JP6046439B2 - ブレイン・マシン・インターフェース - Google Patents

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本発明は、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI:Brain Machine Interface)装置に係り、より詳細には、定常的視覚刺激誘発電位(SSVEP:Steady State Visual Evoked Potential)を応用したBMI装置に係る。
人間の脳神経のネットワークに於いては、視覚、聴覚等の刺激に応じて異なる態様(周波数、強度の変化)の脳波(EEG:Electroencephalogram)が発生する。そこで、従来より、種々の視覚、聴覚等の刺激を人間に与えることにより発生する脳波を計測して、かかる計測された脳波を入力情報として任意の機械・装置の作動を制御するBMIの開発研究が進められている。かかるBMIを利用した制御システムによれば、機械・装置の作動制御が人間の身体運動による操作によらず達成できることとなるので、車両の運転中の運転者が機械・装置の作動を操作する場合など、身体運動が制限されている状況下でも機械・装置の作動制御が可能となる。
上記の如きBMI装置の例として、例えば、特許文献1に於いては、テレビ画面上に表示された複数の選択肢のうち、被験者が特定の選択肢を注視したときに被験者の脳波に於いて生ずる「事象関連電位」が検出されたときに、かかる事象関連電位に対応する選択肢に従って、機器の作動を制御する構成が開示されている。同公報の場合には、複数の選択肢の表示を順番にハイライトする(表示強度を高くするなどして強調する)と、被験者の脳波に於いて、表示のハイライトの切換周波数に対応した周波数の電位変化が観測されるとの知見を利用して、かかる切換周波数に対応した周波数の電位変化の有無によって被験者が複数の選択肢の表示された画面を視ているか否かの判定を行うことが開示されている。また、特許文献2に於いては、「誘発電位反応の1つである随伴陰性変動を用い、ユーザが脳の中で注意選択しているスイッチを特定することにより、実世界のスイッチを操作する脳波スイッチの制御方法および装置」が開示されている。同公報の場合、具体的には、選択操作の開始を示す第一刺激と選択操作の終了を示す第二刺激をユーザに提示し、ユーザが選択の意志を示したときにのみ生ずる第一刺激受容時と第二刺激受容時との間の脳波の相対的な変化を参照して、選択の意志の有無が判定される。
更に、本願出願人の一部による特許文献3に於いては、或る周波数にて点滅する光を注視した人間の脳波に於いて、点滅光の周波数と同期して出現する定常的視覚刺激誘発電位(SSVEP)を利用したBMI装置を改良する一つの態様が開示されている。同公報に記載の構成では、まず、観察者が受ける点滅光の眩しさやちらつき感を低減するために、注視される光の点滅周波数が、臨界融合周波数(点滅しているが連続的に点灯しているように見えだす周波数:CFF:Critical Fusion Frequency、通常、略34Hz)以上に設定される。しかしながら、CFF以上の点滅光によるSSVEPの信号振幅は微弱であり、そのままでは、高いS/N比にて信号を検出が困難である。そこで、SSVEP信号の周波数が点滅光の周波数と一致することに着目して、点滅光源の駆動信号と脳波信号とのクロススペクトル値(相互相関関数値)を算出し、クロススペクトル値が高いとき(即ち、点滅光源の駆動信号と脳波信号とが同期しているとき)に、点滅光の周波数を有する光源を観察者が注視していると判定する構成が提案されている。
国際特許公開2008/117521 特開2010−237856 特開2011−15788
Keiichi Kitajo 他3名,PHYSICAL REVIEW LETTERS 90(21)218103(4) 2003 北城圭―・山口陽子,VISION Vol.19, No4,193-200, 2007
上記の如きBMI装置を任意の機械・装置のための制御入力又は操作手段としての応用範囲を拡大するためには、更なる検出精度の向上、検出時間の短縮、操作性の向上が必要である。そのようなBMI装置の実用化への一つの形態として、本願出願人は、特願2010−277253に於いて、SSVEPを利用したBMI装置を自動車等の車両の運転中に運転者の行う任意の操作、例えば、ワイパー、エアコン、ヘッドランプ、オーディオ等の操作のための入力手段として応用する際に、操作性の向上を図るべく、点滅光源の発する光の輝度を周辺輝度、体温等により調節できるよう構成されたBMI制御装置を提案した。
しかしながら、SSVEPを利用したBMI装置に於いて、使用者が受ける点滅光の眩しさやちらつき感を低減する目的で、点滅光の周波数をCFF以上にした場合、特許文献3に記載されている如く、検出されるSSVEP信号の振幅自体が微弱であり、ノイズに埋もれやすく、S/N比が比較的低い。この点に関し、既に触れた如く、CFF以上のSSVEPの検出のために、点滅光源の駆動信号と脳波信号とから算出されるクロススペクトル値を参照すれば、SSVEPの存在は確認できるところ、その場合、演算負荷が比較的大きく、相当の検出時間と費用を要する。従って、BMI装置を車両の運転中に使用される種々の機器の操作入力手段として更に利用し易くするためには、脳波の検出精度或いはS/N比の改善と検出時間の短縮とをより簡易に且つより廉価に達成できる新規な脳波信号の検出及び処理技術の革新が必要である。
かくして、本発明の一つの課題は、上記の如きSSVEPを利用したBMI装置に於いて、より簡易に且つより廉価に更なる脳波の検出精度或いはS/N比の改善と検出時間の短縮とを図ることである。
上記の本発明の課題に関し、本発明の発明者は、その開発研究の過程に於いて、脳波に於ける確率共鳴(SR:Stochastic Resonance)現象を利用して微弱なSSVEPを増幅して検出できることを見出した。確率共鳴現象(又は確率共振現象)とは、一般に、信号にノイズを重畳すると、或る確率で信号強度が増大する現象であるところ、人間の大脳皮質内に於ける神経伝達系で入力信号にノイズを重畳すると、出力信号が増幅されてS/N比が向上することが見出されている(例えば、非特許文献1、2)。かくして、本発明のもう一つの課題は、上記の如きBMI装置に於いて、使用者の脳波にて確率共鳴が発生するようBMI装置の視覚的刺激手段を構成し、CFF以上のSSVEPの検出精度或いはS/N比の向上を図ることである。
本発明によれば、上記の課題は、定常的視覚刺激誘発電位を用いたブレイン・マシン・インターフェース(BMI)装置であって、使用者により視認可能な位置に配置された互いに異なる周波数にて点滅するターゲット光を発する複数のターゲット光発光器と、複数のターゲット光発光器と同時に使用者により視認可能な位置に配置され擬似ホワイトノイズの周波数にて強度が変化する(或いは点滅する)背景光を発する背景光発光器と、使用者の脳波を検出する脳波検出手段と、脳波に於いて使用者が背景光の存在下で複数のターゲット光発光器のうちの一つが発するターゲット光を視認したことにより生じ確率共鳴によって増幅された定常的視覚刺激誘発電位(SSVEP)の存在を検出する定常的視覚刺激誘発電位検出手段と、定常的視覚刺激誘発電位の存在の検出に応答して定常的視覚刺激誘発電位を誘発したターゲット光に関連づけられた制御対象物の作動を制御する制御手段とを含む装置によって達成される。
上記の本発明によるBMI装置は、基本的には、使用者が互いに異なる周波数にて点滅するターゲット光を発する複数のターゲット光発光器のうちのいずれかに両眼の焦点を合わせて注視することにより、使用者の視覚野に於いて発生するSSVEPの検出を行う。かかるSSVEPの変動は、使用者の注視したターゲット光の点滅と略同期し、SSVEPの変動周波数は、使用者の注視したターゲット光の点滅の周波数と略一致するので、ターゲット光の点滅周波数にて変動する電位変化を抽出することにより、そのターゲット光に対応したSSVEPの存在の確認が達成され、或いは、脳波に於いて検出されたSSVEPの周波数を参照することにより、互いに異なる周波数にて点滅するターゲット光を発する複数のターゲット光発光器のうちのいずれを使用者が注視しているかを判定することが可能となる。そして、上記の複数のターゲット光発光器の各々に対してブレイン・マシン・インターフェース(BMI)装置を介して作動制御される制御対象となる機械・装置を割り当て、使用者が作動制御を実行したい機械・装置に対応するターゲット光発光器のターゲット光を注視すると、対応するSSVEPが検出され、これに応答して、対応する機械・装置の作動制御が実行されることとなる。
しかしながら、既に触れた如く、使用者が或る周波数にて点滅するターゲット光を注視したときに得られるSSVEPは比較的微弱であり、特に、使用者の受ける点滅光の眩しさやちらつき感を低減するべく、点滅周波数をCFF以上に設定すると、SSVEPは、ノイズに埋もれ、信号検出のS/N比及び精度が低下する。
そこで、本発明に於いては、既に触れた如く、確率共鳴現象を利用してSSVEPの信号強度を増幅し、S/N比及び検出精度の向上が図られる。そのために、本発明の装置に於いては、上記の如く、複数のターゲット光発光器と同時に使用者により視認可能な位置に配置され擬似ホワイトノイズの周波数にて、即ち、ランダムな周波数にて、強度が変化する、或いは、点滅する背景光を発する背景光発光器が設けられ、使用者がターゲット光を注視する際に同時に、かかる背景光が使用者の網膜へ入射されるよう構成される。後の実施形態の欄に於いて説明される如く、ランダムな周波数の背景光がターゲット光と同時に使用者の網膜に入射されると、使用者の脳波に於いて、ターゲット光の注視によるSSVEPが増幅され、これにより、SSVEPの信号検出のS/N比及び精度が向上されることとなる。
上記の構成に於いて、複数のターゲット光発光器は、それぞれ、任意の形状、例えば、四角形、円形又は対応づけられた制御対象物の機械機器を模式的に表す象形を有する任意の光源であってよい。また、背景光発光器は、好適には、使用者がターゲット光発光器に両眼の焦点を合わせてターゲット光を注視した際に網膜の中心窩付近に入射するターゲット光の周辺領域に背景光が入射するよう構成される。従って、典型的には、背景光発光器は、複数のターゲット光発光器の周辺にて各ターゲット光発光器を囲繞するように配置されてよい。ターゲット光発光器及び背景光発光器は、任意に設定される周波数にて点滅又は発光強度の変化が可能な光源であってよく、典型的には、発光ダイオード(LED)であってよく、上記のターゲット光と背景光は、互いに異なる波長の光であってよい。また、脳波検出手段は、この分野で通常利用されている脳波を検出するための任意の装置であってよく、典型的には、使用者の視覚野周辺の頭部表面に固定される複数の電極と、各電極の電位を逐次計測し電極からの信号を任意の態様にて処理する信号処理装置とから構成されてよい。
更に、本発明の発明者の実験によれば、確率共鳴によるSSVEPの増幅の程度は、ターゲット光の周波数と背景光の強度に依存することが見出された。かかる知見によれば、SSVEPの増幅の程度を最大化する背景光の強度は、ターゲット光の周波数によって変化することが見出された。また、SSVEPの増幅の程度は、ターゲット光と背景光との強度比が略1:1であるときに、増幅されたSSVEPの強度が最大化されることが見出された。かくして、上記の本発明の装置に於いて、背景光の強度は、ターゲット光と概ね等しく設定されてよく、更に、それぞれのターゲット光のSSVEPの増幅の程度を最適化すべく、適宜変更されるようになっていてよい。なお、ターゲット光の点滅周波数は、好適には、CFF以上であるが、確率共鳴現象により増幅される限り、これに限定されないことは理解されるべきである。
かくして、上記の構成によれば、確率共鳴現象によるSSVEPの増幅効果を利用することにより、SSVEP信号のS/N比及び検出精度の向上が達成され、より精度の良いBMI装置が提供されることとなる。理解されるべきことは、本発明に於いては、特許文献3等の如く、脳波から検出されたSSVEP信号を処理することにより、検出精度の向上を図るのではなく、使用者の大脳皮質内で生ずる確率共鳴現象、即ち、生理的な現象によって、検出されるSSVEP信号の強度を増大させているという点である。従って、脳波からSSVEP信号を抽出する信号処理に於ける演算負荷が軽減され、演算処理時間が比較的短くて済むので、SSVEP信号の検出及び判定に要する時間の短縮が図られることとなる。また、かかる確率共鳴現象によるSSVEPの増幅効果を得るために、本発明に於いては、背景光発光器を別途装備する必要があるが、背景光発光器自体は、比較的廉価でまた簡易な構成にて装備可能であるので、廉価に且つ容易にSSVEPのS/N比及び検出精度の向上が図られる点で有利である。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1は、本発明のBMI装置の構成を説明する図である。 図2は、本発明のBMI装置に於いて利用するSSVEPに於ける確率共鳴現象による増幅を説明する図である。(A)は、ノイズがない場合であり、(B)は、ノイズが重畳する場合である。 図3(A)は、本発明によるBMI装置の実効性を検証するための実験の構成を説明する模式図である。図3(B)は、実験の際の被験者頭部に取り付けられる電極の配置を示している。 図4は、背景ノイズ光の強度を種々変更して得られた脳波のパワースペクトルである。なお、ターゲット光の点滅周波数は、38Hzとした。右図は、被験者が視た発光器の状態を模式的に表した図である。 図5は、背景ノイズ光の強度に対する脳波に於けるSSVEP信号強度の変化を示すグラフ図である。(A)は、ターゲット光の点滅周波数が36Hzである場合であり、(B)は、ターゲット光の点滅周波数が38Hzである場合である。
100…発光器
110…ターゲット光発光器
120…背景光発光器
Br…人間の脳
el…電極装置
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
本発明の装置について
図1を参照して、本発明のBMI装置は、基本的な構成に於いて、従前のSSVEPを利用したBMI装置と同様に、使用者により視認されるべき点滅するターゲット光を発光する発光器又は光源装置100と、該発光器を視認した使用者の視覚野の脳波を計測して信号処理を行い且つ検出された脳波に於ける信号に基づいて任意の機器の作動制御を行う処理装置200〜500とから構成される。しかしながら、本発明に於いては、後に詳細に説明される如く、使用者の脳に於いて、確率共鳴現象によるSSVEPの増幅を行うので、発光器100に於いて、ターゲット光を発する発光器110の周囲に擬似ホワイトノイズの周波数にて、即ち、ランダムな周波数にて、点滅する背景ノイズ光を発する発光器120が設けられる。
より詳細には、まず、ターゲット光発光器110は、典型的には、ターゲット光を視認する使用者に於ける眩しさやちらつき感が低減されるように、CFF(点滅しているが連続的に点灯しているように見えだす点滅周波数、通常略34Hz)以上の任意の周波数、例えば、34〜40Hzにて点滅する光を発するよう構成されていてよい。ターゲット光の色は、例えば、赤色であってよい。また、ターゲット光発光器110は、発光器100上にて一つ以上(図中、4個)設けられ、それぞれのターゲット光発光器110から発せられるターゲット光は、互いに異なる周波数にて点滅させられる。従って、使用者がターゲット光発光器110のうちの一つに両眼の焦点を合わせ注視すると、使用者の視覚野に於いて、注視したターゲット光の点滅周波数に同期したSSVEPが発生することとなる。かくして、複数あるターゲット光発光器110の各々に、作動制御されるべき機器が対応付けられ、使用者がターゲット光発光器110のうちの一つを注視し、注視したターゲット光と同期するSSVEPの存在が検出されると、そのターゲット光に対応付けられた機器に対する作動制御が実行されることとなる。
一方、SSVEPの確率共鳴を起こさせるノイズ光を発生させる背景光発光器120は、ターゲット光を注視する使用者の網膜の中心窩付近に投影されるターゲット光の像の周辺に背景光が入射するように、典型的には、ターゲット光発光器110を囲繞するよう配置される。そして、背景光発光器120は、ターゲット光の点滅周波数の上限値を含まない高周波数の擬似ホワイトノイズ信号を駆動信号として用いて発光駆動され、ターゲット光の点滅とは無関係に点滅する光を発する。擬似ホワイトノイズ信号は、例えば、51〜100Hzのsin波形をランダムに組み合わせた擬似ホワイトノイズを生成し、更に、所定値以上を値1とし、所定値未満を値0とする態様にて二値化して得られた信号であってよい。(値1のとき、発光し、値0のとき、消光する。)また、背景光の色は、ターゲット光の色とは異なる色、例えば、青色であってよい。更に、発光時の背景光の強度は、別途ボリュームにて設定される背景光発光器120の駆動電流に調節される(即ち、発光時の背景光の強度は、ボリュームにて調節され、ランダムに変調されない。)。後述の検証実験にて示されている如く、背景光の強度は、好適には、ターゲット光の強度と概ね同じレベルに設定されてよい。また、確率共鳴現象によるSSVEPの増幅に最適な背景ノイズ光の強度は、SSVEPの周波数に依存して変化するので、背景光の強度を所定期間毎に変更できるようになっていてもよい。
なお、ターゲット光発光器110及び背景光発光器120は、それぞれ、典型的には、LEDを用いて構成されるが、これに限定されないことは理解されるべきである。ターゲット光の色、点滅時の発光デューティ比は、使用者の使いやすさによって、不快感の出ないように適宜選択されてよい。
使用者の脳波の計測は、この分野に於いて通常の態様にて実行されてよい。視覚野VFの電位変化を感知する電極装置(図示せず)は、例えば、国際10−20法に従った計測ポイントに於ける電位を計測できるよう構成又は配置されてよい。そして、電極装置に感知された電位信号は、処理装置へ入力され、そこに於いて、まず、通常の態様にて増幅されA/D変換される(200)。しかる後、ディジタル化された電位信号、即ち、脳波信号についてFFT変換を実行し、脳波信号のパワースペクトルが生成される。使用者がターゲット光発光器110のうちのいずれかのターゲット光を注視し、これにより、SSVEPが発生しているときには、生成されたパワースペクトルに於いて、SSVEPが注視しているターゲット光の点滅周波数に概ね一致する周波数帯域に於いて極大値となって出現することが期待されるので、かかるパワースペクトルに於いて、複数のターゲット光発光器110の各々の点滅周波数を含む周波数帯域に於いて、極大値の有無を検査し、或る周波数に極大値が検出されたときには、これにより、SSVEPの検出が達成されたこととなる(300)。
かくして、複数のターゲット光発光器110のターゲット光のうちのいずれかに対応するSSVEPが検出されると、処理装置は、かかるターゲット光に対応付けされた制御されるべき機器への制御指令を生成し(コマンド生成:400)、かかる制御指令によって機器の制御を実行するべく、関連する駆動装置等の作動を実行する(機器制御:500)。制御されるべき機器としては、本発明のBMI装置が自動車等の車両の運転者による機器の操作手段として利用される場合には、ワイパー、エアコン、ヘッドランプ、オーディオ等であってよい。また、任意の機器の電源のON/OFF、テレビ又はラジオのチャンネル操作や音量調節のために利用されてもよい。
確率共鳴現象について
既に触れた如く、確率共鳴現象とは、端的に述べれば、或る入出力システムに対して、入力信号にノイズを重畳すると、出力信号の強度が増大される現象である。人間の大脳皮質の場合、情報を伝達する神経ネットワークは、神経細胞の集合体であるところ、個々の神経細胞は、閾値型の入出力特性を有し、入力信号である膜電位が微弱でその強度が閾値に達していないときには、発火せず、出力信号(膜電位)は出力されない。従って、入力信号が微弱であれば、出力信号が出力される確率は低く、神経ネットワーク全体として、微弱な出力信号しか得られないこととなる(図2(A)参照)。一方、ランダムで且つ入力信号の周波数よりも高い周波数のノイズが入力信号に重畳されると、入力信号+ノイズの値が閾値に達する瞬時確率が、入力信号の強度変化を反映して増大することとなるので、有意な出力信号の出力される確率が高くなり、それらが足し合わされる結果、出力信号が増幅されて出力されることとなる(図2(B))。本発明に於いては、既に触れた如く、所定の周波数にて点滅するターゲット光(入力信号)と同時に、ノイズとしてランダムに点滅する背景光が使用者の網膜に到達するよう構成することにより、使用者の大脳皮質での信号伝達に於いて確率共鳴現象を惹起させて、SSVEP(出力信号)の強度を増幅しようとするものである。
なお、上記の原理に従えば、ノイズの強度が小さく、入力信号に重畳されても、信号が神経細胞の発火の閾値に達しない場合には、出力信号の増幅は殆ど得られないこととなる。また、ノイズの強度が入力信号の強弱とは無関係に大きいときには、出力される信号に於けるノイズの寄与が大きくなり、出力信号のS/N比が悪化することとなる。即ち、確率共鳴現象により出力信号のS/N比を改善する場合には、最適なノイズの強度が存在し、出力S/N比−ノイズ強度曲線は、一般に釣鐘型になる(非特許文献1、2)。
検証実験
上記に説明した本発明の有効性を検証するために、以下の如き実験を行った。なお、以下の実験は、本発明の有効性を例示するものであって、本発明の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。
図3(A)にて模式的に例示されている如く、脳波の計測に於いては、被験者の脳の視覚野に於ける脳波EEGを計測するべく、被験者の後頭部に電極装置elを装着した。計測ポイントは、国際10−20法に従って、Cz、Oz、O1、O2、Ground:額、Ref.:耳朶とした(図3(B)参照)。しかる後、図3(A)の左図に示されている如き発光器に於いて、ターゲット光発光器tにて36Hz又は38HzのCFF以上の点滅周波数にて赤色のターゲット光を発光させ、背景光発光器bにてランダムに点滅する青色の背景光(ノイズ)を発光させ、被験者に、ターゲット光発光器tのいずれかを注視させた。なお、背景光の強度は、強度0の場合(ノイズ無し)を含めて、適宜変更した。かくして、被験者が背景光の存在下にてターゲット光を注視している間に被験者に装着された電極装置elにより脳波EEGを計測し、そのパワースペクトルを算出して、ターゲット光の点滅周波数近傍に出現した極大値をSSVEPとして検出した。
図4は、被験者が、点滅周波数が38Hzであるターゲット光(T)を注視したときに得られた脳波のパワースペクトルを示している。なお、図に於いては、背景光(B)が無い場合(上段)、背景光がターゲット光よりも弱い場合(中上段)、背景光がターゲット光と等しい場合(中下段)、背景光がターゲット光よりも強い場合(下段)がそれぞれ示されている。(右図は、被験者の注視している領域の模式図である。)同図を参照して、いずれの場合も、約38Hzに於いて、パワースペクトルの極大値が観察され、かかる極大値がSSVEPであると考えられる。また、パワースペクトルに於けるSSVEPの強度値は、背景光が無い状態から背景光強度の増大と共に増大して、最大化し、更に背景光強度が増大すると、低減した。かかる現象は、確率共鳴現象による信号の増幅に於いて期待される傾向と一致する。このことは、SSVEPが確率共鳴現象により増幅されることを示すものである。また、背景光がターゲット光と略等しいときにSSVEPの強度値が最大化したことから、背景光は、ターゲット光と概ね等しくなるよう調整されるべきであることが示された。
図5は、ターゲット光の点滅周波数が36Hz(A)、38Hz(B)である場合の背景光強度に対するSSVEPの(パワースペクトルに於ける)強度を示したものである。図から理解される如く、いずれも場合もSSVEP強度を最大化する背景ノイズ光強度が存在することが示された。なお、最大化時のSSVEPの強度は、(A)36Hzの場合、背景ノイズ光が無い場合の約2.3倍となり、(B)38Hzの場合、背景ノイズ光が無い場合の約2倍となった。また、SSVEP強度を最大化する背景ノイズ光強度は、ターゲット光の点滅周波数によって変化することが示された。
かくして、上記の本発明によれば、BMI装置に於いて、SSVEPを確率共鳴現象により増幅することにより、SSVEP検出のS/N比及び検出精度の向上が図られることとなる。本発明に於いては、使用者にターゲット光と合わせて背景光を見せることにより、信号処理の構成を複雑にすることなく、SSVEP検出のS/N比及び検出精度が簡易に且つ廉価に改善される点で有利である。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。
例えば、確率共鳴現象を惹起するノイズは、光だけでなく、音、体性感覚(触覚)、電気刺激、磁気刺激等であってもよい。

Claims (2)

  1. 定常的視覚刺激誘発電位を用いたブレイン・マシン・インターフェース装置であって、
    使用者により視認可能な位置に配置された互いに異なる周波数にて点滅するターゲット光を発する複数のターゲット光発光器と、
    前記複数のターゲット光発光器と同時に前記使用者により視認可能な位置に配置され擬似ホワイトノイズの周波数にて強度が変化する背景光を発する背景光発光器と、
    発光時の前記背景光の強度を調節する背景光強度調節手段と、
    前記使用者の脳波を検出する脳波検出手段と、
    前記脳波に於いて前記使用者が前記背景光の存在下で前記複数のターゲット光発光器のうちの一つが発するターゲット光を視認したことにより生じ確率共鳴によって増幅された定常的視覚刺激誘発電位の存在を検出する定常的視覚刺激誘発電位検出手段と、
    前記定常的視覚刺激誘発電位の存在の検出に応答して前記定常的視覚刺激誘発電位を誘発したターゲット光に関連づけられた制御対象物の作動を制御する制御手段と
    を含む装置。
  2. 定常的視覚刺激誘発電位を用いたブレイン・マシン・インターフェース装置であって、
    使用者により視認可能な位置に配置された互いに異なる周波数にて点滅するターゲット光を発する複数のターゲット光発光器と、
    前記複数のターゲット光発光器と同時に前記使用者により視認可能な位置に配置され擬似ホワイトノイズの周波数にて強度が変化する背景光を発する背景光発光器と、
    前記使用者の脳波を検出する脳波検出手段と、
    前記脳波に於いて前記使用者が前記背景光の存在下で前記複数のターゲット光発光器のうちの一つが発するターゲット光を視認したことにより生じ確率共鳴によって増幅された定常的視覚刺激誘発電位の存在を検出する定常的視覚刺激誘発電位検出手段と、
    前記定常的視覚刺激誘発電位の存在の検出に応答して前記定常的視覚刺激誘発電位を誘発したターゲット光に関連づけられた制御対象物の作動を制御する制御手段と
    を含み、前記背景光の強度と前記ターゲット光の強度との強度比が略1:1に設定されている装置。
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