JP6045925B2 - 発熱回転体 - Google Patents

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本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に使用される回転体(ローラやエンドレスベルト等)に関する。より具体的には、回転体自体が発熱し、画像形成装置の定着ローラ等として好適に用いられる発熱回転体に関する。
一般に、複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、露光工程、現像工程、転写工程を通して記録紙等の被転写材上に形成されたトナー像を定着する画像形成プロセスが行われている。定着には、加熱された定着ローラと加圧ローラの間に、未定着のトナー像を載せた被転写材を通過させて加熱、加圧する方法が広く採用されている。
定着ローラとしては、金属や、ポリイミド樹脂等の耐熱性の樹脂からなるチューブを基材とし、その外表面に離型性を付与するためのフッ素樹脂層を設けてなるものが広く用いられている。図3は、このような定着ローラを使用した定着工程の例を模式的に示す断面図である。図3に示すように、定着ローラ1内に設けられた加熱手段2、例えばセラミックヒータにより加熱された定着ローラ1により被転写材4上の未定着トナー像5を加熱するとともに加圧ローラ3により加圧して定着し、定着トナー像6が形成される。定着ローラの加熱手段としては、ハロゲンヒータ、IH加熱等により定着ローラの外部より加熱する方法も挙げることができ、主として基材が金属の場合に行われている。
近年、画像形成装置には、電源投入後の待ち時間の短縮、消費電力の低減、定着速度の高速化等が求められている。この要請を満たす方法として、定着ローラの熱伝導性の改良が検討されており、例えば、特許文献1では、ポリイミド樹脂中に熱伝導性に優れた無機フィラー、例えば窒化ホウ素(BN)を配合して熱伝導性が向上された定着ベルトが開示されている。
しかし、より高いエネルギー効率を得るためには、通電により直接定着ローラ自体を発熱させる方法が好ましく、この方法に使用できる定着ローラの開発が望まれる。そして、近年の画像形成装置に使用可能なサイズの回転体であって、通電により急速に発熱するとともに、ローラ表面全体にわたる均一な加熱が可能であり、さらに定着ベルトとして使用できる機械的強度を有する発熱回転体の開発が望まれていた。
ポリイミド樹脂等の機械的強度が優れる樹脂に導電性を付与した面状発熱体はすでに知られている。例えば特許文献2には、ポリイミドからなるマトリックス樹脂中にカーボンナノ材料及びフィラメント状金属微粒子からなる導電性物質が実質的に均一に分散されて存在している発熱層を有する面状発熱体が開示されている。
特開平8−80580号公報 特許第5017522号公報
しかし、特許文献2に記載の面状発熱体に、通電による急速な発熱が得られるようにカーボンナノ材料及びフィラメント状金属微粒子を配合すると発熱体が脆くなる。従って、成形性が低く、湾曲した発熱層を有するローラ、特に画像形成装置に使用される定着ローラとして適当なサイズを有するローラの作製は困難と考えられていた。
本発明は、画像形成装置中に設けられる定着ローラとして好適に使用できるサイズ及び機械的強度を有する回転体であって、直接通電することによる急速な温度上昇が可能であり、及び、面方向、周方向での温度のバラツキが非常に少なく均一に発熱することができる発熱回転体を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリイミド樹脂中にフィラメント状ニッケル微粒子を含有させて発熱層を形成することにより、急速な温度上昇が可能でかつ均一に発熱する発熱回転体が得られることを見出し、本発明を完成した。
請求項1に記載の発明は、ポリイミド樹脂を主体とするマトリックス樹脂中に、フィラメント状ニッケル微粒子を分散させてなる発熱層を有することを特徴とする発熱回転体である。
本発明の発熱回転体は、画像形成装置中の定着ローラとして好適に用いることができる回転体であって、通電により発熱する発熱層を有するものである。発熱層は、ポリイミド樹脂を主体とするマトリックス樹脂中に、フィラメント状ニッケル微粒子を分散させて導電性が付与された樹脂組成物により形成され、通電により発熱してトナーの定着に要する温度まで短時間で昇温できるように、導電性(電気抵抗)を有するものである。
ポリイミド樹脂を主体とするとは、ポリイミド樹脂のみからなること、及びポリイミド樹脂を主成分とするが本発明の趣旨すなわち優れた機械的強度等が損なわれない範囲で他の樹脂が配合されていること、のいずれも含む意味である。優れた機械的強度を得るため通常マトリックス樹脂中のポリイミド樹脂の割合は50体積%以上であり、好ましくは70体積%以上である。
マトリックス樹脂中に、導電性付与材として配合されるフィラメント状ニッケル微粒子は、ストランドが三次元的に連なった形状を有するニッケル微粒子であり、平均粒径(フィシャー値)が3μm以下のものが好ましく用いられる。中でも、カーボニル法で製造され、平均粒径(フィシャー値)2.2〜2.8ミクロン(ASTMB330)、見掛密度(スコットボリュメータ)0.50〜0.65g/cc(ASTMB329)、比表面積(BET値)0.7m/g以下のニッケルパウダーType255(カーボニルNi255)を、特に好ましい例として挙げることができる。
マトリックス樹脂中に導電性微粒子を配合することにより発熱に必要な導電性が付与されるが、一方樹脂は脆くなり、発熱回転体の発熱層(ロール状)の形成が困難になる。導電性微粒子としてフィラメント状ニッケル微粒子を用いた場合は、優れた機械的強度を有する発熱層の形成が可能な範囲の配合量で、発熱層に必要な導電性(抵抗値)を付与することができるが、他の金属、例えば銀、銅やアルミニウムの微粒子や他の形状のニッケル微粒子例えばスパイク状ニッケル微粒子を用いた場合は、優れた機械的強度を有する発熱層の形成が可能な範囲の配合量では、発熱層に必要な導電性(抵抗値)を付与することはできない。
マトリックス樹脂中へのフィラメント状ニッケル微粒子の配合量の好ましい範囲は、微粒子の大きさや、後述する他の導電性粒子の配合量等により変動するので、特定することはできない。しかし、フィラメント状ニッケル微粒子としてカーボニルNi255を用い、他の導電性粒子を配合しない場合は、マトリックス樹脂に対して16体積%以上の配合で、発熱回転体の発熱層に望まれる導電性、すなわち、通電による急速な温度上昇(発熱)を可能にする導電性である表面抵抗率10Ω/□以下を達成することができる。
一方、配合量が多すぎる場合は、樹脂が脆くなり回転体状にするための成形性(ロール形状の作製のし易さ)が劣り、近年の画像形成装置に求められるようなサイズの定着ローラを作製しにくくなる。又定着ローラの発熱層に必要な機械的強度は得られない。フィラメント状ニッケル微粒子としてカーボニルNi255を用い、他の導電性粒子を配合しない場合は、成形性や機械的強度の点からマトリックス樹脂に対して30体積%以下が好ましい。このように、フィラメント状ニッケル微粒子の配合量を調整することにより、通電による急速な温度上昇(発熱)を可能にする導電性が得られるとともに、近年の画像形成装置に求められるようなサイズの定着ローラの作製を可能にし、又定着ローラの発熱に必要な機械的強度、すなわち引張試験、突刺試験、捻り試験、MIT試験の規格を超える機械的強度を得ることができる。
請求項2に記載の発明は、さらにアルミニウム微粒子を分散させてなることを特徴とする請求項1に記載の発熱回転体である。
マトリックス樹脂中へ配合される導電性粒子として、フィラメント状ニッケル微粒子に加えて、本発明の趣旨を損ねない範囲、すなわち、発熱回転体の発熱層を形成するために必要な樹脂の成形性や機械的強度が得られる範囲で、他の導電性粒子をフィラメント状ニッケル微粒子と併用して配合することができる。他の導電性粒子としては、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、アルミニウム粉等を挙げることができる。
導電性付与材としてフィラメント状ニッケル微粒子を単独で用いる場合は、比較的少量の添加で高い導電性(低い抵抗値)が得られるが、一方配合量の振れによる導電性の変動が大きく、発熱層全体にわたる均一な発熱性を付与しにくい傾向がある。発熱性はトナーの定着の挙動に大きな影響を与え、不均一な発熱性により画像が悪影響を受けるので、発熱層全体にわたる均一な発熱性が求められる。フィラメント状ニッケル微粒子の配合量を減少させ、代わりにカーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、アルミニウム粉等を併用することにより、発熱層全体にわたり均一な発熱性を付与しやすくなるので好ましい。
フィラメント状ニッケル微粒子と併用する導電性付与材の中でも、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブは、アルミニウム粉よりも、同じ導電性を得るために多くの配合量を要する。その結果樹脂の成形性や機械的強度を低下させる傾向が大きい。一方、アルミニウム粉を使用すれば、より少ない配合量で高い導電性(低い抵抗値)を付与でき、従って樹脂の成形性や機械的強度の低下が小さいので好ましい。
請求項3に記載の発明は、アルミニウム微粒子の配合量がフィラメント状ニッケル微粒子の配合量の1.2質量倍以下であることを特徴とする請求項2に記載の発熱回転体である。
フィラメント状ニッケル微粒子と併用する導電性付与材としてアルミニウム微粒子を用いた場合でも、その配合量がフィラメント状ニッケル微粒子の配合量に比べて多すぎる場合は、樹脂の成形性や機械的強度が低下する。従って、アルミニウム微粒子の配合量がフィラメント状ニッケル微粒子の配合量の1.2質量倍以下が好ましく、より好ましくは1.0質量倍以下である。
請求項4に記載の発明は、定着ローラであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発熱回転体である。
本発明の発熱回転体は、通電により回転体自体が急速に発熱し、又、発熱層を形成する樹脂組成物の成形性や機械的強度が優れ、近年の画像形成装置に求められるようなサイズの定着ローラを作製しやすい。従って、画像形成装置の定着ローラとして好適に使用される。
本発明の発熱回転体は、直接通電することによる急速な温度上昇が可能である。特に、フィラメント状ニッケル微粒子とともにアルミニウム粉を併用する場合は、面方向、周方向での温度のバラツキが非常に少なく均一に発熱する回転体とすることができる。又、近年の画像形成装置の定着ローラとして好適なサイズとすることが可能であり、定着ローラとして必要な機械的強度を有するので、画像形成装置の定着ローラとして好適に用いられる。
本発明の発熱回転体を模式的に示す斜視図である。 本発明の発熱回転体の発熱層の作製方法を模式的に示す説明図である。 従来技術の画像形成装置の定着工程を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の具体的な形態を説明する。なお、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の発熱回転体の一例を模式的に示す斜視図である。図1中、12は、発熱層であり、11は発熱層12の表面を被覆する表層(絶縁層)であり、又、14は発熱層12の両端にそれぞれ接続する電極であり、15は各電極14に接続する配線(電線)である。
本発明の発熱回転体は、発熱層12の上に表層11が積層されてなる。図1に示されているように、発熱回転体の両端部には、表層11は設けられておらず、代わりに電極14が、発熱層12の表面を覆い発熱層12と電気的に接続している。電極14は配線15と電気的に接続しており、配線15に電圧を印加することにより、発熱層12に通電することができる。電極14と配線15の接続は、発熱回転体の回転すなわち電極14の回転を妨げない態様で行われる。
発熱層12は、ポリイミド樹脂からなるマトリックス樹脂中にフィラメント状ニッケル微粒子及びアルミニウム粉からなる導電性物質が実質的に均一に分散された樹脂組成物により形成されている。ポリイミド樹脂としては、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを有機極性溶媒中で重合させて得られるポリイミド前駆体をイミド転化してなるポリイミドが好ましい。ポリイミド前駆体の合成反応に使用する材料や反応条件としては、例えば特許文献2に開示されている材料や条件を採用することができる。
すなわち、芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、m−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノプロピルテトラメチレン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、3−メチルヘプタメチレンジアミン等を挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物等を挙げることができる。これらの芳香族ジアミン及び芳香族テトラカルボン酸二無水物は単独であるいは混合して用いることができる。
反応に使用する有機極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、ピリジン、ジメチルテトラメチレンスルホン、テトラメチレンスルホン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
発熱層12は、前記ポリイミド前駆体のワニス、すなわちポリイミド前駆体を有機溶媒に溶解したものにフィラメント状ニッケル微粒子及びアルミニウム粉を実質的に均一に分散させ、その分散液を膜状に成形した後、有機溶媒の除去(乾燥)及びイミド転化を行うことにより形成されたものである。ポリイミド前駆体を溶解し、フィラメント状ニッケル微粒子及びアルミニウム粉等を分散する有機溶剤としては、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を挙げることができる。
フィラメント状ニッケル微粒子としては、前記のNi255等を挙げることができる。アルミニウム粉としては、東洋アルミニウム社製の12−0080、12−0081等を挙げることができる。発熱層の体積抵抗率を、定着ローラとして好適な発熱回転体に望まれる範囲にコントロールすることは、ポリイミド樹脂へのフィラメント状ニッケル微粒子の配合のみでは難しい場合が多い。そこで、フィラメント状ニッケル微粒子と他の導電性付与材の併用が好ましい場合が多い。特に比較的少量の配合量で効果を奏することができるアルミニウム粉の併用が好ましい場合が多い。
ポリイミド前駆体のワニスにフィラメント状ニッケル微粒子等を分散させた分散液を、膜状に成形する方法としては、その分散液を、円柱状または円筒状芯体の表面(外面又は内面)に、ディスペンサーを用いて塗布して塗布層を形成する方法(ディスペンサー法)等を挙げることができる。具体的には、円柱状又は円筒状の芯体の外面又は内面に、ディスペンサー供給部の吐出口を近接又は接触し、芯体を回転させながら、かつ吐出口を芯体の回転軸方向に相対的に移動させながら、吐出口より、芯体の外面上に、分散液を連続的に供給して塗布層を形成し、その後、溶媒の乾燥やイミド転化等を施して塗布層を固化し、脱型する方法を挙げることができる。
図2は、このディスペンサー法の説明図である。図2に示すように、円柱状芯体24を周方向に回転させながら、分散液をディスペンサーの供給部21から連続的に、円柱状芯体24の外面に供給する。該供給部の吐出口22は、該芯体24の外面に接触させる。分散液をディスペンサーの供給部21の吐出口22から連続的に供給するとともに、該供給部21を芯体の回転軸方向に相対的に移動させると、供給した分散液が螺旋状に塗布されて塗布層23が形成される。通常、ディスペンサー供給部21を芯体24の回転軸方向に移動させるが、芯体24を回転させながらディスペンサー供給部21に対して回転軸方向に移動させてもよい。回転速度及び移動の速度は、芯体24の表面に隙間無く分散液が塗布され、螺旋状に塗布された分散液の隣接部分が結合して均一な塗布層を形成できる速度とする。ディスペンサー供給部の吐出口22は、通常ノズルとなっている。この塗布工程の後、常法により、分散液中のポリイミド前駆体を加熱硬化(イミド転化)すると、フィルム状の発熱層12が生成する。
ポリイミド前駆体(「ポリアミド酸」または「ポリアミック酸」ともいう)は、芳香環に隣接する位置にカルボキシル基及びアミド基を有するが、イミド転化とは、このカルボキシル基及びアミド基を脱水閉環してポリイミド化する反応である。イミド転化は、ポリイミド前駆体を、350℃から450℃まで加熱することにより行われる。従って、前記分散液中の溶媒の除去(乾燥)とイミド転化を同時に行うことができる。このイミド転化を行うことにより発熱層12が形成される。
上記のようにして発熱層12を形成した後、発熱層12の両端部に電極14が形成される。電極14は、発熱層12に電力を供給する作用をするものであり、例えば、銀ペースト等の導電性塗料を発熱層12の両端部上に塗布した後固化する方法、金属箔や金属網等を発熱層12の両端部上に被せる方法により形成することができる。
電極14が形成された部分以外の発熱層12上には、表層11が形成される(表層11の形成を電極14の形成より先に行ってもよい)。表層11は、発熱層12の保護層及び絶縁層としての作用とともに定着ローラとして使用したときに紙の離形性を良くする作用をするものである。従ってその材料としては、離形性に優れ、機械的強度や絶縁性にも優れるフッ素樹脂が好ましい。
表層11の形成に使用されるフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(PETFE)を単体で、又はこれらを混合して用いることができる。発熱層12で発生した熱量を効率よく被加熱物(紙)に伝達するためフッ素樹脂は熱伝導性物質を含むこともできる。
表層11の形成は、フッ素樹脂を含有するワニスや分散液を、発熱層12の上に塗布した後、溶媒の除去(乾燥)や焼結する方法により行うことができる。なお、発熱層12と表層11の間には、中間層として接着層を設けてもよい。接着層が設けられる場合は、発熱層12上に、接着剤の塗布等により接着層が形成され、その接着層上に、前記のようにして表層11が形成される。
フッ素樹脂を含有するワニスや分散液の塗布は、例えば、前記のディスペンサー法と同様にして行うこともできる。フッ素樹脂の焼結は、発熱層12の形成工程でのイミド転化と同時に行ってもよい。すなわち、発熱層12の形成工程での分散液の塗布後分散液の溶媒を乾燥してなる層の上に、フッ素樹脂を含有するワニスや分散液を塗布し、さらにその後イミド転化の温度まで加熱する方法を採用してもよい。イミド転化の温度はフッ素樹脂の融点以上の温度であるので、ポリイミド前駆体のイミド転化とともにフッ素樹脂の焼結が同時に行われる。
発熱回転体が定着ローラであるとき等は、加圧ローラとの間でトナーを加圧するための加圧手段を発熱層の内側に設けてもよい。例えば、加圧手段を円柱状とし、この円柱の表面上に発熱層を設けてもよい。
発熱回転体の回転は、例えば、紙との摩擦力により行われる。しかし、前記のように円柱状の加圧手段の上に発熱層を設けた場合は、この加圧手段と発熱層を接着させて、加圧手段を回転させることにより発熱回転体を回転させることもできる。
又、発熱層の片端側もしくは両端側に、保護絶縁層を設ける構成も考えられる。例えば、発熱層の片端側もしくは両端側において、フッ素樹脂からなる表層11とポリイミドからなる発熱層12の間に、又は発熱層12の表層11とは反対側に、保護絶縁層として、ポリイミド樹脂又は熱伝導フィラー入りのポリイミド樹脂からなるポリイミド層を設けてもよい。
本発明の発熱回転体の例としては、さらに中間弾性層としてのゴム層等を設けた構成を挙げることができる。例えば、表層11とポリイミドからなる発熱層12の間にシリコーンゴム層を設ける構成、表層11とポリイミドからなる発熱層12の間にシリコーンゴム層を設けさらに発熱層12のシリコーンゴム層とは反対側にポリイミド層を設ける構成等も挙げることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明の範囲は、実施例に限定されない。先ず、実施例及び比較例において使用した原料について述べる。
[ポリイミド樹脂]
・U−ワニスS−301:宇部興産社製のポリイミド前駆体ワニス、比重1.446、溶剤N−メチルピロリドン、濃度18%(以下、「UワニスS」との略号で示す。)
・Pyre ML RC−5019:I.S.T社製のポリイミド前駆体ワニス;溶剤N−メチルピロリドン、濃度15%(以下、「Pyre ML」との略号で示す。)
[配合剤]
・カーボニルNi255:フィラメント状ニッケル、福田金属箔粉社製、製法カーボニル法、粒径(フィシャー値)2.2〜2.8μm(表中では「Ni255」と示す。)
・カーボニルNi123:(深く裂溝した)スパイク状ニッケル、福田金属箔粉社製、製法カーボニル法、粒径(フィシャー値)3.0〜7.0μm(表中では「Ni123」と示す。)
・12−0080:球状アルミ粉、東洋アルミニウム社製、径3.0μm(表中では「12−0080」と示す。)
・12−0081:鱗片状アルミ粉、東洋アルミニウム社製、2.5μm(表中では「12−0081」と示す。)
・VGCF−H:カーボンナノファイバー、昭和電工社製、直径200nmφ、長さ6μm(表中では「VGCF」と示す。)
実験1〜26
表1〜5に示す組成比(固形分基準;質量比)でUワニスS及びPyre MLを混合したポリイミドワニスに、表1〜5に示す組成(ワニス中の固形分の体積を100体積%としたときの体積%)で配合剤を加え、撹拌機で予備撹拌し、3本ロールミルで配合後、真空脱泡を行い、前記各成分を含有する分散液を得た。
円柱状芯体(図2における24に該当)として、外面にセラミックスをコーティングした外径20mmφのアルミニウム製円柱を使用した。ディスペンサーの供給部にセットしたノズル(吐出口)を該芯体の外面に接触させた。該芯体を回転させるとともに、ノズルを該芯体の回転軸方向に一定速度で移動させながら、ディスペンサー供給部のノズルから、前記ポリイミドワニス分散液を、芯体の外面に定量供給しポリイミドワニス分散液の塗布を行った。ディスペンサー供給部のノズルとしては、内径2mmのPTFE製チューブを使用した。ノズルの移動は、芯体右端から20mm(供給開始時)の位置から、芯体左端から20mm(供給停止時)の位置まで行った。塗布後、芯体を回転させながら400℃まで段階的に加熱して、ポリイミド前駆体のイミド転化及び溶媒の除去を行った。その後、冷却して、脱型し、導電性の発熱層を形成した。
前記のようにして形成された発熱層の両端の部分に、図1に示すように、銀ペースト(DWP−025、東洋紡績社製)を塗布した。その後、150℃10分、230℃10分、300℃30分の条件下で銀ペーストの焼き付けを行い、発熱層に一対の電極を取り付け、試験体(発熱回転体)を得た。
実験No.11(後述の表2に組成が記載されている)で得られた試験体の電極に、100V、840Wで直接通電したところ、いずれも1秒以内に約150℃(トナーを定着するために必要な温度)まで温度を上昇させることができた。又、実験No.11で得られた試験体について、次に示す方法にて発熱温度の分布を測定したところ、発熱回転体の軸方向、周方向のいずれについても温度バラツキが非常に少なく150±5℃で均一に発熱させることができた。従って本発明の発熱回転体により、定着ローラに求められる、急速で均一な発熱が達成できることが示されている。
[発熱温度の分布の測定方法] 非接触型温度計にて測定した。
固化した発熱層を、芯体から脱型して得られたチューブについて、下記の方法で、表面抵抗値、引張試験を行った。その結果を表1〜5に示す。
[表面抵抗率]
チューブの両端に、テスターを当てて電気抵抗測定を行い、測定値が安定するまで下がったところの値を読みとり抵抗値とし、その抵抗値とチューブの表面積から表面抵抗率を計算した。
[引張試験]
チューブから試料片を切り出し、JIS K 7161に従って、島津製作所社製のオートグラフ「AG−IS」で測定した。
Figure 0006045925
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実験No.2〜5は、カーボンナノファイバーとフィラメント状ニッケル微粒子を併用してマトリックス樹脂であるポリイミド樹脂に配合した例である。カーボンナノファイバーを30体積%配合することにより、フィラメント状ニッケル微粒子が10体積%でも表面抵抗率10Ω/□以下の導電性(低抵抗)が得られ、通常の定着ローラとして必要な機械的強度(引張試験)をクリアしているが、破断伸びは小さく樹脂が脆くなっており、小型サイズのローラを作製するための成形性は、アルミニウム粉とフィラメント状ニッケル微粒子を併用した後述の実験No.24〜26より劣ると考えられる。実験No.6〜8は、カーボンナノファイバーとスパイク状ニッケル微粒子を併用した例であるが、実験No.2〜4よりも表面抵抗が大きく、フィラメント状ニッケル微粒子の代わりにスパイク状ニッケル微粒子を使用すると導電性が十分付与されないことが示されている。
実験No.9〜11は、他の導電性付与材を併用せずにフィラメント状ニッケル微粒子のみをマトリックス樹脂であるポリイミド樹脂に配合した例である。フィラメント状ニッケル微粒子を20体積%配合すれば、10Ω/□をはるかに下回る表面抵抗率が得られ、引張試験の結果も通常の定着ローラとして必要な基準をクリアすることを示している。
しかし、フィラメント状ニッケル微粒子を15体積%、10体積%と減少すると急激に表面抵抗率が上昇する。従って、フィラメント状ニッケル微粒子の量のわずかな変動により導電性が大きく変動しやすく、発熱層の全体にわたって発熱性を均一にしにくいことが示されている。実験No.13〜15は、フィラメント状ニッケル微粒子の代わりにスパイク状ニッケル微粒子のみをマトリックス樹脂であるポリイミド樹脂に配合した例である。10〜20体積%の配合であっても表面抵抗率が非常に大きく、スパイク状ニッケル微粒子では導電性の付与を行うことができないことが示されている。
実験No.16〜23は、カーボンナノファイバーとアルミニウム粉を併用してマトリックス樹脂であるポリイミド樹脂に配合した例である。カーボンナノファイバーを30体積%配合し、アルミニウム粉を15体積%配合しても表面抵抗率が非常に大きく、アルミニウム粉によってはフィラメント状ニッケル微粒子を併用しない場合は導電性の付与を行うことができないことが示されている。
実験No.24〜26は、フィラメント状ニッケル微粒子とアルミニウム粉を併用してマトリックス樹脂であるポリイミド樹脂に配合した例である。10Ω/□をはるかに下回る表面抵抗率が得られ、引張試験の結果も通常の定着ローラとして必要な基準をクリアすることを示している。さらに、アルミニウム粉の量の変動による表面抵抗値の変動は小さく、発熱層の全体にわたって発熱性を均一にしやすいと考えられる。
1 定着ローラ
2 加熱手段
3 加圧ローラ
4 被転写材
5 未定着トナー像
6 定着トナー像
11 表層
12 発熱層
14 電極
15 配線
21 供給部
22 吐出口
23 塗布層
24 円柱状芯体

Claims (4)

  1. ポリイミド樹脂を主体とするマトリックス樹脂中に、ストランドが三次元的に連なった形状を有し、平均粒径(フィシャー値)が3μm以下のフィラメント状ニッケル微粒子を分散させてなる発熱層を有することを特徴とする発熱回転体。
  2. さらにアルミニウム微粒子を分散させてなることを特徴とする請求項1に記載の発熱回転体。
  3. 前記アルミニウム微粒子の配合量が前記フィラメント状ニッケル微粒子の配合量の1.2質量倍以下であることを特徴とする請求項2に記載の発熱回転体。
  4. 定着ローラであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発熱回転体。
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