合わせることで、真の素子データを強調して、ゴーストの素子データを減衰させた、高精度な素子データである処理済素子データを生成するものである。
前述のように、遅延時間算出部48は、受信素子(受信開口)の各素子で受信される素子データの遅延時間を算出する。
すなわち、図6(c)に示す超音波ビーム64の伝播距離は、超音波ビーム64が中心素子である素子52eから焦点58を経由して反射点54に至る送信経路と、ゴーストの反射エコーが反射点54から受信素子である素子52b〜52hの個々に至る受信経路との和となる。
この図6(c)に示す超音波ビーム64の伝播距離は、図6(a)に示す超音波ビーム64の伝播距離、すなわち、超音波ビーム64が中心素子52dから焦点58を経由して反射点54に至る送信経路と、真の超音波エコーが反射点54から受信素子である素子52a〜52gに至る受信経路との和より長くなる。
そのため、図6(d)に示すようなゴーストの素子データ68は、図6(b)に示すような真の素子データ66に対して、遅延することになる。
素子データ処理部22の遅延時間算出部48において、真の素子データに対するゴーストの素子データの時間差、即ち遅延時間は、音速、送信素子、超音波ビームの焦点、被検体の反射点、および受信素子の幾何学的配置から算出される。
したがって、遅延時間の計算には、プローブ12の形状(素子間隔、リニア、コンベックスなど)、音速、焦点の位置、送信開口、受信開口などの情報が必要である。遅延時間算出部48では、操作部32によって入力された、若しくは格納部34に格納されたこれらの情報を取得して、遅延時間の計算を行う。なお、音速は、固定値(例えば、1540m/sec)を用いてもよく、あるいは、音速算出部を有する場合には、音速算出部が算出した音速(環境音速)を用いてもよく、あるいは、操作者が入力できるようにしてもよい。
遅延時間は、例えば、送信素子、超音波ビームの焦点、被検体の反射点、および受信素子の幾何学的配置から算出される、送信素子から焦点を経て反射点に至る超音波ビームの送信経路および反射点から受信素子に至る真の反射超音波エコーまたはゴーストの反射信号の受信経路の合計長さ(伝播距離)と、音速によって算出される伝播時間の差から算出することができる。
本発明では、例えば、図7(a)および図7(b)に示すようにして、真の超音波エコーとゴーストの反射エコーの場合の超音波ビームの送信経路および受信経路の長さを求めることができる。なお、図7において、x方向は方位方向で、y方向は深度方向である。
また、図7(a)は、図6(a)と同様の超音波の送受信を行い、図7(b)は、図6(c)と同様の超音波の送受信を行うものである。
真の超音波エコーの場合、図7(a)(図6(a))に示すように、中心素子である素子52dと、焦点58と、反射点54とは、一直線上に位置している(方位方向の位置が一致している)。すなわち、中心素子52dの真下に、焦点58および反射点54が位置している。
従って、中心素子である素子52dの位置をx−yの2次元座標上の座標(x0、0)とすると、焦点58および反射点54のx座標も『x0』となる。以下、この送信における焦点58の位置を座標(x0、df)、反射点54の位置を座標(x0、z)とし、さらに、素子の間隔をLeとする。
この際において、中心素子である素子52dから焦点58を経て反射点54に至る超音波ビームの送信経路61の長さ(送信経路距離)Lta、および、反射点54から素子52dに至る真の反射超音波エコーの受信経路60の長さ(受信経路距離)Lraは、Lta=Lra=zによって算出できる。
したがって、真の超音波エコーの場合、超音波エコーの伝播距離Luaは、Lua=Lta+Lra=2zとなる。
次いで、図7(b)に示すように、送信素子および受信素子をx方向(方位方向)に1素子分ずらして(図中右方向にシフトして)、中心素子を素子52eとして送受信を行う。図6(c)で示したように、この場合には、反射点54で反射されるのは、ゴーストの反射エコーとなる。
反射点54は、素子52dの真下(方位方向の同位置)に位置している。従って、図7(b)に示すように、この送受信では、中心素子である素子52eと、反射点54とのx方向の位置は、1素子分すなわちLeだけ、x方向にずれる。
反射点54とx方向の位置が一致する素子52dの座標が(x0、0)であるので、中心素子である素子52eの座標は(x0+Le、0)、この送信における焦点58の座標は(x0+Le、df)となる。なお、前述のように、反射点54の座標は(x0、z)である。
従って、中心素子である素子52eから焦点58を経て、反射点54に至る超音波ビームの送信経路61の長さ(送信経路距離)Ltbは、Ltb=df+√{(z−df)2+Le2}で算出できる。他方、反射点54から、直下(x方向=方位方向の同位置)の素子52dに至るゴーストの反射信号の受信経路60の長さ(受信経路距離)Lrbは、Lrb=zによって算出できる。
したがって、ゴーストの反射エコーの場合の超音波の伝播距離Lubは、Lub=Ltb+Lrb=df+√{(z−df)2+Le2}+zとなる。
こうして、図7(a)に示す幾何学配置で求めた送信経路61の距離Ltaと受信経路60の距離Lraを合計した超音波の伝播距離Luaを、音速で割った値が、真の超音波エコーの伝播時間となる。また、図7(b)に示す幾何学配置で求めた送信経路61の距離Ltbと受信経路60の距離Lrbを合計した超音波の伝播距離Lubを、音速で割った値がゴーストの反射エコーの伝播時間となる。
遅延時間は、反射点54と中心素子とのx座標が一致している時の真の超音波エコーの伝播時間から、反射点54と中心素子とのx座標を1素子間隔ずつずらしたときのゴーストの反射エコーの伝播時間の差から求められる。
なお、図7(a)および図7(b)の幾何学モデルでは、送信経路61が焦点58を経由したモデルになっているが、本発明はこれに限定されず、例えば、焦点58を経由せずに、直接、反射点54に至る経路であっても良い。
また、図7(a)および図7(b)の幾何学モデルはリニアプローブの場合であるが、これに限らず他のプローブにおいても、プローブの形状から同様の幾何学計算を行うことができる。
例えば、コンベックスプローブの場合、プローブの半径と素子間隔の角度から幾何学モデルを設定して、同じように計算することができる。
また、ステア送信の場合には、送信角度などの情報を考慮した幾何学モデルを用い、送信素子と反射点との位置関係から、真の素子データおよびその周辺のゴーストの素子データの遅延時間を算出することができる。
さらに、幾何学モデルよって遅延時間を算出する方法に限らず、あらかじめ装置の計測条件に合わせて高輝度反射点を計測した計測結果から、計測条件毎に遅延時間を求めておき、その遅延時間を装置内に記憶しておくことで、同じ計測条件の遅延時間を読み出すようにしておいてもよい。
図7(c)に、真の素子データ66およびゴーストの素子データ68を示す。
図7(c)において、方位方向の中央が、真の素子データ66、すなわち、中心素子と反射点54とでx方向の位置が一致している送受信によって得られた素子データ(図示例では、素子52dを中心素子とした素子データ)である。また、中央の両側が、ゴーストの素子データ、すなわち、中心素子と反射点54とでx方向の位置が一致していない送受信によって得られた素子データ(図示例では、素子52cや素子52e等を中心素子とした素子データ)である。
また、図7(d)に、上述の幾何学計算から得られた真の素子データ66に対する、ゴーストの素子データ68の遅延時間の一例を示す。真の素子データ66を中心に、ゴーストの信号の素子データ68は、x方向すなわち方位方向に対称的に時間が遅れることが示されている。
なお、こうして、素子データ処理部22の遅延時間算出部48において算出された遅延時間は、整相加算部38における遅延補正に用いることもできる。
後に詳述するが、本発明においては、或る注目素子を中心素子とする超音波ビームの送信(注目素子の送受信)で得られた素子データに、中心素子が異なり、かつ、超音波ビームの少なくとも一部が重複する超音波ビームの送信で得られた素子データを、超音波エコーの受信時間と素子の位置とを合わせて重ね合わせることで、注目素子の処理済素子データ(第2の素子データ)を生成する(注目素子の素子データを再構築する)。
図7において、反射点54は、注目素子の真下(方位方向の同位置/注目素子と焦点とを結ぶ直線上)に位置する或るサンプリングポイントの位置(素子データの出力位置)を示している。本発明では、注目素子の送受信におけるサンプリングポイントへの送受信経路を真の素子データの送受信経路と見なし、中心素子が異なる超音波の送受信(周辺素子からの送受信)における同じサンプリングポイントへの送受信経路をゴーストの送受信経路と見なして、両送信経路の差から、遅延時間を算出して、この遅延時間を用いて素子データの時間を合わせて、重ね合わせを行う。言い換えれば、注目素子の送受信で得られた素子データを真の素子データ、中心素子が異なる送受信で得られた素子データをゴーストの素子データと仮定して、遅延時間を算出し、素子データの重ね合わせを行う。
本発明では、全てのサンプリングポイント(全ての素子データの出力位置)に対応して、同様の考え方で遅延時間を算出して、素子データの重ね合わせを行い、各素子の処理済素子データを生成する。
ここで、実際には、方位方向(x方向)にサンプリングポント(反射点)の位置をズラしても、受信経路の長さ(受信経路距離Lrb)は変わらない。従って、各注目素子に関しては、深さ方向(y方向)の各サンプリングポイント毎に、中心素子が異なる送受信による素子データとの遅延時間の算出を行えばよい。
また、この重ね合わせ処理においては、真の素子データがどの素子データであるかを知っている必要はない。すなわち、後に図8を用いて詳述するが、この重ね合わせ処理では、注目素子の素子データが真の素子データであれば、自動的に強調されて素子データが残り、ゴーストであれば素子データは打ち消される。すなわち、注目素子の素子データが真の素子データである場合には、遅延時間による処理が一致して信号が強調され、注目素子の素子データがゴーストの素子データである場合には、遅延時間による処理が一致せずに、信号が打ち消される。
次に、本発明の素子データ処理部22の重ね合わせ処理部49においては、こうして遅延時間算出部48において算出された遅延時間を用いて、素子データの重ね合わせ処理を行う。
なお、重ね合わせ処理部49における重ね合わせ処理では、重ね合わせる時の重ね合わせ素子データ数と重ね合わせ処理方法の情報が必要になるが、これらは、予め、操作部32によって入力しておいても良いし、格納部34に格納しておいても良い。
図8(a)〜(h)に、重ね合わせ処理部49で行われる、重ね合わせ処理の一例を示す。なお、図8に示す例は、素子データ数が5つ、重ね合わせ素子データ数が3つの場合である。
図8(a)は、5回の超音波の送受信によって得られた5つの素子データを横に並べて表示している。また、図8(a)は、素子データ毎に、超音波ビームを送信して、超音波エコーを受信した様子を表している。各素子データの横軸は、受信素子を表しており、それぞれの素子データにおいて超音波ビームの送受信における中心素子を中心にして表示している。縦軸は、受信時間を表す。この例では、例えば前記素子52b〜52fなど、中心素子を、1素子ずつ、ずらして、5回の超音波の送受信を行っている。
図8では、中央の素子データにおける中心素子の真下にのみ、1つの反射点が存在している状態を示す。すなわち、5つの素子データのうち、真中の素子データでは、超音波の送受信において、反射点からの真の超音波エコーが受信されている。つまり、真中の素子データは、真の素子データである。
真中の素子データ以外の両側2つの素子データについては、超音波の送受信の中心素子の真下には反射点は存在していない。しかしながら、送信した超音波ビームの広がりによって、真中の素子データの送信素子の真下に存在する反射点に超音波ビームが当たることで生じた反射エコーの素子データ、即ちゴーストの素子データが写り込んでいる。
ゴーストの素子データは、真の素子データから離れるほど、反射点までの超音波の伝播時間が長くなるため、真の素子データよりも受信時間が遅くなる。また、反射点からの超音波エコーが初めに受信される受信素子の位置は、反射点の真上の素子(反射点と方位方向の位置が一致する素子)である。
ここで、図8の各素子データの横軸は、超音波ビームの送信時における中心素子を中心にしている。従って、図8に示す例では、素子データ毎に、この中心素子を1素子ずつずらして送信していることから、各素子データにおいて方位方向の素子の絶対位置は、1素子ずつずれている。つまり、真中の素子データでは、反射点からの反射信号が初めに受信される受信素子は中心素子であるが、両隣の素子データにおいては、真中の素子データよりも1素子ずれており、右側の素子データでは左に1素子ずれ、左側の素子データでは右に1素子ずれている。さらに、両端の素子データでは、真中の素子データよりも2素子ずれており、右端の素子データでは左に2素子ずれ、左端の素子データでは右に2素子ずれている。このように、ゴーストの信号は、真の信号に対して、受信時間が遅れるだけでなく、受信素子の方向に対してもずれを生じている。
図8(b)に、図8(a)に示す5素子分の素子データの真中の素子データに対する受信時間の遅延時間の一例を示す。
重ね合わせ処理部49では、図8(b)に示す遅延時間を用いて、真中の素子データの中心素子を注目素子とした場合に、注目素子を中心に、重ね合わせる素子の数分、図示例では3素子分だけ遅延時間補正を行うと共に、注目素子との素子数分、図示例では両側に1素子分だけ方位方向にシフトさせて、即ち位相を合わせて3素子分の素子データを重ね合わせ、注目素子の1つの重ね合わせ処理済素子データとして求める。
すなわち、本例においては、注目素子を中心素子とする超音波の送受信によって得られた素子データ(以下、注目素子の素子データとも言う)に、注目素子の隣の素子を中心素子とする超音波の送受信によって得られた素子データ(以下、隣の素子の素子データとも言う)を重ね合わせて、注目素子の素子データの処理済素子データを生成している。
こうして得られた注目素子の重ね合わせ処理済素子データを図8(c)に示す。
前述のように、図8(a)に示す注目素子の素子データは、中心素子(すなわち注目素子)の真下に反射点が存在する、真の素子データである。また、注目素子に隣接する素子を中心素子とする送受信によって得られた素子データも、反射点に入射して、反射された超音波エコーのデータである。
従って、注目素子の両側の隣の素子の素子データに遅延時間補正および方位方向のシフトを行って位相合わせを行うと、図8(c)に示すように、隣の素子の素子データと、注目素子の素子データとは、位相が合うので高輝度位置で重なり合う。そのため、これらの素子データを、例えば加算すると素子データ値は大きな値(高輝度値)を示し、例えば、平均して平均値を求めても強調された値(高輝度値)を示す。
これに対し、図8(d)は、図8(a)と同じ素子データであるが、真中の素子データの左隣の素子データの中心素子を、注目素子とした場合の一例を示す。すなわち、この例は、真下に反射点が存在しない素子を中心素子とする超音波の送受信の、中心素子を注目素子とした場合の一例を示す。従って、この素子を中心素子とする素子データは、ゴーストの素子データである。
図8(e)は、図8(b)と同じものであり、図8(a)に示す5素子分の素子データの注目素子の素子データに対する受信時間の遅延時間の一例を示す。即ち、図8(a)と図8(d)は同じ素子データであるので、図8(d)に示す5素子分の素子データの真中の素子データに対する受信時間の遅延時間とも同じである。
重ね合わせ処理部49では、図8(e)(即ち、図8(b)と同じ)に示す遅延時間を用いて、注目素子を中心に、重ね合わせ素子数分、図示例では3素子分だけ遅延時間補正を行うと共に、注目素子との素子数分、図示例では両側に1素子分だけ方位方向にシフトさせて、3素子分の未処理素子データを重ね合わせ、注目素子の1つの重ね合わせ処理済素子データとして求める。
こうして得られた注目素子の重ね合わせ処理済素子データを図8(f)に示す。
図8(d)に示す注目素子の素子データは、ゴーストの素子データである。そのため、注目素子の両側の隣接素子の未処理素子データに遅延時間補正および方位方向のシフトを行って位相合わせを行っても、図8(f)に示すように、隣接素子の各素子データと注目素子の素子データとは、互いに位相が合わないので重なり合わない。このため、これらの3つの素子データを、例えば加算しても、位相が合っていないために、位相が反転している信号などは信号が打ち消しあうため、加算値は大きくならず、例えば、平均して平均値を求めると小さな値を示すことになる。
他の素子データに関しても、注目素子として同様の遅延時間補正および方位方向のシフトを行った結果、図示例の5素子についての隣接する3素子の素子データの重なり状態を図8(g)に示し、これらに対して、重ね合わせ処理として、例えば、加算処理、若しくは平均処理した結果を図8(h)に示す。
図8(h)に示すように、図8(a)に示す直下に反射点が存在している中心素子を注目素子とした場合には、真の信号の素子データが高輝度値を持つ重ね合わせ処理済素子データとして求められる。これに対して、その両側の各2素子の全4素子では、ゴーストの素子データは互いに位相が合わない素子データを加算し、または平均化する。そのため、素子データ同士が、互いに打ち消し合うことになるため、ゴーストの重ね合わせ処理済素子データは、その値が真の信号の素子データである高輝度値を持つ重ね合わせ処理済素子データに対して小さくなり、真の素子データに対してゴーストの素子データの影響を低減させることができ、または、その影響を無視できる程、小さくすることができる。
すなわち、或る素子を注目素子として、この注目素子を中心素子とする超音波ビームの送信によって得られた素子データ(注目素子の素子データ)に、中心素子が異なり、かつ、超音波ビームの送信領域が重なり合う超音波の送受信によって得られた素子データを、1以上、時間および方位方向の位置合わせを行って重ね合わせて、注目素子の素子データに対応する処理済素子データを生成することにより(言い換えれば、超音波ビームの少なくとも一部が重なり、かつ、中心素子が異なる送受信による素子データを用いた、注目素子の素子データの再構築(補正)を行うことにより)、真の素子データを高輝度化して、かつ、ゴーストの素子データを小さくできる。
そのため、処理済素子データに整相加算や検波処理を行って、受信データを生成して、超音波画像を生成することにより、ゴーストの影響を無くし、すなわち音線上の全ての点で焦点を結んだのに等しい素子データで超音波画像生成できるので、高輝度で、鮮鋭性に優れた、高画質な超音波画像を生成することができる。
なお、以下の説明では、この処理済素子データの生成を、マルチライン処理とも言う。
本発明において、中心素子とは、送信の開口数(超音波の送信を行う素子数)が奇数の場合には、方位方向の中央の素子である。
他方、開口数が偶数の場合には、方位方向の中央の素子のいずれかを中心素子とし、あるいは、方位方向の真中に素子が有ると仮定して、中心素子とする。すなわち、開口数が偶数の場合には、開口の真中のライン上に焦点が有るものとして計算を行ってもよい。
なお、重ね合わせ処理部49における重ね合わせ処理方法としては、単に、加算するだけでなく、平均値や中央値をとってもよいし、係数を掛け合わせた上で加算してもよい。なお、平均値や中央値を取ることは、素子データレベルでの平均化フィルタやメディアンフィルタを掛けることに相当すると考えられるが、平均化フィルタやメディアンフィルタの代わりに、通常の画像処理で行われる逆フィルタなども適用してもよい。
あるいは、重ね合わせる各素子データ同士を比較し、類似している場合には最大値、類似していない場合には平均値、分布の偏りがある場合には中間値をとるなど、これに限らず、重ね合わせる各素子データの特徴量に基づいて重ね合わせ処理を変えてもよい。
また、注目素子の素子データに重ね合わせる素子データの数は、図示例の2つに限定はされず、1つでもよく、あるいは、3つ以上でもよい。すなわち、注目素子の素子データに重ね合わせる素子データの数は、要求される処理速度(フレームレート等)や画質などに応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、注目素子の素子データに重ね合わせる素子データ数は、超音波ビームのビーム幅の広がり程度に合わせた方が望ましい。従って、深さによってビーム幅が変わる場合には、重ね合わせる素子データ数も深さによって変更してもよい。
また、ビーム幅は送信開口数に依存することから、送信開口数に応じて重ね合わせる素子データの数を変更してもよい。あるいは、画像の輝度値などの特徴量に基づいて重ね合わせ素子データ数を変更してもよいし、重ね合わせ素子データ数を複数パターンを変えて作成した画像から最適な重ね合わせ素子データ数を選択してもよい。
なお、以上のマルチライン処理では、中心素子が異なり、かつ、超音波ビームの送信方向が平行(角度が同一)である、複数の超音波ビームの送信によって得られた素子データを重ね合わせることにより、注目素子の素子データの処理済素子データを生成したが、本発明は、これに限定はされない。
例えば、中心素子を同一として、送信方向(角度)が異なる複数の超音波ビームの送信によって得られた素子データを重ね合わせることにより、処理済素子データを生成してもよい。この際において、何れの超音波ビームの送信で得られた素子データの処理済素子データを生成するか(すなわち、どの方向の音線の処理済素子データを生成するか)は、診察部位やプローブの種類等に応じてデフォルトで設定されていてもよく、あるいは、操作者が選択するようにしてもよい。
また、中心素子が異なり、平行な超音波ビームの送信で得られた素子データと、中心素子を同一として、送信方向が異なる超音波ビームの送信で得られた素子データとの両方を用いて、処理済素子データを生成してもよい。
前述のように、素子データ処理部22は、生成した処理済素子データを、画像生成部24(整相加算部38)に送る。
処理済素子データを供給された画像生成部24では、前述のように、整相加算部38が処理済素子データを整相加算して受信フォーカス処理を行って受信データを生成し、検波処理部40が、受信データに減衰補正および包絡線検波処理を施すことにより、Bモード画像データを生成する。
画像生成部24では、さらに、DSC42が、Bモード画像データを通常のテレビジョン信号の走査方式に対応する画像データにラスター変換し、画像処理部44で階調処理等の所定の処理を施す。
画像処理部44は、生成したBモード画像データを画像メモリ46に格納し、および/または、表示制御部26に送って、被検体のBモード画像を表示部28に表示する。
前述のとおり、1つの超音波画像の生成において、各送信によって得られた複数のデータ(素子データあるいは受信データ)を受信時間や素子の位置に応じて重ね合わせて、データを補正する、いわゆるマルチライン処理を行う際に、組織の拍動や手ブレによって画像上の動きがあると、各素子データを取得したそれぞれタイミングでの画像上の組織の状態(位置)が異なってしまう。すなわち、各素子データは異なる状態の組織の情報を有することになる。そのため、このような素子データを、受信時間や素子の位置に応じて重ね合わせを行っても、画像上で位置がずれてしまい、マルチライン処理の際に適切に重ね合わせることができないという問題があった。
これに対して、マルチライン処理の際に、連続するフレーム間で画像の相関を取ることで画像上の動きを検出して、動きが大きい場合には、重ね合わせるデータの数を少なくすることで、動きの影響を押さえることが行われている。しかしながら、重ね合わせるデータの数を少なくすると、通常の超音波画像に近づいてしまうため、マルチライン処理を行っても十分に高画質な画像を得ることができないという問題があった。また、動き自体に対しては何ら補正をしていないため、動きの影響により画質が低下してしまうという問題があった。
これに対して、本発明の超音波診断装置10は、隣接するライン間で素子データの相互相関を評価することで画像上の動き量Mを算出し、各素子データを動き量Mで補正して、マルチライン処理を行う。
各素子データの動き量Mを補正することにより、組織の拍動や手ブレ等の画像上の動きの影響を低減して、実質的に同じ状態(位置)にある組織の情報を有する素子データとみなすことができる。従って、動き量を補正した素子データを用いてマルチライン処理をすることにより、組織の拍動や手ブレ等の画像上の動きがあった場合でも、素子データの重ね合わせを行った際に、適切に重ね合わせることができる。これにより、高画質な超音波画像を得ることができる。
以下、図9に示すフローチャートを参照して、超音波診断装置10における信号処理方法(本発明の信号処理方法)について、詳細に説明する。
本発明のプログラムは、超音波診断装置10が有するコンピュータに、以下の信号処理方法を実行させるプログラムである。
超音波診断装置10において、まず、制御部30からの指示に応じて、1番目(1ライン目)の素子データを取得するために、送信部14が、プローブ12(振動子アレイ36)の対応する超音波トランスデューサ(素子)を駆動して(所定の開口数、開口位置で)、被検体に超音波ビームを送信し、被検体で反射された超音波エコーが超音波トランスデューサ(素子)によって受信され、1ライン目のアナログの受信信号が受信部16に出力される。
受信部16は、1ライン目のアナログの受信信号に、増幅等の所定の処理を施して、A/D変換部18に供給する。
A/D変換部18は、受信部16から供給された1ライン目のアナログの受信信号をA/D変換して、デジタルの受信信号である1ライン目の素子データとする。
1ライン目の素子データは、素子データ記憶部20に記憶される。
1ライン目のスキャン(超音波の送受信)が終了すると、開口位置をずらして、すなわち、1ライン目に隣接する2ライン目に対応する超音波トランスデューサを駆動して、同様に超音波の送受信を行い、2ライン目の素子データを取得し、素子データ記憶部20に記憶される。
ここで、2ライン目の素子データを取得すると、動き量算出部21は、1ライン目の素子データと2ライン目の素子データとを素子データ記憶部20から読み出し、2つの素子データの相互相関を評価して、2ライン目の素子データの動き量Mを算出し記憶する。
また、2ライン目のスキャンが終了すると、同様に3ライン目のスキャンを行い、3ライン目の素子データを取得する。動き量算出部21は、2ライン目と3ライン目の素子データを素子データ記憶部20から読み出し、3ライン目の素子データの動き量Mを算出し記憶する。
このように、超音波診断装置10は、超音波プローブ12の開口をずらしながら、順次、nライン目のスキャンを行い、かつ、動き量算出部21でnライン目の素子データの動き量Mを算出し記憶する。
全てのラインの素子データの取得、および、動き量Mの算出が終了すると、素子データ処理部22は、動き量の補正を行い、マルチライン処理を行って、処理済素子データを生成する。
すなわち、前述のように、まず、動き量補正部47が、1ライン目の素子データを基準として、各素子データを動き量Mに基づいて補正する。例えば、5ライン目の素子データに対しては、動き量M+M+M+M分だけ時間軸上でデータをシフトする。これにより、各補正後素子データは、同じ状態(タイミング)の組織の情報を有するデータとみなすことができる。
次に、素子データ処理部22は、前述の図7に示すように、例えば、注目素子と、その両隣の素子とに対して、注目素子の素子データに対する、両隣の素子の素子データの遅延時間を算出し、隣の素子の補正後素子データの遅延時間補正および方位方向のシフトを行い、注目素子の補正後素子データに、両側の隣の素子の補正後素子データを重ね合わせて、注目素子の処理済素子データを生成する。このとき、補正後素子データは、動き量に基づいて補正されているので、画像上の動きがあった場合でも、素子データを適切に重ね合わせることができる。
素子データ処理部22は、所定の複数のラインに対応する補正後素子データそれぞれに対して、素子データの重ね合わせを行って、複数の処理済素子データを生成する。素子データ処理部22は、生成した処理済素子データを、画像生成部24に供給する。画像生成部24は、この処理済素子データを用いて、超音波画像(Bモード画像データ)を生成する。このとき、適切に重ね合わせられた処理済素子データを用いているので、高画質な超音波画像を得ることができる。
なお、動き量算出部21において、比較する素子データ同士の相関が低く動き量Mの算出が困難な場合には、素子データ処理部22では、その素子データは、他の素子データを処理する際に重ね合わせる素子データとして使用しないようにすればよい。また、使用しない素子データがある場合には、重ね合わせる素子データの数を変えないように、他のラインの素子データを利用するようにしてもよい。
また、動き量Mを算出するのが困難な素子データが多数ある場合には、素子データ処理部22によるマルチライン処理を行わずに、通常の超音波画像を生成するようにしてもよい。
また、第1実施形態においては、素子データ処理部22は、動き量補正部47において、動き量Mに基づいて素子データを補正した後に、重ね合わせ処理部49において、素子データの重ね合わせを行う構成としたが、これに限定はされず、動き量補正部47を有さずに、重ね合わせ処理部49において、動き量M、受信時間、素子の位置に応じて重ね合わせを行うようにしてもよい。
また、第1実施形態においては、動き量算出部21は、素子データ同士を比較して動き量Mを算出する構成としたが、本発明はこれに限定はされず、整相加算部38で素子データを整相加算後の受信データ同士を比較して動き量Mを算出する構成としてもよい。
図10に、本発明の第2実施形態である超音波診断装置100の一例をブロック図によって概念的に示す。
なお、図10に示す超音波診断装置100は、動き量算出部21に代えて動き量算出部102を有し、信号の流れが異なる以外には、図1に示す超音波診断装置10と、同じ構成を有するので、同一の構成要素には、同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
超音波診断装置100は、超音波プローブ12と、超音波プローブ12に接続される送信部14及び受信部16と、A/D変換部18と、素子データ記憶部20と、動き量算出部102と、素子データ処理部22と、画像生成部24と、表示制御部26と、表示部28と、制御部30と、操作部32と、格納部34とを有する。
整相加算部38は、第1実施形態と同様に、素子データ処理部22から供給される処理済素子データを整相加算するものである。また、第2実施形態においては、整相加算部38は、素子データ記憶部20に記憶された(第1の)素子データを読み出し、整相加算を行って、第1の受信データを生成する。整相加算部38は、生成した第1の受信データを動き量算出部102に供給する。
動き量算出部102は、整相加算部38から供給された、隣接するラインの第1の受信データ同士の相互相関を取ることで、画像上の動き量Mを算出する部位である。
動き量算出部102による相互相関の評価方法は、動き量算出部21と同様の方法を利用することができる。
図11(A)〜(C)に、動き量算出部102による動き量Mの算出の一例を説明するための概念図を示す。
図2(A)と同様に、図11(A)は、振動子アレイ36と被検体内とを模式的に示す図である。また、図11(B)は、図11(A)に示すn番目の素子(超音波トランスデューサ)を中心素子として超音波を送受信して得られた素子データ(n番目の素子データ)、および、この素子データを整相加算して得られた受信データ(n番目の受信データ)を示す図であり、図11(C)は、図11(A)に示すn+1番目の素子を中心素子として超音波を送受信して得られた素子データ(n+1番目の素子データ)および、この素子データを整相加算して得られた受信データ(n+1番目の受信データ)を示す図である。
また、図11(B)は、n番目の素子を中心素子として超音波を送受信した際に、組織の境界が、図11(A)の実線の位置にあった時に取得された素子データおよび受信データを示すものである。
一方、図11(C)は、n+1番目の素子を中心素子として超音波を送受信した際に、組織の境界が、同図中の一点鎖線の位置あった時に取得された素子データおよび受信データを示すものである。
ここで、n+1番目の素子を中心素子として超音波を送受信した際に、組織の境界が同図中の実線の位置にあったとすると、白丸で示す位置を反射点として、図11(C)に破線で示す素子データおよび受信データを得る。すなわち、図11(C)に実線で示す受信データと破線で示す受信データとの時間差がn+1番目の素子データにおける動き量Mn+1となる。この破線で示す受信データは、図11(B)に実線で示す受信データと、相似した(ほぼ同等の)信号であるとみなすことができる。従って、n番目の受信データとn+1番目の受信データとの相互相関を取ることで、n+1番目の素子データにおける動き量Mn+1を算出することができる。
動き量算出部102は、全てのラインについて、それぞれ隣接するライン同士で受信データの相互相関を取って、各受信データの動き量Mを算出する。
動き量算出部102は、算出した動き量Mの情報を素子データ処理部22に供給する。
素子データ処理部22は、供給された動き量Mの情報に基づいて、素子データ記憶部20から読み出した各素子データを補正し、補正後素子データのマルチライン処理を行って、処理済素子データを生成する。
素子データ処理部22は、生成した処理済素子データを画像生成部24(整相加算部38)に送る。
処理済素子データを供給された画像生成部24では、前述のように、整相加算部38が処理済素子データを整相加算して受信フォーカス処理を行って受信データを生成し、検波処理部40が、受信データに減衰補正および包絡線検波処理を施すことにより、Bモード画像データを生成する。
画像生成部24では、さらに、DSC42が、Bモード画像データを通常のテレビジョン信号の走査方式に対応する画像データにラスター変換し、画像処理部44で階調処理等の所定の処理を施す。
画像処理部44は、生成したBモード画像データを画像メモリ46に格納し、および/または、表示制御部26に送って、被検体のBモード画像を表示部28に表示する。
なお、上記の第2実施形態では、動き量算出部102は、第1の素子データを整相加算した第1の受信データを用いて動き量Mを算出する構成としたが、本発明はこれに限定はされず、整相加算部38で第1の素子データを整相加算し、第1の受信データを生成し、検波処理部40でこの受信データの検波処理を行った後のデータを用いて動き量を算出する構成としてもよい。
あるいは、さらに、検波処理部40で検波処理した後に、Bモード画像データ化したライン上の画像データを用いて動き量を算出する構成としてもよい。
また、第1実施形態においては、素子データ処理部22におけるマルチライン処理は、素子データを用いて行う構成としたが、本発明は、これに限定はされず、第1の素子データを整相加算した第1の受信データをマルチライン処理する構成としてもよい。
図12に、本発明の第3実施形態である超音波診断装置110の一例をブロック図によって概念的に示す。
なお、図12に示す超音波診断装置110は、素子データ処理部22に代えてデータ処理部114を有し、画像生成部24に代えて画像生成部116を有する以外には、図1に示す超音波診断装置10と同じ構成を有するので、同一の構成要素には、同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
超音波診断装置110は、超音波プローブ12と、超音波プローブ12に接続される送信部14及び受信部16と、A/D変換部18と、素子データ記憶部20と、動き量算出部21と、データ処理部114と、画像生成部116と、表示制御部26と、表示部28と、制御部30と、操作部32と、格納部34とを有する。
図13に、データ処理部114の構成を、ブロック図で概念的に示す。
データ処理部114は、動き量補正部47と、整相加算部118と、遅延時間算出部48と、重ね合わせ処理部120とを有する。
整相加算部118は、動き量補正部47で補正された補正後素子データを整相加算して受信フォーカス処理を行い、第1の受信データを生成する。
ここで、整相加算部118は、後述する重ね合わせ処理部120で重ね合わせを行う複数の素子データに対して、同じ素子(ライン)を基準として、それぞれ整相加算を行う。
重ね合わせ処理部120は、重ね合わせるデータの数および重ね合わせ処理方法等のデータ処理に関する情報に基づいて、素子データ記憶部20から素子データを読み出させて、動き量補正部47で動き量Mが補正され、整相加算部118で生成された第1の受信データを取得する。
また、重ね合わせ処理部120は、遅延時間算出部48で算出された、それぞれの受信データに対応する遅延時間に基づいて、2以上の第1の受信データを、受信時間上で、即ち時間を合わせて、重ね合わせて、処理済(第2の)受信データを生成する。
整相加算部118および重ね合わせ処理部120について、図14および図15を用いてより詳細に説明する。
図14に、素子データと、これに対応する位置の振動子アレイ36を概念的に示す。
図14に示す素子データは、n番目の素子を中心素子として超音波の送受信を行って得られた素子データである。
以下の説明では、例えば、n番目の素子データに対して、n−2番目のラインを基準として整相加算を行い生成した受信データを、n(n−2)番目の受信データと表す。すなわち、n番目の素子データをi番目のラインを基準として整相加算して得られた受信データを、n(i)番目の受信データと表す。
図15(A)〜(C)は、整相加算部118による整相加算、および、重ね合わせ処理部120による重ね合わせ処理を説明するための図である。
図15(A)は、それぞれn−2番目の素子データ、n−1番目の素子データ、n番目の素子データを示す。
一例として、n−2番目、n−1番目、n番目の受信データを用いて、n番目の受信データに対応する処理済受信データを生成する場合を考える。
n番目の受信データに対応する処理済受信データを生成する場合には、整相加算部118は、n番目の素子を基準として、各素子データの整相加算を行う。すなわち、同図中、実線で示すラインを基準としてそれぞれの素子データの整相加算を行う。整相加算により、図15(B)に示す第1の受信データ(n−2(n)番目の受信データ、n−1(n)番目の受信データ、n(n)番目の受信データ)が生成される。
次に、重ね合わせ処理部120は、整相加算部118が生成した第1の受信データを、遅延時間算出部48で算出された、それぞれの受信データに対応する遅延時間に基づいて、各第1の受信データを、時間を合わせて重ね合わせて、図15(C)に示すようなn番目の受信データに対応する処理済受信データを生成する。
データ処理部114は、処理済受信データを画像生成部116に供給する。
画像生成部116は、検波処理部40と、DSC42と、画像処理部44と、画像メモリ46とを有する。
画像生成部116では、検波処理部40が、受信データに減衰補正および包絡線検波処理を施すことにより、Bモード画像データを生成する。さらに、DSC42が、Bモード画像データを通常のテレビジョン信号の走査方式に対応する画像データにラスター変換し、画像処理部44で階調処理等の所定の処理を施す。
画像処理部44は、生成したBモード画像データを画像メモリ46に格納し、および/または、表示制御部26に送って、被検体のBモード画像を表示部28に表示する。
以上、本発明の超音波診断装置、信号処理方法およびプログラムに関して詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
例えば、1画像分の素子データを記憶する素子データ記憶部20を有さずに、マルチライン処理を行うために、1つの注目素子に対応して、毎回、必要な回数の超音波の送受信を行うようにしてもよい。
10、100、110 超音波診断装置
12 (超音波)プローブ
14 送信部
16 受信部
18 A/D変換部
20 素子データ記憶部
21、102 動き量算出部
22 素子データ処理部
24、116 画像生成部
26 表示制御部
28 表示部
30 制御部
32 操作部
34 格納部
36 振動子アレイ
38、118 整相加算部
40 検波処理部
42 DSC
44 画像処理部
46 画像メモリ
47 動き量補正部
48 遅延時間算出部
49、120 重ね合わせ処理部
52 素子
54 反射点
56、64 超音波ビーム
58 焦点
60 受信経路
61 送信経路
62 素子データ
66 真の素子データ
68 ゴーストの素子データ
114 データ処理部

Claims (12)

  1. 超音波ビームを用いて検査対象物を検査する超音波診断装置であって、
    前記超音波ビームを送信し、かつ、前記検査対象物によって反射された超音波エコーを受信して、受信した超音波エコーに応じたアナログ素子信号を出力する、複数の素子が配列された探触子と、
    前記探触子に、複数の前記素子を用い、所定の送信焦点を形成するように前記超音波ビームを送信させることを、複数回、行わせる送信部と、
    個々の前記超音波ビームの送信に対応して、複数の前記素子が出力したアナログ素子信号を受け、所定の処理を施す受信部と、
    前記受信部が処理したアナログ素子信号をA/D変換して、デジタル素子信号であり、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第1の素子データとするAD変換部と、
    複数の前記第1の素子データから、前記第1の素子データのいずれかに対応する、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第2の素子データを生成するデータ処理部と、
    複数の前記第1の素子データを用いて動き量を算出する動き量算出部とを有し、
    前記データ処理部は、前記動き量算出部が算出した前記動き量を用いて、複数の前記第1の素子データを補正して、補正後の第1の素子データを生成し、複数の前記補正後の第1の素子データを、前記素子が超音波エコーを受信した受信時間および前記素子の位置に応じて重ね合わせて、前記第1の素子データのいずれかに対応する前記第2の素子データを生成することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記データ処理部は、前記動き量を用いて、複数の前記第1の素子データ間の時間差を補正する請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記動き量算出部は、複数の前記第1の素子データをそれぞれ整相加算して得られる複数の受信データを用いて前記動き量を算出する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記動き量算出部は、複数の前記第1の素子データをそれぞれ整相加算して得られる複数の受信データに対して検波処理を行った後のデータを用いて前記動き量を算出する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
  5. 前記動き量算出部は、複数の前記第1の素子データをそれぞれ処理して得られる複数のライン状の画像を用いて前記動き量を算出する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
  6. 前記送信部は、中心となる素子の変更、および、超音波ビームの送信方向の変更の少なくとも一方を行って、前記探触子に前記複数回の超音波ビームの送信を行わせる請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  7. 前記データ処理部は、中心となる素子が互いに異なる前記超音波ビームの送信で得られた複数の前記第1の素子データ、および、送信方向が互いに異なる前記超音波ビームの送信で得られた複数の前記第1の素子データの、少なくとも一方を用いて、前記第2の素子データを生成する請求項6に記載の超音波診断装置。
  8. 前記データ処理部は、送信領域が重なり合う前記超音波ビームの送信で得られた、複数の前記第1の素子データから、前記第2の素子データを生成する請求項1〜7のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  9. 前記動き量算出部は、前記検査対象物における組織の動き量、および、検査時の手ブレの動き量の少なくとも1つを算出するものである請求項1〜8のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  10. 前記検査対象物における組織の動き量は、拍動によって動いた組織の動き量である請求項9に記載の超音波診断装置。
  11. 超音波ビームを送信し、かつ、検査対象物によって反射された超音波エコーを受信して、受信した超音波エコーに応じたアナログ素子信号を出力する、複数の素子が配列された探触子を用いて前記検査対象物を検査する超音波診断装置の信号処理方法であって、
    前記探触子によって、複数の前記素子を用い、所定の送信焦点を形成するように超音波ビームを送信することを、複数回、行う送信ステップと、
    個々の前記超音波ビームの送信に対応して、複数の前記素子がアナログ素子信号を出力する受信ステップと、
    前記アナログ素子信号をA/D変換して、デジタル素子信号であり、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第1の素子データを生成するAD変換ステップと、
    複数の前記第1の素子データから、前記第1の素子データのいずれかに対応する、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第2の素子データを生成するデータ処理ステップと、
    複数の前記第1の素子データを用いて動き量を算出する動き量算出ステップとを有し、
    前記データ処理ステップは、前記動き量算出ステップで算出した前記動き量を用いて、複数の前記第1の素子データを補正して、補正後の第1の素子データを生成し、複数の前記補正後の第1の素子データを、前記素子が超音波エコーを受信した受信時間および前記素子の位置に応じて重ね合わせて、前記第1の素子データのいずれかに対応する前記第2の素子データを生成することを特徴とする超音波診断装置の信号処理方法。
  12. 超音波ビームを送信し、かつ、検査対象物によって反射された超音波エコーを受信して、受信した超音波エコーに応じたアナログ素子信号を出力する、複数の素子が配列された探触子を用いて前記検査対象物を検査する超音波診断装置の信号処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記探触子によって、複数の前記素子を用い、所定の送信焦点を形成するように超音波ビームを送信することを、複数回、行う送信ステップと、
    個々の前記超音波ビームの送信に対応して、複数の前記素子がアナログ素子信号を出力する受信ステップと、
    前記アナログ素子信号をA/D変換して、デジタル素子信号であり、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第1の素子データを生成するAD変換ステップと、
    複数の前記第1の素子データを用いて動き量を算出する動き量算出ステップと、
    前記動き量算出ステップで算出した前記動き量を用いて、複数の前記第1の素子データを補正して、補正後の第1の素子データを生成し、複数の前記補正後の第1の素子データを、前記素子が超音波エコーを受信した受信時間および前記素子の位置に応じて重ね合わせて、前記第1の素子データのいずれかに対応する、素子位置と深度と強度との関係を示すデータである第2の素子データを生成するデータ処理ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする超音波診断装置の信号処理プログラム。
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