以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構成について]
図1に基づき説明する。図1はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1においては遊技領域における装飾部材が省略された図を示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について]
図2及び図4に基づき説明する。図2はパチンコ機の前側全体を示す正面図であり、図4はパチンコ機の本体枠と遊技盤とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成について]
図1及び図2に基づき説明する。前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。
[施錠装置の構成について]
図1及び図4に基づき説明する。前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠及び遊技盤の構成について]
図1、図3、図4、図5、及び図11に基づき説明する。図3は遊技領域の構成を示す拡大正面図であり、図5はパチンコ機の後側全体を示す背面図であり、図11は遊技領域を斜め右上前方から示す斜視図である。
図1及び図4に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に遊技板5aから構成されている。遊技盤5(遊技板5a)の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5(遊技板5a)の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。また、遊技盤5(遊技板5a)の略中央部には、後述するセンター役物91が取付けられて、遊技板5aの後方に位置する演出表示装置115を視認可能とする開口部124を形成するための開口部(図示外)が形成されている。
図3、及び図11に示すように、遊技領域37内には多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車(図示しない)が設けられている。遊技領域37のほぼ中央位置には、センター役物91が配設されており、このセンター役物91のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。なお、センター役物91の詳細については後述する。
また、センター役物91の後方には、抽選結果を演出表示する演出表示装置115が設けられている。演出表示装置115は、装飾図柄画像情報、背景画像情報、キャラクタ画像情報等を合成した画像情報を表示可能な適宜の表示装置が用いられる。本実施の形態では、演出表示装置115として液晶表示装置が用いられている。
一方、遊技領域37におけるセンター役物91の下方には、普通図柄始動口96が配置されており、この普通図柄始動口96に遊技球が入球すると、普通図柄抽選を行うとともに、普通図柄を変動表示させるようになっている。また、センター役物91の左側には、普通抽選で当りとなった場合に短時間開放する普通電動役物81を有し、この開放によって遊技球の入賞が可能になる特別図柄始動口82が配設されている。そして、特別図柄始動口82に遊技球が入賞すると、特別図柄抽選(大当り抽選)が行われるとともに、特別図柄を変動させるようになっている。
また、遊技領域37には、上記の普通図柄始動口96のさらに下方位置にアタッカ装置98(一般的に大入賞口または下大入賞口とも称される)が配設されており、このアタッカ装置98は、開閉部材99の下端部分を軸として開閉部材99を前後方向に開閉動作させることにより下部側大入賞口83を開閉させる。さらに、下部側大入賞口83の下方には、遊技領域37を流下した遊技球が排出される球アウト口90が設けられている。なお、普通図柄始動口96、普通電動役物81、特別図柄始動口82、及びアタッカ装置98等の詳細については後述する。
また、センター役物91の斜め左下には、普通図柄表示器333(詳細は後述する)として機能する三つのLED84と、普通抽選の保留状態を示す普通保留球ランプ323として機能する四つのLED85とが設けられている。普通保留球ランプ323は、普通抽選において保留回数分(最大4回)だけLED85が点灯するようになっている。また、センター役物91の左上方には、大当り抽選における抽選結果を表示する特別図柄表示器332(詳細は後述する)として機能する四つのLED86が設けられている。例えば、始動入賞を契機として四つのLED86をいろいろなパターンで点滅させることにより、特別図柄の変動状態を表示する。そして、特別図柄の変動が終了すると、四つのLED86の点灯・消灯表示パターンによって、確定した特別図柄を停止状態で表示する。つまり、抽選結果情報がLED86の点灯・消灯によって報知される。なおLED86の点灯・消灯による特別図柄の変動表示及び停止表示の制御は、主制御基板765(図36参照)により行われる。
一方、図5に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。このボックス装着台118には、サブ統合基板763が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板765が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
[遊技領域および画像表示領域の位置、大きさ、範囲について]
図1〜図4に基づき説明する。本実施形態のパチンコ機1では、前面枠4が本体枠3に対して装着されると、前面枠4は正面視で本体枠3の少なくとも3分の2以上を占める。そして、前面枠4の略中央に形成された透明板50を介して、当該透明板50と略同一の円形かつ大きさを有する遊技領域37が視認可能となる。なお、遊技盤5が有する正方形状の遊技板5aに対して略内接円をなすように外レール76を配置することで、正方形状の遊技板5aに対して最大限に広い円形状の遊技領域37を確保しており、ここでは遊技領域37は遊技板5aの少なくとも4分の3以上の面積を有している。
また、遊技盤5の後方に設けられて正面視で遊技領域37の略中央部に位置する演出表示装置115は、横長長方形状の画像表示領域(後述する画像表示領域1150)を有しており、この画像表示領域は遊技盤5に形成された開口部124を介して視認可能となっている。この演出表示装置115は各種画像や図柄を用いた演出を行うために、より広い画像表示領域を有する大型液晶ディスプレイとして実装されている。具体的には、演出表示装置115の画像表示領域の横幅は、遊技盤5の横幅に対してほぼ3分の2の大きさを有し、演出表示装置115の画像表示領域の縦幅は、遊技盤5の縦幅に対してほぼ2分の1の大きさを有する。そして、演出表示装置115の画像表示領域は、遊技領域37の少なくとも3分の1以上の面積を有していることから、演出表示装置115の画像表示領域は遊技領域37において大きな割合を占める演出領域である。
一方、遊技盤5の後面側には、遊技領域37の内側と、遊技領域37の外側とを跨って、正面視で円形状の大型役物である回転式振分装置294(詳細は後述する)が配置されている。なお、「遊技領域の内側」とは、正面視で外レール76によって区画形成された内側領域であり、より詳細には、正面視で開口部124と外レール76とで挟まれた領域をいう。また、「遊技領域の外側」とは、正面視で外レール76によって区画形成された外側領域であり、より詳細には、正面視で前構成部材79が形成された領域をいう。
そして、この回転式振分装置294は、演出表示装置115の画像表示領域の一の角部(ここでは、右上の角部)と、当該角部を形成する長辺の一部と、当該角部を形成する短辺の2分の1以上と、を含む領域を隠蔽するように、演出表示装置115と一部が重なるように配置されている。具体的には、回転式振分装置294は、正面視で演出表示装置115の画像表示領域のほぼ15%を隠蔽するように、当該画像表示領域の一部と重複して開口部124の右側部に沿って配置されている。さらに、回転式振分装置294の当該画像表示領域と重複する部分において、後述する遊技球を用いた役物動作が実行されるように、後述の案内通路340も当該画像表示領域と重複して配置されている。このように回転式振分装置294は、その一部は演出表示装置115と重ねて配置されつつ、その一部は遊技領域37の外側に配置されるため、当該回転式振分装置294が大型の役物であっても遊技盤5に適切に取り付けることができる。さらに、回転式振分装置294による遊技球を用いた役物動作が実行される部分(後述する視認可能領域294a)は遊技領域37の内部に配置されるため、回転式振分装置294による役物動作の視認性を確保して本来の役割を実行させることができる。
また、内レール77に案内されて遊技領域37に打ち込まれた遊技球は、もっぱら開口部124の左側部に沿って当該遊技領域37を流下したのちに球アウト口90から排出される。すなわち、遊技領域37においては、遊技球が流下する特定の領域(開口部124の左側部)に沿って釘や風車等が配設されるとともに、後述の特別図柄始動口96なども設けられている。そして、この遊技球が流下する特定の領域には、回転式振分装置294は設けられていないため、当該回転式振分装置294によって当該遊技球の流動が阻害されることなく、回転式振分装置294を大型化しても円滑な遊技の進行が可能である。
このような構成により、本実施形態のパチンコ機1では、回転式振分装置294の視認可能領域と演出表示装置115の画像表示領域とで、遊技領域37の大半(2分の1以上)を占めることになる。そのため、回転式振分装置294と演出表示装置115を用いてより多彩でインパクトのある遊技演出が可能となることに加え、回転式振分装置294および演出表示装置115を遊技盤5(遊技板5a)に対して適切に配置することができ、遊技領域37における遊技球の流下(言い換えれば、遊技の進行)を妨げることもない。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について]
図8及び図9に基づき説明する。図8はパチンコ機の本体枠に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は本体枠単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図9に向かって左端)から他端(図9に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えばセンター役物91)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間にセンター役物91の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について]
図8及び図9に基づき説明する。本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出モータ172(図4参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について]
図4及び図5に基づき説明する。本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図5に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板775を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板775は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板765から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出モータ172を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成について]
図5及び図6に基づき説明する。図6はパチンコ機の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス117(図10参照)及び主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス117(図11参照)全体及び主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板765の基板コネクタ(主として液晶制御基板758と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板765上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板765上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬・保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について]
図2及び図7に基づき説明する。図7は、図6に示すパチンコ機の斜視図から後ろカバー及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インターフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インターフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板775との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板775との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[センター役物の具体的な構成について]
図11〜図17に基づき説明する。図12はセンター役物を示す正面図であり、図13はセンター役物の前側ユニットと後側ユニットとを分離した状態を示す分解斜視図であり、図14は前側ユニットを機能単位で分離した状態を示す分解斜視図であり、図15は前側ユニットを斜め左上前方から示す斜視図であり、図16は前側ユニットを斜め右上後方から示す斜視図であり、図17は後側ユニットを機能単位で分離した状態を示す分解斜視図である。
図11及び図12に示すように、センター役物91は、額縁状の外観を呈しており、遊技領域37の中央に配設されるとともに、上側から右側に亘る外周部分が、遊技領域37の右側周縁まで延出されている。つまり、センター役物91の右側には、実質的な遊技領域37が形成されておらず、遊技球が通過しないようになっている。なお、センター役物91の大きさは特に限定されるものではないが、本例では、遊技領域37全体の約2/3を占める極めて大きな役物として構築されている。
図12〜図17に示すように、センター役物91は、前側に配置される前側ユニット120と、その後側に配置される後側ユニット121とに大別されている。前側ユニット120と後側ユニット121は、遊技盤5を前後から挟み込んで接合されている。前側ユニット120は、遊技領域37から前方に突出した状態で配設されており、遊技領域37と内部空間とを区画する装飾フレーム125を備えている。なお、装飾フレーム125の外周面のうち特に左側の部分には、遊技球を誘導するための誘導壁123が形成され、また、装飾フレーム125の中央には表示窓として機能する開口部124が設けられている。
装飾フレーム125は、表面に装飾が施されており、右側には、複数の発光手段を備える電飾体129が設けられている。また、この装飾フレーム125においては、右上部分が左上部分よりも上方に突出しており、その内側に拡張開口部140が形成されている。この拡張開口部140は、後述する回転式振分装置294を収容する空間として機能しており、開口部124と連通した状態で形成されている。拡張開口部140の左側壁の誘導壁123には、遊技球が入賞可能な上大入賞口141が装飾フレーム125の周面を貫通して設けられており、可動片142によって開閉可能となっている。なお、図面では、可動片142によって上大入賞口141が閉鎖された状態を示しており、この状態では、上大入賞口141に遊技球を入賞させることができないようになっている。可動片142が開放し、上大入賞口141に入賞した遊技球は、透明な樹脂部材から成る案内通路340によって案内され、後述する回転式振分装置294に送られる。
また、装飾フレーム125の左側面には、遊技球が入球可能なワープ流入口63(図15参照)が設けられており、ワープ流入口63から入球した遊技球を装飾フレーム125の内部に取り入れることが可能になっている。装飾フレーム125の内側底面には、後述するステージ20から流出する遊技球を、普通図柄始動口96付近に案内する流出部62が設けられている。装飾フレーム125の内側には投光器を模した投光装飾体61が複数配設されている。
以下、装飾フレーム125に組みつけられた上記の各構成についてさらに詳細に説明する。
[可動片及びその駆動機構について]
図13、図14、図15、図18、及び図19に基づき説明する。図18は可動片の開閉機構を示す説明図であり、図19は開閉部材駆動機構の各構成を分離した状態を左上後方から示す分解斜視図である。
上大入賞口141を開閉する可動片142は、大入賞口ユニット146の前側上方に位置し、上蓋143及び中枠145によって摺動可能に挟持され、後述の大入賞口開閉駆動手段160によって前後方向に摺動させられる。なお、センター役物91の後側ユニット121には、大入賞口開閉駆動手段160を内部に収容して固定するためのボックス体である大入賞口取付基部296が設けられており、センター役物91の前側ユニット120には、大入賞口取付基部296に配置された大入賞口開閉駆動手段160を正面側から視認可能とする窓部である大入賞口取付窓302が形成されている。
この可動片142は、ソレノイド161のプランジャー162の運動によってリンクアーム163をリンク軸164を回転軸として回動させる。リンクアーム163はリンク機構によって可動片142を前後に摺動させる。このように、プランジャー162の往復運動が可動片142の往復運動に変換され、突出状態(閉鎖状態)から引込状態(開放状態)に変位させることが可能になっている。なお、プランジャー162は通電していない状態で下に下がっており、リンクアーム163を介して可動片142を突出状態に保っている。
大入賞口開閉駆動手段160は、中枠145と、受止部144とによってソレノイド161が上下方向に挟持され、リンク軸164が受止部144に嵌設されて大入賞口ユニット146内に取設される。ソレノイド161の後方側にはソレノイド支持部148が接合され、大入賞口ユニット146を固定するときのガイドとなる。大入賞口ユニット146は、可動片142と上大入賞口141とが前方に露出するように、大入賞口取付窓302及び大入賞口取付基部296に挿入され固定される。また、上大入賞口141に入賞した遊技球が案内通路340に流入する途中に遊技球検出手段147(入賞口センサ330)が設けられており、この遊技球検出手段147により上大入賞口141に遊技球が入賞したことが検出される。
[ステージ及び複合転動振分装置について]
図14、図15、図16、図20、図21、及び図22に基づき説明する。図20は複合転動振分装置を示す平面図であり、図21は複合転動振分装置のA−Aにおける断面図であり、図22はステージ下電飾の構成を示す説明図である。
前側ユニット120の中央下部(すなわち、内部底面)には、上面で遊技球を転動させることができるステージ20が設けられている。ステージ20の中央部には外周壁41(図21参照)で囲われた複合転動振分装置21が形成されており、その外縁部にはステージ左余地42及び右キャノピー43が形成されている。ステージ20の左奥方に複合転動振分装置21の外縁部に接続する進入路45(図16参照)が形成されている。進入路45の上流側端部はワープ出口44に接続しており、ワープ出口44はワープ通路60を介して遊技領域37に面して開口しているワープ流入口63に連通している。ステージ20の遊技者側には仕切板40が立設され、仕切板40の下方には特定流出路26及び普通流出路27を備える流出部62が形成されている。
ステージ20は全体が透光性を有するプラスティックで一体的に成形されており、ステージ20の下方にはステージ下電飾100(図22参照)が全面的に配設されている。右キャノピー43の下方には投光装飾体61が配設され、右キャノピー43を透過して視認可能となっている。なお、投光装飾体61については後述する。
複合転動振分装置21は、中央部に1個の特定出口24と2個の普通出口25とが穿設された凹面状の第二転動領域23が形成されており、その外縁部に接して平面視長円環状で、内縁部よりも外縁部が高く勾配が設けられた第一転動領域22が形成されている。第一転動領域22と第二転動領域23との境界には段差部28が形成されており、第二転動領域23より第一転動領域22の方が若干高く段状になっている。特定出口24は、ステージ20の前下方に形成された流出部62の特定流出路26に、普通出口25は普通流出路27に接続し、特定出口24及び普通出口25に入球した遊技球を普通図柄始動口96の近傍の遊技領域37内へと流出させる(図3参照)。
ワープ流入口63に入球した遊技球は、湾曲したワープ通路60を通過して下降し、ワープ出口44からステージ20上に流出する。ワープ通路60を下降して速度を得た遊技球は、進入路45を転動して複合転動振分装置21の第一転動領域22へと進入する。遊技球は進入路45の方向付けに従い、第一転動領域22上を左から右へと横断する方向に進み、第一転動領域22の勾配によって次第に時計回りの方向に旋回する。遊技球は第二転動領域23の周囲を巡るように旋回し、第一転動領域22の第二転動領域23よりも遊技者側の部分を進み、やがて第一転動領域22と第二転動領域23との境界に形成された段差部28を越えて第二転動領域23へと流入する。
第二転動領域23は、第一転動領域22とは異なり円形の平面形状を呈している。第二転動領域23と第一転動領域22との境界には段差部28が形成されており、第二転動領域23の外縁部は第一転動領域22の内縁部よりも低くなっている。そのため、第二転動領域23に流入した遊技球が段差部28を越えて第一転動領域22へと逆流することはない。遊技球は段差部28を越えて第二転動領域23に入ると、第二転動領域23は円形の平面形状であるため、段差部28にガイドされて遊技球は第一転動領域22上における軌道よりも曲率のきつい軌道を描いて旋回する。やがて遊技球は第二転動領域23の勾配に従って中央部へと近づき、特定出口24または普通出口25の何れかへと没入する。
特定出口24に没入した遊技球は、特定出口24に接続している特定流出路26を遊技者側へと向かって流下し、流出部62の中央から普通図柄始動口96の直上の位置にて遊技領域37へと流出する。一方、普通出口25に没入した遊技球は普通流出路27を流下して、流出部62の左右何れかの開口部から遊技領域37へと流出する。普通流出路27の開口部は中心から左右にずれているため、遊技球はほとんど普通図柄始動口96に入らない。これに対し、特定流出路26から遊技領域37へと流出した場合は、ほぼ全てが普通図柄始動口96へと入球する。このように、複合転動振分装置21はステージ20において普通図柄始動口96への入賞と、その他の結果とを振り分ける機能を果たしている。
また、複合転動振分装置21は、センター役物91の下方中央の大半の部分を占める大きさの転動振分装置であり、従来の凹面状転動振分装置に比較すると平面的な広がりがある領域を遊技球が転動するため、遊技者にとって見ごたえのある役物となっている。
また、複合転動振分装置21によれば、転動面が大きくなっているので、複数の遊技球が流入した場合にも遊技球同士が接触する虞が小さくなっている。これにより、遊技球の軌道が変化し、衝突しなかった場合よりも早期に特定出口24または普通出口25から流出してしまったり、逆になかなか流出しないで転動面上に留まっていたりすることを防ぐ効果がある。
また、複合転動振分装置21は、第二転動領域23の外延部に第一転動領域22が広がり、第一転動領域22の外縁部から遊技球を流入させる進入路45を有するという平面的な構成の役物であり、前方に遮蔽部分を作り出して演出表示装置115の視認性を損なうことがないため、演出表示装置115よりも遊技者側にあって演出表示装置115の前下方に位置する役物として好適な形状を有している。
また、複合転動振分装置21は、転動面である第一転動領域22及び第二転動領域23と、特定出口24及び普通出口25とによって構成されており、モータ等で駆動される可動部材をもたない。そのため、例えば、動力駆動される振分装置において問題となりやすい、遊技者によるタイミングを測った間欠的な遊技による特定領域の狙い撃ちの問題が発生しない。さらに、可動部材がないため、使用にともなう破損や磨耗の虞が小さく、故障の原因となりにくいという利点がある。
[仕切板について]
図15及び図16に基づき説明する。仕切板40は、透光性を有するプラスティックでできた薄板であり、正面視において一部が切欠された略楕円形を呈し、前側ユニット120の遊技者側の開口部124の中央下方の最前部に立設される。仕切板40の表面には若干の厚みの変化をもたらす凹凸が形成されており、二重楕円の模様が描かれている。これは、複合転動振分装置21の形状を示唆するとともに流出部62の存在を強調する意匠的効果をもたらしている。
仕切板40は、ステージ20の遊技者側の最前部に立設されており、遊技球の前方からの流出を防止している。仮に仕切板40が無く、遊技球がステージ20の前方から流出する構成であった場合には、進入路45から流入した遊技球が必ずしも複合転動振分装置21を通過せずに遊技領域37へ前方の開口部124から流出してしまう場合がある。仕切板40があることによって、ステージ20へと流入した遊技球は必ず複合転動振分装置21の特定出口24または普通出口25から流出するようになり、所定の確率で安定して遊技球が普通図柄始動口96に入球するようにできる。これにより、メーカーにとっては安定した入賞率の遊技機を提供できるようになり、遊技店の収益の安定化をもたらすとともに、遊技者が安心して遊技に取り組むことができるようになる。
また、遊技球が勢いよく複合転動振分装置21に流入する場合や、ワープ流入口63以外の個所からもステージ20に遊技球が流入可能である場合には、遊技球が弾発等によって開口部124から遊技者側へと流出してしまう虞があるが、仕切板40は高さが十分に高いため、遊技球がバウンドした場合にも前方からの流出を防ぐことができる。
逆に、遊技領域37を流下し、遊技盤5に配設された釘等によって弾発された遊技球が、開口部124を通過してセンター役物91の内部へと入ることが、仕切板40によって防止されている。センター役物91の上方及び左側方は装飾フレーム125によって仕切られており、遊技領域37を流下する遊技球はワープ流入口63を経由する以外にステージ20に進入することはない。また、センター役物91の下方においては、遊技球が上方へと跳ね上がっても仕切板40が十分な高さを備えており、遊技球のセンター役物91内への進入を防ぐ。遊技球が遊技領域37を流下して得た運動エネルギーでは仕切板40の上方を跳び越えてステージ20へと進入するには不十分であり、遊技球が釘等によって弾発された場合にもステージ20上の他の遊技球と接触することがないため、複合転動振分装置21における遊技球の振分に影響を及ぼす虞がない。
また、開口部124の上部は仕切板40によって覆われていないため、メンテナンス時などに作業者が手や道具を差し入れて作業を行うことが可能であり、メンテナンス性に優れている。また、可動部がないので故障の原因となりにくい。
また、仕切板40は、ステージ20よりも遊技者側に立設されているが、透光性のある素材で形成されているため、奥に位置する演出表示装置115等の視認性を阻害することがない。
さらに、仕切板40はセンター役物91の最も遊技者側に近い部分に設置されるため、視覚的に目立つが、全体が略楕円形板状であり、且つ一部の厚みが薄くなっていて大小2個の長円が重なっているような外観を呈しているため、複合転動振分装置21の形状との関連を思わせる意匠となっている。また、流出部62に近接した個所に上記の仕切板40の薄肉部分が形成されており、流出部62の開口部の形状を想起させる効果も期待できる。これにより、仕切板40が意匠的な構成としてセンター役物91の最前部においても邪魔にならないようにすることができる。
[ステージ下電飾について]
図21及び図22に基づき説明する。ステージ20は透光性を有するプラスティックでできており、ステージ下方に配設されたステージ下電飾100がステージ20を透過して視認可能である。ステージ下電飾100はLED基板104、レンズ101、及びリフレクター102を備えており、中央部には円形切欠部103が形成されている。円形切欠部103の上方には複合転動振分装置21の第二転動領域23が位置し、特定出口24及び普通出口25に接続する特定流出路26及び普通流出路27が円形切欠部103の空隙を貫通している。
レンズ101は透光性を有するプラスティックにより形成されている。一方、リフレクター102は不透明なプラスティックによって形成され、上面には多数の略長方形の小孔が開口しており、上面は光沢のある表面が形成されている。レンズ101とリフレクター102は組み合わせられ、リフレクター102の小孔が透光性を有する窓状になっている。LED基板104はリフレクター102の小孔に対応した位置に上方を向いた多数のLEDを備え、LED基板104の上方に配設されるレンズ101の窓状の部分を通してステージ20の上面を発光させ視覚的に演出する。LED基板104のLEDは、レンズ101の窓状の部分を透過して上方へ向けて発光されるが、透過光はレンズ101によって拡散され、リフレクター102の上面にて反射して下方からステージ20を全体的に照射する。
[投光装飾体について]
図14及び図16に基づき説明する。投光装飾体61はテレビカメラを模した外観を呈している。投光装飾体61の中央部にはLEDを備えており、サブ統合基板763(図36参照)によって制御され、発光してステージ20周辺を視覚的に演出する。投光装飾体61は全部で3個あり、前側ユニット120の開口部124の内側の左上方、左側方、及び右キャノピー43の下方に各1個ずつ配設されている。
[後側ユニットの概略構成]
図13及び図17に基づき説明する。後側ユニット121は、演出表示装置115を視認可能な開口部291を有する枠状の後側フレーム292と、その後側フレーム292の左上に配置された大入賞口ユニット146と、後側フレーム292の右側に配置され、上大入賞口141より案内された遊技球を回転体によって振分ける回転式振分装置294と、後側フレーム292の下側に配置され回転式振分装置294から流出した遊技球を排出する振分装置排出路274が内部に形成された右排出路ユニット273と、特別始動口ユニット530(図29等参照)から流出した遊技球を排出する左始動口排出路272が内部に形成された排出路ユニット271とを具備して構成されている。以下、後側ユニット121における各構成について詳細に説明する。
[後側フレームについて]
図17に基づき説明する。後側フレーム292は、前面が開放された略四角形の枠状部材であり、開口部291が形成された板状の背面板300と、背面板300の周縁から前方に延出された側面板301とから構成されている。つまり、上記した各構成が後側フレーム292の内部に収容されるように箱状に形成されている。なお、図示していないが、後側フレーム292の周囲、特に左側方及び右下方には、入賞した遊技球または排出される遊技球を所定の部位に案内するための案内通路構成部材が組付けられるようになっている。
[回転式振分装置について]
図23乃至図28に基づき説明する。図23は回転式振分装置を左上前方から示す斜視図であり、図24は回転式振分装置を示す正面図であり、図25は回転式振分装置から回転体及び搬入片を除去した状態を示した説明図であり、図26は回転式振分装置の各構成を分離した状態を左上前方から示す分解斜視図であり、図27は回転式振分装置の各構成を分離した状態を左上後方から示す分解斜視図であり、図28は回転式振分装置の内部構成を示す説明図である。
図23〜図28に示すように、回転式振分装置294は、複数の領域としての凹状の特定領域343及び普通領域344を有し、回転可能に支持された円盤状の回転体297と、回転体駆動手段405と、回転体297の周囲を囲う外周壁346を有する回転体ケース342とを具備して構成されている。なお、この回転式振分装置294は、回転体297の面と遊技板5aの面とが平行となるように且つ遊技板5aの後方に固定して取り付けられる。なお、特定領域343および普通領域344は、詳しくは、回転体297の外周縁を切り欠くように形成されている。
この回転式振分装置294は、通常は回転が停止している回転体297を有している。本実施形態では、特別図柄始動口82への遊技球の入賞に基づく特別図柄の変動が終了するとほぼ同時に回転体297の時計回りへの回転が開始し、上大入賞口141に入賞し案内通路340を流下した遊技球が、回転体297によって有利な状態と不利な状態とに振分けられる。本実施形態では、上大入賞口141に入賞し案内通路340を流下した遊技球が、特定領域343に受け入れられた状態が有利な状態であり、普通領域344に受け入れられた状態が不利な状態である。そして、特定領域343または普通領域344に受け入れられた遊技球が後述する特定出口360または普通出口361から流出したのちに、回転体297の回転が停止される。
なお、回転体297は、時計回りへの回転を開始するに際して特定領域343が常に同じ位置から回転を開始するように、特定領域343が常に同じ位置にて回転が停止される。詳しくは、回転体297は、特定領域343が真左よりも僅かに上方の位置(46.5分の位置)にあるときに停止されるとともに、この46.5分の位置から回転が開始される。特定領域343が46.5分の位置にあるときに停止すると、後述するように、特定領域343と流入口347とが対向した状態で停止することになる。
また、図25に示すように、回転体ケース342の外周壁346には、回転体297の回転に伴って特定領域343または普通領域344に一時的に連通される流入口347が形成されている。さらに、回転体ケース342において回転体297を収容する回転体受面349には、特定領域343に受け入れられた遊技球を機外に流出させる特定出口360と、普通領域344に受け入れられた遊技球を機外に流出させる普通出口361とが形成されている。また、図28に示すように、特定出口360から流出した遊技球が流下する第一流出路387の途中には遊技球検出手段384(V入賞センサ331)が設けられており、この遊技球検出手段384によって遊技球が検出された場合には、特別電動役物大当り処理が行われ、遊技者にとって有利となる特別遊技(大当り遊技)が発生するようになっている。一方、普通出口361から流出した遊技球が流下する第二流出路388の途中には遊技球検出手段385(排出センサ313)が設けられており、この遊技球検出手段385によって遊技球が検出されても、遊技者にとって有利となる大当り遊技は発生しない。
具体的には、特別遊技(大当り遊技)は、最大30秒間にわたってアタッカ装置98を一定パターンで開閉させるラウンド動作を15ラウンドまで繰り返すものであり、このようなラウンド動作の繰り返しは「大当り遊技」と称されている。遊技者は、大当り遊技の間に遊技球を下部側大入賞口83に入賞させることで、多くの賞球を獲得することができる。なお、各ラウンド動作は30秒間が経過するか、10個の入賞球がカウントされるかのいずれかの条件を満たすと終了する。また大当り遊技は、ラウンド動作が15回終わると終了となる。
回転体297は、遊技機の前後方向に軸心が設けられた回転軸364によって軸支されて回転可能となっており、円盤状を呈している。その周縁には、等間隔に配置され、夫々径方向に開口した、三ヶ所の特定領域343と、各特定領域343の間に等間隔で形成された十五ヶ所の普通領域344とが設けられている。つまり、各特定領域343の間の位相差が120°となり、各特定領域343の間に五ヶ所ずつの普通領域344が配設されている。各領域343,344の底面には、夫々遊技球を排出可能な貫通孔が形成されており、その貫通孔と回転体受面349に穿設された出口との組み合わせによって遊技球が流出される状態と流出されない状態とが切替えられるようになっている。具体的に説明すると、特定領域343における貫通孔は、回転体受面349に形成された特定出口360と合致し、普通出口361とは合致しない位置に形成され、一方、普通領域344における貫通孔は、回転体受面349に形成された普通出口361と合致し、特定出口360とは合致しない位置に形成されている。ここで、「合致する」とは、少なくとも遊技球を排出させることができる程度に連通する状態を示しており、「合致しない」とは、譬え重ね合っても連通部分が遊技球の直径よりも小さく遊技球を通過させることのない状態を示している。したがって、特定領域343に遊技球が受け入れられた場合には、その遊技球は回転体297とともに回転し、特定領域343が特定出口360と合致した際、特定出口360から流出される。また、普通領域344に遊技球が受け入れられた場合には、その遊技球は回転体297とともに回転し、普通領域344が普通出口361と合致した際、普通出口361から流出される。なお、特定出口360と連通しており特定出口360から流出した遊技球が流下する第一流出路387には、V入賞センサ331(図36参照)が配設されており、特定領域343から遊技球が流出したことをV入賞センサ331によって検出するようになっている。また、普通出口361と連通しており普通出口361から流出した遊技球が流下する第二流出路388には、排出センサ313(図36参照)が配設されており、普通領域344から遊技球が流出したことを排出センサ313によって検出するようになっている。
また、図24に示すように、特定領域343の1個前の普通領域344から当該特定領域343までのキョリ(特定領域343の領域長さ)をRとすると、いずれか一の普通領域344から当該普通領域344の1個後の普通領域344までのキョリ(普通領域344の領域長さ)は1.8Rとなっている。また、特定領域343から当該特定領域343の1個後の普通領域344までのキョリ(普通領域344の領域長さ)も1.8Rとなっている。
ここで、「特定領域343の1個前の普通領域344」とは、回転式振分装置294の回転方向について特定領域343よりも1個前の普通領域344を意味する。即ち、回転式振分装置294の回転によって特定領域343と普通領域344とが順に流入口347に至るが、特定領域343よりも1個先に流入口347に至る普通領域344のことである。なお、回転体297の周縁に設けられた特定領域343のうち、遊技球を受け入れ可能な開口部が本発明の「特別選択口」であり、回転体297の周縁に設けられた普通領域344のうち、遊技球を受け入れ可能な開口部が本発明の「通常選択口」である。また、この特定領域343のうち、その「特別選択口」から役物回転方向に隣接する「通常選択口」(すなわち、1個前の「通常選択口」)までに介在する壁部分が本発明の「特別周壁」であり、この普通領域344のうち、その「通常選択口」から役物回転方向に隣接する他の「通常選択口」(すなわち、1個前の「通常選択口」)までに介在する壁部分が本発明の「通常周壁」である。
また、「特定領域343の1個前の普通領域344から当該特定領域343までのキョリ」とは、「特定領域343の1個前の普通領域344の開口左端部から当該特定領域343の開口左端部までのキョリ」を意味する。同様に、「いずれか一の普通領域344から当該普通領域344の1個後の普通領域344までのキョリ」および「特定領域343から当該特定領域343の1個後の普通領域344までのキョリ」は、それぞれ、「いずれか一の普通領域344の開口左端部から当該普通領域344の1個後の普通領域344の開口左端部までのキョリ」および「特定領域343の開口左端部から当該特定領域343の1個後の普通領域344の開口左端部までのキョリ」を意味する。
なお、特定領域343の開口長さと普通領域344の開口長さとはほぼ同じ大きさである。換言すれば、いずれか一の普通領域344の開口左端部から当該普通領域344の1個後の普通領域344の開口右端部までのキョリが、特定領域343の1個前の普通領域344の開口左端部から当該特定領域343の開口右端部までのキョリよりも大きく形成されている。同様に、特定領域343の開口左端部から当該特定領域343の1個後の普通領域344の開口右端部までのキョリも、特定領域343の1個前の普通領域344の開口左端部から当該特定領域343の開口右端部までのキョリよりも大きく形成されている。
ここで、「特定領域343(特別選択口)の開口長さ」とは、回転式振分装置294の周縁部における特定領域343(特別選択口)の回転方向長さを意味し、「普通領域344(通常選択口)の開口長さ」とは、回転式振分装置294の周縁部における普通領域344(通常選択口)の回転方向長さを意味する。
ところで、案内通路340を流下した遊技球は、流入口347に達しても、その流入口347が回転体297における特定領域343(特別選択口)または普通領域344(通常選択口)に連通するまではその場所で滞留し、回転体297の回転に伴って流入口347といずれかの領域(選択口)343,344とが対向したときに、その特定領域343(特別選択口)または普通領域344(通常選択口)に受け入れられる。これにより、回転式振分装置294の回転速度を一定とすることによって、役物上の特定領域343(特別選択口)への受け入れ確率が、理論上10分の1となる(役物上の普通役物駆動機構334への受け入れ確率は10分の9となる)。従って、特定領域343(特別選択口)への受け入れ確率は、実際には10分の1であるものの、一見6分の1(以下、「特定領域343への見掛け上の受け入れ確率」と称する)に見えるといった視覚的効果があり、ひいては、遊技者の遊技意欲を促進させるといった効果がある。そして、特定領域343(特別選択口)に受け入れられた遊技球は特定出口360から機外に流出し、普通領域344(通常選択口)に受け入れられた遊技媒体は普通出口361から機外に流出する。また、特定領域343から遊技球が流出したことに基づいて、遊技者に有利となる特別遊技(大当り遊技)が発生する。なお、本実施形態では、回転体297が1回転するために要する時間(回転周期)は、10800〔ms/回転〕である。また、特定領域343または普通領域344が流入口347と対向するのは、特定領域343または普通領域344が46.5分(真左よりも僅かに上方の位置)といった特定位置にあるときである。
一方、特定領域343の開口領域幅(開口幅)は、普通領域344の開口領域幅(開口幅)よりも大きく形成されている。より詳しくは、回転式振分装置294の周縁部において特定領域343の開口部の一部を塞ぐ壁3431が形成されている。この壁3431によって、特定領域343の開口左端部から当該特定領域343の1個後の普通領域344の開口右端部までのキョリが、いずれか一の普通領域344の開口左端部から当該普通領域344の1個後の普通領域344の開口右端部までのキョリとほぼ同じ大きさとなっている。また、普通領域344は、開口長さと開口領域幅とがほぼ同じ大きさに形成されている。すなわち、壁3431は、「特別選択口」を狭めるのみならず、役物回転方向とは反対方向に隣り合う「通常選択口」(すなわち、1個後の「通常選択口」)に遊技球を受け入れさせるための「通常周壁」として機能する。
ここで、「開口領域幅(開口幅)」とは、回転式振分装置294の周縁部よりも回転中心側(径内側)における回転方向長さを意味する。
このように、特定領域343(特別選択口)の開口長さと普通領域344(通常選択口)の開口長さとがほぼ同じ大きさであるものの、特定領域343が有する開口領域幅が普通領域344が有する開口領域幅よりも大きいので、特定領域343(特別選択口)への遊技球の受け入れ易さが、特定領域343(特別選択口)への遊技球の見掛け上の受け入れ確率(6分の1)よりも高く感じるといったさらなる視覚的効果が発揮される(ただし、理論上の受け入れ確率は10分の1)。さらに、本実施形態では、特定領域343の開口深さ(径方向深さ)が普通領域344の開口深さ(径方向深さ)よりも大きく形成されている。これにより、普通領域344(通常選択口)よりも特定領域343(特別選択口)の方が受け入れられ易いといったさらなる視覚的効果が発揮され、遊技者の遊技意欲が促進される。
また、案内通路340には、遊技球搬入装置380が介装されており、案内通路340を流下した遊技球を回転式振分装置294の流入口347へと持ち上げることができるようになっている。遊技球搬入装置380は、一つの遊技球のみを流入口347に到達させる搬入片341と、搬入片341を、案内通路340に面した位置に下降させ、遊技球を受入可能とする受入位置、及び搬入片341内に保持した遊技球を上昇させ、流入口347に流入可能とする投入位置との間で回動させる振分装置駆動機構336(図36参照)とを具備して構成されている。なお、この振分装置駆動機構336は、ソレノイド400と、プランジャー401と、リンクアーム402と、振分装置駆動センサ403により構成されている。そして、搬入片341にある遊技球は、当該搬入片341にて一旦停留され、所定のタイミングで流入口347に流入される。すなわち、搬入片341は、当該搬入片341にて遊技球を一旦停留させる停留装置としての機能も有する。なお、搬入片341にある遊技球は、特定領域343が46.5分の位置にあるタイミングで流入口347に流入されると該特定領域343に流入されて、大当り遊技が発生する。
そして、遊技球搬入装置380は、ソレノイド400のプランジャー401の運動によって、リンクアーム402をリンク軸404を回転軸として回動させる。リンクアーム402はリンク機構によって搬入片341を前後に摺動させる。このように、プランジャー401の往復運動が搬入片341の往復運動に変換され、受入位置から投入位置に変位させることが可能になっている。なお、プランジャー401は通電していない状態で左方向に突出しており、リンクアーム402を介して搬入片341を投入位置に保っている。また、搬入片341が受入位置および投入位置のいずれに変位しているかは、振分装置駆動センサ403によって検出可能となっている。すなわち、振分装置駆動センサ403によりリンクアーム402が検出されていれば、搬入片341が投入位置に位置している一方、振分装置駆動センサ403によりリンクアーム402が検出されていなければ、搬入片341が受入位置に位置している。
なお、搬入片341が投入位置のときに搬入片341に収まらない遊技球を排出する排出口348が、案内通路340の終端部に開口して形成されており、排出口348に流入した遊技球は第三流出路389から振分装置排出路274(図17参照)へと流下する。また、複数の遊技球が相次いで案内通路340を流下した場合には、搬入片341が受入位置にあった場合にも一つの遊技球のみが搬入片341内に収まり、その他の遊技球は搬入片341に収まった遊技球に当接して案内通路340に留まり、搬入片341の上昇に伴って転動を再開し、排出口348に流入する。なお、排出口348から流出した遊技球が流下する第三流出路389の途中には遊技球検出手段386が設けられており、この遊技球検出手段386によって排出口348に流入した(すなわち、特定領域343及び普通領域344のいずれにも入賞しなかった)遊技球が検出及びカウントされる。
このように、遊技球搬入装置380に搬入片341が設けられているため、上大入賞口141に入賞する遊技球の個数を増やしても、回転体297の特定領域343に受け入れ可能となる遊技球の数を制限することができる。したがって、上大入賞口141に多量の遊技球を入賞させることができる技量を持った上級者に有利に働くことなく、万人にとって公平となる遊技機を提供することができる。
回転軸364を回転させる回転体駆動手段405は、回転体297を回転させる回転力発生する回転体モータ369、回転体モータ369の動力を伝達する回転駆動ギア368、及び回転軸364、及び回転体モータ369及び中枠383を支持するとともに回転体297の回転軸364を回転可能に支持する回転体裏蓋382を備えている。なお、回転体297の背面には、レール状の回転位置検出板363が突出して設けられている。そして、この回転位置検出板363が、回転体ケース342の略中心部に配設された回転位置センサ362によって検出されることで、回転体297の回転位置が特定される。
なお、回転式振分装置294は、その内部に設けた発光手段によって回転体297を装飾するための構成を有している。すなわち、回転体297の背面側には、装飾板366およびLED基板365が、回転体ケース342との間隙に前後に重ねて配置されている。装飾板366は、回転体297と若干小さい径をなし、透光性を有するプラスティックにより形成された円盤体である。また、LED基板365は、回転体297と略同径をなし、複数のLEDが配設された略円形の基板である。また、中枠383の背面には、複数のLEDが配設された略円弧状の基板であるLED基板381が取り付けられている。さらに、プラスティック製の透明板で形成された3つの窓部367が設けられており、遊技者がこれらの窓部367を介して回転体ケース342の内部における発光態様を視認可能となっている。特に、3つの窓部367及び装飾板366には、各LEDから照射される光が乱反射されるような凹凸面が形成されており、回転体297の回転駆動に応じて、回転体ケース342の内部における発光態様(回転体297の照射態様)が変化するようになっている。また、LED基板381において半円弧上に配設された複数のLEDは、回転体297の外周部に形成された特定領域343および普通領域344を介して、正面側の遊技者からその発光態様を視認可能となっている。
次に、普通図柄始動口96及びアタッカ装置98を有する入賞口ユニット499と、普通電動役物81及び特別図柄始動口82を有する特別始動口ユニット530とについて説明する。
[入賞口ユニットについて]
図33〜図35に基づき説明する。図33は入賞口ユニットを示す正面図であり、図34は入賞口ユニットを右上前方から示す斜視図であり、図35は図33におけるB−B断面図(但し開閉部材を開放した状態)である。
入賞口ユニット499は、遊技盤5(図3参照)の盤面よりも遊技者側に突出して配設された普通図柄始動口96と、普通図柄始動口96の下方に配設された普通入賞装置502と、普通入賞装置502の下方から遊技者側に突出して配設された振分用突起部507と、振分用突起部507の下方に配設されたアタッカ装置98とを具備して構成されている。
ここで、普通図柄始動口96は、遊技領域37(図3参照)を流下する遊技球が通過可能なゲート形の始動口であって、その内部には、普通図柄始動口96に遊技球が通過したことを検出する第1始動口センサ317が設けられている。そして、第1始動口センサ317による遊技球の検出に基づいて普通抽選が行われるようになっている。また、普通図柄始動口96の左右両側には、上面が円弧状の進入阻止部材512が斜め下方に向って延出されており、普通図柄始動口96の外側を通過する遊技球が、振分用突起部507に向って転動することを阻止している。つまり、普通図柄始動口96を通過した遊技球のみを振分用突起部507に到達させることを可能としている。
普通入賞装置502は、遊技盤5の盤面に対して開口した普通入賞口500と、普通入賞口500に連通し遊技盤5の奥側に延出された入賞通路501とを有しており、普通入賞口500から入賞通路501内に遊技球を入賞させることが可能になっている。なお、普通入賞口500に遊技球が入賞すると、入賞センサ(図示外)によって検出され、これに基づいて所定数の遊技球が払出される。
振分用突起部507は、遊技盤5側(普通入賞口500側)に向って僅かに下り勾配に形成された上面傾斜部506を有しており、上面傾斜部506の左右方向略中央部分に落下した遊技球を上面傾斜部506に沿って普通入賞口500へ誘導可能とし、上面傾斜部506の左側端部付近または右側端部付近に落下した遊技球を、上面傾斜部506の側方から排出可能としている。また、振分用突起部507は、普通図柄始動口96の真下に配設され、振分用突起部507の最大横幅が遊技球の外径と略同等で、先端側ほど横幅が狭くなるように平面視先細形状(全体としてホームベース形)に形成されている。
アタッカ装置98は、振分用突起部507の下方に配設されており、多量の遊技球を入賞可能とする横長の下部側大入賞口83と、下部側大入賞口83を閉鎖するとともに下端部分を回転軸として前後方向に回動可能に支持された開閉部材99と、開閉部材99を駆動し下部側大入賞口83を閉鎖する閉鎖位置、及び下部側大入賞口83を開放する開放位置の間で回動させるアタッカ駆動機構339(図36参照)とを備えている。なお、下部側大入賞口83の内部には、下部側大入賞口83に入賞した遊技球を検出するカウントセンサ319(図36参照)が設けられている。そして、カウントセンサ319による遊技球の検出に基づいて所定数の遊技球が払出されるとともに、下部側大入賞口83に入賞した遊技球の数が計数される。
ところで、図35に示すように、開閉部材99の上面と対向する振分用突起部507の下面513は、遊技盤5側に向って上り勾配に形成されている。これにより、開閉部材99の上端と振分用突起部507の下面513との間隔を、開閉部材99の回動位置に拘らず略一定とすることが可能になり、ひいては開閉部材99の上端と振分用突起部507の下面513との間で遊技球が挟持されること、所謂「球噛み」が発生することを抑制することが可能になる。
なお、振分用突起部507は可動機構を備えていないため、アタッカ駆動機構339を有するアタッカ装置98を振分用突起部507の下方に設けた場合でも、互いに接近して配置することができ、下部側大入賞口83から普通図柄始動口96までの長さを比較的短くすることができる。
ところで、これらの普通図柄始動口96、普通入賞装置502、振分用突起部507、及びアタッカ装置98は、共通のベース板510に取付けられ、一つのユニットとして一体的に構成されている。また、ベース板510における普通図柄始動口96と普通入賞口500との間には、遊技盤5に設けられた障害釘508を挿通させるための釘貫通孔511が穿設されている。つまり、普通図柄始動口96及び普通入賞装置502等を一つのユニットとして一体的に構成するにもかかわらず、遊技盤5に設けられた障害釘508がユニットの内部に配置されることを可能にしている。
図33に示すように、障害釘508は、普通図柄始動口96と普通入賞装置502との間に配設され、普通図柄始動口96を通過した遊技球の転動方向を変化させることにより振分用突起部507への落下地点を分散させるものである。特に、本例では、障害釘508は、左右方向に並設される右側障害釘508a及び左側障害釘508bからなり、普通図柄始動口96の中心と普通入賞口500の中心とを結ぶ中心線を基準線とした場合、その基準線から右側障害釘及508a及び左側障害釘508bまでの距離が互いに異なるように、右側障害釘508a及び左側障害釘508bが一方に偏って配置されている。このため、それらの障害釘508の間に遊技球を通過させることにより、遊技球の転動方向が大幅に変更されることを抑制できる。つまり、普通図柄始動口96を通過した遊技球の殆ど全てを振分用突起部507の上面に落下させることが可能になる。また、普通図柄始動口96を通過した遊技球を、夫々の障害釘508に順に衝突させることが可能となり、転動方向を確実に変化させることができる。
なお、ベース板510は左右方向に延出されており、右側には、上方に向って開口した入賞口514が形成されている。また、ベース板510の背面にはケース部材516が取付けられており、このケース部材516の内部に、アタッカ駆動機構339が収容されるとともに、下部側大入賞口83に入賞した遊技球を流出口(図示しない)に誘導する誘導通路(図示しない)が形成されている。また、ケース部材516の上面には、普通入賞装置502の入賞通路501に入賞した遊技球を、ケース部材516内の通路(誘導通路とは別の通路)に送るための送通路517が設けられている。
このように、入賞口ユニット499では、遊技領域37を流下する遊技球が普通図柄始動口96を通過すると、第1始動口センサ317によって検出され、普通図柄始動口96に遊技球が通過したことに基づき普通抽選が実行される。普通図柄始動口96を通過した遊技球は、普通図柄始動口96の下方に配設された障害釘508によって転動方向が変化させられる。また、障害釘508の下方には、普通入賞装置502が設けられており、遊技球が普通入賞装置502に入賞すると、入賞センサ(図示外)によって検出され、所定数の遊技球が払出される。
普通入賞装置502の下方には、振分用突起部507が遊技者側に突出して配設されており、振分用突起部507は、遊技盤5側(普通入賞口500側)に向って僅かに下り勾配に形成された上面傾斜部506を備えているため、上面傾斜部506上に落下した遊技球を上面傾斜部506に沿って普通入賞口500へ誘導することが可能となる。特に、振分用突起部507の横幅は遊技球の直径と略同等であるため、上面傾斜部506に沿って普通入賞口500へ誘導する場合と、上面傾斜部506の側方から排出(逸脱)させる場合とに振分けることが可能になる。すなわち、上面傾斜部506の左右方向略中央部分に落下した遊技球は上面傾斜部506に沿って普通入賞口500へ誘導され、一方、上面傾斜部506の左側端部付近または右側端部付近(すなわち角部付近)に落下した遊技球は、上面傾斜部506の側方から排出するようになる。
[特別始動口ユニットについて]
図29〜図32に基づき説明する。図29は特別始動口ユニットを示す正面図であり、図30は特別始動口ユニットを右上前方から示す斜視図であり、図31は特別始動口ユニットの各構成を分離した状態を左上後方から示す斜視図であり、図32は特別始動口ユニットを縦方向に切断した状態を示す切断斜視図である。
特別始動口ユニット530は、遊技盤5(図3参照)の盤面に対して開口した特別図柄始動口82、及び特別図柄始動口82に連通し遊技盤5の奥側に延出された入賞通路531(図30参照)を有する特別入賞装置532と、入賞通路531内に位置する没入位置と特別図柄始動口82から遊技者側に突出する突出位置との間で摺動可能に支持された受止誘導部材535と、受止誘導部材535を前後方向に摺動させる普通役物駆動機構334(図36参照)とを具備して構成されている。
入賞通路531は、入賞装置ケーシング538内に形成されており、その前面開口部分が特別図柄始動口82となっている。なお、特別図柄始動口82は、下部側が上部側よりも横幅が広くなるように凸状に形成されている。
受止誘導部材535は、遊技盤5の奥側(入賞通路531の奥側)に向って下り勾配に形成された傾斜面534を有する舌片状の部材であり、遊技領域37(図3参照)を通過する遊技球を突出位置において受け止めるとともに受け止めた遊技球を特別図柄始動口82に誘導するように構成されている。受止誘導部材535の先端部には上向きに突起536が形成されている。
このように、特別始動口ユニット530では、受止誘導部材535が没入位置になると、入賞通路531内に収容され、遊技領域37を流下する遊技球を受け止めることができなくなる。つまり、特別図柄始動口82に遊技球を入賞させることができない状態となる(拒球態様)。一方、普通抽選で当選すると、普通役物駆動機構334が制御され、受止誘導部材535が没入位置から突出位置に変位する(許球態様)。この状態では、舌片状の受止誘導部材535が特別図柄始動口82から遊技者側に突出した状態となり、遊技領域37を流下する遊技球を受け止めることが可能になる。そして、受止誘導部材535の傾斜面534で受け止められた遊技球は、傾斜面534に従って特別図柄始動口82へと案内される。すなわち、遊技球を特別図柄始動口82に入賞させることが可能となる。このとき、受止誘導部材535が動いても、遊技球を確実に傾斜面534に従って特別図柄始動口82に入賞させるために、受止誘導部材535の上面先端部には突起536が上向きに突設されており、遊技球が受止誘導部材535の先端部からこぼれ落ちることがないようにしている。また、特別図柄始動口82側に向って遊技球を転動させることから、受止誘導部材535の傾斜面534における傾斜度合が比較的緩やかであっても、特別図柄始動口82に向って滑らかに誘導することができる。
また、受止誘導部材535の傾斜面534は、遊技盤5の奥側に向って僅かに下り勾配に形成されているため、受止誘導部材535が突出位置の場合には、没入位置のときよりも特別図柄始動口82の実質的な開口面積が広くなる。つまり、受止誘導部材535が没入位置のときは、受止誘導部材535の中で最も高い位置である受止誘導部材535の先端が特別図柄始動口82付近に位置しており、その先端よりも上方の空間(比較的狭い間口)が特別図柄始動口82の実質的な開口部分となる。これに対し、受止誘導部材535が突出位置のときは、受止誘導部材535の先端よりも低い受止誘導部材535の中央部位または根元部位が特別図柄始動口82付近に位置しており、その部位よりも上方の空間(比較的広い間口)が特別図柄始動口82の実質的な開口部分となる。したがって、受止誘導部材535が突出位置のときは開口面積が大きくなり遊技球の入賞を確実なものとし、一方、受止誘導部材535が没入位置のときは開口面積が小さくなり遊技領域37(図3参照)での跳ね返りによる遊技球の飛び込みを抑制することができる。
ところで、受止誘導部材535は、球噛みする箇所が極めて少なくなるように、遊技者側に向って先端の尖った尖形形状を呈している。このため、受止誘導部材535の先端が遊技球の中心に当接した場合には、球噛みする可能性が残されているものの、受止誘導部材535の先端が遊技球の中心から僅かでもずれている場合には、受止誘導部材535の先端から離れる方向の力が遊技球に加わり、遊技球は挟持されないようになる。突起536についても、平面視において特別図柄始動口82の側に向かって凸の二等辺三角形を呈する形状に形成されているため、僅かでも遊技球に当接する個所が中心からずれていれば遊技球は挟持されないようになっている。さらに、突起536によって、受止誘導部材535が没入位置のときの特別図柄始動口82の開口面積が小さくなるので、受止誘導部材535が没入位置にある時に遊技球が特別図柄始動口82に進入することを防止できる。
また、受止誘導部材535の左右縁部から壁部539が立設されており、これらの壁部539は入賞通路531の奥側に向って延出されている。これによれば、受止誘導部材535で受け止められた遊技球を、受止誘導部材535の左右側方から排出(落下)させることなく、特別図柄始動口82側に向って誘導することができる。また、受止誘導部材535を平板状に形成することが可能となり、その結果、特別図柄始動口82及び入賞通路531の高さが比較的低くても、受止誘導部材535を入賞通路531の内部に収容すること、及び受止誘導部材535の上方に遊技球を入賞させるための空間を設けることが可能となる。なお、受止誘導部材535の先端部分は、左右縁部に壁部539を備えない平板状の形状に形成されているため、遊技者が受止誘導部材535を左右斜め前方から見た場合でも、受止誘導部材535上を転動する遊技球の挙動を明瞭に視認させることができる。また、先端部分の壁部を省くことにより、先端側における左右方向の間口が広くなり、受止誘導部材535が没入位置に復帰する際に、受止誘導部材535上の載置された遊技球を受止誘導部材535の先端部分から容易に排出させることが可能になる。
また、図32に示すように、入賞装置ケーシング538の底面中央部分には、特別入賞装置532に入賞した遊技球を入賞通路531から流出させる流出口541が穿設されており、受止誘導部材535の後方における一対の壁部539の間には、受止誘導部材535の位置に拘らず常に流出口541と連通する開口部542が形成されている。このため、受止誘導部材535が突出位置のときは勿論、遊技球が入賞通路531から流出される前に受止誘導部材535が没入位置となった場合にも、その後、開口部542及び流出口541を通して遊技球を流出させることが可能になる。特に、開口部542の後方における一対の壁部539間には、入賞した遊技球を流出口541に誘導する可動誘導壁543が設けられ、可動誘導壁543は、受止誘導部材535が突出位置の時に流出口541の後方近傍に位置するように構成されている。このため、特別図柄始動口82に入賞した遊技球が可動誘導壁543よりも後方に入り込むことを防止し、流出口541に向って自然に落下させることが可能になる。また、可動誘導壁543は一対の壁部539間に横設されているため、一対の壁部539を平行に支持するとともに、壁部539の変形を抑制することができる。なお、流出口541には、流出口541を通過する遊技球を検出する遊技球検出手段553(第2始動口センサ318)が設けられており、この遊技球検出手段553により特別図柄始動口82に遊技球が入賞したことが検出される。
また、図30に示すように、入賞装置ケーシング538は、不透明の前側ケース部545と、光透過性部材からなる後側ケース部546とに分割されており、前側ケース部545の前面に形成されたフランジ部547が遊技盤5の盤面に固定されるようになっている。つまり、フランジ部547には、三つの取付孔557が穿設されており、ネジ等(図示しない)を取付孔557に挿通させて遊技盤5に螺着させることにより、遊技盤5の盤面に取付けられる。後側ケース部546の内部には、一対の壁部539の摺動を前後方向に規制するガイド部が壁部539を挟むように形成されており、受止誘導部材535を滑らかに摺動させることを可能にしている。
また、図31及び図32に示すように、後側ケース部546の内部には、伝達機構540によって動力を伝達し、受止誘導部材535の駆動源として機能するソレノイド548が収容されている。ソレノイド548は、プランジャー549の先端が遊技者側を向くように配設されている。プランジャー549と壁部539との間には、アーム部材551が設けられており、プランジャー549の往復直線運動が反転して壁部539に伝達されるようになっている。
また、図30に示すように、特別図柄始動口82の上方には、遊技盤5の盤面よりも遊技者側に突出して形成された制動ゲート部材554が設けられている。この制動ゲート部材554は、遊技領域37を流下する遊技球を制動させながら通過させるものであり、内径が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように設定されている。これによれば、制動ゲート部材554を通過し勢いを抑えられた遊技球が受止誘導部材535の上面に載せられるため、遊技球を受止誘導部材535上に落ち着かせることが可能となる。したがって、受止誘導部材535上に落下した遊技球を特別図柄始動口82に向って確実に誘導することが可能となる。また、受止誘導部材535が受ける衝撃も弱くなり、受止誘導部材535の変形や破損を防止することが可能になる。
また、制動ゲート部材554の左右両側には、一対の進入防止部材558が斜め下方に延出されている。進入防止部材558は、制動ゲート部材554の外側を通過する遊技球が、受止誘導部材535に向って転動することを阻止するものであり、これによれば、制動ゲート部材554を通過した遊技球のみを受止誘導部材535に載せることが可能になるとともに、受止誘導部材535で受け止められた遊技球が、制動ゲート部材554を通過しない他の遊技球、すなわち勢いの強い遊技球によって弾き出されることを防止できる。
上記のような物理的構成を有する本例のパチンコ機1によれば、仕切板40によって開口部124の下部が仕切られており、遊技領域37を流下する遊技球が開口部124を通過してステージ20へと進入することが防止されているため、開口部124から進入した遊技球がステージ20上を転動する他の遊技球に接触して遊技球の軌道を変化させ、振分過程に影響することで遊技者が不快感を覚える虞を抑制することができる。加えて、ワープ流入口63以外からステージ20に遊技球が流入することがなくなることから、ステージ20を経由した遊技球の入賞率のばらつきを低下させることができる。すなわち、開口部124から遊技球が流入すると、遊技球がステージ20に流入する割合が高まる上、ステージ20に流入するルートが増加するため、ステージ20を経由した遊技球の入賞確率を遊技店が制御することが困難となりやすく、遊技店の収益の不安定化をもたらすが、本例のパチンコ機1によれば、開口部124からの遊技球のステージへの進入を防ぐため、こうした問題の発生を抑制することができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、仕切板40がステージ20の遊技者側に立設され、センター役物91の開口部124の下部を塞ぎ、遊技球の流出を防止するため、ステージ20に流入した遊技球はステージ20からごく短時間に流出してしまうことがなく、ステージ20上で遊技球が転動する様子を遊技者にしっかり見せることができる。
また、開口部124からの流出を仕切板40が防ぐため、ステージ20に流入した遊技球は必ず特定出口24または普通出口25から流出するようになり、所定の割合で遊技球が特定出口24に入球して特定流出路26を流下するようになる。従って、普通図柄始動口96に入球する確率のばらつきが小さくなる。ステージ20に流入した遊技球が、開口部124から逸脱することが無くなるため、遊技者にとって不本意な事態が減少し、遊技者を遊技機に不信感を抱かせることなく安心して遊技を楽しませることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、仕切板40は板状の部材であるため、故障や破損の虞がほとんどなく、仕切板40をステージ20の遊技者側に立設しても遊技店の負担とはならない。遊技者にとっても、仕切板40が原因となる故障で遊技が中断したり、偶発的な事故が発生することがないので安心して遊技に取り組むことができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、仕切板40は、開口部124の下部に立設されて開口部124の前縁下端部において壁として機能するが、透光性のある素材で形成されているので、奥方に位置するステージ20や演出表示装置115の視認性を損なうことがない。換言すれば、仕切板40が視界の邪魔となって、遊技に支障が出ることがないため、遊技者が不満を感じる虞を小さくすることができる。
また、仕切板40の上方は開いているので、センター役物91の内部の清掃や調整等のメンテナンスを行うときに仕切板40を取り外す必要がなく、円滑にメンテナンス作業を行うことができる。仕切板40は略長円形の部材であるため、上方に角など突出した部分がなく、メンテナンス作業者が怪我をしたり仕切板40を破損させる事故の発生を抑制できる。
さらに、本例のパチンコ機1によれば、仕切板40は透光性のある素材で形成されており、透過する光に変化を与えることによってステージ20周辺の視覚的な演出効果を高めることができる。本例においては、仕切板40は流出部62付近において一部の領域が厚みにおいて薄くなっており、流出部62に遊技者の注意を向けさせる効果を挙げることができる。
[パチンコ機の電気的構成について]
次に、このようなパチンコ機1の電気的な構成を詳述する。図36は、この実施の形態にかかるパチンコ機1の電気的構成をブロック図として示したものである。
パチンコ機1は、大きくは、主基板780と、周辺基板781とを備えて構成されている。
ここで、上記主基板780は、・遊技球の検出。・各種当りの当落にかかる判定処理(抽選処理)。・特別図柄や普通図柄についての変動表示制御。・賞球の払い出しにかかる制御(払出制御)。等々、遊技が予め定められたルールに従って進行するよう各種の制御を行う部分である。
一方、上記周辺基板781は、・演出ランプの点灯制御。・音響制御。・演出画像の表示制御。等々、上記主基板780によって進行される遊技に各種の演出を付加し、これによって遊技の興趣の向上を図る部分である。
[主基板について]
主基板780は、主制御基板765と払出制御基板775とから構成されている。そしてこのうち、上記主制御基板765は、マイクロプロセッサとしての主制御MPU765a、及び入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート765b、及び上記検査用コネクタ218、及び後述のRAMクリアスイッチ769、などを備えて構成されている。
ここで、上記主制御MPU765aは、遊技の進行にかかる制御プログラムや各種のコマンドが記憶されている読み出し専用メモリとしてのROM、記憶データがその都度更新される読み書き可能メモリとしてのRAM、及びそれらの動作(システム)を監視するウォッチドックタイマ、及び不正を防止するための各種機能、等々を備えている。同主制御MPU765aには、上記第1始動口センサ317、及び上記第2始動口センサ318、及び上記カウントセンサ319、及び上記入賞口センサ330、及び上記V入賞センサ331、及び上記排出センサ313など、各種のセンサからの検出信号が主制御I/Oポート765bを介して入力されている。
すなわち、こうした検出信号に基づいて上記ROMに格納されている制御プログラムを実行することで、普通役物駆動機構334、大入賞口開閉機構335、振分装置駆動機構336、及びアタッカ駆動機構339など、各種のアクチュエータに適宜に駆動信号が出力されるようになり、これによって当該パチンコ機1にて行われる各種の遊技が予め定められたルールに従って進行するようになる。なお、後述するが、この主制御基板765の主制御MPU765aは、上記特別図柄表示器332、上記普通図柄表示器333、及び普通保留球ランプ323の表示制御や、上記周辺基板781、及び上記払出制御基板775に遊技の進行状況を示す信号(演出コマンド、払出コマンド)を出力することも行う。
また、この実施の形態では、上記主制御MPU765aは、遊技に関する各種情報(遊技情報)を、上記主制御I/Oポート765bを介して外部端子板371に出力する。この外部端子板371は、図示しないホールコンピュータと接続される部分であり、これによってホールコンピュータが、当該パチンコ機1の遊技の進行状況を把握し、監視することができるようになる。
また、後述するが、上記主制御MPU765aは、上記演出表示装置115に表示される演出画像の表示態様についてのコマンドなどを上記主制御I/Oポート765bを介して後述する周辺基板781に送信する。
また、同主制御基板765には図示しない電源基板から電力が供給されている。この電源基板は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板765に電力を供給するバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)を備えている。このキャパシタにより供給される電力によって主制御MPU765aは、その詳細な説明は後述するが、電源遮断時にでも電源断時処理において各種の情報をその内蔵RAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した各種の情報は、電源投入時に主制御基板765のRAMクリアスイッチ769が操作されると、その内容が内蔵RAMから消去(クリア)されるようになっている。
一方、上記払出制御基板775は、上記主制御基板765からの払出コマンドに基づいて球払出装置170に駆動信号を出力する部分であり、大きくは、マイクロプロセッサとしての払出制御MPU775a、及びI/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート775b、及びエラーLED表示器777、及びエラー解除スイッチ778、及び球抜きスイッチ779、などを備えて構成されている。
払出制御基板775は、球払出装置170と払出中継基板108を介して接続されており、この払出中継基板108を介して球払出装置170との間でのコマンド(駆動信号)が送受信される。なお、球払出装置170には、球払出装置170に取り込まれた遊技球を球切り出し部材(図示外)によって各種球誘導通路又は各種球排出通路に切り出すために回転する払出モータ172、球切り出し部材(図示外)の回転位置を検出するための回転角スイッチ106、実際に払い出された遊技球の球数を計数する計数スイッチ105等を備えている。
ここで、上記払出制御MPU775aは、遊技の進行状況に応じて遊技者に遊技球(賞球)を払い出すための制御プログラムや各種のコマンドが記憶されている読み出し専用メモリとしてのROM、及び記憶データがその都度更新される読み書き可能メモリとしてのRAM、及び不正を防止するための各種機能、等々を備えている。そして、同払出制御MPU775aには、上記主制御基板765からの払い出しに関する払出コマンドや、上記RAMクリアスイッチ769の操作信号(検出信号)が払出制御I/Oポート775bを介して受信されるようになっている。すなわち、こうして受信される払出コマンドに基づいて上記ROMに格納されている制御プログラムが実行されることで、上記払出モータ172に駆動信号が出力されるようになり、ひいては上記受信された払出コマンドにより示される賞球数だけ遊技球が払い出されるようになる。なお、この実施の形態では、上記払出制御基板775の払出制御MPU775aは、上記センター役物91内への遊技球の進入が上記入賞口センサ330により検出されたとき遊技者に払い出される賞球の数よりも、上記下部側大入賞口83への遊技球の入賞が上記カウントセンサ319により検出されたときのほうがより多くの賞球が払い出されるように上記遊技球の払い出しにかかる制御を行うものとなっている。
また、同払出制御MPU775aでは、上記球抜きスイッチ779が操作されると、この操作信号(検出信号)に基づいて球タンク136及びタンクレール150に貯留された遊技球を排出する(球抜きする)ために払出モータ172への駆動信号を出力することも行う。またさらに、プリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号が上述したインターフェース基板252を介して入力されると、この貸球要求信号に基づいて上記払出モータ172への駆動信号を出力することも行う。
また、同払出制御MPU775aは、その詳細な説明は後述するが、パチンコ機1の状態に関する各種コマンドを、払出制御I/Oポート775bを介して主制御基板765に送信したり、満タンスイッチ107からの検出信号が入力されると、この検出信号に基づいて払出モータ172への駆動信号の出力を停止したり、実際に払い出した遊技球の球数を算出してこれを上記払出制御I/Oポート775bを介して外部端子板371に出力したりする。これにより、ホールコンピュータは、当該パチンコ機1から払い出された遊技球の総数を把握することができるようになる。
なお、プリペイドカードユニット1aがインターフェース基板252に接続されると、プリペイドカードユニット1aからの遊技球の発射許可信号がインターフェース基板252及び払出制御基板775を介して上述した発射制御基板372に入力されるようになっている。この発射許可信号が入力されることによって、発射制御基板372は上述した発射装置194による遊技球の発射可能状態となる。これにより、上記操作ハンドル32が操作されたときは、該操作ハンドル32に設けられているタッチセンサ(図示略)からの検出信号が発射制御基板372に入力されることで、発射装置194によって遊技球の発射が行われるようになる。すなわち、操作ハンドル32が操作されたときは、上記満タンスイッチ107からの検出信号が払出制御MPU775aに入力され、ひいては上記払出モータ172への駆動信号の出力が停止されるような状況であっても、上記発射装置194によって遊技球が発射されるようになる。このようにして、発射装置194から発射された遊技球は、遊技領域37の上方に形成された発射口78aまで案内レール78に沿って導かれ、この発射口から遊技領域37に向けて打ち込まれる。
払出制御基板775には図示しない電源基板から電力が主制御基板765と同様に供給されている。この電源基板は、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板775に電力を供給するキャパシタを備えている。このキャパシタにより供給される電力により払出制御MPU775aは電源遮断時にでも払い出しに関する各種の払出情報をその内蔵RAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した払出情報は、電源投入時に主制御基板765のRAMクリアスイッチ769が操作されると、その内容が内蔵RAMから消去(クリア)されるようになっている。
[周辺基板について]
周辺基板781は、同図36に示されるように、サブ統合基板763及び液晶制御基板758を備えて構成されている。
ここで、上記サブ統合基板763は、マイクロプロセッサとしてのサブ統合MPU763aと、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するサブ統合ROM763bと、高音質の演奏を行う音源IC763cと、この音源IC763cが参照する音楽及び効果音等の音情報が記憶されている音ROM763dと、を備えて構成されている。すなわち、同サブ統合MPU763aは、上記主制御基板765から演出コマンドが受信されると、該コマンドに基づいて上記制御プログラムを実行することで、外枠側のランプである装飾ランプ394に点灯信号を出力したり、賞球ランプ396に点灯信号を出力したりする。また、ランプ駆動基板46を介して、遊技盤5の装飾ランプである演出ランプ395に点灯信号を出力したり、階調ランプ397に階調点灯信号を出力したりする。
また、上記サブ統合MPU763aにより受信された上記主制御基板765からの演出コマンドは、上記音源IC763c及び上記液晶制御基板758に出力されている。これにより、上記音源IC763cが、サブ統合MPU763aから出力された演出コマンドに基づいて、音ROM763dから音情報を読み込むことで、上記スピーカ18,57から各種演出に合わせた音楽及び効果音等が音響出力されるようになる。
一方、上記液晶制御基板758は、マイクロプロセッサとしての液晶制御MPU758aと、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶する液晶制御ROM758bと、演出表示装置115を表示制御するVDP(Video Display Processorの略)758cと、演出表示装置115に表示する各種画像を記憶する画像ROM758dと、を備えて構成されている。
液晶制御MPU758aは、サブ統合基板763から上述した演出コマンドを受信すると、この演出コマンドに基づいてVDP758cを制御する。このVDP758cは、画像ROM758dから画像を読み出して演出表示装置115の表示制御を行う。なお、この液晶制御MPU758aは、正常に動作していると、その旨を伝える動作信号をサブ統合基板763に出力する。
[主基板および周辺基板の機能的な構成について]
図37に基づき説明する。図37は、主基板および周辺基板の機能的な構成を概略的に示す機能ブロック図である。
同図37に示すように、主基板780は、普通図柄当り判定用乱数抽出手段601と、普通図柄当否判定手段602と、第1保留手段603と、第1保留解除手段604と、普通図柄表示制御手段605と、普通図柄保留表示制御手段606と、普通当り遊技実行手段607と、有利遊技実行手段608とを備えている。また、特別図柄当り判定用乱数抽出手段611と、特別図柄当否判定手段612と、特別図柄表示制御手段615と、大当り遊技実行手段617と、小当り遊技実行手段618とを備えている。さらに、コマンド送信手段620と、排出判断手段621と、入賞判断手段622と、賞球払出手段623とを備えている。
ここで、上記普通図柄当り判定用乱数抽出手段601は、上記第1始動口センサ317からの出力信号に基づいて上記普通図柄始動口96への遊技球の入球があったか否かの判断を行うとともに(開放口判断手段)、該入球があった旨判断したときには乱数を抽出する部分である。この抽出した乱数は、上記第1保留手段603によって第1所定数(例えば4個)まで保留され、これによって上記普通図柄の変動表示制御が保留の状態とされるようになる。一方、このような保留状態は、所定の解除条件(例えば前回の普通図柄についての変動表示制御が終了したこと)が成立したとき、上記第1保留解除手段604によって解除される。そして、上記普通図柄当否判定手段602が、この解除された乱数に基づいて普通当り(長当りまたは短当り)に当選したか否かの判定(普通図柄抽選)を行うこととなる。
ただし、この実施の形態では、上記普通図柄当否判定手段602は、上記普通当りに当選したか否かの判定の結果に応じて上記演出表示装置115に表示される演出画像の表示態様を上記主基板780内にて決定する部分としても機能する。そして、こうして内部的に決定された表示態様は、上記普通図柄表示制御手段605によって普通図柄表示器333に所定の変動時間だけ変動表示される。また、上記第1保留手段603による保留数は、上記普通図柄保留表示制御手段606によって普通図柄保留球ランプ323(LED84)に表示される。また、上記普通図柄当否判定手段602による抽選結果が普通当りの場合は、普通当り遊技実行手段607が普通役物駆動機構334を駆動制御して、特別図柄始動口82への遊技球の入賞が可能となるように普通電動役物81を動作させる。
また、上記有利遊技実行手段608は、予め定められた条件(例えば大当り遊技が終了したこと)が満たされたとき、上記特別図柄始動口82への遊技球の受け入れ確率をより高い確率に可変設定する。より具体的には、後述の有利状態(有利状態)にあるか否かを後述の特別図柄当り判定用乱数抽出手段611による判定の結果に基づいて判断し、該有利状態にある旨判断したときはその旨を上記普通当り遊技実行手段607に出力する。これにより、この普通当り遊技実行手段607は、いわゆる開放延長機能(時短機能)を作動させるようになる。この時短機能が作動すると、普通図柄抽選における普通当りへの当選確率は変わらないものの(通常遊技状態時と有利状態時とで普通当りへの当選確率が同じ)、上記普通電動役物81の動作時間として必ず後述の長当り時の動作時間(例えば「5700ms」)を採用するようになるとともに、普通図柄抽選の結果がハズレであって且つリーチ演出が行われない場合には、時短機能が作動しない通常遊技状態にあるときと比べて変動時間の短縮が図られる(後述するステップS8850において短い変動時間の変動表示パターンが設定される)。
このように時短機能が作動する有利状態では、普通電動役物81の動作時間として必ず長当り時の動作時間が採用されるので、通常遊技状態と比べると、特別図柄始動口82に遊技球が格別に入賞しやすい状態となり、早い段階で次の大当り遊技が実行されうることとなる。
なお、有利状態では、普通図柄抽選における普通当りへの当選確率を通常遊技状態よりも高くすることによって、通常遊技状態よりも、特別図柄始動口82に遊技球が格別に入賞しやすい状態となるようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、時短機能が作動する有利状態が終了(時短機能が停止)したとしても、時短機能に代えて微時短機能が作動する微時短遊技状態となる。この微時短遊技状態では、通常遊技状態や有利状態と比べて大当り遊技が発生する確率が高められる(詳細は後述する)。
これに対し、特別図柄当り判定用乱数抽出手段611は、上記第2始動口センサ318からの出力信号に基づいて上記特別図柄始動口82への遊技球の入賞があったか否かの判断を行うとともに、該入賞があった旨判断したときには乱数を抽出する部分である。この抽出した乱数は、第2保留手段613によって1個だけ保留され、その後すぐに第2保留解除手段614によって保留が解除されて、特別図柄当否判定手段612により、特別当り(ここでは、大当りまたは小当り)に当選したか否かの判定処理(特別図柄抽選)を行うこととなる。なお、第2保留手段613は便宜上設けたにすぎず、これを必ずしも設けることなく、特別図柄始動口82への遊技球の入賞があったことに基づいて、すぐに特別当りに当選したか否かの判定を行うようにしてもよい。
なお、特別図柄当否判定手段612による判定の結果(特別図柄抽選の結果)は、上記特別図柄表示制御手段615によって特別図柄表示器332に変動表示される。また、特別図柄当否判定手段612による抽選結果が小当りの場合は、小当り遊技実行手段617が大入賞口開閉機構335を駆動制御して、上大入賞口141が開放されるかたちで可動片142を動作させることで、センター役物91内の領域への遊技球を進入可能とする(小当り遊技)。特別図柄当否判定手段612による抽選結果が大当りの場合は、大当り遊技実行手段618がアタッカ駆動機構339を駆動制御して、開閉部材99の開閉動作を通じて下部側大入賞口83への遊技球の進入を可能とする(大当り遊技)。
また、上記コマンド送信手段620は、上記普通図柄当否判定手段602及び上記特別図柄当否判定手段612による判定の結果(普通図柄抽選の結果及び特別図柄抽選の結果)、及びこの抽選結果に関わる情報などを示すコマンドを周辺基板781にそれぞれ送信する部分である。なお、「抽選結果に関わる情報」とは、例えば、上記内部的に決定された演出画像の表示態様や、その演出時間等が相当する。
また、上記排出判断手段621は、上記特定領域343から遊技球が流出したことがV入賞センサ331によって検出され、または、普通領域344から遊技球が流出したことが排出センサ313によって検出されたことに基づいて、センター役物91内から遊技球が排出されたことを検出するものである。
また、入賞判断手段622は、入賞口センサ330による遊技球の検出とカウントセンサ319による遊技球の検出とによって、上大入賞口141および下部側大入賞口83のいずれに遊技球が入賞したかを判断する部分である。そして、入賞判断手段622による判断結果に応じて、賞球払出手段623は球払出装置170の球払出動作を制御して、上大入賞口141または下部側大入賞口83への入賞に応じて遊技球を払い出す。下部側大入賞口83に入賞した場合は、上大入賞口141に入賞した場合よりも多くの賞球が払い出される。なお、本実施形態では、賞球払出手段623は払出制御基板775として具備されており、特別図柄始動口82(第2始動口センサ318)に入賞した場合も所定数の遊技球が払い出される。
一方、周辺基板781は、コマンド受信手段630と、普通図柄画像表示制御手段631と、特別図柄画像表示制御手段632とを備えている。
ここで、上記コマンド受信手段630は、上記普通図柄当否判定手段602及び上記特別図柄当否判定手段612による判定の結果(普通図柄抽選の結果及び特別図柄抽選の結果)、及びこの抽選結果に関わる情報などを示すコマンドを上記主基板780のコマンド送信手段620から受信する部分である。
また、上記普通図柄画像表示制御手段631は、上記コマンド受信手段630により受信されるコマンドのうち、上記普通当りに関するコマンドに基づいて上記演出表示装置115に表示される演出画像を変動表示出力する部分である。より具体的には、この普通図柄画像表示制御手段631は、上記主基板780内にて決定された上記普通当りについての抽選結果に応じた表示態様が上記演出表示装置115での主要な演出画像として現れるかたちでの上記変動表示出力と、同表示態様が上記主要な演出画像よりも控えめな演出画像として現れるかたちでの変動表示出力とを行う。
[主制御基板の各種制御処理]
次に、パチンコ機1の遊技の進行に応じて主制御基板765が行う各種制御処理について説明する。まず、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、続いて主制御側電源投入時処理、主制御側タイマ割り込み処理、賞球コマンド及びセルフチェックコマンド送信処理、ACK信号入力判定処理について説明する。図38は主制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図39は図38の主制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図40は主制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図41は賞球コマンド及びセルフチェックコマンド送信処理の一例を示すフローチャートであり、図42はACK信号入力判定処理の一例を示すフローチャートである。なお、賞球コマンド及びセルフチェックコマンド送信処理、ACK信号入力判定処理は、後述する主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS80の賞球制御処理の一処理として行われる。
<1.各種乱数>
遊技制御に用いられる各種乱数として、普通電動役物(可動部材)81の動作契機となる長当りまたは短当りの当落にかかる判定処理に供される普通図柄の当り判定用乱数と、この普通図柄の当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる普通図柄の当り判定用初期値決定用乱数と、普通図柄表示器333に表示する変動表示パターンの決定に用いられる普通図柄の変動表示パターン決定用乱数と、普通図柄の変動表示停止時における変動表示パターンについての抽選処理に供される普通図柄決定用乱数などが用意されている。また、小当り及び大当りの当落にかかる判定処理に供される特別図柄の当り判定用乱数と、この特別図柄の当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる特別図柄の当り判定用初期値決定用乱数と、特別図柄表示器332に表示する変動表示パターンの決定に用いられる特別図柄の変動表示パターン決定用乱数と、特別図柄の変動表示停止時における変動表示パターンについての抽選処理に供される特別図柄決定用乱数などが用意されている。
<2.主制御側電源投入時処理>
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御基板765の主制御MPU765aは、図38及び図39に示すように、主制御側電源投入時処理を行う。この主制御側電源投入時処理が開始されると、割り込みモードの設定を行う(ステップS10)。この割り込みモードは、主制御MPU765aの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する主制御側タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この主制御側タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理が行われる。ステップS10に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS12)。このI/Oの入出力設定では、主制御MPU765aのI/Oポートの入出設定等を行う。ステップS12に続いて、主制御MPU765aに内蔵されたウォッチドックタイマを有効に設定する(ステップS14)。このウォッチドックタイマは、主制御MPU765aの動作(システム)を監視するためのものであり、一定期間にクリア設定されないときには主制御MPU765aにリセットがかかる(主制御MPU765aのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS14に続いて、ウェイトタイマ処理1を行う(ステップS16)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧以下となると停電予告として停電信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では電圧が停電予告電圧以下となると停電信号が入力される。そこで、ウェイトタイマ処理1では、電源投入後、電圧が停電予告電圧より高くなるまで待っている。本実施形態では、この待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS16に続いて、RAMクリアスイッチ769が操作されているか否かを判定する(ステップS18)。この判定は、主制御基板765のRAMクリアスイッチ769が操作され、その操作信号(検出信号)が主制御基板765に入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ769が操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ769が操作されていないと判定する。
ステップS18でRAMクリアスイッチ769が操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットし(ステップS20)、一方、ステップS18でRAMクリアスイッチ769が操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS22)。このRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU765aに内蔵されたRAM(以下、「主内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、遊技状態や未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。なお、ステップS20及びステップS22でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU765aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS20又はステップS22に続いて、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS24)。このウェイトタイマ処理2では、液晶制御基板758による演出表示装置115の表示制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。例えば、液晶制御ROM758bから圧縮された各種の制御プログラムを読み出して、液晶制御MPU758aに内蔵されたRAMに展開して記憶する。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。ステップS24に続いて、主内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS26)。この設定により主内蔵RAMへのアクセスができ、例えば遊技情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。ステップS26に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS28)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS28では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS28に続いて、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS30)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。ステップS30でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS32)。このチェックサムは、主内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。ステップS32に続いて、算出したチェックサムの値が後述する主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS34)。一致しているときには、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS36)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値及びバックアップフラグBK−FLGの値等のバックアップ情報を後述する主制御側電源断時処理において主内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、主制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、主制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS36でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として主内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS38)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGを値0にセットするほか、主制御MPU765aに内蔵されたROM(以下、「主内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を主内蔵RAMの作業領域にセットする。ここで「復電時」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態に加えて、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。ステップS38に続けて、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS40)。この電源投入時コマンド作成処理では、バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを主内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。なお、各種コマンド等についての説明は後述する。
一方、ステップS30でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、又はステップS34でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS36でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主内蔵RAMの全領域をクリアし(ステップS42)、初期設定として主内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS44)。この設定は、主内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を主内蔵RAMの作業領域にセットする。ステップS44に続けて、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS46)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、主内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を、サブ統合基板763に報知するためのRAMクリア報知コマンドと、サブ統合基板763の各種検査を行うためのテストコマンドと、を作成し、送信情報として主内蔵RAMの送信情報記憶領域に記憶する。なお、サブ統合基板763がRAMクリア報知コマンドを受信すると、このRAMクリア報知コマンドを液晶制御基板758に送信し、一方テストコマンドを受信すると、音源IC763c、液晶制御基板758及びランプ駆動基板46の各種検査を行うためのテストコマンドを送信する。
ステップS40又はステップS46に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS48)。この設定は、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。ステップS48に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS50)。この設定によりステップS48で設定した割り込み周期、つまり4msごとに主制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS50に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS52)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。ステップS52に続けて、停電信号が入力されているか否かを判定する(ステップS54)。上述したように、パチンコ機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると停電予告として停電信号が入力される。ステップS54の判定は、この停電信号に基づいて行う。ステップS54で停電信号の入力がないときには非当落乱数更新処理を行う(ステップS56)。
この非当落乱数更新処理では、上述した、普通図柄の当り判定用初期値決定用乱数や変動表示パターン決定用乱数等を更新する。例えば、普通図柄の当り判定用乱数を更新するカウンタは、普通図柄の当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲を、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ増える(カウントアップする)。このカウンタは、非当落乱数更新処理により普通図柄の当り判定用初期値決定用乱数が設定(更新)されると、この普通図柄の当り判定用初期値決定用乱数から上限値までカウントアップし、続けて下限値から普通図柄の当り判定用初期値決定用乱数までカウントアップする。そして再び非当落乱数更新処理により普通図柄の当り判定用初期値決定用乱数が更新される。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、上述した、特別図柄の当り判定用初期値決定用乱数や変動表示パターン決定用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。特別図柄の当り判定用初期値決定用乱数等は、上述した普通図柄の当り判定用初期値決定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS56に続けて、再びステップS52に戻り、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS54で停電信号があるか否かを判定し、この停電信号の入力がなければ、ステップS56で非当落乱数更新処理を行い、ステップS52〜ステップS56を繰り返し行う。なお、このステップS52〜ステップS56の処理を「主制御側メイン処理」という。
一方、ステップS54で停電信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS58)。この設定により後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、主内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。ステップS58に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS60)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、主内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。ステップS60に続いて、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする。(ステップS62)、これによりバックアップ情報の記憶が完了する。ステップS62に続いて、主内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS64)。この設定により主内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、主内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が保護される。ステップS64に続いてウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS66)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。ステップS66に続けて、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、主制御MPU765aにリセットがかかり、その主制御MPU765aは、この主制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS58〜ステップS66の処理及び無限ループを「主制御側電源断時処理」という。
パチンコ機1(主制御MPU765a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により主制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS34では主内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS36では主制御側電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、主内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報を2重にチェックすることによりバックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
<3.主制御側タイマ割り込み処理>
次に、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。この主制御側タイマ割り込み処理は、図38及び図39に示した主制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板765の主制御MPU765aは、図40に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS70)。ここでは、上述した主制御側メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを主制御側タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、主制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS70に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS72)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)のステップS52においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS72に続いて、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、主制御I/Oポート765bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば、普通図柄始動口96に入球した遊技球を検出する第1始動口センサ317からの検出信号、特別図柄始動口82に入賞した遊技球を検出する第2始動口センサ318からの検出信号、上大入賞口141に入賞した遊技球を検出する入賞口センサ330からの検出信号、下部側大入賞口83に入賞した遊技球を検出するカウントセンサ319からの検出信号、特定領域343から流出した遊技球を検出するV入賞センサ331からの検出信号、普通領域344から流出した遊技球を検出する排出センサ313からの検出信号や、後述する賞球制御処理で送信した賞球コマンドを払出制御基板775が正常に受信した旨を伝える払出制御基板775からのACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS74に続いて、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動表示パターンに従って特別図柄表示器332が点灯する時間、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される普通図柄変動表示パターンに従って特別図柄表示器332が点灯する時間のほか、主制御基板765(主制御MPU765a)が送信した各種コマンドを払出制御基板775が正常に受信した旨を伝えるACK信号が入力されているか否かを判定する際にその判定条件として設定されているACK信号入力判定時間等の時間管理を行う。具体的には、特別図柄の変動表示パターン又は普通図柄の変動表示パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、このタイマ減算処理を行うごとに変動時間を4msずつ減算し、その減算結果が値0になることで特別図柄の変動表示パターン又は普通図柄の変動表示パターンの変動時間を正確に計っている。
本実施形態では、ACK信号入力判定時間として100msが設定されており、このタイマ減算処理を行うごとにACK信号入力判定時間が4msずつ減算し、その減算結果が値0になることでACK信号入力判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種時間及びACK信号入力判定時間は、時間管理情報として主内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS76に続いて、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、普通図柄の当り判定用乱数及び普通図柄決定用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS56の非当落乱数更新処理で更新される、普通図柄の当り判定用初期値決定用乱数等も更新する。普通図柄の当り判定用初期値決定用乱数等は、主制御側メイン処理及びこの主制御側タイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。一方、普通図柄の当り判定用乱数及び普通図柄決定用乱数は、当落判定(普通当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。例えば、普通図柄の当り判定用乱数を更新するカウンタは、普通図柄の当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲を、主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとにカウントアップする。このカウンタは、普通図柄の当り判定用初期値決定用乱数から上限値までをカウントアップし、続けて下限値から初期値までをカウントアップする。普通図柄の当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲をカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により普通図柄の当り判定用初期値決定用乱数は更新される。なお上述した、特別図柄の当り判定用乱数や当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。特別図柄の当り判定用乱数等は、上述した普通図柄の当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS78に続いて、賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、上述した入力状態記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出す賞球コマンドを作成したり、主制御基板765と払出制御基板775との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成したりする。そして作成した賞球コマンドやセルフチェックコマンドを払出制御基板775に送信する。例えば、下部側大入賞口83に遊技球が1球、入賞すると、賞球として15球を払い出す賞球コマンドを作成して払出制御基板775に送信したり、この賞球コマンドを払出制御基板775が正常に受信した旨を伝えるACK信号が所定時間内に入力されないときには主制御基板65と払出制御基板775との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成して払出制御基板775に送信したりする。なお、これらの詳細な説明は後述する。
ステップS80に続いて、賞球チェック処理を行う(ステップS82)。この賞球チェック処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、大当り遊技状態でないときに下部側大入賞口83に遊技球が入賞すると、異常状態として賞球異常報知コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。(なお、この異常状態の確認は、入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて行う)。ステップS82に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS84)。払出制御基板775は、その詳細な説明は後述するが、例えば球払出装置170が球がみを起こして遊技球を払い出せない状態等の状態コマンドを送信する。ステップS84のコマンド受信処理では、この状態コマンドを正常に受信すると、その旨を払出制御基板775に伝える情報を、出力情報として主内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。また、その詳細な説明は後述するが、正常に受信した状態コマンドを整形して送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、第2始動口センサ318からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した特別図柄の当り判定用乱数及び変動表示パターン決定用乱数等を更新する各種カウンタの値を抽出して始動情報として主内蔵RAM316の処理領域に記憶する。なお、この始動情報記憶領域には、1つのみ始動情報記憶ブロックが設けられており、この始動情報記憶ブロックに始動情報が記憶される。そして、この始動情報が特別図柄の保留に相当しており、本実施形態では特別図柄の最大保留数は、上述したおり、「1」である。そして、始動情報記憶ブロックの数を保留球として、特別保留球ランプ322を点灯させるように点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
そして、始動情報記憶ブロックから主内蔵RAM316の処理領域に読み出された始動情報に基づいて、特別図柄の当り判定用乱数の値を取り出して主内蔵ROMに予め記憶されている特別当り判定値と一致するか否かを判定(大当りまたは小当りであるか否かの判定)して、これらの判定結果により決定された遊技状態が決定する。この決定した遊技状態に、上述した特別図柄の変動表示パターン決定用乱数に基づいて特別図柄の変動表示パターン等を決定して遊技演出コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。また、発生させる遊技状態に応じて、例えば、大当り遊技が発生するときには、下部側大入賞口83を開閉動作させるようアタッカ駆動機構339への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。また、小当り遊技状態となるときには、上大入賞口141を開閉動作させるよう大入賞口開閉機構335への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。なお、特別図柄及び特別電動役物制御処理の詳細については後述する。
ステップS86に続いて、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。ここで、普通電動役物制御処理では、普通電動役物81の動作制御が行われる。この普通図柄及び普通電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、第1始動口センサ317からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した普通図柄の当り判定用乱数及び変動表示パターン決定用乱数等を更新する各種カウンタの値を抽出して始動情報として主内蔵RAMの始動情報記憶領域に記憶する。この始動情報記憶領域には、始動情報記憶ブロック0〜3(4つの始動情報記憶ブロック)が設けられており、各始動情報記憶ブロックに始動情報が時系列で記憶されるようになっている。なお、各始動情報が普通図柄の保留に相当しており、本実施形態では普通図柄の最大保留数は「4」である。そして、始動情報記憶ブロックの数を保留球として、普通保留球ランプ323を点灯させるように点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
そして、始動情報記憶ブロック0から主内蔵RAM316の処理領域に読み出された始動情報に基づいて、普通図柄の当り判定用乱数の値を取り出して主内蔵ROMに予め記憶されている普通当り判定値と一致するか否かを判定(普通当りであるか否かの判定)して、これらの判定結果により決定された遊技状態が決定する。この決定した遊技状態に、上述した普通図柄の変動表示パターン決定用乱数に基づいて普通図柄の変動表示パターン等を決定して遊技演出コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。また、発生させる遊技状態に応じて、例えば普通当り遊技状態となるときには、特別図柄始動口82が入賞可能な態様(許球態様)に切り替わるように、普通役物駆動機構334への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。なお、普通図柄及び普通電動役物制御処理の詳細については後述する。
ステップS88に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、主制御I/Oポート765bの出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。例えば、出力情報に基づいて出力端子から、払出制御基板775からの状態コマンドを正常に受信したときにはACK信号を払出制御基板775に出力したり、大当り遊技中であるときには、下部側大入賞口83の開閉動作を行うアタッカ駆動機構339に駆動信号を出力したり、大当り遊技中である旨を伝える大当り信号を外部端子板371に出力したりする。
ステップS90に続いて、サブ統合基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。このサブ統合基板コマンド送信処理では、上述した送信情報記憶領域から送信情報を読み出してこの送信情報をサブ統合基板763に送信する。この送信情報には、上述したように、遊技演出コマンド、RAMクリア報知コマンド、テストコマンド、賞球異常報知コマンド及び状態コマンド等がある。この送信情報のほかに、主制御基板765と払出制御基板775との基板間の接続状態を確認するときにセットされるセルフチェックフラグの値に基づいてその接続状態に不具合が生じているときには接続不具合コマンドを作成してサブ統合基板763に送信する。
ステップS92に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS72においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。ステップS94に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS96)。この復帰は、ステップS70でスタックに積んで退避した内容を読み出してレジスタに書き込むことにより行われる。ステップS96に続いて、割り込み許可の設定を行い(ステップS98)、このルーチンを終了する。
<4.賞球コマンド及びセルフチェックコマンド送信処理>
次に、賞球コマンド及びセルフチェックコマンド送信処理について説明する。この賞球コマンド及びセルフチェックコマンド送信処理では、賞球として払い出す遊技球の球数を指示する賞球コマンドや主制御基板765と払出制御基板775との基板間の接続状況を確認するセルフチェックコマンドを払出制御基板775に送信する。
賞球コマンド及びセルフチェックコマンド送信処理が開始されると、主制御基板765の主制御MPU765aは、図41に示すように、セルフチェックフラグSCHK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS100)。このセルフチェックフラグSCHK−FLGは、後述するACK信号入力判定処理において、主制御基板765と払出制御基板775との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成して送信するときにセットされるフラグであり、セルフチェックコマンドを送信するとき値1、セルフチェックコマンドを送信しないとき値0にそれぞれ設定されている。なお、セルフチェックフラグSCHK−FLGは初期値として値0、つまりセルフチェックコマンドを送信しない状態に設定されている。
ステップS100でセルフチェックフラグSCHK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまりセルフチェックコマンドを送信しないときには、主制御基板765と払出制御基板775との基板間の接続状態に不具合が生じていないとして、賞球コマンド送信処理を行う(ステップS102)。この賞球コマンド送信処理では、例えば、下部側大入賞口83に遊技球が1球、入賞すると、賞球として15球を払い出す賞球コマンドを作成して払出制御基板775に送信する。その賞球コマンドを払出制御基板775に送信すると、賞球コマンドを消去するようになっている。つまり作成した賞球コマンドは、一度のみ主制御基板765(主制御MPU765a)から払出制御基板775に送信することでき、送信後、破棄されるようになっている。
一方、ステップ100でセルフチェックフラグSCHK−FLGが値1であるとき、つまりセルフチェックコマンドを送信するときには、主制御基板765と払出制御基板775との基板間の接続状態に不具合が生じているとして、セルフチェックフラグSCHK−FLGに値0をセットし(ステップS104)、セルフチェックコマンド送信処理(ステップS106)を行い、このルーチンを終了する。このセルフチェックコマンド送信処理では、主制御基板765と払出制御基板775との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成して払出制御基板775に送信する。なお、ステップS102の賞球コマンド送信処理及びステップS106のセルフチェックコマンド送信処理を開始すると、上述したACK信号入力判定時間(本実施形態では、100ms)の計時を開始するようになっている。
ステップS104でセルフチェックフラグSCHK−FLGの値を値0にセットすることによって(つまりセルフチェックフラグSCHK−FLGKの値を値1から値0にセットしたことによって)、ステップS106で送信したセルフチェックコマンドが、後述するACK信号入力判定処理において払出制御基板775が正常にセルフチェックコマンドを受信した旨のACK信号が入力されると、ステップS102で賞球コマンド送信処理を行う。このとき、賞球コマンド送信処理では、賞球として払い出す遊技球があればその球数の賞球コマンドを作成して払出制御基板775に送信する。一方、ステップS106で送信したセルフチェックコマンドが、後述するACK信号入力判定処理において払出制御基板775が正常にセルフチェックコマンドを受信した旨のACK信号が入力されないと、再びステップS106でセルフチェックコマンドを作成して払出制御基板775に送信し、ACK信号が入力されない限り繰り返しセルフチェックコマンドを払出制御基板775に送信することとなる。
このように、主制御基板765(主制御MPU765a)は、賞球コマンドを払出制御基板775に送信して払出制御基板775からのACK信号が入力されないときにはチェックコマンドを払出制御基板775に送信する。これにより、例えば、主制御基板765と払出制御基板775との基板間を電気的に接続するケーブルのコネクタが外れかかっていたり、そのケーブルが断線していたり等の接続不具合を簡単に確認することができる。
また、例えば、ACK信号が主制御基板765に入力されないよう払出制御基板775とは別体に不正基板(所謂、ぶら下がり基板)を設け、遊技者がリモコン操作によってその不正基板のプログラムを開始させる不正行為を行っても、主制御基板765(主制御MPU765a)は、ACK信号が入力されないときには賞球コマンドを再送信するのではなくチェックコマンドを払出制御基板775に送信する。これにより、不正基板を用いた不正行為により遊技者が遊技球を不正に獲得することを防止するとともに、主制御基板765と払出制御基板775との基板間の接続状態を安全に確認することができる。なお、上述した、賞球コマンド及びセルフチェックコマンドの詳細な説明は後述する。
<5.ACK信号入力判定処理>
次に、ACK信号入力判定処理について説明する。このACK信号入力判定処理では、払出制御基板775が正常に賞球コマンドやセルフチェックコマンドを受信したか否かを判定する。
ACK信号入力判定処理が開始されると、主制御基板765の主制御MPU765aは、図42に示すように、ACK信号入力判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS110)。この判定は、図40に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS76のタイマ減算処理で減算したACK信号入力判定時間に基づいて行う。具体的には、そのACK信号入力判定時間は、時間管理情報として主内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS110では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出してACK信号入力判定時間が経過したか否かを判定する。
ステップS110でACK信号入力判定時間が経過していないときには、ACK信号が入力されているか否かを判定する(ステップS112)。この判定は、図40に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS74のスイッチ入力処理で払出制御基板775からのACK信号に基づいて行う。具体的には、そのACK信号は入力情報として主内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS112では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出してACK信号が入力されているか否かの判定を行う。
ステップS112でACK信号が入力されているときにはセルフチェックフラグSCHK−FLGに値0をセットし(ステップS114)、このルーチンを終了する。一方、ステップS112でACK信号が入力されていないときにはそのままこのルーチンを終了する。セルフチェックフラグSCHK−FLGは、主制御基板765と払出制御基板775との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを送信するとき値1、セルフチェックコマンドを送信しないとき値0にそれぞれ設定されている。ACK信号が入力されているときには、ステップS114でセルフチェックフラグSCHK−FLGに値0、つまりセルフチェックコマンドを送信しない状態にすることで、例えば、主制御基板765がノイズの影響を受けてもセルフチェックフラグSCHK−FLGの値が変化しないようにしている。
一方、ステップS110でACK信号入力判定時間が経過しているときは、セルフチェックフラグSCHK−FLGKに値1、つまりセルフチェックコマンドを送信する状態に設定し(ステップS116)、このルーチンを終了する。ステップS116でセルフチェックフラグSCHK−FLGKに値1をセットすることで、図41に示した賞球コマンド及びセルフチェックコマンド送信処理におけるステップS106でセルフチェックコマンド送信処理を行い、セルフチェックコマンドを作成して払出制御基板775に送信する。
<6.普通図柄及び普通電動役物制御処理>
次に、普通図柄及び普通電動役物制御処理(第1遊技処理)の詳細について説明する。図43は第1遊技処理の一例を示すフローチャートであり、図44は第1始動検出処理の一例を示すフローチャートであり、図45は普通図柄抽選・変動開始処理の一例を示すフローチャートであり、図46は普通図柄抽選変動表示パターン設定処理の一例を示すフローチャートであり、図47は普図変動中処理の一例を示すフローチャートであり、図48は普図当り役物作動処理の一例を示すフローチャートである。
図40に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS88の普通図柄及び普通電動役物制御処理を、以下では「第1遊技処理」として説明する。主制御MPU765aは、図43に示すように、「第1遊技処理」として、第1始動検出処理(ステップS8800)、普通図柄抽選・変動開始処理(ステップS8802)、普通図柄抽選変動表示パターン設定処理(ステップS8804)、普図変動中処理(ステップS8806)、および、普図当り役物作動処理(ステップS8808)を順に行う。以下、各処理の詳細について説明する。
まず、図44に示すように、主制御MPU765aは、第1始動検出処理が開始されると、第1始動検出フラグがONであるか否かを判別する(ステップS8810)。なお、第1始動検出フラグは、普通図柄始動口96に遊技球が入球したことが第1始動口センサ317により検出されると、スイッチ入力処理(ステップS74)によりONにセットされる。そして、第1始動検出フラグがONであれば(ステップS8810におけるYES)、さらに第1保留手段603による普図保留球数カウントが4より小さいか否かを判別する(ステップS8812)。普図保留球数カウントが4より小さければ(ステップS8812におけるYES)、普通図柄当り判定用乱数抽出手段601が抽出した乱数を第1保留手段603に保留する第1始動記憶格納処理を実行する(ステップS8814)。具体的には、この第1始動記憶格納処理では、普通図柄の当り判定用乱数及び変動表示パターン決定用乱数等が始動情報として主内蔵RAMの普図保留についての始動情報記憶領域に記憶される。なお、第1始動記憶格納処理(ステップS8814)の実行後は、第1始動検出処理を終了する。また、第1始動検出フラグがOFFである場合(ステップS8810におけるNO)や、普図保留球数カウントが4以上である場合(ステップS8812におけるNO)も、第1始動検出処理を終了する。
次に、図45に示すように、主制御MPU765aは、普通図柄抽選・変動開始処理が開始されると、第1ジョブフラグが「0」であるか否かを判別する(ステップS8820)。第1ジョブフラグは、普通図柄に関する処理段階を指示するためのフラグである。ここで、普通図柄の図柄変動が行われていない場合(例えば、演出表示装置115においてデモ画面が表示されている状態)には、第1ジョブフラグが「0」にセットされている。そして、第1ジョブフラグが「0」でなければ(ステップS8820におけるNO)、普通図柄に関する他の処理(例えば、普通図柄の図柄変動中)が実行されているから、普通図柄抽選・変動開始処理を終了する。
第1ジョブフラグが「0」であれば(ステップS8820におけるYES)、さらに第1保留手段603に第1始動記憶があるか否かを判別する(ステップS8822)。第1始動記憶がある場合には(ステップS8822におけるYES)、第1始動記憶移行処理を実行する(ステップS8824)。具体的には、この第1始動記憶移行処理では、普図保留の始動情報記憶ブロック0に記憶された始動情報が読み出されて、所定の処理領域に記憶される。その後、始動情報記憶ブロック1の始動情報が始動情報記憶ブロック0に、始動情報記憶ブロック2の始動情報が始動情報記憶ブロック1に、始動情報記憶ブロック3の始動情報が始動情報記憶ブロック2に、始動情報記憶ブロック4の始動情報が始動情報記憶ブロック3に、それぞれシフトされる。なお、ステップS8822において第1始動記憶が0であれば(ステップS8822におけるNO)、普通図柄抽選・変動開始処理を終了する。
ステップS8824において第1始動記憶移行処理を行ったのち、所定の処理領域に記憶されている始動情報の当り判定乱数が長当り値であるか否かを判別する(ステップS8826)。このとき、長当り値であれば(ステップS8826におけるYES)、長当りフラグをONにする(ステップS8828)。長当りフラグは、普通図柄抽選において長当りに当選した場合にセットされるフラグである。長当り値でなければ(ステップS8826におけるNO)、所定の処理領域に記憶されている始動情報の当り判定乱数が短当り値であるか否かを判別する(ステップS8830)。このとき、短当り値であれば(ステップS8830におけるYES)、短当りフラグをONにする(ステップS8832)。短当りフラグは、短当りに当選した場合にセットされるフラグである。なお、長当り値および短当り値のいずれでもなければ(ステップS8830におけるNO)、長当りフラグおよび短当りフラグのいずれもONにされない(OFFのままである)。その後、先述の第1ジョブフラグに「1」をセットして(ステップS8834)、普通図柄抽選・変動開始処理を終了する。
なお、本実施形態では、普通図柄の当り判定用乱数の値は107種類だけ用意されている。そして、これらの当り判定用乱数のうちで、53種類の乱数値が当りに当選したことを示す当り判定値(すなわち、長当り値および短当り値)と一致し、54種類の乱数値がハズレ(落選)であることを示す当り判定値と一致する。さらに、これらの当りに当選したことを示す当り判定値のうちで、2種類の乱数値が長当りに当選したことを示す当り判定値(すなわち、長当り値)と一致し、51種類の乱数値が短当りに当選したことを示す当り判定値(すなわち、短当り値)と一致する。すなわち、本実施形態では、長当りに当選する確率よりも、短当りに当選する確率の方が格段に高く設定されている。言い換えると、通常遊技状態では、長当りに当選する確率が107分の2、短当りに当選する確率が107分の51となる。
次に、図46に示すように、主制御MPU765aは、普通図柄抽選変動表示パターン設定処理が開始されると、第1ジョブフラグが「1」であるか否かを判別する(ステップS8840)。第1ジョブフラグが「1」でなければ(ステップS8840におけるNO)、普通図柄抽選変動表示パターン設定処理を終了する。
第1ジョブフラグが「1」であれば(ステップS8840におけるYES)、さらに先述の長当りフラグがONであるか否かを判別する(ステップS8842)。このとき、長当りフラグがONであれば(ステップS8842におけるYES)、長当り時変動表示パターン設定処理を実行する(ステップS8844)。この長当り時変動表示パターン設定処理は、長当りの抽選結果に対応する変動表示パターンを設定する処理である。
長当りフラグがONでなければ(ステップS8842におけるNO)、先述の短当りフラグがONであるか否かを判別する(ステップS8846)。このとき、短当りフラグがONであれば(ステップS8846におけるYES)、短当り時変動表示パターン設定処理を実行する(ステップS8848)。この短当り時変動表示パターン設定処理は、短当りの抽選結果に対応する変動表示パターンを設定する処理である。
一方、短当りフラグがONでなければ(ステップS8846におけるNO)、長当りフラグおよび短当りフラグのいずれもがOFFであるため、普通図柄抽選ハズレ時変動表示パターン設定処理を実行する(ステップS8850)。この普通図柄抽選ハズレ時変動表示パターン設定処理は、はずれの抽選結果に対応する変動表示パターンを設定する処理である。
その後、長当り時変動表示パターン設定処理、短当り時変動表示パターン設定処理および普通図柄抽選ハズレ時変動表示パターン設定処理のいずれかで設定された変動表示パターンに応じた変動時間をタイマにセットし(ステップS8852)、普図LED作動フラグをONにセットする(ステップS8854)。この普図LED作動フラグがONにセットされると、普通図柄表示器333(LED84)での図柄変動が開始される。その後、先述の第1ジョブフラグに「2」をセットし(ステップS8856)、普通図柄抽選変動表示パターン設定処理を終了する。
なお、この普通図柄抽選変動表示パターン設定処理で設定された変動表示パターンは、図40に示したサブ統合基板コマンド送信処理(ステップS92)によってサブ統合基板763に送信される。
次に、図47に示すように、主制御MPU765aは、普図変動中処理が開始されると、第1ジョブフラグが「2」であるか否かを判別する(ステップS8860)。第1ジョブフラグが「2」でなければ(ステップS8860におけるNO)、普図変動中処理を終了する。一方、第1ジョブフラグが「2」であれば(ステップS8860におけるYES)、さらにステップS8852でタイマにセットされた変動時間がタイムアップしたか否かを判別する(ステップS8862)。タイマにセットされた変動時間がタイムアップしていなければ(ステップS8862におけるNO)、普図変動中処理を終了する。
タイマにセットされた変動時間がタイムアップしていれば(ステップS8862におけるYES)、普図LED作動フラグをOFFにセットする(ステップS8864)。この普図LED作動フラグがOFFにセットされると、普通図柄表示器333(LED84)での図柄変動が終了する。そして、サブ統合基板763により実行される普通図柄の図柄変動を停止して、演出表示装置115に抽選結果を確定表示する確定停止コマンドをセットする(ステップS8866)。なお、この確定停止コマンドは、図40に示したサブ統合基板コマンド送信処理(ステップS92)によってサブ統合基板763に送信される。
そして、長当りフラグまたは短当りフラグがONであるか否かを判断する(ステップS8868)。長当りフラグまたは短当りフラグがONであれば(ステップS8868におけるYES)、先述の第1ジョブフラグに「3」をセットして(ステップS8870)、普図変動中処理が終了する。一方、長当りフラグおよび短当りフラグのいずれもがONでなければ(ステップS8868におけるNO)、先述の第1ジョブフラグに「0」をセットして(ステップS8872)、普図変動中処理が終了する。
次に、図48に示すように、主制御MPU765aは、普図当り役物作動処理が開始されると、第1ジョブフラグが「3」であるか否かを判別する(ステップS8880)。第1ジョブフラグが「3」でなければ(ステップS8880におけるNO)、普図当り役物作動処理を終了する。
第1ジョブフラグが「3」であれば(ステップS8880におけるYES)、さらに先述の長当りフラグがONであるか否かを判別する(ステップS8882)。このとき、長当りフラグがONであれば(ステップS8882におけるYES)、普通電動役物81の動作時間(特別図柄始動口82の開放時間)として、長開放用時間(例えば「5700ms」)をタイマにセットする(ステップS8884)。
そして、サブ統合基板763により実行される長当りに対応する演出パターンを指示するコマンドである長当り電役開放演出パターンコマンドを送信する(ステップS8886)。
一方、長当りフラグがONでなければ(ステップS8882におけるNO)、短当りフラグがONであることを意味する。そこで、有利状態中であるか否かを判別し(ステップS8888)、有利状態中であれば(ステップS8888におけるYES)、短当りであるにも拘らず、普通電動役物81の動作時間(特別図柄始動口82の開放時間)として、長開放用時間(例えば「5700ms」)をタイマにセットし(ステップS8884)、上記と同様に長当り電役開放演出パターンコマンドを送信する(ステップS8886)。
一方、有利状態中でなければ(ステップS8888におけるNO)、普通電動役物81の動作時間(特別図柄始動口82の開放時間)として、短開放用時間(例えば「108ms」)をタイマにセットする(ステップS8890)。なお、時短遊技中でない状態で短当りに当選した場合には、ステップS8886のような長当り電役開放演出パターンコマンドの送信は行われない。つまり、短当りに当選しても、演出表示装置115では短当りに当選したことは演出表示されずに、普通電動役物81の動作により特別図柄始動口82が短期間だけ開放されることになる。
その後、普通役物駆動機構334により普通電動役物81を動作させて、特別図柄始動口82の開放動作を行う電役開放制御を行う(ステップS8892)。そして、タイマがセットされた所定時間(長開放用時間または短開放用時間)経過したか否かを判定する(ステップS8894)。タイマが所定時間経過していれば(ステップS8894のおけるYES)、普通役物駆動機構334により普通電動役物81を停止させて、特別図柄始動口82の閉鎖動作を行う電役閉鎖制御を行い(ステップS8896)、その後、先述の第1ジョブフラグに「0」をセットし(ステップS8898)、普図当り役物作動処理を終了する。なお、タイマが所定時間経過していなければ(ステップS8894のおけるNO)、ステップS8894に戻り、タイマが所定時間経過するまで電役開放制御を実行する。
なお、図48に示す普図当り役物作動処理は、実際には主制御基板765における処理とサブ統合基板763における処理とが、各基板におけるタイマ割り込みに従って独立して実行される。しかし、本実施形態では、説明の便宜と理解の容易のため、主制御基板765における処理とサブ統合基板763における処理とを、一連の処理として連続したシーケンシャル処理として説明している。
<7.特別図柄及び特別電動役物制御処理>
次に、特別図柄及び特別電動役物制御処理(第2遊技処理)の詳細について説明する。図49は第2遊技処理の一例を示すフローチャートであり、図50は第2始動検出処理の一例を示すフローチャートであり、図51は特別図柄抽選・変動開始処理の一例を示すフローチャートであり、図52は特別図柄抽選変動表示パターン設定処理の一例を示すフローチャートであり、図53は特図変動表示パターン設定処理において選択される変動表示パターンの一例を示す一覧表であり、図54は特図変動中処理の一例を示すフローチャートであり、図55は小当り役物作動処理の一例を示すフローチャートであり、図56は特別図柄、上大入賞口、上大入賞口に遊技球が入賞したことを検知する入賞口センサの検知タイマ、ソレノイドおよび回転式振分装置(回転体)の動作原理を示すタイムチャートであり、図57は大当りオープニング処理の一例を示すフローチャートであり、図58は特別電動役物大当り制御処理の一例を示すフローチャートである。
図40に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS86の特別図柄及び特別電動役物制御処理を、以下では「第2遊技処理」として説明する。主制御MPU765aは、図49に示すように、「第2遊技処理」として、第2始動検出処理(ステップS8600)、特別図柄抽選・変動開始処理(ステップS8602)、特別図柄抽選変動表示パターン設定処理(ステップS8604)、特図変動中処理(ステップS8606)、小当り役物作動処理(ステップS8608)、大当りオープニング処理(ステップS8610)、および、特別電動役物大当り制御処理(ステップS8612)を順に行う。以下、各処理の詳細について説明する。
まず、図50に示すように、主制御MPU765aは、第2始動検出処理が開始されると、第2始動検出フラグがONであるか否かを判別する(ステップS8620)。なお、第2始動検出フラグは、特別図柄始動口82に遊技球が入賞したことが第2始動口センサ318により検出されると、スイッチ入力処理(ステップS74)によりONにセットされる。第2始動検出フラグがONであれば(ステップS8620におけるYES)、特別図柄始動口82への入賞が不正になされたものでないかを確認する不正入賞確認処理を実行する(ステップS8622)。例えば、この不正入賞確認処理では、特別図柄始動口82の本来の開放タイミングでないタイミングで、普通電動役物81による特別図柄始動口82の開放動作が行われたり第2始動口センサ318によって遊技球が検出されたりした場合は、警告を発する等の処理が行われる。そして、第2保留手段613による特図保留球数カウントが1より小さいか否かを判別する(ステップS8624)。特図保留球数カウントが1より小さければ(ステップS8624におけるYES)、特別図柄当り判定用乱数抽出手段611が抽出した乱数を第2保留手段613に保留する第2始動記憶格納処理を実行する(ステップS8626)。具体的には、この第2始動記憶格納処理では、特別図柄の当り判定用乱数及び変動表示パターン決定用乱数等が始動情報として主内蔵RAMの特図保留についての始動情報記憶領域に記憶される。なお、第2始動記憶格納処理(ステップS8626)の実行後は、第2始動検出処理を終了する。また、第2始動検出フラグがOFFである場合(ステップS8620におけるNO)や、特図保留球数カウントが1以上である場合(ステップS8624におけるNO)も、第2始動検出処理を終了する。
次に、図51に示すように、主制御MPU765aは、特別図柄抽選・変動開始処理が開始されると、第2ジョブフラグが「0」であるか否かを判別する(ステップS8630)。第2ジョブフラグは、特別図柄に関する処理段階を指示するためのフラグである。ここで、特別図柄の図柄変動が行われていない場合(例えば、演出表示装置115においてデモ画面が表示されている状態)には、第2ジョブフラグが「0」にセットされている。そして、第2ジョブフラグが「0」でなければ(ステップS8630におけるNO)、特別図柄に関する他の処理(例えば、特別図柄の図柄変動中)が実行されているから、特別図柄抽選・変動開始処理を終了する。
第2ジョブフラグが「0」であれば(ステップS8630におけるYES)、さらに第2保留手段613に第2始動記憶があるか否かを判別する(ステップS8632)。第2始動記憶がある場合には(ステップS8632におけるYES)、第2始動記憶移行処理を実行する(ステップS8634)。具体的には、この第2始動記憶移行処理では、特図保留の始動情報記憶ブロックに記憶された始動情報が読み出されて、所定の処理領域に記憶される。なお、ステップS8632において第2始動記憶が0であれば(ステップS8632におけるNO)、特別図柄抽選・変動開始処理を終了する。
ステップS8634において第2始動記憶移行処理を行ったのち、所定の処理領域に記憶されている始動情報の当り判定乱数が大当り値であるか否かを判別する(ステップS8636)。このとき、大当り値であれば(ステップS8636におけるYES)、大当りフラグをONにする(ステップS8638)。大当りフラグは、特別図柄抽選において大当りに当選した場合にセットされるフラグである。一方、大当り値でなければ(ステップS8636におけるNO)、当該当り判定乱数が小当り値であるか否かを判別する(ステップS8640)。このとき、小当り値であれば(ステップS8640におけるYES)、小当りフラグをONにする(ステップS8642)。小当りフラグは、小当りに当選した場合にセットされるフラグである。なお、大当り値および小当り値のいずれでもなければ(ステップS8640におけるNO)、大当りフラグおよび小当りフラグのいずれもONにされない(OFFのままである)。その後、先述の第2ジョブフラグに「1」をセットして(ステップS8644)、特別図柄抽選・変動開始処理を終了する。
なお、本実施形態では、特別図柄の当り判定用乱数の値は337種類だけ用意されている。そして、これらの当り判定用乱数のうちで、2種類の乱数値が大当りに当選したことを示す当り判定値(すなわち、大当り値)と一致し、333種類の乱数値が小当りに当選したことを示す当り判定値(すなわち、小当り値)と一致し、2種類の乱数値がハズレ(落選)であることを示す当り判定値と一致する。すなわち、本実施形態では、大当りに当選する確率よりも、小当りに当選する確率の方が格段に高く設定されている。ただし、ハズレの乱数値は必ずしも用意されている必要はなく、大当りに当選しなかったときは常に小当りに当選するようにしてもよい。
このように、本実施形態のパチンコ機1は、特別図柄当否判定手段612による判定処理(特別図柄抽選)の結果が大当りであるときに大当り遊技が発生する。また、特別図柄当否判定手段612による判定処理の結果が大当りでなかったとしても、特別図柄当否判定手段612による抽選の結果が小当りであって且つ回転式振分装置294の特定領域343に遊技球が受け入れられたときにも、大当り遊技が発生する。
すなわち、特別図柄当否判定手段612による判定処理の結果が大当りでなかったとしても、ほぼ小当りに当選し(ハズレがない場合であれば常に小当りに当選し)、上大入賞口141に入賞した遊技球が特定領域343に受け入れられる機会(すなわち大当り遊技が発生する機会)が与えられる。なお、特別図柄当否判定手段612による判定処理の結果が大当りである場合には、上大入賞口141が開閉作動することなく大当り遊技が発生する。
次に、図52に示すように、主制御MPU765aは、特別図柄抽選変動表示パターン設定処理が開始されると、第2ジョブフラグが「1」であるか否かを判別する(ステップS8650)。第2ジョブフラグが「1」でなければ(ステップS8650におけるNO)、特別図柄抽選変動表示パターン設定処理を終了する。
第2ジョブフラグが「1」であれば(ステップS8650におけるYES)、さらに先述の大当りフラグがONであるか否かを判別する(ステップS8652)。このとき、大当りフラグがONであれば(ステップS8652におけるYES)、大当りの抽選結果に対応する変動表示パターンである特別図柄抽選大当り時変動表示用パターンを選択する(ステップS8654)。具体的には、後述する変動表示パターンの一覧表のテーブル7〜9のなかからいずれか一つのテーブルに選択決定される。なお、ステップS8654では、特別図柄表示器332(LED87)の停止(点灯)態様も決定される。
大当りフラグがONでなければ(ステップS8652におけるNO)、さらに先述の小当りフラグがONであるか否かを判別する(ステップS8656)。このとき、小当りフラグがONであれば(ステップS8656におけるYES)、小当りの抽選結果に対応する変動表示パターンである特別図柄抽選小当り時変動表示用パターンを選択する(ステップS8658)。具体的には、後述する変動表示パターンの一覧表のテーブル4〜6のなかからいずれか一つのテーブルに選択決定される。なお、ステップS8656では、特別図柄表示器332(LED87)の停止(点灯)態様も決定される。
一方、小当りフラグがONでなければ(ステップS8856におけるNO)、大当りフラグおよび小当りフラグのいずれもがOFFであるため、ハズレの抽選結果に対応する変動表示パターンである特別図柄抽選ハズレ時変動表示用パターンを選択する(ステップS8660)。具体的には、後述する変動表示パターンの一覧表のテーブル1〜43のなかからいずれか一つのテーブルに選択決定される。なお、ステップS8660では、特別図柄表示器332(LED87)の停止(点灯)態様も決定される。
その後、特別図柄抽選大当り時変動表示用パターン、特別図柄抽選小当り時変動表示用パターンおよび特別図柄抽選ハズレ時変動表示用パターンのうち、いずれか設定された変動表示パターンを当落情報コマンド(すなわち、大当り、小当りおよびハズレのいずれかを示すコマンド)とともにセットする(ステップS8662)。さらに、特別図柄抽選大当り時変動表示用パターン、特別図柄抽選小当り時変動表示用パターンおよび特別図柄抽選ハズレ時変動表示用パターンのうち、いずれか設定された変動表示パターンに応じた変動時間をタイマにセットし(ステップS8664)、特図LED作動フラグをONにセットする(ステップS8666)。この特図LED作動フラグがONにセットされると、特別図柄表示器332(LED87)での図柄変動が開始される。その後、先述の第2ジョブフラグに「2」をセットし(ステップS8668)、特別図柄抽選変動表示パターン設定処理を終了する。
ところで、この特別図柄抽選変動表示パターン設定処理で設定された変動表示パターンは、図40に示したサブ統合基板コマンド送信処理(ステップS92)によってサブ統合基板763に送信される。
ここで、変動表示パターンの一覧表について、図53に基づき説明する。
大当りフラグがONであるとき、テーブル7およびテーブル8が、それぞれ、30%の比率で選択決定され、テーブル9が40%の比率で選択決定される。テーブル7が選択決定されると楽曲Aが出力され、テーブル8が選択決定されると楽曲Bが出力され、テーブル9が選択決定されると楽曲Cが出力される。テーブル7、テーブル8およびテーブル9では、いずれのテーブルにおいても、『「前奏」で一旦停止後大当り表示』および『歌いきった後大当り表示』のいずれかの表示パターンに選択決定される。ただし、これらの表示パターンは、いずれも5パターンの表示パターンが記憶されている。換言すれば、5パターンの『「前奏」で一旦停止後大当り表示』および5パターンの『歌いきった後大当り表示』の合計10パターンの表示パターンのなかから、いずれかの表示パターンに選択決定される。
大当りフラグおよび小当りフラグのいずれもがOFFであるとき、テーブル1およびテーブル2が、それぞれ、40%の比率で選択決定され、テーブル3が20%の比率で選択決定される。テーブル1が選択決定されると楽曲Aが出力され、テーブル2が選択決定されると楽曲Bが出力され、テーブル3が選択決定されると楽曲Cが出力される。テーブル1、テーブル2およびテーブル3では、いずれのテーブルにおいても、5パターンの『「前奏」で停止』の表示パターンのなかから、いずれかの表示パターンに選択決定される。
小当りフラグがONであるとき、テーブル4およびテーブル5が、それぞれ、40%の比率で選択決定され、テーブル6が20%の比率で選択決定される。テーブル4が選択決定されると楽曲Aが出力され、テーブル5が選択決定されると楽曲Bが出力され、テーブル6が選択決定されると楽曲Cが出力される。
テーブル4、テーブル5およびテーブル6では、10通りの変動表示パターン(『「第1フレーズ」で停止』〜『「第10フレーズ」で停止』の10パターン)のうちいずれか一の変動表示パターンに、それぞれ、同じ確率(10%)で選択決定される。
次に、図54に示すように、主制御MPU765aは、特図変動中処理が開始されると、第2ジョブフラグが「2」であるか否かを判別する(ステップS8670)。第2ジョブフラグが「2」でなければ(ステップS8670におけるNO)、特図変動中処理を終了する。一方、第2ジョブフラグが「2」であれば(ステップS8670におけるYES)、さらにステップS8660でタイマにセットされた変動時間がタイムアップしたか否かを判別する(ステップS8672)。タイマにセットされた変動時間がタイムアップしていなければ(ステップS8672におけるNO)、特図変動中処理を終了する。
タイマにセットされた変動時間がタイムアップしていれば(ステップS8672におけるYES)、特図LED作動フラグをOFFにセットする(ステップS8674)。この特図LED作動フラグがOFFにセットされると、特別図柄表示器332(LED87)での図柄変動が終了する。そして、サブ統合基板763により実行される特別図柄の図柄変動を停止して、演出表示装置115に抽選結果を確定表示する確定停止コマンド(具体例を削除)をセットする(ステップS8676)。なお、この確定停止コマンドは、図40に示したサブ統合基板コマンド送信処理(ステップS92)によってサブ統合基板763に送信される。
そして、大当りフラグがONであるか否かを判断する(ステップS8678)。大当りフラグがONであれば(ステップS8678におけるYES)、先述の第2ジョブフラグに「4」をセットし(ステップS8680)、特図変動中処理が終了する。一方、大当りフラグがONでなければ(ステップS8678におけるNO)、小当りフラグがONであるか否かを判断する(ステップS8682)。小当りフラグがONであれば(ステップS8682におけるYES)、先述の第2ジョブフラグに「3」をセットし(ステップS8684)、特図変動中処理が終了する。一方、大当りフラグおよび小当りフラグのいずれもがONでなければ(ステップS8682におけるNO)、先述の第2ジョブフラグに「0」をセットし(ステップS8686)、特図変動中処理が終了する。
次に、図55に示すように、主制御MPU765aは、小当り役物作動処理が開始されると、第2ジョブフラグが「3」であるか否かを判別する(ステップS8690)。第2ジョブフラグが「3」でなければ(ステップS8690におけるNO)、小当り役物作動処理を終了する。
第2ジョブフラグが「3」であれば(ステップS8690におけるYES)、サブ統合基板763により実行される小当りに対応する演出パターンを指示するコマンドである小当り開放演出パターンコマンドを送信する(ステップS8692)。具体的には、小当り開放演出パターンコマンドを送信し、これを受信したサブ統合基板763は遊技者に上大入賞口141を狙わせるような演出パターンを演出表示装置115に表示するが、詳細は後述する。
そして、可動片142の動作時間(上大入賞口141の開放時間)をタイマにセット(小当り開放第1タイマをセット)して(ステップS8694)、大入賞口開閉機構335により可動片142を動作させて、上大入賞口141の開放動作を行う上特別電動役物開放制御を行う(ステップS8696)。そして、入賞口センサ330により遊技球が検出されたか否かによって、センター役物91内に入賞したか否かを判別する(ステップS8698)。センター役物91内に入賞した場合は(ステップS8698におけるYES)、センター役物91内に入賞したことを示す役物入力信号をサブ統合基板763に出力し(ステップS8700)、サブ統合基板763では役物入力信号に基づいて演出表示装置115等において所定の演出動作を行う。
そして、遊技球が上大入賞口141に入賞してからの経過時間をカウントするタイマをセット(小当り開放第2タイマをセット)して(ステップS8702)、上大入賞口141が開放中か(可動片142が開放態様か)否かを判別する(ステップS8704)。上大入賞口141が開放中であれば(ステップS8704におけるYES)、小当り開放第1タイマが所定時間経過したか否かを判別する(ステップS8706)。小当り開放第1タイマが所定時間経過していれば(ステップS8706におけるYES)、大入賞口開閉機構335により可動片142を動作させて、上大入賞口141の閉鎖動作を行う上特別電動役物閉鎖制御を行う(ステップS8708)。
上特別電動役物閉鎖制御(ステップS8708)の実行後、上大入賞口141が開放中でない場合(ステップS8704におけるNO)、あるいは、小当り開放第2タイマが所定時間を経過していない場合は(ステップS8706におけるNO)、V入賞センサ331により遊技球が検出された(すなわち、V入賞センサ331がON)か否かを判別する(ステップS8710)。V入賞センサ331がONであれば(ステップS8710におけるYES)、センター役物91内の特定領域343に遊技球が入賞したことを示す役物内特定検出信号をサブ統合基板763に出力し(ステップS8712)、サブ統合基板763では役物内特定検出信号に基づいて演出表示装置115等において所定の演出動作を行う。そして、小当り遊技大当りフラグをONにし(ステップS8714)、先述の第2ジョブフラグに「4」をセットし(ステップS8682)、小当り役物作動処理を終了する。なお、小当り遊技大当りフラグは、小当り遊技を経由して大当りに当選した場合にセットされるフラグである。
一方、V入賞センサ331がONでなければ(ステップS8710におけるNO)、排出センサ313により遊技球が検出された(すなわち、排出センサ313がON)か否かを判別する(ステップS8718)。排出センサ313がONでなければ(ステップS8718におけるNO)、さらに小当り開放第2タイマが所定時間(ここでは、20秒)を経過したか否かを判別する(ステップS8720)。小当り開放第2タイマが所定時間を経過していれば(ステップS8720におけるYES)、上大入賞口141に入賞してからの経過時間が20秒を経過したため、後述する排出検出信号を出力して(ステップS8722)、先述の第2ジョブフラグに「0」をセットし(ステップS8726)、小当り役物作動処理を終了する。これにより、特定領域343に遊技球が入賞(すなわち、V入賞)してから20秒が経過すると、センター役物91内に遊技球が残留しているかいないかに拘らず、次の処理に進むことが可能となる。なお、小当り開放第2タイマが所定時間を経過していなければ(ステップS8720におけるNO)、ステップS8704に戻る。
また、排出センサ313がONであれば(ステップS8718におけるYES)、センター役物91内の普通領域344に遊技球が入賞したことを意味する。そのため、入賞口センサ330による検出数(入賞数)と排出センサ313による検出数(排出数)が同じであるか否かを判別する。(ステップS8724)。そして、入賞数と排出数が同じであれば(ステップS8724におけるYES)、センター役物91内からの遊技球の排出が完了したことを示す排出検出信号をサブ統合基板763に出力し(ステップS8722)、サブ統合基板763では排出検出信号に基づいて演出表示装置115等において所定の演出動作を行う。そして、先述の第2ジョブフラグに「0」をセットし(ステップS8726)、小当り役物作動処理を終了する。一方、入賞数と排出数が同じでなければ(ステップS8724におけるNO)、センター役物91内からの遊技球の排出が完了していないことを示すから、ステップS8704に戻る。
なお、センター役物91内に入賞しなかった場合は(ステップS8698におけるNO)、小当り開放第1タイマが所定時間経過したか否かを判別する(ステップS8728)。小当り開放第1タイマが所定時間経過していれば(ステップS8728におけるYES)、先述と同様に上特別電動役物閉鎖制御を行って上大入賞口141を閉鎖する(ステップS8729)。一方、小当り開放第2タイマが所定時間を経過していない場合は(ステップS8706におけるNO)、ステップS8698に戻る。
ここで、小当り遊技の動作原理について、図56に基づき説明する。
通常遊技状態において、小当りフラグがONであるとき、特別図柄の変動が停止すると、所定のインターバル期間(特別図柄の変動が終了してから上大入賞口141が開放するまでの期間)を経て、上大入賞口141を開放させて入賞口センサ330の検知タイマを作動させると共にソレノイド400をONする。これにより、上大入賞口141に遊技球が入賞すると入賞口センサ330によって入賞が検知され、搬入片341が投入位置から受入位置となる。なお、上大入賞口141が開放した際に検知タイマを作動させるのは、上大入賞口141が開放していないにも拘わらず不正等によって上大入賞口141に強制的に遊技球を入賞させた場合に検知しないようにするためである。また、上大入賞口141が開放した際にソレノイド400をONとするのは、通電時間を短くすることによってソレノイド400の長寿命化を図るためである。従って、搬入片341は、常には投入位置にあって、上大入賞口141が開放してから所定期間経過したのちに受入位置となる。
上大入賞口141は、例えば最大で1600ms開放するが、開放中に入賞口センサ330によって遊技球の入賞が検出されると閉鎖する。なお、入賞口センサ330は案内通路340の流入する途中に設けられており、遊技球が上大入賞口141に入賞してから入賞口センサ330に至るまでに所定の時間を要する。従って、入賞口センサ330の検知タイマの作動時間は、上大入賞口141の開放時間よりも長く設定されている。本実施形態では、入賞口センサ330の検知タイマの作動時間は、上大入賞口141が開放してから3100msに設定されている。また、上大入賞口141は遊技球が1球入賞したときに閉鎖するが、遊技球が上大入賞口141に入賞してから入賞口センサ330に至るまでに所定の時間を要することから、場合によっては2〜3球入賞する場合もある。ただし、搬入片341内に保持できる遊技球は1球のみであり、2球目以降の遊技球は、搬入片341が投入位置となったときに排出口348から排出される。
さらに、ソレノイド400は、上大入賞口141が開放してから3600ms経過後にONからOFFとなる。ソレノイド400がONからOFFになると、搬入片341が受入位置から投入位置となり、搬入片341内に保持されていた遊技球が流入口347に至り、特定領域343または普通領域344に受入れられる。ソレノイド400がONである時間を入賞口センサ330の検知タイマの作動時間よりも長くしているのは、入賞口センサ330によって検出された遊技球が流入口347に至ることなく排出口348から排出されてしまうことを防止するためである。以上より、上大入賞口141に入賞した1球の遊技球は、確実に流入口347に至り、特定領域343と普通領域344とのうち必ずいずれかに受入れられることとなる。
ところで、ソレノイド400がONからOFFとなるのは、上大入賞口141が開放してから3600msの一定時間が経過したのちであり、これは不変のものである。しかしながら、上大入賞口141に遊技球が入賞するタイミングはその都度異なる。従って、上大入賞口141が開放してから搬入片341が受入位置から投入位置に変位するまでの時間が一定であるにも拘わらず、遊技者は、遊技球を上大入賞口141に入賞させるタイミングによって特定領域343に受け入れさせることができると錯覚する可能性がある。これは、上大入賞口141に遊技球が入賞してから(上大入賞口141が閉鎖してから)、搬入片341が受入位置から投入位置に変位するまでの時間が、その都度異なることによるものである。即ち、特定領域343に受け入れられるか否かについては、遊技者自身によって操作できるものではなく選択決定されるインターバルパターン(後述する)によって決まるにも拘わらず、遊技者は、上大入賞口141に入賞させるタイミングによって特定領域343に受け入れられる可能性があるように錯覚する。これは、1球の遊技球が上大入賞口141に入賞したことを入賞口センサ330によって検出したときに上大入賞口141を閉鎖することにより生じるものである。
ところで、本実施形態における主制御MPU765aは、通常遊技状態または有利状態にあるときは、特別図柄抽選の結果が小当り(ステップS8640においてYES)であることに基づいて、特別図柄の変動が停止してから上大入賞口141が開放するまでのインターバルに要する時間を決定するインターバルパターン決定手段624を備えている。インターバルとは、特別図柄の変動が停止して小当りである旨を示す画像が演出表示装置115に表示されたときを起点として、上大入賞口141が開放されるかたちで可動片142が動作して当該上大入賞口141への遊技球の受入れが可能となるまでの時間である。また、インターバルパターン決定手段624は、通常決定手段625とチャンス決定手段626とを有している。
ここで、図76は、インターバルパターン決定手段624によってインターバルパターンが決定される際に参照されるインターバルパターンテーブルである。このインターバルパターンテーブルは、主制御基板765のROMに記憶されている。
通常遊技状態または有利状態にあるときは、図76のインターバルパターンテーブルが参照されて、通常決定手段625により、インターバル時間が異なる10パターンのインターバルパターンのうちいずれか1パターンを選択する。このとき、10パターンのインターバルパターンのうちいずれのパターンが選択されるかについては、各インターバルパターンのいずれも、1280分の128(10分の1)の確率で選択される。
また、インターバルパターンのパターン数(10パターン)は、回転式振分装置294に形成されている特定領域343への理論上の受け入れ確率の逆数と一致している。そして、10パターンのインターバルパターンのうちいずれか一つのインターバルパターンが特定領域343に対応している。即ち、10パターンのインターバルパターンのうち、インターバル時間が最も短いパターンとインターバル時間が最も長いパターンとの時間差分の間に、いずれか一の特定領域343から回転式振分装置294(回転体297)の回転方向における次の特定領域343の1個前の普通領域344まで回転式振分装置294が回転することになる。換言すれば、回転式振分装置294の回転によって、いずれか一の特定領域343が流入口347を通過してから次の特定領域343の1個前の普通領域344が流入口347を通過するまでの時間が、インターバル時間が最も長いパターンとインターバル時間が最も短いパターンとの差分の時間に相当する。
ここで、10パターンのインターバルパターンは、図76に示されるように、第1パターン(1080ms)、第2パターン(1440ms)、第3パターン(1800ms)、第4パターン(2160ms)、第5パターン(2520ms)、第6パターン(2880ms)、第7パターン(3240ms)、第8パターン(3600ms)、第9パターン(3960ms)、第10パターン(4320ms)の10パターンである。なお、括弧内はインターバルの時間である。
このように、インターバル時間が最も短いパターンとインターバル時間が最も長いパターンとの時間差は3240msとなる。回転式振分装置294は、この3240msの間に、いずれか一の特定領域343が常に流入口347(図24参照)を通過することとなる(いずれか一の特定領域343と流入口347(図24参照)とが常に対向することとなる)。そして、この10パターンのインターバルパターンのうちいずれか1パターンは、上大入賞口141に入賞した遊技球が搬入片341によって特定領域343に必ず受け入れられる時間に設定されている。
また、搬入片341内に保持された遊技球が流入口347に持ち上げられるのは(即ち、搬入片341が受入位置から投入位置に移動させられるのは(さらに言い換えると、遊技球の貯留が解除されるのは))、上大入賞口141が開放してから一定時間(3600ms)経過後である。従って、上大入賞口141に入賞した遊技球が特定領域343に受入れられる理論上の受け入れ確率は、特別図柄始動口82への入賞タイミングや特別図柄の変動時間に拘わらず、常に10分の1となる。つまり、上大入賞口141に入賞した遊技球が搬入片341によって特定領域343に受け入れられるか否かは、10パターンのインターバルパターンのうちいずれのインターバルパターンが選択されたかのみによって決定される。
なお、上大入賞口141に入賞した遊技球が特定領域343に受入れられる理論上の受け入れ確率が常に10分の1となるためには、特定領域343への理論上の受け入れ確率の逆数とインターバルパターンのパターン数とが必ずしも同じ数である必要はなく、選択決定されるインターバルパターンのパターン数が特定領域343への理論上の受け入れ確率の逆数の整数倍であれば良い。
ここで、上大入賞口141に入賞した遊技球が搬入片341によって特定領域343に受け入れられる理論上の受け入れ確率が常に一定(本実施形態では10分の1)となる理論について説明する。
本実施形態によれば、流入口347(図24参照)と特定領域343とは一定の時間(本実施形態では4000ms)毎に対向する(即ち、当選タイミングが一定の時間毎におとずれる)。また、この一定の時間は、インターバルパターンのパターン数(本実施形態では10パターン)と、各インターバルパターンの時間差(下記の所定時間に相当し、本実施形態では400ms)とを乗じた値に相当する。当選タイミングとしての特定時間(1回の当選タイミングがおとずれた際に、上大入賞口141に入賞した遊技球が特定領域343に受け入れられうる時間であり、本実施形態では400ms)は、各インターバルパターンの時間差とほぼ同じ時間となる。数式で表すと、一定の時間をT[ms]、インターバルパターンのパターン数をN[個]、所定時間をΔs[ms]、特定時間をt[ms]、当選インターバルパターン(上大入賞口141に入賞した遊技球が特定領域343に受け入れられるインターバルパターン)の数をnパターンとしたとき、「T×α≒N×Δs」および「t×α≒n×Δs」の両式が成立することが要件となる。ただし、αは定数(整数)であり、本実施形態のようにn=1の場合には、α=1となる。
上記の両式が成立すると、当選インターバルパターンのパターン数であるn(本実施形態では1)を複数のインターバルパターンのパターン数Nで除した値(本実施形態では10分の1)と、一定の時間Tに対する特定時間tの比率(本実施形態では10分の1)と、が同じ時間となる。これにより、意図的にいずれかのインターバルパターンに偏るようにインターバルパターン決定手段624により選択決定されることがない限り、複数のインターバルパターンのうち一のインターバルパターン(当選タイミングとなるインターバルパターン)が選択決定された場合にのみ、上大入賞口141から受け入れられた遊技球のうち1球の遊技球が当選タイミングで機械的抽選装置(回転式振分装置294)に案内されることとなる。即ち、「n/N=t/T」の関係式(本実施形態ではn=1)が成立し、特別図柄始動口82への入賞タイミングや特別図柄の変動時間に拘らず、特定領域343への遊技球の理論上の受け入れ確率が常に一定となる。
従って、特別図柄始動口82への遊技球の受け入れタイミングや特別図柄の変動時間に拘らず、複数のインターバルパターンのパターン数Nに対する当選インターバルパターンのパターン数nの比率(本実施形態では10分の1)と、一定の時間Tに対する特定時間tの比率(本実施形態では10分の1)と、がほぼ同じになる。よって、遊技者の技量によって大当り遊技が発生する確率が変化することがないので、いずれの遊技者にとっても公平性を担保した遊技機を提供することができる。なお、「ほぼ同じ」とは、遊技者の技量によって大当り遊技が発生する確率が変化する程度に同じであれば良いことを意味するが、極めて同一に近い方が好ましい。
このように、本実施形態では、通常遊技状態において小当りフラグがONであるとき、複数のインターバルパターン(インターバルの時間が互いに異なる10パターン)のうちのいずれのインターバルパターンに選択決定されたかによって、特別図柄の変動が終了してから上大入賞口141が開放されるまでのインターバルの時間が異なる。ここで、10パターンのインターバルパターンのうち当選インターバルパターンは1パターンだけである。また、複数のインターバルパターンのうちいずれのインターバルパターンが選択決定されるかについては、いずれのインターバルパターンについても同じ確率で選択決定される(すなわち、いずれのインターバルパターンについても選択決定される確率が10分の1である)。しかも、回転体297の作動は、特別図柄の変動が終了したときに開始される。また、上大入賞口141が開放されてから搬入片341内に保持(停留)された遊技球の保持(停留)が解除されるまでの時間は常に一定時間(本実施形態では3600ms)である。したがって、上大入賞口141に入賞した遊技球が特定領域343に受け入れられるか否かは、複数のインターバルパターン(本実施形態では10パターン)のうちいずれのインターバルパターンに選択決定されたかによって決まり、その確率(上大入賞口141に入賞した遊技球が特定領域343に受け入れられる確率)は、インターバルパターンのパターン数の逆数(10分の1)となる。
ところで、本実施形態では、流入口347(図24参照)と特定領域343とが一定の時間(本実施形態では4000ms)毎に対向する(即ち、当選タイミングが一定の時間毎におとずれる)ように、回転式振分装置294が一定の時間毎の規則的な周期で作動し且つ当該周期の一周期(1回転)内に少なくとも1回以上当選タイミングがおとずれるようになっている。そして、以下の条件を満たせば、特別図柄の変動が開始されるタイミング(すなわち、特別図柄始動口82に遊技球が入賞したタイミング)や特別図柄の変動時間にかかわらず、開閉装置としての上入賞口141に入賞した遊技球が特定領域343に受け入れられる理論上の確率が常に一定となる。
なお、本実施形態では、上大入賞口141が開放されたときに、回転式振分装置294が一定の時間毎の規則的な周期で作動する一周期内に少なくとも1回以上当選タイミングがおとずれるようになっているが、これに限られず、開閉装置としての上大入賞口141が開放されてから、当選タイミングが1回もおとずれることなく、上大入賞口141が閉鎖する態様であってもよい。
ところで、特定のタイミングで特別図柄始動口82に遊技球を入賞させることによって、特定領域343への遊技球の理論上の受け入れ確率を高めることができる可能性がある。より詳しくは、図51のステップS8640における判定処理の結果が小当りであるとき、上大入賞口141が開放してから搬入片341内に保持された遊技球が流入口347に上昇させられるまでの時間が一定である。従って、特別図柄始動口82に遊技球が入賞してから上大入賞口141が開放されるまでの時間が仮に一定であれば、特定領域343への遊技球の理論上の受け入れ確率を高めることができてしまう。ところが、本実施形態では、インターバル時間が異なる10パターンのインターバルパターンが記憶されている。即ち、特別図柄の変動が終了してから上大入賞口141が開放されるまでの時間が、選択決定されるインターバルパターンによって異なることとなる。また、回転式振分装置294の回転速度が一定である場合の特定領域343への理論上の受け入れ確率の逆数と、インターバルパターンのパターン数とが同じある。また、10パターンのインターバルパターンのうちいずれか一つのインターバルパターンの時間は、特定領域343が流入口347を通過するタイミングと、搬入片341内に保持された遊技球が流入口347に上昇させられるタイミングと、が合致するように設定されているので、特別図柄始動口82への遊技球の入賞タイミングや特別図柄の変動時間に拘わらず、特定領域343への理論上の受け入れ確率は常に一定の10分の1となる。これにより、通常遊技状態では、特定領域343に遊技球が受け入れられることを狙って遊技を行なうことが不可能となるので、遊技者の技量に拠らず、誰が遊技を行っても、特定領域343への遊技球の理論上の受け入れ確率が変わることがない。
ところで、従来では、所定の開閉装置から遊技球が受け入れられると、例えば回転式役物の内部に形成された複数の選択口の周りを遊技球が転動すること等によって、遊技球が特定の選択口に受け入れられて当選となるか否かの機械的な抽選処理を行なうことが一般的であった。このような従来の遊技機では、実際にいずれかの選択口に遊技球が受け入れられるまで抽選結果を予測することが非常に困難であり、逆にいえば、遊技者が機械式抽選に当選するか否かを予測するという楽しみを完全に損ねていた。
この点、本実施形態では、上大入賞口141に入賞した遊技球は、搬入片341により一旦保持されたのちに所定のタイミングで回転式振分装置294に投入されて機械的抽選が行なわれる。そのため、機械的抽選時に遊技球が不要に回転動作等することがなく、搬入片341により遊技球が投入されるタイミングによって、特定領域343に遊技球が振分けられるか否かを事前にある程度予測可能である。つまり、遊技者は機械的抽選の当落を予想するという楽しみを有するのみならず、その予測が当選である場合にはさらなる興奮と喜びを得ることができる。また、搬入片341により遊技球が投入されるタイミングは、開閉装置が開放態様となってから常に一定の時間が経過したのちなので、作為的に遊技者に不利な動作が行われたといった疑念を抱くこともない。
さらに、従来の遊技機では、特別図柄始動口82への入賞に基づいて演出表示装置115で画像演出が実行される一方で、上記機械的な抽選処理が並行して行なわれると、機械的抽選に用いられる遊技球の動きにのみ遊技者の関心が集中し、演出表示装置115での画像演出が無意味なものとなっていた。しかし、本実施形態では、遊技球が上大入賞口141に入賞してから回転式振分装置294でいずれかの領域に振分けられるまでの時間は、従来の遊技機において遊技球が所定の開閉装置に受け入れられてから回転式役物でいずれかの選択口に振分けられるまでの時間よりも、大幅に短くなっている。即ち、本実施形態では、機械的抽選が行われるに際して遊技球の動きに面白みを持たせるのではなく、開閉装置から受け入れた遊技球を単に機械的抽選装置まで転動させているだけにすぎない。そのため、演出表示装置115での画像演出と機械的抽選が同時に実行されても、その画像演出と遊技球の動きとを各々異なるタイミングで注視するだけの時間な余裕が与えられるため、演出表示装置115での画像演出が無意味となることがなく、また遊技者は安心して機械的抽選を楽しむことができる。
[チャンスゾーンについて]
ところで、本実施形態では、有利状態の終了を起点として、チャンスゾーンに突入する。このチャンスゾーンは、有利状態が終了してから所定期間(例えば、特別図柄の変動が所定回数(例えば2回)行なわれるまでの間)、再び大当り遊技が発生する期待感が高められるゾーン(期間)である。なお、有利状態が終了するのは、上述したとおり、有利状態中に大当り遊技が発生しなかったとき、または、時短機能及び微時短機能のいずれも作動が終了することなく所定数の遊技球が獲得されたことによって強制的に時短機能の作動が停止したとき等である。
このチャンスゾーンでは、時短機能の作動は停止するものの、時短機能に代えて微時短機能が作動する微時短遊技状態となる(この微時短遊技状態がチャンスゾーンである)。微時短機能が作動すると、普通図柄の変動時間が通常遊技状態における普通図柄の変動時間よりも極僅かに短くなる。ただし、微時短機能が作動したとしても、遊技者から見た外観上は、微時短機能が作動しているのか通常遊技状態であるのかを把握できないようになっている。詳しくは、チャンスゾーンでは、普通図柄の変動時間が通常遊技状態と比べて短くなるとはいえ、その差は遊技者が意図的に計時しなければ把握できない程度に微差である。また、普通図柄抽選において、長当りに当選したときの普通電動役物81の動作時間は長開放用時間(5700ms)であり、短当りに当選したときの普通電動役物81の動作時間は短開放用時間(例えば「108ms」)であるから、この点は通常遊技状態時と同様である。このようにして、微時短機能が作動していたとしても、外観上は、通常遊技状態中であると認識しうるようにされている。
上述したように、通常遊技状態または有利状態にあるときは、特別図柄抽選において小当りに当選したことに基づいて、10パターンのインターバルパターンのうちいずれか1パターンが、10分の1の確率で選択決定される。この際、当該10パターンのインターバルパターンのうちいずれのインターバルパターンについても同じ確率(10分の1)で選択決定される。これにより、上大入賞口141に入賞した遊技球が特定領域343に受け入れられる確率が10分の1となるように構成されている。
これに対して、チャンスゾーンでは、特別図柄当否判定手段612による判定処理の結果(特別図柄抽選の結果)が小当たりであるときは、チャンス決定手段626によって、常に、特定の3パターンのうちのいずれかのインターバルパターンに選択決定される。本実施形態では、有利状態において小当りに当選した場合には、常に、第7パターン(3240ms)、第8パターン(3600ms)および第9パターン(3960ms)のうちいずれか一のインターバルパターンに選択決定される。
ここで、上述したように、回転体297は、特定領域343が流入口347と対向した状態で停止しており、上大入賞口141が開放されてから3600ms経過したのちに、上大入賞口141に入賞した遊技球が搬入片341によって流入口347に持ち上げられる。したがって、インターバル時間が3600msの第8パターンに選択決定されると、特別図柄の変動が終了してから、上大入賞口141に入賞した遊技球が流入口347に上昇されるまでの時間は、インターバル時間(3600ms)と、上大入賞口141が開放されてから上大入賞口141に入賞した遊技球が搬入片341によって流入口347に上昇されるまでの時間(3600ms)との和(7200ms)となる。
また、回転体297は、特別図柄の変動が終了したときに、特定領域343と流入口347とが対向する位置(46.5分の位置)から時計回りへの回転が開始される。また、回転体297の回転速度は10800msであり、特別領域343の数は3個であるから、回転体297の回転が開始されたときを起点として3600msの整数倍の時間が経過したときに、特別領域343と流入口347とが対向することとなる。
このように、チャンスゾーンにおいて小当りに当選し且つインターバル時間が第8パターン(3600ms)に選択決定された場合には、特別図柄の変動が終了したとき(回転体297の回転が開始されたとき)から、上大入賞口141に入賞した遊技球が流入口347に上昇されるまでの時間(7200ms)は、3600msの整数倍となる。したがって、チャンス決定手段626によって第8パターンに選択決定された場合には、上大入賞口141に入賞した遊技球は、遊技球搬入装置380(図24参照)によって、常に、特別領域343と流入口347とが対向したタイミングで持ち上げられることになる(すなわち、大当り遊技が発生する)。
これに対して、第7パターン(3240ms)に選択決定された場合には、上大入賞口141に入賞した遊技球は、第8パターン(3600ms)に選択決定されていれば受け入れられたはずの特別領域343の1個手前の普通領域344に受け入れられる。1個手前の普通領域343とは、特別領域343よりも回転体297の回転方向(時計回り)側に隣接する普通領域344である。
また、第9パターン(3960ms)に選択決定された場合には、上大入賞口141に入賞した遊技球は、第8パターン(3600ms)に選択決定されていれば受け入れられたはずの特別領域343の1個後ろの普通領域344に受け入れられる。1個後ろの普通領域344とは、特別領域343よりも回転体297の回転方向(時計回り)とは反対側に隣接する普通領域344である。
本実施形態では、チャンスゾーンにおいて小当りに当選したとき、チャンス決定手段626は、1280分の320(4分の1)の確率で第7パターン(3240ms)に選択決定し、1280分の640(2分の1)の確率で第8パターン(3600ms)に選択決定し、1280分の320(4分の1)の確率で第9パターン(3960ms)に選択決定する。すなわち、チャンスゾーンにおいて小当りに1回当選すると、この小当りの当選に基づいて上大入賞口141が開放されたときにこの上大入賞口141に遊技球が入賞する限り、小当りの当選1回につき、2分の1の確率で大当り遊技が発生することとなる。したがって、チャンスゾーンでは、通常遊技状態または有利状態よりも大当り遊技が発生しやすい態様(遊技者に有利な態様)で、回転式振分装置294による役物抽選が行われる(上述したように、通常遊技状態または有利状態では、小当りの当選1回につき、10分の1の確率で大当り遊技が発生する)。
このように、チャンスゾーン(微時短遊技状態)にあるときと非チャンスゾーン(通常遊技状態または時短遊技常態)にあるときとでは回転体297の作動態様が同じであるにも拘わらず、チャンスゾーンにおいて小当りに当選したときは、上大入賞口141に入賞した遊技球が特別領域343に受け入れられる確率が高められる。しかも、上大入賞口141に入賞した遊技球が特別領域343に受け入れられなかったとしても、この特別領域343の両側に隣接する2つの普通領域344のうちいずれかの領域に受け入れられるといった、遊技者にとって惜しい状態となる。
本実施形態の回転式振分装置294のような機械式の抽選(役物抽選)が行われる場合には、内部抽選とは異なり遊技者自身が抽選の過程を視認しうることから、役物抽選において遊技者に有利な態様で抽選が行われると、該抽選が遊技者に有利であることを一見して遊技者に把握されてしまう。
しかしながら、本実施形態では、チャンスゾーン(微時短遊技状態)にあるときと非チャンスゾーン(通常遊技状態または時短遊技常態)にあるときとで、回転体297による抽選構造が同じ(回転体297の作動態様が同じ)であるにもかかわらず、チャンスゾーンでは、回転式振分装置294による役物抽選が通常遊技状態および有利状態よりも遊技者に有利な態様で行われる。これにより、チャンスゾーンでは、通常遊技状態または有利状態にあるときよりも回転式振分装置294による役物抽選にて大当りが発生しやすいことを、遊技者に把握され難くなる。その結果、回転体297の作動態様を視認しただけでは回転体297による抽選が遊技者に有利であるか否かを遊技者が把握し難いものの、チャンスゾーンでは、上大入賞口141に入賞した遊技球が常に特別領域343またはこれに隣接する普通領域344に受け入れられるので、「何故だか分からないが、時短遊技が終了したのちのしばらく間は、大当りが発生しやすい?」と遊技者が感じられるような状態を作り出すことが可能となる。すなわち、抽選の過程を視認できる回転式振分装置294による役物抽選が採用されながらも、遊技者に気付かれることなく、所定の当選確率で抽選が行われる低確状態(通常遊技状態、有利状態)と、この低確遊技状態よりも遊技者に有利な態様で抽選が行われる高確遊技状態(チャンスゾーン)とを作り出すことが可能となる。このような遊技者に有利な態様で役物抽選が行われる状態(高期待状態)は、チャンス決定手段626、小当り遊技実行手段617及び回転体駆動手段405によって作り出される。
しかも、回転体297の作動態様は、通常遊技状態や有利状態にあるときと微時短遊技状態にあるときとで同じであるから、チャンスゾーンにあるか否か(回転式振分装置294による役物抽選が遊技者に有利であるか否か)を、回転体297の作動態様を視認しただけでは、把握することが困難となっている。また、上大入賞口141が開放されたタイミングで入賞して搬入片341内に収まった遊技球が特定領域343に入球されるか否かは、上大入賞口141が開放されてから搬入片341が持ち上げられるまでの時間は不変の一定時間であるから、上大入賞口141が開放されたときの特定領域343の位置(すなわち、インターバルの時間)によって決まる。これにより、チャンスゾーンとしての微時短遊技状態では、インターバルパターンを特定のインターバルパターン(第7〜第9パターンのいずれか)に決定するだけで、回転体297の作動態様を外観上視認しただけでは遊技者に把握されないかたちで、通常遊技状態や有利状態と比べて大当り遊技を発生させる確率を高めることが可能となる。
なお、回転式振分装置294の作動態様はチャンスゾーン(微時短遊技状態)にあるときと非チャンスゾーン(通常遊技状態時または有利状態)にあるときとで何ら変わらないので、通常遊技状態または有利状態においても、通常決定手段625によって第8パターン(3600ms)に選択決定されたときには、特別図柄当否判定手段612による判定結果が小当りであることに基づいて上大入賞口141が開放されたときにこの上大入賞口141に遊技球が入賞し、且つ当該遊技球が搬入片341内に一旦収まって停留されたのちに特定領域343に受け入れられて、大当り遊技が発生する。
なお、「回転体297の作動態様が同じ」について、本実施形態では、通常遊技状態や有利状態にあるときとチャンスゾーンにあるときとで作動態様が同じであるが、遊技者から見て外観上同一に見える程度であれば良い。「作動態様が同じ」とは、等速回転であれば回転速度が同じことが相当し、一定周期で非等速回転であれば周期が同じことが相当する。
また、微時短遊技状態では、常に、高期待状態とする必要はない。例えば、高期待状態とする条件が成立したときに限り、微時短遊技状態において高期待状態にするようにしてもよい。この場合、高期待状態にあるときは、遊技球が特定領域343と普通領域344とのうちいずれに入るかといった抽選過程を視認できるかたちで役物抽選が行われるにもかかわらず、特定領域343が変位される作動態様(すなわち回転式振分装置294の作動態様)からは、高期待状態であるか否かを把握することが困難となるようにされている。これにより、遊技者の遊技意欲がそがれることがない。
また、たとえ通常遊技状態または有利状態であったとしても(微時短遊技状態でなかったとしても)、高期待状態とする条件が成立したときには、通常遊技状態または有利状態の途中から、高期待状態とするようにしてもよい。こうすることで、遊技者は、常に高期待状態となりうることに期待感を抱きながら遊技を行うことが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、微時短遊技状態に限らず、高期待状態とする条件が成立したときに高期待状態とする遊技機にあっては、回転式振分装置294の作動態様をみただけでは、上大入賞口141から進入した遊技球が特定領域343に入りやすい状態であるのか否かを、遊技者が把握することは困難である。したがって、これと同様に、回転式振分装置294の作動態様をみただけでは、遊技者は、通常遊技状態と高期待状態との間での状態変更についても把握することは困難である。これにより、役物抽選それ自体に対して遊技者に不信感を与えることなく、抽選内容にメリハリをもうけることが可能となる。しかも、上記の状態変更を遊技者から知得され難いので、たとえ通常遊技状態であったとしても、高期待状態であることの期待感を遊技者に与えることが可能となる。
なお、再び大当り遊技が行われる期待度合いの高いチャンスゾーンを設けたとしても、遊技者のみがメリットを享受できるのではなく、ホールにとってもメリットがある。なぜならば、有利状態が終了すると時短機能が作動しないので、特別図柄始動口82に遊技球が入賞しやすい状態にすぐにいたるわけではなく(すなわち、上述したとおり、53種類の当たり判定値のうち2種類のみが長当たりの値であるため、長当りがすぐに当選するわけでなく)、しかも大当り遊技が終了したとしても遊技者が遊技を継続する可能性が高まり、ホールの稼働率がアップするからである。
次に、図57に示すように、主制御MPU765aは、大当りオープニング処理が開始されると、第2ジョブフラグが「4」であるか否かを判別する(ステップS8730)。第2ジョブフラグが「4」でなければ(ステップS8730におけるNO)、大当りオープニング処理を終了する。
第2ジョブフラグが「4」であれば(ステップS8730におけるYES)、大当りフラグがONであるか否かを判別する(ステップS8732)。ここで、大当りフラグがONであれば(ステップS8732におけるYES)、特別図柄の組み合わせによって大当りに当選したことを示すから、サブ統合基板763により実行される大当りの開始ラウンドに対応する演出パターンを指示するコマンドである大当りオープニングコマンドをセットする(ステップS8734)。具体的には、大当りオープニングコマンドを送信し、これを受信したサブ統合基板763は大当り遊技を開始する演出パターンを演出表示装置115に表示する。そして、大当り遊技開始ラウンドの実行時間をカウントするための大当りオープニングタイマをセットし(ステップS8736)、大当り遊技開始ラウンドの「1」をラウンドカウンタにセットする(ステップS8738)。そして、先述の第2ジョブフラグに「5」をセットし(ステップS8740)、大当りオープニング処理を終了する。
一方、大当りフラグがONでなければ(ステップS8732におけるNO)、特定領域343を通過して大当りに当選したことを示すから、サブ統合基板763により実行される小当り遊技経由の大当り遊技の開始ラウンドに対応する演出パターンを指示するコマンドである小当り遊技大当りオープニングコマンドをセットする(ステップS8742)。具体的には、小当り遊技大当りオープニングコマンドとしてコマンドを送信し、これを受信したサブ統合基板763は大当り遊技を開始する演出パターンを、特別図柄の組み合わせによる大当りとは異なる演出態様で演出表示装置115に表示する。そして、大当り遊技開始ラウンドの実行時間をカウントするための小当り遊技大当りオープニングタイマをセットし(ステップS8744)、大当り遊技開始ラウンドの「2」をラウンドカウンタにセットする(ステップS8746)。これは、大当り遊技開始ラウンドの「1」は、小当り遊技での上大入賞口141の開放動作によって既に実行されたものとみなすためである。そして、先述の第2ジョブフラグに「5」をセットし(ステップS8740)、大当りオープニング処理を終了する。
なお、この大当りオープニング処理で設定された演出パターン(大当りオープニングコマンドおよび小当り遊技大当りオープニングコマンド)は、図40に示したサブ統合基板コマンド送信処理(ステップS92)によってサブ統合基板763に送信される。
次に、図58に示すように、主制御MPU765aは、特別電動役物大当り処理(特別遊技)が開始されると、第2ジョブフラグが「5」であるか否かを判別する(ステップS8750)。第2ジョブフラグが「5」でなければ(ステップS8750におけるNO)、特別電動役物大当り処理を終了する。
第2ジョブフラグが「5」であれば(ステップS8750におけるYES)、大当りオープニングタイマまたは小当り遊技大当りオープニングタイマによりカウントされる大当りオープニングタイムがアップしたか否かを判別する(ステップS8752)。大当りオープニングタイムがアップしていなければ(ステップS8752におけるNO)、特別電動役物大当り処理を終了する。
一方、大当りオープニングタイムがアップしていれば(ステップS8752におけるYES)、アタッカ駆動機構339により下部側大入賞口83(開閉装置)を開放する(ステップS8754)。そして、この開閉装置の開放時間が経過した否かを判別し(ステップS8756)、開放時間が経過していれば(ステップS8756におけるYES)アタッカ駆動機構339により下部側大入賞口83(開閉装置)を閉鎖する(ステップS8758)。また、開閉装置の開放時間が経過していなくても(ステップS8756におけるNO)、当該開閉装置に最大入賞数の遊技球が入賞した場合には(ステップS8760におけるYES)、アタッカ駆動機構339により下部側大入賞口83(開閉装置)を閉鎖する(ステップS8758)。なお、開閉装置に最大入賞数の遊技球が入賞していなければ(ステップS8760におけるNO)、ステップS8756に戻る。
下部側大入賞口83(開閉装置)の閉鎖後は、当該開放装置の開閉動作があらかじめ定められたラウンド回数(ここでは、15ラウンド)に達したか否かを判別する(ステップS8762)。具体的には、このラウンド回数の判別は、ラウンドカウンタに記憶された値が「15」に至ったか否かに基づいて実行される。所定のラウンド回数に達していれば(ステップS8762におけるYES)、大当りフラグ(大当りフラグまたは小当り遊技大当りフラグ)をOFFにセットする(ステップS8764)。そして、先述の第2ジョブフラグに「0」をセットして(ステップS8766)、特別電動役物大当り処理を終了する。一方、所定のラウンド回数に達していなければ(ステップS8762におけるNO)、ラウンドカウンタを1加算する(ステップS8768)。そして、サブ統合基板763により実行される大当り遊技ラウンド間のインターバルに対応する演出パターンを指示するコマンドであるインターバルコマンドを送信して(ステップS8770)、ステップS8754に戻る。
ところで、図示しないが、所定の条件が成立した場合(例えば、上記の特別電動役物大当り処理によって、所定のラウンド回数が実行された(すなわち、大当り遊技の一連の動作が全て実行された))ことを条件として、当該特別電動役物大当り処理の後処理として時短機能作動処理を実行する。この時短機能作動処理は、特別図柄始動口82への遊技球の受け入れ確率を、通常遊技状態よりも高い確率に可変設定するための処理である。より具体的には、有利遊技実行手段608が有利状態にある旨判断したときは、その旨を普通当り遊技実行手段607に出力する。これにより、普通当り遊技実行手段607は、いわゆる開放延長機能を作動させるようになり、普通電動役物81の動作時間として必ず長開放用時間(例えば「5700ms」)を採用するようになる。
なお、図55に示す小当り役物作動処理、および、図58に示す特別電動役物大当り処理は、実際には主制御基板765における処理とサブ統合基板763における処理とが、各基板におけるタイマ割り込みに従って独立して実行される。しかし、本実施形態では、説明の便宜と理解の容易のため、主制御基板765における処理とサブ統合基板763における処理とを、一連の処理として連続したシーケンシャル処理として説明している。
[払出制御基板の各種制御処理]
次に、払出制御基板775が行う各種制御処理について、図59〜図68に基づき説明する。まず、払出制御側電源投入時処理について説明し、続いて払出制御側タイマ割り込み処理、各種賞球ストック数加算処理、賞球ストック監視処理、払出球抜き判定設定処理、払出設定処理、球抜き設定処理について説明する。なお、図59は払出制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートである。図60は図59の払出制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートである。図61は図60に続いて払出制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートである。図62は払出制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。図63は賞球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートである。図64は貸球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートである。図65はストック監視処理の一例を示すフローチャートである。図66は払出球抜き判定設定処理の一例を示すフローチャートである。図67は払出設定処理の一例を示すフローチャートである。図68は球抜き設定処理の一例を示すフローチャートである。なお、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球抜き判定設定処理は、後述する払出制御側電源投入処理におけるステップS264の主要動作設定処理の一処理として行われ、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、そして払出球抜き判定設定処理の順番で優先順位が設定されている。
<1.払出制御側電源投入時処理>
パチンコ機1に電源が投入されると、払出制御基板775の払出制御MPU775aは、図59〜図61に示すように、払出制御側電源投入時処理を行う。この払出制御側電源投入時処理が開始されると、払出制御MPU775aは、割り込みモードの設定を行う(ステップS200)。この割り込みモードは、払出制御MPU775aの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する払出制御側タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この払出制御側タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理が行われる。ステップS200に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS202)。このI/Oの入出力設定では、払出制御MPU775aのI/Oポートの入出設定等を行う。ステップS202に続いて、ウェイトタイマ処理1を行う(ステップS204)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧以下となると停電予告として停電信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では電圧が停電予告電圧以下となると停電信号が入力される。そこで、ウェイトタイマ処理1では、電源投入後、電圧が停電予告電圧より高くなるまで待っている。本実施形態では、この待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS204に続いて、RAMクリアスイッチ769が操作されているか否かを判定する(ステップS206)。この判定は、RAMクリアスイッチ769が操作され、その操作信号(検出信号)が払出制御MPU775aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ769が操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ769が操作されていないと判定する。
ステップS206でRAMクリアスイッチ769が操作されているときには、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値1をセットし(ステップS208)、一方、ステップS206でRAMクリアスイッチ769が操作されていないときには、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値0をセットする(ステップS210)。この払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU775aに内蔵されたRAM(以下、「払出内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、例えば賞球ストック数、実球計数、駆動指令数及び各種フラグ(及び、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報)等の払い出しに関する払出情報(その詳細な説明は後述する。)を消去するか否かを示すフラグであり、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。なお、ステップS208及びステップS210でセットされた払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU775aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS208又はステップS210に続いて、球抜きスイッチ779が操作されているか否かを判定する(ステップS212)。この判定は、球抜きスイッチ779が操作され、その操作信号(検出信号)が払出制御MPU775aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときには球抜きスイッチ779が操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときには球抜きスイッチ779が操作されていないと判定する。
ステップS212で球抜きスイッチ779が操作されているときには、球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットし(ステップS214)、一方、ステップS212で球抜きスイッチ779が操作されていないときには、球抜きフラグRMV−FLGに値0をセットする(ステップS216)。この球抜きフラグRMV−FLGは、球タンク136及びタンクレール150に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定されている。なお、ステップS214及びステップS216でセットされた球抜きフラグRMV−FLGは、払出制御MPU775aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS214又はステップS216に続いて、払出内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS220)。この設定により払出内蔵RAMへのアクセスができ、例えば払出情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。ステップS220に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS222)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS222では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS222に続いて、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS224)。上述したように、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。ステップS224で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0であるとき、つまり払出情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS226)。このチェックサムは、払出内蔵RAMに記憶されている払出情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。ステップS226に続いて、算出したチェックサムの値が後述する払出制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS228)。一致しているときには、払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS230)。この払出バックアップフラグHBK−FLGは、払出情報、チェックサムの値及び払出バックアップフラグHBK−FLGの値等の払出バックアップ情報を後述する払出制御側電源断時処理において払出内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、払出制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、払出制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS230で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるとき、つまり払出制御側電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として払出内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS232)。この設定は、払出バックアップフラグHBK−FLGを値0にセットするほか、払出制御MPU775aに内蔵されたROM(以下、「払出内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を払出内蔵RAMの作業領域にセットする。ここで「復電時」とは、上述したように、電源を遮断した状態から電源を投入した状態に加えて、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。
一方、ステップS224で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり払出情報を消去するときには、又はステップS228でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS230で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり払出制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、払出内蔵RAMの全領域をクリアし(ステップS234)、初期設定として払出内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS236)。この設定は、払出内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を払出内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS232又はステップS236に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS238)。この設定は、後述する払出制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では1.75msに設定されている。ステップS238に続いて、割り込み許可設定を行う(ステップS240)。この設定によりステップS238で設定した割り込み周期、つまり1.75msごとに払出制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS240に続いて、停電信号が入力されているか否かを判定する(ステップS242)。上述したように、パチンコ機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると停電予告として停電信号が入力される。ステップS242の判定は、この停電信号に基づいて行う。ステップS242で停電信号の入力がないときには1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS244)。この1.75ms経過フラグHT−FLGは、後述する、1.75msごとに処理される払出制御側タイマ割り込み処理で1.75msを計時するフラグであり、1.75ms経過したとき値1、1.75ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS244で1.75ms経過フラグHT−FLGが値0であるとき、つまり1.75ms経過していないときには、ステップS242に戻り、停電信号が入力されているか否かを判定する。一方、ステップS244で1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり1.75ms経過したときには、1.75ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし(ステップS246)、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)775cにクリア信号をONする(ステップS248)。この外部WDT775cは、払出制御MPU775aの動作(システム)を監視するためのものであり、一定期間にクリアされないときには払出制御MPU775aにリセットがかかる(払出制御MPU775aのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS248に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS250)。このポート出力処理では、払出制御I/Oポート775bの出力端子から、払出内蔵RAMの出力情報記憶領域から各種情報を読み出してこの各種情報に基づいて各種信号を出力する。出力情報記憶領域には、例えば、主制御基板765からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信した旨を伝えるACK情報、球払出装置170への駆動制御を行う駆動情報、球払出装置が実際に遊技球を払い出した球数の賞球数情報、エラーLED表示器777に表示するLED表示情報、プリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号を正常に受信した旨を伝える受信完了情報等の各種情報が記憶されており、この出力情報に基づいて出力端子から、主制御基板765からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信したときにはACK信号を主制御基板765に出力したり、球払出装置170に駆動信号を出力したり、球払出装置170が実際に遊技球を払い出した球数を賞球数信号として出力したり(本実施形態では、球払出装置170が実際に10個の遊技球を払い出すごとに賞球数信号を出力している。)、エラーLED表示器777に表示信号を出力したり、プリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号を正常に受信したときには受信完了信号をプリペイドカードユニット1aに出力したりする。
ステップS250に続いて、ポート入力処理を行う(ステップS252)。このポート入力処理では、払出制御I/Oポート775bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば、エラー解除スイッチ778の操作信号、回転角スイッチ106からの検出信号、計数スイッチ105からの検出信号、満タンスイッチ107からの検出信号、プリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号及び接続信号、後述するコマンド送信処理で送信した各種コマンドを主制御基板765が正常に受信した旨を伝える主制御基板765からのACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS252に続いて、タイマ更新処理を行う(ステップS254)。このタイマ更新処理では、その詳細な説明は後述するが、球払出装置170が球がみを起こしているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球がみ判定時間、球タンク136及びタンクレール150に貯留されている遊技球を排出する際に設定されている球抜き判定時間、下皿31が満タンであるか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている満タン判定時間、球払出装置170に設けられた図示しない球切れスイッチからの検出信号により球払出装置170に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球切れ判定時間等の時間管理を行う。例えば、球がみ判定時間が5005msに設定されているときには、タイマ割り込み周期が1.75msに設定されているので、このタイマ更新処理を行うごとに球がみ判定時間を1.75msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球がみ判定時間を正確に計っている。
本実施形態では、球抜き判定時間として60060ms、満タン判定時間として504ms、球切れ判定時間として119msがそれぞれ設定されており、このタイマ更新処理を行うごとに球抜き判定時間及び満タン判定時間を1.75msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球抜き判定時間及び満タン判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種判定時間は、時間管理情報として払出内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS254に続いて、CR通信処理を行う(ステップS256)。このCR通信処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、プリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号が入力されているか否かを判定したり、プリペイドカードユニット1aからの接続信号が入力されているか否かを判定したりする。貸球要求信号が入力され、この貸球要求信号を正常に受信したときには、その旨を伝える受信完了情報を上述した出力情報記憶領域に記憶するとともに、その貸球要求信号を貸球情報として払出内蔵RAMの貸球情報記憶領域に記憶する。一方、貸球要求信号を正常に受信できなかったときには、その旨を伝える貸球要求エラー情報を払出内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶する。
接続信号が入力されているときには、プリペイドカードユニット1aとの接続が正常であるとしてその旨を伝えるCR接続情報を状態情報記憶領域に記憶する。なお、接続信号が入力されていないときには、プリペイドカードユニット1aとの接続が異常であるとしてその旨を伝えるCR接続情報を状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS256に続いて、満タン及び球切れチェック処理を行う(ステップS258)。この満タン及び球切れチェック処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、満タンスイッチ107からの検出信号により下皿31が遊技球で満タンとなっているか否かを判定したり、球払出装置170に設けられた球切れスイッチからの検出信号により球払出装置170に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かを判定したりする。例えば、下皿31が遊技球で満タンとなっているか否かの判定は、タイマ割り込み周期1.75msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ107からの検出信号がON、前回(1.75ms前)の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ107からの検出信号がOFFとなったとき、つまり満タンスイッチ107からの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS254のタイマ更新処理で上述した満タン判定時間(504ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で満タン判定時間が値0となったとき、つまり満タン判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ107からの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、満タンスイッチ107からの検出信号がONであるときには、下皿31が遊技球で満タンであるとしてその旨を伝える満タン情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。一方、満タンスイッチ107からの検出信号がOFFであるときには、下皿31が遊技球で満タンでないとしてその旨を伝える満タン情報を状態情報記憶領域域に記憶する。
球払出装置170に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定も、タイマ割り込み周期1.75msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がON、前回(1.75ms前)の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がOFFとなったとき、つまり球切れスイッチからの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS254のタイマ更新処理で上述した球切れ判定時間(119ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で球切れ判定時間が値0となったとき、つまり球切れ判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、球切れスイッチからの検出信号がONであるときには、球払出装置170に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上であるとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する一方、球切れスイッチからの検出信号がOFFであるときには、球払出装置170に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS258に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS260)。このコマンド受信処理では、主制御基板765からの払い出しに関する各種コマンドを受信する。この各種コマンドを正常に受信したときには、その旨を伝えるACK情報を上述した出力情報記憶領域に記憶する。一方、各種コマンドを正常に受信できなかったときには、主制御基板765と払出制御基板775との基板間の接続に異常が生じている旨を伝える接続異常情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。なお、主制御基板765からの払い出しに関する各種コマンドの詳細な説明は後述する。
ステップS260に続いて、コマンド解析処理を行う(ステップS262)。このコマンド解析処理では、ステップS260で受信したコマンドの解析を行い、その解析したコマンドを受信コマンド情報として払出内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶する。
ステップS262に続いて、主要動作設定処理を行う(ステップS264)。この主要動作設定処理では、賞球、貸球、球抜き及び球がみ等の動作設定を行ったり、未払い出しの球数(賞球ストック数)を監視したりする。なお、これらの動作設定や監視の詳細な説明は後述する。
ステップS264に続いて、LED表示データ作成処理を行う(ステップS266)。このLED表示データ作成処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、払出制御基板775のエラーLED表示器777に表示する表示データを作成してLED表示情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。例えば、状態情報記憶領域から上述した球切れ情報を読み出し、この球切れ情報に対応する表示データを作成してLED表示情報を出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS266に続いて、コマンド送信処理を行う(ステップS268)。このコマンド送信処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、この各種情報に基づいてコマンドを作成して主制御基板765に送信する。
ステップS268に続いて、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)775cへのクリア信号をOFFする(ステップS270)。これにより、外部WDT775cをクリアし、払出制御MPU775aにリセットがかからないようにするとともに、外部WDT775cの計時を開始する。
ステップS270に続けて、再びステップS242に戻り、停電信号が入力されているか否かを判定し、この停電信号の入力がなければ、ステップS244で1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定し、この1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり1.75ms経過したときには、ステップS246で1.75ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし、ステップS248で外部WDT775cにクリア信号を出力し、ステップS250でポート出力処理を行い、ステップS252でポート入力処理を行い、ステップS254でタイマ更新処理を行い、ステップS256でCR通信処理を行い、ステップS258で満タン及び球切れチェック処理を行い、ステップS260でコマンド受信処理を行い、ステップS262でコマンド解析処理を行い、ステップS264で主要動作設定処理を行い、ステップS266でLED表示データ作成処理を行い、ステップS268でコマンド送信処理を行い、ステップS270で外部WDT775cにクリア信号を出力し、ステップS242〜ステップS270を繰り返し行う。なお、このステップS242〜ステップS270の処理を「払出制御側メイン処理」という。
主制御基板765による遊技の進行に応じて払出制御側メイン処理の処理内容が異なってくる。このため、払出制御MPU775aの処理に要する時間が変動することとなる。そこで、払出制御MPU775aは、ステップS250のポート出力処理において、主制御基板765からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信した旨を伝えるACK信号を、優先して主制御基板765に出力している。これにより、払出制御MPU775aは、変動する他の処理を十分に行えるよう、その処理時間を確保している。
一方、ステップS242で停電信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS272)。この設定により後述する払出制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、払出内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、上述した払出情報の書き換えを保護している。ステップS272に続いて、球払出装置170への駆動信号の出力を停止する(ステップS274)。これにより、遊技球の払い出しを停止する。ステップS274に続いて、外部WDT775cにクリア信号をON/OFFする(ステップS276)。これにより、外部WDT775cをクリアする。ステップS276に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS278)。このチェックサムは、ステップS226で算出したチェックサムの値及び払出バックアップフラグHBK−FLGの値の記憶領域を除く、払出内蔵RAMの作業領域の払出情報を数値とみなしてその合計を算出する。ステップS278に続いて、払出バックアップフラグHBK−FLGに値1をセットする。(ステップS280)、これにより払出バックアップ情報の記憶が完了する。ステップS280に続いて、払出内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS282)。この設定により払出内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、払出内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が保護される。ステップS282に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、外部WDT775cにクリア信号をON/OFFしない。このため、払出制御MPU775aにリセットがかかり、その後払出制御MPU775aは、この払出制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS272〜ステップS282の処理及び無限ループを「払出制御側電源断時処理」という。
パチンコ機1(払出制御MPU775a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により払出制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS228では払出内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS230では払出制御側電源断時処理が正常に終了されたか否かを検査している。このように、払出内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報を2重にチェックすることにより払出バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
<2.払出制御側タイマ割り込み処理>
次に、払出制御側タイマ割り込み処理について説明する。この払出制御側タイマ割り込み処理は、図59〜図61に示した払出制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、1.75ms)ごとに繰り返し行われる。
払出制御側タイマ割り込み処理が開始されると、払出制御基板775の払出制御MPU775aは、図62に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS290)。ここでは、上述した払出制御側メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを払出制御側タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、払出制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS290に続いて、1.75ms経過フラグHT−FLGに値1をセットする(ステップS292)。この1.75経過フラグHT−FLGは、この払出制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに、つまり1.75msごとに1.75msを計時するフラグであり、1.75ms経過したとき値1、1.75ms経過していないとき値0にそれぞれ設定されている。ステップS292に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS294)。この復帰は、ステップS290でスタックに積んで退避した内容を読み出してレジスタに書き込むことにより行われる。ステップS294に続いて、割り込み許可の設定を行い(ステップS296)、このルーチンを終了する。
<3.各種賞球ストック数加算処理>
次に、各種賞球ストック数加算処理について説明する。この各種賞球ストック数加算処理には、賞球用賞球ストック数加算処理と貸球用賞球ストック数加算処理とがあり、賞球用賞球ストック数加算処理は主制御基板765からの後述する賞球コマンドに基づいて払い出す球数を加算する処理であり、貸球用賞球ストック数加算処理はプリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号に基づいて払い出す球数を加算する処理である。まず、賞球用賞球ストック数加算処理について説明し、続いて貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。なお、本実施形態では、賞球用賞球ストック数加算処理が優先的に行われるように設定されており、この賞球用賞球ストック数加算処理で加算された賞球ストック数に応じた遊技球が球払出装置170で払い出されたあと、貸球用賞球ストック数加算処理が行われるように設定されている。
賞球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板775の払出制御MPU775aは、図63に示すように、賞球コマンドがあるか否かを判定する(ステップS300)。この判定は、図61に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS262のコマンド解析処理で解析したコマンドに基づいて行う。具体的には、その解析したコマンドは受信コマンド情報として払出内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶されている。ステップS300では、この受信コマンド情報記憶領域から受信コマンド情報を読み出して賞球コマンドであるか否かの判定を行う。
ステップS300で受信コマンド情報が賞球コマンドであるときには、この賞球コマンドに対応する賞球数PBVを、賞球数情報テーブルから読み出す(ステップS302)。この賞球数情報テーブルは、その詳細な説明は後述するが、賞球コマンドと賞球数PBVとを対応付けて払出制御ROMに予め記憶されている情報テーブルである。ステップS302に続いて、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出す(ステップS304)。この賞球ストック数PBSは、球払出装置170で遊技球を未だ払い出していない数、つまり未払い出しの球数を表しており、本実施形態では、2バイト(16ビット)の記憶容量を有している。これにより、賞球ストック数PBSは、0〜65535個までの未払い出しの球数を記憶することができるようになっている。ステップS304で読み出した賞球ストック数PBSにステップS302で読み出した賞球数PBVを加算し(ステップS306)、このルーチンを終了する。なお、ステップS306で加算したあと、ステップS300で読み出した賞球コマンドを受信コマンド情報記憶領域から消去する。
一方、ステップS300で受信コマンド情報が賞球コマンドでないときには、そのままこのルーチンを終了する。
次に、貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。この貸球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板775の払出制御MPU775aは、図64に示すように、貸球要求信号があるか否かを判定する(ステップS310)。この判定は、図61に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS252のポート入力処理でプリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号に基づいて行う。具体的には、その貸球要求信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS310では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して貸球要求信号があるか否かの判定を行う。
ステップS310で貸球要求信号があるときには、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS312)、この賞球ストック数PBSに貸球数RBVを加算し(ステップS314)、このルーチンを終了する。貸球数RBVは固定値であり、払出制御ROMに予め記憶されている。本実施形態では、貸球数RBVとして値25が設定されている。なお、ステップS314で加算したあと、ステップS310で読み出した貸球要求信号を入力情報記憶領域から消去する。また、本実施形態では、賞球を優先している(賞球と貸球とを区別して管理している)。このため、貸球要求信号があるときであっても、貸球要求信号を保持し、賞球の払い出しの完了をもって、貸球の払い出しを行う。したがって、賞球ストックPBSが値0になってから貸球の払い出しを行うようになっている。
一方、ステップS310で貸球要求信号がないときには、そのままこのルーチンを終了する。
<4.ストック監視処理>
次に、ストック監視処理について説明する。このストック監視処理は、遊技者が遊技中に下皿31に遊技球を満タンにした状態(ストックした状態)で遊技を続けていないか監視する処理である。
ストック監視処理が開始されると、払出制御基板775の払出制御MPU775aは、図65に示すように、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS320)、読み出した賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH1以上であるか否かを判定する(ステップS322)。注意的しきい値TH1は、本実施形態では値50に設定されている。ステップS322で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH1以上であるときには、注意フラグCA−FLGに値1をセットする(ステップS324)。この注意フラグCA−FLGは、遊技者が下皿31に遊技球のストックを開始し、遊技球の未払い出し数(上述した賞球ストック数)が注意的しきい値TH1以上に達している旨を示すフラグであり、注意的しきい値TH1以上に達しているとき値1、注意的しきい値TH1以上に達していないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS324に続いて、ステップS320で読み出した賞球ストック数PBSが警告的しきい値TH2以上であるか否かを判定する(ステップS326)。警告的しきい値TH2は、本実施形態では値300に設定されている。ステップS326で賞球ストック数PBSが警告的しきい値TH2以上であるときには、警告フラグWA−FLGに値1をセットし(ステップS328)、このルーチンを終了する。この警告フラグWA−FLGは、遊技者が下皿31に遊技球のストックを開始し、遊技球の未払い出し数(上述した賞球ストック数)が警告的しきい値TH2以上に達している旨を示すフラグであり、警告的しきい値TH2以上に達しているとき値1、警告的しきい値TH2以上に達していないとき値0にそれぞれ設定されている。
一方、ステップS322で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH1未満であるときには、注意フラグCA−FLGに値0をセットし(ステップS330)し、このルーチンを終了する。一方、ステップS326で賞球ストック数PBSが警告的しきい値TH2未満であるときには、警告フラグWA−FLGに値0をセットし(ステップS332)、このルーチンを終了する。
遊技状態が大当りとなり、遊技者がリラックスして演出表示装置115で繰り広げられる演出に見入ったり、装飾物本体302の役物動作に見入ったりしていると、遊技者は、うっかりして1ラウンドの間、賞球として払い出された遊技球を、下皿31から下皿用球排出ボタン(図示外)を操作して抜かないことがある。この状態で遊技を続けると、上述したように、賞球ストック数PBSの値は増加し、注意的しきい値TH1、そして警告的しきい値TH2以上となり、その詳細な説明は後述するが、警告演出として、スピーカ18,57から案内音声が流れることとなる。そうすると、遊技者は、遊技状態が大当りというリラックスした状態でいられるにもかかわらず、うっかりして下皿31から遊技球を抜かないでいると、警告演出が行われることとなり、いらだつ事態になりかねない。
そこで、その不快感を極力防止するために本実施形態では、上述したように、警告的しきい値TH2に値300を設定している。この警告的しきい値TH2は、2ラウンド分の賞球として払い出す遊技球の球数に設定されている。例えば、下部側大入賞口83に遊技球が1個入賞すると、賞球として15個払い出す場合には、1ラウンド分(本実施形態では、下部側大入賞口83が閉鎖状態から開放状態となったとき、15個の遊技球の入賞又は開放状態となってから30秒の経過により、下部側大入賞口83が開放状態から閉鎖状態に再び戻るようになっている。)の賞球として払い出す遊技球の球数は、下部側大入賞口83に遊技球が10個入賞すると、150個(=15×10)となり、2ラウンド分では300個(150×2)となる。なお、賞球ストック数PBSの記憶容量が1バイト(8ビット)である場合には、0〜255個までの未払い出しの球数しか記憶することができないため、上述したように、本実施形態では、賞球ストック数PBSの記憶容量を2バイト(16ビット)にすることによって、256個以上の未払い出しの球数を記憶することができるようになっている。
一方、注意的しきい値TH1は値50に設定されているが、これは、賞球ストック数PBSが警告的しきい値TH2に達するまえの段階で、その詳細な説明は後述するが、注意演出として賞球ランプ396を点灯することによって、例えばホールの店員に対して遊技者の遊技を注意する旨を伝えることができ、ホールの店員は遊技者に下皿31から遊技球を抜く旨を伝えることができる。これにより、遊技者は下皿31に遊技球を満タンにした状態でさらに遊技を継続することを防止することができる。また、遊技者は、遊技状態が大当りというリラックスした状態でいられるにもかかわらず、うっかりして下皿31から遊技球を抜かないでいても、注意演出による告知の段階で、ホールの店員から下皿31から遊技球を抜く旨を伝えられ、いらだつ事態を防止することができる。
なお、本実施形態では、注意的しきい値TH1は、1バイト(8ビット)で表せる上限値255の約5分の1に相当する値50に設定されており、上述した警告的しきい値TH2の値300の6分の1に設定されている。これにより、ホールの店員に対してできるだけ早い段階で遊技者の遊技に注意を促す旨を伝えることができるようになっている。
<5.払出球抜き判定設定処理>
次に、払出球抜き判定設定処理について説明する。この払出球抜き判定設定処理は、球払出装置170で遊技球を、上皿51及び下皿31に払い出すか、球タンク136及びタンクレール150に貯留されている遊技球をパチンコ機1から排出するか、又はこのような払い出しや排出を行わないか、いずれかに設定する処理である。
払出球抜き判定設定処理が開始されると、払出制御基板775の払出制御MPU775aは、図66に示すように、球がみ中フラグPBE−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS340)。この球がみ中フラグPBE−FLGは、その詳細な説明は後述するが、球払出装置170が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS340で球がみ中フラグPEB−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり球がみ動作を行っていないときには、賞球ストック数PBSを払出内蔵RAMから読み出し(ステップS342)、読み出した賞球ストック数PBSが値0より大きいか否かを判定する(ステップS344)。この判定は、球払出装置170による遊技球の払い出しにおいて未払い出しの球数があるか否かを判定している。
ステップS344で賞球ストック数PBSが値0より大きいとき、つまり未払い出し球数があるときには、下皿31が遊技球で満タンであるか否かを判定する(ステップS346)。この判定は、図61に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS258の満タン及び球切れチェック処理で記憶された満タン情報に基づいて行う。具体的には、満タン情報は払出内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶されている。ステップS346では、この状態情報記憶領域から満タン情報を読み出して下皿31が遊技球で満タンであるか否かを判定する。
ステップS346で下皿31が遊技球で満タンでないときには、後述する払出設定処理を行い(ステップS348)、このルーチンを終了する。これにより、上皿51及び下皿31に遊技球が払い出される。一方、ステップS346で下皿31が遊技球で満タンであるときには、そのままこのルーチンを終了する。本実施形態のパチンコ機1では、下皿31が遊技球で満タンになると球払出装置170を強制停止する。この球払出装置170が強制停止中に賞球が発生すると、球払出装置170による未払い出しの球数が増え、図63に示した賞球用賞球ストック数算出処理によって賞球ストック数PBSが加算されて増加することとなる。
一方、ステップS340で球がみ中フラグPBE−FLGが値1、つまり球がみ動作を行っているときには、又はステップS344で賞球ストック数PBSが値0より大きくない(値0である)とき、つまり未払い出し球数がないときには、球抜きフラグRMV−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS350)。この球抜きフラグRMV−FLGは、上述したように、球タンク136及びタンクレール150に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定されている。ステップS350の判定は、図59に示した払出制御側電源投入時処理におけるステップS214の判定結果に基づいて行う。つまり、払出制御基板775の球抜きスイッチ779からの操作信号が入力されると、払出制御側電源投入時処理におけるステップS214で球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットし、一方、操作信号が入力されないと、払出制御側電源投入時処理におけるステップS216で球抜きフラグRMV−FLGに値0をセットする。
ステップS350で球抜きフラグRMV−FLGが値1であるとき、つまり球タンク136及びタンクレール150に貯留されている遊技球を排出するときには、後述する球抜き設定処理を行い(ステップS352)、このルーチンを終了する。これにより、球タンク136及びタンクレール150に貯留されている遊技球が排出される。
ここで、電源を遮断し、その後球抜きスイッチ779を押したまま電源投入すると、この払出球抜き判定設定処理のステップS352で球抜き設定処理を行うこととなり、球タンク136及びタンクレール150に貯留されている遊技球を排出することができるようになっている。この排出を終了すると、球抜きフラグRMV−FLGに値0をセットする。
一方、ステップS350で球抜きフラグRMV−FLGが値0であるとき、つまり球タンク136及びタンクレール150に貯留されている遊技球を排出しないときには、そのままこのルーチンを終了する。これにより、遊技球の払い出しや排出が行われない。
次に、払出設定処理について説明する。この払出設定処理では球払出装置170を駆動して遊技球を払い出す設定を行う処理ある。
払出設定処理が開始されると、払出制御基板775の払出制御MPU775aは、図67に示すように、駆動指令数DRVを払出内蔵RAMから読み出す(ステップS360)。この駆動指令数DRVは、球払出装置170で払い出す遊技球の球数を指令するものであり、賞球ストック数PBSと同値である。ステップS360に続いて、駆動指令数DRVが値0であるか否かを判定する(ステップS362)。この判定は、球払出装置170で払い出す遊技球の球数が残っているか否かを駆動指令数DRVに基づいて判定する。ステップS362で駆動指令数DRVが値0であるとき、つまり球払出装置170で払い出す遊技球の球数がゼロ個であるときには、球払出装置170への駆動信号の出力停止(停止)を設定する(ステップS364)。この設定では、球払出装置170に駆動信号を停止する駆動情報を設定して上述した払出内蔵RAMの出力設定記憶領域に記憶する。ステップS364に続いて、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS366)、実球計数PBを読み出す(ステップS368)。この実球計数PBは、球払出装置170が実際に払い出した遊技球の球数をカウントしたものである。このカウントは、その詳細な説明は後述するが、図61に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS252のポート入力処理で、球払出装置170の計数スイッチ105からの検出信号に基づいて行う。
ステップS368に続いて、ステップS366で読み出した賞球ストック数PBSからステップS368で読み出した実球計数PBを引いた値を、賞球ストック数PBS及び駆動指令数DRVにセットし(ステップS370)、実球計数PBに値0をセットし(ステップS372)、このルーチンを終了する。なお、駆動指令数DRV及び実球計数PBが値0であるときには、ステップS372では、ステップS366で読み出した賞球ストック数PBSの値がそのまま駆動指令数DRVにセットされる。
一方、ステップS362で駆動指令数DRVが値0でないとき、つまり球払出装置170で払い出す遊技球の球数があるときには、球払出装置170への駆動信号の出力を設定する。(ステップS374)。この設定では、球払出装置170に駆動信号を出力する駆動情報を設定して出力設定記憶領域に記憶する。ステップS374に続いて、回転角スイッチ106からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS376)。この判定は、図61に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS252のポート入力処理で、回転角スイッチ106からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS376では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して回転角スイッチ106からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS376で回転角スイッチ106からの検出信号があるときには、駆動指令数DRVに値1だけ引き(デクリメントし、ステップS378)、計数スイッチ105からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS380)。この判定は、図61に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS252のポート入力処理で、計数スイッチ105からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS380では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して計数スイッチ105からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS380で計数スイッチ105からの検出信号があるときには、実球計数PBに値1だけ足し(インクリメントし、ステップS382)、このルーチンを終了する。ステップS382で実球計数PBをインクリメントすることで実球計数PBをカウントアップすることとなる。一方、ステップS380で計数スイッチ105からの検出信号がないときには、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップ276で回転角スイッチ106からの検出信号がないときには、球がみ判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS384)。この判定は、図61に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS254のタイマ更新処理で更新した球がみ判定時間に基づいて行う。具体的には、その球がみ判定時間は、時間管理情報として払出内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS384では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球がみ判定時間が経過したか否かを判定する。なお、球がみ判定時間中には球払出装置170は、球がみ動作を行う。この球がみ動作は、球払出装置170の球通路(図示外)に取り込まれた遊技球が球詰まりした状態等を解消するために行う。
ステップS384で球がみ判定時間が経過していないときには、球がみ動作を行うよう球払出装置170への駆動信号の出力を設定する(ステップS386)。この設定では、球払出装置170に駆動信号を出力する駆動情報を設定して上述した払出内蔵RAMの出力設定記憶領域に記憶する。ステップS386に続いて、球がみ中フラグPBE−FLGに値1をセットし(ステップS388)、このルーチンを終了する。この球がみ中フラグPBE−FLGは、球払出装置170による球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定されている。一方、ステップS384で球がみ判定時間が経過したときには、球がみ動作を終了するよう球払出装置170への駆動信号の停止を設定する(ステップS390)。この設定では、球払出装置170に駆動信号を停止する駆動情報を設定して出力設定記憶領域に記憶する。ステップS390に続いて、球がみ中フラグPBE−FLGに値0をセットし(ステップS392)、このルーチンを終了する。
次に、球抜き設定処理について説明する。この球抜き設定処理では、球払出装置170を駆動して、球タンク136及びタンクレール150に貯留されている遊技球を排出する。
球抜き設定処理が開始されると、払出制御基板775の払出制御MPU775aは、図68に示すように、球抜き判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS400)。この判定は、図61に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS254のタイマ更新処理で更新した球抜き判定時間に基づいて行う。具体的には、その球抜き判定時間は、時間管理情報として払出内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS400では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球抜き判定時間が経過したか否かを判定する。なお、球抜き判定時間中には球払出装置170は、球抜き動作を行う。この球抜き動作は、球タンク136及びタンクレール150に貯留されている遊技球を排出するために行う。
ステップS400で球抜き判定時間が経過していないときには、球抜き動作を行うよう球払出装置170への駆動信号の出力を設定する(ステップS402)。この設定では、球払出装置170に駆動信号を出力する駆動情報を設定して上述した払出内蔵RAMの出力設定記憶領域に記憶する。ステップS402に続いて、球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットし(ステップS404)、このルーチンを終了する。この球抜きフラグRMV−FLGは、上述したように、球タンク136及びタンクレール150に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定されている。一方、ステップS400で球抜き判定時間が経過したときには、球抜き動作を終了するよう球払出装置170への駆動信号の停止を設定し(ステップS406)、このルーチンを終了する。この設定では、球払出装置170に駆動信号を停止する駆動情報を設定して出力設定記憶領域に記憶する。
[払い出しに関する各種コマンド等]
次に、払い出し関する各種コマンド等について説明する。まず、主制御基板765から払出制御基板775に送信する払い出しに関するコマンド(賞球コマンド)について説明し、続いて払出制御基板775から主制御基板765に送信するパチンコ機1の状態コマンド、この状態コマンドを整形した整形状態コマンドについて説明する。図69は払い出しに関するコマンドの一例を示す賞球数情報テーブルであり、図70は状態コマンドの一例を示すテーブルであり、図71は状態コマンドを整形した整形状態コマンドの一例を示すテーブルである。
<1.賞球コマンド>
賞球コマンドは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、主制御基板65から払出制御基板775に送信する払い出しに関するコマンドである。例えば、パチンコ機1にプリペイドカードユニット1a(パチンコ機と通信して、パチンコ機に供給する遊技球を、パチンコ機の払出モータを駆動して上皿に貸球として払い出す装置(「CR機」という。))が隣接して配置されている場合には、図69(a)に示すように、主制御基板765から払出制御基板775に送信する賞球コマンドには、コマンド10H〜コマンド1EH(「H」は16進数を表す。)が用意されており、コマンド10Hでは賞球1個が指定され、コマンド11Hでは賞球2個が指定され、コマンド1EHでは賞球15が指定されている。この指定された賞球数だけ、払出制御基板775は、球払出装置170を駆動して遊技球を払い出す制御を行う。
また、パチンコ機1に貸球機(遊技球を上皿に貸球として直接払い出す装置(「一般機(現金機)」という。))が隣接して配置されている場合には、図69(b)に示すように、主制御基板765から一般機に送信する賞球コマンドには、コマンド20H〜コマンド2EHが用意されており、コマンド20Hでは賞球1個が指定され、コマンド21Hでは賞球2個が指定され、コマンド2EHでは賞球15が指定されている。この指定された賞球数だけ、一般機は遊技球を払い出す制御を行う。
なお、CR機及び一般機の共通のコマンド(セルフチェックコマンド)として、図69(c)に示すように、コマンド30Hが用意されており、このコマンド30Hではセルフチェックが指定されている。このセルフチェックコマンドは、賞球を払い出すためのものではなく、主制御基板765と払出制御基板775との基板間の接続状態を確認するためのものであり、CR機及び一般機において共通に用いられる。
ここで、CR機と一般機(現金機)について説明する。CR機では、貸し受けたい球数に相当するプリペイドカードを予め券売機で購入し、パチンコ機1に隣接して配置されたプリペイドカードユニット1aにそのプリペイドカードを挿入することでパチンコ機1(球払出装置170)から貸球として遊技球が払い出される。具体的には、プリペイドカードは、プリペイドカードユニット1aに挿入されると、プリペイドカードユニット(図示外)に内蔵されたカードリーダーによってプリペイドカードから残金情報が読み取られるようになっている。プリペイドカードユニット1aは、その残金情報に基づいてパチンコ機1に貸球要求信号を出力し、パチンコ機1は球払出装置170から貸球として遊技球を払い出す。一方、一般機(現金機)では、貸球用の専用機をパチンコ機1’に隣接して配置されている。その貸球用の専用機に現金を入れることで、貸球用の専用機は、その現金に基づいて貸球として遊技球を払い出す。
CR機は、一般機に許可されていない確率変動機能を有しており、一般機に比べて射幸性の面で遊技者の人気が高い。このため、CR機については、ホールの脱税対策として、売り上げを第三者機関で管理される仕組みとなっている。具体的には、プリペイドカードユニット1aは、売り上げ情報収集端末と赤外線通信を行うことができるようなっており、売り上げ情報収集端末がプリペイドカード会社の情報収集センターと有線で接続されている。これにより、プリペイドカード会社はホールの売り上げ情報を管理できるようになっている。
ところで、一般機用として払出制御基板775’が搭載されたパチンコ機1’に、確率変動機能を備えたCR機用の遊技盤5を、一般機用の遊技盤5’に替えて装着すると、一般機用のパチンコ機1’にもかかわらず、確率変動機能を有したCR機で遊技者に遊技を行わせることができる。このため、遊技者は人気の高いCR機を好んで遊技を行うこととなる。そうすると、一般機用として払出制御基板775’が搭載されたパチンコ機1’は、上述したように、パチンコ機1’に隣接して配置されており、プリペイドカード会社の情報収集センターと接続されていないため、売り上げ情報が第三者機関に伝わらなくなる。これにより、ホールは、このような不正遊技を遊技者に提供することによって売り上げを不正に獲得している。
本実施形態では、賞球コマンドは、1バイト、つまり8ビットの記憶容量を有しており、その8ビットのうちの上位4ビットを、CR機用の賞球コマンド又は一般機用の賞球コマンドに識別できる情報として用いる。一方その8ビットの下位4ビットを、遊技者に払い出す遊技球の球数を指定する情報として用いている。上述したように、CR機用の賞球コマンドは10H〜コマンド1EH、一般機用の賞球コマンドは20H〜コマンド2EHにそれぞれ予め設定されている。このように、上位4ビットに値1をCR機用に指定し、上位4ビットに値2を一般機用に指定することによって、電源投入時に図示しない送信用のレジスタが初期化されて値0(デフォルト値)となっても、下位4ビットが値0となり賞球1個を指示するものとなるが、上位4ビットが値0であるためCR機用の賞球コマンド、一般機用の賞球コマンドのいずれにも該当しない。これにより、電源投入時においてデフォルト値が払出制御基板775に送信されても、払出制御基板775は無効なコマンドとして破棄する。また、セルフチェックコマンドもまた1バイト、つまり8ビットの記憶容量を有しており、その8ビットのうち上位4ビットを、CR機及び一般機の共通コマンドであるセルフチェックコマンドとして用いている。上述したように、セルフチェックコマンドは30Hである。このように、隣接する同一の2ビットの情報でCR機用の賞球コマンド、一般機用の賞球コマンド、セルフチェックコマンドのいずれかを指定することができるため、CR機用の払出制御基板775ではCR機用の賞球コマンド及びセルフチェックコマンドを受信すると、隣接する同一の2ビットの情報に基づいてCR機用の賞球コマンド及びセルフチェックコマンドを判別して受け入れ、一方一般機用の払出制御基板775’では一般機用の賞球コマンド及びセルフチェックコマンドを受信すると、隣接する同一の2ビットの情報に基づいて一般機用の賞球コマンド及びセルフチェックコマンドを判別して受け入れる。これにより、例えば一般機用のパチンコ機1’に、確率変動機能を備えた主制御基板765を搭載したCR機用の遊技盤5が装着されても、パチンコ機1’に装着された一般機用の払出制御基板775’は、CR機用の賞球コマンドを正常に受信すると、その旨を主制御基板765にACK信号を出力するが、その受信したCR機用の賞球コマンドを破棄するようになっている。したがって、一般機用の遊技盤5’をCR機用の遊技盤5に替えて遊技者に遊技を行わせても、遊技者に賞球として遊技球が払い出されることがない。
<2.状態コマンド>
状態コマンドは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、払出制御基板775から主制御基板765に送信するコマンドである。状態コマンドには、図70に示すように、枠状態、エラー解除ナビ及びストック表示に区分されており、枠状態、エラー解除、そしてストック表示の順で優先順位が設定されている。枠状態には、球切れ、球抜き中、接続異常及びCR未接続が用意されており、球切れではビット0(B0、「B」はビットを表す。)に値1がセットされ、球抜き中ではビット2(B2)に値1がセットされ、接続異常ではビット3(B3)に値1がセットされ、CR未接続ではビット4(B4)に値1がセットされる。なお、状態コマンドのうち、枠状態である旨を伝えるビット5(B5)〜ビット7(B7)にはB5に値1、B6に値0、そしてB7に値0がセットされている。
エラー解除ナビには、球がみ、計数スイッチエラー及びリトライ上限エラーが要されており、球がみではビット2(B2)に値1がセットされ、計数スイッチエラーではビット3(B3)に値1がセットされ、リトライ上限エラーではビット4(B4)に値1がセットされる。ここで、「計数スイッチエラー」とは、球払出装置170の計数スイッチ105の不具合が生じているか否かを示すものである。「リトライ上限エラー」とは、つじつまの合わない払い出しが繰り返し行われたことを示すものである。なお、状態コマンドのうち、エラー解除ナビである旨を伝えるビット5(B5)〜ビット7(B7)にはB5に値0、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
ストック表示には、50個以上のストック中、300個以上のストック中が要されており、50個以上のストック中ではビット0(B0)に値1がセットされ、300個以上のストック中ではビット1(B1)に値1がセットされる。なお、状態コマンドのうち、ストック表示である旨を伝えるビット5(B5)〜ビット7(B7)にはB5に値1、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
<3.整形状態コマンド>
主制御基板765の主制御MPU765aは、サブ統合基板763に各種コマンドを送信する。これらの各種コマンドは、2バイト(16ビット)の記憶量領を有するコマンドであり、1バイト(8ビット)の記憶容量を有し、コマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有し、演出のバリエーションを示すモードと、から構成されている。主制御MPU765aは、払出制御基板775から上述した状態コマンドを受信すると、図71に示すように、付加情報である「10000001B(=81H)」をステータスに設定するとともに、受信した状態コマンドをモードに設定して2バイト(16ビット)の記憶容量を有する整形状態コマンドに整形する。この整形状態コマンドは、図40に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92のサブ統合基板コマンド送信処理の一処理として行われ、サブ統合基板763に送信される。なお、整形状態コマンドの詳細な説明は、上述した状態コマンドの内容と同一であるためその説明を省略する。
[演出表示装置における演出表示の詳細について]
図72に基づき説明する。図72は、サブ統合基板における制御処理、及び液晶制御基板における制御処理の内容を示している。
サブ統合基板763では、図72に示すように、主制御基板765から普通図柄または特別図柄の変動開始コマンドを受け取ると(ステップS501においてYES)、受け取ったこれらの変動開始コマンドを基に、演出表示装置115における普通図柄または特別図柄の変動態様を設定する(ステップS502)。具体的には、変動表示パターンコマンドに対応した変動表示パターンを設定するとともに、当否コマンドに基づいて装飾図柄列における最終停止図柄を決定する。また、サブ統合基板763は、乱数発生手段(図示しない)を有しており、乱数を取得するとともに、取得された乱数に応じて当り予告の演出態様を付加する。さらに、サブ統合基板763では、決定されたこれらの変動態様を、液晶制御基板758に対する変動開始コマンドとして設定する(ステップS503)。具体的には、変動表示パターンコマンド、最終停止図柄コマンド、及び演出パターンコマンド等を設定する。そして、設定されたこれらの変動開始コマンドを、液晶制御基板758に送信する(ステップS504)。これにより、液晶制御基板758では、抽選結果に応じた演出表示を行なったり、その演出表示に合せて音声等を発生させることが可能になる。
一方、液晶制御基板758では、サブ統合基板763から変動開始コマンドを受け取ると(ステップS601においてYES)、その変動開始コマンドを基に、演出表示装置115における変動態様を設定(ステップS602)し、その後、演出表示装置115を制御する(ステップS603)。具体的には、変動表示パターンコマンドに対応した変動表示パターンを設定するとともに、最終停止図柄コマンドに基づいて、装飾図柄列の最終停止図柄を設定する。また、演出パターンコマンドに対応した演出を決定するとともに、より具体的な演出態様を付加する。つまり、液晶制御基板758は、乱数発生手段(ランダムカウンタ)を有しており、演出表示装置115における夫々の変動表示パターンに対して、より具体的な演出態様を付加することを可能にしている。このように、本例では、変動表示パターンの選択処理が、主制御基板765、サブ統合基板763、及び液晶制御基板758において分担されており、これにより、主制御基板765及びサブ統合基板763における処理の負担を軽減するとともに、変動表示パターンの複雑化、ひいては演出の興趣を向上させている。
なお、図72に示すフローチャートでは、サブ統合基板763及び液晶制御基板758におけるコマンド受信処理のうち、特に演出の制御に関する変動開始コマンドの受信処理のみを説明している。すなわち、ここでは、電源投入時のコマンドや異常時のコマンドに対する処理は省略している。
ところで、本例の演出表示装置115に表示される演出画像には、周期性をもって変動表示される装飾図柄、及び装飾図柄の変動中に複数の画像を予め定めた順序に従って段階的に発展表示させることが可能なステップ演出等が含まれている。以下、装飾図柄、及びステップ演出について詳細に説明する。
[演出表示装置における装飾図柄について]
次に、演出表示装置115における表示態様について、図73を参照しつつ説明する。図73は、演出表示装置に表示される表示領域を説明するための図である。
図73に示すように、演出表示装置115は、水平方向を長辺とする長方形の画像表示領域1150を有しており、この表示領域の一部が、回転式振分装置294によって覆われている。具体的には、長方形の画像表示領域1150の右上の角部と、この角部を形成する上辺の右側ほぼ半分と、同じく右上の角部を形成する右辺の上側の2分の1以上と、を含む領域が、回転式振分装置294によって覆われている。
また、回転式振分装置294は、遊技盤5(遊技板5a)の後面側であって、且つ、遊技領域37の内側と遊技領域37の外側とに跨って配置されている。具体的には、円板状の回転式振分装置294は、この円板面と遊技板5aの面とが平行であって、且つ遊技領域37の内側に形成された開口部124と遊技領域37の外側とに跨って遊技板5aに固定して取り付けられている。そのため、正面視において、回転式振分装置294は、遊技盤5(遊技板5a)の背後に被覆されている部分と、遊技領域37の内側にて視認可能となる部分(視認可能領域294a)と、を有している。そして、この視認可能領域294aにおいて、遊技者が回転式振分装置294の役物動作を視認することができるように構成されている。なお、演出表示装置115は、遊技板5aとの間に所定の空間を隔てて遊技板5aよりも後方に配置されており、且つ画像表示領域1150の表示面と遊技板5aの面とが平行となっている。これにより、回転式振分装置294と画像表示領域1150の表示面とが平行となる。
ここで、回転式振分装置294は、時計回りに回転しており、さらに遊技者から見て画像表示領域1150の右上方において当該画像表示領域1150を覆っている。従って、回転式振分装置294は、覆潰領域115bにおいては下方から上方に向けて、各領域(特定領域343、普通領域344)が移動する。
また、この回転式振分装置294の視認可能領域294aは、回転式振分装置294の全体のうちほぼ半分である。一方、特定領域343は、等間隔で3つ設けられている(即ち、120度間隔で設けられている)。従って、視認可能領域294aにおいて常に一つ以上の特定領域343が現れることとなる。これにより、いかなるタイミングで大入賞口ユニット146に遊技球が入賞したとしても、当該遊技球が常に特定領域343に受け入れられるのではないかといった期待感を持ち続けることができ、興趣の低下を抑制できる。
さらに、案内通路340を流下して搬入片341に保持されている遊技球は、上述したように遊技球搬入装置380によって回転式振分装置294の流入口347に持ち上げられるが、この搬入片341および流入口347は、いずれも視認可能領域294aに位置している。しかも、案内通路340は、この案内通路340を転動する遊技球を視認できるように透明な樹脂部材で構成されている。従って、大入賞口ユニット146に入賞した遊技球が回転式振分装置294に設けられたいずれかの領域(特定領域343、普通領域344)に受け入れられるまでの過程を観察することができる。しかも、遊技球が特定領域343に受け入れられると大当り遊技が発生することから、この大当り遊技の発生に関わる重要な搬入片341、流入口347および領域(特定領域343、普通領域344)が、いずれも視認可能領域294aに位置している。即ち、回転式振分装置294を、遊技領域37の内側と遊技領域37の外側とに跨って配置させたとしても、大当り遊技の発生に関わる重要な搬入片341、流入口347および領域(特定領域343、普通領域344)を少なくとも視認可能領域294aに位置させれば良いので、回転式振分装置294を大型化できると共に遊技領域37を有効に使うことができる。また、回転式振分装置294を大型化することによって回転速度を遅くすることができることから、大当り遊技の発生に関わる重要な搬入片341、流入口347および領域(特定領域343、普通領域344)を視認可能領域294aに位置させることによって、遊技球がいずれかの領域(特定領域343、普通領域344)に受け入れられる態様を観察することができ、興趣の低下を抑制できる。
ところで、回転式振分装置294は、遊技板5aの後方であって且つ演出表示装置115の近傍、より具体的には、遊技板5aと演出表示装置115との間に設けられた空間に配置されている。なお、「遊技板5aの後方であって且つ演出表示装置115の近傍」とは、奥行き方向に遊技板5aよりも演出表示装置115側であることを意味する。回転式振分装置294の配置位置について具体的に説明すると、回転式振分装置294の円板面と演出表示装置115の画像表示領域1150面とがほぼ重なるように対向して、回転式振分装置294が配置されている。これにより、演出表示装置115の画像表示領域1150と回転式振分装置294とが融合的となる。即ち、演出表示装置115の画像表示領域1150と回転式振分装置294とが奥行き方向における距離が大きくなることなく、ほぼ同一平面上に近くなる。これにより、演出表示装置115の画像表示領域1150と回転式振分装置294との間で遠近感を感じることなく、画像表示領域1150における表示および回転式振分装置294の動作の両方を注視して観測することが可能となる。とくに、本実施形態の遊技機では、回転式振分装置294に設けられる特定領域343に遊技球が受け入れられたときに大当り遊技が発生する。即ち、大入賞口ユニット146への遊技球の入賞タイミング如何によって大当り遊技が発生するか否かが決定される。このように、大入賞口ユニット146への遊技球の入賞タイミングは、大当り遊技の発生有無について重大な影響を及ぼすことから、大入賞口ユニット146への入賞タイミングと回転式振分装置294の回転動作との間には、大当り遊技の発生について密接な関連性がある(即ち大入賞口ユニット146に入賞したときに特定領域343がどの位置にあるかが重要となる)。また、大入賞口ユニット146が開放されるタイミングは、画像表示領域1150において特別図柄の変動表示が停止してから一定時間経過後であることから、画像表示領域1150における表示態様と回転式振分装置294の動作とを同時に注視することによって、大当り遊技が発生するか否かを予測することが可能となり、興趣の低下を抑制できる。
抽選情報表示領域1151では、普通図柄当否判定手段602にかかる演出、特別図柄当否判定手段612にかかる演出、または、センター役物91内の第1の遊技領域に遊技球が進入した場合における役物抽選にかかる演出等が表示される。なお、「役物抽選にかかる演出」とは、センター役物91内の第1の遊技領域に遊技球が進入してから回転式振分装置294によって遊技球が振り分けられるまでの間に、抽選情報表示領域1151に表示される演出である。
そして、この抽選情報表示領域1151は、普通図柄に対応する装飾図柄として、水平方向に並べて表示される左・右の2つの装飾図柄列のみが設定されており、装飾図柄列毎に変動表示されるようになっている。本実施形態では、水平方向を有効ラインとしているため、左・右2つの装飾図柄列の組み合わせにより、普通図柄当否判定手段602による抽選結果が表示される。また、一連の装飾図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した主装飾図柄と、絵図柄からなる副装飾図柄とにより構成されており、数字の昇順又は降順に主装飾図柄が表示されると共に各主装飾図柄の間に副装飾図柄が配されて一連の装飾図柄列が構成されている。そして、普通図柄画像表示制御手段631(図37参照)は、主装飾図柄と副装飾図柄とが周期性を持って左上方から右下方に向けて変動表示制御している。
その後、装飾図柄は、左装飾図柄列→右装飾図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時に二つの装飾図柄が普通当り装飾図柄の組み合わせで揃えば普通当りとして「特別図柄始動口82に入賞させるように操作すること」、具体的には、「左に入れろ」が表示されるようになっている。本実施形態では、「3,3」の組み合わせおよび「7,7」の組み合わせが普通当りとなっている。そして、二つの装飾図柄列のうち最初に停止する停止図柄列(左装飾図柄列)が「3」または「7」で停止した場合には、これらの装飾図柄をリーチ形成図柄として、リーチ状態が成立する。しかし、本実施形態のパチンコ機1では、装飾図柄が例えば「7,7」のぞろ目で揃ったとしても、特別始動口96への入賞が可能となるのみであり、即座に大当り遊技が発生するわけではない。従って、装飾図柄列を2つにすることによって、装飾図柄が例えば「7,7」のぞろ目で揃った場合に、大当り遊技が即座に発生しない構成であったとしても、大当り遊技が即座に発生しないことに起因する興趣の低下を抑制できる。
ところで、遊技情報表示領域1152は、普通保留球ランプ323の表示に対応する保留対応表示領域1153と、普通図柄表示器333の表示に対応する普通図柄対応表示領域1154と、特別図柄表示器332の表示に対応する特別図柄対応表示領域1155と、を有している。即ち、保留対応表示領域1153は普通図柄の変動表示制御の保留状態を示す。また、普通図柄対応表示領域1154、普通図柄の変動表示および普通図柄当否判定手段602による抽選結果を表示する。さらに、特別図柄対応表示領域1155は、特別図柄の変動表示および特別図柄当否判定手段612による抽選結果を表示する。
保留対応表示領域1153では、普通図柄の保留数に対応する表示態様が表示される。即ち、保留対応表示領域1153では、例えば普通図柄の保留数が1個であれば1目盛分の表示領域が明るい色で表示され、2個であれば2目盛分の表示領域が明るい色で表示される。
普通図柄対応表示領域1154では、楕円形状の表示領域が点滅表示され、その表示態様によって、普通図柄当否判定手段602による抽選結果を把握することができる。なお、普通図柄当否判定手段602による抽選結果が導出されるに際し、普通図柄表示器333において普通図柄が変動している間、楕円形状の表示領域が点滅表示される。
特別図柄対応表示領域1155では、楕円形状の表示領域が点滅表示され、その表示態様によって、特別図柄当否判定手段612による抽選結果を把握することができる。なお、特別図柄当否判定手段612による抽選結果が導出されるに際し、特別図柄表示器332において特別図柄が変動している間、楕円形状の表示領域が点滅表示される。
ここで、普通図柄対応表示領域1154では、普通図柄表示器333において普通図柄が変動している間は、当該普通図柄の変動に対応してその楕円形状の表示領域が点滅表示されると共に、普通図柄表示器333において普通図柄抽選の結果が表示されると、当該表示領域が点灯または消滅した態様で停止表示される。従って、抽選情報表示領域1151において特別図柄当否判定手段612にかかる演出が表示されることによって普通図柄当否判定手段602にかかる演出が表示されていない場合であっても、普通図柄対応表示領域1154では当該表示領域が点滅表示されることとなる。
また、特別図柄対応表示領域1155では、特別図柄表示器332において特別図柄が変動している間、当該特別図柄の変動に対応してその楕円形状の表示領域が点滅表示されると共に、特別図柄表示器332において特別図柄抽選の結果が表示されると、当該表示領域が点灯または消滅した態様で停止表示される。
なお、本例では、演出表示装置115における装飾図柄列の変動は、普通図柄画像表示制御手段631および特別図柄画像表示制御手段632(図37参照)によって制御され、変動開始時期を、普通図柄の変動開始後とし、装飾図柄列の変動停止を普通図柄の変動停止前としている。これにより、普通図柄の変動表示の開始時と停止時には、演出表示装置115での演出表示を行わないことで、普通図柄の変動表示に対して演出表示装置115での紛らわしい表示を行うことを防止するとともに、演出表示装置115の演出中に普通当りか否かを認識させること、すなわち演出の効果を損なうことを防止している。
ところで、普通図柄始動口96を遊技球が通過すると、普通図柄表示器333における普通図柄の変動が開始されると共に、2つの装飾図柄の変動表示が開始される。これにより、普通図柄の変動が開始したことを把握できる。さらに、普通図柄表示器333において普通図柄が変動している間ひいては2つの装飾図柄が変動している間、普通図柄対応表示領域1154において楕円形状の表示領域が点滅表示される。なお、普通図柄の変動は、普通図柄当否判定手段602による判定処理(普通図柄抽選)の結果を導出する前提として行われるものである。
そして、普通図柄の変動が行われている間に遊技球が普通図柄始動口96を通過すると、普通図柄始動口96を通過した遊技球の個数分だけ、所定の範囲内(本実施形態では4個)で普通図柄の変動表示制御が保留される。普通図柄の変動表示制御が保留されたことは、保留対応表示領域1153における表示により把握できる。
普通図柄当否判定手段602による判定処理の結果は、変動表示が行われている2つの装飾図柄の全図柄が停止表示された場合の組み合わせによって導出される。この2つの装飾図柄は、左図柄→右図柄の順で停止表示するが、左図柄が特定図柄(ここでは、「7」)で停止表示されたときに)、リーチ状態の発生を導出する演出が行われて、その後にリーチ変動が行われる。
なお、「リーチ変動」とは、最終停止図柄(本実施形態では右図柄)となる装飾図柄以外の装飾図柄(本実施形態では左図柄)が、所定時間継続して、特定の表示結果(本実施形態では「3」または「7」)となった状態で停止、揺動、拡大縮小もしくは変形している状態、または、複数の装飾図柄が同一図柄で同期して変動したり、表示図柄の位置が入れ替わったりして、最終結果が表示される前で大当り発生の可能性が継続している状態を意味する。
普通図柄当否判定手段602による判定処理の結果が当りであるとき、2つの装飾図柄が全て同じ特定図柄で停止表示され、その後、普通電動役物81が作動して特別図柄始動口82に遊技球が入賞しやすくなる。そして、抽選情報表示領域1151では、2つの装飾図柄の表示に代えて、特別図柄始動口82に向けて遊技球を狙うことを促す表示が行われる(図74参照)。本実施形態では、演出表示装置115の左側に配置される特別図柄始動口82に遊技球を狙うことを促すべく、左を指す矢印が表示される。
なお、抽選情報表示領域1151において、普通図柄当否判定手段602にかかる演出に代えて特別図柄当否判定手段612にかかる演出が行われる場合であっても、普通図柄の変動表示制御が保留されていれば、普通図柄当否判定手段602による抽選が行われると共に、普通図柄の変動表示制御の保留が解除されて2つの装飾図柄による変動表示の表示態様が内部的に決定される。そして、普通図柄当否判定手段602による抽選が当りであるとき(即ち、2つの装飾図柄が全て同じ特定図柄で停止表示すると内部的に決定されたとき)、特別図柄当否判定手段612にかかる演出が行われていたとしても、普通電動役物81が作動して特別図柄始動口82に遊技球が入賞しやすくなる。つまり、演出表示装置115において普通図柄当否判定手段602にかかる演出が表示されているか否かにかかわらず、2つの装飾図柄が全て同じ図柄で停止表示すると内部的に決定されれば、普通電動役物81が作動して特別図柄始動口82に遊技球が入賞しやすくなる。これにより、特別図柄当否判定手段612にかかる演出表示の有無にかかわらず、普通図柄当否判定手段602による判定処理の効率を高めることができる。
次に、特別図柄始動口82に遊技球が入賞すると、特別図柄表示器332において特別図柄が変動している間、抽選情報表示領域1151において所定の演出が行われる。
そして、特別図柄当否判定手段612による判定処理の結果が小当りであると、当該判定処理の結果が小当りである旨を示す画像が演出表示装置115に表示された上で、上大入賞口141に向けて遊技球を狙うことを促す表示が行われる(図75参照)。本実施形態では、演出表示装置115の上方に形成された上大入賞口141に遊技球を狙うことを促すべく、上を指す矢印が表示される。
一方、特別図柄当否判定手段612による判定処理の結果が大当りであると、「大当り」の文字が表示され、その後、大当り遊技が発生する。
なお、特別図柄の変動が停止し、且つ、特別図柄の変動が停止したときに普通図柄の変動表示制御が保留されていれば、普通図柄表示器333において普通図柄の変動が再び開始され、図74(a)〜(e)の一連の処理が繰り返される。また、普通図柄対応表示領域1154においても、普通図柄表示器333において普通図柄が変動している間、楕円形状の表示領域が点滅表示される。ただし、このとき、普通図柄対応表示領域1154では、演出表示装置115の上方に形成された上大入賞口141に遊技球を狙うことを促す旨の表示が行われているため、2つの装飾図柄は表示されない。
ところで、普通図柄当否判定手段602による判定処理の結果が当りとなって、抽選情報表示領域1151において特別図柄始動口82に向けて遊技球を狙うことを促す表示が行われたにも拘わらず、特別図柄始動口82に遊技球が入賞しなかったとき、再び、2つの装飾図柄が表示される。ただし、このとき、2つの装飾図柄による変動表示の表示態様が内部的に決定されていたとしても、当該決定されていた表示態様による変動表示に代えて、特定の表示態様による変動表示が行われる。本実施形態では、この特定の表示態様は、2つの装飾図柄を高速でスクロール変動する表示態様である。
上大入賞口141に遊技球が入賞してセンター役物91内の第1の遊技領域に遊技球が進入すると、当該第1の遊技領域に進入した遊技球が回転式振分装置294によって振り分けられるまで、抽選情報表示領域1151では役物抽選にかかる演出が行われる。
そして、センター役物91内の第1の遊技領域に遊技球が進入することによって役物抽選が行われたとき、その抽選結果に応じた演出がが表示される。本実施形態では、センター役物91内の第1の遊技領域に進入した遊技球が特定領域344に受け入れられると、抽選情報表示領域1151において「大当り」の文字が表示され、その後、大当り遊技が発生する。
一方、センター役物91内の第1の遊技領域に進入した遊技球が、特定領域344ではなく普通領域345に受け入れられると、抽選情報表示領域1151において2つの装飾図柄の変動表示に戻る(図73参照)。ただし、このとき、2つの装飾図柄による変動表示の表示態様が決定されていたとしても、当該決定されていた表示態様による変動表示が行われることなく、特定の表示態様(本実施形態では2つの装飾図柄を高速でスクロール変動する表示態様)による変動表示が行われる。
[特別図柄の表示態様および回転式振分装置の回転動作について]
前述のとおり、回転式振分装置294は、長方形の表示領域を有する演出表示装置115の右上方部分の表示領域を覆うように配置されている。これにより、演出表示装置115における特別図柄の表示態様と回転式振分装置294の回転動作とを同時に視認できるので、特別図柄の変動が停止したときに、特定領域343がどの位置にあるのかを把握できる(例えば図73参照)。しかも、前述のとおり、特別図柄の変動が停止してから上大入賞口141が開放するまでは1000msと一定であり、また、上大入賞口141が開放してから搬入片341が受入位置から投入位置に変位するまでの時間も3600msと一定である。従って、特別図柄の変動が停止したときに特定領域343がどの回転位置にあるかで、搬入片341が受入位置から投入位置に変位するタイミングと特定領域343が流入口347と対向する部位を通過するタイミングとが合致するか否かを把握できる。
さらに、回転式振分装置294は、その一部が視認できないように遊技盤5に覆われている。回転式振分装置294が遊技盤5に覆われている部位は、演出表示装置115の表示領域を覆っている部位および流入口347と対向する部位を除く部位である。また、流入口347は、特定領域343や普通領域344が演出表示装置115の表示領域を覆う部位を経たのちであって且つ遊技盤5に覆われた部位に至るまでの位置に設けられている。本実施形態では、演出表示装置115の長方形の表示領域の上辺に沿う位置に設けられている。回転式振分装置294は時計回りに回転することから、特定領域343および普通領域344は、演出表示装置115の表示領域を覆う部位を経て且つ遊技盤5に覆われた部位に至る前に流入口347に至ることとなる。即ち、特定領域343は、常には遊技盤5に覆われて隠れていると共に、流入口347と対向する部位に至る前(即ち特定領域343または普通領域344への遊技球の受け入れに拘わるとき)にのみ視認可能となる。これにより、搬入片341が受入位置から投入位置に変位するタイミングと、特定領域343が流入口347と対向する部位を通過するタイミングと、が合致するか否かをより一層容易に把握できるようになる。
ところで、特別図柄当否判定手段612による判定処理の結果が小当りであると、これに基づいて上大入賞口141が開放する。そして、上大入賞口141内に遊技球が2球以上入賞した場合には、搬入片341内に保持された遊技球に連なって滞留する。そして、上大入賞口141が開放してから3600ms経過すると、搬入片341が受入位置から投入位置に変位し、搬入片341内に保持されている遊技球は、流入口347に送られる。そして遊技球が流入口347に滞留しているときに、いずれかの領域343,344が流入口347と対向すると、当該流入口347と対向した領域343,344に受け入れられる。そして、一の特定領域343に受け入れられた遊技球は、特定出口360から流出され、遊技球検出手段384によって検出されて、大当り遊技が行われる。なお、遊技球が普通領域344に受け入れられたときは、当該遊技球が普通出口361から流出され、このとき、大当り遊技は行われない。
また、本実施形態では、インターバルの時間について10パターンの時間が設定されていると共に、回転式振分装置294の回転速度が一定であって且つ役物上の特定領域343への遊技球の受け入れ確率が10分の1である。さらに、インターバル時間の最長時間と最短時間との差分の時間の間に、流入口347と対向する特定領域343は一つのみである。従って、通常遊技状態では、遊技者が、いかなるタイミングで特別図柄始動口82に遊技球を入賞させたとしても、理論上の大当り発生確率が10分の1となる。
これに対して、チャンスゾーンである微時短遊技状態では、インターバルパターンが、常に、第7パターン、第8パターンおよび第9パターンのうちいずれか一のパターンに選択決定されるとともに、特別図柄の変動が終了したタイミングで回転体297の回転作動が開始される。また、回転体297は、常に同じ特定位置から作動が開始されるので、チャンスゾーンにおいて小当りに当選すると、上大入賞口141に入賞した遊技球は、常に、特別領域343またはこれに隣接する普通領域344に受け入れられる(1回の小当りにつき、上大入賞口141に入賞した遊技球が特別領域343に受け入れられて大当り遊技が発生する確率は2分の1)。しかも、回転体297の作動態様は、通常遊技状態または有利状態にあるときとチャンスゾーン(微時短遊技状態)にあるときとで同じであるから、回転式振分装置294による役物抽選が遊技者に有利であるか否かを、回転体297の作動態様を視認しただけでは、把握することが困難となっている。また、特定領域343に遊技球が受け入れられるか否かは、上大入賞口141が開放されたときの特定領域343の位置によって決まる。これにより、チャンスゾーンでは、回転体297の作動態様を外観上視認しただけでは遊技者に把握されないかたちで、通常遊技状態よりも大当り遊技を発生させる確率を高めることが可能となる。しかも、時短機能が作動する有利状態が終了したことで、遊技者を一旦は落胆させているので、この状態から特別遊技状態を発生させうることができるようにすることで、より一層の興趣の低下を抑制できる。
なお、本実施形態では、回転式振分装置294に3つの特定領域343が形成されているが、この数は限られるものではなく、回転式振分装置294の回転速度が一定である限り、インターバルの最長時間と最短時間との差分の時間の間に、流入口347と対向する特定領域343の数が1つあればよい。
また、本実施形態では、通常遊技状態または有利状態における小当りフラグがONである場合に、インターバルの時間が互いに異なるインターバルパターンを10パターン設けることで、特別図柄の変動が終了した時点から起算して、搬入片341によって回転式振分装置294に投入されるまでの経過時間(言い換えれば、回転式振分装置294でいずれかの領域に振分けられるまでの経過時間)が10通りとなるようにした場合を例示した。しかし、この経過時間として所定数(ここでは、10通り)を具備することができるのであれば、他の手法を採用してもよい。
例えば、通常遊技状態または有利状態における小当りフラグがONである場合に、インターバルの時間が異なるインターバルパターンを複数パターンを設けるのに代えて、インターバルの時間を一定とし、回転体297の作動が開始する作動開始タイミングが互いに異なるタイミングパターンを複数パターンを設けてもよい。この場合は、あらかじめROMに当該待機時間として10パターンを記憶させておき、特別図柄の変動の終了に際して、ROMから当該10通りのタイミングパターンのうちのいずれか一つのタイミングパターンを選択すればよい。
以上、本実施形態のパチンコ機1について説明したが、本実施形態のパチンコ機1によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本実施形態のパチンコ機1は、ソフトウェア制御により内部的に行われる抽選処理とは違って、遊技球が特定領域343と普通領域344とのうちいずれに入るかといった抽選過程を視認できるので、抽選処理に対して遊技者に与える不信感を軽減できるだけでなく、大当り遊技が実行されるまでの過程に面白みを持たせることができる。しかし、役物抽選(機械式抽選)が行われたときには、毎回同じように行われる役物抽選に当選しなければ大当り遊技が実行されないとなると、遊技が単調となりかねず、興趣が低下するおそれがある。
また、本遊技機では、普通図柄当否判定手段602による当否判定にて普通当りの結果がえられるとともに特別図柄当否判定手段612による当否判定にて小当りの結果がえられ、さらには、当該小当りの結果がえられたことに基づいて開放された上大入賞口141から遊技球が進入してはじめて、役物抽選の機会がえられるようになっている。しかも、通常遊技状態と有利状態とでは、せっかく役物抽選の機会がえられたとしても、所定の確率(例えば10分の1)でしか遊技球が特定領域343に受け入れられないように役物抽選が行われるので、せっかく種々の関門を突破してようやく役物抽選にいたったにもかかわらず当該役物抽選にてハズレが続くと、遊技者にとっては、大当りにいたるまでの道のりが遠く感じられてしまうおそれがある。
そこで、本遊技機では、回転式振分装置294の作動態様に変化をもたせることなく、通常遊技状態や有利状態において遊技球が特定領域343に入る期待値よりも高い期待値をもって、上大入賞口141から進入した遊技球が特定領域343に入るように役物抽選が行われる高期待状態を作り出すことを可能にした。
しかしながら、役物抽選の抽選処理に対して遊技者に不信感を与えないようにする観点からいえば、ただ単に、上大入賞口141から進入した遊技球が特定領域343に入りやすくするだけではなく、回転式振分装置294の作動態様をみただけでは、上大入賞口141から進入した遊技球が特定領域343に入りやすい状態であるのか否かを、遊技者に把握されないかたちで高期待状態に制御する必要がある。また、遊技者は、遊技球が特定領域343と普通領域344とのうちいずれに入るかといった抽選過程を視認できるので、上記高期待状態に制御されると、高期待状態であることが一見して遊技者に把握されてしまい、高期待状態でない通常遊技状態での興趣が低下してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態のパチンコ機1では、回転式振分装置294を低期待状態(通常遊技状態や有利状態)と高期待状態(チャンスゾーンである微時短遊技状態)とで同じような態様で作動させることで、遊技球が特定領域344と普通領域344とのうちいずれに入るかといった抽選過程を視認できるかたちで役物抽選が行われるにもかかわらず、回転式振分装置294の作動態様からは、低期待状態であるか高期待状態であるかを把握し難くすることで、高期待状態にあることが秘密裡にされるようにしている。そして、このように低期待状態であるか高期待状態であるかにかかわらず、役物抽選を行うに際し、特別図柄当落判定手段612による判定結果が小当りである旨を示す画像が表示される都度、毎回、変動表示の終了タイミングで、同じ位置から特定領域343の変位が開始されるように、回転式振分装置294の回転を開始する。そしてさらには、高期待状態であっても低期待状態と同じような周期的な動きをもって特定領域343が変位するので、回転式振分装置294の作動態様からは、低期待状態にあるか高期待状態にあるかを把握することが難しくされている。
なお、本実施形態のパチンコ機1では、回転式振分装置294の演出動作をさらに興趣の高いものとするため、各種の工夫が施されている。例えば、先述のように、LED基板381において半円弧上に配設された複数のLEDは、回転体297の外周部に形成された特定領域343および普通領域344を介して、正面側の遊技者からその発光態様を視認可能となっている。そして、LED基板381が有する複数のLEDの発光態様によって、回転式振分装置294の演出動作に遊技者がより強い関心を惹くようにすることが可能となっている。
より具体的には、抽選情報表示領域1151において2つの装飾図柄の変動表示やランクアップ演出が実行されているときは、LED基板381が有する複数のLEDのうちで、少なくとも特定領域344の背後に位置するLEDが発光するように発光制御される。そして、遊技者からすれば、回転式振分装置294によって時計回り方向に回転する特定領域344を追いかけるように、LED基板381の各LEDも時計回り方向に順次発光しているように見える。これにより、回転式振分装置294の演出動作が煌びやかに装飾されるとともに、特定領域344の現在位置がより強調的に示唆されるため、遊技者の当りへの期待感を一層高めることができる。
さらに、抽選情報表示領域1151においてリーチ状態や当り(小当りまたは大当り)の発生を導出する演出が実行される際に、LED基板381が有する複数のLEDは全点灯状態となるように発光制御される。これにより、回転式振分装置294の演出動作がさらに煌びやかに装飾されるとともに、遊技者に対して視覚的に最も大きなインパクトが付与されるため、遊技者はリーチ状態や当り(小当りまたは大当り)の発生を確実に把握することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1を示したが、図柄が表示されるものであれば、パチンコ機以外の遊技機、例えば、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。
即ち、パチンコ機とは、遊技者が遊技機に投入する媒体である遊技球等の投入媒体と、遊技者が行う実質的な遊技に用いられる媒体である遊技媒体とを同一のものとした遊技機であり、投入された例えば遊技球等の媒体を用いて遊技が行われるタイプの遊技機の一種である。具体的には、「操作ハンドルの操作に対応して遊技球を発射する発射装置と、多数の障害釘、センター役物、表示手段等の適宜の機器が組み込まれたり、始動入賞口、大入賞口、通過口、到達口等の遊技球が入球する適宜の入球口が設けられた遊技領域と、発射装置から遊技領域に遊技球を導くレールと、遊技領域に導かれた遊技球の入球口への入球に応じたり、複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて、所定数の遊技球を賞球として払い出す払出手段とを備えるもの」である。
なお、パチンコ機としては、種々のタイプのものがあり、一般に「デジパチ」と称されるものに代表される「入球口への入球状態を検出する入球状態検出手段(即ち、遊技状態検出手段)と、入球状態検出手段によって入球が検出されると所定の抽選を行う抽選手段と、抽選手段の抽選結果に応じて特別図柄を変動させると共に変動を停止させる特別図柄表示手段とを備えたもの」や「加えて、特別図柄の変動中に、複数の装飾図柄からなる装飾図柄列を変動表示させるとともに、所定のタイミングでキャラクタ等を出現させる演出画像表示手段をさらに備えるもの」、一般に「複合機」と称されるものに代表される「役物内での遊技球の振分けによって抽選を行う抽選手段と始動口に入賞することによって抽選を行う抽選手段とを備えたもの」、一般に「アレパチ」と称されるものに代表される「例えば16個等の所定個数の遊技球により1ゲームが行われ、1ゲームにおける複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて所定個数の遊技球の払出しを行うもの」等を例示することができる。
一方、パチスロ機とは、遊技媒体であるメダルを投入し、メダルの投入後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させると共に、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させる、といった実質的な遊技を行うものであり、停止操作機能付きのスロットマシンである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合わせが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。この場合、例えば液晶表示等から成る画像表示装置にて演出等を行う図柄が表示されるようなものであれば、本発明を適用することができる。
また、パチンコ機とパチスロ機とを融合させた遊技機とは、複数個(例えば5個)の遊技球を1単位の投入媒体とし、投入媒体を投入した後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させるものである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合せが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
また、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させた遊技機等のように、投入する媒体によっては実質的な遊技が行われない遊技機では、一見、遊技媒体が存在しないかのように思われるが、このような遊技機であっても、遊技内容の全体において、遊技球やその他の適宜の物品を用いて行われる遊技を含ませることが想定できる。よって、このような遊技機であっても、遊技媒体を用いて遊技が行われる遊技機の対象とすることができる。
また、上述の実施形態における演出表示装置115は、液晶表示装置であることが好ましいが、必ずしも液晶表示装置に限られない。EL表示装置、プラズマ表示装置およびCRT等の表示装置等であってもよい。即ち、図柄を変動表示できれば、その態様は限られない。
上記の発明を実施するための形態で説明したパチンコ機1は、以下の技術思想としてあらわすことができる。なお、以下では、上記の発明を実施するための形態で記載した用語を上位概念化して記載するとともに、この「上位概念化した用語」と上記の「発明を実施するための形態に記載された用語」との対応付けを行うべく、「上位概念化した用語」に相当する上記の「発明を実施するための形態に記載された用語」を括弧内に記載している。ただし、「上位概念化した用語」に相当する上記の「発明を実施するための形態に記載された用語」を一旦括弧内に記載したのちは、重複記載を回避すべく、その後の記載において省略している。
技術思想1に記載の遊技機は、所定の動きをもって作動するとともに、所定の進入口から進入した遊技球を用いて抽選過程を視認できるかたちで役物抽選を行う役物抽選手段を備え、前記役物抽選に当選したことに基づいて大当り遊技が行われる遊技機であって、所定条件成立時に行われる先抽選にて所定の結果がえられたときに、前記所定の進入口への遊技球の進入の許容にかかる進入抽選が行われ、当該進入抽選手段にて特定の結果がえられたことに基づいて、常には閉鎖されている前記所定の進入口を開放することによって、前記所定の進入口への遊技球の進入を許容する進入許容制御手段、を備え、通常状態では、前記先抽選にて前記所定の結果がえられるとともに前記進入抽選にて前記特定の結果がえられ、さらには、当該特定の結果がえられたことに基づいて開放された前記進入口から遊技球が進入したとしても、当選確率が所定の確率でしかないように前記役物抽選が行われるものであり、さらに、前記通常状態よりも高い頻度で前記役物抽選手段による前記役物抽選が行われうる高頻度抽選状態、及び、該高頻度抽選状態よりも低い頻度でしか前記役物抽選手段による前記役物抽選が行われえない低頻度抽選状態、を含む遊技状態のうちいずれかに制御する抽選状態制御手段と、前記役物抽選がその抽選過程を視認できるかたちで行われるにもかかわらず、前記低頻度抽選状態においては、当該役物抽選の当選確率を把握することが困難なかたちで、前記通常状態における前記所定の確率よりも高い確率で当選されるように前記役物抽選手段を作動させる秘密裡低頻度高期待制御手段とを備えるものである。
本遊技機は、所定の進入口(上大入賞口141)から進入した遊技球を用いて役物抽選を行う役物抽選手段(回転式振分装置294)を備え、この役物抽選に当選したことに基づいて大当り遊技が行われる。
役物抽選手段は、当り口(特定領域343)とハズレ口(普通領域344)とを有しており、少なくとも当り口が周期的な動きをもって変位するように、所定の動きを行っている。そして、所定の進入口から進入した遊技球は、このような周期的な動きをもって変位する当り口に受け入れられると当選と判定されて大当り遊技が行われる。一方、ハズレ口に受け入れられると、遊技機外に排出される(このとき、大当り遊技は行われない)。このような抽選過程は、外部から(例えば遊技者が)視認できるようになっている。
なお、この種の遊技機では、進入口から進入した遊技球は、当り口またはハズレ口に受け入れられる前(すなわち役物抽選に供される前)に、一旦、停留手段(搬入片341)により所定の停留位置(搬入片341内に収まった位置)にて停留される。そして、当該停留が停留解除手段によって解除されると、この停留が解除されたタイミングに応じて、停留が解除された遊技球が当り口またはハズレ口に受け入れられる。ただし、停留手段による停留の解除は、所定の進入口が開放されてから一定時間(本実施形態では3600ms)経過後に解除されるようになっている。この一定時間は、遊技者に不信感を与えないように不変となっている。この停留解除手段による停留の解除の詳細については後述する。
さて、上記の役物抽選にいたるまでには、以下の関門を突破する必要がある。先ず、遊技領域を流下する遊技球が第1受入口(普通図柄始動口96)に受け入れられると、上記の役物抽選に先だって、先抽選手段(普通図柄当否判定手段602)による先抽選(普通図柄の当否判定)が行われる。この先抽選にて所定の結果(普通当り)がえられると、第2受入口(特別図柄始動口82)への遊技球の受け入れが可能となる。この第2受入口は、遊技領域を流下する遊技球の受け入れが常には困難な拒球態様に維持されており、先抽選にて所定の結果がえられると、拒球態様よりも遊技球の受け入れが容易化された許球態様に変位される。なお、拒球態様から許球態様への変位は、先抽選にて所定の結果がえられたときに限られるものではない。
第2受入口が許球態様となったときに、遊技領域を流下する遊技球がこの第2受入口に受け入れられると、進入抽選手段(特別図柄当否判定手段612)により、所定の進入口への遊技球の許容にかかる進入抽選(特別図柄の当否判定)が行われる。所定の進入口は、常には閉鎖されており、進入抽選の結果が特定の結果(小当り)であるときに、進入許容手段(小当り遊技実行手段617)により開放されて、遊技領域を流下する遊技球の進入が可能となる。
このように、役物抽選は、第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて行われた先抽選にて所定の結果がえられてはじめて第2受入口への遊技球の受け入れが可能となり、この第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて行われた進入抽選にて特定の結果がえられたときに行われるので、通常状態では、所定の頻度でしか役物抽選が行われない。
なお、遊技領域を流下する遊技球が第2受入口に受け入れられたことに基づいて大当り抽選を行い、この大当り抽選に当選したときには、上記役物抽選を行うことなく(または役物抽選を行って当該役物抽選の結果がハズレであったとしても)、大当り遊技が実行されるようにしてもよい。このとき、第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて大当り抽選が行われ、当該大当り抽選の結果がハズレであるときに、上記進入抽選が行われるようにするとよい。また、進入抽選が行われたときには、常に、特定の結果がえられるようにしてもよい。
また、本遊技機は、所定の画像が表示される表示手段(演出表示装置115)を備えており、少なくとも進入抽選の結果を示す画像が表示されるように、表示制御手段(液晶制御基板758)により表示制御される。進入抽選の結果が特定の結果であるときには、遊技者を鼓舞する演出を行うようにするとよい。そして、進入抽選の結果が特定の結果である旨を示す画像が表示手段に表示されてから、所定の待機時間(インターバルパターン決定手段624により決定されたインターバル時間)を経て、進入口が開放される。
上述したように、進入口から進入した遊技球は、所定の停留位置にて一旦は停留される。このように所定の停留位置に停留された遊技球は、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示手段に表示されたときを起点とする所定の待機時間を経たのちに、停留解除手段(振分装置駆動機構336)によって停留が解除される。とくに通常状態では、複数の待機時間(第1パターン〜第10パターン)のなかからいずれか一の待機時間が選択されて、当該選択された一の待機時間が経過したときに、停留位置に停留されている遊技球の停留が停留解除手段によって解除される。なお、複数の待機時間のなかからいずれか一の待機時間が選択される確率には偏りがなく、いずれの待機時間についても同じ確率で選択されうる。ただし、上述したように、停留手段による停留の解除は所定の進入口が開放されてから不変の一定時間経過後に解除されるので、上記の複数の待機時間は、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示手段に表示されてから所定の進入口が開放されるまでの時間が互いに異なっている。
例えば、役物抽選手段が有する当り口の数が1つ、同じく役物抽選手段が有するハズレ口の数がN個(Nは自然数)であるとき、選択されうる待機時間の数が(N+1)の整数倍(この数をMとする)であることが好ましい。通常状態では、このM個の待機時間が、それぞれ、(N+1)個の抽選口(当り口及びハズレ口)のうちいずれか一つに均等に割り当てられる。詳しくは、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示手段に表示されると、選択された待機時間が経過したのちに停留が解除されるので、通常状態では、停留位置に停留されている遊技球の停留が解除されると、当該遊技球は、(N+1)分の1の確率で、(N+1)個の当り口及びハズレ口のうちいずれかの口に受け入れられることとなる。こうすることで、通常状態では、せっかく役物抽選の機会がえられたとしても、(N+1)分の1の確率でしか当り口に受け入れられないこととなる。このように、所定の進入口から進入した遊技球が(N+1)個の抽選口のいずれか一つに受け入れられる確率が均等であるときには、当り口とハズレ口との比率は1対3以上であることが好ましく、さらには1対4以上であることが好ましい(理由は後述する)。
本遊技機の役物抽選手段について詳述すると、当り口が常には同じ位置(特定位置)で停止しており、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示される都度、所定の周期的な動きをもって変位するように、役物抽選手段の作動が開始される。そして、役物抽選が終了すると、当り口が上記特定位置にあるときに役物抽選手段の作動が停止する。このように、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示される都度、当該画像が表示されたときを起点として、上記特定位置に停止している当り口が所定の周期的な動きをもって変位するように役物抽選手段の作動が開始されるので、停留位置に停留している遊技球が当り口に受け入れられるか否かについては、当該遊技球の停留が解除されるタイミング(すなわち複数の待機時間のなかからいずれの待機時間が選択されるか)に依存することとなる。
また、本遊技機は、ソフトウェア制御により内部的に行われる抽選処理とは違って、役物抽選の抽選過程を視認できるので、抽選処理に対して遊技者に与える不信感を軽減できるだけでなく、大当り遊技が行われるまでの過程に面白みを持たせることができる。しかし、この種の遊技機では、先抽選にて所定の結果がえられるとともに進入抽選にて特定の結果がえられ、さらには、当該特定の結果がえられたことに基づいて開放された進入口から遊技球が進入してはじめて、役物抽選の機会がえられるようになっている。したがって、せっかく役物抽選までいたったにもかかわらず当該役物抽選にてハズレが続くと、大当りにいたるまでの道のりが遠く感じられ、かえって興趣が低下しかねないといった問題をはらんでいる。とくに、大当り遊技が終了したのちに、所定の期間に限って(例えば特別抽選ひいては特別図柄の変動表示が2回行われるまで)、役物抽選が行われる頻度が通常状態(大当り遊技中でなく且つ後述する高頻度抽選常態(時短遊技状態)でも低頻度抽選状態(微時短遊技状態)でもない通常遊技状態)よりも高められうる有利状態(例えば時短遊技状態)に制御されるような場合であれば、せっかくこのような有利状態に制御されたとしても、役物抽選の抽選過程を遊技者が視認できることから、所定の進入口から遊技球が進入した時点で当り口に受け入れられないことを察知できてしまうことがあり、興趣が低下するおそれがある。とくに、有利状態に制御される期間に限りがある場合にはそれが顕著である。
そこで、本遊技機は、通常状態の他に、高頻度抽選状態(時短遊技状態)と低頻度抽選状態(微時短遊技状態)とを含む遊技状態のうちいずれかに制御する抽選状態制御手段(普通当たり遊技実行手段607)を備えるようにしている。高頻度抽選状態は、通常状態よりも高い頻度で役物抽選手段による役物抽選が行われうる状態であり、低頻度抽選状態は、高頻度抽選状態よりも低い頻度でしか役物抽選手段による役物抽選が行われえない状態である。なお、「通常状態よりも高い頻度で役物抽選手段による役物抽選が行われうる」手法としては、例えば、受入口への遊技球の受け入れが通常状態よりも容易化されること等が考えられる。
また、本遊技機は、役物抽選がその抽選過程を視認できるかたちで行われるにもかかわらず、低頻度抽選状態では、役物抽選手段の作動態様に変化をもたせることなく、役物抽選の当選確率を把握することが困難なかたちで、通常状態における所定の確率よりも高い確率で当選されるように役物抽選手段が作動される高期待状態(時短時決定手段626、小当り遊技実行手段617及び回転体駆動手段405によって制御される状態)に制御する秘密裡低頻度高期待制御手段(状態に応じてインターバル時間の決定方法を変えるインターバルパターン決定手段624、および、状態が異なっても回転式振分装置294を同じような態様で作動させる回転体駆動手段405の両方を含む概念)を備えている。この秘密裡低頻度高期待制御手段は、高期待状態にあるか否かにかかわらず、役物抽選を行うに際し、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示される都度、同じタイミングで同じ位置から当り口の変位を開始する。そしてさらには、高期待状態であっても通常状態と同じような周期的な動きをもって当り口を変位させる。このようにして、役物抽選手段の作動態様からは、高期待状態にあるか否かを把握することが難しくされている。
また、秘密裡低頻度高期待制御手段は、進入口から進入した遊技球が当り口に受け入れられる確率が高められるように、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示手段に表示されてから特定の待機時間が経過したのちに、進入許容制御手段により進入口が開放されるようにしている。上記の特定の待機時間は、上記の複数の待機時間のうち、進入口から進入した遊技球が当り口に受け入れられる確率が他の待機時間よりも高められる時間である。すなわち、役物抽選が行われるに際し、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示される都度、同じタイミング(進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示されたタイミング)で同じ位置(特定位置)から当り口の変位が開始されるにもかかわらず、進入口から進入した遊技球が通常状態における所定の確率((N+1)分の1)よりも高い確率で当り口に受け入れられるようになる。このように、役物抽選が行われるに際し、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示される都度、同じタイミングで同じ位置から当り口の変位が開始されるにもかかわらず、進入口から進入した遊技球が通常状態における所定の確率よりも高い確率で当り口に受け入れられる理由は、以下のとおりである。
すなわち、上述したように、通常状態では、進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示されたときを起点として、複数の待機時間のうち選択されたいずれかの待機時間が経過したときに、上記の所定の進入口が開放される。これにより、通常状態では、所定の進入口が、都度異なるように変化をもたせて開放されることとなる。これに対し、高期待状態では、上記複数の待機時間のうち特定の待機時間のみが選択されることとなる。この高期待状態において選択されうる特定の待機時間は、上記の所定の進入口が開放されたときに進入した遊技球が、当り口に受け入れられる確率が高められる時間である。例えば、1つの当り口とN個(3以上の自然数が好ましい)のハズレ口とのうち、1つの当り口及び当該当り口に隣接する2つの当り口のうちいずれかの口に、上記所定の進入口から進入した遊技球が受け入れられるように待機時間が選択されると、上記所定の進入口から進入した遊技球が当り口に受け入れられる確率は、通常状態では(1+N)分の1であったものが、高期待状態では3分の1に高められることとなる。これが、上述した当り口とハズレ口との比率が1対4以上であることが好ましい理由である。つまり、通常状態では、進入口から遊技球が進入した時点で、当り口に受け入れられないことを、進入口に遊技球が進入したタイミングに基づいて容易に察知できることがありえる。ただし、本実施形態のパチンコ機1によると、高期待状態では、役物抽選手段の作動態様からは通常状態にあるか高期待状態にあるかを把握し難いにもかかわらず、進入口から進入した遊技球は、当り口または当該当り口に隣接するハズレ口に受け入れられる(すなわち、たとえハズレであったとしても当り口に隣接するハズレ口に受け入れられる)可能性が高くなり、興趣の低下を抑制できる。
このように、本遊技機では、抽選過程を視認できるかたちで役物抽選が行われるにもかかわらず、当り口が変位される作動態様(すなわち役物抽選手段の作動態様)からは、高期待状態にあるか通常状態にあるかを把握することが困難となるようにされている。これにより、遊技者の遊技意欲がそがれることなく、遊技者は、常に高期待状態にあることに期待感を抱きながら遊技を行うことが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。とくに、大当り遊技が終了したのちの有期の高頻度抽選状態が終了したのちの低頻度抽選状態において高期待状態とされる遊技機では、高頻度抽選状態において大当り遊技が発生することなる当該高頻度抽選状態が終了したとしても、遊技意欲ひいては大当り遊技が実行される期待感の喪失が軽減されるので、遊技機全体における興趣の低下を抑制することができる。
また、上記の技術思想1は、本遊技機の技術思想と核となる部分をあらわしたが、上記に説明した本遊技機は、さらに詳しくは、例えば以下の技術思想2のようにあらわすことができる。
技術思想2に記載の遊技機は、所定の進入口から進入した遊技球を用いて抽選過程を視認できるかたちで役物抽選を行う役物抽選手段を備え、前記役物抽選に当選したことに基づいて大当り遊技が行われる遊技機であって、前記役物抽選手段は、前記所定の進入口から進入した遊技球を所定の停留位置にて一旦停留させうる停留手段を有し、当該停留手段にて停留された遊技球の停留が解除されて、当該遊技球が周期的な動きをもって変位する当り口に受け入れられたときに当選とするものであり、所定の画像が表示される表示手段と、前記遊技領域を流下する遊技球を受け入れ可能な第1受入口と、前記第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて、前記役物抽選に先だって行われる先抽選を行う先抽選手段と、前記遊技領域を流下する遊技球の受け入れが常には困難な拒球態様に維持されるとともに、前記先抽選にて所定の結果がえられたときに、前記拒球態様よりも前記遊技球の受け入れが容易化された許球態様に変位される第2受入口と、前記第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて、前記所定の進入口への遊技球の進入の許容にかかる進入抽選を行う進入抽選手段と、前記進入抽選手段にて特定の結果がえられたことに基づいて、常には閉鎖されている前記所定の進入口を開放することによって、前記所定の進入口への遊技球の進入を許容する進入許容制御手段と、前記表示手段にて少なくとも前記進入抽選の結果を示す画像が表示されるように制御する表示制御手段と、前記進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が前記表示手段に表示されてから所定の待機時間を経たのちに前記停留手段による遊技球の停留を解除するものであり、通常状態にて当該停留手段による遊技球の停留を解除するにあたり、前記所定の待機時間を都度異ならせるべく、複数の待機時間のなかから選択された待機時間が経過したことをもって前記遊技球の停留を解除する停留解除手段と、を備え、前記通常状態では、前記先抽選にて前記所定の結果がえられるとともに前記進入抽選にて前記特定の結果がえられ、さらには、当該特定の結果がえられたことに基づいて開放された前記進入口から遊技球が進入したとしても、当該遊技球が前記当り口に受け入れられる確率が所定の確率でしかないように前記役物抽選が行われるものであり、前記役物抽選手段は、前記進入抽選にて特定の結果がえられたことを示す画像が表示される都度、当該画像が表示されたのちの同じタイミングで同じ位置から前記当り口の変位を開始することによって、前記役物抽選の結果が前記待機時間に依存しうるように当該役物抽選を行い、さらに、前記通常状態よりも高い頻度で前記役物抽選手段による前記役物抽選が行われる高頻度抽選状態、及び、該高頻度抽選状態よりも低い頻度でしか前記役物抽選手段による前記役物抽選が行われえない低頻度抽選状態、を含む遊技状態のうちいずれかに制御する抽選状態制御手段と、前記役物抽選がその抽選過程を視認できるかたちで行われるにもかかわらず、前記低頻度抽選状態においては、当該役物抽選の当選確率を把握することが困難なかたちで、前記通常状態における前記所定の確率よりも高い確率で当選されるように前記役物抽選手段が作動される高期待状態に制御する秘密裡低頻度高期待制御手段とを備え、前記秘密裡低頻度高期待制御手段は、前記通常状態では前記所定の待機時間が都度異なるように変化をもたせて解除される前記所定の位置に停留される遊技球の停留を、前記停留位置に停留されている遊技球が前記当り口に受け入れられる確率が高められるように、前記複数の待機時間のうち特定の待機時間が経過したことをもって、前記停留解除手段による前記遊技球の停留が解除されるようにし、前記抽選過程を視認できるかたちで前記役物抽選が行われるにもかかわらず、前記低頻度抽選状態においては、前記当り口が変位される作動態様からは、前記高期待状態にあるか前記通常状態にあるかを把握することが困難となるかたちで前記高期待状態に制御されるようにしたものである。